JP2001037733A - 脳機能計測システム - Google Patents

脳機能計測システム

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JP2001037733A
JP2001037733A JP11215467A JP21546799A JP2001037733A JP 2001037733 A JP2001037733 A JP 2001037733A JP 11215467 A JP11215467 A JP 11215467A JP 21546799 A JP21546799 A JP 21546799A JP 2001037733 A JP2001037733 A JP 2001037733A
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Japan
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stimulus
brain
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measurement system
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JP11215467A
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Takeshi Yakai
武史 野界
Satoshi Fujita
智 藤田
Itsuro Tamura
逸朗 田村
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Kansai Research Institute KRI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 刺激に対する被験者の脳の神経活動を高い時
空分解能で計測し、脳の活動を解析することができる脳
機能計測システムを提供する。 【解決手段】 本発明に係る脳機能計測システムは、刺
激呈示装置10、磁界計測装置20、刺激による情動の
発現や認知過程を判定するデータ処理装置30およびデ
ータ処理装置30での解析結果を表示するデータ表示装
置40を備える。刺激呈示装置10により標準化された
刺激が呈示されると、磁界計測装置20により被験者1
の脳内に発生する脳磁界が高い時空分解能で計測され
る。データ処理装置30は、得られた脳磁界データに基
づき神経活動の広がりを示す電流密度分布(または電流
双極子の分布)を算出する。これにより精確に被験者1
の情動の発現や認知過程を判定することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、脳機能計測シス
テムに関し、特に、刺激を与えることにより観測される
神経活動を計測する脳機能計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生物学的アプローチにより脳のメ
カニズムを解明する研究が行われている。たとえば、
「情動をつかさどる脳」(池本圭子,“わかる脳と神
経”pp.29-37,羊土社)では、化学物質と情動との関
連が述べられている。
【0003】ところで、刺激によって生じる脳の現象
(情動、認知、記憶等)を定量的に評価するためには、
人に刺激を提示して、刺激に関連した脳の機能を高い時
空間分解能で直接計測することが必要である。
【0004】従来は、このような脳活動を計測するため
に、計測者それぞれが個別に刺激を用意し、計測手段と
して、中枢神経系の影響を受けて変化する血圧、心拍な
どを計測する生理指標、脳活動によって生じる頭皮上の
電位差を計測する脳波、脳活動によって変化する局所的
な脳血流量や神経伝達物質の代謝量の変化を計測するP
ET(positron emission tomography:陽子射出断層撮
影法)、fMRI(MRI:magnetic resonance imagi
ng:核磁気共鳴像)等を使用していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
手法によると、計測者がそれぞれ個別に刺激を使用する
ため、各計測間で結果を比較することが困難であった。
【0006】また、上述した計測手段のそれぞれに関し
ては、以下に示す問題点がある。まず、血圧などの生理
指標は、脳活動を間接的に反映しているので、情動等を
司る機能を精確に計測することはできない。また、脳波
は、脳活動を直接計測できるが、頭部を構成する組織の
電気伝導率が各組織によって異なるので脳内の活動部位
の情報が歪められ、かつ活動している脳内部位を数mm
のオーダで精確に特定することは困難である。さらに、
PETまたはfMRIは、神経活動による局所的な脳内
の血流量の変化や神経伝達物質の代謝量の変化を測定す
るために使用されるが、血管系の時定数が数百ミリ秒か
ら数秒であることから、ミリ秒単位で活動する脳内部位
を特定することはできてもそれらの時系列的な活動を特
定することはできない。
【0007】そこで、本発明はこのような問題を解決す
るためになされたものであり、その目的は、高い時空間
分解能で脳活動を定量的に計測することができる脳機能
計測システムを提供することにある。
【0008】また、本発明のさらなる目的は、脳活動を
定量的に解析することにより、情動の発現、認知過程を
判定することができる脳機能計測システムを提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明による脳機能計
測システムは、刺激を呈示するための刺激呈示手段と、
刺激呈示手段により与えられる刺激を受ける被験者の脳
の神経活動によって生じる脳磁界を計測する計測手段
と、計測手段から出力される磁界データに基づき、神経
活動の広がりを解析するデータ処理手段とを備える。
【0010】好ましくは、刺激呈示手段は、被験者に対
して情動を発現させる標準化された刺激を呈示し、デー
タ処理手段は、磁気データに基づき、神経活動の広がり
を示す電流密度分布を算出する算出手段と、電流密度分
布に基づき、被験者の感じる情動を判定する判定手段と
を含む。または、刺激呈示手段は、被験者に対して情動
を発現させる標準化された刺激を呈示し、データ処理手
段は、磁気データに基づき、神経活動の有無を示す電流
双極子の分布を算出する算出と、電流双極子の分布に基
づき、被験者の感じる情動を判定する判定手段とを含
む。そして、好ましくは、情動の一種である快・不快を
判定する。
【0011】好ましくは、刺激呈示手段は、被験者に対
して認知過程を生じさせる標準化された刺激を呈示し、
データ処理手段は、磁気データに基づき、神経活動の広
がりを示す電流密度分布を算出する算出手段と、電流密
度分布に基づき、被験者の刺激に対する認知過程を判定
する判定手段とを含む。または、刺激呈示手段は、被験
者に対して認知過程を生じさせる標準化された刺激を呈
示し、データ処理手段は、磁気データに基づき、神経活
動の有無を示す電流双極子の分布を算出する算出手段
と、電流双極子の分布に基づき、被験者の刺激に対する
認知過程を判定する判定手段とを含む。
【0012】そして、好ましくは、判定手段は、電流密
度分布と予め撮影された被験者の脳断層像とに基づき、
判定を実行する。または、電流双極子の分布と予め撮影
された被験者の脳断層像とに基づき、判定を実行する。
好ましくは、刺激呈示手段は、外部からの指定により、
刺激を繰返し呈示する。
【0013】したがって、上述した脳機能計測システム
によると、刺激により生じる脳磁界を高い時空間分解能
で計測し、これにより神経活動の広がりを解析すること
ができる。この結果、脳を破損することなく、刺激に対
応して反応する脳の機能を精確に、時系列的に特定する
ことができる。したがって、たとえば、情動、認知を司
る脳の機能を解明することが可能となる。
【0014】特に、神経活動の広がりを示す電流密度分
布に基づき、刺激による情動の発現や、認知過程を精確
に判定することが可能となる。または、神経活動の有無
を示す電流双極子の分布に応じて、刺激による情動の発
現や、認知過程を精確に判定することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照して説明する。なお、図中同一または相当部分に
は、同一符号を付してその説明を繰返さない。
【0016】本発明の実施の形態による脳機能計測シス
テムについて、図1を用いて説明する。図1は、本発明
の実施の形態による脳機能計測システムの概要を示す図
である。図1に示す脳機能計測システムは、標準化され
た刺激を呈示する刺激呈示装置10、被験者1の脳の神
経活動により生じる磁界(脳磁界)を計測する磁気計測
装置20、磁気計測装置20から出力される磁界データ
を解析するデータ処理装置30、およびデータ処理装置
30での解析により得られる解析データを表示するデー
タ表示装置40を備える。以下の説明では、情動の1つ
である快・不快を代表例として説明する。
【0017】刺激呈示装置10により、快・不快に関し
た刺激が呈示されると、被験者1の脳内では当該快・不
快に関連した神経活動が生じる。神経細胞が活動する
時、細胞内に電流が流れ、細胞の周りに磁界が生じる。
したがって、快・不快刺激によって、快・不快に関連し
た神経活動による脳磁界が発生する。
【0018】快・不快刺激に関連した脳磁界は、磁気計
測装置20により計測される。神経の電気的な活動は脳
磁界に反映されるので、磁気計測装置20により、ミリ
秒単位で変化する快・不快に関連した神経活動を計測す
る。
【0019】頭部を構成する組織の透磁率はほぼ一定で
ありかつ空気とほぼ同じ値であるため、脳磁界は、脳波
のように頭部組織の性質や形状による影響は受けない。
したがって、脳磁界を計測することにより、より高い空
間分解能で快・不快に関連した脳内の活動を求めること
が可能となる。
【0020】磁気計測装置20は、刺激呈示装置10の
出力する刺激の呈示時間をトリガとして、脳磁界を計測
する。したがって、刺激が呈示されているときの脳磁界
と呈示されていないときの脳磁界の区別が可能となる。
これにより、刺激と脳磁界とを関連付けることが可能と
なる。
【0021】データ処理装置30は、計測により得られ
た磁界データを解析し、快・不快を判定する。より具体
的には、快・不快に関連した脳磁界データから、脳の神
経活動の広がりを求める。これにより、快・不快に関連
した脳内部位の活動を求めることが可能となる。そし
て、特定の部位(快・不快に関連した部位)が、快また
は不快に特徴的な活動を示したか否かにより被験者1が
感じている快または不快を判定する。
【0022】解析結果は、データ表示装置40によって
表示される。これにより、被験者1が感じている快・不
快に関連した脳内部位の活動を容易に観測することが可
能となる。
【0023】図1に示す脳機能計測システムの具体例に
ついて、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施
の形態による視覚刺激を呈示する脳機能計測システム1
000の構成例を示す図である。図2に示す脳機能計測
システム1000は、視覚的に快・不快刺激を呈示し、
視覚刺激により生じる被験者1の脳磁界を計測すること
により被験者1が感じる快・不快を判定する。
【0024】刺激呈示装置10は、視覚刺激を呈示する
ためのコンピュータ12、刺激を表示するスクリーン1
4、およびコンピュータ12から出力される刺激をスク
リーン14に表示するためのプロジェクタ16を含む。
【0025】コンピュータ12は、標準化された刺激
(たとえば、心理学的なアプローチにより確立された標
準化された快・不快の刺激)を出力する。コンピュータ
12は、外部からの指示により標準化された刺激を生成
する。あるいは、コンピュータ12は、標準化された刺
激を蓄積するデータベースを含み、当該データベースか
ら指定した刺激を読出して出力する。
【0026】刺激呈示装置10により、快・不快の視覚
刺激がスクリーン14を介して、被験者1に呈示され
る。コンピュータ12に対する設定により、刺激は、所
定回数、繰返し呈示することが可能である。なお、コン
ピュータ12は、刺激の出力とともにトリガ(刺激呈示
時間)を出力する。
【0027】磁気計測装置20は、刺激を呈示したとき
に被験者の脳の神経活動により生じる磁界を計測するS
QUID磁束計22(SQUID:superconducting qu
antum interference device)と、SQUID磁束計2
2から出力される磁界データを受けるデータ収集装置2
4とを含む。
【0028】SQUID磁束計22は、超伝導体をジョ
ゼフソン結合することにより形成されるリング(図示せ
ず)を含み、当該リングを貫く磁界(または磁束)の変
化を電圧の変化で捉えることにより微小電流を高感度で
計測する。計測したい信号源から磁界を取出すセンサ
(磁界計測機器:図示せず)は、被験者1の頭部に配置
する。データ収集装置24は、コンピュータ12から受
けるトリガに応答して、SQUID磁束計22から出力
される磁界データを収集する。
【0029】データ処理装置30は、コンピュータ32
を含む。コンピュータ32は、データ収集装置24から
計測データを読出して、解析を行なう。この際、コンピ
ュータ32は、被験者1の頭部MRデータ(脳断層像)
を取込む。脳断層像は、解析したデータと比較して脳内
の活動部位を求めるために使用する。
【0030】コンピュータ32は、図11に示されるよ
うに電流密度分布算出部34と判定部36とを含む。電
流密度分布算出部34は、データ収集装置24から読出
した計測データに基づき、神経活動の広がりを表わす電
流密度分布を算出する。判定部36は、算出した電流密
度分布と予め撮影した被験者の脳断層像(頭部MRデー
タ)とに基づき脳の活動部位を求めて、刺激に対する快
・不快を判定する。
【0031】図2を参照して、データ表示装置40に含
まれる表示用のCRT42は、データ処理装置30での
解析結果を表示する。具体的には、脳断層像と解析によ
り得られる電流密度分布(または、後述する電流双極子
の分布)とを重ね合わせて表示し、快・不快の判定結果
を表示する。
【0032】図1に示す脳機能計測システム1000の
処理の流れの一例を、図3を用いて説明する。図3は、
図2に示す脳機能計測システム1000の処理の流れの
一例を説明するためのフローチャートである。図3を参
照して、ステップS1において、刺激呈示装置10によ
り被験者1に、視覚刺激が呈示される。刺激呈示装置1
0は、刺激の呈示にともない、磁気計測装置20にトリ
ガである刺激呈示時間を出力する。視覚刺激の一例とし
ては、図4(A)、図4(B)に示す画像が呈示され
る。なお、図4(A)は、快刺激に、図4(B)は、不
快刺激にそれぞれ対応している。
【0033】図3のステップS1を参照して、磁気計測
装置20は、刺激呈示装置10の出力するトリガ(刺激
呈示時間)を受けて、被験者1の脳磁界を計測し、磁界
データを収集する。
【0034】ステップS2では、被験者の脳断層像(頭
部MR画像)を撮影する。ステップS1およびS2が終
了するとステップS3に移る。ステップS3では、デー
タ処理装置30により、快・不快に関連した脳磁界デー
タの解析を行う。図5は、頭部に配置された64個のセ
ンサのそれぞれにより得られた脳磁界波形の一例を示す
図である。図5において、時刻0は、視覚刺激を呈示し
た時刻を示している。時刻0での刺激呈示後、64個の
センサのうちの複数のセンサにおいて、脳磁界波形のピ
ークが見られる。図6は、図5における所定時刻での頭
皮上の脳磁界分布を表わした図である。図6では、頭頂
部を中心に、磁界の強度を等高線で表わしている。刺激
呈示により生じる脳の神経活動により、脳内に磁界分布
が発生することが分かる。
【0035】図3のステップS3を参照して、このよう
にして得られた計測データ(磁界データ)を解析して脳
内の活動部位を求めることにより、快・不快に関連した
部位の活動データが得られる。活動部位を求めるにあた
り、電流密度分布算出部34において、脳内に広がった
神経活動を表現する指標となる電流密度分布を求める。
電流密度分布の算出処理により、電流密度分布の位置と
電流密度分布の大きさとが得られる。
【0036】図7は、ある時刻での電流密度分布を求め
るための処理の流れを示すフローチャートである。図7
を参照して、ステップS10では、電流密度分布を求め
る範囲を設定する。たとえば、脳全体を指定する。ステ
ップS11では、設定範囲内の任意の位置(対象位置と
記す)にのみ電流が存在すると仮定する(対象位置以外
の位置には電流は存在しないとする)。ステップS12
では、計測データから空間フィルタ係数を算出する。ス
テップS13では、算出した空間フィルタ係数から対象
位置での電流密度分布を求める。ステップS14では、
設定した全範囲で電流密度分布を求めたか否かを判定す
る。設定範囲でまだ対象となっていない位置がある場合
には、ステップS11に移り、上述した処理を行なう。
設定した全範囲について電流密度分布が求まった時点で
処理が終了する。
【0037】なお、電流密度分布の算出は、上記した方
法に限定されない。たとえば、磁界の計測位置と電流の
流れる方向とを表わす電流双極子を用いる方法もある。
電流双極子に基づき電流密度分布を求める処理の流れを
図8を用いて説明する。ステップS20では、求める電
流双極子の数を設定する。ステップS21では、電流双
極子の算定を行なうための空間を設定する。この際、当
該空間は被験者1の脳を含むものとし、当該空間内にの
み電流が存在すると仮定する(当該空間以外には電流が
存在しないとする)。ステップS22では、計測データ
から電流双極子を算定する。ステップS23では、設定
した空間を任意の大きさで分割する。これにより、電流
密度分布を求める対象となる複数の領域(Voxel)
が設定される。ステップS24では、各領域Voxel
内にある電流双極子の総和を算出し、これを領域Vox
elの大きさで規格する。この結果、各領域における電
流密度分布が算出されることになる。
【0038】なお、コンピュータ32の構成は、図11
に示されるものに限らず、図12に示す構成であっても
よい。図12に示されるコンピュータ32は、電流双極
子分布算出部38と判定部36とを含む。電流双極子分
布算出部38は、データ収集装置24から読出した計測
データに基づき、神経活動の有無を示す電流双極子を算
定し、電流双極子の分布を算出する。図12に示す判定
部36は、算出した電流双極子の分布と予め撮影した被
験者の脳断層像(頭部MRデータ)とに基づき脳の活動
部位を求めて、刺激に対する快・不快を判定する。たと
えば、電流双極子の分布する領域は、活動部位であると
する。
【0039】電流密度分布(または、電流双極子の分
布)の算出の後、図11(または図12)に示される判
定部36は、電流密度分布(または、電流双極子の分
布)を被験者の脳断層像に重ね合わせることにより、脳
内の活動位置を求める。
【0040】脳断層像との重ね合わせにより、たとえば
図9に示すように、快・不快に関連した脳内部位(帯状
回)における電流密度分布R1、R2を得ることができ
る。または、図9に示すように、電流双極子Bの分布R
3を得ることができる。なお、電流双極子Bは、電流の
流れる方向を示す矢印で表わされている。
【0041】こうして、どの部位(位置に対応)におい
てどの程度の活動(電流密度分布の大きさや電流双極子
の分布状態に対応)が行なわれているかが精確に時系列
的に解析されることになる。
【0042】図3を参照して、ステップS4では、ステ
ップS3で得られた解析データに基づき、被験者1が感
じる快・不快の判定が行なわれる。判定手法としては、
脳内の特定部位(たとえば、帯状回)での電流密度分布
の大きさが所定値以上であるか否かを調べ、当該所定値
以上であれば“快”と判定する。または、当該システム
に蓄積される快(または不快)の状態における電流密度
分布を雛形として、これと同様の特徴的な分布を示した
場合には快(または不快)と判定する。なお、時系列的
な電流密度分布の変化を考慮に入れることも可能であ
る。
【0043】また、電流双極子の分布により判定する場
合には、たとえば、脳内の特定部位に電流双極子の分布
が存在するか否か、または、当該特定部位に分布する電
流双極子の数が所定値以上であるか否かを調べ、当該所
定値以上であれば“快”と判定する。または、当該シス
テムに蓄積される快(または不快)の状態における電流
双極子の分布を雛形として、これと同様の特徴的な分布
を示した場合には快(または不快)と判定する。
【0044】ステップS5では、解析結果をCRT42
に表示する。具体的には、ステップS3で求めた電流密
度分布(または、電流双極子の分布)を被験者1の脳断
層像上に表示し、またステップS4における快・不快の
判定を表示する。
【0045】脳断層像と電流密度分布とを重ね合わせた
画像の一例を図10を用いて説明する。図10では、脳
断層像上に、記号Aで囲まれた領域(領域Aと記す)内
の電流密度分布が濃淡で表示されている。領域A内の各
部位において、濃淡が薄い(表示色が白い)ほど、電流
密度分布が高い部位(高い活動部位)であることを示し
ている。なお、図10においては、参考のため、従来型
の電流双極子Bを併せて表示している。電流双極子B
は、電界を計測した部位を示す丸印の部分と当該部分か
ら電流の流れる方向に引かれる線の部分とで構成され
る。
【0046】図10に示されるように、局所的な電流双
極子と比較して、電流密度分布を用いることにより2次
元での神経活動の広がりが明らかになる。したがって、
刺激に関連する脳の機能が精確に解析されることにな
る。また、このような画像をCRT42に表示すること
により、ユーザは、神経活動の広がりを容易に観測でき
ることが分かる。
【0047】図示しないが、電流双極子の分布を用いた
場合であっても、図10に示す電流双極子に比べて、2
次元での神経活動の広がりが明らかになる。
【0048】このように、本発明による脳機能計測シス
テムによると、標準化された快・不快の刺激により生じ
る脳磁界を定量的に高い時空間分解能で計測でき、さら
に計測結果に基づき脳の神経活動の広がりを解析するこ
とにより、快・不快を判定することが可能となる。ま
た、脳断層像に電流密度分布または電流双極子の分布を
重ねて表示することで、被験者の脳内部位の活動を容易
に観測することが可能となる。
【0049】なお、本システムは、刺激に対して起こり
得る情動(喜怒哀楽、快・不快)や、認知を司る脳の機
能の解析に適用できる。認知を司る機能を解析する際に
は、認知を行なわせる刺激を呈示する。この場合、刺激
により生じる脳磁界に基づき電流密度分布を算出するこ
とより、認知の過程が判定される。
【0050】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る脳機能計測
システムによれば、標準化された刺激を呈示する機能を
有するため、各計測における結果を精確に比較すること
ができる。
【0052】また、本発明に係る脳機能計測システムに
よれば、刺激によって生じる脳磁界を高い時空間分解能
で計測することができる。したがって、たとえば、情動
を司る機能、認知を司る機能を精確に解明することが可
能となる。
【0053】また、本発明に係る脳機能計測システムに
よれば、刺激により生じる脳磁界に基づき算出した電流
密度分布または電流双極子の分布により、被験者の感じ
る情動の発現や認知の過程を判定することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による脳機能計測システ
ムの概要を示す図である。
【図2】 本発明の実施の形態による視覚刺激を呈示す
る脳機能計測システム1000の構成例を示す図であ
る。
【図3】 図2に示す脳機能計測システム1000の処
理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図4】 スクリーン14に表示した視覚刺激の画像の
一例について説明するための図である。
【図5】 頭部に配置された64個のセンサのそれぞれ
により得られた脳磁界波形の一例を示す図である。
【図6】 図5における所定時刻での頭皮上の脳磁界分
布を表わした図である。
【図7】 電流密度分布を求めるための処理の概要を示
すフローチャートである。
【図8】 電流双極子に基づき電流密度分布を求める処
理の概要を示すフローチャートである。
【図9】 電流密度分布について説明するための図であ
る。
【図10】 電流密度分布および電流双極子を脳断層像
上に重ねた画像の一例について説明するための図であ
る。
【図11】 コンピュータ32の内部構成の一例につい
て説明するための図である。
【図12】 コンピュータ32の内部構成の他の一例に
ついて説明するための図である。
【符号の説明】
10 刺激呈示装置、12,32 コンピュータ、14
スクリーン、16プロジェクタ、20 磁気計測装
置、22 SQUID磁束計、24 データ収集装置、
30 データ処理装置、34 電流密度分布算出部、3
6 判定部、38 電流双極子分布算出部、40 デー
タ表示装置、42 CRT、1000脳機能計測システ
ム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 逸朗 大阪市中央区平野町4丁目1番2号 株式 会社関西新技術研究所内 Fターム(参考) 4C027 AA10 BB05 DD01 GG15 HH03 HH13 KK03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刺激を呈示するための刺激呈示手段と、 前記刺激呈示手段により与えられる刺激を受ける被験者
    の脳の神経活動によって生じる脳磁界を計測する計測手
    段と、 前記計測手段から出力される磁界データに基づき、前記
    神経活動の広がりを解析するデータ処理手段とを備え
    る、脳機能計測システム。
  2. 【請求項2】 前記刺激呈示手段は、 前記被験者に対して情動を発現させる標準化された前記
    刺激を呈示し、 前記データ処理手段は、 前記磁気データに基づき、前記神経活動の広がりを示す
    電流密度分布を算出する算出手段と、 前記電流密度分布に基づき、前記被験者の感じる情動を
    判定する判定手段とを含む、請求項1に記載の脳機能計
    測システム。
  3. 【請求項3】 前記情動とは、 前記被験者の感じる快・不快であって、 前記判定手段は、 前記快・不快を判定する、請求項2に記載の脳機能計測
    システム。
  4. 【請求項4】 前記刺激呈示手段は、 前記被験者に対して認知過程を生じさせる標準化された
    前記刺激を呈示し、 前記データ処理手段は、 前記磁気データに基づき、前記神経活動の広がりを示す
    電流密度分布を算出する算出手段と、 前記電流密度分布に基づき、前記被験者の前記刺激に対
    する認知過程を判定する判定手段とを含む、請求項1に
    記載の脳機能計測システム。
  5. 【請求項5】 前記刺激呈示手段は、 前記被験者に対して情動を発現させる標準化された前記
    刺激を呈示し、 前記データ処理手段は、 前記磁気データに基づき、前記神経活動の有無を示す電
    流双極子の分布を算出する算出手段と、 前記電流双極子の分布に基づき、前記被験者の感じる情
    動を判定する判定手段とを含む、請求項1に記載の脳機
    能計測システム。
  6. 【請求項6】 前記情動とは、 前記被験者の感じる快・不快であって、 前記判定手段は、 前記快・不快を判定する、請求項5に記載の脳機能計測
    システム。
  7. 【請求項7】 前記刺激呈示手段は、 前記被験者に対して認知過程を生じさせる標準化された
    前記刺激を呈示し、 前記データ処理手段は、 前記磁気データに基づき、前記神経活動の有無を示す電
    流双極子の分布を算出する算出手段と、 前記電流双極子の分布に基づき、前記被験者の前記刺激
    に対する認知過程を判定する判定手段とを含む、請求項
    1に記載の脳機能計測システム。
  8. 【請求項8】 前記判定手段は、 前記電流密度分布と予め撮影された前記被験者の脳断層
    像とに基づき、前記判定を実行する、請求項2、3また
    は4に記載の脳機能計測システム。
  9. 【請求項9】 前記判定手段は、 前記電流双極子の分布と予め撮影された前記被験者の脳
    断層像とに基づき、前記判定を実行する、請求項5、6
    または7に記載の脳機能計測システム。
  10. 【請求項10】 前記刺激呈示手段は、 外部からの指定により、前記刺激を繰返し呈示する、請
    求項2、3、4、5、6または7に記載の脳機能計測シ
    ステム。
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