JP2001041920A - 試料液の処理器具、およびこれを用いた試料液の処理方法 - Google Patents

試料液の処理器具、およびこれを用いた試料液の処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、バイオセンサに供給する被分析試
料液を、高精度で、迅速に分析できる状態に調整する試
料液の処理器具を提供する。 【解決手段】 本発明の試料液の処理器具は、試料液を
バイオセンサによる分析に適した状態に調製する制御手
段、例えば、妨害物質を除去する触媒や、吸着剤を具備
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バイオセンサに供
給する被分析試料液を処理する器具とそれを用いた試料
液の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】試料液中の特定成分を簡易に定量する方
法として、特定成分とこの特定成分を基質とする酸化還
元酵素とを電子受容体の存在下で反応させ、還元された
電子受容体を電気化学的に酸化して得られる酸化電流値
より求める方法がある。この方法を利用したバイセンサ
は、測定対象物を基質とする酸化還元酵素を選択するこ
とによって、種々な物質に対する測定が原理的には可能
である。このようなバイオセンサは、酵素反応や電極反
応を利用して分析をおこなうため、分析精度を向上させ
るには、酵素反応や電極反応などが円滑に行われるよう
にする必要がある。そのため、試料液の温度やpHを調
製して酵素活性を高めたり、酵素反応や、電極反応を阻
害する物質を除去したりすることが検討されている。ま
た、試料液中には、酸化されやすい易酸化性物質が含ま
れる場合がある。易酸化性物質は、電子受容体を酸化す
るとき同時に酸化されて酸化電流を生じ、測定結果に正
の誤差を与えるため、測定精度が低下する原因となる。
そのため、この易酸化性物質の影響を抑制する必要があ
る。
【0003】従来、上記のような課題を解決するための
手段は、バイオセンサの測定系内に組み込まれている。
例として、固定化酵素膜と電極反応を用いたバイオセン
サであるフローインジェクション分析装置(Yellow Spr
ing Instrument Co.,Inc.製 YSI MODEL2700 SELECT)
の測定動作を挙げて説明する。この分析装置の測定系
は、少なくとも作用極と対極を含む電極系、この電極系
に装着された固定化酵素膜、被分析試料液が供給されて
測定場となるサンプルチャンバー、および前記電極系と
接続された電気回路系から構成されている。
【0004】まず、他方がサンプルチャンバーに連通す
るサンプル吸引用のチューブを試料液に浸し、試料液を
サンプルチャンバーに吸引して、試料液をサンプルチャ
ンバーへ供給する。このとき、一定量の緩衝液も別の吸
引チューブを通じてサンプルチャンバー内に供給する。
続いて、サンプルチャンバー内に設置されたスターラー
によって、供給された試料液と緩衝液を攪拌混合する。
そして、試料液と緩衝液が導入されて一定時間が経過し
た後、電気化学的な測定を行うことによって、試料液中
の測定対象物の定量を行う。
【0005】このような構成の分析装置は、緩衝液がサ
ンプルチャンバーに導入されることによって、試料液を
適当な濃度に希釈すると同時に、試料液を酵素反応に適
するpHに調製することができる。また、試料液と緩衝
剤を攪拌することによって、試料液と緩衝液の混合が迅
速に行えると同時に、酸素が溶液中に溶解するのを促進
し、酵素反応が進行するのに十分な酸素を供給すること
ができる。
【0006】しかし、このような分析装置は、測定対象
物が変わると、それに合わせて固定化酵素膜を交換しな
ければならない。また、酵素によって、酵素反応に適し
たpH域が異なるため、緩衝液も同時に交換しなければ
ない。そのため、操作が煩雑になるという問題があっ
た。また、希釈によって、酵素反応や電極反応を阻害す
る妨害物質や、易酸化性妨害物質による影響を低減する
ことはできるが、これらの影響をなくすことは困難であ
るため、分析精度を向上させるには限界があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑み、バイオセンサに供給する被分析試料液を、高精度
に、かつ迅速に分析できる状態に、簡便に調製する処理
器具を提供することを目的とする。また、上記器具を用
いて、バイオセンサに供給する被分析試料を処理する方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の試料液の処理器
具は、バイオセンサに供給する被分析試料液を、バイオ
センサによる分析に適した状態に近づける制御手段を具
備する。また、本発明による試料液の処理方法は、上記
の試料液の処理器具に、バイオセンサに供給する被分析
試料液を供給する工程を含む。
【0009】
【発明の実施の形態】上記のように、本発明の試料液の
処理器具は、被分析試料液をバイオセンサによる分析に
適した状態、すなわち前述のような妨害物質が測定結果
に影響を及ぼさない状態、あるいは使用する酵素の活性
に適したpH域や温度範囲に制御する手段を具備する。
この処理器具を用いて試料液をあらかじめ調製すること
によって、特定成分を高精度、かつ迅速に分析すること
ができる。ここにおいて、前記制御手段が、前記妨害物
質を分析結果に影響を与えない物質に変化させる反応を
触媒する物質を有すると、妨害物質の影響を除去でき
る。例えば、試料液に易酸化性妨害物質が含まれる場
合、易酸化性妨害物質の酸化を触媒する酵素または二酸
化マンガン等の金属酸化物などを含む触媒層を処理器具
に備えると、この処理器具に試料液を供給したとき、易
酸化性妨害物質が酸化されて、酸化電流値を生じること
のない物質に変化させることができる。そのため、バイ
オセンサの測定精度を向上させることができる。
【0010】このような易酸化性妨害物質としては、ビ
タミンB2やビタミンCなどの各種ビタミン類、アント
シアニンやタンニン酸などの色素類、および尿酸などの
有機酸等がある。例えば、試料液中にビタミンCである
アスコルビン酸が含まれる場合は、触媒層にアスコルビ
ン酸オキシダーゼを含ませると、アスコルビン酸を酸化
されにくいデヒドロアスコルビン酸に変化させることが
できる。また、触媒層には、バイオセンサに含まれる酵
素が、測定対象物と誤って反応してしまう物質を、酵素
が反応しないような物質に変化させる触媒を含ませても
よい。
【0011】触媒層に含ませる酵素は、一種でもよい
が、特に二種以上の酵素を含ませると、試料液中に複数
の妨害物質が含まれる場合、一度の手間で試料液を分析
に適した状態に処理できて都合がよい。前記制御手段
が、物理吸着能を有する吸着剤を有すると、試料液中に
含まれる妨害物質を試料液中から取り除くことができ
る。例えば、醸造食品の醸造過程で生じる乳酸などの有
機酸は、酵素反応や電極反応に悪影響を与えるため、醸
造食品の品質管理のためのグルコース濃度の測定精度を
低下させる。そこで、活性炭を含む層で吸着層を構成し
た処理器具で試料液を処理して、有機酸を除去すると、
分析精度を向上させることができる。
【0012】さらに、前記制御手段が、試料液が処理器
具に供給されると同時に試料液中に溶解して、試料液の
pH域が使用する酵素の活性に適した範囲になる緩衝剤
を有すると、バイオセンサに含まれる酵素の活性を向上
させることができ、高精度で、迅速に分析を行える。例
えば、酵素が乳酸オキシダーゼの場合、その活性に適し
たpH域は6〜7であるので、このようなpH域に試料
液を調製するため、リン酸緩衝液のようなpH緩衝剤を
用いるのがよい。その他、使用する酵素に応じて、McIl
vaine緩衝剤、Tris-HCl緩衝剤などのpH緩衝剤が用い
られる。
【0013】処理器具の材質は、樹脂などが適している
が、上記のような制御手段を具備させることが可能であ
れば、それに限定されることはない。また、処理器具
は、上記の制御手段を包含することが可能であり、かつ
試料液を保持することが可能であれば、その形状を問わ
ない。さらに、上記の制御手段を配する位置は、処理器
具に試料液を供給した際に、試料液と接触可能な位置で
あれば、任意の場所でよい。前記処理器具が、加熱手段
を具備すると、冷蔵庫など低温の保存庫から出してから
時間が経過していない試料液でも、すぐにバイオセンサ
に供給して測定することが可能となる。また、酵素に限
らず、一般に触媒は最も触媒能が高まる温度があるた
め、試料液をその温度に調節することが可能であれば、
試料液の処理や、分析を迅速に完了させることが可能と
なって好適である。加熱手段としては、ヒータ線を織込
んだ織物などの電熱シートなどで処理器具を被覆するの
がよい。前記処理器具が、攪拌手段を具備すると、試料
液と触媒層やpH緩衝剤層を均一に混合することができ
てよい。
【0014】本発明の試料液の処理方法は、上記のよう
な試料液の処理器具に、試料液を供給して、試料液をバ
イオセンサによる分析に適した状態に近づくように調製
する工程を含む。このような構成をとることによって、
バイオセンサに試料液を導入してから、希釈などの妨害
物質の影響を削減するための煩雑な操作を省略すること
ができる。また、バイオセンサは、試料液中に含まれる
分析対象物の濃度が高くなるにつれて、分析精度が低下
する傾向がある。そのため、試料液に水や緩衝液等を供
給して、試料液を適当な倍率に希釈すると、測定精度が
向上する。このとき、希釈液に、試料液をバイオセンサ
に含ませた酵素の活性に適したpH域に調製できる緩衝
液を利用するとよい。試料液を攪拌したり、加熱したり
すると、試料液の処理が迅速に行われる。
【0015】ここに用いるバイオセンサは、後述の実施
例に示すような使い捨てタイプのセンサが便利である。
実施例では、カバーの付いていないタイプのセンサを用
いたが、これに似たタイプのカバー付きのセンサが市販
されているのでこれを使用するのがよい。このカバー付
きセンサについては、米国特許第5,120,420号に詳しく
開示されいる。
【0016】
【実施例】以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をよ
り詳細に説明する。図1は本発明の一実施例における試
料液の処理器具の外観を示す斜視図である。図2は図1
の縦断面図である。樹脂製の容器10の底面に、試料液
を所望の状態に調製する手段となる物質を直接圧着させ
る、または前記物質を適当な溶媒に溶解させた溶液、も
しくは適当な分散媒に分散させた分散液を滴下し、乾燥
させて、溶媒や分散媒を揮発させ、制御膜11を形成し
ている。図3は、本発明の他の実施例における試料液の
処理器具の縦断面図である。樹脂製の容器20の内側面
に、図2と同様にして制御膜21を作成している。
【0017】図4は、本発明の他の実施例における試料
液の処理器具の斜視図である。この処理器具は、ガラス
繊維の不織布や濾紙のような多孔性担体からなる試料展
開部30および試料供給部31からできている。試料展
開部30には、試料液を所望の状態に調製するための物
質が保持されている。前記物質を適当な溶媒に溶解し、
その溶液に多孔性担体を浸漬し、乾燥させて溶媒を揮発
させるか、前記物質を溶解した溶液または分散した分散
液を多孔性担体に滴下し、乾燥させて溶媒または分散媒
を揮発させることにより、試料展開部30を作製するこ
とができる。試料供給部31は、スポンジのような弾力
性があり、試料液を内部に保持できる素材からなる。試
料展開部30を通過した試料液は、これに連なる試料供
給部31に到達し、ここからバイオセンサへ供給され
る。
【0018】図5は、本発明のさらに他の実施例におけ
る処理器具の断面図を示す。底部に試料液供給ノズル4
3を有する樹脂製容器40の内部に、処理層41および
42が設置されている。処理層41および42は、試料
液を所望の状態に調製するための物質からつくるか、ま
たは同物質を保持した通液性材料からつくられる。調製
する試料液は、容器40の開口部より容器内へ導入さ
れ、処理層41および42を通過して処理され、ノズル
43からセンサなどへ供給される。
【0019】図6は、本発明の一実施例に用いたバイオ
センサの反応層を取り除いた概略平面図である。ポリエ
チレンテレフタレートからなる絶縁性の基板1上に、ス
クリーン印刷により銀ペーストを印刷し、リード2、3
を形成している。ついで、樹脂バインダーを含む導電性
カーボンペーストを基板1上に印刷して作用極4を形成
している。この作用極4は、リード2と接触している。
さらに、この基板1上に、絶縁性ペーストを印刷して絶
縁層6を形成している。絶縁層6は、作用極4の外周部
を覆っており、これにより作用極4の露出部分の面積を
一定に保っている。そして、樹脂バインダーを含む導電
性カーボンペーストをリード3と接触するように基板1
上に印刷してリング状の対極5を形成している。図7
は、上記バイオセンサの縦断面図である。基板1上の作
用極4と対極5からなる電極系上に、酵素および電子受
容体を含む反応層7を形成している。
【0020】《実施例1》試料液として、果汁を用意
し、この果汁中に含まれるグルコースの濃度を図6に示
すバイオセンサを用いて測定した。バイオセンサの反応
層7には、酵素として、グルコース酸化酵素(以下、G
Oxという。)、電子受容体として、フェリシアン化カ
リウムを含ませた。果汁には、易酸化性物質であるアス
コルビン酸が多く含まれるため、このままでは、得られ
る酸化電流値が正の誤差を含み、実際の値よりも高くな
る。そのため、果汁をバイオセンサに導入する前に、次
のようにして作製した処理器具によって調製した。
【0021】処理器具は、図2の樹脂容器10の底面
に、触媒として、アスコルビン酸が選択的に酸化される
反応を触媒するアスコルビン酸オキシダーゼ(以下、A
sOxという。)の水溶液を滴下し、乾燥雰囲気下で乾
燥して、AsOx層11を形成して作製した。この処理
器具内に、果実の果汁を供給した。果汁に含まれるアス
コルビン酸は、AsOxの触媒作用によって、酸化電流
値を測定する際、悪影響を及ぼさない物質(デヒドロア
スコルビン酸)に変化した。
【0022】このようにして調製した果汁を上記のバイ
オセンサに導入した。バイオセンサの反応層7上に試料
液を滴下すると、反応層7が溶解し、反応層7内のGO
xによって、果汁中のグルコースが選択的に酸化され
る。この酵素反応に伴い、フェリシアン化カリウムがフ
ェロシアン化カリウムに還元される。果汁を滴下してか
ら一定時間後に、対極5を基準にして、作用極4に電圧
を印加して、フェロシアン化カリウムをフェリシアン化
カリウムに酸化し、このとき流れる電流値を測定した。
その結果、アスコルビン酸を含まないグルコース標準液
を測定したときと同程度の精度で、グルコース濃度を測
定することができた。
【0023】また、グルコース濃度が高い果汁を測定す
る場合、処理器具内に果汁を供給すると同時に水を加え
て、果汁を希釈した。その結果、希釈した試料液の方が
精度よく定量することができた。希釈液として、水の代
わりに、pH4〜8に調製された緩衝液を用いて、As
Oxの活性に適したpH域に果汁を調製すると、さらに
分析精度が向上した。また、処理器具内に試料液を供給
した後、試料液を攪拌した。その結果、AsOx層の溶
解が早まり、また試料液中への酸素の供給が十分に行え
たので、AsOxによる触媒反応が促進され、試料液を
迅速に処理することができた。
【0024】次に、図2の容器を電熱シートで覆った処
理器具に、冷蔵庫から出して時間が経過していない果汁
を供給して、暖めたところ、果汁をAsOxの活性に適
した温度にできたため、迅速な処理ができた。また、こ
のまま、この調製した果汁を上記と同様にしてバイオセ
ンサに供給して分析したところ、迅速、かつ高精度に分
析できた。
【0025】《実施例2》試料液として、ワインの発酵
過程に生じる果醪(かもろみ)を用意し、この果醪中に
含まれるグルコースの濃度を実施例1と同様のバイオセ
ンサで測定した。発酵過程の果醪中のグルコース濃度を
測定し、管理することはワインの品質を管理する上で重
要である。この果醪中には、易酸化性物質であるポリフ
ェノール、例えばタンニン酸などが多く含まれるため、
このままでは、得られる酸化電流値が正の誤差を含み、
実際の値よりも高くなる。そのため、果醪をバイオセン
サに導入する前に、次のようにして作製した処理器具に
よって調製した。
【0026】処理器具は、図2の樹脂容器10の底面
に、ポリフェノールが選択的に酸化される反応を触媒す
るポリフェノールオキシダーゼ(ラッカーゼともい
う。)の水溶液を滴下し、乾燥雰囲気下で乾燥して、酵
素層11を形成して作製した。この処理器具内に、果醪
を供給した。果醪に含まれるポリフェノールは、ラッカ
ーゼの触媒作用によって、酸化電流値を測定する際、悪
影響を及ぼさない物質(ポリキノン)に変化した。この
ようにして調製した果醪を上記のバイオセンサに導入
し、実施例1と同様にして果醪中のグルコース濃度を測
定した。この結果、ポリフェノールを含まないグルコー
ス標準液を測定したときと同程度の精度で、グルコース
濃度を測定することができた。また、グルコース濃度が
高い果醪を測定する場合、実施例1と同様に、水や、p
H4〜8に調製された緩衝液で果醪を希釈すると、測定
精度を向上させることができた。
【0027】《実施例3》試料液として、栄養飲料(大
正製薬(株)社製、リポビタンD)を用意し、この飲料
中に含まれるフルクトースおよびグルコースの濃度を実
施例1と同様にしてそれぞれ測定した。ただし、フルク
トースを測定する場合は、反応層7に、GOxの代わり
にフルクトース脱水素酵素を含ませた。栄養飲料などの
嗜好性飲料には、抗酸化剤としても機能するビタミンC
(アスコルビン酸)や、色素としても機能するビタミン
2(リボフラビン)などが添加されている。これらは
いずれも易酸化性物質であり、このままでは得られる酸
化電流値が正の誤差を含み、実際の値よりも高くなる。
そのため、栄養飲料をバイオセンサに導入する前に、次
のようにして作製した処理器具によって調製した。
【0028】処理器具は、図4の試料展開部30に、A
sOxの水溶液とリボフラビンが選択的に分解される反
応を触媒するリボフラビナーゼの水溶液とを体積比1:
1で混合した混合水溶液を滴下し、乾燥雰囲気下で乾燥
して、AsOxおよびリボフラビナーゼを担持させて作
製した。この処理器具の試料展開部30に、栄養飲料を
供給した。栄養飲料に含まれるビタミンCはAsOxの
作用によって、酸化電流値を測定する際に悪影響を及ぼ
さない物質(デヒドロアスコルビン酸)に変化し、また
ビタミンB2はリボフラビナーゼの作用によって測定値
に影響を及ぼさない物質(リビトール)に変化した。
【0029】このように試料展開部30を通過する過程
で処理された栄養飲料は、試料供給部31よりバイオセ
ンサに導入される。このとき、試料供給部31は、スポ
ンジで形成されているため、ここにバイオセンサを押し
当てるだけで栄養飲料がバイオセンサに導入され、測定
が開始される。上記の調製された栄養飲料を上記のよう
にしてバイオセンサに導入し、実施例1と同様にして栄
養飲料中のフルクトースおよびグルコースの濃度をそれ
ぞれ測定した。この結果、フルクトース標準液およびグ
ルコース標準液を測定したときと同程度の精度で、フル
クトースおよびグルコース濃度を測定することができ
た。
【0030】《実施例4》日本酒の醸造過程におけるグ
ルコース濃度の管理を実施例1と同様にしておこなっ
た。日本酒の醗酵過程では、エタノールの他に乳酸やリ
ンゴ酸などの多くの有機酸も生成される。これらの有機
酸には、バイオセンサの酵素反応および電極反応に影響
を与えるものがある。そのため、試料液をバイオセンサ
に導入する前に、次のようにして作製した処理器具によ
って、試料液を調製した。
【0031】ここに用いた処理器具は、図5の構造を有
する。容器40の底面に、適当な割合でポリ四フッ化エ
チレン粉末を混合した活性炭粉末をプレスによってペレ
ット状に成形した処理層41と、ガラスフィルターに緩
衝液を滴下し乾燥させた処理層42とを積層して装着し
たものである。緩衝液のpHは、GOxが好適な活性を
示すpH域(pH4〜7)である。この処理器具内に、
日本酒の醪(もろみ)を供給し、処理層42において3
〜4の低い値であったpHを緩衝剤により調整し、処理
層41で醪に含まれている有機酸を活性炭の物理吸着作
用で除去した。このようにして調製した試料液を実施例
1と同様にして測定したところ、精度よく測定できた。
なお、上記実施例では日本酒の醪について述べたが、ワ
インの果醪中のエタノールや有機酸を除去する場合も、
同様の効果が得られた。
【0032】《実施例5》乳酸菌醗酵を行っている培地
を試料液とし、培地中のL−乳酸の濃度を図6に示すバ
イオセンサを用いて測定した。ただし、酵素としてL−
乳酸酸化酵素(以下、LOxという。)、電子受容体と
してフェリシアン化カリウムを用いた。乳酸菌醗酵は、
醗酵が進行するにつれてL−乳酸が生成されるため、培
地が酸性に移行する。バイオセンサに用いる酵素のLO
xは、pHが7以下になると急激に活性が低下するた
め、醗酵が進んだ培地をバイオセンサで測定すると、そ
の測定精度が著しく低下する。そこで、次のような処理
器具を作製し、これを用いて試料液を処理することによ
って、試料液のpHを調製した。
【0033】処理器具は、リン酸水素二カリウムをトル
エンに分散させた分散液を図3の容器20の側面に展開
してそのままトルエンを揮発させて、制御膜21を形成
して作製した。この処理器具内に、乳酸菌醗酵の培地を
供給し、培地のpHが7になるように調製した。この調
製済みの培地を上記のバイオセンサに導入した。バイオ
センサの反応層7上に前記の培地を滴下すると、反応層
7が溶解し、反応層7内のLOxによって、培地中のL
−乳酸が選択的に酸化される。この酵素反応に伴い、フ
ェリシアン化カリウムがフェロシアン化カリウムに還元
される。そして、実施例1と同様にして、フェロシアン
化カリウムを電気化学的に酸化し、酸化電流値を測定
し、培地中のL−乳酸の濃度を求めた。その結果、精度
よく測定することができた。
【0034】
【発明の効果】上記のように、本発明によると、迅速に
かつ簡便に、バイオセンサに供給する被分析試料液の状
態を調製することができ、バイオセンサを用いた分析の
精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における試料液の処理器具の
外観を示す斜視図である。
【図2】同処理器具の縦断面図である。
【図3】本発明の他の実施例における試料液の処理器具
の縦断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例における試料液の処
理器具の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例における試料液の処理器具
の縦断面図である。
【図6】本発明の一実施例に用いたバイオセンサの反応
層を除いた概略平面図である。
【図7】同バイオセンサの縦断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2、3 リード 4 作用極 5 対極 6 絶縁層 7 反応層 10、20、40 容器 11、21 制御膜 30 試料展開部 31 試料供給部 41、42 処理層 43 ノズル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バイオセンサに供給する被分析試料液を
    調製する器具であって、前記試料液をバイオセンサによ
    る分析に適した状態に調製する制御手段を具備する試料
    液の処理器具。
  2. 【請求項2】 前記制御手段が、前記器具の内側に配さ
    れた触媒を有し、前記触媒が、前記試料液に含まれる妨
    害物質を分析結果に影響を与えない物質に変化させる触
    媒である請求項1記載の試料液の処理器具。
  3. 【請求項3】 前記触媒が、少なくとも1種の酵素から
    なる請求項2記載の試料液の処理器具。
  4. 【請求項4】 前記制御手段が、前記器具の内側に配さ
    れた吸着剤を有し、前記吸着剤が、前記試料液に含まれ
    る妨害物質を物理的に吸着して除去する吸着剤である請
    求項1記載の試料液の処理器具。
  5. 【請求項5】 前記制御手段が、前記器具の内側に配さ
    れたpH緩衝剤を有し、前記緩衝剤が、前記試料液をバ
    イオセンサに含まれる酵素の活性に適したpHに調製す
    る緩衝剤である請求項1記載の試料液の処理器具。
  6. 【請求項6】 さらに、試料液を加熱する手段を具備す
    る請求項1の試料液の処理器具。
  7. 【請求項7】 請求項1の試料液の処理器具に、バイオ
    センサに供給する被分析試料液を導入して、前記被分析
    試料液をバイオセンサによる分析に適した状態に近づけ
    る工程を含む試料液の処理方法。
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