JP2001029951A - 石炭灰人工ゼオライトによる海域の浄化方法 - Google Patents

石炭灰人工ゼオライトによる海域の浄化方法

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JP2001029951A
JP2001029951A JP11212793A JP21279399A JP2001029951A JP 2001029951 A JP2001029951 A JP 2001029951A JP 11212793 A JP11212793 A JP 11212793A JP 21279399 A JP21279399 A JP 21279399A JP 2001029951 A JP2001029951 A JP 2001029951A
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zeolite
coal ash
sea area
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English (en)
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Hisashi Shimogaki
久 下垣
Seiji Inoba
誠治 井野場
Kenji Yokogawa
憲司 横川
Junichi Miyake
淳一 三宅
Kenji Nakai
健二 中井
Yoshio Kawakubo
芳男 川久保
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CRS KK
KAIHATSU SEKKEI CONSULTANT KK
Electric Power Development Co Ltd
Central Research Institute of Electric Power Industry
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CRS KK
KAIHATSU SEKKEI CONSULTANT KK
Electric Power Development Co Ltd
Central Research Institute of Electric Power Industry
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 富栄養化した閉鎖的海域における底質改善策
として、覆砂が知られているが、十分な効果を得るため
には、良質の覆土材を大量に使用する必要があり、その
供給が問題となっている。この問題を解決すること。 【解決手段】 石炭灰に水熱化学処理を施して得られる
人工ゼオライト10を海域Sの底質泥土層20の上部面
に敷設することを特徴とする石炭灰人工ゼオライトによ
る海域の浄化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭灰人工ゼオラ
イトによる海域の浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、湖沼や内湾といった閉鎖性水域の
多くで、富栄養化等による水質汚濁が問題となってい
る。富栄養化は、窒素やリンなどの栄養塩の過剰な存在
によって、水域での一次生産力が増大する現象であり、
富栄養化の進行に伴い、海域では赤潮や青潮の発生をみ
るようになり、水産資源や用水の利用に大きな被害をも
たらしている。閉鎖性水域での窒素およびリン濃度を決
定する負荷源には、流入河川や降水等による外部負荷
と、ヘドロなどの底質泥土(以下、「底泥」という場合
もある)からの窒素、リン溶出による内部負荷とがあ
り、前者の外部負荷については、下水道の整備、排水の
高度処理技術の開発等により、すでに多くの対策が実施
に移されている。
【0003】しかしながら、こうした流入負荷対策を講
じても、期待したような水質改善が図れなかったとする
結果も報告されている。この場合、底泥からのリン溶出
による寄与が大きかったためと推定されている。従っ
て、閉鎖性水域の富栄養化対策をより効果的に行うため
には、流入負荷の削減と共に、底泥からの栄養塩類溶出
及び硫化水素、メタン等のガスの発生を抑制する技術、
すなわち底質浄化法の開発を行ってゆく必要がある。
【0004】現在までに検討されている底質浄化法とし
ては、例えば、浚渫、直上水曝気、リン不溶化及び覆砂
等が挙げられている。浚渫は、底泥を水域から取り除く
ものであるが、効果があったとする報告と明確な効果は
なかったとする報告とがある。また、浚渫時の二次汚染
や、浚渫汚泥の処分地確保の課題も残している。直上水
曝気は、水中底層部に空気を送り込む方法であり、一般
に嫌気条件下において、底泥からの栄養塩類の溶出が大
きいことから、直上水を曝気することで、底泥表層部を
好気状態にし、溶出量を低下させるものである。
【0005】リン不溶化は、水域に薬剤を散布すること
で、水中のリンを不溶化させて除去すると共に、沈降し
た難溶性リン化合物を底泥上に層を形成させることで、
底泥からのリンの溶出を抑制させるものである。散布剤
としては、アルミニウム塩が多く用いられているが、ア
ルミの毒性が懸念されるところである。
【0006】覆砂による方法は、底泥上を砂あるいは粘
性土壌で被覆し、栄養塩類の溶出を抑制するものであ
る。被覆厚は、30〜60cm必要とされ、比較的水深
の大きな海域で行われる例が多い。また、砂や粘性土壌
以外の被覆材を使った例としては、生石灰、鉄鋼スラグ
がある。どちらもリンを不溶化する作用を有しており、
砂や粘土よりも少ない被覆厚で十分な効果が得られてい
ると言われているが、硫化水素、メタン等のガスの発生
に対しては十分な効果を有しないものである。従って、
従来の底質浄化技術等では、窒素やリンなどの栄養塩の
不溶化及び硫化水素、メタン等のガス発生の防止に対し
て十分な効果を有する方法等はなく、現在、上記栄養塩
(窒素やリン)とガス(硫化水素、メタン等)の両者に
対して優れた効果を有する底質浄化技術が望まれている
のが現状である。
【0007】一方、ゼオライトは、無機質交換体、特に
ケイ酸質交換体の総称であり、フッ石あるいはそれに類
似のものとカイリョク石とがあり、かってはイオン交換
体の総称にも用いられており、また、有機質交換体を有
機ゼオライトと称していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするも
のであり、産業廃棄物である石炭灰の有効利用を図ると
共に、内湾等といった閉鎖的な海域における栄養塩(窒
素やリン)やガス(硫化水素、メタン等)による富栄養
化等により生じる水質汚濁を防止することができる浄化
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の課題等について、鋭意検討した結果、石炭灰から
得られる人工ゼオライトを内湾等といった閉鎖的海域の
底質泥土層の上部面に敷詰めることにより、上記目的の
浄化方法が得られることを見い出し、本発明を完成する
に至ったのである。すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)
に存する。 (1) 石炭灰に水熱化学処理を施して得られる人工ゼオラ
イト体を海域の底質泥土層の上部面に敷設することを特
徴とする石炭灰人工ゼオライトによる海域の浄化方法。 (2) 人工ゼオライト体が平均粒径0.1〜5cmの人工
ゼオライトからなる上記(1)記載の石炭灰人工ゼオライ
トによる海域の浄化方法。 (3) 人工ゼオライト体が人工ゼオライトと土砂との混合
物からなる上記(1)又は(2)記載の石炭灰人工ゼオライト
による海域の浄化方法。 (4) 人工ゼオライト体が板状又はシート状の人工ゼオラ
イト成形物からなる上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の
石炭灰人工ゼオライトによる海域の浄化方法。 (5) 海域の底質泥土層の上部面に敷設される人工ゼオラ
イト体上に、更に、土砂を敷設してなる上記(1)〜(4)の
何れか一つに記載の石炭灰人工ゼオライトによる海域の
浄化方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明方法は、石炭灰に水熱化学処理を
施して得られる人工ゼオライト体、例えば、人工ゼオラ
イト、この人工ゼオライトと土砂との混合物、人工ゼオ
ライト又は人工ゼオライトと土砂との混合物を板状又は
シート状に成形してなる人工ゼオライト成形物などを海
域の底質泥土層の上部面に敷設することを特徴とするも
のである。
【0011】本発明で用いる人工ゼオライトは、通常の
ゼオライトとは異なり、産業廃棄物である石炭灰(フラ
イアッシュ)を原料とし、この石炭灰を水熱化学処理を
施して得られるものである。この石炭灰から得られるゼ
オライト化石炭灰である人工ゼオライトは、ガス吸着能
と陽イオン交換能に優れていることから、被覆材として
使用することで、単なる被覆効果だけでなく、水質浄化
剤的な効果も兼ね備えている。本発明は、この人工ゼオ
ライトをそのまま又は成形品等に加工処理したものを、
富栄養化した閉鎖的な海域の浄化に用いるものである。
【0012】本発明で用いる人工ゼオライトとしては、
例えば、石炭灰(フライアッシュ)をNaOH溶液中
で、約95℃の加熱処理を行った後、反応生成物を水洗
して夾雑するNaOHを除去した粉末材料が挙げられ
る。上記水熱化学処理を行うことで、表面にはゼオライ
ト鉱物の一種であるフィリップサイトおよびホージャサ
イトが形成され、天然ゼオライトに比肩し得るガス吸着
能と陽イオン交換容量(CEC)を有する。以下に、本
発明で用いる人工ゼオライトと従来の天然ゼオライトの
比較の一例を下記表aに示す。
【0013】 〔表a〕 CEC(meq/100g) H2S吸着量(mg/g) CH4吸着量(mg/g) 人工ゼオライト 220 10〜15 10〜40 天然ゼオライト 140 51〜72 32〜71 処理前のフライアッシュのCECは、3〜20meq/
100g程度であることから、上記表aの結果から明ら
かなように、ゼオライト化することによって著しくCE
Cが増大していることがわかる。
【0014】通常、ゼオライト鉱物は、多孔性の構造を
持ち、大部分の陽イオン交換基は空孔内に存在する。そ
の孔径は数オングストローム〜10数オングストローム
と陽イオン径と同程度であるため、陽イオン種によっ
て、空孔内への侵入し易さが異なる。このため、ゼオラ
イトは、陽イオン種によって異なる交換容量を有すると
云われる。人工ゼオライトのCECは、下記表bのよう
に飽和陽イオンの種類によって大きく異なる。 〔表b〕 Mg2+ Ca2+ NH4 + Na+ CEC(meq/100g) 49.7 131.6 132.0 156.7 水質浄化剤の観点からみると、NH4 +について高いCE
Cを持つことが望ましい。人工ゼオライトは、NH4 +
ついて十分なCECを有しているといえる。
【0015】また、リンの除去性について、pH8にお
ける24時間接触後の液相のリン濃度と単位人工ゼオラ
イト重量当りのリン除去率の関係を図1に示す。プロッ
トは、この濃度範囲においては、Freundlich型の吸着等
温線で表わすことができた。通常、ゼオライト鉱物は、
本来殆どリン除去能を有していないことが知られている
が、リンと難溶解性塩を形成する陽イオン(例えばCa
2+、Ag+など)を予め天然ゼオライトに交換導入する
ことで、リン除去能を得ることができるものである。本
発明における人工ゼオライトの場合、図2に示すよう
に、Ca2+を溶出する性質を持つため、リンと難溶解性
塩を形成する陽イオンを交換導入することなく、リン除
去が可能になったものと推察される。
【0016】本発明者等は、先に富栄養化の進んだ淡水
湖沼である手賀沼で人工ゼオライトを用いて、生物への
安全性と敷設効果について試験した。それによれば、 (a)人工ゼオライトの特徴 Ca2+、NH4 +、Na+について高いCECを有す
る。 天然ゼオライトには殆ど見られないリン除去能を有
する。リン除去は、人工ゼオライトから溶出するCa2+
が担体近傍あるいは表面上でリンと反応することで生じ
ていることが示唆される。 (b)植物プランクトンへの安全性と底質浄化効果 有害物質の溶出は水質基準に照して問題なく、pH
の上昇を抑制できれば、植物プランクトンへの影響もみ
られないと考えられる。 人工ゼオライトを底泥表面に敷設することで底泥か
らのNH4 +、PO4 3-溶出を抑制できることが室内試験
から確認された。
【0017】淡水湖である手賀沼についてのデータに基
いて、海域における適用について更に検討した。海域で
は、潮の干満、海流や波、含有するイオン、底質泥土、
生育藻類など、淡水とは多くの点で異なることから海域
での浄化方法を検討する必要があるものである。そこ
で、先ず海流の少い港内として横浜港瑞穂埠頭前面海域
から未撹乱の海底の底泥試料と海水を採取し、現場を模
擬した試験装置内で底泥から溶出するリン、アンモニ
ア、硫化水素の溶出速度を測定し、人工ゼオライトを敷
設することで底泥からの溶出を抑制することが可能であ
ることを確認した。
【0018】現状での海域浄化技術としては、底質に関
するものとして、底質泥土の浚渫と併せて、もっぱら覆
砂技術が適用されている。これは、底泥の上を数十cm
〜1mの厚さに天然砂を敷設することで底泥からの栄養
塩類やガス(硫化水素、メタン等)の溶出を抑制する技
術であり、松島湾や三河湾など、閉鎖性海域で周辺から
の栄養塩類などの流入により汚染が進んでいる海域で実
施されている。
【0019】前記の覆砂技術であるが、十分な効果を得
るためには、良質の覆土材を大量に使用する必要があ
り、その供給に問題が生じている。そこで、本発明で
は、ゼオライト化石炭灰(人工ゼオライト又はその加工
処理物)を用いることで、被覆厚を小さくするための検
討を行った。本発明における人工ゼオライトは、石炭火
力発電所から大量に発生する石炭灰に簡易な水熱化学処
理を施すことで得られるゼオライト材料であり、リン、
アンモニア、硫化水素、メタン等の除去能を有する。
【0020】本発明において、石炭灰に水熱化学処理を
施して得られる人工ゼオライト体としては、上記人工ゼ
オライト以外に、この人工ゼオライトと土砂との混合
物、人工ゼオライト又は人工ゼオライトと土砂との混合
物を板状又はシート状に成形してなる人工ゼオライト成
形物などを挙げることができる。図3は、人工ゼオライ
ト体として石炭灰に水熱化学処理を施して得られる人工
ゼオライトをそのまま又は造粒化したものを使用した実
施形態である。本実施形態では、石炭灰に水熱化学処理
を施して得られる人工ゼオライト10を海域Sの底質泥
土層20の上部面に敷設することにより、産業廃棄物で
ある石炭灰の有効利用を図ると共に、内湾等といった閉
鎖的な海域における富栄養化等による水質汚濁を防止す
ることができるものとなる。この人工ゼオライト10
は、前述の如く、例えば、石炭灰(フライアッシュ)を
NaOH溶液中で、約95℃の加熱処理を行った後、反
応生成物を水洗して夾雑するNaOHを除去した粉末材
料からなるものであり、表面にゼオライト鉱物の一種で
あるフィリップサイトおよびホージャサイトが形成さ
れ、天然ゼオライトに比肩し得るガス吸着能と陽イオン
交換容量(CEC)を有するものである。なお、本発明
において、人工ゼオライト10は、石炭灰に水熱化学処
理を施して得られ、かつ、上記ガス吸着能と陽イオン交
換容量(CEC)を有するものであれば、その製法等は
特に限定されるものではなく、市販のものであってもよ
い。
【0021】また、この人工ゼオライト10の平均粒径
は、特に限定されるものでないが、海域の底質泥土層上
部面に効率よく確実に敷設する必要性などから、好まし
くは、平均粒径が0.1〜5cmからなるもの(以下の
実施形態においても同様)が望ましい。なお、粒径が大
きいものを使用する場合は通常の造粒装置などにより造
粒したものを用いてもよい。
【0022】また、図4に示す如く、人工ゼオライト体
を人工ゼオライト10と土砂11との混合物12から構
成し、この混合物12を海域の底質泥土層の上部面に敷
設することによっても、本発明の効果を発揮せしめるこ
とができる。上記混合物に用いる土砂としては、通常の
埋め立て等において使用する土砂で汚濁物質を含まない
ものであれば特に限定されず、例えば、天然砂、粘性土
などを挙げることができる。本発明において用いる混合
物12は、上記人工ゼオライトと土砂とを混合すること
により得られるものである。これらの混合比率について
は、状況に応じて、具体的には、人工ゼオライト10及
び土砂11の性状、並びに、底質泥土層20の形状、土
質、その海域における海流(潮の干満)等に応じて適宜
設定されるものであり、好ましくは、人工ゼオライトが
混合物全量に対して、1〜30重量%程度である。この
人工ゼオライト10と土砂11との混合物12を海域の
底質泥土層20の上部面に敷設することにより、人工ゼ
オライト単独で敷設するよりも、海流(潮の干満等)の
影響を受けずに海域の底質泥土層上部面に効率よく確実
に敷設することができるものとなる。
【0023】図5は、人工ゼオライト10上に土砂11
を層構造として敷設した実施形態である。本実施形態で
は、人工ゼオライト10と土砂11との2層構造となっ
ているが、更に互い違いに4層構造、6層構造としても
よい。この実施形態では、海域の底質泥土層20の上部
面に人工ゼオライト10と土砂11との少なくとも2層
構造となる人工ゼオライト体を敷設することにより、人
工ゼオライト単独で敷設するよりも、海流(潮の干満
等)の影響を受けずに海域の底質泥土層上部面に効率よ
く確実に敷設することができるものとなる。
【0024】図6は、石炭灰に水熱化学処理して得られ
る人工ゼオライト又はこの人工ゼオライトと土砂との混
合物を板状又はシート状の人工ゼオライト成形物から構
成して、該板状又はシート状の人工ゼオライト成形物を
海域の底質泥土層の上部面に敷設する実施形態であり、
この実施形態によっても、本発明の効果を発揮せしめる
ことができるものとなる。本実施形態では、板状の人工
ゼオライト成形物30を海域の底質泥土層20の上部面
に敷設するものとなっている。本発明で用いることがで
きる板状の人工ゼオライト成形物としては、例えば、石
炭灰に水熱化学処理して得られる粉末状人工ゼオライト
若しくはこの人工ゼオライトと土砂との混合物をバイン
ダー材などにより板状とした後、そのまま又は乾燥処理
等を施すことにより得られる板状の人工ゼオライト成形
物が挙げられる。また、本発明で用いることができるシ
ート状の人工ゼオライト成形物としては、例えば、石炭
灰に水熱化学処理して得られる人工ゼオライト、若しく
はこの人工ゼオライトと土砂との混合物を耐久性、耐塩
性を有する不織布袋若しくは天然繊維製又は合成繊維製
袋からなるシート体に充填したシート状の人工ゼオライ
ト成形物が挙げられる。なお、上記板状又はシート状の
成形物の大きさは、敷設する海域及び底質泥土層種等に
応じて適宜設定されるものである。また、上記板状又は
シート状の成形物の敷設態様は、覆砂法と同様に底質泥
土層を被覆できる態様であれば、特に限定されるもので
はない。更に、人工ゼオライト成形物30上に土砂11
を被覆してもよい。本実施形態において、上記人工ゼオ
ライトを板状又はシート状の人工ゼオライト成形物を海
域の底質泥土層20の上部面に敷設することにより、運
搬性、施行性に優れると共に、海流(潮の干満等)の影
響を受けずに海域の底質泥土層上部面に効率よく確実に
敷設することができるものとなる。
【0025】更に、本発明において、上記図3〜図6に
おける人工ゼオライト体の敷設厚は、底質泥土層20の
形状、土質、その海域における海流(潮の干満)等によ
り適宜設定されるものであるが、好ましくは、底質泥土
層の上部面に0.3〜50cm厚、更に好ましくは、1
〜30cm厚で敷設されることが望ましい。
【0026】このように構成される本発明方法では、産
業廃棄物である石炭灰の有効利用を図ると共に、内湾等
といった閉鎖的な海域における栄養塩(窒素やリン)や
ガス(硫化水素、メタン等)による富栄養化等により生
じる水質汚濁を確実に防止することができる。
【0027】
【実施例】次に、試験実施例により、本発明を更に説明
するが、本発明は下記実施例に限定されるものではな
い。
【0028】〔試験実施例〕底泥試料の採取は、199
9年1月に横浜港で行った。試料は、径110mm、長
さ500mmのアクリル樹脂製カラムを用いて、層厚2
00mm程度を未撹乱で採取した。また同地点において
表層水を採水し、Whatman GF/Fフィルターでろ過
した試料をカラム溶出試験装置内の循環水として用い
た。人工ゼオライトは、平均粒径2mm造粒品〔新日本
製鐵社製〕を使用した。
【0029】装置の概要を図7に示す。循環水は、ろ過
した海水と置換し、循環流量70ml/min.のペリスタポ
ンプを介して試料容器と溶存酸素調整槽間を循環させ
た。系内の溶解酸素(DO)は、空気または窒素ガスを
常時通気することで調整した。また気相に移行した硫化
水素の捕集には、硫化水素固定槽に1%酢酸亜鉛溶液を
入れ、この中に溶存酸素調節槽の上部気体をバブリング
させることで行った。
【0030】試験条件を下記表1に示す。試験は、現地
条件及び積極的に栄養塩類を溶出させる条件の2条件と
し、人工ゼオライトの敷設の有無をパラメータに計4ケ
ース行った。試験には1ケース当り未撹乱試料2本を使
用し、各7日間実施した。
【表1】
【0031】リン酸の溶出についての考察結果は、次の
通りである。低DO、水温20℃条件における循環水中
のPO4−P濃度の経時変化を図8に、またこの時得ら
れた循環水の濃度変化から求めた単位底泥面積当りのP
4−P溶出速度を図9に示す。DO飽和、13℃条件
では、人工ゼオライト敷設の有無に拘らずマイナスの
値、すなわち循環水中のPO4−P溶出濃度が低下する
傾向を示した。一方、低DO、20℃条件では、人工ゼ
オライトを敷設したカラムのPO4−P溶出速度が−
1.7〜0.9mgP/m2/dであったのに対し、敷
設しなかったカラムでは11.6〜38.8mgP/m
2/dの溶出がみられた。従って、人工ゼオライトを敷
設することで底泥からのリンの溶出を抑制できることが
確認された。
【0032】人工ゼオライトによるリン除去機構として
は、人工ゼオライト近傍におけるpHの上昇による晶析
が考えられる。しかし、循環水中のpHの上昇がみられ
なかったことから、海水中では人工ゼオライトのごく近
傍でのみpHの上昇が起っていると推察される。
【0033】アンモニアの溶出についての考察結果は次
の通りである。単位底泥面積あたりのNH4−N溶出速
度を図10に示す。人工ゼオライトを敷設したカラムで
は循環水中へのアンモニアの溶出はみられなかった。試
験終了後、カラム内の人工ゼオライトを回収し、1N
KCl溶液を用いて、アンモニアを脱離させたところ、
低DO、水温20℃条件では、1カラムあたり、2.7
mgNのアンモニアが吸着されていることを確認した。
【0034】硫化水素の溶出についての考察結果は次の
通りである。試験開始時と終了時について、循環水およ
び硫化水素固定槽内の硫化物濃度を測定し、試験期間中
に底泥から発生した硫化水素量を求めた(図11)。D
O飽和、水温13℃条件における試験期間中の硫化水素
発生量は、いずれのカラムも1mgS/m2/(7da
ys)以下であった。一方、低DO、20℃条件では、
人工ゼオライトを敷設したカラムの硫化水素発生量が1
1〜65mgS/m2/(7days)であったのに対
し、敷設しなかったカラムでは、5.2×102〜9.
2×102mgS/m2/(7days)の硫化水素の発
生がみられた。従って、人工ゼオライトを敷設すること
により、硫化水素の溶出を抑制できることが示唆され
た。
【0035】上記海域の底泥についてのカラム溶出試験
の結果をまとめると人工ゼオライトを海底に敷設するこ
とによって、底泥からのリン酸、アンモニア、および硫
化水素の溶出を抑制することができた。又海水のpHの
変化はみられなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、産業廃棄物である石炭
灰の有効利用を図ると共に、内湾等といった閉鎖的な海
域における富栄養化による水質汚濁を防止することがで
きる石炭灰人工ゼオライトを用いて海域を浄化する方法
が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】pH8における24時間接触後の液相のリン濃
度と単位人工ゼオライト重量当たりのリン除去量の関係
を示す特性図である。
【図2】人工ゼオライトから溶出するCa2+の経時変化
を示す特性図である。
【図3】本発明方法の実施形態の一例を説明する概略図
である。
【図4】本発明方法の実施形態の他例を説明する概略図
である。
【図5】本発明方法の実施形態の他例を説明する概略図
である。
【図6】本発明方法の実施形態の他例を説明する概略図
である。
【図7】カラム溶出試験装置の概要を示す図面である。
【図8】低DO、水温20℃条件における循環水中のP
4−P濃度の経時変化を示す特性図である。
【図9】循環水の濃度変化から求めた単位底泥面積当り
のPO4−P溶出速度を示す特性図である。
【図10】単位底泥面積あたりのNH4−N溶出速度を
示す特性図である。
【図11】試験開始時と終了時について、循環水および
硫化水素固定槽内の硫化物濃度を測定し、試験期間中に
底泥から発生した硫化水素量を求めた特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 599105724 株式会社開発設計コンサルタント 東京都中野区弥生町1−58−4 共益ビル (72)発明者 下垣 久 千葉県我孫子市我孫子1646 財団法人電力 中央研究所 我孫子研究所内 (72)発明者 井野場 誠治 千葉県我孫子市我孫子1646 財団法人電力 中央研究所 我孫子研究所内 (72)発明者 横川 憲司 東京都中央区銀座六丁目15番1号 電源開 発株式会社内 (72)発明者 三宅 淳一 東京都中央区銀座六丁目15番1号 電源開 発株式会社内 (72)発明者 中井 健二 千葉県我孫子市柴崎台2丁目11番23号 株 式会社シー・アール・エス我孫子事業所内 (72)発明者 川久保 芳男 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎1丁目9番35号 株式会社開発設計コンサルタント技術研究 所内 Fターム(参考) 4D024 AA05 AB12 AB13 BA07 BB01 BB05 BC01 DA03 DB19 4D025 AA10 AB09 AB13 AB15 BA03 CA10 DA02 4G066 AA61B AA78A BA02 BA03 BA09 BA20 CA24 CA29 CA41 DA07 EA13 FA14 FA20 FA21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭灰に水熱化学処理を施して得られる
    人工ゼオライト体を海域の底質泥土層の上部面に敷設す
    ることを特徴とする石炭灰人工ゼオライトによる海域の
    浄化方法。
  2. 【請求項2】 人工ゼオライト体が平均粒径0.1〜5
    cmの人工ゼオライトからなる請求項1記載の石炭灰人
    工ゼオライトによる海域の浄化方法。
  3. 【請求項3】 人工ゼオライト体が人工ゼオライトと土
    砂との混合物からなる請求項1又は2記載の石炭灰人工
    ゼオライトによる海域の浄化方法。
  4. 【請求項4】 人工ゼオライト体が板状又はシート状の
    人工ゼオライト成形物からなる請求項1〜3の何れか一
    つに記載の石炭灰人工ゼオライトによる海域の浄化方
    法。
  5. 【請求項5】 海域の底質泥土層の上部面に敷設される
    人工ゼオライト体上に、更に、土砂を敷設してなる請求
    項1〜4の何れか一つに記載の石炭灰人工ゼオライトに
    よる海域の浄化方法。
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