JP2001021521A - 導電性ダイヤモンド電極を用いた電気化学的分析方法 - Google Patents

導電性ダイヤモンド電極を用いた電気化学的分析方法

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JP2001021521A
JP2001021521A JP11195173A JP19517399A JP2001021521A JP 2001021521 A JP2001021521 A JP 2001021521A JP 11195173 A JP11195173 A JP 11195173A JP 19517399 A JP19517399 A JP 19517399A JP 2001021521 A JP2001021521 A JP 2001021521A
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Akira Fujishima
昭 藤嶋
Alexander Trick Donald
アレクサンダー トリック ドナルド
Manivanan Ayakano
マニヴァナン アヤカノ
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Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種被分析対象の分析を可能にすると共に、
高感度および高精度な電気化学的分析を短時間で容易に
行うことを可能にする。 【解決手段】 高濃度のボロンをドープして導電性を有
する多結晶のダイヤモンド電極を用い、その導電性ダイ
ヤモンド電極の表面と被分析対象の表面とを擦り合わせ
ることにより、前記導電性ダイヤモンド電極の表面に前
記被分析対象を付着させる。そして、前記導電性ダイヤ
モンド電極を電解液中に浸し、ディファレンシャルパル
ス・ボルタンメトリーにより、その導電性ダイヤモンド
電極の電位を負電位方向から正電位方向に電位ステップ
させ、前記電解液中に前記付着物質を溶出すると共に、
前記電位ステップに対する電流変化を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性ダイヤモン
ド電極を用いた電気化学的分析方法であり、例えば金
属,合金の分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気化学測定法は、金属工業,環境科
学,エネルギー化学,画像工学,電子工学,生物学,医
学等において広く用いられている。前記電気化学測定法
により溶液を分析するには、図12に示すような分析装
置(詳細を後述する)を用いて行うことができる。
【0003】図12は、溶液中に含まれた物質(例え
ば、金属)の分析に用いられる一般的な分析装置の概略
構成図である。図12において、符号1は測定容器を示
すものであり、その測定容器1内には被分析対象(例え
ば、金属イオン)を含んだ電解液1aが入っており、封
止部材1bにより封止される。符号2は作用電極、符号
3は対電極を示すものであり、それら作用電極2と対電
極3とが一定の距離を隔てて、前記測定容器1内の電解
液1a中に浸されるように設けられる。なお、前記作用
電極2には、例えばグラファイト電極,グラッシーカー
ボン電極,水銀電極(例えば、水銀薄膜で被覆された電
極,水銀滴を用いる電極)等が用いられる。前記対電極
3には、例えば白金やカーボンから成る電極が用いられ
る。
【0004】符号4はポテンシオスタットを示すもので
あり、そのポテンシオスタット4には前記作用電極2,
対電極3がそれぞれの配線2a,3aを介して接続され
る。また、前記ポテンシオスタット4には、ポテンシャ
ルスイーパー4a,レコーダ4bが接続される。符号5
は参照電極(基準電極)を示すものであり、キャピラリー
5aを介して前記作用電極2に電気的接続されると共
に、配線5bを介して前記ポテンシオスタット4に接続
される。なお、前記参照電極5には、飽和カロメル電極
(Saturated Calomel Electrode)等が用いられる。
【0005】符号6は、窒素ガス(N2)を前記対電極3
付近に供給するための供給管を示すものである。符号7
はスターラーを示すものであり、そのスターラー7によ
って前記測定容器1内の底部に位置する撹拌子7aを動
作させて、前記測定容器1内の電解液1aを撹拌する。
【0006】次に、図12に示した分析装置による金属
分析方法を説明する。まず、ポテンシオスタット4によ
り、作用電極2の電位を自然電極電位から負電位方向に
スイープし、電解液1a中の各金属イオンを前記作用電
極2表面に対し順次電着させて電着物質を形成する(還
元濃縮)。
【0007】その後、前記ポテンシオスタット4によ
り、前記作用電極2の電位を正電位方向にスイープし
て、前記電着物質を電解液1a中に酸化溶出(アノード
ストリッピング)する。前記電着物質中の各金属は、所
望の酸化電位でそれぞれ溶出することから、前記の各金
属を電解液1a中に溶出する際に、前記作用電極2の電
位変化に対する電流変化(電位に対するピーク電流)を所
望の走査速度で検出することにより、前記電解液1aの
分析を行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上示したように、図
12に示したような分析装置によれば、溶液における電
気化学的分析が可能となる。しかし、被分析対象が固形
状である場合、その被分析対象を電解液中に溶解してか
ら作用電極に電着させるため、手間が掛かってしまうと
共に前記被分析対象を著しく破壊してしまうなど、その
分析することができる被分析対象の範囲が限定されてし
まう。
【0009】本発明は、前記課題に基づいて成されたも
のであり、各種被分析対象を破壊せずに分析すると共
に、高感度および高精度な電気化学的分析を短時間で容
易に行うことを可能にした導電性ダイヤモンド電極を用
いた電気化学的分析方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題の解
決を図るために、第1発明は導電性を有し多結晶のダイ
ヤモンド電極を用いた電気化学的分析方法に関するもの
であり、まず導電性ダイヤモンド電極の表面と被分析対
象(固形状の被分析対象)の表面とを擦り合わせることに
より、前記導電性ダイヤモンド電極の表面に前記被分析
対象の一部(極めて少量)を付着させる。その後、前記導
電性ダイヤモンド電極を電解液中に浸し、その導電性ダ
イヤモンド電極の電位を負電位方向から正電位方向に変
化させることより、前記電解液中に前記付着物質を溶出
すると共に、前記電位変化に対する電流変化を検出して
行うことを特徴とする。
【0011】第2発明は、前記第1発明において、前記
導電性ダイヤモンド電極は、ボロン(高濃度のボロン)を
ドープした導電性ダイヤモンド電極であることを特徴と
する。
【0012】第3発明は、前記第1または第2発明にお
いて、前記導電性ダイヤモンド電極の電位をディファレ
ンシャルパルス・ボルタンメトリーにより電位ステップ
させて、前記付着物質を溶出したことを特徴とする。
【0013】第4発明は、前記第1乃至第3発明中の前
記被分析対象において、金属および合金であることを特
徴とする。
【0014】前記第1乃至4発明のように導電性を有す
るダイヤモンド電極によれば、広い電位窓,低いバック
グラウンド電流,高い化学的耐性を有するため、苛酷な
条件下(例えば、振幅の大きい電位パルスを用いた分析
条件)でも被分析対象の電気化学的分析を行うことがで
きる。また、極めて微量(ナノグラム程度)の被分析対象
(固形状の被分析対象)を物理的採取(擦り取り)するた
め、その被分析対象を破壊することなく分析を行うこと
が可能である。
【0015】前記導電性ダイヤモンド電極を用いる代わ
りに、例えばワックス処理されたグラファイト電極を用
い、そのグラファイト電極を被分析対象(例えば、比較
的軟らかい合金,鉱物,人口の無機質合成物)に擦り付
けて行う分析方法が考えられるが、そのグラファイト電
極の硬さおよび摩擦係数により、分析可能な被分析対象
の範囲が限定されてしまう。
【0016】一方、本発明においては、導電性ダイヤモ
ンド電極が極めて硬く微細結晶(1〜10μm程度)を構
成した多結晶であるため、実質的にあらゆる被分析対象
(例えば、あらゆる金属,合金,鉱物,合成物)を擦り取
ることができると共に、その被分析対象において高感度
および高精度の電気化学的分析を短時間(導電性ダイヤ
モンド電極表面に付着させてから1分未満)で容易に行
うことができる。
【0017】ゆえに、本発明における導電性ダイヤモン
ド電極を用いた分析方法によれば、あらゆる物質(例え
ば、非晶質の物質および低レベルの夾雑物)について、
その物質を破壊することなく、高精度および高感度な分
析を短時間で容易に行うことが可能であり、例えばX線
解析と比較して魅力的な分析方法である。
【0018】この分析方法は、環境汚染分野,金属抽出
技術分野,金属表面処理分野(例えば、メッキ処理され
た表面の分析),半導体分野,薬学分野,偽物識別分野
(例えば、偽貨幣の識別),岩石学分野,考古学分野(例
えば、骨董品の識別),農業分野を含む多種多様な分野
において利用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態におけ
る導電性ダイヤモンド電極を用いた電気化学的分析方法
を図面に基づいて説明する。
【0020】ダイヤモンドは、耐久性,耐腐食性(例え
ば、耐化学的腐食性)等の特徴を有する。ボロンをドー
プして成る多結晶の導電性ダイヤモンド電極は、導電性
を有すると共に低いバックグラウンド電流を有する。ま
た、導電性ダイヤモンド電極は、広い電位窓を有し(酸
化電位および還元電位が広い)種々の電気化学的活性物
質の検出に適している。
【0021】前記のように導電性を有する導電性ダイヤ
モンド電極は、例えば水素ガスが充満されたチャンバー
内に水素プラズマを予め生成し、そのチャンバー内にボ
ロン種が溶解されたアセトンとメタノールとの混合ガス
を導入すると共に炭素源を導入して、シリコン基板等の
導電性(または半導電性)基板上に気相成長させることに
より、作製することができる。
【0022】前記のように気相成長させて得られる導電
性ダイヤモンド電極は、1〜10μm程度の微細結晶を
構成した多結晶構造であるため、その導電性ダイヤモン
ド電極の表面は粗い(表面が凸凹)。しかも、ダイヤモン
ドは、極めて硬いことで知られている。
【0023】そのため、前記導電性ダイヤモンド電極を
被分析対象(固形状の被分析対象)に擦り付けることによ
り、その被分析対象の一部(極めて僅かな量;例えば、
ナノグラム程度)を前記導電性ダイヤモンド電極表面に
付着させることができる。また、前記導電性ダイヤモン
ド電極は極めて硬いため、あらゆる固形状の物質(ダイ
ヤモンド以外の固形状の物質)を擦り取ることができる
(高い擦り取り性)。
【0024】本実施の形態は、前記導電性ダイヤモンド
電極を用いて種々の物質の分析を行うことにより、種々
の被分析対象について高感度および高精度の電気化学的
分析を短時間で容易に行うことを検討したものである。
【0025】本実施の形態における導電性ダイヤモンド
電極は、成膜装置としてASTeX社製のマイクロ波C
VD成膜装置を用い、以下に示すようにマイクロ波プラ
ズマアシストCVD法により作製した。まず、前記導電
性基板としてシリコン基板(Si(100))を用い、その
シリコン基板表面をテクスチャー処理(例えば、0.5
μmのダイヤモンド粉により研磨)した後、前記シリコ
ン基板を成膜装置のホルダーに固定した。成膜用ソース
としては、アセトンとメタノールとの混合物(液体;混
合比は、体積比で9:1)を用い、その混合物に酸化ホ
ウ素(B23)をホウ素/炭素(B/C)比で104ppm
となる量を溶解したものを用いた。
【0026】そして、前記成膜用ソースは、その成膜用
ソースに対しキャリアガスとして純H2ガスを通してか
らチャンバー内に導入した。前記チャンバー内は、予め
別ラインから水素を流す(本実施の形態では532cc
/min)ことにより、所定圧力(本実施の形態では11
5Torr)となるように調整した。その後、前記チャ
ンバー内にて、2.45GHzのマイクロ波電力により
放電させ、その電力が5kWとなるように調整した。
【0027】前記電力が安定した後、前記成膜用ソース
にキャリアガスとして純H2ガス(本実施の形態では)を
流し、成膜速度1〜4μm/hで成膜を行った。そし
て、成膜時間を調整して、厚さ約30μmの膜(電極表
面の面積が1cm2未満)を得た。なお、本実施の形態に
おける成膜装置において、特に基板の加熱等の作業は行
わなかったが、その基板の温度は定常状態で約850〜
950℃であった。
【0028】前記のように作製した導電性ダイヤモンド
電極を用い、以下に示す第1〜第6実施例のように種々
の物質における分析(室温下の分析)を行った。
【0029】(第1実施例)第1実施例では、前記導電性
ダイヤモンド電極を用い、固形状の鉛(純度99%)の試
料S1について分析を行った。まず、前記試料S1に対
し前記導電性ダイヤモンド電極を手で簡易に2〜3回擦
り付けて、その試料S1の一部(極めて僅かな量)を前記
導電性ダイヤモンド電極表面に付着させた。その後、前
記導電性ダイヤモンド電極を図12に示したような分析
装置の作用電極として用いた。
【0030】そして、参照電極に対する導電性ダイヤモ
ンド電極の電位を、ディファレンシャルパルス・アノー
ドストリッピング・ボルタンメトリーにより、負電位方
向から正電位方向に走査速度20mV/sで電位ステッ
プさせて、前記導電性ダイヤモンド電極表面の付着物質
を電解液中に溶出すると共に、その電位ステップに対す
る電流変化を測定して、電位(参照電極に対する電位)に
対する電流特性(ディファレンシャルパルス・ボルタム
グラム)を得た。この電流特性からピーク電流、および
ピーク電流が発生した電位を読み取ることにより、前記
試料S1の分析を行った。
【0031】また、固形状の鉄(純度99%)を試料S2
として用い、前記試料S1と同様の分析条件により、前
記試料S2の一部(極めて僅かな量)を前記導電性ダイヤ
モンド電極表面に付着させてから電解液中に溶出して、
前記試料S2の分析を行った。
【0032】さらに、固形状の金(純度99.95%)を
試料S3として用い、前記試料S1と同様の分析条件に
より、前記試料S3の一部(極めて僅かな量)を前記導電
性ダイヤモンド電極表面に付着させてから電解液中に溶
出して、前記試料S3の分析を行った。
【0033】なお、前記電解液にはHClでpH1に調
整された0.1MのKCl溶液(分析試薬級の化学製品)
を用い、ポテンシオスタットには北斗電工製の製品(MOD
ELHZ 3000)を用いた。また、前記導電性ダイヤモンド電
極は、前記電解液中に浸される表面積が0.4cm2
なるように、図12に示す分析装置における作用電極の
位置に設置した。
【0034】前記試料S1〜S3における分析結果をそ
れぞれ図1〜図3の電位に対する電流特性図に示す。図
1に示すように、電位が−0.48Vの際に明確なピー
ク電流が得られ、前記試料S1が鉛から成ることを読み
取れる。また、図2に示すように、電位が0.8Vの際
に明確なピーク電流が得られ、前記試料S2が鉄から成
ることを読み取れる。さらに、図3に示すように、約
0.95Vの際に明確なピーク電流が得られ、前記試料
S3が金から成ることを読み取れる。
【0035】なお、図1に示した試料S1のピーク電流
幅(半値幅が0.1V以下)は、図2に示した試料S2の
ピーク電流幅(半値幅が0.3V以下)よりも広くなって
いるが、このようにピーク電流幅が異なった理由は、試
料S2の溶出と比較して試料S1の溶出が短い時間で行
われたからと思われる。また、前記導電性ダイヤモンド
電極表面における試料S2が付着された各微細結晶の間
の表面をSEM像によって観察したところ、その試料S
2が付着した量は極めて微量であった(ナノグラム程
度;図示省略)。
【0036】ゆえに、第1実施例により、導電性ダイヤ
モンド電極を用いて固形状の物質(例えば、鉛,鉄,金
等の金属)の分析が可能であることを確認できた。ま
た、例えば金のように比較的高い酸化電位を有する物質
においても、その物質の分析が可能であることを確認で
きた。
【0037】(第2実施例)あらゆる金属のうち例えば銅
を塩化物濃度(塩素イオン濃度)の高い電解液(例えば、
KCl溶液)中に酸化溶出する場合、Cu+が塩化物によ
り安定するため、以下の(1)〜(3)式に示す反応式によ
り複雑に酸化(銅の場合は3段階で酸化)される。
【0038】Cu0 → Cu+ …… (1) Cu+ → Cu2+ …… (2) Cu0 → Cu2+ …… (3) なお、銅を例えば塩化物が含まれていない硝酸溶液等の
電解液(あるいは、塩化物濃度が極めて薄い電解液)中に
酸化溶出する場合には、前記の(3)式に示す反応式によ
り酸化(1段階で酸化)が行われる。
【0039】そこで、第2実施例では、固形状の銅を試
料S4として用い、前記の第1実施例と同様の分析条件
により、前記試料S4の一部(極めて僅かな量)を前記導
電性ダイヤモンド電極表面に付着させてから電解液(塩
化物濃度が高い電解液)中に溶出して、前記試料S4の
分析を行い、その分析結果を図4の電位に対する電流特
性図に示した。図4に示すように、3つのピーク電流が
各々の電位にて生じ、前記試料S4が銅から成ることを
読み取れる。
【0040】ゆえに、第2実施例により、いくつかの段
階を経て酸化される可能性のある固形状の物質(銅など
の金属)においても、導電性ダイヤモンド電極を用いて
分析することが可能であることを確認できた。
【0041】(第3実施例)第3実施例では、銅と亜鉛か
ら成る真鍮合金(Nilaco;銅が65%、亜鉛が3
5%)を試料S5として用い、第1実施例と同様の分析
条件により、前記試料S5の一部(極めて僅かな量)を前
記導電性ダイヤモンド電極表面に付着させてから電解液
中に溶出して、前記試料S5の分析を行った。その分析
結果を図5の電位に対する電流特性図に示す。
【0042】図5に示すように、3つのピーク電流がそ
れぞれ電位−0.85V,−0.02V,0.42Vの
際に得られた。電位−0.85Vにおけるピーク電流
は、付着物質中の亜鉛が酸化(Zn/Zn+)されて生じ
たものと読み取れる。また、電位−0.02V,0.4
2Vにおけるピーク電流は、互いに近接した位置で生じ
ているが、それぞれ付着物質中の銅が酸化されて生じた
ものと読み取れる。このことから、前記試料S5は亜鉛
と銅から成ることを読み取れる。前記のように、銅にお
いて2つのピーク電流が生じた理由は、Cu+が塩化物
により安定するため、前記付着物質中の銅が2段階で酸
化(Cu0〜Cu+、およびCu+〜Cu2+)されたことが
考えられる。
【0043】ゆえに、第2実施例により、例えば真鍮合
金のように種々の金属を含んだ合金の場合においても、
導電性ダイヤモンド電極を用いて分析することが可能で
あり、合金中の各構成金属間の相互作用状態を調べるこ
とが可能であることを確認できた。また、例えば銅のよ
うに段階的に酸化される可能性のある金属を含んだ合金
の場合においても、分析が可能であることを確認でき
た。
【0044】(第4実施例)第4実施例では、亜鉛,カド
ミウム,鉛,アルミニウム,コバルト,ニッケル,銅,
クロムから成る金属を試料S6として用い、前記の第1
実施例と同様の分析条件により、前記試料S6の一部
(極めて僅かな量)を前記導電性ダイヤモンド電極表面に
付着させてから電解液中に溶出して、前記試料S6の分
析を行った。前記試料S6の分析結果を図6の電位に対
する電流特性図に示す。
【0045】図6に示すように、いくつかのピーク電流
が各々の電位にて生じていることを読み取ることができ
る。それらピーク電流が生じた際の各電位から、前記試
料S6中に亜鉛,カドミウム,鉛,アルミニウム,コバ
ルト,ニッケル,銅,クロムが含まれていることを確認
できた。
【0046】ゆえに、複数個の元素から成る金属におい
ても、導電性ダイヤモンド電極により分析が可能である
ことを確認できた。
【0047】(第5実施例)第5実施例では、外見が略銀
色の貨幣、すなわち白銅(銅750‰,ニッケル250
‰)から成る100円貨幣,500円貨幣を試料S7,
S8、キュープロニッケル(全体の8.33%がニッケ
ル)から成る25セント貨幣(Quarter)を試料S
9として用い、前記の第1実施例と同様の分析条件によ
り、前記試料S7〜S9の一部(極めて僅かな量)をそれ
ぞれ前記導電性ダイヤモンド電極表面に付着させてから
電解液中に溶出して、前記試料S7〜S9の分析を行っ
た。前記試料S7〜S9の分析結果をそれぞれ図7〜図
9の電位に対する電流特性図に示した。
【0048】図7,図8において、それぞれ同じピーク
電流が各々の電位で生じていることを読み取ることがで
き、前記100円貨幣と500円貨幣とが同じ組成から
成ることを確認できた。一方、図9においては、図7,
図8に示すものとは異なるピーク電流が各々の電位で生
じていることを読み取ることができる。この理由は、1
00円貨幣(および500円貨幣)と25セント貨幣とが
それぞれ異なる組成から成ると共に、その製造方法がそ
れぞれ異なるためと考えられる。
【0049】(第6実施例)第6実施例では、外見が略茶
色の貨幣、すなわち青銅(銅950‰,亜鉛30〜40
‰,すず10〜20‰)から成る10円貨幣を試料S1
0、銅メッキされた亜鉛ベースの1セント貨幣(Cen
t)を試料S11として用い、前記の第1実施例と同様
の分析条件により、前記試料S10,S11の一部(極
めて僅かな量)をそれぞれ前記導電性ダイヤモンド電極
表面に付着させてから電解液中に溶出して、前記試料S
10,S11の分析を行った。前記試料S10,S11
の分析結果をそれぞれ図10,図11の電位に対する電
流特性図に示した。
【0050】図10,図11において、それぞれ異なる
ピーク電流が各々の電位で生じていることが読み取れ
る。この理由は、1セント貨幣と10円貨幣とがそれぞ
れ異なる組成から成ると共に、その製造方法がそれぞれ
異なるためと考えられる。
【0051】ゆえに、前記の第5および第6実施例に示
したように、導電性ダイヤモンド電極を用いてあらゆる
貨幣の分析が可能であり、例えば偽貨幣の識別(偽物識
別分野)が可能であることを確認できた。
【0052】以上示したように、本実施の形態における
導電性ダイヤモンド電極を用いた電気化学的分析方法に
よれば、比較的表面粗さの大きい導電性ダイヤモンド電
極を被分析対象に擦り付け、その被分析対象の一部(極
めて僅かな量)を導電性ダイヤモンド電極表面に付着(微
量付着)させることにより、前記被分析対象を高精度お
よび高感度で容易に分析することが可能であることを確
認できた。また、被分析対象において、導電性ダイヤモ
ンド電極によって採取される量は極めて僅かであるため
(ナノグラム程度)、その被分析対象を殆ど破壊すること
なく分析(非破壊分析)を行うことができる。
【0053】なお、本実施の形態に示した導電性ダイヤ
モンド電極の形状は特に限定されるものではなく、被分
析対象を擦り取ることが可能な形状であれば、本実施の
形態に示したものと同様の作用,効果が得られることは
明らかである。
【0054】
【発明の効果】以上示したように本発明によれば、導電
性ダイヤモンド電極が極めて硬く微細結晶を構成した多
結晶であると共に、広い電位窓,低いバックグラウンド
電流,高い化学的耐性を有するため、被分析対象を破壊
する事なく極めて僅かな量を擦り取って、その被分析対
象について高精度および高感度な電気化学的分析を短時
間で容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における鉛(試料S1)の電位に対す
る電流特性図。
【図2】第1実施例における鉄(試料S2)の電位に対す
る電流特性図。
【図3】第1実施例における金(試料S3)の電位に対す
る電流特性図。
【図4】第2実施例における銅(試料S4)の電位に対す
る電流特性図。
【図5】第3実施例における真鍮合金(試料S5)の電位
に対する電流特性図。
【図6】第4実施例における複数個の元素から成る金属
(試料S6)の電位に対する電流特性図。
【図7】第5実施例における100円貨幣(試料S7)の
電位に対する電流特性図。
【図8】第5実施例における500円貨幣(試料S8)の
電位に対する電流特性図。
【図9】第5実施例における25セント貨幣(試料S9)
の電位に対する電流特性図。
【図10】第6実施例における10円貨幣(試料S10)
の電位に対する電流特性図。
【図11】第6実施例における1セント貨幣(試料S1
1)の電位に対する電流特性図。
【図12】一般的に知れれている金属分析装置の概略構
成図。
【符号の説明】
1…測定容器 2…作用電極 3…対電極 4…ポテンシオスタット 5…参照電極 6…供給管 7…スターラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アヤカノ マニヴァナン アメリカ合衆国,ウェストヴァージニア, モーガンタウン,ローリングウッド スト リート 568 Fターム(参考) 2G055 AA02 AA05 BA01 CA07 CA12 CA20 DA08 EA10 FA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性ダイヤモンド電極の表面と被分析
    対象の表面とを擦り合わせることにより、前記導電性ダ
    イヤモンド電極の表面に被分析対象の一部を付着させた
    後、 前記導電性ダイヤモンド電極を電解液中に浸し、その導
    電性ダイヤモンド電極の電位を負電位方向から正電位方
    向に変化させることより、前記電解液中に前記付着物質
    を溶出すると共に、前記電位変化に対する電流変化を検
    出して、前記被分析対象を分析することを特徴とする導
    電性ダイヤモンド電極を用いた電気化学的分析方法。
  2. 【請求項2】 前記導電性ダイヤモンド電極は、ボロン
    をドープした導電性ダイヤモンド電極であることを特徴
    とする請求項1記載の導電性ダイヤモンド電極を用いた
    電気化学的分析方法。
  3. 【請求項3】 前記導電性ダイヤモンド電極の電位をデ
    ィファレンシャルパルス・ボルタンメトリーにより電位
    ステップさせて、前記付着物質を溶出したことを特徴と
    する請求項1または2記載の導電性ダイヤモンド電極を
    用いた電気化学的分析方法。
  4. 【請求項4】 前記被分析対象は、金属または合金であ
    ることを特徴とする請求項1乃至3記載の導電性ダイヤ
    モンド電極を用いた電気化学的分析方法。
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