JP2001079537A - 汚染物質の除去方法及び除去システム - Google Patents

汚染物質の除去方法及び除去システム

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JP2001079537A
JP2001079537A JP26092399A JP26092399A JP2001079537A JP 2001079537 A JP2001079537 A JP 2001079537A JP 26092399 A JP26092399 A JP 26092399A JP 26092399 A JP26092399 A JP 26092399A JP 2001079537 A JP2001079537 A JP 2001079537A
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charcoal
adsorbent
adsorption
specific
phase
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Shigehisa Ishihara
茂久 石原
Kenji Yamane
健司 山根
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 木炭の有する特性を十分に活用することによ
り固相、液相もしくは気相中に含まれる汚染物質の除去
を十分に実現し得るようにする。 【解決手段】 除去対象の特定汚染物質に対し選択吸着
能力を示すことになる炭化温度で木質系材料を炭化して
特定汚染物質吸着用の木炭を作製する。Hgを特定汚染
物質とする場合には400℃〜1400℃で炭化させ
る。木炭の粉末を合成繊維材料に混合して木炭複合繊維
を曳糸する。この木炭複合繊維を撚り紐状にして線状吸
着材22を作製し、張架枠部材21に対し格子状等の網
状に張架させて吸着体2を形成する。特定汚染物質を含
む廃水が流れる流路1に吸着体を流れ方向に対し複数段
に配設する。廃水中の特定汚染物質のほぼ100%が線
状吸着体に選択吸着される。織物にした面状吸着材を枠
部材に固定して吸着体としてもよい。木炭自体を用いる
場合には丸太状の木炭を流れ方向に対し複数段に充填・
配設するようにすればよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固相、液相もしく
は気相中に含まれるの汚染物質の除去方法及びその除去
システムに係る。詳しくは、本発明は、汚染物質として
重金属類や有害物質を含む土壌からその重金属を除去し
て浄化する、重金属や有害物質を含む河川水からその重
金属等を除去して浄化する、あるいは、有害ガス等を含
む大気・室内空気・廃ガスからその有害ガス成分を除去
して浄化するために用いられ、さらには、上記重金属類
の分離回収をも実現し得る汚染物質の除去方法及び除去
システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、人間の生活環境を構成する固相、
液相もしくは気相中には種々の汚染物質が含まれること
がある。すなわち、一般産業廃棄物、産業廃棄物焼却炉
からの廃ガスもしくは洗煙、蛍光灯・電池等の水銀処理
施設からの廃水、各種工業施設からの廃水、病院・研究
施設の廃液等が上記の固相、液相もしくは気相中に排出
されてそれらに含まれる汚染物質により環境汚染を引き
起こすことになる。このような汚染物質としては、Z
n,Cd,Hgの元素周期表12族元素及びその化合物
もしくはSn,Pbの元素周期表14族元素及びその化
合物等の極めて毒性の強い重金属元素及びその化合物、
アンモニア,硫化水素,砒素,塩素もしくは有機溶剤等
の有害ガス、あるいは、PCB,ダイオキシン,塩素系
物質もしくはビスフェノール等のいわゆる環境ホルモン
等の有害物質等が挙げられる。
【0003】そして、従来より、この種の汚染物質の除
去方法及び除去システムとして、以下のものが知られて
いる。
【0004】すなわち、固相としての土壌が廃水等によ
り重金属汚染を受けた場合には、その除去が困難である
ため、その汚染土壌の非汚染土壌との置換を行う一方、
汚染土壌の袋詰め保管を行う、あるいは、置換の代わり
にコンクリート固化を行う等の対策が採られる。液相と
しての河川や湖沼が工場廃水、家庭雑排水等の流入によ
り汚染を受けた場合には活性炭の投入による吸着除去も
しくは木炭を担持体とする微生物処理が採られたり(例
えば、特開平7−000983号公報、特開平10−2
31510号公報参照)、工場廃水処理場においては凝
集沈殿法やイオン交換樹脂を用いた浄化が行われる。気
相としての廃ガス、洗煙や室内空気に含まれる汚染物質
の除去の場合にはある種の水溶液に通して吸収させる、
あるいは、活性炭と接触させて吸着させる等の処理が採
られている。また、汚染物質の内でも重金属化合物は化
学反応により不溶化や無毒化の処理を施すことにより回
収したり、固形化保存したりされている。
【0005】また、病院,各種研究施設もしくは小規模
メッキ工場等からの廃水に僅かに混入排出されるこれら
の重金属化合物に対しては、これらの化合物を構成する
元素とキレート結合する官能基を持ち選択除去性能を持
つイミノジ酢酸型やポリミアン型のキレート樹脂や骨灰
により吸着・除去処理が近時実施されているが、それは
最終処理として小規模かつ部分的に実施されているに過
ぎず、広範な汚染には対応不能という問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のZ
n、Cd、Hg、Sn、Pb等の重金属化合物は、現在
の電気・電子工業資材もしくは薬品として現在の科学技
術の根幹を支え、現在の社会生活・人間活動の根幹を支
える必須の物質である反面、人の健康や生体系に不可逆
的な影響を及ぼし生態系を損壊する公害発生物質、環境
汚染物質ともなる。このため、上記の重金属化合物の排
出は法規制や制限により厳重な管理と厳重な監視下にお
かれている。
【0007】しかし、これら重金属化合物の大量供給と
利用は厳重な管理の隙間を縫って液相環境等への漏洩及
び拡散を生じさせ、重大な環境汚染を惹起している。特
に、人間活動に由来する重金属汚染は自然汚染に比べP
bで27倍、Cdで6倍、V、Znで3倍となってお
り、Hg、Ni、Sb、As(As;砒素は非金属元素
であるが重金属元素類似の挙動を示す)も2倍程度とな
っており、その汚染源は家庭排水から工業排水、産業廃
棄物焼却等々広範に亘る。そして、これら汚染物質の充
分な浄化・無害化の技術は未だ十分に確立していないの
が現状であり、回復に高額な費用と大量の時間と労力を
要し、環境への負担の極めて大きな汚染物質として先進
国はもとより開発途上国の最も重篤な社会問題を引き起
こしている。
【0008】ここで、上記従来の河川等の液相に対する
微生物処理の場合、木炭を単に微生物の繁殖場所として
の担持体としてしか利用しておらず、用いる木炭もその
炭化温度に対し特に注意を払って正確に特定温度での炭
化を制御したものではなかった。このため、木炭の有す
る種々の特性を十分に活用し得るものではなく、特に、
木炭の有する吸着特性を十分に利用したものではなかっ
た。しかも、特に、液相の場合には、その木炭に汚泥が
堆積して木炭の微細空隙が目詰まりを起こす結果、それ
以上の吸着不能の事態を生じさせたり、木炭近傍の酸素
不足により生物学的浄化作用を十分に機能させ得ない事
態を生じさせたりしている。加えて、上記の汚泥堆積に
よる目詰まりは嫌気性発酵を発生させて逆に水質の悪化
を招く原因ともなる。その上に、一旦目詰まりを起こし
て木炭槽を取り替える必要が生じた場合には、その木炭
槽の除去及び新たに水中に設置するために多大な手間を
要することになる。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、木炭の有する
特性を十分に活用することにより固相、液相もしくは気
相中に含まれる汚染物質の除去を十分に実現し得る除去
方法及び除去システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、特に、徐伐材、間伐材、未利用樹種、
林地残材、木材工業残廃材、竹材等の未利用木材資源又
は故紙等の木質バイオマスの未利用残廃材等の有効利用
と、木炭の吸着機能とに着目し、木材の熱減成・熱分解
・炭化・焼成等の熱変換について鋭意研究を進めた結
果、木材に対する熱処理もしくは炭化処理の温度の如何
により発現する機能が異なり、ある温度範囲で処理した
場合に重金属化合物等の特定の汚染物質に対し優れた選
択吸着機能を発現することを知見するに至った。そこ
で、木材の昇温過程の所定温度範囲において顕著に発現
する木炭の性質を機能として捉え、それぞれ固有の機能
をもつ木炭を固相、液相もしくは気相の各環境中に的確
に適合するよう配置することによって上記各環境中に含
まれる汚染物質の吸着除去が可能なことを見出し、本発
明を完成させるに至った。つまり、熱処理・炭化・焼成
の各処理温度に対応して発現する機能との関係から目的
機能に適合する所定の温度範囲で例えば前述の徐伐材・
間伐材等の木材資源に対し熱処理、炭化、焼成を施し調
製した木炭を用いて汚染物質の吸着除去を図ることとし
たものである。要するに、木炭がその炭化温度の如何に
より異なる吸着特性・機能を発揮する点に着目し、除去
対象である特定汚染物質に対し特に高効率で吸着すると
いう選択的吸着特性を発揮するように特定炭化温度で炭
化させた木炭を用い、上記特定汚染物質を選択吸着させ
ることにより汚染物質の除去を行わせることを基本特定
事項とするものである。
【0011】具体的には、汚染物質の除去方法に係る第
1の発明は、汚染物質を木炭に吸着させてその汚染物質
の除去を行う汚染物質の除去方法を前提とし、除去対象
の特定汚染物質に対し選択吸着能力を示すことになる炭
化温度で木質系材料を炭化して特定汚染物質吸着用の木
炭を準備し、この木炭と、上記特定汚染物質を含む固
相、液相もしくは気相とを接触させることにより、上記
特定汚染物質を上記木炭に選択吸着させるようにするも
のである。
【0012】ここで、「特定汚染物質」とは、毒性の強
い重金属元素やその化合物、有機塩素系化合物、有機溶
剤、ビスフェノール等のいわゆる環境ホルモン等の有害
物質等のことである。具体的には、Zn,Cd,Hgの
元素周期表12族元素やその化合物、Sn,Pbの元素
周期表14族元素やその化合物等、硫化水素、砒素、塩
素、ダイオキシン、ポリクロロビフェニール(PC
B)、ペンタクロロフェノール(PCP)、ジクロロメ
タン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロル
デン類、ホルムアルデヒド,アセトアルデヒドのような
アルデヒド類、メチルエチルケトンのようなケトン類、
トリエチルアミン、アンモニア等が対象に含まれる。
【0013】上記の「選択吸着能力を示すことになる炭
化温度で炭化した木炭」とは、300℃までの熱処理の
範疇に属する処理温度で熱処理された木材(熱処理木
材)、300℃〜1400℃近傍の炭化処理の範疇に属
する温度範囲で炭化された木炭、例えば300℃〜70
0℃もしくは800℃までの温度範囲で炭化された低温
炭化木炭または800℃近傍〜1400℃近傍の温度範
囲で炭化された高温炭化木炭,あるいは、1400℃近
傍以上の焼成処理の範疇に属する温度範囲で焼成された
焼成木炭のいずれかであり、これらの温度範囲並びに熱
処理,炭化及び焼成をまとめて「炭化温度」及び「炭
化」の概念に含め、これらを総称して「木炭」としたも
のである。要するに、吸着対象である特定汚染物質に対
し優れた選択吸着能力を発揮することになる炭化温度範
囲で炭化させた木炭を用いて、上記特定汚染物質を吸着
除去せんとするものである。従って、上記特定汚染物質
が2種類あればそれに対応して2種類の炭化温度で炭化
させた各木炭を互いに混合して用いればよく、また、特
定汚染物質が3種類あれば3種類の木炭を互いに混合し
て用いればよいことになる。そして、吸着除去の重要性
もしくはその特定汚染物質の含有量の割合等に応じて、
上記各種類の木炭の混合割合を変化させるようにすれば
よい。
【0014】上記の「木炭」に属するものの内、「熱処
理木材」とは、60℃から300℃、基本的には250
〜280℃までの温度範囲において加熱されて、熱減成
過程にある針葉樹、広葉樹、竹類もしくは回収故紙のこ
とである。針葉樹としては杉、ヒノキ、アカマツ、クロ
マツ、カラマツ、トウヒ、ベイヒ、ベイマツ、ラジアー
タパイン等が挙げられ、広葉樹としてはナラ類、シデ
類、ブナ・カエデ類、ホウノキ、ポプラ、ユリノキ等が
挙げられる。未処理木材ではそれのもつ水酸基に由来す
る親水性を示すのに対し、上記のような熱処理木材では
160℃近傍の加熱と昇温加熱により徐々に水酸基が失
われて徐々に非親水性に向かうものの、木材固有の性質
を保持しており、そのpH値は酸性あるいは弱酸性を示
し、電気的には絶縁性を示す。
【0015】「低温炭化木炭」とは、上記の針葉樹材、
広葉樹材、竹材もしくは故紙が加熱による減成を終え
て、加熱温度が300℃、基本的には260℃を越えて
熱分解反応過程、すなわち、木材固有の自己発熱反応過
程の260℃から700〜800℃の温度域において調
製された木炭のことである。このような低温炭化木炭に
おいては、セルロース、ヘミセルロース、リグニンの木
材3大成分は完全に分解して木材本来の性質を失うが、
木材の細胞構造に由来する多孔質は保持され、比表面積
は徐々に増加する。pH値は600℃近傍までは酸性を
呈し、電気的には絶縁性(500℃近傍まで)から半導
性に変わる。
【0016】より詳細に説明すると、上記の温度域の昇
温過程において、セルロース、ヘミセルロース、リグニ
ンの三大組成物質は減成・分解して揮発性分を放出し、
重合・解重合・重縮合反応により本来の構造を失うとと
もに、比較的安定した炭素質の固形残渣、いわゆる木炭
を生成する。この固形残渣は単一な単素化合物でも、純
粋な炭素同素体でもなく、木炭化過程あるいは炭素化の
それにある炭素前駆体といわれる種々の中間的な炭であ
って、芳香族と脂肪族不飽和炭化水素系の両者の構造を
有する。木炭は、カルボキシル基,芳香族系水酸基.ラ
クトンなどの酸性官能基、カルボニル基,環状過酸化物
などの中性官能基、クロメン構造やピロン構造を持つ塩
基性官能基がそれぞれの温度域において生成・反応・消
滅を繰り返し、これにより、多くの活性基を具え、剛直
な構造を持ち、豊富な自由電子を擁して高い反応性を示
すようになる。特に、木材組成分の芳香族化、それの架
橋結合によって、例えばコランニュレン構造をとり、オ
ニオンフラーレン群様の構造へと発展し、吸着に重要な
ナノ空間構造を生成することになる。
【0017】「高温炭化木炭」とは、上記の木材、竹材
もしくは故紙が加熱処理及び熱分解に基づく自己発熱反
応を終えるといういわゆる炭化過程を経てこれを完了す
る温度域、すなわち、800℃近傍から1400℃近傍
までの熱変化過程、つまり木炭表面における酸化による
熱変化過程を経た木炭のことである。このような高温炭
化木炭においては、木材固有の細胞構造に由来する多孔
質構造を保持し、比表面積は昇温とともに増加して10
00〜1100℃の温度で最大となり、それ以上の温度
域では急激に低減する一方、細孔分布は10nm近傍あ
るいはそれ以下となって細孔の増加がある。浸水時のp
H値は700℃では中性であり、800℃近傍から塩基
性を呈し、1200℃近くでは強塩基性を示すものの、
それ以上の温度域では徐々に弱塩基性に転ずる。電気的
には650〜750℃では半導性であるが、約800℃
以上では導電性となる。
【0018】「焼成木炭」とは、1400℃以上で焼成
された木炭のことである。この焼成木炭は、上記の「低
温炭化木炭」の自己発熱反応、あるいは「高温炭化木
炭」の酸化反応による木材あるいは木炭独自の熱反応に
より調製された木炭とは異なり、外部からのエネルギー
供給を受けて調製された木炭である。このような焼成木
炭を得るには、木炭の酸化を防ぐ目的から無酸素状態下
で、抵抗加熱、高周波誘導加熱、熱板加熱(ホットプレ
ス)、静間静水圧焼結、放電焼結等の外部加熱による外
部エネルギーを供給して焼成すればよい。このような焼
成木炭は、木材由来の多孔質は若干圧潰されるものの細
孔分布は数nm〜10nmの径をもつ細孔が多く、約
3.2オングストロームの相間間隙をもつ結晶構造が進
む球状グラファイト様炭化物の集積や、楕円状、扁平
状、柱状のそれの団塊多数を含む硬質の木炭である。p
H値は塩基性を呈し、電気的に高導電性となる。
【0019】上記のような特定の温度域で木材を炭化し
て木炭を製造するには、例えば間伐材もしくは廃木材等
の未利用木材資源を炭化材料としてロータリキルンもし
くはバッチ式固定炉等の炭化炉に投入し、燃焼バーナ等
の燃焼排ガスを導入することにより炭化炉内を酸素制限
下で加熱する。加熱初期では一部自己燃焼等を含ませて
もよいが、加熱により内部の雰囲気温度を昇温させてい
き、まず水分を蒸発させる。その後、熱電対もしくは輻
射温度計等を用いた炭化炉内の雰囲気温度の検出手段か
らの検出温度に基づいて目標温度に到達するよう上記燃
焼排ガス等による加熱制御を行い、目標温度に到達した
らその温度を維持するように加熱制御を行いつつ所定時
間炭化させればよい。従って、上記の炭化温度域は1℃
単位での特定は困難であり、10℃単位程度での特定と
なる。
【0020】上記「接触」をさせるには、特定汚染物質
を含む固相、例えば汚染土壌等に対しては、水と特定汚
染物質吸着用の木炭とを混合し撹拌させるようにすれば
よく、特定汚染物質を含む液相もしくは気相、例えば各
種廃水が流入した河川等もしくは焼却炉の廃ガス・洗煙
廃水等に対しては、特定汚染物質吸着用の木炭を多数収
容させて木炭層を形成し、この木炭層に対し特定汚染物
質を含む液相もしくは気相を通過させるようにすればよ
い。また、上記の「接触」の後に、その固相、液相もし
くは気相と、特定汚染物質を吸着した上記木炭とを分離
し、上記特定汚染物質を木炭と共に分離回収する、ある
いは、その特定汚染物質を木炭と共に焼却するようにし
てもよい。
【0021】また、上記の汚染物質の除去方法を実施す
るための除去システムに係る第2の発明は、特定汚染物
質に対し選択吸着能力を示すことになる炭化温度により
炭化された上記特定汚染物質吸着用の木炭が保持された
吸着体を備え、上記吸着体を、上記汚染物質を含む固相
中、液相中もしくは気相中にその固相、液相もしくは気
相と接触し得る状態に配設することを特定事項とするも
のである。
【0022】ここで、上記の「吸着体」としては、接触
させる対象に応じて種々の構成のものを使用すればよ
い。特に、液相あるいは気相に対し好適に適用し得るも
のとして、次のような構成の吸着体を用いればよい。そ
して、液相もしくは気相の通過方向(流れ方向)に対し
2段階以上の複数段階での吸着が行われるように上記吸
着体を上記流れ方向に対し複数段に配設するようにすれ
ばよい。また、以下の吸着体は固相に対してもその固相
(例えば汚染土壌)に対し水を混合して水溶液状にした
ものと接触させるものとして用いてもよい。
【0023】第1の例としては、吸着体として吸着槽に
より構成し、吸着槽を液相もしくは気相中に配設すれば
よい。上記「吸着槽」としては、通水可能もしくは通気
可能な仕切壁部材と、この仕切壁部材により仕切られた
内部に対し粗密度に収容された多数の木炭とを備えたも
のとすればよい。この場合、特に液相中として河川の流
水中に配設する場合には、上記多数の木炭を、仕切壁部
材により仕切られた内部に対し、流水中で多数の木炭が
浮力により浮かんでかつ流水により個々の木炭が吸着槽
内で上下・左右に流動し得る程度の密度で収容させるの
が好ましい。これにより、木炭に対する汚泥等の堆積に
起因する目詰まりの発生が効果的に防止され、吸着機能
を確実に発揮させることが可能になる。
【0024】上記河川の流水中に配設する「吸着槽」と
してより具体的に例示すると、流入及び排水の地形によ
っても異なるが、仕切壁部材としてステンレス金網を用
い基本的には木炭層の深さ500〜2000mm、長さ
500〜2000mm、幅500〜2000mmのかご
を吸着槽ユニットとし、流入水量、地形等によって適正
に配設することが可能なものであることが望ましい。そ
して、木炭層厚さは500mm以上とし、槽の長さは基
本的には深さの2倍以上とするのが望ましい。これらの
ものは、流入水量150〜1500m/hr、通水速
度10〜30m/min程度の河川等の流路に適用し得
る。また、用いる「木炭」としては、粒径5mm以上の
粗い木炭とするか、あるいは、丸太をそのままの状態で
炭化させた木炭を用いればよい。
【0025】第2の例としては、吸着体として、粉末状
の木炭を繊維材料に複合させた複合繊維と、空間を囲む
張架枠部材とを備え、この張架枠部材に対し上記複合繊
維の単繊維、繊維束もしくは撚り紐が網状に張り渡され
て形成したものを用いればよい。「複合繊維」とするに
は、木炭の微粉末を繊維材料に複合させて繊維化(例え
ば曳糸)すればよい。繊維材料としては、例えばポリエ
ステル、ポリエチレンもしくはレーヨン等を用いればよ
い。木炭の微粉末の配合量としては5重量%以上でかつ
97重量%以下とすればよい。
【0026】第3の例としては、吸着体として、紙パル
プ材料もしくは繊維材料に対し粉末状の木炭が複合され
て通水可能もしくは通気可能なシート状もしくは布状に
形成したものを用いてもよい。シート状にする場合には
好ましくは面形状を保持し得る程度の硬さ(保形性もし
くは自立性)を有し、中でも接触面積増大の観点から波
形状に成形すればよい。このような自立性を有するシー
ト状の吸着体とすることにより、その吸着体を固相とし
ての汚染土壌に対し適宜間隔で下方に打ち込んだり、上
下方向に適宜間隔で挟み込んだりすれば、その汚染土壌
に含まれる重金属等の汚染物質の吸着が可能になる。ま
た、本吸着体は液相あるいは気相においても適用するこ
とができ、その場合、いずれも液相もしくは気相の流れ
方向に直角に配設することにより上記汚染物質の吸着が
可能になる。なお、シート状もしくは布状で形状を保持
し得ない程度の軟らかなものであれば、周囲に保持枠部
材を設けてその保持枠部材に対しシート状もしくは布状
のものを張設するようにすればよい。これらの場合も、
上記第2の例と同様に木炭を粉砕して微粉末にしたもの
を用い、これを紙パルプ材料もしくは繊維材料に混合す
るようにすればよい。木炭の微粉末の配合量も上記と同
様に5重量%以上でかつ97重量%以下とすればよい。
【0027】以上の吸着体を液相としての河川もしくは
廃水処理場等の汚染物質を含む水が一方向に流動する流
路に対し適用する場合には、その流路の流路幅方向の両
側を区画する側壁として、少なくとも表層部分が塩基性
を示すことになる炭化温度で炭化処理された丸太により
形成するようにすればよい。塩基性を示すことになる炭
化温度とは例えば700℃以上の炭化温度範囲であり、
この他に、300℃〜400℃の温度範囲で表層熱処理
(表層炭化処理)を施した丸太を用いてもよい。また、
「丸太」としては直径100mm以上のものが好まし
い。
【0028】また、吸着体を上記の如き流路に適用する
場合には、流入水に含まれる粗大固形物や浮遊物を除去
するために上流側にスクリーンを設置したり、沈降分離
もしくは浮上分離を図るための施設を設置するようにし
てもよい。加えて、汚染流水の酸化及び流水中の微生物
に酸素を供給するために径50mm以上800mm以下
の自然石あるいは砕石を入れた深さ50〜1500m
m、長さ1000mm程度で幅は任意の槽を少なくとも
1槽以上設置するようにしてもよい。
【0029】さらに、同様に吸着体を上記の如き流路に
適用する場合において、流入する水が一般廃棄物や産業
廃棄物の焼却炉からの洗煙排水、もしくは、工業廃水等
でそのpH値が中性あるいはアルカリ性の流入水である
場合には、吸着体への流入側(上流側)に700℃以下
の温度範囲で炭化された木炭を収容した槽を1槽あるい
は2槽以上設置し、かつ、上記吸着体の排水側(下流
側)に700℃以上で炭化された木炭を収容した槽を1
槽あるいは2槽以上設置するようにし、逆に、上記流入
する水が病院、研究施設、もしくは、工業廃水等でその
pH値が酸性域にある流入水である場合には、吸着体へ
の流入側(上流側)に700℃以上の温度範囲で炭化さ
れた木炭を収容した槽を1槽あるいは2槽以上設置し、
かつ、上記吸着体の排水側(下流側)に700℃以下の
温度範囲で炭化された木炭を上記と同様に敷設するよう
にしてもよい。これにより、吸着体への流入水及び吸着
体からの流出水をpH調整して中和させることが可能に
なる。
【0030】
【発明の作用及び効果】以上、説明したように、第1の
発明に係る汚染物質の除去方法によれば、特定汚染物質
吸着用の木炭がその特定汚染物質に対し選択吸着能力を
示すことになる炭化温度で炭化されたものであるため、
その木炭と、種々の汚染物質を含む固相、液相もしくは
気相とを接触させることにより、その汚染物質の内の特
定汚染物質が上記木炭に選択的に吸着されて固相、液相
もしくは気相中から除去することができるようになる。
この際、2種類以上の特定汚染物質を除去対象とする場
合には、その各特定汚染物質に対し選択吸着能力を示す
ことになる各炭化温度で炭化させた2種類以上の木炭を
準備し、これらを互いに混合して上記2種類以上の特定
汚染物質を含む固相、液相もしくは気相と接触させるこ
とにより、その2種類以上の特定汚染物質の吸着除去を
行うことができるようになる。
【0031】そして、特定汚染物質を吸着した木炭を固
相、液相もしくは気相と分離すれば、その特定汚染物質
を木炭と共に分離回収することができるようになる一
方、その分離した木炭を焼却処理することにより回収し
た特定汚染物質を無害化処理することもできるようにな
る。
【0032】第2の発明に係る汚染物質の除去システム
によれば、上記第1の発明に係る汚染物質の除去方法を
確実に実施することができることになる。この際、特定
汚染物質を含む特に液相もしくは気相と吸着体とを接触
させるには、その吸着体を吸着槽により構成することに
より簡易に除去システムを構成することができる。ま
た、上記吸着体として複合繊維を張架枠部材に対し網状
に張り渡したもの、もしくは、紙パルプ材料や合成繊維
材料に木炭を複合させてシート状もしくは布状に構成し
たものを用いることにより、汚染物質を含む液相もしく
は気相の各環境に対し特に好適に適用することができ、
簡易な設置作業及び汚染物質の吸着後の回収を容易に行
うことができるようになる。加えて、上記シート状のも
のを自立性を有するようにすることにより、固相として
の汚染土壌等に対してもその現場に直接設置することが
でき、除去システムの構築を簡易に行うことができるよ
うになる。
【0033】以上、第1もしくは第2の発明によれば、
固相、液相もしくは気相の各環境を汚染している極めて
毒性の強いZn、Cd、Hgの元素周期表12族(亜鉛
族)及びSn、Pbの元素周期表14族の重金属元素及
びそれらの化合物を特定汚染物質としてその除去に適用
することにより、特に好適な効果が得られることにな
る。このため、特に、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却炉
からの洗煙排水、蛍光灯や電池等の水銀処理施設からの
廃水、各種工業廃水、病院や研究施設からの廃液等の処
理において、それらに含まれる有毒重金属化合物を除去
して浄化する上で特に有効となる。
【0034】また、設置規模の調整により家庭廃水や小
規模工場廃水あるいは河川・湖沼等に対しても簡易かつ
効果的な汚染物質の除去を行うことができるようにな
る。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面等
に基づいて詳細に説明する。
【0036】固相、液相もしくは気相に対し適用する吸
着体として、複合繊維を用いた線状複合吸着材を用いる
場合と、上記複合繊維を用いるもしくは紙パルプ等との
複合による面状複合吸着材を用いる場合と、所定形状に
調製した木炭自体を用いる場合とがある。
【0037】上記線状吸着材を用いる場合には、図1に
示すように吸着体2として、例えば矩形等の無端状に周
囲を囲む張架枠部材21と、この張架枠部材2に対し網
状(図例のものは格子状)に掛け渡した多数の線状吸着
材22,22,…とにより構成すればよい。
【0038】上記線状吸着材22を得るには、まず、除
去対象である特定汚染物質に対し優れた選択吸着性能を
発揮することになる炭化温度で炭化させた木炭を径0.
2μm以上1000μmまでの形状に微粉砕化して木炭
微粉末とする。次いで、レーヨン等の天然物からなる人
造繊維材料、もしくは、ポリエステル等の合成化学高分
子化合物からなる合成繊維材料を用いて曵系により繊維
を抄造する際に、径0.2〜1000μmの上記木炭微
粉末を5〜97重量%混合し、この混合材料を用いて曵
系することにより複合繊維を得る。そして、この曳糸し
た複合繊維を、単繊維のままで、あるいは、その単繊維
を集合・集積させた繊維束,撚り糸,撚り紐もしくは編
み紐にして線状吸着材22を形成する。
【0039】このような線状吸着材22を張架枠部材2
1に対し網状に張架させる態様としては、上記の図1に
示す格子状に張架する他、図2に示すように張架枠部材
21に対し各線状吸着材22を斜めに交差するように張
架させてもよく、さらにその線状吸着材22を縦もしく
は横に適宜間隔で互いに平行に張架させてスリット状の
ものを形成するようにしてもよい。また、上記線状吸着
材22を用いる他の態様としては、例えば多数の通水孔
もしくは通気孔を有する面状部材(例えばメッシュ部
材)を上記張架枠部材21の表裏両側に張り付け、両面
状部材間の空間内に上記線状吸着材22をランダムにも
しくは層状に充填して吸着体を構成してもよい。
【0040】図1では、複数の吸着体2,2,…を河川
もしくは廃水処理場の流路1に対しその幅方向全長にわ
たり横切りかつその廃水の流れ方向(図1の矢印参照)
に対し適宜間隔で配設したものを示している。これによ
り、複数段階にわたる汚染物質の吸着が行われることに
なる。ここで、上記流路1がほぼ水平もしくは緩勾配の
場合には上記各吸着体2を流水に沿って直交配置(図1
参照)あるいは平行配置に設置すればよいが、上記流路
1が急勾配であったり段差を有していたりする場合には
上記各吸着体2を流水に沿って階段状に設置すればよ
い。これらの場合において、互いに異なる種類の特定汚
染物質毎に選択吸着性能を発揮することになる複数種類
の木炭を準備し、その各種類毎の吸着体2を形成してお
けば、その各種類毎の吸着体2を1又は2以上ずつ上記
廃水の流れ方向に配設することにより、複数種類の特定
汚染物質の吸着除去及び吸着回収を行うことができるよ
うになる。あるいは、他の態様として、比較的大きい一
つの保持枠内に複数の吸着体2,2,…を重ね合わせた
状態で固定するようにしてもよい。
【0041】また、上記面状吸着材を用いる場合には、
図3に示すように吸着体3として、例えば矩形等の無端
状に周囲を囲む保持枠部材31と、この保持枠部材31
に対し張り渡した状態に保持させた面状吸着材32とに
より構成すればよい。
【0042】上記面状吸着材32を得るには、まず、線
状吸着材22の場合と同様に除去対象である特定汚染物
質に対し優れた選択吸着性能を発揮することになる炭化
温度で炭化させた木炭を径0.2μm以上1000μm
までの形状に微粉砕化して木炭微粉末とする。次いで、
紙パルプ材料または上記線状吸着材22の場合と同様の
人造繊維材料もしくは合成繊維材料に対し上記の径0.
2μm〜1000μmの木炭微粉末を5〜97重量%混
抄し、漉き取り等の手段により厚紙状、シート状、フィ
ルム状もしくはフェルト状の面状吸着材32を形成す
る。あるいは、上記の複合繊維を用いて織物もしくは不
織布にして面状吸着材32としてもよい。
【0043】そして、このような面状吸着材32を保持
枠部材31に保持させる態様としては、1枚の面状吸着
材32毎に1つの保持枠部材31に保持させてもよい
が、複数枚の面状吸着材32を重ね合わせて層状となし
た状態で1つの保持枠部材31に対し保持させるように
してもよい。この場合には、上記の線状吸着材22を用
いる場合と同様に、互いに異なる種類の特定汚染物質毎
に選択吸着性能を発揮することになる木炭を準備し、そ
の各種類毎の面状吸着材32を形成してその各種類毎の
複数の面状吸着材32を1つの保持枠31に保持させる
ことにより、複数種類の特定汚染物質の吸着除去及び吸
着回収を一つの吸着体3により行うことができるように
なる。
【0044】また、このような吸着体3の場合には、面
状吸着材32の面形状を保持するために格子状もしくは
スリット状の補強桟部材を保持枠部材に連結するように
してもよいし、あるいは、上記面状吸着材32自体を波
形形状にして剛性を増大させるようにしてもよい。
【0045】そして、以上のような吸着体3を流路に配
設するには、図1に示す吸着体2と同様に流れ方向に対
し適宜間隔に配設したり、流れ方向に平行に配設した
り、あるいは、階段状に配設したりすればよい。
【0046】さらに、上記の吸着体2,3の配設の態様
としては、図4に平面図として示すように流路1の幅方
向に互い違いになるように配設したり、図5に側断面図
として示すように流路1の上下方向に互い違いになるよ
うに配設したりしてもよい。これにより、ある程度の流
量の流れを確保しつつ吸着体2,3による特定汚染物質
の吸着除去を図ることができる。
【0047】以上説明したのは、吸着体2,3を液相環
境に対し適用する場合についてであるが、上記吸着体
2,3を液相環境のみならず気相環境における特定汚染
物質の吸着・除去のために用いてもよい。この場合に
は、図10に示すように特定汚染物質を含む原ガスの流
路1aに対しその原ガスの流れ方向(同図の矢印参照)
に対し直交するように上記吸着体2,3を1段もしくは
適宜間隔を隔てて複数段(同図には5段に配設した例を
示す)に配設するようにすればよい。また、図4に示す
ように吸着体2,3を上記流路1aの幅方向もしくは上
下方向に互い違いに配設するようにしてもよい。
【0048】次に、木炭自体を用いる場合について説明
する。
【0049】図7〜図9は液相環境にある汚染物質の除
去システムの例として汚染物質に汚染された水から特定
汚染物質の除去を図る場合を示している。
【0050】図7に示す除去システムは、上記の汚染水
が流れる河川、用水路もしくは処理場における流路1を
仕切り壁1bにより流れ方向(同図の矢印参照)に対し
適宜間隔を隔てて1もしくは2以上に区画し、各区画の
内部に対し所定炭化温度で炭化した木炭CRを充填した
ものである。
【0051】上記仕切り壁1bは桟状、スリット状もし
くは多数の貫通孔が開けられて通水可能とされている。
また、木炭CRは、吸着除去対象である特定汚染物質に
応じてその特定汚染物質に対し選択吸着性を示す炭化温
度で炭化されたものであり、水の流れを受けて浮力によ
り各区画内で流動する程度の粗密度に充填されている。
上記木炭CRとしては、炭化材料として適当長さの丸太
を用い、その丸太をそのまま炭化させて丸太状の木炭と
したものを用いるのが好ましい。なお、図7には丸太状
の木炭CRを縦向きに配置した場合を示すが、これに限
らず、横向きに配置するようにしてもよい。また、同図
中Sは自然石もしくは岩石を木炭CRの最上流側位置に
ランダムに配設してものであり、これにより、汚染水中
への空気の取り込み及び浮遊ゴミ等の濾過するようにし
ている。
【0052】図8に示す除去システムは、上記と同様の
流路1に対し隔壁1cを流れ方向(同図の矢印参照)に
適宜間隔を隔てて上下から互い違いに突出させ、相隣接
する両隔壁1c,1c間に、容器Nに対し木炭CRを充
填してユニット化したもの配設したのもである。
【0053】上記各隔壁1cは通水を遮断するようにさ
れたものであり、上記の如く互い違いに配設することに
より、汚染水の流れを蛇行させて確実に上記各ユニット
内を通過させて木炭CRとの接触を図るようにしてい
る。なお、上記容器Nは、例えば金網、エキスパンドメ
タルもしくは樹脂ネット等の通水可能な材料により形成
された箱状容器であり、上記木炭CRは図7に示す場合
と同じもので同様の粗密度に充填されている。
【0054】図9に示す除去システムは、流路1が傾斜
路とされている場合に適用されるものである。この場合
には、図7と同様の通水可能な仕切り壁1bを流路1に
沿って階段状に順次配設し、上下流に相隣接する両仕切
り壁1b,1b間の各区画に対し図8に示す場合と同様
に容器Nを用いてユニット化された木炭CRを配設すれ
ばよい。そして、各区画の上流側の仕切り壁1bを通過
した汚染水及び仕切り壁1bを越流した汚染水がその区
画のユニット内に流入して木炭CRと接触し、順次、階
段状に下流側のユニット内への流入及び木炭CRとの接
触を繰り返すことになる。
【0055】以上の図7〜図9に示す除去システムでは
汚染水中の特定汚染物質が木炭CRに吸着されて除去さ
れることになる。木炭CRが充填された区画もしくはユ
ニットを流れ方向に対し複数段に配設する場合には、各
段毎に選択吸着する特定汚染物質として互いに異なる種
類のものに設定し、各段毎にその互いに異なる特定汚染
物質を選択吸着するための木炭CRを配設するようにし
てもよい。これにより、複数種類の特定汚染物質の吸着
・除去が一つの除去システムにより達成し得るようにな
る。なお、上記では気相環境に適用する場合について説
明したが、図7〜図9に示す除去システムを気相環境に
含まれる特定汚染物質の吸着・除去に対しても適用する
ことができることはいうまでもない。
【0056】図10は固相環境にある汚染物質の除去シ
ステムの例として汚染物質に汚染された汚染土壌もしく
はヘドロ等から特定汚染物質の除去を図る場合を示して
いる。
【0057】この場合の除去システムとしては、モータ
駆動される撹拌羽等により構成された撹拌装置41を有
する撹拌槽4と、この撹拌槽4により撹拌・混合された
混合物を沈殿分離させる沈殿槽5とを備えたものが挙げ
られる。上記撹拌槽4の底部には上記混合物を沈殿槽5
に導出するための導出管路42と開閉弁43とが設けら
れている。また、上記沈殿槽5には、底部から汚染物質
除去後の土壌もしくはヘドロの固形分63aを排出する
固形物排出管51と、上下方向の中間位置から水62を
排出する水排出管52と、上方位置から汚染物質を吸着
した木炭(吸着後木炭)61aを排出する木炭排出管5
3とがそれぞれ連結されている。そして、各排出管5
1,52,53を通しての排出はそれぞれに設けられた
開閉弁54,55,56の開閉操作により行われるよう
になっている。また、上記水排出管52の下流端は上記
撹拌槽4に対し環流させるように延びて水の循環使用を
行い得るようになっている。
【0058】このような除去システムを用いて特定汚染
物質の除去を行うには、上記撹拌槽4に対し木炭61及
び水62を投入した中に例えば重金属化合物や、ペンタ
クロルフェノール(PCP),クロルデン類,ダイオキ
シン類等の有機塩素化合物等を含む汚染土壌等63を投
入し、撹拌装置41を作動させて撹拌・混合させる。水
62を混合させるのは木炭61と汚染土壌等63との混
合を均一化させて互いの接触を均一化させるためであ
る。また、上記木炭61は汚染物質の内の特定汚染物
質、例えばHgに対し優れた選択吸着性能を発揮する炭
化温度(例えば800℃〜1400℃)で炭化させて粒
状、片状、棒状、塊状に調製したものである。もちろ
ん、上記木炭61としては、1種類の特定汚染物質のみ
ならず数種類の特定汚染物質に対しそれぞれ優れた選択
吸着性能を発揮する数種類の炭化温度で炭化させた数種
類の木炭を混合させたものとしてもよい。
【0059】そして、上記撹拌槽4にて撹拌・混合を所
定時間継続する、もしくは、所定時間の撹拌・混合の後
に所定時間静置させておくことにより、汚染土壌63に
含まれる汚染物質と木炭61とを接触させその汚染物質
の内の上記木炭61が選択吸着性能を発揮する特定汚染
物質を木炭61に吸着させる。
【0060】その後、開閉弁43を開いて導出管42を
通して汚染土壌、木炭及び水の混合物を沈殿槽5に導出
する。所定時間静置させることにより土壌等自体の固形
分63aが底部に沈殿し、その上側に水62が溜まり、
この水62の層の表層近くに特定汚染を吸着した吸着後
木炭61aが浮力により半ば浮いた状態で集まることに
なる。
【0061】そして、まず、開閉弁56を開いてある程
度の水と共に吸着後木炭61aを木炭排出管53から回
収し、次に、開閉弁55の開操作により水62を水排出
管52から排出させ、そして、開閉弁54を開いて底部
に溜まった汚染物質除去後の固形分63aを固形部排出
管51から排出させる。上記の排出した水62は撹拌槽
41に戻される。
【0062】図11は、液相環境に存在する汚染物質の
除去システムの例として各種工場廃水に含まれる特定汚
染物質を除去処理する場合を示している。
【0063】この場合の除去システムとしては、間に配
設された隔壁71により2槽に区画された処理槽7と、
各区画された槽に配設された吸着槽8,8とを備えたも
のが挙げられる。上記隔壁71の底部には連通孔72が
貫通して設けられており、この連通孔72を通して一方
の吸着槽8を通過した廃水91が他方の吸着槽8に流入
するようになっている。
【0064】上記吸着槽8は取扱の便宜のために例えば
ステンレス金網等の多数の通水孔を有する壁部材により
形成された収容容器に対し、上記の図10の場合と同様
な木炭(61)が多数収容されたものである。なお、上
記の収容容器なしに上記処理槽7の各区画に対し直接に
木炭を収容してもよい。また、上記の図10の場合と同
様に、木炭として数種類の特定汚染物質に対しそれぞれ
選択吸着性能を発揮する数種類の木炭を混合させたもの
を用いてもよいし、数種類の木炭を上下方向に積み重ね
て多段層にしてもよい。また、一方(図11の左側)の
吸着槽8には特定汚染物質としてのHgを選択吸着する
炭化温度で炭化された木炭を収容させる一方、他方の
(図11の右側)の吸着槽8には特定汚染物質としての
Cdを選択吸着する炭化温度で炭化された木炭を収容さ
せるというように、吸着槽8毎に異なる特定汚染物質を
選択吸着し得る木炭を収容させるようにしてもよい。さ
らに、上記各吸着槽8として、図1〜図3に示す吸着体
2,3を用いてもよい。
【0065】そして、上記一方(図11の左側)の吸着
槽8に対し例えばポンプ73等により廃水91を流入す
ると、この廃水91が上記吸着槽8を上から下に通過し
た後、上記連通孔72を通して他方(図11の右側)の
吸着槽8の底部に流入し、この吸着槽8を下から上に通
過した後の処理水91aとなって次工程に移行する。廃
水91が上記一対の吸着槽8を通過する間に木炭と接触
し、廃水91中の特定汚染物質が木炭に吸着され、処理
水91aはこれらの特定汚染物質が除去された後の状態
となる。
【0066】図12は、気相環境に存在する汚染物質の
除去システムの例として各種焼却場の排煙・排ガスに含
まれる特定汚染物質を除去処理する場合を示している。
【0067】この場合の除去システムとしては、吸着塔
10と、この吸着塔10内に充填された吸着槽11とを
備えたものが挙げられる。上記吸着塔10の底部には排
ガス12が例えばブロワ101により導入され、上記吸
着槽11を通過した後の処理ガス12aが頂部から排出
もしくは次工程に移行されるようになっている。
【0068】また、上記吸着槽11には、上記の図11
の吸着槽8の場合と同様の木炭61が充填されており、
この木炭61は数種類の特定汚染物質に対しそれぞれ選
択吸着性能を発揮する数種類の木炭を混合した混合層と
してもよいし、数種類の木炭を上下方向に積み重ねて多
段層にしてもよい。
【0069】そして、この除去システムにおいては、ブ
ロワ101の作動により排ガス12を吸着塔10の底部
に導き、この排ガス12が吸着槽11を下から上に通過
する際に木炭61と接触することにより上記排ガス12
中の特定汚染物質が木炭61に吸着され、特定汚染物質
が除去された後の処理ガス12aが頂部から導出される
ことになる。なお、上記木炭61の代わりに図1〜図3
に示す吸着体2,3を多層もしくは多段に設けるように
してもよい。
【0070】図13は、以上の汚染物質を含む固相、液
相もしくは気相(例えば上記の汚染土壌63、廃水91
もしくは排ガス12)から汚染物質を除去する処理フロ
ーを示すものである。
【0071】まず、木炭61と混合撹拌もしくは木炭6
1の層に通過させることにより汚染物質の選択吸着させ
る第1処理P1を行い、その後に、汚染物質を吸着した
木炭61を分離する第2処理P2を行う。これにより、
汚染物質が除去された後の土壌固形分63a、処理水9
1aもしくは処理ガス12aが木炭61と分離され、無
害化された状態で廃棄される。なお、固相の場合には分
離した水62を再び第1処理P1に循環させて再利用す
る。
【0072】次に、汚染物質を吸着した吸着後木炭61
aに対する処理を行う。その一つの処理として、吸着後
木炭61aに吸着させた汚染物質が有害ガスもしくは有
害物質である場合、つまり回収しても有効利用できない
場合には、その吸着後木炭61aを焼却する第3処理P
3を行い、木炭と共にその汚染物質を焼却して無害化さ
せる。
【0073】吸着後木炭61aに吸着された汚染物質が
有効利用し得るもの、例えば重金属等であれば、その分
離回収を行う。その方法は、適当な酸13を用いて酸洗
等を行うことにより汚染物質を木炭から脱着させる第4
処理P4を行い、その後に、汚染物質を含む酸液14
と、脱着後の木炭61′とを分離させる第5処理P5を
行う。分離した汚染物質を含む酸液14は貯蔵もしくは
酸液からの汚染物質を回収する第6処理P6を行う一
方、脱着後の木炭61′はpH調整のための第7処理P
7を行い上記第1処理P1での木炭として再利用する。
なお、上記脱着後の木炭61′は再利用せずに焼却を行
う第3処理P3にまわしてもよい。
【0074】
【実施例】−「液相」もしくは「固相」についての実施
例− <試験例1>本発明の除去方法及び除去システムの吸着
除去性能を検証するため、本除去方法及び除去システム
に供される前述の熱処理木材及び木炭を試料として用い
実験室において汚染物質の吸着量の測定を行った。以下
の試験例1〜試験例6の吸着試験は、高濃汚染が予想さ
れる小河川あるいは小規模工場廃水からの汚染物質の除
去、または、そのような廃水もしくは排ガスにより汚染
された土壌からの汚染物質の除去を想定したものであ
り、本試験例1では特定汚染物質として毒性が顕著なH
gClを選択し、HgClに対する木炭の吸着性能
に及ぼす加熱温度及び炭化温度の影響を検討したもので
ある。
【0075】試料としては、杉材を選択し、その絶乾試
料(105℃)及び200℃で加熱した熱処理木材、並
びに、400℃、600℃、800℃、1000℃、1
200℃、1400℃、1600℃、2000℃及び2
400℃の各炭化温度で炭化した木炭をそれぞれ粉砕
し、20メッシュで篩別したものを用いた。また、比較
例として市販の活性炭を同様に粉砕して20メッシュで
篩別したものを用いた。そして、これら試料及び比較例
の各1gを原水濃度1ppm、5ppm及び10ppmの3種類
のHgCl水溶液200ml中にそれぞれ混入・撹拌
し、吸着量及び吸着率を経時的に測定した。この結果を
表1に示す。
【0076】なお、表1の結果は6回の測定試験の平均
値を示し、重金属元素濃度の測定は原子吸光度分析計
(日立製作所Z−8000及び電子工業製SAS750
0)を用いた。また、単位吸着量は初期濃度と吸着後の
濾液濃度との差から求め、吸着率は初期濃度を100%
として、次式によって求めた。
【0077】吸着率=〔{(初期濃度)−(濾液濃
度)}/(初期濃度)〕×100〔%〕
【0078】
【表1】
【0079】表1によると、比較例の活性炭は1時間接
触後で63〜78%の吸着率を示し、時間経過に従い吸
着率は増加し、50時間経過後で90〜98%の吸着率
を示した。また、時間経過が同じであれば原水濃度が低
い程、大きい値の吸着率を示した。
【0080】これに対し、400℃〜1400℃で炭化
した木炭は1例を除き残りの全てにおいて経過時間の如
何を問わず100%の吸着率を示し、HgClに対す
る極めて高い吸着性能を示した。すなわち、1ppm,5p
pm,10ppmのいずれの原水濃度のHgCl水溶液と
接触させても1時間経過時点でその全てのHgCl
木炭が吸着し、HgClに対する優れた選択吸着性能
を示した。
【0081】また、105℃の絶乾試料及び200℃の
熱処理木材においても、1時間経過時点では上記活性炭
に劣るものの、10時間経過時点及びそれ以降において
は上記活性炭の吸着率とほぼ同等のそれを示した。つま
り、活性炭を用いなくても、絶乾もしくは200℃の加
熱処理という簡単な処理を行うだけで、HgClに対
し活性炭とほぼ同等の吸着性能を示すことになる。
【0082】なお、1600℃以上の高温で炭化させた
木炭は、それよりも低い炭化温度の場合とは逆に、Hg
Clに対する吸着性能は活性炭と比してもかなり劣る
結果を示した。
【0083】さらに、HgBr及びHgIについ
て、上記のHgClと同様の吸着試験を実施したとこ
ろ、表1とほぼ同様の結果が得られた。この結果から、
HgBr及びHgIに対する吸着材料としての性能
はHgClと同様の温度範囲の熱処理木材及び木炭が
適当であり、とくに400〜1400℃で炭化させた木
炭が特に有効である。
【0084】<試験例2>試験例1のハロゲン化水銀
(HgCl、HgBr、HgI)と類似の化学
的、物理的挙動を示す水銀ハロゲノイド(プソイドハロ
ゲン化水銀)であるシアン化水銀Hg(CN)、チオシ
アン酸水銀Hg(SCN)及びオキシシアン化水銀であ
る硫化水銀(HgSO)ならびに硝酸水銀Hg(NO
)について試験例1のHgClと同様の吸着試験
を行い、吸着・浄化性能を検討したところ、浸漬1時間
経過時及び50時間のそれの吸着性能は800℃〜14
00℃で炭化させた木炭が100%吸着し、高度の吸着
性能を示した。熱処理木材及び400℃及び600℃で
炭化させた木炭の1時間経過時の吸着性能は55〜60
%であったが、50時間経過時点のそれは100%に達
し高度の吸着性能を示した。
【0085】これに対し、比較例としての市販の活性炭
では、これらの化合物の水溶液の50時間の浸漬経過時
点においても70%以上のHgを吸着することは不可能
であった。
【0086】従って、このような活性炭をはるかに凌駕
する吸着性能を持つ熱処理木材及び400〜1400℃
で炭化させた木炭が水銀ハロゲノイド、Hg(SO)
及びHg(NO)を特定汚染物質とする選択吸着材料
として特に適し、中でも800〜1400℃で炭化させ
た木炭の使用が全ての水銀化合物に対し効率的である。
【0087】<試験例3>有機水銀化合物の例として、
酢酸水銀Hg(C)について、試験例1のH
gClに対する熱処理木材及び木炭による吸着試験と
同様のそれを実施した。すなわち、5ppmのHg(C
)の200ml水溶液に20メッシュで篩別し
た1gの上記杉熱処理木材及び木炭を混合したときの吸
着試験の結果を表2に示す。なお、表2は6回の測定試
験の平均値を示し、測定時の温度はいずれも20℃であ
った。
【0088】
【表2】
【0089】熱処理木材及び木炭に吸着されたHgの割
合は表2に示すように、比較例としての市販の活性炭で
は1時間経過時点で48%の吸着率を示し、以後、時間
経過と共に吸着率は増大するが50時間経過時点でも7
3%であった。
【0090】これに対し、800℃〜1400℃で炭化
した木炭は、上記の活性炭に比して優れた吸着性能を示
し、特に、1000℃及び1200℃で炭化した木炭は
いずれの時間経過時点でもほぼ100%の吸着率を示し
た。一方、熱処理木材、400℃〜600℃で炭化した
木炭、及び、1600℃〜2400℃で焼成した木炭に
おいては相当の吸着性能が認められものの、上記活性炭
の吸着性能には劣っている。
【0091】以上の傾向は、1ppm及び10ppmの各濃度
の水溶液においても同様であった。
【0092】従って、この試験例3の結果からは、Hg
(C)のような有機水銀化合物の吸着材料と
しては特に800℃〜1400℃で炭化した木炭が優れ
ていることが分かる。
【0093】<試験例4>産業廃棄物として大量に排出
され、イオンの型で液相環境に流入汚染しているZnの
吸着性能について、Zn(NO)を例として上記試験
例1のHgClと同様の試験を行った結果を表3に示
す。なお、この表3はZn(NO)の原水濃度は5pp
m、測定温度は20℃の場合を示し、6回の測定試験の
平均値を示すものである。
【0094】
【表3】
【0095】表3によれば、市販の活性炭では1時間経
過時点で94%とかなり高い吸着率を示し、時間経過と
共に微増して50時間経過時点で98%の吸着率を示し
た。
【0096】これに対し、800℃〜1200℃で炭化
した木炭ではほぼ全ての経過時点で100%の吸着率を
示し、上記活性炭のそれと比べ高い吸着性能を示した。
また、1400℃で炭化した木炭では上記活性炭の場合
と同等の吸着率を示した。一方、他の105℃や200
℃の熱処理木材及び400℃や600℃で炭化した木炭
も活性炭の吸着性能には若干劣るものの、48%〜98
%とかなり高い吸着性能を示した。これらに対し、16
00℃〜2400℃の高温で焼成した木炭は、13%〜
38%と活性炭に比してかなり低い吸着率であった。
【0097】従って、Znに対し、600℃〜1400
℃で炭化させた木炭は市販の活性炭と同等あるいはそれ
以上の吸着性能を示し、中でも800℃、1000℃及
び1200℃で炭化した木炭は上記活性炭の吸着性能を
上回るほぼ100%と高い選択吸着性能を有し、Znに
対する吸着材料として優れている。
【0098】<試験例5>Zn、Hgと同族のCd及び
毒性の高いPbについて、それぞれ5ppmのCdCl
及びPb(NO)の水溶液200mlを調製して、上
記の各試験例において最も吸着効率の高い杉材の100
0℃で炭化させた木炭を用い、20メッシュで篩別した
1gの木炭粉を上記水溶液に混合撹拌して、上記各試験
例と同様にしてその吸着性能を測定した。併せて、重金
属元素に近似の挙動を示す非金属元素のAsのそれを測
定するために、AsCl水溶液を用いて上記の同様の
吸着試験をも行った。さらに、比較のためにHgCl
水溶液についても併せて吸着試験を行った。以上の結果
を表4に示す。なお、表4の各値は6回の測定試験の平
均値を示し、測定温度はいずれも20℃である。
【0099】
【表4】
【0100】表4によれば、1000℃で炭化した木炭
によるCdClとPb(NO)との各水溶液からの
Cd及びPbの吸着はほぼ1時間経過時点で飽和し、吸
着速度も急で、しかもほぼ100%と高い吸着性能を発
揮した。この傾向は、各原水濃度が1ppm及び10ppmの
CdClとPb(NO)の各水溶液においても同様
であり、1000℃近傍の温度で炭化された木炭の使用
がCd及びPbの選択吸着除去に優れた結果をもたらす
ことを示している。
【0101】これに対し、1000℃で炭化した木炭に
よるAsCl水溶液からのAsの吸着は50時間の浸
漬で約20%に止まった。
【0102】<試験例6>HgCl、CdCl、P
b(NO)及びAsClを1:1:1:1の重量割
合で調製した1ppm、5ppm、及び10ppmの混合水溶液
にそれぞれ20メッシュ篩別の1000℃で炭化した木
炭1gを混入撹拌して、それらの吸着率を測定した。こ
の結果によると、いずれの濃度においてもHgCl
1時間の浸漬撹拌により、また、Pb(NO)は5時
間のそれによりそれぞれHg及びPbを吸着飽和(10
0%の吸着率に到達)する。これに対し、CdCl
らのCdの吸着は急ではなく、CdCl単独の水溶液
からの吸着に比較して、飽和に要する時間に遅れが認め
られるものの、混合溶液においても、Hg、Pb、Cd
に対して1000℃で炭化した木炭が高い選択吸着性能
を発揮する。
【0103】また、600℃〜1400℃で炭化した木
炭はいずれの炭化温度をとっても1000℃で炭化した
木炭と同様の吸着傾向を示し、Hg、Cd及びPbの化
合物の混合水溶液に対する吸着浄化材料としては600
〜1400℃炭化木炭の使用が特に好適である。
【0104】一方、1000℃で炭化した木炭による上
記混合溶液からのAsの吸着率は50時間経過時におい
て15%未満に止まった。
【0105】−「液相」についての実施例− <試験例7>流水状態での吸着性能について室内での通
水模似試験を行った。
【0106】その方法は、直径25mm、長さ1000
mmの塩化ビニル管をカラムとした通水管の中間位置に
杉材を用いた熱処理木材及び試験例1と同様の各炭化温
度で炭化した木炭の20メッシュで篩別したものをそれ
ぞれ10gを充填し、1ppm、5ppm及び10ppmのZn
Cl、CdCl、HgCl、Pb(NO)の各
単独水溶液及び1:1:1:1の混合水溶液をそれぞれ
ポンプにより送液通過させた。そして、所定量通過時に
濾液を採取し、その濃度を測定した。通水速度は2〜1
0ml/minとした。
【0107】この通水試験による重金属化合物に対する
吸着性能の結果は、上記の試験例1〜6等の混入撹拌の
バッチ方式の場合とほぼ同様の傾向を示した。そして、
600℃〜1400℃で炭化した木炭で通水1時間経過
及び50時間経過の各時点で濾液からの重金属の検出は
なく、すなわち、上記木炭により100%の重金属が吸
着されており、通水試験においても木炭による重金属化
合物に対する高い選択吸着性能が認められた。
【0108】なお、本試験におけるカラム方式の吸着速
度をPb(NO)からのPbの吸着を例としてみる
と、混合撹拌のバッチ方式における飽和吸着に比べ、カ
ラム方式のそれの方が速い吸着速度を示した。この傾向
は、ZnCl、CdCl、HgCl等の重金属化
合物水溶液においても同様であった。このことは、バッ
チ方式の吸着速度が拡散に律速であるのに対し、カラム
方式では拡散の影響が除かれ急速吸着が促進されている
と考えられ、本発明の除去システムにおいて、汚染物質
を含有する液相もしくは気相を木炭あるいは木炭を用い
た吸着体等に対し通過させて接触させるという吸着除去
方式を採用する根拠となっている。
【0109】<試験例8>本発明に係る除去方法及び除
去システムの吸着除去性能を検証するために、以下の現
場通水試験を行った。すなわち、0.05ppm〜0.3p
pmのHgを含む汚染流水に対して、深さ500mm、幅
1000mm、長さ1000mmのステンレス籠からな
る3つの吸着槽を流水の流れ方向に対し順に設置し、前
側の2つの吸着槽にそれぞれ600℃で炭化した直径5
0〜250mmの杉木炭約30kgを、後側の1つの吸
着槽に同様の形状の800℃で炭化した杉木炭30kg
をそれぞれ投入静置した。そして、流水速度50〜10
0l/minで上記汚染流水を通水し、通水開始後1
日、7日、15日及び30日の各経過時点で上記3体の
吸着槽の通過後の水をそれぞれ3回/日採水し、そのH
g濃度を測定した。
【0110】以上の経時測定の結果、本システム通過水
中にHgの検出はなく、本システムの現場試験において
も高いHg吸着除去性能のあることを実証できた。他の
重金属元素及びその化合物についても、前述の試験例1
〜7の諸例の試験結果から、優れた吸着除去性能のある
ことを推認することができる。
【0111】−「気相」についての実施例− 住環境の気密性の向上、工法の利便性及び使用材料の多
様化等によって、住宅部材,接着剤,塗料等あるいは室
内排気型暖房器具等から放出されるアルデヒド類,ケト
ン類,その他揮発性有機化合物(Volatile Organic Com
pounds;VOC)等の揮発性有害有機化合物による居住
環境の汚染が増加する傾向にある。これらの内でもアレ
ルギー、シックハウス症候群、化学物質過敏症等の重要
発症原因の一つとされているホルムアルデヒドは製造物
責任法(PL法)との係りもあって、合板及びパーティ
クルボード等の木質材料や塗料からの放出規制がJIS
(JIS A5905)やJAS(JAS 1218)
によってなされている。合板やパーティクルボード等の
木質材料では3段階規制、すなわち、F1(0.5mg
/l)、F2(5mg/l)及びF3(10mg/l)
の放散ホルムアルデヒド量により材料の等級化が行われ
ている。アセトアルデヒドのようなアルデヒド類、ある
いは、メチルエチルケトンのようなケトン類も同様の化
学的性質や有害性を示すが、このような物質の吸着や消
去が所定温度で炭化した木炭によって可能であるか否か
を検討するために、これらの物質中、有害性の最も高い
と指摘されているホルムアルデヒドを選択し、このホル
ムアルデヒドを特定汚染物質とする気相浄化通気試験と
して以下の試験例9〜試験例12に示す各試験を行っ
た。これにより、ホルムアルデヒドの吸着の度合に及ぼ
す熱処理温度あるいは炭化温度の影響を調べた。
【0112】また、気相環境における特定汚染物質の吸
着・除去例として、上記試験例9〜試験例12の他に、
試験例13においてアセトアルデヒド、試験例14にお
いてトリエチルアミン、試験例15においてアンモニ
ア、試験例16においてジクロルメタン,トリクロロエ
タン及びトリクロロエチレン、試験例17においてダイ
オキシンをそれぞれ特定汚染物質とする試験例を示し
た。
【0113】<試験例9>供試試料としては、杉材を選
択し、その杉材の芯材を用いて20メッシュ篩を通過す
るように粉砕した木粉と、この木粉に対し所定温度で熱
処理した熱処理木粉と、上記木粉に対し所定温度で炭化
させた木炭粉とを用いた。また、比較試料として、市販
の活性炭を上記と同様に20メッシュ篩を通過するよう
に粉砕したものを用いた。上記の木粉の温度は20℃
(未処理)、上記の熱処理温度は200℃、上記の炭化
温度は400、600、800、1000、1200及
び1400℃の6種類とした。
【0114】そして、ガラス管超真空系内におけるガラ
ス反応管部分(内径3mm×長さ50mm)に上記の供
試試料もしくは比較試料を0.5g充填し、所定の原ガ
ス濃度のホルムアルデヒドを所定流速で所定時間継続し
て通過させ、所定時間経過毎にホルムアルデヒド量の変
化を測定した。
【0115】上記原ガスとしてのホルムアルデヒドは、
超高純度空気(窒素79%、酸素21%)に対し特級試
薬のホルマリンを用いて300ppm及び700ppm
の2種類の原ガス濃度となるように混入・調製した。上
記流速としては100ml/minとした。また、測定
タイミングである経過時間としては5、15、30、4
5及び60分間とした。さらに、上記供試試料への通過
前及び後のホルムアルデヒド濃度はガスクロマトグラフ
(株式会社島津製作所製GC−320;以下「GC」と
略称する)を用いて追跡定量した。
【0116】表5に供試試料としての杉芯材木粉、加熱
温度200℃の熱処理杉芯材木粉、及び、炭化温度40
0〜1400℃の各杉芯材木炭粉と、比較試料としての
活性炭粉による原ガス濃度300ppmのホルムアルデ
ヒドに対する各時間経過における吸着率を示す。なお、
この「吸着率」とは試料通過後におけるホルムアルデヒ
ドの消去率のことである。
【0117】
【表5】
【0118】表5によると未処理杉芯材木粉及び200
℃の熱処理杉芯材木粉に若干のホルムアルデヒドの吸着
(消去)が認められるものの、活性炭のそれよりも劣っ
ている。また、400℃で炭化した杉芯材木炭粉では5
分経過後のホルムアルデヒドの吸着率(消去率)は89
%と活性炭のそれよりは高くホルムアルデヒドの選択吸
着機能としては十分であるが、15分経過後の吸着率は
活性炭のそれよりも劣るものであった。これに対し、6
00,800,1000,1200及び1400℃でそ
れぞれ炭化した杉芯材木炭粉の吸着率は活性炭のそれと
比べても極めて高く、特に600,800及び1000
℃の各温度で炭化したものは100%の吸着率を示し、
通過させる原ガスに含まれるホルムアルデヒドを100
%吸着除去するという優れた性能を有している。従っ
て、400〜1400℃の温度で炭化させた木炭がホル
ムアルデヒドに対する選択吸着性能を有し、中でも60
0〜1000℃の温度で炭化させた木炭は特に優れた選
択吸着性能を有しているといえる。なお、本実験の範囲
ではいずれの試料も30分間を経過すると吸着が飽和
し、以後吸着性能に逓減の傾向が認められた。
【0119】杉辺材についても同様の試験を行ったが、
いずれも杉芯材の吸着率と比較して3〜5%の吸着性能
の低下が認められるものの、杉芯材を用いた木炭と同様
に極めて優れた性能を示した。
【0120】表6には、原ガス濃度700ppmのホル
ムアルデヒドに対する各時間経過における吸着率を表5
と同様にして示す。
【0121】
【表6】
【0122】表6によれば、ホルムアルデヒド濃度70
0ppmの場合においても300ppmと同様の傾向を
示すものの、300ppmにおける吸着性能(表5参
照)と比較して700ppmにおけるそれは若干低いも
のとなっている。これは原ガスのホルムアルデヒド濃度
が700ppmと極めて高いことに起因しているものと
考えられる。また、この濃度700ppmの場合におい
ても、その高濃度と、原ガスの流速が100ml/mi
nと比較的速いこととにより、吸着初期の時間帯では相
当量の吸着があるものの、時間の経過とともにホルムア
ルデヒドの吸着はほぼ30分間で飽和に達し、30分間
を経過するとホルムアルデヒドのみかけの吸着は逓減の
傾向を示す。これは、30分経過後、未吸着の状態を惹
起しているか、あるいは、吸・脱着を繰返しているもの
と考えられる。
【0123】表5及び表6によれば、特定汚染物質とし
てのホルムアルデヒドに対する選択吸着性能は炭化温度
400〜1400℃で炭化した木炭が極めて優れてお
り、これらの吸着性能は市販活性炭のそれと同等以上で
あるが、中でも600〜1000℃で炭化した木炭が特
に選択吸着性能に優れ、とりわけ600℃で炭化した木
炭が選択吸着性能において最も優れている。よって、ホ
ルムアルデヒドを特定汚染物質とする場合に、これに選
択吸着性能を示す木炭の炭化温度としては400〜14
00℃の範囲、中でも600〜1000℃の範囲が好ま
しいといえる。
【0124】なお、表5において300ppmのホルム
アルデヒドを100%吸着あるいは消去させ得る炭化温
度600℃の杉芯材木炭を用い、これにその試験と同様
の300ppmホルムアルデヒド含有の超高純度空気を
15分間通過させて得られた生成物あるいは変換物質を
ガスクロマトグラフ・質量分析計(株式会社島津製作所
製GCMS−QP5000;以下「GCMS」と略称す
る)により同定した。
【0125】そのGCMSの分析結果によると、木炭通
過の空気成分にはホルムアルデヒドは全く検出されず、
キャリアーガス成分及び空気の成分以外の主たる成分は
水,メタノール,二酸化炭素であった。この分析結果は
ホルムアルデヒドの大部分が木炭に吸着するか、あるい
は、上記水,メタノール,二酸化炭素に分解しているこ
とを示している。従って、木炭はホルムアルデヒドの吸
着に加えて、ホルムアルデヒドに対する還元などの化学
作用あるいは触媒作用によりホルムアルデヒドの消滅、
無害化に寄与することを示唆している。
【0126】木炭の特性から判断して、ホルムアルデヒ
ドのようなアルデヒド類あるいはケトン類の吸着あるい
は消去・無害化は本発明の実施例に示した杉に限定され
ず、あらゆる樹種、竹、故紙等の天然木質資源の炭化物
に認められることが想定されるため、これらの炭化物
(木炭)はいずれも本発明に含まれる。
【0127】<試験例10>本試験例は、試験例9にお
けるホルムアルデヒドの具体的な発生源を対象にして木
炭の吸着浄化試験を行ったものである。
【0128】すなわち、住宅部材もしくは家具調度用材
として用いられている合板やパーティクルボード等の木
質材料に用いられる代表的な接着剤として、メラミン・
ホルムアルデヒド樹脂(以下「MF」と略称する)、尿
素・メラミン・ホルムアルデヒド樹脂(以下「UMF」
と略称する)、あるいは、フェノール・ホルムアルデヒ
ド樹脂(以下「PF」と略称する)等のホルマリン樹脂
接着剤がある。
【0129】そこで、上記のMF、UMF及びPFを用
いて合板を作成し、この合板から放散されるホルムアル
デヒドを対象にして本発明の木炭による吸着、消去が可
能かどうかをの実証を行った。
【0130】具体的には、供試合板として、杉ロータリ
ー単板を用いて市販品と同様の塗布量、すなわち、上記
のMF、UMFでは300g/m、上記のPFでは2
00g/mの塗布量に設定して常法により杉合板を調
製した。また、供試木炭として、炭化温度600℃の杉
芯材木炭粉(20メッシュ篩通過の木炭粉)の1種類を
用いた。
【0131】試験方法は、まず、供試合板として所定形
状の杉合板(幅25mm×長さ25mm×厚さ2.8m
m、3プライ、比重0.40)を内容積が5lの恒温容
器内に静置し、内部温度を20、30及び80℃の3種
類に設定した。なお、80℃の加温を設定したのは、上
記の合板を床暖房に供した場合を想定したものである。
そして、上記加温状態を維持して1,3,7,15,2
0及び30日間の各期間経過時点で、内部の供試合板を
容積が1lの容器圧力緩衝機能付の密閉ガラス容器に移
し、それぞれ所定温度で6時間保持した後に上記密閉ガ
ラス容器内のホルムアルデヒド濃度を測定することによ
り、供試合板から放散されるホルムアルデヒド濃度の経
時変化を測定した。ホルムアルデヒド濃度の測定は上記
密閉ガラス容器内の雰囲気気体を採取して前述のGCを
用いて試験例9と同様方法により行った。また、上記の
各期間経過毎のホルムアルデヒド濃度の測定はそれぞれ
供試合板の個数を10〜15個とし、各供試合板毎のホ
ルムアルデヒド量の測定値を平均した値を後掲の表7に
おいてホルムアルデヒド放散量として示す。
【0132】次に、上記のホルムアルデヒド濃度の測定
の後、所定温度に保たれた上記密閉ガラス容器内に供試
木炭を0.1g導入し、この状態で1時間保持した後
に、再度、上記と同様の方法により密閉ガラス容器内の
雰囲気気体に残存するホルムアルデヒド濃度を測定し
た。この測定結果も上記と同様に平均値とし、表7にお
いてホルムアルデヒド残存量としてカッコ内に示す。
【0133】
【表7】
【0134】以上の試験の結果は、カッコ内に示された
ホルムアルデヒド残存量が少ない程、あるいは、ホルム
アルデヒド放散量とホルムアルデヒド残存量との開きが
大きい程、木炭によるホルムアルデヒドの吸着あるいは
消去の能力が高いことを表すことになる。
【0135】表7によれば、ホルマリン樹脂を接着剤と
する合板からのホルムアルデヒド放散量はMF>UMF
>PFの順に低下し、また、上記ホルムアルデヒド放散
量は設置温度が高い程増加している。しかし、ホルムア
ルデヒド放散量の如何に拘わらず、全てのケースにおい
てホルムアルデヒド残存量がゼロとなっており、ホルム
アルデヒドがその濃度の如何に拘わらず0.1gとごく
微量の木炭によって完全に吸着あるいは分解により消去
されている。従って、特に住環境の気相に存在するホル
ムアルデヒドに対し600℃で炭化された木炭がそのホ
ルムアルデヒドを特定汚染物質として優れた選択吸着性
能を発揮し、ホルムアルデヒドにより汚染された気相環
境に対する優れた浄化機能のあることが実証される。
【0136】なお、本試験例では炭化温度が600℃の
1種類の木炭についてのみ行ったが、試験例9で示した
如く400〜1400℃炭化木炭にも同様の機能を有す
ることは十分に推認し得る。
【0137】<試験例11>図3に示す面状吸着材32
による気相浄化の実施例として、以下の試験を行った。
【0138】すなわち、気・液両相に対して顕著な浄化
機能を示した炭化温度600℃の杉木炭を用い、これを
20メッシュ篩通過の粉末木炭とした。次いでこの粉末
木炭とポリエステル繊維とを木炭添加率10,20及び
30%の3種類にて複合させて木炭・ポリエステル複合
繊維とし、そして、この木炭・ポリエステル複合繊維を
用いて木炭・ポリエステル複合織物に調製した。
【0139】次に、上記の複合繊維と複合織物とのそれ
ぞれ0.5gを試験例9と同様のガラス管に充填し、こ
れらに対し試験例9と同様に調製した300〜550p
pmのホルムアルデヒドを含む超高純度空気を流速10
0ml/minで通過させ、通過前後におけるホルムア
ルデヒド濃度の変化を測定することにより浄化機能を検
討した。
【0140】この結果、ホルムアルデヒドの吸着率(消
去率)は、気流通過3〜5分の初期時点において、木炭
添加率10,20及び30%のものでそれぞれ50,8
0及び80%であり、15分経過時においてそれぞれ4
2,72及び78%であって、木炭・ポリエステル複合
繊維がホルムアルデヒドに対して優れた選択吸着機能を
有することが検証された。また、木炭・ポリエステル複
合繊維はfiberとしての、また、木炭・ポリエステル複
合織物はfabricとしての形態と特性を保持していること
から、寸法、形状の制限から脱した形態や特性を維持す
ることが認められた。
【0141】<試験例12>試験例11と同様に図3に
示す面状吸着材32による気相浄化の実施例として、以
下の試験を行った。
【0142】すなわち、試験例11と同じ杉木炭粉末
と、繊維板用に解織された針葉樹・広葉樹混合木質繊維
とを湿式法により抄造し、厚さ0.1mmのシート状フ
ィルタ、つまり、木炭・木質繊維複合シート(面状吸着
材)を調製した。そして、このシート状フィルタを用い
て試験例11と同様の試験を行った。
【0143】その結果、上記木炭・木質繊維複合シート
のホルムアルデヒドの吸着(消去)能力は試験例11の
木炭・ポリエステル複合繊維のそれよりも11〜15%
の優れた数値が得られ、上記木炭・木繊維複合シートの
ホルムアルデヒド吸着あるいは消去能力が木炭・ポリエ
ステル複合繊維あるいはその織物のそれより若干優れて
いることが確認された。このような木炭・木質繊維複合
シートの優位性は木材繊維の吸着性能に基づくものであ
ると考えられる。
【0144】<試験例13>悪臭指定物質に指定されて
いるアセトアルデヒドの臭気を感知できる閾値は0.2
1ppmである。本試験例では特定汚染物質としてアセ
トアルデヒドを対象として、これに対する選択吸着性を
示す木炭によるアセトアルデヒド臭消去を検証した。
【0145】供試試料としては、600及び800℃の
2種類の炭化温度で炭化させた試験例9と同様の杉芯材
木炭粉を用い、この木炭粉0.1gを試験例9と同様の
ガラス管に充填し、この充填層に対しアセトアルデヒド
10ppmを含む超高純度空気を通過させた。そして、
5,15,30及び60分経過時点における通過前後で
のアセトアルデヒド濃度の変化を測定した。
【0146】この結果、5,15,30及び60分経過
時点における通過後のアセトアルデヒド濃度は、600
℃で炭化した木炭粉の場合ではそれぞれ0,0,0.0
1及び0.03ppmであり、800℃で炭化した木炭
粉の場合ではそれぞれ0,0,0.01及び0.06p
pmであった。従って、上記の炭化温度で炭化した木炭
がアセトアルデヒドに対しても優れた選択吸着性能を示
し、この木炭によってアセトアルデヒドの悪臭消去が可
能であるといえる。
【0147】<試験例14>悪臭指定物質のトリエチル
アミンの臭い感知閾値は0.4ppmである。
【0148】本試験例では特定汚染物質として上記のト
リエチルアミンを対象として、これに対する選択吸着性
を示す木炭によるトリエチルアミン臭消去を検証した。
【0149】供試試料としては、400,600,80
0,1000及び1200℃の5種類の炭化温度で炭化
させた試験例9と同様の20メッシュ篩通過の杉木炭粉
を用意した。また、比較試料として市販の活性炭を上記
と同様に20メッシュ篩通過の粉末にしたものを用意し
た。この各杉木炭粉もしくは活性炭粉を0.1gずつ試
験例10と同様のガラス密閉容器(内容積1l)内に導
入し、ここに供試気体としてトリエチルアミン30pp
mを含む超高純度空気を充填した。そして、所定の時間
経過毎に上記ガラス密閉容器内のトリエチルアミンの濃
度変化をガス検知管により定量測定した。経時測定は、
1,3,6,12,24,48,96及び120時間の
各時間経過時点とした。なお、試験時の温度は20℃で
あった。この測定結果を表8に示す。
【0150】
【表8】
【0151】表8によると、活性炭では1,3,6,1
2,24時間と時間の経過に従い徐々にトリエチルアミ
ン濃度が低減して48時間経過時点でトリエチルアミン
濃度はほぼ痕跡(T)を示す程度となった。これに対
し、400〜1200℃の各炭化温度で炭化された杉木
炭では炭化温度によって吸着速度の傾斜が認められるも
のの、いずれも活性炭よりもトリエチルアミン濃度の低
減度合が大きく活性炭よりも高いトリエチルアミン消去
能力を示した。400℃で炭化した杉木炭は24時間経
過時点で30ppmのトリエチルアミンが100%消去
され、活性炭に比して1/2の時間でトリエチルアミン
を完全に消去し得た。中でも600,800,100及
び1200℃の各炭化温度で炭化した杉木炭は6時間経
過時点でほぼ100%トリエチルアミンを消去すること
が可能であり、市販活性炭の消去能力をはるかに凌ぐ優
れた消去能力を示した。
【0152】従って、トリエチルアミンを特定汚染物質
とする場合には、この特定汚染物質に対する選択吸着性
能を示す木炭の炭化温度は400〜1200℃であり、
中でも600〜1200℃の炭化温度範囲で炭化した木
炭が選択吸着性能に極めて優れているといえる。この場
合、600〜1200℃の温度範囲の内、低温側の温度
範囲の木炭が高温側のそれよりも高い選択吸着性能を示
す傾向にあった。
【0153】<試験例15>トリエチルアミンと同様の
塩基性悪臭指定物質にアンモニアがあり、このアンモニ
アの臭い感知閾値は53ppmである。そこで、このア
ンモニアを特定汚染物質とした場合における木炭の炭化
温度が選択吸着性能に及ぼす影響を検証すべく、本試験
を行った。
【0154】試験は、供試試料の杉木炭粉として600
℃及び800℃の2種類の炭化温度で炭化させたものを
用いた点、及び、供試気体としてアンモニア160pp
mを含む超高純度空気を充填した点を除き試験例14と
同様に実施し、1,3,6,12,24,48,96及
び120時間の各時間経過時点毎にガラス密閉容器内の
アンモニアの濃度変化をガス検知管により定量測定し
た。この測定結果を表9に示す。
【0155】
【表9】
【0156】表9によると、活性炭では1,3,6,1
2時間と時間の経過に従い徐々にアンモニア濃度が低減
して24時間経過時点でアンモニア濃度はほぼ痕跡
(T)を示す程度となった。これに対し、600℃及び
800℃の各炭化温度で炭化された杉木炭では時間経過
に従いアンモニア濃度が急激に低減し6時間経過時点で
ほぼ痕跡(T)を残す程度となり、活性炭のアンモニア
消去能力をはるかに凌ぐ優れた消去能力を示した。
【0157】従って、アンモニアを特定汚染物質とする
場合においても、600〜800℃の炭化温度範囲で炭
化した木炭がアンモニアに対する選択吸着性能に極めて
優れ、上記試験例14の結果からみてアンモニアに対す
る選択吸着性能においてもトリエチルアミンに対する選
択吸着性能と同様に400〜1200℃の炭化温度範囲
において活性炭よりも優れた選択吸着性能を有すると考
えられる。
【0158】<試験例16>洗浄剤、発泡剤、冷媒、噴
射剤もしくは抽出剤等として重用されてきた殊殊フロ
ン、トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物が生物環
境において濃縮現象や発癌性を引き起こすことを指摘さ
れるに及んで、有機塩素化合物の使用が強い規制下にお
かれるようになった。
【0159】そこで、特定汚染物質としてジクロロメタ
ン、トリクロロエタン及びトリクロロエチレンの3種類
の有機塩素化合物を対象にした場合における木炭の炭化
温度が選択吸着性能に及ぼす影響を検証すべく、本試験
を行った。
【0160】まず、供試試料として試験例9と同様に杉
芯材を用いて20メッシュ篩を通過するように粉砕した
木粉(後掲の表10では「20℃(未処理)」と表示)
と、この木粉を200℃で熱処理した熱処理木粉と、上
記木粉に対し400、600、800、1000、12
00及び1400℃の6種類の炭化温度で炭化させた木
炭粉とを用意した。併せて、比較試料として、市販の活
性炭を上記と同様に20メッシュ篩を通過するように粉
砕したものを用意した。
【0161】そして、上記の各供試試料もしくは比較試
料の0.5gを試験例9と同様のガラス管部分に充填
し、この充填層に対しそれぞれ100ppmのジクロロ
メタン、トリクロロエタンもしくはトリクロロエチレン
の内の一つを含む超高純度空気を30℃の加温下におい
て所定流速で所定時間継続して通過させ、所定時間経過
毎に上記ジクロロメタン、トリクロロエタンもしくはト
リクロロエチレンの各濃度をガス検知管により測定し
た。なお、上記流速は試験例9と同様であり、上記測定
タイミングとしての経過時間は5、15、30及び60
分とした。
【0162】この測定結果としてジクロロメタンについ
てその吸着率(消去率)に及ぼす加熱及び炭化温度の影
響を表10に示す。
【0163】
【表10】
【0164】表10によると、木炭によるジクロロメタ
ンに対する選択吸着性能は、炭化温度400〜1400
℃の温度範囲で炭化された木炭が吸着率80%以上と良
好であり、600〜1400℃の温度範囲で炭化された
木炭がより優れ、600〜1200℃の温度範囲で炭化
された木炭がより一層優れ、600〜1000℃の温度
範囲で炭化された木炭がほぼ100%に近い最も優れた
性能を示す。
【0165】一方、トリクロロエタン及びトリクロロエ
チレンについての測定結果は、15分間経過時の木炭に
よる吸着率が400〜600℃で炭化した木炭で80〜
100%であり、また、800〜1200℃で炭化した
木炭で100〜95%に達した。
【0166】これらの結果から、木炭には揮発性有機塩
素化合物により汚染された気体に対する浄化能力があ
り、揮発性の有機塩素化合物を特定汚染物質とする場合
にこれに高い選択吸着性能を示す炭化温度は400〜1
400℃の温度範囲、中でも好ましいのは600〜14
00℃の温度範囲であることが実証された。
【0167】<試験例17>ごみ焼却炉からのダイオキ
シン類排出削減に向けて焼却炉の構造基準及び維持管理
基準が強化され、1997年12月1日より施行されて
いる。その維持管理基準に規定された排ガス中のダイオ
キシン濃度の規制値は、新設炉の場合には燃焼室の処理
能力が4t/h以上で0.1ngTEQ/m、2〜4
t/hで1ngTEQ/m、2t/h未満で5ngT
EQ/mと定められている。なお、「TEQ」とはTo
xic Equivalentsの略記、「ng」とは10−9gの略
記である。
【0168】上記の基準を踏まえて、中小企業事業団ア
ドバイザー業務により新たに設計した800℃以上、2
秒間以上維持可能なダイオキシン焼却燃焼装置を付した
多目的燃焼・炭化炉が開発され旭川市に設置された。そ
こで、この多目的燃焼・炭化炉をにおいても廃プラスチ
ックや都市ごみ等を焼却した際に排出される極めて微量
のダイオキシン類を特定汚染物質として、これを吸着・
消去するための媒体として本発明になる所定温度で炭化
させた木炭を活用し得るか否かの可能性の有無を以下の
試験により検証した。
【0169】試験は、まず、炉内容積10及び20m
の2種類の多目的燃焼・炭化炉に対し、それぞれ廃プラ
スチック、農業用廃プラスチック、廃タイヤ、都市ごみ
を1:1:1:1の容量比で充填して、焼却した。この
際の焼却対象物の全重量は10m炉で0.7tであ
り、20m炉のそれは1.6tであった。そして、上
記の炉内容積10m炉及び20m炉において発生す
る燃焼排煙中に含まれるダイオキシン濃度を測定したと
ころ、表11に示すようにそれぞれ0.50及び0.1
7ngTEQ/mであった。
【0170】
【表11】
【0171】上記の排煙中のダイオキシンは煙道から採
取したものであり、この煙道の中に存在するダイオキシ
ンはガス状のものと、燃焼残渣・液滴や飛灰に付着した
微粒子状のものとがある。そこで、これらのダイオキシ
ンの検出は以下の如く行った。すなわち、煙道温度が5
00℃〜850℃であるため、冷却プルーブに冷水を通
して冷却したガスを濾紙が充填されたガラス管に通過さ
せた後、排ガス採取装置に吸引導入し、所定の方法によ
りclean-upを行い(例えば田中勝ほか,ごみ処理に係る
ダイオキシン類の発生防止技術−第二講,201〜21
6頁「50.分析技術について」,株式会社エヌ・ティ
・エス,1997年,参照)、前述のGCMS等により
分析した。また、上記濾紙に付着したダイオキシンは、
酸処理の後、ジクロロメタンによるソックスレー抽出を
行い、上記と同様にして分析した。そして、ダイオキシ
ン濃度はMicromass社製のAutoSpec-Ultimaを用いて測定
した。この装置のダイオキシン検出感度の最低保障値は
100fg(10−13g)であるが、本試験では検出
下限値を1pg(10−12g)にしてダイオキシン濃
度の測定を行った。
【0172】上記の表11に示す結果は両炉ともに上記
規制値をクリアしていることを示している。
【0173】一方、上記各多目的燃焼・炭化炉には飛灰
捕集及び上記燃焼排ガス中の微量ダイオキシンをさらに
低減させることを目的としてバグフィルターが付設され
ており、バグフィルター通過後における燃焼排煙中のダ
イオキシン濃度をも上記と同様の方法により併せて測定
した。その結果は10m炉で0.041ngTEQ/
、20m炉で0.002ngTEQ/mであっ
た。従って、上記バグフィルターのダイオキシンの除去
能力は優れているものの、燃焼排煙中には未だ上記の程
度は残留している。
【0174】次に、木炭によるダイオキシンの選択吸着
性能あるいは吸着・消去性能を検証すべく以下の試験を
行った。この試験においては、炉内容積10m炉と2
0m 炉との内、ダイオキシンの排出量の多い10m
炉の排煙であって上記バグフィルター通過前の燃焼排煙
を対象としてこれを供試気体とする一方、供試試料とし
て試験例9において使用した600,800及び100
0℃の各炭化温度で炭化させた3種類の杉木炭粉を用意
した。
【0175】そして、それぞれ1種類の杉木炭粉0.5
gを試験例9と同様のガラス反応管に充填し、このガラ
ス反応管を、上述の冷却プルーブに連続して取り付けら
れている濾紙充填のガラス管に代えて設置した。そし
て、上記ガラス反応管の木炭充填層に対し煙道からの排
煙を所定流速で所定時間継続して通過させて排ガス採取
装置に吸引導入して分析した。また、上記の木炭(杉木
炭粉)に付着したダイオキシンも上述の濾紙付着ダイオ
キシンの場合と同様の方法により分析した。なお、ダイ
オキシン濃度は、10,30及び60分の各時間経過時
点毎に行った。
【0176】表12に排煙吸引導入後30分の経過時点
におけるダイオキシン濃度の測定結果を示す。
【0177】
【表12】
【0178】この測定結果によると、吸引導入30分経
過時点においては、炭化温度600,800もしくは1
000℃のいずれの木炭を用いても、その木炭充填層を
通過した後の燃焼排煙中には、ダイオキシンは検出され
なかった。従って、木炭によるダイオキシンの吸着消去
が可能であることが実証されるとともに、そのダイオキ
シンを特定汚染物質とする場合の選択吸着性能を示す炭
化温度は少なくとも600〜1000℃の温度範囲であ
り、この炭化温度で炭化された木炭がダイオキシンに対
し優れた選択吸着性能を示すことが実証された。
【0179】このような木炭によるダイオキシン消去の
理由は未だ充分に明らかにされてはいないが、以下のよ
うな木炭の有する特性、すなわち、吸着と炭化過程で生
成する前述の活性基との反応による分解が考えられる。
ダイオキシンは扁平な形状をしており、最強毒性を有す
る2,3,7,8−四塩化ジベンゾ−p−ジオキサン
(2,3,7,8−TCDD)は14オングストローム
の長径、7.3オングストロームの短径、3.6オング
ストロームの厚さを有している。このような形状の2,
3,7,8−TCDDは木炭の昇温炭化過程で形成され
る細孔よりも小さく、この木炭の細孔に物理吸着される
ことになる。
【0180】また、排煙中のダイオキシンとしては、ガ
ス状のダイオキシンと、上記飛灰等のダストに付着した
ダイオキシンとがある。ガス状のダイオキシンは、基本
的には木炭の細孔に物理吸着されて排煙から分離され、
吸着されたダイオキシンは木炭の有する活性基により分
解・無害化される結果、ダイオキシンとしては消去され
ることになると考えられる。一方、ダストに付着した木
炭充填層を通過することにより衝突拡散によるダストの
濾過集塵が可能となり、これにより、ダストに付着した
ダイオキシンが捕集し得ることになる。この捕集された
ダイオキシンも上記と同様に活性基により分解・無害化
されて消去されることになると考えられる。
【0181】なお、本試験例では気相環境下でのダイオ
キシンの吸着であるが、燃焼排ガス中に含まれるダイオ
キシンが地下水もしくは廃水等の液相環境、あるいは、
土壌等の固相環境に含まれることになっても、その液相
もしくは固相からのダイオキシンの吸着・除去のために
上記の木炭が有効になることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を適用した状態を示す斜視図
である。
【図2】吸着体の他の例を示す斜視図である。
【図3】図1及び図2とは異なる他の吸着体の例を示す
斜視図である。
【図4】吸着体の配置例を示す平面説明図である。
【図5】吸着体の他の配置例を示す縦断説明図である。
【図6】吸着体のさらに他の配置例を示す縦断説明図で
ある。
【図7】液相に対する除去システムの例を示す平面説明
図である。
【図8】液相に対する除去システムの他の例を示す縦断
説明図である。
【図9】液相に対する除去システムのさらに他の例を示
す縦断説明図である。
【図10】固相に対する除去システムの例を示す模式図
である。
【図11】液相に対する除去システムの例を示す模式図
である。
【図12】気相に対する除去システムの例を示す模式図
である。
【図13】固相、液相もしくは気相に対する除去方法の
処理フローを示す模式図である。
【符号の説明】
1,1a 流路 2,3 吸着体 8,10,11 吸着槽 12 排ガス(汚染物質を含む気相) 21 張架枠部材 22 線状吸着材 31 保持枠部材 32 面状吸着材 61,CR 木炭 62 水 63 汚染土壌(汚染物質を含む固相) 91 廃水(汚染物質を含む液相)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/28 B09B 3/00 303B Fターム(参考) 4D002 AA21 AA32 AA40 AB01 AB02 AB03 BA04 BA05 CA07 DA41 4D004 AA36 AA41 AB05 AB06 AB07 CA12 CA15 CA28 CA47 CB01 CC03 CC11 4D024 AA04 AA05 AB04 AB11 AB16 BA03 BB01 BB02 BC01 BC02 DA10 4G066 AA04B BA05 BA09 BA16 CA02 CA31 CA33 CA46 CA52 CA56 DA02 DA03 DA07 DA08 FA23 FA34

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚染物質を木炭に吸着させてその汚染物
    質の除去を行う汚染物質の除去方法において、 木質系材料を除去対象の特定汚染物質に対し選択吸着能
    力を示すことになる炭化温度で炭化して特定汚染物質吸
    着用の木炭を準備し、 この木炭と、上記特定汚染物質を含む固相、液相もしく
    は気相とを接触させることにより、上記特定汚染物質を
    上記木炭に選択吸着させるようにすることを特徴とする
    汚染物質の除去方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 特定汚染物質を含む固相に対し、水と、特定汚染物質吸
    着用の木炭とを混合し撹拌させるようにすることを特徴
    とする汚染物質の除去方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 特定汚染物質吸着用の木炭を多数収容させて木炭層を形
    成し、 この木炭層に対し特定汚染物質を含む液相もしくは気相
    を通過させるようにすることを特徴とする汚染物質の除
    去方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 特定汚染物質を含む固相、液相もしくは気相と木炭とを
    接触させた後、その固相、液相もしくは気相から上記木
    炭を分離し、上記特定汚染物質を木炭と共に分離回収す
    ることを特徴とする汚染物質の除去方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 特定汚染物質を含む固相、液相もしくは気相と木炭とを
    接触させた後、その固相、液相もしくは気相から上記木
    炭を分離し、 上記特定汚染物質を木炭と共に焼却することを特徴とす
    る汚染物質の除去方法。
  6. 【請求項6】 特定汚染物質に対し選択吸着能力を示す
    ことになる炭化温度により炭化された上記特定汚染物質
    吸着用の木炭が保持された吸着体を備え、 上記吸着体は上記汚染物質を含む固相中、液相中もしく
    は気相中に対しその固相、液相もしくは気相と接触し得
    る状態に配設されていることを特徴とする汚染物質の除
    去システム。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 吸着体は液相もしくは気相中に配設された吸着槽により
    構成され、 上記吸着槽は、通水可能もしくは通気可能な仕切壁部材
    と、この仕切壁部材により仕切られた内部に対し粗密度
    に収容された多数の木炭とを備えていることを特徴とす
    る汚染物質の除去システム。
  8. 【請求項8】 請求項6において、 吸着体は、粉末状の木炭を繊維材料に複合させてなる複
    合繊維と、空間を囲む張架枠部材とを備え、この張架枠
    部材に対し上記複合繊維の単繊維、繊維束もしくは撚り
    紐が網状に張り渡されて形成されていることを特徴とす
    る汚染物質の除去システム。
  9. 【請求項9】 請求項6において、 吸着体は、紙パルプ材料もしくは繊維材料に対し粉末状
    の木炭が複合されて通水可能もしくは通気可能なシート
    状もしくは布状に形成されていることを特徴とする汚染
    物質の除去システム。
  10. 【請求項10】 請求項6において、 液相は汚染物質を含む水が一方向に流動する流路であ
    り、 上記流路の流路幅方向の両側を区画する側壁は、少なく
    とも表層部分が塩基性を示すことになる炭化温度で炭化
    処理された丸太により形成されていることを特徴とする
    汚染物質の除去システム。
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