JP2001027246A - 転がり軸受 - Google Patents
転がり軸受Info
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Abstract
速回転時におけるスキッディング損傷の発生を防止でき
る転がり軸受の提供する。 【解決手段】内輪1と外輪2との間に複数の転動体が配
置される転がり軸受において、ピッチ円径をDm(m
m)、転動体直径をDa(mm)、円周方向に並ぶ転動体
3の個数をZ(個)としたときに、当該転動体3の個数
Zを、下記式を満足する値とした。 1.5 ≦ k ≦ 2.5 但し、k=(π・Dm)/(Z・Da)とする。
Description
トエンジン、ガスタービンなど、軽荷重で且つ高速で回
転する軸を有する機械装置における、上記軸を支承する
のに好適な転がり軸受に関する。ここで、上記軽荷重と
は、一般には、ラジカル荷重Pが、基本動定格荷重Cr
の0.05倍よりも小さい荷重となっていること、つま
り、P<0.05・Crの関係にあることをいう。
用する部位に用いられるものであり、逆に荷重が非常に
小さい状態で使用されると、転動体と軌道面との接触力
が不足して、両者の間に滑りが生じることがある。この
現象は特に高速回転時に著しくなり、最終的にスキッデ
ィングと呼ばれる損傷の発生に至ることがある。
受にほとんど荷重が加わらない場合には、上記スキッデ
ィング対策として、特別な配慮が必要であり、従来、例
えば次の様な設計を行っていた。 (1)ラジアル隙間を負に設定することにより、転動体
と軌道面との接触力を大きく設定する。この設定には、
軌道面形状は真円に保ちつつ、ラジアル隙間を全周に渡
って負とする方法と、主に外輪側の軌道面形状を非真円
(楕円、おむすび型等)にして、一部のラジアル隙間だ
けを負にする方法がある。
回転によって内輪外径にある保持器を牽引させて、保持
器の回転を促進することで転動体の相対滑りを低減す
る。 (3)保特器ポケットの数を転動体個数よりも多くし、
転動体を収容しないポケットを一つおきに設ける。
対策方法には、それぞれ以下のような課題が残されてい
る。すなわち、ラジアル隙間を負にする対策では、運転
時の温度上昇による熱膨張を見込んでラジアル隙間を設
定しなければならないが、実際の熱膨張量は軸受が使用
される機械装置や使用環境ごとに異なっており、また一
般に、温度上昇の見積りは困難である。更に、隙間の許
容範囲は狭くなり勝ちで、高精度の加工が要求される。
は、所定のトラクション力で保持器を引きずることによ
る、保特器案内面の損傷を新たに配慮する必要がある。
特に、高速で回転するほど問題となる。また、単に保特
器ポケットの数を転動体個数よりも多くするだけでは、
隣合う転動体の間隔によっては、ラジアル荷重負荷部に
おいて、内輪及び外輪の軌道面が変形し、振動増加の原
因となることが懸念される。特に、高速で回転するほど
問題となる。
のであり、高度で複雑な設計を行うことなく、軽荷重で
高速回転時におけるスキッディング損傷の発生を防止で
きる転がり軸受の提供を課題としている。
に、本発明の転がり軸受は、内輪と外輪との間に一列若
しくは復列に転動体が配置される転がり軸受において、
ピッチ円径をDm(mm)、転動体直径をDa(mm)、円
周方向に1列に並ぶ転動体の個数をZ(個)としたとき
に、上記ピッチ円径、転動体直径、及び転動体の個数
を、下記(1)式を満足する値としたことを特徴とする
ものである。
で、上記k値は、転がり軸受のピッチ円径での円周長さ
に対する、転動体以外が占める空間長さの割合を表す指
標である。転動体数を相対的に減らすほど、大きな値と
なる。また、k≒1とは総転動体形式の転がり軸受であ
ることを表す。
積データ及び理論解析から、図1に示すように、内輪
(駆動輪)と転動体との相対滑り速度をV(m/s)と
すると、相対滑り速度V=70(m/s)がスキッディ
ング損傷の発生限界値になっていることを確認してい
る。すなわち、相対滑り速度Vが70(m/s)より大
きくなっていると顕著にスキッディング損傷が発生す
る。
記k値を従来よりも大きくして転動体の個数を相対的に
減らすことで、潤滑油によるドラッグ力(攪拌抵抗力)
を軽減して転動体と駆動輪との間の相対滑り速度Vを小
さく抑えてスキッディング損傷を防止する。また、同時
に最大転動体荷重も大きくなることから、駆動輪と転動
体の摩擦力増加に起因した滑りの抑制効果も期特され
る。模式図である図2において、Faは最大転動体荷重
を、Fbはドラッグ力を表す。また、符号5は潤滑油を
表す。
相対的に減らしすぎると、転動体間の間隔が広くなるた
め、その分、内輪及び外輪の軌道面が、ラジアル負荷部
において弾性変形し易く、回転時には転動体通過振動増
加の原因となる。従って、転動体個数の下限(k値の上
限)は内輪振れ量との兼ね合いで決められるべきであ
る。本発明では、過去の実績に基づき、転動体通過振動
による内輪振れ量1μmを許容値としている。
に優れた転がり軸受となる、V≦70(m/s)で、且
つ内輪振れ量<1(μm)を満足する転動体の相対個数
となるように、上述のようにk値の範囲を設定した。す
なわち、転動体数が16個以下と少ない場合にはk値を
1.5以上に設定することで、V≦70(m/s)とな
ることを確認したので(後述の第1及び第2実施例を参
照)、k≧1.5とした。なお、転動体数が25個以上
と多い場合には、k≧1.9とすることが好ましい。
転動体数が多く転動体間の距離が小さくなって、軌道面
にある潤滑油のドラッグ力を受けて滑り易くなると共
に、転動体一個に負荷される転動体荷重も小さくなるた
め、相対滑り速度が大きくなると考えられる。一方、k
値が2.5を越えると、転動体間の距離が大きすぎて内
輪ぶれが大きく、つまり1μm以上の振れとなるため、
k値の最大値を2.5に設定した(後述の第1及び第2
実施例を参照)。
は、負荷圏では回転輪に駆動されて転がり、非負荷圏で
はその慣性で回転しながら再び負荷圏に突入する。荷重
が小さいと僅かの転動体しか負荷されなくなり、負荷圏
が狭く非負荷圏が広くなる。したがって、負荷圏で駆動
される時間に比べ、慣性で回る時間の割合が大きくな
る。
が、保特器が常に負荷圏の転動体と連動して回転するた
め、非負荷圏の転動体は、保特器に押されて公転すると
共に、保特器の柱と接触することで自転が減速する。こ
の結果、負荷圏に再突入するときに転動体の自転速度と
駆動輪の回転速度のバランスが崩れ、駆動輪と転動体の
間に滑りが発生する。さらに、回転速度が大きくなる
と、遠心力により転動体に対し外輪に押し付けられる力
が働き、外輪と転動体の摩擦力が大きくなるので、駆動
輪と転動体が滑り易くなる。このため、高速になるほど
スキッディングが発生しやすい。
体数を複雑な計算をすることなく特定することで、相対
滑り速度を抑えてスキッディング損傷を防止するもので
あるが、転動体及び軌道面の粗さを規定して相対滑りを
抑えることでスキッディング損傷を抑えることもでき
る。この場合には、内輪軌道面のrms 粗さをRi(μ
m)、外輪軌道面のrms 粗さをRo(μm)、転動体母
線上のrms 粗さをRr(μm)としたときに、下記両式
を満足するように転動体及び軌道面の粗さを規定するこ
とで、相対滑り速度を70(m/s)以下にできる(後
述の第3及び第4実施例参照)。
0.2
図面を参照しつつ説明する。本実施形態の転がり軸受
は、単列の円筒ころ軸受を例に挙げて説明する。図3
は、その円筒ころ軸受の断面図である。ピッチ円径Dm
(mm)、転動体直径Da(mm)、組み込むころ3の個数
Z(個)が下記式を満足するように、内輪1、外輪2、
及びころ3及び組み込むころ3の数Zを決定する。符号
4は保持器を表す。
っている場合には、組み込むころ3の数を、上記(1)
及び(2)の式を満足する値に設定する。すなわち、上
記(2)式は、Z=(π・Dm)/(k・Da)と記載
できるので、(π・Dm)/(1.9・Da)〜(π・
Dm)/(2.5・Da)の範囲の整数値となるよう
に、ころ数Zを決定して組み込めばよい。
ジアル荷重が基本動定格荷重の0.05倍よりも小さな
軽荷重状態で高速回転、例えば10000rpm 以上で回
転しても、スキッディング損傷の発生が大幅に低減する
と共に内輪1の振れを1μm以下に抑えることができ
る。しかも、例えば転動体直径やピッチ円径に基づき、
簡単な計算で転動体数を特定するという簡単な設計で耐
スキッディング性能を向上させることができる。
示したが、復列であっても良いし、円錐ころなどの他の
形状のころを転動体として使用する場合にも適用でき
る。さらに、転動体として玉を使用する転がり軸受であ
っても、本発明は適用可能である。
径:φ120mm、外径:φ215mm、巾:40m
m、ころ数:16個)の円筒ころ軸受について、ラジア
ル荷重:50kgf、回転数:11000rpmで図4
の試験装置により回転試験を行ったところ、顕著にスキ
ッディング損傷を生じた。軸受性能理論解析を行ったと
ころ相対滑り速度Vの値は、スキッディング損傷発生の
限界値より大きい71.6(m/s)であった。
あり、ころ3の直径は24.0mmである。ここで、図4
の試験装置において、符号7は、ラジアル荷重を負荷す
るためのネジであり、ネジ7の位置を調整することでラ
ジアル負荷用板ばね8の撓み量を調整する。また、符号
9は試験軸(駆動軸)、符号10は支持軸受、符号11
は負荷軸受を表し、試験軸9の中央を負荷軸受11を介
して引き上げるようにしてラジアル荷重が負荷される。
符号12が試験軸受を表し、タービン油が潤滑油として
供給されている。また、符号13はセンサの設置位置を
表し、内輪1の振れや保持器4の回転数を検出してい
る。
転速度Viと保持器の公転速度Vcを求め、V=Vi−
Vcに代入して求める。内輪1の回転速度は、試験軸の
回転数と内輪1の溝寸法から計算で予め分かっている。
また、保持器の公転速度Vcは、実測した保持器の回転
数Ncから、下記式を使用することで求めることができ
る。
重、及び内輪1の回転数を一定に保持して、ころ数Zを
減少させていき、各個数での相対滑り速度V及び内輪1
のぶれ量を求めたところ、図5に示すような結果が得ら
れた。横軸はk値である。また、図中、9個などとは、
対応するころ数Zを表している。
以上好ましくは1.9以上とすることで、相対滑り速度
Vを70(m/s)より小さくすることができてスキッ
ディング損傷を抑えることができることが分かる。ま
た、図5から分かるように、k値を2.5以下に設定す
ることで内輪1の振れを0.1μm以下にできることが
分かる。
ろ軸受にあっては、ころ数Zを9個から14個、好まし
くは9個〜11個の範囲の個数に設定することで、軽荷
重且つ高速回転での使用であっても、内輪1の振れを抑
えつつスキッディング損傷を防止できることが分かる。 [第2実施例]ジェットエンジンの主軸などに使用され
る円筒ころ軸受(内径:φ111mm、外径:φ15
7.84mm、巾:20.5mm、ころ数:25個)
で、ラジアル荷重:16kgf、回転数:14800r
pmで上記と同じ試験装置(図4参照)により回転試験
を行ったところ、スキッディング損傷を顕著に生じた。
軸受性能理論解析を行ったところVの値は、スキッディ
ング損傷限界値より大きい72.6(m/s)であっ
た。
mmあり、ころ直径は11.0mmである。そこで、ころ数
Z以外の寸法諸元及びラジアル荷重、内輪1の回転数を
一定に保持した状態で、転動体の個数を減少させ、各こ
ろ数Zにおける相対滑り速度及び内輪1の振れ量(ころ
3通過振動)を求めたところ、図6に示す結果が得られ
た。横軸はk値である。
以下に設定することで相対滑り速度を70(m/s)よ
り小さくすることができることが分かる。一方、このこ
ろ軸受では、ころ数Zが比較的に多いので、試験を行っ
た13個以上の範囲では、内輪1の振れ量が1μm未満
となっている。従って、本実施例のころ軸受であって
も、k値を1.9〜2.5の範囲に設定することで、軽
荷重且つ高速回転での使用であっても、内輪1の振れを
抑えつつスキッディング損傷を防止できることが分か
る。
数Zは、本実施例の転がり軸受にあっては16個〜20
個となる。 [第3実施例]上記第1実施例と同じ転がり軸受(NU
224)及び同じ試験条件において、粗さ以外の寸法諸
元及びラジアル荷重、内輪1回転数を一定に保持した状
態で、内輪合成rms 粗さならびに外輪合成rms 粗さを様
々な条件で組み合わせて変更して、それぞれのVの値を
求めて、整理したところ、図7に示す結果を得た。な
お、ころ数は、標準設計仕様時の16個である。
2の軌道面のrms 粗さをRo(μm)、転動体母線上の
rms 粗さをRr(μm)とする。
0.2 となるように諸元値を設定することで、相対滑り速度V
を70(m/s)以下にできることが分かる。
と、√(Ro2 +Rr2 )> 0.5(μm)とする
と、外輪2の軌道面によるころ3を引きずるトラクショ
ン(牽引する力)が大きくなり、内輪1側つまりころ3
と内輪1の軌道面との間で滑りやすくなり、相対滑り速
度Vが70(m/s)を越えることとなると思われる。
なお、高速回転では、遠心力によって元々、内輪1側ト
ラクションよりも外輪2側トラクションの方が大きい。
したがって、√(Ro2 +Rr2 ) ≦ 0.5(μ
m)とすることで、外輪2側のトラクション条件が緩和
される。
(Ri2 +Rr2 )−0.2、つまり、外輪2側のトラ
クションに対して相対的に内輪1側のトラクションが近
づくように、内輪1側のトラクションを大きくすること
で、相対滑り速度が小さくなり、スキッディング損傷を
防止して寿命向上が図られる。「−0.2」は実験値で
ある。
+Rr2 )が0.9を越えると、粗さが大きすぎて、軽
荷重といえども、摩耗、振動が大きくなり、転動体の寿
命低下に繋がる。したがって、√(Ri2 +Rr2 )を
0.9以下、好ましくは0.7以下とするのが望まし
い。 [第4実施例]上記第2実施例と同じ転がり軸受(ジェ
ットエンジンの主軸などに使用される軸受)及び同じ試
験条件において、粗さ以外の寸法諸元及びラジアル荷
重、内輪1回転数を一定に保持した状態で、内輪合成rm
s 粗さならびに外輪合成rms 粗さを様々な条件で組み合
わせて変更して、それぞれのVの値を求めて、整理した
ところ、図8に示す結果を得た。なお、ころ数は25個
である。
あり、 √(Ro2 +Rr2 ) ≦ 0.5(μm)、 かつ、 √(Ro2 +Rr2 ) ≦ √(Ri2 +Rr2 )−
0.2 となるように諸元値を設定することで、相対滑り速度V
を70(m/s)未満にできることが分かる。
すると、例えば転動体の個数を簡単な条件に基づき調整
するだけで、軸受に特別な処理を施すことなく内輪の振
れを抑制しつつ耐スキッディング性能に優れた転がり軸
受を提供可能となるという効果がある。
る。
す断面図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 内輪と外輪との間に一列若しくは復列に
転動体が配置される転がり軸受において、ピッチ円径を
Dm(mm)、転動体直径をDa(mm)、円周方向に1列
に並ぶ転動体の個数をZ(個)としたときに、上記ピッ
チ円径、転動体直径、及び転動体の個数を、下記(1)
式を満足する値としたことを特徴とする転がり軸受。 1.5 ≦ k ≦ 2.5 ・・・(1) 但し、k=(π・Dm)/(Z・Da)とする。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20061699A JP2001027246A (ja) | 1999-07-14 | 1999-07-14 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20061699A JP2001027246A (ja) | 1999-07-14 | 1999-07-14 | 転がり軸受 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001027246A true JP2001027246A (ja) | 2001-01-30 |
JP2001027246A5 JP2001027246A5 (ja) | 2006-06-01 |
Family
ID=16427346
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20061699A Pending JP2001027246A (ja) | 1999-07-14 | 1999-07-14 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001027246A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011102647A (ja) * | 2011-02-22 | 2011-05-26 | Nsk Ltd | 転がり軸受、及びそれを用いた自動車用トランスミッション、モータ及びジェネレータ |
-
1999
- 1999-07-14 JP JP20061699A patent/JP2001027246A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011102647A (ja) * | 2011-02-22 | 2011-05-26 | Nsk Ltd | 転がり軸受、及びそれを用いた自動車用トランスミッション、モータ及びジェネレータ |
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