JP2001065782A - 断熱パネル及びその製造方法 - Google Patents

断熱パネル及びその製造方法

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JP2001065782A
JP2001065782A JP24761499A JP24761499A JP2001065782A JP 2001065782 A JP2001065782 A JP 2001065782A JP 24761499 A JP24761499 A JP 24761499A JP 24761499 A JP24761499 A JP 24761499A JP 2001065782 A JP2001065782 A JP 2001065782A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリウレタンフォーム層1を断熱層として備
える断熱パネルを製造するのに、環境への影響と資源・
エネルギーの消費とを極力抑制しつつ、ポリウレタンフ
ォーム層1の断熱特性が経時的に低下することを極力抑
制する。 【解決手段】 ポリウレタンフォーム層1を二酸化炭素
ガス発泡のポリウレタン発泡体から形成し、ポリウレタ
ンフォーム層1の全周を、二酸化炭素ガスの透過を阻止
可能な被覆体3で気密に覆って断熱パネルを形成する。
尚、内面6をポリウレタンに対して接着性の良好な膜材
4で形成してあるラミネートフィルム5で被覆体3を形
成してあればさらによい。また、被覆体3内でポリウレ
タンフォーム層1を形成するのに、ポリウレタン発泡体
が硬化する前に被覆体3の開口部を封止すればなおよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタンフォ
ーム層を断熱層として備える断熱パネル及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】上記従来の断熱パネルは、主として低温
液化ガス輸送船のタンクや陸上の低温液化ガスを収容す
るタンク等の断熱に用いられるものがある。これらのタ
ンクにおいては、外部からの熱の侵入による液化ガスの
蒸発を抑制するもので、各種の断熱材や断熱工法が用い
られているが、断熱層としてポリウレタンフォーム層を
用いるものが代表的である。そのポリウレタンフォーム
層を形成するための発泡剤には、主としてフロン系のH
CFC−141bが主として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の発泡剤であ
るHCFC−141bは、地球環境問題としてのオゾン
層の破壊原因であるとして、数年後には使用ができなく
なる予定である。このために、代替発泡剤が種々検討さ
れており、前記オゾン層の破壊原因にはならないフロン
系のHFC−245fa、HFC−365mfcや、炭
化水素系発泡剤、水等が候補として挙げられているが、
前記HFC−245fa及び前記HFC−365mfc
は、前記オゾン層の破壊原因ではないが、地球温暖化ガ
スとして規制の対象となるものである。因みに、前記H
FC−245fa及びHFC−365mfcは、オゾン
破壊係数は0であるが、温暖化係数は夫々、820、8
40である。また、前記炭化水素系発泡剤は、可燃性ガ
スを発生するものであるため、製造設備が防爆仕様でな
ければならないという制約があり、また、ポリウレタン
発泡体を製造する際に危険を伴うおそれもある。さら
に、両者共に、供給のための工場設備を必要とし、資源
・エネルギーの消費量も無視できないという問題も有し
ている。
【0004】上記候補に挙げられた発泡剤としては、上
述の資源・エネルギーの消費の観点から、また、環境面
・安全面の観点から、水を用いることが望ましいのであ
るが、ウレタン原液の反応の際に、水の存在によって二
酸化炭素ガスを発生することで、ポリウレタン発泡体を
形成するようになるものであり、前記二酸化炭素ガスが
地球温暖化に影響を及ぼすものではあるが、大気中に放
散する二酸化炭素ガス量は、問題となるほど大量ではな
いので、環境問題の観点からは影響が比較的小さいもの
である。しかしながら、発泡ガスが二酸化炭素である場
合には、ポリウレタンフォーム層から前記二酸化炭素ガ
スが漏出し、時間の経過と共に断熱性能が低下し、或い
は、寸法変化を来す場合があり、従来の発泡剤を用いた
ポリウレタンフォーム層に比して断熱性能が著しく劣る
ようになる場合があるという問題を有している。
【0005】そこで、本発明に係る断熱パネル及びその
製造方法は、上記環境への影響と資源・エネルギーの消
費とを極力抑制しつつ、ポリウレタンフォーム層の断熱
特性が経時的に低下することを極力抑制することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】〔本発明に係る断熱パネルの特徴構成〕本
発明に係る断熱パネルは、二酸化炭素ガスにより発泡さ
せたポリウレタンフォーム層を断熱層として備え、その
断熱層を、前記二酸化炭素ガスの透過を阻止可能な被覆
体で気密に覆ってあり、以下の特徴を備えるものであ
る。
【0008】本発明に係る断熱パネルの第1特徴構成
は、請求項1に記載のごとく、ポリウレタンフォーム層
を二酸化炭素ガス発泡のポリウレタン発泡体から形成
し、前記ポリウレタンフォーム層の全周を、前記二酸化
炭素ガスの透過を阻止可能な被覆体で気密に覆ってある
点にある。
【0009】本発明に係る断熱パネルの第2特徴構成
は、請求項2に記載のごとく、上記第1特徴構成におけ
るポリウレタンフォーム層の表面にに被覆体を密着させ
てある点にある。
【0010】本発明に係る断熱パネルの第3特徴構成
は、請求項3に記載のごとく、上記第2特徴構成におけ
る被覆体を、ポリウレタンフォーム層の表面に接着して
ある点にある。
【0011】本発明に係る断熱パネルの第4特徴構成
は、請求項4に記載のごとく、上記第3特徴構成におい
て、内面をポリウレタンに対して接着性の良好な膜材で
形成してあるラミネートフィルムで被覆体を形成してあ
る点にある。
【0012】本発明に係る断熱パネルの第5特徴構成
は、請求項5に記載のごとく、上記第4特徴構成におけ
るラミネートフィルムの内面をガラス繊維層で形成して
ある点にある。
【0013】本発明に係る断熱パネルの第6特徴構成
は、請求項6に記載のごとく、上記第1特徴構成乃至第
5特徴構成の何れかにおける被覆体でパネル外装材を構
成してある点にある。
【0014】本発明に係る断熱パネルの第7特徴構成
は、請求項7に記載のごとく、上記第1特徴構成乃至第
5特徴構成の何れかにおいて、被覆体とは別体のパネル
外装材で前記被覆体の外側を覆ってある点にある。
【0015】〔各特徴構成の作用及び効果〕上記断熱パ
ネルの各特徴構成によれば、ポリウレタンフォーム層を
被覆体で気密に覆ってあることで、少なくとも前記被覆
体の中に二酸化炭素ガスを閉じ込めることができるか
ら、断熱特性の経時的な劣化を防止できるものであり、
特徴構成夫々に以下の特徴的な作用効果を奏するのであ
る。
【0016】つまり、上記本発明に係る断熱パネルの第
1特徴構成によれば、二酸化炭素ガスで発泡させたポリ
ウレタン発泡体は、元来発泡ガスが逃げやすく、経時的
に断熱特性が低下しやすいものであるが、前記二酸化炭
素ガスの透過を阻止可能な被覆体で気密に覆ってあるこ
とから、前記二酸化炭素ガスが外部に放出されることが
ない。従って、仮に前記二酸化炭素ガスがポリウレタン
フォーム層から漏出したとしても、漏出したガスは前記
被覆体内の空間内に閉じ込められており、その漏出空間
内における前記漏出した二酸化炭素ガスの前記被覆体内
における分圧が次第に高まるから、前記ポリウレタンフ
ォーム層からの二酸化炭素ガスの漏出を抑制できる。従
って、断熱パネルの断熱特性の低下を防止できる。この
点からは、前記被覆体内の空間内における二酸化炭素ガ
ス分圧を高める手段を講じておけば、前記ポリウレタン
フォーム層からの二酸化炭素ガスの漏出をより確実に抑
制できる。
【0017】上記本発明に係る断熱パネルの第2特徴構
成によれば、上記第1特徴構成における二酸化炭素ガス
のポリウレタンフォーム層からの漏出をより確実に抑制
できる。つまり、被覆体がポリウレタンフォーム層の表
面に密着していることで、前記ポリウレタンフォーム層
からの前記二酸化炭素ガスの漏出空間が極めて小さくな
り、前記ポリウレタンフォーム層から前記漏出空間に二
酸化炭素ガスが漏出すれば、急激に前記漏出空間内にお
ける前記二酸化炭素ガスの分圧が上昇するから、その後
に前記ポリウレタンフォーム層から二酸化炭素ガスが漏
出することを確実に抑制できる。
【0018】上記本発明に係る断熱パネルの第3特徴構
成によれば、上記第2特徴構成における二酸化炭素ガス
のポリウレタンフォーム層からの漏出を阻止できるよう
になる。つまり、被覆体がポリウレタンフォーム層の表
面に接着してあることで、前記ポリウレタンフォーム層
から前記二酸化炭素ガスが漏出できなくなるのである。
また、仮に前記被覆体の一部が破損したとしても、その
他の部位では前記ポリウレタンフォーム層に前記被覆体
が密着しているから、急激に断熱特性が低下することは
防止できる。
【0019】上記本発明に係る断熱パネルの第4特徴構
成によれば、上記第3特徴構成における二酸化炭素ガス
のポリウレタンフォーム層からの漏出を確実に阻止でき
るようになる。つまり、被覆体が柔軟性を有するラミネ
ートフィルムで形成してあることで、前記被覆体の内面
を前記ポリウレタンフォーム層の表面に確実に密着させ
ることができ、しかも、前記ラミネートフィルムの内面
が接着性の良好な膜材で形成されていることで、前記ポ
リウレタンフォーム層の全表面に前記ラミネートフィル
ムを確実に自己接着させることができるのである。
【0020】尚、上記第5特徴構成のようにラミネート
フィルムの内面をガラス繊維層で形成してあってもよ
く、前記ガラス繊維層の存在によって、ポリウレタンフ
ォーム層を形成するポリウレタンによる前記ラミネート
フィルムの内面への自己接着を確実にできる。
【0021】上記本発明に係る断熱パネルの第6特徴構
成によれば、上記第1特徴構成乃至第5特徴構成の夫々
が奏する作用効果に加えて、断熱パネルの構造を簡素化
して、製造が容易になると共に、製造コストも低減でき
るようになる。つまり、パネル外装材内にポリウレタン
フォーム層を密封形成してあることで、断熱パネルの工
場生産が可能になり、また、前記外装材とポリウレタン
原液とを施工現場に搬入して、ポリウレタンフォーム層
を現場発泡により形成することも可能になるのである。
殊に、断熱施工が容易でない狭隘な施工箇所や、形状が
複雑な断熱対象の場合に、予めパネル外装材のみを断熱
施工部位に取り付けておいて、取り付けた外装材からな
る被覆体内にウレタン原液を注入して、現場発泡させる
ことにより現場で断熱パネルを形成することも可能にな
る。ここに、前記パネル外装材とは、断熱パネルの外表
面を形成し、前記断熱パネルの外形を保持すると共に、
断熱層を損傷から保護する役割を担う表面形成材を指す
ものである。
【0022】上記本発明に係る断熱パネルの第7特徴構
成によれば、上記第1特徴構成乃至第5特徴構成の夫々
が奏する作用効果に加えて、断熱施工部位に適合する断
熱パネルを容易に製造できるようになる。つまり、パネ
ル外装材内に収容可能で、且つ、ポリウレタンフォーム
層を形成容易な形状の被覆体内でポリウレタンを発泡さ
せて、前記ポリウレタンフォーム層を形成し、形成した
断熱材を前記パネル外装材の中に装入して断熱パネルを
形成することが可能になる。従って、ポリウレタンフォ
ーム層を、断熱特性を良好に維持できる形状に形成する
ことができるから、断熱パネルの断熱特性を良好に維持
できるようになる。尚、前記パネル外装材と前記被覆体
内に密封した前記ポリウレタンフォーム層との間には、
粉体状等の断熱材を封入しておけば一層効果的である。
ここに、前記パネル外装材とは、断熱パネルの外表面を
形成し、前記断熱パネルの外形を保持すると共に、断熱
層を損傷から保護する役割を担う表面形成材を指すもの
である。
【0023】〔本発明に係る断熱パネルの製造方法の特
徴手段〕本発明に係る断熱パネルの製造方法は、上記第
4特徴構成或いは上記第4特徴構成に係る上記第5特徴
構成乃至第7特徴構成の何れかによる断熱パネルを製造
するに好適であり、容器としてのラミネートフィルムか
らなる被覆体内でポリウレタン層を形成するに際して、
その被覆体の内面を、ポリウレタンフォーム層の表面に
接着した状態で前記ポリウレタンフォーム層を形成する
もので、以下の特徴を有するものである。
【0024】本発明に係る断熱パネルの製造方法の第1
特徴手段は、請求項8に記載のごとく、内面をポリウレ
タンに対して接着性の良好な膜材で形成してあるラミネ
ートフィルムの周縁部を密封して袋状又は箱状の容器を
形成し、前記容器内に水発泡性のポリウレタン原液と水
とを注入し、前記ポリウレタンを発泡、硬化させてポリ
ウレタンフォーム層を形成し、前記容器内の空気を排除
した後、前記容器の開口部を密封する点にある。前記開
口部を密封する手段としては、前記開口部の接当面同士
を接着剤或いは粘着剤を用いて接着してもよく、また、
前記接当部同士を溶剤により溶着させてもよく、前記接
当部同士を密着させた状態で、接着テープ、粘着テープ
等の状態保持手段を用いて封止するようにしてもよい。
【0025】本発明に係る断熱パネルの製造方法の第2
特徴手段は、請求項9に記載のごとく、内面をポリウレ
タンに対して接着性の良好な膜材で形成してあるラミネ
ートフィルムの周縁部を密封して袋状又は箱状の容器を
形成し、前記容器内に水発泡性のポリウレタン原液と水
とを注入して前記ポリウレタンを発泡させ、前記容器内
の空気を排除した後、前記容器の開口部を密封し、前記
密封した容器内で前記発泡したポリウレタンを硬化させ
て前記ポリウレタンフォーム層を形成する点にある。
尚、前記箱状の容器の形状は、直方体形状であってもよ
く、中空角柱を面の幅方向及び長さ方向に複数の面で分
割した部分角柱状であってもよく、中空円筒或いは中空
楕円筒を周方向及び長さ方向に複数の面で分割した部分
円筒形状或いは部分楕円筒形状であってもよく、球殻を
周方向に複数の面で分割した部分球殻状であってもよ
く、さらには、長円球殻、楕円球殻、卵殻等の閉鎖曲面
殻を複数の面で分割した部分曲面殻形状であってもよ
い。要するに、複数の断熱パネルを並設して、配管若し
くは容器の外面を被覆できる形状であればよいのであ
る。この場合にも、上記第1特徴手段におけると同様
に、前記開口部を密封する手段としては、前記開口部の
接当面同士を接着剤或いは粘着剤を用いて接着し、ま
た、前記接当部同士を溶剤により溶着させ、さらに、前
記接当部同士を密着させた状態で、接着テープ、粘着テ
ープ等の状態保持手段を用いて封止する等の手段が採用
可能である。
【0026】本発明に係る断熱パネルの製造方法の第3
特徴手段は、請求項10に記載のごとく、内面をポリウ
レタンに対して接着性の良好な膜材で形成してあるラミ
ネートフィルムの周縁部を密封して袋状又は箱状の容器
を形成し、前記容器内に水発泡性のポリウレタン原液と
水とを注入した後、前記容器の開口部を密封して、前記
密封した容器内で前記ポリウレタンを発泡、硬化させて
前記ポリウレタンフォーム層を形成する点にある。尚、
前記箱状の容器の形状は、直方体形状であってもよく、
中空角柱を面の幅方向及び長さ方向に複数の面で分割し
た部分角柱状であってもよく、中空円筒或いは中空楕円
筒を周方向及び長さ方向に複数の面で分割した部分円筒
形状或いは部分楕円筒形状であってもよく、球殻を周方
向に複数の面で分割した部分球殻状であってもよく、さ
らには、長円球殻、楕円球殻、卵殻等の閉鎖曲面殻を複
数の面で分割した部分曲面殻形状であってもよい。要す
るに、複数の断熱パネルを並設して、配管若しくは容器
の外面を被覆できる形状であればよいのである。この場
合にも、上記第1特徴手段におけると同様に、前記開口
部を密封する手段としては、前記開口部の接当面同士を
接着剤或いは粘着剤を用いて接着し、また、前記接当部
同士を溶剤により溶着させ、さらに、前記接当部同士を
密着させた状態で、接着テープ、粘着テープ等の状態保
持手段を用いて封止する等の手段が採用可能である。
【0027】本発明に係る断熱パネルの製造方法の第4
特徴手段は、請求項11に記載のごとく、上記第8特徴
手段乃至上記第10特徴手段の何れかにおいて、容器の
開口部を密封するのに、前記開口部の対向面同士を熱融
着させることによって封止する点にある。
【0028】本発明に係る断熱パネルの製造方法の第5
特徴手段は、請求項12に記載のごとく、上記第8特徴
手段乃至上記第11特徴手段の何れかにおいて、内面を
ポリエチレンフィルムで形成してあるラミネートフィル
ムを用いて、ウレタン原液を注入し、発泡させ、硬化さ
せて内部にポリウレタンフォーム層を生成する容器を形
成する点にある。
【0029】本発明に係る断熱パネルの製造方法の第6
特徴手段は、請求項13に記載のごとく、上記第12特
徴手段において、ラミネートフィルムの内面にコロナ放
電加工を施して、ポリエチレンフィルムの内面を化学的
に活性化した後、前記ラミネートフィルムの周縁部にお
ける対向面同士を熱融着して、ウレタン原液を注入し、
発泡させ、硬化させて内部にポリウレタンフォーム層を
生成する容器を形成する点にある。
【0030】〔各特徴手段の作用及び効果〕上記断熱パ
ネルの製造方法の各特徴手段によれば、容器内で形成す
るポリウレタンフォーム層の表面に前記容器を形成する
ラミネートフィルムが接着された状態で前記ポリウレタ
ンフォーム層を密閉できるから、前記ポリウレタンフォ
ーム層内の二酸化炭素ガスが層外に逃げ出すことを防止
できて、経時的に断熱特性の劣化を防止できる断熱パネ
ルを製造でき、各特徴手段夫々に以下の特徴的な作用効
果を奏するものである。尚、上記第1特徴構成乃至第3
特徴構成においては、前記容器を封止する時期を異なら
せたものであり、何れも容器内に水発泡性のポリウレタ
ン原液と水とを注入することで、容器内でポリウレタン
フォーム層を形成でき、前記ポリウレタンフォーム層の
形成の際に、前記容器であるラミネートフィルムの内面
に前記ポリウレタンフォーム層の表面を自己接着させる
ことができるものである。
【0031】つまり、上記本発明に係る断熱パネルの製
造方法の第1特徴手段によれば、ポリウレタンフォーム
層を形成した後に、容器内の空気を排除して前記容器の
開口部を密封するから、前記ポリウレタンフォーム層の
形成に際して反応過程でポリウレタンから放出される二
酸化炭素ガスその他のガスを同時に排除でき、密封後の
前記容器内はほぼ真空にできるから、前記開口部におい
ても前記容器を形成するラミネートフィルムは内面が前
記ポリウレタンフォーム層の表面に密着するようにな
る。
【0032】また、上記本発明に係る断熱パネルの製造
方法の第2特徴手段によれば、ウレタン原液が水と反応
してポリウレタンが発泡し、硬化する前に容器内の空気
を排除して前記容器の開口部を密封するから、前記ポリ
ウレタンフォーム層の形成に際して反応過程でポリウレ
タンから放出される二酸化炭素ガスその他のガスを同時
に排除でき、密封後の前記容器内はほぼ真空にできるか
ら、前記ポリウレタンと前記容器との間は、ほぼ真空に
でき、未硬化のポリウレタン発泡体の表面にラミネート
フィルムの内面が密着し、前記ポリウレタン発泡体が硬
化してポリウレタンフォーム層を形成するまでの間に前
記ラミネートフィルムの内面に自己接着するようにな
る。
【0033】さらに、上記本発明に係る断熱パネルの製
造方法の第3特徴手段によれば、容器内にポリウレタン
原液と水を注入した後で前記容器の開口部を密封するか
ら、ポリウレタン発泡体は前記密封容器の中で形成され
ることになり、前記ポリウレタン発泡体と前記容器の内
面とは常に接触を保ち、形成されたポリウレタンフォー
ム層の表面と前記容器の内面とが極めて良好に接着され
るようになる。従って、反応過程で生成する二酸化炭素
ガスを確実にポリウレタン発泡体内に閉じ込めることが
でき、形成されたポリウレタンフォーム層内の二酸化炭
素ガスの漏出を確実に防止できるようになる。
【0034】上記本発明に係る断熱パネルの製造方法の
第4特徴手段によれば、上記第1〜第3特徴手段の何れ
かの作用効果をする中で、ラミネートフィルムの対向面
同士を熱融着させれば、両側の膜材同士が一体化して極
めて良好に密封できるようになり、二酸化炭素ガスをよ
り確実に容器内に閉じ込めることができるようになる。
【0035】尚、上記第5特徴手段のように、ラミネー
トフィルムの内面をポリエチレンフィルムで形成してあ
れば、ポリエチレンに対してはウレタンの接着性がよい
から、ポリウレタンフォーム層の表面とラミネートフィ
ルムの内面とは、極めて良好に接着されるようになる。
【0036】また、上記第6特徴手段のように、ラミネ
ートフィルムの内面に配したポリエチレンをコロナ放電
加工により化学的に活性化することで、ウレタンとポリ
エチレンとの接着性をさらに向上でき、断熱性能の経時
的低下を確実に防止した断熱パネルを製造できる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る断熱パネル及
びその製造方法の実施形態の一例ついて図面を参照しな
がら説明する。図1は本発明に係る断熱パネルの一例を
示す斜視図であり、図2はその断面図であり、図3はそ
の要部拡大断面図であり、図4及び図5はその製造のた
めの被覆体からなる容器の製造工程の説明図である。
【0038】図1に示すように、断熱パネル10は、断
熱層をラミネートフィルム5で被覆して平板状の断熱体
11に形成してあり、その一端部側で両側面を形成する
ラミネートフィルム5を熱融着して封止してある。前記
ラミネートフィルム5は、前記断熱層を気密に覆う被覆
体3の一例である。前記ラミネートフィルム5は、断熱
パネル10の外形を整え、且つ、前記断熱層を保護する
パネル外装材8としても機能するものである。具体的に
は、図2に断面を示すように、前記断熱層を形成するポ
リウレタンフォーム層1の全周を、ラミネートフィルム
5を被覆体3として気密に覆って断熱体11を形成して
あり、前記ラミネートフィルム5の内面6を前記ポリウ
レタンフォーム層1の表面1aに接着してある。前記ラ
ミネートフィルム5は、例えば図3に拡大して示すよう
に、外皮膜5aと、アルミニウム蒸着膜5bと、ガス透
過阻止膜5cと、被覆体3の内面6を形成する膜材4と
しての熱融着膜5dとで構成することができる。
【0039】前記ポリウレタンフォーム層1は、二酸化
炭素ガスで発泡させたものであり、前記ラミネートフィ
ルム5で形成した袋の内側でポリウレタンを発泡させて
ポリウレタン発泡体を形成して、表面1aを前記ラミネ
ートフィルム5の内面6に自己接着させたものである。
そして、図3に示したラミネートフィルム5にあって
は、例えば内側に前記アルミニウム蒸着膜5bを形成し
たポリエステルフィルムで前記外皮膜5aを形成し、前
記ガス透過阻止膜5cをポリエチレン−ポリビニルアル
コール共重合体で形成し、前記熱融着膜5dをポリエチ
レンフィルム9で形成して、前記外皮膜5aの内側に前
記ガス透過阻止膜5cと前記熱融着膜5dとを順に配
し、互いに接着して形成してあれば、前記外皮膜5aが
その内側を保護し、前記熱融着膜5dが前記ポリウレタ
ンフォーム層1の自己接着を良好に維持し、前記ガス透
過阻止膜5cが断熱パネル10の断熱特性の低下を防止
するのである。前記熱融着膜5dとしてのポリエチレン
フィルム9は、前記ポリウレタンに対して接着性の良好
な膜材4でもあり、前記ポリウレタンフォーム層1の自
己接着を良好に維持できる膜材4として前記被覆体3の
内面6を形成し、前記ガス透過阻止膜5cを形成するポ
リエチレン−ポリビニルアルコール共重合体からなるフ
ィルムが前記ポリウレタンフォーム層1から洩れ出した
二酸化炭素ガスが仮に前記ポリエチレンフィルム9を透
過したとしても、その透過した二酸化炭素ガスの前記外
皮膜5a側への透過を阻止して、前記断熱体11から前
記二酸化炭素ガスが拡散放出されるのを防止するのであ
る。この断熱体11が断熱パネル10として用いられる
のである。
【0040】上述の断熱パネル10を製造する工程の一
例について説明すると、 [1]図4に示すように、内面6をポリウレタンに対し
て接着性の良好なポリエチレンフィルム9からなる膜材
4で形成してある筒状のラミネートフィルム5(同図
(イ)参照)の一端側を熱融着して袋状又は箱状の容器
2を形成する(同図(ロ)参照)。 [2]次いで、図5に示すように、前記容器2内に水発
泡性の二液からなるポリウレタン原液の一方に水を添加
して、両者を共に注入する(同図(イ)参照)。前記一
方のポリウレタン原液は水とは反応しないもので、他方
のポリウレタン原液と反応してポリウレタンを生成する
もので、前記他方のポリウレタン原液は水と接触すれば
反応して二酸化炭素ガスを生成するものである。従っ
て、前記容器2内に前記両ポリウレタン原液が注入され
れば、反応してポリウレタンを生成しながら、内部に前
記二酸化炭素ガスで形成される気泡を含むようになる。 [3]ここで、前記容器2内の空気を排除し(同図
(ロ)参照)、前記容器2の開口部2aを熱融着して封
止しポリウレタン発泡体を前記容器2内に密閉する(同
図(ハ)参照)。 [4]前記容器2内に密閉されたポリウレタン発泡体を
養生すれば、前記密閉状態のポリウレタン発泡体は、時
間と共に硬化して、前記ポリウレタンフォーム層1とな
り、断熱体11を形成する。
【0041】尚、予め前記ラミネートフィルム5の内面
6にコロナ放電加工を施しておけば、前記ポリエチレン
フィルム9の内面6を化学的に活性化できるから、容器
2内でポリウレタン発泡体がポリウレタンフォーム層1
を形成する際に、前記ポリウレタンフォーム層1の表面
1aを前記容器2の内面6に良好に自己接着させること
ができるようになる。
【0042】〔別実施形態〕上記実施の形態において説
明した以外の本発明の実施の形態について以下に説明す
る。
【0043】〈1〉 上記実施の形態においては、被覆
体3でパネル外装材8を構成してある例について説明し
たが、図6に概念的に示すように、前記被覆体3とは別
体の、断熱パネル10の外皮を形成するパネル外装材8
で前記被覆体3の外側を覆ってもよい。例えば、図7に
示すように、断熱パネル10としての外形を整え、且
つ、その断熱層を保護するパネル外装材8の内部に、前
記被覆体3で被覆したポリウレタンフォーム層1を、断
熱層として周囲に粉状断熱材12を介装した状態で装入
して前記断熱パネル10を形成してもよい。つまり、前
記被覆体3で形成する容器2をパネル外装材8よりも小
さく形成しておき、前記容器2内で前記ポリウレタンフ
ォーム層1を生成して前記被覆体3で被覆された断熱体
11を形成した後に、その断熱体11を前記パネル外装
材8内に装入し、前記断熱体11と前記パネル外装材8
との間に他の断熱材を充填してあってもよい。尚、前記
断熱パネル10の厚み方向における一方の前記パネル外
装材8の内面に前記被覆体3の外面を接着してあっても
よく、また、前記厚み方向における一方の被覆体3をパ
ネル外装材8としてあってもよい。
【0044】〈2〉 上記実施の形態においては、被覆
体3でパネル外装材8を構成してある例について説明し
たが、前記被覆体3とは別体のパネル外装材8を予め前
記被覆体3に被着しておいて、前記被覆体3と前記パネ
ル外装材8とを一体とした容器2を形成して、前記容器
2内で前記ポリウレタンフォーム層1を生成して前記被
覆体3及び前記パネル外装材8とで被覆された断熱体1
1を、断熱パネル10として形成するようにしてもよ
い。
【0045】〈3〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5からなる被覆体3の内面6を前記ポリ
ウレタンフォーム層1の表面1aに接着してある例につ
いて説明したが、前記ポリウレタンフォーム層1の表面
1aに前記被覆体3を密着させてあるだけでもよい。例
えば、上記〈1〉に説明したように、断熱体11の被覆
体3の外側からパネル外装材8で覆い、そのパネル外装
材8と前記断熱体11との間に断熱材12を圧入介装し
て、前記被覆体3を前記ポリウレタンフォーム層1の表
面1aに密着させてもよい。このように前記被覆体3を
前記ポリウレタンフォーム層1の表面1aに密着させれ
ば、前記ポリウレタンフォーム層1内から拡散して洩れ
出す二酸化炭素ガスは、前記表面1aに露出する気泡の
開口部内に閉じ込められるから、前記開口部内では急激
に二酸化炭素ガスの分圧が上昇し、その内側からの二酸
化炭素ガスの拡散漏出を阻止するようになるのである。
尚、前記被覆体3の内面6をポリウレタンが自己接着し
易い材料で形成する代わりに、前記内面6に前記ポリウ
レタンを容易に接着できる接着剤を配してあってもよ
い。
【0046】〈4〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5を、外皮膜5aと、アルミニウム蒸着
膜5bと、ガス透過阻止膜5cと、被覆体3の内面6を
形成する膜材4としての熱融着膜5dとで構成する例に
ついて説明したが、前記ラミネートフィルム5の内面6
をガラス繊維層7で形成してあってもよい。例えば前記
熱融着膜5dとして、ガラス繊維にポリエチレンのよう
な熱融着可能な高分子体を含浸して形成した前記ガラス
繊維層7を用いてもよい。このように形成したガラス繊
維層7は、前記被覆体3の強度維持にも有効であり、ま
た、内面に露出するガラス繊維はポリウレタンの自己接
着を良好にするものでもある。従って、こうしたガラス
繊維層7を前記内面6に配置して、上記実施の形態にお
いて説明したように、前記内面6にコロナ放電加工を施
せば、前記内面6にはガラス繊維がさらに露出するか
ら、前記ポリウレタンの自己接着をさらに強化できる。
【0047】〈5〉 上記実施の形態においては、被覆
体3として内面6をポリエチレンフィルム9からなる膜
材4で形成して、筒状に形成してあるラミネートフィル
ム5の周縁部としての一端側を熱融着により密封して容
器2を形成し、その容器2内でポリウレタンフォーム層
1を形成し、他端側の開口部2aを熱融着により密封す
る例について説明したが、前記周縁部及び開口部2aの
密封は熱融着に限らず、他の手段によって封止してもよ
い。例えば、膜材4の内面に接着剤或いは粘着剤を塗布
して接着し、また、前記膜材4の内面を溶解可能な溶剤
を前記内面に塗布して互いに密着させ、溶着させるよう
にしてもよい。さらに、他の材料で前記周縁部或いは前
記開口部2aを封止可能な、テープ状或いは膜状の接着
シート或いは粘着シート等の封止手段を形成し、前記封
止手段により前記周縁部或いは前記開口部2aを密封す
るようにしてもよい。
【0048】〈6〉 上記実施の形態においては、被覆
体3としてラミネートフィルム5を用いた例について説
明したが、前記被覆体3は気密であればよく、例えば、
図8に示すように、他の材料で前記被覆体3を形成して
あってもよい。つまり、容器2を開閉可能な蓋付きの箱
体に形成し、その開口部2aから発泡ウレタン原液を注
入し、前記蓋を閉じて密封し、断熱パネル10を形成す
るようにしてもよいのである。この箱体を前記被覆体3
とパネル外装材8とを兼ねるように構成すれば、ポリウ
レタン発泡体が硬化すれば、形状の整った断熱パネル1
0を形成できるのである。従って、前記被覆体3は、二
酸化炭素ガスの透過を阻止可能で気密な容器2を形成可
能であればよく、開口部を気密に封止可能な金属缶体或
いは金属容器であってもよく、プラスチック缶体或いは
プラスチック容器であってもよく、内面をプラスチック
被覆してあって開口部を気密に封止可能な金属缶体であ
ってもよい。尚、この被覆体3は、その内面6がポリウ
レタンを接着させ易いものであることが好ましく、前記
内面6が前記ポリウレタンが自己接着しやすい材料で形
成されていることがさらに好ましい。
【0049】〈7〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5の例として、内側にアルミニウム蒸着
膜5bを形成したポリエステルフィルムで外皮膜5aを
形成し、ガス透過阻止膜5cをポリエチレン−ポリビニ
ルアルコール共重合体で形成し、熱融着膜5dをポリエ
チレンフィルム9で形成して、前記外皮膜5aの内側に
前記ガス透過阻止膜5cと前記熱融着膜5dとを順に配
し、互いに接着して形成してあるものについて説明した
が、これら外皮膜5a、ガス透過阻止膜5c、熱融着膜
5dの材質は任意である。因みに、前記ガス透過阻止膜
5cを前記ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合
体で形成する場合には、前記ポリエチレン−ポリビニル
アルコール共重合体が吸湿すると、ガス透過阻止能の低
下をもたらすので、前記アルミニウム蒸着膜5bは、水
蒸気透過阻止膜として前記ポリエチレン−ポリビニルア
ルコール共重合体の外側に配置されているのであるが、
これが熱線反射膜としても機能するのである。ここで、
前記外皮膜5aに水蒸気透過阻止の機能を備えさせるこ
とができれば、或いは、前記ガス透過阻止膜5cとして
吸湿によってもガス透過阻止機能が低下しないものを用
いるならば、前記アルミニウム蒸着膜5bを省いてあっ
てもよい。例えば、被覆体3でポリウレタンフォーム層
1を気密に被覆してある断熱体11をパネル外装材8で
覆ってある場合に、前記パネル外装材8に輻射熱の反射
手段を設けてある場合には、前記被覆体3に同様の手段
を設けなくてもよい場合があるからである。例えば上記
〈1〉で図7を参照して説明した場合のように、断熱体
11とパネル外装材8との間を他の断熱材12で充填す
る場合に、このパネル外装材8と前記断熱体11の被覆
体3との間に前記アルミニウム蒸着膜5bに代わる熱線
反射体を介装しておけばよいのである。
【0050】〈8〉 上記実施の形態においては、製造
工程の一例として、図4を参照して、筒状のラミネート
フィルム5の一端側を熱融着して容器2を形成し、前記
容器2内に水発泡性の二液からなるポリウレタン原液の
一方に水を添加して、両者を共に注入して、ポリウレタ
ン発泡体を生成させ、前記容器2内の空気を排除した
後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止して、前
記ポリウレタン発泡体を前記容器2内に密閉し、その後
前記ポリウレタン発泡体を硬化させてポリウレタンフォ
ーム層1を形成する例について説明したが、前記容器2
内で前記ポリウレタンを発泡、硬化させてポリウレタン
フォーム層1を形成して、前記容器2内の空気を排除し
た後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止するよ
うにしてもよい。こうした工程においても、少なくとも
前記開口部2a以外の内面6には前記ポリウレタンフォ
ーム層1が自己接着しているのである。従って、僅かに
残る前記開口部2aの内面6は、接着剤等を用いて前記
ポリウレタンフォーム層1の表面1aに接着してもよい
のである。尚、この接着は、前記ポリウレタンフォーム
層1の形成直後からできるだけ早い時期に行うのが好ま
しい。
【0051】〈9〉 また、上記〈8〉の代わりに、前
記容器2内に水発泡性のポリウレタン原液と水とを注入
した後、直ちに前記容器2の開口部2aを熱融着により
封止して、前記密封した容器2内で前記ポリウレタンを
発泡、硬化させて前記前記容器2内でポリウレタンフォ
ーム層1を形成するようにしてもよい。この場合におい
ては、前記開口部2aを封止した後にも発泡が継続さ
れ、ポリウレタン発泡体の気泡による内圧により前記ポ
リウレタン発泡体の表面が前記容器2の内面6に密着さ
せられるから、前記容器2の内面6がポリウレタンの自
己接着性の良好な材料で形成されていれば、形成するポ
リウレタンフォーム層1の表面1aが確実に前記被覆体
3の内面6に接着され、また、前記内面6にポリウレタ
ンが自己接着しにくい材料を用いている場合において
も、前記被覆体3の内面6が前記ポリウレタンフォーム
層1の表面1aに密着されるから、前記ポリウレタンフ
ォーム層1内部からの二酸化炭素ガスの拡散漏出を防止
できるのである。
【0052】〈10〉上記実施の形態においては、容器
2内に水発泡性の二液からなるポリウレタン原液を注入
してポリウレタン発泡体を生成させ、容器2内の空気を
排除した後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止
するとして説明したが、前記容器2内に空気が残留しな
いか、除去しなくてもよい程度にしか残留しない場合に
は、上記〈9〉に説明したと同様に、前記ポリウレタン
原液を前記容器2内に注入した後、前記容器2内の空気
を排除することなく前記容器2の開口部2aを封止する
ようにしてもよい。また、前記容器2の形状は、袋状の
被覆体3であってもよく、箱状の被覆体3であってもよ
く、その形状は任意である。また、その容器2は、パネ
ル外装材8を形成するものであってもよく、また、断熱
体11を形成するための外皮であってもよい。従って、
前記被覆体3の厚さは任意であって、それ自身保形性を
備えるだけの厚さにしてあってもよい。
【0053】〈11〉上記実施の形態においては、被覆
体3の中でウレタン発泡体を形成する例について説明し
たが、前記ウレタン発泡体を別の容器内で形成した後
に、被覆体3の中に封入するようにしてもよい。この場
合にも、前記被覆体3をポリウレタンフォーム層1の表
面1aに接着してあることが好ましく、この接着は、で
きるだけ早く行うことが好ましい。
【0054】
【実施例】上記実施の形態において説明した断熱パネル
の一例について断熱特性の経時変化を調べた。実施例に
おける容器、即ち被覆体としてはラミネートフィルムを
用いた。用いたラミネートフィルムの構成は次の通りで
ある。
【0055】
【表1】
【0056】実施例においては、ラミネートフィルムは
2枚用い、熱融着膜側の面を重ね合わせて、幅方向両側
の辺及び長さ方向片側の一辺に沿って熱融着し、袋状の
容器を形成した。この容器内に水発泡ポリウレタン原液
約60gを注入し、前記容器内で発泡させた。発泡完了
後直ちに前記容器の開口部をポリウレタン発泡体との間
に隙間が生じないように熱融着し、封止して硬化させ
て、断熱体を形成した。つまり、封止した開口部にもポ
リウレタン発泡体を自己接着させた。形成された発泡体
の寸法は、長さ、幅共に約230mm、厚さ25mmで
あった。尚、同じ水発泡ウレタン原液を長さ、幅共に約
200mm、深さ25mmの型枠内で発泡・硬化させ
た、裸のウレタン発泡体からなる断熱体を比較例として
用意した。
【0057】両者の熱伝導率の経時変化を、JIS A
1412(1994)に定められた熱流計法により測
定した。前記熱伝導率の測定は、測定温度を23℃とし
て行った。測定した熱伝導率は表2に示すとおりであっ
た。
【0058】
【表2】
【0059】表2から明らかなように、比較例における
熱伝導率は、1週間で約5%増大し、2週間で約9%増
大し、5週間では約24%増大し、7週間では約30%
増大し、次第に飽和する傾向は示しているものの、9週
間に至っては、約35%増大する。これに対して、本発
明に係る断熱体の熱伝導率は、断熱体形成の翌日から9
週間にわたって変化せず安定している。尚、本発明に係
る断熱体においては、熱伝導率の増大は、高々0.8%
に過ぎなかった。
【0060】以上の結果から、水発泡ウレタンからなる
ポリウレタン発泡体に被覆体を接着し、その被覆体に二
酸化炭素ガスの透過阻止能力を付与してあれば、長期安
定して断熱特性が高く維持できることが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱パネルの一例を示す斜視図
【図2】図1に示した断熱パネルの縦断面図
【図3】図2の部分拡大図
【図4】本発明に係る断熱パネルの製造工程を説明する
斜視図
【図5】本発明に係る断熱パネルの製造工程を説明する
斜視図
【図6】本発明に係る断熱パネルの他の例を示す斜視図
【図7】図6に示した断熱パネルの断面図
【図8】本発明に係る断熱パネルの製造工程の他の例を
説明する斜視図
【符号の説明】
1 ポリウレタンフォーム層 1a ポリウレタンフォーム層の表面 2 容器 2a 容器の開口部 3 被覆体 4 膜材 5 ラミネートフィルム 6 内面 7 ガラス繊維層 8 パネル外装材 9 ポリエチレンフィルム
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月2日(2000.5.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 断熱パネル及びその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタンフォ
ーム層を断熱層として備える断熱パネル及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】上記従来の断熱パネルは、主として低温
液化ガス輸送船のタンクや陸上の低温液化ガスを収容す
るタンク等の断熱に用いられるものがある。これらのタ
ンクにおいては、外部からの熱の侵入による液化ガスの
蒸発を抑制するもので、各種の断熱材や断熱工法が用い
られているが、断熱層としてポリウレタンフォーム層を
用いるものが代表的である。そのポリウレタンフォーム
層を形成するための発泡剤には、主としてフロン系のH
CFC−141bが主として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の発泡剤であ
るHCFC−141bは、地球環境問題としてのオゾン
層の破壊原因であるとして、数年後には使用ができなく
なる予定である。このために、代替発泡剤が種々検討さ
れており、前記オゾン層の破壊原因にはならないフロン
系のHFC−245fa、HFC−365mfcや、炭
化水素系発泡剤、水等が候補として挙げられているが、
前記HFC−245fa及び前記HFC−365mfc
は、前記オゾン層の破壊原因ではないが、地球温暖化ガ
スとして規制の対象となるものである。因みに、前記H
FC−245fa及びHFC−365mfcは、オゾン
破壊係数は0であるが、温暖化係数は夫々、820、8
40である。また、前記炭化水素系発泡剤は、可燃性ガ
スを発生するものであるため、製造設備が防爆仕様でな
ければならないという制約があり、また、ポリウレタン
発泡体を製造する際に危険を伴うおそれもある。さら
に、両者共に、供給のための工場設備を必要とし、資源
・エネルギーの消費量も無視できないという問題も有し
ている。
【0004】
【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1の発明
の特徴構成は、ポリウレタンフォーム層を断熱層として
備える断熱パネルであって、前記ポリウレタンフォーム
層を二酸化炭素ガス発泡のポリウレタン発泡体から形成
し、前記二酸化炭素ガスの透過を阻止可能で、且つ、内
面にガラス繊維層を形成してあるラミネートフィルムで
前記ポリウレタンフォーム層の全周を気密に覆ってある
点にある。
【0005】請求項2の発明の特徴構成は、前記ラミネ
ートフィルムとは別体のパネル外装材で前記ラミネート
フィルムの外側を覆ってある点にある。
【0006】請求項3の発明の特徴構成は、ポリウレタ
ンフォーム層を断熱層として備える断熱パネルの製造方
法であって、前記ポリウレタンフォーム層を二酸化炭素
ガス発泡のポリウレタン発泡体から形成し、前記二酸化
炭素ガスの透過を阻止可能なラミネートフィルムの内面
にコロナ放電加工を施して、前記ラミネートフイルム
内面を化学的に活性化した後、前記ラミネートフイルム
を熱溶着して前記ポリウレタンフォーム層の全周を気密
に覆う点にある。
【0007】〔作用及び効果〕請求項1の発明により
前記ポリウレタンフォーム層を二酸化炭素ガス発泡のポ
リウレタン発泡体から形成し、前記二酸化炭素ガスの透
過を阻止可能で、且つ、内面にガラス繊維層を形成して
あるラミネートフイルムで前記ポリウレタンフォーム層
の全周を気密に覆ってあるから、ポリウレタンフォーム
との接着性を向上させることができると共に、断熱特性
の経時的な劣化を防止することができる。つまり、二酸
化炭素ガスで発泡させたポリウレタン発泡体は、元来発
泡ガスが逃げやすく、経時的に断熱特性が低下しやすい
ものであるが、前記二酸化炭素ガスの透過を阻止可能な
ラミネートフィルムで気密に覆ってあることから、前記
二酸化炭素ガスが外部に放出されることがない。従っ
て、仮に前記二酸化炭素ガスがポリウレタンフォーム層
から漏出したとしても、漏出したガスは前記ラミネート
フイルム内の空間内に閉じ込められており、その漏出空
間内における前記漏出した二酸化炭素ガスの前記ラミネ
ートフィルム内における分圧が次第に高まるから、前記
ポリウレタンフォーム層からの二酸化炭素ガスの漏出を
抑制できる。また、内側に露出させたガラス繊維層によ
って、ポリウレタンフォームとの接着性を向上させてラ
ミネートフィルムとポリウレタンフォームとの一体結合
力を大とすることができ、ラミネートフィルムがずれる
のを防止することができるから、ラミネートフイルムと
ポリウレタンフォームとの協働作用により、外力を受け
たときに断熱パネルが変形したり、ラミネートフィルム
が破れたりするのを防止することができる。その結果、
保形性を向上させることができると共に、二酸化炭素ガ
スが漏れて断熱特性が低下するのを防止することができ
る断熱パネルを提供できるようになった。
【0008】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
による作用効果を叶えることができるのに加えて、前記
ラミネートフイルムとは別体のパネル外装材で前記ラミ
ネートフイルムの外側を覆ってあるから、断熱パネルの
外形を整えることができると共に、断熱層を保護するこ
とができる。つまり、パネル外装材内に収容可能で、且
つ、ポリウレタンフォーム層を形成容易な形状のラミネ
ートフイルム内でポリウレタンを発泡させて、前記ポリ
ウレタンフォーム層を形成し、形成した断熱材を、断熱
施工部位に適合する形状に形成したパネル外装材の中に
装入して断熱パネルを形成することが可能となるため、
断熱施工部位に適合する形状を有した断熱パネルを容易
に製造することができると共に、前記パネル外装材で断
熱材の外側を覆うことができる。その結果、容易に断熱
パネルの外形を整えることができると共に、断熱層を損
傷から保護することができる断熱パネルを提供できるよ
うになった。
【0009】請求項3の発明によれば、前記ポリウレタ
ンフォーム層を二酸化炭素ガス発泡のポリウレタン発泡
体から形成し、前記二酸化炭素ガスの透過を阻止可能な
ラミネートフィルムの内面にコロナ放電加工を施して、
前記ラミネートフイルムの内面を化学的に活性化した
後、前記ラミネートフイルムを熱溶着して前記ポリウレ
タンフォーム層の全周を気密に覆うから、断熱性能の経
時的低下を確実に防止した断熱パネルを製造できる。つ
まり、二酸化炭素ガスで発泡させたポリウレタン発泡体
は、元来発泡ガスが逃げやすく、経時的に断熱特性が低
下しやすいものであるが、前記二酸化炭素ガスの透過を
阻止可能なラミネートフィルムで気密に覆ってあること
から、前記二酸化炭素ガスが外部に放出されることがな
い。従って、仮に前記二酸化炭素ガスがポリウレタンフ
ォーム層から漏出したとしても、漏出したガスは前記ラ
ミネートフイルム内の空間内に閉じ込められており、そ
の漏出空間内における前記漏出した二酸化炭素ガスの前
記ラミネートフィルム内における分圧が次第に高まるか
ら、前記ポリウレタンフォーム層からの二酸化炭素ガス
の漏出を抑制できる。また、ラミネートフィルムの内面
を化学的に活性化した後、熱溶着させることで、 前記
ラミネートフィルムの内面とポリウレタンフォーム層の
表面との接着性を向上させることができるようになるた
め、ポリウレタンフォームとの接着性が向上し、ラミネ
ートフィルムとポリウレタンフォームとの一体結合力を
増大させることができ、ラミネートフィルムが剥がれる
のを防止することができるから、ラミネートフィルムと
ポリウレタンフォームとの協働により、外力を受けたと
きに断熱パネルが変形したり、ラミネートフィルムが破
れたりするのを防止することができる。その結果、保形
性を向上させることができると共に、二酸化炭素ガスが
漏れて断熱特性が低下するのを防止できる断熱パネルの
製造方法を提供できるようになった。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る断熱パネル及
びその製造方法の実施形態の一例ついて図面を参照しな
がら説明する。図1は本発明に係る断熱パネルの一例を
示す斜視図であり、図2はその断面図であり、図3はそ
の要部拡大断面図であり、図4及び図5はその製造のた
めの被覆体からなる容器の製造工程の説明図である。
【0011】図1に示すように、断熱パネル10は、断
熱層をラミネートフィルム5で被覆して平板状の断熱体
11に形成してあり、その一端部側で両側面を形成する
ラミネートフィルム5を熱融着して封止してある。前記
ラミネートフィルム5は、前記断熱層を気密に覆う被覆
体3の一例である。前記ラミネートフィルム5は、断熱
パネル10の外形を整え、且つ、前記断熱層を保護する
パネル外装材8としても機能するものである。具体的に
は、図2に断面を示すように、前記断熱層を形成するポ
リウレタンフォーム層1の全周を、ラミネートフィルム
5を被覆体3として気密に覆って断熱体11を形成して
あり、前記ラミネートフィルム5の内面6を前記ポリウ
レタンフォーム層1の表面1aに接着してある。前記ラ
ミネートフィルム5は、例えば図3に拡大して示すよう
に、外皮膜5aと、アルミニウム蒸着膜5bと、ガス透
過阻止膜5cと、被覆体3の内面6を形成する膜材4と
しての熱融着膜5dとで構成することができる。
【0012】前記ポリウレタンフォーム層1は、二酸化
炭素ガスで発泡させたものであり、前記ラミネートフィ
ルム5で形成した袋の内側でポリウレタンを発泡させて
ポリウレタン発泡体を形成して、表面1aを前記ラミネ
ートフィルム5の内面6に自己接着させたものである。
そして、図3に示したラミネートフィルム5にあって
は、例えば内側に前記アルミニウム蒸着膜5bを形成し
たポリエステルフィルムで前記外皮膜5aを形成し、前
記ガス透過阻止膜5cをポリエチレン−ポリビニルアル
コール共重合体で形成し、前記熱融着膜5dをポリエチ
レンフィルム9で形成して、前記外皮膜5aの内側に前
記ガス透過阻止膜5cと前記熱融着膜5dとを順に配
し、互いに接着して形成してあれば、前記外皮膜5aが
その内側を保護し、前記熱融着膜5dが前記ポリウレタ
ンフォーム層1の自己接着を良好に維持し、前記ガス透
過阻止膜5cが断熱パネル10の断熱特性の低下を防止
するのである。前記熱融着膜5dとしてのポリエチレン
フィルム9は、前記ポリウレタンに対して接着性の良好
な膜材4でもあり、前記ポリウレタンフォーム層1の自
己接着を良好に維持できる膜材4として前記被覆体3の
内面6を形成し、前記ガス透過阻止膜5cを形成するポ
リエチレン−ポリビニルアルコール共重合体からなるフ
ィルムが前記ポリウレタンフォーム層1から洩れ出した
二酸化炭素ガスが仮に前記ポリエチレンフィルム9を透
過したとしても、その透過した二酸化炭素ガスの前記外
皮膜5a側への透過を阻止して、前記断熱体11から前
記二酸化炭素ガスが拡散放出されるのを防止するのであ
る。この断熱体11が断熱パネル10として用いられる
のである。
【0013】上述の断熱パネル10を製造する工程の一
例について説明すると、 [1]図4に示すように、内面6をポリウレタンに対し
て接着性の良好なポリエチレンフィルム9からなる膜材
4で形成してある筒状のラミネートフィルム5(同図
(イ)参照)の一端側を熱融着して袋状又は箱状の容器
2を形成する(同図(ロ)参照)。 [2]次いで、図5に示すように、前記容器2内に水発
泡性の二液からなるポリウレタン原液の一方に水を添加
して、両者を共に注入する(同図(イ)参照)。前記一
方のポリウレタン原液は水とは反応しないもので、他方
のポリウレタン原液と反応してポリウレタンを生成する
もので、前記他方のポリウレタン原液は水と接触すれば
反応して二酸化炭素ガスを生成するものである。従っ
て、前記容器2内に前記両ポリウレタン原液が注入され
れば、反応してポリウレタンを生成しながら、内部に前
記二酸化炭素ガスで形成される気泡を含むようになる。
[3]ここで、前記容器2内の空気を排除し(同図
(ロ)参照)、前記容器2の開口部2aを熱融着して封
止しポリウレタン発泡体を前記容器2内に密閉する(同
図(ハ)参照)。 [4]前記容器2内に密閉されたポリウレタン発泡体を
養生すれば、前記密閉状態のポリウレタン発泡体は、時
間と共に硬化して、前記ポリウレタンフォーム層1とな
り、断熱体11を形成する。
【0014】尚、予め前記ラミネートフィルム5の内面
6にコロナ放電加工を施しておけば、前記ポリエチレン
フィルム9の内面6を化学的に活性化できるから、容器
2内でポリウレタン発泡体がポリウレタンフォーム層1
を形成する際に、前記ポリウレタンフォーム層1の表面
1aを前記容器2の内面6に良好に自己接着させること
ができるようになる。
【0015】〔別実施形態〕上記実施の形態において説
明した以外の本発明の実施の形態について以下に説明す
る。
【0016】〈1〉 上記実施の形態においては、被覆
体3でパネル外装材8を構成してある例について説明し
たが、図6に概念的に示すように、前記被覆体3とは別
体の、断熱パネル10の外皮を形成するパネル外装材8
で前記被覆体3の外側を覆ってもよい。例えば、図7に
示すように、断熱パネル10としての外形を整え、且
つ、その断熱層を保護するパネル外装材8の内部に、前
記被覆体3で被覆したポリウレタンフォーム層1を、断
熱層として周囲に粉状断熱材12を介装した状態で装入
して前記断熱パネル10を形成してもよい。つまり、前
記被覆体3で形成する容器2をパネル外装材8よりも小
さく形成しておき、前記容器2内で前記ポリウレタンフ
ォーム層1を生成して前記被覆体3で被覆された断熱体
11を形成した後に、その断熱体11を前記パネル外装
材8内に装入し、前記断熱体11と前記パネル外装材8
との間に他の断熱材を充填してあってもよい。尚、前記
断熱パネル10の厚み方向における一方の前記パネル外
装材8の内面に前記被覆体3の外面を接着してあっても
よく、また、前記厚み方向における一方の被覆体3をパ
ネル外装材8としてあってもよい。
【0017】〈2〉 上記実施の形態においては、被覆
体3でパネル外装材8を構成してある例について説明し
たが、前記被覆体3とは別体のパネル外装材8を予め前
記被覆体3に被着しておいて、前記被覆体3と前記パネ
ル外装材8とを一体とした容器2を形成して、前記容器
2内で前記ポリウレタンフォーム層1を生成して前記被
覆体3及び前記パネル外装材8とで被覆された断熱体1
1を、断熱パネル10として形成するようにしてもよ
い。
【0018】〈3〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5からなる被覆体3の内面6を前記ポリ
ウレタンフォーム層1の表面1aに接着してある例につ
いて説明したが、前記ポリウレタンフォーム層1の表面
1aに前記被覆体3を密着させてあるだけでもよい。例
えば、上記〈1〉に説明したように、断熱体11の被覆
体3の外側からパネル外装材8で覆い、そのパネル外装
材8と前記断熱体11との間に断熱材12を圧入介装し
て、前記被覆体3を前記ポリウレタンフォーム層1の表
面1aに密着させてもよい。このように前記被覆体3を
前記ポリウレタンフォーム層1の表面1aに密着させれ
ば、前記ポリウレタンフォーム層1内から拡散して洩れ
出す二酸化炭素ガスは、前記表面1aに露出する気泡の
開口部内に閉じ込められるから、前記開口部内では急激
に二酸化炭素ガスの分圧が上昇し、その内側からの二酸
化炭素ガスの拡散漏出を阻止するようになるのである。
尚、前記被覆体3の内面6をポリウレタンが自己接着し
易い材料で形成する代わりに、前記内面6に前記ポリウ
レタンを容易に接着できる接着剤を配してあってもよ
い。
【0019】〈4〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5を、外皮膜5aと、アルミニウム蒸着
膜5bと、ガス透過阻止膜5cと、被覆体3の内面6を
形成する膜材4としての熱融着膜5dとで構成する例に
ついて説明したが、前記ラミネートフィルム5の内面6
をガラス繊維層7で形成してあってもよい。例えば前記
熱融着膜5dとして、ガラス繊維にポリエチレンのよう
な熱融着可能な高分子体を含浸して形成した前記ガラス
繊維層7を用いてもよい。このように形成したガラス繊
維層7は、前記被覆体3の強度維持にも有効であり、ま
た、内面に露出するガラス繊維はポリウレタンの自己接
着を良好にするものでもある。従って、こうしたガラス
繊維層7を前記内面6に配置して、上記実施の形態にお
いて説明したように、前記内面6にコロナ放電加工を施
せば、前記内面6にはガラス繊維がさらに露出するか
ら、前記ポリウレタンの自己接着をさらに強化できる。
【0020】〈5〉 上記実施の形態においては、被覆
体3として内面6をポリエチレンフィルム9からなる膜
材4で形成して、筒状に形成してあるラミネートフィル
ム5の周縁部としての一端側を熱融着により密封して容
器2を形成し、その容器2内でポリウレタンフォーム層
1を形成し、他端側の開口部2aを熱融着により密封す
る例について説明したが、前記周縁部及び開口部2aの
密封は熱融着に限らず、他の手段によって封止してもよ
い。例えば、膜材4の内面に接着剤或いは粘着剤を塗布
して接着し、また、前記膜材4の内面を溶解可能な溶剤
を前記内面に塗布して互いに密着させ、溶着させるよう
にしてもよい。さらに、他の材料で前記周縁部或いは前
記開口部2aを封止可能な、テープ状或いは膜状の接着
シート或いは粘着シート等の封止手段を形成し、前記封
止手段により前記周縁部或いは前記開口部2aを密封す
るようにしてもよい。
【0021】〈6〉 上記実施の形態においては、被覆
体3としてラミネートフィルム5を用いた例について説
明したが、前記被覆体3は気密であればよく、例えば、
図8に示すように、他の材料で前記被覆体3を形成して
あってもよい。つまり、容器2を開閉可能な蓋付きの箱
体に形成し、その開口部2aから発泡ウレタン原液を注
入し、前記蓋を閉じて密封し、断熱パネル10を形成す
るようにしてもよいのである。この箱体を前記被覆体3
とパネル外装材8とを兼ねるように構成すれば、ポリウ
レタン発泡体が硬化すれば、形状の整った断熱パネル1
0を形成できるのである。従って、前記被覆体3は、二
酸化炭素ガスの透過を阻止可能で気密な容器2を形成可
能であればよく、開口部を気密に封止可能な金属缶体或
いは金属容器であってもよく、プラスチック缶体或いは
プラスチック容器であってもよく、内面をプラスチック
被覆してあって開口部を気密に封止可能な金属缶体であ
ってもよい。尚、この被覆体3は、その内面6がポリウ
レタンを接着させ易いものであることが好ましく、前記
内面6が前記ポリウレタンが自己接着しやすい材料で形
成されていることがさらに好ましい。
【0022】〈7〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5の例として、内側にアルミニウム蒸着
膜5bを形成したポリエステルフィルムで外皮膜5aを
形成し、ガス透過阻止膜5cをポリエチレン−ポリビニ
ルアルコール共重合体で形成し、熱融着膜5dをポリエ
チレンフィルム9で形成して、前記外皮膜5aの内側に
前記ガス透過阻止膜5cと前記熱融着膜5dとを順に配
し、互いに接着して形成してあるものについて説明した
が、これら外皮膜5a、ガス透過阻止膜5c、熱融着膜
5dの材質は任意である。因みに、前記ガス透過阻止膜
5cを前記ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合
体で形成する場合には、前記ポリエチレン−ポリビニル
アルコール共重合体が吸湿すると、ガス透過阻止能の低
下をもたらすので、前記アルミニウム蒸着膜5bは、水
蒸気透過阻止膜として前記ポリエチレン−ポリビニルア
ルコール共重合体の外側に配置されているのであるが、
これが熱線反射膜としても機能するのである。ここで、
前記外皮膜5aに水蒸気透過阻止の機能を備えさせるこ
とができれば、或いは、前記ガス透過阻止膜5cとして
吸湿によってもガス透過阻止機能が低下しないものを用
いるならば、前記アルミニウム蒸着膜5bを省いてあっ
てもよい。例えば、被覆体3でポリウレタンフォーム層
1を気密に被覆してある断熱体11をパネル外装材8で
覆ってある場合に、前記パネル外装材8に輻射熱の反射
手段を設けてある場合には、前記被覆体3に同様の手段
を設けなくてもよい場合があるからである。例えば上記
〈1〉で図7を参照して説明した場合のように、断熱体
11とパネル外装材8との間を他の断熱材12で充填す
る場合に、このパネル外装材8と前記断熱体11の被覆
体3との間に前記アルミニウム蒸着膜5bに代わる熱線
反射体を介装しておけばよいのである。
【0023】〈8〉 上記実施の形態においては、製造
工程の一例として、図4を参照して、筒状のラミネート
フィルム5の一端側を熱融着して容器2を形成し、前記
容器2内に水発泡性の二液からなるポリウレタン原液の
一方に水を添加して、両者を共に注入して、ポリウレタ
ン発泡体を生成させ、前記容器2内の空気を排除した
後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止して、前
記ポリウレタン発泡体を前記容器2内に密閉し、その後
前記ポリウレタン発泡体を硬化させてポリウレタンフォ
ーム層1を形成する例について説明したが、前記容器2
内で前記ポリウレタンを発泡、硬化させてポリウレタン
フォーム層1を形成して、前記容器2内の空気を排除し
た後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止するよ
うにしてもよい。こうした工程においても、少なくとも
前記開口部2a以外の内面6には前記ポリウレタンフォ
ーム層1が自己接着しているのである。従って、僅かに
残る前記開口部2aの内面6は、接着剤等を用いて前記
ポリウレタンフォーム層1の表面1aに接着してもよい
のである。尚、この接着は、前記ポリウレタンフォーム
層1の形成直後からできるだけ早い時期に行うのが好ま
しい。
【0024】〈9〉 また、上記〈8〉の代わりに、前
記容器2内に水発泡性のポリウレタン原液と水とを注入
した後、直ちに前記容器2の開口部2aを熱融着により
封止して、前記密封した容器2内で前記ポリウレタンを
発泡、硬化させて前記前記容器2内でポリウレタンフォ
ーム層1を形成するようにしてもよい。この場合におい
ては、前記開口部2aを封止した後にも発泡が継続さ
れ、ポリウレタン発泡体の気泡による内圧により前記ポ
リウレタン発泡体の表面が前記容器2の内面6に密着さ
せられるから、前記容器2の内面6がポリウレタンの自
己接着性の良好な材料で形成されていれば、形成するポ
リウレタンフォーム層1の表面1aが確実に前記被覆体
3の内面6に接着され、また、前記内面6にポリウレタ
ンが自己接着しにくい材料を用いている場合において
も、前記被覆体3の内面6が前記ポリウレタンフォーム
層1の表面1aに密着されるから、前記ポリウレタンフ
ォーム層1内部からの二酸化炭素ガスの拡散漏出を防止
できるのである。
【0025】〈10〉上記実施の形態においては、容器
2内に水発泡性の二液からなるポリウレタン原液を注入
してポリウレタン発泡体を生成させ、容器2内の空気を
排除した後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止
するとして説明したが、前記容器2内に空気が残留しな
いか、除去しなくてもよい程度にしか残留しない場合に
は、上記〈9〉に説明したと同様に、前記ポリウレタン
原液を前記容器2内に注入した後、前記容器2内の空気
を排除することなく前記容器2の開口部2aを封止する
ようにしてもよい。また、前記容器2の形状は、袋状の
被覆体3であってもよく、箱状の被覆体3であってもよ
く、その形状は任意である。また、その容器2は、パネ
ル外装材8を形成するものであってもよく、また、断熱
体11を形成するための外皮であってもよい。従って、
前記被覆体3の厚さは任意であって、それ自身保形性を
備えるだけの厚さにしてあってもよい。
【0026】〈11〉上記実施の形態においては、被覆
体3の中でウレタン発泡体を形成する例について説明し
たが、前記ウレタン発泡体を別の容器内で形成した後
に、被覆体3の中に封入するようにしてもよい。この場
合にも、前記被覆体3をポリウレタンフォーム層1の表
面1aに接着してあることが好ましく、この接着は、で
きるだけ早く行うことが好ましい。
【0027】
【実施例】上記実施の形態において説明した断熱パネル
の一例について断熱特性の経時変化を調べた。実施例に
おける容器、即ち被覆体としてはラミネートフィルムを
用いた。用いたラミネートフィルムの構成は次の通りで
ある。
【0028】
【表1】
【0029】実施例においては、ラミネートフィルムは
2枚用い、熱融着膜側の面を重ね合わせて、幅方向両側
の辺及び長さ方向片側の一辺に沿って熱融着し、袋状の
容器を形成した。この容器内に水発泡ポリウレタン原液
約60gを注入し、前記容器内で発泡させた。発泡完了
後直ちに前記容器の開口部をポリウレタン発泡体との間
に隙間が生じないように熱融着し、封止して硬化させ
て、断熱体を形成した。つまり、封止した開口部にもポ
リウレタン発泡体を自己接着させた。形成された発泡体
の寸法は、長さ、幅共に約230mm、厚さ25mmで
あった。尚、同じ水発泡ウレタン原液を長さ、幅共に約
200mm、深さ25mmの型枠内で発泡・硬化させ
た、裸のウレタン発泡体からなる断熱体を比較例として
用意した。
【0030】両者の熱伝導率の経時変化を、JIS A
1412(1994)に定められた熱流計法により測
定した。前記熱伝導率の測定は、測定温度を23℃とし
て行った。測定した熱伝導率は表2に示すとおりであっ
た。
【0031】
【表2】
【0032】表2から明らかなように、比較例における
熱伝導率は、1週間で約5%増大し、2週間で約9%増
大し、5週間では約24%増大し、7週間では約30%
増大し、次第に飽和する傾向は示しているものの、9週
間に至っては、約35%増大する。これに対して、本発
明に係る断熱体の熱伝導率は、断熱体形成の翌日から9
週間にわたって変化せず安定している。尚、本発明に係
る断熱体においては、熱伝導率の増大は、高々0.8%
に過ぎなかった。
【0033】以上の結果から、水発泡ウレタンからなる
ポリウレタン発泡体に被覆体を接着し、その被覆体に二
酸化炭素ガスの透過阻止能力を付与してあれば、長期安
定して断熱特性が高く維持できることが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱パネルの一例を示す斜視図
【図2】図1に示した断熱パネルの縦断面図
【図3】図2の部分拡大図
【図4】本発明に係る断熱パネルの製造工程を説明する
斜視図
【図5】本発明に係る断熱パネルの製造工程を説明する
斜視図
【図6】本発明に係る断熱パネルの他の例を示す斜視図
【図7】図6に示した断熱パネルの断面図
【図8】本発明に係る断熱パネルの製造工程の他の例を
説明する斜視図
【符号の説明】 1 ポリウレタンフォーム層 1a ポリウレタンフォーム層の表面 2 容器 2a 容器の開口部 3 被覆体 4 膜材 5 ラミネートフィルム 6 内面 7 ガラス繊維層 8 パネル外装材 9 ポリエチレンフィルム ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月31日(2000.8.3
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 断熱パネル及びその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタンフォ
ーム層を断熱層として備える断熱パネル及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】上記従来の断熱パネルは、主として低温
液化ガス輸送船のタンクや陸上の低温液化ガスを収容す
るタンク等の断熱に用いられるものがある。これらのタ
ンクにおいては、外部からの熱の侵入による液化ガスの
蒸発を抑制するもので、各種の断熱材や断熱工法が用い
られているが、断熱層としてポリウレタンフォーム層を
用いるものが代表的である。そのポリウレタンフォーム
層を形成するための発泡剤には、主としてフロン系のH
CFC−141bが主として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の発泡剤であ
るHCFC−141bは、地球環境問題としてのオゾン
層の破壊原因であるとして、数年後には使用ができなく
なる予定である。このために、代替発泡剤が種々検討さ
れており、前記オゾン層の破壊原因にはならないフロン
系のHFC−245fa、HFC−365mfcや、炭
化水素系発泡剤、水等が候補として挙げられているが、
前記HFC−245fa及び前記HFC−365mfc
は、前記オゾン層の破壊原因ではないが、地球温暖化ガ
スとして規制の対象となるものである。因みに、前記H
FC−245fa及びHFC−365mfcは、オゾン
破壊係数は0であるが、温暖化係数は夫々、820、8
40である。また、前記炭化水素系発泡剤は、可燃性ガ
スを発生するものであるため、製造設備が防爆仕様でな
ければならないという制約があり、また、ポリウレタン
発泡体を製造する際に危険を伴うおそれもある。さら
に、両者共に、供給のための工場設備を必要とし、資源
・エネルギーの消費量も無視できないという問題も有し
ている。
【0004】
【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1の発明
の特徴構成は、ポリウレタンフォーム層を断熱層として
備える断熱パネルであって、前記ポリウレタンフォーム
層を二酸化炭素ガス発泡のポリウレタン発泡体から形成
し、前記二酸化炭素ガスの透過を阻止可能で、且つ、内
面にガラス繊維層を形成してあるラミネートフィルムで
前記ポリウレタンフォーム層の全周を気密に覆ってある
点にある。
【0005】請求項2の発明の特徴構成は、前記ラミネ
ートフィルムとは別体のパネル外装材で前記ラミネート
フィルムの外側を覆ってある点にある。
【0006】請求項3の発明の特徴構成は、ポリウレタ
ンフォーム層を断熱層として備える断熱パネルの製造方
法であって、前記ポリウレタンフォーム層を二酸化炭素
ガス発泡のポリウレタン発泡体から形成し、前記二酸化
炭素ガスの透過を阻止可能なラミネートフィルムの内面
にコロナ放電加工を施して、前記ラミネートフイルムの
内面を化学的に活性化した後、前記ラミネートフイルム
を熱溶着して前記ポリウレタンフォーム層の全周を気密
に覆う点にある。
【0007】〔作用及び効果〕請求項1の発明により、
前記ポリウレタンフォーム層を二酸化炭素ガス発泡のポ
リウレタン発泡体から形成し、前記二酸化炭素ガスの透
過を阻止可能で、且つ、内面にガラス繊維層を形成して
あるラミネートフイルムで前記ポリウレタンフォーム層
の全周を気密に覆ってあるから、ラミネートフィルムの
内面への自己接着を確実にできると共に、断熱特性の経
時的な劣化を防止することができる。つまり、二酸化炭
素ガスで発泡させたポリウレタン発泡体は、元来発泡ガ
スが逃げやすく、経時的に断熱特性が低下しやすいもの
であるが、前記二酸化炭素ガスの透過を阻止可能なラミ
ネートフィルムで気密に覆ってあることから、前記二酸
化炭素ガスが外部に放出されることがない。従って、仮
に前記二酸化炭素ガスがポリウレタンフォーム層から漏
出したとしても、漏出したガスは前記ラミネートフイル
ム内の空間内に閉じ込められており、その漏出空間内に
おける前記漏出した二酸化炭素ガスの前記ラミネートフ
ィルム内における分圧が次第に高まるから、前記ポリウ
レタンフォーム層からの二酸化炭素ガスの漏出を抑制で
きる。その上、ガラス繊維層は、前記ラミネートフィル
ムの強度維持にも有効であり、また、内面に露出するガ
ラス繊維層はポリウレタンの自己接着を良好にするもの
でもある。従って、ガラス繊維層の存在によって、ポリ
ウレタンフォーム層を形成するポリウレタンによる前記
ラミネートフィルムの内面への自己接着を確実にできる
と共に、断熱パネルの断熱特性の低下を防止できる。こ
の点からは、前記被覆体内の空間内における二酸化炭素
ガス分圧を高める手段を講じておけば、前記ポリウレタ
ンフォーム層からの二酸化炭素ガスの漏出をより確実に
抑制できる。
【0008】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
による作用効果を叶えることができるのに加えて、前記
ラミネートフイルムとは別体のパネル外装材で前記ラミ
ネートフイルムの外側を覆ってあるから、断熱施工部位
に適合する断熱パネルを容易に製造できる。つまり、パ
ネル外装材内に収容可能で、且つ、ポリウレタンフォー
ム層を形成容易な形状のラミネートフイルム内でポリウ
レタンを発泡させて、前記ポリウレタンフォーム層を形
成し、形成した断熱材を前記パネル外装材の中に装入し
て断熱パネルを形成することが可能になる。従って、ポ
リウレタンフォーム層を、断熱特性を良好に維持できる
形状に形成することができるから、断熱パネルの断熱特
性を良好に維持できるようになる。尚、前記パネル外装
材と前記被覆体内に密封した前記ポリウレタンフォーム
層との間には、粉体状等の断熱材を封入しておけば一層
効果的である。ここに、前記パネル外装材とは、断熱パ
ネルの外表面を形成し、前記断熱パネルの外形を保持す
ると共に、断熱層を損傷から保護する役割を担う表面形
成材を指すものである。
【0009】請求項3の発明によれば、前記ポリウレタ
ンフォーム層を二酸化炭素ガス発泡のポリウレタン発泡
体から形成し、前記二酸化炭素ガスの透過を阻止可能な
ラミネートフィルムの内面にコロナ放電加工を施して、
前記ラミネートフイルムの内面を化学的に活性化した
後、前記ラミネートフイルムを熱溶着して前記ポリウレ
タンフォーム層の全周を気密に覆うから、ラミネートフ
ィルムの内面に配したポリエチレンをコロナ放電加工に
より化学的に活性化することで、ウレタンとポリエチレ
ンの接着性をさらに向上でき、断熱性能の経時的低下を
確実に防止した断熱パネルを製造できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る断熱パネル及
びその製造方法の実施形態の一例ついて図面を参照しな
がら説明する。図1は本発明に係る断熱パネルの一例を
示す斜視図であり、図2はその断面図であり、図3はそ
の要部拡大断面図であり、図4及び図5はその製造のた
めの被覆体からなる容器の製造工程の説明図である。
【0011】図1に示すように、断熱パネル10は、断
熱層をラミネートフィルム5で被覆して平板状の断熱体
11に形成してあり、その一端部側で両側面を形成する
ラミネートフィルム5を熱融着して封止してある。前記
ラミネートフィルム5は、前記断熱層を気密に覆う被覆
体3の一例である。前記ラミネートフィルム5は、断熱
パネル10の外形を整え、且つ、前記断熱層を保護する
パネル外装材8としても機能するものである。具体的に
は、図2に断面を示すように、前記断熱層を形成するポ
リウレタンフォーム層1の全周を、ラミネートフィルム
5を被覆体3として気密に覆って断熱体11を形成して
あり、前記ラミネートフィルム5の内面6を前記ポリウ
レタンフォーム層1の表面1aに接着してある。前記ラ
ミネートフィルム5は、例えば図3に拡大して示すよう
に、外皮膜5aと、アルミニウム蒸着膜5bと、ガス透
過阻止膜5cと、被覆体3の内面6を形成する膜材4と
しての熱融着膜5dとで構成することができる。
【0012】前記ポリウレタンフォーム層1は、二酸化
炭素ガスで発泡させたものであり、前記ラミネートフィ
ルム5で形成した袋の内側でポリウレタンを発泡させて
ポリウレタン発泡体を形成して、表面1aを前記ラミネ
ートフィルム5の内面6に自己接着させたものである。
そして、図3に示したラミネートフィルム5にあって
は、例えば内側に前記アルミニウム蒸着膜5bを形成し
たポリエステルフィルムで前記外皮膜5aを形成し、前
記ガス透過阻止膜5cをポリエチレン−ポリビニルアル
コール共重合体で形成し、前記熱融着膜5dをポリエチ
レンフィルム9で形成して、前記外皮膜5aの内側に前
記ガス透過阻止膜5cと前記熱融着膜5dとを順に配
し、互いに接着して形成してあれば、前記外皮膜5aが
その内側を保護し、前記熱融着膜5dが前記ポリウレタ
ンフォーム層1の自己接着を良好に維持し、前記ガス透
過阻止膜5cが断熱パネル10の断熱特性の低下を防止
するのである。前記熱融着膜5dとしてのポリエチレン
フィルム9は、前記ポリウレタンに対して接着性の良好
な膜材4でもあり、前記ポリウレタンフォーム層1の自
己接着を良好に維持できる膜材4として前記被覆体3の
内面6を形成し、前記ガス透過阻止膜5cを形成するポ
リエチレン−ポリビニルアルコール共重合体からなるフ
ィルムが前記ポリウレタンフォーム層1から洩れ出した
二酸化炭素ガスが仮に前記ポリエチレンフィルム9を透
過したとしても、その透過した二酸化炭素ガスの前記外
皮膜5a側への透過を阻止して、前記断熱体11から前
記二酸化炭素ガスが拡散放出されるのを防止するのであ
る。この断熱体11が断熱パネル10として用いられる
のである。
【0013】上述の断熱パネル10を製造する工程の一
例について説明すると、 [1]図4に示すように、内面6をポリウレタンに対し
て接着性の良好なポリエチレンフィルム9からなる膜材
4で形成してある筒状のラミネートフィルム5(同図
(イ)参照)の一端側を熱融着して袋状又は箱状の容器
2を形成する(同図(ロ)参照)。 [2]次いで、図5に示すように、前記容器2内に水発
泡性の二液からなるポリウレタン原液の一方に水を添加
して、両者を共に注入する(同図(イ)参照)。前記一
方のポリウレタン原液は水とは反応しないもので、他方
のポリウレタン原液と反応してポリウレタンを生成する
もので、前記他方のポリウレタン原液は水と接触すれば
反応して二酸化炭素ガスを生成するものである。従っ
て、前記容器2内に前記両ポリウレタン原液が注入され
れば、反応してポリウレタンを生成しながら、内部に前
記二酸化炭素ガスで形成される気泡を含むようになる。 [3]ここで、前記容器2内の空気を排除し(同図
(ロ)参照)、前記容器2の開口部2aを熱融着して封
止しポリウレタン発泡体を前記容器2内に密閉する(同
図(ハ)参照)。 [4]前記容器2内に密閉されたポリウレタン発泡体を
養生すれば、前記密閉状態のポリウレタン発泡体は、時
間と共に硬化して、前記ポリウレタンフォーム層1とな
り、断熱体11を形成する。
【0014】尚、予め前記ラミネートフィルム5の内面
6にコロナ放電加工を施しておけば、前記ポリエチレン
フィルム9の内面6を化学的に活性化できるから、容器
2内でポリウレタン発泡体がポリウレタンフォーム層1
を形成する際に、前記ポリウレタンフォーム層1の表面
1aを前記容器2の内面6に良好に自己接着させること
ができるようになる。
【0015】〔別実施形態〕上記実施の形態において説
明した以外の本発明の実施の形態について以下に説明す
る。
【0016】〈1〉 上記実施の形態においては、被覆
体3でパネル外装材8を構成してある例について説明し
たが、図6に概念的に示すように、前記被覆体3とは別
体の、断熱パネル10の外皮を形成するパネル外装材8
で前記被覆体3の外側を覆ってもよい。例えば、図7に
示すように、断熱パネル10としての外形を整え、且
つ、その断熱層を保護するパネル外装材8の内部に、前
記被覆体3で被覆したポリウレタンフォーム層1を、断
熱層として周囲に粉状断熱材12を介装した状態で装入
して前記断熱パネル10を形成してもよい。つまり、前
記被覆体3で形成する容器2をパネル外装材8よりも小
さく形成しておき、前記容器2内で前記ポリウレタンフ
ォーム層1を生成して前記被覆体3で被覆された断熱体
11を形成した後に、その断熱体11を前記パネル外装
材8内に装入し、前記断熱体11と前記パネル外装材8
との間に他の断熱材を充填してあってもよい。尚、前記
断熱パネル10の厚み方向における一方の前記パネル外
装材8の内面に前記被覆体3の外面を接着してあっても
よく、また、前記厚み方向における一方の被覆体3をパ
ネル外装材8としてあってもよい。
【0017】〈2〉 上記実施の形態においては、被覆
体3でパネル外装材8を構成してある例について説明し
たが、前記被覆体3とは別体のパネル外装材8を予め前
記被覆体3に被着しておいて、前記被覆体3と前記パネ
ル外装材8とを一体とした容器2を形成して、前記容器
2内で前記ポリウレタンフォーム層1を生成して前記被
覆体3及び前記パネル外装材8とで被覆された断熱体1
1を、断熱パネル10として形成するようにしてもよ
い。
【0018】〈3〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5からなる被覆体3の内面6を前記ポリ
ウレタンフォーム層1の表面1aに接着してある例につ
いて説明したが、前記ポリウレタンフォーム層1の表面
1aに前記被覆体3を密着させてあるだけでもよい。例
えば、上記〈1〉に説明したように、断熱体11の被覆
体3の外側からパネル外装材8で覆い、そのパネル外装
材8と前記断熱体11との間に断熱材12を圧入介装し
て、前記被覆体3を前記ポリウレタンフォーム層1の表
面1aに密着させてもよい。このように前記被覆体3を
前記ポリウレタンフォーム層1の表面1aに密着させれ
ば、前記ポリウレタンフォーム層1内から拡散して洩れ
出す二酸化炭素ガスは、前記表面1aに露出する気泡の
開口部内に閉じ込められるから、前記開口部内では急激
に二酸化炭素ガスの分圧が上昇し、その内側からの二酸
化炭素ガスの拡散漏出を阻止するようになるのである。
尚、前記被覆体3の内面6をポリウレタンが自己接着し
易い材料で形成する代わりに、前記内面6に前記ポリウ
レタンを容易に接着できる接着剤を配してあってもよ
い。
【0019】〈4〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5を、外皮膜5aと、アルミニウム蒸着
膜5bと、ガス透過阻止膜5cと、被覆体3の内面6を
形成する膜材4としての熱融着膜5dとで構成する例に
ついて説明したが、前記ラミネートフィルム5の内面6
をガラス繊維層7で形成してあってもよい。例えば前記
熱融着膜5dとして、ガラス繊維にポリエチレンのよう
な熱融着可能な高分子体を含浸して形成した前記ガラス
繊維層7を用いてもよい。このように形成したガラス繊
維層7は、前記被覆体3の強度維持にも有効であり、ま
た、内面に露出するガラス繊維はポリウレタンの自己接
着を良好にするものでもある。従って、こうしたガラス
繊維層7を前記内面6に配置して、上記実施の形態にお
いて説明したように、前記内面6にコロナ放電加工を施
せば、前記内面6にはガラス繊維がさらに露出するか
ら、前記ポリウレタンの自己接着をさらに強化できる。
【0020】〈5〉 上記実施の形態においては、被覆
体3として内面6をポリエチレンフィルム9からなる膜
材4で形成して、筒状に形成してあるラミネートフィル
ム5の周縁部としての一端側を熱融着により密封して容
器2を形成し、その容器2内でポリウレタンフォーム層
1を形成し、他端側の開口部2aを熱融着により密封す
る例について説明したが、前記周縁部及び開口部2aの
密封は熱融着に限らず、他の手段によって封止してもよ
い。例えば、膜材4の内面に接着剤或いは粘着剤を塗布
して接着し、また、前記膜材4の内面を溶解可能な溶剤
を前記内面に塗布して互いに密着させ、溶着させるよう
にしてもよい。さらに、他の材料で前記周縁部或いは前
記開口部2aを封止可能な、テープ状或いは膜状の接着
シート或いは粘着シート等の封止手段を形成し、前記封
止手段により前記周縁部或いは前記開口部2aを密封す
るようにしてもよい。
【0021】〈6〉 上記実施の形態においては、被覆
体3としてラミネートフィルム5を用いた例について説
明したが、前記被覆体3は気密であればよく、例えば、
図8に示すように、他の材料で前記被覆体3を形成して
あってもよい。つまり、容器2を開閉可能な蓋付きの箱
体に形成し、その開口部2aから発泡ウレタン原液を注
入し、前記蓋を閉じて密封し、断熱パネル10を形成す
るようにしてもよいのである。この箱体を前記被覆体3
とパネル外装材8とを兼ねるように構成すれば、ポリウ
レタン発泡体が硬化すれば、形状の整った断熱パネル1
0を形成できるのである。従って、前記被覆体3は、二
酸化炭素ガスの透過を阻止可能で気密な容器2を形成可
能であればよく、開口部を気密に封止可能な金属缶体或
いは金属容器であってもよく、プラスチック缶体或いは
プラスチック容器であってもよく、内面をプラスチック
被覆してあって開口部を気密に封止可能な金属缶体であ
ってもよい。尚、この被覆体3は、その内面6がポリウ
レタンを接着させ易いものであることが好ましく、前記
内面6が前記ポリウレタンが自己接着しやすい材料で形
成されていることがさらに好ましい。
【0022】〈7〉 上記実施の形態においては、ラミ
ネートフィルム5の例として、内側にアルミニウム蒸着
膜5bを形成したポリエステルフィルムで外皮膜5aを
形成し、ガス透過阻止膜5cをポリエチレン−ポリビニ
ルアルコール共重合体で形成し、熱融着膜5dをポリエ
チレンフィルム9で形成して、前記外皮膜5aの内側に
前記ガス透過阻止膜5cと前記熱融着膜5dとを順に配
し、互いに接着して形成してあるものについて説明した
が、これら外皮膜5a、ガス透過阻止膜5c、熱融着膜
5dの材質は任意である。因みに、前記ガス透過阻止膜
5cを前記ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合
体で形成する場合には、前記ポリエチレン−ポリビニル
アルコール共重合体が吸湿すると、ガス透過阻止能の低
下をもたらすので、前記アルミニウム蒸着膜5bは、水
蒸気透過阻止膜として前記ポリエチレン−ポリビニルア
ルコール共重合体の外側に配置されているのであるが、
これが熱線反射膜としても機能するのである。ここで、
前記外皮膜5aに水蒸気透過阻止の機能を備えさせるこ
とができれば、或いは、前記ガス透過阻止膜5cとして
吸湿によってもガス透過阻止機能が低下しないものを用
いるならば、前記アルミニウム蒸着膜5bを省いてあっ
てもよい。例えば、被覆体3でポリウレタンフォーム層
1を気密に被覆してある断熱体11をパネル外装材8で
覆ってある場合に、前記パネル外装材8に輻射熱の反射
手段を設けてある場合には、前記被覆体3に同様の手段
を設けなくてもよい場合があるからである。例えば上記
〈1〉で図7を参照して説明した場合のように、断熱体
11とパネル外装材8との間を他の断熱材12で充填す
る場合に、このパネル外装材8と前記断熱体11の被覆
体3との間に前記アルミニウム蒸着膜5bに代わる熱線
反射体を介装しておけばよいのである。
【0023】〈8〉 上記実施の形態においては、製造
工程の一例として、図4を参照して、筒状のラミネート
フィルム5の一端側を熱融着して容器2を形成し、前記
容器2内に水発泡性の二液からなるポリウレタン原液の
一方に水を添加して、両者を共に注入して、ポリウレタ
ン発泡体を生成させ、前記容器2内の空気を排除した
後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止して、前
記ポリウレタン発泡体を前記容器2内に密閉し、その後
前記ポリウレタン発泡体を硬化させてポリウレタンフォ
ーム層1を形成する例について説明したが、前記容器2
内で前記ポリウレタンを発泡、硬化させてポリウレタン
フォーム層1を形成して、前記容器2内の空気を排除し
た後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止するよ
うにしてもよい。こうした工程においても、少なくとも
前記開口部2a以外の内面6には前記ポリウレタンフォ
ーム層1が自己接着しているのである。従って、僅かに
残る前記開口部2aの内面6は、接着剤等を用いて前記
ポリウレタンフォーム層1の表面1aに接着してもよい
のである。尚、この接着は、前記ポリウレタンフォーム
層1の形成直後からできるだけ早い時期に行うのが好ま
しい。
【0024】〈9〉 また、上記〈8〉の代わりに、前
記容器2内に水発泡性のポリウレタン原液と水とを注入
した後、直ちに前記容器2の開口部2aを熱融着により
封止して、前記密封した容器2内で前記ポリウレタンを
発泡、硬化させて前記前記容器2内でポリウレタンフォ
ーム層1を形成するようにしてもよい。この場合におい
ては、前記開口部2aを封止した後にも発泡が継続さ
れ、ポリウレタン発泡体の気泡による内圧により前記ポ
リウレタン発泡体の表面が前記容器2の内面6に密着さ
せられるから、前記容器2の内面6がポリウレタンの自
己接着性の良好な材料で形成されていれば、形成するポ
リウレタンフォーム層1の表面1aが確実に前記被覆体
3の内面6に接着され、また、前記内面6にポリウレタ
ンが自己接着しにくい材料を用いている場合において
も、前記被覆体3の内面6が前記ポリウレタンフォーム
層1の表面1aに密着されるから、前記ポリウレタンフ
ォーム層1内部からの二酸化炭素ガスの拡散漏出を防止
できるのである。
【0025】〈10〉上記実施の形態においては、容器
2内に水発泡性の二液からなるポリウレタン原液を注入
してポリウレタン発泡体を生成させ、容器2内の空気を
排除した後、前記容器2の開口部2aを熱融着して封止
するとして説明したが、前記容器2内に空気が残留しな
いか、除去しなくてもよい程度にしか残留しない場合に
は、上記〈9〉に説明したと同様に、前記ポリウレタン
原液を前記容器2内に注入した後、前記容器2内の空気
を排除することなく前記容器2の開口部2aを封止する
ようにしてもよい。また、前記容器2の形状は、袋状の
被覆体3であってもよく、箱状の被覆体3であってもよ
く、その形状は任意である。また、その容器2は、パネ
ル外装材8を形成するものであってもよく、また、断熱
体11を形成するための外皮であってもよい。従って、
前記被覆体3の厚さは任意であって、それ自身保形性を
備えるだけの厚さにしてあってもよい。
【0026】〈11〉上記実施の形態においては、被覆
体3の中でウレタン発泡体を形成する例について説明し
たが、前記ウレタン発泡体を別の容器内で形成した後
に、被覆体3の中に封入するようにしてもよい。この場
合にも、前記被覆体3をポリウレタンフォーム層1の表
面1aに接着してあることが好ましく、この接着は、で
きるだけ早く行うことが好ましい。
【0027】
【実施例】上記実施の形態において説明した断熱パネル
の一例について断熱特性の経時変化を調べた。実施例に
おける容器、即ち被覆体としてはラミネートフィルムを
用いた。用いたラミネートフィルムの構成は次の通りで
ある。
【0028】
【表1】
【0029】実施例においては、ラミネートフィルムは
2枚用い、熱融着膜側の面を重ね合わせて、幅方向両側
の辺及び長さ方向片側の一辺に沿って熱融着し、袋状の
容器を形成した。この容器内に水発泡ポリウレタン原液
約60gを注入し、前記容器内で発泡させた。発泡完了
後直ちに前記容器の開口部をポリウレタン発泡体との間
に隙間が生じないように熱融着し、封止して硬化させ
て、断熱体を形成した。つまり、封止した開口部にもポ
リウレタン発泡体を自己接着させた。形成された発泡体
の寸法は、長さ、幅共に約230mm、厚さ25mmで
あった。尚、同じ水発泡ウレタン原液を長さ、幅共に約
200mm、深さ25mmの型枠内で発泡・硬化させ
た、裸のウレタン発泡体からなる断熱体を比較例として
用意した。
【0030】両者の熱伝導率の経時変化を、JIS A
1412(1994)に定められた熱流計法により測
定した。前記熱伝導率の測定は、測定温度を23℃とし
て行った。測定した熱伝導率は表2に示すとおりであっ
た。
【0031】
【表2】
【0032】表2から明らかなように、比較例における
熱伝導率は、1週間で約5%増大し、2週間で約9%増
大し、5週間では約24%増大し、7週間では約30%
増大し、次第に飽和する傾向は示しているものの、9週
間に至っては、約35%増大する。これに対して、本発
明に係る断熱体の熱伝導率は、断熱体形成の翌日から9
週間にわたって変化せず安定している。尚、本発明に係
る断熱体においては、熱伝導率の増大は、高々0.8%
に過ぎなかった。
【0033】以上の結果から、水発泡ウレタンからなる
ポリウレタン発泡体に被覆体を接着し、その被覆体に二
酸化炭素ガスの透過阻止能力を付与してあれば、長期安
定して断熱特性が高く維持できることが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱パネルの一例を示す斜視図
【図2】図1に示した断熱パネルの縦断面図
【図3】図2の部分拡大図
【図4】本発明に係る断熱パネルの製造工程を説明する
斜視図
【図5】本発明に係る断熱パネルの製造工程を説明する
斜視図
【図6】本発明に係る断熱パネルの他の例を示す斜視図
【図7】図6に示した断熱パネルの断面図
【図8】本発明に係る断熱パネルの製造工程の他の例を
説明する斜視図
【符号の説明】 1 ポリウレタンフォーム層 1a ポリウレタンフォーム層の表面 2 容器 2a 容器の開口部 3 被覆体 4 膜材 5 ラミネートフィルム 6 内面 7 ガラス繊維層 8 パネル外装材 9 ポリエチレンフィルム

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタンフォーム層を断熱層として
    備える断熱パネルであって、 前記ポリウレタンフォーム層を二酸化炭素ガス発泡のポ
    リウレタン発泡体から形成し、前記ポリウレタンフォー
    ム層の全周を、前記二酸化炭素ガスの透過を阻止可能な
    被覆体で気密に覆ってある断熱パネル。
  2. 【請求項2】 前記ポリウレタンフォーム層の表面に前
    記被覆体を密着させてある請求項1記載の断熱パネル。
  3. 【請求項3】 前記被覆体を、前記ポリウレタンフォー
    ム層の表面に接着してある請求項2記載の断熱パネル。
  4. 【請求項4】 内面をポリウレタンに対して接着性の良
    好な膜材で形成してあるラミネートフィルムで前記被覆
    体を形成してある請求項3記載の断熱パネル。
  5. 【請求項5】 前記ラミネートフィルムの内面をガラス
    繊維層で形成してある請求項4記載の断熱パネル。
  6. 【請求項6】 前記被覆体でパネル外装材を構成してあ
    る請求項1〜5の何れか1項に記載の断熱パネル。
  7. 【請求項7】 前記被覆体とは別体のパネル外装材で前
    記被覆体の外側を覆ってある請求項1〜5の何れか1項
    に記載の断熱パネル。
  8. 【請求項8】 ポリウレタンフォーム層を断熱層として
    備える断熱パネルの製造方法であって、 内面をポリウレタンに対して接着性の良好な膜材で形成
    してあるラミネートフィルムの周縁部を密封して袋状又
    は箱状の容器を形成し、 前記容器内に水発泡性のポリウレタン原液と水とを注入
    し、前記ポリウレタンを発泡、硬化させてポリウレタン
    フォーム層を形成し、 前記容器内の空気を排除した後、前記容器の開口部を密
    封する断熱パネルの製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリウレタンフォーム層を断熱層として
    備える断熱パネルの製造方法であって、 内面をポリウレタンに対して接着性の良好な膜材で形成
    してあるラミネートフィルムの周縁部を密封して袋状又
    は箱状の容器を形成し、 前記容器内に水発泡性のポリウレタン原液と水とを注入
    して前記ポリウレタンを発泡させ、 前記容器内の空気を排除した後、前記容器の開口部を密
    封し、 前記密封した容器内で前記発泡したポリウレタンを硬化
    させて前記ポリウレタンフォーム層を形成する断熱パネ
    ルの製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリウレタンフォーム層を断熱層とし
    て備える断熱パネルの製造方法であって、 内面をポリウレタンに対して接着性の良好な膜材で形成
    してあるラミネートフィルムの周縁部を密封して袋状又
    は箱状の容器を形成し、 前記容器内に水発泡性のポリウレタン原液と水とを注入
    した後、 前記容器の開口部を密封して、 前記密封した容器内で前記ポリウレタンを発泡、硬化さ
    せて前記ポリウレタンフォーム層を形成する断熱パネル
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記容器の開口部を密封するのに、前
    記開口部の対向面同士を熱融着させることによって封止
    する請求項8〜10の何れか1項に記載の断熱パネルの
    製造方法。
  12. 【請求項12】 内面をポリエチレンフィルムで形成し
    てあるラミネートフィルムを用いて前記容器を形成する
    請求項8〜11の何れか1項に記載の断熱パネルの製造
    方法。
  13. 【請求項13】 前記ラミネートフィルムの内面にコロ
    ナ放電加工を施して、前記ポリエチレンフィルムの内面
    を化学的に活性化した後、前記ラミネートフィルムを熱
    融着して前記容器を形成する請求項12記載の断熱パネ
    ルの製造方法。
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