JP2001050809A - 海洋音響トモグラフィデータ解析装置 - Google Patents

海洋音響トモグラフィデータ解析装置

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JP2001050809A
JP2001050809A JP11226217A JP22621799A JP2001050809A JP 2001050809 A JP2001050809 A JP 2001050809A JP 11226217 A JP11226217 A JP 11226217A JP 22621799 A JP22621799 A JP 22621799A JP 2001050809 A JP2001050809 A JP 2001050809A
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sound
sound velocity
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Tomio Araya
富雄 新家
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Oki Electric Industry Co Ltd
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)
  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 黒潮続流域のような亜熱帯水系と亜寒帯水系
が混合する海域における水温躍層の変化に重点を置いた
音速プロファイルを生成することができる海洋音響トモ
グラフィデータ解析装置。 【解決手段】 海洋データベース120を用い目的海域
の音速プロファイルを算出する手段140と、前記音速
プロファイルより基準音速値プロファイルと音速変動量
を算出し、次に前記音速変動量と代表深度とに基づき音
速変動量モードを算出し、次に前記音速変動量モードと
代表深度とに基づき求めた音速変動量と、前記基準音速
値プロファイルとの和を求めることにより音速プロファ
イルを再構成する手段130とを備えたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海洋音響トモグラ
フィデータ解析装置に係り、特に海中の音速プロファイ
ル作成手法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最初に、海洋音響トモグラフィの概要に
ついて説明する。海洋音響トモグラフィ(Ocean Acoust
ic Tomography,一般にOATという)技術は、水中音波
の伝搬時間が水温、水圧、塩分等によって異なることを
利用して、海の内部の水温等の変化を調査する技術であ
る。この海洋音響トモグラフイの一般的な手法では、海
洋の観測海域に複数の音響送受波器を設置し、その送受
波器間を伝搬する時間を計測する。海水中では1対の送
波器と受波器の間で音響パルスの送受波を行う場合に、
送波器から1個のパルスを発射しても、受波器には複数
のパルスが到達する。これは1対の送受波器に対して複
数の伝搬経路が存在することに起因する。これを多重音
線経路と呼ぶ。そのため、各音線にたいして伝搬時間を
計測する。次に、観測海域の音速場に近い場(基準場と
呼ぶ)を仮定して音の伝搬経路(音線経路)と伝搬時間
を計算する。各音線の伝搬時間の観測値と計算値との差
から基準場と実際の場との差(音速変動量)を逆問題解
析によって求め、実際の場を推定する。この一連の手続
きからなる解析処理を海洋音響トモグラフィ解析とい
う。
【0003】海洋音響トモグラフィにおいては、各音線
の伝搬時間差が既知数で音速変動量が未知数、すなわち
推定される量であり、音速変動量を関数展開してその展
開係数を推定する。従来、OATデータ解析装置では、
鉛直方向の音速変動量(平均音速プロファイルからの変
動量)を海洋データベースから作成されるEOF(Empi
rical Orthogonal Functcions 、経験的直交関数)のモ
ードとその係数を用いて記述している(例えば下記参考
文献1を参照)。 参考文献1:信学技報、US96-33(1996-08)、鴨志田隆
也、海洋音響トモグラフィーにおいて用いるモデル評
価、pp33-40
【0004】そして従来のOATデータ解析装置では、
各固有音線の伝搬時間差(装置内で計算した基準場の固
有音線の伝搬時間とそれに対応する観測値の伝搬時間の
差)から逆問題解析によって先に述べたEOFの係数を
求める(例えば下記参考文献2を参照)。そして、上記
により求められた各EOFモード毎の係数とれそれに対
応したモード、および平均音速プロファイルを全て加算
することによって音速プロファイル(音速プロファイル
は海面から海底までの音速値鉛直分布である)を再構築
する。実データ解析では、EOFのモードを第1〜第
3、第4まで用いて音速変動量を記述していた(例えば
下記参考文献3を参照)。 参考文献2:海洋理工学会誌、vol.3、No.1 、1997、
新家富雄他、海洋音響トモグラフィーにおける次元性の
比較と実海洋要素を取り込んだ3次元シミレーション、
pp11-22 参考文献3:海洋音響学会講演論文集、1998年6月、鴨
志田隆也、三次元海洋音響トモグラフィーのデータ解析
手法実験、pp71-72
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、以上に述べた
従来のOATデータ解析方法では、黒潮続流域のような
亜熱帯系の水と亜寒帯系の水が混合する変動の激しい海
域は、音速場を正確に再現するためにEOFを高次モー
ドまで用いなければならない。しかし、逆問題解析は、
モードを高次までを適用すると未知数が増加し、音速プ
ロファイルの再現率の低下に繋がると言う相反する問題
を抱えている。加えて、EOFは、表層から大深度まで
の音速変動量を統計的に出現する確率の大きさでのみ記
述するため、海面付近の変動の激しい混合層と水深10
00m付近に位置する水温躍層の変動を同比率で表すこ
とも珍しくない。そのため、EOFは、本来OATが観
測しようとする黒潮続流の変動(水温躍層の100日周
期の変動)を表す展開関数としては、必ずしも最適なも
のではない。そこで何らかの方法で、OATから得られ
る少ない情報量で、黒潮続流域の変動に重点を置いた鉛
直方向の展開関数が必要である。本発明では、水温躍層
変動を代表する深度の音速変動量と他の深度の音速変動
量の関係を2次式で近似することで音速変動量モードを
作成する。また別の手法として、2層QGモデルから得
られる傾圧項に対応させた代表深度により音速変動量モ
ードを作成する。そしてこれらの音速変動量モードより
音速プロファイルを再構成しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る海洋音響ト
モグラフィデータ解析装置は、海洋データベースを用い
目的海域の位置及び深度毎の温度及び塩分データより音
速プロファイルを算出する手段と、前記算出した音速プ
ロファイルの水平方向平均値より基準音速値プロファイ
ルを算出し、また前記音速プロファイルと基準音速値プ
ロファイルの差より音速変動量データセットを算出する
手段と、前記算出した音速変動量データセットと水温躍
層の変動の代表深度とに基づき、前記代表深度での音速
変動量に対する他の各深度での音速変動量より音速変動
量モードを算出する手段と、前記算出した音速変動量モ
ードと前記代表深度とに基づく音速変動量を求め、該音
速変動量と前記基準音速値プロファイルとの和を求める
ことにより音速プロファイルを再構成する手段とを備え
たものである。その結果、黒潮続流域のような亜熱帯水
系と亜寒帯水系が混合する海域における水温躍層の変化
に重点を置いた音速プロファイルを生成することができ
る海洋音響トモグラフィデータ解析装置が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】実施形態1 図1は本発明の実施形態1,2に係るOATデータ解析
装置の構成図である。図1において、101はデータの
書き込み及び読み出しを行うことのできる音速データメ
モリ、102は基準音速データメモリ、103は音速変
動量データメモリ、104はモードデータメモリ、10
5は合成音速プロファイルデータメモリ、110は本装
置と外部とでデータをやり取りするためのデータ入出力
部、120は海洋データベース、130は演算部、14
0は音速演算部、150はデータ表示部であり、上記1
01〜105の各メモリ及び110〜150の各機器が
バス210に接続されている。
【0008】図2は本発明の実施形態1の動作フローチ
ャートであり、図のSに続く数値はステップ番号を示
す。図3は深度1000mの音速変動量と他の深度の音
速変動量のスキャッタプロット例を示す図であり、図の
横軸は深度1000mの音速変動量、縦軸は他の深度の
音速変動量である。図4は深度1000mを基準とした
音速変動量モードの説明図であり、図の縦軸は深度、横
軸は音速変動量である。
【0009】図5はCTDデータから求めた音速場と再
構成された音速場の説明図であり、図の縦軸は水深(単
位はメートル、m)、横軸は距離であるが、この例で
は、1000kmの距離を約50kmの間隔で設けられ
た20個の各ステーションのステーション番号(1〜2
0)として示している。また図形内の数値は音速(単位
はm/s)である。なお上記CTDのCはConductivity
(海水の導電率、実質的には塩分)、TはTemperature
(海水の温度)、DはDepth (水深)の意味であり、こ
れら3つの物理量を計測するセンサを各ステーションか
ら海中に沈めて実際に測定したデータがCTDデータで
ある。図5の(a)はCTDデータから求めた音速場
を、(b)は水深1000mの音速変動量の情報を用い
て再構成された音速場を示している。
【0010】以下図1〜図5を参照し、図2の順序で実
施形態1の動作を説明する。 (a)海洋データベースを用いた音速プロファイルの計
算(図2のステップ101) 図2のS101では、目的海域の海洋データベースから
音速プロファイルを計算する。図1のデータ入出力部1
10から、目的海域の範囲を指定する命令が演算部13
0に入力される。演算部130は指定範囲に基づき、海
洋データベース120に格納されている水温T(x,
y,d)、塩分S(x,y,d)のデータ群を切り出
し、音速演算部140に入力する。ここで、xとyは位
置の座標であり、dは深度である。音速演算部140
は、音速式(例えば下記参考文献4A,4Bを参照)に
従って水温T、塩分S及び深度dの各データから音速値
Cを算出する。演算部130は、算出された音速データ
セットC(x,y,d)を音速データメモリ101に格
納する。 参考文献4A:Del Grosso,V.A.,New equation for the
speed of sound innatural waters(with comparisins
to other equations),J.Acoust.Soc.Am,vol.56,pp1084-
1091(1974) 参考文献4B:Kenneth V.Mackenzie,Nine-term equati
on for sound speed inthe Ocena,J.Acoust.Soc. Am,vo
l.70,pp807-812(1981)
【0011】(b)基準音速プロファイルと音速変動量
の計算(図2のステップ102) 図2のS102では、目的の海域の平均音速プロファイ
ルと音速変動量を計算する。図1の演算部130は、音
速データメモリ101に格納された音速データセットC
(x,y,d)を読み出す。そして、この音速データセ
ットC(x,y,d)の水平方向の平均値を求めること
で、基準音速値プロファイルC0(d)を算出する。次に
演算部130は、音速データセットC(x,y,d)と
基準音速値プロファイルC0(d)の差を求めることによ
って音速変動量データセットδC(x,y,d)を算出
する。そして演算部130は、基準音速値プロファイル
0(d)を基準音速データメモリ102に格納し、また
音速変動量データセットδC(x,y,d)を音速変動
量データメモリ103に格納する。
【0012】(c)音速変動量モードの算出(図2のス
テップ103) 図2のS103では、音速変動量モードの算出を行う。
図1の演算部130は、音速変動量データメモリ103
に書き込まれた音速変動量データセットδC(x,y,
d)を読み出す。次に、演算部130は、データ入出力
部110を介して、水温躍層の変動を代表する深度d
ref (以下単に代表深度dref という。また通常代表深
度は、水深1000m付近であるので、この例ではd
ref =1000mとする)を入力する。図3の(a)〜
(d)は、亜熱帯水系と亜寒帯水系が混合する海域にお
ける、水深1000mでの平均音速からの音速変動量δ
C(x,y,dref )(横軸範囲−4〜+4m/s)に
対するその他の水深100m,300m,500m,7
50mでの各平均音速からの音速変動量δC(x,y,
d)(縦軸範囲−40〜+20m/s)のスキャッタプ
ロットの例を示す図である。
【0013】そして演算部130は、図3に示されたよ
うに、代表深度dref (この例では前記1000m)で
の音速変動量にδC(x,y,dref )に対するその他
の各深度(例えば100m,300m,500m,75
0m)での音速変動量δC(x,y,d)の値を求め
る。図3の(a),(b)における浅い水深(100
m,300m)に着目すると、2種類の水系が存在する
ため1次式より2次式で近似した方が音速変動量を記述
するのに適していることが分かる。つまり音速変動量δ
α(d)は次式(1)で示される。 δCα(d)=α2Ψ2(d)+αΨ1(d)+Ψc(d) …(1) 但し α=δC(dref )とする。式(1)において、
係数αは代表深度dref での音速変動量δC(x,y,
ref )であり、逆問題解析で求められる。また式
(1)の第1項よりα2 を除いたΨ2(d)、第2項よ
りαを除いたΨ1(d)、及び第3項Ψc(d)を音速変
動量モードという。そして音速変動量δCα(d)は、
係数α2と音速変動量モードΨ2(d)の積、係数αと音
速変動量モードΨ1(d)の積及び定数項Ψc(d)の和
として示される。
【0014】演算部130は、図3の如き代表深度に対
する各深度におけるスキャッタプロットに基づき、これ
を2次式で近似した各音速変動量モードΨ2(d),Ψ1
(d),Ψc(d)を個別に算出する。図4に深度10
00mを基準とした各深度における各音速変動量モード
Ψ2(d),Ψ1(d),Ψc(d)を示す。演算部13
0は、この操作の最後に、上記算出した各音速変動量モ
ードΨ2(d),Ψ1(d),Ψc(d)をモードデータ
メモリ104に書き込む。なお逆問題解析で求められた
αの値は、式(1)の関係により、全て代表深度dref
の水平方向の値に割り振って使用することができる。
【0015】(d)音速プロファイルの再構成(図2の
ステップ104) 図2のS104では、式(1)のαと各音速変動量モー
ドを用いて合成音速プロファイルを再構成する。図1の
演算部130は、データ入出力部110を介して、逆問
題解析で求められた式(1)の係数α、即ち代表深度d
ref での音速変動量δC(x,y,dre f )を入力す
る。次に演算部130は、基準音速データメモリ102
に書き込まれた基準音速値プロファイルC0(d)と、
モードデータメモリ104に格納した各音速変動量モー
ドΨ2(d),Ψ1(d),Ψc(d)を読み出す。そし
て式(1)に従って音速変動量δCα(d)を求め、次
に下記式(2)のように、δCα(d)とC 0(d)の
和を求めることにより合成音速プロファイルC′(d)
を再構成する。 C′(d)=C0(d)+δCα(d) …(2) 上記再構成された合成音速プロファイルC′(x,y,
d)は、演算部130によって、合成音速プロファイル
データメモリ105に格納される。
【0016】(e)再構成された音速場表示(図2のス
テップ105) 図2のS105では、再構成された音速場の表示を行
う。図1の演算部130は、合成音速プロファイルデー
タメモリ105に格納された合成音速プロファイルC′
(x,y,d)を読み出し、データ表示部150に送
る。データ表示部150は、演算部130から送られた
合成音速プロファイルC′(x,y,d)を表示する。
図5の(a)にCTDデータから求めた音速場の表示例
を示し、(b)に水深1000mでの平均音速からの音
速変動量δC(x,y,dref )を用いて再構成された
音速場の表示例を示す。データ表示部150に表示され
た合成音速場プロファイルC′(x,y,d)は、水温
躍層の変化に重点を置いた合成音速プロファイルデータ
セットとなる。
【0017】以上のように、本実施形態1によれば、黒
潮続流域のような亜熱帯水系と亜寒帯水系が混合する海
域では水平方向の水温躍層変化が重要であるという状況
に鑑み、逆問題解析によって得られる少ない情報量αの
値を全て代表深度での音速変動量の水平分布に割り振っ
て音速変動量δCα(d)を求め、基準音速値プロファ
イルC0(d)と前記δCα(d)との和を求めることに
より合成音速プロファイルC′(d)を再構成するよう
にしたので、水温躍層の変化に重点を置いた音速プロフ
ァイルを生成できる。
【0018】実施形態2 本実施形態2の装置構成は図1と同様なものである。図
6は本発明の実施形態2の動作フローチャートであり、
図のSに続く数値はステップ番号を示す。図7は2層Q
Gモデルの概念図である。なお、ここでQGは、Quasi
−Geostrophicの略語で、一般に準地衡流と訳され、地
球自転による偏向力に準じた海流を意味する。そして図
7はこの海流により水深1000m前後より浅い上層
と、深い下層の2層モデルが形成されるという概念の説
明図である。
【0019】現在大気海洋相互作用を研究するモデルと
して、大気と海洋の物理過程が、できるだけ単純な格好
で表現され且つ解析的な式で表現できる物理数学モデル
(数値モデルと呼ばれる)が研究されており、この数値
モデルを導入して、複雑な非線形過程を数値(データ)
で表現し、高速電子計算機によりそれを解析して自然現
象の仕組みを把握しようとしている。2層QGモデルも
このようにして得られたものである。なお図7の(a)
の縦軸は水深、横軸は緯度(北緯40°〜30°)であ
り、また(b)の縦軸は水深、横軸は音速である。
【0020】以下図7を参照し、図6の順序で実施形態
2の動作を説明する。 (a)海洋データベースを用いた音速プロファイルの計
算(図6のステップ201) 図6のS201では、目的海域の海洋データベースから
音速プロファイルを計算する。図1のデータ入出力部1
10から、目的海域の範囲を指定する命令が演算部13
0に入力される。演算部130は指定範囲に基づき、海
洋データベース120に格納されている水温T(x,
y,d)、塩分S(x,y,d)のデータ群を切り出
し、音速演算部140に入力する。ここで、xとyは位
置の座標であり、dは深度である。音速演算部140
は、音速式(例えば前記参考文献4A,4Bを参照)に
従って水温T、塩分S及び深度dの各データから音速値
Cを算出する。演算部130は、算出された音速データ
セットC(x,y,d)を音速データメモリ101に格
納する。
【0021】(b)基準音速プロファイルと音速変動量
の計算(図6のステップ202) 図6のS202では、目的の海域の平均音速プロファイ
ルと音速変動量を計算する。図1の演算部130は、音
速データメモリ101に格納された音速データセットC
(x,y,d)を読み出す。そして、この音速データセ
ットC(x,y,d)に水平方向の平均値を求めること
で、基準音速値プロファイルC0(d) を算出する。次に
演算部130は、音速データセットC(x,y,d)と
基準音速値プロファイルC0(d)の差を求めることによ
って音速変動量データセットδC(x,y,d)を算出
する。そして演算部130は、基準音速値プロファイル
0(d) を基準音速データメモリ102に格納し、また
音速変動量データセットδC(x,y,d)を音速変動
量データメモリ103に格納する。
【0022】(c)音速変動量モードの算出(図6のス
テップ203) 図6のS203では、音速変動量モードの算出を行う。
図1の演算部130は、音速変動量データメモリ103
に書き込まれた音速変動量データセットδC(x,y,
d)を読み出す。次に、演算部130は、データ入出力
部110を介して前記水温躍層の変動の代表深度dref
(この例ではdr efは1000mとする)を入力する。
次に演算部130は、実施形態1の場合と同様に、代表
深度dref =1000mでの音速変動量にδC(x,
y,dref )に対するその他の各深度(例えば100
m,300m,500m,750m等)での音速変動量
δC(x,y,d)の値を求める。
【0023】本実施形態2の場合の音速変動量δC
β(d)は、実施形態1の式(1)における係数αとは
異なる係数βを用いた次式(3)で示される。 δCβ(d)=β2Ψ2(d)+βΨ2(d)+Ψc(d) …(3) 但し β=φcとする。式(3)において、係数βは2
層QGモデルから算出される傾圧項φc の値である。こ
の傾圧項φc の求め方は、後述のS204において詳細
に説明するが、式(1)の係数αと式(3)の係数βと
の物理的意味は等価なものである。また式(3)の第1
項よりβ2除いたΨ2(d)、第2項よりβを除いたΨ1
(d)及び第3項Ψc(d)を音速変動量モードとい
う。そして音速変動量δCβ(d)は、係数β2と音速
変動量モードΨ2(d)の積、係数βと音速変動量モー
ドΨ1(d)の積及び定数項Ψc(d)の和として示され
る。
【0024】演算部130は、実施形態1の場合と同様
に、図3の如き代表深度に対する各深度におけるスキャ
ッタプロットに基づき、これを2次式で近似した各音速
変動量モードΨ2(d),Ψ1(d),Ψc(d)を個別
に算出する。演算部130は、この操作の最後に、上記
算出した各音速変動量モードΨ2(d),Ψ1(d),Ψ
c(d)をモードデータメモリ104に書き込む。
【0025】(d)2層QDモデルから得られる傾圧項
を用いた音速プロファイルの再構成(図6のステップ2
04) 図6のS204では、2層QGモデルから出力される傾
圧項φc と各音速変動量モードを用いて合成音速プロフ
ァイルを再構成する。図7に示されるように、2層QG
モデルは海洋の鉛直構造を理想的に2層化したものであ
る(海洋数値モデルについては例えば下記参考文献5、
2層QGモデルについては例えば下記参考文献6を参
照)。 参考文献5:鳥羽良明編:大気・海洋の相互作用、東京
大学出版会(1996) 参考文献6:Pedlosky,J.:Geophysical Fluid Dynamic
s,2nd ed.Berlin,pp416-424,springer-Verlag(1987)
【0026】傾圧項φc は上層と下層の流線関数の差で
求められ、傾圧項が記述するものは水温躍層深度の昇降
である。図7の(a)では、この傾圧項φc を上層と下
層との境界を示す曲線として概念的に示している。従っ
てこの傾圧項φc は、代表深度(この例では1000
m)に着目すれば、実施形態1の場合と同様に、水深1
000mでの平均音速からの音速変動量に対する図7の
(a)の境界深度(例えば北緯40度の600m)での
平均音速からの音速変動量として表すことができる。図
7の(b)では、亜熱帯水域での水深対音速特性を実線
の曲線として、亜寒帯水域での水深対音速特性を一点鎖
線の曲線を示しているが、この2つの曲線の間の水平方
向の幅が各水深における音速変動量として理解してよ
い。
【0027】このように式(1)の係数αは逆問題解析
により求め、式(3)の係数βは2層QGモデルから算
出される傾圧項φc より求めるので、係数の求め方は異
なるが、求めた結果の物理的意味は等価なものである。
従ってこの傾圧項φc を式(3)の係数βとして、音速
変動量δCβ(d)を算出できる。
【0028】処理手順を整理すると、演算部130は、
データ入出力部110から2層QGモデルで計算された
傾圧項φc を入力する。次に演算部130は、基準音速
データメモリ102に書き込まれた基準音速値プロファ
イルC0(d)と、モードデータメモリ104に格納され
た各音速変動量モードΨ2(d),Ψ1(d),Ψ
c(d)を読み出す。そして式(3)に従って音速変動
量δCβ(d)を求め、次に下記式(4)のように、δ
β(d)とC 0(d)の和を求めることにより合成音速
プロファイルC″(d)を再構成する。 C″(d)=C0(d)+δCβ(d) …(4) 上記再構成された合成音速プロファイルC″(x,y,
d)は、演算部130によって、合成音速プロファイル
データメモリ105に格納される。
【0029】(e)再構成された音速場の表示(図6の
ステップ205) 図6のS205では、再構成された音速場の表示を行
う。演算部130は、合成音速プロファイルデータメモ
リ105に格納された合成音速プロファイルC″(x,
y,d)を読み出し、データ表示部150に送る。デー
タ表示部150は、演算部130から送られた合成音速
プロファイルC″(x,y,d)を表示する。データ表
示部150に表示された合成音速場C″(x,y,d)
は、2層QGモデルで記述できる海面から海底までの音
速場となる。
【0030】以上のように、本実施形態2によれば、海
洋音響トモグラフィデータ解析装置によって、2層QG
モデルから算出される傾圧項という唯一の情報と代表深
度での音速変動量モードを対応させることにより、2層
QGモデルで記述できる音速プロファイルデータセット
を生成することができる。その結果2層QGモデルを用
いた海洋音響トモグラフィデータ解析に貢献することが
できる。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明においては、海洋デ
ータベースを用い目的海域の位置及び深度毎の温度及び
塩分データより音速プロファイルを算出する手段と、前
記算出した音速プロファイルの水平方向平均値より基準
音速値プロファイルを算出し、また前記音速プロファイ
ルと基準音速値プロファイルの差より音速変動量データ
セットを算出する手段と、前記算出した音速変動量デー
タセットと水温躍層の変動の代表深度とに基づき、前記
代表深度での音速変動量に対する他の各深度での音速変
動量より音速変動量モードを算出する手段と、前記算出
した音速変動量モードと前記代表深度とに基づく音速変
動量を求め、該音速変動量と前記基準音速値プロファイ
ルとの和を求めることにより音速プロファイルを再構成
する手段とを備えるようにしたので、その結果、黒潮続
流域のような亜熱帯水系と亜寒帯水系が混合する海域に
おける水温躍層の変化に重点を置いた音速プロファイル
を生成することができる海洋音響トモグラフィデータ解
析装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1,2に係るOATデータ解
析装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態1の動作フローチャートであ
る。
【図3】深度1000mの音速変動量と他の深度の音速
変動量のスキャッタプロット例を示す図である。
【図4】深度1000mを基準とした音速変動量モード
の説明図である。
【図5】CTDデータから求めた音速場と再構成された
音速場の説明図である。
【図6】本発明の実施形態2の動作フローチャートであ
る。
【図7】2層QGモデルの概念図である。
【符号の説明】
101 音速データメモリ 102 基準音速データメモリ 103 音速変動量データメモリ 104 モードデータメモリ 105 合成音速プロファイルデータメモリ 110 データ入出力部 120 海洋データベース 130 演算部 140 音速演算部 150 データ表示部 210 バス

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海洋データベースを用い目的海域の位置
    及び深度毎の温度及び塩分データより音速プロファイル
    を算出する手段と、 前記算出した音速プロファイルの水平方向平均値より基
    準音速値プロファイルを算出し、また前記音速プロファ
    イルと基準音速値プロファイルの差より音速変動量デー
    タセットを算出する手段と、 前記算出した音速変動量データセットと水温躍層の変動
    の代表深度とに基づき、前記代表深度での音速変動量に
    対する他の各深度での音速変動量より音速変動量モード
    を算出する手段と、 前記算出した音速変動量モードと前記代表深度とに基づ
    く音速変動量を求め、該音速変動量と前記基準音速値プ
    ロファイルとの和を求めることにより音速プロファイル
    を再構成する手段とを備えたことを特徴とする海洋音響
    トモグラフィデータ解析装置。
  2. 【請求項2】 海洋データベースを用い目的海域の位置
    及び深度毎の温度及び塩分データより音速プロファイル
    を算出する手段と、 前記算出した音速プロファイルの水平方向平均値より基
    準音速値プロファイルを算出し、また前記音速プロファ
    イルと基準音速値プロファイルの差より音速変動量デー
    タセットを算出する手段と、 前記算出した音速変動量データセットと2層QGモデル
    から算出される傾圧項に対応させた水温躍層の変動の代
    表深度とに基づき、前記代表深度での音速変動量に対す
    る他の各深度での音速変動量より音速変動量モードを算
    出する手段と、 前記算出した音速変動量モードと前記傾圧項とに基づく
    音速変動量を求め、該音速変動量と前記基準音速値プロ
    ファイルとの和を求めることにより音速プロファイルを
    再構成する手段とを備えたことを特徴とする海洋音響ト
    モグラフィデータ解析装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012202941A (ja) * 2011-03-28 2012-10-22 Nec Corp 水中物体までの水平距離を算出するための水平距離算出システム及び水平距離算出方法
US9119383B2 (en) 2009-02-03 2015-09-01 Henning Skjold-Larsen Method for determining difference in distance
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CN115438523A (zh) * 2022-11-09 2022-12-06 中关村睿宸卫星创新应用研究院 海洋三维叶绿素浓度数据重构方法、装置、设备及介质

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