JP2001090912A

JP2001090912A - ガスバーナ

Info

Publication number: JP2001090912A
Application number: JP26416099A
Authority: JP
Inventors: Toshikazu Nakajima; 敏和中島; Kimiharu Kuramasu; 公治倉増; Shunichi Tsumura; 俊一津村; Kenji Kiyama; 研滋木山
Original assignee: Babcock Hitachi KK
Current assignee: Mitsubishi Power Ltd
Priority date: 1999-09-17
Filing date: 1999-09-17
Publication date: 2001-04-03

Abstract

(57)【要約】【課題】ガスバーナにおける空気と燃料の混合を促進
させることにより、火炎の安定性を向上させ、燃焼振動
を抑制すること。【解決手段】バーナ中心部から同軸状に複数流路に分割
された燃焼用空気流路を有し、前記複数流路の内の最内
周の空気流路出口側に円形の保炎器を有し、前記保炎器
の周りに複数のガス供給管を有するガスバーナであっ
て、ガス燃料をガスバーナ後流側へ噴射する噴出孔であ
る主燃料孔及びガス燃料をガスバーナ中心軸に対して略
垂直に噴射する噴出孔である副燃料孔を有する第１のガ
ス供給管１０１と、主燃料孔のみを有する第２のガス供
給管１０２を設け、前記第１のガス供給管１０１の２本
と第２のガス供給管１０２の１本とを１セットとして、
これを複数セット配置することにより、燃料流の無い空
間を確保するガスバーナ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、事業用もしくは産
業用のガス焚きボイラにおいて、広範囲のボイラ運用で
安定燃焼を実現できるガスバーナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ガス燃料は、油、石炭等に比べ燃料中に
不純物が少なく低公害であることから、特に都市近郊で
の発電設備の燃料として適しているといえる。

【０００３】このようにクリーンなガス焚きボイラであ
るが、ガス燃料は燃焼性が良い反面、火炉内の圧力変動
（以後、燃焼振動という）を起こしやすく、炉内の様々
な設備の破損を招きやすい欠点がある。

【０００４】燃焼振動現象は一般には、（１）火炉内部
の発熱率分布が火炉壁近傍で局所化する（燃料の燃焼速
度が大きく、バーナの出口近傍で燃え尽きる）場合、
（２）火炎が不安定で、絶えず変動している（保炎器
（以後、インペラという）に接触したり吹き飛ぶ現象を
繰り返す）場合、に起こりやすいとされている。

【０００５】従って、従来の燃焼振動抑制は、（１）急
速燃焼の抑制（緩慢燃焼）、（２）火炎の安定性向上、
等が有効であった。

【０００６】これらの燃焼振動対策は有効であるが、
（１）の対策法は排ガスを燃焼用空気に混入する方法
で、燃焼用空気と排ガスの割合により燃焼振動が発生す
る場合があるためボイラ運用範囲が制限され、広範囲の
運用が要求される場合に対応が困難となる。

【０００７】また、火炎の不安定が直接原因でない場
合、例えば空気と燃料の混合性により高発熱領域が局所
的に形成される場合にも燃焼振動を誘発しやすい。

【０００８】燃焼振動とは火炉との気柱共鳴現象である
ので、微妙な圧力変動でも一旦、火炉の音響的固有振動
数と同期すると、大きな振動に至る。ボイラ中の複数の
ガスバーナのうち、一台でも燃焼振動の起因となるもの
があるならばボイラ全体に影響するような燃焼振動が起
こる可能性がある。従って、バーナ構造により、燃焼振
動を引き起こさない、安定燃焼範囲が広く信頼性の高い
バーナ開発が必要である。

【０００９】図３は火炎安定原理を示す要部断面図であ
り、火炎の着火・安定性に関するバーナ周りの基本的な
流れを示す。ガス燃料はガス供給管１０２（以後、ガス
スパッドという）で、主燃料１０３と副燃料１０４に分
けて火炉へ投入される。主燃料１０３はガススパッド火
炎４０１、副燃料１０４はインペラ１０５後方の再循環
領域２０６を乱さないように吹き込み、インペラ火炎４
０２を形成する。

【００１０】図７に示すように、各バーナ８０７段に供
給される燃焼用空気は、風箱８０６入口に設けたダンパ
で流量調節をする。その燃焼用空気は図２に示すように
バーナ中心部から半径方向の３流路に分割して（１次空
気２０１、２次空気２０２、３次空気２０３として）、
炉内に供給される。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】図４に従来型ガスバー
ナの火炎不安定の現象及び機構について示す。図４
（ａ）は主燃料１０３と副燃料１０４がガススパッド１
０１から炉内へ噴出する状態を示している。ガススパッ
ド火炎４０１とインペラ火炎４０２はバーナから少し離
れた位置で形成される（以後、リフトという）。インペ
ラ火炎４０２による高温ガスはインペラ１０５の後方に
形成される再循環領域２０６内部のガスの循環によって
インペラ１０５後方に戻され、図４（ｂ）に示すよう
に、インペラ火炎４０２がインペラ１０５に接近した状
態になる。

【００１２】さらに、インペラ火炎４０２による輻射熱
によって、主燃料１０３はガススパッド１０１近傍から
着火し、図４（ｃ）に示すように主燃料１０３、副燃料
１０４のいずれも着火した状態となる。

【００１３】この状態になるとインペラ１０５近傍のＯ
₂分圧が低下し、インペラ火炎４０２がリフトする。図
４（ｄ）にこの状態を示す。火炎がリフトすると、イン
ペラ１０５近傍のＯ₂分圧が上昇しリフトした部分で着
火し、図４（ａ）の状態に戻る。従って、火炎は周期的
な変動を繰り返し、燃焼振動を抑制できないという問題
があった。図４（ｅ）に従来型ガスバーナの断面図を示
す。

【００１４】燃焼振動の原因の１つに上記の如く火炎の
不安定性が挙げられる。不安定な火炎は、大きな発熱量
変動を引き起こすので燃焼振動を誘発する恐れがある。
このような不安定な火炎の原因として、ガス燃料と空気
の混合不足が挙げられる。

【００１５】図５に示すように従来のガススパッド配置
では、ガススパッド１０１（ｏｒ１０２）がインペラ１
０５の周りに等間隔配置され、主燃料１０３、副燃料１
０４が炉内へ供給される。８本のガススパッド１０１
（ｏｒ１０２）を等間隔配置にすると、等間隔で噴射さ
れた主燃料１０３はバーナ後方に流れていくに従い拡散
していくため、隣同士の燃料流と一緒になる燃料流１０
７を形成し、外側から空気が混入することができない状
態になってしまう。

【００１６】そのため、図２に示すバーナ後方２０７は
再循環してきた空気のみが存在し、ある燃焼条件（例え
ば旋回器２０４角度、レジスタ２０５開度の設定によっ
ては）では十分な空気が存在しない可能性がある。この
ような燃料過剰状態は火炎の不安定化へとつながり、燃
焼振動の原因となる可能性がある。

【００１７】本発明の目的は、空気と燃料の混合を促進
させることにより、火炎の安定性を向上させ、燃焼振動
を抑制することにある。

【００１８】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成を採用する。

【００１９】バーナ中心部から同軸状に複数流路に分割
された燃焼用空気流路を有し、前記複数流路の内の最内
周の空気流路出口側に円形の保炎器を有し、前記保炎器
の周りに複数のガス供給管を有するガスバーナであっ
て、前記複数のガス供給管により噴射される燃料を偏流
させて燃料流の無い空間を確保するガスバーナ。

【００２０】また、バーナ中心部から同軸状に複数流路
に分割された燃焼用空気流路を有し、前記複数流路の内
の最内周の空気流路出口側に円形の保炎器を有し、前記
保炎器の周りに複数のガス供給管を有するガスバーナで
あって、ガス燃料をガスバーナ後流側へ噴射する噴出孔
である主燃料孔及びガス燃料をガスバーナ中心軸に対し
て略垂直に噴射する噴出孔である副燃料孔を有する第１
のガス供給管と、主燃料孔のみを有する第２のガス供給
管を設け、前記第１のガス供給管と第２のガス供給管の
適宜配置により、燃料流の無い空間を確保するガスバー
ナ。

【００２１】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態に係るガスバー
ナについて、図面を用いて以下説明する。図１は、本発
明の実施形態に係るガスバーナにおけるガススパッド配
置、主燃料の偏流及び側面からの空気進入、をそれぞれ
示す図であり、図２は本実施形態に係わるガスバーナ断
面図及び空気流れを示す図である。

【００２２】ここにおいて、１０１は主燃料孔＋副燃料
孔一体型ガススパッド、１０２は主燃料孔ガススパッ
ド、１０３は主燃料、１０４は副燃料、１０５は保炎器
（インペラ）、１０６はバーナ後方側面からの空気進
入、１０７は燃料流、１０８は燃料流のない空間、２０
１は１次空気、２０２は２次空気、２０３は３次空気、
２０４は軸旋回器（旋回ベーン）、２０５はレジスタ、
２０６はインペラ後方に形成される空気再循環領域、２
０７はバーナ後方に形成される空気再循環領域、２０８
は２次空気流れ、２０９は３次空気流れ、２１０はガス
供給ヘッダ、をそれぞれ表す。

【００２３】まず、ガス焚きボイラの燃焼系統につい
て、図７の概略構成図を用いて説明する。燃料である液
化天然ガス（ＬＮＧ）は、この受け入れ基地のＬＮＧ貯
蔵タンク８０１からパイプラインで火力発電所にまで送
られる。そして、液化天然ガスを発電所内でベーパライ
ザ（気化器）８０２によりガス化して、流量調節弁８０
３で圧力調節した後、各バーナに供給する。

【００２４】一方、燃料用空気はＦＤＦ（押し込み通風
器）８０４で加圧した後、空気予熱器８０５で約３３０
度まで昇温した後、火炉の各段に設けた燃焼用空気の供
給ダクトである風箱８０６へ、その後各ガスバーナ８０
７へ供給する。

【００２５】図２に示すガスバーナ断面図によると、ガ
ス燃料はガス供給ヘッダ２１０からガススパッドに供給
され、火炉内へ噴射される。これらのガス燃料を燃焼さ
せる燃焼用空気は１次空気２０１、２次空気２０２、３
次空気２０３と３つに分割された空気流路から、１次空
気２０１以外は旋回が掛けられて火炉へと供給される。
旋回器は２次空気流路出口付近の軸流旋回器２０４と３
次空気入り口のレジスタ２０５の開度設定により行われ
る。

【００２６】これらの旋回器によって、空気の再循環領
域２０７が形成される。また、この旋回器設定は燃料と
空気の混合にも影響することから燃焼振動の原因となる
場合がある。また、インペラ１０５後方にはプラフボデ
ィ効果により、即ち１次空気流れをインペラで妨げ、イ
ンペラ１０５周りの空気流れとインペラ１０５後方部分
に差圧が生じることにより、空気再循環領域２０６が形
成される。

【００２７】図１に本実施形態に係るガスバーナのガス
スパッド配置の構成例を示す。図１において、１０３は
主燃料、１０４は副燃料を示し、１０１は主燃料孔＋副
燃料孔一体型ガススパッド、１０２は主燃料孔ガススパ
ッド、を示す。この構成例では、主燃料孔と副燃料孔一
体型１０１二本と主燃料孔型１０２一本を１セットとし
て、１セットを複数配置したことにより、ガス燃料を偏
流させることができ、燃料流のない空間１０８が確保で
きる。

【００２８】図１での空間１０８を確保することによ
り、バーナ後方側面からの空気進入１０６を容易とし、
空気と燃料の混合が促進されて安定燃焼を維持すること
ができる。図１では、一体型ガススパッド１０１の１本
と主燃料孔ガススパッド１０２の２本を１セットとした
構成例であるが、この構成例に限らず、ガススパッド１
０１とガススパッド１０２の保炎器周りの配置に粗密を
つけたり、１０１と１０２との配置順序を変更したりし
ても良い。要するに、前記配置の変更により、ガス燃料
を偏流させて、燃料流のない空間１０８を確保できるよ
うにすればよい。

【００２９】このように、本発明の実施形態では、複数
のガス供給管により、噴射される燃料を偏流するように
する。即ち、本発明は、液化石油ガス（ＬＰＧ）や液化
天然ガス（ＬＮＧ）等のガス燃料を火炉内部で燃焼させ
るガスバーナにおいて、燃料と空気の混合促進を図るた
めに、複数のガス供給管により、噴射される燃料を偏流
するようにする。

【００３０】燃焼振動は火炉の気柱共鳴現象であり、火
炉内部の圧力変動がバーナの燃料や燃焼用空気に影響し
て発熱率の時間変化を引き起こし、これらの間でフィー
ドバックループを形成して発生する場合が多くみられ
る。図６にこの現象について簡単なブロック線図を示
す。圧力変動と発熱率変動は互いに影響しあいフィード
バックループを形成していることがわかる。燃焼振動を
抑制するには、この圧力変動、発熱率変動フィードバッ
クループのうち何れかを断てばよい。

【００３１】本発明は、火炎の安定性を向上して発熱率
変動を抑えるようにするものであり、火炎の安定性向上
の一手段として燃料と空気の混合促進を図った。そこ
で、ガススパッドからの燃料の流れを偏流させ、ガスバ
ーナ後方側面からの空気進入を容易とし、燃料と空気の
混合を促進させた。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、図１に示すようにバー
ナ後方側面からの空気進入１０６を容易にしたことか
ら、空気と燃料の混合が促進され安定燃焼が確保でき、
燃焼振動に対して耐力のあるガスバーナとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係るガスバーナにおけるガ
ススパッド配置、主燃料の偏流及び側面からの空気進
入、をそれぞれ示す図である。

【図２】本実施形態に係わるガスバーナ断面図及び空気
流れを示す図である。

【図３】従来型のガスバーナの火炎安定原理を示す要部
断面図である。

【図４】（ａ）〜（ｄ）は従来の周期的な火炎の不安定
現象を示す断面図であり、（ｅ）は従来型ガスバーナ断
面図である。

【図５】従来のガススパッド配置及び燃料流れを示す図
である。

【図６】燃焼振動の現象を示す概略的な説明図である。

【図７】ガス焚きボイラの燃焼系統を示す概略構成図で
ある。

【符号の説明】

１０１主燃料孔＋副燃料孔一体型ガススパッド１０２主燃料孔ガススパッド１０３主燃料１０４副燃料１０５保炎器（インペラ）１０６バーナ後方側面からの空気進入１０７燃料流１０８燃料流のない空間２０１１次空気２０２２次空気２０３３次空気２０４軸旋回器（旋回ベーン）２０５レジスタ２０６インペラ後方に形成される空気再循環領域２０７バーナ後方に形成される空気再循環領域２０８２次空気流れ２０９３次空気流れ２１０ガス供給ヘッダ４０１ガススパッド火炎４０２インペラ火炎８０１ＬＮＧ貯蔵タンク８０２ベーパライザ（気化器）８０３流量調節弁８０４ＦＤＦ（押し込み通風器）８０５空気予熱器８０６風箱８０７バーナ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者津村俊一広島県呉市宝町６番９号バブコック日立株式会社呉工場内 (72)発明者木山研滋広島県呉市宝町６番９号バブコック日立株式会社呉工場内Ｆターム(参考） 3K019 AA02 BA02 BB02 BD01 BD08 BD09 BD12 CA02

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】バーナ中心部から同軸状に複数流路に分
割された燃焼用空気流路を有し、前記複数流路の内の最
内周の空気流路出口側に円形の保炎器を有し、前記保炎
器の周りに複数のガス供給管を有するガスバーナであっ
て、前記複数のガス供給管により噴射される燃料を偏流させ
て燃料流の無い空間を確保することを特徴とするガスバ
ーナ。
【請求項２】バーナ中心部から同軸状に複数流路に分
割された燃焼用空気流路を有し、前記複数流路の内の最
内周の空気流路出口側に円形の保炎器を有し、前記保炎
器の周りに複数のガス供給管を有するガスバーナであっ
て、ガス燃料をガスバーナ後流側へ噴射する噴出孔である主
燃料孔及びガス燃料をガスバーナ中心軸に対して略垂直
に噴射する噴出孔である副燃料孔を有する第１のガス供
給管と、主燃料孔のみを有する第２のガス供給管を設
け、前記第１のガス供給管と第２のガス供給管の適宜配置に
より、燃料流の無い空間を確保することを特徴とするガ
スバーナ。