JP2001059146A - 高剛性鋼およびその製造方法 - Google Patents

高剛性鋼およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いヤング率を有する高剛性鋼およびその製
造方法を提供すること。 【解決手段】 本発明の高剛性鋼は、鉄または鉄合金よ
りなるマトリックスと、マトリックス中に分散保持され
た4A族元素のホウ化物と、を含む高剛性鋼において、
マトリックスに分散される4A族元素のホウ化物および
他のホウ素を含む化合物ならびに4A族元素を含む金属
間化合物を調整することを特徴とする。また、本発明の
製造方法は、ホウ化物原料粉末において、4A族元素と
ボロンとの配合比率を調整することで、4A族元素のホ
ウ化物以外のホウ素を含む化合物および4A族元素を含
む金属間化合物の発生が押さえられる。本発明の高剛性
鋼は、実用部品として用いたときに、この部品を従来品
より小型、軽量化できる効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高いヤング率を有
する高剛性鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、構造用金属材料としては、鋼や鉄
系合金が広く利用されている。これらの金属材料は、そ
の使用目的に応じて、強度、延性、靱性等の機械的性質
が付与されている。この機械的性質の付与は、合金元素
の添加や熱処理などを施すことにより、極めて多様な組
織変化を生じさせることでなされている。
【0003】このような構造用金属材料を用いた実部品
において、その性能を左右する材料特性のひとつに、剛
性がある。この剛性を表す指標として、ヤング率(縦弾
性係数)をあげることができる。
【0004】金属材料のヤング率は、金属材料を構成す
る原子間の結合力を反映する物性値である。このため、
鋼や鉄系合金においては、上記の多様な組織変化にもか
かわらず、ヤング率は190〜210GPa程度の固有
な値であり、このヤング率を大幅に向上させることは困
難である。
【0005】このような実状において、鋼や鉄系合金の
ヤング率を向上させる手段としては、高ヤング率の化合
物相をFe基マトリックスに分散させ、複合化させるこ
とが唯一の現実的な手段であった。
【0006】剛性を向上させた高剛性鉄基合金について
は、たとえば、特開平7−188874号公報に開示さ
れている。この高剛性鉄基合金は、鉄または鉄系合金か
らなるマトリックスに、4A族元素を主体とするホウ化
物の少なくとも1種以上を分散させた鉄基合金である。
さらに、この高剛性鉄基合金の製造方法も開示されてい
る。
【0007】しかしながら、特開平7−188874号
に記載の高剛性鉄基合金は、ホウ化物の複合化により高
ヤング率が得られるが、ホウ素がホウ化物の化学量論比
より過剰になると、過剰なホウ素は鉄または鉄基合金の
マトリックス中にほとんど固溶できないため、マトリッ
クスの鉄あるいは鉄基合金成分と結合して、鉄ホウ化物
や鉄−合金成分−ホウ素の複合ホウ化物を形成する。ま
た一方、4A族元素が大幅に過剰になると、同様にマト
リックスの鉄あるいは鉄基合金成分と結合して、ラーベ
ス相等の金属間化合物を形成する。ここで、鉄ホウ化
物、複合ホウ化物相およびラーベス相は、原子間の結合
力が4A族元素のホウ化物ほど高くないため、マトリッ
クス中に鉄ホウ化物やラーベス相を一定以上の割合で有
するとヤング率が低下するとともに、マトリックスが著
しく硬化・脆化して実部品に適用しうる鋼としての特性
を失うという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実状に鑑
みてなされたものであり、高いヤング率を有する高剛性
鋼およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者等は、マトリックスに分散される4A族元素
のホウ化物とともに、他のホウ素を含む化合物ならびに
4A族元素を含む金属間化合物の量を調整することで上
記課題を解決できることを見出した。
【0010】すなわち、本発明の高剛性鋼は、鉄または
鉄合金よりなるマトリックスと、マトリックス中に分散
保持された4A族元素のホウ化物と、を含む高剛性鋼で
あって、全体を100体積%とした場合、4A族元素の
ホウ化物は5〜65体積%を占め、かつ4A族元素のホ
ウ化物の全体積を100とした場合、60以下の4A族
元素のホウ化物以外のホウ素を含む化合物、および4A
族元素を含む金属間化合物の少なくとも1種を含むこと
を特徴とする。
【0011】本発明の高剛性鋼は、高ヤング率の4A族
元素のホウ化物を鉄系のマトリックスに分散させること
で鉄系合金に剛性を付与し、同時に4A族元素のホウ化
物以外のホウ化物および4A族元素を含む金属間化合物
の量を制御することで、鋼としての特性である靱性、延
性を保ちながら、その剛性を向上させている。
【0012】また、本発明の高剛性鋼の粉末冶金プロセ
スによる製造方法は、4A族元素のホウ化物、4A族元
素とボロンを単独または同時に含有する複数の原料粉末
の組み合わせのうち、いずれか、あるいは両者を併用し
て4A族元素とボロンとの配合比率が原子比で0.45
〜0.80となるように調整された4A族元素のホウ化
物原料粉末と、鉄または鉄合金から選択される1種以上
のマトリックス原料粉末とを、混合する原料混合工程
と、原料粉末混合工程において混合された主原料粉末を
所定の形状に圧粉成形する成形工程と、成形工程により
得られた成形体を焼結して焼結体を形成する焼結工程
と、を有することを特徴とする。
【0013】また、本発明の高剛性鋼の溶融、鋳造プロ
セスによる製造方法は、4A族元素の純金属あるいは4
A族元素を含有する合金原料と、ボロンを含有する合金
原料とを、4A族元素とボロンとの配合比率が原子比で
0.45〜0.80となるように配合し、これに、鉄あ
るいは鉄合金のマトリックス組成を得るために必要な原
料を加えて、すべての原料を真空中あるいは不活性ガス
雰囲気中で完全に溶融させた後、金型あるいはセラミッ
クス型へ鋳造して鋼塊を製造する高剛性鋼の製造方法。
【0014】本発明の製造方法は、ホウ化物原料におい
て、4A族元素とボロンとの配合比率を調整すること
で、4A族元素のホウ化物以外のホウ素を含む化合物お
よび4A族元素を含む金属間化合物を、4A族元素のホ
ウ化物の全体積を100とした場合、60以下にして鋼
としての特性である靱性、延性を保ちながらその剛性を
向上させた高剛性鋼を製造できる。
【0015】
【発明の実施の形態】(高剛性鋼)本発明の高剛性鋼
は、鉄または鉄合金よりなるマトリックスと、マトリッ
クス中に分散保持された4A族元素のホウ化物と、を含
む高剛性鋼である。
【0016】本発明の高剛性鋼は、4A族元素のホウ化
物をマトリックスに分散させることで、剛性を向上させ
ている。すなわち、マトリックスに高ヤング率の粒子を
分散させることで、鋼のヤング率を高くしている。
【0017】4A族元素のホウ化物は、規則的に4A族
元素とホウ素が配置された結晶構造を有し、共有性結合
によって構成原子が強固に結合している。このため、構
成原子の結合力が反映されるヤング率が高くなってい
る。また、4A族元素のホウ化物は、鉄合金中で熱力学
的に極めて安定であるため、異種元素の侵入・置換、あ
るいは他の複合化合物の形成など、マトリックスとの間
に反応に起因する結晶学的および冶金学的な変化を生じ
ない。
【0018】本発明の高剛性鋼は、全体を100体積%
とした場合、4A族元素のホウ化物が5〜65体積%を
占める。すなわち、4A族元素のホウ化物を5〜65体
積%とすることで、剛性を向上させる。ここで、4A族
元素のホウ化物が、5体積%未満では高剛性化の効果が
得られず、65体積%を超えるとホウ化物どうしの凝集
や、合体が生じ、鋼の機械的特性が低下するようにな
る。
【0019】本発明の高剛性鋼は、4A族元素のホウ化
物の全体積を100とした場合、60以下の4A族元素
のホウ化物以外のホウ素を含む化合物および4A族元素
を含む金属間化合物の少なくとも1種を含む。4A族元
素のホウ化物以外のホウ素を含む化合物とは、たとえ
ば、鉄のホウ化物や、請求項2〜5に記載の合金元素が
添加された場合には、鉄とこれらの合金元素との複ホウ
化物等をいう。また、金属間化合物とは、たとえば、鉄
と4A族元素との金属間化合物であるFe2M(ラーベ
ス相)等や、請求項2〜5に記載の合金元素が添加され
た場合には、これらの合金元素と4A族元素との金属間
化合物等をいう。
【0020】4A族元素のホウ化物以外のホウ素を含む
化合物および4A族元素を含む金属間化合物相が、マト
リックスに60体積%を超えて析出すると、高剛性鋼中
での4A族元素のホウ化物量が相対的に減少し、鉄系合
金のヤング率の向上の効果が低下するとともに、マトリ
ックスが著しく硬化・脆化して実部品に適用しうる鋼と
しての特性を失うという問題があった。
【0021】4A族元素のホウ化物は、4A族元素であ
る、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウ
ム(Hf)のホウ化物の一種以上が用いられる。ホウ化
物は、単体としてのヤング率が少なくとも25000k
gf/mm2以上であれば、その分散により高剛性化の
確かな効果が得られる。中でも、MB2(M:4A族元
素)で示される4A族元素の二ホウ化物が、特に高いヤ
ング率を有するため、好ましい。
【0022】本発明の高剛性鋼は、マトリックス中で4
A族元素のホウ化物の粒径が100μm以下となってい
ることが好ましい。4A族元素のホウ化物の粒径が10
0μm以下となることで、実用レベルの機械的性質を高
剛性鋼にもたらすことができる。より好ましい粒径は、
20μm以下である。
【0023】マトリックスは、鉄または鉄合金よりな
る。すなわち、純鉄あるいは鉄系合金をマトリックスと
して用いることができる。また、鉄合金としては、フェ
ライト系、オーステナイト系、あるいはマルテンサイト
系など、広範囲な鉄合金を用いることができる。
【0024】マトリックスは、マトリックス全体を10
0重量%とした場合、V、Crの1種以上を、その合計
が25.0重量%以下含むことが好ましい。これらの元
素はマトリックスの二つの基本結晶構造のうち、より高
ヤング率なBCC構造のフェライトを安定化し、本高剛
性鋼においてさらなる高ヤング率化を促進する。これら
の元素が25.0重量%を超えると鉄との脆性化合物と
して有名なシグマ相が析出し、マトリックスを著しく脆
化させる。
【0025】マトリックスは、マトリックス全体を10
0重量%とした場合、Ni、Coの1種以上を、その合
計が25.0重量%以下含むことが好ましい。これらの
元素をマトリックスに含むことで、マトリックスにFC
C構造のオーステナイトを導入し、フェライトのみのマ
トリックスに比べ、破壊靱性を向上させる。これらの元
素が25.0重量%を超えるとオーステナイト主体のマ
トリックスとなり、フェライト主体のマトリックスに対
し、ヤング率が大幅に低下する。
【0026】マトリックスは、マトリックス全体を10
0重量%とした場合、Cuを10.0重量%以下含むこ
とが好ましい。ここで、Cuをマトリックスが含むとい
う状態は、マトリックスがCuを固溶している状態、お
よびε−Cu相として析出している状態の両方を示す。
マトリックスがCuを含むことで、鋼の強度が向上する
が、特にCuが超微細整合析出をした場合、鋼が著しく
高強度化される。ここで、Cuが10.0重量%を超え
るとマトリックスのヤング率が低下するとともに、熱間
加工時に液相割れなどを起こしやすくなり、実用上の問
題が生じるようになる。Cuは、0.2重量%以上であ
ることがより好ましい。Cuが0.2重量%以上で、マ
トリックスの強度の向上の効果が実用上において、十分
となる。
【0027】マトリックスは、マトリックス全体を10
0重量%とした場合、Mo、Nb、Ta、W、Hfの1
種以上の元素を、その合計が10.0重量%以下含むこ
とが好ましい。これらの元素は、マトリックス中におい
て、固溶もしくは析出状態で、マトリックスの強度を向
上させ、得られる高剛性鋼の強度を向上させる。ここ
で、これらの元素量が10.0重量%を超えるとフェラ
イト相を著しく硬化させるとともに、多量の析出物が生
じ、マトリックスを著しく脆化させる。
【0028】マトリックスは、マトリックス全体を10
0重量%とした場合、Cを0.5重量%以下含むことが
好ましい。Cを0.5重量%以下にすることで、マトリ
ックスに分散される4A族元素のホウ化物の熱力学的安
定性が保たれるようになる。すなわち、高温において
も、ホウ化物の4A族元素とCにより、炭化物や炭ホウ
化物が形成されることが抑制される。このため4A族元
素のホウ化物による高ヤング率化の効果を最大限に引き
出す。ここで、Cが0.5重量%を超えると、上記炭化
物や炭ホウ化物が多量に形成され、高剛性鋼の破壊脆性
を著しく低下させるので、実用上好ましくなくなる。
【0029】本発明の高剛性鋼は、上記した組成および
構成をもつものであればよく、その製造方法によって、
限定されるものではない。
【0030】(高剛性鋼の製造方法)本発明の粉末冶金
プロセスによる高剛性鋼は、次の方法によって確実に製
造することができる。すなわち、本発明の粉末冶金プロ
セスによる高剛性鋼の製造方法は、原料混合工程と、成
形工程と、焼結工程と、を有する。すなわち、調整され
た粉末原料を所定の形状に成形した後に、焼結させる製
造方法である。
【0031】原料混合工程は、4A族元素のホウ化物原
料粉末と、マトリックス原料粉末とを、混合する工程で
ある。
【0032】4A族元素のホウ化物原料粉末は、4A族
元素のホウ化物粉末、および4A族元素とボロンを単独
または同時に含有する複数の原料粉末の組み合わせのう
ち、いずれか、あるいは両者を併用した粉末である。す
なわち、本発明の製造方法は、4A族元素のホウ化物が
あらかじめ形成された原料粉末を配合するか、あるいは
/および4A族元素粉末とホウ素原料粉末とを混合して
その後の焼結工程において両元素の反応により生成させ
ることでマトリックスに分散させる。
【0033】ホウ化物原料粉末は、4A族元素とボロン
との配合比率が原子比で0.45〜0.80に調整され
ている。4A族元素とボロンとの配合比率を原子比で
0.45〜0.80に調整することで、4A族元素のホ
ウ化物以外のホウ素を含む化合物であるホウ化鉄や、4
A族元素を含む金属間化合物相を形成することを抑制す
ることができる。
【0034】ホウ化物原料粉末は、それぞれ公知の方法
により調整されたものや市販の粉末を用いることができ
る。また、ホウ化物原料粉末として4A族元素のホウ化
物粉末を用いる場合は、その平均粒径が数μm以下の粉
末を用いることが好ましい。このため、粒径が大きな粉
末の場合には、ボールミル、振動ミル、アトライタ等の
装置により粉砕しておくことが好ましい。
【0035】マトリックス原料粉末は、鉄または鉄合金
から選択される1種以上の粉末である。また、このマト
リックス原料粉末は、市販のもの、あるいは公知の方法
により作成されたものなど、いずれの鉄粉末あるいは鉄
合金粉末を用いてもよい。たとえば、アトマイズ法によ
り作製された市販の純鉄粉、ステンレス粉末等の粉末を
そのまま用いることができる。
【0036】マトリックス原料粉末は、たとえば平均粒
径が180μm以下の普通粒度のものを用いることがで
きる。より好ましくは、平均粒径が45μm以下の粉末
である。すなわち、平均粒径を45μm以下とすること
で焼結体の緻密化が促進されること、4A族元素のホウ
化物粉末を用いる場合にその分散を容易に均一化出来る
ようになる。また、このことは、マトリックス原料粉末
の粒径が、45μmより大きな粉末の使用を排除するも
のではない。
【0037】原料混合工程は、4A族元素のホウ化物原
料粉末とマトリックス原料粉末とを均一に混合させる工
程である。また、本発明の製造方法においては、特殊な
混合方法や、前処理を行わなくてもよいため、通常の粉
末の混合方法に用いられる粉末の混粉装置を採用するこ
とができる。たとえば、V型、ダブルコーン型等の混粉
機、ボールミル、あるいは振動ミルをあげることができ
る。ここで、ホウ化物原料粉末に4A族元素のホウ化物
粉末を用いた場合において、該粉末が二次粒子等を形成
している場合には、アトライタ等の高エネルギーミルに
より不活性ガス雰囲気中で粉砕処理することが好まし
い。
【0038】成形工程は、原料粉末混合工程において混
合された主原料粉末を所定の形状に圧粉成形する工程で
ある。この成形工程における成形方法は、所望の形状に
成形できる成形方法であれば、いずれの成形方法を用い
てもよい。たとえば、金型成形、CIP成形等をあげる
ことができる。
【0039】また、成形工程における成形圧力は、2t
on/cm2以上が好ましい。すなわち、2ton/c
2以上で成形することで、得られる成形体を焼結させ
たときの緻密化が十分に行われる。
【0040】焼結工程は、成形工程により得られた成形
体を焼結して焼結体を形成する工程である。
【0041】焼結は、真空中、不活性ガス雰囲気、ある
いは還元性ガス雰囲気中でなされることが好ましい。す
なわち、焼結は、マトリックスの鉄系合金が反応(酸
化)しない雰囲気下でなされる。
【0042】焼結は、1100〜1300℃の温度範囲
に加熱されることが好ましい。加熱温度が1100℃未
満では、焼結体の密度が十分に向上せず、1300℃を
超えるとホウ化物の種類によっては、多量の液相を生
じ、焼結体の形状が維持できなくなる。また、加熱時間
は、0.5〜4時間であることが好ましい。加熱時間が
0.5時間未満では焼結体の密度が十分に向上せず、4
時間を超えるとさらなる緻密化等の得られる効果に対し
て、作業工数や加熱に要するエネルギーのロスが大きく
なるためである。
【0043】また、本発明の高剛性鋼の溶融、鋳造プロ
セスによる製造方法は、4A族元素の純金属あるいは4
A族元素を含有する合金原料と、ボロンを含有する合金
原料とを、4A族元素とボロンとの配合比率で0.45
〜0.80となるように配合し、これに、鉄あるいは鉄
合金のマトリックス組成を得るために必要な原料を加え
て、すべての原料を真空中あるいは不活性ガス雰囲気中
で完全に溶融させた後、金型あるいはセラミックス型へ
鋳造することを特徴とする。ここで、4A族元素を含有
する合金原料としては、たとえば、フェロチタン、フェ
ロジルコニウムをあげることができ、ボロンを含有する
合金原料には、たとえば、フェロボロンをあげることが
できる。また、溶融設備としては、セラミックス製るつ
ぼを用いた高周波誘導真空溶解炉、アルゴンアーク溶解
炉、プラズマ溶解炉、水冷銅るつぼを用いた高周波誘導
真空溶解炉あるいは高周波誘導浮遊溶解炉など、従来の
溶融設備を用いることができる。
【0044】本発明の高剛性鋼の製造方法は、焼結工程
あるいは溶融、鋳造後に熱間加工を施す熱間加工工程を
有することが好ましい。すなわち、たとえば、焼結工程
のみでは焼結体の緻密化が不十分で、さらなる緻密化が
要求される場合には、焼結体に熱間加工を施すことによ
り真密度にまで容易に緻密化できる。また、溶融、鋳造
により製造された鋼塊の場合には、鋳造時に内部に生成
したポロシティを低減できるとともにホウ化物を微細化
できるので、強度特性の信頼性が向上する。この熱間加
工としては、鍛造、圧延押出し、スエージ等のさまざま
な加工方法をあげることができる。
【0045】熱間加工は、900〜1200℃の範囲で
行われることが好ましい。900℃未満となると加工時
の変形抵抗が大きく、1200℃を超えると液相を生じ
るおそれがあるため好ましくない。
【0046】また、熱間加工工程のかわりに、焼結工程
後にHIP(熱間静水圧プレス)処理を施すことで、焼
結体を緻密化することもできる。このHIP処理におけ
る処理条件としては、900〜1200℃、500〜2
000気圧、1〜10時間の範囲内で行うことが好まし
い。
【0047】本発明の高剛性鋼の製造方法は、通常の粉
末冶金技術あるいは溶融、鋳造技術に沿った製造方法で
あるため、従来の焼結材あるいは特殊鋼等の製造に用い
られた設備を用いることができる。
【0048】本発明の高剛性鋼は、ターボシャフト等の
回転軸、ピストン等の往復運動部品に用いることが好ま
しい。
【0049】すなわち、本発明の高剛性鋼を回転軸に用
いると、共振周波数が高周波側にシフトするため、より
高速回転をさせることができる。具体的には、回転軸を
用いた装置においては、共振による過負荷、あるいは破
壊の危険を避けるため、共振周波数を大きく下回る速度
でしか運転ができなくなっていた。このため、共振周波
数が大きくなることは、回転速度を大きくすることがで
きるようになる。
【0050】また、本発明の高剛性鋼は、高い剛性を有
するため、往復運動部品を小型化、薄肉化できる。この
ように小型化、薄肉化させることで、往復運動部品自身
が軽量化される。このため、往復運動の運動速度を引き
上げる、あるいは、少ないエネルギーで往復運動を生じ
させることができるようになる。
【0051】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0052】本発明の実施例として、高剛性鋼を作製し
た。
【0053】(第一実施例)第一実施例は、Fe−Cr
系合金マトリックスと、このマトリックスに分散された
20vol%のTiB2粒子と、を有する高剛性鋼であ
る。具体的には、マトリックスとして、ステンレス鋼
(SUS430)粉末とフェロチタン(FeTi)粉末
よりなる合金組成に調整されたマトリックスに、20v
ol%のTiB 2粒子が分散されている。
【0054】ここで、第一実施例は、その組成が試料1
のFe−14.6wt%Cr−8.9wt%Ti−4.
0wt%Bを基本とし、このマトリックスに20vol
%のTiB2粒子が分散されている。具体的には、第一
実施例の高剛性鋼は、試料1の組成を基本とし、試料2
〜4となるのにしたがって、Ti含有量が増加している
合金である。
【0055】(第一実施例の製造方法)まず、SUS4
30粉末(45μm以下)、TiB2粉末(平均粒径4
μm)、FeTi粉末(45μm以下)の各粉末を表1
に示される重量に秤量した。ここで、SUS430粉
末、TiB2粉末およびFeTi粉末は、市販のものが
用いられた。
【0056】
【表1】
【0057】つづいて、これらの粉末をAr雰囲気のア
トライタに投入した後に、約15分間混合機を稼働させ
て均一に混合した。ここで、原料粉末におけるTiとB
との原子比を表1にあわせて示した。
【0058】均一に混合された原料粉末を成形金型に投
入し、4ton/cm2の成形圧力で油圧プレスによ
り、直径20mm、高さ33mmの円柱状に成形した。
【0059】得られた円柱状成形体を真空雰囲気下、1
250℃で1時間加熱して、焼結させることで、高剛性
鋼試料が製造された。
【0060】(評価)第一実施例の評価として、各試料
に含まれるTiB2、およびその他の化合物の体積率な
らびに各試料のヤング率を測定した。この測定結果を図
1に示した。
【0061】測定は、まず、各試料をビレットとし、機
械的プレスによる熱間押出しを行い、直径7mmの円柱
状試料とした。この押出し材から試料を採取し、抽出残
滓法によりTiB2およびその他の化合物量を測定し
た。
【0062】また、この押出し材から3×4×30mm
の試験片をワイヤーカットにより作製した。作製された
試験片は、水晶振動子との共振を利用した複合振動子法
を用いて、ヤング率が測定された。
【0063】図1より、試料1〜4において、化合物種
としては、TiB2のほか、クロムと鉄を含有するホウ
化物M2B(M=Cr、Fe)や、クロム、鉄とチタン
から構成されるラーベス相M2Ti(M=Cr、Fe)
が認められた。また、図1より、試料1〜4において、
原料中のFeTi粉末量の増加にともない、M2B相が
減少し、TiB2相が増加している。また、試料4にお
いては、ラーベス相の発生が見られる。このことは、T
iB2はチタン、ホウ素で構成されるが、いずれの元素
も鉄や鉄合金には固溶しにくいため、TiB2の化学量
論比に対して過不足があれば、TiB2以外の化合物種
を形成すると解釈される。
【0064】また、図1にあわせて示された各試料のヤ
ング率から、TiB2粒子による高ヤング率化の効果が
同等に認められる。具体的には、本実施例の試料1〜4
のヤング率は260〜270GPaにまで向上してい
る。ここで、一般的な鉄、鋼等の鉄合金のヤング率は最
大で210GPa程度である。このため、本実施例の試
料は、M2BやM2Tiなど、意図しない化合物種を含有
するにもかかわらず、TiB2粒子による高ヤング率化
の効果が十分に保たれている。
【0065】(第二実施例)第二実施例は、Fe系合金
マトリックスと、このマトリックスに分散されたおよそ
20vol%のTiB2粒子と、を有する高剛性鋼であ
る。具体的には、マトリックスとしてさまざまな合金成
分を有するFe系合金と、このマトリックスにおよそ2
0vol%のTiB2粒子が分散されている。ここで、
第二実施例は、その基本的な組成がFe−9wt%Ti
−4.0wt%Bであり、この他に各試料ごとに固有の
合金成分をマトリックス中に含有している。
【0066】なお、試料5は基本組成そのままであり、
マトリックスに添加元素を含有しない比較材である。ま
た、試料6、7にはCuが、試料8、9にはWが、試料
10〜12にはMoが、試料13、14にはCoが、試
料15、16にはNbが、マトリックスに添加されてい
る。
【0067】(第二実施例の製造方法)第二実施例の製
造は、表2に示される配合とした原料粉末を用いた以外
は、第一実施例の製造方法と同様な手順によりなされ
た。具体的には、原料粉末の成形体を焼結させて、製造
する方法である。なお、第二実施例においては、原料粉
末に含まれるTiとBとを、その後の焼結工程において
反応させることで、TiB 2を生成させるとともに、マ
トリックスに分散させた。ここで、表2に示される原料
粉末の配合量は、マトリックス中に生成されるTiB2
粒子が20体積%をしめることを目標に決定されてい
る。
【0068】なお、それぞれの原料粉末におけるTiと
Bとの原子比は0.5とした。
【0069】
【表2】
【0070】ここで、鉄粉には普通純鉄粉(180μm
以下)が、Ti源粉末にはフェロチタン粉末(45μm
以下)が、B源粉末にはフェロボロン粉末(75μm以
下)が、用いられた。さらに、W添加にはフェロタング
ステン粉末が、Mo添加にはフェロモリブデン粉末が、
Co添加には電解コバルト粉末が、Nb添加にはフェロ
ニオブ粉末が、Cu添加には電解銅粉末が、それぞれ用
いられた。
【0071】なお、第二実施例の各試料の製造は、原料
粉末の混合に大気雰囲気中でV型混合機で1時間混合し
た以外は、第一実施例の各試料の製造方法を用いて製造
された。
【0072】すなわち、所定量に秤量された原料粉末
を、V型混合機に投入し、大気雰囲気条件下で1時間混
合機を稼働させて、原料粉末を均一に混合させた。その
後、この混合粉末を成形、焼結させ、各試料が製造され
た。
【0073】試料番号6〜16の場合、4A族元素のホ
ウ化物以外に生成する化合物とは、Fe2B等の鉄ホウ
化物、合金に添加された添加元素と鉄との複ホウ化物、
添加元素と4A族元素との金属間化合物であった。その
量は、4A族元素のホウ化物の全体積を100とした場
合に、いずれも50以下であった。
【0074】(評価)第二実施例の評価として、第二実
施例の各試料のヤング率、比ヤング率、引張強さおよび
このときの伸びを測定した。この測定結果を図2〜5に
示した。また、各試料のマトリックスに分散されたTi
2量も測定し、表2にあわせて示した。
【0075】ここで、評価において、ヤング率のみなら
ず比ヤング率を求めた理由としては、一般に比重の大き
いモリブデン、タングステンなどの金属はヤング率も大
きいので、これらの影響を考慮するためには比ヤング率
(単位比重あたりのヤング率)で比較するのがよいため
である。
【0076】ここで、測定に用いられた試験片は、3×
4×30mmの角材試験片および直径6mmの円柱試験
片が用いられた。これらの試験片は、第一実施例の評価
において行われた試験片の作製方法と同様に、押出し材
を作製した後に、機械加工を施すことにより角材試験片
および円柱試験片が製造された。
【0077】なお、ヤング率の測定は、第一実施例の評
価において用いられた共振を利用した複合振動子法を用
いたヤング率の測定方法が用いられた。
【0078】図2には、各試料のヤング率の測定結果が
示された。図2より、各試料のヤング率の測定結果は、
いずれも、235〜260GPaとヤング率が向上して
いる。すなわち、第一実施例の評価において述べたよう
に、普通鋼のヤング率は200GPa程度であり、第二
実施例の各試料は、ヤング率が向上している。
【0079】図3には、各試料の比ヤング率が示され
た。図3より、各試料の比ヤング率は、合金元素の有無
にかかわらずほぼ一定の値となっている。すなわち、試
料6〜16に添加された各元素は、本質的にTiB2
子による高ヤング率化を阻害せず、マトリックスのヤン
グ率をその比重に応じて変化させたため、図2では、ヤ
ング率がばらついているように見える。
【0080】図4には、各試料の引張強さの測定結果を
示した。図4より、Cu、W、Mo、Nbを添加した試
料は、引張強さが大きく向上している。このように、C
u、W、Mo、Nb等の元素をマトリックスに含ませる
ことで、高剛性鋼の強度を高めることができる。また、
鉄鋼材料の強度はさまざまであるが、普通炭素鋼の引張
強さは400〜600MPa位であり、本実施例の各試
料の引張強さより低くなっている。
【0081】図5には、引張強さの試験後の試料の伸び
を示した。図5より、Coをマトリックスに固溶させる
ことで、高剛性鋼が高い延性を有するようになることが
わかる。
【0082】ここで、引張強さの測定は、インストロン
型万能試験機(最大荷重5t)を用い、0.5mm/m
inのクロスヘッド速度で実施された。
【0083】第二実施例より、TiB2粒子による高ヤ
ング率化が維持されたまま、Cu、Mo、W、Nbをマ
トリックスに添加することによって高強度化を、Coの
添加によって延性向上が達成できる効果を有することが
明らかとなった。
【0084】(第三実施例)第三実施例は、Fe系合金
マトリックスと、このマトリックスに分散されたおよそ
20vol%のTiB2粒子と、を有する高剛性鋼であ
る。具体的には、マトリックスに異なる量の炭素を含む
Fe系合金と、このマトリックスにおよそ20vol%
のTiB2粒子が分散されている。ここで、第三実施例
は、その基本的な組成がFe−9wt%Ti−4wt%
Bであり、各試料ごとに異なる量の炭素をマトリックス
中に固溶している。
【0085】(第三実施例の製造方法)第三実施例の製
造は、表3に示される配合とした原料粉末を用いた以外
は、第二実施例の製造方法と同様な手順によりなされ
た。具体的には、原料粉末の成形体を焼結させて、製造
する方法である。ここで、表3に示される原料粉末の配
合量は、マトリックス中に生成されるTiB2粒子が2
0体積%をしめることを目標に決定されている。なお、
それぞれの原料粉末におけるTiとBとの原子比は0.
5とした。
【0086】
【表3】
【0087】なお、第三実施例の各試料の原料粉末の鉄
粉、FeTiには、第二実施例と同様な粉末材料が用い
られた。また、黒鉛には、平均粒径が5μm程度の粉末
が用いられた。
【0088】第三実施例の製造は、第二実施例と同様の
製造方法を用いて行われた。すなわち、原料粉末を所定
量に秤量した後に、均一に混合し、つづいて、成形を行
い、焼結させることで製造された。
【0089】(評価)第三実施例の評価として、各試料
のヤング率の測定および曲げ試験を行った。この試験結
果を図6および7に示した。また、各試料のマトリック
スに分散されたTiB2量も測定し、表3にあわせて示
した。
【0090】ここで、測定に用いられた試験片は、角材
試験片および円柱試験片が用いられた。これらの試験片
は、第一および第二実施例の評価において行われた試験
片の作製方法と同様に、押出し材を作製した後に、機械
加工を施すことにより角材試験片および円柱試験片が製
造された。
【0091】なお、ヤング率の測定は、第一および第二
実施例の評価において用いられた共振を利用した複合振
動子法を用いたヤング率の測定方法が用いられた。
【0092】図6には、各試料のヤング率の測定結果が
示された。図6より、各試料のヤング率の測定結果は、
いずれも、250〜280GPaとヤング率が普通鋼と
比較して向上している。ここで、前述したように普通鋼
のヤング率は200GPa程度である。また、各試料に
含まれる炭素量が増加するに連れてヤング率は微増して
いる。
【0093】図7には、曲げ試験における各試料の最大
たわみ量および最大曲げ荷重が示された。図7より、炭
素量が0.5%を超えると最大たわみ量は著しく低下
し、試料51〜53ではわずかの荷重で破断する脆い材
料になっていることがわかる。なお、光学顕微鏡および
X線回折により組織を観察した結果、試料52、53に
は、チタン−鉄の複合化合物や鉄ホウ炭化物が多量に形
成されていた。
【0094】このことから、炭素をマトリックスに配合
することでヤング率の向上を阻害することなく合金の靱
性を向上させることができる。しかしながら、許容量を
超える炭素は、チタンおよびホウ素と結合し、チタンホ
ウ化物の形成を阻害するばかりか、多量の脆弱な化合物
相の形成によって機械的性質に悪影響をおよぼすことが
明らかとなった。
【0095】
【発明の効果】本発明の高剛性鋼は、マトリックスに高
ヤング率の4A族元素のホウ化物を分散させることで、
全体のヤング率を向上させている。また、高剛性鋼中の
4A族元素の他のホウ化物およびラーベス相を制御し、
これらの生成を抑えることで4A族元素のホウ化物によ
るヤング率の向上効果が阻害されることを防いでいる。
本発明の高剛性鋼は、ターボシャフト等の回転軸、ピス
トン等の往復運動部品に用いると、高い剛性を有するこ
とから、高速での運転が可能になる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施例の試料に含まれる化合物種および
各試料のヤング率の測定結果を示した図である。
【図2】 第二実施例の試料のヤング率の測定結果を示
した図である。
【図3】 第二実施例の試料の比ヤング率を示した図で
ある。
【図4】 第二実施例の試料の引張強さを示した図であ
る。
【図5】 第二実施例の試料の引張強さ試験後の試料の
伸びを示した図である。
【図6】 第三実施例の試料のヤング率の測定結果を示
した図である。
【図7】 第三実施例の試料の曲げ試験における最大曲
げ荷重およびたわみ量を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西野 和彰 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 斎藤 卓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4K018 AA24 AB04 AC01 BA03 BA16 KA62

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄または鉄合金よりなるマトリックス
    と、該マトリックス中に分散保持された4A族元素のホ
    ウ化物と、を含む高剛性鋼であって、 全体を100体積%とした場合、該4A族元素のホウ化
    物は5〜65体積%を占め、かつ該4A族元素のホウ化
    物の全体積を100とした場合、60以下の該4A族元
    素のホウ化物以外のホウ素を含む化合物、および4A族
    元素を含む金属間化合物の少なくとも1種を含むことを
    特徴とする高剛性鋼。
  2. 【請求項2】 前記マトリックスは、該マトリックス全
    体を100重量%とした場合、銅(Cu)を10.0重
    量%以下含む請求項1記載の高剛性鋼。
  3. 【請求項3】 前記マトリックスは、該マトリックス全
    体を100重量%とした場合、モリブデン(Mo)、ニ
    オブ(Nb)、タンタル(Ta)、タングステン
    (W)、ハフニウム(Hf)の1種以上の元素を、その
    合計が10.0重量%以下含む請求項1記載の高剛性
    鋼。
  4. 【請求項4】 前記マトリックスは、該マトリックス全
    体を100重量%とした場合、ニッケル(Ni)、コバ
    ルト(Co)の1種以上を、その合計が25.0重量%
    以下含む請求項1記載の高剛性鋼。
  5. 【請求項5】 前記マトリックスは、該マトリックス全
    体を100重量%とした場合、バナジウム(V)、クロ
    ム(Cr)の1種以上を、その合計が25.0重量%以
    下含む請求項1記載の高剛性鋼。
  6. 【請求項6】 前記マトリックスは、該マトリックス全
    体を100重量%とした場合、炭素(C)を0.5重量
    %以下含む請求項1記載の高剛性鋼。
  7. 【請求項7】 4A族元素のホウ化物粉末、および4A
    族元素とボロンを単独またはこれらを同時に含有する複
    数の原料粉末の組み合わせのうち、いずれか、あるいは
    両者を併用して4A族元素とボロンとの配合比率が原子
    比で0.45〜0.80となるように調整された4A族
    元素のホウ化物原料粉末と、鉄または鉄合金から選択さ
    れる1種以上のマトリックス原料粉末とを、混合する原
    料混合工程と、 該原料粉末混合工程において混合された主原料粉末を所
    定の形状に圧粉成形する成形工程と、 前記成形工程により得られた成形体を焼結して焼結体を
    形成する焼結工程と、を有する高剛性鋼の製造方法。
  8. 【請求項8】 4A族元素の純金属あるいは4A族元素
    を含有する合金原料と、ボロンを含有する合金原料と
    を、4A族元素とボロンとの配合比率が原子比で0.4
    5〜0.80となるように配合し、これに、鉄あるいは
    鉄合金のマトリックス組成を得るために必要な原料を加
    えて、すべての原料を真空中あるいは不活性ガス雰囲気
    中で完全に溶融させた後、金型あるいはセラミックス型
    へ鋳造して鋼塊を製造する高剛性鋼の製造方法。
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