JP2001065612A - 車両用ディスクブレーキのディスクロータ - Google Patents

車両用ディスクブレーキのディスクロータ

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JP2001065612A
JP2001065612A JP24199499A JP24199499A JP2001065612A JP 2001065612 A JP2001065612 A JP 2001065612A JP 24199499 A JP24199499 A JP 24199499A JP 24199499 A JP24199499 A JP 24199499A JP 2001065612 A JP2001065612 A JP 2001065612A
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disk rotor
disk
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brake
rotor
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JP24199499A
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Takao Ogiwara
隆雄 荻原
Toru Aonuma
亨 青沼
Hideo Nitta
英郎 新田
Shoichi Kato
彰一 加藤
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Nissin Kogyo Co Ltd
Praxair ST Technology Inc
Praxair Technology Inc
Original Assignee
Nissin Kogyo Co Ltd
Praxair ST Technology Inc
Praxair Technology Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ディスクロータの摺動面に形成した溶射層の
耐摩耗性、剥離強度を向上させ、安定した制動力を得る
ことができ、ジャダの発生を防止してブレーキの操作特
性を向上させる。 【解決手段】 ディスクロータ10の本体12の摩擦材
との摺動面に、耐摩耗性材による溶射層14が形成され
た車両用ディスクブレーキのディスクロータであって、
前記溶射層14が酸化物セラミックス材の溶射によって
形成され、溶射層の厚さが0.05mm〜1mmに形成
されている。酸化物セラミックス材として、MgO、Y
2 3 、CaO、CeO2 から成る群から選択される酸
化物で完全安定化もしくは部分安定化されたZrO
2 と、ZrSiO4 と、Fe3 4 と、Al2 3 と、
Cr2 3 とから選択された少なくとも1種類の材料を
含むものを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用ディスブレー
キのディスクロータに関し、より詳細にはディスクロー
タの本体のブレーキパッドと摺動する面に摩擦材として
溶射層を形成した車両用ディスクブレーキのディスクロ
ータに関する。
【0002】
【従来の技術】車両用ディスクブレーキはディスクロー
タとブレーキパッドとの間の摩擦力を利用して制動力を
発揮させるものである。ブレーキ操作の際にはディスク
ロータにブレーキパッドが強く押接され、摩擦力に抗し
てディスクロータが回転することで摺動面がきわめて高
温になる。走行時にはブレーキ操作が頻繁になされるか
ら、ディスクロータ及びブレーキパッドは、耐摩耗性に
すぐれ、温度が上昇したような場合でも一定の摩擦力
(摩擦係数)が得られ、常に安定した制動特性が得られ
るものである必要がある。
【0003】ディスクロータとして一般に使用されてい
るものは、所定の耐摩耗性を有する鉄系材料等を円板状
に形成したものである。これに対して、二輪車用のディ
スクロータ等でとくに競技用車両などの場合は車体を軽
量化する目的から、ディスクロータの母材をアルミニウ
ム等の軽量材で形成し、母材を保護するため母材の表面
に鉄系金属等の耐摩耗性材を被着したものがある。この
ようにディスクロータの母材に耐摩耗性材を被着する場
合には、被着形成した金属層と母材との密着性が問題と
なる。このため、ディスクロータの母材に耐摩耗性材、
耐熱材を被着させる方法が種々検討されてきた。
【0004】ディスクロータの母材に鉄系金属等の耐摩
耗性材を被着させる方法としては、鉄系金属等の被着材
料をプラズマ溶射して金属層を形成する方法があり、被
着材料と母材との密着性をさらに向上させる方法とし
て、Fe−Cr系の混合粉末をディスクロータの母材に
プラズマ溶射した後、溶射面にレーザ、TICアーク、
プラズマアーク等の高エネルギー源による高密度エネル
ギーを照射し、ディスクロータと金属層とを合金化する
(特開昭62-60855号公報)、といった方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の車両用ディスク
ブレーキ装置に用いるディスクロータで、ディスクロー
タの摺動面を耐摩耗性材、耐熱性材を溶射により被着し
た製品は、上述したように、金属粉末を用いてプラズマ
溶射したもの、あるいは溶射後に母材との合金化を図っ
たものであった。しかしながら、このような金属粉末を
溶射して摺動面での耐摩耗性、耐熱性を図ったディスク
ロータは、摺動面での耐摩耗性と溶射層の剥離強度は向
上するものの、溶射面と母材との間における断熱性が不
十分であることと、ブレーキパッドとディスクロータと
の間の摩擦力(摩擦係数)の一定性の点で問題があっ
た。
【0006】ディスクロータの溶射面と母材との間を断
熱させる目的は、ブレーキ操作の際に生じた摩擦熱が摺
動面から母材に伝導することを抑え、ディスクロータの
母材が熱変形することを防止し、安定した摩擦力が得ら
れるようにすることにある。ディスクロータの熱変形と
しては母材の熱膨張による摺動面の厚さ不同やうねり等
の変形があり、これらの変形が生じるとディスクブレー
キが振動し、この振動がマスタシリンダに脈動となって
伝わり、ブレーキペダルやプレーキレバーを操作する際
のジャダとなる。ジャダはブレーキの操作性を阻害させ
るという問題を生じさせる。
【0007】本発明はこれら従来のディスクロータにお
ける問題点を解消すべくなされたものであり、その目的
とするところは、母材の摺動面に溶射層を形成すること
によって所要の耐摩耗性、耐熱性を備えたディスクロー
タを提供可能とし、かつ、ディスクロータの母材との断
熱性を高めることによって広い温度範囲にわたって一定
した摩擦力を生むことができ、これによって確実なブレ
ーキ操作を可能とする車両用ディスクブレーキのディス
クロータを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次の構成を備える。すなわち、ディスクロ
ータの本体の摩擦材との摺動面に、耐摩耗性材による溶
射層が形成された車両用ディスクブレーキのディスクロ
ータであって、前記溶射層が酸化物セラミックス材の溶
射によって形成され、溶射層の厚さが0.05mm〜1
mmに形成されていることを特徴とする。
【0009】また、前記溶射に使用する酸化物セラミッ
クス材が、MgO、Y2 3 、CaO、CeO2 から成
る群から選択される酸化物で完全安定化もしくは部分安
定化されたZrO2 と、ZrSiO4 と、Fe3
4 と、Al2 3 と、Cr2 3とから選択された少な
くとも1種類の材料を含むものがとくに好適である。
【0010】また、ディスクロータの本体の摩擦材との
摺動面に、耐摩耗性材による溶射層が形成された車両用
ディスクブレーキのディスクロータであって、前記溶射
層がサーメット材の溶射によって形成され、溶射層の厚
さが0.05mm〜1mmに形成されていることを特徴
とする。また、前記サーメット材が、MgO、Y
2 3 、CaO、CeO2 から成る群から選択される酸
化物で完全安定化もしくは部分安定化されたZrO
2 と、ZrSiO4 と、Fe3 4 と、Al2 3 と、
Cr2 3 とから選択された少なくとも1種類の酸化物
セラミックス材と、Ni、Co、Cr、Fe、Si、A
l、Moのうちから選択された少なくとも1種類の金属
もしくはこれらの合金とからなるものが好適に使用でき
る。
【0011】また、前記酸化物セラミックス材が、サー
メット材の全体に対し20〜95重量%含まれたものが
好適である。また、酸化物セラミックス材あるいはサー
メット材を溶射材として溶射層を形成する方法として
は、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射(HVOF)法等があ
るが、溶射被膜の密着性に優れる爆発溶射法がとくに好
適に使用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。図1は本発明に係るに係る車両用ディ
スクブレーキに用いるディスクロータの一実施形態の構
成を示す正面図である。本実施形態のディスクロータ1
0はアルミニウムを母材とする円板状の本体12の摺動
面に酸化物セラミックス材を爆発溶射して溶射層を被着
形成したものである。図2に図1のA−A線断面図を示
す。図はディスクロータの本体12の両面に溶射層14
が形成されていることを示す。
【0013】図3は本実施形態のディスクロータ10を
組み込んだディスクブレーキ装置16を示す。図はディ
スクロータ10にキャリパ18を装着した部位を拡大し
て示す。20はキャリパ18に取り付けた摩擦材であ
り、ディスクロータ10を挟んで対向して配置される。
制動動作時には摩擦材20によりディスクロータ10が
両面から挟圧され、ディスクロータ10と摩擦材20と
の間で制動力を生じさせる。ディスクロータの本体12
に形成する溶射層14は摩擦材20との間で摩擦力を生
じさせるため、少なくとも摩擦材20と本体12とが摺
動する範囲に形成する。
【0014】上述したように、本実施形態のディスクロ
ータ10はディスクロータ10の本体12の外面に爆発
溶射法によって酸化物セラミックス材の溶射層14を形
成したものである。ディスクロータ10の本体の摺動面
に溶射層14を形成する方法としては一般にはプラズマ
溶射法や高速フレーム溶射(HVOF)法等が挙げられるが、
本実施形態で示すように爆発溶射法によって溶射層14
を形成することが望ましい。爆発溶射法によって酸化物
セラミックス材やそれらのサーメット材を本体12の表
面に溶射すれば、本体12の表面に緻密な溶射層14を
形成することができ、かつ溶射層14を本体12に強固
に密着させることができるからである。
【0015】爆発溶射法は、酸素、アセチレン及び溶射
粉末を燃焼室に導入し、点火して爆発させ、この爆発に
よるエネルギーを利用して溶射粉末を被溶射物に衝突さ
せることにより溶射被膜を形成する方法である。爆発時
にはガス温度が3000℃〜4000℃程度になり、音
速の10倍を超える衝撃波が形成される。溶射被膜は溶
射粉末が音速の2倍程度の速度で被溶射物に衝突するこ
とによって被溶射物の表面に緻密な溶射被膜として形成
されること、また被溶射物との密着性がきわめて高くで
きるという特徴がある。
【0016】このような爆発溶射法は、ロータ材に爆発
溶射法を利用して溶射被膜を形成する方法(特開昭61-1
12702 号公報)、溶射条件を制御することにより、被溶
射物に合わせて好適な耐摩耗性、耐熱性を有する溶射被
膜を形成するコーティング装置(特開昭63-158148 号公
報)等に利用されている。
【0017】以上のように爆発溶射法はすぐれた耐摩耗
性を有する溶射被膜を形成する方法としてきわめて有効
である。爆発溶射法によって形成した溶射層14はきわ
めて緻密性が高く耐摩耗性にすぐれると共に、ディスク
ロータ10の本体12との密着性がきわめて高いことか
ら剥離強度が高く、耐久性が高いという利点がある。こ
のような作用により、爆発溶射法によって溶射層14を
形成したディスクロータ10は車両用ディスクブレーキ
に用いるディスクロータとしてきわめて好適に使用する
ことが可能になる。
【0018】前述したようにディスクロータ10は摩擦
材20と頻繁に摺接して摩擦材20との間で摩擦され
る。ディスクロータ10と摩擦材20とが摺動した際に
は、摺動面がきわめて高温になるが、酸化物セラミック
ス材を爆発溶射して形成した溶射層14は耐熱性がきわ
めて高く、緻密で剥離強度が高いことから、溶射層14
が高温域にさらされた場合でもマイクロクラックが発生
して母材から剥離することを抑え、摩擦材14が溶射層
14に溶着することを防止することができる。
【0019】ディスクロータ10の溶射層14に形成さ
れるクラックはヘアクラック等のきわめて微細なもので
あっても、摩擦材20と溶射層14とが擦られることに
よってクラックに摩擦材20が溶着して入り込むように
なる。摩擦材20が溶射層14に溶着すると、摩擦材2
0とディスクロータ10との間の摩擦係数が変動し、一
定の摩擦力が得られなくなる原因になる。本実施形態の
ディスクロータ10のように溶射層14の耐熱性が高
く、緻密で容易に剥離しない場合には、クラックが生じ
にくくなり、摩擦材20が溶射層14に溶着することを
防止して、広い温度範囲で一定の摩擦係数を維持するこ
とができる。このことは、走行中に常に所要の制動力を
得ることができ、安定した走行を可能にするという作用
効果をもたらす。
【0020】また、ディスクロータ10の本体12に被
着形成する溶射層14を酸化物セラミックス材によって
形成したことによって、溶射層14の断熱性が高まり、
摩擦材20と溶射層14との摺動面からディスクロータ
10の本体12への熱伝導を効果的に抑制することがで
きる。これにより、ディスクロータ10の摺動面が高温
になった場合でも、本体12の熱膨張による変形を抑え
ることができ、本体12が熱変形することによって生じ
るジャダを防止することができるという効果が得られ
る。
【0021】なお、ディスクロータ10の摺動面に形成
する溶射層14としては酸化物セラミックス材を溶射し
たものの他に、これらの酸化物セラミックス材と金属や
合金との複合材料であるサーメット材を溶射法、とくに
爆発溶射法によって溶射してなるものも有効に使用でき
る。
【0022】溶射層14の厚さは、前述したように、摺
動面からディスクロータ10の本体12への熱伝導を抑
制する作用に関連するから所要の断熱性を得るにはある
程度以上の厚さにする必要がある一方、溶射層14が厚
くなり過ぎると溶射物が剥離しやすくなるから、緻密に
密着して剥離しない厚さに設定する必要がある。実際に
実験したところによれば、酸化物セラミックス材あるい
はそれらのサーメット材を爆発溶射して溶射層14を形
成した場合の溶射層14の厚さは0.05mm〜1.0
mmの範囲のものが好適であった。溶射層14の厚さが
0.05mm以下の場合には断熱効果が不十分であり、
厚さが1.0mm以上の場合は高温時にクラックが発生
しやすくなる。
【0023】図4及び5はアルミニウム製のディスクロ
ータ10の本体12に酸化物セラミックス材を爆発溶射
して溶射層14を形成したサンプルと、本体12にサー
メット材を爆発溶射して溶射層14を形成したサンプル
について、摩擦材20とディスクロータ10との間の摩
擦係数を実験した結果を示すグラフである。図4は摩擦
材20とディスクロータ10との摩擦により低温から高
温に温度が上昇した際に摩擦係数がどのように変化した
かを測定した結果を示し、図5はブレーキをかけた際の
速度変化によって摩擦係数がどのように変動するかを測
定した結果を示す。なお、この実験はJISD4411
に準拠する実験によるものである。
【0024】図4、5でグラフAは酸化物セラミックス
材を溶射したサンプルについてのデータを示し、グラフ
Bはサーメット材を溶射したサンプルについてのデータ
を示す。なお、摩擦材20にはレジンを基材として、
鉄、銅、スチールウール等を用いたセミメタリック材を
使用し、液圧を10kgf/cm2 の一定値とし、5回
テストした平均値を示す。
【0025】図4に示す測定値は、ディスクロータ10
を回転させ摩擦材20摩擦させることにより摩擦面の温
度を100℃、150℃、200℃、250℃、300
℃に上げたときの摩擦係数をそれぞれ測定した結果であ
る。酸化物セラミックス材を溶射したディスクロータの
サンプルの場合は摩擦係数が0.4前後にあり、測定値
の最大値が0.42、最小値が0.38で、摩擦係数の
温度変化量は0.04であった。また、サーメット材を
溶射したディスクロータのサンプルの場合は摩擦係数が
0.55の前後にあって、測定値の最大値が0.56、
最小値が0.55であり、摩擦係数の温度変化量は0.
01であった。
【0026】酸化物セラミックス材とサーメット材とを
比較すると、サーメット材を用いた場合の方が摩擦係数
の変動量が小さいことが認められる。
【0027】一般の鉄系材料を用いて溶射層を形成して
いないディスクロータを使用した場合の摩擦係数の温度
変化量は、100℃〜300℃の範囲で0.1程度とな
る。図4に比較例として、各々のグラフに通常の鉄系材
料を用いたディスクロータでの摩擦係数の変化量を波線
によって図示した。一般のディスクロータは高温になる
にしたがって摩擦係数が低下するフェード現象が生じ
る。フェード現象は、ディスクロータと摩擦材とが滑っ
てしまい所要の制動力が得られなくなる現象をいう。
【0028】本実施形態のディスクロータの場合は、高
温域になっても摩擦係数が低下せず、摩擦係数がほぼ一
定に維持されるという顕著な作用効果が得られている。
【0029】図5に示す測定値は、走行状態でブレーキ
をかけた状態で摩擦係数を測定した結果を示す。測定
は、100(km/h)の速度から全停止した状態、1
50(km/h)の速度から50(km/h)の速度ま
でブレーキングして減速した状態、200(km/h)
の速度から100(km/h)の速度までブレーキング
して減速した状態で測定した。酸化物セラミックス材を
用いたサンプルの摩擦係数の測定値は各々0.46、
0.48、0.46であった。サーメット材を用いたサ
ンプルの摩擦係数の測定値は各々、0.59、0.5
9、0.55であった。
【0030】この実験結果での摩擦係数の変動量は酸化
物セラミックス材の場合で0.02、サーメット材の場
合で0.04であった。いずれも、摩擦係数の変動量は
十分に小さく、ブレーキ操作時の制動力が速度によら
ず、安定して作用することが確かめられた。
【0031】上記実験で使用したディスクロータ10の
本体12に溶射層14を形成する材料として使用した酸
化物セラミックス材は、ZrSiO4 を主成分とし、M
gO及びAl2 3 を含む粉末材である。本材料成分の
うちZrSiO4 は溶射によりZrO2 とSiO2 とに
熱分解する。なお、ディスクロータ10の本体12に溶
射層14を形成する酸化物セラミックス材は、この実施
例に限るものではなく、たとえば前記成分の粉末材以外
に、MgO、Y2 3 、CaO、CeO2 から成る群か
ら選択される酸化物で完全安定化もしくは部分安定化さ
れたZrO2 と、Fe3 4 と、Al2 3 とから選択
された少なくとも1種類を含む材料が好適に使用でき
る。
【0032】また、上記実験で使用したディスクロータ
10の本体12に溶射層14を形成する材料として使用
したサーメット材は、酸化物セラミックス材としてZr
SiO4 を主成分とすると共にMgO及びAl2 3
含み、さらに金属としてNiとCoを含む粉末材であ
る。なお、溶射層14ではZrSiO4 は熱分解により
ZrO2 とSiO2 になる。ディスクロータ10の本体
12に溶射層14を形成するサーメット材は、この実施
例に限るものではなく、たとえば前記成分の粉末材以外
に、MgO、Y2 3 、CaO、CeO2 から成る群か
ら選択される酸化物で完全安定化もしくは部分安定化さ
れたZrO2 と、Fe3 4 と、Al2 3 とから選択
された少なくとも1種類を含む酸化物セラミックス材が
好適に使用でき、Ni、Co、Fe、Si、Al及びM
oのうちから選択された1種類以上の金属もしくはこれ
らの合金を含むものが好適に使用できる。
【0033】図6、7はサーメット材に含まれる酸化物
セラミックス材の分量を変えることによって摩擦係数と
パッド(摩擦材)の摩耗量がどのように変化するかを測
定した結果を示す。実験で使用したサンプルは、酸化物
セラミックス材としてZrSiO4 を主成分とすると共
にMgO及びAl2 3 を含み、さらに金属としてNi
とCoを含む粉末材を爆発溶射して溶射層14を形成し
たものである。
【0034】図6に示す実験結果は、酸化物セラミック
ス材の分量比が増大すると共に、摩擦係数がゆるやかに
大きくなることを示す。また、図7に示す実験結果は、
酸化物セラミックス材の分量比が増大すると共にパッド
の摩耗量が増大することを示す。ディスクロータとして
は摩擦係数が大きく、パッドの摩耗量が少ないことが望
ましい。これらの実験結果から、サーメット材を用いて
ディスクロータに溶射層を形成する場合、酸化物セラミ
ックス材の分量比として全体量の20〜95重量%程度
に設定することが有効であるといえる。
【0035】なお、上記実施形態では摩擦材20として
セミメタリック等のレジンモールド材を使用したが本実
施形態のディスクロータは、組み合わせて使用する摩擦
材20がセミメタリック等のレジンモールド材に限定さ
れるものではなく、焼結金属、炭素繊維強化炭素複合
材、炭素繊維強化セラミック複合材等が使用できる。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る車両用ディスクブレーキの
ディスクロータによれば、上述したように、溶射層が緻
密に形成され、耐摩耗性及び剥離強度の優れたディスク
ロータとして提供され、広い温度範囲にわたって安定し
た摩擦係数を得ることができて安定した制動作用を得る
ことができる。また、ディスクロータの本体への熱伝導
を抑制し、ジャダの発生を防止して操作感の良いブレー
キ操作を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用ディスクブレーキのディスクロータの一
実施形態の正面図である。
【図2】車両用ディスクブレーキのディスクロータの断
面図である。
【図3】本発明に係るディスクロータを装着したディス
クブレーキの正面図である。
【図4】温度上昇によるディスクロータの摩擦係数の変
化を測定した結果を示すグラフである。
【図5】速度変化によるディスクロータの摩擦係数の変
化を測定した結果を示すグラフである。
【図6】サーメット材中の酸化物セラミックス材の重量
比を変えた場合の摩擦係数の変化を測定した結果を示す
グラフである。
【図7】サーメット材中の酸化物セラミックス材の重量
比を変えた場合のパッドの摩耗量の変化を測定した結果
を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ディスクロータ 12 本体 14 溶射層 16 ディスクブレーキ 18 キャリパ 20 摩擦材
フロントページの続き (72)発明者 荻原 隆雄 長野県上田市大字国分840番地 日信工業 株式会社内 (72)発明者 青沼 亨 長野県上田市大字国分840番地 日信工業 株式会社内 (72)発明者 新田 英郎 埼玉県北本市下石戸上1944−3 プラクス エア工学株式会社内 (72)発明者 加藤 彰一 埼玉県北本市下石戸上1944−3 プラクス エア工学株式会社内 Fターム(参考) 3J058 BA31 BA41 CB12 EA02 EA05 EA08 EA09 EA14 EA35 FA01 4K031 AA02 AB08 CB21 CB31 CB39 CB42 CB43 DA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスクロータの本体の摩擦材との摺動
    面に、耐摩耗性材による溶射層が形成された車両用ディ
    スクブレーキのディスクロータであって、 前記溶射層が酸化物セラミックス材の溶射によって形成
    され、溶射層の厚さが0.05mm〜1mmに形成され
    ていることを特徴とする車両用ディスクブレーキのディ
    スクロータ。
  2. 【請求項2】 溶射に使用する酸化物セラミックス材
    が、MgO、Y2 3 、CaO、CeO2 から成る群か
    ら選択される酸化物で完全安定化もしくは部分安定化さ
    れたZrO2 と、ZrSiO4 と、Fe3 4 と、Al
    2 3 と、Cr2 3 とから選択された少なくとも1種
    類の材料を含むことを特徴とする請求項1記載の車両用
    ディスクブレーキのディスクロータ。
  3. 【請求項3】 ディスクロータの本体の摩擦材との摺動
    面に、耐摩耗性材による溶射層が形成された車両用ディ
    スクブレーキのディスクロータであって、 前記溶射層がサーメット材の溶射によって形成され、溶
    射層の厚さが0.05mm〜1mmに形成されているこ
    とを特徴とする車両用ディスクブレーキのディスクロー
    タ。
  4. 【請求項4】 サーメット材が、MgO、Y2 3 、C
    aO、CeO2 から成る群から選択される酸化物で完全
    安定化もしくは部分安定化されたZrO2 と、ZrSi
    4 と、Fe3 4 と、Al2 3 と、Cr2 3 とか
    ら選択された少なくとも1種類の酸化物セラミックス材
    と、 Ni、Co、Cr、Fe、Si、Al、Moのうちから
    選択された少なくとも1種類の金属もしくはこれらの合
    金とからなることを特徴とする請求項3記載の車両用デ
    ィスクブレーキのディスクロータ。
  5. 【請求項5】 酸化物セラミックス材が、サーメット
    材の全体に対し20〜95重量%含まれることを特徴と
    する請求項4記載の車両用ディスクブレーキのディスク
    ロータ。
  6. 【請求項6】 溶射層が酸化物セラミックス材あるいは
    サーメット材を爆発溶射して形成されていることを特徴
    とする請求項1、2、3、4または5記載の車両用ディ
    スクブレーキのディスクロータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006138402A (ja) * 2004-11-12 2006-06-01 Advics:Kk ディスクロータ
JP2014040926A (ja) * 2009-02-09 2014-03-06 Daimler Ag 車両用ブレーキディスク

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