JP2001027674A - 中性子線量率計 - Google Patents

中性子線量率計

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Abstract

(57)【要約】 【課題】実効線量当量の応答を実現できる中性子線量率
計を提供することにある。 【解決手段】中性子個人被曝線量計はボロン5などのコ
ンバータとプロトンラジエータ6を混在させた層を半導
体中性子検出素子1に装着する。中性子線量率計は、中
性子検出器を中性子減速体と開口部のある熱中性子吸収
体で包囲する構造を取ることによって達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力発電所や再処
理施設等の放射線取扱い施設内の中性子をモニタする中
性子線量率計に関し、中性子を検出するための素子とし
て半導体検出素子を用いるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体検出素子の中性子個人被曝
線量計としては、Radiation Protection Dosimetory
(ラディエーション プロテクション ドジメトリ)、
Vol.27,No.3,P145〜156(1989)
(以下従来技術1という)や米国特許USP32278
76号公報(以下従来技術2という)に記載されたもの
がある。半導体検出素子は直接の中性子を検出できない
ために、中性子を他の物質と作用させて荷電粒子を発生
させて、その荷電粒子を検出することにより間接的に中
性子を検出する。このために、前者の中性子を検出する
中性子検出器の構造は、エネルギーの低い熱中性子を検
出するために、半導体検出素子の表面にボロン層を形成
し、エネルギーの高い高速中性子を検出するために、ボ
ロン層の上にポリエチレン層を設ける構造になってい
る。また更に、それらの前面に中性子のエネルギーを減
速する中性子減速材を配置している。後者の中性子検出
器は、前者と同様に半導体検出素子の表面にボロン層を
形成し、高速中性子を検出するためにその周囲を中性子
減速材で囲むものが開示されている。
【0003】一方、放射線取扱い施設内の中性子をモニ
タする中性子線量率計の従来技術としては、特願昭63−
235646号公報(以下従来技術3という)に記載されてい
るように、BF3 計数管や 3He計数管を用いるものが
多い。また、同公報には、熱中性子をカットし高速中性
子のみを検出するために、前記計数管を中性子減速材で
包み、更にその周囲を減速材で、また更にその外側を中
性子減速材で包むことが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】各国は、各種の放射線
検出器としてICRP(International Committee onRa
diological Protection)の勧告に沿った実効線量当量
評価が可能なエネルギー応答性能が要求されている。わ
が国も、ICRPの勧告に沿って1989年/4月に国
内の放射線障害防止法令が改正された。一般に、同一の
エネルギーを持つ放射線を物質に照射しても、物質ごと
に受ける損傷(被曝量)は異なる。実効線量当量とは、
人体が中性子を受けたときの被曝量を正確に評価する線
量値をいう。この実効線量当量を実現するためには、放
射線取扱い施設内に存在する広いエネルギー範囲に渡っ
て、各エネルギー毎の人体の被曝量を評価しなければな
らない。中性子のエネルギー範囲は、0.5eV 以下の
熱中性子領域のエネルギーを持つ熱中性子から0.5e
V 以上10MeVにわたる高速中性子までに及ぶ。こ
こで、各エネルギーに対する感度曲線を応答という。実
効線量当量の応答は熱中性子領域とMeV領域との間の
感度差は50倍以上もあり、この要求応答を実現するこ
とは極めて難しい。以下の説明において、この要求応答
を線量当量応答と呼ぶ。線量当量応答を満足させるため
には、大別して感度曲線の形を一致させる、各エネ
ルギーに対して感度を高める、の2点が重要である。
【0005】まず、中性子個人被曝線量計の立場から
について考える。従来技術1は、感度曲線を一致させる
ために、前述した中性子検出器のほかに半導体検出器に
ポリエチレン層のみを設けた中性子検出器を設け、これ
ら2つの中性子検出器の応答を加算している。しかし、
155頁の図11に示すように10KeVから1MeVの
エネルギー範囲において応答性能を満足していない。ま
た2つの中性子検出器を用いており、しかも処理回路も
複雑になるので大型化する問題点がある。
【0006】次にに付いて考える。従来技術1,2に
は半導体検出素子の上にボロン10(10B)の膜を設
け、この膜に中性子が入射したときに発生する荷電粒子
(α線)を半導体検出素子で検出するという構造になっ
ている。このように、熱中性子が入射したときに荷電粒
子を発生する物質をコンバータと呼ぶ。従来技術1の中
性子検出器では、ボロン10の膜はプラズマドーピング
により1μmの厚さに形成していた。しかし、ボロン
は、その融点が約2300℃と高く、加工性が著しく悪
いという欠点があった。またボロンの膜と半導体検出素
子を形成するシリコンの熱膨張係数は約3.5 倍異なっ
ており、このための温度変化による膜のはく離をさける
ためにはボロン膜を1μm以上にできない。しかし、ボ
ロン中から発生するα線の数は膜厚に比例して増大する
ため、十分な検出感度の中性子検出器を実現する上で問
題があった。一方、従来技術1では、拡散でボロンを注
入する方法が示されているが、拡散層におけるボロンの
濃度を高めることができず、十分な検出感度の中性子検
出器を実現することができない。ボロンは熱中性子に対
しては大きい確率で核反応を起こしてα線を多く出す
が、高速中性子(数eV以上の高エネルギー中性子)に
はあまり反応しない。このため、従来技術1に記載され
ているように、ポリエチレン層を設け、高速中性子が入
射したときに発生する荷電粒子(プロトン)を半導体検
出素子で検出するという構造になっている。このよう
に、高速中性子が入射したときにプロトンを発生する物
質をプロトンラジエータと呼ぶ。しかし、10KeVか
ら1MeVのエネルギー範囲の中性子に対して感度を向
上できないという問題があった。
【0007】次に、中性子線量率計について考える。従
来技術3では、線量当量応答を満足させることができな
い。また、従来技術3は、中性子検出の作動電圧が高
く、これに伴って計測回路が複雑になり、信頼性にかけ
る欠点があった。
【0008】また、従来技術1,2には中性子線量率計
として用いる考えはなく、それに対する考慮がなされて
いない。
【0009】本発明の目的は、線量当量応答を実現する
中性子線量率計を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の特徴は、荷電粒子を検出する半導体検出素子と、前
記半導体検出素子の表面上に配置され、熱中性子と反応
して荷電粒子を発生する粒状或いは粉末状のコンバータ
と、前記半導体検出素子の表面に接触するようにして前
記コンバータの間隙に存在すると共に前記コンバータの
上に存在し、高速中性子と反応して荷電粒子を発生する
プロトンラジエータと、前記半導体検出素子から得られ
る信号を処理する処理手段と、前記半導体検出素子の中
性子入力側を覆う中性子減速材或いは熱中性子吸収体と
を備えたことにある。
【0011】
【発明の実施の形態】はじめに、本発明の概念について
説明する。
【0012】線量当量の応答Sa(E)は、(数1)で示
すことができる。
【0013】 Sa(E)=Da(E)・fa(E)・Ia(E) …(数1) ここで、Da(E)(図2(b)参照)は、中性子感度応
答で、中性子検出器自体の中性子エネルギーEに対する
感度応答を示し、fa(E)(図2(d)参照)は、ファ
ントム感度応答で、人体あるいは人体模擬体に入射した
中性子の中性子検出器への応答を示し、Ia(E)(図2
(c)参照)は入射中性子スペクトルを示す。従って、
ICRPの勧告による実効線量当量応答S(E)は、入射
中性子スペクトルIa(E)が単位スペクトルI(E)の場
合の所望の応答である。即ち、(数2)で表現される。
【0014】 S(E)=D(E)・f(E) …(数2) 従って、人体装着されて使用される中性子個人被曝線量
計は、人体自体が必然的に所望のファントム感度応答f
(E)を示すから、中性子感度応答Da(E)が所望の応答
D(E)を示すようにすることが必要である。一方、中性
子線量率計は、少なくとも中性子検出器と人体を模擬す
るファントムの両方の積の応答で実効線量当量応答S
(E)を満足することが必要である。即ち、中性子検出器
自体が実効線量当量応答D(E)を満足するのであれば、
ファントムを人体を模擬するように構成すればよい。ま
た逆に、中性子検出器自体が実効線量当量応答を満足す
ることができなければ、全体的な感度は低下するかもし
れないが、ファントムをそれを補完するように構成し、
全体として実効線量当量応答S(E)を満足させればよ
い。以上の考え方を基に、目的を達成するための手段と
その作用について以下に説明する。
【0015】まず、中性子個人被曝線量計について述べ
る。中性子個人被曝線量計の場合、中性子検出器の応答
は図2(b)に示すようになることが望まれる。本発明
では、中性子感度応答D(E)には大別して2つの曲線が
あり、第1の曲線がD1(E)が熱中性子を主体とした低
エネルギー中性子とα線を放出するコンバータに依存
し、第2の曲線がD2(E) が高速中性子を主体とした高
エネルギー中性子によるプロトンを発生するプロトンラ
ジエータに依存するという知見に基づいたものである。
従って、従来技術1に示したように中性検出器の前面に
設置した中性子減速体は不要である。しかし、単にコン
バータとプロトンラジエータをそれぞれ別に層状に設け
たのでは、上側、例えば半導体検出素子の上にコンバー
タ,プロトンラジエータの順に設けたので、プロトンラ
ジエータで発生したプロトンがコンバータで阻止されて
半導体検出素子まで到達しない。そこで、本発明の実施
の形態では、コンバータとプロトンラジエータとを混在
させて層を作り、半導体検出素子の表面に装着させる。
この結果、コンバータとプロトンラジエータのそれぞれ
の量及び全体の層厚を調節することにより中性子感度応
答D(E)を満足することが可能となる。コンバータとプ
ロトンラジエータを装着した半導体中性子検出素子の応
答はコンバータとプロトンラジエータの装着構造によっ
て大きく変わる。即ち、検出素子の表面に装着するコン
バータの量が多ければ熱中性子成分に対する感度が高く
なり、逆にプロトンラジエータの量が多ければ高速中性
子成分に対する感度が高くなる。従って、このような中
性子検出器に電源と処理回路を設けることで、中性子個
人被曝線量計を実現できる。コンバータとしては、熱中
性子と反応して荷電粒子を発生させればよく、ボロン,
リチウム等が挙げられる。また、プロトンラジエータと
しては、水素化合物のパラフィン,ポリエチレン及びそ
の他の有機物もしくはそれから構成される樹脂などが挙
げられる。以下、一般的には、コンバータとしてはボロ
ンが、プロトンラジエータとしては水素化合物が多く用
いられるのでこの2つで代表して説明する。
【0016】次に、熱中性子に対する感度を高める手段
について説明する。熱中性子に対する感度を高めるため
には、コンバータの層、即ちボロン層の厚さを厚くする
ことである。しかし、ボロンの融点は約2300℃と高
く、加工性が著しく悪いという欠点があり、またボロン
の膜と半導体検出素子を形成するシリコンの熱膨張係数
は約3.5 倍と異なっており、1μm以上にできなかっ
た。本発明の実施の形態では、ボロンを粒状や粉状にし
て、他の物質と混在させることで、実効的な層厚を厚く
することを可能にしたものである。他の物質としては、
シリコンと熱膨張係数があまり変わらないものや、弾性
力が合って、ボロンの熱膨張を吸収してくれるものがよ
い。また、ボロンを粒状にした場合は、粒状ボロンを焼
成してボロン層を形成すればその加工は簡単となる。ま
た、この場合ボロン層は粒状ボロンで成っているから、
その熱膨張係数のシリコンとの差のために温度変化によ
るはく離の心配もない。このように、従来より十分厚い
ボロン層の形成が可能となり、熱中性子に対する感度を
大きくすることができる。プロトンラジエータとして用
いられる水素化合物を他の物質とすると、ボロンの粒径
(平均粒径)を任意に設定することによって、シリコン
表面に密着する水素化合物の量を制御することができ
る。これによって高速中性子の感度も変化するので、全
中性子エネルギーに対する検出器の応答特性を可変設定
できるので、実効線量当量応答の実現からも望ましい。
また、水素化合物は弾力性があり剥離点からも望まし
い。更に、上述の粒状コンバータの間隙にプロトンラジ
エータで埋める構造では粒状コンバータの粒径が応答を
左右することになる。粒径が小くなれば熱中性子成分に
感度が高くなる。コンバータにボロン(10B)を用いる
場合、熱中性子との核反応で1.47MeV のα線を発
生させる。同様に、プロトンラジエータは高速中性子と
相互作用を起し陽子線を生成する。これらの荷電粒子
(α線,陽子線)が検出素子に入射し、その電離作用で
電子−正孔対の電荷を生成する。α線の飛程は10μm
以下であり、これ以上の厚さにコンバータを設けても感
度応答に差異は生じない。一方、プロトンラジエータか
ら発生する陽子線の飛程は10MeVで1mm程度とな
る。従って、この構造の検出素子では素子表面にコンバ
ータの薄い層(数10μm)を設け、コンバータの間隙
にプロトンラジエータを埋込み、その上にプロトンラジ
エータを1〜2mm程度積層するのが一般的である。
【0017】中性子個人被曝線量計は携帯用のため、中
性子線量率計のように寸法の大きい中性子減速体で包囲
する構成では実用性に欠けることになる。しかし、個人
被曝線量計は人体の胸部に固定するため、人体そのもの
が中性子減速体の役目を果たす作用がある。即ち、高速
中性子が人体内で散乱(減速)し、その散乱成分が入射
(一般にこの中性子をアルベド中性子と呼んでいる)す
るようになる。この条件下でボロンの粒径やプロトンラ
ジエータの厚さを調節することにより線量当量応答を持
つ中性子個人被曝線量計が実現できる。
【0018】次に、熱中性子と高速中性子の少なくとも
一方に対して感度を高める方法について述べる。従来技
術,コンバータやプロトンラジエータで発生した荷電粒
子は、半導体検出素子の電極や表面にある酸化膜によっ
て阻止され、感度が低下する。従来技術2では、コンバ
ータやプロトンラジエータを設けた面とは反対側に電極
を集めて設けている。しかし、このタイプは製作が困難
である。本発明では、荷電粒子の入射側の電極は空乏層
の一部を覆うように形成させる。このようにすることに
より、電極の面積を低減できるとともに、電極による荷
電粒子の阻止を低減できる。この結果、半導体検出素子
に入射する荷電粒子数が増え、検出感度を高めることが
できる。
【0019】最後に、中性子線量率計について述べる。
この構成は、前述したように、中性子検出器自体が実効
線量当量応答D(E)を満足するのであれば、ファントム
を人体を模擬するように構成すればよい。また逆に、中
性子検出器自体が実効線量当量応答を満足することがで
きなければ、全体的な感度は低下するかもしないが、フ
ァントムをそれを補正するように構成し、全体として実
効線量当量応答S(E)を満足させればよい。
【0020】前者の立場に立てば、上述した中性子個人
被曝線量計を人体を模擬するファントムに設置すれば、
実効線量当量応答S(E)を満足する被曝線量率計を提供
できる。このようなファントムとして、一定の大きさを
有する水或いはアクリル等がある。また、本発明の実施
の形態では、更に中性子減速体や熱中性子吸収体でファ
ントムの代替を実現する。例えば、半導体検出素子を中
性子減速体や熱中性子吸収体で包囲する。中性子減速体
の厚さを増すことによって熱中性子の感度を下げ、高速
中性子の感度を高める割合を調節できる。また、熱中性
子吸収体の厚さや開口部の広さを調節する。開口部のあ
る熱中性子吸収体は高速中性子を完全に透過し、熱中性
子に対しては開口比で感度を調節できる。このようにす
ることによって、各エネルギーに対する感度を調節し、
人体を模擬するファントムを提供できる。
【0021】後者の立場に立てば、中性子検出器とし
て、シリコン以外の半導体検出素子から成る検出器を用
いても良い。
【0022】以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明の半導体式中性子個人被曝線量計の一実
施例を示す。半導体検出素子1と前値増幅器,ディスク
リミネター,逆バイアス印加回路などの放射線計測回路
(ハイブリッド回路)33,演算表示部34及び電源3
5を携帯用ケース32に収納する。この携帯線量計をク
リップ36で人体の胸部に固定する。図3に人体31に
半導体式中性子個人被曝線量計32を固定した状態を示
す。
【0023】図4は半導体検出素子の構造と中性子個人
被曝線量計の計測回路ブロック線図を示す。半導体検出
素子1の構造をn型シリコンを用いる例で説明する。n
型シリコンの表面1にp型の不純物(ボロン)を拡散し
p−n接合(P層)8を形成する。このP層8の表面は
シリコンの酸化皮膜(SiO2)9で絶縁保護する。点状
の信号取り出しの接合電極10を設け、接合面の反対側
からはオームコンタクトで接地電極11を引出す。この
両電極部10,11に逆バイアス12を印加すると、P
層8の下に空乏層7が広がる。半導体検出素子1の表面
には酸化皮膜9をはさんで粒状(粉末状)ボロン5が密
着して焼成され、その隙間と外表面がプロトンラジエー
タ6(水素化合物)で埋められている。水素化合物とし
ては例えばパラフィン,エポキシ,ポリエチレン等を用
いる。図示はしていないが、検出素子全体はキャンに封
入され、P層8とN層4のリード電極はキャン外部に引
き出される構造となっている。P層8の電極10は、α
線やプロトンの減衰を防止するために、点状にしてい
る。α線等の入射窓となる酸化皮膜9は100Å程度の
厚さに容易に形成できるようになる。この入射窓に上述
のコンバータやプロトンラジエータの層を設けることに
よって、電極10や酸化皮膜9による荷電粒子の減衰を
抑えることができる。また、キャンの外部あるいはキャ
ン内部には必要に応じて中性子減速材(図示せず)を用
いる場合もある。このような本線量計の外部から入射す
る熱中性子(Nth)は熱中性子コンバータ5と核反応を
起し、α線を生成する。高速中性子(Nf)はプロトン
ラジエータとの散乱作用で反跳陽子(プロトン)を生成
する。これらのα線と陽子線は検出素子1内の空乏層7
で電荷を生成する。熱中性子(Nth)と高速中性子(N
f )の入射に基づいて生成する電荷は交流結合コンデン
サー13を介して、前置増幅器14,線形増幅器15で
増幅する。増幅した信号はディスクリミネータ16で波
高弁別し、計数回路17でパルス計測する。計数回路1
7で計数した計数値に基づき、演算表示部18で被曝量
の演算と表示を行う。
【0024】本実施例における中子検出の原理は、次の
二つの相互作用に分けられる。一つは低エネルギーの熱
中性子がボロン5で(数3)で示す核反応を起こし、α
線を発生することによる。
【0025】 10B(n,α)7Li …(数3) このα線は1.47MeV エネルギーをもち、検出素子
1の空乏層7内で電子e,正孔h対の電荷を生成し、こ
れが検出器電流を変化させる。他の一つは、高速中性子
がプロトンラジエータ6と相互作用(散乱)を起こし、
反跳陽子(プロトン)を発生しこれが空乏層7内で電子
e,正孔h対の電荷を生成し、これが検出器電流を変化
させる。他の一つは、高速中性子がプロトンラジエータ
6と相互作用(散乱)を起こし、反跳陽子(プロトン)
を発生しこれが空乏層7内で電子e,正孔h対の電荷を
生成することによる。本実施例はこの二つの相互作用の
発生確率と発生する荷電粒子(α線,プロトン)の電荷
収集効率を向上させることによって検出感度向上及び広
いエネルギー範囲での検出を可能とするもので、その動
作を以下に詳述する。
【0026】コンバータとしてのボロン5の核反応数N
(l)は次式で表せる。
【0027】 N(l)=φ・n・σ・l …(数4) 但し、φ:中性子の入射数(n/cm2・S) n:コンバータの原子密度(l/cm3) σ:核反応断面積(barn) l:コンバータの厚さ(cm) である。この式から明らかなように、核反応数N(l)は
コンバータの厚さlに依存し、その数値例が図5に示さ
れている。一方、このコンバータから発生したα線のボ
ロンおよびシリコン中の飛程は〜7μmであり、ボロン
コンバータの厚さを7μm以上にしたシリコン中を7μ
m以上通過するような構成にすると、発生したα線が減
少し、検出器の感度向上には寄与しないことになる。即
ち、α線の寄与はコンバータの厚さ7μm以上で飽和す
ることになる。
【0028】一方、高速中性子がプロトンラジエータ6
で散乱して発生するプロトンの発生確率σpは、中性子
の入射エネルギーをEn(MeV)としたとき次式で与え
られる。
【0029】即ち、中性子の入射エネルギーEnの−1
/2乗に比例して発生確率σpが変化するが、この発生
確率はプロトンの散乱角度には依存しない。一方発生す
るプロトンが持つエネルギーは散乱角度に依存するの
で、単色の中性子から発生するプロトンのエネルギー分
布は、エネルギー0eVから中性子の入射エネルギーE
n に至るまでの連続分布となる。このプロトンの飛程は
10MeVで1mm程度となるが、低エネルギーのプロト
ンはボロンの中を通過すると急速に減衰する。
【0030】図4の実施例は以上の諸点を考慮して考案
されたもので、加工の容易な粒状ボロン(平均粒径10
μm)5の層厚1cは、その中を通過するα線の飛程を
超えない範囲でなるべく厚く焼成して大きな核反応数N
(l)が得られるように、ボロン100%の層厚7μmの
厚さに相当する30μm(空孔率75%)とした。粒状ボ
ロン5の隙間はプロトンラジエータ6で埋め、さらに、
その外側を厚さ(lp=)2mmのプロトンラジエータ6
でコーティングする。この構造によって、プロトンラジ
エータ6から発生するプロトンの低エネルギー成分の多
くがボロン中を通過せず、従って減衰せずに検出素子1
内に入り込むことが可能となる。また、粒状のボロン5
から発生するα線は、1.47MeV のエネルギーを持
っており、原子番号の小さい水素化合物で構成されたプ
ロトンラジエータを数μm通過しても殆ど遮蔽されるこ
とはない。さらに半導体検出素子1の側では、荷電粒子
に対して不感な酸化皮膜9及びp層8は、α線等に減衰
を与えるだけなので、これらは0.3μm 以下の厚さと
して感度の低下を防ぐ。
【0031】以上説明したように、本実施例は単なる中
性子個人被曝線量計としても、次のような効果をもつ。
ボロンを粒状とすることにより、ボロンの実効厚を厚く
とれるので、熱中性子検出感度を従来比で10倍程度向
上させることができる。また、高速中性子、特に低エネ
ルギー側の高速中性子に対するボロンの遮蔽効果を低減
できるので、高速中性子の検出感度も全体的に向上させ
ることができる。また、製作技術的にも粒状ボロンを焼
成(蒸発乾固)する方法には困難はなく、さらに浸透性
の水素化合物で浸透・コーティングすることによって、
ボロン層の温度変化によるはく離減少を防止することが
できる。尚焼成以外の形成方法もありうる。例えば、ボ
ロンとプロトンラジエータの混合層をプラスチック製の
薄い固定膜で半導体検出素子に固定してもよい。最後
に、ボロン等の荷電粒子への変換素子側の電極をポイン
ト状にすることにより、変換された荷電粒子の半導体検
出素子側への通過部分の電極をなくすことができ、更に
酸化皮膜9を薄くできるので、荷電粒子の半導体検出素
子側への透過率を向上し、中性子エネルギーの広範囲に
わたって、検出感度を高めることができる。
【0032】次に、ICRP勧告に沿った実効線量当量
評価ができる中性子個人被曝線量計について述べる。今
日の放射線障害防止法令によれば、ICRP勧告に沿っ
た実効線量当量評価が可能なエネルギー応答特性を持つ
中性子検出器が必要であり、前述の実施例の検出器はこ
のような目的にも合致するものである。即ち、図4のプ
ロトンラジエータ6のコーティング層の厚さlp,粒状
ボロン5の粒径あるいはプロトンラジエータと粒状ボロ
ンの量の比を変化させると高速中性子に対する検出感度
を調節できる。なお図6の実線のカーブはICRP勧告
による中性子エネルギーと実効線量当量(人体への影響
度を示す)の関係をしており、図中○印は、本実施例の
特性を、×印は従来の検出器の特性を示す。なお、図6
はデータは熱中性子と数100KeVから15MeVの
範囲に限定しているが、数100KeVから熱中性子迄
の間はモンテカルロ計算で補間した。これは現状技術で
は、この中間領域のデータを実験的に収集できないから
である。
【0033】中性子個人被曝線量計は、図3に示すよう
に人体の胸部に装着されて使用される。従って、中性子
個人被曝線量計の校正試験は、人体から散乱されてくる
中性子を考慮して行う必要がある。図6は、人体の胸部
に線量計を固定する代わりにファントム(アクリルある
いは水で、寸法40×40×15cm)の中央に線量計を
固定して行ったものである。図7に人体を模擬したファ
ントム内での中性子の振舞を示す。高速中性子の一部は
線量計内のプロトンラジエータと相互作用を起すが、多
くはファントム30に到達し、散乱を起す。その散乱線
の一部が中性子検出素子1に入射する。当然、線量計に
入射する中性子のエネルギーは入射中性子のエネルギー
を最大として熱中性子まで存在することになる。線量計
内のコンバータの種類,粒径,層厚、及びプロトンラジ
エータの種類,層厚を調節することにより実効線量当量
の応答を容易に得ることができる。
【0034】以上説明した本実施例の中性子個人被曝線
量計のエネルギー応答特性は、従来例と比べて、高エネ
ルギー領域でもよく一致している。実効線量当量の応答
と良く一致しており、実用的な中性子個人被曝線量計を
提供できることが分かる。
【0035】なお、図4の実施例では、粒状ボロンを焼
成し、その間隙及び上記をプロトンラジエータで埋める
構造により荷電粒子を発生させるようにしたが、これを
ボロンと水素化合物との化合物,混合物等で置きかえて
もよい。
【0036】図8に本発明の中性子検出器の第2の実施
例を示す。本実施例では、開口部のあるボロン板50を
半導体検出素子1に設け、その開口部にプロトンラジエ
ータ51を埋め込む構造とする。本実施例では、ボロン
板の開口部の面積(開口部が円の場合はその直径)を調
節することによって検出器の応答を調整できる。この開
口部のあるボロン板の製作方法は、金属マスク前面にス
パッタリング等でボロン層を作り、その後、金属マスク
を取りはずすことによって任意の形状のボロンを形成で
きる。このように形成したボロン板を半導体検出素子1
の表面に密着して取り付ける。取付方法は接着剤あるい
は端部を機械的に固定する単純な手段で機能を果たすこ
とができる。
【0037】本実施例においても、第1の実施例と同様
な効果を果たすことができる。
【0038】図9に本発明の第3の実施例を示す。本実
施例は、半導体検出素子1の上にプロトンラジエータ5
3だけを設け、高速中性子に対してのみ有感を検出器と
したものである。プロトンラジエータ53は、図4の場
合と同様、パラフィン等を塗布することにより容易に作
製できる。本実施例においては高速中性子に対して検出
感度の高い中性子個人被曝線量計を提供できる。
【0039】図10に本発明の第4の実施例を示す。本
実施例は、半導体検出素子1の面上に粒状ボロン層55
を形成し、その上面を水素を含まない物質、例えばアル
ミ蒸着膜56で保護する。この検出器は熱中性子だけを
検出するもので、粒状ボロンを用いることで温度変化に
よるはく離の心配なくその層の厚さを十分にとり、熱中
性子の検出感度を向上させたものである。本実施例にお
いては熱中性子に対して検出感度の高い中性子個人被曝
線量計を提供できる。
【0040】以上の各実施例においては、熱中性子との
核反応材料としてボロンを用いるものとしたが、これを
リチウムの核反応6Li(n,α)3Hを利用してもよい
し、ウランを用いてもよい。この場合、生成されるα線
のエネルギーがボロンとは異なるので、その飛程に従っ
てコンバータ厚を設定する必要がある。また、高速中性
子の増感作用物質として水素化合物等のプロトンラジエ
ータを例として説明しているが、高速中性子と相互作用
を起こして重荷電粒子を発生させる材料であれば他の物
質でもよい。さらにシリコン半導体を用いた半導体検出
素子の例を述べているが、テルル化カドミウムやヨウ化
水銀等の化合物半導体を用いた検出素子を用いることも
できる。
【0041】次に、中性子線量率計について述べる。
【0042】図11は、半導体中性子線量率計の一実施
例を示す。本実施例は球形の中性子減速体2とその外殻
を開口部のある熱中性子吸収体3で人体を模擬するファ
ントムを構成し、その中に上述した半導体中性子検出器
40を設けたものである。中性子の検出信号は信号ケー
ブルを介して外部の放射線計測回路60に送る。この球
形の中性子減速体2を用いる体系が、最も無指向性を維
持する線量率計を実現できる。図12は、本発明の中性
子検出部の模式図を示す。図4で示した半導体検出器を
パラフィンやポリエチレンなどの中性子減速体2と開口
部のあるカドミウム板などの熱中性子吸収体3の中央に
設ける。図12では、半導体検出素子1を封入する金属
ケース(キャン)及び信号取り出しの信号ケーブルは図
示省略している。本線量率計の外部から入射する熱中性
子(Nth)は、熱中性子吸収体3と中性子減速体2に一
部吸収され、一部が検出素子1に到達する。ここで熱中
性子コンバータ5と核反応を起し、α線を生成する。高
速中性子(Nf )は熱中性子吸収体3に吸収されること
なく中性子減速体2に到達し、ここで一部熱中性子に減
速されるが他の一部はプロトンラジエータ2に到達す
る。プロトンラジエータでは高速中性子との散乱作用で
反跳陽子(プロトン)を生成する。これらの生成α線と
陽子線の電荷は半導体検出素子1内の空乏層7で収集さ
れる。
【0043】図13は中性子検出器の構造と放射線計測
回路60のブロック線図を示す。中性子検出器の構造は
図4に示すものと同様であるので説明は省略する。放射
線計測回路60は、基本的には図4と同じであるが、デ
ィスクリミネータ16,計数回路17を2種類設け、添
字a系統はエネルギー依存性の全体の計数を示し、添字
b系統は後述するある一定以上のエネルギーをもつ高速
中性子弁別用の回路である。
【0044】図14に、本発明の中性子線量率計のエネ
ルギー応答を調べた結果の一例を示す。この図は中性子
減速体厚をパラメータにして調べた結果である。このと
きの中性子線量率計の主な構造仕様は以下のとおりであ
る。
【0045】ボロンの粒径 :20μm プロトンラジエータ厚 :2mm 熱中性子吸収体開口比 :70%(開口率)(厚さ0.
5mm のカドミウム) このように、中性子減速体厚を変化することによって、
線量当量の応答を変化させることができる。
【0046】図15は本発明の中性子線量率計の応答と
線量当量の応答と比較した結果を示す。中性子減速体厚
は80mmのものである(図14の減速体厚80mmのデー
タ)。この場合も、図5と同様に補完している。この結
果からも明らかなように、本発明の中性子線量率計の応
答は熱中性子から15MeVのエネルギー領域にわたっ
て線量当量応答と±30%の高精度で一致する。同時に
従来の線量率計の応答例を示している。従来の線量率計
は数MeV以上で感度が低下する。
【0047】以上説明したように、中性子減速体厚を調
節することによって実効線量当量応答が実現できる。ま
た、以上の説明では、中性子減速体厚を調節したが、熱
中性子吸収体厚やその開口比を調節してもよい。本発明
の中性子線量率計は原子力発電所等の放射線取り扱い施
設のエリアモニタ,周辺環境モニタ,サーベイメータ等
に採用することが可能であり、実用的な新しい測定器を
提供できる。
【0048】図16に本発明の第2の中性子線量率計の
実施例を示す。これは、無指向性を維持するため球に近
い中性子減速体として、直径と高さが同一の直円体にし
たものである。半導体中性子検出器40を中央に設け、
中性子減速体2の外形に沿って開口部のある熱中性子吸
収体3を設ける。中性子検出信号は信号ケーブルを介し
て、計測回路60とデータ処理部を含む指示計器20に
送る。中性子減速体2の外形が球のものは製造コストが
高くなる。中性子減速体2の形状が球に近い直円体にす
ることによって大幅なコスト低減が図れる。中性子減速
体2の形状が球形以外になることによって、指向性が生
じる可能性がある。図17に本実施例の垂直方向の指向
性を調べた結果を示す。この結果からも明らかなように
±10%以内で指向性は無視できる。これは中性子が減
速体内で何回も散乱されるので、指向性が緩和されるこ
とによる。
【0049】この検証結果に基づき、以下の変形例が考
えられる。図18は正方体の中性子減速体2のコーナを
全てカットした形状を示す。図19はその正面図を示
す。中性子検出器40はいずれも中央に設ける。図20
は直円体の中性子減速体2のコーナをカットする変形例
を示す。これらの変形例はいずれも本発明の性能を十分
維持できるものである。図18,図19,図20で熱中
性子吸収体3の図示は省略している。
【0050】図21は熱中性子吸収体3の設置に関する
変形例を示す。図21では中性子減速体2の内部に開口
部のある熱中性子吸収体3を設けている。図22は中性
子減速体2と中性子検出器40の間に、開口部のある熱
中性子吸収体3を設けた変形例を示す。熱中性子吸収体
3は中性子減速体2の内部に設ける方が熱中性子吸収体
3の設置量が少なくてすむ効果がある。
【0051】図23に本発明で計測される信号の波高分
布(スペクトル)の一例を示す。波高値AとBで示した
丸印αの領域が熱中性子との核反応で生成するα線の波
高領域である。波高値B以上が数MeVの高速中性子と
相互作用を起して生成するプロトンの波高領域である。
波高値B以下はγ線の波高値である。ディスクリレベル
をA,BあるいはB以上で多段に設けることによって、
それぞれの出力信号から高速中性子のエネルギー成分を
同時弁別することが容易に可能となる(図13の計測回
路ブロック図参照)。当然、中性子のエネルギーと波高
値の校正係数および各波高領域における中性子検出の感
度係数はあらかじめ求めておき、絶対値への換算データ
処理は必要となる。高エネルギー加速器を利用する施設
では高速中性子の同時弁別計測のニーズが多く、本発明
の適用範囲は極めて広い。
【0052】また、熱中性子吸収体においてもボロン,
リチウムなどをカドミニウムの代用にできる。上述した
実施例では熱中性子吸収体の開口比で熱中性子成分の検
出感度を調節しているが、熱中性子吸収体の厚さを変え
ることによっても感度調節は可能である。
【0053】更に個人被曝線量計と同様に、検出素子と
して半導体検出素子を用いたが、テルル比カドニウムや
ヨウ化水銀等の化合物半導体を用いてもよい。
【0054】人体の模擬するファントムとして、中性子
減速体や熱中性子吸収体を用いた個人被曝線量計で説明
したようにある一定の大きさをもつ水やアクリル等の上
に実効線量応答を実現できる中性子検出器を搭載するこ
とで、実効線量当量の応答を実現する中性子線量率計を
実現できる。
【0055】また、以上の説明においては、中性子検出
器が実効線量当量の応答を実現する場合について述べ
た。しかし、中性子減速体や熱中性子吸収体の厚さ等を
変えることによって線量当量の応答を変えることができ
る。そこで、中性子検出器自体は実効線量当量の応答を
実現できなくても、それらを囲む中性子減速体や熱中性
子吸収体の厚さ等を変えることによって、中性子線量率
計全体で実効線量当量の応答を実現することも可能であ
る。この場合、実効線量当量の応答を実現する中性子線
量率計を提供する立場からすれば、中性子検出器はBF
3計数管や3He計数管等でもよい。
【0056】最後に、以上の説明では、中性子減速体や
熱中性子吸収体を囲むように設置したが、中性子線量率
計を壁に沿って設置する場合には、中性子が入射してく
る方向は限定されるから、その方向のみに中性子減速体
や熱中性子吸収体を設けてもよい。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
線量当量応答を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中性子個人被曝線量計の第1の実施例
を示す図である。
【図2】実効線量当量応答と中性子検出器の応答,ファ
ントムの応答及び入射エネルギースペクトルとの関係を
示したものである。
【図3】本発明の中性子個人被曝線量計の人体固定状態
を示す図である。
【図4】中性子個人被曝線量計の半導体中性子検出器の
構造と計測回路ブロック線図を示す。
【図5】核反応数N(1)とコンバータの厚さの関係を
示す図である。
【図6】本発明の中性子個人被曝線量計の応答と実効線
量当量の応答と比較した結果を示す図である。
【図7】本発明の個人被曝線量計の校正時の状態を示す
図である。
【図8】本発明の中性子個人被曝線量計の第2の実施例
を示す図である。
【図9】本発明の中性子個人被曝線量計の第3の実施例
を示す図である。
【図10】本発明の中性子個人被曝線量計の第4の実施
例を示す図である。
【図11】本発明の中性子線量率計の第1の実施例を示
す図である。
【図12】第1の実施例の中性子検出部の模式図を示す
図である。
【図13】中性子検出器の構造と放射線計測回路60の
ブロック線図を示す図である。
【図14】本発明の中性子線量率計の中性子減速体厚を
変えたときのエネルギー応答を示す図である。
【図15】本発明の中性子線量率計の応答と実効線量当
量の応答と比較した結果を示す図である。
【図16】本発明の中性子線量率計の第2の実施例を示
す図である。
【図17】本発明の中性子線量率計の第2の実施例の垂
直方向の指向性を示す図である。
【図18】本発明の中性子線量率計の他の実施例を示す
図である。
【図19】図18に示す他の実施例の断面図である。
【図20】本発明の中性子線量率計の他の実施例を示す
図である。
【図21】熱中性子吸収体を中性子減速体の内部に設け
た中性子線量率計の実施例を示す図である。
【図22】熱中性子吸収体を中性子減速体の内側に設け
た中性子線量率計の実施例を示す図である。
【図23】本発明で計測される信号の波高分布例を示す
図である。
【符号の説明】
1…半導体検出素子、4,10…電極、5…ボロン、6
…プロトンラジエータ、7…空乏層、8…P層、9…酸
化皮膜、11…接地電極、12…逆バイアス、13…コ
ンデンサー、14…前置増幅器、15…線形増幅器、1
6…ディスクリミネータ、17…計数回路、18…演算
表示部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子を検出する半導体検出素子と、前
    記半導体検出素子の表面上に配置され、熱中性子と反応
    して荷電粒子を発生する粒状或いは粉末状のコンバータ
    と、前記半導体検出素子の表面に接触するようにして前
    記コンバータの間隙に存在すると共に前記コンバータの
    上に存在し、高速中性子と反応して荷電粒子を発生する
    プロトンラジエータと、前記半導体検出素子から得られ
    る信号を処理する処理手段と、前記半導体検出素子の中
    性子入力側を覆う中性子減速材或いは熱中性子吸収体と
    を備えたことを特徴とする中性子線量率計。
  2. 【請求項2】荷電粒子を検出する半導体検出素子と、前
    記半導体検出素子の表面上に配置され、開口部を有する
    板状で熱中性子と反応して荷電粒子を発生するコンバー
    タと、前記半導体検出素子の表面に接触するようにして
    前記コンバータの開口部に存在すると共に前記コンバー
    タの上に存在し、高速中性子と反応して荷電粒子を発生
    するプロトンラジエータと、前記半導体検出素子から得
    られる信号を処理する処理手段と、前記半導体検出素子
    の中性子入力側を覆う中性子減速材或いは熱中性子吸収
    体とを備えたことを特徴とする中性子線量率計。
  3. 【請求項3】前記コンバータはボロンであり、前記プロ
    トンラジエータは水素化合物であることを特徴とする請
    求項1及び2のいずれかに記載の中性子線量率計。
  4. 【請求項4】前記半導体検出素子は、pn接合を有する
    半導体ウエハと、前記半導体ウエハの表裏にそれぞれ接
    続された電極とを有し、前記電極のうち少なくとも前記
    pn接合側の電極は空乏層の一部を覆うように形成した
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中
    性子線量率計。
  5. 【請求項5】前記半導体検出素子は1つであることを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中性子線量
    率計。
  6. 【請求項6】荷電粒子を検出する半導体検出素子と、前
    記半導体検出素子の表面上に配置され、熱中性子と反応
    して荷電粒子を発生する粒状或いは粉末状のコンバータ
    と、前記半導体検出素子の表面に接触するようにして前
    記コンバータの間隙に存在すると共に前記コンバータの
    上に存在し、高速中性子と反応して荷電粒子を発生する
    プロトンラジエータと、前記半導体検出素子から得られ
    る信号を処理する処理手段とを有する中性子検出装置の
    エネルギー応答特性を用いた実効線量当量の評価方法。
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