JP2001056326A - セロトニン及び5−ヒドロキシインドール酢酸の精製法及び測定方法 - Google Patents
セロトニン及び5−ヒドロキシインドール酢酸の精製法及び測定方法Info
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Abstract
Aの精製及び測定法を提供する。 【解決手段】セロトニン(5HT)及び5−ヒドロキシ
インドール酢酸(5HIAA)を含む試料をプレカラム
に吸着・溶出させ、5HT及び5HIAAを回収するこ
とにより、5HT及び5HIAAを精製する際に、プレ
カラムが逆相カラムであり、吸着液がpH5.0以下
で、かつ塩基性物質用イオンペア試薬を含み、溶出液が
吸着液に比べpHが1.0以上高い溶液であることを特
徴とする。またそのような方法により精製した5HT及
び5HIAAを分離カラムに導入・分離し、各成分を検
出・測定することにより、5HT及び5HIAAを同時
測定する。
Description
清、血漿、尿などの試料中に含まれるセロトニン及び/
又は5−ヒドロキシインドール酢酸の精製及び測定方法
に関する。
ドロキシインドール酢酸(以下5HIAA)の同時測定
方法としては、液体クロマトグラフを用いた方法が知ら
れている。分離カラムとして逆相カラムを用い、分離カ
ラムの試料による汚れを防ぐために、同じ逆相ゲルのプ
レカラムを分離カラムの前に配し、試料分析中にモータ
ーバルブを用いて分析カラム流路からはずし自動洗浄す
る方法(MARLIESKOELら J.Chroma
togr.,495(1989) p263)がある。
この方法では、5HT及び5HIAAばかりでなく、バ
ニリルマンデル酸、ホモバニリン酸、ドーパミン、トリ
プトファンも同時に測定できる。
どちらも逆相カラムを用い、プレカラムに吸着させる吸
着液及び溶出させる溶出液を同じ組成とし、カラムスイ
ッチングによる方法(TORSTEN J.PANHO
LZERら Clin.Chem.,45(1999)
p262)がある。この方法では、5HT及び5HIA
Aばかりでなく、ノルエピネフリン、ジヒドロキシフェ
ニル酢酸、エピネフリン、ノルメタネフリン、ホモバニ
リン酸、メタネフリン、ドーパミンも同時に測定でき
る。
の中で、5HTおよび5HIAAはさまざまな疾患との
関連で特に重要であり、これら2つの物質を簡便に試料
中の不純物質の影響なく測定出来る方法が望まれてい
る。ここでいう不純物質には、さまざまな疾患の治療の
ために投与された薬物なども含まれる。
び5HIAAを含めて複数の代謝物を同時に測定するも
のである。TORSTEN J.PANHOLZERら
の方法(Clin.Chem.,45(1999)p2
62)は、カラムスイッチングを用いるものの、プレカ
ラムおよび分離カラムどちらも逆相カラムで、プレカラ
ムに吸着させる吸着液及び溶出させる溶出液を同じ組成
としており、プレカラムで除去されない不純物質が、分
離カラムでも不純物質として問題にになる可能性が高
い。
成分を同時に測定するためには、プレカラムにおいて5
HT、5HIAAを含めて多くの成分を吸着した後、溶
出し、分離カラムに導入すればよい。このため、5H
T、5HIAAの測定に影響を及ぼす不純物質が分離カ
ラムに導入される可能性も高い。
受けにくい5HTおよび/又は5HIAAの精製及び測
定方法の確立が望まれている。
課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を
完成するに至った。即ち本発明は、セロトニン及び/又
は5−ヒドロキシインドール酢酸を含む試料をプレカラ
ムに吸着させる工程、セロトニン及び5−ヒドロキシイ
ンドール酢酸をプレカラムから溶出させる工程、及び溶
出したセロトニン及び5−ヒドロキシインドール酢酸を
回収する工程からなる、セロトニン及び/又は5−ヒド
ロキシインドール酢酸の精製法において、プレカラムが
逆相カラムであり、吸着工程における吸着液がpH5.
0以下で、かつ塩基性物質用イオンペア試薬を含んだ溶
液であり、また溶出工程における溶出液が前記吸着液に
比べpHが1.0以上高い溶液であることを特徴とする
方法である。
セロトニン及び/又は5−ヒドロキシインドール酢酸を
分離カラムに導入し分離する工程、及び分離した各成分
を検出または測定する工程からなることを特徴とする、
セロトニン及び/又は5−ヒドロキシインドール酢酸の
測定方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
は、シリカ系またはポリマー系のゲルに疎水基として、
エーテル基、オクタデシル基、オクチル基、フェニル基
などを導入したゲルを充填したカラムが挙げられる。ま
た、ゲル自体が疎水性を有する場合については、疎水基
を導入しなくともよい。
着させる吸着液については、pH5.0以下、好ましく
はpH2.0から4.0である。さらに、設定したpH
に緩衝能のあるクエン酸、グリシン、酢酸など物質を加
えることが望ましい。その濃度は5.0から50mM程
度がよい。
薬としては、5HTなどの塩基性物質と逆相カラムであ
るプレカラム中のゲルの疎水表面との相互作用を強める
性質を有する試薬であれば特に限定されない。通常、そ
の物質はマイナスチャージを有する分子構造と疎水性を
有する分子構造とがつながった分子構造を取る。例え
ば、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸溶液、1−プ
ロパンスルホン酸ナトリウム、1−ブタンスルホン酸ナ
トリウム、1−ペンタンスルホン酸ナトリウム、1−ヘ
キサンスルホン酸ナトリウム、1−ヘプタンスルホン酸
ナトリウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウム、1−
ノナンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸ナ
トリウム、1−ウンデカンスルホン酸ナトリウム、1−
ドデカンスルホン酸ナトリウム、1−トリデカンスルホ
ン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、2−
ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどがあげられる。
薬の性質を有する分子は、それぞれ、過塩素酸イオン、
トリクロロ酢酸イオン、1−プロパンスルホン酸イオ
ン、1−ブタンスルホン酸イオン、1−ペンタンスルホ
ン酸イオン、1−ヘキサンスルホン酸イオン、1−ヘプ
タンスルホン酸イオン、1−オクタンスルホン酸イオ
ン、1−ノナンスルホン酸イオン、1−デカンスルホン
酸イオン、1−ウンデカンスルホン酸イオン、1−ドデ
カンスルホン酸イオン、1−トリデカンスルホン酸イオ
ン、ドデシルスルホン酸イオン、2−ナフタレンスルホ
ン酸イオンであるので、これらのイオンを含む試薬であ
れば良い。例えば、過塩素酸イオンを含む試薬として
は、過塩素酸ナトリウム以外に過塩素酸溶液があげられ
る。
により異なるが、例えば過塩素酸ナトリウム、トリクロ
ロ酢酸であれば10から100mM、望ましくは30〜
70mM程度がよい。また、試料中の5HTおよび5H
IAAの酸化防止を目的として、エチレンジアミン4酢
酸などの金属キレート剤を、防腐剤としてアジ化ナトリ
ウムなどを加えてもよい。
溶出するための溶出液としては、少なくとも吸着液に比
べpHを1.0以上高くする必要があるが、好ましくは
pH5.0から7.0である。設定したpHに緩衝能の
あるクエン酸、酢酸、リン酸などの物質を加えることが
望ましい。その濃度は5.0から50mM程度がよい。
また5HTを速やかに溶出するために、溶出液には塩基
性物質用イオンペアを含まない方が好ましく、更にエタ
ノール、メタノール、アセトニトリルなどの有機溶媒を
加えることが望ましい。加える有機溶媒濃度は、その種
類により異なるがアセトニトリルであれば1.0から1
0%加えるとよい。また、試料中の5HTおよび5HI
AAの酸化防止を目的として、エチレンジアミン4酢酸
などの金属キレート剤を、防腐剤としてアジ化ナトリウ
ムなどを加えてもよい。
い。一方5HIAAは、pHが上昇すると共に酸性の電
荷を増し疎水性が弱くなり、pHが低下すると共に酸性
の電荷が低下し疎水性が強くなる。これらの性質を利用
し、プレカラムとして逆相カラムを用い、吸着液の組成
を、5HIAAを吸着させるためにpH5.0以下と
し、かつ5HTを吸着させるために塩基性物質用イオン
ペア試薬を加えた組成とし、更にプレカラムに吸着され
た疎水性の高い不純物を溶出せずに、5HIAAを速や
かに溶出するために、溶出液のpHが吸着液のpHと比
較して1.0以上高い溶液とすることにより、プレカラ
ムから5HTおよび5HIAAを含み、それ以外の成分
を最小限とした分画を回収することができる。
5HIAAを含む溶液を、分離カラムに導入・分離し、
分離した成分を検出又は測定することにより、5HTお
よび5HIAAの測定を行うことができる。
Aについて保持できるカラムであれば良い。例えば、弱
い疎水性の性質を有した陽イオン交換カラムや、逆相カ
ラムを用いることができる。分離カラムとして用いられ
る逆相カラムは、シリカ系またはポリマー系のゲルに疎
水基として、エーテル基、オクタデシル基、オクチル
基、フェニル基などを導入したゲルを充填したカラムが
挙げられる。また、ゲル自体が疎水性を有する場合につ
いては、疎水基を導入しなくともよい。
には特に限定はない。しかし、弱い疎水性の性質を有し
た陽イオン交換カラムを用いる場合は、pH5.0以下
の溶離液を用いるとよい。それは5HTは塩基性物質で
あり、一方5HIAAはpH5.0以下の溶離液を用い
れば強い疎水性を有するからである。また逆相カラムを
用いる場合は、溶離液のpHに特に限定はなくpH5.
0以上でも使用可能である。それは、5HTは弱い疎水
性の性質を有し、一方5HIAAはpH5.0以上であ
っても弱い疎水性の性質を有するからである。
ラムからの溶出液と分離カラムからの溶離液に同じ液を
使用することができるため、好ましいものである。その
場合には、5HT及び5HIAAの分離をより良好にす
るために、塩基性物質用イオンペア試薬を加えてもよい
が、加える濃度については、プレカラムから5HTを速
やかに溶出させるために、吸着液に加えた物と同じ種類
の塩基性物質用イオンペア試薬を用いる場合には、吸着
液に加えた濃度の半分以下、異なる種類の塩基性物質用
イオンペア試薬を用いる場合には、必要最小限の濃度と
することが好ましい。これにより、分離カラムから回収
される不純物を最少量とすることができる。
出又は測定されるが、例えば検出系としては、電気化学
検出器、蛍光検出器などが挙げられる。蛍光検出器を用
いる場合には、例えば5HTおよび5HIAA自身の自
然蛍光を用いる方法、ジフェニルエチレンジアミン、ベ
ンジルアミンなどの試薬と反応後、生成された蛍光物質
を測定する方法がある。
入し試料中の特定の成分を吸着し、溶出し、分離カラム
に導入し分離し、検出・測定するわけであるが、このよ
うなカラムスイッチング操作は、通常、コンピューター
制御により自動的に指定した時間に流路が切り替えられ
る流路切り替えバルブにより行うことができる。本発明
を実施するための装置としては、一般的に、カラムスイ
ッチングのための流路切り替えバルブ、溶離液を流すポ
ンプ、流す溶離液の種類を切り替えるための流路切り替
えバルブ、オートサンプラー、溶離液中に溶存する気体
成分を除去するデガッサーなどを有し、それらをコンピ
ューターにより自動制御出来るものが用いられる。カラ
ムスイッチングのための流路切り替えバルブとしては、
通常6方モーターバルブが用いられる。
るが、本発明は実施例に限定するものではない。
II東ソー(株)製の配管系を変更し用いた。6方モー
ターバルブは1個用いた。プレカラム(C1)、分離カ
ラム(C2)は、それぞれTSKgelODS−80T
s(サイズ3.2mmI.D.×30mm)、TSKg
elODS−80Ts(サイズ4.6mmI.D.×1
20mm)どちらも東ソー(株)製を用いた。ポンプは
すべてレシプロ型ポンプで、流速はポンプ1,2,3,
4(P1,P2,P3,P4)それぞれ1.0ml/m
in,0.7ml/min,0.25ml/min,
0.25ml/minとした。デガッサ(D)は、オン
ライン真空脱気式を用い、吸着液(E1),洗浄液(E
2),溶出・溶離液(E3)、反応液1,2(R1,R
2)のすべてをポンプの前に脱気するようにした。オー
トサンプラー(AS)は、ループを500μLとした。
リアクター(RE)はテフロン配管0.4mmI.D.
×20mとし、設定温度は90℃とした。蛍光検出器
(FS)は、光源にキセノンランプを用い、励起波長3
40から360nm、蛍光波長470nm以上とした。
ン、50mM過塩素酸ナトリウム pH3.0とし、洗
浄液(E2)はカテコールアミン測定用試薬溶離液BI
I(東ソー株式会社製)を、溶出液及び溶離液としては
いずれも溶出・溶離液(E3)を用い、その組成は10
mM酢酸ナトリウム、150mM硝酸アンモニウム、2
%アセトニトリルpH5.5とした。また5HT及び5
HIAAの検出のために用いられる反応液1(R1)は
50%アセトニトリル、40mMベンジルアミンとし、
反応液2(R2)は、50%アセトニトリル、5mM四
ほう酸ナトリウム、6mMフェリシアン化カリウム p
H10.0とした。測定中の6方モーターバルブ、3方
電磁弁の切り替えタイミングは、6方モーターバルブ1
(M1):ON1.9min−OFF12.0min、
3方電磁弁1(S1):ON12.0min−OFF1
7.0min、3方電磁弁2(S2):ON29.0m
in−OFF30.5min、とし、測定サイクルは3
5.5minとした。
gアスコルビン酸、0.38gエチレンジアミン4酢酸
2ナトリウム、34mL 60%過塩素酸溶液を加えて
均一にした希釈液を用い、5HT(シグマ製)、5HI
AA(シグマ製)それぞれ10pmol/mlの濃度に
なるよう調製した。血漿は、同じ希釈液で20倍に希釈
し、遠心分離後の上清を試料として用いた。尿は、同じ
希釈液で500倍希釈し、そのまま試料として用いた。
試料注入量は500μLとした。
体を用いた。尿は患者尿2検体、健常人尿1検体を用い
た。
は標準試料の測定結果であり、5HTと5HIAAのピ
ークが確認された。図3〜6はそれぞれ患者血漿1〜
4、図7は健常人血漿の測定結果である。血漿試料で
は、5HTと5HIAAのピークが確認された。図8,
9はそれぞれ患者尿1,2、図10は健常人尿の測定結
果である。尿試料では、5HIAAのみが確認され、5
HTは感度以下であった。以上のように、すべての試料
において良好な測定結果が得られた。
を受けにくいセロトニン及び/又は5−ヒドロキシイン
ドール酢酸の精製及び測定を行うことができる。
る。
る。
る。
る。
る。
る。
る。
る。
る。
Claims (6)
- 【請求項1】セロトニン及び/又は5−ヒドロキシイン
ドール酢酸を含む試料をプレカラムに吸着させる工程、
セロトニン及び5−ヒドロキシインドール酢酸をプレカ
ラムから溶出させる工程、及び溶出したセロトニン及び
5−ヒドロキシインドール酢酸を回収する工程からな
る、セロトニン及び/又は5−ヒドロキシインドール酢
酸の精製法において、プレカラムが逆相カラムであり、
吸着工程における吸着液がpH5.0以下で、かつ塩基
性物質用イオンペア試薬を含んだ溶液であり、また溶出
工程における溶出液が前記吸着液に比べpHが1.0以
上高い溶液であることを特徴とする方法。 - 【請求項2】請求項1に記載の精製法において、プレカ
ラムからセロトニンおよび5−ヒドロキシインドール酢
酸を溶出する溶出液に、塩基性物質用イオンペア試薬が
含まれないことを特徴とする方法。 - 【請求項3】請求項1又は2に記載の精製法において、
プレカラムからセロトニンおよび5−ヒドロキシインド
ール酢酸を溶出する溶出液に、有機溶媒が含まれること
を特徴とする方法。 - 【請求項4】請求項1〜3いずれかに記載の方法により
精製したセロトニン及び/又は5−ヒドロキシインドー
ル酢酸を分離カラムに導入し分離する工程、及び分離し
た各成分を検出または測定する工程からなることを特徴
とする、セロトニン及び/又は5−ヒドロキシインドー
ル酢酸の測定方法。 - 【請求項5】請求項4に記載の測定方法において、分離
カラムとして逆相カラムを用いることを特徴とする方
法。 - 【請求項6】請求項4または5に記載の測定方法におい
て、プレカラムからの溶出液と分離カラムからの溶離液
とが同じ組成であることを特徴とする方法。
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1999
- 1999-08-17 JP JP23033099A patent/JP4258072B2/ja not_active Expired - Fee Related
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