JP2001047497A - 超高分子量樹脂ブロウンフィルム及びその製造方法 - Google Patents

超高分子量樹脂ブロウンフィルム及びその製造方法

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JP2001047497A
JP2001047497A JP11221166A JP22116699A JP2001047497A JP 2001047497 A JP2001047497 A JP 2001047497A JP 11221166 A JP11221166 A JP 11221166A JP 22116699 A JP22116699 A JP 22116699A JP 2001047497 A JP2001047497 A JP 2001047497A
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blown film
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resin
film
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Noriji Muraoka
教治 村岡
Iwatoshi Suzuki
岩俊 鈴木
Yozo Yamamoto
陽造 山本
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法及び形状が安定化された超高分子量樹脂
の単層乃至多層のブロウンフィルム及びその製造方法を
提供するにある。 【解決手段】 135℃デカリン溶媒で測定した極限粘
度[η]が5.0dl/g以上の超高分子量樹脂の層を
備えた単層乃至多層の押出物をインフレーション法によ
り製膜し、形成されるブロウンフィルムを、該超高分子
量樹脂の融点Tm+20(℃)〜Tm−70(℃)の温
度範囲で且つ拘束条件下に加熱処理することを特徴とす
る熱収縮率の低減された超高分子量樹脂ブロウンフィル
ムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超高分子量樹脂層
或いは超高分子量樹脂層と他の樹脂層とからなる単層或
いは多層ブロウンフィルム及びその製造方法に関するも
のであって、より詳しくは、熱収縮率の低減されたブロ
ウンフィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超高分子量樹脂、特に超高分子量ポリオ
レフィンは、汎用のポリオレフィンに比べ、耐衝撃性、
耐摩耗性、耐薬品性、引張強度等に優れており、エンジ
ニアリング樹脂としてその用途が拡がりつつある。
【0003】例えば、特公昭58−108138号公報
には、高分子量ポリオレフィンの積層体の製造方怯とし
て、汎用の押出機を用いてインフレーション法によりブ
ロウンフィルムを製造する方法が提案されている。同公
報には、重量平均分子量が80万から150万でメルト
フローインデックスが0.03から0.1の材料を用い
て、フィルムを成形することが記載されている。
【0004】また、本出願人は以前に、超高分子量ポリ
オレフィン単体から、分子量低下をできるだけ抑えた成
形品を得る方法として、マンドレルが押出機のスクリュ
ーの回転に伴って回転するチューブダイを用いてインフ
レーションフィルムを製造する方法(特公平6−554
33号公報)を提案した。
【0005】更に本出願人らは、押出機と該押出機の先
端に立設したスクリューダイとからなる装置により多層
溶融樹脂を垂直方向に押出し、この多層溶融樹脂からイ
ンフレーション法により多層の超高分子量ポリオレフィ
ンのフィルムを製造する方法を提案している(国際公開
WO98/43812号、特願平10−541425
号)。この方法によれば、配向した超高分子量ポリオレ
フィン層を含み、機械的物性及びヒートシール性に優れ
た多層フィルムを得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】インフレーション法に
よるフィルムは一般にブロウンフィルム(blown film)
或いはチューブラーフィルム(tublar film)と呼ばれ
ており、常に円筒形のフィルムが得られるとともに、膨
張のさせ方を調節することにより、フィルムの縦方向
(引き取り方向)と横方向との配向を容易に調節でき、
得られたフィルムの縦方向(引き取り方向)及び横方向
の強度バランスも調節できるという利点も有するもので
ある。
【0007】しかしながら、超高分子量樹脂のブロウン
フィルムは、高温雰囲気で使用する場合、或いは室温に
おいても長期にわたって使用する場合には、熱収縮性が
大きく、フィルム製品の寸法変化を招いたり、多層フィ
ルムのような複合素材の場合には、反りを生じたりする
という問題があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、前述した欠点が
解消され、寸法及び形状が安定化された超高分子量樹脂
の単層乃至多層のブロウンフィルム及びその製造方法を
提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、135
℃デカリン溶媒で測定した極限粘度[η]が5.0dl
/g以上の超高分子量樹脂の層を備えた単層乃至多層の
押出物をインフレーション法により製膜し、形成される
ブロウンフィルムを、該超高分子量樹脂の融点Tm+2
0(℃)〜Tm−70(℃)の温度範囲で且つ拘束条件
下に加熱処理することを特徴とする熱収縮率の低減され
た超高分子量樹脂ブロウンフィルムの製造方法が提供さ
れる。本発明の方法において、前記加熱処理はブロウン
フィルムを円筒状に巻き取ったロール状で加熱処理を行
うこともできるし、またブロウンフィルムを円筒状に巻
き取る工程に先だって、該ブロウンフィルムの横断方向
に緊張を加えつつインライン上で加熱処理を行うことも
できる。本発明によればまた、135℃デカリン溶媒で
測定した極限粘度[η]が5.0dl/g以上の超高分
子量樹脂の層を備えた単層乃至多層のブロウンフィルム
であって、前記超高分子量樹脂の融点(Tm)より25
℃低い温度(Tm−25)で30分間熱処理したときの
熱収縮率が2%以下であることを特徴とする超高分子量
樹脂ブロウンフィルムが提供される。本発明のフィルム
においては、超高分子量樹脂がオレフィン系樹脂、特に
超高分子量ポリエチレンであることが好ましく、またブ
ロウンフィルムが多層である場合、超高分子量樹脂以外
の少なくとも1層がヒートシール性オレフィン系樹脂で
あることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】[作用]本発明では、135℃デ
カリン溶媒で測定した極限粘度[η]が5.0dl/g
以上の超高分子量樹脂の層を備えた単層乃至多層の押出
物をインフレーション法により製膜するが、形成される
ブロウンフィルムを、該超高分子量樹脂の融点Tm+2
0(℃)〜Tm−70(℃)の温度範囲で且つ拘束条件
下に加熱処理することが特徴であり、これによりブロウ
ンフィルムの熱収縮率を顕著に低減させることができ
る。極限粘度[η]が上記範囲にある超高分子量樹脂
は、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性、引張強度等に優れ
ているという利点を有するものではあるが、インフレー
ション法により形成されたフィルム、即ちブロウンフィ
ルムは寸法安定性に劣るという欠点を有している。
【0011】後述する例を参照されたい。即ち、極限粘
度[η]が5.0dl/g未満の通常の樹脂のブロウン
フィルムは、例えば100℃において0.88と低い熱収縮
率を示し、実用上満足できる寸法安定性を有している
(後述する比較例3参照)のに対して、極限粘度[η]
が5.0dl/g以上の超高分子量樹脂のブロウンフィ
ルムは、同じ測定条件下に3倍以上にも達する熱収縮性
を示す(後述する比較例1及び2参照)のであって、こ
の熱収縮傾向は超高分子量樹脂のブロウンフィルムに特
有のものである。
【0012】これに対して、極限粘度[η]が5.0d
l/g以上の超高分子量樹脂のブロウンフィルムを、該
超高分子量樹脂の融点Tm+20(℃)〜Tm−70
(℃)の温度範囲で且つ拘束条件下に加熱処理すると、
フィルムの熱収縮率を、従来の超高分子量樹脂のブロウ
ンフィルムの熱収縮率の1/2 乃至1/3 に抑制することが
可能となるものである(後述する実施例1乃至5参
照)。
【0013】本発明では、該超高分子量樹脂の融点Tm
+20(℃)〜Tm−70(℃)の温度範囲で且つ拘束
条件下に加熱処理することも重要である。即ち、超高分
子量樹脂のブロウンフィルムの熱収縮率が通常の樹脂フ
ィルムのそれに比して劣ることや、その熱収縮率を低減
させるための手段などは全く知られていなかったのであ
るが、本発明によれば上記の特定の温度範囲で加熱処理
を行うことにより、超高分子量樹脂のブロウンフィルム
について、超高分子量樹脂の融点より25℃低い温度
(Tm−25)で30分間熱処理したときの熱収縮率を
2%以下に抑制することができる。
【0014】この加熱処理は、拘束条件下に行うことが
必要である。拘束条件とは、通常の意味、即ちブロウン
フィルムの寸法変化、一般には収縮が抑制されている条
件を意味している。
【0015】ブロウンフィルムを拘束条件下に置くに
は、種々の手段がある。もっとも簡単には、ブロウンフ
ィルムを円筒状に巻き取ったロールの状態とし、このロ
ール状態で加熱処理を行うことである。このロール状態
では、一巻きのフィルム層が上層及び下層のフィルムに
よって巻き締められた状態であり、従って熱処理時にお
けるフィルムの巻き取り方向(長手方向)及び横方向へ
の収縮が有効に抑制され、熱収縮防止のための処理が有
効かつ円滑に進行するのである。
【0016】本発明では、ブロウンフィルムを円筒状に
巻き取る工程に先だって、該ブロウンフィルムの横断方
向に緊張を加えつつインライン上で加熱処理を行うこと
もできる。この場合には、フィルムに横断方向の緊張を
加えることにより横方向の収縮が防止され、一方巻き取
り方向(長手方向)には巻き取りのためのテンションが
加えられていることにより、長手方向への収縮が有効に
抑制され、やはり熱収縮防止のための処理が有効かつ円
滑に進行するのである。しかも、この方法では加熱処理
がブロウンフィルム製造のための一連の工程内で同時に
行われるという利点を有するものである。
【0017】本発明は、上記極限粘度[η]を有する超
高分子量樹脂であれば任意の熱可塑性樹脂に適用できる
が、超高分子量樹脂がオレフィン系樹脂、特に超高分子
量ポリエチレンである場合に特に優れた作用効果が奏さ
れる。
【0018】本発明が対象とするブロウンフィルムは、
単層であってもまた多層であってもよく、後者の多層の
場合、組み合わせる他の樹脂層も格別の制限を受けず、
多くの他の熱可塑性樹脂を用いることができる。超高分
子量樹脂以外の少なくとも1層がヒートシール性オレフ
ィン系樹脂であることが特に好ましく、この多層ブロウ
ンフィルムでは、超高分子量樹脂による前述した利点に
加えて、フィルムの各種加工に望ましいヒートシール性
が付与されるという利点もある。
【0019】[超高分子量樹脂]原料樹脂である超高分
子量樹脂は、デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘
度[η]が5.0dl/g以上、特に7dl/g以上、
最も好ましくは8乃至25dl/gの範囲にあるもので
ある。
【0020】かかる超高分子量樹脂は、それ自体公知の
ものであり、本発明では上記条件を満足する超高分子量
樹脂は全て使用できるが、好適なものとして、超高分子
量オレフィン系樹脂、特に超高分子量ポリエチレンや、
超高分子量のエチレン・α−オレフィン共重合体、超高
分子量のエチレン・ポリエン共重合体、或いはこれらの
ブレンド物などを挙げることができる。
【0021】本発明に用いる超高分子量ポリエチレンや
超高分子量エチレン・オレフィン共重合体は、エチレン
或いはエチレンとコモノマーとしてのオレフィンとを、
チーグラー型触媒の存在下に、例えば有機溶媒中でスラ
リー重合させることにより製造される。
【0022】共重合体の製造に用いるαオレフィンとし
ては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メ
チルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オク
テン−1等のモノオレフィンの1種又は2種以上が挙げ
られる。エチレン・αオレフィン共重合体の適当な例
は、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・4−メ
チルペンテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共
重合体、エチレン・オクテン−1共重合体、エチレン・
プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・4−メチ
ルペンテン−1共重合体、エチレン・1,5-ヘキサジエン
共重合体等である。用いるαオレフィンコモノマーの量
は、炭素数1000個当り平均0.2 乃至5個、特に0.5
乃至3個の側鎖(分岐鎖)を与えるようなものであるこ
とが望ましい。
【0023】共重合体の製造に用いるポリエンは、分子
内に少なくとも2個の不飽和結合、好ましくは二重結合
を有する炭化水素化合物であり、具体的には1,3-ブタジ
エン、2−メチル−2,4-ペンタジエン、2,3-ジメチル−
1,3-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、3−メチル−2,4
−ヘキサジエン、1,3-ペンタジエン、2−メチル−1,3-
ブタジエン等の共役ジエン系炭化水素化合物;1,4-ペン
タジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-
オクタジエン、2,5-ジメチル−1,5-ヘキサジエン、4−
メチル−1,4-ヘキサジエン、5−メチル−1,4-ヘキサジ
エン、4−エチル−1,4 −ヘキサジエン、4,5 −ジメチ
ル−1,4-ヘキサジエン、4−メチル−1,4-ヘプタジエ
ン、4−エチル−1,4-ヘプタジエン、5−メチル−1,4-
ヘプタジエン、4−エチル−1,4-オクタジエン、5−メ
チル−1,4-オクタジエン、4−n−プロピル−1,4-デカ
ジエン等の非共役ジエン系炭化水素化合物;1,3,5-ヘキ
サトリエン、1,3,5,7,- オクタテトラエン、2−ビニル
−1,3-ブタジエン等の共役ポリオレフィン系炭化水素化
合物;5-メチレン-2- ノルボルネン、5-ビニル-2- ノル
ボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-
(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-2- プ
ロペニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-
ノルボルネン、5-(1-メチル-3- ブテニル)-2- ノルボ
ルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1-
メチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(2,3-ジ
メチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-エチル
-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)
-2- ノルボルネン、5-(3-メチル-5- ヘキセニル)-2-
ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4- ペンテニル)-2-
ノルボルネン、5-(3-エチル-4- ペンテニル)、5-(7-
オクテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-メチル-6- ヘプ
テニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5- ヘキ
セシル)-2- ノルボルネン、5-(5-エチル-5- ヘキセニ
ル)-2- ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4- ペン
テニル)-2- ノルボルネン、メチルテトラヒドロインデ
ン、5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノ
ルボルネン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、5-
ビニリデン-2- ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソ
プロペニル-2- ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等
の環状非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中で
はエチレンとの共重合性にとくに優れる非共役ジエン系
炭化水素化合物が好ましい。またこれらポリエンは通常
炭素原子数が5〜20個、好ましくは5〜15個の範囲
である。本発明に用いるエチレン・ポリエン共重合体
は、ポリエンを重合体鎖の炭素数1000個当り0.01乃
至15個、特に0.05乃至10個の量で含有することが好
ましい。
【0024】[他の樹脂層]本発明のブロウンフィルム
は、上記超高分子量樹脂の層単独から成っていてもよ
く、超高分子量樹脂同士の多層から成っていてもよく、
更に超高分子量樹脂層と他の樹脂の層との多層であって
もよい。
【0025】これらの他の樹脂としては、135℃デカ
リン溶媒で測定した極限粘度[η]が5.0dl/g未
満の熱可塑性樹脂であり、樹脂の種類は押出成形可能な
ものであればよく、特に制限されないが、包装などの一
般的なフィルムの用途に関しては、ヒートシール可能な
オレフィン系樹脂が好適である。
【0026】該オレフィン系樹脂としては、一般的なオ
レフィン樹脂、例えば低密度ポリエチレン(LDP
E)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエ
チレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLD
PE)、線状超低密度ポリエチレン(LUDPE)、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共
重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン
共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エス
テル共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン系
重合体のエチレン系重合体や、アイソタクティックポリ
プロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポ
リブテン−1、プロピレン−ブテン−1共重合体等の他
のオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0027】超高分子量樹脂層に積層可能な他の樹脂と
しては、上記の他に、エチレン・ビニルアルコール共重
合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビ
ニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル
・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・ス
チレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重
合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル
等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、
ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポ
リアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート等の熱可塑性ポリエステルを挙げること
ができ、これらの樹脂層と超高分子量樹脂層との間に接
着性がない場合には、必要に応じ無水マレイン酸グラフ
ト変性エチレン系重合体のような酸変性エチレン系重合
体等の接着剤樹脂層を両樹脂層の間に介在させるのがよ
い。
【0028】[ブロウンフィルムの製造]本発明の熱収
縮率の低減されたブロウンフィルムは、超高分子量樹脂
の層を備えた単層乃至多層の押出物をインフレーション
法により製膜し、形成されるブロウンフィルムを、該超
高分子量樹脂の融点Tm+20(℃)〜Tm−70
(℃)の温度範囲で且つ拘束条件下に加熱処理すること
により製造される。
【0029】インフレーション製膜法では、一般に、樹
脂を溶融混練して単層或いは多層の状態に押し出し、溶
融された樹脂を環状ダイによりリング状に賦形すると共
に空気の吹き込みより筒状に膨張させ、筒状の溶融樹脂
を冷却固化し、冷却固化された円筒状フィルムを一定の
速度で引き取りながら平らに折り畳み、引き取られたフ
ィルムをロール状に巻き取る。本発明の好適な態様で
は、上記ブロウンフィルムを円筒状に巻き取る工程に先
だって、該ブロウンフィルムの横断方向に緊張を加えつ
つインライン上で加熱処理を行う。本発明の別の好適な
態様では、上記のブロウンフィルムを円筒状に巻き取っ
たロールの状態とし、このロール状態で加熱処理を行
う。
【0030】本発明に用いる装置の一例を示す図1にお
いて、このインフレーション製膜装置は、大まかにいっ
て、超高分子量樹脂を溶融混練して押し出す押出機1、
溶融された樹脂をリング状に賦形する環状ダイ2、ダイ
から押し出された溶融樹脂を冷却固化する冷却機構3、
冷却固化された円筒状フィルムを一定の速度で引き取り
ながら平らに折り畳む安定板4と引き取り装置5及び引
き取られたフィルムを巻き取るための巻き取り機6とか
らなっている。本発明に用いる装置では、上記引き取り
装置5と巻き取り機6との間にインライン加熱装置7と
エキスパンダーロール8とが配置されている。
【0031】この具体例に示す装置においては、多層樹
脂の押出が可能となるように、環状ダイ2には、超高分
子量樹脂以外の樹脂、例えばヒートシール性樹脂用の第
2の押出機9も接続されている。また、環状ダイ2の中
心には環状の溶融樹脂流を安定化させるための安定棒1
0が樹脂の押出方向に延びている。
【0032】超高分子量樹脂用に適した押出機1及び環
状ダイ2の一例を示す図2において、押出機1はバレル
11とバレル11内に回転可能に設けられたスクリュー
12とを備えている。バレル11の供給側端部13に
は、超高分子量樹脂をスクリュー12に供給するための
ホッパー14が設けられており、バレル11の排出側端
部15では、スクリュー12がトーピッド16で終わる
ようになっている。また、バレル11には、ホッパーか
ら供給され、スクリューで送られる超高分子量樹脂を溶
融温度に加熱するための加熱機構(図示せず)が設けら
れている。更に、バレル11の供給側端部13に近接し
て、樹脂の冷却用のジャケット17が形成されており、
樹脂の溶融を防止して、樹脂のスクリューへの食い込み
をよくし、供給能力を強化するようになっている。この
ジャケット部17の内表面には軸方向に延びる縦溝が形
成されていて、供給能力を一層強化するようになってい
る。尚、バレル11の排出側端部15に設けられたゲー
ジ18は超高分子量樹脂の樹脂圧を検出し、表示するも
のである。
【0033】環状ダイ2は、垂直方向に延びている中空
のアウターダイ22と、アウターダイ内で回転可能に設
けられているスクリュー21と、スクリューと同軸に固
着され上方向に延びているマンドレル23とからなって
いる。アウターダイ22は、その下部に押出機1の出口
との接続部24を有しており、この接続部24にスクリ
ュー21が設けられている。マンドレル23の上端には
これに連結されて上方に延びているシャフト25があ
り、このシャフト25の上方には、自由に回動可能な状
態で安定棒10が設けられている。
【0034】かくして、スクリュー21、マンドレル2
3及びシャフト25は、アウターダイ22内で、垂直方
向の軸の回りに駆動回転されており、押出機1からアウ
ターダイ22の内面27とスクリュー21、マンドレル
23及びシャフト25の外面とで規定される環状空間2
6に押し出される超高分子量樹脂の溶融物はスクリュー
21の回転に伴って環状空間26内を上昇し、環状ダイ
20の出口より、チューブ35の形に吐出される。
【0035】一方、スクリュー21、マンドレル23、
シャフト25及び安定棒10の軸中心を通るように、膨
張用の空気の通路28が形成されている。安定棒10は
チューブ35の吐出状態を安定化させるためのものであ
り、スクリュー21、マンドレル23及びシャフト25
とは、独立に回転自在に設けられていることが注目され
るべきである。
【0036】安定棒10の周囲には、チューブ35に対
する風の影響を防止するために防風筒32が設けられて
おり、この防風筒32の下部にはチューブ35の早期膨
張を抑制するためのエアリング33も設けられている。
【0037】ブローンフィルムの製造に際して、押出機
1のホッパー14に供給された超高分子量樹脂は、スク
リュー12によりバレル1内を前進し、溶融温度以上の
温度に加熱されて、溶融混練が行われる。溶融混練が行
われた超高分子量樹脂は、環状ダイ20の環状空間26
に押し出され、ダイ20内のスクリュー21により搬送
されて、環状ダイ20からチューブ35の形で吐出され
る。
【0038】押出機の溶融混練温度は、超高分子量樹脂
の種類に応じて異なるが、樹脂の融点よりも高い温度
で、しかも370℃以下の温度、好ましくは160℃以
上350℃以下の温度であるのがよい。上記範囲内の温
度であれば、ダイ内での樹脂閉塞などのトラブルなし
に、また樹脂の熱分解を実質上過度に生じることなし
に、円滑な押出が可能となる。
【0039】押出機のスクリュー12としては、超高分
子量樹脂の溶融押出に使用されているスクリューは全て
用いることができ、例えばフルフライトのメタリングタ
イプやミキシングゾーンを有する高押出量タイプのもの
が使用される。スクリュー12としては、長さ/直径の
比、即ち、L/Dが5以上、好ましくは10以上、より
好ましくは20乃至70の範囲のものが適している。ま
た、圧縮比は1乃至2.5、特に1.3乃至1.8のも
のが好ましい。
【0040】一般に、インフレーション法に用いる環状
ダイとしては、溶融樹脂をリング状に分散させる方式に
よって、スパイラルダイ法式とスパイダー方式とが知ら
れているが、図2の具体例で用いる環状ダイ2は、スパ
イラルダイ方式に近いが、スクリュー21が駆動回転さ
れている点において、スパイラルダイ方式と相違してい
る。図2に示す押出機及び環状ダイでは、押出機1のス
クリュー12とダイ2のスクリュー21とは独立に駆動
回転されており、スクリュー21の回転速度をスクリュ
ー12の回転速度よりも低く設定できるという特徴があ
る。即ち、超高分子量樹脂の溶融粘度は極めて高いた
め、環状ダイ1内で円滑な樹脂の搬送を行うためにはス
クリューの駆動回転による樹脂の送りが必要となるが、
スクリュー21の回転速度を低く抑えることにより、メ
ルトフラクチュアなどの流動の不安定化を生じないよう
にしているのである。また、環状ダイ1内にスクリュー
21を配置する部分をも、押出機との接続部分24と
し、この接続部分24を除く部分には、羽根のないマン
ドレルを配置することにより、過度の剪断力や過度の摩
擦が発生しないようにして、樹脂流動の不安定化を解消
し、摩擦熱による樹脂の劣化を防止するようになってい
る。
【0041】環状ダイ2の接続部24における超高分子
量樹脂の温度は、一般に190乃至230℃の範囲にあ
り、一方マンドレル23の中間部分から上部出口にかけ
ての超高分子量樹脂の温度は180乃至160℃の範囲
にあるのが、樹脂の流動を円滑に行うために好ましい。
【0042】マンドレル23とスクリュー21とは、マ
ンドレルの下方テーパ部、即ち下向きに径の増大する部
分を介して接続されていることが好ましい。スクリュー
21としては、長さ/直径の比、即ち、L/Dが1以上
30以下、好ましくは1.5以上20以下、より好まし
くは2乃至10の範囲のものが、樹脂の円滑な流動性の
点で適している。一方、マンドレル23としては、長さ
/直径の比、即ち、L/Dが4以上、好ましくは5以
上、より好ましくは5乃至70の範囲のものが、樹脂の
円滑な流動性の点で適している。
【0043】多層ブロウンフィルムの製造に用いる押出
機及び環状ダイの一例を示す図3において、基本的な構
成は図2に示したものと同様であるが、環状ダイ2の上
部に超高分子量樹脂以外の樹脂の押出ゾーン29が設け
られ、この押出ゾーン29に超高分子量樹脂以外の樹脂
の押出機9が接続されている。この多層環状ダイ2にお
いては、超高分子量樹脂が内層となり、この内層の周囲
に超高分子量樹脂以外の樹脂が外層として積層され、多
層のチューブの形で環状ダイから吐出される。
【0044】本発明では、環状ダイ2の環状のスリット
から溶融樹脂を円筒状に押し出すと共に、この円筒状膜
35内に空気を導入し加圧してバブル(溶融膜)36に
膨張させる。
【0045】インフレーション製膜法では、溶融膜を冷
却する方式によって分類され、空気で冷却する空冷イン
フレーション法と、水で冷却する水冷インフレーション
法とが知られているが、図1の例では空冷インフレーシ
ョン法が示されている。空冷インフレーション法は、装
置がシンプルであるのが特徴であり、円筒状膜内に空気
を入れて加圧により膨張されるバブル36に、環状ダイ
2の上方に設けられたエアリング3により空気を吹き付
けて、溶融膜を冷却固化させるものである。この空冷方
式では、エアリング3から溶融膜(バブル)36に吹き
付ける空気の風量と風圧とにより冷却条件が異なり、ま
たバブルの形状も大きく変化することが知られており、
実際にも、ダイ表面から溶融バブルの冷却固化位置(フ
ロストライン)までの距離が比較的小さいL−タイプ
(冷却効果大)、この距離が比較的大きいH−タイプ
(冷却効果小)、これらの中間のM−タイプでの運転が
行われているが、勿論本発明でもこれら何れでの運転も
可能である。
【0046】安定板4は、冷却された円筒状フィルムを
引き取り装置5によって扁平に変形させてフラット状に
なるのを助ける補助装置であり、フィルム面にしわを発
生することなく、連続的な折り畳みを可能とするもので
ある。引き取り装置5は一対のニップロールから形成さ
れ、フラットに折り畳まれたフィルムは、ガイドロール
51からインライン加熱処理装置7及びエキスパンダー
ロール8を経て巻き取り装置6により巻き取られる。ニ
ップロール5は、一般にゴムロールとクロムメッキロー
ルとの組合せからなっていて、このニップロール5の回
転速度によって、フィルムの成形速度が決定される。
【0047】環状ダイ2からの樹脂の押出速度に対する
ブロウンフィルムの引き取り速度の比、即ち縦延伸倍率
は、一般に7以上、好ましくは7乃至40、特に好まし
くは8乃至30の範囲にあるのがよい。この範囲の縦延
伸倍率であれば、バブルの揺れを防止し、バブルの破裂
を防止しながら、厚みが均一でしかも機械的特性のバラ
ツキのないブロウンフィルムを製造することができる。
【0048】一方、フィルム製膜時の膨張比(ブローア
ップレシオ、BUR=D/D 、D=環状ダイ
から押し出されたときの溶融樹脂膜の径、D=ブロ
ウンフィルムの径)は、樹脂の種類や、用途によっても
相違するが、一般に7以上、好ましくは7乃至20、特
に好ましくは8乃至12の範囲とするのがよい。この範
囲の膨張比であれば、過延伸による白濁やバブルの破裂
のおそれなしに、十分な分子配向が行われ、しかも厚み
も均一な高強度のブロウンフィルムが得られる。
【0049】図1に示す具体例では、ブロウンフィルム
の引き取り装置5と巻き取り装置6との間でインライン
での熱収縮率を低減させるための加熱処理が行われる。
【0050】この加熱処理装置の一例を示す図4におい
て、この加熱処理装置7は、円筒状のブロウンフィルム
37の両側縁部において支持し且つフィルム横断方向へ
の緊張を与えるための一対の治具71a、71bと、一
対の治具71a、71bで支持され且つ緊張下にあるブ
ロウンフィルム37を加熱するためのヒータ72とから
なっている。治具71a(71b)は、上下に小間隔を
おいて水平に配置された二本の軸73、73上を摺動可
能なブラケット74に垂直方向に上に延びるように取り
付けられており、このブラケット74の上部には、円筒
状のブロウンフィルムを両サイドにおいて切り開くため
のカッター75が設けられている。また、このブラケッ
ト74には、ブロウンフィルムの横断方向且つ外方に賦
勢するための賦勢手段(図示せず)が設けられている。
この賦勢手段は一対の治具71a、71bを横断方向且
つ外方に賦勢するものであれば何れでもよく、例えば押
しスプリング、引張スプリング、流体圧シリンダー等で
あってよい。
【0051】以上の治具71a、71bの構成では、カ
ッター75よりも上方の位置において、治具71a、7
1bが扁平化された状態のブロウンフィルム内に挿入さ
れ、ブロウンフィルム37に横断方向への緊張を与えて
いることが了解されよう。ブロウンフィルム37は治具
71a、71b上を摺動して垂直方向に走行可能であ
り、この垂直方向への緊張は巻き取り装置6の巻き取り
のためのテンションにより与えられる。
【0052】フィルム加熱のためのヒータ72は、例え
ば赤外線加熱ヒータであって、側壁76に面状に配置さ
れている。側壁76に対面できる位置関係で対向側壁7
7が配置されており、この対向側壁77はヒンジ78を
介して開閉可能に設けられていて、側方が閉じられた加
熱域を形成できると共に、ヒータの反対側に対向側壁7
7による反射面が形成されるようになっている。又、必
要に応じてこの側壁77にも側壁76と同様にヒーター
を取り付けてもよい。
【0053】ヒータ72の上流側には、ブロウンフィル
ム37を治具71a、71bの先端に案内するためのガ
イドロール85が設けられており、ヒータ72の下流側
には加熱処理されたフィルム38を冷却するための冷却
用空気吹き付け機構86が配置されている。
【0054】ブロウンフィルムの加熱処理は、超高分子
量樹脂の融点Tm+20(℃)〜Tm−70(℃)、好
ましくはTm+10(℃)〜Tm−60(℃)、より好
ましくはTm〜Tm−50(℃)の温度範囲で行うのが
熱収縮率を前述した範囲に抑制する上でよく、一方処理
時間は短時間でよいのが特徴であり、上記温度への保持
時間は一般に15秒以上、好ましくは25乃至600秒
間、特に好ましくは30乃至120秒間である。
【0055】加熱処理が終了したフィルム38は、エキ
スパンダーロール8によりしわを取り除き巻き取り装置
6により巻き取って種々の用途に供することができる。
図1及び図4に示した具体例では、インラインでブロウ
ンフィルムの加熱処理を行っているが、既に指摘したと
おり、ブロウンフィルムを円筒状に巻き取ったロールに
対して加熱処理を行うこともできる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、135℃デカリン溶媒
で測定した極限粘度[η]が5.0dl/g以上の超高
分子量樹脂の層を備えた単層乃至多層の押出物をインフ
レーション法により製膜し、形成されるブロウンフィル
ムを、該超高分子量樹脂の融点Tm+20(℃)〜Tm
−70(℃)の温度範囲で且つ拘束条件下に加熱処理す
ることにより、超高分子量樹脂のブロウンフィルムの欠
点であった大きい熱収縮率を3/1乃至1/2程度に低
減させることができ、寸法及び形状が安定化された超高
分子量樹脂の単層乃至多層のブロウンフィルムを提供す
ることが可能となる。
【0057】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明する。こ
れらの実施例は、本発明の好適な態様を説明するための
ものであり、発明の要旨を超えない限りこれに限定され
るものではない。
【0058】[ブロウンフィルムの製造]図1及び図2
に示すインフレーション製膜装置を用いて、ブロウンフ
ィルムを製造した。押出機としてはスクリュー径20m
mφのものを使用し、環状ダイとしては、スクリュー径
30mmφのものを使用した。 [熱処理方法]超高分子量樹脂のブロウンフィルムを、
下記の条件で熱処理した。 1)ロール状態での熱処理 図1のインライン加熱処理装置にフィルムを通すことな
く、ブロウンフィルムを、ロールに巻き取り、ロール状
態のまま、規定の熱処理温度にコントロールされたエア
オーブン中に所定の時間放置して熱処理し、このフィル
ムをエアーオーブンから取り出し、冷却して熱処理ブロ
ウンフィルムを得た。 2)治具での熱処理 得られたブロウンフィルムを、四角い金属治具に四辺で
固定して、規定の熱処理温度にコントロールされたエア
オーブン中に所定の時間放置し、このフィルムをエアー
オーブンから取り出し、冷却して熱処理ブロウンフィル
ムを得た。 3)インライン方式の熱処理 図1及び図4に示す装置を用いて、得られたブロウンフ
ィルムを巻き取る前で、赤外線ヒーター加熱ゾーンを設
けて、ブロウンフィルムを通過させながら熱処理して、
熱処理ブロウンフィルムを得た。
【0059】[測定方法]以下の実施例及び比較例にお
ける各種物性の測定条件は下記の通りである。 熱収縮率の測定 上記の方法で熱処理された測定体を、規定の熱収縮測定
温度(100℃、110℃、120℃、130℃)にコ
ントロールされたエアーオーブン中に30分間フリーな
状態で放置する。その後、エアーオーブンから取り出
し、30分以上室温に放置して冷却した後、規定場所の
寸法を測定する。熱収縮率は、熱に暴露される前後の寸
法より算出する。
【0060】[実施例1]超高分子量ポリエチレン(極
限粘度[η]:9.0dl/g、融点:135℃、エチ
レン含量100モル%)の粉末樹脂を原料として、図1
及び図2に示す装置により、ブロウンフィルムを製造し
た。得られたフィルムをロールに巻き取った状態のまま
で上記バッチ方式により熱処理した。即ち、120℃に
コントロールされたエアーオーブン中に巻物を2分間放
置して熱処理を行い、その後、巻物をエアーオーブンか
ら取り出し、2分間室温に放置して冷却して、本発明の
熱処理ブロウンフィルムを得た。このブロウンフィルム
の熱収縮率の測定結果を表1に示す。体とした。
【0061】[実施例2]実施例1と同様の方法により
得られたフィルムの成形体を製品巻取機により巻き取っ
た。熱処理温度を130℃とした以外は実施例1と同様
にして、巻物状態のままで上記バッチ方式により熱処理
した。その後、巻物をエアーオーブンから取り出し、2
分間室温に放置して冷却して、本発明のブロウンフィル
ムを得た。このブロウンフィルムを熱収縮率の測定体と
して、実施例1と同様にして熱収縮率を算出した。その
結果を表1に示す。
【0062】[実施例3]超高分子量樹脂として、超高
分子量ポリエチレン(極限粘度[η]:14.3dl/
g、融点:135℃、エチレン含量100モル%)の粉
末樹脂を用いた以外は実施例1と同様の方法により、ブ
ロウンフィルムを製造した。得られたフィルムの成形体
を四角い金属治具に四辺を固定して、上記バッチ方式に
より熱処理した。即ち、130℃にコントロールされた
エアーオーブン中に金属治具及びフィルムを2分間放置
して熱処理を行い、その後、金属治具及びフィルムをエ
アーオーブンから取り出し、2分間室温に放置して冷却
して、本発明のブロウンフィルムを得た。このブロウン
フィルムを熱収縮率の測定体として、実施例1と同様に
して熱収縮率を算出した。その結果を表1に示す。
【0063】[実施例4]熱処理温度を135℃とした
以外は実施例3と同様にして本発明のブロウンフィルム
を得た。このブロウンフィルムを熱収縮率の測定体とし
て、実施例1と同様にして熱収縮率を算出した。その結
果を表1に示す。
【0064】[実施例5]図4に示す装置を使用し、フ
ィルムの成形体を巻き取る前に赤外線ヒーター加熱ゾー
ンを設けて、雰囲気温度130℃での40秒の通過時間
で熱処理した以外は実施例1と同様にして、本発明のブ
ロウンフィルムを製造した。このブロウンフィルムを熱
収縮率の測定体として、実施例1と同様にして熱収縮率
を算出した。その結果を表1に示す。
【0065】[比較例1]フィルムの熱処理を行わなか
った以外は実施例1と同様にして比較ブロウンフィルム
を製造した。このブロウンフィルムを熱収縮率の測定体
として、実施例1と同様にして熱収縮率を算出した。そ
の結果を表2に示す。
【0066】[比較例2]超高分子量樹脂として、超高
分子量ポリエチレン(極限粘度[η]:14.3dl/
g、融点:135℃、エチレン含量100モル%)の粉
末樹脂を用い、フィルムの熱処理を行わなかった以外は
実施例1と同様にして比較ブロウンフィルムを製造し
た。このブロウンフィルムを熱収縮率の測定体として、
実施例1と同様にして熱収縮率を算出した。その結果を
表2に示す。
【0067】[比較例3]超高分子量樹脂として、超高
分子量ポリオレフィン(極限粘度[η]:3.4dl/
g、融点:135℃、エチレン含量98.2モル%、α
−オレフィン含量1.8モル%)の粉末樹脂を用い、フ
ィルムの熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様に
して比較ブロウンフィルムを製造した。このブロウンフ
ィルムを熱収縮率の測定体として、実施例1と同様にし
て熱収縮率を算出した。その結果を表2に示す。
【0068】[比較例4]フィルムの熱処理温度を80
℃とした以外は実施例1と同様にして比較ブロウンフィ
ルムを製造した。このブロウンフィルムを熱収縮率の測
定体として、実施例1と同様にして熱収縮率を算出し
た。その結果を表2に示す。
【0069】
【表1】 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 [η](dl/g) 9.0 9.0 14.3 14.3 9.0 熱処理温度(℃) 120 130 130 135 130 熱収縮率(%) 100℃ 1.01 0.57 0.88 - 0.40 110℃ 1.78 0.96 0.95 0.65 1.45 120℃ 3.43 1.59 3.08 1.47 2.20 130℃ - 4.11 9.03 4.09 8.09
【0070】
【表2】 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4 [η](dl/g) 9.0 14.3 3.4 9.0 熱処理温度(℃) - - - 80 熱収縮率(%) 100℃ 3.18 2.83 0.88 3.20 110℃ 5.19 5.60 2.09 5.18 120℃ 6.98 8.26 3.34 7.03 130℃ 11.15 18.33 -
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するインフレーションフィルムの
製造装置の外略配置を示す側面図である。
【図2】図1に示す装置の押出機及び環状ダイの詳細を
示す断面図である。
【図3】多層のブロウンフィルムの製造に用いる押出機
及び環状ダイの詳細を示す断面図である。
【図4】本発明で使用する加熱処理装置の一例を示す斜
視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 23:00 B29L 7:00 9:00 C08L 23:04 (72)発明者 山本 陽造 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA14 AA15 AA81 AA84 AF16 AF54 AF61Y AG28 BA01 BB06 BB09 BC01 4F073 AA29 BA06 BA07 BB01 GA01 4F207 AA03 AG01 AG03 AK01 AR06 KA01 KA17 KA19 KF01 KK51 KL65 KM16 KW26 4F210 AA03 AG01 AG03 AK01 AR06 QK01 QK12 QK72 QW05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 135℃デカリン溶媒で測定した極限粘
    度[η]が5.0dl/g以上の超高分子量樹脂の層を
    備えた単層乃至多層の押出物をインフレーション法によ
    り製膜し、形成されるブロウンフィルムを、該超高分子
    量樹脂の融点Tm+20(℃)〜Tm−70(℃)の温
    度範囲で且つ拘束条件下に加熱処理することを特徴とす
    る熱収縮率の低減された超高分子量樹脂ブロウンフィル
    ムの製造方法。
  2. 【請求項2】 ブロウンフィルムを円筒状に巻き取った
    ロール状で加熱処理を行うことを特徴とする請求項1に
    記載の超高分子量樹脂ブロウンフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 ブロウンフィルムを円筒状に巻き取る工
    程に先だって、該ブロウンフィルムの横断方向に緊張を
    加えつつインライン上で加熱処理を行うことを特徴とす
    る請求項1に記載の超高分子量樹脂ブロウンフィルムの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 超高分子量樹脂がオレフィン系樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の超
    高分子量樹脂ブロウンフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 超高分子量樹脂がポリエチレンであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の超高分
    子量樹脂ブロウンフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 ブロウンフィルムが多層であり且つ少な
    くとも1層が超高分子量樹脂以外のオレフィン系樹脂で
    あることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の
    超高分子量樹脂ブロウンフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載の製造方
    法により得られた超高分子量樹脂ブロウンフィルム。
  8. 【請求項8】 135℃デカリン溶媒で測定した極限粘
    度[η]が5.0dl/g以上の超高分子量樹脂の層を
    備えた単層乃至多層のブロウンフィルムであって、前記
    超高分子量樹脂の融点より25℃低い温度で30分間熱
    処理したときの熱収縮率が2%以下であることを特徴と
    する超高分子量樹脂ブロウンフィルム。
  9. 【請求項9】 超高分子量樹脂がオレフィン系樹脂であ
    ることを特徴とする請求項8に記載のブロウンフィル
    ム。
  10. 【請求項10】 超高分子量樹脂がポリエチレンである
    ことを特徴とする請求項8に記載のブロウンフィルム。
  11. 【請求項11】 ブロウンフィルムが多層であり且つ少
    なくとも1層が超高分子樹脂以外のオレフィン系樹脂で
    あることを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載
    のブロウンフィルム。
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