JP2001079384A - 超微粒子及びその高密度結晶の製造方法 - Google Patents

超微粒子及びその高密度結晶の製造方法

Info

Publication number
JP2001079384A
JP2001079384A JP25998899A JP25998899A JP2001079384A JP 2001079384 A JP2001079384 A JP 2001079384A JP 25998899 A JP25998899 A JP 25998899A JP 25998899 A JP25998899 A JP 25998899A JP 2001079384 A JP2001079384 A JP 2001079384A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
filter
ultrafine particles
ultrafine
particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP25998899A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3404520B2 (ja
Inventor
Akihiro Goto
昭博 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP25998899A priority Critical patent/JP3404520B2/ja
Publication of JP2001079384A publication Critical patent/JP2001079384A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3404520B2 publication Critical patent/JP3404520B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ナノメーター(nm)単位の個々の粒子が安
定した孤立状態で存在するコロイド状超微粒子及び高密
度に配列した最密充填構造の超微粒子結晶を効率的に製
造する方法を提供する。 【解決手段】 気相中で生成した超微粒子含有ガス
を、予め該超微粒子間の凝集及び融着を防止する粒子安
定剤を吸着させた微粒子捕捉用フィルターを通過させる
ことにより、該フィルターに超微粒子を捕捉すると同時
に、該超微粒子に粒子安定剤を付着させ、次いで、該フ
ィルターを溶媒で洗浄することによりコロイド状超微粒
子溶液を得る超微粒子の製造方法である。そのフィルタ
ーとしては、超微粒子間の凝集及び融着を防止する粒子
安定剤を含む溶剤中に浸漬させた後、乾燥させて得たも
のを用いることが好ましい。また、得られたコロイド状
超微粒子を加熱処理することにより高密度に配列した最
密充填構造の超微粒子結晶が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子のサイズ効果
により発現する量子効果に基づく機能材料、非線形光学
材料、高精度触媒、高機能複合材料等の開発に用いられ
る超微粒子、特に、ナノメータオーダー径の超微粒子及
びその結晶の製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】物質は、ナノメータ(nm)オーダーに
超微粒子化されると、バルク状態とは異なる性質の発
現、例えば、融点の大幅な降下や量子効果の発現等、の
可能性を有することが普通に知られている。このような
新たに発現する性質を利用した次世代技術の開発が活発
に行われており、その具体的な応用例としては、高機能
の複合材料、触媒、非線形光学材料、記憶素子等の多方
面の技術分野に及んでいる。ところが、現状では、これ
らの技術開発の必須要素技術となる物質の微粒子化に関
しては、微細化された微粒子の粒子径、均一性、結晶性
等の構造等について必ずしも十分なものが得られておら
ず、このことが技術開発のネックの一つとなっており、
主要な技術的課題となっている。以下、このことに関し
て記す。
【0003】一般に、微粒子を製造するには、粒子径の
観点からすると、ブレイクダウンの方法とビルトアップ
の方法とに大別される。現在のところ、ブレイクダウン
の方法では、サブミクロンオーダーの粒径に細分化する
ことが限界と考えられており、nmオーダー径の粒子を
製造するには不適当である。そこで、nmオーダーの粒
子を得るには、主としてビルトアップの方法が採用され
ている。そのビルトアップの方法には、気相法及び液相
法が知られている。
【0004】その液相法としては、主として逆ミセルを
使用した化学反応を利用する方法が採用されているが、
最近、金属石けん等の有機化合物の熱分解を利用する方
法等も提案されている。しかし、液相法は、簡単に多量
の微粒子を製造できるという利点を有するものの、化学
反応を利用しているために、粒子中に不純物が混入した
り、また、数nm以下の微細な粒子を製造することは困
難である等の欠点がある。
【0005】一方、気相法は、主に純物質を気化させた
後、その蒸気を凝縮させる方法であるから、高純度のも
のが得られ易く、半導体物質等を利用した電子デバイス
等には好都合であり、また、1nm以下の超微細な粒子
も比較的得られ易い等の長所があるものの、生産効率が
低く、また、エネルギー効率が悪い等の欠点がある。と
ころで、気相法により製造されたnmオーダーの微粒子
はガス中に分散した希薄な状態であるため、二次処理や
プロセシングの段階で濃縮する必要が生じる。その濃縮
のもっとも単純で容易な方法としては、フィルター等に
よる捕集があるが、単なる捕集では捕集された粒子間に
おける凝集や融着が生じ、完全な孤立状態の粒子を得る
ことは極めて困難である。そこで、粒子間の凝集、融着
を防ぐために、融着防止安定剤を使用して濃縮させる方
法が提案されている。
【0006】その融着防止安定剤として、従来より陽イ
オン界面活性剤、チオール基を有するアルカン等が試み
られており、また、その使用法としては、融着防止剤を
スプレーすることにより微粒子を捕集する方法や液体窒
素で有機溶媒とともにトラップする方法が行われてき
た。しかし、これらの方法を用いた粒子の捕集は、必ず
しも十分なものではなく、前者における捕集駆動力であ
る慣性衝突力や後者における温度差泳動力は、必ずしも
生成したすべての粒子にその作用を及ぼすことは困難で
あり、捕捉効率が低いという問題がある。
【0007】また、フィルターによる捕集は、慣性衝突
力と微小粒子に有効な拡散力による効果が期待できると
ともに、フィルターの層厚や繊維等の充填密度を適宜調
製することによって容易に行うことが可能である。しか
しながら、フィルターを微小粒子の捕集に使用する場
合、先に述べた、粒子間における凝集や融着が発生する
のみならず、フィルターの大きな欠点である目詰まりが
起こるという問題がある。特に、液状の粒子は捕集後の
表面張力により目詰まりし易く、前二者において採用さ
れなかった理由は、これらの点にあるものと推察され
る。
【0008】次に、nmオーダー微粒子の応用技術開発
に重要となる、ナノメータ微粒子の形状及び内部構造の
問題点について言及する。従来より、液相法、気相法を
含む種々の方法で製造された微粒子の形状及び内部構造
について、内部構造は、製造法によりその結晶度に差異
が見られるが、一方、形状は、製造法による差異は殆ど
見られず、大部分の微粒子が不定形であり、一般には球
形状のものが多い。しかしながら、量子サイズ効果等の
発現には、二次元のnmオーダー薄膜等の製造にも見ら
れるように、原子レベルにおける制御が不可欠であると
予測される。ナノサイズ微粒子に関する原子レベルでの
制御とは、微粒子の内部のみならず表面についても制御
されなければならない。微粒子表面の制御とは、とりも
なおさず、結晶面が形成された微粒子のことであって、
結晶面を有する超微粒子の製造が求められているのであ
る。以上のとおり、現状では、気相法を利用した孤立状
態で存在するnmオーダーの超微粒子の効率的な製造法
及びその超微粒子が高密度で配列した最密充填構造の超
微粒子結晶の製造法については、未だ満足すべき方法は
知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記した実状に鑑みてなされたものである。す
なわち、本発明の目的は、気相法により調整されたナノ
メーター(nm)オーダーの個々の粒子が安定した孤立
状態で存在する状態のコロイド状超微粒子を効率的に製
造する方法を提供することにある。また、本発明の他の
目的は、その孤立状態で存在するnmオーダーのコロイ
ド状超微粒子が合一することなく高密度で配列した最密
充填構造の超微粒子結晶を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の粒子安定剤
で処理を施したフィルターに、nmオーダーの超微粒子
を含むガスを通過させると、フィルターにおいては、個
々の粒子に粒子安定剤が付着し、孤立して存在する状態
で超微粒子が捕集され、その捕集されたフィルターを溶
媒で洗浄すると、コロイド状超微粒子溶液が容易に得ら
れることを見出し、また、そのコロイド状超微粒子を加
熱処理すると、高密度に配列した最密充填構造の超微粒
子結晶が得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0011】すなわち、本発明は、気相中で生成した超
微粒子含有ガスを、予め該超微粒子間の凝集及び融着を
防止する粒子安定剤を吸着させた微粒子捕捉用フィルタ
ーを通過させることにより、該フィルターに超微粒子を
捕捉すると同時に、該超微粒子に粒子安定剤を付着さ
せ、次いで、該フィルターを溶媒で洗浄することにより
コロイド状超微粒子溶液を得ることを特徴とする超微粒
子の製造方法を提供するものである。その微粒子捕捉用
フィルターとしては、超微粒子間の凝集及び融着を防止
する粒子安定剤を含む溶液中に浸漬させた後、乾燥させ
て得られたものであることが好ましい。
【0012】また、本発明は、上記方法により得られた
コロイド状超微粒子を加熱処理することにより、個々の
粒子が凝集または融着することなく孤立して高密度の配
列状態を形成して集合し、かつ結晶面を有することを特
徴とする高密度超微粒子結晶の製造方法を提供するもの
である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において、コロイド状超微粒子溶液の製造
に用いる素材としては、気相法でnmオーダーの超微粒
子を生成できるものであれば使用可能であって、例え
ば、銀、金、白金、ゲルマニウム、鉄、コバルト等の金
属、硫化カドミウム、硫化亜鉛等の金属硫化物、シリコ
ン等の半導体化合物等が挙げられる。また、その素材の
超微粒子を入手する方法としては、従来公知の種々の気
相法、例えば、加熱炉による超微粒子発生方法、熱線式
エアロゾル発生方法等の各種雰囲気下で得られるガス中
に超微粒子が分散したものであればいずれも使用できる
が、超微粒子を簡易に発生できるとともにエネルギーを
節約できる大気圧下、熱線式エアロゾル発生方法により
生成した超微粒子を用いることが好ましい。
【0014】次に、そのガス中に分散している超微粒子
を、孤立状態で高効率に捕集するには、捕集装置として
フィルターが用いられる。このフィルターには、あらか
じめ粒子安定剤を吸着させたフィルターを使用すること
が重要である。すなわち、本発明においては、粒子安定
剤の吸着したフィルターに、超微粒子含有ガスを通過さ
せることにより、その粒子安定剤の付着した超微粒子を
フィルターに捕集させるのである。
【0015】本発明に用いる微粒子捕捉用フィルターと
しては、粒子安定剤を物理的吸着または化学的吸着した
もののいずれも使用可能であるが、なかでも、粒子安定
剤を含む有機溶剤中にフィルターを浸した後、乾燥させ
て溶媒を除去することにより、粒子捕集部、すなわちフ
ィルター充填繊維の表面に、均一に粒子安定剤を析出さ
せたものが好ましい。この方法によれば、微粒子はフィ
ルター充填繊維に捕集されると同時に、粒子安定剤と接
触する。その結果、微粒子は表面張力により粒子安定剤
に覆われることとなり、捕集された微粒子は、互いに直
接接触することなく近接して高密度な状態となるのであ
る。
【0016】本発明に用いるフィルターとしては、小径
の粒子を捕集できる従来公知のフィルターであれば、天
然繊維でも合成繊維でも使用可能であるが、粒子との反
応性が低くて、耐熱性を有するものが好ましく、具体的
には、ナイロン繊維、テトロン繊維、アラミド繊維、テ
フロン繊維等が用いられる。また、その繊維径として
は、空隙率の確保とフィルターの強度の点で、数μm〜
数十μmの範囲のものが好ましく、5〜20μm程度のも
のがより好ましく、具体的には、10μm程度のナイロ
ン繊維からなるフイルターが好適である。
【0017】そのフィルターに吸着させる粒子安定剤と
しては、使用した素材微粒子の凝集及び融着を防止する
とともに、素材微粒子との親和性或いは結合性を有する
有機化合物であることが必要であり、例えば、チオール
基等の官能基を持つ有機化合物又は界面活性剤等が用い
られ、具体的には、ドデカンチオール、オクタンチオー
ル、オクタデカンチオール等のアルカンチオール類、ア
ルキルトリメチルアンモニウム類等の陽イオン活性剤が
好ましい。
【0018】本発明では、粒子の凝集及び融着を防止す
るために用いる粒子安定剤は、超微粒子の周りに、単分
子層または2分子層を形成できる量であれば十分であっ
て、粒子安定剤が全て有効に利用されるならば、その量
はそれほど多くを必要とするものではなく、この際の粒
子安定剤の使用量は、粒子の凝集及び融着を防止するに
は僅かな量でよく、捕集される超微粒子量に対して、数
倍〜数十倍の範囲で十分であり、この作用が、次々と順
に捕集される粒子に及ぶのである。本発明の上記した方
法は、従来のスプレー法等と比べて、超微粒子がフィル
ターに捕集されると同時に、粒子安定剤が、その表面張
力によって個々の超微粒子の周りを取り囲むため、次に
捕集される超微粒子と凝集や融着を起こさないという利
点がある。
【0019】ところで、この捕集効果を十分に発揮させ
るには、捕集される微粒子と粒子安定剤とがよく接触し
なければならない。そのためには、粒子安定剤がフィル
ター繊維等の充填材にコーティング状に付着している必
要がある。そこで、本発明では、粒子安定剤をベンゼ
ン、トルエン、ヘキサン、オクタン等の揮発性の有機溶
剤に溶解させて、その中にフィルターを浸した後、乾燥
させる方法を採ることが好ましい。この方法によれば、
粒子安定剤がフィルター充填材に平均的に均一に吸着ま
たは付着しているため、捕捉された超微粒子は、必ず粒
子安定剤と接触することになり、孤立状態で高密度に捕
集される。
【0020】次に、上記の方法で超微粒子を捕集したフ
ィルターは、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、オクタン
等の有機溶媒中に浸漬して洗浄されると、コロイド状超
微粒子を含む安定した溶液を容易に得ることができる。
【0021】上記の方法で捕集された超微粒子は、かな
り高密度の孤立状態であると予想されるが、最適量以上
の粒子安定剤等が存在するため、完全に理想的な高密度
状態は達成されていない。ここに言う理想状態とは、孤
立微粒子間に粒子安定剤の単分子層または2分子層のみ
が存在し、最密充填構造となっている状態である。そこ
で、未だ不完全な高密度構造を理想的な最密充填構造と
するためには、微粒子間に存在する不必要な粒子安定剤
を除去する必要がある。従来、この過剰な粒子安定剤を
除去するには、溶媒による洗浄等により行われていた
が、粒子も一緒に洗浄除去される可能性が高く、必ずし
も充分な方法ではなく、歩留まり等のの良好な方法が求
められていた。
【0022】ところで、捕集後の高密度な状態は、先に
述べたように、必ずしも理想的な最密充填構造を形成し
ているものではないため、これを、粒子間の凝集及び融
着を防止できる粒子安定剤の最少量である単分子層また
は2分子層により区切られている理想的な最密充填構造
とするために、洗浄等による従来の方法と異なる方法と
して、本発明では、捕集された高密度の超微粒子に、加
熱処理を施す方法を見出した。
【0023】本発明方法による加熱処理によりある一定
の温度に達すると、過剰の粒子安定剤は蒸発気化し、一
方、超微粒子に結合している粒子安定剤は、その結合力
により残存する作用を行うものと考えられる。この超微
粒子と粒子安定剤との結合力は、物理的な結合力と化学
的な結合力が考えられるが、通常は、いずれも粒子安定
剤分子間の結合力よりも強いものである。なぜなら、こ
のような特性を有している材料を粒子安定剤として選定
しているからである。この加熱処理の温度としては、使
用する粒子安定剤の種類によって異なるが、通常、10
0〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で加
熱処理を施すことが好ましい。これを減圧下で加熱処理
を行うと、その温度をさらに低下させることも可能であ
る。
【0024】また、このような高密度の超微粒子を加熱
処理することは、別の重要な作用をも引き起こす。すな
わち、粒子径が約10ナノメータより小さくなると、そ
の融点は、その粒子の微小さのため著しく低下し、例え
ば、銀では、その融点が約980℃から200℃以下に
まで大きく降下するのである。この現象は、別の観点か
らすると、捕集時の粒子間における凝集または融着を引
き起こす負の効果の原因ともなっている。また、別の観
点からすると、粒子の再結晶化をもたらす要因ともなっ
ていると考えられる。
【0025】従来方法では、ナノメータ微粒子を加熱す
ると、微小なナノメータ粒子は相互に融着し、成長する
傾向があるのに対して、本発明では、含まれる粒子安定
剤が、加熱処理による粒子の成長を妨げる方向に作用す
ると考えられる。そのため、温度等により定まる限界径
が存在し、その限界径以下の粒子は成長して結晶化する
が、限界径以上への粒子の成長は妨げられることにな
る。この傾向は、いうまでもなく、粒子径の均一化をも
たらす結果となる。また、加熱処理による再結晶化の場
合、十分な時間をかけて徐々に加熱した後、冷却するこ
とにより、粒子の表面を結晶面とすることができる。こ
のように、粒子安定剤を含むnmオーダー微粒子の加熱
処理過程では、先に述べた理想的な最密充填構造の形成
を実現できるのみならず、粒子径の均一化、結晶面を有
する結晶微粒子の生成をももたらすことができる。
【0026】ところで、この再結晶化の温度と過剰の粒
子安定化剤の除去に必要な温度とは必ずしも同一ではな
い。そこで、これらを別々に処理する場合には、他の制
御因子として、雰囲気圧力等を変えて、それらの作用を
制御することが可能である。すなわち、過剰の粒子安定
剤を除去するには温度及び圧力を制御因子とし、他方、
再結晶化には温度のみを制御因子とすることも可能であ
る。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。大気圧中、熱線式エアロゾル発生器で生成した粒径
1〜20nm程度の粒度分布からなる銀の超微粒子を含
むガス(超微粒子個数濃度約5×10 個/cc)を
使用した。一方、超微粒子捕集用として10μmのナイ
ロン繊維から構成される厚さ約10mmのフィルター
を、粒子安定剤のドデカンチオール約1%を含むトルエ
ン溶液中に、フィルター内に気泡が残らないように浸し
た後、常温で乾燥させたフィルターを得た。このように
して得られたフィルターに、上記したエアロゾル発生器
から発生した銀の超微粒子を含むガスを常温常圧下に流
速約10ないし20cm/秒で通過させることにより、
銀の超微粒子の捕集を行った。フィルター通過後のガス
を検査したところ、銀の超微粒子は含まれていなかった
ので、ガスに含有されていた銀微粒子は、ほぼ完全に捕
集されたものと考えられる。
【0028】その後、そのフィルターをトルエンで充分
に洗浄したところ、トルエン中に銀の超微粒子(粒径約
1〜20nm)が分散したコロイド状超微粒子溶液を得
た。得られたコロイド状超微粒子溶液からトルエンを除
去した後、銀の超微粒子を電子顕微鏡により撮影した写
真が、図1である。図1によると、個々の粒子は、ある
程度濃縮された状態で、しかも孤立状態であることが分
かる。
【0029】次に、上記方法で得られた銀の超微粒子
を、窒素ガス中、約170℃で約30分間加熱した。こ
の加熱処理により得られた銀の超微粒子を電子顕微鏡に
より撮影した写真が、図2である。図2によると、粒子
が非常に密になっており、粒子間隔はドデカンチオール
2分子にほぼ相当しており、最密充填構造に近い状態で
あることが分かる。さらに、図2と図1を比較すると、
図1では粒子の粒度分布はかなり広がりがあるのに対
し、図2では微少粒子の割合が減少して粒度分布幅が狭
くなり、粒子は均一化していることが分かる。また、粒
子の形状については、図1では円形に近い形状をしてい
るのに対し、図2では六角形や三角形の影を見ることが
でき、これは結晶面を持つ粒子であることを示してい
る。図1と図2に見られる差異を確認するために、電子
線回折を調べた結果、図1では非晶質を示す回折パター
ンであるのに対し、図2では結晶質を示す回折格子パタ
ーンであることが判明した。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、以上に説明したよう
に、nmオーダーの孤立粒子を簡易に効率的に得ること
ができると共に、さらに、その孤立粒子から構成される
最密充填構造の超微粒子結晶は、個々の粒子の特性を損
なうことなく、その特性を集合体として強められた特性
の発現に寄与するものと考えられ、例えば、従来得られ
なかった均一な微小粒子化により発現される発光等の量
子効果を集合体として集積させることにより、光学材
料、電子材料としての利用等の実用化に役立つものと期
待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により得られた銀の超微粒子を撮影
した写真である。
【図2】本発明方法により得られた銀の高密度超微粒子
結晶を撮影した写真である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相中で生成した超微粒子含有ガスを、
    予め該超微粒子間の凝集及び融着を防止する粒子安定剤
    を吸着させた微粒子捕捉用フィルターを通過させること
    により、該フィルターに超微粒子を捕捉すると同時に、
    該超微粒子に粒子安定剤を付着させ、次いで、該フィル
    ターを溶媒で洗浄することによりコロイド状超微粒子溶
    液を得ることを特徴とする超微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 微粒子捕捉用フィルターが、超微粒子間
    の凝集及び融着を防止する粒子安定剤を含む溶剤中に浸
    漬させた後、乾燥させて得られたものであることを特徴
    とする請求項1に記載の超微粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 超微粒子が、ナノメータ(nm)径の粒
    子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微
    粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 超微粒子が、金属、金属酸化物、金属硫
    化物又はシリコン等の半導体化合物であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の超微粒子の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 粒子安定剤が、チオール化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超
    微粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 チオール化合物が、ドデカンチオール、
    オクタンチオールまたはオクタデカンチオールであるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の超
    微粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6で得られたコロイド状超微
    粒子を加熱処理することにより、個々の粒子が凝集また
    は融着することなく孤立して高密度の配列状態を形成し
    て集合し、かつ結晶面を有することを特徴とする高密度
    超微粒子結晶の製造方法。
JP25998899A 1999-09-14 1999-09-14 超微粒子及びその高密度結晶の製造方法 Expired - Lifetime JP3404520B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25998899A JP3404520B2 (ja) 1999-09-14 1999-09-14 超微粒子及びその高密度結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25998899A JP3404520B2 (ja) 1999-09-14 1999-09-14 超微粒子及びその高密度結晶の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001079384A true JP2001079384A (ja) 2001-03-27
JP3404520B2 JP3404520B2 (ja) 2003-05-12

Family

ID=17341734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25998899A Expired - Lifetime JP3404520B2 (ja) 1999-09-14 1999-09-14 超微粒子及びその高密度結晶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3404520B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009145031A1 (ja) * 2008-05-28 2009-12-03 公立大学法人名古屋市立大学 コロイド結晶の製造方法及びコロイド結晶
US9976228B2 (en) 2011-03-08 2018-05-22 Public University Corporation Nagoya City University Method for producing colloidal crystal and colloidal crystal

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009145031A1 (ja) * 2008-05-28 2009-12-03 公立大学法人名古屋市立大学 コロイド結晶の製造方法及びコロイド結晶
KR101232315B1 (ko) 2008-05-28 2013-02-12 후지 가가꾸 가부시끼가이샤 콜로이드 결정의 제조방법 및 콜로이드 결정
US9017477B2 (en) 2008-05-28 2015-04-28 Nagoya City University Process for producing colloidal crystal and colloidal crystal
US9976228B2 (en) 2011-03-08 2018-05-22 Public University Corporation Nagoya City University Method for producing colloidal crystal and colloidal crystal

Also Published As

Publication number Publication date
JP3404520B2 (ja) 2003-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7752997B1 (en) Apparatus and method for nanoscale pattern generation
US7381465B2 (en) Core-shell structure having controlled cavity inside and structure comprising the core-shell structure as component, and method for preparation thereof
US8093494B2 (en) Methods of making functionalized nanorods
US6368406B1 (en) Nanocrystalline intermetallic powders made by laser evaporation
Gao et al. Effect of surface oxide on the melting behavior of lead-free solder nanowires and nanorods
US20100260946A1 (en) Nanostructure arrays and fabrication methods therefor
KR100499594B1 (ko) 금속 미립자 질서 구조 형성 방법
Park et al. Effect of electric bias on the deposition behavior of ZnO nanostructures in the chemical vapor deposition process
TW201534923A (zh) 包含奈米結構的感測器及其製造方法
US7829139B2 (en) Method of making nanoparticle wires
Wong et al. Controlled growth of silicon nanowires synthesized via solid–liquid–solid mechanism
TW201534922A (zh) 包含柔性奈米結構的感測器及其製造方法
TW201438247A (zh) 具有一致圖案排列之奈米粒子的單電子電晶體及其製造方法
JP3404520B2 (ja) 超微粒子及びその高密度結晶の製造方法
JP3951181B2 (ja) コア・シェル構造体の調製方法
TW200844257A (en) Methods of adhering particles to a material by heating
Rybczynski et al. Nanosphere lithography—Fabrication of various periodic magnetic particle arrays using versatile nanosphere masks
JP2007111855A (ja) ナノ粒子複合体をコアとしたコア・シェル構造体及びそれを構成要素とする構造体並びにそれらとそれらから調製される構造体の調製方法
JP4611583B2 (ja) 人工結晶体の形成装置
WO2004074173A1 (en) Method of forming quantum layer and patterned structure by multiple dip-coating process
KR100577061B1 (ko) 다중 딥코팅 방법을 이용한 양자층 및 패턴 구조 형성방법
KR100809694B1 (ko) 탄소나노튜브 제조 방법
Rao et al. Multiwalled HgX (X= S, Se, Te) Nanotubes Formed with a Mercury Iodide Catalyst in Nanocrystalline Thin Films Spray‐Deposited at Low Temperature
KR20060087313A (ko) 나노 복합 재료 및 그 제조 방법
Shi et al. Manipulation and light-induced agglomeration of carbon nanotubes through optical trapping of attached silver nanoparticles

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3404520

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term