JP2001031587A - ヒト細胞を処理するための方法及び組成物 - Google Patents

ヒト細胞を処理するための方法及び組成物

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JP2001031587A JP2000159149A JP2000159149A JP2001031587A JP 2001031587 A JP2001031587 A JP 2001031587A JP 2000159149 A JP2000159149 A JP 2000159149A JP 2000159149 A JP2000159149 A JP 2000159149A JP 2001031587 A JP2001031587 A JP 2001031587A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒト細胞を処理するための方法と組成物を提
供すること。 【解決手段】 ウマヘルペスウイルス 4型(EHV
4)チミジンキナーゼ・ポリペプチド又はそれをコード
する核酸の、in vitro、ex vivo又はi
n vivoにおいてヒト細胞をヌクレオシド類似体に
対して感受性にするための組成物の製造への使用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、in vitr
o、ex vivo又はin vivoにおいてヒト細
胞を治療するための方法と組成物に関する。より詳しく
は、本発明はヒト細胞をヌクレオシド類似体に対して感
受性にするための改良された方法と組成物とに関する。
本発明は特にある一定のポリペプチド及び核酸の、特に
チミジンキナーゼ型の、条件自殺剤としての有利な性質
の発見に基づく。本発明は例えば実験生物学、治療、予
防,スクリーニング方法等のような、種々な技術分野に
おいて使用可能である。
【0002】
【従来の技術】条件自殺遺伝子を発現する哺乳動物細胞
は、プロドラッグの毒性代謝産物への活性化によって選
択的に殺害されるか又は破壊される。ヘルペス単純ウイ
ルス1型チミジンキナーゼ遺伝子(HSV1−TK)は
実験設定と臨床試験の両方において最も広範囲に用いら
れている自殺遺伝子である1。HSV1−TK遺伝子の
発現は腫瘍細胞を、アシクロビア(ACV)、ガンシク
ロビア(GCV)及びブロモビニル−デオキシウリジン
(BVDU)のような抗ウイルス剤に対して感受性にす
る。これらのヌクレオシド類似体はHSV1−TKによ
って効果的にそれらの一リン酸エステル形に転化され、
次に宿主細胞キナーゼによって三リン酸エステル化合物
に転化される2-4。延長DNA中へのこれらの代謝産物
の組込みは、細胞死をもたらす延長を妨害する5-8。H
SV1−TK/GCV系は種々な動物モデルにおける移
植腫瘍9-11並びに発癌物質誘導腫瘍12の退縮を誘導する
ために効果的であると判明している。これらの好ましい
結果に基づいて、幾つかの臨床遺伝子療法試験が、悪性
疾患13又は例えば移植片対宿主病のような他の増殖性疾
患に対するこの治療法の安全性及び効力を評価すること
を目的として、現在進行中であり、予備的な結果が現在
報告されている14-17
【0003】増殖性細胞(例えば、腫瘍細胞)を殺害す
るHSV1−TK/GCV系の効果にも拘わらず、治療
効果を最大化するため及び/又は治療方法を容易にする
ために、この系の改良を試みることが依然として重要視
されている。例えば、GCVは、緩慢な静脈内灌流によ
って投与され、患者の入院を必要とするという欠点を有
する。したがって、GCVプロドラッグと同じ効力を有
する、経口投与によるヌクレオシド類似体を発見するこ
とが重要であると考えられる。TKによって見られる殺
害効果の効力を改良する方法を発見することも重要な成
果を表すと考えられる。これに関して、チミジンキナー
ゼの細胞レベルを高めるためにより強力なプロモーター
領域を用いることが、当該技術分野において提案されて
いる。リン酸化効力を高めるために幾つかの酵素の組み
合わせを用いることも示唆されている。さらに、ヌクレ
オシド類似体に対して改良されたアフィニティ又は活性
を有する、HSV−1 TKの突然変異体又は誘導体を
生成し、スクリーニングすることも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は今回、上記問
題に対処する、さらに詳しくは、ヌクレオシド類似体に
対するヒト細胞の改良された感受性を与える、代替方法
と組成物を提供する。さらに詳しくは、出願人は今回予
期せぬことに、特定種類のチミジンキナーゼ、即ち、ウ
マヘルペスウイルス4型チミジンキナーゼ・ポリペプチ
ド又は核酸によって、ヒト細胞においてヌクレオシド類
似体に対する改良された感受性が得られうることを実証
した。特に、野生型ウマヘルペスウイルス4型チミジン
キナーゼ(wtEHV4−TK)又はそのバリアントを
用いることによって、ヒト細胞がヌクレオシド類似体に
対してHSV−1 TKによるよりも3〜12倍感受性
が高くなることを、出願人は実証している。得られた結
果は、EHV4−TKが、実験用途、生物学用途、スク
リーニング用途又は治療用途を含めた、多くの用途のた
めにHSV1−TK遺伝子に対する非常に重要な代替自
殺遺伝子を提供することを示す。
【0005】
【課題を解決するための手段】それ故、本発明の1つの
目的は、in vitro、ex vivo又はinv
ivoにおいてヒト細胞をヌクレオシド類似体に対して
感受性にする組成物の製造のために、ウマヘルペスウイ
ルス4型(EHV4)チミジンキナーゼ・ポリペプチド
又はそれをコードする核酸を用いることにある。本発明
の他の目的は、ヒト細胞をヌクレオシド類似体に対して
感受性にする方法であって、in vitro、ex
vivo又はin vivoにおける前記ヒト細胞をウ
マヘルペスウイルス4型(EHV4)チミジンキナーゼ
・ポリペプチド又はそれをコードする核酸に接触させる
ことを含む前記方法にある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の関係において、ウマヘル
ペスウイルス4型チミジンキナーゼ・ポリペプチド
(“EHV4−TK”)なる用語は、野生型EHV4−
TK又はその任意の生物学的活性フラグメント又はバリ
アントを意味する。野生型EHV4−TKは単離され、
特徴付けられており、そのアミノ酸配列は当該技術分野
において公表されている18。このポリペプチドはEHV
4−感染細胞から、例えば組換え産生、人為的合成又は
精製のような当該技術分野において知られた、任意の慣
用的方法によって得ることができる。野生型EHV4−
TKの生物学的活性フラグメント又はバリアントとは特
に、例えばGCV、ACV又はBVDUのような、以下
で定義するヌクレオシド類似体をリン酸化する能力を有
するポリペプチドを意味する。
【0007】EHV4−TKのフラグメントは例えば化
学的若しくは酵素による切断と続いての該フラグメント
の単離、切頭核酸からの組換え産生、人為的ポリペプチ
ド合成等のような、任意の慣用的方法によって製造する
ことができる。フラグメントは野生型EHV4−TKの
内部フラグメント又はC−末端若しくはN−末端フラグ
メント又はこれらの組み合わせのいずれでもよい。好ま
しくは、本発明によるフラグメントは野生型EHV4−
TKの全アミノ酸配列の少なくとも40%、より好まし
くは少なくとも50%を保有する。好ましい実施態様で
は、フラグメントは野生型EHV4−TKの全アミノ酸
配列の少なくとも75%、より好ましくはその少なくと
も85%を含む。野生型EHV4−TKのバリアント
は、一次若しくは二次構造の任意の突然変異(単数又は
複数)、置換(単数又は複数)、付加(単数又は複数)
及び/又は他の修飾(単数又は複数)によって野生型E
HV4−TKから誘導される任意の生物学的活性ポリペ
プチドを含む。バリアントはEHV4における突然変異
又は多型に由来する天然バリアント並びに、例えば、異
種アミノ酸配列に融合したEHV4−TKを含むハイブ
リッド・ポリペプチドを包含する。異種なる用語は、E
HV4とは異なる起源を有する、1個又は数個のアミノ
酸残基を含む、任意のアミノ酸配列を意味する。このよ
うな異種アミノ酸配列は、例えばポリペプチドの安定性
を高めるため若しくは分泌させるため又はポリペプチド
を標識するために、人為的に作製された配列であること
ができる。これに関連して、本発明はまた、例えば強化
グリーン蛍光タンパク質(E−GFP)、ルシフェラー
ゼ、β−Gal、Thy−1タンパク質、クロラムフェ
ニコール−アセチル−トランスフェラーゼ(CAT)、
及び抗生物質(単数又は複数種類)に対する耐性を与え
る細胞タンパク質のような、マーカータンパク質に融合
したEHV4−TK部分を含む融合ポリペプチドをも開
示する。この融合は一般に、EHV4−TKポリペプチ
ドをコードする核酸領域と、例えばマーカー部分のよう
な、異種アミノ酸配列をコードする核酸領域との遺伝的
カップリングによって形成される。核酸は、2つの領域
が同時に発現されて、キメラポリペプチドを生成するよ
うに、フレームとして融合される。
【0008】突然変異又は置換バリアントは、例えば特
異的突然変異誘発、特異的プライマーによる増幅等のよ
うな既知方法によって製造することができる。欠失も例
えば制限酵素を用いて慣用的方法によって導入すること
ができる。バリアントがwtEHV4−TKの一次構造
の少なくとも80%を保有することが好ましい。より好
ましいバリアントはwtEHV4−TKに比べて多くと
も5個の修飾アミノ酸残基を含有する。
【0009】他のバリアントは非天然グリコシル化又は
その他の翻訳後修飾を含むことができる。
【0010】前述したように、EHV4−TKのバリア
ントは上述したような修飾[欠失(単数又は複数)、突
然変異(単数又は複数)、付加(単数又は複数)等]の
1個のみ又は幾つかを含むことができる。
【0011】野生型EHV4−TKの上記フラグメント
又はバリアントの生物学的活性は、慣用的な方法によっ
て評価することができる。特に、前記ポリペプチドがヌ
クレオシド類似体をリン酸化する能力は、前記ポリペプ
チドを例えばアシクロビア又はガンシクロビアのような
ヌクレオシド類似体と接触させ、リン酸化されたアシク
ロビアまたはガンシクロビアを検出することによって測
定することができる。好ましくは、(i)細胞中にポリ
ペプチドをコードする核酸構築体を、前記細胞における
前記ポリペプチドの発現を可能にする条件下で導入し;
(ii)前記細胞を例えばアシクロビア又はガンシクロ
ビアのようなヌクレオシド類似体と接触させ、(ii
i)前記細胞に対するヌクレオシド類似体の毒性を評価
することによって、試験を実施する。適当である場合に
は、観察される毒性レベルを野生型EHV4−TKをコ
ードする核酸による同様な実験において観察される標準
毒性レベルに比較することができる。一例として、前記
試験を例えば線維芽細胞のような、任意の分割細胞によ
って行うこともできる。好ましい生物学的活性フラグメ
ント又はバリアントは、上記試験における野生型EHV
4−TKの毒性の少なくとも75%を保有する。
【0012】上述したように、本発明はウマヘルペスウ
イルス4型(EHV4)チミジンキナーゼ・ポリペプチ
ド又はそれをコードする核酸を用いることによって実施
することができる。核酸の使用は好ましい実施態様を表
す。本発明の核酸はDNA又はRNAであることがで
き、好ましくは、cDNA又は合成領域を含む人為的D
NAである。野生型EHV4−TKをコードする核酸は
クローン化されて、配列決定されている18。本発明のE
HV4−TKポリペプチドをコードする核酸は、例えば
ライブラリー・スクリーニング、人為的合成、ゲノムD
NAからのクローニング等のような、慣用的方法によっ
て得ることができる。本発明のEHV4−TKポリペプ
チドをコードする特定の核酸は、野生型EHV4−TK
をコードする核酸とハイブリダイズし、上記で定義した
ような生物学的活性EHV4−TKポリペプチドをコー
ドする任意の核酸である。ハイブリダイゼーションは好
ましくは、例えば40℃、50%ホルムアミド、5XS
SC;1x Denhardt、55〜65℃における
洗浄のような、当業者(Sambrook等)に知られ
た緊縮条件下で実施する。本発明の他の特定の核酸は、
発現条件を改良するように修飾した野生型EHV4−T
Kをコードする核酸である。特に、本発明の好ましい核
酸はそれに含有される任意の隠れたプロモーターを不活
化するように修飾される。実際に、チミジンキナーゼ遺
伝子が隠れたプロモーターを含有し、これが哺乳動物細
胞における該チミジンキナーゼ遺伝子の発現を妨害する
ことが観察されている。特に、隠れたプロモーターの存
在はしばしば、低い生物学的活性を有する又は生物学的
活性を有さず、可能な副作用を有する切頭形のチミジン
キナーゼの発現を生じる(これに関しては、参考文献1
9〜20を参照のこと)。本発明の好ましい核酸はEH
V4−TKポリペプチドをコードする核酸であり、この
核酸は隠れたプロモーターを有さない。このような核酸
は(i)核酸配列中の隠れたプロモーターを同定して、
(ii)例えば翻訳による中立修飾及び/又は欠失(単
数又は複数)によって核酸配列を修飾することによっ
て、作製することができる。実施例において開示するよ
うに、得られた核酸を哺乳動物細胞、特にヒト細胞にお
ける改良された発現に関して検査することができる。本
発明の特定の核酸はEHV4−TK遺伝子の5’領域に
欠失を含み、前記欠失は哺乳動物細胞における発現増加
を可能にする。
【0013】好ましくは、本発明のEHV4−TKポリ
ペプチドをコードする核酸は、例えば、コード配列の
5’側に配置されたプロモーター領域と、その3’側に
配置された終止コドンとを含む核酸構築体に含まれる。
このような核酸構築体は例えばプラスミドベクター、ウ
イルスベクター(即ち、組換えウイルス)、人為的染色
体、エピソーム等のようなベクターの一部でありうる。
【0014】好ましい実施態様では、本発明は上記で定
義したようなEHV4−TKポリペプチドをコードする
核酸を含むベクターを用いる。さらに一層好ましくは、
このようなベクターはプラスミド又はウイルスベクタ
ー、例えばレトロウイルスベクター、アデノウイルスベ
クター、AAV、ヘルペスウイルスベクター若しくはワ
クシニアウイルスベクターである。これに関連して、本
発明の特定の1実施態様は、EHV4−TKポリペプチ
ドをコードする核酸を含有する組換えウイルスを含む培
地上澄み液を用いる。本発明の核酸を提供する他の特定
の方法は、EHV4−TKポリペプチドをコードする核
酸を含有する組換えウイルスを産生する細胞の使用を含
む。これに関連して、ウイルス・パッケージング細胞、
特にレトロウイルス又はアデノウイルス・パッケージン
グ細胞を含む、任意の組成物を用いることができる。ウ
イルス上澄み液又はウイルス・パッケージング細胞の使
用が本発明の好ましい実施方法を表す。
【0015】上述したように、本発明はヒト細胞をヌク
レオシド類似体に対して感受性にするための方法と組成
物とに関する。ヌクレオシド類似体なる用語は、リン酸
化されたときに、延長DNA鎖中に組込まれて、DNA
の複製及び/又は転写を妨害することができる任意の化
合物を意味する。好ましくは、本発明のヌクレオシド類
似体は、チミジンキナーゼによって、特にHSV−1
TKによって一リン酸化ヌクレオシド類似体に転化され
ることができる任意の化合物である。このようなヌクレ
オシド類似体の例は、例えばガンシクロビア(GC
V)、アシクロビア(ACV)及びブロモビニル−デオ
キシウリジン(BVDU)を包含する。これらのヌクレ
オシド類似体はHSV−1 TKによってそれらの一リ
ン酸化形に効果的に転化され、次に宿主細胞キナーゼに
よって三リン酸化化合物に転化される。延長するDNA
中へのこれらの化合物の組込みは延長を妨害して、アポ
トーシスによる細胞死を生じる(Balzarini,
1989;Furman,1980;St Clai
r,1987)。ヌクレオシド類似体の他の例は、EH
V4−TKによってリン酸化されることができるピリミ
ジン又はプリンヌクレオシド(既知抗ウイルス薬又は合
成製品)から誘導される全ての化合物である。
【0016】したがって、本発明は、細胞をヌクレオシ
ド類似体に対して感受性にする他の組成物と方法を提供
する。感受性とは、前記ヌクレオシド類似体の存在下
で、処理された細胞が一般にアポトーシスによって破壊
又は殺害されることを意味する。それ故、本発明は標的
細胞を破壊する改良方法をも提供する。本発明の1つの
利点は、処理の予想外に高い感受性を得ることが出来る
ことにある。実際に、本発明者は今回、本発明のポリペ
プチド又は核酸構築体をヒト細胞に接触させるときに、
前記細胞の非常に効果的な破壊をヌクレオシド類似体の
存在下で達成することができることを示している。特
に、実施例に示した結果は、EHV4−TKポリペプチ
ドを発現するヒト細胞が例えばGCVのようなヌクレオ
シド類似体に対して、HSV1−TKを発現するヒト細
胞よりも3〜12倍感受性が高いことを実証している。
換言すると、本発明は、標的細胞の破壊に用いられる、
例えばGCVのような、ヌクレオシド類似体の用量を著
しく減ずることを可能にする。
【0017】これに関連して、本発明の他の目的は、ヒ
ト細胞(in vitro、exvivo又はin v
ivo)を破壊する(例えば、殺害する)ための組成物
の製造にEHV4−TKポリペプチド又はそれをコード
する核酸を用いることにある。本発明はまた、ヒト細胞
を殺害する方法であって、in vitro、invi
vo又はex vivoにおける前記ヒト細胞をEHV
4−TKポリペプチド又はそれをコードする核酸に接触
させ、さらに前記細胞又はそれらの子孫(プロジェニ)
をヌクレオシド類似体に接触させることを含む前記方法
にある。
【0018】in vitro、in vivo又はe
x vivoにおいて、本発明を用いることができる。
本発明を用いて、所定細胞を選択目的、欠失目的、実験
用又は治療用途のいずれかのために殺害することができ
る。
【0019】本発明は、自然分割細胞、病的分割細胞又
は誘導分割細胞を含めた、多様な種類のヒト細胞によっ
て実施することができる。自然分割細胞は、それらのラ
イフサイクル中に規則的に分割する細胞である。誘導分
割細胞は、自然には分割しないが、刺激されて分割する
ことができる細胞である。本発明の好ましい治療用途
は、増殖性ヒト細胞、より好ましくは異常に増殖するヒ
ト細胞の処理にある。特定の例示はヒト腫瘍細胞の処理
(即ち、破壊及び/又は殺害)である。これに関連し
て、例えば頭部及び頚部癌、肺癌(特に、非小細胞肺
癌)、神経膠芽腫、黒色腫、胸部癌、肝臓癌、卵巣癌、
前立腺癌、脳腫瘍等のような、種々な充実腫瘍細胞を挙
げることができる。本発明によって処理することができ
る、ヒト細胞の他の例は、異常に増殖するTリンパ球の
特異的クローン、例えば自己免疫疾患又は移植片対宿主
疾患に関与するTリンパ球のクローンによって表され
る。
【0020】したがって、特定の実施態様では、本発明
はin vitro、ex vivo又はin viv
oにおいてヒト腫瘍細胞を殺害するための組成物の製造
にウマヘルペスウイルス4型(EHV4)チミジンキナ
ーゼ・ポリペプチド又はそれをコードする核酸を用いる
ことにある。本発明はまた、ヒト腫瘍細胞を殺害する方
法であって、in vitro、ex vivo又はi
n vivoにおいて前記ヒト腫瘍細胞をウマヘルペス
ウイルス4型(EHV4)チミジンキナーゼ・ポリペプ
チド又はそれをコードする核酸と接触させ、さらに前記
細胞又はそれらの子孫をヌクレオシド類似体と接触させ
ることを含む前記方法にある。
【0021】他の特定の実施態様では、本発明はin
vitro、ex vivo又はin vivoにおい
てヒトTリンパ球を殺害するための組成物の製造にウマ
ヘルペスウイルス4型(EHV4)チミジンキナーゼ・
ポリペプチド又はそれをコードする核酸を用いることに
ある。本発明はまた、ヒトTリンパ球を殺害する方法で
あって、in vitro、ex vivo又はin
vivoにおいて前記ヒトTリンパ球をウマヘルペスウ
イルス4型(EHV4)チミジンキナーゼ・ポリペプチ
ド又はそれをコードする核酸と接触させ、さらに前記細
胞又はそれらの子孫をヌクレオシド類似体と接触させる
ことを含む前記方法にある。
【0022】上記で説明したように、本発明はin v
itro、in vivo又はexvivoにおいて実
施することができる。in vitro又はex vi
vo用途では、本発明を次の手順で実施することができ
る。
【0023】処理すべき(即ち、ヌクレオシド類似体に
対して感受性にすべき)細胞群を用意する。これらの細
胞を任意の適当なデバイス(例えば、プレート、皿、フ
ラスコ、ボトル等)において、好ましくは無菌条件下、
任意の慣用的培地(RPMI,DMEM等)中で培養し
て維持することができる。次に、細胞を上記で定義した
ようなEHV4−TKポリペプチド又は核酸と接触させ
る。これに関連して、細胞を細胞の直接インキュベーシ
ョンによってEHV4−TKポリペプチド又は核酸と接
触させることができる。このインキュベーションはEH
V4−TKポリペプチド又は核酸を細胞によって又は細
胞の少なくとも一部によって吸収させる。このインキュ
ベーションは、細胞によるEHV4−TKポリペプチド
又は核酸の吸収を高めるような、促進剤又は促進条件の
存在下で実施することができる。このような促進剤は、
例えば、任意のカチオン性脂質、ポリマー、リポソー
ム、リン酸カルシウム沈殿等である。インキュベーショ
ンはまた、例えば電界、遺伝子ガン等のような物理的処
理を含むこともできる。本発明の特定の実施態様では、
ベクター中に含有されるEHV4−TK核酸を用いる。
より好ましい実施態様では、この核酸はウイルスベクタ
ー(又はそれから産生される組換えウイルス)中に含有
される。組換えウイルスの使用は、これらの粒子の自然
の感染力のために、特に有利である。好ましい組換えウ
イルスは例えば組換えレトロウイルス、アデノウイル
ス、AAV又はヘルペスウイルスを包含する。これらの
ベクターの作製方法は当業者に知られている。
【0024】特定の実施態様では、このように、細胞を
EHV4−TK核酸を含むベクターに、より好ましくは
EHV4−TK核酸を含む組換えウイルスに接触させる
ことによって、細胞をヌクレオシド類似体に対して感受
性にする。
【0025】これに関連して、本発明は特に、in v
itro、ex vivo又はinvivoにおいてヒ
ト細胞をヌクレオシド類似体に対して感受性にする方法
であって、ヒト細胞をEHV4−TK核酸を含むベクタ
ーに、より好ましくはEHV4−TK核酸を含む組換え
ウイルスに接触させることを含む前記方法に関する。イ
ンキュベーション時にEHV4−TK核酸を組込んだ細
胞はヌクレオシド類似体に対して感受性であり、同時に
他の周囲細胞もTKのバイスタンダー効果のために感受
性になる。
【0026】上述したような組換えウイルスと細胞との
接触は、組換えウイルスを含む、培養上澄み液、例えば
精製溶液のような富化溶液若しくは懸濁液と共に細胞を
インキュベーションすることによって、又は組換えウイ
ルスを産生する産生細胞と該細胞とを同時培養すること
によって達成することができる。
【0027】この接触工程は、インキュベーション条件
に依存して、72時間以上まで続けることができる。次
に、細胞を任意の既知方法によって回収することができ
る。必要な場合には、実際にEHV4−TKポリペプチ
ド又は核酸を含有する細胞を本質的に含む細胞群を得る
ための選択工程を細胞に対して行うことができる。これ
に関連して、インキュベーション条件と細胞群とに依存
して、選択工程前のトランスフェクト細胞の割合は5%
からほぼ99%まで変化しうる。回収された細胞は洗浄
し、新鮮な培地に入れて、任意の適当な条件下(冷凍、
凍結乾燥等)で貯蔵することができる。
【0028】処理済み細胞を殺害するために、次に細胞
をヌクレオシド類似体、即ち、処理済み細胞によって毒
性分子に転化される化合物(延長DNAへの組込みによ
って)とさらに接触させる。in vitro使用で
は、任意の適当なデバイスにおいて細胞を任意の適当な
用量のヌクレオシド類似体と接触させることができる。
この処理は増殖性細胞のスクリーニング、特異的細胞群
の除去(即ち、枯渇)、プロモーター領域の活性評価等
のために実施することができる。ex vivo適応で
は、処理済み細胞をいったん対象に注入してから、ヌク
レオシド類似体処理を行うこともできる。この実施態様
では、用量は本質的に、in vivo使用に関して以
下で述べる通りである。
【0029】実際に、本発明をin vivoで行うた
めには、EHV4−TKポリペプチド又は核酸をそれを
必要とする対象に直接投与することによって、細胞をE
HV4−TKポリペプチド又は核酸と接触させる。投与
は任意に適当な経路(動脈内、静脈内、筋肉内、腫瘍
内、皮膚から等)によって行うことができる。増殖性細
胞、特に腫瘍細胞の処理のためには、EHV4−TKポ
リペプチド又は好ましくは核酸を、好ましくは静脈内、
動脈内又は腫瘍内注入によって投与し、より好ましくは
腫瘍内注入によって既知方法に従って投与する。EHV
4−TK核酸の投与量は当業者によって、HSV1−T
K遺伝子による先行技術臨床試験の教えに基づいて調節
することができる。
【0030】これに関連して、核酸は例えば0.1〜1
000μg/投与で注入することができる。組換えウイ
ルスに関しては、103〜109pfuを投与時に注入す
ることができる。パッケージング細胞を用いている場合
には、104〜109細胞を注入することが好ましい。
【0031】標的細胞がヌクレオシド類似体に対して感
受性になったならば、これらの細胞をヌクレオシド類似
体とのさらなる接触によって殺すことができる。
【0032】これに関連して、ヌクレオシド類似体を対
象に種々なプロトコールと種々なタイムフレームに従っ
て投与することができる。一般に、ヌクレオシド類似体
は灌流、動脈内経路、静脈内経路又は皮膚経路によって
投与される。ヌクレオシド類似体の慣用的な投与量は一
日に1〜50mg/kg、特に、約10mg/kg、一
日二回である。ヌクレオシド類似体はGCV、ACV、
BVDU又は上述したような任意の他の化合物であるこ
とができる。経口投与も考えられる。例えば、腫瘍細胞
の処理のためには、ヌクレオシド類似体を通常、EHV
4−TKポリペプチド又は核酸の投与後間もなく、1〜
15日間から成る期間にわたって投与する。例えば特異
的なT細胞クローンのような、他の細胞に対しては、例
えばこれらの特定の標的T細胞クローンが増殖する場合
(即ち、GVHD、自己免疫疾患等)のみ、ヌクレオシ
ド類似体を投与する。
【0033】本発明はまた、ヒト細胞増殖性障害の治療
用薬剤組成物であって、ウマヘルペスウイルス4型(E
HV4)チミジンキナーゼ・ポリペプチド又はそれをコ
ードする核酸と製薬的に受容される賦形剤とを含む前記
薬剤組成物に関する。好ましい実施態様では、薬剤組成
物は例えば上記で定義したようなウイルスベクターのよ
うな上記核酸を含む。他の実施態様では、薬剤組成物は
例えばレトロウイルス産生細胞のような組換えウイルス
産生細胞を含む。
【0034】好ましくは、本発明の薬剤組成物はさら
に、同時に又は別々に投与されるヌクレオシド類似体を
も含む。本発明はまた、上記で定義したようなEHV4
−TK核酸を含有するヒト細胞を含む組成物にも関す
る。
【0035】本発明の他の態様と利点は以下の実験部に
提示するが、これらは例示と見なすべきであり、本発明
の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【0036】
【実施例】図面の説明 図1:発現ベクターのマップ (A)Cazaux等に述べられているプラスミドは、
ゼオシン耐性を与えるShe ble遺伝子とフレーム
内で融合したヘルペスウイルスTK(HSV1、EHV
4、EBV又はVZV)をコードするcDNAを含む。
(B)融合タンパク質EHV4−TK/E−GFPをコ
ードするベクターのマップ。下線を引いた配列はチミジ
ンキナーゼとゼオシン耐性タンパク質又はE−GFPと
の間の5’〜3’アームに相当する。
【0037】図2:トランスフェクト細胞における融合
TK/ZEOタンパク質発現の分析 (A)tk(−)3T3安定クローンにおけるHSV1
−及びEHV4−TKタンパク質レベルを示すウェスタ
ン・ブロット分析。(B)トランスフェクト及び非トラ
ンスフェクトtk(−)143B細胞におけるTK発現
のドット・ブロット分析。融合タンパク質は精製ウサギ
抗Shポリクローナル抗体によって示した。
【0038】図3:HSV1−又はEHV4−TKによ
ってトランスフェクトしたヒトtk(−)143B細胞
に対するACV、GCV及びBVDUの細胞傷害活性毒
性はIC50平均値±SDとして表す。3回の独立した
実験に関して得た平均値を各ヒストグラムの頂部に示
す。
【0039】図4:トランスフェクト及び非トランスフ
ェクトtk(−)143B細胞におけるチミジン及びG
CVリン酸化 細胞を放射能標識したチミジン又はGCVと共にインキ
ュベートし、異なるリン酸化形をFPLC分析によって
分離した。thy−MP、thy―DP及びthy−T
Pの割合はそれぞれ、HSV1−TK発現細胞では2
9.3、27.5及び39.2%であり、EHV4−T
K発現細胞では36.8、27.5及び28.8%であ
った。GCV−MP、GCV−DP及びGCV−TPの
割合はそれぞれ、HSV1−TK発現細胞では15.
5、36.5及び45%であり、EHV4−TK発現細
胞では23.9、29.3及び45%であった。
【0040】図5:EHV4−TK/E−GFP融合タ
ンパク質の二重機能性の分析 (A)tk(−)3T3トランスフェクト及び非トラン
スフェクト細胞におけるE−GFP発現。E―GFP遺
伝子と融合したEHV4−TK遺伝子(図1−B)をt
k(−)3T3細胞にトランスフェクトし、E−GFP
陽性細胞をFACS分析によって検出した。トランスフ
ェクションの1週間後(1)と、HAT培地における2
か月間培養後(2)にE−GFP発現を測定した。
(B)トランスフェクト及び非トランスフェクト細胞に
おけるGCV毒性。結果は、GCVなしで増殖させた細
胞に比較して、生存細胞の%として表現した。
【0041】材料と方法 化学物質 アシクロビア(ACV、[9−(2−ヒドロキシエトキ
シメチル)グアニン]Zovirax(登録商標))、
ガンシクロビア(GCV、[9−(1,3−ジヒドロキ
シ−2−プロポキシメチル)グアニン]Cymevan
(登録商標))、ブロモビニルデオキシウリジン(BV
DU、(E)−5−(2−ブロモビニル)−2’−デオ
キシウリジン)は、それぞれ、Wellcome(Is
sy Ies−Moulineaux,フランス)、S
yntex(パロアルト,カルフォルニア州、米国)及
びSigma Chemical Co.(セントルイ
ス、ミズーリ州、米国)から購入した。
【0042】細胞系とプラスミド 内因性TK(tk(−)3T3)活性を有さないネズミ
NIH3T3細胞はアメリカン タイプ カルチャ コ
レクション(American Type Cultu
re Collection)(ロックビル、メリーラ
ンド州、米国)から、ヒトtk(−)143B(ATC
C CRL8303)及びHCT116(ATCC C
CL247)細胞と同様に入手した;ネズミ膵臓腫瘍細
胞系、PANC−O2はRhone−Poulenc
(フランス)から提供された。全ての細胞を、1%L−
グルタミン(GibcoBRL)、1%ペニシリンとス
トレプトマイシンとネオマイシンとの混合物(Gibc
oBRL)及びNIH3T3細胞に対しては10%ウシ
新生仔血清(GibcoBRL)又は他の細胞系に対し
ては10%ウシ胎仔血清を補充したダルベッコ改変イー
グル培地(DMEM)中で増殖させた。
【0043】ゼオシン耐性を与えるSh Ble遺伝子
とフレーム内で融合したヘルペスウイルスTK(HSV
1、EHV4、EBV又はVZV)をコードするcDN
Aを含む発現ベクターは既にCazaux等によって述
べられている21。融合遺伝子はHSV1−TKウイルス
プロモーターと、ウイルス・ポリオーマpYF441エ
ンハンサーとの転写制御下にある(図1−A)。
【0044】E−GFP遺伝子とフレーム内で融合した
HSV1−TK遺伝子を含有するプラスミド(図1−
B)を、E−GFP配列によるSh Ble遺伝子のP
CR置換によって表されるプラスミド(Clontec
h,パロアルト,カルフォルニア州、米国)から構築し
た。
【0045】DNAトランスフェクション リン酸カルシウム沈殿キット(GibcoBRL)を用
いて、細胞を種々なプラスミドによってトランスフェク
トした。表現型発現の48時間後に、細胞をZeoci
n(Cayla、Toulouse、フランス):25
μg/ml(3T3細胞)、50μg/ml(143B
細胞)又は100μg/ml(PANC−O2とHCT
116細胞)を含む選択培地において増殖させた。
【0046】トランスフェクションは2個のペトリ皿
(直径100mm)中で行った。独立したクローンを採
取して、個々に拡張させ、又は培養状態に放置して細胞
塊を得た。
【0047】細胞傷害性分析:ACV、GCV及びBV
DUの毒性を、細胞増殖の阻害を測定することによっ
て、定量的に評価した。細胞を24穴プレートに2.5
x103/穴で接種した。24時間後に、細胞を薬物含
有培地中で7日間増殖させた。0.001nMから10
0μMまでの範囲の薬物濃度を3通りに試験した。2日
間毎に培地を新鮮なDMEMと交換した。6日目に、
1.5μCiの[メチル−3H]チミジン(Amers
ham,イギリス)を各穴に加えた。リン酸塩緩衝化生
理食塩水(PBS pH7.3)による洗浄後に、取り
込まれた放射能をMicro−Beta Plusカウ
ンター(EG&G Instruments and
Wallac,Turku,フィンランド)によって測
定した。細胞傷害性用量をIC50値([メチル−
3H]チミジン取り込みを50%減ずるために必要な薬
物濃度)として表現し、選択指数を親細胞のトランスフ
ェクト細胞に対するIC50比率として算出した。
【0048】生存率分析 親細胞とウイルス−TK発現細胞とを5x103/穴で
6穴皿に入れた。24時間後に、薬物を0.01から1
00μMまでの範囲の種々な濃度で培地に加えた。薬物
含有培地を2日間毎に交換した。7日間培養した後に、
GCVによる7日間培養後のトリパンブルー排除によっ
て生存細胞を計数することによって細胞生存率を評価し
た。
【0049】ウェスタン・ブロット分析 細胞を氷冷PBSによって3回洗浄し、106トランス
フェクト細胞を溶菌緩衝液37中でインキュベートした。
1x105細胞からの溶菌液を10〜12%トリシン−
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(Novex,
サンジエゴ、カルフォニア州、米国)上の各ラインに供
給し、分離したタンパク質をエレクトロブロッティング
によってニトロセルロース膜(Schleicher
& Schuell,Dassel,ドイツ)上に移し
た。各ラインにおける等量のタンパク質と正確な転写と
を保証するために、0.3%Ponceau Roug
e染色によって染色することによって、帯を目視可能に
した。Zeo融合タンパク質を精製ウサギ抗Zeoポリ
クローナル抗体(Cayla,Toulouse,フラ
ンス)によって明らかにした後に、ホースラディッシュ
・ペルオキシダーゼにコンジュゲートした、ウサギIg
Gに対する抗体と共にインキュベートした。この反応を
BM化学発光検出法(Boehringer Mann
heim,France SA)によって可視化した。
【0050】ドット・ブロット分析 細胞抽出物の連続希釈物をニトロセルロース膜上に滴下
した。Zeo融合タンパク質をウサギ抗Zeoポリクロ
ーナル抗体(Cayla,Toulouse,フラン
ス)によって明らかにした後に、ホースラディッシュ・
ペルオキシダーゼにコンジュゲートした、ウサギIgG
に対する抗体と共にインキュベートした(Boehri
nger Mannheim,France SA)。
この反応をウェスタン・ブロット分析におけるように可
視化した。
【0051】高速タンパク質液体クロマトグラフィー
(FPLC)によるヌクレオチド分析:3x106細胞
を最終量5mlの培地中で1μMの[8−3H]GCV
(3Ci/mmol,Isotopchim,フラン
ス)又は[メチル−3H]チミジン(5Ci/mmo
l,Amersham,イギリス)と共に7時間インキ
ュベートした。細胞をトリプシン処理によって分離し、
PBSによって2回洗浄した。ヌクレオチドを1mlの
氷冷メタノール60%によって−20℃において一晩に
わたって抽出した。サンプルをアニオン交換カラム上で
高速液体クロマトグラフィー(FPLC,Pharma
cia−LKB Instruments,スウェーデ
ン)によって分析した38,39。放射能をカラム出口にお
いてラディアマチックFlo−one Beta A−
500装置(Packard,メリデン、コネチカット
州)によって計数し、ピークをFlo−one/Dat
aソフトウェアによって分析した。
【0052】フローサイトメトリー分析 tk(−)3T3細胞をEHV4−TK/E―GFP融
合タンパク質をコードするプラスミドによってトランス
フェクトし、HAT培地中で選択した。1週間培養した
後に、トランスフェクト細胞の蛍光を分析した。選択の
2か月後に、蛍光分析を繰り返した。細胞をPBSによ
って2回洗浄し、蛍光強度を525nmフィルター付き
FACSCallbur(Becton Dickin
son,Sannyvale,カルフォルニア州)によ
って直接測定し、CellQuestソフトウェアによ
って分析した。
【0053】結果 種々なヘルペスウイルスチミジンキナーゼを発現した細
胞塊に対するヌクレオシド類似体毒性 Zeocin耐性を与えるSh Ble遺伝子とフレー
ム内で融合したヘルペスウイルスTK遺伝子を含む発現
ベクター(pUT−TKx)を用いた(図1A)21。こ
のようなベクターの使用は形質導入された細胞の選択
と、抗Shポリクローナル抗体を用いる免疫検出による
キメラタンパク質の検出を容易にする。これらのベクタ
ーによって発現されたウイルスTKの機能性は、内因性
TK又はチミジンキナーゼ活性を有さない細菌及び酵母
において既に実証されている21。最初に、細胞TK欠損
ネズミ線維芽細胞(tk(−)3T3細胞)においてこ
れらの遺伝子を発現させ、安定なトランスフェクト細胞
をそれらのZeocin耐性に基づいて選択した。次
に、細胞におけるウイルスTKの機能性を選択HAT培
地での細胞増殖の分析と、[メチル−3H]チミジン(3
HT)取り込み分析とによって試験した。予想通りに、
全ての非トランスフェクト細胞はHAT培地中で死亡し
たが、全てのトランスフェクト細胞は生残し、3HTを
取り込んだ(データ示さず)。
【0054】次に、選択した塊状群をヌクレオシド類似
体に対するそれらのin vitro感受性に関して、
細胞増殖の阻害をNIH−3T3親細胞と比較して測定
することによって、分析した(表1)。ACV IC5
0値は、HSV1−、EHV4−及びVZV−TK発現
細胞では親NIH−3T3細胞と比較して約15分の1
であり、EBV−TK発現細胞では4分の1に過ぎなか
った。HSV1−及びEHV4−TK発現細胞はGCV
に対してNIH−3T3細胞よりも350倍及び700
倍感受性が高く、これに比べて、VZV−又はEBV−
TK発現細胞では7倍に過ぎなかった。BVDUのIC
50値は、ACV及びGCVとは異なり、全てのヘルペ
スウイルス−TK発現細胞塊に対して同じ範囲内であ
り、NIH3T3細胞に対するよりも約1300分の1
〜3600分の1であった。
【0055】これらの観察を付加的なネズミ腫瘍細胞
系、膵臓腫瘍PANC−O2細胞を用いて拡大した。こ
の場合にも、IC50値はEHV4−TK発現細胞に対
してはHSV1−TK発現細胞塊に対するよりも3倍低
く、それぞれ、0.55±0.07μMと1.7±0.
5μM(2回の独立した実験の平均値、データ示さず)
であった。
【0056】表1:塊状トランスフェクト及び非トラン
スフェクトネズミtk(−)3T3細胞に対するAC
V、GCV及びBVDUの細胞傷害性 細胞増殖の阻
害を測定することによって、薬物毒性を評価した。細胞
を薬物含有培地中で7日間増殖させた。[メチル−
3H]チミジンを6日目に加え、取り込まれた放射能を
測定した。細胞傷害用量を2回又は3回実験の平均IC
50値([メチル−3H]チミジン取り込みを50%減
ずるために必要な50%阻害濃度)として表現し、選択
指数を親細胞のトランスフェクト細胞に対するIC50
比率として算出した。
【0057】
【表1】
【0058】HSV1−TK又はEHV4−TK発現細
胞クローンに対するヌクレオシド類似体毒性 ヌクレオシド類似体毒性に対して細胞を感作するそれら
の能力に関して試験した4種類のヘルペスウイルスTK
の中で、HSV1−TKとEHV4−TKはより興味深
い選択指数を示した。細胞塊は種々な感受性を有するク
ローンの混合物を表すので、次には、これらの2種類の
TKのいずれかを発現する個々のクローンに対する薬物
毒性を分析した。
【0059】最初に、Shタンパク質に対するポリクロ
ーナル抗体を用いるウェスタン・ブロットによって幾つ
かのクローンのヘルペスウイルス−TK発現レベルを分
析した。105細胞の細胞抽出物を電気泳動に供給し
た。試験した4種類のEHV4−TK+クローンと4種
類のHSV1−TK+クローンとにおいて、EHV4−
TK/ZEO(53KDa)とHSV1−TK/ZEO
(55KDa)とに相当する帯が同様な強度で観察され
た(図2−A)。これらの細胞抽出物中にShタンパク
質単独(20KDa)に相当する検出可能な帯は存在し
なかった(データ示さず)。HSV1−TK(+)細胞
の全ての抽出物によって低いPMの弱い帯を観察するこ
とができた。この帯は既知の隠れた内部プロモーターに
おける転写開始に対応し、切頭ではあるが機能的タンパ
ク質の転写を生じる。19,20,22
【0060】次に、これらの8種類のクローンに対する
ACV、GCV及びBVDUの毒性を分析した(表
8)。ACVとGCVに対して、EHV4−TK発現細
胞の感受性はHSV1−TK発現細胞の感受性よりも統
計的に有意義であった(それぞれ、p<0.05と0.
01)。HSV1−TK又はEHV4−TK発現クロー
ンは同じBVDU感受性を示した。
【0061】表2:HSV1−TK及びEHV4−TK
発現ネズミtk(−)3T3クローンに対するACV、
GCV及びBVDUの細胞傷害性 TK発現クローン
の薬物感受性を表1に述べたように試験した。細胞傷害
用量を3回実験の平均IC50値として表現した。
【0062】
【表2】
【0063】HSV1−TK又はEHV4−TKを発現
するヒト細胞塊に対するヌクレオシド類似体毒性 ヌクレオシド類似体の代謝は異なる種の細胞では異なる
と考えられるので23-2 5、ヒト細胞を殺害する系の効率
を分析した。
【0064】したがって、HSV1−TK又はEHV4
−TKを発現するヒト細胞tk(−)骨肉腫143B細
胞塊を得た。最初に、Shタンパク質に対するポリクロ
ーナル抗体を用いるドット・ブロットによって各細胞塊
のヘルペスウイルス−TKタンパク質発現レベルを分析
した(図2−B)。tk(−)143B細胞抽出物中に
融合タンパク質に対応する検出可能な帯は存在しなかっ
た。HSV1−TK又はEHV4−TK発現細胞中には
融合タンパク質の同様な発現が観察された。
【0065】次に、ACV、GCV及びBVDUに対す
る細胞感受性を研究した(図3)。HSV1−TK及び
EHV4−TK発現細胞中でACVの毒性は同様であっ
た。注目すべきは、EHV4−TK発現細胞はHSV1
−TK発現細胞に比べて、GCVに対して約12倍感受
性が高かった。これに反して、BVDU毒性はEHV4
−TK発現細胞におけるよりもHSV1−TK発現細胞
において大きかった(図3)。
【0066】これらの観察を付加的な腫瘍細胞系、ヒト
結腸癌HCT116細胞に拡大した。GCVのIC50
値はEHV4−TK発現細胞に対してはHSV1−TK
発現細胞塊に対するよりも3倍低く、それぞれ、0.1
1±0.02μMと0.32±0.08μM(3回の独
立した実験の平均値±SD)であった。EHV4−TK
発現細胞とHSV1−TK発現細胞とは、HCT116
細胞に比べて、GCVに対して485倍及び170倍感
受性が高かった(GCVのIC50値の平均値は53.
4±15μMであった)。
【0067】HSV1−TK又はEHV4−TKを発現
するヒト細胞におけるGCVリン酸化 GCVがHSV1−TK発現細胞に比べてEHV4−T
K発現細胞においてより大きく毒性である理由を理解す
るために、tk(−)143B細胞とHSV1−TK又
はEHV4−TK発現細胞におけるGCVリン酸化を分
析した。放射能標識GCV又はチミジンと共に7時間イ
ンキュベーションした後に、ヌクレオチドを抽出して、
FPLCによって分析した。
【0068】tk(−)143B細胞中ではチミジンの
検出可能なリン酸化は存在しなかったが(データ示さ
ず)、両方のTK発現細胞ではチミジンは同様にリン酸
化された(図4)。GCVに関して、種々なリン酸化形
の割合は両方のTK発現細胞において同じであったが、
細胞内GCVの総量はHSV1−TK発現細胞よりもE
HV4−TK発現細胞の方が5倍大きかった。
【0069】EHV4−TK/E―GFP融合タンパク
質の機能性 トランスフェクト細胞又は組織における導入遺伝子検出
を容易にするために、E−GFP遺伝子をEHV4−T
K遺伝子の3’末端にフレーム内で融合させ、発現ベク
ター中にクローン化した(図1−B)。次に、この構造
をtk(−)3T3細胞中にトランスフェクトしてか
ら、E−GFP陽性細胞のFACS分析を行った。95
%のE−GFP発現細胞を含有する細胞塊を得た。2か
月間の培養中のHAT培地の存在下での蛍光と生存率と
を分析することによって、導入遺伝子の安定な発現と二
重機能性とを実証することができた(図5−A)。EH
V4−TK/E―GFP融合タンパク質の発現は、これ
らの細胞をGCVに対して感作し、これらの細胞に対す
るIC50は、tk(−)3T3細胞に対する30μM
に比べて、0.6μMであった(図5−B)。
【0070】
【発明の効果】考察 本発明者らは、細胞破壊のための現在のヘルペスウイル
ス誘導TK系の効力の改良を目的とした。この目的のた
めに、ヒト細胞における代替TK遺伝子の効力を評価す
ることを選択した。これらの遺伝子の発現レベルをモニ
ターすることが必要であったため、これらの遺伝子を、
Zeocin耐性を与えるタンパク質をコードするsh
ble(これは入手可能なポリクローナル抗体による
ウェスタン・ブロッティングによって検出可能である)
に融合させた。
【0071】最初に、真核細胞における種々なTK−Z
EO融合の二重機能性を、内因性チミジンキナーゼ活性
を有さないネズミ又はヒト細胞のトランスフェクション
によって実証した。Zeocinによる選択は常に、後
にHAT培地の存在下で培養したときに全て生残った耐
性クローンを生じた。それ故、ペプチド融合が細胞に切
断されなかったとしても、全ての融合タンパク質が二重
機能性であると結論した。このことは、HSV1−TK
が種々なタンパク質にアミノ−又はカルボキシ−融合し
た後にもその機能性を保有することを示した以前の実験
と一致する。21 ,24,26-28
【0072】種々なヘルペスTKの活性の有意差が観察
された。これらの差は細胞塊を分析したときと独立クロ
ーンを分析したときの両方で検出された。塊は臨床前及
び臨床セッティング中のin situトランスフェク
ト群を模倣するポリクローナル群の総酵素活性の良好な
推定値を生じ、クローンは導入遺伝子発現レベルに関し
て個々の細胞における活性を分析することを可能にす
る。本発明者はACV、GCV及びBVDUの毒性を研
究した。
【0073】VZV−TK及びEBV−TKは、どのよ
うなヌクレオシド類似体を用いたとしても、HSV1−
TKに比べて利点を示さなかった。最近の2つの研究は
ヒト胸部癌細胞29と、ヒト骨肉腫細胞30における自殺遺
伝子としてのVZV−TKの可能性を示している。これ
らの論文では、BVDUの選択指数と、0.06〜0.
6μMの範囲であるIC50値は、本発明の値に非常に
類似するが、VZV−TKとHSV1−TKとの比較は
示されていない。
【0074】注目すべきは、EHV4−TK発現細胞
は、塊として又はクローンとしてのいずれであっても、
HSV1−TK発現細胞に比べて、GCVに対して常に
より感受性が高かった。この強化された毒性は、ウェス
タン・ブロットによる評価では、TK発現レベルの差に
よるものではなかった。このことはまた、HSV1−T
K発現細胞に対してより強く毒性であるBVDUによる
正反対の効果の観察によっても示され、これらの酵素の
活性の間には量的な差ではなく、質的な差が存在するこ
とを実証する。
【0075】HSV1−TK発現細胞に比べて、EHV
4−TK発現細胞におけるGCVに対する改良された感
受性を説明する可能な機構を研究するために、FPLC
によってGCVリン酸化を分析した。細胞内GCVの総
量はHSV1−TK発現細胞におけるよりもEHV4−
TK発現細胞において5倍大きかったが、種々なリン酸
化形の割合は両方のTK細胞において同様であった。こ
のような差は、TK発現と相関すると報告されているヌ
クレオシドとそれらの類似体の吸収によって説明するこ
とができる。実際に、tk(−)大腸菌中へのチミジン
吸収は異種HSV1−TK遺伝子から発現されたTK活
性量に比例する31。さらに、哺乳動物HSV1−TK発
現細胞は、対照細胞に比べて高いGCV吸収とリン酸化
とを示した32。 両方のTK(+)細胞における同様な
TK発現が検出されたので(図2−B)、EHV4−T
K発現細胞における細胞内GCVのより大きな量を、G
CVに対するHSV1−TK活性に比べてより大きいE
HV4−TK活性と相関させることができた。
【0076】上首尾に形質導入された細胞の迅速かつ効
果的な検出を可能にするマーカーによって、遺伝子導入
検出を非常に促進することができる。このことは特に、
細胞質タンパク質に該当する。しかし、適当な抗EHV
4−TKモノクローナル又はポリクローナル抗体は入手
可能ではない。したがって、本発明者らは強化グリーン
蛍光タンパク質(E−GFP)を用いて、EHV4−T
K/E−GFP融合タンパク質を得た。トランスフェク
ト細胞においてE−GFPの発現は数か月間安定に留ま
り、フローサイトメトリーによって容易にモニターする
ことができる。哺乳動物細胞への融合プラスミドのトラ
ンスフェクションは、この構築体が機能性であり、細胞
が蛍光性(95%)かつGCVに対して感受性の両方で
あることを明らかにした。この結果は、HSV1−TK
グリーン蛍光タンパク質融合遺伝子の二重機能性を報告
したLiomas等の最近の研究に一致する28。キメラ
自殺/マーカー遺伝子は形質導入された細胞の検出を劇
的に容易にする筈である。このことは実験モデルにおい
て特に重要である。これに関連して、特異的細胞群の条
件付き除去のモデルを作製するために、自殺遺伝子がト
ランスジェニック・マウスにしばしば用いられる。
【0077】細胞系に依存して、EHV4−TKはHS
V1−TKよりも3〜12倍強力であった。このような
差は自殺遺伝子の臨床使用を考えるときに重要に思われ
る、マウス又はラットにおける実験的腫瘍の治療が、効
力を得るためにGCV用量がしばしば重要であることを
実証しているからである。ヒトにおける通常の投与量で
ある10mg/kg、1日2回で投与したときに、GC
Vの血漿濃度は0.44〜2.2μg/mlの範囲であ
33、脳脊髄液(CSF)濃度は約3分の1である
34,35。それ故、HSV1−TKによって形質導入され
た脳腫瘍の治療のためにCSFのGCV濃度が最適とは
いえない可能性がある。いずれにせよ、この酵素のより
良好な効率はより良好な治療効率及び/又はGCV使用
量の減少とをもたらす筈である。この後者の点は、ヒト
におけるGCV毒性が投与された総量に依存して累積す
るように見える(Cytovene(登録商標)製品モ
ノグラフ)ことからも重要である36
【0078】要するに、これらの実験は自殺遺伝子とし
てのEHV4−TKの、in vitro、ex vi
vo又はin vivoにおける実験的アプローチと治
療的アプローチの両方のための、可能な利益を強調す
る。
【0079】参考文献 1. Anonymous. Department of Health and Human Serv
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【図面の簡単な説明】
【図1】発現ベクターのマップである。
【図2】トランスフェクト細胞における融合TK/ZE
Oタンパク質発現の分析を示す。
【図3】HSV1−又はEHV4−TKによってトラン
スフェクトされたヒトtk(−)143B細胞に対する
ACV、GCV及びBVDUの細胞傷害活性を示す。
【図4】トランスフェクト及び非トランスフェクトtk
(−)143B細胞におけるチミジン及びGCVのリン
酸化を示す。
【図5】EHV4−TK/E―GFP融合タンパク質の
二重機能性の分析を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 ZNA C12N 5/00 B // A61K 35/76 15/00 ZNAA (C12N 5/10 C12R 1:91)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウマヘルペスウイルス 4型(EHV
    4)チミジンキナーゼ・ポリペプチド又はそれをコード
    する核酸の、in vitro、ex vivo又はi
    n vivoにおいてヒト細胞をヌクレオシド類似体に
    対して感受性にするための組成物の製造への使用。
  2. 【請求項2】 ウマヘルペスウイルス4型(EHV4)
    チミジンキナーゼ・ポリペプチド又はそれをコードする
    核酸の、in vitro、ex vivo又はin
    vivoにおいてヒト増殖性細胞、特にヒト腫瘍細胞を
    殺害するための組成物の製造への使用。
  3. 【請求項3】 EHV4−TKポリペプチド又はそれを
    コードする核酸の、in vitro、ex vivo
    又はin vivoにおいてヒトTリンパ球を殺害する
    ための組成物の製造への使用。
  4. 【請求項4】 ウマヘルペスウイルス4型(EHV4)
    チミジンキナーゼ・ポリペプチド又はそれをコードする
    核酸を含む、ヒト細胞増殖性疾患の治療用薬剤組成物。
  5. 【請求項5】 さらにヌクレオシド類似体を含む、請求
    項4記載の薬剤組成物。
  6. 【請求項6】 前記ウマヘルペスウイルス4型(EHV
    4)チミジンキナーゼ・ポリペプチドが野生型EHV4
    −TK又はそのフラグメント若しくはバリアントを含
    む、請求項1又は2に記載の使用。
  7. 【請求項7】 ウマヘルペスウイルス4型(EHV4)
    チミジンキナーゼ・ポリペプチドをコードする前記核酸
    が、野生型EHV4−TKをコードする核酸又はそれと
    ハイブリダイズし、生物学的に活性なEHV4−TKポ
    リペプチドをコードする核酸を含む、請求項1又は2に
    記載の使用。
  8. 【請求項8】 前記核酸がベクター中に含有される、請
    求項1、2、6又は7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 【請求項9】 前記ベクターが組換えウイルスである、
    請求項8記載の使用。
  10. 【請求項10】 前記ヌクレオシド類似体がGCV、A
    CV又はBVDUであり、好ましくはGCVである、請
    求項1、2、6〜9のいずれか1項に記載の使用。
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