JP2001021010A - サイレントチェーンとスプロケットとの組合せによる動力伝動機構 - Google Patents

サイレントチェーンとスプロケットとの組合せによる動力伝動機構

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JP2001021010A
JP2001021010A JP11191858A JP19185899A JP2001021010A JP 2001021010 A JP2001021010 A JP 2001021010A JP 11191858 A JP11191858 A JP 11191858A JP 19185899 A JP19185899 A JP 19185899A JP 2001021010 A JP2001021010 A JP 2001021010A
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sprocket
pitch
silent chain
shaft side
drive shaft
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JP11191858A
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Makoto Kanehira
誠 金平
Kazumasa Matsuno
和正 松野
Masao Maruyama
正夫 丸山
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Tsubakimoto Chain Co
Original Assignee
Tsubakimoto Chain Co
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Publication date
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    • B60KARRANGEMENT OR MOUNTING OF PROPULSION UNITS OR OF TRANSMISSIONS IN VEHICLES; ARRANGEMENT OR MOUNTING OF PLURAL DIVERSE PRIME-MOVERS IN VEHICLES; AUXILIARY DRIVES FOR VEHICLES; INSTRUMENTATION OR DASHBOARDS FOR VEHICLES; ARRANGEMENTS IN CONNECTION WITH COOLING, AIR INTAKE, GAS EXHAUST OR FUEL SUPPLY OF PROPULSION UNITS IN VEHICLES
    • B60K17/00Arrangement or mounting of transmissions in vehicles
    • B60K17/34Arrangement or mounting of transmissions in vehicles for driving both front and rear wheels, e.g. four wheel drive vehicles
    • B60K17/344Arrangement or mounting of transmissions in vehicles for driving both front and rear wheels, e.g. four wheel drive vehicles having a transfer gear
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H55/00Elements with teeth or friction surfaces for conveying motion; Worms, pulleys or sheaves for gearing mechanisms
    • F16H55/02Toothed members; Worms
    • F16H55/30Chain-wheels
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/06Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members with chains
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16H55/00Elements with teeth or friction surfaces for conveying motion; Worms, pulleys or sheaves for gearing mechanisms
    • F16H55/02Toothed members; Worms
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    • F16H2055/306Chain-wheels with means providing resilience or vibration damping in chain sprocket wheels
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/0006Vibration-damping or noise reducing means specially adapted for gearings

Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝突音の低減、並びに、サイレントチェーン
及びスプロケットの摩耗の低減、共鳴音の低減をするこ
とができる動力伝動機構を提供すること。 【解決手段】 第1のサイレントチェーン18は、クラ
ンク軸10のスプロケット14の第1歯列36と第1の
カムスプロケット16に捲回され、第2のサイレントチ
ェーン19は、クランク軸10のスプロケット14の第
2の歯列38と第2のカムスプロケット17に捲回され
る。駆動軸側スプロケットの歯列36,38はピッチが
1/2ピッチずれるとともにランダムピッチで形成され
ている。一方、サイレントチェーン18は単一のピッチ
である。衝突音のばらつきはスプロケットのピッチのば
らつきによってのみ生じる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動軸及び従動軸
にスプロケットが設けられ、これらのスプロケットにサ
イレントチェーンが捲回された動力伝動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】サイレントチェーンとスプロケットとの
組合せによる動力伝動機構は、四輪駆動車のトランスフ
ァ、エンジンとトランスミッションとの間の動力伝動、
エンジンのカム軸駆動に広く用いられている。例えば、
トランスファにおける動力伝動機構では、トランスミッ
ションの出力軸とこの出力軸と平行な第2出力軸にそれ
ぞれスプロケットが設けられている。第2出力軸はフロ
ントアクスル又はリアアクスルに連結されている。これ
らのスプロケットにはサイレントチェーンが捲回され、
トランスミッションの出力軸である駆動軸から第2出力
軸である従動軸に動力が伝達される。上記動力伝動機構
における騒音として、主として、噛み込み時に生じる衝
突音と、周期的な衝突音に起因する共鳴音がある。騒音
対策として、既に多くの技術が提案されているが、さら
に強い低騒音化の要求がある。
【0003】特開平7−167232号公報には、エン
ジンのカム軸駆動に利用されるものであるが、共鳴音低
減を目的としてサイレントチェーンとスプロケットの組
合せに関する技術が記載されている。この公報に記載さ
れた技術は、1本の駆動軸に2列のスプロケットが隣接
配置され、2本の従動軸にそれぞれ1列のスプロケット
が配置され、駆動軸側の第1のスプロケットと第1の従
動軸のスプロケットに第1のサイレントチェーンが捲回
されるとともに、駆動軸側の第2のスプロケットと第2
の従動軸のスプロケットに第2のサイレントチェーンが
捲回されたものである。
【0004】駆動軸側の2列のスプロケットは、駆動軸
に対して互いに位相が異なっており、また、第1及び第
2のサイレントチェーンと駆動軸側の2列のスプロケッ
トとの噛み込みタイミングも両者のサイレントチェーン
の間で異なっていることから、この公報記載の技術は、
共鳴音の低減には一定の効果を奏するものである。ま
た、この公報記載の技術は、駆動軸側のスプロケットの
歯のピッチを不等にすることにより、及び、それぞれの
サイレントチェーンのピッチをランダムとすることよ
り、共鳴音を低減しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記動力伝
動機構では、スプロケット及びサイレントチェーンとも
ピッチが不規則に構成されており、そのため、サイレン
トチェーンを編成するリンクプレートを2種以上準備し
なければならない。サイレントチェーン自体、それが利
用されるトランスファやエンジン等により多種必要とさ
れるが、個々のサイレントチェーン毎にさらに2種以上
のリンクプレートを準備するとなると、リンクプレート
の金型コストを含め、リンクプレートの管理コスト及び
サイレントチェーンの組立コストが多大となる。
【0006】もう1つの重大な問題は、スプロケット及
びサイレントチェーンともピッチが不規則であると、サ
イレントチェーンがスプロケットに噛み込む際のタイミ
ングのばらつきが著しく大きくなることにある。例え
ば、スプロケットとサイレントチェーンのばらつきが互
いに相殺されると、共鳴音を低減する効果が期待できな
い。その一方で、スプロケットとサイレントチェーンの
ばらつきが加算されると、ピッチ差が大きくなりすぎ、
スプロケットの歯とサイレントチェーンの噛み合い面の
衝突音が大きくなるという問題、さらに、スプロケット
の歯とサイレントチェーンの噛み合い面の摩耗が進行し
やすいという問題を生じる。なお、自動車用エンジンの
カム軸駆動用に上記動力伝動機構を用いた場合、スプロ
ケットとサイレントチェーンのばらつきが加算されてピ
ッチ差が大きくなりすぎると、バルブタイミングにも影
響を及ぼし、エンジン出力の低下という深刻な問題も生
じる。
【0007】本発明の目的は、衝突音の低減、並びに、
サイレントチェーン及びスプロケットの摩耗にも考慮し
た上で、共鳴音を低減することができる動力伝動機構を
提供することである。本発明の他の目的は、共鳴音を低
減することができる経済的な動力伝動機構を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、駆動軸に設け
られたスプロケットと従動軸に設けられたスプロケット
との間にサイレントチェーンが捲回された動力伝動機構
において、前記駆動軸に実質的に同じピッチの第1のス
プロケットと第2のスプロケットが1/2ピッチの位相
差で設けられ、前記従動軸に前記第1の駆動軸側スプロ
ケットに対応する第1の従動軸側スプロケットと前記第
2の駆動軸側スプロケットに対応する第2の従動軸側ス
プロケットが設けられ、前記第1の駆動軸側スプロケッ
トと前記第1の従動軸側スプロケットに第1のサイレン
トチェーンが捲回されるとともに、前記第2の駆動軸側
スプロケットと前記第2の従動軸側スプロケットに第2
のサイレントチェーンが捲回され、前記第1の駆動軸側
スプロケット及び第2の駆動軸側スプロケットのそれぞ
れのピッチをランダムピッチとし、前記第1のサイレン
トチェーン及び第2のサイレントチェーンのピッチをそ
れぞれ単一ピッチとしたサイレントチェーンとスプロケ
ットとの組合せによる動力伝動機構により前記課題を解
決した。
【0009】本発明による動力伝動機構は、例えば、四
輪駆動車のトランスファやエンジンとトランスミッショ
ンとの間の動力伝動のように駆動軸及び従動軸がそれぞ
れ1つずつの2軸間の動力伝動、DOHCエンジンのよ
うに駆動軸が1つで従動軸が2つの3軸間の動力伝動に
利用される。また、後者の場合には、サイレントチェー
ンが総ての軸のスプロケットに捲回される場合や、サイ
レントチェーンが駆動軸のスプロケットと第1の従動軸
のスプロケットに捲回されるとともに駆動軸のスプロケ
ットと第2の従動軸のスプロケットに捲回される場合が
ある。
【0010】上記動力伝動機構においては、駆動軸が回
転すると、駆動軸側スプロケットから従動軸側スプロケ
ットに動力が伝動される。サイレントチェーンは、スプ
ロケットに噛み込む際に衝突音を生じるが、本発明で
は、少なくとも駆動軸側スプロケットが2列の歯列を有
し、それぞれの歯列が1/2ピッチの位相差で設けら
れ、それぞれの歯列に独立したサイレントチェーンが捲
回されているので、衝突音の騒音レベルが低くなり、隣
合うスプロケットとの間でサイレントチェーン同士で衝
突音が共鳴することもなく、騒音全体のレベルを抑える
ことができる。
【0011】その上で、駆動軸側スプロケットのピッチ
をランダムピッチとし、サイレントチェーンのピッチを
単一ピッチとすることにより、それぞれの駆動軸側スプ
ロケットとそれぞれのサイレントチェーンとの衝突音の
ばらつきは、駆動軸側スプロケットのピッチのばらつき
にのみ支配される。従って、サイレントチェーンのピッ
チのばらつきにより駆動軸側スプロケットのピッチのば
らつきが相殺されることもなく共鳴音を確実に低減する
ことができる。また、サイレントチェーンのピッチのば
らつきが駆動軸側スプロケットのばらつきに加算される
ことがないので、大きなピッチ変化による衝突音の増大
もなく、スプロケットの歯とサイレントチェーンの噛み
合い面の摩耗への影響も抑えることができる。そして、
ばらつきの加算による、駆動軸と従動軸の位相差変化も
少なくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】従動軸に実質的に同じピッチの第
1の従動軸側スプロケット及び第2の従動軸側スプロケ
ットが1/2ピッチの位相差で設けられ、第1のサイレ
ントチェーン及び第2のサイレントチェーンが並列して
駆動軸側スプロケットと従動軸側スプロケットに捲回さ
れている動力伝動機構によると、駆動軸側及び従動軸側
の両方でチェーン独自の多角形運動が第1のスプロケッ
トと第2のスプロケットとの間で相殺することができ
る。
【0013】サイレントチェーンの噛み合い面とスプロ
ケットの歯との衝突音は、駆動軸側スプロケットにおい
ても従動軸側スプロケットにおいても、それぞれのサイ
レントチェーンにおいて1/2ピッチ毎に生じる。駆動
力も第1のサイレントチェーンと第2のサイレントチェ
ーンにより分担されるので、個々の衝突音の騒音レベル
が著しく低くなり、動力伝動機構全体の騒音を低減する
ことができる。
【0014】なお、従動軸側スプロケットのピッチはラ
ンダムピッチであっても、単一のピッチであってもよ
い。このうち、従動軸側スプロケットのピッチも駆動軸
側スプロケットと同じように、ランダムピッチとするこ
と、ランダムピッチによる作用・効果が従動軸側スプロ
ケットにおいても発揮され、一層の騒音低減効果を期待
することができる。
【0015】駆動軸側スプロケット及び従動軸側スプロ
ケットのピッチをランダムピッチとする手段として、ス
プロケット歯の歯厚を基準となる歯面(スプロケットの
ピッチを単一とした場合の歯面)に平行で且つピッチ比
で0.5%〜2%薄く又は厚くすることが好ましい。
0.5%より小さくなると、ピッチのばらつきによる共
鳴音低減効果が殆どなく、2%を越えると、ピッチのば
らつきが大きくなり、衝突音の増大やスプロケットの歯
とサイレントチェーンの噛み合い面の摩耗の問題が生じ
る。なお、歯厚を薄くした歯又は歯厚を厚くした歯は、
全体の歯のうち、10〜50%とすることが好ましい。
【0016】駆動軸側スプロケットを2列配置したり、
従動軸側スプロケットを2列配置する場合、軸上に2つ
のスプロケットを並列に固着することが一般的である
が、1/2ピッチの位相差を確実に維持するとともに、
スプロケット同士の僅かな誤差によってそれぞれの歯列
のランダムピッチが消失して、周期的な衝突音を生じな
いように、本発明では、粉末金属を焼結することによ
り、単一の部材で2列の歯を備えたスプロケットが成形
されている。こうすることにより、切削や転造では加工
困難な2列の歯列のスプロケットを、1/2ピッチの位
相差で且つランダムピッチを維持させて成形することが
でき、所期の目的である共鳴音の低減を確実に図ること
ができる。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して本発明による動力伝動
機構の実施例を説明する。図1は、トランスミッション
T1及び減速機構付きパートタイム4WDのトランスフ
ァT2を示し、図2はトランスファT2において出力軸
から第2出力軸へ動力伝達するためのスプロケット及び
サイレントチェーンを示している。本発明の動力伝動機
構は、主として、トランスファに採用されるが、エンジ
ンとトランスミッションとの間の動力伝動機構やカム軸
駆動機構のように、サイレントチェーンとスプロケット
との組合せによる動力伝動機構であれば、他の用途にも
利用することができる。
【0018】トランスミッションの出力軸はトランスフ
ァの入力軸に連結され、遊星歯車による減速機構により
エンジン出力はローハイで出力される。トランスファの
出力軸はリアアクスルに直結されるとともに、クラッチ
のON・OFFにより、中間軸、スプロケット及びサイ
レントチェーンを介して、第2出力軸に動力が伝達され
る。駆動軸である中間軸10と従動軸である第2出力軸
12には、スプライン嵌合により、それぞれ、スプロケ
ット14,16が設けられている。スプロケット14,
16にはサイレントチェーン18,19が捲回される。
【0019】図3はサイレントチェーン18,19の正
面図、図4はサイレントチェーン18,19の平面図で
ある。サイレントチェーン18は、ガイドリンク列24
と間接リンク列26よりなる。ガイドリンク列24は、
スプロケットの側面によって案内されるガイドプレート
28と、スプロケット間で動力を伝動する1以上のリン
クプレート30よりなる。間接リンク列26は、スプロ
ケット間で動力を伝動する2以上のリンクプレート32
よりなる。ガイドプレート28には前後一対のピン孔が
形成されるとともに、リンクプレート30,32にも前
後一対のピン孔が形成されている。なお、ガイドリンク
列24のリンクプレート30と間接リンク列26のリン
クプレート32は同形であるが、厚みのみ異ならせても
よい。
【0020】そして、ピン孔に挿入される丸ピン又はロ
ッカージョイントピン34により、ガイドリンク列24
及び間接リンク列26が交互に連結され、サイレントチ
ェーン18が無端状に編成される。サイレントチェーン
18のリンクプレート30,32は、一対の噛み合い部
を有し、それぞれの噛み合い部は内側フランクと外側フ
ランクを有する。スプロケットの歯面とは、内側フラン
クの噛み合い面又は外側フランクの噛み合い面で接す
る。サイレントチェーン18のピッチは、1つのリンク
(ガイドリンク列又は間接リンク列)の1つの噛み合い
部における内側フランク又は外側フランクのスプロケッ
トとの噛み合い点と、隣合うリンクの対応する噛み合い
部における内側フランク又は外側フランクのスプロケッ
トとの噛み合い点で定められる。なお、種類によって
は、内側フランクにおいてスプロケットとの噛み合いを
開始し、外側フランクにスプロケットとの噛み合いを移
行するサイレントチェーンがあるが、この種のサイレン
トチェーンでは、内側フランク同士でピッチが定められ
る。本発明の動力伝動機構に用いられるサイレントチェ
ーン18は、製造誤差等を除いて前記ピッチが実質的に
同一であり、全長に亘って単一のピッチを有している。
【0021】図5はクランクスプロケットの一実施例の
断面図であり、図6はクランクスプロケットの他の実施
例の断面図である。クランクスプロケットは、いずれの
実施例においても、2列の歯列36,38を有する。図
5のクランクスプロケットは、第1のスプロケットと第
2のスプロケットがボス部40で一体となった構造であ
り、図6のクランクスプロケットは、第1のスプロケッ
ト14と第2のスプロケット15がボス部42で当接す
る構造である。
【0022】図7に示されるように、第1の歯列36と
第2の歯列38は、円周方向で1/2ピッチだけ位相を
異ならせてクランク軸に固定されている。そして、それ
ぞれの歯列36,38は、異なるピッチで歯が成形され
ている。ピッチを異ならせるため、図8に示されるよう
に、スプロケット14の歯は基準となる歯面(スプロケ
ットのピッチを単一とした場合の歯面)を、例えば、δ
だけ平行に薄くして歯面が成形されている。もっとも、
δだけ平行に厚くして歯面が成形されていてもよい。歯
厚が異なる歯は、歯数の10%〜50%とすることが好
ましい。なお、δはピッチ比0.5%〜2%の範囲であ
る。スプロケット16は、スプロケット14と同様に、
第1のスプロケットと第2のスプロケットが同軸上に固
定されており、スプロケット16は単一のピッチ又はラ
ンダムピッチで成形されている。上記スプロケット、特
に、2列の歯列36,38がボス部40で一体になった
スプロケット14は粉末金属を焼結して成形されてお
り、互いに1/2のピッチ差の位相差を維持した状態で
駆動軸10に固定することができる。
【0023】第1のサイレントチェーン18は、中間軸
10のスプロケット14の第1歯列36とスプロケット
16の第1の歯列に捲回され、第2のサイレントチェー
ン19は、中間軸10のスプロケット14の第2の歯列
38とスプロケット16の第2の歯列に捲回される。そ
れぞれのサイレントチェーン18,19は、軸方向から
見て、同じ軌道でそれぞれのスプロケットに並列に捲回
されている。図9は、スプロケット14の角速度ωs
を一定にした場合の、サイレントチェーン18,19の
走行速度Vcを示している。各歯列36,38の位相を
1/2ピッチずらして、それぞれの歯列36,38にサ
イレントチェーン18,19が並列に捲回されているの
で、A1B2,A2B2・・・のように、スプロケット
14の如何なる位相においても、速度変化が相殺され、
いわゆる多角形運動による速度むらを防止することがで
きる。さらに、それぞれの歯列36,38がランダムピ
ッチで成形されているので、サイレントチェーン18,
19とスプロケット14との周期的な噛み合いが、不規
則に乱れる。従って、衝突音のピーク値を抑えられた上
で、その衝突音の周期が不規則にずれる。また、サイレ
ントチェーン18,19のピッチを単一のピッチとする
ことにより、焼結金属で成形したスプロケット14のラ
ンダムピッチを衝突音の発生タイミングに正確に一致さ
せることができ、衝突音の不規則性がスプロケット側の
ランダムピッチにのみ依存することになり、これらが相
俟って騒音を著しく低減させることができる。
【0024】
【発明の効果】本発明では、駆動軸側スプロケットが2
列に形成され、それぞれの歯列が1/2ピッチずれると
ともにランダムピッチで形成され、このようなスプロケ
ットの歯列に単一ピッチのサイレントチェーンが独立し
て捲回されているので、個々のサイレントチェーンにお
ける衝突音のピーク値を低減する効果があることに加え
て、衝突音が不規則となって周期的な共鳴音の低減を図
ることができる。特に、本発明では、サイレントチェー
ンのピッチを単一として、駆動軸側スプロケットのピッ
チのみをランダムピッチとすることにより、衝突音のば
らつきはスプロケットのピッチのばらつきによってのみ
生じさせることができる。従って、サイレントチェーン
のピッチのばらつきにより駆動軸側スプロケットのピッ
チのばらつきが相殺されることがなく、共鳴音は確実に
低減される。また、サイレントチェーンのピッチのばら
つきが、スプロケットのピッチのばらつきに加算される
こともないので、大きなピッチ差の変化に起因する衝突
音のピーク値増大も抑えることができ、さらに、大きな
ピッチ差に起因するスプロケットの歯とサイレントチェ
ーンの噛み合い面の摩耗も抑えることができる。そし
て、スプロケットを加工するだけで、共鳴音の低減を図
ることができるので、サイレントチェーンのリンクプレ
ートを多品種取り揃える必要がなく、リンクプレートの
製造コスト、サイレントチェーンの組立コスト、部品の
管理コスト等を抑えて、低騒音の動力伝動機構を経済的
に得ることができる。
【0025】請求項2の発明では、駆動軸側スプロケッ
トと従動軸側スプロケットとに同じサイレントチェーン
が1/2ピッチの位相差で捲回されているので、駆動軸
側においても従動軸側においても、スプロケットの多角
形運動が相殺される。また、駆動力の分担による衝突音
のピーク値の低減効果と相俟って、動力伝動機構全体の
騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トランスミッション及び減速機構付きパート
タイム4WDのトランスファの模式図。
【図2】 トランスファの部分断面図。
【図3】 サイレントチェーンの一部を破断した正面
図。
【図4】 サイレントチェーンの一部断面を含む平面
図。
【図5】 本発明による動力伝動機構に用いられる駆動
軸側スプロケットのの断面図。
【図6】 本発明による動力伝動機構に用いられる他の
駆動軸側スプロケットの断面図。
【図7】 図4の駆動軸側スプロケットの正面図。
【図8】 二列のスプロケットのうち一列部分を拡大し
た正面図。
【図9】 駆動軸の角速度を一定にした状態におけるサ
イレントチェーンの走行速度を示すグラフ。
【符号の説明】
10 駆動軸 12 従動軸(カ
ム軸) 14,16 スプロケット 18,19 サイ
レントチェーン 24 ガイドリンク列 26 間接リンク
列 28 ガイドプレート 30,32 リン
クプレート 34 ロッカージョイントピン 36,38 歯列 40,42 ボス
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月13日(2000.7.1
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 サイレントチェーンとスプロケット
との組合せによる動力伝動機構
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動軸及び従動軸
にスプロケットが設けられ、これらのスプロケットにサ
イレントチェーンが捲回された動力伝動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】サイレントチェーンとスプロケットとの
組合せによる動力伝動機構は、四輪駆動車のトランスフ
ァ、エンジンとトランスミッションとの間の動力伝動、
エンジンのカム軸駆動に広く用いられている。例えば、
トランスファにおける動力伝動機構では、トランスミッ
ションの出力軸とこの出力軸と平行な第2出力軸にそれ
ぞれスプロケットが設けられている。第2出力軸はフロ
ントアクスル又はリアアクスルに連結されている。これ
らのスプロケットにはサイレントチェーンが捲回され、
トランスミッションの出力軸である駆動軸から第2出力
軸である従動軸に動力が伝達される。上記動力伝動機構
における騒音として、主として、噛み込み時に生じる衝
突音と、周期的な衝突音に起因する共鳴音がある。騒音
対策として、既に多くの技術が提案されているが、さら
に強い低騒音化の要求がある。
【0003】特開平7−167232号公報には、エン
ジンのカム軸駆動に利用されるものであるが、共鳴音低
減を目的としてサイレントチェーンとスプロケットの組
合せに関する技術が記載されている。この公報に記載さ
れた技術は、1本の駆動軸に2列のスプロケットが隣接
配置され、2本の従動軸にそれぞれ1列のスプロケット
が配置され、駆動軸側の第1のスプロケットと第1の従
動軸のスプロケットに第1のサイレントチェーンが捲回
されるとともに、駆動軸側の第2のスプロケットと第2
の従動軸のスプロケットに第2のサイレントチェーンが
捲回されたものである。
【0004】駆動軸側の2列のスプロケットは、駆動軸
に対して互いに位相が異なっており、また、第1及び第
2のサイレントチェーンと駆動軸側の2列のスプロケッ
トとの噛み込みタイミングも両者のサイレントチェーン
の間で異なっていることから、この公報記載の技術は、
共鳴音の低減には一定の効果を奏するものである。ま
た、この公報記載の技術は、駆動軸側のスプロケットの
歯のピッチを不等にすることにより、及び、それぞれの
サイレントチェーンのピッチをランダムとすることよ
り、共鳴音を低減しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記動力伝
動機構では、スプロケット及びサイレントチェーンとも
ピッチが不規則に構成されており、そのため、サイレン
トチェーンを編成するリンクプレートを2種以上準備し
なければならない。サイレントチェーン自体、それが利
用されるトランスファやエンジン等により多種必要とさ
れるが、個々のサイレントチェーン毎にさらに2種以上
のリンクプレートを準備するとなると、リンクプレート
の金型コストを含め、リンクプレートの管理コスト及び
サイレントチェーンの組立コストが多大となる。
【0006】もう1つの重大な問題は、スプロケット及
びサイレントチェーンともピッチが不規則であると、サ
イレントチェーンがスプロケットに噛み込む際のタイミ
ングのばらつきが著しく大きくなることにある。例え
ば、スプロケットとサイレントチェーンのばらつきが互
いに相殺されると、共鳴音を低減する効果が期待できな
い。その一方で、スプロケットとサイレントチェーンの
ばらつきが加算されると、ピッチ差が大きくなりすぎ、
スプロケットの歯とサイレントチェーンの噛み合い面の
衝突音が大きくなるという問題、さらに、スプロケット
の歯とサイレントチェーンの噛み合い面の摩耗が進行し
やすいという問題を生じる。なお、自動車用エンジンの
カム軸駆動用に上記動力伝動機構を用いた場合、スプロ
ケットとサイレントチェーンのばらつきが加算されてピ
ッチ差が大きくなりすぎると、バルブタイミングにも影
響を及ぼし、エンジン出力の低下という深刻な問題も生
じる。
【0007】本発明の目的は、衝突音のピーク値を低減
するとともにスプロケットの多角形運動を相殺すること
ができ、しかも、サイレントチェーンとスプロケットの
噛み合い面の摩耗を抑制して、周期的な共鳴音を低減す
ることができる動力伝動機構を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、駆動軸に設け
られたスプロケットと従動軸に設けられたスプロケット
との間に、同形のリンクプレートを編成したサイレント
チェーンが捲回された動力伝動機構において、前記駆動
軸に実質的に同じピッチの第1の駆動軸側スプロケット
と第2の駆動軸側スプロケットが円周方向に1/2ピッ
チの位相差で設けられ、前記従動軸に前記第1の駆動軸
側スプロケットに対応する第1の従動軸側スプロケット
と前記第2の駆動軸側スプロケットに対応する第2の従
動軸側スプロケットが設けられ、前記第1の駆動軸側ス
プロケットと前記第1の従動軸側スプロケットに第1の
サイレントチェーンが捲回されるとともに、前記第2の
駆動軸側スプロケットと前記第2の従動軸側スプロケッ
トに第2のサイレントチェーンが捲回され、前記第1の
駆動軸側スプロケット及び第2の駆動軸側スプロケット
のそれぞれのピッチをランダムピッチとし、前記第1の
サイレントチェーン及び第2のサイレントチェーンのピ
ッチをそれぞれ全長に亘って単一ピッチとしたサイレン
トチェーンとスプロケットとの組合せによる動力伝動機
構により前記課題を解決した。
【0009】本発明による動力伝動機構は、例えば、四
輪駆動車のトランスファやエンジンとトランスミッショ
ンとの間の動力伝動のように駆動軸及び従動軸がそれぞ
れ1つずつの2軸間の動力伝動、DOHCエンジンのよ
うに駆動軸が1つで従動軸が2つの3軸間の動力伝動に
利用される。また、後者の場合には、サイレントチェー
ンが総ての軸のスプロケットに捲回される場合や、サイ
レントチェーンが駆動軸のスプロケットと第1の従動軸
のスプロケットに捲回されるとともに駆動軸のスプロケ
ットと第2の従動軸のスプロケットに捲回される場合が
ある。
【0010】上記動力伝動機構においては、駆動軸が回
転すると、駆動軸側スプロケットから従動軸側スプロケ
ットに動力が伝動される。サイレントチェーンは、スプ
ロケットに噛み込む際に衝突音を生じるが、本発明で
は、少なくとも駆動軸側スプロケットが2列の歯列を有
し、それぞれの歯列が円周方向に1/2ピッチの位相差
で設けられ、それぞれの歯列に独立したサイレントチェ
ーンが捲回されているので、衝突音の騒音レベルが低く
なり、隣合うスプロケットとの間でサイレントチェーン
同士で衝突音が共鳴することもなく、騒音全体のレベル
を抑えることができる。
【0011】その上で、駆動軸側スプロケットのピッチ
をランダムピッチとし、サイレントチェーンのピッチを
全長に亘って単一ピッチとすることにより、それぞれの
駆動軸側スプロケットとそれぞれのサイレントチェーン
との衝突音のばらつきは、駆動軸側スプロケットのピッ
チのばらつきにのみ支配される。従って、サイレントチ
ェーンのピッチのばらつきにより駆動軸側スプロケット
のピッチのばらつきが相殺されることもなく共鳴音を確
実に低減することができる。また、サイレントチェーン
のピッチのばらつきが駆動軸側スプロケットのばらつき
に加算されることがないので、大きなピッチ変化による
衝突音の増大もなく、スプロケットの歯とサイレントチ
ェーンの噛み合い面の摩耗への影響も抑えることができ
る。そして、ばらつきの加算による、駆動軸と従動軸の
位相差変化も少なくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】従動軸に実質的に同じピッチの第
1の従動軸側スプロケット及び第2の従動軸側スプロケ
ットが円周方向に1/2ピッチの位相差で設けられ、第
1のサイレントチェーン及び第2のサイレントチェーン
が並列して駆動軸側スプロケットと従動軸側スプロケッ
トに捲回されている動力伝動機構によると、駆動軸側及
び従動軸側の両方でチェーン独自の多角形運動が第1の
スプロケットと第2のスプロケットとの間で相殺するこ
とができる。
【0013】サイレントチェーンの噛み合い面とスプロ
ケットの歯との衝突音は、第1および第2の駆動軸側ス
プロケットにおいても第1および第2の従動軸側スプロ
ケットにおいても、それぞれのサイレントチェーンにお
いて1/2ピッチ毎に生じる。駆動力も第1のサイレン
トチェーンと第2のサイレントチェーンにより分担され
るので、個々の衝突音の騒音レベルが著しく低くなり、
動力伝動機構全体の騒音を低減することができる。
【0014】なお、第1および第2の従動軸側スプロケ
ットのピッチはランダムピッチであっても、単一のピッ
チであってもよい。このうち、これらの従動軸側スプロ
ケットのピッチも駆動軸側スプロケットと同じように、
ランダムピッチとすると、ランダムピッチによる作用・
効果がこれらの従動軸側スプロケットにおいても発揮さ
れ、一層の騒音低減効果を期待することができる。
【0015】第1および第2の駆動軸側スプロケットと
第1および第2の従動軸側スプロケットのピッチをラン
ダムピッチとする手段として、スプロケット歯の歯厚を
基準となる歯面(スプロケットのピッチを単一とした場
合の歯面)に平行で且つピッチ比で0.5%〜2%薄く
又は厚くすることが好ましい。このピッチ比が、0.5
%より小さくなると、ピッチのばらつきによる共鳴音低
減効果が殆どなく、2%を越えると、ピッチのばらつき
が大きくなり、衝突音の増大やスプロケットの歯とサイ
レントチェーンの噛み合い面の摩耗の問題が生じる。な
お、歯厚を薄くした歯又は歯厚を厚くした歯は、全体の
歯のうち、10〜50%とすることが好ましい。
【0016】第1および第2の駆動軸側スプロケットを
2列配置したり、第1および第2の従動軸側スプロケッ
トを2列配置する場合、軸上に2つのスプロケットを並
列に固着することが一般的であるが、円周方向に1/2
ピッチの位相差を確実に維持するとともに、スプロケッ
ト同士の僅かな誤差によってそれぞれの歯列のランダム
ピッチが消失して、周期的な衝突音を生じないように、
本発明では、粉末金属を焼結することにより、単一の部
材で2列の歯を備えたスプロケットが成形されている。
こうすることにより、切削や転造では加工困難な2列の
歯列のスプロケットを、円周方向に1/2ピッチの位相
差で且つランダムピッチを維持させて成形することがで
き、所期の目的である共鳴音の低減を確実に図ることが
できる。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して本発明による動力伝動
機構の実施例を説明する。図1は、トランスミッション
T1及び減速機構付きパートタイム4WDのトランスフ
ァT2を示し、図2はトランスファT2において出力軸
から第2出力軸へ動力伝達するためのスプロケット及び
サイレントチェーンを示している。本発明の動力伝動機
構は、主として、トランスファに採用されるが、エンジ
ンとトランスミッションとの間の動力伝動機構やカム軸
駆動機構のように、サイレントチェーンとスプロケット
との組合せによる動力伝動機構であれば、他の用途にも
利用することができる。
【0018】トランスミッションの出力軸はトランスフ
ァの入力軸に連結され、遊星歯車による減速機構により
エンジン出力はローハイで出力される。トランスファの
出力軸はリアアクスルに直結されるとともに、クラッチ
のON・OFFにより、中間軸、スプロケット及びサイ
レントチェーンを介して、第2出力軸に動力が伝達され
る。駆動軸である中間軸10と従動軸である第2出力軸
12には、スプライン嵌合により、それぞれ、駆動軸側
スプロケット14,従動軸側スプロケット16が設けら
れている。駆動軸側スプロケット14,従動軸側スプロ
ケット16にはサイレントチェーン18,19が捲回さ
れる。
【0019】図3はサイレントチェーン18,19の正
面図、図4はサイレントチェーン18,19の平面図で
ある。サイレントチェーン18は、ガイドリンク列24
と間接リンク列26よりなる。ガイドリンク列24は、
スプロケットの側面によって案内されるガイドプレート
28と、スプロケット間で動力を伝動する1以上のリン
クプレート30よりなる。間接リンク列26は、スプロ
ケット間で動力を伝動する2以上のリンクプレート32
よりなる。ガイドプレート28には前後一対のピン孔が
形成されるとともに、リンクプレート30,32にも前
後一対のピン孔が形成されている。なお、ガイドリンク
列24のリンクプレート30と間接リンク列26のリン
クプレート32は同形であるが、厚みのみ異ならせても
よい。
【0020】そして、ピン孔に挿入される丸ピン又はロ
ッカージョイントピン34により、ガイドリンク列24
及び間接リンク列26が交互に連結され、サイレントチ
ェーン18が無端状に編成される。サイレントチェーン
18のリンクプレート30,32は、一対の噛み合い部
を有し、それぞれの噛み合い部は内側フランクと外側フ
ランクを有する。スプロケットの歯面とは、内側フラン
クの噛み合い面又は外側フランクの噛み合い面で接す
る。サイレントチェーン18のピッチは、1つのリンク
(ガイドリンク列又は間接リンク列)の1つの噛み合い
部における内側フランク又は外側フランクのスプロケッ
トとの噛み合い点と、隣合うリンクの対応する噛み合い
部における内側フランク又は外側フランクのスプロケッ
トとの噛み合い点で定められる。なお、種類によって
は、内側フランクにおいてスプロケットとの噛み合いを
開始し、外側フランクにスプロケットとの噛み合いを移
行するサイレントチェーンがあるが、この種のサイレン
トチェーンでは、内側フランク同士でピッチが定められ
る。本発明の動力伝動機構に用いられるサイレントチェ
ーン18は、製造誤差等を除いて前記ピッチが実質的に
同一であり、全長に亘って単一のピッチを有している。
【0021】図5は駆動軸側スプロケット、すなわち、
クランクスプロケットの一実施例の断面図であり、図6
はクランクスプロケットの他の実施例の断面図である。
クランクスプロケットは、いずれの実施例においても、
2列の歯列36,38を有する。図5のクランクスプロ
ケットは、第1のスプロケットと第2のスプロケットが
ボス部40で一体となった構造であり、図6のクランク
スプロケットは、第1の駆動軸側スプロケット14と第
2の駆動軸側スプロケット15がボス部42で当接する
構造である。
【0022】図7に示されるように、第1の歯列36と
第2の歯列38は、円周方向で1/2ピッチだけ位相を
異ならせてクランク軸に固定されている。そして、それ
ぞれの歯列36,38は、異なるピッチで歯が成形され
ている。ピッチを異ならせるため、図8に示されるよう
に、駆動軸側スプロケット14の歯は基準となる歯面
(スプロケットのピッチを単一とした場合の歯面)を、
例えば、δだけ平行に薄くして歯面が成形されている。
もっとも、δだけ平行に厚くして歯面が成形されていて
もよい。歯厚が異なる歯は、歯数の10%〜50%とす
ることが好ましい。なお、δはピッチ比0.5%〜2%
の範囲である。他方、従動軸側スプロケット16は、駆
動軸側スプロケット14と同様に、第1の従動軸側スプ
ロケットと第2の従動軸側スプロケットが同軸上に固定
されており、従動軸側スプロケット16は単一のピッチ
又はランダムピッチで成形されている。上記スプロケッ
ト、特に、2列の歯列36,38がボス部40で一体に
なった駆動軸側スプロケット14は粉末金属を焼結して
成形されており、互いに円周方向に1/2のピッチ差の
位相差を維持した状態で駆動軸である中間軸10に固定
することができる。
【0023】第1のサイレントチェーン18は、中間軸
10の駆動軸側スプロケット14の第1歯列36と従動
軸側スプロケット16の第1の歯列に捲回され、第2の
サイレントチェーン19は、中間軸10の駆動軸側スプ
ロケット14の第2の歯列38と従動軸側スプロケット
16の第2の歯列に捲回される。それぞれのサイレント
チェーン18,19は、軸方向から見て、同じ軌道でそ
れぞれのスプロケットに並列に捲回されている。図9
は、駆動軸側スプロケット14の角速度ωs を一定に
した場合の、第1のサイレントチェーン18と第2のサ
イレントチェーン19の走行速度Vcを示している。各
歯列36,38の位相を円周方向に1/2ピッチずらし
て、それぞれの歯列36,38に第1のサイレントチェ
ーン18と第2のサイレントチェーン19が並列に捲回
されているので、A1B2,A2B2・・・のように、
駆動軸側スプロケット14の如何なる位相においても、
速度変化が相殺され、いわゆる多角形運動による速度む
らを防止することができる。さらに、それぞれの歯列3
6,38がランダムピッチで成形されているので、第1
のサイレントチェーン18と第2のサイレントチェーン
19と駆動軸側スプロケット14との周期的な噛み合い
が、不規則に乱れる。従って、衝突音のピーク値を抑え
られた上で、その衝突音の周期が不規則にずれる。ま
た、第1のサイレントチェーン18と第2のサイレント
チェーン19のピッチを単一のピッチとすることによ
り、焼結金属で成形した駆動軸側スプロケット14のラ
ンダムピッチを衝突音の発生タイミングに正確に一致さ
せることができ、衝突音の不規則性がスプロケット側の
ランダムピッチにのみ依存することになり、これらが相
俟って騒音を著しく低減させることができる。
【0024】
【発明の効果】本発明では、第1及び第2の駆動軸側ス
プロケットが2列に形成され、それぞれの歯列が円周方
向に1/2ピッチずれるとともにランダムピッチで形成
され、このようなスプロケットの歯列に単一ピッチの第
1のサイレントチェーンと第2のサイレントチェーンが
独立して捲回されているので、個々のサイレントチェー
ンにおける衝突音のピーク値を低減する効果があること
に加えて、衝突音が不規則となって周期的な共鳴音の低
減を図ることができる。特に、本発明では、第1のサイ
レントチェーンと第2のサイレントチェーンのピッチを
単一として、駆動軸側スプロケットのピッチのみをラン
ダムピッチとすることにより、衝突音のばらつきは駆動
軸側スプロケットのピッチのばらつきによってのみ生じ
させることができる。従って、これらのサイレントチェ
ーンのピッチのばらつきにより駆動軸側スプロケットの
ピッチのばらつきが相殺されることがなく、共鳴音は確
実に低減される。また、第1のサイレントチェーンと第
2のサイレントチェーンのピッチのばらつきが、駆動軸
側スプロケットのピッチのばらつきに加算されることも
ないので、大きなピッチ差の変化に起因する衝突音のピ
ーク値増大も抑えることができ、さらに、大きなピッチ
差に起因する駆動軸側スプロケットの歯とサイレントチ
ェーンの噛み合い面の摩耗も抑えることができる。そし
て、駆動軸側スプロケットを加工するだけで、共鳴音の
低減を図ることができるので、第1のサイレントチェー
ンと第2のサイレントチェーンのリンクプレートを多品
種取り揃える必要がなく、リンクプレートの製造コス
ト、サイレントチェーンの組立コスト、部品の管理コス
ト等を抑えて、低騒音の動力伝動機構を経済的に得るこ
とができる。
【0025】請求項2の発明では、駆動軸側スプロケッ
トと従動軸側スプロケットとに同じ単一ピッチのサイレ
ントチェーンが円周方向に1/2ピッチの位相差で捲回
されているので、駆動軸側と従動軸側の双方において、
スプロケットの多角形運動が相殺される。また、駆動力
の分担による衝突音のピーク値の低減効果と相俟って、
動力伝動機構全体の騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トランスミッション及び減速機構付きパート
タイム4WDのトランスファの模式図。
【図2】 トランスファの部分断面図。
【図3】 サイレントチェーンの一部を破断した正面
図。
【図4】 サイレントチェーンの一部断面を含む平面
図。
【図5】 本発明による動力伝動機構に用いられる駆動
軸側スプロケットのの断面図。
【図6】 本発明による動力伝動機構に用いられる他の
駆動軸側スプロケットの断面図。
【図7】 図4の駆動軸側スプロケットの正面図。
【図8】 二列のスプロケットのうち一列部分を拡大し
た正面図。
【図9】 駆動軸の角速度を一定にした状態におけるサ
イレントチェーンの走行速度を示すグラフ。
【符号の説明】 10 駆動軸 12 従動軸(カム軸) 14,16 スプロケット 18,19 サイレントチェーン 24 ガイドリンク列 26 間接リンク列 28 ガイドプレート 30,32 リンクプレート 34 ロッカージョイントピン 36,38 歯列 40,42 ボス部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 正夫 大阪府大阪市鶴見区鶴見4丁目17番96号 株式会社椿本チエイン内 Fターム(参考) 3J049 AA08 AB01 BF01 BF03 CA02 CA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸に設けられたスプロケットと従動
    軸に設けられたスプロケットとの間にサイレントチェー
    ンが捲回された動力伝動機構において、 前記駆動軸に実質的に同じピッチの第1のスプロケット
    と第2のスプロケットが1/2ピッチの位相差で設けら
    れ、 前記従動軸に前記第1の駆動軸側スプロケットに対応す
    る第1の従動軸側スプロケットと前記第2の駆動軸側ス
    プロケットに対応する第2の従動軸側スプロケットが設
    けられ、 前記第1の駆動軸側スプロケットと前記第1の従動軸側
    スプロケットに第1のサイレントチェーンが捲回される
    とともに、前記第2の駆動軸側スプロケットと前記第2
    の従動軸側スプロケットに第2のサイレントチェーンが
    捲回され、 前記第1の駆動軸側スプロケット及び第2の駆動軸側ス
    プロケットのそれぞれのピッチをランダムピッチとし、
    前記第1のサイレントチェーン及び第2のサイレントチ
    ェーンのピッチをそれぞれ単一ピッチとしたことを特徴
    する、 サイレントチェーンとスプロケットとの組合せによる動
    力伝動機構。
  2. 【請求項2】 従動軸に実質的に同じピッチの第1の従
    動軸側スプロケット及び第2の従動軸側スプロケットが
    1/2ピッチの位相差で設けられ、第1のサイレントチ
    ェーン及び第2のサイレントチェーンが並列して駆動軸
    側スプロケットと従動軸側スプロケットに捲回されてい
    る、第1項の動力伝動機構。
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