JP2001021159A - 建造物の冷暖房構造及びこれを用いる冷暖房方法、並びに建造物の冷暖房構造の施工方法 - Google Patents

建造物の冷暖房構造及びこれを用いる冷暖房方法、並びに建造物の冷暖房構造の施工方法

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JP2001021159A
JP2001021159A JP11193644A JP19364499A JP2001021159A JP 2001021159 A JP2001021159 A JP 2001021159A JP 11193644 A JP11193644 A JP 11193644A JP 19364499 A JP19364499 A JP 19364499A JP 2001021159 A JP2001021159 A JP 2001021159A
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Tomomichi Yasuzawa
知通 安澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱伝達効率を高めて室内の温度を均一かつ効
果的に調整することができ、メンテナンス性、耐久性と
経済性に優れた建造物の冷暖房構造及びこれを用いる冷
暖房方法、並びに建造物の冷暖房構造の施工方法を提供
する。 【解決手段】 建造物の床面又は側壁面となる表面を有
するパネル板2、3と、パネル板2、3の裏面側に着脱
可能に配置され可撓性シートからなる複数の扁平な袋状
物5と、袋状物5の端部又は所定箇所に形成され熱媒と
なる液体を流通させる流通孔6と、流通孔6を介して連
結される袋状物5に液体を循環させる循環手段と、袋状
物5内の下面から上面に渡って1乃至複数箇所もしくは
全面に配置され内部に毛細管構造を有する充填物5a
と、及び/又は、熱媒となる液体に界面活性剤を注入す
る注入装置13とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技衝分野】本発明は一般住宅、事務所、
研究室、工場、店舗等の建造物に使用され、建造物内を
所定温度に維持させ快適な環境を提供することのできる
建造物の冷暖房構造及びその冷暖房方法並びにその冷暖
房構造の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】床暖房システムは、温度の低くなり易い
足元の部分を快適に暖めることができ、しかも効率的に
部屋全体を暖房することのできる省エネルギー効果の高
いシステムである。ここで使用される従来の冷暖房構造
は、床下に配置された電気ヒータや温水を用いて床や壁
を暖める形式のものや、床下に断熱材を配置して断熱性
を付加するようにしたもの等である。例えば、特開平7
−42960号公報には、潜熱蓄熱体と顕熱蓄熱剤とを
収納した可撓性袋体を筒状容器の内部に配置して、この
筒状容器からの放熱によって床の暖房を行う方法が示さ
れている。特開平7−42391号公報には、表面にア
ルミニウムを蒸着し、復元防止体付逆止弁を具備し、か
つ接合帯を有する無通気性袋断熱材としてを床下等に配
置する方法が示されている。
【0003】特開平8−86450号公報には、表面側
がアルミニウム箔により被覆されている軟質の床暖房マ
ットを、アルミニウム箔が上面となるように建造物の床
基台に敷設し、床暖房マットの上下面にポリプロピレン
繊維製の不織布を配置した断熱材を用いる例が示されて
いる。また、特開平6−323554号公報には、表層
床材と下層床材との間の間隙層を区切って複数の空間部
を形成し、それぞれの空間部へ水を充填した容器を収納
すると共に、該容器の水を加熱する熱源をそれぞれ配設
した床暖房構造が示されている。特開平7−35377
号公報には、表層床材と下層床材との間の間隙層を支持
及び仕切りとなる根太で区切って複数の空間部を形成
し、それぞれの空間部へ水を充填した容器を収納し、そ
れぞれの容器を接続管で直列状あるいは並列状に接続し
て流水系を構成した床暖房構造が示されている。特開昭
54−152259号公報には、50℃以上の熱水に対
する耐久性を有するゴム又は合成プラスチックのシート
を袋状体として、少なくとも1本以上の可撓性の配管を
介して熱水を流入せしめ、熱水圧を100kg/m2
上とすることにより、伝熱面と接触させて熱伝達を行わ
せしめた低熱流伝熱方法が記載されている。特開平10
−96277号公報には、床、壁構造等の表層材と下層
材との間に複数の空間部を形成し、それぞれの空間部に
水を保持する袋をそれぞれ内装させ、吸音性、吸振性及
び保温性を備えた建造物を施工する方法が示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、住宅等
に使用される前記従来の建造物の冷暖房構造等において
は、以下のような課題を有していた。即ち、 (1)特開平7−42960号公報に記載の筒状容器か
らの放熱あるいは吸熱によって床温度を調節する方法で
は、筒状容器と平面状の床材との接触が不十分であるた
めに有効な熱伝達を行うことが困難で、エネルギー効率
が低くなるという問題点があった。 (2)特開平7−42391号公報に記載の表面にアル
ミニウムを蒸着した無通気性袋を床下等に配置する方法
は断熱性のみに着目したものであり、積極的に室内の温
度を所定温度に調節することが困難であるという問題点
があった。 (3)特開平8−86450号公報に記載の床暖房マッ
トの上下面にポリプロピレン繊維製の不織布を配置する
方法は、遮音材としての効果は有するものの、室内の温
度を有効にコントロールし難いという問題点を有してい
た。
【0005】(4)特開平6−323554号公報に記
載の加熱水を充填した容器を介して床暖房を行うように
した床暖房構造は、固い容器を用いるので容器面と熱伝
達を行う床材面との間の密着性が不足して空隙を生じ易
く熱伝達係数が低くなるという欠点がある。また、容器
内に水を充満させた状態で大量の加熱水を循環させるの
で、水漏れを生じ易い上に、エネルギーコストが高く経
済的に運転状態を維持させるのが困難であるという問題
点があった。 (5)特開平7−35377号公報に記載の加熱水を充
填した容器を直列状あるいは並列状に接続して流水系を
構成させるようにした床暖房構造の場合では、大量の水
をこの流水系に流すことが必要であるために運転コスト
が高くなる。また、容器内での流動抵抗が少ないために
容器内での加熱水の滞留時間が短くなって熱効率が低下
するという問題があった。容器自体もこのような大量の
水の循環に耐えうる丈夫なものとせざるを得ず、さらに
寿命のきた容器を交換する場合には、周囲の構造を壊す
ような大がかりな工事が必要となり、メンテナンス性に
欠けるという問題点を有していた。 (6)特開昭54−152259号公報に記載のゴム又
は合成プラスチックのシートからなる袋状体に、100
kg/m2 以上の圧力の熱水を流入させて床面等との熱
伝達を行うようにした低熱流伝熱方法は、袋状体の内部
圧力が常時プラス圧となり、袋状体自体の強度も低いた
めに、熱水が漏れ易いという欠点があって、建造物等に
使用する材料として必要な耐久性が不足するという問題
点があった。さらに、袋状体には熱水が充満した状態で
使用されるので、このような重量の大きい袋状体を支持
ずるために必要以上に強度の大きい床構造としなければ
ならず、施工性に欠けるという問題点を有していた。 (7)特開平10−96277号公報に記載の水を保持
する可撓性の袋を建造物の冷暖房構造に内装させ、吸音
性、吸振性及び保温性を備えた建造物を施工する方法で
は、建造物の断熱性を維持させることはできるが、外部
の温度変動に応じて積極的に建造物内部の温度をコント
ロールして適正範囲に維持させ難いという問題点を有し
ていた。 (8)熱媒として液体を使用するものは、系内に熱媒を
充満して熱媒を循環させるために正圧で運転するので、
系内でピンホールが発生するとここから熱媒が流出し、
冷暖房機能が果たせなくなると共に、建造物を傷め、か
つ系が一体化されたクローズドシステムなので、メンテ
ナンスが大掛かりになるという問題点を有していた。
【0006】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、伝熱面との熱伝達効率を高めて室内の温度を均一か
つ効果的に調整することができると共に、メンテナンス
が容易で耐久性、省エネルギー性及び改築時等に取替え
が容易な建造物の冷暖房構造を提供し、省エネルギー
性、冷暖房効果に優れ、かつ遮音性、耐震性にも優れた
建造物の冷暖房方法を提供し、構造が簡単でかつ媒体
(水)漏れがなく耐久性に優れると共に省エネルギーで
冷暖房効率の高い冷暖房構造の設置作業性や施工性に優
れた建造物の冷暖房構造の施工方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は以下の構成を有している。本発明の請求項1
に記載の建造物の冷暖房構造は、建造物の床面又は側壁
面となる表面を有するパネル板と、前記パネル板の裏面
側に着脱可能に配置され可撓性シートからなる複数の扁
平な袋状物と、前記袋状物の端部又は所定箇所に形成さ
れ熱媒となる液体を流通させる流通孔と、前記流通孔を
介して連結される前記袋状物に前記熱媒となる液体を循
環させる循環手段と、前記袋状物内の下面から上面に渡
って1乃至複数箇所もしくは全面に配置され内部に毛細
管構造を有する充填物と、及び/又は、前記熱媒となる
液体に界面活性剤を注入する注入装置とを有して構成さ
れている。これによって、以下の作用が得られる。即
ち、 (a)建造物の床、壁等の伝熱面と袋状物との間の密着
性を確保すると共に、袋状物の下部に溜まる液体を充填
物による毛細管現象を利用して上部に移動させ、上下方
向の熱移動を促進させることができる。こうしてパネル
板と袋状物との間の熱伝達効率を高め、室内等の温度を
均一かつ効果的に調整することができる。 (b)袋状物が可撓性シートからなるので、パネル板の
表裏面間に着脱可能に配置されると共に、着脱時には、
内部の液体を排出させることにより厚みを減少させ、パ
ネル板の裏面から容易に引き抜くことができる。即ち、
袋状物が抜き取り可能なので、周囲の構造に損傷を与え
ることなく袋状物の取り替えや設置ができ、50〜10
0年の長年月に渡る寿命が要求される床材に対応した建
造物の冷暖房構造とすることが可能である。 (c)従来の床冷暖房は内部結露や水漏れが見つけにく
く、同設備を設けた構築物の寿命を短くしたり、壊す可
能性があったが、生活者に迷惑をかけることなく床下等
からメンテナンス、チェックを適時行うことができる。 (d)袋状物内を循環させる液体に界面活性剤を注入す
る注入装置を備えた場合には、液体中に気泡を発生させ
ることが容易になり、気泡を含む液体の流動性を高め
て、全体のメンテナンス性と液体による熱伝導性をさら
に向上させることができる。
【0008】ここでパネル板を室内側の床材とする場合
には、フローリングや、ひのき、杉等の天然木材、大理
石板等の天然石材、テラゾー等の合成石板、Pタイル、
リノリューム等の合成樹脂製品が用いられ、この床材に
設ける袋状物の背面側に配置される裏側パネル板にはコ
ンクリートパネル、ヘーベル等の発泡コンクリート、セ
ラミック外装材、タイル、レンガ等が使用される。ま
た、パネル板を室内側の壁材とする場合には、ひのき、
杉等の天然木材、大理石板等の天然石材、テラゾー等の
合成石板、Pタイル、リノリューム等の合成樹脂製品が
用いられ、この袋状物の背面側に配置する裏側パネル板
にはコンクリートパネル、ヘーベル等の発泡コンクリー
ト、セラミック外装材、タイル、レンガ、ガラス板等が
使用できる。そして床用の裏側パネル材を冷暖房施工す
る場合は、根太間の大引き上等に配置され、壁等の場合
は間柱間に固定される。袋状の可撓性シートとしては、
軟質の合成樹脂製や合成ゴム製のものが用いられる。具
体的にはポリエチレン、リニアローデンシテイポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステ
ル、ポリエーテル等の合成樹脂を素材として、単独のも
の、もしくはこれらの積層体が好適に用いられる。合成
ゴムとしては、EPDM、EPM等の熱可塑性エラスト
マー、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウ
レタンゴム等が好適に用いられる。可撓性シートの袋状
物の内側部分は植毛加工を施したものを用いてもよい。
植毛部分に接する液体を、毛細管現象により植毛に沿っ
て効率的に拡散させ、熱伝達効率を高めることができ
る。この植毛の高さとしては、0.05〜0.5mmの
ものが用いられる。この理由は高さが0.05mmより
低いと前記拡散効果が少なく、逆に0.5mmを越える
と熱媒体の流動の抵抗を増加させるような弊害を生じる
からである。袋状物の形態としては、根太間や間柱間に
納まる幅を有していればよく、長さは1800〜720
0mmの範囲である。具体的には、幅が20〜900m
m、好ましくは300〜900mm、長さが500mm
〜7200mm、好ましくは1800〜3600mmの
ものが用いられる。幅が狭いときは根太間等に複数の袋
状物を配置して使用される。長さの短いものを連結する
ようにすると広狭に合わせて流通孔を連結するだけで液
体の流路を形成でき、汎用性に優れたものとすることが
できる。循環手段は、各流通孔をつなぐホースや循環ポ
ンプ等を有して構成される。
【0009】請求項2に記載の建造物の冷暖房構造は、
請求項1の発明において、前記循環手段が、前記袋状物
内を大気圧より低い負圧状態に維持させる減圧機を有し
た構成を備えている。これによって、請求項1で得られ
作用の他に次の作用が得られる。 (a)袋状物の内圧が大気圧より低いと熱媒の深さが浅
いので、静水圧が低くして水漏れを確実に防止できる。 (b)水圧が小さいので、袋状物には強度が低く安価な
素材を使用でき、耐久性と経済性に優れた建造物の冷暖
房構造とすることができる。 (c)袋状物内を負圧状態とし、かつ液面を下げ、これ
によって、液面上の空間における対流伝熱の比率を増加
させてパネル面と袋状物との間の熱伝達状態を向上させ
ることができる。
【0010】請求項3に記載の建造物の冷暖房構造は、
請求項1又は2の発明において、前記循環手段が、前記
袋状物に供給される前記液体に気泡を発生させる発泡装
置を備えた構成を有している。これによって、請求項1
又は2の作用の他に次の作用が得られる。 (a)液体を循環させる際の流動抵抗や、熱伝達係数を
適宜調節して、循環させる液体の撹拌効果や液体循環の
ための動力の軽減効果をさらに発揮させて、より経済的
かつ効率的にこれらのシステムを駆動できる。(b)気
泡が袋状物の内面に達し、この接触面での気泡を介した
液体の熱伝導によりパネル板を冷暖房することができ
る。即ち、気体の対流を利用した従来の非効率的な床冷
暖房とは異なり、このような気体の対流を減少させ、泡
の移動に伴う熱伝達の向上が図れる。
【0011】請求項4に記載の建造物の冷暖房構造は、
請求項1の発明において、前記袋状物の前記流通孔が前
記袋状物の上部内側に所定の空間を残こして厚み方向の
略中間位置に設けられ、及び/又は、前記袋状物内の前
記液体に流動拡散を付加する狭隘部が前記袋状物の長手
方向と直交状に1乃至複数形成されて構成されている。
これによって、請求項1の作用の他に次の作用を有す
る。即ち、 (a)袋状物の一端側から供給される液体が周囲と十分
に熱交換を行うことなく、他端側から一時に排出されて
しまうようなことがなく、熱伝導効率を向上させること
ができる。 (b)袋状物内に保持される液体の量を削減することが
でき、液体の撹拌効果や液体循環のための動力の軽減効
果をさらに発揮させることもできる。 (c)くびれ部等の狭隘部が形成されているので、地震
や台風等で建造物が揺れた際、熱媒となる液体が一度に
一方側に偏るのを防ぎ防振効果を得ることができる。
【0012】請求項5に記載の建造物の冷暖房構造は、
請求項1の発明において、前記袋状物内に配置される前
記充填物が、塊状の織布や不織布、連続気孔を有する発
泡樹脂、キャピラリー管を束にしたものの1以上からな
り、及び/又は、前記袋状物の内面側の前記可撓性シー
トに植毛部を備えた構成としている。これによって、請
求項1の作用の他に次の作用が得られる。即ち、 (a)液体の毛細管現象を利用して、袋状物の下部に溜
まる液体を上昇移動させて熱伝導効率を高めることが可
能になる。 (b)袋状物内が減圧された状態であっても、容易につ
ぶれるようなことがなく液体を移動させるのに必要な外
形を保持させることができる。 (c)植毛部を有している場合は、毛細管現象で上昇し
た液体を速やかに周囲に拡散させ熱伝導効率を向上させ
ることができる。
【0013】請求項6に記載の建造物の冷暖房構造は、
請求項1の発明において、前記袋状物の背面側に断熱シ
ート、及び/又は凹凸を有した支持板が配置され、前記
支持板と前記パネル板とに挟まれた前記袋状物内部の前
記凹凸の凸部に対応した位置に流通する液体又は気体の
流路を狭める狭隘部が形成されて構成されている。これ
によって、請求項1の作用に加えて、次の作用が得られ
る。即ち、 (a)袋状物の内部の液体又は気体の流れを抑制して滞
留時間を長くし、上下方向の熱伝導の効率を向上させる
ことができる。 (b)断熱シートを備えている場合は、床下や屋外に熱
が逃げるのを防止し、熱媒による熱伝導効率、熱伝達効
率を高め、省エネルギー性を向上させることができる。
【0014】請求項7に記載の建造物の冷暖房構造の冷
暖房方法は、建造物の床面又は側壁面となるパネル板の
内側に可撓性シートからなる扁平な袋状物を着脱可能に
配置し、該袋状物内に溜まる液体を上方向へ移動させる
毛細管構造を有する充填物を配置すると共に、前記袋状
物に熱媒となる液体を循環させ、前記袋状物内の前記液
体の上部に減圧された空気層を形成して前記建造物内の
温度を均一に維持させるように構成されている。これに
よって、以下のような作用を得ることができる。即ち、 (a)建造物の床、壁等の伝熱面と袋状物との間の熱伝
達効率を向上させることができる。 (b)周囲の構造に損傷を与えることなく袋状物を交
換、あるいは取り付けることを容易にして、床材の寿命
に対応した建造物の冷暖房構造の冷暖房方法を提供でき
る。請求項8に記載の建造物の冷暖房構造の冷暖房方法
は、請求項8の発明において、前記液体には、液体の発
泡を促進させる界面活性剤が含まれるように構成されて
いる。これによって、請求項8の作用の他に以下の作用
を得ることができる。即ち、熱伝達率を向上させること
ができ、しかも液体の流動性を高めて液体の循環に必要
なポンプ動力等のエネルギーを削減することも可能にな
る。
【0015】請求項9に記載の建造物の冷暖房構造の施
工方法は、a.建造物の根太間又は間柱間に、一端側に
形成されたガイドピンを有する裏側パネル板を前記ガイ
ドピンが屋内側になるように配置する工程と、b.前記
裏側パネル板の前記ガイドピン側に、一端部に紐状物が
固定された請求項1乃至6のいずれか1項に記載の袋状
物を複数拡げて配置する工程と、c.前記紐状物を前記
ガイドピンに掛け回し他端部を各前記袋状物の他端部に
配置する工程と、d.前記袋状物の各々の両端部の流通
孔を、他の前記袋状物の流通孔と連結して各前記袋状物
間を流れる液体が直列状もしくは並列状に流れるように
する工程と、e.前記袋状物の最上流側と最下流側の流
通孔を請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の循環手
段と連結する工程と、f.配置された前記袋状物の前面
に表側パネル板を配置する工程とを有して構成されてい
る。これによって、冷暖房に必要な袋状物をパネル板や
周囲の構造材を傷めることなく、容易に引き出して交換
することができ、長期にわたるメンテナンスコストを削
減して建造物の冷暖房構造の施工を経済的に行うことが
できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
図面を用いて説明する。 (実施の形態1)図1は実施の形態1の建造物の冷暖房
構造の模式断面図である。ここで、符号1は建造物の冷
暖房構造、2は住宅や工場等の建造物の床板等からなる
表側パネル板、3は根太間の大引きやコンクリート面に
配置された裏側パネル板、4は表側パネル板2と裏側パ
ネル板3との間に形成される空間、5は空間4に配置さ
れた内部に所定温度に調整された液体(熱媒)を流すた
めの袋状物、5aは袋状物5の内の下部から上部に渡っ
て配置される毛細管状の構造を形成させるための充填
物、6は袋状物5の端部に設けられた液体の流通孔、6
aは袋状物5と裏側パネル板3との間に配置された断熱
シート、7は液体を循環させるための循環ポンプ、8は
液体を加熱又は冷却するための温度制御装置である。な
お、本発明の循環手段は、袋状物5の流通孔6を互いに
連結する配管系、循環ポンプ7、及び温度制御装置8を
有する循環回路によって構成されている。
【0017】ここで、熱媒としての液体には水道水を用
いるが、温度が比較的安定した地下水、温泉水、工場の
ボイラー、クーラー、炉等から排出される加熱された冷
却水、あるいはガスを液化したもの等を用いることも可
能である。なお、液体自体の保有熱量が十分大きい場合
には、温度制御装置8を省略して、循環手段を構成して
もよい。袋状物5はポリエチレン、リニアローデンシテ
イポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポ
リエステル等の合成樹脂を素材とする厚みが0.05〜
2mm程度である可撓性のシートを適当な大きさに、例
えば幅20〜100mm、長さ300〜2000mm程
度に裁断し、このシートの端部を接着剤や熔着手段によ
り接合して袋状に形成して、内部に液体を保持できるよ
うにしたものである。また、袋状物5は、合成樹脂等を
原料として、押し出し成形法を適用したインフレーショ
ン法や、ロールを用いて加熱圧延するカレンダー法等に
より成形して、筒状体としたもの端部を封じて扁平な形
状の袋に仕上げることもできる。そして、このように作
成された袋状物5の端部の、その厚み方向の中間部に流
通孔6を取り付ける。これによって、流通孔6から液体
を供給した時に袋状物5内の液体の上部に空間が形成さ
れるようになり、液体の流動抵抗を少なくできると共
に、袋状物5の流通孔6の周囲に狭隘部となるくびれ部
を形成して、中の液体の流動をこの部分で規制し、熱交
換が十分行えるようにして、表側パネル板2へ向かう熱
の流れを調整することが可能になる。
【0018】なお、袋状物5内には、毛細管状の構造を
形成させるための多数の細管状組織の集合体からなる充
填物5aを袋状物5内の下部から上部に渡って配置し、
これを図1に示すように袋状物5内の複数箇所に渡って
設けている。これによって、袋状物5の底部に滞留する
液体を毛細管現象により袋状物5の上壁面に移動させる
ようにしている。このような液体の移動に伴う熱移動を
利用して、液体を介した熱伝導の効率をさらに向上させ
ることができる。充填物5aは、塊状の織布や不織布、
連続気孔を有する発泡樹脂、キャピラリー管を束にした
ものの1以上からなって、内部に毛細管構造を有したも
のであり、毛細管現象を利用して下部の液体を上部に移
動させることができる。ここで塊状の織布や不織布、発
泡樹脂は、束にしたものや、所定の厚みを有する発泡樹
脂を袋状物5の内部に複数個配置してもよく、又は袋状
物5の内側全体に配置してもよい。また、キャピラリー
管は合成樹脂製のものを束にして袋状物5の内側に適宜
間隔をおいて配置してもよい。この充填物5aの厚さ
は、袋状物5内の厚みと略同一に形成されている。但
し、袋状物5の内側に植毛部があるときは、この植毛分
程度薄くしてもよい。断熱シート6aは裏側パネル板3
と袋状物5間の伝熱を抑制して、袋状物5と表側パネル
板2との間の熱伝達を促進させるためのものであって、
例えば、発泡プラスチックや、無機もしくは有機繊維の
バルク等からなるシート状の素材を適用することができ
る。また、断熱シート6aは必要に応じて省略すること
も可能である。循環ポンプ7は、袋状物5を巡る循環回
路内を、熱媒となる液体が緩やかな流速、例えば、10
0〜2000g/分に相当する流速で循環できるように
するものであり、比較的少ない動力で経済的に稼働でき
るようになっている。従って、例えば太陽電池等をエネ
ルギー源として、他のエネルギーを要することなく循環
ポンプ7を動かすことも可能になっている。温度制御装
置8は、例えば冷却器や加熱器であって、内部に保持す
る温度センサーによって、その時点の温度を取得し、予
め設定した目標温度との差に応じて、循環させる液体の
加熱、冷却の操作ができるようになっている装置であ
る。
【0019】以上のように構成された実施の形態1の建
造物の冷暖房構造の冷暖房方法について図面を用いて説
明する。図2は根太間に袋状物を配置した状態を示す要
部斜視図である。符号9は表側パネル板2と裏側パネル
板3の間に介挿される支持体となる根太であり、この根
太9の部分をはさみ込むようにして扁平な袋状物5を並
べている。符号5bは幅の狭い袋状物であり、5cは内
部の長さ方向の中央で仕切り板5dで仕切られ、端部側
ので流通された幅広の袋状物である。各流通孔6をホー
ス9aで連結して、循環手段により図2の矢印で示す方
向に液体が各袋状物5を順次流れるようにしている。な
お、ここでは液体の流れが一系統からなるシステムを用
いて冷暖房を行う場合について示しているが、必要に応
じて、各袋状物間をそれぞれ別系統となる2以上のホー
ス系で連結して建造物の冷暖房を行うことも可能であ
る。このような液体の循環によって、表側パネル板2が
均一に加熱又は冷却され、快適な居住環境が維持される
ようになる。このとき、袋状物5の内側上部、即ち表側
パネル板2の面側には空気層となる空間が形成される。
そして、この空気層の介在により熱伝達しにくくなるデ
メリットを、液面を毛細管現象で床面近くに移動させて
熱伝達を促進させることでカバーすることができる。な
お、袋状物5b、5cを設置した後、内高さの1/2〜
5/6となるような量の水道水を循環ポンプ7に通じる
ホース9aから系内に注入した後、クローズ系に密封
し、循環ポンプ7や温度制御装置8を起動させる。
【0020】(実施の形態2)次に、実施の形態2の建
造物の冷暖房構造について説明する。図3は実施の形態
3の建造物の冷暖房構造を示す模式断面図である。な
お、前記実施の形態1と同様の機能を有するものについ
ては同一の符号を付してその詳しい説明を省略してい
る。図3において、符号10は実施の形態2における建
造物の冷暖房構造、11は袋状物5の内部に配置された
毛細管状の組織を有する繊維状体からなる充填物、12
は袋状物5内を循環させる液体中に泡を発生させるため
の発泡装置、13は界面活性剤を液体中に注入するため
の注入装置、14は袋状物5内及び循環回路内を所定圧
力にするための減圧機、15は循環させる液体から含ま
れる気体を分離するための気液分離装置、16は気液分
離装置で回収された気体を発泡装置12に導くための通
気管である。充填物11は、繊維状体のものの他に、合
成樹脂等からなる連通気孔を有する発泡体、不織布、網
状体、キャピラリーのような形態を有する管状体の束等
を用いることができる。このような充填物を介在させる
ことによって、袋状物5の内部に循環ポンプ7を含む循
環手段を介して液体を供給すると、液体が充填物11の
毛細管組織を介して液体上部の空間に移動し、上下方向
の熱移動を効果的に行うことができる。発泡装置12
は、例えば、微細小孔を先端に多数有するノズル等を介
して液体中に空気等のガスを吹き込むものや、超音波振
動を用いて液体中に溶け込んでいるガス成分を発泡させ
るもの、あるいは微細な孔を袋状物の表面に多数形成し
て、この孔を介して減圧された内部に外部から空気を導
入させるようなもの等が使用できる。ここでは、気液分
離装置15で分離された気体を通気管16を介して発泡
装置12に供給できるようにしており、これによって閉
じたシステムを形成させるようにしている。
【0021】注入装置13は、界面活性剤を液体中に注
入して、液体の発泡を促進させるための装置である。こ
こで使用する界面活性剤には、セッケン、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、脂肪族アルコール硫酸エステル塩等
の陰イオン界面活性剤、第1アミン誘導体、第4アンモ
ニウム塩等の陽イオン界面活性剤、カルボン酸型、硫酸
エステル型の両性界面活性剤、あるいはポリエチレンオ
キシド付加物、糖エステル等の非イオン界面活性剤が含
まれる。このような界面活性剤を液体中に注入すること
によって、袋状物5の中を移動させる液体の流動抵抗を
減少させると共に、泡を含む液体の伝熱抵抗を調整する
ことも可能になる。減圧機14は循環回路に設けられ、
袋状物の内部を減圧することのできる装置であり、例え
ば循環ポンプと気液分離装置との機能を有するような装
置を用いることもできる。そして、この減圧機14を用
いて、袋状物5内の圧力を大気圧より0.01〜1kg
f/cm2 低い圧力の範囲、好ましくは大気圧より0.
1〜0.2kgf/cm2 低い圧力の範囲に設定して、
袋状物5から液体が外に漏れだすのを効果的に防止する
ことができるようになっている。なお、ここで圧力が大
気圧を基準として−0.01kgf/cm2 より高くな
ると、液漏れの防止効果が少なくなり、−1kgf/c
2 より低くなると、この圧力を維持させるためのエネ
ルギーが増えると共に、袋状体の強度もこれに対応して
強くしなければならないので好ましくない。
【0022】以上のように構成されるた実施の形態2の
建造物の冷暖房構造10について、以下その動作を説明
する。 まず、建造物の冷暖房構造10の循環回路内に
液体を供給して、袋状物5内の液面上にその全体厚みに
対して約1/10〜1/5の空間が生じる程度に液体を
充填しておく。そして、循環手段の一部である循環ポン
プ7を作動させて、液体を袋状物5内に一方の流通孔6
を介して供給し、他方の流通孔6から排出させて液体の
循環を行わせる。同時に、発泡装置12、注入装置13
を用いて、循環する液体内に気泡を発生させると共に、
減圧機によって、袋状物5を含む循環回路内を所定の圧
力に維持させる。これによって、液体の循環回路からの
漏れを防止すると共、充填物11を介在させることで袋
状物5内の上下方向に液体の流れを形成して、袋状物5
とパネル板2との間の熱交換を効率化できる。
【0023】(実施の形態3)次に、実施の形態3の建
造物の冷暖房構造について説明する。図4は実施の形態
3の建造物の冷暖房構造を示す斜視図、図5(a)は実
施の形態3の側断面図、図5(b)は袋状物の取り付け
状態の説明図である。なお、前記実施の形態1と同様の
機能を有するものについては同一の符号を付してその詳
しい説明を省略する。符号20は建造物の冷暖房構造の
一例である壁構造、21は鉄骨等の柱、22は建造物の
外壁を構成する下地材、23、24は内部に図示しない
充填物11が保持された袋状物、25は袋状物23、2
4を吊るして固定するための上部固定部材、26はパネ
ル板の一例である室内側の壁面部材、27は袋状物2
3、24の上部を上部固定部材25に掛け回して、その
下端をひもやリード線等を用いて連結固定するための下
部固定部材、28は袋状物23、24の各側面部間を連
結して液体を流通させるための流通孔、29は袋状物2
3、24を吊るした状態で固定するためのリード線、2
9aは袋状物23,24の上端を把持するための把持部
材である。袋状物23、24は長尺の矩形状シートを2
枚重ねて各辺部を密封して袋状に形成させたようなもの
である。それぞれの袋状物23、24はその上端を把持
部材29a等に並べて巻きつけて、把持部材29aを介
してリード線29の端部が結ばれている。なお、把持部
材29aは下部固定部材27にリード線29を巻きつけ
た後は、取り外すようにしてもよい。そしてリード線2
9を上部固定部材25に掛け回して、リード線29を引
っ張って袋状物23、24を引き上げ、袋状物23、2
4をそれぞれ下地材22と壁面部材26との間の所定位
置に固定するようになっている。
【0024】次に、以上のように構成される建造物の冷
暖房構造20の冷暖房方法について説明する。まず、図
4、図5(a)、(b)に示すように、発泡装置12に
よって気泡を含ませた液体を、袋状物23に循環手段の
循環ポンプ7を用いて袋状物23の下部に設けられた流
通孔6を介して供給する。こうして袋状物23にその下
部の流通孔6から流入した液体は袋状物23の上部側面
に形成された流通孔28を介して、袋状物23に並べて
配置された袋状物24に供給される。そして、この気泡
を含む液体は、袋状物24下部の流通孔6から排出さ
れ、循環ポンプ7、温度制御装置8、気液分離装置15
等を経由して発泡装置12に戻るようになっている。な
お、袋状物23、24内には毛細管構造を形成させるた
めのここで図示しない充填物11が配置されているの
で、流通させる液体の一部を毛細管現象を利用して速や
かに移動させることができる。このように動作させるの
で、熱伝導効果をさらに高めることができるという優れ
た効果を奏することができる。また、図5(a)、
(b)に示すように袋状物23、24はその上部が上部
固定部材25に掛け回され、その下端部が下部固定部材
27にひもやリード線29を介して固定されているだけ
なので、袋状物23、24内の水を下部の流通孔6から
抜き取った後、ひもをほどいて、袋状物23、24の下
端を引っ張ることにより、簡単に固定位置から抜き取る
ことができる。逆に新しい袋状物を固定位置に挿入する
場合には、上部固定部材25に予めリード線29を掛け
回しておき、このリード線29の一端側を袋状物の端部
に結びつけて、リード線29の他端側を引くことによ
り、袋状物を所定の固定位置まで引き上げて、他端側を
下部固定部材27に縛り付けて固定する。
【0025】(実施の形態4)次に、実施の形態4の建
造物の冷暖房構造の施工方法について説明する。図6
(a)〜(c)は建造物の冷暖房構造の施工方法の説明
図である。図6において30は建造物の冷暖房構造、3
1、32は建造物の床、壁構造を構成する2枚のパネル
板(表側パネル板及び裏側パネル板に相当)、33はパ
ネル板31、32の間に介挿される袋状物、34は袋状
物33を取り付け位置に移動させるためのリード線、3
5はリード線34を掛け回すためのパネル板31、32
に固定配置されたガイドピンである。袋状物33は前記
袋状物5と同様の構成のものであって、その端部にはリ
ード線34の一端が取り付けられていおり、リード線3
4の他端をガイドピン35に掛け回して使用するように
なっている。リード線34は、合成繊維や金属からなる
釣り糸、ピアノ線等を用いることができるが、必要な強
度と可撓性、耐久性を有するものならばこれらのものに
限定されることなく使用可能である。以上のように構成
された実施の形態4の建造物の冷暖房構造30について
その施工方法を説明する。ここで、図6(a)は、袋状
物33が所定の取り付け位置に配置された状態を示して
いる。そして、図6(b)はガイドピン35に掛け回さ
れたリード線34の端部を手前に引くことにより、袋状
物33を取り付け位置に挿入するときの状態を示してい
る。また、図6(c)は袋状物33の端部を手前側に引
くことに、その取り付け位置から移動させる時の状態を
示している。このような袋状物33の取り付けは以下の
a〜fの工程で行われる。即ち、 a.建造物の根太間又は間柱間に、一端側に形成された
ガイドピン35を有する裏側パネル板31をガイドピン
35が屋内側になるように配置する。 b.裏側パネル板31のガイドピン35側に、一端部に
紐状物が固定された袋状物33を複数拡げて配置する。 c.紐状物をガイドピン35に掛け回し他端部を袋状物
33の他端部に配置する。 d.袋状物33の各々の両端部の流通孔を、他の図示し
ない袋状物の流通孔と連結して袋状物間を流れる液体が
直列状もしくは並列状に流れるようにする。 e.袋状物の最上流側と最下流側の流通孔を循環手段と
連結する。 f.配置された袋状物の前面に表側パネル板32を配置
して、取り付けを完了する。 このように、本発明の施工方法においては、簡単に袋状
物の出し入れができるので、裏側パネル板31、表側パ
ネル板31や周囲の構造材を傷つけることなく、建造物
の冷暖房構造30のメンテナンス作業や、袋状物の交換
等を行うことができる。従って、経済的であり、かつ
床、壁材をこわさず、壁に配置された袋状物のみを取り
替えることができるので、長期間使用できる壁構造を提
供でき、その冷暖房を安価に行うことができるという優
れた効果を発揮できる。
【0026】(実施の形態5)図7は建造物の冷暖房構
造の別の形態を示す実施の形態5の断面図である。ここ
で符号40は建造物の冷暖房構造、41はパネル板の一
例である室内側仕上げ板、42は液体の供給される袋状
体の上面、43は袋状物の下面、44は波形に凹凸が形
成された支持板、45は支持板44を支えるための支持
部材である。図8は支持板44の可能な変形例を示して
おり、図8(a)は平面状に形成されたものを、図8
(b)は波形の凹凸が形成されたものを、また図8
(c)は台形状、三角形状、直方体状(直シート状)及
び楕円形状の断面の凹凸を有するものの例をそれぞれ示
している。こうして、袋状物の背面側に凹凸を有した支
持板44が配置され、支持板44と室内側仕上げ板41
(パネル板)とに挟まれた袋状物内部の凹凸の凸部に対
応した位置に流通する液体又は気体の流路をその最大幅
に対して約1/5〜1/2の範囲に狭める狭隘部を形成
させることができる。この狭隘部によって、流通させる
液体の流れを制御して適正な伝熱状態を維持させること
も可能になる。このように、袋状物を支える支持板はこ
れらのものの中から、床、壁材として必要な熱伝熱特性
の程度に応じて選択し、快適な職住環境を提供できる建
造物の冷暖房構造とすることが可能である。また、支持
板44と袋状物との間に断熱シートを介在させ、支持板
44の下方からの熱の流れを遮断して、袋状物と室内側
仕上げ板41との間の熱交換をさらに容易にすることも
できる。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、以下のよ
うな優れた効果が得られる。
【0028】請求項1に記載の発明によれば、 (1)建造物の床、壁等の伝熱面と袋状物との間の密着
性を確保すると共に、袋状物の下部に溜まる液体を充填
物による毛細管現象を利用して上部に移動させ、上下方
向の熱移動を促進させることができる。こうしてパネル
板と袋状物との間の熱伝達率を高め、室内等の温度を均
一かつ効果的に調整することができる。 (2)袋状物が可撓性シートからなり、パネル板の表裏
面間に着脱可能に配置できるので、着脱時には、内部の
液体を排出させることにより厚みを減少させ、パネル板
の裏面から容易に引き抜くことができる。即ち、袋状物
が容易に抜き取り可能なので、周囲の構造に損傷を与え
ることなく袋状物の取り替えや設置ができ、50〜10
0年の長年月に渡る寿命が要求される床材に対応した建
造物の冷暖房構造とすることが可能である。 (3)界面活性剤を液体に注入する注入装置を備えた場
合、液体中に気泡を発生させることが容易になり、気泡
を含む液体の流動性を高めて、全体の熱伝導率をさらに
向上させることができる。請求項2に記載の発明によれ
ば、請求項1の効果に加え、 (1)袋状物の内圧が大気圧より低いと熱媒の深さが浅
いので、静水圧を低くして水漏れを確実に防止できる。 (2)水圧が小さいので、袋状物には強度が低く安価な
素材を使用でき、耐久性と経済性に優れた建造物の冷暖
房構造とすることができる。 (3)袋状物内を負圧状態とし、かつ液面を下げ、これ
によって、液面上の空間における対流伝熱の比率を増加
させてパネル面と袋状物との間の熱伝達状態を向上させ
ることができる。
【0029】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2の効果に加え、 (1)液体を循環させる際の流動抵抗や、熱伝達係数を
適宜調節して、循環させる液体の撹拌効果や液体循環の
ための動力の軽減効果をさらに発揮させて、より経済的
かつ効率的にこれらのシステムを駆動できる。(2)気
泡が袋状物の内面に達し、この接触面での気泡を介した
熱伝達により裏側パネル板を冷暖房することができる。
【0030】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
の効果に加え、 (1)袋状物の一端側から供給される液体が周囲と十分
に熱交換を行うことなく、他端側から一時に排出されて
しまうようなことがなく、熱伝導効率を向上させること
ができる。 (2)袋状物内に保持される液体の量を削減することが
でき、液体の撹拌効果や液体循環のための動力の軽減効
果をさらに発揮させることもできる。 (3)くびれ部等の狭隘部が形成されているので、地震
や台風等で建造物が揺れた際、熱媒となる液体が一度に
一方側に偏るのを防ぎ防振効果が得られる。請求項5に
記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、 (1)液体の毛細管現象を利用して、袋状物の下部に溜
まる液体を上昇移動させて熱伝導効率を高めることが可
能になる。 (2)袋状物内が減圧された状態であっても、容易につ
ぶれるようなことがなく液体を移動させるのに必要な外
形を保持させることができる。請求項6に記載の発明に
よれば、請求項1の効果に加え、 (1)袋状物の内部の液体又は気体の流れを抑制して滞
留時間を長くし、上下方向の熱伝導の効率を向上させる
ことができる。 (2)断熱シートを備えている場合は、床下や屋外に熱
が逃げるのを防止し、熱媒による熱伝達効率及び熱伝導
効率を高め、省エネルギー性をさらに向上させることが
できる。
【0031】請求項7に記載の発明によれば、 (1)建造物の床、壁等の伝熱面と袋状物との間の熱伝
導効率及び熱伝導効率を向上させることができる。
(2)周囲の構造に損傷を与えることなく袋状物を交
換、あるいは取り付けることを容易にして、床材の寿命
に対応した建造物の冷暖房構造の冷暖房方法を提供でき
る。請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に
加え、 (1)液体の流動を容易にして、これによる熱伝導効率
を向上させることができる。 (2)液体の流動性を高めて液体の循環に必要なポンプ
動力等のエネルギーを削減することも可能になる。 請
求項9に記載の発明によれば、冷暖房に必要な袋状物を
パネル板や周囲の構造材を傷めることなく、容易に引き
出して交換することができ、長期にわたるメンテナンス
コストを削減して建造物の冷暖房構造の施工を経済的に
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の建造物の冷暖房構造の
模式図
【図2】実施の形態1の建造物の冷暖房構造の斜視図
【図3】実施の形態2の建造物の冷暖房構造の模式図
【図4】実施の形態3の建造物の冷暖房構造の模式図
【図5】(a)実施の形態3の建造物の冷暖房構造の側
断面図(b)実施の形態3の建造物の冷暖房構造の説明
【図6】実施の形態4の建造物の冷暖房構造の施工方法
の模式図
【図7】実施の形態5の建造物の冷暖房構造の断面図
【図8】実施の形態5の建造物の冷暖房構造における支
持パネルの斜視図
【符号の説明】
1 建造物の冷暖房構造 2 表側パネル板(パネル板) 3 裏側パネル板 4 空間 5 袋状物 5a 充填物 5b 袋状物 5c 袋状物 5d 仕切り板 6 流通孔 6a 断熱シート 6b 流通孔 7 循環ポンプ 8 温度制御装置 9 根太 9a ホース 10 建造物の冷暖房構造 11 充填物 12 発泡装置 13 注入装置 14 減圧機 15 気液分離装置 16 通気管 20 壁構造 21 柱 22 下地材 23 袋状物 24 袋状物 25 上部固定部材 26 壁面部材(パネル板) 27 下部固定部材 28 流通孔 29 リード線 29a 把持部材 30 建造物の冷暖房構造 31 パネル板(表側パネル板) 32 パネル板(裏側パネル板) 33 袋状物 34 リード線 35 ガイドピン 40 建造物の冷暖房構造 41 室内側仕上げ板(表側パネル板) 42 袋状物の上面 43 袋状物の下面 44 支持板 45 支持部材

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】建造物の床面又は側壁面となる表面を有す
    るパネル板と、前記パネル板の裏面側に着脱可能に配置
    され可撓性シートからなる複数の扁平な袋状物と、前記
    袋状物の端部又は所定箇所に形成され熱媒となる液体を
    流通させる流通孔と、前記流通孔を介して連結される前
    記袋状物に前記熱媒となる液体を循環させる循環手段
    と、前記袋状物内の下面から上面に渡って1乃至複数箇
    所もしくは全面に配置され内部に毛細管構造を有する充
    填物と、及び/又は、前記熱媒となる液体に界面活性剤
    を注入する注入装置とを有することを特徴とする建造物
    の冷暖房構造。
  2. 【請求項2】前記循環手段が、前記袋状物内を大気圧よ
    り低い負圧状態に維持させる減圧機を有していることを
    特徴とする請求項1に記載の建造物の冷暖房構造。
  3. 【請求項3】前記循環手段が、前記袋状物に供給される
    前記液体に気泡を発生させる発泡装置を備えていること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の建造物の冷暖房構
    造。
  4. 【請求項4】前記袋状物の前記流通孔が前記袋状物の上
    部内側に所定の空間を残こして厚み方向の略中間位置に
    設けられ、及び/又は、前記袋状物内の前記液体に流動
    拡散を付加する狭隘部が前記袋状物の長手方向と直交状
    に1乃至複数形成されていることを特徴とする請求項1
    に記載の建造物の冷暖房構造。
  5. 【請求項5】前記袋状物内に配置される前記充填物が、
    塊状の織布や不織布、連続気孔を有する発泡樹脂、キャ
    ピラリー管を束にしたものの1以上からなり、及び/又
    は、前記袋状物の内面側の前記可撓性シートに植毛部を
    備えていることを特徴とする請求項1に記載の建造物の
    冷暖房構造。
  6. 【請求項6】前記袋状物の背面側に断熱シート、及び/
    又は凹凸を有した支持板が配置され、前記支持板と前記
    パネル板とに挟まれた前記袋状物内部の前記凹凸の凸部
    に対応した位置に流通する液体又は気体の流路を狭める
    狭隘部が形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の建造物の冷暖房構造。
  7. 【請求項7】建造物の床面又は側壁面となるパネル板の
    内側に可撓性シートからなる扁平な袋状物を着脱可能に
    配置し、該袋状物内に溜まる液体を上方向へ移動させる
    毛細管構造を有する充填物を配置すると共に、前記袋状
    物に熱媒となる液体を循環させ、前記袋状物内の前記液
    体の上部に減圧された空気層を形成して前記建造物内の
    温度を均一に維持させることを特徴とする建造物の冷暖
    房構造の冷暖房方法。
  8. 【請求項8】前記液体には、液体の発泡を促進させる界
    面活性剤が含まれていることを特徴とする請求項7に記
    載の建造物の冷暖房構造の冷暖房方法。
  9. 【請求項9】a.建造物の根太間又は間柱間に、一端側
    に形成されたガイドピンを有する裏側パネル板を前記ガ
    イドピンが屋内側になるように配置する工程と、 b.前記裏側パネル板の前記ガイドピン側に、一端部に
    紐状物が固定された請求項1乃至6のいずれか1項に記
    載の袋状物を複数拡げて配置する工程と、 c.前記紐状物を前記ガイドピンに掛け回し他端部を各
    前記袋状物の他端部に配置する工程と、 d.前記袋状物の各々の両端部の流通孔を、他の前記袋
    状物の流通孔と連結して各前記袋状物間を流れる液体が
    直列状もしくは並列状に流れるようにする工程と、 e.前記袋状物の最上流側と最下流側の流通孔を請求項
    1乃至4の内いずれか1項に記載の循環手段と連結する
    工程と、 f.配置された前記袋状物の前面に表側パネル板を配置
    する工程とを有することを特徴とする建造物の冷暖房構
    造の施工方法。
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