JP2001044025A - グラニュラー硬磁性薄膜及びグラニュラー硬磁性薄膜の製造方法 - Google Patents

グラニュラー硬磁性薄膜及びグラニュラー硬磁性薄膜の製造方法

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JP2001044025A JP21599399A JP21599399A JP2001044025A JP 2001044025 A JP2001044025 A JP 2001044025A JP 21599399 A JP21599399 A JP 21599399A JP 21599399 A JP21599399 A JP 21599399A JP 2001044025 A JP2001044025 A JP 2001044025A
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Sadahiko Hirotsu
▲禎▼彦 弘津
Ha Ka
波 下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細な硬磁性粒子が分散形成されてなる硬磁
気特性に優れたグラニュラー硬磁性薄膜及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 結晶配向性の良好な基材2上または結晶
配向性の良好な下地層上に、基材2または下地層の結晶
配向性に揃うように個々に基材2または下地層に対して
エピタキシャル成長された複数の種結晶粒子が分散形成
され、これら複数の種結晶粒子の周囲に、これらの個々
の種結晶粒子の一部若しくは全部を囲むように個々の種
結晶粒子に対してエピタキシャル成長された強磁性物質
が形成されて微細な硬磁性粒子3…が形成され、この硬
磁性粒子3…は、種結晶粒子と強磁性物質を相互に拡散
させて形成されたものであり、この微細な硬磁性粒子3
…が分散形成されていることを特徴とするグラニュラー
硬磁性薄膜1を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な硬磁性粒子
が分散形成されてなるグラニュラー硬磁性薄膜及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年に至り、非磁性基材上に分散形成し
たナノメートルオーダーの微細硬磁性粒子を具備するグ
ラニュラー磁性薄膜に関する研究が報告されている。更
に、最近の研究によれば、超高密度磁気記録媒体用の素
材として、黒鉛状の炭素基材上に形成されたCoの微細
結晶粒の薄膜が有望なものとして報告されている。
【0003】この種の薄膜を製造する方法の一例とし
て、従来、基板上に非磁性導電体元素と、この非磁性導
電体元素に対して相互溶解度が極めて小さい強磁性体元
素との合金膜を形成し、成膜後に熱処理することによっ
て強磁性体粒子を分散析出させる技術が知られている。
また、基板上にスパッタにより強磁性体の不連続粒子を
形成し、これらの上に非磁性薄膜を被着する方法も知ら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記の方
法も、例えば、非磁性導電体元素と強磁性体との間に相
互溶解性があれば適用できない問題がある。また仮に、
ナノメートルオーダーの微細粒子をマトリクス中に析出
させることができても、マトリクス構成元素と粒子構成
元素との間にわずかに相互溶解性があれば、一部の粒子
はマトリクス中に吸収されてしまい、粒子濃度を向上さ
せることはできない問題がある。更に、この粒子濃度の
低下を補う意味で強磁性体の量を単に増加しても、成膜
時に強磁性体相が巨大粒子を形成したり、連続相を形成
する可能性が高く、高濃度の微粒子分散状態を得ること
は不可能な問題があった。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、微細な硬磁性粒子が分散形成されてなる硬磁気特性
に優れたグラニュラー硬磁性薄膜及びその製造方法を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のグラニ
ュラー硬磁性薄膜は、結晶配向性の良好な基材上または
結晶配向性の良好な下地層上に、前記基材または下地層
の結晶配向性に揃うように個々に基材または下地層に対
してエピタキシャル成長された複数の種結晶粒子が分散
形成され、これら複数の種結晶粒子の周囲に、これらの
個々の種結晶粒子の一部若しくは全部を囲むように個々
の種結晶粒子に対してエピタキシャル成長された強磁性
物質が形成されて微細な硬磁性粒子が形成され、該硬磁
性粒子は、熱処理により前記種結晶粒子と前記強磁性物
質を相互に拡散させて形成されたものであり、この微細
な硬磁性粒子が分散形成されていることを特徴とする。
なお、種結晶粒子上に形成される強磁性物質は、種結晶
粒子の一部若しくは全部を覆う薄膜状の形態であっても
良く、種結晶粒子の一部若しくは全部を覆う塊状の形態
であっても良い。
【0007】係るグラニュラー硬磁性薄膜によれば、基
板上にエピタキシャル成長された種結晶粒子上に、エピ
タキシャル成長させつつ強磁性物質を形成させて微細な
硬磁性粒子が形成され、この硬磁性粒子が分散した状態
になるので、グラニュラー硬磁性薄膜の硬磁気特性を優
れたものとすることができる。
【0008】また、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜
は、先に記載のグラニュラー硬磁性薄膜であって、前記
の硬磁性粒子を各々分離すると共にこれらの硬磁性粒子
の相互の磁気的な交換結合を弱める隔離層が、これらの
硬磁性粒子の周囲を覆うように形成されていることを特
徴とする。
【0009】係るグラニュラー硬磁性薄膜によれば、硬
磁性粒子の周囲に、これらの硬磁性粒子を各々分離して
磁気的な交換結合を弱める隔離層が形成されているの
で、硬磁性粒子同士の過度の磁気的な交換結合を防止す
ると共に、硬磁性粒子の酸化を防ぐことができる。
【0010】本発明のグラニュラー硬磁性薄膜において
は、前記基材または下地層が、Si、Ge、GaAs、
MgO、NaCl、KCl、Al23、サファイアの中
から選択される1種からなることが好ましい。また、本
発明のグラニュラー硬磁性薄膜においては、前記種結晶
粒子が、Pt、Ir、Os、Ru、Rh、Pd、Nd、
Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu、Auから選択される1種または2種以上の元
素Mからなることが好ましい。更に、本発明のグラニュ
ラー硬磁性薄膜においては、前記強磁性物質が、Fe、
Coのうちの一方または両方である元素Tからなること
が好ましい。
【0011】そして、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜
においては、前記硬磁性粒子が、fcc構造を持つ元素
T、Mよりなる合金(以下、fcc−TM合金固溶構造
と表記する)、fct構造を持つ元素T、Mよりなる規
則構造(以下、fct−TM規則構造と表記する)、元
素T、Mよりなる化合物構造(以下、TM化合物構造と
表記する)のいずれか、若しくはこれらの混合した状態
を主体としてなり、硬磁性であることが好ましい。更
に、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜においては、より
好ましくは、前記硬磁性粒子が、元素T、Mのfct構
造を有するL10型規則構造、あるいは元素T、Mの六方
格子型または菱面体格子型のラーベス相型化合物構造を
主体とすることが好ましい。
【0012】係るグラニュラー硬磁性薄膜によれば、硬
磁性粒子が前記したような状態を主体としてなるので、
優れた硬磁気特性を発現させることができる。
【0013】また、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜に
おいては、前記硬磁性粒子の平均粒径が、5〜15nm
の範囲であることが好ましい。更に、本発明のグラニュ
ラー硬磁性薄膜においては、前記硬磁性粒子の平均粒子
間距離が、2〜10nmの範囲であることが好ましい。
【0014】係るグラニュラー硬磁性薄膜によれば、硬
磁性粒子の粒径が上記の範囲とされているので、優れた
硬磁気特性を発揮すると共に、このグラニュラー硬磁性
薄膜を磁気メモリーとして用いた場合にメモリーの記録
密度を高くすることが可能となる。また、硬磁性粒子の
粒子間距離が上記の範囲とされているので、硬磁性粒子
同士の過度な磁気的な交換結合を防止すると共に、優れ
た硬磁気特性を発揮することができる。
【0015】本発明のグラニュラー硬磁性薄膜において
は、前記隔離層が、高抵抗の非磁性の絶縁体より形成さ
れていることが好ましい。また、前記隔離層が、Al2
3、SiO2、Si34、MgO、AlN、BNの中か
ら選択される1種からなることがより好ましく、非晶質
状態のAl23からなることが更に好ましい。
【0016】本発明のグラニュラー硬磁性薄膜の製造方
法は、結晶配向性の良好な基板上あるいは下地層上に、
複数の種結晶粒子を前記基材もしくは下地層に対してエ
ピタキシャル成長させつつ分散形成し、これらの種結晶
粒子の周囲の一部または全部に、強磁性物質を前記種結
晶粒子に対してエピタキシャル成長させつつそれぞれの
種結晶粒子の一部若しくは全部を囲むように形成した後
に、熱処理することにより、前記種結晶粒子及び前記強
磁性物質からなり、合金固溶構造、規則構造、化合物構
造のいずれか若しくはこれらが混合してなる硬磁性粒子
を形成することを特徴とする。なお、種結晶粒子上に形
成される強磁性物質を、種結晶粒子の一部若しくは全部
を覆うように薄膜状に形成しても良く、種結晶粒子の一
部若しくは全部を覆うように塊状に形成しても良い。
【0017】また、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜の
製造方法は、先に記載のグラニュラー硬磁性薄膜の製造
方法であって、前記種結晶粒子及び前記強磁性物質を覆
う隔離層を形成する前若しくは形成後に、前記の熱処理
をすることにより前記硬磁性粒子を形成することを特徴
とする。
【0018】係るグラニュラー硬磁性薄膜の製造方法に
よれば、基板上にエピタキシャル成長させて種結晶粒子
を分散形成した後に、エピタキシャル成長させつつ強磁
性物質を形成した後、熱処理を行って硬磁性粒子を形成
するので、微細な硬磁性粒子を分散形成させることがで
き、優れた硬磁気特性を示すグラニュラー硬磁性薄膜を
得ることができる。
【0019】更に、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜の
製造方法は、先に記載のグラニュラー硬磁性薄膜の製造
方法であって、前記種結晶粒子を、Pt、Ir、Os、
Ru、Rh、Pd、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Auから選択され
る1種または2種以上の元素Mより構成すると共に、前
記強磁性物質を、Fe、Coのうちの一方または両方で
ある元素Tより構成し、前記の熱処理によって前記種結
晶粒子及び前記強磁性物質を相互に拡散させて、fcc
構造を持つ元素T、Mよりなる合金(以下、fcc−T
M合金固溶構造と表記する)、fct構造を持つ元素
T、Mよりなる規則構造(以下、fct−TM規則構造
と表記する)、元素T、Mよりなる化合物構造(以下、
TM化合物構造と表記する)のいずれか、若しくはこれ
らの混合した状態を主体としてなる前記硬磁性粒子を形
成することを特徴とする。また、先に記載のグラニュラ
ー硬磁性薄膜の製造方法においては、前記の硬磁性粒子
を熱処理によって元素T、Mのfct構造を有するL10
型規則構造とすること、あるいは元素T、Mの六方格子
型または菱面体格子型のラーベス相型化合物構造とする
ことがより好ましい。
【0020】係るグラニュラー硬磁性薄膜の製造方法に
よれば、熱処理によって前記種結晶粒子及び前記強磁性
物質を相互に拡散させて、元素T、Mのfct構造を有
するL10型規則構造からなる硬磁性粒子を形成し、結晶
磁気異方性を高くすることができるので、優れた硬磁気
特性を示すグラニュラー硬磁性薄膜を得ることができ
る。
【0021】本発明のグラニュラー硬磁性薄膜の製造方
法においては、前記種結晶粒子を分散形成する際の基板
もしくは下地層の温度を、200〜500℃の範囲とす
ることが好ましい。また、本発明のグラニュラー硬磁性
薄膜の製造方法においては、前記熱処理の熱処理温度
を、400〜600℃の範囲とすることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の一形
態について説明するが、本願発明がこの形態に限定され
るものではないのは勿論である。図1は本発明に係るグ
ラニュラー硬磁性薄膜1を基材(基板)2上に備えた一
形態を示すもので、この形態のグラニュラー硬磁性薄膜
1は、基材2上に分散形成された多数の硬磁性粒子3
と、該多数の硬磁性粒子3を覆って形成された隔離層4
から構成されている。また、図2は本発明に係るグラニ
ュラー硬磁性薄膜1を基材(基板)2上の下地層5上に
備えた一形態を示すものであり、グラニュラー硬磁性薄
膜1は図1の構造と同等とされている。
【0023】図1と図2に示す構造において、基材2ま
たは下地層5は、Si、Ge、GaAs、MgO、Na
Cl、KCl、Al23、サファイアの中から選択され
る1種から構成されている。この基材2あるいは下地層
5は、結晶配向性に優れたものが用いられる。具体的に
は、結晶の粒界傾角が5度程度以下として知られる単結
晶基板あるいはこの単結晶基板と同程度に結晶配向性を
整えられた下地層が用いられる。なお、基材2はこの形
態では基板状に形成されているが、基材2は基板状以外
のどのような形状でも差し支えなく、フィルム状、テー
プ状あるいは線状などのいずれの形状でも良い。
【0024】硬磁性粒子3は、fcc構造を持つ元素
T、Mよりなる合金(以下、fcc−TM合金固溶構造
と表記する)、fct構造を持つ元素T、Mよりなる規
則構造(以下、fct−TM規則構造と表記する)、元
素T、Mよりなる化合物構造(以下、TM化合物構造と
表記する)のいずれか、若しくはこれらの混合した状態
を主体としてなり、硬磁性であることが好ましい。ま
た、硬磁性粒子3が、元素T、Mのfct構造を有する
L10型規則構造、あるいは元素T、Mの六方格子型また
は菱面体格子型のラーベス相型化合物構造をを主体とす
ることがより好ましい。
【0025】ここで、元素Mは、Pt、Ir、Os、R
u、Rh、Pd、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Auから選択され
る1種または2種以上の元素であり、元素Tは、Fe、
Coのうちの一方または両方である。また、元素Mは、
Pt、Pd、Nd、Smから選択される1種または2種
以上の元素であることがより好ましい。これら元素T、
Mの組み合わせのうち、L10型規則構造を有するもの
は、FePt、FePd、Copt、CoPdであり、
また、ラーベス相化合物構造を有するものはCoSm、
FeSm、CoNd、FeNdであり、これらの組み合
わせは特に優れた硬磁性を示すことが期待される。特
に、優れた硬磁性を示すTMの例として、FePt、F
ePd、CoPt、CoPd、CoSm、FeNd等を
挙げることができる。
【0026】この硬磁性粒子3は、基材2あるいは下地
層5上に複数の種結晶粒子を分散形成させ、これらの種
結晶粒子をそれぞれ囲む強磁性物質を形成し、更にこれ
ら種結晶粒子及び強磁性物質を例えば熱処理して相互に
拡散させることにより得られたものである。上記の種結
晶粒子は、前記の元素Mからなるものであり、前記基材
2または下地層5に対してエピタキシャル成長し易いも
のが選択される。また、強磁性物質は、前記の元素Tよ
りなるものである。
【0027】前記の種結晶粒子は、基材2あるいは下地
層5の結晶に対してエピタキシャル成長された結晶の集
合体からなるもので、この種結晶粒子を構成する結晶は
基板2あるいは下地層5の結晶配向性に従って配向され
ている。また前記の強磁性物質は、種結晶粒子に対して
エピタキシャル成長されたもので、強磁性物質を構成す
る結晶は種結晶粒子の結晶配向性に従って配向されてい
る。従って基材2上あるいは下地層5上に形成される強
磁性物質の結晶は、それぞれ基材2あるいは下地層5の
結晶配向性に揃うように結晶配向されている。そして、
これらの種結晶粒子と強磁性物質とが、これらを構成す
る元素M及び元素Tが相互に拡散されることにより合金
化若しくは化合物化され、L10型の規則構造のfct−
TMあるいはラーベス相化合物TM構造が形成される。
この規則構造のfct−TMあるいはラーベス相化合物
TM構造は結晶磁気異方性が大きく、優れた硬磁性を示
すもので、特に高い保磁力を示す。
【0028】この硬磁性粒子3の平均粒径は、5〜15
nmの範囲であることが好ましい。平均粒径が5nm未
満であると、超常磁性が発現してこれが硬磁性に打ち勝
ってしまい、グラニュラー硬磁性薄膜1自体の硬磁気特
性が低下するので好ましくなく、また平均粒径が15n
mを越えると、例えばこのグラニュラー硬磁性薄膜を磁
気メモリーとして用いた場合に記録密度が低下するおそ
れがあるので好ましくない。
【0029】また、前記硬磁性粒子の平均粒子間距離
は、2〜10nmの範囲であることが好ましい。平均粒
子間距離が2nm未満であると、硬磁性粒子3同士の磁
気的な交換結合が強くなるので好ましくなく、平均粒子
間距離が2nm未満であると、グラニュラー硬磁性薄膜
1の硬磁気特性が低下するおそれがあるので好ましくな
い。
【0030】次に、前記隔離層4は、硬磁性粒子3を覆
うように形成されたもので、これらの硬磁性粒子の周囲
に位置してこれらを相互に分離すると共に、硬磁性粒子
3同士の磁気的な交換結合を弱め、更に硬磁性粒子3の
酸化を防ぐためのものである。また、熱処理の際に強磁
性物質と化学的に反応しないものが好ましい。この隔離
層4の材質は、上記の条件を満たして必要とする特性に
応じて適宜なものが選択されるが、この形態ではAl2
3、SiO2、Si34、MgO、AlN、BNなどの
高抵抗の非磁性の絶縁体が用いられる。この中でも特に
非晶質状態のAl23を用いることが好ましい。
【0031】次に、上記のグラニュラー硬磁性薄膜1の
製造方法を図3〜図6を用いて説明する。まず図3に示
すように、単結晶の基材2上に電子ビーム蒸着あるいは
スパッタ等の成膜手段で種結晶粒子13…を形成する。
ここで基材2の温度は200〜500℃の範囲とするこ
とが好ましく、成膜室の圧力は減圧雰囲気とする。ま
た、種結晶粒子13…を形成する場合の蒸着レートは、
0.05〜0.3nm/分程度が好ましい。このような蒸
着レートは通常の成膜レートよりも一桁以上遅いもので
あり、このような遅い蒸着レートで原子の堆積を行うこ
とで生成粒子のエピタキシャル成長を行わせることがで
き、膜ではない分散粒子を得ることができる。
【0032】より具体的には、基材2として例えば(1
00)NaCl基板を用い、種結晶粒子13として例え
ばPtを用いることができ、この基板2上に、基板2を
構成するNaClに対して低い表面エネルギーを有する
Ptの種結晶粒子13…を成膜法で分散形成する。な
お、このとき形成される種結晶粒子13のPtは面心立
方構造(fcc)である。PtはNaClに対して低い表
面エネルギーを有するので、基材2の温度制御、あるい
は、種結晶粒子形成時の成膜レートを調整することで、
種結晶粒子13の平均粒子間距離を調整することができ
る。
【0033】次に、図4に示すように、電子ビーム蒸着
等の成膜法によって種結晶粒子13…上にFe及び/ま
たはCoを蒸着し、種結晶粒子13…の一部若しくは全
部を覆うようにFe及び/またはCoの強磁性物質23
…を形成する。なお、図4では、薄膜状の強磁性物質2
3…を種結晶粒子13…を覆うように形成しているが、
これに限られず、塊状の強磁性物質を種結晶粒子13…
の一部若しくは全部を覆うように形成しても良く、更
に、薄膜状の強磁性物質と塊状の強磁性物質とを混在さ
せるように形成しても良い。ここでPtの種結晶粒子1
3…に対してFe及び/またはCoからなる強磁性物質
23…はなじみが良く、エピタキシャル成長できるの
で、蒸着原子は種結晶粒子13…の結晶配向性に揃うよ
うに堆積しつつエピタキシャル成長して結晶配向する。
なお、このとき形成されるFeは体心立方構造(bcc)
であり、Coの場合は面心立方構造(fcc)もしくは
六方最密構造(hcp)である。強磁性物質23…をエ
ピタキシャル成長させる場合の温度は200〜500℃
の範囲で300〜400℃が好ましく、Fe、Coの場
合により好ましくは300℃前後とする。これにより強
磁性物質23…が種結晶粒子13…を覆うが、蒸着時間
は隣接する強磁性物質23どうしが蒸着により成長して
接合しない程度の蒸着レートとする。例えば、0.3〜
0.6nm/分程度の蒸着レートとする。
【0034】次に、図5に示すように、前述の成膜手段
と同等の手段を用いて通常の蒸着レートで、これらを覆
う隔離層4を成膜する。そして、隔離層4を成膜した後
に真空雰囲気中で熱処理を行うことにより、種結晶粒子
23と強磁性物質23を相互に拡散させて、図6に示す
ような硬磁性粒子3…を形成し、グラニュラー硬磁性薄
膜1が得られる。
【0035】強磁性物質3にFeを用いた場合には、熱
処理の初期段階においてbcc−Feとfcc−Ptと
が合金化されてfcc−FePtが形成され、更に熱処
理が進むに連れてfcc−FePtの結晶構造の規則化
が進み、L10型の規則構造(体心正方晶;fct)が形
成される。また、強磁性物質23にCoを用いた場合で
は、成膜直後のCoはfcc−Co(一部にhcp(六
方最密構造)が混在)をとり、熱処理が進行するに連れ
てFePtの場合と同様にCoとPtとが合金化されて
fct構造のL10型規則構造が形成される。更に、強磁
性物質23としてFeCo合金を用いた場合でも上記と
同様にしてfct構造のFeCoPtからなるL10型規
則構造が形成される。
【0036】熱処理温度は400〜600℃の範囲とす
ることが好ましく、上記のFe及び/またはCoとPt
との組み合わせの場合には、500〜600℃とするこ
とが好ましい。熱処理温度が400℃未満では、規則構
造を得るために熱処理に長時間を要することになるため
好ましくなく、熱処理温度が600℃を越えると強磁性
物質23と隔離層4とが反応するおそれがあるので好ま
しくない。
【0037】強磁性物質23を構成する元素が基材2ま
たは下地層5を構成する元素に対してぬれ性に劣り、エ
ピタキシャル成長できない元素であっても、種結晶粒子
13を構成する元素に対して強磁性物質23を構成する
元素がエピタキシャル成長可能な元素の組み合わせであ
れば良い。例えば、(100)NaClの基材2上にF
eを直接形成すると、NaClの(100)面に対して
Feは通常の成膜条件ではエピタキシャル成長しない
が、Ptの粒子ならばNaClの(100)面に対して
容易にエピタキシャル成長する。
【0038】そして、Ptの粒子に対してPt粒子の一
部若しくは全部を覆うようにFeをエピタキシャル成長
させることができるので、結果的に基材2に対してFe
をエピタキシャル成長させた場合と同じようにFeの結
晶配向性を基材2または下地層5に対して優れた状態と
することができる。これらの結晶配向性に優れた種結晶
粒子と強磁性物質とを熱処理することにより、規則構造
を含む硬磁性粒子3を形成することができる。
【0039】また、基材2または下地層5上にPtの種
結晶粒子を形成する際に、基材2または下地層5の温度
と蒸着速度(成膜レート)を調節することでPt粒子の
分散状態を容易に制御することができる。例えば、基材
2の温度を高くすると、Pt粒子を疎に分散させること
ができ、蒸着温度を低くするとPt粒子の分散状態を密
にすることができる。更にこのことから、Pt粒子の一
部または全部を覆うようにFeを被覆形成し、熱処理を
行うことで硬磁性粒子3を形成するので、Pt粒子の分
散状態の疎密状態を変えることで多数の硬磁性粒子3…
の平均粒子間距離を自由に制御することができる。これ
は、基材温度を高温とした方がPtクラスタ形成の核サ
イト(基材表面の原子ステップ等)が少なくなることに
起因しているものと思われる。
【0040】以上のように製造されたグラニュラー硬磁
性薄膜1は、15nm以下の大きさの硬磁性を示す硬磁
性粒子3が多数分散され、しかも硬磁性粒子3…が間隔
を有して分散されているので、優れた硬磁気特性を示
す。
【0041】また、硬磁性粒子3には例えばFePtか
らなる規則構造が含まれているので、グラニュラー硬磁
性薄膜1により優れた硬磁気特性を与えることができ、
特にグラニュラー硬磁性薄膜1の保磁力を高くすること
ができる。
【0042】
【実施例】(実験例1)電子ビーム蒸着装置を用い、蒸
着チャンバの内部を3×10-7Paまで減圧し、NaC
l(100)基板上にPtの種結晶粒子を分散形成し
た。また、基板温度を400℃に設定し、成膜レートは
0.1nm/分とし、Ptの粒子が互いに接合して膜を
形成する前にPtの粒子の分散状態で蒸着させるため
に、Pt粒子の平均厚さを1nm程度に調整した。Pt
粒子の蒸着後、基板を400℃に加熱保持し、0.4n
m/分の成膜レートでFeの蒸着を行ってPt粒子上及
び周囲の一部または全部にFeの強磁性物質を成膜し
た。ここではFeの過剰な供給によりFeの連続膜が形
成されてしまわないように、Feの平均厚さ(基板上に
一様に2次元分布すると仮定した厚さ)を2nm程度に
調整した。その後に隔離層として厚さ4nmの非晶質の
Al23膜(a-Al23と略記する)を成膜した。次
に、これを2×10-5Paの減圧雰囲気中で600℃で
6時間加熱することにより熱処理を行いPtとFeを相
互に拡散させて、FePt合金からなる硬磁性粒子を分
散形成した。このようにしてNaCl基板上に実験例1
のグラニュラー硬磁性薄膜を形成した。
【0043】次に、NaCl基板を蒸留水に侵漬して溶
解することによりグラニュラー硬磁性薄膜を単離し、こ
れをCu製マイクログリッド上に取り付けた後、TEM
(透過型電子顕微鏡)を用いて、グラニュラー硬磁性薄
膜の微細構造の観察を行った。TEM写真を図7に示
す。また、SAD(selected area electron differact
ion;制限視野電子線回折)の測定を行い、電子線回折図
形を得た。この図形を図7の左上方に同時に示す。更
に、3つの硬磁性粒子を任意に選び、個々の硬磁性粒子
に対してEDX(energy dispersive X-ray spectroscop
y;エネルギー分散型X線分析)を行い、EDXスペクト
ルを得た。それぞれのスペクトルを図8〜図10に示
す。同時にEDXにより組成分析を行った。結果を図8
〜図10に同時に示す。
【0044】図7に示すように、このグラニュラー硬磁
性薄膜中には、微細な硬磁性粒子が分散して形成されて
いることが確認される。この硬磁性粒子の平均粒径は1
2nmであり、また粒子間平均距離は4nmであった。
また、図7に同時に示した電子線回折図形には、(02
0)面及び(002)面からの基本反射が観察されると共
に、(001)面(矢印1、2)及び(100)面(矢印3)か
らの反射が観察される。(001)面及び(100)面から
の反射は、L10型の規則構造に特有の規則格子反射であ
り、このことから硬磁性粒子に規則構造が含まれている
ことが確認される。
【0045】また、図8〜図10に示すように、いずれ
の硬磁性粒子からもFeとPtが検出されており、Fe
Pt合金が形成されていることがわかる。また、硬磁性
粒子毎にFeとPtの組成比が異なっていることがわか
る。通常、L10型構造のFePt合金規則相は広い非化
学量的組成域を有し、その範囲は約35〜55原子%で
ある。図8〜図10より粒子組成がこの範囲にあること
から、いずれの硬磁性粒子も600℃の熱処理によって
L10型規則相に変化していることが示唆される。
【0046】次に、図11には、硬磁性粒子の1つの高
分解能電子顕微鏡写真を示す。図11から明らかなよう
に、少なくともこの硬磁性粒子には、粒子の中央部分と
周辺部分に、それぞれ結晶方位の異なる3つのドメイン
が存在していることがわかる。すなわち、ほぼ中央にあ
るドメインは、そのL10型の規則格子のc軸が膜面垂直
方向に配向しており、硬磁性粒子の周辺部に位置するド
メインは、そのL10型の規則格子のc軸が膜面内方向に
配向しており、更にこの膜面内配向している2つのドメ
インのc軸の配向方向は互いに90°の角度をなしてい
る。
【0047】この3つのドメインの結晶方位はまた、図
12及び図13に示したNBD(nano-beam electron di
ffraction;ナノビーム電子線回折)の結果からも確認さ
れる。 図12は、c軸が膜面内方向に配向したドメイ
ン(硬磁性粒子の周辺部のドメイン)からの回折図形であ
る。また、図13はc軸が膜面垂直方向に配向したドメ
イン(硬磁性粒子の中央部のドメイン)からの回折図形で
ある。なお、これらの図形は電子ビーム径を1nmまで
絞って測定した。図12に示す回折図形には、(001)
面からの規則格子反射が観察され、図13に示す回折図
形には、(011)面からの規則格子反射が観察されてお
り、これらのことからも硬磁性粒子の中央にあるドメイ
ンが、そのL10型の規則格子のc軸が膜面垂直方向に配
向しており、周辺部に位置するドメインが、そのc軸が
膜面内方向に配向していることが明らかである。
【0048】(実験例2)基板にMgO(100)を用
いたこと以外は実験例1と同様に、基板上にPtからな
る種結晶粒子とFeからなる強磁性物質を形成し、更に
600℃で6時間熱処理することにより、実験例2のグ
ラニュラー硬磁性薄膜を作成した。次に、SQUID
(超伝導量子干渉磁束計)を用いて、実験例2のグラニ
ュラー硬磁性薄膜の磁化曲線を測定した。なお、測定し
た薄膜は、熱処理前と熱処理後の薄膜をそれぞれ用い
た。同様に、実験例1で作製したグラニュラー硬磁性薄
膜の磁化曲線も求めた。図14に実験例1のグラニュラ
ー硬磁性薄膜の磁化曲線を示し、図15に実験例2のグ
ラニュラー硬磁性薄膜の磁化曲線を示す。また、保磁力
(Hc)と角形比(M/Ms)をそれぞれ求めた。なお
角形比は、飽和磁化Msと残留磁化Mとの比率であり、
ここで求めた角形比は、外部磁界が0 Oeの時のもの
である。
【0049】図14に示すように、NaCl基板上に形
成した実験例1のグラニュラー硬磁性薄膜は、熱処理前
の薄膜が37 Oeの保磁力(Hc)を示したのに対
し、熱処理後の薄膜が3.5kOeの保磁力(Hc)を
示すと共に0.74の角形比(M/Ms)を示した。ま
た、図15に示すように、MgO基板上に形成した実験
例2のグラニュラー硬磁性薄膜は、熱処理前の薄膜が数
十Oeの保磁力(Hc)を示したのに対し、熱処理後の
薄膜が3.3kOeの保磁力(Hc)を示すと共に0.
77の角形比(M/Ms)を示した。このように、熱処
理によってL10型の規則構造を含む硬磁性粒子を分散形
成することにより、保磁力(Hc)の高いグラニュラー
硬磁性薄膜が得られることがわかる。
【0050】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
グラニュラー硬磁性薄膜は、基板上にエピタキシャル成
長された種結晶粒子上に、エピタキシャル成長させつつ
強磁性物質が形成されて硬磁性粒子が形成され、微細な
硬磁性粒子が分散した状態になるので、優れた硬磁気特
性を発現させることができる。
【0051】また、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜の
製造方法によれば、熱処理によって前記種結晶粒子及び
前記強磁性物質を相互に拡散させて結晶磁気異方性の大
きな硬磁性粒子を形成するので、より優れた硬磁気特性
を発現させることができる。
【0052】更に、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜に
は、硬磁性粒子の周囲に、これらの硬磁性粒子を各々分
離して磁気的な交換結合を弱める隔離層が形成されてい
るので、硬磁性粒子同士の過度の磁気的な交換結合を防
止すると共に、硬磁性粒子の酸化を防ぐことができる。
【0053】また、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜に
おいては、前記種結晶粒子が、Pt、Ir、Os、R
u、Rh、Pd、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Auから選択され
る1種または2種以上の元素Mからなり、前記強磁性物
質が、Fe、Coのうちの一方または両方である元素T
からなり、fcc−TM合金固溶構造、fct−TM規
則構造、TM化合物構造のいずれか、若しくはこれらの
混合した状態を主体としてなり、より好ましくはこれら
元素T、Mの粒子の拡散によってできる前記硬磁性粒子
が、結晶磁気異方性の大きい規則構造を形成するため
に、優れた硬磁気特性を発現させることができ、特に保
磁力を高くすることができる。
【0054】また、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜の
製造方法は、基板上にエピタキシャル成長させた種結晶
粒子上に、エピタキシャル成長させつつ強磁性物質を形
成するので、微細な硬磁性粒子を分散形成させることが
でき、優れた硬磁気特性を示すグラニュラー硬磁性薄膜
を得ることができる。
【0055】更に、本発明のグラニュラー硬磁性薄膜の
製造方法によれば、熱処理によって前記種結晶粒子及び
前記強磁性物質を相互に拡散させて、fcc−TM合金
固溶構造、fct−TM規則構造、TM化合物構造のい
ずれか、若しくはこれらの混合した状態を主体としてな
り、結晶磁気異方性の大きい規則構造を有する硬磁性粒
子が形成されるので、より優れた硬磁気特性を示すグラ
ニュラー硬磁性薄膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態であるグラニュラー硬磁性
薄膜の一形態を示す断面模式図である。
【図2】 本発明の実施形態であるグラニュラー硬磁性
薄膜の他の形態を示す断面模式図である。
【図3】 本発明の実施形態であるグラニュラー硬磁性
薄膜の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】 本発明の実施形態であるグラニュラー硬磁性
薄膜の製造方法を説明するための工程図である。
【図5】 本発明の実施形態であるグラニュラー硬磁性
薄膜の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】 本発明の実施形態であるグラニュラー硬磁性
薄膜の製造方法を説明するための工程図である。
【図7】 実験例1のグラニュラー硬磁性薄膜の硬磁性
粒子の分散状態を示すTEM(透過型電子顕微鏡)写真
及びSAD(制限視野電子線回折)の回折図形である。
【図8】 実験例1のグラニュラー硬磁性薄膜の硬磁性
粒子のEDX(エネルギー分散型X線分析)スペクトルで
ある。
【図9】 実験例1のグラニュラー硬磁性薄膜の硬磁性
粒子のEDX(エネルギー分散型X線分析)スペクトルで
ある。
【図10】 実験例1のグラニュラー硬磁性薄膜の硬磁
性粒子のEDX(エネルギー分散型X線分析)スペクトル
である。
【図11】 実験例1のグラニュラー硬磁性薄膜の硬磁
性粒子の分散状態を示す高分解能TEM(透過型電子顕
微鏡)写真である。
【図12】 実験例1のグラニュラー硬磁性薄膜のNB
D(ナノビーム電子線回折)の回折図形を示す図である。
【図13】 実験例1のグラニュラー硬磁性薄膜のNB
D(ナノビーム電子線回折)の回折図形を示す図である。
【図14】 実験例1の熱処理前と熱処理後のグラニュ
ラー硬磁性薄膜の磁化曲線である。
【図15】 実験例2の熱処理前と熱処理後のグラニュ
ラー硬磁性薄膜の磁化曲線である。
【符号の説明】
1 グラニュラー硬磁性薄膜 2 基板 3 硬磁性粒子 4 隔離層 5 下地層 13 種結晶粒子 23 強磁性物質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下 波 アメリカ合衆国 15232 ペンシルベニア 州 ピッツバーグ エルスワースアベニュ ー 5700 エルスワースタワーズB1 Fターム(参考) 5E049 AA01 AA04 AA09 AC00 BA01 CC01 DB02 DB04 DB12 DB14 DB20 EB06

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶配向性の良好な基材上または結晶配
    向性の良好な下地層上に、前記基材または下地層の結晶
    配向性に揃うように個々に基材または下地層に対してエ
    ピタキシャル成長された複数の種結晶粒子が分散形成さ
    れ、これら複数の種結晶粒子の周囲に、これらの個々の
    種結晶粒子の一部若しくは全部を囲むように個々の種結
    晶粒子に対してエピタキシャル成長された強磁性物質が
    形成されて微細な硬磁性粒子が形成され、該硬磁性粒子
    は、熱処理により前記種結晶粒子と前記強磁性物質を相
    互に拡散させて形成されたものであり、この微細な硬磁
    性粒子が分散形成されていることを特徴とするグラニュ
    ラー硬磁性薄膜。
  2. 【請求項2】 前記の硬磁性粒子を各々分離すると共に
    これらの硬磁性粒子の相互の磁気的な交換結合を弱める
    隔離層が、これらの硬磁性粒子の周囲を覆うように形成
    されていることを特徴とする請求項1に記載のグラニュ
    ラー硬磁性薄膜。
  3. 【請求項3】 前記基材または下地層が、Si、Ge、
    GaAs、MgO、NaCl、KCl、Al23、サフ
    ァイアの中から選択される1種からなることを特徴とす
    る請求項1に記載のグラニュラー硬磁性薄膜。
  4. 【請求項4】 前記種結晶粒子が、Pt、Ir、Os、
    Ru、Rh、Pd、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
    y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Auから選択され
    る1種または2種以上の元素Mからなることを特徴とす
    る請求項1に記載のグラニュラー硬磁性薄膜。
  5. 【請求項5】 前記強磁性物質が、Fe、Coのうちの
    一方または両方である元素Tからなることを特徴とする
    請求項1に記載のグラニュラー硬磁性薄膜。
  6. 【請求項6】 前記硬磁性粒子は、前記元素M及び前記
    元素Tよりなるfcc−TM合金固溶構造、fct−T
    M規則構造、TM化合物構造のいずれか、若しくはこれ
    らが混合した状態を主体としてなり、硬磁性であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のグラニュ
    ラー硬磁性薄膜。
  7. 【請求項7】 前記硬磁性粒子は、その組織が、元素
    T、Mのfct構造を有するL10型規則構造あるいは元
    素T、Mのラーベス相型化合物構造を主体とすることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のグラニュラ
    ー硬磁性薄膜。
  8. 【請求項8】 前記硬磁性粒子の平均粒径が、5〜15
    nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいず
    れかに記載のグラニュラー硬磁性薄膜。
  9. 【請求項9】 前記硬磁性粒子の平均粒子間距離が、2
    〜10nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜8
    のいずれかに記載のグラニュラー硬磁性薄膜。
  10. 【請求項10】 前記隔離層が、高抵抗の非磁性の絶縁
    体より形成されていることを特徴とする請求項2記載の
    グラニュラー硬磁性薄膜。
  11. 【請求項11】 前記隔離層が、Al23、SiO2
    Si34、MgO、AlN、BNの中から選択される1
    種からなることを特徴とする請求項2または請求項10
    に記載のグラニュラー硬磁性薄膜。
  12. 【請求項12】 前記隔離層が、非晶質状態のAl23
    からなることを特徴とする請求項2または請求項10に
    記載のグラニュラー硬磁性薄膜。
  13. 【請求項13】 結晶配向性の良好な基板上あるいは下
    地層上に、複数の種結晶粒子を前記基材もしくは下地層
    に対してエピタキシャル成長させつつ分散形成し、これ
    らの種結晶粒子の周囲に、強磁性物質を前記種結晶粒子
    に対してエピタキシャル成長させつつそれぞれの種結晶
    粒子の一部若しくは全部を囲むように形成した後に、熱
    処理することにより、前記種結晶粒子及び前記強磁性物
    質からなり、合金固溶構造、規則構造、化合物構造のい
    ずれか若しくはこれらが混合してなる硬磁性粒子を形成
    することを特徴とするグラニュラー硬磁性薄膜の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 前記種結晶粒子及び前記強磁性物質を
    覆う隔離層を形成する前若しくは形成後に、前記の熱処
    理をすることにより前記硬磁性粒子を形成することを特
    徴とする請求項13に記載のグラニュラー硬磁性薄膜の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記種結晶粒子を、Pt、Ir、O
    s、Ru、Rh、Pd、Nd、Sm、Eu、Gd、T
    b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Auから選
    択される1種または2種以上の元素Mより構成すると共
    に、前記強磁性物質を、Fe、Coのうちの一方または
    両方である元素Tより構成し、前記の熱処理によって前
    記種結晶粒子及び前記強磁性物質を相互に拡散させて、
    fcc−TM合金固溶構造、fct−TM規則構造、T
    M化合物構造のいずれか、若しくはこれらが混合した状
    態を主体としてなる前記硬磁性粒子を形成することを特
    徴とする請求項13または請求項14に記載のグラニュ
    ラー硬磁性薄膜の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記の熱処理によって前記硬磁性粒子
    をfct−TM規則構造あるいはTM化合物構造とする
    ことを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の
    グラニュラー硬磁性薄膜の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記種結晶粒子を分散形成する際の基
    板もしくは下地層の温度を、200〜500℃の範囲と
    することを特徴とする請求項13に記載のグラニュラー
    硬磁性薄膜の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記熱処理の熱処理温度を、400〜
    600℃の範囲とすることを特徴とする請求項13〜1
    7のいずれかに記載のグラニュラー硬磁性薄膜の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101477989B1 (ko) * 2014-06-12 2015-01-08 한국과학기술원 자성체를 포함하는 초전도 박막

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