JP2001046066A - 新規な相補性決定領域を有するヒトvegf受容体kdrに対する抗体 - Google Patents

新規な相補性決定領域を有するヒトvegf受容体kdrに対する抗体

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JP2001046066A
JP2001046066A JP11220545A JP22054599A JP2001046066A JP 2001046066 A JP2001046066 A JP 2001046066A JP 11220545 A JP11220545 A JP 11220545A JP 22054599 A JP22054599 A JP 22054599A JP 2001046066 A JP2001046066 A JP 2001046066A
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human vegf
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Kiyonari Shidara
研也 設楽
Hidenao Sato
秀尚 佐藤
Kazuyasu Nakamura
和靖 中村
Hironao Ueno
浩尚 上野
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Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固形腫瘍の増殖、転移形成、慢性関節リュウ
マチにおける関節炎、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、
乾癬など異常な血管新生により病態が進行する疾患を診
断、治療するための、抗ヒトVEGF受容体KDR抗体の開発
が望まれている。 【解決手段】 本発明は、ヒトVEGF受容体KDR に反応
し、ヒトVEGF受容体Flt-1には反応しない抗体に関す
る。ヒトVEGF受容体KDRに結合し、ヒトVEGFのヒトVEGF
受容体KDR への結合を阻害してKDRの作用を中和する抗
体に関する。さらに、固形腫瘍の増殖、転移形成、慢性
関節リュウマチにおける関節炎、糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、乾癬など異常な血管新生により病態が進行す
る疾患の診断および治療方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、固形腫瘍の増殖、
転移形成、慢性関節リュウマチにおける関節炎、糖尿病
性網膜症、未熟児網膜症、乾鮮など異常な血管新生によ
り病態が進行する疾患の診断あるいは治療に有用な、ヒ
トVEGF受容体KDRに特異的に結合する抗体、該抗体をコ
ードするDNA、該抗体を生産する細胞株、該抗体を用い
たヒトVEGF受容体KDRを免疫学的に検出する方法、ヒトV
EGFとヒトVEGF受容体KDRとの結合を阻害する方法、ヒト
VEGF受容体KDRを中和する方法ならびに該抗体を用いる
血管新生異常疾患の診断方法、診断薬および治療薬に関
する。
【0002】
【従来の技術】血管新生は、脊椎動物の胎生期における
循環器系の形成や多くの組織の構築に重要な役割を果た
すとともに、成熟個体(雌)においても性周期における
黄体形成、子宮内膜の一過性の増殖、胎盤形成などに密
接に関与する。さらに、病的状態としては、固形腫瘍の
増殖、転移形成、糖尿病性網膜症、慢性関節リュウマチ
の病態形成、促進に血管新生が深く関与している[J. Bi
ol. Chem., 267, 10931(1992)]。血管新生は、血管新生
因子が分泌されることが引き金となり、近傍にある既存
の血管の内皮細胞からプロテアーゼが分泌され、基底
膜、間質が破壊され、続いて血管内皮細胞の遊走、増殖
がはじまり、管腔が形成されることで血管が新生される
過程よりなる[J. Biol. Chem., 267, 10931 (1992)]。
血管新生を誘導する因子としては、Vascular permeabil
ity factor (VPF)/Vascular endothelial growth facto
r (VEGF)が上記発生段階における血管新生および病的な
状態における血管新生において最も重要な因子として知
られている[Advances in Cancer Research 67, 281 (19
95)]。VPF/VEGFはホモダイマーよりなる分子量約4万の
タンパクであり、1983年に血管透過性促進因子(Vascula
r permeability factor: VPF)として[Science 219, 983
(1983)]、1989年に血管内皮細胞増殖因子(Vascular en
dothelial growth factor: VEGF)として独立した分子と
して報告されたが[Biochem. Biophys. Res. Comm., 16
1, 851 (1989)]、cDNAクローニングの結果、両者は同一
の物質であることが明らかとなった[Science,246, 1306
(1989);Science, 246, 1309 (1989)](以下VEGFと記
載)。VEGFの活性としてはこれまでに、血管内皮細胞に
対し、増殖促進活性(ED50 = 2-3 pM)[Biochem. Biophy
s.Res. Comm., 161, 851 (1989)]、遊走促進活性 [J. I
mmunology, 152, 4149 (1994)]、メタロプロテアーゼ分
泌促進活性 [J. Cell Physiol., 153, 557 (1992)]、ウ
ロキナーゼ、tPA分泌促進活性 [Biochem. Biophys. Re
s. Comm., 181, 902(1991)]を示し、in vivoにおいては
血管新生促進活性 [Circulation, 92 supplII, 365 (19
95)]、血管透過性促進活性[Science, 219, 983 (1983)]
が報告されている。VEGFは血管内皮細胞に極めて特異性
の高い増殖因子であることが報告されている[Biochem.
Biophys. Res. Comm., 161, 851 (1989)]。VEGFにはAlt
ernative splicingにより4種類のタンパクが存在するこ
とが報告されている[J. Biol. Chem., 267, 26031 (199
1)]。
【0003】血管新生を伴う疾患の中で、固形腫瘍の増
殖、転移形成、糖尿病性網膜症、慢性関節リュウマチの
病態形成にVEGFが深く関与していることが報告されてい
る。固形腫瘍については、これまでに腎癌[Cancer Rese
arch, 54, 4233 (1994)]、乳癌[Human Pathology, 26,
86 (1995)]、脳腫瘍[J. Clinical Investigation, 91,
153 (1993)]、消化器癌[Cancer Research, 53, 4727 (1
993)]、卵巣癌[CancerResearch, 54, 276 (1994)]など
の多くのヒト腫瘍組織においてVEGFが産生されているこ
とが報告されている。乳癌についてはVEGFと患者の予後
との関係が検討された結果、VEGF高発現腫瘍は、低発現
腫瘍に比べ、腫瘍血管新生が盛んであり生存率が低いこ
とが明らかとなっている[Japanese J. Cancer Researc
h, 85, 1045 (1994)]。また、ヌードマウスにヒト腫瘍
を皮下移植したゼノグラフトモデル実験系において、抗
VEGFモノクローナル抗体は腫瘍増殖抑制効果を示すこと
が報告されている[Nature, 362, 841 (1993)]。さら
に、ヌードマウスにおけるヒト腫瘍の転移癌モデルにお
いて、抗VEGFモノクローナル抗体は癌転移を抑制できる
ことが報告されている[Cancer Research, 56, 921 (199
6)]。従って、VEGF活性を抑制することができれば癌患
者における腫瘍の増殖、転移形成を抑制できるものと期
待される。また、ヒトの癌性胸水、腹水中に高濃度のVE
GFが検出されることから、胸水、腹水貯留の主要な因子
である可能性も示され[Biochimica et Biophysica Act
a, 1221, 211 (1994)]、VEGFをブロックすることで癌性
胸水、腹水の貯留を防ぐことも期待される。
【0004】糖尿病網膜症においては、異常な血管新生
により網膜剥離や硝子体出血をおこして失明にいたる
が、糖尿病性網膜症における血管新生と患者眼球内のVE
GFレベルが正相関することが報告されている[New Engla
nd J. Medicine, 331, 1480 (1994)]。また、サルの網
膜症モデルにおいて抗VEGF中和モノクローナル抗体の眼
内投与によりVEGF活性を抑制すると血管新生が抑制され
ることが報告されている[Arch Opthalmol., 114, 66 (1
996)]。従って、過剰に産生されるVEGF活性を抑制する
ことで糖尿病性網膜症における血管新生を抑制できるこ
とが期待される。
【0005】慢性関節リュウマチの関節炎の病態の進展
(骨、軟骨の破壊)には血管新生を伴うが、慢性関節リ
ュウマチ患者の関節液中にはVEGFが高濃度で含まれてい
ること、関節中のマクロファージがVEGFを産生すること
が報告されている[Journal of Immunology, 152, 4149
(1994);J. Experimental Medicine, 180, 341 (199
4)]。過剰に産生されるVEGF活性を抑制することで関節
炎における血管新生を抑制できることが期待される。
【0006】ヒトのVEGF受容体としては、これまでに受
容体型チロシンキナーゼファミリーに属する受容体であ
るFlt-1(fms-like tyrosine kinase)[Oncogene, 5, 519
(1990); Science, 255, 989 (1992)]およびKDR(kinase
insert domain-containingreceptor) [WO92/14748, Bi
ochem. Biophys. Res. Comm., 187, 1579 (1992)]が報
告されている。ヒト型VEGF受容体KDRのマウス型ホモロ
グはFlk-1[Proc. Natl.Acad. Science, USA, 88, 9026
(1991); WO94/11499;Cell, 72, 835 (1993)]と命名さ
れている。Flt-1およびKDR/Flk-1の細胞外ドメインは7
個のイムノグロブリン様ドメインよりなり、細胞内ドメ
インはチロシンキナーゼドメインを有する分子量180〜2
00キロダルトンの膜タンパクよりなる。VEGFは、Flt-1
およびKDR/Flk-1に対して、それぞれKD値が20 pMおよび
75 pMで特異的に結合する。Flt-1およびKDR/Flk-1は血
管内皮細胞に特異的に発現していると報告されている[P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 7533 (1993); Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 90,8915 (1993)]。ヒト型受容
体KDRとマウス型受容体Flk-1のアミノ酸配列のホモロジ
ーは、細胞内のN末端側のチロシンキナーゼドメインお
よびC末端側のチロシンキナーゼドメインは、それぞれ
95%および97%と非常に高いが、細胞外ドメイン間のホ
モロジーは80%と少し低い[J. Cellular Biochemistry,
54, 56 (1994)]。
【0007】様々なヒトの疾患におけるKDRの発現につ
いては、ヒト脳腫瘍組織の腫瘍血管内皮細胞[American
J. Pathology, 146, 368 (1995)]、ヒト消化器癌組織の
腫瘍血管内皮細胞[Cancer Research, 53, 4727, (199
3)]においては正常組織の血管内皮細胞に比べKDRの mRN
Aレベルの発現が上昇していることが報告されている。
これらの結果は、腫瘍血管新生においてVEGF-VEGFレセ
プターKDR系が重要な役割を果たしていることを強く示
唆するものである。さらに、慢性関節リュウマチ患者の
関節の血管内皮細胞においてもin situ hybridization
によりKDR mRNAの発現が認められることが報告されてお
り[J. Experimental Medicine, 180, 341 (1994)]、VEG
F-VEGFレセプターKDR系の重要性を示唆している。
【0008】VEGFレセプターKDR/Flk-1の機能について
は、ブタ動脈の血管内皮細胞にKDRを発現させるとVEGF
に反応し増殖、遊走することから、VEGFの多様な活性の
中でKDRは血管内皮細胞の増殖、遊走に関与すると報告
されている[J. Biol. Chem., 269, 26988 (1994)]。ま
た、マウス型flk-1遺伝子を破壊したflk-1ノックアウト
マウスは成熟した血管内皮細胞が全く認められず、卵黄
嚢の血島も形成されず、子宮内で死亡したことから、動
物個体においてもKDR/flk-1は血管内皮細胞の増殖、分
化に関与することが報告されている[Nature, 376, 62
(1995)]。
【0009】Flk-1の細胞内チロシンキナーゼドメイン
を除去した不活性型のFlk-1ミュータントを用い、ウイ
ルスベクターにより内皮細胞に導入する方法を試みたと
ころ、不活性型Flk-1ミュータントウイルスと腫瘍細胞
を混合して動物細胞に移植すると腫瘍の増殖が抑制され
ることが報告されており[Nature, 367, 576 (1994)]、F
lk-1のシグナル伝達を阻害することで腫瘍増殖が抑制さ
れることが示されている。
【0010】マウス型Flk-1細胞外ドメインに対するモ
ノクローナル抗体については、ラットモノクローナル抗
体が報告されている。マウス型Flk-1の細胞外ドメイン
とFLAGTM融合タンパクを免疫原に用いて、ラットよりハ
イブリドーマを作製し、取得した3種のラットモノクロ
ーナル抗体4H3, 3B6, 3C8は細胞上に発現したマウスFlk
-1を免疫沈降できると報告されているが、VEGFの機能阻
害活性については解析されていない(WO 95/21865)。
また、マウス型Flk-1の細胞外ドメインとSEAPs(Secreto
ry alkaline phosphatase)融合タンパクを免疫原に用い
てラットにおいて作製したモノクローナル抗体DC101
は、細胞表面のマウスFlk-1/fmsキメラレセプター(細
胞外ドメインがFlk-1であり、細胞内ドメインがfmsであ
るキメラ分子)に反応することが報告されている。DC10
1は、VEGF刺激によるマウスFlk-1/fmsキメラレセプター
のfmsチロシンキナーゼの自己リン酸化を阻害する活性
を有する。しかしながら、Flk-1チロシンキナーゼの自
己リン酸化を阻害する活性については示されていない。
ヌードマウスにヒト腫瘍を皮下移植したゼノグラフトモ
デル実験系において、DC101は抗腫瘍効果を示すことが
報告されている(WO 95/21868)。DC101はマウス型Flk-
1に反応するが、ヒト型KDRには反応しない。
【0011】文献[Hybridoma, 16, 465 (1997)] には、
ヒトKDR のイムノグロブリン様ドメインの6 、7 番目に
特異的に反応する2 種のマウスモノクローナル抗体2-7-
9 および2-10-1が報告されているが、ヒトVEGF受容体KD
R のイムノグロブリン様ドメインの1〜5番目に特異的
に反応する抗体、あるいはヒト型VEGF受容体KDR に結合
し、かつKDRの作用を中和する抗体は知られていない。
【0012】以上のことから、ヒトVEGF受容体Flt-1に
は結合せず、ヒトVEGF受容体KDR に結合し、かつKDRの
作用を中和する抗体はヒトにおける固形腫瘍の増殖、転
移形成、慢性関節リュウマチにおける関節炎、糖尿病性
網膜症、未熟児網膜症、乾鮮など異常な血管新生により
病態が進行する疾患の診断、治療に有用であることが期
待される。しかしながら、ヒトVEGF受容体KDR を発現し
ている細胞を検出でき、かつ、VEGFの作用を中和する抗
ヒトVEGF受容体KDR モノクローナル抗体はこれまで確立
されていない。先に述べたとおり、抗マウス型Flk-1 に
対するモノクローナル抗体を作製できることは報告され
ているが、ヒトの場合に有用である、リガンドであるVE
GFの結合を阻害する抗ヒト型VEGF受容体KDR抗体を作製
することはこれまでに知られていない。
【0013】一般にヒト以外の動物由来のモノクローナ
ル抗体をヒトに投与すると、異物として認識されること
によりヒト体内にヒト以外の動物由来のモノクローナル
抗体に対する抗体ができる。その結果、投与されたヒト
以外の動物抗体と反応し、副作用を引き起こしたり[J.
Clin. Oncol., 2, 881(1984); Blood, 65, 1349(19
85); J. Natl. Cancer Inst., 80, 932 (1988); Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 1242(1985)]、抗体
がはやくクリアランスされたり[J. Nucl. Med.,26, 10
11(1985); Blood, 65, 1349(1985); J. Natl. Canc
er Inst., 80, 937 (1988)]、抗体の治療効果を減じ
てしまうことが知られている[J. Immunol., 135, 1530
(1985); Cancer Res., 46, 6489 (1986)]。
【0014】これらの問題点を解決するため、遺伝子組
換え技術を利用してヒト以外の動物由来のモノクローナ
ル抗体をヒト型キメラ抗体あるいはヒト型CDR(compleme
ntary determining region;以下、CDRと略記する場合も
ある) 移植抗体(再形成ヒト抗体)のようなヒト化抗体
にすることが試みられている。ヒト型キメラ抗体は、抗
体可変領域(以下、V領域と称す)がヒト以外の動物抗
体由来で抗体定常領域(以下、C領域と称す)がヒト抗
体由来である抗体であり[Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 81, 6851 (1984)]、ヒトに投与した場合、ヒト以
外の動物由来のモノクローナル抗体に対する抗体はほと
んど惹起されず、血中半減期が6倍のびることが報告さ
れている[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 4220 (19
89)]。ヒト型CDR 移植抗体はヒト抗体のCDRをヒト以外
の動物由来の抗体のCDR と置換した抗体であり[Natur
e, 321, 522(1986)]、サルを用いた実験でマウス抗
体に比べ免疫原性が低下し、血中半減期が4〜5倍伸びる
ことが報告されている[J. Immunol., 147, 1352 (199
1)]。
【0015】従って、ヒトVEGF受容体KDR に対して特異
的に結合するヒト化抗体は、ヒト体内に投与したときに
ヒト以外の動物由来のモノクローナル抗体に対する抗体
が生じないことによる、副作用の減少、および血中半減
期の延長により、固形腫瘍の増殖もしくは転移形成、慢
性関節リュウマチにおける関節炎、糖尿病性網膜症、未
熟児網膜症および乾鮮など異常な血管新生により病態が
進行する疾患等に対する高い治療効果が期待される。
【0016】さらに、最近の蛋白質工学、遺伝子工学の
進歩により、一本鎖抗体[Science,242, 423 (1988)]
あるいはジスルフィド安定化抗体[Molecular Immunolo
gy,32, 249 (1995)]といった、より小さな抗体分子の
作製が行われている。一本鎖抗体やジスルフィド安定化
抗体はモノクローナル抗体あるいはヒト化抗体に比べ、
その分子量が小さいことから組織移行性、血中からのク
リアランスに優れ、イメージング等への応用、さらには
トキシンとの複合体の作製も行われ、治療効果も期待さ
れている[Cancer Research, 55, 318(1995)]。従っ
て、ヒトVEGF受容体KDR 特異的に結合する一本鎖抗体お
よびジスルフィド安定化抗体は、固形腫瘍の増殖もしく
は転移形成、慢性関節リュウマチにおける関節炎、糖尿
病性網膜症、未熟児網膜症および乾鮮など異常な血管新
生により病態が進行する疾患等に対する高い診断、治療
効果が期待される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】固形腫瘍の増殖もしく
は転移形成、慢性関節リュウマチにおける関節炎、糖尿
病性網膜症、未熟児網膜症あるいは乾癬など異常な血管
新生により病態が進行する疾患を診断、治療するための
有用な方法が求められている。抗ヒトVEGF受容体KDR抗
体は、血管新生部位を検出および抑制することができ、
上記のような異常な血管新生により病態が進行する疾患
の治療および診断に役立つと期待される。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、固形腫瘍
の増殖、転移形成、慢性関節リュウマチにおける関節
炎、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、乾鮮など異常な血
管新生により病態が進行する疾患を診断、治療するため
に有用なヒト型VEGF受容体KDR に結合し、かつKDRの作
用を中和する抗体の開発に関して鋭意検討し、本発明を
完成するに至った。
【0019】すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4
0)に関するものである。 (1) 抗体のH鎖V領域のCDR1、CDR2およびCDR3がそれ
ぞれ配列番号5、6および7、L鎖V領域のCDR1、CDR2および
CDR3がそれぞれ配列番号8、9および10で示されるアミノ
酸配列を含み、ヒトVEGF受容体KDR に反応するが、ヒト
VEGF受容体Flt-1 には反応しない抗体。 (2) 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの細胞外領域に特
異的に反応する抗体である、上記(1)記載の抗体。 (3) 抗体が、ヒトVEGFのヒトVEGF受容体KDRへの結
合を阻害し、かつKDRの作用を中和する抗体である、上
記(1)記載の抗体。 (4) 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの、配列番号55に
記載されたアミノ酸配列1〜518番目の領域にあるエピ
トープを認識する抗体である、上記(1)〜(3)のい
ずれか1項に記載の抗体。
【0020】(5) 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの、
配列番号55に記載されたアミノ酸配列1〜104、1〜19
4、105〜393、295〜393および394〜518番目から選ばれ
るアミノ酸配列の領域にあるエピトープを認識する抗体
である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の抗
体。 (6) 抗体がヒト化抗体、ヒト抗体およびこれらの抗
体断片である上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載
の抗体。 (7) ヒト化抗体が、ヒト型キメラ抗体またはヒト型
CDR移植抗体である上記(6)記載のヒト化抗体。 (8) 抗体のH鎖V領域が配列番号26で示されるアミノ
酸配列を含む、上記(7)記載のヒト型キメラ抗体。
【0021】(9) 抗体のL鎖V領域が配列番号27で示
されるアミノ酸配列を含む、上記(7)記載のヒト型キ
メラ抗体。 (10) 抗体のH鎖V領域が配列番号26で示される
アミノ酸配列を含み、L鎖V領域が配列番号27で示さ
れるアミノ酸配列を含む上記(7)記載のヒト型キメラ
抗体。 (11) 抗体のH鎖V領域が配列番号26で示される
アミノ酸配列を含み、L鎖V領域が配列番号27で示さ
れるアミノ酸配列を含む上記(7)記載のヒト型キメラ
抗体KM2992。 (12) 抗体断片が、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗
体、ジスルフィド安定化V領域断片(dsFv)およびCDRを
含むペプチドから選ばれる抗体断片である上記(6)記
載の抗体断片。
【0022】(13) 抗体断片が、抗体のH鎖V領域が
配列番号26で示されるアミノ酸配列を含み、抗体のL
鎖V領域が配列番号27で示されるアミノ酸配列を含
む、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体、dsFvおよびCDR
を含むペプチドから選ばれる上記(12)記載の抗体断
片。 (14) 抗体のH鎖V領域のCDR1、CDR2およびCDR3がそ
れぞれ配列番号11、12および13、L鎖V領域のCDR1、CDR2
およびCDR3がそれぞれ配列番号14、15および16で示され
るアミノ酸配列を含み、ヒトVEGF受容体KDR に反応する
が、ヒトVEGF受容体Flt-1 には反応しない抗体。 (15) 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの細胞外領域に
特異的に反応する抗体である、上記(14)記載の抗
体。 (16) 抗体が、ヒトVEGFのヒトVEGF受容体KDRへの
結合を阻害し、かつKDRの作用を中和する抗体である、
上記(14)記載の抗体。
【0023】(17) 抗体が、ヒトVEGF受容体KDR
の、配列番号55に記載されたアミノ酸配列1〜518番目
の領域にあるエピトープを認識する抗体である、上記
(14)〜(16)のいずれか1項に記載の抗体。 (18) 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの、配列番号55
に記載されたアミノ酸配列1〜104、1〜194、105〜39
3、295〜393および394〜518番目から選ばれるアミノ酸
配列の領域にあるエピトープを認識する抗体である、上
記(14)〜(16)のいずれか1項に記載の抗体。 (19) 抗体がヒト化抗体、ヒト抗体およびこれらの
抗体断片である上記(14)〜(18)のいずれか1項
に記載の抗体。 (20) ヒト化抗体が、ヒト型キメラ抗体またはヒト
型CDR移植抗体である上記(19)記載の抗体。
【0024】(21) 抗体のH鎖V領域が配列番号28で
示されるアミノ酸配列を含む、上記(20)記載のヒト
型キメラ抗体。 (22) 抗体のL鎖V領域が配列番号29で示されるアミ
ノ酸配列を含む、上記(20)記載のヒト型キメラ抗
体。 (23) 抗体のH鎖V領域が配列番号28で示される
アミノ酸配列を含み、L鎖V領域が配列番号29で示さ
れるアミノ酸配列を含む上記(20)記載のヒト型キメ
ラ抗体。 (24) 抗体のH鎖V領域が配列番号28で示される
アミノ酸配列を含み、L鎖V領域が配列番号29で示さ
れるアミノ酸配列を含む上記(20)記載のヒト型キメ
ラ抗体KM2995。
【0025】(25) 抗体断片が、Fab、Fab'、F(a
b')2、一本鎖抗体、ジスルフィド安定化V領域断片(dsF
v)およびCDRを含むペプチドから選ばれる抗体断片であ
る上記(19)記載の抗体断片。 (26) 抗体断片が、抗体のH鎖V領域が配列番号28
で示されるアミノ酸配列を含み、抗体のL鎖V領域が配列
番号29で示されるアミノ酸配列を含む、Fab、Fab'、F
(ab')2、一本鎖抗体、dsFvおよびCDRを含むペプチドか
ら選ばれる上記(25)記載の抗体断片。 (27) 上記(1)〜(26)のいずれか1項に記載
の抗体またはこれらの抗体断片と、放射性同位元素、蛋
白質、低分子の薬剤とを化学的または遺伝子工学的に結
合させた抗体またはこれらの抗体断片の誘導体。 (28) 上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載
の抗体、抗体断片、またはこれらの誘導体をコードする
DNA。
【0026】(29) 上記(28)記載のDNAとベ
クターとを含有する組換えベクター。 (30) 上記(29)記載の組換えベクターを宿主細
胞に導入して得られる形質転換体。 (31) 上記(30)記載の形質転換体を培地に培養
し、培養物中に上記(1)〜(27)記載の抗体または
抗体断片を生成蓄積させ、該培養物から該抗体または該
抗体断片を採取することを特徴とする抗体または抗体断
片の製造方法。 (32) 上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載
の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを免
疫学的に検出する方法。
【0027】(33) 上記(1)〜(27)のいずれ
か1項に記載の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受
容体KDRを免疫学的に定量する方法。 (34) 上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載
の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを細
胞表面に発現した細胞を免疫学的に検出する方法。 (35) 上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載
の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを細
胞表面に発現した細胞を免疫学的に定量する方法。 (36) 上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載
の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGFとヒトVEGF受容
体KDRとの結合を阻害する方法。 (37) 上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載
の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを中
和する方法。
【0028】(38) 上記(1)〜(27)のいずれ
か1項に記載の抗体または抗体断片を用いる、血管新生
異常疾患の診断方法。 (39) 上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載
の抗体または抗体断片を有効成分とする、血管新生異常
疾患の診断薬。 (40) 上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載
の抗体または抗体断片を有効成分とする、血管新生異常
疾患の治療薬。
【0029】
【発明の実施の形態】ヒトVEGF受容体KDRの細胞外ドメ
インは7個のイムノグロブリン様ドメインよりなる。ヒ
トVEGF受容体KDRの細胞外ドメインのN末端側から1番
から7番までのイムノグロブリン様ドメインの模式図お
よび該ドメインのアミノ酸配列におけるアミノ酸番号を
第19図に示した。本発明は、ヒトVEGF受容体KDR に反
応するが、ヒトVEGF受容体Flt-1 には反応しない抗体、
ヒトVEGF受容体KDRの1〜5番目のイムノグロブリン様
ドメインに特異的に反応する抗体を提供する。
【0030】本発明における抗体は、抗体の重鎖可変領
域の相補性決定領域(CDR)1、CDR2およびCDR3がそれ
ぞれ配列番号5、6および7、軽鎖可変領域のCDR1、CD
R2およびCDR3がそれぞれ配列番号8、9および10で示
されるアミノ酸配列、または、抗体の重鎖可変領域のCD
R1、CDR2およびCDR3がそれぞれ配列番号11、12お
よび13、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3がそれ
ぞれ配列番号14、15および16で示されるアミノ酸
配列を含み、かつヒトVEGF受容体KDRに特異的に反応す
ればいかなるものでもよいが、以下に述べるヒト化抗
体、ヒト抗体およびそれらの抗体断片などが好適なもの
としてあげられる。
【0031】ヒト化抗体としては、ヒト型キメラ抗体、
ヒト型CDR(Complementary Determining Region;相補性
決定領域 以下、CDRと記す)移植抗体などがあげられ
る。ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体重鎖可
変領域(以下、重鎖はH鎖として、可変領域はV領域とし
てHVまたはVHとも称す)および抗体軽鎖可変領域(以
下、軽鎖はL鎖としてLVまたはVLとも称す)とヒト抗体
の重鎖定常領域(以下、定常領域はC領域としてCHとも
称す)およびヒト抗体の軽鎖定常領域(以下、CLとも称
す)とからなる抗体を意味する。ヒト以外の動物として
は、マウス、ラット、ハムスター、ラビット等、ハイブ
リドーマを作製することが可能であれば、いかなるもの
も用いることができる。
【0032】本発明のヒト型キメラ抗体は、ヒトVEGF受
容体KDRに結合し、KDRの作用を中和するモノクローナル
抗体を生産するハイブリドーマより、VHおよびVLをコー
ドするcDNAを取得し、ヒト抗体CHおよびヒト抗体CLをコ
ードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれ
ぞれ挿入してヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築し、
動物細胞へ導入することにより発現させ製造することが
できる。ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイムノグ
ロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなる
ものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、更に
hIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といっ
たサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒ
ト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればいかなる
ものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用い
ることができる。
【0033】ヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の
抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVH
およびVLの適切な位置に移植した抗体を意味する。本発
明の ヒト型CDR 移植抗体は、ヒトVEGF受容体KDR に反
応し、ヒトVEGF受容体KDRに結合し、KDRの作用を中和す
る、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDR 配列で任
意のヒト抗体のVHおよびVLのCDR 配列をそれぞれ置換し
たV 領域をコードするcDNAを構築し、ヒト抗体のCHおよ
びヒト抗体のCLをコードする遺伝子を有する動物細胞用
発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型CDR 移植抗体発
現ベクターを構築し、動物細胞へ導入し、発現させるこ
とにより製造することができる。
【0034】ヒト型CDR移植抗体のCHとしては、hIgに属
すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好
適であり、更にhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG
3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることがで
きる。また、ヒト型CDR移植抗体のCLとしては、hIgに属
すればいかなるものでもよく、κクラスあるいはλクラ
スのものを用いることができる。ヒト抗体は、元来、ヒ
ト体内に天然に存在する抗体を意味するが、最近の遺伝
子工学的、細胞工学的、発生工学的な技術の進歩により
作製されたヒト抗体ファージライブラリーおよびヒト抗
体産生トランスジェニック動物から得られる抗体等も含
まれる。
【0035】ヒト体内に存在する抗体は、例えば、ヒト
末梢血リンパ球を単離し、EBウイルス等を感染させ不死
化、クローニングすることにより、該抗体を産生するリ
ンパ球を培養でき、培養物中より該抗体を精製すること
ができる。ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB細
胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入する
ことによりFab、一本鎖抗体等の抗体断片をファージ表
面に発現させたライブラリーである。該ライブラリーよ
り、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標とし
て所望の抗原結合活性を有する抗体断片を発現している
ファージを回収することができる。該抗体断片は、更に
遺伝子工学的手法により、完全型ヒト抗体へも変換する
ことができる。
【0036】ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、
ヒト抗体遺伝子が細胞内に組込まれた動物を意味する。
具体的には、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、
該ES細胞を他のマウスの初期胚へ移植後、発生させるこ
とによりヒト抗体産生トランスジェニック動物を作製す
ることができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物
からのヒト抗体の作製方法は、通常のヒト以外の哺乳動
物で行われているハイブリドーマ作製方法によりヒト抗
体産生ハイブリドーマを得、培養することで培養物中に
ヒト抗体を産生蓄積させることができる。抗体断片とし
ては、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体、dsFv、CDRを
含むペプチドなどがあげられる。
【0037】Fabは、IgGを蛋白質分解酵素パパイン
で処理して得られる断片のうち(H鎖の224番目のアミノ
酸残基で切断される)、H鎖のN末端側約半分とL鎖全
体がジスルフィド結合で結合した分子量約5万の抗原結
合活性を有する抗体断片である。本発明のFabは、ヒトV
EGF受容体KDRに特異的に反応する抗体を蛋白質分解酵素
パパインで処理して得ることができる。または、該抗体
のFabをコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるい
は真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核
生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、
Fabを製造することができる。
【0038】F(ab')2は、IgGを蛋白質分解酵素ペプ
シンで処理して得られる断片のうち(H鎖の234番目のア
ミノ酸残基で切断される)、Fabがヒンジ領域のジスル
フィド結合を介して結合されたものよりやや大きい、分
子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片である。本
発明のF(ab')2は、ヒトVEGF受容体KDRに特異的に反応す
る抗体を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得ることが
できる。または、該抗体のF(ab')2をコードするDNAを原
核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクター
に挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導
入することにより発現させ、F(ab') 2を製造することが
できる。
【0039】Fab'は、上記F(ab')2のヒンジ領域のジス
ルフィド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を
有する抗体断片である。本発明のFab'は、ヒトVEGF受容
体KDRに特異的に反応する抗体を還元剤ジチオスレイト
ール処理して得ることができる。または、該抗体のFab'
断片をコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるい
は真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核
生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、
Fab'を製造することができる。
【0040】一本鎖抗体(以下、scFvとも称す)は、一
本のVHと一本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、
Pと称す)を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P
−VHポリペプチドを示す。本発明で使用されるscFvに含
まれるVHおよびVLは、本発明のヒトVEGF受容体KDRに特
異的に反応する抗体、例えば、ヒト化抗体、ヒト抗体の
いずれをも用いることができる。本発明の一本鎖抗体
は、ヒトVEGF受容体KDRに特異的に反応する抗体のVHお
よびVLをコードするcDNAを取得し、一本鎖抗体をコード
するDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターある
いは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクター
を原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現
させ、一本鎖抗体を製造することができる。
【0041】ジスルフィド安定化V領域断片(以下、dsF
vとも称す)は、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残
基をシステイン残基に置換したポリペプチドを該システ
イン残基間のジスルフィド結合を介して結合させたもの
をいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReit
erらにより示された方法[Protein Engineering, 7,697
(1994)]に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選
択することができる。本発明で使用されるジスルフィド
安定化V領域断片に含まれるVHおよびVLは本発明のヒトV
EGF受容体KDRに特異的に反応する抗体、例えば、ヒト化
抗体、ヒト抗体のいずれをも用いることができる。
【0042】本発明のジスルフィド安定化V領域断片
は、ヒトVEGF受容体KDRに特異的に反応する抗体のVHお
よびVLをコードするcDNAを取得し、ジスルフィド安定化
V領域断片をコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物
用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入
し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入
することにより発現させ、ジスルフィド安定化V領域断
片を製造することができる。CDRを含むペプチドは、H鎖
またはL鎖CDRの少なくとも1領域以上を含んで構成され
る。複数のCDRは、直接または適当なペプチドリンカー
を介して結合させることができる。
【0043】本発明のCDRを含むペプチドは、ヒトVEGF
受容体KDRに特異的に反応する抗体のVHおよびVLをコー
ドするcDNAを取得した後、CDRをコードするDNAを構築
し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物
用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あ
るいは真核生物へ導入することにより発現させ、CDRを
含むペプチドを製造することができる。また、CDRを含
むペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカル
ボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等
の化学合成法によって製造することもできる。
【0044】融合抗体は、本発明のヒトVEGF受容体KDR
に特異的に反応する抗体、例えば、ヒト化抗体、ヒト抗
体およびそれらの抗体断片に放射性同位元素、蛋白質、
低分子の薬剤などを化学的あるいは遺伝子工学的に結合
させた抗体をいう。本発明の融合抗体は、ヒトVEGF受容
体KDRに特異的に反応する抗体および抗体断片のH鎖或い
はL鎖のN末端側或いはC末端側、該抗体および抗体断片
中の適当な置換基あるいは側鎖、さらには該抗体および
抗体断片中の糖鎖に放射性同位元素、蛋白質あるいは低
分子の薬剤などを化学的あるいは遺伝子工学的に結合さ
せることにより製造することができる。
【0045】放射性同位元素としては、131I、125I等が
あげられ、例えば、クロラミンT法等により、抗体また
は抗体断片に結合させることができる。低分子の薬剤と
しては、ナイトロジェン・マスタード、サイクロフォス
ファミドなどのアルキル化剤、5−フルオロウラシル、
メソトレキセートなどの代謝拮抗剤、ダウノマイシン、
ブレオマイシン、マイトマイシンC,ダウノルビシン、
ドキソルビシンなどの抗生物質、ビンクリスチン、ビン
ブラスチン、ビンデシンのような植物アルカロイド、タ
モキシフェン、デキサメタソンなどのホルモン剤等の抗
癌剤[臨床腫瘍学(日本臨床腫瘍研究会編 1996年
癌と化学療法社)]、またはハイドロコーチゾン、プ
レドニゾンなどのステロイド剤、アスピリン、インドメ
タシンなどの非ステロイド剤、金チオマレート、ペニシ
ラミンなどの免疫調節剤、サイクロフォスファミド、ア
ザチオプリンなどの免疫抑制剤、マレイン酸クロルフェ
ニラミン、クレマシチンのような抗ヒスタミン剤等の抗
炎症剤[炎症と抗炎症療法 昭和57年 医歯薬出版株
式会社]などがあげられる。例えば、ダウノマイシンと
抗体を結合させる方法としては、グルタールアルデヒド
を介してダウノマイシンと抗体のアミノ基間を結合させ
る方法、水溶性カルボジイミドを介してダウノマイシン
のアミノ基と抗体のカルボキシル基を結合させる方法等
があげられる。
【0046】蛋白質としては、免疫担当細胞を活性化す
るサイトカインが好適であり、例えば、ヒトインターロ
イキン2、ヒト顆粒球−マクロファージ−コロニー刺激
因子、ヒトマクロファージコロニー刺激因子、ヒトイン
ターロイキン12等があげられる。また、癌細胞を直接障
害するため、リシンやジフテリア毒素などの毒素を用い
ることができる。例えば、蛋白質との融合抗体ついて
は、抗体または抗体断片をコードするcDNAに蛋白質をコ
ードするcDNAを連結させ、融合抗体をコードするDNAを
構築し、該DNAを原核生物あるいは真核生物用発現ベク
ターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核
生物へ導入することにより発現させ、融合抗体を製造す
ることができる。
【0047】本発明の抗体は、ヒトVEGF受容体KDRに結
合し、ヒトVEGFのヒトVEGF受容体KDRへの結合を阻害
し、KDRの作用を中和するため、ヒトVEGFが有する血管
内皮細胞に対する増殖促進活性、遊走促進活性、メタロ
プロテアーゼ分泌促進活性、ウロキナーゼ、tPA分泌促
進活性、in vivo血管新生促進活性、血管透過性亢進活
性等を阻害することができる。したがって、本発明は、
固形腫瘍の増殖もしくは転移形成、慢性関節リウマチに
おける関節炎、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、乾鮮な
ど血管新生の異常により病態が進行する疾患の診断およ
び治療に利用することができる。以下に、本発明の抗ヒ
トVEGF受容体KDRモノクローナル抗体、抗ヒトVEGF受容
体KDRヒト化抗体、抗ヒトVEGF受容体KDR一本鎖抗体およ
び抗ヒトVEGF受容体KDRジスルフィド安定化抗体の製造
法、ならびに該抗体によるヒトVEGF受容体KDRの検出お
よび定量法について説明する。
【0048】1.抗ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル
抗体の作製方法 (1)抗原の調製 抗ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体を作製するた
めに必要な抗原としては、ヒトVEGF受容体KDRを細胞表
面に発現した細胞あるいはその細胞膜画分、または、ア
ミノ酸の長さの異なる細胞外領域を有する可溶性ヒトVE
GF受容体KDR蛋白質あるいは該蛋白質と抗体のFc部分と
の融合蛋白質などがあげられる。ヒトVEGF受容体KDRを
細胞表面に発現する細胞としては、NIH3T3-KDR細胞[セ
ルグロース アンド ディファレンシエーション(Cell
Growth & Differentiation) 7, 213 (1996)]があげ
られる。長さの異なる細胞外領域を有する可溶性ヒトVE
GF受容体KDR蛋白質あるいは該蛋白質と抗体のFc部分と
の融合蛋白質として発現させる方法としては、ヒトVEGF
受容体KDRをコードする全長あるいはその部分断片cDNA
[セルグロース アンド ディファレンシエーション
(Cell Growth & Differentiation) 7, 213 (1996)]
を適当なベクターのプロモーター下流に挿入した組み換
え体ベクターを造成し、それを宿主細胞に導入すること
により得られたヒトVEGF受容体KDR発現細胞を、適当な
培地中で培養することにより細胞内あるいは培養上清中
にヒトVEGF受容体KDRの全長あるいは部分断片をそのま
まあるいは融合蛋白質として生産することができる。ま
た、上述の蛋白質の部分配列を有するポリペプチドをア
ミノ酸合成機を用いて合成することによっても調製する
ことができる。
【0049】宿主としては、細菌、酵母、動物細胞、昆
虫細胞など、目的とする遺伝子を発現できるものであれ
ば、いずれでもよい。細菌としては、エシェリヒア・コ
リ(Escherichia coli)、バチルス・ズブチリス(Baci
llus subtilis )等のエシェリヒア属、バチルス属等の
細菌が例示される。酵母としては、サッカロミセス・セ
レビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロ
ミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等が例
示される。動物細胞としては、ヒトの細胞であるナマル
バ細胞、サルの細胞であるCOS細胞、チャイニーズ・ハ
ムスターの細胞であるCHO細胞等が例示される。昆虫細
胞としては、Sf9、Sf21(ファーミンジェン社製)、Hig
h Five(インビトロジェン社製)等が例示される。
【0050】本発明のDNAを導入するベクターとして
は、該DNAを組み込むことができ、宿主細胞で発現でき
るものであればいかなるベクターでも用いることができ
る。細菌、例えばエシェリヒア・コリ(Escherichia co
li)を宿主として用いる場合の発現ベクターとしては、
プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明のDNA、転
写終結配列、場合によってはプロモーターの制御配列よ
り構成されているのが好ましいが、例えば、市販のpGEX
(ファルマシア社製)、pET システム(ノバジェン社
製)などが例示される。
【0051】細菌への組換えベクターの導入方法として
は、細菌にDNAを導入する方法であれば、例えば、カル
シウムイオンを用いる方法[プロシーディングス・オブ
・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オ
ブ・ザ・U.S.A.(Proc.Natl. Acad. Sci., USA),
69, 2110-2114 (1972) ]、プロトプラスト法(特開昭6
3-248394)等、いずれの方法も用いられる。酵母を宿主
として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、
YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、
YCp50(ATCC37419)等が用いられる。
【0052】酵母への組換えベクターの導入方法として
は、酵母にDNAを導入する方法であれば、例えば、エレ
クトロポレーション法[メソッズ・オブ・エンザイモロ
ジー(Methods. Enzymol.), 194, 182-187 (1990)]、ス
フェロプラスト法[プロシーディングス・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・
U.S.A.(Proc. Natl. Acad. Sci., USA), 84, 192
9-1933 (1978) ]、酢酸リチウム法[ジャーナル・オブ
・バクテリオロジー(J. Bacteriol.), 153, 163-168 (1
983) ]等、いずれの方法も用いられる。動物細胞を宿
主として用いる場合には、発現ベクターとして、例え
ば、pAGE107[特開平3-22979 ;サイトテクノロ
ジー(Cytotechnology), 3, 133 (1990) ],pAGE1
03[ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Bioc
hem.) 101, 1307(1987) ] 等が用いられる。
【0053】プロモーターとしては、動物細胞中で発現
できるものであればいかなるものを用いてもよいが、例
えば、サイトメガロウィルス(CMV)のIE(immediate
early) 遺伝子のプロモーター、SV40あるいはメタロチ
オネインのプロモーター等があげられる。また、ヒトC
MVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターとともに
用いてもよい。動物細胞への組換えベクターの導入方法
としては、動物細胞にDNAを導入する方法であれば、例
えば、エレクトロポレーション法[サイトテクノロジー
(Cytotechnology), 3, 133(1990)]、リン酸カルシウム
法(特開平2-227075)、リポフェクション法[プロシー
ディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンス・オブ・ザ・U.S.A.(Proc. Natl. A
cad. Sci., USA), 84, 7413 (1987)]等、いずれの方法
も用いられる。
【0054】昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例
えばカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・
バイオロジー、サプルメント1 〜34(Current Protoc
olsin Molecular Biology Supplement 1-34)、バキュ
ロウイルス・イクスプレッション・ベクターズ、ア・ラ
ボラトリー・マニュアル(Baculovirus expression vec
tors A laboratory manual) 等に記載された方法によっ
て、タンパク質を発現することができる。すなわち、以
下に述べる組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウ
イルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組
換えウイルスを得たのち、さらに組換えウイルスを昆虫
細胞に感染させ、タンパク質発現昆虫細胞を取得する。
【0055】遺伝子導入ベクターとしては、例えば、pV
L1392、pVL1393 、pBlueBacIII (ともにインビトロジ
ェン社製)等が用いられる。バキュロウイルスとして
は、例えば、夜盗蛾科昆虫に感染するウイルスであるア
ウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘド
ロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear po
lyhedrosis virus) などが用いられる。組換えウイルス
を調製するための、昆虫細胞への上記組換え遺伝子導入
ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法として
は、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2-227075)、
リポフェクション法[プロシーディングス・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ
・U.S.A.(Proc. Natl. Acad. Sci., USA), 84, 7
413 (1987)]等が用いられる。
【0056】また、ファーミンジェン社製バキュロゴー
ルドスターターキットなどを用いて組み換えバキュロウ
ィルスを作製したのち、前述したSf9、Sf21あるいはHig
h Five 等の昆虫細胞に該組み換えウィルスを感染させ
ることにより蛋白質を生産させることもできる[バイオ
テクノロジー(Bio/Technology), 6, 47(1988)]。遺
伝子の発現方法としては、直接発現以外に、分泌生産、
融合蛋白質発現等が開発されており、いずれの方法も用
いることができる。例えば、モレキュラー・クローニン
グ 第2版、コールドスプリングハーバーラボ・プレス
[MolecularCloning 2nd edition, Cold Spring Harbor
Lab. Press New York (1989);以下、「モレキュラー
・クローニング 第2版」と記す]に記載されている方
法に準じて行うことができる。
【0057】以上のようにして得られる形質転換体を培
地に培養し、培養物中に本発明の蛋白質を生成蓄積さ
せ、該培養物から採取することにより、ヒトVEGF受容体
KDRの全長あるいは部分断片をそのままあるいは融合蛋
白質として製造することができる。本発明の形質転換体
を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常
の方法に従って行われる。
【0058】大腸菌あるいは酵母等の微生物を宿主とし
て得られた形質転換体を培養する培地としては、微生物
が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形
質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培
地、合成培地のいずれを用いてもよい(モレキュラー・
クローニング 第2版)。培養は、通常振盪培養または
深部通気攪拌培養などの好気的条件下、15〜40℃で16〜
96時間行う。培養期間中、pHは3.0〜9.0に保持する。pH
の調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、
炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。培養中
は必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の
抗生物質を培地に添加してもよい。
【0059】動物細胞を宿主として得られた形質転換体
を培養する培地としては、一般に使用されているRPM
I1640培地、EagleのMEM培地またはこれら
培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。培
養は、通常5%CO2存在下、35〜37℃で3〜7日間行い、培
養中は必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗
生物質を培地に添加してもよい。
【0060】昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体
を培養する培地としては、一般に使用されているTNM-FH
培地[ファーミンジェン(Pharmingen)社製]、Sf900I
ISFM[ライフテクノロジーズ(Life Technologies)社
製]、ExCell400 、ExCell405[いずれもJRH バイオサ
イエンシーズ(JRH Biosciences)社製]等が用いられ
る。培養は、25〜30℃で1〜4日間行い、培養中は必要に
応じて、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加して
もよい。
【0061】上記において、動物細胞および昆虫細胞の
培養において可能であれば、ヒトVEGF受容体KDRの全長
あるいは部分断片をそのままあるいは融合蛋白質の精製
を容易にするため、血清無添加の培地を用いることが好
ましい。ヒトVEGF受容体KDR の全長あるいは部分断片を
そのままあるいは融合蛋白質として宿主細胞内に蓄積さ
れた場合には、培養終了後、細胞を遠心分離し、水系緩
衝液にけん濁後、超音波法、フレンチプレス法などによ
り細胞を破砕し、その遠心分離上清に該蛋白質を回収す
る。
【0062】さらに、細胞内に不溶体を形成した場合に
は、不溶体をタンパク質変性剤で可溶化後、タンパク質
変性剤を含まないあるいはタンパク質変性剤の濃度がタ
ンパク質が変性しない程度に希薄な溶液に希釈、或いは
透析し、タンパク質の立体構造を形成させることができ
る。
【0063】ヒトVEGF受容体KDR の全長あるいは部分断
片をそのままあるいは融合蛋白質として細胞外に分泌さ
れた場合には、培養上清中に発現蛋白質を回収すること
ができる。単離精製については、溶媒抽出、有機溶媒に
よる分別沈殿、塩析、透析、遠心分離、限外ろ過、イオ
ン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィ
ー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマ
トグラフィー、逆相クロマトグラフィー、結晶化、電気
泳動などの分離操作を単独あるいは組み合わせて行うこ
とができる。
【0064】(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製 上記で得られた該蛋白質を抗原として免疫する。免疫す
る方法としては、動物の皮下、静脈内または腹腔内に抗
原をそのまま投与してもよいが、抗原性の高いキャリア
タンパク質を結合させて投与したり、あるいは適当なア
ジュバントとともに抗原を投与することが好ましい。
【0065】キャリアタンパク質としては、スカシガイ
ヘモシアニン、キーホールリンペットヘモシアニン、牛
血清アルブミン、牛チログロブリン等があげられ、アジ
ュバンドとしては、フロインドの完全アジュバント(Com
plete Freund's Adjuvant)、水酸化アルミニウムゲルと
百日咳菌ワクチン等があげられる。免疫動物としては、
ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスターなどの非ヒ
ト哺乳動物があげられる。
【0066】抗原の投与は、1回目の投与の後、1〜2
週間毎に3〜10回行う。抗原の投与量は動物1匹当たり5
0〜100μgが好ましい。各投与後、3 〜7 日目に免疫動
物の眼底静脈叢あるいは尾静脈より採血し、該血清の抗
原との反応性について、酵素免疫測定法[酵素免疫測定
法(ELISA 法):医学書院刊(1976年)]などで確認す
る。そして、該血清が十分な抗体価を示した非ヒト哺乳
動物を、抗体産生細胞の供給源とする。
【0067】抗原の最終投与後3 〜7日目に、免疫動物
より公知の方法[アンティボディーズ・ア・ラボラトリ
ー・マニュアル、コールド・スプリングハーバー・ラボ
ラトリー(Antibodies-A Laboratory Manual Cold Spri
ng Harbor Laboratory, 1988)、以下、アンチボディー
ズ・ア・ラボラトリー・マニュアルと記す]に準じてリ
ンパ球を摘出し、リンパ球と骨髄腫細胞とを融合させ
る。
【0068】(3)骨髄腫細胞の調製 骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞であ
る、8-アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細
胞株P3-X63Ag8-U1(P3-U1) [G.Kohlerら;ヨーロピアン
・ジャーナル・オブ・イムノロジィ(Europ. J. Immuno
l.), 6, 511(1976) ]、SP2/0-Ag14(SP-2)[M.Shulman
ら;ネイチャー(Nature), 276, 269(1978)]、P3-X63-A
g8653(653)[J.F.Kearneyら;ジャーナル・オブ・イム
ノロジィ(J. Immunol.) , 123, 1548(1979)]、P3-X63-
Ag8(X63)[G.Kohlerら;ネイチャー(Nature),256, 495
(1975)]など、イン・ビトロ(in vitro)で増殖可能な
骨髄腫細胞であればいかなるものでもよい。これらの細
胞株の培養および継代については公知の方法(アンチボ
ディーズ・ア・ラボラトリー・マニュアル)に従い、細
胞融合時までに2 ×107個以上の細胞数を確保する。
【0069】(4)細胞融合とモノクローナル抗体の選
択 上記で得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを洗浄した
のち、ポリエチレングライコール−1000(PEG-1000)など
の細胞凝集性媒体を加え、細胞を融合させ、培地中に懸
濁させる。細胞の洗浄にはMEM培地またはPBS(リ
ン酸二ナトリウム1.83g 、リン酸一カリウム0.21g 、食
塩7.65g 、蒸留水1 リットル、pH7.2 )などを用いる。
また、融合細胞を懸濁させる培地としては、目的の融合
細胞のみを選択的に得られるように、HAT 培地{正常培
地[RPMI-1640 培地にグルタミン(1.5mM) 、2-メルカプ
トエタノール(5 ×10-5M )、ジェンタマイシン(10 μ
g/ml) および牛胎児血清(FCS) (CSL 社製、10% )を加
えた培地]にヒポキサンチン(10-4M )、チミジン(1.
5 ×10-5M )およびアミノプテリン(4 ×10-7M )を加
えた培地}を用いる。培養後、培養上清の一部をとり、
酵素免疫測定法により、抗原蛋白質に反応し、非抗原蛋
白質に反応しないサンプルを選択する。ついで、限界希
釈法によりクローニングを行い、酵素免疫測定法により
安定して高い抗体価の認められたものをモノクローナル
抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
【0070】酵素免疫測定法 抗原蛋白質あるいは抗原蛋白質を発現した細胞などをプ
レートにコートし、ハイブリドーマ培養上清もしくは上
述の方法で得られる精製抗体を第一抗体として反応させ
る。第一抗体反応後、プレートを洗浄して第二抗体を添
加する。第二抗体とは、第一抗体を認識できる抗体に、
ビオチン、酵素、化学発光物質あるいは放射線化合物等
で標識したものである。具体的には、ハイブリドーマ作
製の際にマウスを用いたのであれば、第二抗体として
は、マウスイムノグロブリンを認識できる抗体を用い
る。反応後、第二抗体を標識した物質に応じた反応を行
い、抗原に特異的に反応するモノクローナル抗体を生産
するハイブリドーマとして選択する。上記ハイブリドー
マ株の具体例としては、ハイブリドーマ株KM1668(FERM
BP-6216)、KM1992(FERM BP-6217)およびKM1995(FE
RM BP-6218)が挙げられる。
【0071】(5)モノクローナル抗体の調製 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞を培養して
得られる培養液、またはプリスタン処理〔2,6,10,14-テ
トラメチルペンタデカン(Pristane)0.5ml を腹腔内投与
し、2 週間飼育する〕した8 〜10週令のマウスまたはヌ
ードマウスに、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ
細胞を腹腔内投与して腹水癌化させた腹水から、分離、
精製することにより調製できる。
【0072】モノクローナル抗体を分離、精製する方法
としては、遠心分離、40〜50% 飽和硫酸アンモニウムに
よる塩析、カプリル酸沈殿法、DEAE-セファロースカラ
ム、、陰イオン交換カラム、プロテインAまたはG- カ
ラムあるいはゲル濾過カラム等を用いるクロマトグラフ
ィー等を、単独または組み合わせて行う方法があげられ
る。この方法により、IgG あるいはIgM 画分を回収し、
精製モノクローナル抗体を取得することができる。精製
モノクローナル抗体のサブクラスの決定は、モノクロー
ナル抗体タイピングキットなどを用いて行うことができ
る。蛋白質量は、ローリー法あるいは280nm での吸光度
より算出することができる。
【0073】抗体のサブクラスとは、クラス内のアイソ
タイプのことで、マウスでは、IgG1、IgG2a 、IgG2b 、
IgG3、ヒトでは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4があげられる
が、特にマウスIgG1、IgG2a 、ヒトIgG1タイプは、補体
依存性細胞傷害活性(以下、CDC 活性)および抗体依存
性細胞傷害活性(以下、ADCC活性)を有し、治療への応
用上、有用である。
【0074】2.抗ヒトVEGF受容体KDR ヒト化抗体の作
製 (1)ヒト化抗体発現用ベクターの構築 ヒト以外の動物の抗体からヒト化抗体を作製するために
必要なヒト化抗体発現用ベクターを構築する。ヒト化抗
体発現用ベクターとは、ヒト抗体のC 領域であるCHおよ
びCLをコードする遺伝子が組み込まれた動物細胞用発現
ベクターであり、動物細胞用発現ベクターにヒト抗体の
CHおよびCLをコードする遺伝子をそれぞれ挿入すること
により構築されたものである。ヒト抗体のC 領域として
は、例えば、ヒト抗体H 鎖ではC γ1 やC γ4 、ヒト抗
体L 鎖ではC κ等の任意のヒト抗体のC 領域を用いるこ
とができる。ヒト抗体のC 領域をコードする遺伝子とし
てはエキソンとイントロンより成る染色体DNA を用いる
ことができ、また、cDNAを用いることもできる。動物細
胞用発現ベクターとしては、ヒト抗体C 領域をコードす
る遺伝子を組込み発現できるものであればいかなるもの
でも用いることができる。例えば、pAGE107 [サイトテ
クノロジー(Cytotechnology), 3, 133 (1990) ]、pAGE
103 [ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Bioch
em.), 101, 1307 (1987)]、pHSG274 [ジーン(Gene),
27, 223 (1984)]、pKCR[プロシーディング・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc. N
atl. Acad. Sci.), 78, 1527 (1981)]、pSG1βd2-4
[サイトテクノロジー(Cytotechnology), 4, 173 (199
0) ]等があげられる。動物細胞用発現ベクターに用い
るプロモーターとエンハンサーとしては、SV40の初期プ
ロモーターとエンハンサー[ジャーナル・オブ・バイオ
ケミストリー(J. Biochem.), 101,1307(1987)]、モロ
ニーマウス白血病ウイルスのLTR プロモーターとエンハ
ンサー[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・
リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. R
es. Comun.), 149, 960 (1987) ]、および免疫グロブ
リンH 鎖のプロモーター[セル(Cell), 41, 479 (198
5)]とエンハンサー[セル(Cell), 33, 717 (1983)]等
があげられる。
【0075】ヒト化抗体発現用ベクターは、抗体H鎖、L
鎖が別々のベクター上に存在するタイプあるいは同一の
ベクター上に存在するタイプ(タンデム型)のどちらで
も用いることができるが、ヒト化抗体発現ベクターの構
築のしやすさ、動物細胞への導入のし易さ、動物細胞内
での抗体H 鎖およびL 鎖の発現量のバランスがとれる等
の点でタンデム型のヒト化抗体発現用ベクターの方が好
ましい[ジャーナル・オブ・ イムノロジカル・ メソッズ
(J. Immunol. Methods), 167, 271(1994)]。
【0076】(2)ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVL
をコードするcDNAの取得 ヒト以外の動物の抗体、例えば、マウス抗ヒトVEGF受容
体KDR モノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcD
NAは以下のようにして取得する。抗ヒトVEGF受容体KDR
モノクローナル抗体を産生する細胞、例えば、マウスヒ
トVEGF受容体KDR 抗体産生ハイブリドーマ等よりmRNAを
抽出し、cDNAを合成する。合成したcDNAを、ファージあ
るいはプラスミドなどのベクターに挿入し、cDNAライブ
ラリーを作製する。該ライブラリーより、ヒト以外の動
物の抗体、例えば、マウス抗体のC領域部分あるいはV領
域部分をプローブとして用い、VHをコードするcDNAを有
する組換えファージあるいは組換えプラスミド、および
VLをコードするcDNAを有する組換えファージあるいは組
換えプラスミドをそれぞれ単離する。組換えファージあ
るいは組換えプラスミド上の目的とする抗体のVHおよび
VLの全塩基配列を決定し、塩基配列よりVHおよびVLの全
アミノ酸配列を推定する。
【0077】該VHおよびVLをコードする塩基配列として
は、それぞれ配列番号1あるいは配列番号3および配列番
号2あるいは配列番号4で示される塩基配列があげられ
る。配列番号1で示されるDNAを含む組み換えプラスミド
pBS1992Hを有する大腸菌DH5α/pBS1992H、配列番号2で
示されるDNAを含む組み換えプラスミドpBS1992Lを有す
る大腸菌DH5α/pBS1992L、配列番号3で示されるDNAを含
む組み換えプラスミドpBS1995Hを有する大腸菌DH5α/pB
S1995H、配列番号4で示されるDNAを含む組み換えプラス
ミドpBS1995Lを有する大腸菌DH5α/pBS1995Lは、工業技
術院生命工学工業技術研究所(日本国茨城県つくば市東
1丁目1番3号)に、FERM BP-6803、FERM BP-6804、FE
RM BP-6805、FERM BP-6806として寄託されている。
【0078】(3)ヒト型キメラ抗体発現ベクターの構
築 前記2(1)で構築したヒト化抗体発現用ベクターのヒ
ト抗体のCHおよびCLをコードする遺伝子の上流に、ヒト
以外の動物の抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを挿入
し、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することがで
きる。例えば、キメラ抗体発現用ベクターのヒト抗体の
CHおよびCLをコードする遺伝子の上流にあらかじめヒト
以外の動物の抗体のVHおよびVLをコードするcDNAをクロ
ーニングするための制限酵素の認識配列を設けておき、
このクローニングサイトにヒト以外の動物の抗体のV領
域をコードするcDNAを下記に述べる合成DNAを介して挿
入することにより、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを製
造することができる。合成DNAは、ヒト以外の動物の抗
体のV領域の3'末端側の塩基配列とヒト抗体のC領域の5'
末端側の塩基配列とからなるものであり、両端に適当な
制限酵素部位を有するようにDNA合成機を用いて製造す
る。
【0079】(4)ヒト以外の動物の抗体のCDR 配列の
同定 抗体の抗原結合部位を形成するVH及びVLは、配列の比較
的保存された4個のフレームワーク領域(以下、FR領域
と称す)とそれらを連結する配列の変化に富んだ3個の
相補性決定領域(CDR)から成っている[シーケンシズ・
オブ・ プロテインズ・ オブ・ イムノロジカル・ インタ
レスト(Sequences of Proteins of Immunological Int
erest), US Dept. Health and Human Services, 199
1]。そして各CDR アミノ酸配列(CDR 配列)は、既知
の抗体のV 領域のアミノ酸配列[シーケンシズ・ オブ・
プロテインズ・ オブ・ イムノロジカル・ インタレスト
(Sequences of Proteins of Immunological Interes
t), US Dept. Health and HumanServices, 1991]と比
較することにより同定することができる。H鎖V領域のCD
R1、CDR2およびCDR3の具体例としては、配列番号5、6
および7、または配列番号11、12および13などが
あげられる。L鎖V領域のCDR1、CDR2およびCDR3の具体例
としては、配列番号8、9および10、または配列番号
14、15および16などがあげられる。
【0080】(5)ヒト型CDR 移植抗体のV領域をコー
ドするcDNAの構築 ヒト型CDR 移植抗体のVHおよびVLをコードするcDNAは以
下のようにして取得することができる。まず、目的のヒ
ト以外の動物の抗体のV領域のCDR を移植するためのヒ
ト抗体のV領域のFRのアミノ酸配列をVH、VLそれぞれに
ついて選択する。ヒト抗体のV領域のFRのアミノ酸配列
としては、ヒト抗体由来のV領域のFRのアミノ酸配列で
あればいかなるものでも用いることができる。例えば、
Protein Data Bank に登録されているヒト抗体のV領域
のFRのアミノ酸配列、ヒト抗体のV 領域のFRの各サブグ
ループの共通アミノ酸配列[シーケンシズ・ オブ・ プロ
テインズ・ オブ・ イムノロジカル・ インタレスト(Sequ
ences of Proteins of Immunological Interest ), US
Dept. Health and Human Services, 1991]があげられ
るが、充分な活性を有するヒト型CDR 移植抗体を創製す
るためには、目的のヒト以外の動物の抗体のV領域のア
ミノ酸配列と高い相同性、好ましくは65%以上の相同性
を有することが望ましい。次に、選択したヒト抗体のV
領域のFRのアミノ酸配列をコードするDNA 配列と目的の
ヒト以外の動物の抗体のV領域のCDR のアミノ酸配列を
コードするDNA配列を連結させて、VH、VLそれぞれのア
ミノ酸配列をコードするDNA 配列を設計する。CDR移植
抗体可変領域遺伝子を構築するために設計したDNA配列
を得るためには、全DNA配列をカバーするように各鎖に
ついて数本の合成DNAを設計し、それらを用いてポリメ
ラーゼ・チェイン・リアクション(PolymeraseChain Re
action;以下、PCRと記す)を行う。PCR での反応効率
および合成可能なDNA の長さから各鎖について、好まし
くは、6本の合成DNA を設計する。反応後、増幅断片を
適当なベクターにサブクローニングし、その塩基配列を
決定し、目的のヒト型CDR 移植抗体の各鎖のV 領域のア
ミノ酸配列をコードするcDNAを含むプラスミドを取得す
る。また、約100塩基よりなる合成DNAを用いてセンス、
アンチセンスともに全配列を合成し、それらをアニーリ
ング、連結することで、目的のヒト型CDR 移植抗体の各
鎖のV 領域のアミノ酸配列をコードするcDNAを構築する
こともできる。
【0081】(6)ヒト型CDR 移植抗体のV 領域のアミ
ノ酸配列の改変 ヒト型CDR 移植抗体は目的のヒト以外の動物の抗体のV
領域のCDR のみをヒト抗体のV 領域のFR間に、単純に移
植しただけでは、その活性はもとのヒト以外の動物の抗
体の活性に比べて低下してしまうことが知られている
[バイオテクノロジー(BIO/TECHNOLOGY), 9, 266 (19
91) ]。そこでヒト抗体のV 領域のFRのアミノ酸配列の
うち、直接抗原との結合に関与しているアミノ酸残基、
CDRのアミノ酸残基と相互作用をしているアミノ酸残
基、あるいは抗体の立体構造の維持に関与している等の
可能性を有するアミノ酸残基をもとのヒト以外の動物の
抗体に見出されるアミノ酸残基に改変し、活性を上昇さ
せることが行われている。そして、それらのアミノ酸残
基を効率よく同定するため、X 線結晶解析あるいはコン
ピューターモデリング等を用いた抗体の立体構造の構築
および解析を行っている。しかし、いかなる抗体にも適
応可能なヒト型CDR移植抗体の製造法は未だ確立されて
おらず、現状では個々の抗体によって種々の試行錯誤が
必要である。
【0082】選択したヒト抗体のV領域のFRのアミノ酸
配列の改変は各種の変異導入プライマーを用いて前記2
(5)に記載のPCR を行うことにより達成できる。PCR
後の増幅断片を適当なベクターにサブクローニング後、
その塩基配列を決定し、目的の変異が導入されたcDNAを
含むベクター(以下、アミノ酸配列改変ベクターと称
す)を取得する。
【0083】また、狭い領域のアミノ酸配列の改変であ
れば、20〜35塩基からなる変異導入プライマーを用いた
PCR変異導入法により行うことができる。具体的には、
改変後のアミノ酸残基をコードするDNA 配列を含む20〜
35塩基からなるセンス変異プライマー及びアンチセンス
変異プライマーを合成し、改変すべきV領域のアミノ酸
配列をコードするcDNAを含むプラスミドを鋳型として2
段階のPCRを行う。最終増幅断片を適当なベクターにサ
ブクローニング後、その塩基配列を決定し、目的の変異
が導入されたcDNAを含むアミノ酸配列改変ベクターを取
得する。
【0084】(7) ヒト型CDR 移植抗体発現ベクターの
構築 前記2(1)のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のC
H及びCLをコードする遺伝子の上流に、前記2(5)およ
び2(6)で取得したヒト型CDR移植抗体のVH及びVLをコ
ードするcDNAを挿入し、ヒト型CDR移植抗体発現ベクタ
ーを構築することができる。例えば、ヒト型CDR移植抗
体のVH及びVLのアミノ酸配列をコードするcDNAを構築す
るためのPCRの際に5'末端および3' 末端の合成DNAの末
端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、所望
のヒト抗体のC領域をコードする遺伝子の上流にそれら
が適切な形で発現するように挿入することができる。
【0085】(8)ヒト化抗体の一過性(トランジェン
ト)発現および活性評価 多種類のヒト化抗体の活性を効率的に評価するために、
前記2(3)のヒト型キメラ抗体発現ベクター、および
前記2(7) のヒト型CDR 移植抗体発現ベクターあるい
はそれらの改変ベクターをCOS-7 細胞(ATCC CRL1651)
に導入してヒト化抗体の一過性発現[メソッズ・イン・
ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Methods in Nucle
ic Acids Res. ), CRC Press, p.283, 1991]を行い、
その活性を測定することができる。
【0086】COS-7 細胞への発現ベクターの導入法とし
ては、DEAE- デキストラン法[メソッズ・ イン・ ヌクレ
イック・ アシッド・ リサーチ(Methods in Nucleic Aci
ds Res. ), CRC Press, p.283, 1991]、リポフェクシ
ョン法[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・ア
カデミー・オブ・サイエンス[Proc. Natl. Acad. Sc
i., 84, 7413(1987)]等があげられる。ベクターの導
入後、培養上清中のヒト化抗体の活性は前記1(5)に
記載の酵素免疫測定法(ELISA法)等により測定するこ
とができる。
【0087】(9)ヒト化抗体の安定(ステーブル)発
現および活性評価 前記2(3)のヒト型キメラ抗体発現ベクターおよび前
記2(7)のヒト型CDR移植抗体発現ベクターを適当な
宿主細胞に導入することによりヒト化抗体を安定に生産
する形質転換株を得ることができる。宿主細胞への発現
ベクターの導入法としては、エレクトロポレーション法
〔特開平2-257891、サイトテクノロジー(Cytotechnolo
gy), 3, 133(1990)〕等があげられる。
【0088】ヒト化抗体発現ベクターを導入する宿主細
胞としては、ヒト化抗体を発現させることができる宿主
細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができる。
例えば、マウスSP2/0-Ag14細胞(ATCC CRL1581)、マウ
スP3X63-Ag8.653 細胞(ATCCCRL1580)、ジヒドロ葉酸
還元酵素遺伝子(以下、DHFR遺伝子と称す)が欠損した
CHO 細胞[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sc
i.), 77, 4216(1980)]、ラットYB2/3HL.P2.G11.16A
g.20細胞(ATCC CRL1662、以下、YB2/0 細胞と称す)等
があげられる。
【0089】ベクターの導入後、ヒト化抗体を安定に生
産する形質転換株は、特開平2-257891に開示されている
方法に従い、G418およびFCS を含むRPMI1640培地により
選択する。得られた形質転換株を培地中で培養すること
で培養液中にヒト化抗体を生産蓄積させることができ
る。培養液中のヒト化抗体の活性は前記1(5)に記載
の方法などにより測定する。また、形質転換株は、特開
平2-257891に開示されている方法に従い、DHFR遺伝子増
幅系等を利用してヒト化抗体の生産量を上昇させること
ができる。
【0090】ヒト化抗体は、形質転換株の培養上清より
プロテインA カラムを用いて精製することができる[ア
ンチボディズ(Antibodies), A Laboratory Manual, C
oldSpring Harbor Laboratory, Chapter 8, 1988 ;以
下、「アンチボディズ」と記す]。また、その他に、通
常の蛋白質で用いられる精製方法を使用することができ
る。例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー
および限外濾過等を組合せて行い、精製することができ
る。精製したヒト化抗体のH鎖、L鎖あるいは抗体分子全
体の分子量は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-
PAGE)[ネイチャー(Nature), 227, 680(1970)]や
ウエスタンブロッティング法(アンチボディズ, Chapte
r 12, 1988)等で測定する。精製したヒト化抗体の反応
性、また、ヒト化抗体のVEGFに対する阻害活性の測定は
前記1(4)に記載の方法などにより測定することがで
きる。
【0091】(10) ヒト化抗体の使用方法 本発明のヒト化抗体はヒトVEGF受容体KDR と特異的に結
合し、KDRの作用を中和する。このため、本発明により
提供されるヒト化抗体は固形腫瘍の増殖もしくは転移形
成、慢性関節リウマチにおける関節炎、糖尿病性網膜
症、未熟児網膜症、乾鮮など過剰なVEGF産生による血管
新生の異常により病態が進行する疾患においてその治療
等に有用であると考えられる。また、ヒト以外の動物の
抗体に比べ、ヒト抗体のアミノ酸配列に由来する部分が
ほとんどであるため、ヒト体内で免疫原性を示さず、そ
の効果が長期間にわたり持続することが期待される。本
発明のヒト化抗体は単独で投与することも可能ではある
が、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上
の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく
知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供
するのが望ましい。
【0092】投与経路は、治療に際して最も効果的なも
のを使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、
気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口
投与をあげることができ、抗体製剤の場合、望ましくは
静脈内投与をあげることができる。投与形態としては、
噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳
剤、座剤、注射剤、軟膏、テープ剤等があげられる。
【0093】経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シ
ロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等があげら
れる。乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、
水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール等のグリコール
類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロ
キシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレ
ーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤とし
て用いて製造できる。
【0094】カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳
糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の賦形剤、デン
プン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸
マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコー
ル、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合
剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可
塑剤等を添加剤として用いて製造できる。非経口投与に
適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤等があげら
れる。注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者
の混合物からなる担体等を用いて調製される。
【0095】座剤はカカオ脂、水素化脂肪またはカルボ
ン酸等の担体を用いて調製される。また、噴霧剤は該抗
体そのもの、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺
激せず、かつ該化合物を微細な粒子として分散させ吸収
を容易にさせる担体等を用いて調製される。担体として
具体的には乳糖、グリセリン等が例示される。該抗体お
よび用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウ
ダー等の製剤が可能である。また、これらの非経口剤に
おいても経口剤で添加剤として例示した成分を添加する
こともできる。投与量または投与回数は、目的とする治
療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異な
るが、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kgである。
【0096】3.抗ヒトVEGF受容体KDR 一本鎖抗体の作
製 (1)一本鎖抗体発現ベクターの構築 前記2(2)、2(5)および2(6)に記載のヒト以
外の動物の抗体あるいはヒト型CDR 移植抗体のVHおよび
VLをコードするcDNAを一本鎖抗体発現用ベクターに挿入
することによりヒト以外の動物の抗体の一本鎖抗体ある
いはヒト型CDR移植抗体の一本鎖抗体の発現ベクターを
構築することができる。ここで用いる一本鎖抗体発現用
ベクターとしてはヒト以外の動物の抗体あるいはヒト型
CDR 移植抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを組込み発
現できるものであれば、いかなるものでも用いることが
できる。例えば、pAGE107 [サイトテクノロジー(Cytot
echnology), 3, 133 (1990) ]、pAGE103 [ジャーナル
・オブ・バイオケミストリー(J. Biochem.),101,1307
(1987)]、pHSG274 [ジーン(Gene), 27, 223 (1984)
]、pKCR[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. S
ci. U.S.A.), 78, 1527 (1981)]、pSG1βd2-4[サイト
テクノロジー(Cytotechnology), 4, 173 (1990) ]等が
あげられる。一本鎖抗体を発現させるための宿主として
は、大腸菌、酵母、動物細胞等の中から適切なものを選
択することができるが、その場合の発現用ベクターとし
ては、それぞれの宿主に適切なものを選択する必要があ
る。また、適切なシグナルペプチドをコードするcDNAを
発現用ベクターに挿入することで一本鎖抗体を細胞外に
分泌させ、ペリプラズマ領域に輸送させ、あるいは細胞
内に留まらせることができる。
【0097】選択された発現用ベクターに、VH−P−VL
あるいはVL−P−VH(Pはペプチドリンカー)からなる
一本鎖抗体をコードするcDNAを適切なプロモーター、シ
グナルペプチドの下流に挿入することにより、目的の一
本鎖抗体をコードするcDNAが挿入された一本鎖抗体発現
ベクターを構築することができる。一本鎖抗体をコード
するcDNAは、VHをコードするcDNAとVLをコードするcDNA
とを、両端に適当な制限酵素の認識配列を有するペプチ
ドリンカーをコードする合成DNAを用いて連結すること
により得ることができる。リンカーペプチドは、その付
加がVH、VLの抗原への結合に対して妨害しないように最
適化することが重要で、例えばPantolianoらにより示さ
れたもの[バイオケミストリー(Biochemistry), 30,
10117 (1991) ]あるいはそれを改変したものを用いる
ことができる。
【0098】(2) 一本鎖抗体の発現および活性評価 前記3(1) で構築した一本鎖抗体発現ベクターをエレ
クトロポレーション法[特開平2-257891、サイトテクノ
ロジー(Cytotechnology), 3, 133 (1990) ]等の方法に
より適切な宿主細胞へ導入することにより、目的の一本
鎖抗体を生産する形質転換株を取得することができる。
発現ベクターの導入後、培養上清等に含まれる一本鎖抗
体の活性は前記1(4)に記載の方法等により測定する
ことができる。
【0099】本発明の一本鎖抗体の回収および精製は公
知の技術を組み合わせることにより達成することができ
る。例えば、一本鎖抗体が培地中に分泌されるならば、
限外濾過により濃縮することができ、次いで抗原アフィ
ニティークロマトグラフィーもしくはイオン交換クロマ
トグラフィーまたはゲル濾過を実行することにより達成
することができる。また、宿主細胞のペリプラズマ領域
へと輸送されるならば、その細胞に浸透圧ショックを与
え、限外濾過により濃縮することができ、次いで抗原ア
フィニティークロマトグラフィーもしくはイオン交換ク
ロマトグラフィーまたはゲル濾過を実行することにより
達成することができる。不溶性であり、かつ顆粒(イン
クルージョン・ボディー)として存在している一本鎖抗
体は、細胞の溶解、顆粒を単離するための遠心分離と洗
浄を繰り返し、例えばグアニジン−塩酸による可溶化、
および再度一本鎖抗体の活性を有する構造へと導く操
作、それに続く活性分子の精製によって達成することが
できる。そして、精製された一本鎖抗体の活性は前記1
(4)に記載の方法等により測定することができる。
【0100】(3)一本鎖抗体の使用方法 本発明の一本鎖抗体はヒトVEGF受容体KDR と特異的に結
合し、KDRの作用を中和する。このため、本発明により
提供される一本鎖抗体は、固形腫瘍の増殖もしくは転移
形成、慢性関節リウマチにおける関節炎、糖尿病性網膜
症、未熟児網膜症、乾鮮など過剰なVEGF産生による血管
新生の異常により病態が進行する疾患においてその治療
等に有用であると考えられる。本発明の一本鎖抗体は単
独で投与することも可能ではあるが、通常は薬理学的に
許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合
し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法
により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
【0101】投与経路は、治療に際して最も効果的なも
のを使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、
気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口
投与をあげることができ、抗体製剤の場合、望ましくは
静脈内投与をあげることができる。
【0102】投与形態としては、噴霧剤、カプセル剤、
錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟
膏、テープ剤等があげられる。経口投与に適当な製剤と
しては、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、
顆粒剤等があげられる。乳剤およびシロップ剤のような
液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖
類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等
のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油
類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ス
トロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類
等を添加剤として用いて製造できる。
【0103】カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳
糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の賦形剤、デン
プン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸
マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコー
ル、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合
剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可
塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
【0104】非経口投与に適当な製剤としては、注射
剤、座剤、噴霧剤等があげられる。注射剤は、塩溶液、
ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担体等を
用いて調製される。座剤はカカオ脂、水素化脂肪または
カルボン酸等の担体を用いて調製される。また、噴霧剤
は該抗体そのもの、ないしは受容者の口腔および気道粘
膜を刺激せず、かつ該化合物を微細な粒子として分散さ
せ吸収を容易にさせる担体等を用いて調製される。
【0105】担体として具体的には乳糖、グリセリン等
が例示される。該抗体および用いる担体の性質により、
エアロゾル、ドライパウダー等の製剤が可能である。ま
た、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として
例示した成分を添加することもできる。投与量または投
与回数は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、
年齢、体重等により異なるが、通常成人1日当たり10μ
g/kg〜8mg/kgである。
【0106】4.抗ヒトVEGF受容体KDR ジスルフィド安
定化抗体の作製 (1) ジスルフィド安定化抗体の作製 ジスルフィド安定化抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVH
およびVLをコードするcDNAあるいはヒト型CDR移植抗体
のVHおよびVLをコードするcDNAのそれぞれの適切な位置
の1アミノ酸残基に相当するDNA 配列をシステイン残基
に相当するDNA配列に改変し、発現および精製したの
ち、ジスルフィド結合を形成させることで作製すること
ができる。アミノ酸残基のシステイン残基への改変は前
記2(5)のPCR を用いた変異導入法により行うことが
できる。
【0107】得られた改変VHおよび改変VLをコードする
cDNAを適切な発現用ベクターに挿入することによりジス
ルフィド安定化抗体H鎖発現ベクターおよびジスルフィ
ド安定化抗体L 鎖発現ベクターを構築することができ
る。ここで用いるジスルフィド安定化抗体発現用ベクタ
ーとしては改変VHおよび改変VLをコードするcDNAを組込
み発現できるものであれば、いかなるものでも用いるこ
とができる。例えば、pAGE107[サイトテクノロジー(Cy
totechnology), 3, 133 (1990) ]、pAGE103 [ジャー
ナル・オブ・バイオケミストリー(J.Biochem.), 101, 1
307 (1987)]、pHSG274 [ジーン(Gene), 27, 223 (198
4) ]、pKCR[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad.
Sci.), 78, 1527 (1981) ]、pSG1βd2-4[サイトテク
ノロジー(Cytotechnology), 4, 173(1990) ]等があげ
られる。ジスルフィド安定化抗体を形成させるためにジ
スルフィド安定化抗体L 鎖発現ベクターおよびジスルフ
ィド安定化抗体H 鎖発現ベクターを発現させるための宿
主としては、大腸菌、酵母、動物細胞等の中から適切な
ものを選択することができるが、その場合の発現用ベク
ターとしては、それぞれの宿主に適切なものを選択する
必要がある。また、適切なシグナルペプチドをコードす
るcDNAを発現用ベクターに挿入することでジスルフィド
安定化抗体を細胞外に分泌させ、ペリプラズマ領域に輸
送させ、あるいは細胞内に留まらせることができる。
【0108】(2)ジスルフィド安定化抗体の発現、活
性評価 前記4(1)で構築されたジスルフィド安定化抗体H 鎖
発現ベクターあるいはジスルフィド安定化抗体L 鎖発現
ベクターをエレクトロポレーション法[特開平2-25789
1、サイトテクノロジー(Cytotechnology), 3, 133 (199
0) ]等の方法により宿主細胞へ導入することにより、
目的のジスルフィド安定化抗体H 鎖あるいはジスルフィ
ド安定化抗体L 鎖を生産する形質転換株を取得すること
ができる。発現ベクターの導入後、培養上清等に含まれ
るジスルフィド安定化抗体H 鎖あるいはジスルフィド安
定化抗体L 鎖の発現は前記1(5)に記載の方法等によ
り確認することができる。
【0109】ジスルフィド安定化抗体H 鎖あるいはジス
ルフィド安定化抗体L 鎖の回収および精製は公知の技術
を組み合わせることにより達成することができる。例え
ば、ジスルフィド安定化抗体H 鎖あるいはジスルフィド
安定化抗体L 鎖が培地中に分泌されるならば、限外濾過
により濃縮することができ、次いで各種クロマトグラフ
ィーあるいはゲル濾過を実行することにより達成するこ
とができる。また、宿主細胞のペリプラズマ領域へと輸
送されるならば、その細胞に浸透圧ショックを与え、限
外濾過により濃縮することができ、次いで各種クロマト
グラフィーあるいはゲル濾過を実行することにより達成
することができる。不溶性であり、かつ顆粒(インクル
ージョン・ボディー)として存在しているジスルフィド
安定化抗体H 鎖あるいはジスルフィド安定化抗体L 鎖
は、細胞の溶解、顆粒を単離するための遠心分離と洗浄
の繰り返し、例えばグアニジン-塩酸による可溶化後、
各種クロマトグラフィーあるいはゲル濾過を実行するこ
とにより達成することができる。
【0110】そして、精製されたジスルフィド安定化抗
体H鎖とジスルフィド安定化抗体L鎖を混合し、活性を有
する構造へと導く操作[refolding 操作,モレキュラー
・イムノロジー(Molecular Immunology), 32, 249 (1
995)]によりジスルフィド結合を形成させた後、抗原ア
フィニティークロマトグラフィーもしくはイオン交換ク
ロマトグラフィーまたはゲルろ過により活性を有するジ
スルフィド安定化抗体を精製することができる。ジスル
フィド安定化抗体の活性は前記1(5)に記載の方法等
により測定することができる。
【0111】(3)ジスルフィド安定化抗体の使用方法 本発明のジスルフィド安定化抗体はヒトVEGF受容体KDR
と特異的に結合し、KDRの作用を中和する。このため、
本発明により提供されるジスルフィド安定化抗体は、固
形腫瘍の増殖もしくは転移形成、慢性関節リウマチにお
ける関節炎、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、乾鮮など
過剰なVEGF産生による血管新生の異常により病態が進行
する疾患においてその治療等に有用であると考えられ
る。本発明のジスルフィド安定化抗体は単独で投与する
ことも可能ではあるが、通常は薬理学的に許容される一
つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技
術分野においてよく知られる任意の方法により製造した
医薬製剤として提供するのが望ましい。
【0112】投与経路は、治療に際して最も効果的なも
のを使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、
気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口
投与をあげることができ、抗体製剤の場合、望ましくは
静脈内投与をあげることができる。投与形態としては、
噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳
剤、座剤、注射剤、軟膏、テープ剤等があげられる。
【0113】経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シ
ロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等があげら
れる。乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、
水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール等のグリコール
類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロ
キシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレ
ーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤とし
て用いて製造できる。
【0114】カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳
糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の賦形剤、デン
プン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸
マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコー
ル、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合
剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可
塑剤等を添加剤として用いて製造できる。非経口投与に
適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤等があげら
れる。注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者
の混合物からなる担体等を用いて調製される。
【0115】座剤はカカオ脂、水素化脂肪またはカルボ
ン酸等の担体を用いて調製される。また、噴霧剤は該抗
体そのもの、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺
激せず、かつ該化合物を微細な粒子として分散させ吸収
を容易にさせる担体等を用いて調製される。担体として
具体的には乳糖、グリセリン等が例示される。該抗体お
よび用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウ
ダー等の製剤が可能である。また、これらの非経口剤に
おいても経口剤で添加剤として例示した成分を添加する
こともできる。投与量または投与回数は、目的とする治
療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異な
るが、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kgである。
【0116】5.抗ヒトVEGF受容体KDR 抗体を用いたヒ
トVEGF受容体KDR の検出および定量方法 また、本発明は、本発明の抗体を用いて、ヒトVEGF受容
体KDRまたはヒトVEGF受容体KDRを細胞表面に発現した細
胞を免疫学的に検出および定量する方法、可溶性ヒトVE
GF受容体KDRを免疫学的に検出および定量する方法、ヒ
トVEGFとヒトVEGF受容体KDRとの結合を阻害する方法お
よびヒトVEGF受容体KDR作用を中和する方法に関する。
【0117】本発明の抗体を用いて、ヒトVEGF受容体KD
R、ヒトVEGF受容体KDRを細胞表面に発現した細胞または
可溶性ヒトVEGF受容体KDRを免疫学的に検出および定量
する方法としては、蛍光抗体法、免疫酵素抗体法(ELIS
A)、放射性物質標識免疫抗体法(RIA)、免疫組織染色
法、免疫細胞染色法などの免疫組織化学染色法(ABC
法、CSA法等)、ウェスタンブロッティング法、免疫沈
降法、上記に記した酵素免疫測定法、サンドイッチELIS
A 法[単クローン抗体実験マニュアル(講談社サイエン
ティフィック、1987年)、続生化学実験講座5 免疫生
化学研究法(東京化学同人、1986年)]などがあげられ
る。
【0118】蛍光抗体法とは、分離した細胞あるいは組
織などに、本発明の抗体を反応させ、さらにフルオレシ
ン・イソチオシアネート(FITC)などの蛍光物質でラベ
ルした抗イムノグロブリン抗体あるいは結合断片を反応
させた後、蛍光色素をフローサイトメーターで測定する
方法である。
【0119】免疫酵素抗体法(ELISA)とは、分離し
た、細胞あるいはその破砕液、組織あるいはその破砕
液、細胞培養上清、血清、胸水、腹水、眼液などに、本
発明の抗体を反応させ、さらにペルオキシダーゼ、ビオ
チンなどの酵素標識などを施した抗イムノグロブリン抗
体あるいは結合断片を反応させた後、発色色素を吸光光
度計で測定する方法である。
【0120】放射性物質標識免疫抗体法(RIA)とは、
分離した、細胞あるいはその破砕液、組織あるいはその
破砕液、細胞培養上清、血清、胸水、腹水、眼液など
に、本発明の抗体を反応させ、さらに放射線標識を施し
た抗イムノグロブリン抗体あるいは結合断片を反応させ
た後、シンチレーションカウンターなどで測定する方法
である。
【0121】免疫細胞染色法、免疫組織染色法とは、分
離した、細胞あるいは組織などに、本発明の抗体を反応
させ、さらにフルオレシン・イソチオシアネート(FIT
C)などの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなど
の酵素標識を施した抗イムノグロブリン抗体あるいは結
合断片を反応させた後、顕微鏡を用いて観察する方法で
ある。
【0122】ウェスタンブロッティング法とは、分離し
た、細胞あるいはその破砕液、組織あるいはその破砕
液、細胞培養上清、血清、胸水、腹水、眼液などをSDS-
PAGE等の電気泳動法により分画後、ニトロセルロース膜
などに転写し、本発明の抗体を反応させ、さらにペルオ
キシダーゼなどの酵素標識を施した抗イムノグロブリン
抗体あるいは結合断片を反応させた後、発色色素等を反
応させ観察する方法である。
【0123】免疫沈降法とは、分離した、細胞あるいは
その破砕液、組織あるいはその破砕液、細胞培養上清、
血清、胸水、腹水、眼液などに本発明の抗体を反応さ
せ、さらに抗イムノグロブリン抗体あるいは結合断片を
結合させたセルロースなどのビーズを反応させた後、ビ
ーズを回収することで本発明の抗体に反応した抗原を回
収し、ウエスタンブロッティング法などにより抗原を解
析する方法である。
【0124】また、固形腫瘍の増殖もしくは転移形成に
基づく疾患、異常な血管新生により病態が進行する疾患
の診断方法としては、被験者の細胞あるいは組織に存在
するヒトVEGF受容体KDRを、上述した免疫学的に検出ま
たは定量する方法があげられる。また、本発明の抗体
は、固形腫瘍の増殖もしくは転移形成に基づく疾患、異
常な血管新生により病態が進行する疾患の診断薬として
用いることができる。
【0125】また、ヒトVEGFとヒトVEGF受容体KDRとの
結合の阻害活性は、増殖因子と受容体の結合測定法[新
生化学実験講座7 増殖分化因子とその受容体(東京化
学同人、1991年)]等の方法に準じて、本発明の抗体を
用いたVEGF-VEGF受容体KDR結合阻害試験を行うことによ
り確認することができる。
【0126】すなわち、KDRを発現している細胞あるい
は組織に放射性物質等を標識したVEGFを反応させ、KDR
発現細胞あるいは組織に結合したVEGFをシンチレーショ
ンカウンターなどで測定する方法である。放射性物質等
を標識したVEGFと同時に本発明の抗体を反応させること
で、放射性物質等を標識したVEGFがKDRに結合するのを
阻害する活性を測定することが可能である。
【0127】VEGF受容体KDRの自己リン酸化阻害活性
は、増殖因子受容体の自己リン酸化測定法[続生化学実
験講座 情報伝達と細胞応答(東京化学同人、1986
年)]等の方法に準じて、抗体を用いた、VEGF-VEGF受
容体KDRの自己リン酸化阻害試験を行うことにより確認
することができる。
【0128】すなわち、KDRを発現している細胞あるい
は組織にVEGFを反応させ、VEGFが結合することで亢進す
るKDRの自己リン酸化を免疫沈降法およびウエスタンブ
ロット法などで検出する方法である。VEGFと同時に本発
明の抗体を反応させることで、VEGFが結合することによ
り亢進されるKDRの自己リン酸化を阻害する活性を測定
することが可能である。
【0129】ヒトVEGFの生物活性の阻害活性は、VEGF依
存的な血管内皮細胞の増殖、遊走、およびチューブ形成
試験[新生化学実験講座10 血管(内皮と平滑筋)
(東京化学同人、1991年)]を行うことにより確認する
ことができる。
【0130】VEGF依存的な血管内皮細胞の増殖試験と
は、血管内皮細胞にVEGFを反応させ、VEGFが結合するこ
とで亢進する血管内皮細胞の増殖促進活性を細胞数を測
定する方法である。VEGFと同時に本発明の抗体を反応さ
せることで、VEGFにより亢進する血管内皮細胞の増殖促
進活性を阻害する活性を測定することが可能である。
【0131】VEGF依存的な血管内皮細胞の遊走試験と
は、血管内皮細胞にVEGFを反応させ、VEGFが結合するこ
とで亢進する血管内皮細胞の遊走促進活性を顕微鏡を用
いて観察する方法である。VEGFと同時に本発明の抗体を
反応させることで、VEGFにより亢進する血管内皮細胞の
遊走促進活性を阻害する活性を測定することが可能であ
る。
【0132】VEGF依存的な血管内皮細胞のチューブ形成
試験とは、血管内皮細胞にVEGFを反応させ、VEGFが結合
することで亢進する血管内皮細胞のチューブ形成促進活
性を顕微鏡を用いて観察する方法である。VEGFと同時に
本発明の抗体を反応させることで、VEGFにより亢進する
血管内皮細胞のチューブ形成促進活性を阻害する活性を
測定することが可能である。
【0133】さらに、本発明は本発明の抗体を用いるこ
とを特徴とする、血管新生異常疾患の診断方法あるいは
治療方法、本発明の抗体を有効成分とする、血管新生異
常疾患の診断薬あるいは治療薬に関する。
【0134】血管新生異常疾患とは、固形腫瘍の増殖も
しくは転移形成、慢性関節リウマチにおける関節炎、糖
尿病性網膜症、未熟児網膜症、乾鮮など、過剰なVEGFで
起こりうる血管新生の異常により病態が進行する疾患を
示す。
【0135】血管新生異常疾患の診断方法としては、被
験者の細胞あるいは組織に存在するヒトVEGF受容体KDR
を免疫学的に検出または定量する方法があげられる。ま
た、本発明の抗体は、血管新生異常疾患の診断薬として
用いることができる。
【0136】さらに、本発明の抗体はヒトVEGFの生物活
性を阻害できるため、ヒトVEGFのKDR への結合を阻害す
ることで、KDR 自己リン酸化を阻害した結果、VEGF依存
的ヒト血管内皮細胞の増殖を阻害できるため、血管新生
異常疾患の治療薬として用いることができる。以下、本
発明の実施例を示す。
【0137】
【実施例】実施例1 1.抗ヒトVEGF受容体KDR マウスモノクローナル抗体を
コードするcDNAの単離および解析 (1)抗ヒトVEGF受容体KDR マウスモノクローナル抗体
生産ハイブリドーマからのmRNAの取得 インビトロジェン社製のmRNA抽出キットであるFast Tra
ckを用い、キットに添付の使用説明書に従って、参考例
1で得られた抗ヒトVEGF受容体KDRマウスモノクローナ
ル抗体KM1992およびKM1995生産ハイブリドーマ(それぞ
れFERM BP-6217、FERM BP-6218) の各1×108細胞よ
り、それぞれmRNAを取得した。
【0138】(2)抗ヒトVEGF受容体KDR マウスモノク
ローナル抗体生産ハイブリドーマのH鎖およびL鎖cDNAラ
イブラリーの作製 実施例1の1(1)で取得したKM1992およびKM1995のmR
NAの各5μg から、cDNA Synthesis Kit(ファルマシア
バイオテク社製)を用い、キットに添付の使用説明書
に従って、両端にEcoRI-NotI アダプターを有するcDNA
をそれぞれ合成した。作製したそれぞれのcDNAの約6μg
を10μlの滅菌水に溶解後、アガロースゲル電気泳動に
て分画し、IgG型抗体のH鎖に対応する約1.5kbのcDNA断
片とL鎖に対応する約1.0kbのcDNA断片をそれぞれ約0.1
μg回収した。次に、それぞれの約1.5kbのcDNA断片0.1
μgおよび約1.0kbのcDNA断片0.1μgと、Lambda ZAPII V
ector(Lambda ZAPII Vector をEcoRIで切断後、Calf
Intestine Alkaline Phosphataseで処理したもの:スト
ラタジーン社製)の1μgをT4 ligase緩衝液(宝酒造社
製)11.5μl に溶解し、T4 DNA ligase (宝酒造社製)
175単位を加えて、12℃にて24時間インキュベートし、
さらに室温にて2時間インキュベートした。それぞれの
反応液のうち4μlを常法(モレキュラー・クローニング
第2版)に従い、Gigapack Gold Packaging Kit (ス
トラタジーン社製)を使用してラムダファージにパッケ
ージングし、これらを常法(モレキュラー・クローニン
グ 第2版)に従って、Gigapack Gold Packaging Kit
(ストラタジーン社製)に付属の大腸菌株XL1-Blue[Bi
otechniques, 5, 376 (1987)]に感染させて、KM1992
およびKM1995のH鎖cDNAライブラリーおよびL鎖cDNAライ
ブラリーとしてそれぞれ約4×103個のファージクローン
を取得した。
【0139】(3)抗ヒトVEGF受容体KDRマウスモノク
ローナル抗体生産ハイブリドーマのH鎖およびL鎖をコー
ドするcDNAのクローニング 実施例1の1(2)で作製したそれぞれのファージを常
法(モレキュラー・クローニング 第2版)に従い、ニ
トロセルロースフィルター上に固定した。各ニトロセル
ロースフィルターを用いてECL direct nucleic acid la
beling and detection systems (アマシャム社製)に
添付の使用説明書に従い、マウス免疫グロブリンのC領
域をコードするcDNA[H 鎖はマウスC γ1cDNA の断片
[Cell, 18,559 (1979)]及びマウスC γ2b cDNA の断
片[EMBO Journal, 3, 2047, 1984]、L鎖はマウスC κc
DNAの断片[Cell, 22, 197 (1980)]をプローブとして
それと強く結合したファージクローンを取得した。次
に、Lambda ZAPII Vector (ストラタジーン社製)に添
付の使用説明書に従い、ファージクローンをプラスミド
pBluescriptSK(-)に変換し、最終的にKM1992のH鎖をコ
ードするcDNAを含む組換えプラスミドpBS1992HおよびKM
1992のL鎖をコードするcDNAを含む組換えプラスミドpBS
1992L、KM1995のH鎖をコードするcDNA含む組換えプラス
ミドpBS1995HおよびKM1995のL鎖をコードするcDNAを含
む組換えプラスミドpBS1995Lを取得した。組換えプラス
ミドpBS1992Hを有する大腸菌DH5α(東洋紡績社製)/pB
S1992H、組換えプラスミドpBS1992Lを有する大腸菌DH5
α/pBS1992L、組換えプラスミドpBS1995Hを有する大腸
菌DH5α/pBS1995Hおよび組換えプラスミドpBS1995Lを有
する大腸菌DH5α/pBS1995Lは、それぞれFERM BP-6803、
FERM BP-6804、FERM BP-6805、FERM BP-6806として、平
成11年7月28日付けで工業技術院生命工学工業技術研
究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号)に寄託
されている。
【0140】(4)抗ヒトVEGF受容体KDR マウスモノク
ローナル抗体のH 鎖およびL 鎖をコードするcDNAの可変
領域の塩基配列の決定 実施例1の1(3)で得られた各抗ヒトVEGF受容体KDR
マウスモノクローナル抗体のH 鎖およびL鎖をコードす
るcDNAのV領域の塩基配列を、得られたプラスミドの0.1
μg を用いてBigDye Terminator Cycle Sequencing Rea
dy Reaction Kit(アプライド バイオシステムズ社
製)に添付の説明書に従って反応後、ABI PRISMTM377
(アプライド バイオシステムズ社製)により電気泳動
し、決定した。決定したそれぞれのcDNAの塩基配列よ
り、KM1992およびKM1995のVHおよびVLのアミノ酸配列を
決定した。配列番号1にKM1992のVH、配列番号2にKM19
92のVL、配列番号3にKM1995のVH、配列番号4にKM1995
のVLのそれぞれをコードする塩基配列を、配列番号26に
KM1992のVH、配列番号27にKM1992のVL、配列番号28にKM
1995のVH、配列番号29にKM1995のVLのそれぞれのアミノ
酸配列を示す。
【0141】(5)抗ヒトVEGF受容体KDRマウスモノク
ローナル抗体のH鎖およびL鎖のCDR配列の同定 実施例1の1(4)で決定した各抗ヒトVEGF受容体KDR
マウスモノクローナル抗体のVHおよびVLのアミノ酸配列
より、それぞれのVHおよびVLのCDR配列を既知の抗体のV
領域のアミノ酸配列(シーケンシズ・ オブ・ プロテイン
ズ・ オブ・イムノロジカル・インタレスト)と比較する
ことによって同定した。配列番号5、6および7にKM19
92のVHのCDR1、CDR2およびCDR3、配列番号8、9および
10にKM1992のVLのCDR1、CDR2およびCDR3、配列番号1
1、12および13にKM1995のVHのCDR1、CDR2およびCD
R3 、配列番号14、15および16にKM1995のVLのCDR
1、CDR2およびCDR3のそれぞれのアミノ酸配列を示す。
【0142】2.抗ヒトVEGF受容体KDR ヒト型キメラ抗
体の製造 ヒトVEGF受容体KDRに対する中和活性を有する抗ヒトVEG
F受容体KDRマウスモノクローナル抗体KM1992およびKM19
95に由来する、抗ヒトVEGF受容体KDR ヒト型キメラ抗体
KM2992およびKM2995を以下のようにして製造した。
【0143】(1)抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ
抗体の発現ベクターpKANTEX1992の構築 WO97/10354に記載のヒト化抗体発現用タンデムカセット
ベクターpKANTEX93および実施例1の1項で得られたプ
ラスミドpBS1992HおよびpBS1992Lを用いて抗ヒトVEGF受
容体KDRヒト型キメラ抗体の発現ベクターpKANTEX1992を
以下のようにして構築した。
【0144】プラスミドpBluescript SK(-) (ストラタ
ジーン社製)の3 μgを10mMトリス-塩酸(pH7.5)、10m
M塩化マグネシウムおよび1mM DTTからなる緩衝液10μl
に加え、更に10単位の制限酵素ApaI(宝酒造社製)を加
えて37℃で1時間反応させた。該反応液をエタノール沈
殿し、50mMトリス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウ
ム、10mM塩化マグネシウム、1mM DTT 、100μg/ml BSA
および0.01% トライトンX-100からなる緩衝液10μlに加
え、更に10単位の制限酵素NotI(宝酒造社製)を加えて
37℃で1時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電
気泳動にて分画し、約2.95kbのApaI-NotI断片を約2μg
回収した。次に、プラスミドpBS1992Hの5μgを50mMトリ
ス-酢酸(pH7.9)、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩
化ナトリウム、1mM DTTからなる緩衝液10μlに加え、更
に10単位の制限酵素BsmAI(ニューイングランドバイオ
ラブズ社製)を加えて55℃で1時間反応させた。該反応
液をエタノール沈殿し、50mMトリス-塩酸(pH7.5)、10
0mM 塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム、1mM DT
T、100μg/ml BSAおよび0.01% トライトンX-100からな
る緩衝液10μlに加え、更に10単位の制限酵素NotI(宝
酒造社製)を加えて37℃で1時間反応させた。該反応液
をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約0.47kbのBsmA
I-NotI断片を約0.5μg回収した。次に、配列番号17、
18に記載の塩基配列を有する合成DNAを合成し(サワ
ディー・テクノロジー社製)、各合成DNAの0.3μgずつ
を15μlの滅菌水に加え、65℃で5分間加熱した。該反応
液を室温にて30分間放置した後、10倍緩衝液[500mMトリ
ス-塩酸(pH7.6)、100mM 塩化マグネシウム、50mM DT
T]2μlと10mM ATP 2μl を加え、更に10単位のT4 polyn
ucleotide kinase(宝酒造社製)を加えて37℃で30分間
反応させ、5'末端をリン酸化した。
【0145】上記で得られたプラスミドpBluescript SK
(-)由来のApaI-Not I断片0.1μg とプラスミドpBS1992H
由来のBsmAI-NotI断片0.1μgとリン酸化合成DNA0.05μg
を全量10μlの滅菌水に加え、DNA ligation Kit Ver.2
(宝酒造社製)を用いて使用説明書に従い、連結した。
このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用
いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換し、図
1に示したプラスミドpBS1992Holigoを得た。
【0146】次に、WO97/10354に記載のプラスミドphKM
1259LV0の3μgを50mMトリス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩
化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム、1mM DTTおよび1
00μg/ml BSAからなる緩衝液10μlに加え、更に10単位
の制限酵素EcoRI(宝酒造社製)および制限酵素SplI
(宝酒造社製)を加えて37℃で1時間反応させた。該反
応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約2.95kbの
EcoRI-SplI断片を約2μg回収した。次に、プラスミドpB
S1992Lの5μgを50mMトリス-塩酸(pH7.9)、10mM塩化マ
グネシウム、100mM 塩化ナトリウム、1mM DTTからなる
緩衝液10μlに加え、更に10単位の制限酵素PflMI(ニュ
ーイングランドバイオラブズ社製)を加えて37℃で1時
間反応させた。該反応液をエタノール沈殿し、50mMトリ
ス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、10mM塩化マ
グネシウム、1mM DTTからなる緩衝液10μlに加え、更に
10単位の制限酵素EcoRI(宝酒造社製)を加えて37℃で1
時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動に
て分画し、約0.38kbのPflMI-EcoRI断片を約0.5μg回収
した。次に、配列番号19、20に記載の塩基配列をそ
れぞれ有する合成DNAを合成し(サワディー・テクノロ
ジー社製)、各合成DNAの0.3μgずつを15μlの滅菌水に
加え、65℃で5分間加熱した。該反応液を室温にて30分
間放置した後、10倍緩衝液[500mMトリス-塩酸(pH7.
6)、100mM 塩化マグネシウム、50mM DTT]2μlと10mM A
TP 2μlを加え、更に10単位のT4 polynucleotide kinas
e(宝酒造社製)を加えて37℃で30分間反応させ、5'末
端をリン酸化した。
【0147】上記で得られたプラスミドphKM1259LV0由
来のEcoRI-SplI断片0.1μg 、プラスミドpBS1992L由来
のPflMI-EcoRI断片0.1μgおよびリン酸化合成DNA0.05μ
g を全量10μlの滅菌水に加え、DNA ligation Kit Ver.
2(宝酒造社製)を用いて使用説明書に従い、連結し
た。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液
を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換
し、図2に示したプラスミドpBS1992Loligoを得た。
【0148】次に、ヒト化抗体発現用ベクターpKANTEX9
3の3μgを10mMトリス-塩酸(pH7.5)、10mM塩化マグネ
シウムおよび1mM DTTからなる緩衝液10μl に加え、更
に10単位の制限酵素ApaI(宝酒造社製)を加えて37℃で
1時間反応させた。該反応液をエタノール沈殿し、50mM
トリス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、10mM塩
化マグネシウム、1mM DTT 、100μg/ml BSA および0.01
% トライトンX-100 からなる緩衝液10μlに加え、更に1
0単位の制限酵素Not I(宝酒造社製)を加えて37℃で1
時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動に
て分画し、約12.75kbのApaI-NotI 断片を約1μg回収し
た。次に、上記で得られたプラスミドpBS1992Holigoの5
μgを10mMトリス-塩酸(pH7.5)、10mM塩化マグネシウ
ムおよび1mMDTTからなる緩衝液10μl に加え、更に10単
位の制限酵素ApaI(宝酒造社製)を加えて37℃で1時間
反応させた。該反応液をエタノール沈殿し、50mMトリス
-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、10mM塩化マグ
ネシウム、1mM DTT 、100μg/ml BSA および0.01% トラ
イトンX-100からなる緩衝液10μl に加え、更に10単位
の制限酵素NotI(宝酒造社製)を加えて37℃で1時間反
応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画
し、約0.46kbのApaI-NotI断片を約0.5μg回収した。
【0149】上記で得られたヒト化抗体発現用ベクター
pKANTEX93由来のApaI-NotI断片0.1μgとプラスミドpBS1
992Holigo由来のApaI-NotI断片0.1μg を全量10μl の
滅菌水に加え、DNA ligation Kit Ver.2(宝酒造社製)
を用いて使用説明書に従い、連結した。このようにして
得られた組換えプラスミドDNA 溶液を用いて大腸菌DH5
α株(東洋紡績社製)を形質転換し、図3に示したプラ
スミドpKANTEX1992Hを得た。
【0150】次に、上記で得られたプラスミドpKANTEX1
992Hの3μg を50mMトリス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化
ナトリウム、10mM塩化マグネシウム、1mM DTTおよび100
μg/ml BSAからなる緩衝液10μlに加え、更に10単位の
制限酵素EcoRI (宝酒造社製)および制限酵素SplI(宝
酒造社製)を加えて37℃で1時間反応させた。該反応液
をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約13.20kbのEco
RI-SplI断片を約1μg回収した。次に、上記で得られた
プラスミドpBS1992Loligoの5μgを50mMトリス-塩酸(pH
7.5)、100mM 塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウ
ム、1mM DTTおよび100μg/ml BSA からなる緩衝液10μl
に加え、更に10単位の制限酵素EcoRI(宝酒造社製)お
よび制限酵素SplI(宝酒造社製)を加えて37℃で1 時間
反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分
画し、約0.39kbのEcoRI- SplI断片を約0.5μg回収し
た。
【0151】上記で得られたプラスミドpKANTEX1992H由
来のEcoRI-SplI断片0.1μg、プラスミドpBS1992Loliogo
由来のEcoRI-SplI断片0.1μgを全量10μlの滅菌水に加
え、DNA ligation Kit Ver.2(宝酒造社製)を用いて使
用説明書に従い、連結した。このようにして得られた組
換えプラスミドDNA 溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋
紡績社製)を形質転換し、図4に示したプラスミドpKAN
TEX1992を得た。
【0152】(2)抗ヒトVEGF受容体KDR ヒト型キメラ
抗体の発現ベクターpKANTEX1995 の構築 WO97/10354に記載のヒト化抗体発現用タンデムカセット
ベクターpKANTEX93 および実施例1の1項で得られたプ
ラスミドpBS1995HおよびpBS1995Lを用いて抗ヒトVEGF受
容体KDRヒト型キメラ抗体の発現ベクターpKANTEX1995
を以下のようにして構築した。プラスミドpBS1995Hの5
μgを50mMトリス-塩酸(pH7.9)、10mM塩化マグネシウ
ム、100mM塩化ナトリウム、1mM DTTからなる緩衝液10μ
lに加え、更に10単位の制限酵素BsmBI(ニューイングラ
ンドバイオラブズ社製)を加えて37℃で1時間反応させ
た。該反応液をエタノール沈殿し、50mMトリス-塩酸(p
H7.5)、100mM 塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウ
ム、1mM DTT、100μg/ml BSAおよび0.01% トライトンX-
100からなる緩衝液10μlに加え、更に10単位の制限酵素
NotI(宝酒造社製)を加えて37℃で1時間反応させた。
該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約0.46
kbのBsmBI-NotI 断片を約0.5 μg回収した。
【0153】次に、配列番号18、21に記載の塩基配列
をそれぞれ有する合成DNAを合成し(サワディー・テク
ノロジー社製)、各合成DNAの0.3μgずつを15μlの滅菌
水に加え、65℃で5分間加熱した。該反応液を室温にて3
0分間放置した後、10倍緩衝液[500mMトリス-塩酸(pH7.
6)、100mM 塩化マグネシウム、50mM DTT]2μlと10mM A
TP 2μlを加え、更に10単位のT4 polynucleotide kinas
e(宝酒造社製)を加えて37℃で30分間反応させ、5'末
端をリン酸化した。
【0154】実施例1の2(1)で得られたプラスミド
pBluescript SK(-)由来のApa I-NotI断片0.1μgとプラ
スミドpBS1995H由来のBsmBI-NotI断片0.1μgとリン酸化
合成DNA0.05μgを全量10μlの滅菌水に加え、DNA ligat
ion Kit Ver.2(宝酒造社製)を用いて使用説明書に従
い、連結した。このようにして得られた組換えプラスミ
ドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形
質転換し、図5に示したプラスミドpBS1995Holigoを得
た。
【0155】次に、プラスミドpBS1995Lの5μg を20mM
トリス-酢酸(pH7.9)、50mM酢酸カリウム、10mM酢酸
マグネシウム、1mM DTTおよび32mM S-adenosylmethion
ineからなる緩衝液10μlに加え、更に10単位の制限酵素
BsgI(ニューイングランドバイオラブズ社製)を加えて
37℃で1時間反応させた。該反応液をエタノール沈殿
し、50mMトリス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウ
ム、10mM塩化マグネシウム、1mM DTTからなる緩衝液10
μl に加え、更に10単位の制限酵素DsaI(ベーリンガー
・マンハイム社製)を加えて55℃で1時間反応させ
た。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約
0.33kbのBsgI-DsaI断片を約0.5μg回収した。次に、プ
ラスミドpBS1995Lの3μg を50mMトリス-塩酸(pH7.
5)、100mM 塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム、1
mM DTTからなる緩衝液20μlに加え、10単位の制限酵素E
coRI (宝酒造社製)を加えて37℃で1時間反応させ、
さらに10単位の制限酵素DsaI(ベーリンガー・マンハイ
ム社製)を加えて55℃で1時間反応させた。該反応液を
アガロースゲル電気泳動にて分画し、約3.1kbのEcoRI-D
saI断片を約1μg回収した。
【0156】配列番号22、23に記載の塩基配列をそ
れぞれ有する合成DNAを合成し(サワディー・テクノロ
ジー社製)、各合成DNAの0.3μgずつを15μlの滅菌水に
加え、65℃で5分間加熱した。該反応液を室温にて30分
間放置した後、10倍緩衝液[500mMトリス-塩酸(pH7.
6)、100mM 塩化マグネシウム、50mM DTT]2μl と10mM
ATP 2μl を加え、更に10単位のT4 polynucleotide kin
ase(宝酒造社製)を加えて37℃で30分間反応させ、5'
末端をリン酸化した。
【0157】プラスミドpBS1995L由来のBsgI-DsaI断片
0.1μg、プラスミドpBS1995L由来のEcoRI-DsaI断片0.1
μgおよびリン酸化合成DNA 0.05μgを全量10μlの滅菌
水に加え、DNA ligation Kit Ver.2(宝酒造社製)を用
いて使用説明書に従い、連結した。このようにして得ら
れた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株
(東洋紡績社製)を形質転換し、図6に示したプラスミ
ドpBS1995Loligo1を得た。次に、プラスミドpBS1995Lol
igo1の5μgを50mMトリス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化ナ
トリウム、10mM塩化マグネシウム、1mM DTTからなる緩
衝液20μlに加え、10単位の制限酵素EcoRI (宝酒造社
製)を加えて37℃で1時間反応させ、さらに10単位の制
限酵素DsaI(ベーリンガー・マンハイム社製)を加えて
55℃で1時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電
気泳動にて分画し、約0.38kbのEcoRI-DsaI断片を約0.5
μg回収した。
【0158】次に、配列番号24、25に記載の塩基配
列をそれぞれ有する合成DNAを合成し(サワディー・テ
クノロジー社製)、各合成DNAの0.3μgずつを15μlの滅
菌水に加え、65℃で5分間加熱した。該反応液を室温に
て30分間放置した後、10倍緩衝液[500mMトリス-塩酸(p
H7.6)、100mM 塩化マグネシウム、50mM DTT]2μlと10m
M ATP 2μlを加え、更に10単位のT4 polynucleotide ki
nase(宝酒造社製)を加えて37℃で30分間反応させ、5'
末端をリン酸化した。上記で得られたプラスミドphKM12
59LV0由来のEcoRI-SplI断片0.1μg 、プラスミドKM1995
Loligo1由来のEcoRI-DsaI断片0.1μgおよびリン酸化合
成DNA0.05μg を全量10μlの滅菌水に加え、DNA ligati
on Kit Ver.2(宝酒造社製)を用いて使用説明書に従
い、連結した。このようにして得られた組換えプラスミ
ドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形
質転換し、図7に示したプラスミドpBS1995Loligo2を得
た。
【0159】次に、上記で得られたプラスミドpBS1995H
の5μgを10mMトリス-塩酸(pH7.5)、10mM塩化マグネシ
ウムおよび1mM DTTからなる緩衝液10μlに加え、更に10
単位の制限酵素ApaI(宝酒造社製)を加えて37℃で1時
間反応させた。該反応液をエタノール沈殿し、50mMトリ
ス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、10mM塩化マ
グネシウム、1mM DTT、100μg/ml BSAおよび0.01% トラ
イトンX-100からなる緩衝液10μlに加え、更に10単位の
制限酵素NotI(宝酒造社製)を加えて37℃で1時間反応
させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画
し、約0.46kbのApaI-NotI 断片を約0.5μg 回収した。
【0160】実施例1の2(1)で得られたヒト化抗体
発現用タンデムカセットベクターpKANTEX93由来のApaI-
NotI断片0.1μgとプラスミドpBS1995H由来のApaI-NotI
断片0.1μgを全量10μlの滅菌水に加え、DNA ligation
Kit Ver.2(宝酒造社製)を用いて使用説明書に従い、
連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDN
A溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転
換し、図8に示したプラスミドpKANTEX1995Hを得た。
【0161】次に、上記で得られたプラスミドpKANTEX1
995Hの3μgを50mMトリス-塩酸(pH7.5)、100mM 塩化ナ
トリウム、10mM塩化マグネシウム、1mM DTTおよび100μ
g/mlBSAからなる緩衝液10μlに加え、更に10単位の制限
酵素EcoRI(宝酒造社製)および制限酵素SplI(宝酒造
社製)を加えて37℃で1時間反応させた。該反応液をア
ガロースゲル電気泳動にて分画し、約13.20kbのEcoRI-S
plI断片を約1μg回収した。次に、上記で得られたプラ
スミドpBS1995Loligo2の5μgを50mMトリス-塩酸(pH7.
5)、100mM 塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム、1
mM DTTおよび100μg/ml BSAからなる緩衝液10μlに加
え、更に10単位の制限酵素EcoRI(宝酒造社製)および
制限酵素SplI(宝酒造社製)を加えて37℃で1時間反応
させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画
し、約0.39kbのEcoRI-SplI断片を約0.5μg回収した。
【0162】上記で得られたプラスミドpKANTEX1995H由
来のEcoRI-SplI断片0.1μg 、プラスミドpBS1995Loligo
2由来のEcoRI-SplI断片0.1μgを全量10μlの滅菌水に加
え、DNA ligation Kit Ver.2(宝酒造社製)を用いて使
用説明書に従い、連結した。このようにして得られた組
換えプラスミドDNA 溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋
紡績社製)を形質転換し、図9に示したプラスミドpKAN
TEX1995を得た。
【0163】(3)pKANTEX1992およびpKANTEX1995を用
いた抗ヒトVEGF受容体KDR ヒト型キメラ抗体のラットミ
エローマYB2/0細胞(ATCC CRL1581)での発現 YB2/0細胞への抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体発
現ベクターpKANTEX1992およびpKANTEX1995の導入は宮地
らの方法に従い、エレクトロポレーション法[Cytotech
nology, 3, 133 (1990)]にて行った。
【0164】実施例1の2項(1)および(2)で得ら
れたpKANTEX1992およびpKANTEX1995の5 μg をそれぞれ
4×106個のYB2/0細胞へ導入後、10mlのHSFM-FCS(10)
培地[牛胎児血清(FCS) を5% 含むHybridoma SFM培地
(ギブコ社)]に懸濁し、96ウェルマイクロタイタープ
レート(スミロン社製)に100μl/ウェルずつ分注し
た。5%CO2インキュベーター内で37℃、24時間培養後、
ジェネティシン(以下、G418と表記する、ギブコ社製)
を0.5mg/mlになるように添加してさらに1週間培養し
た。G418耐性を有する形質転換株のコロニーが出現し、
コンフルエントになったウェルより培養上清を回収し、
上清中の抗ヒトVEGF受容体KDR ヒト型キメラ抗体の活性
を以下に示す酵素免疫測定法により測定した。
【0165】酵素免疫測定法 参考例1(18)で得られた可溶性ヒトVEGF受容体KDR-
7NをPBSで2μg/mlに希釈し、96ウェルのEIA用プレート
(グライナー社製)に50μl/ウェルで分注し、4℃で一
晩放置して吸着させた。PBSで洗浄後、1% BSAを含むPB
S(以下、1%BSA-PBSと表記する)を100μl/ウェル加
え、室温で1時間反応させて残っている活性基をブロッ
クした。1%BSA-PBSを捨て、形質転換株の培養上清を50
μl/ウェルで分注し、室温で1時間反応させた。0.05%
tween20を含むPBS(以下、0.05%tween-PBSと表記する)
で洗浄後、1%BSA-PBSにて3000倍に希釈したペルオキシ
ダーゼ標識抗ヒトIgG 抗体(アメリカン コーレックス
社製)を50μl/ウェルで加えて室温で1 時間反応させ、
0.05% tween-PBS で洗浄後、ABTS基質液[2.2-アジノビ
ス(3-エチルベンゾチアゾール-6-スルホン酸)アンモ
ニウム]を50μl/ウェルで加えて発色させ、OD415nmの
吸光度をE max(モレキュラー・デバイシーズ社製)を
用いて測定した。
【0166】培養上清中に抗ヒトVEGF受容体KDR ヒト型
キメラ抗体の活性が認められた形質転換株については2
回の限界希釈法によるクローニングを経て、最終的な抗
ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体を生産する形質転
換細胞株とした。発現ベクターpKANTEX1992を導入して
得られた形質転換細胞株、すなわち、抗ヒトVEGF受容体
KDRマウスモノクローナル抗体KM1992由来の抗ヒトVE
GF受容体KDRヒト型キメラ抗体を生産する形質転換株の
例としてはKM2992があげられ、それが生産する抗ヒトVE
GF受容体KDRヒト型キメラ抗体をKM2992と命名した。ま
た、発現ベクターpKANTEX1995を導入して得られた形質
転換細胞株、すなわち抗ヒトVEGF受容体KDRマウスモノ
クローナル抗体KM1995由来の抗ヒトVEGF受容体KDRヒト
型キメラ抗体を生産する形質転換株の例としてはKM2995
があげられ、それが生産する抗ヒトVEGF受容体KDRヒト
型キメラ抗体をKM2995と命名した。得られた各形質転換
細胞クローンの抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体
の生産性は約0.1〜5μg/106細胞/24時間であった。
【0167】(4)抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ
抗体のヒトVEGF受容体KDRおよびヒトVEGF受容体Flt-1に
対する結合活性 抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体KM2992およびKM2
995のヒトVEGF受容体KDRおよびヒトVEGF受容体Flt-1に
対する結合活性を以下の手順に従い、確認した。可溶性
ヒトFlt-1-7NはTanakaらの方法[Japanese Journal of C
ancer Research, 88, 867(1997)]に従い調製した。可溶
性ヒトKDR-7Nおよび可溶性ヒトKDR-7N-Fcは参考例1(18)
により調製した。酵素免疫測定法を用いて、96ウェルの
EIA用プレートに吸着した一定量の可溶性ヒトKDR-7Nお
よび可溶性ヒトFlt-1-7Nに対し、濃度を変化させたヒト
型キメラ抗体を添加して結合活性を検討した。96ウェル
のEIA用プレート(グライナー社製)に、PBSで希釈した
2μg/mlの可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7Nおよび可溶性ヒ
トVEGF受容体Flt-1-7Nを50μl/ウェルで分注し、4℃で
一晩放置して吸着させた。PBSで洗浄後、1% BSA-PBSを1
00μl/ウェル加え、室温で1時間反応させて残っている
活性基をブロックした。1%BSA-PBSを捨て、1%BSA-PBSに
より10〜0.0006μg/mlに希釈した抗ヒトVEGF受容体KDR
ヒト型キメラ抗体KM2992および0.25〜0.004μg/mlに希
釈した抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体KM2995を5
0μl/ウェルで分注し、室温で1時間反応させた。0.05%
tween-PBSで洗浄後、1%BSA-PBSにて3000倍に希釈した
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG 抗体(アメリカン コ
ーレックス社製)を50μl/ウェルで加えて室温で1 時間
反応させた後、0.05% tween-PBS で洗浄し、ABTS基質液
[2.2-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾール-6-スル
ホン酸)アンモニウム]を50μl/ウェルで加えて発色さ
せ、OD415nmの吸光度をE max(モレキュラー・デバイシ
ーズ社製)を用いて測定した。
【0168】その結果を図10に示す。抗ヒトVEGF受容体
KDRヒト型キメラ抗体KM2992(図10(A))およびKM2995
(図10(B))は抗体濃度依存的にヒトVEGF受容体KDR-7N
に反応し、ヒトVEGF受容体Flt-1-7Nには反応せず、抗ヒ
トVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体の抗原特異性が確認
された。
【0169】次に、抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ
抗体によるヒトVEGFとヒトVEGF受容体KDRの結合阻害試
験を以下のようにして検討した。96ウェル・マルチスク
リーン−IPプレート(ミリポア社製)にメタノールを
25μl/ウエルで分注してプレート底部のPVDF膜を浸した
後、メタノールを除去してPBSで洗浄し、親水処理を施
した。PBS で2μg/mlの濃度に希釈した可溶性ヒトVEGF
受容体KDR-7N-Fcを50μl/ウェルで分注し、4 ℃で一晩
放置して吸着させた。PBSで洗浄後、1%BSA-PBSを200μ
l/ ウェル加え、室温1時間反応させて残っている活性
基をブロックした。PBSで洗浄後、1%BSA-PBS 溶液で10
〜0.016μg/mlに希釈した抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型化
キメラ抗体KM2992あるいは0.4〜0.016μg/mlに希釈した
抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型化キメラ抗体KM2995を50μl
/ウェルで分注し、さらに、3 ng/mlの 125I標識ヒトVEGF
(アマシャム社製)を50μl/ウェル加え室温で2.5時間
反応させた。
【0170】PBSで洗浄後、50℃にてウェルを乾燥さ
せ、マイクロシンチ-0(パッカード社製)を40μl/ウ
ェル加え、トップカウント(パッカード社製)を用い
て、各ウェルに結合した125I標識ヒトVEGFの放射活性を
測定した。その結果を図11に示す。抗ヒトVEGF受容体KD
Rヒト型化キメラ抗体KM2992(図11(A))およびKM2995
(図11(B))を添加することにより125I-VEGFの結合活性
が低下することが認められ、抗ヒトVEGF受容体KDRヒト
型化キメラ抗体KM2992およびKM2995は抗体濃度依存的に
ヒトVEGFとヒトVEGF受容体KDRの結合を阻害した。
【0171】参考例1 1.抗原の調製 抗原として可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体およ
び可溶性ヒトVEGF受容体KDR各種誘導体を以下のように
して調製した。
【0172】(1)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7Nとヒト抗
体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜738番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7N-Fcと称す)を発現す
るためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性ヒト
VEGF受容体KDR-7N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細
胞外領域のN末端側から7個のイムノグロブリン様部位
及び6アミノ酸残基からなるリンカー(リンカー#1)及
びヒト抗体Fc領域から成る融合タンパク質に相当する。
【0173】ヒトVEGF受容体KDRの完全長cDNAをコード
するcDNAクローンBCMGS-neo-KDR(A.Sawanoら;Cell Gro
wth & Differentiation 7, 213-221, 1996)をEcoRIで切
断し、KDRの細胞外領域及び膜結合領域をコードする約
2.8 kbの断片をpUC18のEcoRI部位に組み込むことによっ
て、pUC-KDRを作製した。pUC-KDRをXhoIで切断し、Klen
ow処理後、XbaIリンカー(配列番号30)を挿入すること
によってpUC-KDR-Xbを作製した。pUC-KDR-XbのXbaI-Bam
HI(2.3 kbp)断片をpBluescriptII KS(+)のXbaI/BamHI
部位に挿入した後、SphI-BamHI(5.2 kbp)断片を調製
し、SnaBI部位を含む合成リンカー(配列番号31及び配
列番号32)を挿入し、pBS-KDR-Xb-Sを作製した。pBS-KD
R-Xb-SのXbaI/SnaBI(2.3 kbp)断片、プラスミドpAMoP
RFc[T. Yagoら;The Journal of Immunology 158 ,707
-714(1997)]上のヒト抗体のFc領域をコードするSnaBI/
NotI(0.7 kbp)断片をバキュロウイルス組み換えpVL13
93プラスミドのポリヘドリン(Polyhedrin)遺伝子の転
写開始点の下流5'側XbaI及び3'側NotI部位に組み込み、
可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7Nとヒト抗体Fc領域との融合
遺伝子発現ベクターpVL-KDR-7N-Fcを構築した(図1
2)。
【0174】(2)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-6Nとヒト抗
体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜638番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-6N-Fcと称す)を発現す
るためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性ヒト
VEGF受容体KDR-6N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細
胞外領域のN末端側から6個のイムノグロブリン様部位
及び6アミノ酸残基からなるリンカー(リンカー#1)及
びヒト抗体Fc領域から成る融合タンパク質に相当する。
【0175】配列番号33及び配列番号34に示した塩基配
列を有するプライマー10 pmol、pBS-KDR-Xb-S(抗原の
調製(1)参照) DNA 10ng、及び、10mM デオキシヌクレ
オチド三リン酸(deoxynucleotide triphosphates)を
含む10mM MgCl2、0.001% (W/V)ゼラチン溶液100 μlに
2.5 units Taqポリメラーゼを加えた。反応は95℃で5分
間の前処理した後に、95℃で90秒間、50℃で90秒間、最
後に72℃で90秒間のポリメラーゼ・チェイン・リアクシ
ョン(PCR)を30回繰り返し、DNA断片を回収した。本DN
A断片をEcoT22IとSnaBIで切断し、80 bpのEcoT22I/SnaB
I断片を得た。本DNA断片及びpBS-KDR-Xb-S(抗原の調製
(1)参照)のEcoT22I/SnaBI(5.2 kbp)断片を連結させp
BS-KDR(6N)Lを作製した。pBS-KDR(6N)LのXbaI/SnaBI
(2.0 kbp)及びpAMoPRFc(抗原の調製(1)参照)上のヒ
ト抗体のFc領域をコードするSnaBI/NotI(0.7 kbp)を
バキュロウイルス組み換えpVL1393プラスミドのポリヘ
ドリン(Polyhedrin)遺伝子の転写開始点の下流5'側Xb
aI及び3'側NotI部位に組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体
KDR-6Nとヒト抗体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターpV
L-KDR-6N-Fcを構築した。
【0176】(3)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-5Nとヒト抗
体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜518番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-5N-Fcと称す)を発現す
るためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性ヒト
VEGF受容体KDR-5N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細
胞外領域のN末端側から5個のイムノグロブリン様部位
及び6アミノ酸残基からなるリンカー(リンカー#1)及
びヒト抗体Fc領域から成る融合タンパク質に相当する。
【0177】pUC-KDR-XbのEcoRI/HincII(1.9 kbp)断
片及び配列番号35及び配列番号36の塩基配列を有する合
成リンカーをベクターpBluescriptII SK(-)のEcoRI/Not
I部位に挿入し、pBS-KDR-5Nを構築した。pBS-KDR-5NのX
baI/SnaBI(1.9 kbp)断片及びpAMoPRFc(抗原の調製
(1)参照)上のヒト抗体のFc領域をコードするSnaBI/Not
I(0.7 kbp)をバキュロウイルス組み換えpVL1393プラ
スミドのポリヘドリン(Polyhedrin)遺伝子の転写開始
点の下流5'側XbaI及び3'側NotI部位に組み込み、可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-5Nとヒト抗体Fc領域との融合遺伝子
発現ベクターpVL-KDR-5N-Fcを構築した。
【0178】(4)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4Nとヒト抗
体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜393番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片、2アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#2)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4N-Fcと称す)を発現す
るためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性ヒト
VEGF受容体KDR-4N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細
胞外領域のN末端側から4個のイムノグロブリン様部位
及び2アミノ酸残基からなるリンカー(リンカー#2)及
びヒト抗体Fc領域から成る融合タンパク質に相当する。
【0179】配列番号37および配列番号38に示した塩基
配列を有するプライマー10 pmol、pUC-KDR-Xb DNA 10 n
g、及び、10 mM デオキシヌクレオチド三リン酸(deoxy
nucleotide triphosphates)を含む10 mM MgCl2、0.001
% (W/V)ゼラチン溶液100 μlに2.5 units Taqポリメラ
ーゼを加えた。反応は95℃で5分間の前処理した後に、9
5℃で90秒間、50℃で90秒間、最後に72℃で90秒間のポ
リメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)を30回繰
り返し、DNA断片を回収した。このDNA断片をHindIIIとK
pnIにより切断し、520 bpのHindIII-KpnI DNA断片を得
た。本DNA断片と、pAMoPRFc上のヒト抗体のFc領域をコ
ードするKpnI/NotI(0.7 kbp)断片とをベクターpAMoPR
Fc(抗原の調製(1)参照)のHindIII/NotI部位に挿入
し、pAMo-4N-Fcを構築した。pAMo-4N-FcのHindIII/NotI
(1 kbp)及びpUC-KDR-XbのXbaI/HindIII(0.7 kbp)を
バキュロウイルス組み換えpVL1393プラスミドのポリヘ
ドリン(Polyhedrin)遺伝子の転写開始点の下流5'側Xb
aI及び3'側NotI部位に組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体
KDR-4Nとヒト抗体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターpV
L-KDR-4N-Fcを構築した。
【0180】(5)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-3Nとヒト抗
体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜294番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-3N-Fcと称す)を発現す
るためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性ヒト
VEGF受容体KDR-3N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細
胞外領域のN末端側から3個のイムノグロブリン様部位
及び6アミノ酸残基からなるリンカー(リンカー#1)及
びヒト抗体Fc領域から成る融合タンパク質に相当する。
【0181】pUC-KDR-Xb(抗原の調製(1)参照)のEcoRI
/EcoT14I(1.2 kbp)断片及び配列番号39及び配列番号4
0の塩基配列を有する合成リンカーをpBluescriptII SK
(-)のEcoRI/NotI部位に挿入し、pBS-KDR-3Nを構築し
た。pBS-KDR-3NのXbaI/SnaBI(1.2 kbp)断片及びpAMoP
RFc(抗原の調製(1)参照)上のヒト抗体のFc領域をコー
ドするSnaBI/NotI(0.7 kbp)断片をバキュロウイルス
組み換えpVL1393プラスミドのポリヘドリン(Polyhedri
n)遺伝子の転写開始点の下流5'側XbaI及び3'側NotI部
位に組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-3Nとヒト抗体
Fc領域との融合遺伝子発現ベクターpVL-KDR-3N-Fcを構
築した。
【0182】(6)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-2Nとヒト抗
体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜194番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-2N-Fcと称す)を発現す
るためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性ヒト
VEGF受容体KDR-2N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細
胞外領域のN末端側から2個のイムノグロブリン様部位
及び6アミノ酸残基からなるリンカー(リンカー#1)及
びヒト抗体Fc領域から成る融合タンパク質に相当する。
【0183】pUC-KDR-Xb (抗原の調製(1)参照)のEcoR
I/VspI(0.9 kbp)断片及び配列番号41及び配列番号42
の塩基配列を有する合成リンカーをpBluescriptII SK
(-)のEcoRI/NotI部位に挿入し、pBS-KDR-2Nを構築し
た。pBS-KDR-2NのXbaI/SnaBI(0.9kbp)断片及びpAMoPR
Fc(抗原の調製(1)参照)上のヒト抗体のFc領域をコー
ドするSnaBI/NotI(0.7 kbp)をバキュロウイルス組み
換えpVL1393プラスミドのポリヘドリン(Polyhedrin)
遺伝子の転写開始点の下流5'側XbaI及び3'側NotI部位に
組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-2Nとヒト抗体Fc領
域との融合遺伝子発現ベクターpVL-KDR-2N-Fcを構築し
た。
【0184】(7)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-1Nとヒト抗
体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜104番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-1N-Fcと称す)を発現す
るためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性ヒト
VEGF受容体KDR-1N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細
胞外領域のN末端側から1個のイムノグロブリン様部位
及び6アミノ酸残基からなるリンカー(リンカー#1)及
びヒト抗体Fc領域から成る融合タンパク質に相当する。
【0185】pBS-KDR-2N(抗原の調製(6)参照)のBglII
/NotI(2.8 kbp)断片に、配列番号43及び配列番号44の
塩基配列を有する合成リンカーを連結し、pBS-KDR-1Nを
構築した。pBS-KDR-1NのXbaI/SnaBI(0.4 kbp)断片及
びpAMoAPRFc(抗原の調製(1)参照)上のヒト抗体のFc領
域をコードするSnaBI/NotI(0.7 kbp)をバキュロウイ
ルス組み換えpVL1393プラスミドのポリヘドリン(Polyh
edrin)遺伝子の転写開始点の下流5'側XbaI及び3'側Not
I部位に組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-1Nとヒト
抗体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターpVL-KDR-1N-Fc
を構築した。
【0186】(8)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7 △1Nとヒ
ト抗体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7N-Fc(抗原の調製(1)参照)
から、N末端側から1番目のイムノグロブリン様部位を形
成する31番目のアミノ酸から102番目のアミノ酸までの
計72個のアミノ酸を欠失させたKDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7 △1N-Fcと称す)を発
現するためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-7 △1N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容
体KDRの細胞外領域のN末端側から2〜7番目のイムノグ
ロブリン様部位及び6アミノ酸残基からなるリンカー
(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域から成る融合タン
パク質に相当する。
【0187】配列番号45及び配列番号46に示した塩基配
列を有するプライマー10 pmol、pVL-KDR-7N(抗原の調
製(14)参照) DNA 10 ng、及び、10 mM デオキシヌクレ
オチド三リン酸(deoxynucleotide triphosphates)を
含む10 mM MgCl2、0.001% (W/V)ゼラチン溶液100 μlに
2.5 units Taqポリメラーゼを加えた。反応は95℃で5分
間の前処理した後に、95℃で90秒間、50℃で90秒間、最
後に72℃で90秒間のポリメラーゼ・チェイン・リアクシ
ョン(PCR)を30回繰り返し、DNA断片を回収した。本DN
A断片をXbaIとBglIIで切断し、0.8 kbpのXbaI/BglII断
片を得た。本DNA断片及びpVL-KDR-5N(抗原の調製(17)
参照)のBglII/NotI(1.6 kbp)断片をpBluescriptII S
K(-)のXbaI/NotIに挿入し、pBS-KDR-5 △1Nを作製し
た。pBS-KDR-5△1NのXbaI/HincII(1.6kbp)断片及びpV
L-KDR-7N-Fc(抗原の調製(1)参照)のHincII/NotI(1.2
kbp)をバキュロウイルス組み換えpVL1393プラスミド
のポリヘドリン(Polyhedrin)遺伝子の転写開始点の下
流5'側XbaI及び3'側NotI部位に組み込み、可溶性ヒトVE
GF受容体KDR-7D1Nとヒト抗体Fc領域との融合遺伝子発現
ベクターpVL-KDR-7 △1N-Fcを構築した。
【0188】(9)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-5 △1Nとヒ
ト抗体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 可溶性ヒトVEGF受容体KDR-5N-Fc(抗原の調製(3)参照)
から、N末端側から1番目のイムノグロブリン様部位を形
成する31番目のアミノ酸から102番目のアミノ酸までの
計72個のアミノ酸を欠失させたKDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-5 △1N-Fcと称す)を発
現するためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-5 △1N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容
体KDRの細胞外領域のN末端側から2〜5番目のイムノグ
ロブリン様部位及び6アミノ酸残基からなるリンカー
(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域から成る融合タン
パク質に相当する。
【0189】pBS-KDR-5 △1N(抗原の調製(8)参照)のX
baI/NotI(1.4 kbp)断片及びpAMoAPRFc(抗原の調製
(1)参照)上のヒト抗体のFc領域をコードするSnaBI/Not
I(0.7kbp)をバキュロウイルス組み換えpVL1393プラス
ミドのポリヘドリン(Polyhedrin)遺伝子の転写開始点
の下流5'側XbaI及び3'側NotI部位に組み込み、可溶性ヒ
トVEGF受容体KDR-5 △1Nとヒト抗体Fc領域との融合遺伝
子発現ベクターpVL-KDR-5 △1N-Fcを構築した。
【0190】(10)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4 △1Nとヒ
ト抗体Fc領域との融合遺伝子発現ベクターの構築 可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4N-Fc(抗原の調製(4)参照)
から、N末端側から1番目のイムノグロブリン様部位を形
成する31番目のアミノ酸から102番目のアミノ酸までの
計72個のアミノ酸を欠失させたKDR断片、6アミノ酸残基
からなるリンカー(リンカー#2)及びヒト抗体Fc領域
を構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以
下、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4 △1N-Fcと称す)を発
現するためのベクターを以下の手順で作製した。可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-4 △1N-Fcは、可溶性ヒトVEGF受容
体KDRの細胞外領域のN末端側から2〜4番目のイムノグ
ロブリン様部位及び2アミノ酸残基からなるリンカー
(リンカー#2)及びヒト抗体Fc領域から成る融合タン
パク質に相当する。
【0191】抗原の調製(8)で回収したXbaI/BglII-PCR
断片(0.8 kbp)及びpVL-KDR-4N(抗原の調製(18)参
照)のBglII/NotI(0.9 kbp)断片をpBluescriptII SK
(-)のXbaI/NotIに挿入し、pBS-KDR-4 △1Nを作製した。
pBS-KDR-4 △1NのXbaI/KpnI(1.0kbp)断片及びpAMoAPR
Fc(抗原の調製(1)参照)上のヒト抗体のFc領域をコー
ドするSnaBI/NotI(0.7 kbp)をバキュロウイルス組み
換えpVL1393プラスミドのポリヘドリン(Polyhedrin)
遺伝子の転写開始点の下流5'側XbaI及び3'側NotI部位に
組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4 △1Nとヒト抗体
Fc領域との融合遺伝子発現ベクターpVL-KDR-4 △1N-Fc
を構築した。
【0192】(11)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7N発現ベク
ターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜738番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片(以下、可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-7Nと称す)及びリンカー由来の2ア
ミノ酸残基を発現するためのベクターを以下の手順で作
製した。可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7Nは、可溶性ヒトVE
GF受容体KDRの細胞外領域のN末端側から7個のイムノグ
ロブリン様部位に相当する。
【0193】pBS-KDR-Xb-S(抗原の調製(1)参照)をSna
BI/BamHIで切断し、終止コドンとNotI部位とを含む合成
リンカー(配列番号47及び配列番号48)を組み込み、pB
S-KDR(Xb)-S-Nを作製した。pBS-KDR-Xb-S-NのXbaI-NotI
(2.3 kb)断片をバキュロウイルス組み換えpVL1393プ
ラスミドのポリヘドリン(Polyhedrin)遺伝子の転写開
始点の下流5'側XbaI及び3'側NotI部位に組み込み、可溶
性ヒトVEGF受容体KDR-7N発現ベクターpVL-KDR-7Nを作製
した。
【0194】(12)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7N’発現ベ
クターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜714番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片(以下、可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-7N’と称す)を発現するためのベク
ターを以下の手順で作製した。可溶性ヒトVEGF受容体KD
R-7N’は、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細胞外領域のN
末端側から7個目のイムノグロブリン様部位の約2/3まで
に相当する。
【0195】pUC-KDR-XbをStuI及びSphIで切断し、終止
コドン及びNotI部位を含む合成リンカー(配列番号49及
び配列番号50)を挿入した。XbaI-NotI(2.2 kbp)断片
をバキュロウイルス組み換えpVL1393プラスミドのポリ
ヘドリン(Polyhedrin)遺伝子の転写開始点の下流5'側
XbaI及び3'側NotI部位に組み込み、可溶性ヒトVEGF受容
体KDR-7N’発現ベクターpVL-KDR-7N’を作製した。
【0196】(13)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-5N発現ベク
ターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜518番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片(以下、可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-5Nと称す)を発現するためのベクタ
ーを以下の手順で作製した。可溶性ヒトVEGF受容体KDR-
5Nは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細胞外領域のN末端
側から5個のイムノグロブリン様部位に相当する。
【0197】pUC-KDR-XbのEcoRI-HincII(1.9 kb)断片
及びSnaBI部位、終止コドン、NotI部位を含む合成DNA
(配列番号51及び配列番号52をpBluescriptII SK(-)のE
coRI/NotI部位に挿入し、pBS-KDR-5Nを作製した。pBS-K
DR-5NのXbaI-NotI(1.6 kb)断片をバキュロウイルス組
み換えpVL1393プラスミドのポリヘドリン(Polyhedri
n)遺伝子の転写開始点の下流5'側XbaI及び3'側NotI部
位に組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-5N発現ベクタ
ーpVL-KDR-5Nを作製した。
【0198】(14)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4N発現ベク
ターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜393番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片(以下、可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-4Nと称す)及びリンカー由来の2ア
ミノ酸残基を発現するためのベクターを以下の手順で作
製した。可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4Nは、可溶性ヒトVE
GF受容体KDRの細胞外領域のN末端側から4個のイムノグ
ロブリン様部位に相当する。
【0199】pAMo-4N-Fc(抗原の調製(4)参照)のXbaI/
KpnI(1.2 kb)断片及び配列番号53及び配列番号54の塩
基配列を有する合成リンカーをバキュロウイルス組み換
えpVL1393プラスミドのポリヘドリン(Polyhedrin)遺
伝子の転写開始点の下流5'側XbaI及び3'側NotI部位に組
み込み、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-4N発現ベクターpVL-
KDR-4Nを作製した。
【0200】(15)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-3N発現ベク
ターの構築 ヒトVEGF受容体KDRのシグナルペプチドを構成する配列
番号56記載の19アミノ酸及び成熟体ヒトVEGF受容体KDR
である、配列番号55記載のアミノ酸配列1〜294番目に
相当する可溶性ヒトVEGF受容体KDR断片(以下、可溶性
ヒトVEGF受容体KDR-3Nと称す)及びリンカー由来の2ア
ミノ酸残基を発現するためのベクターを以下の手順で作
製した。可溶性ヒトVEGF受容体KDR-3Nは、可溶性ヒトVE
GF受容体KDRの細胞外領域のN末端側から3個のイムノグ
ロブリン様部位に相当する。
【0201】pBS-KDR-3N(抗原の調製(5)参照)のXbaI/
SnaBI(1.2 kb)断片、配列番号47及び配列番号48の塩
基配列を有する合成リンカーをバキュロウイルス組み換
えpVL1393プラスミドのポリヘドリン(Polyhedrin)遺
伝子の転写開始点の下流5'側XbaI及び3'側BglII部位に
組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-3N発現ベクターpV
L-KDR-3Nを作製した。
【0202】(16)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7 △1N発現
ベクターの構築 可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7N(抗原の調製(14)参照)か
ら、N末端側から1番目のイムノグロブリン様部位を形成
する31番目のアミノ酸から102番目のアミノ酸までの計7
2個のアミノ酸を欠失させたKDR断片、6アミノ酸残基か
らなるリンカー(リンカー#1)及びヒト抗体Fc領域を
構成する227アミノ酸から成る融合タンパク質(以下、
可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7 △1Nと称す)を発現するた
めのベクターを以下の手順で作製した。可溶性ヒトVEGF
受容体KDR-7 △1Nは、可溶性ヒトVEGF受容体KDRの細胞
外領域のN末端側から2〜7番目のイムノグロブリン様部
位及び6アミノ酸残基からなるリンカー(リンカー#1)
から成る融合タンパク質に相当する。
【0203】pBS-KDR-5 △1N(抗原の調製(9)参照)のX
baI/HincII(1.6 kbp)断片及びpVL-KDR-7N(抗原の調
製(14)参照)のHincII/NotI(0.67 kbp)断片をバキュ
ロウイルス組み換えpVL1393プラスミドのポリヘドリン
(Polyhedrin)遺伝子の転写開始点の下流5'側XbaI及び
3'側NotI部位に組み込み、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7D
1N発現ベクターpVL-KDR-7D1Nを作製した。
【0204】(17)昆虫細胞による可溶性ヒトVEGF受容体
KDR発現を行うための組み換えウィルスの作製 昆虫細胞による蛋白質の生産には目的遺伝子を組み込ん
だ組み換えウィルスの作製が必要であるが、その作製に
はトランスファーベクターと呼ばれる目的蛋白質をコー
ドするcDNAを特殊なプラスミドに組み込む過程と野生型
ウィルスとトランスファーベクターを昆虫細胞にコトラ
ンスフェクションし、相同組み換えにより組み換えウィ
ルスを取得する過程を経る。以上の過程についてファー
ミンジェン社製バキュロゴールドスターターキット(製
品番号PM-21001K )を用いてそのマニュアルに従い以下
の手順で行った。
【0205】TMN-FHインセクトメディウム(ファーミン
ジェン社製)にて培養した昆虫細胞Sf9 (ファーミンジ
ェン社製)に線状バキュロウィルスDNA [バキュロゴー
ルド・バキュロウィルスDNA(BaculoGold baculovirus D
NA) 、ファーミンジェン社製]および作製したトランス
ファーベクターDNA をリポフェクチン法にて導入するこ
と[蛋白質核酸酵素、37, 2701(1992)]により行い組み
換えバキュロウィルスを以下のように作製した。
【0206】(1)で作製した発現ベクターの1μgと線状
バキュロウィルスDNA の20ngとを12μlの蒸留水に溶解
し、さらにリポフェクチン6μlと蒸留水6μlとを混和し
たものを加え室温で15分間放置した。一方Sf9 細胞1 ×
106個を2ml のSf900-II培地[ギブコ(Gibco) 社製]に
懸濁し、直径35mmの細胞培養用プラスチックシャーレに
入れた。ここに上記のプラスミドDNA、線状バキュロウ
ィルスDNA およびリポフェクチン混和溶液全量を加え27
℃で3日間培養後、組み換えウィルスを含む培養上清1ml
を採取した。シャーレには新たにSf900-II培地1mlを加
え、さらに27℃で3日間培養し組み換えウィルスを含む
培養上清をさらに1.5ml 得た。さらに、(2)〜(16)で作
製した発現ベクターを用い同様の操作を行った。
【0207】次に蛋白質発現に用いるために得られた組
み換えウィルスを各々、以下の手順で増殖させた。
【0208】Sf9細胞2×107個を10mlのSf900-II培地に
懸濁し、175cm2フラスコ(グライナー社製)に入れて室
温で1 時間放置して細胞をフラスコに付着させた。放置
後上清を除き新たに15mlのTMN-FHインセクトメディウム
と上記の組み換えウィルスを含む培養上清のうち1mlを
加え27℃で3日間培養した。培養後上清を1,500×gで10
分間遠心分離して細胞を除き、蛋白質発現に使用する組
み換えウィルス溶液を得た。
【0209】得られた組み換えウィルス溶液についてウ
ィルスの力価をバキュロゴールドスターターキット・マ
ニュアル(ファーミンジェン社製)に記載の方法で算定
した。
【0210】Sf9細胞6×106個を4mlのSf900-II培地に懸
濁し、直径60mmの細胞培養用プラスチックシャーレに入
れ、室温で1 時間放置して細胞をシャーレに付着させ
た。次に上清を除き新たにSf900-II培地400μlとSf900-
II培地で1000倍に希釈した上記組み換えウィルス溶液を
加え室温で1 時間放置した後、培地を除き5mlの1%低融
点アガロース[アガープラーク・アガロース(Agarplaqu
e Agarose)、ファーミンジェン社製]を含む培地[滅菌
した1ml の5%アガープラークプラス・アガロース水溶液
と4mlのTMN-FHインセクトメディウムを混和し、42℃に
保温したもの]を該シャーレに流し込んだ。室温で15分
間放置した後、乾燥を防ぐためビニルテープをシャーレ
にまき、密閉可能なプラスチック製容器に該シャーレを
入れ、27℃で6日間培養した。該シャーレに0.01% ニュ
ートラルレッドを含むPBS 1mlを加えさらに1 日培養し
た後、出現したプラークの数を数えた。以上の操作より
該組み換えウィルス溶液はいずれも約1×107プラークフ
ォーミングユニット(以下、PFU と称す)/ml のウィル
スを含んでいることがわかった。
【0211】(18)昆虫細胞における可溶性ヒトVEGF受
容体KDR-Fc各種誘導体、および、可溶性ヒトVEGF受容体
KDR各種誘導体の発現、精製 1(1)〜(16)で示した可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各
種誘導体、および、可溶性ヒトVEGF受容体KDR各種誘導
体は以下のようにして得た。High Five細胞4×107個を1
75cm2フラスコ(グライナー社製)中のEX-CELLTM400培
地(JRH Bioscience社製)30mlに懸濁し、室温で1時間
放置し、フラスコに付着させた。(1)〜(16)で得られ
たトランスファーベクター由来の組み換えウィルスを約
1〜3×108PFU /ml の濃度で含む溶液を1ml加え、室温で
2時間感染させた。培養上清を除き新たに30mlのEX-CELL
TM400培地30mlを加え27℃にて3〜4日間培養した。培養
終了後、培養上清を回収し1,500 ×gで10分間遠心分離
を行い上清を得た。
【0212】可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体に
ついては、プロセップAカラムを用いて以下のように精
製した。カラムに約1mlのプロセップA[Bioprocessing
社製]を充填し、10mlの20 mMリン酸ナトリウム緩衝液
(pH7.2)を用いて1ml/分の流速でカラムを洗浄した。
洗浄後、上記のように調製した可溶性ヒトVEGF受容体KD
Rを含む培養液500〜1000mlを100ml/時の流速でプロセッ
プAカラムに通塔した。さらに10mlの20 mMリン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH7.2)を用いて1ml/分の流速で洗浄した
後、50mMクエン酸緩衝液(pH3)を7ml通塔し、プロセッ
プAカラムに吸着した蛋白質の溶出を行った。各分画に
含まれる蛋白をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SD
S-PAGE)にて解析した。
【0213】可溶性ヒトVEGF受容体KDR各種誘導体につ
いては、以下のように精製した。50mlのDEAE-Sepharose
CL-6B(Pharmacia Biotech社製)を充填したカラムが液
の入口側に、40mlのHeparin Sepharose CL-6B(Pharmaci
a Biotech社製)を充填したカラムが出口側になるように
直列に接続し、300mlの20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
8)で洗浄した。洗浄後、可溶性ヒトVEGF受容体KDRを含
む培養液400〜800mlを50〜100ml/時の流速で通塔した。
更に、300mlの20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8)で洗浄
した後、Heparin Sepharose CL-6Bカラムのみに400mlの
0〜1M NaCl/20mMりん酸ナトリウム緩衝液にて連続濃度
勾配をかけ、吸着蛋白質の溶出を行った。溶出液は7ml
ずつ分画し、各分画に含まれる蛋白質をSDS-PAGEにて解
析し、可溶性ヒトVEGF受容体KDRを含む分画を60〜80ml
回収した。回収した精製画分はセントリプレップ10(ア
ミコン社製)を用いて濃縮し、可溶性ヒトKDR3N、KDR4
N、KDR5N、KDR7N’およびKDR7Nを溶液としてそれぞれ2.
8ml、8ml、5.5ml、4mlおよび4.8ml(蛋白質濃度/純度は
345.5μg/ml/30%、264μg/ml/50〜60%、380.5μg/ml/70
%、1.59mg/ml/60%および815μg/ml/70〜80%)得た。取
得した可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体、およ
び、可溶性ヒトVEGF受容体KDR各種誘導体の模式図は図1
3および図14に示した。
【0214】(19)可溶性ヒトVEGF受容体KDR の純度の
確認 精製可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fcの純度をSDS-PAGEを用
いて確認した。SDS-PAGEは文献記載の方法[Anticancer
Research, 12, 1121 (1992)]に従った。ゲルには5〜2
0%グラジエントゲル(アトー社製)を用い、還元条件
下でレーンあたりのタンパク量として2μgのKDR-Fcそれ
ぞれ泳動し、クーマシーブリリアントブルーにて染色し
た。図15に結果を示した。KDR-7N-Fc、KDR-5N-Fc、KDR-
4N-Fc、KDR-3N-Fc、KDR-2N-Fc、KDR-1N-Fc、KDR-5△1N-
Fc、KDR-4△1N-Fcの純度は95%以上であった。
【0215】(20)対照抗原蛋白の精製 対照抗原蛋白は以下のようにして得た。High Five細胞4
×107個を175cm2フラスコ(グライナー社製)中のEX-CE
LLTM400培地(JRH Bioscience社製)30mlに懸濁し、室
温で1時間放置し、フラスコに付着させ、27℃にて3〜4
日間培養した。培養終了後、培養上清を回収し1,500 ×
g で10分間遠心分離を行い上清を得た。
【0216】カラムにヘパリン−セファロースCL-6Bゲ
ル(Pharmacia Biotech AB社製)約20mlを充填し、200m
lの20mMトリス−塩酸(pH7.5)緩衝液で0.5ml/分の流速で
洗浄した。洗浄後、上記のように調製したHigh Five細
胞の培養液500ml を0.5ml/分の流速でヘパリン−セファ
ロースCL-6Bカラムに通塔した。さらに200mlの0.2M NaC
lを含む20mMトリス−塩酸(pH7.5)で0.5ml/分の流速で洗
浄した後、1M NaClを含む20mMトリス−塩酸(pH7.5)から
なる緩衝液を200 ml通塔し、ヘパリン−セファロースに
吸着した蛋白質を溶出した。1M NaCl溶出画分をセント
リプレップ10(アミコン社製)を用いて濃縮し対照抗原
蛋白を蛋白濃度867μg/mlの溶液として7 ml得た。
【0217】(21)可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘
導体のヒトVEGF結合活性の確認 (18)で取得した可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体
(KDR-7N-Fc, KDR-5N-Fc, KDR-4N-Fc, KDR-3N-Fc, KDR-
2N-Fc, KDR-1N-Fc, KDR-5△1N-Fc, KDR-4△1N-Fc, KDR-
2△1N-Fc)のヒトVEGF結合活性を以下の(21-1)VEGF結
合阻害試験、(21-2)VEGF結合試験により確認した。
【0218】(21-1)VEGF結合阻害試験 96ウェル・イムオビロンTM−Pフィルトレーション・プ
レート(96-well ImmobilonTM-P Filtration Plate ;
ミリポア社製)にメタノールを100μl/ウエルで分注
し、プレート底部のPVDF膜を親水化した。水で洗浄後、
PBS 希釈4μg/ml可溶性ヒトKDR-7N-Fcを50μl/ウェルで
分注し、4 ℃で一晩放置して吸着させた。洗浄後、1 %
牛血清アルブミン(BSA) を含むPBSを200μl/ ウェル加
え、室温30分間反応させて残っている活性基をブロック
した。PBSで洗浄後、(18)で取得した精製可溶性ヒトV
EGF受容体KDR-Fc各種誘導体(KDR-7N-Fc, KDR-5N-Fc, K
DR-4N-Fc, KDR-3N-Fc, KDR-2N-Fc, KDR-1N-Fc, KDR-5△
1N-Fc, KDR-4△1N-Fc, KDR-2△1N-Fc)を50μl/ウエル
で分注し(最終濃度0.05〜6.25μg/ml)、さらに、12 5I
標識ヒトVEGF(最終濃度 4ng/ml:アマシャム社製)を
50μl/ ウェル加え、室温で1.5 時間反応させた。0.05
%tween-PBS で洗浄後、50℃にてウエルを乾燥させ、マ
イクロシンチ-0(パッカード社製)を10μl/ウエル加
え、トップカウント(パッカード社製)を用いて、各ウ
エルに結合した125I標識ヒトVEGFの放射活性を測定し
た。
【0219】結果を図16に示す。KDR-7N-Fc, KDR-5△1N
-Fc, KDR-5N-Fc, KDR-4△1N-Fc, KDR-4N-Fcは濃度依存
的に125I標識ヒトVEGFの可溶性ヒトKDR7N-Fcへの結合を
阻害することが示された。一方、KDR-3N-Fc, KDR-2N-F
c, KDR-1N-Fc, KDR-2△1N-Fcは全く結合阻害活性を示さ
なかった。結合阻害活性の強さは、KDR-7N-Fc > KDR-5
△1N-Fc >KDR-5N-Fc > KDR-4△1N-Fc > KDR-4N-Fcの
順番であった。従って、VEGFのKDRへの結合には、少な
くともN末から1番目、6番目、7番目のIg様ドメインは関
与しないことが示された。また、N末から2、3、4番目の
Ig様ドメイン(N末端アミノ酸から103〜393番目)があ
ればVEGFに結合できることが示された。
【0220】(21-2)VEGF結合試験 96ウェル・イムオビロンTM−Pフィルトレーション・プ
レート(96-well ImmobilonTM-P Filtration Plate ;
ミリポア社製)にメタノールを100μl/ウエルで分注
し、プレート底部のPVDF膜を親水化した。水で洗浄後、
PBS 希釈した0.1〜12.5μg/mlの(18)で取得した精製
可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体(KDR-7N-Fc, K
DR-5N-Fc, KDR-4N-Fc, KDR-3N-Fc, KDR-2N-Fc, KDR-1N-
Fc, KDR-5△1N-Fc, KDR-4△1N-Fc, KDR-2△1N-Fc)を50
μl/ウェルで分注し、4 ℃で一晩放置して吸着させた。
洗浄後、1 %牛血清アルブミン(BSA) を含むPBSを200μ
l/ウェル加え、室温3分間反応させて残っている活性基
をブロックした。PBS で洗浄後、125I標識ヒトVEGF(最
終濃度 4ng/ml:アマシャム社製)を50μl/ ウェル加
え、室温で1.5 時間反応させた。0.05%tween-PBS で洗
浄後、50℃にてウエルを乾燥させ、マイクロシンチ-0
(パッカード社製)を10μl/ウエル加え、トップカウン
ト(パッカード社製)を用いて、各ウエルに結合した
125I標識ヒトVEGFの放射活性を測定した。
【0221】結果を図17に示す。KDR-7N-Fc, KDR-5△1N
-Fc, KDR-5N-Fc, KDR-4△1N-Fc, KDR-4N-Fcは濃度依存
的に125I標識ヒトVEGFに結合することが示された。一
方、KDR-3N-Fc, KDR-2N-Fc, KDR-1N-Fc, KDR-2△1N-Fc
は全く結合活性を示さなかった。結合活性の強さは、KD
R-7N-Fc > KDR-5△1N-Fc = KDR-5N-Fc > KDR-4△1N-F
c> KDR-4N-Fcの順番であった。従って、VEGFのKDRへの
結合には、少なくともN末から1番目、6番目、7番目のIg
様ドメインは関与しないことが示された。また、N末か
ら2、3、4番目のIg様ドメイン(N末端アミノ酸から103
から393番目)があればVEGFに結合できることが示され
た。
【0222】(22)昆虫細胞におけるヒトVEGFの発現 ヒトVEGFは以下のようにして得た。High Five細胞4 ×1
07個を175cm2フラスコ(グライナー社製)にEX-CELLTM4
00培地(JRH Bioscience社製)30mlに懸濁し、室温で1
時間放置し、フラスコに付着させた。文献[セル・グロ
ース・アンド・ディファレンシエーション(Cell Growth
& Differentiation),7, 213 (1996)]記載の方法によ
り得られたヒトVEGF組み換えバキュロウィルス溶液を約
1〜3×108PFU/mlの濃度で含む溶液を1ml 加え、室温で2
時間感染させた。培養上清を除き新たに30mlのEX-CELL
TM400培地30mlを加え27℃にて3〜4日間培養した。培養
終了後、培養上清を回収し1,500×gで10分間遠心分離を
行い上清を得た。
【0223】カラムに約40mlのヘパリン−セファロース
CL-6Bゲル[ファルマシア・バイオテック(Pharmacia Bi
otech) AB社製]を充填し、400mlの20mMトリス−塩酸(p
H7.5) からなる緩衝液を用いて0.5ml/分の流速で洗浄し
た。洗浄後、上記のように調製したヒトVEGFを含む培養
液1500mlを0.5ml/分の流速でヘパリン−セファロースCL
-6Bカラムに通塔した。さらに400mlの20mMトリス−塩酸
(pH7.5)を用いて0.5ml/分の流速で洗浄した後、0.2M、
0.5Mおよび1MのNaCl含有20mMトリス−塩酸(pH7.5)から
なる緩衝液各120 mlを順次通塔し、ヘパリン−セファロ
ースに吸着した蛋白質を段階的に溶出を行うと共に8ml
ずつ溶出液を分画した。各分画に含まれる蛋白質をSDS
ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて解析し、ヒトVEGF
を含む分画(0.5〜1M NaCl画分)を120ml回収した。セ
ントリプレップ-10(アミコン社製)で濃縮後、ヒトVEG
Fを溶液として4ml(蛋白濃度1.2 mg/ml)得た。
【0224】2.動物の免疫と抗体産生細胞の調製 1(18)で得られた各種抗原10〜50μg をそれぞれアルミ
ニウムゲル2mg および百日咳ワクチン(千葉県血清研究
所製)1 ×109細胞とともに5週令雌BALB/c(日本SLC
社製)、B6C3F1マウス(日本チャールズリバー社製)あ
るいは雌SDラット(日本SLC社製)に投与し、2 週間
後より10〜50μgの蛋白質を1 週間に1回、計4 回投与し
た。また、NIH3T3-KDR細胞1×107個を5週令雌BALB/c
(日本SLC社製)3匹に投与し、計6回投与した。眼
底静脈叢、心臓、あるいは、尾静脈より採血し、その血
清抗体価を以下に示す酵素免疫測定法で調べ、3.で示す
酵素免疫測定法により十分な抗体価を示したマウスある
いはラットから最終免疫3日後に脾臓を摘出した。な
お、NIH3T3-KDR細胞を投与した5 週令雌BALB/cでは免疫
がかからず、可溶性KDRに対する抗体価は上昇しなかっ
た。
【0225】脾臓をMEM 培地(日水製薬社製)中で細断
し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1,200rpm、5 分
間)した後、上清を捨て、トリス−塩化アンモニウム緩
衝液(pH7.65)で1 〜2 分間処理し赤血球を除去し、ME
M 培地で3 回洗浄し、細胞融合に用いた。
【0226】3.酵素免疫測定法 1(18)で得られた可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導
体、KDR各種誘導体を免疫したマウスあるいはラットに
由来する抗血清およびハイブリドーマの培養上清の測定
に関しては、抗原として、1(18)の昆虫細胞培養上清よ
り得られた可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体、KD
R各種誘導体を用いた。96ウェルのEIA 用プレート(グ
ライナー社製)に、PBS希釈1 〜10μg/ml可溶性ヒトVEG
F受容体KDR-Fc各種誘導体、KDR各種誘導体および対照抗
原として1(20)で得られたHigh Five細胞培養上清のヘ
パリンカラム吸着画分、あるいは、抗GD3マウスヒトキ
メラ抗体KM871[Cancer Immunology and Immunotherap
y, 36, 373(1993) ]をそれぞれ50μl/ウェルで分注
し、4 ℃で一晩放置して吸着させた。洗浄後、1%牛血
清アルブミン(BSA)を含むPBSを100μl/ ウェル加え、
室温1時間反応させて残っている活性基をブロックし
た。1%BSA-PBSを捨て、被免疫マウスあるいは被免疫ラ
ット抗血清およびハイブリドーマの培養上清を50μl/ウ
ェルで分注し2 時間反応させた。0.05% tween-PBS で
洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスイムノグ
ロブリンあるいはペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ラット
イムノグロブリン(ともにDAKO社製)を50μl/ウェルで
加えて室温、1 時間反応させ、0.05% tween-PBS で洗浄
後ABTS基質液[2.2-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾ
ール-6- スルホン酸)アンモニウム]を用いて発色させ
OD415nmの吸光度E max[モレキュラー・デバイシーズ
(Molecular Devices)社製]を測定した。
【0227】4.マウス骨髄腫細胞の調製 8-アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3-U1 を正常培
地で培養し、細胞融合時に2 ×107以上の細胞を確保
し、細胞融合に親株として供した。
【0228】5.ハイブリドーマの作製 2.で得られたマウス脾細胞あるいはラット脾細胞と4.で
得られた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分
離(1,200rpm、5 分間)した後、上清を捨て、沈澱した
細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリ
エチレングライコール−1000(PEG-1000)2g、MEM 培地2m
l およびDMSO 0.7mlの混液0.2 〜1ml/10 8マウス脾細胞
を加え、1 〜2 分間毎にMEM 培地1 〜2ml を数回加えた
後、MEM培地を加えて全量が50mlになるようにした。遠
心分離(900rpm、5 分間)後、上清を捨て、ゆるやかに
細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出し
でゆるやかに細胞をHAT 培地100ml中に懸濁した。
【0229】6.Binding ELISAによるハイブリドーマス
クリーニング 5.で得られた懸濁液を96ウェル培養用プレートに100 μ
l/ウェルずつ分注し、5%CO2インキュベーター中、37℃
で10〜14日間5%CO2下で培養した。この培養上清を3 に
記載した酵素免疫測定法で調べ、1(18)で得られた可溶
性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体、KDR各種誘導体に
特異的に反応し、かつ1(20)で得られた対照抗原に反
応しないウェルを選び、さらにHT培地と正常培地に換
え、2回クローニングを繰り返して、抗ヒトVEGF受容体K
DRモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ株を確
立した。以下にその結果を示す。
【0230】
【表1】
【0231】1(18)で得られた可溶性ヒトVEGF受容体KDR
-Fc各種誘導体、KDR各種誘導体およびKDR-NIH3T3細胞を
免疫したBalb/cマウス、B6C3F1マウス、あるいはSDラッ
ト計32匹から得られたハイブリドーマを約16548ウエル
スクリーニングし、1(18)で得られた可溶性ヒトVEGF受
容体KDR-Fc各種誘導体、KDR各種誘導体に特異的に反応
し、かつ1(20)で得られた対照抗原あるいはKM871に反
応しない計74クローンの抗ヒトVEGF受容体KDRモノクロ
ーナル抗体を取得し、それぞれ表1のように命名した。
これらの抗ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体の中
で、40個のモノクローナル抗体(KM1668、1768、1825、
1826、1827、1828、1829、1831、1835、1837、1853、18
56、1857、1859、1860、1861、1862、1863、1864、186
5、1933、1942、1943、1944、1945、1946、1947、194
8、1949、1950、1987、1988、1989、1858、1832、183
3、1834、1836、1838、1932)が15.で示す免疫細胞染色
法により細胞表面上のKDRに反応することが示された。
しかし、血管内皮細胞のVEGF刺激による増殖促進活性を
阻害する活性を示すようなKDRの生物活性を阻害するモ
ノクローナル抗体は取得できなかった。
【0232】7.モノクローナル抗体のエピトープ解析 6.で述べた抗ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体の
特異性をハイブリドーマ培養上清を用いて3.に記載した
酵素免疫測定法を用いて確認した。
【0233】代表的な結果を 図18に、まとめた結果を
図19に示す。上記74種のモノクローナル抗体のうち、KM
1668他32種が1番目のIg様ドメイン(1〜104アミノ酸に
対応)に反応し、KM1987他3種が1番目のIg様ドメイン
(1〜104 アミノ酸に対応)と2番目のIg様ドメイン(10
5〜194アミノ酸に対応)の間に反応し、KM1855他5 種が
2番目のIg様ドメイン(105〜194アミノ酸に対応)に反
応し、KM1858他2種が3番目のIg様ドメイン(195〜294ア
ミノ酸に対応)に反応し、KM1854他3種が4番目のIg様ド
メイン(295〜393アミノ酸に対応)に反応し、KM1832他
14種が5番目のIg様ドメイン(394〜518アミノ酸に対
応)に反応し、KM1665他2種が6〜7番目のg様ドメイン
(519〜738アミノ酸に対応)に反応した。従って、1番
目のIg様ドメインに対する免疫原性の高いモノクローナ
ル抗体の43%が1番目のIg様ドメインに反応した。(2
1)で示したようにKDRの1番目のIg様ドメインはVEGFの
結合活性に関与しないが、免疫原性が高いため、ELISA
スクリーニングでは中和活性を示すモノクローナル抗体
の作製が困難であると推定された。
【0234】8.[125I]VEGF-KDR結合阻害アッセイによ
る抗体価の測定 免疫原性が高く、中和活性に関係のない1番目のIg様ド
メインに対するモノクローナル抗体を排除するため、1
(18)で得られたKDR-5△1N-Fcをマウスに免疫した。マ
ウス抗血清のヒトVEGFとヒトVEGF受容体KDR の結合阻害
活性を以下の手順に従い評価した。
【0235】96ウェル・マルチスクリーン−IPプレー
ト(96-well MultiScreen-IP Plate;ミリポア社製)に
メタノールを100μl/ウエルで分注し、プレート底部のP
VDF膜を親水化した。水で洗浄後、PBS で4μg/mlの濃度
に希釈した可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7N-Fcを50μl/ウ
ェルで分注し、4 ℃で一晩放置して吸着させた。洗浄
後、1 %牛血清アルブミン(BSA) 含有PBSを200μl/ ウ
ェル加え、室温30分間反応させて残っている活性基をブ
ロックした。PBSで洗浄後、1%BSA-PBS 溶液で100、100
0、10000倍に希釈した抗血清、1%BSA-PBS 溶液で希釈し
た精製モノクローナル抗体(0.01〜25μg/ml)、あるい
は、ハイブリドーマの培養上清を50μl/ウェルで分注
し、さらに、4 ng/mlの125I標識ヒトVEGF(アマシャム
社製)を50μl/ウェル加え室温で1.5時間反応させた。
【0236】0.05%tween-PBSで洗浄後、50℃にてウエル
を乾燥させ、マイクロシンチ-0(パッカード社製)を1
0μl/ウエル加え、トップカウント(パッカード社製)
を用いて、各ウエルに結合した125I標識ヒトVEGFの放射
活性を測定した。ハイブリドーマの培養上清の活性を検
討した結果を表2に示した。
【0237】
【表2】
【0238】KDR-5△1N-Fc免疫したマウス3匹の抗血清
は全て100倍希釈において50%以上の結合阻害活性を示
し、3匹中1匹の抗血清は1000倍希釈において34.3%と最
も強い結合阻害活性を示した。KDR-7N-Fc, KDR-5N-Fc免
疫マウスそれぞれ3匹、2匹の抗血清は100倍希釈におい
て50%以上の結合阻害活性を示した。従って、結合阻害
活性が最も強く、さらに、免疫原性の強い1番目のIg様
ドメインを含まないKDR-5△1N-Fcが免疫原として適する
ことが示された。
【0239】9.[125I]VEGF-KDR結合阻害アッセイによ
るハイブリドーマのスクリーニング KDR-5△1N-Fc免疫マウス1匹よりハイブリドーマを作製
し、得られた約672ウエルの培養上清を用いて8.で示し
た[125I]VEGF-KDR結合阻害アッセイでスクリーニングし
たところ、培養上清では90.1、66.7、59.0、85.7、86.
8、78.0、91.2%の結合阻害活性を示す7クローンのモノ
クローナル抗体産生ハイブリドーマを得、これらをそれ
ぞれKM1991〜1997と命名した(表1)。
【0240】10.モノクローナル抗体KM1991〜1997のエ
ピトープ解析 9.で述べた抗ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体の
特異性を精製抗体5μg/mlを用いて3に記載した酵素免疫
測定法を用いて確認した。
【0241】代表的な結果を図20に、まとめた結果を図
19に示す。KM1992、KM1995に代表される上記7種のモノ
クローナル抗体は全て4番目のIg様ドメイン(295〜393
アミノ酸に対応)に反応した。従って、KDRのN末から4
番目のIg様ドメイン(295〜393アミノ酸に対応)がVEGF
との結合に特に重要であることが示された。特に、KM19
91、KM1992、KM1993、KM1994およびKM1995は、13.に示
したVEGF受容体KDRの自己リン酸化阻害活性、あるい
は、14.に示したVEGF依存的血管内皮細胞の増殖阻害活
性を示し、KDRの生物活性を阻害する中和モノクローナ
ル抗体であることが示された。6.で取得された計74クロ
ーンの抗ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体では、K
DRの生物活性を阻害する中和モノクローナル抗体を取得
することができなかったのに対し、9.では中和モノクロ
ーナル抗体が取得できたことから、免疫原性の強い1番
目のIg様ドメインを含まないKDR-5△1N-Fcが免疫原とし
て適すること、[125I]VEGF-KDR結合阻害アッセイがハイ
ブリドーマスクリーニング系として適することが明らか
となった。
【0242】モノクローナル抗体の抗体クラスを決める
ためにサブクラスタイピングキット[ザイメット(Zyme
d )社製]を用いた酵素免疫測定法を行った。その結果
を以下の表3に示す。
【0243】
【表3】
【0244】本発明で確立したモノクローナル抗体はIg
MであるKM1659、KM1942、IgAであるKM1664、IgEであるK
M1991、KM1996、KM1997を除き、すべてIgGクラスであっ
た。
【0245】11.モノクローナル抗体の精製 プリスタン処理した8 週令ヌード雌マウス(Balb/c)に
6、9で得られたハイブリドーマ株を5 〜10×106細胞/
匹それぞれ腹腔内に注射した。10〜21日後に、ハイブリ
ドーマは腹水癌化した。腹水のたまったマウスから、腹
水を採取(1〜8ml/匹)し、遠心分離(3,000rpm、20分
間)して固形分を除去した後カプリル酸沈殿法(アンチ
ボディーズ・ア・ラボラトリー・マニュアル)により精
製し、精製モノクローナル抗体とした。
【0246】12.抗KDRモノクローナル抗体によるヒトV
EGFとヒトVEGF受容体KDRの結合阻害活性の確認 9 .で述べた抗ヒトVEGF受容体KDR モノクローナル抗体
のヒトVEGFとヒトVEGF受容体KDR の結合阻害活性を8.に
示した手順に従い確認した。対照として、抗ヒトVEGF受
容体KDR モノクローナル抗体のヒトVEGFとヒトVEGF受容
体Flt-1の結合阻害活性を以下の手順に従い確認した。
【0247】96ウェル・マルチスクリーン−IPプレー
ト(96-well MultiScreen-IP Plate;ミリポア社製)に
メタノールを100 μl/ウエルで分注し、プレート底部の
PVDF膜を親水化した。水で洗浄後、PBS で1.6 μg/mlの
濃度に希釈した可溶性ヒトVEGF受容体Flt-1 7Nを50μl/
ウェルで分注し、4 ℃で一晩放置して吸着させた。洗浄
後、1 %牛血清アルブミン(BSA) 含有PBS を50μl/ ウ
ェル加え、室温1 時間反応させて残っている活性基をブ
ロックした。PBS で洗浄後、ハイブリドーマの培養上清
あるいは0.5M NaCl を含む1%BSA-PBS 溶液で希釈した精
製モノクローナル抗体(0.01〜7.29μg/ml)を50μl/ウ
ェルで分注し、さらに、3ng/mlの125I標識ヒトVEGF(ア
マシャム社製)を50μl/ ウェル加え室温で1.5 時間反
応させた。0.05%tween-PBSで洗浄後、50℃にてウエルを
乾燥させ、マイクロシンチ-O(パッカード社製)を30μ
l/ウエル加え、トップカウント(パッカード社製)を用
いて、各ウエルに結合した125I標識ヒトVEGFの放射活性
を測定した。
【0248】結果を 図20に示す。KM1992、1993、199
4、1995は濃度依存的にヒトVEGFとヒトVEGF受容体KDRの
結合を阻害した。ヒトVEGFとヒトVEGF受容体KDRの結合
の50%阻害を示すKM1992、1993、1994、1995の濃度(IC
50)はそれぞれ2.26、2.43、0.74、1.95μg/mlであっ
た。一方、コントロールとして使用したマウスIgG1クラ
スである抗シアリルルイスAモノクローナル抗体KM231
[アンチキャンサー・リサーチ(Anticancer Research),
10, 1579(1990)]は全く阻害活性を示さなかった。さ
らに、コントロール実験系として用いたヒトVEGFとヒト
VEGF受容体Flt-1の結合をKM1992、1993、1994、1995は
全く阻害せず、KM1992、1993、1994、1995はKDR特異的
な結合阻害剤であることが示された。 13.抗KDRモノクローナル抗体によるVEGF受容体KDRの自
己リン酸化阻害 9 .で述べた抗ヒトVEGF受容体KDR モノクローナル抗体
によるヒトVEGFの生物活性の阻害を以下の手順により確
認した。
【0249】ヒトVEGF受容体KDR発現NIH3T3細胞(NIH3T3
-KDR)を10%FCS-DMEM培地20mlを用いて175cm2フラスコ
にて5〜10×106cells/フラスコになるまで培養した。培
養後、0.1 mMのオルトバナジン酸(V)ナトリウムを含
む0.1%FCS-DMEM10mlに交換し、抗VEGF受容体KDR抗体を
10μg/mlとなるように添加して氷上で30分間前処理を行
った。前処理後、ヒトVEGF (R&D社製)を50 ng/mlとなる
ように添加し、氷上で45分間刺激を行った。刺激後、フ
ラスコから培地を除去し、細胞破砕緩衝液[20 mM Hepe
s (pH7.4), 150 mM NaCl, 0.2% TritonX-100, 10% Glyc
erol, 2 mM Na3VO4, 10 mM Na4P2O7, 5 mM EDTA, 50 mM
NaF, 1.5 mM MgCl2, 1 mM PMSF, 10μg/ml aprotinin,
5μg/ml leupeptin]を2ml加え、細胞を破砕し、細胞
破砕液を得た。細胞破砕液を15,000× gで10分間遠心分
離を行い、上清にヤギ抗マウスIgG(H+L)セファロース4B
(Zymed Laboratories社製)を100μl添加し4℃で1時間
穏やかに混合した。5,000 ×gで1分間遠心分離後、上清
にヤギ抗マウスIgG(H+L)セファロース4Bを30μl、マウ
ス抗KDRモノクローナル抗体KM1668を10μg添加し、4℃
で1晩穏やかに混合し、免疫沈降を行った。5,000 ×gで
1分間遠心分離を行い、セファロースを回収し、回収し
たセファロースを1mlの細胞破砕緩衝液で洗浄した。洗
浄操作は繰り返して6回行った。洗浄後、回収したセフ
ァロースから30μlの2-メルカプトエタノールを含むSDS
ポリアクリルアミドゲル電気泳動用サンプルバッファー
(2倍濃度)にて吸着タンパク質を溶出し、全量をSDSポ
リアクリルアミドゲル電気泳動、ウエスタンブロッティ
ングに供した。ブロッティング後のPVDF膜は1%BSA-PBS
に室温で30分間反応させブロッキング操作を行い、ウサ
ギ抗リン酸化チロシン抗体(2μg/ml)(Upstate Biotec
hnology Incorpotated社製)を4℃にて1晩反応させた。
0.05% Tween-PBSで洗浄し、ペルオキシダーゼ標識した
ブタ抗ウサギIgG (1000倍希釈:Dako社製)を室温で1時
間反応させた。0.05% Tween-PBSで洗浄し、ECLTMWester
n blotting detection reagents(アマシャム社製)を
用いて、ウサギ抗リン酸化チロシン抗体が結合したバン
ドを検出した。
【0250】結果を図22に示す。VEGF添加によりVEGF受
容体KDRの自己リン酸化が検出されたが、マウス抗KDRモ
ノクローナル抗体KM1991, 1992, 1994, 1995添加により
KDRの自己リン酸化が抑制された。
【0251】14.抗KDRモノクローナル抗体によるVEGF依
存的血管内皮細胞の増殖阻害 9 . で述べた抗ヒトVEGF受容体KDR モノクローナル抗体
によるヒトVEGFの生物活性の阻害を以下の手順により確
認した。48ウエルマイクロタイタープレートにE-BM培地
に5 %ウシ胎児血清(FBS)、ヒト組み換え型上皮成長
因子(hEGF)10ng/ml 、ハイドロコーチゾン1 μg/ml、
ゲンタマイシン50μg/ml、アンファテリシンB 50ng/ml
を添加した培地(クラボウ社製)に浮遊させたヒト皮膚
由来微小血管内皮細胞HMVEC(クラボウ社製)を4000個/
800μl/ウエルになるように加えた。次に、上記培地で
希釈した精製抗VEGF受容体KDR モノクローナル抗体(終
濃度2 μg/mlおよび20μg/ml)100 μl/ウェルで添加
し、さらに、上記培地で希釈したヒトVEGF (R&D社製)
を100 μl/ウェル(終濃度1ng/ml)で添加し、37℃ CO2
インキュベーター中で5日間培養した。培養後、培養上
清を除去し、200 μl の10%FCS 添加のフェノールレッ
ド除去RPMI1640(ニッスイ社製)を各ウエルに加え、さ
らに、20μlの細胞発色用試薬(Cell Counting Kit;同
仁化学社製)を加え、37℃で1 〜2 時間培養した。培養
終了後、150 μl をEIA 用96ウエルマイクロタイタープ
レートに移し、OD450nmの吸光度を測定した。1 ng/ml
のVEGF添加時のHMVEC の増殖を100%、VEGF非添加時のH
MVEC の増殖を0%とした相対的な細胞増殖活性を示し
た。
【0252】結果を図23に示す。抗VEGF受容体KDR モノ
クローナル抗体KM1992およびKM1995は濃度依存的にVEGF
依存的なHMVEC の増殖を阻害した。2 μg/ml添加時のKM
1992およびKM1995の増殖阻害活性は、それぞれ74.3%、
70.9%、20μg/ml添加時のKM1992およびKM1995の増殖阻
害活性は、それぞれ108.7%、103.0 %であった。一
方、コントロールとして使用したKM231および抗体非添
加群は阻害活性を示さなかった。
【0253】15.モノクローナル抗体のヒトVEGF受容体
KDR発現細胞との反応性の確認6および9で述べた抗ヒトV
EGF受容体KDRモノクローナル抗体の特異性を免疫細胞染
色を用いて以下の手順に従い確認した。
【0254】ヒトVEGF受容体KDR発現NIH3T3細胞(NIH3T3
-KDR)、コントロールNIH3T3細胞(NIH3T3-Neo)、ヒト皮
膚由来微小血管内皮細胞HMVEC(クラボウ社製)、ヒト
さい帯静脈由来血管内皮細胞HUVEC(クラボウ社製)2〜
5 ×105個を丸底96ウェルプレートに免疫細胞染色用緩
衝液(1% BSA 、0.02% EDTA 、0.05% アジ化ナトリウム
を含むPBS )100μlに懸濁して分注した。4℃、350×g
で1分間遠心分離後、上清を除き、6、9で述べた精製抗
体(10μg/ml)50μlを加えて4 ℃で30分間反応させ
た。反応後、200μlの免疫細胞染色用緩衝液を各ウェ
ルに加え4 ℃、350×g で1 分間遠心分離後、上清を除
き細胞の洗浄を行った。この洗浄操作をさらに2 回行っ
た後、FITC標識抗マウスイムノグロブリン抗体あるいは
FITC標識抗ラットイムノグロブリン抗体(和光純薬社
製)を1 μg/mlの濃度で含む免疫細胞染色用緩衝液50μ
l を加えて4 ℃で30分間反応させた。反応後、上記と同
様の洗浄操作を3回行った後フローサイトメーター(コ
ールター社製)を用いて解析を行った。
【0255】結果を図24に示す。抗ヒトVEGF受容体KDR
モノクローナル抗体KM1668はコントロール細胞には反応
せずKDR発現細胞に特異的に顕著に反応した(A)。ま
た、ヒト血管内皮細胞HMVECおよびHUVECに反応し、血管
内皮細胞上のKDRを検出可能性あることが示された。
【0256】また、9.で示した[125I]VEGF-KDR結合阻害
アッセイにより選択されたKM1992、KM1993、KM1994、KM
1995は、ヒト血管内皮細胞HMVECおよびHUVECに反応し、
血管内皮細胞上のKDRを検出可能性あることが示された
(図25)。
【0257】
【発明の効果】本発明により、ヒト血管新生部の血管内
皮細胞上に特異的に発現されているヒトVEGF受容体KDR
に特異的に結合する抗体が提供される。本発明の抗体は
免疫細胞染色におけるヒト血管新生部の免疫学的検出、
KDRの作用の中和による固形腫瘍の増殖、転移形成、慢
性関節リュウマチにおける関節炎、糖尿病性網膜症、未
熟児網膜症、乾鮮など異常な血管新生により病態が進行
する疾患の診断あるいは治療に有用である。
【0258】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KYOWA HAKKO KOGYO CO., LTD <120> Anti human VEGF receptor KDR antibody ,comprising novel amino acid sequences of complementary determinant regions <130> H11-112 <160> 56 <170> PatentIn Ver. 2.0
【0259】<210> 1 <211> 431 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <223> <400> 1 atg gga tgg agc tgg atc ttt ctc ttc ctc ctg tca gga act gca ggt 48 Met Gly Trp Ser Trp Ile Phe Leu Phe Leu Leu Ser Gly Thr Ala Gly -15 -10 -5 gtc cat tgc cag gtc cag ctg cag cag tct gga cct gag gtg gtg aag 96 Val His Cys Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Pro Glu Val Val Lys -1 1 5 10 cct gga gct tca gtg aag ctg tcc tgc aag gct tct ggc tac acc ttc 144 Pro Gly Ala Ser Val Lys Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe 15 20 25 act gac tat act ata cac tgg atg aaa cag agt cct gga cag gga ctt 192 Thr Asp Tyr Thr Ile His Trp Met Lys Gln Ser Pro Gly Gln Gly Leu 30 35 40 45 gag tgg att gga tgg att tat cct gga agt ggt aat act tac tac aat 240 Glu Trp Ile Gly Trp Ile Tyr Pro Gly Ser Gly Asn Thr Tyr Tyr Asn 50 55 60 gac aaa ttc aag ggc aag gcc aca atg act gca gac aaa tcc tcc agc 288 Asp Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Met Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser 65 70 75 aca gcc tac atg cag ctc agc agc ctg acc tct gag gat tct gcg gtc 336 Thr Ala Tyr Met Gln Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val 80 85 90 tat ttc tgt gca aga cgg agc tta gtt tgg tac tac gat ggt agt tcc 384 Tyr Phe Cys Ala Arg Arg Ser Leu Val Trp Tyr Tyr Asp Gly Ser Ser 95 100 105 tgg ttt cct tac tgg ggc caa ggg act ctg gtc act gtc tct gca g 432 Trp Phe Pro Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ala 110 115 120
【0260】
【0261】<210> 2 <211> 394 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <223> <400> 2 atg gag aca gac aca ctc ctg tta tgg gta ctg ctg ctc tgg gtt cca 48 Met Glu Thr Asp Thr Leu Leu Leu Trp Val Leu Leu Leu Trp Val Pro -20 -15 -10 -5 ggt tcc act ggt gac att gtg ctg aca cag tct cct gct tcc tta gct 96 Gly Ser Thr Gly Asp Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Ser Leu Ala -1 1 5 10 gta tct ctg ggg cag agg gcc acc atc tca tgc agg gcc agc aaa agt 144 Val Ser Leu Gly Gln Arg Ala Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Lys Ser 15 20 25 gtc agt aca tct ggc tat agt tat atg cac tgg tac caa cag aaa cca 192 Val Ser Thr Ser Gly Tyr Ser Tyr Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro 30 35 40 gga cag cca ccc aaa ttc ctc atc tat ctt gca tcc aac cta gaa tct 240 Gly Gln Pro Pro Lys Phe Leu Ile Tyr Leu Ala Ser Asn Leu Glu Ser 45 50 55 60 ggg gtc cct gcc agg ttc agt ggc agt ggg tct ggg aca gac ttc acc 288 Gly Val Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr 65 70 75 ctc aat atc cat cct gtg gag gag gag gat gct gca acc tat tac tgt 336 Leu Asn Ile His Pro Val Glu Glu Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys 80 85 90 cag cac agt agg gag ctt ccg ctc acg ttc ggt gct ggg acc aag ctg 384 Gln His Ser Arg Glu Leu Pro Leu Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu 95 100 105 gag ctg aaa c 39 4 Glu Leu Lys 110 111
【0262】
【0263】<210> 3 <211> 412 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <223> <400> 3 atg gga tgg agc tgt atc acc ctc ttt ttg gta gca gca gct aca ggt 4 8 Met Gly Trp Ser Cys Ile Thr Leu Phe Leu Val Ala Ala Ala Thr Gly -15 -10 -5 gtc cac tcc cag gtc caa ctg cag cag cct ggg gct gag ctg gtg aag 9 6 Val His Ser Gln Val Gln Leu Gln Gln Pro Gly Ala Glu Leu Val Lys -1 1 5 10 cct ggg gcc tca gtg aag ctg tcc tgc aag gct tct ggc tac acc ttc 14 4 Pro Gly Ala Ser Val Lys Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe 15 20 25 acc agc tac tgg atg cac tgg gtg aag cag agg cct gga caa ggc ctt 19 2 Thr Ser Tyr Trp Met His Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu 30 35 40 45 gaa tgg att ggt aat att gac cct tct gat agt gaa att ttc tac aat 24 0 Glu Trp Ile Gly Asn Ile Asp Pro Ser Asp Ser Glu Ile Phe Tyr Asn 50 55 60 caa aaa ttc agg gac aag gcc aca ttg act gca gac aaa tcc tcc agc 28 8 Gln Lys Phe Arg Asp Lys Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser 65 70 75 aca gcc tac atg cag ctc agt agc ctg aca tct gag gac tct gcg gtc 33 6 Thr Ala Tyr Met Gln Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val 80 85 90 tat tac tgt atg gta ccc tat tat tat gct atg gac tac tgg ggt caa 38 4 Tyr Tyr Cys Met Val Pro Tyr Tyr Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln 95 100 105 gga acc tca gtc acc gtc tcc tca gcc a 41 2 Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser Ala 110 115 118
【0264】
【0265】<210> 4 <211> 385 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <223> <400> 4 atg gat ttt cag gtg cag att ttc agc ttc ctg cta atc agt gcc tca 48 Met Asp Phe Gln Val Gln Ile Phe Ser Phe Leu Leu Ile Ser Ala Ser -20 -15 -10 gtc ata ctg tcc aga gga caa att gtt ctc acc cag tct cca gca atc 96 Val Ile Leu Ser Arg Gly Gln Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Ile -5 -1 1 5 10 atg tct gca tct cca ggg gag aag gtc acc atg acc tgc agt gcc agc 144 Met Ser Ala Ser Pro Gly Glu Lys Val Thr Met Thr Cys Ser Ala Ser 15 20 25 tca agt ata agt tac ata cac tgg tac caa cag aag cca ggc acc tcc 192 Ser Ser Ile Ser Tyr Ile His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Thr Ser 30 35 40 ccc aaa aga tgg att tat gac aca tcc aaa ctg gct tct gga gtc cct 240 Pro Lys Arg Trp Ile Tyr Asp Thr Ser Lys Leu Ala Ser Gly Val Pro 45 50 55 gct cgc ttc agt ggc agt ggg tct ggg acc tct tat tct ctc aca atc 288 Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Ser Tyr Ser Leu Thr Ile 60 65 70 agc agc atg gag gct gaa gat gct gcc act tat tac tgc cat cag cgg 336 Ser Ser Met Glu Ala Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys His Gln Arg 75 80 85 90 agt agt tac ccg tgg acg ttc ggt gga ggc acc aag ctg gaa atc aaa 384 Ser Ser Tyr Pro Trp Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys 95 100 105 106 c 385
【0266】
【0267】<210> 5 <211> 5 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 5 Asp Tyr Thr Ile His 1 5
【0268】
【0269】<210> 6 <211> 17 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 6 Trp Ile Tyr Pro Gly Ser Gly Asn Thr Tyr Tyr Asn Asp Lys Phe Lys Gly 1 5 10 15 17
【0270】
【0271】<210> 7 <211> 15 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 7 Arg Ser Leu Val Trp Tyr Tyr Asp Gly Ser Ser Trp Phe Pro Tyr 1 5 10 15
【0272】
【0273】<210> 8 <211> 15 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 8 Arg Ala Ser Lys Ser Val Ser Thr Ser Gly Tyr Ser Tyr Met His 1 5 10 15
【0274】
【0275】<210> 9 <211> 7 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 9 Leu Ala Ser Asn Leu Glu Ser 1 5 7
【0276】
【0277】<210> 10 <211> 9 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 6 Gln His Ser Arg Glu Leu Pro Leu Thr 1 5 9
【0278】
【0279】<210> 11 <211> 5 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 11 Ser Tyr Trp Met His 1 5
【0280】
【0281】<210> 12 <211> 17 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 12 Asn Ile Asp Pro Ser Asp Ser Glu Ile Phe Tyr Asn Gln Lys Phe Arg Asp 1 5 10 15 17
【0282】
【0283】<210> 13 <211> 8 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 13 Pro Tyr Tyr Tyr Ala Met Asp Tyr 1 5 8
【0284】
【0285】<210> 14 <211> 10 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 14 Ser Ala Ser Ser Ser Ile Ser Tyr Ile His 1 5 10
【0286】
【0287】<210> 15 <211> 7 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 15 Asp Thr Ser Lys Leu Ala Ser 1 5 7
【0288】
【0289】<210> 16 <211> 9 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 16 His Gln Arg Ser Ser Tyr Pro Trp Thr 1 5 9
【0290】
【0291】<210> 17 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 17 gcagcctcca ccaagggcc 19
【0292】
【0293】<210> 18 <211> 11 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 18 cttggtggag g 11
【0294】
【0295】<210> 19 <211> 91 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 19 gtggaggagg aggatgctgc aacctattac tgtcagcaca gtagggagct tccgctcacg 60 ttcggtgctg ggaccaagct ggagctgaaa c 91
【0296】
【0297】<210> 20 <211> 108 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 20 gtacgtttca gctccagctt ggtcccagca ccgaacgtga gcggaagctc cctactgtgc 60 tgacagtaat aggttgcagc atcctcctcc tccacagg 98
【0298】 <210> 21 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 21 tcagcctcca ccaagggcc 19
【0299】 <210> 22 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 22 aattccacca tggattttca ggtgcagatt ttcagcttcc tgc 43
【0300】 <210> 23 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 23 aggaagctga aaatctgcac ctgaaaatcc atggtgg 37
【0301】 <210> 24 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 24 cgtggacgtt cggtggaggc accaagctgg aaatcaaac 39
【0302】 <210> 25 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 25 gtacgtttga tttccagctt ggtgcctcca ccgaacgtc 39
【0303】 <210> 26 <211> 124 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> Met Gly Trp Ser Trp Ile Phe Leu Phe Leu Leu Ser Gly Thr Ala Gly -15 -10 -5 Val His Cys Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Pro Glu Val Val Lys -1 1 5 10 Pro Gly Ala Ser Val Lys Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe 15 20 25 Thr Asp Tyr Thr Ile His Trp Met Lys Gln Ser Pro Gly Gln Gly Leu 30 35 40 45 Glu Trp Ile Gly Trp Ile Tyr Pro Gly Ser Gly Asn Thr Tyr Tyr Asn 50 55 60 Asp Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Met Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser 65 70 75 Thr Ala Tyr Met Gln Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val 80 85 90 Tyr Phe Cys Ala Arg Arg Ser Leu Val Trp Tyr Tyr Asp Gly Ser Ser 95 100 105 Trp Phe Pro Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ala 110 115 120
【0304】 <210> 27 <211> 111 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 27 Met Glu Thr Asp Thr Leu Leu Leu Trp Val Leu Leu Leu Trp Val Pro -20 -15 -10 -5 Gly Ser Thr Gly Asp Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Ser Leu Ala -1 1 5 10 Val Ser Leu Gly Gln Arg Ala Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Lys Ser 15 20 25 Val Ser Thr Ser Gly Tyr Ser Tyr Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro 30 35 40 Gly Gln Pro Pro Lys Phe Leu Ile Tyr Leu Ala Ser Asn Leu Glu Ser 45 50 55 60 Gly Val Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr 65 70 75 Leu Asn Ile His Pro Val Glu Glu Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys 80 85 90 Gln His Ser Arg Glu Leu Pro Leu Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu 95 100 105 Glu Leu Lys 110 111
【0305】 <210> 28 <211> 108 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 28 Met Gly Trp Ser Cys Ile Thr Leu Phe Leu Val Ala Ala Ala Thr Gly -15 -10 -5 Val His Ser Gln Val Gln Leu Gln Gln Pro Gly Ala Glu Leu Val Lys -1 1 5 10 Pro Gly Ala Ser Val Lys Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe 15 20 25 Thr Ser Tyr Trp Met His Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu 30 35 40 45 Glu Trp Ile Gly Asn Ile Asp Pro Ser Asp Ser Glu Ile Phe Tyr Asn 50 55 60 Gln Lys Phe Arg Asp Lys Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser 65 70 75 Thr Ala Tyr Met Gln Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val 80 85 90 Tyr Tyr Cys Met Val Pro Tyr Tyr Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln 95 100 105 Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser Ala 110 115 118
【0306】 <210> 29 <211> 106 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> <400> 29 Met Asp Phe Gln Val Gln Ile Phe Ser Phe Leu Leu Ile Ser Ala Ser -20 -15 -10 Val Ile Leu Ser Arg Gly Gln Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Ile -5 -1 1 5 10 Met Ser Ala Ser Pro Gly Glu Lys Val Thr Met Thr Cys Ser Ala Ser 15 20 25 Ser Ser Ile Ser Tyr Ile His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Thr Ser 30 35 40 Pro Lys Arg Trp Ile Tyr Asp Thr Ser Lys Leu Ala Ser Gly Val Pro 45 50 55 Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Ser Tyr Ser Leu Thr Ile 60 65 70 Ser Ser Met Glu Ala Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys His Gln Arg 75 80 85 90 Ser Ser Tyr Pro Trp Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys 95 100 105
【0307】 <210> 30 <211> 8 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 30 ctctagag 8
【0308】 <210> 31 <211> 60 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 31 cagtgttctt ggctgtgcaa aaagtggagg catttttcat aatagaaggt gcctacgtag 60
【0309】 <210> 32 <211> 67 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 32 gatcctacgt aggcaccttc tattatgaaa aatgcctcca cttttgcaca gccaagaaca 60 ctgcatg 67
【0310】 <210> 33 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 33 gatcatggag cttaagaatg catccttgca gg 32
【0311】 <210> 34 <211> 36 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 34 acgctctagg actgttacgt acctgaccac gcaatg 36
【0312】 <210> 35 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 35 aacaaagtcg ggtacgtata atgagc 26
【0313】 <210> 36 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 36 ggccgctcat tatacgtacc cgactttgtt 30
【0314】 <210> 37 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 37 ctgttggaga aaagcttgtc ttaaattg 28
【0315】 <210> 38 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 38 atacacaacc agggtaccca catggctctg ct 32
【0316】 <210> 39 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 39 caaggattgt acacctgtgc agcatccagt gggctgtacg tagc 44
【0317】 <210> 40 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 40 ggccgctacg tacagcccac tggatgctgc acaggtgtac aatc 44
【0318】 <210> 41 <211> 36 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 41 taatgatgaa agttaccagt ctattatgta cgtagc 36
【0319】 <210> 42 <211> 38 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 42 ggccgctacg tacataatag actggtaact ttcatcat 38
【0320】 <210> 43 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 43 gatcttacgt agc 13
【0321】 <210> 44 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 44 ggccgctacg taa 13
【0322】 <210> 45 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 45 atcccgggta ccttctagag tcgaggt 27
【0323】 <210> 46 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 46 tgtcccctgc aagtagatct aagagttgta 30
【0324】 <210> 47 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 47 gtataatgag cggccgcg 18
【0325】 <210> 48 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 48 gatccgcggc cgctcattat ac 22
【0326】 <210> 49 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 49 ctaatgagcg gccgcgcatg 20
【0327】 <210> 50 <211> 16 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 50 cgcggccgct cattag 16
【0328】 <210> 51 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 51 aacaaagtcg ggtacgtata atgagc 26
【0329】 <210> 52 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 52 ggccgctcat tatacgtacc cgactttgtt 30
【0330】 <210> 53 <211> 9 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 53 ctaatgagc 9
【0331】 <210> 54 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 54 ggccgctcat taggtac 17
【0332】 <210> 55 <211> 738 <212> PRT <213> Human <400> 55 Ala Ser Val Gly Leu Pro Ser Val Ser Leu Asp Leu Pro Arg Leu Ser 1 5 10 15 Ile Gln Lys Asp Ile Leu Thr Ile Lys Ala Asn Thr Thr Leu Gln Ile 20 25 30 Thr Cys Arg Gly Gln Arg Asp Leu Asp Trp Leu Trp Pro Asn Asn Gln 35 40 45 Ser Gly Ser Glu Gln Arg Val Glu Val Thr Glu Cys Ser Asp Gly Leu 50 55 60 Phe Cys Lys Thr Leu Thr Ile Pro Lys Val Ile Gly Asn Asp Thr Gly 65 70 75 80 Ala Tyr Lys Cys Phe Tyr Arg Glu Thr Asp Leu Ala Ser Val Ile Tyr 85 90 95 Val Tyr Val Gln Asp Tyr Arg Ser Pro Phe Ile Ala Ser Val Ser Asp 100 105 110 Gln His Gly Val Val Tyr Ile Thr Glu Asn Lys Asn Lys Thr Val Val 115 120 125 Ile Pro Cys Leu Gly Ser Ile Ser Asn Leu Asn Val Ser Leu Cys Ala 130 135 140 Arg Tyr Pro Glu Lys Arg Phe Val Pro Asp Gly Asn Arg Ile Ser Trp 145 150 155 160 Asp Ser Lys Lys Gly Phe Thr Ile Pro Ser Tyr Met Ile Ser Tyr Ala 165 170 175 Gly Met Val Phe Cys Glu Ala Lys Ile Asn Asp Glu Ser Tyr Gln Ser 180 185 190 Ile Met Tyr Ile Val Val Val Val Gly Tyr Arg Ile Tyr Asp Val Val 195 200 205 Leu Ser Pro Ser His Gly Ile Glu Leu Ser Val Gly Glu Lys Leu Val 210 215 220 Leu Asn Cys Thr Ala Arg Thr Glu Leu Asn Val Gly Ile Asp Phe Asn 225 230 235 240 Trp Glu Tyr Pro Ser Ser Lys His Gln His Lys Lys Leu Val Asn Arg 245 250 255 Asp Leu Lys Thr Gln Ser Gly Ser Glu Met Lys Lys Phe Leu Ser Thr 260 265 270 Leu Thr Ile Asp Gly Ile Thr Arg Ser Asp Gln Gly Leu Tyr Thr Cys 275 280 285 Ala Ala Ser Ser Gly Leu Met Thr Lys Lys Asn Ser Thr Phe Val Arg 290 295 300 Val His Glu Lys Pro Phe Val Ala Phe Gly Ser Gly Met Glu Ser Leu 305 310 315 320 Val Glu Ala Thr Val Gly Glu Arg Val Arg Ile Pro Ala Lys Tyr Leu 325 330 335 Gly Tyr Pro Pro Pro Glu Ile Lys Trp Tyr Lys Asn Gly Ile Pro Leu 340 345 350 Glu Ser Asn His Thr Ile Lys Ala Gly His Val Leu Thr Ile Met Glu 355 360 365 Val Ser Glu Arg Asp Thr Gly Asn Tyr Thr Val Ile Leu Thr Asn Pro 370 375 380 Ile Ser Lys Glu Lys Gln Ser His Val Val Ser Leu Val Val Tyr Val 385 390 395 400 Pro Pro Gln Ile Gly Glu Lys Ser Leu Ile Ser Pro Val Asp Ser Tyr 405 410 415 Gln Tyr Gly Thr Thr Gln Thr Leu Thr Cys Thr Val Tyr Ala Ile Pro 420 425 430 Pro Pro His His Ile His Trp Tyr Trp Gln Leu Glu Glu Glu Cys Ala 435 440 445 Asn Glu Pro Ser Gln Ala Val Ser Val Thr Asn Pro Tyr Pro Cys Glu 450 455 460 Glu Trp Arg Ser Val Glu Asp Phe Gln Gly Gly Asn Lys Ile Glu Val 465 470 475 480 Asn Lys Asn Gln Phe Ala Leu Ile Glu Gly Lys Asn Lys Thr Val Ser 485 490 495 Thr Leu Val Ile Gln Ala Ala Asn Val Ser Ala Leu Tyr Lys Cys Glu 500 505 510 Ala Val Asn Lys Val Gly Arg Gly Glu Arg Val Ile Ser Phe His Val 515 520 525 Thr Arg Gly Pro Glu Ile Thr Leu Gln Pro Asp Met Gln Pro Thr Glu 530 535 540 Gln Glu Ser Val Ser Leu Trp Cys Thr Ala Asp Arg Ser Thr Phe Glu 545 550 555 560 Asn Leu Thr Trp Tyr Lys Leu Gly Pro Gln Pro Leu Pro Ile His Val 565 570 575 Gly Glu Leu Pro Thr Pro Val Cys Lys Asn Leu Asp Thr Leu Trp Lys 580 585 590 Leu Asn Ala Thr Met Phe Ser Asn Ser Thr Asn Asp Ile Leu Ile Met 595 600 605 Glu Leu Lys Asn Ala Ser Leu Gln Asp Gln Gly Asp Tyr Val Cys Leu 610 615 620 Ala Gln Asp Arg Lys Thr Lys Lys Arg His Cys Val Val Arg Gln Leu 625 630 635 640 Thr Val Leu Glu Arg Val Ala Pro Thr Ile Thr Gly Asn Leu Glu Asn 645 650 655 Gln Thr Thr Ser Ile Gly Glu Ser Ile Glu Val Ser Cys Thr Ala Ser 660 665 670 Gly Asn Pro Pro Pro Gln Ile Met Trp Phe Lys Asp Asn Glu Thr Leu 675 680 685 Val Glu Asp Ser Gly Ile Val Leu Lys Asp Gly Asn Arg Asn Leu Thr 690 695 700 Ile Arg Arg Val Arg Lys Glu Asp Glu Gly Leu Tyr Thr Cys Gln Ala 705 710 715 720 Cys Ser Val Leu Gly Cys Ala Lys Val Glu Ala Phe Phe Ile Ile Glu 725 730 735 Gly Ala 738
【0333】 <210> 56 <211> 19 <212> PRT <213> Human <400> 56 Met Gln Ser Lys Val Leu Leu Ala Val Ala Leu Trp Leu Cys Val Glu 1 5 10 15 Thr Arg Ala 19
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスミドpBS1992Holigoの造成工程を示し
た図である。
【図2】 プラスミドpBS1992Loligoの造成工程を示し
た図である。
【図3】 プラスミドpKANTEX1992Hの造成工程を示した
図である。
【図4】 プラスミドpKANTEX1992の造成工程を示した
図である。
【図5】 プラスミドpBS1995Holigoの造成工程を示し
た図である。
【図6】 プラスミドpBS1995Loligo1の造成工程を示し
た図である。
【図7】 プラスミドpBS1995Loligo2の造成工程を示し
た図である。
【図8】 プラスミドpKANTEX1995Hの造成工程を示した
図である。
【図9】 プラスミドpKANTEX1995の造成工程を示した
図である。
【図10】抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体KM299
2およびKM2995の可溶性ヒトVEGF受容体との結合活性を
示した図である。(A)は、抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キ
メラ抗体KM2992を、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7Nあるい
は可溶性ヒトVEGF受容体Flt-1 7Nを2μg/mlの濃度で吸
着させたウェルに対して反応させた場合の結果である。
縦軸は可溶性ヒトVEGF受容体との結合活性、横軸は抗ヒ
トVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体KM2992の濃度をそれ
ぞれ示す。●が可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7Nとの結合活
性、○が可溶性ヒトVEGF受容体Flt-1 7Nとの結合活性を
示す。(B)は、抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体KM
2995を、可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7Nあるいは可溶性ヒ
トVEGF受容体Flt-1 7Nを2μg/mlの濃度で吸着させたウ
ェルに対して反応させた場合の結果である。縦軸は可溶
性ヒトVEGF受容体との結合活性、横軸は抗ヒトVEGF受容
体KDRヒト型キメラ抗体KM2995の濃度をそれぞれ示す。
■が可溶性ヒトVEGF受容体KDR-7Nとの結合活性、□が可
溶性ヒトVEGF受容体Flt-1 7Nとの結合活性を示す。
【図11】抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体KM299
2およびKM2995の、ヒトVEGFと可溶性ヒトVEGF受容体KDR
-7N-Fcとの結合に対する阻害活性を示した図である。
(A)は抗ヒトVEGF受容体KDRヒト型キメラ抗体KM2992
(●)による阻害実験の結果である。(B)は抗ヒトVEGF受
容体KDRヒト型キメラ抗体KM2995 (■)による阻害実験の
結果である。
【図12】 プラスミドpVL-KDR-7N-Fcの造成工程を示
した図である。
【図13】 可溶性KDR-Fc各種誘導体の模式図である。
【図14】 可溶性KDR各種誘導体の模式図である。
【図15】 精製した可溶性KDR-Fc各種誘導体のSDSポ
リアクリルアミド電気泳動(5 〜20%グラジェントゲル
を使用)のパタ−ンを示した図である。左より、KDR-1N
-Fc、KDR-2N-Fc、KDR-3N-Fc、KDR-4N-Fc、KDR-5N-Fc、K
DR-7N-Fc、KDR-2△1N-Fc、KDR-4△1N-Fc、KDR-5△1N-Fc
の泳動パターンをそれぞれ示す。還元条件下で電気泳動
を行った。
【図16】 プレートコートした可溶性ヒトVEGF受容体
KDR-7N-Fcへの125I-ヒトVEGFの結合に及ぼす可溶性ヒト
VEGF受容体KDR-Fc各種誘導体の阻害効果を解析した結果
を示す。
【図17】 プレートコートした可溶性ヒトVEGF受容体
KDR-Fc各種誘導体への 125I-ヒトVEGFの結合を解析した
結果を示す。
【図18】 ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体の
可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体への結合活性を
解析した結果を示す。
【図19】 ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体の
エピトープ部位を示す。
【図20】 ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体の
可溶性ヒトVEGF受容体KDR-Fc各種誘導体への結合活性を
解析した結果を示す。
【図21】 ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体に
よるVEGFと可溶性VEGF受容体KDR-7N-Fcおよび可溶性VEG
F受容体Flt-1 7Nの結合阻害効果を解析した結果を示
す。
【図22】 ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体に
よるKDR自己リン酸化阻害活性を検討した結果を示す。
【図23】 ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体に
よるVEGF依存的な血管内皮細胞の増殖阻害活性を検討し
た結果を示す。
【図24】 ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体の
ヒトVEGF受容体KDR発現細胞NIH3T3-Flt-1、コントロー
ル細胞NIH3T3-Neo細胞、HUVECおよびHMVECとの反応性を
フローサイトメーターにて解析した結果を示す。
【図25】 ヒトVEGF受容体KDRモノクローナル抗体のH
UVECおよびHMVECとの反応性をフローサイトメーターに
て解析した結果を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 19/02 A61P 19/02 27/02 27/02 35/00 35/00 35/04 35/04 C07K 16/28 C07K 16/28 C12N 5/10 C12P 21/08 C12P 21/08 G01N 33/531 A G01N 33/531 C12N 5/00 B (72)発明者 上野 浩尚 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA02 CA04 CA07 DA02 DA03 DA05 EA04 GA11 4B064 AG27 CA10 CA19 CC24 DA13 4B065 AA90X AA91X AA91Y AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA25 CA44 CA46 4C085 AA13 AA16 AA19 BB11 BB41 BB43 BB44 CC02 EE01 GG02 GG08 GG10 4H045 AA11 BA10 CA40 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗体のH鎖V領域のCDR1、CDR2およびCDR3
    がそれぞれ配列番号5、6および7、L鎖V領域のCDR1、CDR2
    およびCDR3がそれぞれ配列番号8、9および10で示される
    アミノ酸配列を含み、ヒトVEGF受容体KDR に反応する
    が、ヒトVEGF受容体Flt-1 には反応しない抗体。
  2. 【請求項2】 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの細胞外領
    域に特異的に反応する抗体である、請求項1記載の抗
    体。
  3. 【請求項3】 抗体が、ヒトVEGFのヒトVEGF受容体KDR
    への結合を阻害し、かつKDRの作用を中和する抗体であ
    る、請求項1記載の抗体。
  4. 【請求項4】 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの、配列番
    号55に記載されたアミノ酸配列1〜518番目の領域にあ
    るエピトープを認識する抗体である、請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の抗体。
  5. 【請求項5】 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの、配列番
    号55に記載されたアミノ酸配列1〜104、1〜194、105
    〜393、295〜393および394〜518番目から選ばれるアミ
    ノ酸配列の領域にあるエピトープを認識する抗体であ
    る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
  6. 【請求項6】 抗体がヒト化抗体、ヒト抗体およびこれ
    らの抗体断片である請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の抗体。
  7. 【請求項7】 ヒト化抗体が、ヒト型キメラ抗体または
    ヒト型CDR移植抗体である請求項6記載のヒト化抗体。
  8. 【請求項8】 抗体のH鎖V領域が配列番号26で示される
    アミノ酸配列を含む、請求項7記載のヒト型キメラ抗
    体。
  9. 【請求項9】 抗体のL鎖V領域が配列番号27で示される
    アミノ酸配列を含む、請求項7記載のヒト型キメラ抗
    体。
  10. 【請求項10】 抗体のH鎖V領域が配列番号26で示
    されるアミノ酸配列を含み、L鎖V領域が配列番号27
    で示されるアミノ酸配列を含む請求項7記載のヒト型キ
    メラ抗体。
  11. 【請求項11】 抗体のH鎖V領域が配列番号26で示
    されるアミノ酸配列を含み、L鎖V領域が配列番号27
    で示されるアミノ酸配列を含む請求項7記載のヒト型キ
    メラ抗体KM2992。
  12. 【請求項12】 抗体断片が、Fab、Fab'、F(ab')2、一
    本鎖抗体、ジスルフィド安定化V領域断片(dsFv)およ
    びCDRを含むペプチドから選ばれる抗体断片である請求
    項6記載の抗体断片。
  13. 【請求項13】 抗体断片が、抗体のH鎖V領域が配列番
    号26で示されるアミノ酸配列を含み、抗体のL鎖V領域
    が配列番号27で示されるアミノ酸配列を含む、Fab、F
    ab'、F(ab')2、一本鎖抗体、dsFvおよびCDRを含むペプ
    チドから選ばれる請求項12記載の抗体断片。
  14. 【請求項14】 抗体のH鎖V領域のCDR1、CDR2およびCD
    R3がそれぞれ配列番号11、12および13、L鎖V領域のCDR
    1、CDR2およびCDR3がそれぞれ配列番号14、15および16
    で示されるアミノ酸配列を含み、ヒトVEGF受容体KDR に
    反応するが、ヒトVEGF受容体Flt-1 には反応しない抗
    体。
  15. 【請求項15】 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの細胞外
    領域に特異的に反応する抗体である、請求項14記載の
    抗体。
  16. 【請求項16】 抗体が、ヒトVEGFのヒトVEGF受容体KD
    Rへの結合を阻害し、かつKDRの作用を中和する抗体であ
    る、請求項14記載の抗体。
  17. 【請求項17】 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの、配列
    番号55に記載されたアミノ酸配列1〜518番目の領域に
    あるエピトープを認識する抗体である、請求項14〜1
    6のいずれか1項に記載の抗体。
  18. 【請求項18】 抗体が、ヒトVEGF受容体KDRの、配列
    番号55に記載されたアミノ酸配列1〜104、1〜194、10
    5〜393、295〜393および394〜518番目から選ばれるアミ
    ノ酸配列の領域にあるエピトープを認識する抗体であ
    る、請求項14〜16のいずれか1項に記載の抗体。
  19. 【請求項19】 抗体がヒト化抗体、ヒト抗体およびこ
    れらの抗体断片である請求項14〜18のいずれか1項
    に記載の抗体。
  20. 【請求項20】 ヒト化抗体が、ヒト型キメラ抗体また
    はヒト型CDR移植抗体である請求項19記載の抗体。
  21. 【請求項21】 抗体のH鎖V領域が配列番号28で示され
    るアミノ酸配列を含む、請求項20記載のヒト型キメラ
    抗体。
  22. 【請求項22】 抗体のL鎖V領域が配列番号29で示され
    るアミノ酸配列を含む、請求項20記載のヒト型キメラ
    抗体。
  23. 【請求項23】 抗体のH鎖V領域が配列番号28で示
    されるアミノ酸配列を含み、L鎖V領域が配列番号29
    で示されるアミノ酸配列を含む請求項20記載のヒト型
    キメラ抗体。
  24. 【請求項24】 抗体のH鎖V領域が配列番号28で示
    されるアミノ酸配列を含み、L鎖V領域が配列番号29
    で示されるアミノ酸配列を含む請求項20記載のヒト型
    キメラ抗体KM2995。
  25. 【請求項25】 抗体断片が、Fab、Fab'、F(ab')2、一
    本鎖抗体、ジスルフィド安定化V領域断片(dsFv)およ
    びCDRを含むペプチドから選ばれる抗体断片である請求
    項19記載の抗体断片。
  26. 【請求項26】 抗体断片が、抗体のH鎖V領域が配列番
    号28で示されるアミノ酸配列を含み、抗体のL鎖V領域
    が配列番号29で示されるアミノ酸配列を含む、Fab、F
    ab'、F(ab')2、一本鎖抗体、dsFvおよびCDRを含むペプ
    チドから選ばれる請求項25記載の抗体断片。
  27. 【請求項27】 請求項1〜26のいずれか1項に記載
    の抗体またはこれらの抗体断片と、放射性同位元素、蛋
    白質、低分子の薬剤とを化学的または遺伝子工学的に結
    合させた抗体またはこれらの抗体断片の誘導体。
  28. 【請求項28】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体、抗体断片、またはこれらの誘導体をコードする
    DNA。
  29. 【請求項29】 請求項28記載のDNAとベクターと
    を含有する組換えベクター。
  30. 【請求項30】 請求項29記載の組換えベクターを宿
    主細胞に導入して得られる形質転換体。
  31. 【請求項31】 請求項30記載の形質転換体を培地に
    培養し、培養物中に請求項1〜27記載の抗体または抗
    体断片を生成蓄積させ、該培養物から該抗体または該抗
    体断片を採取することを特徴とする抗体または抗体断片
    の製造方法。
  32. 【請求項32】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを免
    疫学的に検出する方法。
  33. 【請求項33】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを免
    疫学的に定量する方法。
  34. 【請求項34】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを細
    胞表面に発現した細胞を免疫学的に検出する方法。
  35. 【請求項35】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを細
    胞表面に発現した細胞を免疫学的に定量する方法。
  36. 【請求項36】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGFとヒトVEGF受容
    体KDRとの結合を阻害する方法。
  37. 【請求項37】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を用いてヒトVEGF受容体KDRを中
    和する方法。
  38. 【請求項38】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を用いる、血管新生異常疾患の診
    断方法。
  39. 【請求項39】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を有効成分とする、血管新生異常
    疾患の診断薬。
  40. 【請求項40】 請求項1〜27のいずれか1項に記載
    の抗体または抗体断片を有効成分とする、血管新生異常
    疾患の治療薬。
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