JPH07131052A - 半導体放射線検出素子、該検出素子を用いたγ線中性子線検出器および該検出器を用いた線量測定器 - Google Patents

半導体放射線検出素子、該検出素子を用いたγ線中性子線検出器および該検出器を用いた線量測定器

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JPH07131052A
JPH07131052A JP5276302A JP27630293A JPH07131052A JP H07131052 A JPH07131052 A JP H07131052A JP 5276302 A JP5276302 A JP 5276302A JP 27630293 A JP27630293 A JP 27630293A JP H07131052 A JPH07131052 A JP H07131052A
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neutron
rays
ray
radiation
semiconductor
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JP5276302A
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Inventor
Toshiya Yamano
俊也 山野
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】γ線と中性子線の両者に同等の線量当量感度を
有する検出器を提供し、これを搭載して小形軽量で低価
格な個人被曝線量計測用などの線量測定器を実現する。 【構成】障壁形成接合部に逆バイアス電圧を印加したと
きに生成する空乏層を放射線有感部3とする半導体放射
線検出素子の、障壁形成側電極配設領域の一部に熱中性
子と核反応を起こして重荷電粒子を放出する10B または
6Li からなる核反応層5を形成し、検出素子結晶の厚さ
を印加逆バイアス電圧の最大値における空乏層の幅dを
超える厚さとし、上記の放射線半導体検出素子の直上に
水素原子を高密度に含有する部材を高エネルギーの中性
子線に対する増感部材12として配置してγ線中性子線検
出器を構成し、このγ線中性子線検出器を搭載する線量
計の検出器印加逆バイアス電圧は可変とし、検出器に印
加する逆バイアス電圧を熱中性子とγ線の線量当量感度
が等しくなるように設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射線作業に従事する
放射線作業者が、作業中に被曝する放射線の線量の測定
・表示・警報等を行う電子式個人被曝線量計などの線量
測定器と、この線量測定器に使用するγ線と中性子線の
線量を測定するγ線中性子線検出器およびこのγ線中性
子線検出器に使用する半導体放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】電子式個人被曝線量計などの線量測定器
は、放射線作業者が作業中に被曝する放射線の量すなわ
ち被曝線量を、線量当量として測定評価するものであ
り、被曝線量を実時間で測定表示するとともに、被曝線
量の積算値がある一定値に達する毎に短時間警報音を発
生し、また、被曝線量があらかじめ設定した線量値を超
過すると警報を発する等の機能によって作業者の過剰被
曝を防止するために用いられるものである。
【0003】原子力発電所等における放射線作業者の主
たる放射線被爆は、γ線によって引き起こされる外部被
爆であり、このため従来の電子式個人被曝線量計は、γ
線を測定対象とするものがほとんどであった。一方、放
射性物質を取り扱う原子力施設等では、γ線による外部
被爆にならびγ線と同じく強透過性放射線である中性子
による被爆も無視しえない状況となっており、中性子線
をも測定対象とする線量測定器、なかでも電子式個人被
曝線量計の必要性が増している。
【0004】ところで、被曝線量を評価する基準である
シーベルト(Sv)なる単位で表される線量当量は、放射線
を被曝した人が単位質量当たりに吸収した放射線のエネ
ルギーに、人体への影響の程度を勘案して放射線の種類
(線種)とエネルギーに対応して予め定められた換算係
数を乗じて得られる放射線の種類差を超えて被曝した放
射線の人体への影響を評価する一種の指標値である。
【0005】この放射線の種類とエネルギーに対応して
乗ずべき換算係数については、人体総合および人体の器
官組織の区分に対応して定められた値が、国際放射線防
護委員会(ICRP)によって勧告されており、γ線に
ついての人体総合に関する換算係数に相当する空気吸収
線量と1cm線量当量の換算係数とγ線エネルギーの関係
を図3に、また、中性子線についての人体総合に関する
換算係数に相当する中性子フルエンスと1cm線量当量の
換算係数と中性子のエネルギーとの関係を図4に挙げ
る。
【0006】線量当量指標が上記の性格を有しているた
め、異なる種類の放射線が存在する作業環境における放
射線の被曝量を線量当量の単位Svで測定評価する場合に
は、被曝した放射線の種類と個数およびエネルギーに関
する情報の取得が原理的には必要となる。放射線検出器
の原理と構成は放射線の種類毎に相当に異なるので、個
人被曝線量計には、測定対象とする放射線の測定に適し
た種類の検出器が選定されて搭載されるが、線量当量は
同じ種類の放射線であってもそのエネルギーに依存する
換算係数を乗じて得られる指標値であるから、放射線の
種類に対応して設けられる放射線検出器は、検出した放
射線のエネルギー分布情報を出力し、検出器後段に設け
られる演算装置がこのエネルギー分布情報をにもとに、
エネルギーに対応し定められた換算係数を用いて線量当
量を演算によって導くことが可能なものであるか、また
は、検出器自体が換算係数によって補正された直接線量
当量値を意味する検出信号を出力するものである必要が
ある。
【0007】エネルギー分布情報を出力し得る放射線検
出器は通常大形であり、換算係数を用いて線量当量を演
算する演算装置も複雑なものとなる。一方、検出素子に
入射する放射線を、エネルギー範囲に対応して部分的に
削減するフィルタや逆に増感する増感部材を配置して検
出器とし、この検出器自体から換算係数によって近似補
正された線量当量値を意味する検出信号が出力されるよ
うにする方法が利用されており、この方式の検出器はフ
ィルタや増感部材を含めてもエネルギー分布情報を出力
する放射線検出器に比べて小形であり、検出器後段の計
測回路も簡単なものですむ。それゆえ、作業者に携帯さ
れることから小型であることが必要な個人被曝線量計で
は、検出素子にフィルタや増感部材を設けて換算係数に
よって補正された線量当量値相当の信号が出力されるよ
うにした検出器が従来から採用されている。
【0008】γ線による外部被爆の測定のためのγ線用
電子式個人被曝線量計には、高純度高比抵抗のシリコン
等の半導体結晶の基板表面に、PN接合や、半導体〜金
属ショトキー接合または結晶半導体〜非晶質半導体ヘテ
ロ接合等、いずれかの方法で障壁が形成されるように接
合部を形成したダイオードに、逆バイアス電圧を印加し
たときに接合部に生成する空乏層を放射線の有感部とす
る半導体検出素子が適用されている。
【0009】半導体検出素子のγ線に対する感度のγ線
エネルギーに関する依存性は、もともと図3の換算係数
のγ線エネルギー依存性の形状に比較的に近く、100keV
付近の低エネルギー領域における感度を多少低下させ、
数MeVにわたる高エネルギー領域の感度を多少上昇させ
れば検出器の感度特性と換算係数は実用上十分な程度に
整合する。
【0010】そこで、γ線の線量当量測定用の半導体検
出器では、高エネルギーのγ線によって生じた高エネル
ギーで飛程の長い電子正孔対が漏れなく収集されるよう
にダイオード電極を配置した素子構造として高エネルギ
ーγ線に対する感度を上昇させる特公平5−8595号公報
に公開されている手法が適用されている。そして、この
ように作られた検出素子の直前に質量密度があまり高く
ない材質の薄い金属板フィルタを配置して線量当量測定
用のγ線検出器を構成するとすると、低エネルギー領域
のγ線の一部は吸収され、高エネルギーγ線は透過して
検出素子に達するので、低エネルギー領域のγ線に対す
る感度が下がり検出器の感度特性と換算係数とがよく整
合したγ線検出器となる。なお、上記の低エネルギー領
域γ線の感度抑制用の金属板フィルタは、検出器のパッ
ケージケースの材質選定によって特に設ける必要をなく
すことができる。
【0011】上記のようなγ線検出用の半導体検出素子
に中性子線が照射されても、電荷や電場作用を有しない
中性子線は検出素子構成物質と相互作用することなく透
過してしまい直接検出信号を与えることはない。そこ
で、中性子と核反応を起こしてα線などの重荷電粒子を
放出する例えば10B や6Li などの核反応物質の薄層を半
導体検出素子の放射線有感部の直上に核反応層として形
成し、中性子と核反応を起こして発生した重荷電粒子を
放射線有感部で検出する方式の中性子線検出用の半導体
検出素子が特公平5−3550号公報で公開されている。こ
の検出素子の核反応層における中性子と核反応物質との
反応にはある程度の反応時間を要するので、中性子が核
反応物質の原子核の近傍に反応時間の間留まったとき核
反応を起こして重荷電粒子が放出される。それゆえ、核
反応形の半導体中性子検出素子においては、反応時間を
確保できる速度の遅い低エネルギーの中性子線すなわち
熱中性子線は効率よく検出されるが、核反応物質原子核
の近傍を高速で短時間に通過してまう高エネルギーの中
性子線の検出効率は大きく低下する。このことから核反
応を利用して中性子を検出する半導体検出素子を、以後
半導体熱中性子検出素子呼ぶこととする。
【0012】上記のように半導体熱中性子検出素子の基
体を構成するダイオード構造は、γ線検出用の半導体検
出素子における構造と同等であるから、半導体熱中性子
検出素子はγ線に対してももある程度の感度を有してい
る。このため、半導体熱中性子検出素子をγ線の存在す
る場に置くとγ線入射によりパルス信号が発生するが、
このγ線によるパルス信号の波高は、中性子と核反応を
起こして発生したα線などの重荷電粒子によって誘起さ
れるパルス信号の波高に比べて低いので、低い波高のパ
ルス信号をカットすることによって熱中性子による信号
をある程度選択的に抽出することができる。
【0013】ところで、中性子線被曝の影響を線量当量
によって測定評価するときには前述のように換算係数と
して図4に挙げられている感度特性のもとに被曝した中
性子線を計測する必要があり、上記の半導体熱中性子検
出素子を利用する場合には、高エネルギーの中性子線に
対する検出効率を大きく向上する方策を講じなければな
らない。そこで、半導体熱中性子検出素子を利用する中
性子線による外部被爆の測定のための中性子線用電子式
個人被曝線量計では、検出素子の直上に水素原子を高密
度に含有するポリエチレンなどを増感部材として配置
し、高エネルギーの中性子と衝突して弾き飛ばされた水
素原子核すなわち反跳陽子を検出素子の放射線有感部で
捉えることによって高エネルギー領域の感度を上昇させ
る方策が採られている。
【0014】上記のように、従来線量当量計測評価用の
放射線検出器は、測定対象とする放射線の種類に応じ
て、その線種の測定評価に適した方式構造のものが造ら
れてきたので、異なる種類の放射線が混在する環境にお
いて、これらの放射線による被曝線量を一台の電子式個
人被曝線量計で測定評価するときには、測定対象とする
線種に対応した複数の放射線検出器を線量計に搭載する
必要があった。
【0015】このような異なる種類の放射線による被曝
の測定評価するための電子式個人被曝線量計の従来例と
しては、γ線と中性子およびβ線検出用の半導体検出器
を搭載してそれぞれの線種の被曝線量を計測し、必要な
場合に警報を発するようにした多機能式個人被曝線量計
が特開平4-15288号公報に公開されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】γ線と中性子線が共存
する作業場で、γ線と中性子線の合計被曝線量を測定し
ようとする場合、前述の特開平4-15288号公報に公開さ
れている多機能式個人被曝線量計のように、測定対象そ
れぞれの線種に専用の放射線検出器を設けて線種毎の被
曝線量を測定し、線種毎の被曝線量測定データをもとに
演算処理によって合計被曝線量を求める方式とすると、
線量計の構成は複雑となり、小形軽量化も難しくなる。
【0017】一方、もし半導体放射線検出器が直接γ線
と中性子線の線量当量を出力するものであって、この検
出器の中性子線量当量感度とγ線線量当量感度を等しく
できれば、一つの検出器を設けた個人被曝線量計によっ
て中性子線とγ線が混在する作業環境の場における被曝
線量の総合値を計測評価が可能となる。本発明は、熱中
性子とγ線の両者に感度を有する半導体放射線検出素子
と、この半導体放射線検出素子1個が設けられ、その出
力信号を計測することによって、中性子線とγ線による
被曝線量の総合値を計測評価が可能な放射線半導体検出
器とを提供し、これによって小形軽量で安価な個人被曝
線量計などの線量測定器を実現することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的の達成には、
γ線と熱中性子線に対する線量当量感度が等しい検出器
が提供される必要がある。このため、本発明では、半導
体基板の一表面部に設けられた障壁形成接合部に印加さ
れる逆バイアス電圧に応じて形成される空乏層を放射線
有感部とするダイオード構造の半導体放射線検出素子の
障壁形成側電極配設領域の一部に、熱中性子と核反応を
起こして重荷電粒子を放出する10B または6Li からなる
核反応層を形成し、半導体基板の厚さを印加逆バイアス
電圧の最大値における空乏層の幅を超える厚さに設定し
て熱中性子とγ線検出用の半導体放射線検出素子を構成
することとしている。そして、上記の半導体放射線検出
素子の直上に水素原子を高密度に含有する部材を高エネ
ルギーの中性子線に対する増感部材として配置してγ線
中性子線検出器を構成し、このγ線中性子線検出器を搭
載する線量測定器の半導体放射線検出素子に印加する逆
バイアス電圧を、熱中性子とγ線による線量当量に対す
る感度が等しくなるように設定する。
【0019】
【作用】上記のように構成された半導体放射線検出素子
においては、強透過性であるγ線に対しては障壁形成接
合部に印加された逆バイアス電圧に応じて成長する空乏
層領域全体が有感部として機能する。一方、核反応層で
熱中性子と核反応を起こして発生した重荷電粒子の物質
中における飛程は短いので核反応層が形成された直近の
空乏層領域のみが有感部として機能する。そして上記の
半導体放射線検出素子の直上に配置された水素原子を高
密度に含有する部材に入射した高エネルギーの中性子線
は、水素原子核を飛程の短い反跳陽子として弾き飛ば
し、検出素子の空乏層に入射した反跳陽子が高エネルギ
ーの中性子線の信号出力を与える。
【0020】上記の放射線半導体検出素子と中性子線に
対する増感部材とによってなるγ線中性子線検出器を搭
載した個人被曝線量計などの線量測定器において、検出
器印加逆バイアス電圧を変化させると空乏層の幅が変化
してγ線に対する感度は変動するが、核反応層直近の空
乏層領域のみが有感部となる熱中性子と障壁形成接合部
直近の空乏層領域のみが有感部となる反跳陽子に対する
感度は大きく変動しないので、逆バイアス電圧の調節に
よって線量測定器のγ線と中性子線に対する感度差異を
同等に設定することができる。
【0021】
【実施例】請求項1の発明を表面障壁形の半導体放射線
検出素子によって実現する場合の一実施例の概略断面構
造を図1に、また、この半導体放射線検出素子を搭載し
た請求項2の発明による中性子とγ線による線量当量測
定用のγ線中性子線検出器の一実施例の断面構造を図2
に示す。
【0022】図1において、P型シリコン半導体結晶1
の一方の表面にアルミニウム電極2a を障壁が形成され
るように、また、他の表面にはボロンの侵入層4を介し
てアルミ電極2b がオーミックコンタクトするように設
けられてダイオード構造の表面障壁形の検出素子が形成
されている。そして、この表面障壁形の検出素子の障壁
形成側のアルミ電極2aの直上に、中性子と核反応を起
こしてα線などの重荷電粒子によってなる放射線を放出
する核反応物質、例えば10B や6Li などによってなる核
反応層5を形成して中性子にも感度を有する中性子γ線
検出素子としている。
【0023】このようなダイオード構造の表面障壁形検
出素子に逆バイアス電圧を印加すると、アルミニウム電
極2a の直下に移動しうる電荷が存在しない空乏層3が
生成するが、この空乏層3に入射した放射線が空乏層3
の基体物質であるシリコンと相互作用して空乏層3内部
に電子・正孔対を生成し、その電子・正孔対による電荷
パルス信号がアルミ電極2aから結合コンデンサ7を経
て電荷増幅器8に入力され電圧パルス信号に変換されて
出力される。
【0024】放射線の有感部となる空乏層3は、障壁形
成範囲で、その厚さ方向にダイオードに印加された逆バ
イアス電圧の値Vと基体シリコンの比抵抗値ρの積の平
方根に比例して生成されるが、γ線がこの空乏層3に入
射したとき、電荷と質量を有していないγ線と基体物質
のシリコンとの相互作用は弱いので、空乏層3の幅dが
十分に広くないと検出可能な2次電荷を発生させる以前
に空乏層領域を透過してしまい検出されないγ線が生じ
ることとなる。
【0025】一方、核反応層5における核反応によって
生じるα線等の重荷電粒子は電荷と大きな質量を有して
いるため、空乏層3に入射したとき、基体物質のシリコ
ンと強く相互作用して多数の2次電荷を発生させて短い
飛程のうちに消滅してしまうので、中性子に対して有感
となる空乏層3の領域は核反応層5が設けられた直下の
薄い領域のみとなり、その厚さを超える領域は有感領域
として機能しない。
【0026】中性子γ線検出用の半導体放射線検出素子
を上記のように構成するとき、障壁を形成する電極を、
例えば特公平5-8595 号公報等に公開されている技術に
もとづいて中央部と、この中央部から突出した複数の細
長い突出部を有するように配置すると、障壁形成接合部
に形成される空乏層は長い周辺長を有することとなり、
空乏層周辺の外側の領域で高エネルギーのγ線によって
発生した高いエネルギーで飛程の長い二次電子は空乏層
領域に侵入して検出されるが、低エネルギーのγ線によ
って発生した飛程の短い二次電子は空乏層領域に達する
ことができないので検出されないこととなり、線量当量
によるγ線被曝の計測において望まれる高エネルギーの
γ線に対する感度が上昇した半導体放射線検出素子を得
ることができる。
【0027】上記のように高エネルギーのγ線に対する
感度が上昇するように製作された表面障壁形の検出素子
の障壁形成電極直上に設ける核反応層5は、例えば、特
公平5-3550 号公報等に公開された技術にもとづいて、
核反応物質としてほう素(B)を用いる場合、10B を10
0%近くまで高濃度に選択濃縮したジボランガスを原料ガ
スとし、プラズマCVD法によって形成する。
【0028】ところで、上記の核反応層5を備えた半導
体中性子検出器の熱中性子に対する感度は、核反応層5
の量(厚さ)に依存することなるが、核反応物質として
ほう素(B)を用いる場合、上記のように10B を100%近
くまで高濃度に選択濃縮したジボランガスを原料ガスと
してプラズマCVD法によって核反応層5を形成する
と、膜厚20μm 程度で熱中性子に対する感度はγ線感度
に対比して十分高くなる。そこで、γ線と中性子線の線
量当量感度を等しくしようとする本発明の中性子γ線検
出素子においては、高濃度に10B を選択濃縮したジボラ
ンガスを原料ガスとして核反応層5における単位面積当
たりの熱中性子検出効率を高め、形成する核反応層5の
配設範囲を放射線有感部を形成する障壁を形成する電極
であるアルミ電極部の配設範囲より狭い範囲に設定して
熱中性子の検出感度とγ線の検出感度とが同等になるよ
うにする。
【0029】このように製作された中性子γ線検出素子
11を、その直上に図2に例示のように水素原子を高密度
に含有するポリエチレンなどを増感部材12として配置
し、基板13に載せられ15をリードピンとする増幅回路14
と共に封止容器16に充填部材17によって封止してγ線中
性子線検出器を構成すると、高エネルギーの中性子と衝
突して弾き飛ばされた水素原子核すなわち反跳陽子が、
検出素子11の放射線有感部で捉えられて高エネルギー領
域の中性子線感度が上昇するので、検出器の中性子感度
のエネルギー特性は図4の中性子フルエンスと1cm線量
当量の換算係数と中性子のエネルギーとの関係に近づ
く。
【0030】ところで、核反応層5の配設範囲と膜厚の
製作制御のみによって熱中性子とγ線の線量当量感度を
等しくすることは困難なので、請求項3の発明において
は、検出素子に印加する逆バイアス電圧によって空乏層
3の幅dが変動してγ線に対する感度が変動する現象を
を利用し、線量測定器において検出素子に印加する逆バ
イアスのバイアス電源4を出力可変式としておき、この
出力可変式バイアス電源4の電圧値を調整することによ
って、熱中性子感度にガンマ線の感度を合わせ込むよう
にする。なお、検出素子に印加する逆バイアス電圧を調
節して熱中性子感度にガンマ線の感度を合わせることを
可能とするためには、半導体放射線検出素子のダイオー
ド結晶の厚さが印加逆バイアス電圧の最大値における空
乏層の幅を超える厚さに設定されていることが必要であ
る。
【0031】
【発明の効果】本発明にもとづいて、熱中性子とγ線の
両方に同等の線量当量感度を有するように製作された半
導体放射線検出素子の直上に水素原子を高密度に含有す
る部材を高エネルギー中性子線に対する増感部材として
配置して構成したγ線中性子線検出器によれば、γ線検
出用と中性子線検出用の複数の検出器を搭載することな
く単一の検出器を搭載して簡素な構成で電子式個人被曝
線量計などの線量測定器を提供できるという効果が得ら
れる。そして、線量測定器において検出器に印加する逆
バイアス電圧を本発明によって可変としておくと、この
逆バイアス電圧の調節によって半導体放射線検出素子の
製作過程で生じる熱中性子とγ線に対する線量当量感度
のばらつきを修正して等価となるように設定できるの
で、複雑な補正回路等を設ける必要がなく、小型・軽量
の電子式個人被曝線量計を提供できるという効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体放射線検出素子の一実施例
の概略断面図
【図2】本発明による半導体放射線検出器の一実施例の
概略断面図
【図3】空気吸収線量と線量当量の換算係数のエネルギ
ー依存性を示す線図
【図4】中性子フルエンスと線量当量の換算係数のエネ
ルギー依存性を示す線図
【符号の説明】
1 P型シリコン半導体結晶 2a,2b アルミニュウム電極 3 空乏層 4 ボロン侵入層 5 核反応層 6 バイアス電源 7 結合コンデンサ 8 電荷増幅器 11 熱中性子γ線検出用半導体放射線検出器 12 高エネルギー中性子増感部材 13 基板 14 増幅回路 15 リードピン 16 封止容器 17 充填部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板の一表面部に設けられた障壁形
    成接合部に印加される逆バイアス電圧に応じて形成され
    る空乏層を放射線有感部とするダイオード構造の半導体
    放射線検出素子であって、この検出素子の障壁形成側電
    極配設領域の一部に熱中性子と核反応を起こして重荷電
    粒子を放出する10B または6Li からなる核反応層が形成
    され、前記半導体基板の厚さが印加逆バイアス電圧の最
    大値における空乏層の幅を超える厚さであることを特徴
    とする熱中性子とγ線検出用の半導体放射線検出素子。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の半導体放射線検出素子を
    備え、この検出素子の直上に水素原子を高密度に含有す
    る部材が高エネルギーの中性子線に対する増感部材とし
    て配置されたことを特徴とする中性子とγ線による線量
    当量測定用のγ線中性子線検出器。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のγ線熱中性子線検出器を
    備え、前記検出器に印加する逆バイアス電圧が熱中性子
    とγ線による線量当量に対する感度が等しくなる電圧値
    に設定されたことを特徴とする線量測定器。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100423570B1 (ko) * 2000-11-18 2004-03-19 박성근 중성자의 핵반응을 이용한 중성자 검출용 간극형 하전입자검출기
JP2004534257A (ja) * 2001-07-09 2004-11-11 ブンデスレプブリーク・ドイチュラント、フェアトレーテン・ドゥルヒ・ダス・ブンデスミンステリウム・フューア・ビルトシャフト・ウント・アルバイト、ディーセス・フェアトレーテン・ドゥルヒ・デン・プレズィデン 中性子/光子の混合された場で個人線量を測定するための方法及び装置
WO2010011859A3 (en) * 2008-07-24 2010-05-06 The Regents Of The University Of California Layered semiconductor neutron detectors
JP2019144172A (ja) * 2018-02-22 2019-08-29 株式会社東芝 放射線検出器

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