JP2001015145A - 固体高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

固体高分子電解質型燃料電池

Info

Publication number
JP2001015145A
JP2001015145A JP11180805A JP18080599A JP2001015145A JP 2001015145 A JP2001015145 A JP 2001015145A JP 11180805 A JP11180805 A JP 11180805A JP 18080599 A JP18080599 A JP 18080599A JP 2001015145 A JP2001015145 A JP 2001015145A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
cell
fuel cell
polymer electrolyte
unit cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11180805A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3416578B2 (ja
Inventor
Shuichi Suzuki
修一 鈴木
Takahiro Isono
隆博 礒野
Yasuo Miyake
泰夫 三宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP18080599A priority Critical patent/JP3416578B2/ja
Publication of JP2001015145A publication Critical patent/JP2001015145A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3416578B2 publication Critical patent/JP3416578B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の単位セル2を積層して一体の燃料電池
モジュール1が構成され、各単位セル2には、加湿用の
水及び燃料ガスを供給すると共に、酸化剤ガスを供給し
て、各単位セル2が発生する電力を外部へ取り出すこと
が可能な固体高分子電解質型燃料電池において、発熱抵
抗体などの特別な装置を装備することなく、電池モジュ
ール1に発生する温度分布に起因する加湿不足の問題を
解消する。 【解決手段】 本発明に係る燃料電池モジュール1にお
いては、冷却用の水の流路の入口に最も近い少なくとも
1つの単位セル2aが、燃料極の撥水性において他の単
位セル2よりも低く設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料極と酸化剤極
の間に固体高分子電解質膜を介在させ、燃料極には燃料
ガスを供給すると共に、酸化剤極には酸化剤ガスを供給
して、電力を発生させる固体高分子電解質型燃料電池に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エネルギー変換効率が高く、然も
発電反応によって有害物質を発生しない燃料電池が注目
されており、かかる燃料電池の1つとして、100℃以
下の低い温度で作動する固体高分子電解質型燃料電池が
知られている。
【0003】図16は、固体高分子電解質型燃料電池の
発電原理を表わしたものであって、イオン導電性の固体
高分子電解質膜(54)の両側に燃料極(55)と酸化剤極(56)
を配置すると共に、更にその両側に燃料室(57)と酸化剤
室(58)を配置して、セル(50)が形成され、燃料極(55)と
酸化剤極(56)は、外部回路(59)を介して互いに接続され
ている。
【0004】燃料極(55)においては、燃料室(57)に供給
された燃料ガスに含まれる水素Hが水素イオンH
電子eに分解され、水素イオンHは、固体高分子電
解質膜(54)の内部を該膜(54)中の水分子と水和した形で
酸化剤極(56)に向かって移動する一方、電子eは外部
回路(59)を酸化剤極(56)に向かって流れる。又、酸化剤
極(56)では、酸化剤室(58)に供給された酸化剤ガスに含
まれる酸素Oが、燃料極(55)から供給された水素イオ
ンH及び電子eと反応して、水HOが生成され
る。この様にして、電池全体として、水素と酸素から水
が生成されると共に、起電力が発生するのである。
【0005】1つのセル(50)の起電力は低いため、複数
のセル(50)を互いに直列に接続して固体高分子電解質型
燃料電池が構成される。例えば図13に示す固体高分子
電解質型燃料電池(5)は、複数の平板型の単位セル(50)
を積層して一体の電池モジュールを構成したものであっ
て、これらの単位セル(50)に、水素ガス等の燃料ガスを
供給すると共に、空気等の酸化剤ガスを供給して、直列
接続された複数の単位セル(50)が発生する電力を外部へ
取り出すことが可能となっている。
【0006】該固体高分子電解質型燃料電池(5)におい
て、各単位セル(50)には、鉛直方向に伸びる複数の燃料
ガス供給溝(図示省略)と、水平方向に伸びる複数本の酸
化剤ガス供給溝(53)とが開設されている。又、一方の端
部に配置された単位セル(50)には、燃料ガス入口孔(51
a)が形成されると共に、他方の端部に配置された単位セ
ル(50)には、燃料ガス出口孔(52a)が形成され、これら
両端部の単位セルを除く他の複数の単位セル(50)にはそ
れぞれ、燃料ガス供給用貫通孔(51)と燃料ガス排出用貫
通孔(52)が開設されている。そして、複数の単位セル(5
0)が互いに重ね合わされることによって、燃料ガス入口
孔(51a)と複数の燃料ガス供給用貫通孔(51)とが互いに
連通して、1本の燃料ガス供給路が形成されると共に、
複数の燃料ガス排出用貫通孔(52)と燃料ガス出口孔(52
a)とが互いに連通して、1本の燃料ガス排出路が形成さ
れる。
【0007】又、固体高分子電解質型燃料電池(5)は、
上記複数の酸化剤ガス供給溝(53)が露出した側面を覆っ
て、これらの酸化剤ガス供給溝(53)へ酸化剤ガスを供給
するための酸化剤ガス供給マニホールド(6)を具えてい
る。酸化剤ガス供給マニホールド(6)は、例えば下方に
向けて開口すると共に前記側面に向けて開口しており、
下方の開口から採り入れられた空気を複数の酸化剤ガス
供給溝(53)へ送り込むようになっている。
【0008】上記固体高分子電解質型燃料電池(5)にお
いて、燃料ガスは、図中に実線の矢印で示す如く燃料ガ
ス入口孔(51a)へ供給され、前記燃料ガス供給路を経
て、各単位セル(50)に形成された複数の燃料ガス供給溝
へ分配され、各燃料ガス供給溝を下向きに流れる過程で
発電反応に供される。一方、酸化剤ガスは、図中に破線
の矢印で示す如く、酸化剤ガス供給マニホールド(6)の
下方の開口から取り入れられ、側方の開口を経て酸化剤
ガス供給溝(53)へ送り込まれ、各酸化剤ガス供給溝(53)
を流れる過程で発電反応に供される。
【0009】図14及び図15は、複数枚の板状部材の
積層体によって構成される単位セル(10)の具体的構造を
表わしている。固体高分子電解質膜(11)の一方の表面を
覆って、酸化剤極(12)を配置すると共に、該酸化剤極(1
2)の表面を覆って、複数本の酸化剤ガス供給溝(19)が凹
設された酸化剤極側導電性プレート(14)を配置し、更に
酸化剤極側導電性プレート(14)の外側に導電性のガスセ
パレータ(16)を配置している。又、固体高分子電解質膜
(11)の他方の表面を覆って、燃料極(13)を配置すると共
に、該燃料極(13)の表面を覆って、複数本の燃料ガス供
給溝(18)が凹設された燃料極側導電性プレート(17)を配
置している。
【0010】上記単位セル(10)においては、酸化剤極側
導電性プレート(14)の酸化剤ガス供給溝(19)に酸化剤ガ
ス(33)が送り込まれると共に、燃料極側導電性プレート
(17)の燃料ガス供給溝(18)へ燃料ガス(31)が送り込まれ
る。これによって、燃料極(13)においては、燃料ガス供
給溝(18)を流れる燃料ガス(31)に含まれる水素が水素イ
オンと電子に分解されて、水素イオンは固体高分子電解
質膜(11)の内部を水素イオンの形で酸化剤極(12)に向か
って移動する。一方、酸化剤極(12)においては、酸化剤
ガス供給溝(19)を流れる酸化剤ガス(33)に含まれる酸素
が、燃料極(13)から供給された水素イオン及び電子と反
応して水が生成される。
【0011】ところで、固体高分子電解質型燃料電池に
採用される代表的な固体高分子電解質膜は、パーフルオ
ロカーボンスルホン酸などのカチオン交換膜であるが、
水素イオンを透過させるためには固体高分子電解質膜を
湿潤させるための水分と、移動水と呼ばれる水素イオン
に水和するための水分が必要である。
【0012】固体高分子電解質膜の湿潤に必要な水分
は、電極反応によって生じる水分(生成水)だけでは不足
する傾向にあるので、不足分は外部からの供給によって
賄われている。最もよく行なわれている方法は、燃料ガ
スである水素を加湿する方法であり、供給された水分は
燃料極のガス拡散層を透過して触媒層や固体高分子電解
質膜の表面に輸送される。
【0013】ガス拡散層として最も一般的に用いられる
のはカーボンペーパーに代表される炭素製の導電性多孔
体である。導電性多孔体の気孔径はおよそ数〜数十ミク
ロンであるので、水は液体の状態よりも水蒸気の状態の
方が高い透過性を発揮する。従って、水の形態としては
蒸気が最も望ましい。但し、カーボンペーパーの気孔に
水詰まりが起きないよう、フッ素樹脂などで撥水処理を
施す必要がある。フッ素樹脂は、少量を添加するだけで
も撥水性を発現するが、燃料電池の運転中は撥水性が低
下する傾向にあるので、耐久性の観点からは、出来るだ
け多くの量のフッ素樹脂を添加することが有利である。
【0014】又、固体高分子電解質型燃料電池は、その
温度を最適な運転温度範囲である130℃以下に維持す
る必要があるが、発電に伴って単位セルが発熱するた
め、電池モジュールに冷却用の水を供給することによっ
て、単位セルを最適運転温度範囲に保つことが行なわれ
ている。燃料電池に水分を供給する方式は外部加湿方式
と内部加湿方式に分類される。外部加湿方式では、固体
高分子電解質膜の湿潤に必要な水分は、セルの外部で気
化されて、水蒸気としてセル内に供給される。又、電池
温度を制御するための冷却水は加湿水とは別に、燃料電
池モジュールに液体の状態で供給される。例えば、電池
モジュールの複数箇所に冷却プレートを介在せしめ、該
冷却プレートに冷却水を供給することによって、単位セ
ルの温度を制御している。これに対し、内部加湿方式で
は、固体高分子電解質膜の湿潤及び電極反応に必要な水
分(加湿水)は、モジュールの内部に液体の状態で供給さ
れて、その一部がモジュールの熱によって気化され、水
蒸気となってガスの加湿に供される。又、モジュールの
内部に供給された水は、電池温度を制御するための冷却
水としても利用されることになる。即ち、内部加湿方式
において、加湿水は、ガスの加湿と電池の冷却の2つの
役割を果たすことになる。
【0015】内部加湿方式の燃料電池では、加湿水を液
体のままセル内に供給するため、セル外に加湿水を加熱
するための装置を設置する必要がなく、安価でコンパク
トなシステムを構成することが出来る。また、加湿水は
循環させて用いるのが主流であって、モジュールを通過
して排出された加湿水は蒸気を多量に含むが、モジュー
ル外で冷却されて液体に戻り、液体ポンプによって再び
モジュールに供給される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、燃料電
池においては、加湿方式の如何に関わらず、電池モジュ
ールに供給された冷却用の水が電池モジュールの内部を
通過する過程で熱交換によって徐々に温度上昇するた
め、例えば電池モジュールの両端部に冷却用の水の入口
を設けた燃料電池においては、該入口近傍のセル、即
ち、セル積層方向の両端部に位置するセルが最も低い温
度となり、中央部のセルが最も高い温度となって、図9
に示す如き温度分布が生じることになる。特に、内部加
湿方式の燃料電池では、セル内にて加湿水の一部が気化
するので、積層方向の端部に位置するセルが奪われる熱
量は外部加湿方式の場合よりも大きく、温度分布が生じ
易い。又、外部加湿方式の燃料電池においては、冷却プ
レートに隣接する単位セルが最も温度が低く、冷却プレ
ートから遠い単位セルは温度が高くなる。
【0017】この様な温度分布が生じた電池モジュール
においては、温度の低下したセルにて、水蒸気分圧が低
下して水蒸気量が少なくなるため、加湿が不十分となっ
て、性能低下を引き起こす。モジュール内の一部のセル
に性能低下が起きると、この影響が他のセルにも及ん
で、モジュール全体の電圧低下を引き起こす。例えば燃
料電池モジュールを定格電力(電圧と電流の積が一定)で
動作させている状態で、一部のセルで電圧低下が発生す
ると、この電圧低下を補うべく電流の増加が発生して、
その結果、モジュール全体の劣化を早めることとなる。
【0018】このような問題を解決するために、温度が
最も低くなるモジュールの両端部に発熱抵抗体を取り付
け、或いはモジュールの両端部に配備される集電板を発
熱抵抗体とすることによって、モジュール両端部の温度
低下を抑制した燃料電池が提案されている(特開平8−
167424号)。ところが、発熱抵抗体の装備によっ
て装置構成が複雑となるばかりでなく、電池の出力電流
が少ないとき等、使用状況によっては充分な発熱量が得
られず、充分な温度分布軽減効果が得られない問題があ
った。
【0019】そこで本発明の目的は、発熱抵抗体などの
特別な装置を装備することなく、電池モジュールに発生
する温度分布に起因する加湿不足の問題を解消すること
が出来る、簡易な構成の固体高分子電解質型燃料電池を
提供することである。
【0020】
【課題を解決する為の手段】本発明に係る固体高分子電
解質型燃料電池においては、複数の単位セル(2)を積層
して一体の燃料電池モジュール(1)が構成され、燃料電
池モジュール(1)の内部には、単位セル(2)を冷却する
ための冷却媒体の流路が貫通して形成されており、該流
路の入口に最も近い少なくとも1つの単位セル(2a)
は、燃料極(24)の撥水性において他の単位セル(2)より
も低く設定されている。尚、内部加湿方式の燃料電池に
おいては、加湿水が冷却媒体となるので、加湿水の供給
路の入口に最も近い単位セル(2a)の撥水性が他の単位
セル(2)よりも低く設定される。又、冷却プレート等に
より冷却媒体(冷却水)の流路を形成して単位セルの冷却
を行なう外部加湿方式の燃料電池においては、冷却プレ
ート等の冷却媒体の流路の入口に最も近い単位セル(2
a)の撥水性が他の単位セル(2)よりも低く設定される。
【0021】上記本発明の固体高分子電解質型燃料電池
においては、冷却媒体の入口に最も近い単位セル(2
a)、例えばモジュールの端部に配置されている単位セル
(2a)にて温度が最も低くなって、発生する水蒸気の量
が少なくなるが、該単位セル(2a)を構成している燃料
極(24)の撥水性が他の単位セル(2)よりも低く設定され
ているので、該単位セル(2a)で発生した水蒸気は、激
しくはじかれることなく、燃料極(24)内をスムーズに移
動する。この結果、該単位セル(2a)においても充分な
加湿が行なわれる。尚、該単位セル(2a)では発生する
水蒸気の量が少ないので、燃料極(24)の撥水性を低下さ
せたとしても、ガス拡散層の気孔に水詰まりが生じる虞
れはない。
【0022】具体的構成において、前記少なくとも1つ
の単位セル(2a)は、燃料極(24)のガス拡散層の撥水性
において他の単位セル(2)よりも低く設定されている。
これによって、該単位セル(2a)では、発生した水蒸気
がガス拡散層内を容易に移動して、触媒層に供給される
ことになる。
【0023】具体的には、前記少なくとも1つの単位セ
ル(2a)は、燃料極(24)のガス拡散層に対するフッ素樹
脂の添加量において他の単位セル(2)よりも少なく形成
されている。これによって、前記少なくとも1つの単位
セル(2a)を構成する燃料極(24)のガス拡散層の撥水性
を、他の単位セル(2)の同撥水性よりも低く設定するこ
とが出来る。尚、フッ素樹脂としては、ポリテトラフル
オロエチレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロ
プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンエチレン
重合体、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体、若しくは、これらの混合物
を採用することが出来る。
【0024】更に具体的には、前記少なくとも1つの単
位セル(2a)を構成する燃料極(24)のガス拡散層に対す
るフッ素樹脂の添加量は、他の単位セル(2)の同添加量
に対して、0.8以下の重量比率に設定される。これに
よって、該単位セル(2a)を構成する燃料極(24)のガス
拡散層内における水蒸気の移動が充分にスムーズとなっ
て、高い加湿効果が得られる。
【0025】又、前記少なくとも1つの単位セル(2a)
を構成する燃料極(24)のガス拡散層に対するフッ素樹脂
の添加量は、5重量部以上に設定される。これによっ
て、該単位セル(2a)を構成する燃料極(24)のガス拡散
層の撥水性を必要最低限に維持して、ガス拡散層の気孔
の水詰まりを防止することが出来る。
【0026】他の具体的構成においては、前記少なくと
も1つの単位セル(2a)は、燃料極(24)の触媒層の撥水
性において他の単位セル(2)よりも低く設定されてい
る。これによって、該単位セル(2a)では、発生した水
蒸気が触媒層内を容易に移動して、固体高分子電解質膜
に供給されることになる。
【0027】具体的には、前記少なくとも1つの単位セ
ル(2a)は、燃料極(24)の触媒層に対するフッ素樹脂の
添加量において他の単位セル(2)よりも少なく形成され
ている。これによって、前記少なくとも1つの単位セル
(2a)を構成する燃料極(24)の触媒層の撥水性を、他の
単位セル(2)の同撥水性よりも低く設定することが出来
る。尚、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体、テトラフルオロエチレンエチレン重合体、
テトラフルオロエチレンヘキサフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体、若しくは、これらの混合物を採用す
ることが出来る。
【0028】更に具体的には、前記少なくとも1つの単
位セル(2a)を構成する燃料極(24)の触媒層に対するフ
ッ素樹脂の添加量は、他の単位セル(2)の同添加量に対
して、0.8以下の重量比率に設定される。これによっ
て、該単位セル(2a)を構成する燃料極(24)の触媒層内
における水蒸気の移動が充分にスムーズとなって、高い
加湿効果が得られる。
【0029】又、前記少なくとも1つの単位セル(2a)
を構成する燃料極(24)の触媒層に対するフッ素樹脂の添
加量は、2重量部以上に設定される。これによって、該
単位セル(2a)を構成する燃料極(24)の触媒層の撥水性
を必要最低限に維持して、触媒層に水が滞留することを
防止することが出来る。従って、ガスの流れが阻害され
ることはない。
【0030】尚、本発明は、特に内部加湿方式の燃料電
池において高い効果が得られる。又、単位セル(2)を構
成する固体高分子電解質膜(22)が、パーフルオロカーボ
ンスルホン酸系、ポリスチレンジビニルベンゼンスルホ
ン酸系、フェノールホルムアルデヒド系の何れかの高分
子膜によって形成されている場合、該高分子膜がイオン
電導性を示すためには充分な湿潤が必要であるので、本
発明が有効である。
【0031】
【発明の効果】本発明に係る固体高分子電解質型燃料電
池によれば、発熱抵抗体などの特別な装置を装備するこ
となく、単位セルの撥水性を調整するだけの簡易な構成
で、モジュール全体に亘って充分な加湿を行なうことが
出来る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、内部加湿式の固
体高分子電解質型燃料電池に実施した形態につき、図面
に沿って具体的に説明する。本発明に係る固体高分子電
解質型燃料電池は、図1に示す如く、複数の単位セル
(2)を積層して、該積層体を一対の集電プレート(7)
(7)によって両側から挟持し、更にその両側に締結板
(6)(6)を配置して、両締結板(6)(6)を複数本の締結
ボルト(61)と締結ナット(62)によって締め付けることに
より、一体の燃料電池モジュール(1)を構成している。
【0033】各締結板(6)には、上端部に、燃料ガス
(水素ガス)と加湿水を各単位セル(2)へ供給するための
2本の燃料ガス供給管(63)(63)が連結されると共に、下
端部には、各単位セル(2)を通過した未反応ガスを排出
するための2本の未反応ガス排出管(64)(64)が連結され
ている。又、一対の集電プレート(7)(7)には、燃料電
池モジュール(1)の発生電力を外部に取り出すための一
対の電極端子(71)(71)が突設されている。尚、図1に示
す燃料電池モジュール(1)の背面側には、酸化剤ガスで
ある空気を供給するためのマニホールド(図示省略)が配
備されている。
【0034】各単位セル(2)は、図2に示す如く、セル
ユニット(21)を導電性プレート(3)(3)によって両側か
ら挟持した構造を有しており、両導電性プレート(3)
(3)の間には絶縁シート(25)が介在して、両導電性プレ
ート(3)(3)の間の電気的絶縁とガスシールを施してい
る。
【0035】導電性プレート(3)は、炭素や金属などの
導電性材料から形成され、図2並びに図4〜図7に示す
様に、上端部には、前記燃料ガス供給管(63)(63)に繋が
る左右一対の供給側貫通孔(34)(34)が開設されると共
に、下端部には、前記未反応ガス排出管(64)(64)に繋が
る左右一対の排出側貫通孔(35)(35)が開設されている。
左右一対の供給側貫通孔(34)(34)は、導電性プレート
(3)内を水平に伸びる集合流路(36)を介して互いに連結
され、左右一対の排出側貫通孔(35)(35)は、導電性プレ
ート(3)内を水平に伸びる集合流路(37)を介して互いに
連結されている。
【0036】又、導電性プレート(3)には、セルユニッ
ト(21)の燃料極(24)との対向面に、燃料極(24)が係合す
る凹部(31)が形成されると共に、該凹部(31)の底部に
は、燃料ガス(水素ガス)を垂直方向に流すための複数本
の溝(32)が、互いに平行に凹設されており、各溝(32)の
両端はそれぞれ、導電性プレート(3)内を上下に伸びる
分岐流路(38)(39)に繋がっており、これらの分岐流路(3
8)(39)は、前記集合流路(36)(37)に繋がっている
【0037】一方、セルユニット(21)の酸化剤極(23)と
の対向面には、酸化剤極(23)が係合する凹部(41)が形成
されると共に、該凹部(41)の底部には、酸化剤ガス(空
気)を水平方向に流すための複数本の溝(42)が、互いに
平行に凹設されており、各溝(42)の両端はそれぞれ、導
電性プレート(3)内を左右に伸びる流路(43)(43)に繋が
っており、これらの流路(43)は導電性プレート(3)の両
端面にて開口している。更に、導電性プレート(3)の両
面には、それぞれ凹部(31)(41)を包囲して、Oリング(2
8)を嵌めるための溝(33)(40)が凹設されている。
【0038】セルユニット(21)は、図3に示す如く、固
体高分子電解質膜(22)の両面に酸化剤極(23)と燃料極(2
4)を配備して構成される。ここで、固体高分子電解質膜
(22)は、酸化剤極(23)及び燃料極(24)よりも大きな外形
寸法に形成されている。酸化剤極(23)及び燃料極(24)は
それぞれ、電極基材上に電極触媒作用を有する触媒層を
形成して構成されている。電極基材は、一般に、カーボ
ンペーパー等の電導性多孔質材にフッ素樹脂等の撥水性
物質を添加して作製されるものであって、ガス拡散層と
しての機能を発揮して、燃料ガスや、酸化剤ガス及び水
蒸気の供給・排出を行なうと同時に、集電の機能をも発
揮する。触媒層は、一般に、白金微粒子を含む触媒とフ
ッ素樹脂等の撥水性物質とを混合し、これに溶媒を混合
して、ペースト状或いはインク状とした後、これを固体
高分子電解質膜と対向すべき電極基材の片面に塗布して
形成される。
【0039】絶縁シート(25)は、フッ素樹脂、ゴム等の
絶縁性材料から形成され、前記導電性プレート(3)と略
同一の外形寸法を有すると共に、セルユニット(21)の固
体高分子電解質膜(22)が嵌まり込む開口部(26)を有して
いる。又、絶縁シート(25)の上端部及び下端部には、前
記導電性プレート(3)の供給側貫通孔(34)(34)及び排出
側貫通孔(35)(35)に合致する4つの貫通孔(27)〜(27)が
開設されている。
【0040】集電プレート(7)は、炭素、金属などの導
電性材料から形成され、図8に示す如く、上端部及び下
端部には、前記導電性プレート(3)の供給側貫通孔(34)
(34)及び排出側貫通孔(35)(35)に合致する4つの貫通孔
(72)〜(72)が開設されている。又、集電プレート(7)の
端面に、前記一対の電極端子(71)(71)が突設されてい
る。
【0041】従って、図2に示す如く、2枚の導電性プ
レート(3)(3)の間にセルユニット(21)及び絶縁シート
(25)を挟み込むことによって、セルユニット(21)の酸化
剤極(23)が左側の導電性プレート(3)の凹部(41)に係合
すると共に、セルユニット(21)の燃料極(24)が右側の導
電性プレート(3)の凹部(31)に係合し、更に、固体高分
子電解質膜(22)の周辺部が、Oリング(28)(28)を介し
て、左右の導電性プレート(3)(3)の周辺部によって両
側から挟持されることになる。又、左右の導電性プレー
ト(3)(3)の接合部に絶縁シート(25)が介在することに
なる。この結果、右側の導電性プレート(3)の溝(32)を
流れる燃料ガスと、左側の導電性プレート(3)の溝(42)
を流れる酸化剤ガスとのシールが施されると同時に、左
右の導電性プレート(3)(3)間の電気的絶縁が施され
る。斯くして、セルユニット(21)、絶縁シート(25)及び
導電性プレート(3)の組み合わせから、1つの単位セル
(2)が構成される。
【0042】図1の如く複数の単位セル(2)を積層し、
その両側に集電プレート(7)(7)を配置し、更にその両
側に締結板(6)(6)を配置して、両締結板(6)(6)を複
数本の締結ボルト(61)と締結ナット(62)によって締め付
けることにより、一体の燃料電池モジュール(1)を組み
立てる。この様にして組み立てられた燃料電池モジュー
ル(1)においては、複数の燃料電池モジュール(1)の供
給側貫通孔(34)が互いに連結されて、燃料ガス供給管(6
3)(63)と繋がる1本のガス供給路が形成されると共に、
複数の燃料電池モジュール(1)の排出側貫通孔(35)が互
いに連結されて、未反応ガス排出管(64)(64)と繋がる1
本のガス排出路が形成される。
【0043】従って、燃料ガス供給管(63)(63)から燃料
ガス及び加湿水を供給すると、この燃料ガス及び加湿水
は、供給側貫通孔(34)によって形成されるガス供給路を
流れつつ、各単位セル(2)の供給側貫通孔(34)から集合
流路(36)へ流れ込み、更に複数本の分岐流路(38)に分配
されて、各単位セル(2)に形成されている複数本の溝(3
2)へ流れ込み、各単位セル(2)にて電極反応及び加湿に
供されることになる。未反応の燃料ガス及び水は、複数
本の分岐流路(39)を経て集合流路(37)へ流れ込み、更に
排出側貫通孔(35)によって形成されるガス排出路を経
て、未反応ガス排出管(64)(64)から排出されることにな
る。
【0044】上記燃料電池モジュール(1)においては、
複数の単位セル(2)の供給側貫通孔(34)によって形成さ
れる加湿水(冷却水)の流路の入口、即ち、燃料電池モジ
ュール(1)の両端部に位置する単位セル(2a)(2a)が、
燃料極(24)の撥水性において他の単位セル(2)よりも低
く設定されている。具体的には、燃料極(24)を構成する
電極基材(ガス拡散層)及び/又は電極基材上の触媒層に
添加すべきフッ素樹脂の量を、単位セル(2)の位置によ
って変化させることにより、燃料極(24)の撥水性を調整
している。
【0045】
【実施例】上記本発明の燃料電池モジュール(1)を実際
に作製し、従来の燃料電池モジュールと比較した結果に
ついて説明する。
【0046】実施例1 本実施例の燃料電池モジュールに用いられるセルユニッ
トを次の様にして作製した。面積100cmのカーボ
ンペーパーに、市販のフッ素樹脂分散液(ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)分散溶液)を含浸させ、熱処
理を施すことによって、カーボンペーパー重量:100
に対してフッ素樹脂重量:50の電極基材を作製する共
に、白金微粒子が担持された炭素粉末、パーフルオロカ
ーボンスルホン酸のアルコール溶液、及び前記炭素粉末
に対して25重量部のフッ素樹脂を含むスラリーを調製
した後、白金担持量が約1mg/cmとなるように前
記電極基材上に前記スラリーを塗布し、これを乾燥させ
ることによって、酸化剤極(23)及び燃料極(24)を作製し
た。これらの酸化剤極(23)及び燃料極(24)を、パーフル
オロカーボンスルホン酸系高分子膜からなる固体高分子
電解質膜(22)の両面にホットプレス等の方法によって接
合し、セルユニット(21)を作製した。
【0047】但し、モジュール端部に位置する単位セル
(2a)に使用するセルユニット(21)については、燃料極
(24)の作製においてカーボンペーパーに添加するフッ素
樹脂の量を20重量部とした。これによって、該単位セ
ル(2a)に用いられる燃料極(24)の拡散層におけるフッ
素樹脂の添加量は、他の単位セル(2)に用いられる燃料
極(24)の拡散層におけるフッ素樹脂添加量に対して、
0.4の比率となる。
【0048】この様にして作製された単位セル(2)の積
層数を30として、実施例1の燃料電池モジュールを組
み立てた。
【0049】比較例1 燃料電池モジュールの全ての単位セルが上記実施例1の
中央部の単位セル(2)と同一の単位セルによって構成さ
れる燃料電池モジュールを組み立て、比較例1とした。
【0050】性能比較 実施例1及び比較例1の燃料電池モジュールを対象とし
て、各燃料電池モジュールの燃料ガス供給管(63)(63)
に、300cc/minの加湿水と水素を供給して、モ
ジュール出力0.5kwの定格運転を行なった。なお、
供給すべき加湿水の量は、セル構成や出力電流などの条
件を考慮して、適宜決定することが望ましい。
【0051】図10は、実施例1及び比較例1における
モジュール電圧の経時変化を表わしている。図示の如
く、実施例1においては、比較例1に比べて電圧の経時
低下が小さくなっている。これは、比較例1では、両端
部の単位セルの温度が低いために、水の蒸気圧が低くな
って、燃料極のガス拡張層を透過して触媒層に達する水
分量は少なくなり、発電に必要な水が不足して、該単位
セルの反応性が低下するのに対し、実施例1では、モジ
ュール端部の単位セルを構成する燃料極のガス拡散層の
撥水性を抑えているので、触媒層に到達する水分の量が
増大して、該単位セルの反応性の低下が抑制されるから
である。
【0052】実施例2 本実施例では、モジュール端部の単位セルに付与すべき
撥水性の差について、その効果的範囲を検討した。実施
例1においては、モジュール端部のセルを構成する燃料
極のガス拡散層に対するフッ素樹脂の添加量を、他のセ
ルの同添加量に対して、0.4の比率としているが、本
実施例では、モジュール端部のセルに関して、燃料極の
ガス拡散層に添加するフッ素樹脂量をそれぞれ、2重量
部(比率0.04)、5重量部(比率0.1)、40重量部
(比率0.8)、45重量部(比率0.9)とした4種類の燃
料電池モジュール(実施例a〜d)を作製した。
【0053】図11は、実施例1と同様の運転を行なっ
たときのモジュール電圧の変化を表わしている。このグ
ラフから明らかな様に、実施例b(比率0.1)、実施例
c(比率0.8)、及び実施例1(比率0.4)においてモジ
ュール電圧の経時低下が顕著に軽減されており、大きな
効果が得られている。
【0054】但し、実施例d(比率0.9)においては、
撥水性が過大となって、燃料極の触媒層に到達できる水
分量が減少するために、反応性低下の抑制効果が比較的
小さなものとなった。従って、モジュール端部のセルを
構成する燃料極のガス拡散層へのフッ素樹脂添加量は、
他のセルの同添加量に対し、0.8以下の比率に設定す
ることが好ましいと言える。
【0055】又、実施例a(比率0.04)においては、
添加したフッ素樹脂の絶対量が2重量部と少ないため
に、撥水性が過小となり、これによって、ガス拡散層の
気孔に水詰まりが発生して、燃料極のガス拡散性が低下
するため、反応性低下の抑制効果が比較的小さなものと
なった。従って、モジュール端部のセルを構成する燃料
極のガス拡散層へのフッ素樹脂添加量は、絶対量とし
て、5重量部以上が好ましいと言える。
【0056】実施例3 本実施例では、撥水性の調整を拡散層で行なうことに代
えて、触媒層で行なった場合の効果について検討した。
本実施例では、実施例1において作製したモジュール端
部の単位セル(2a)を構成する燃料極の触媒層へのフッ
素樹脂の量を、炭素粉末に対して1重量部、2重量部、
10重量部、20重量部、23重量部としたこと以外は
実施例1と同様にして、積層セル数が30の5種類の燃
料電池モジュール(実施例e、f、g、h、i)を作製し
た。
【0057】尚、これらの燃料電池モジュールにおい
て、モジュール端部の単位セル(2a)を構成する燃料極
の触媒層へのフッ素樹脂添加量は、その他の単位セルの
同添加量に対して、それぞれ0.04、0.08、0.
4、0.8、0.92の比率となっている(表1参照)。
【0058】
【表1】
【0059】図12は、実施例1と同様の運転を行なっ
たときのモジュール電圧の変化を表わしている。このグ
ラフから明らかな様に、実施例f(比率0.08)、実施
例g(比率0.4)、及び実施例h(比率0.8)においてモ
ジュール電圧の経時低下が顕著に軽減されており、大き
な効果が得られている。
【0060】但し、実施例i(比率0.92)において
は、撥水性が過大となって、燃料極の触媒層に到達でき
る水分量が減少するために、反応性低下の抑制効果が比
較的小さなものとなった。従って、モジュール端部のセ
ルを構成する燃料極の触媒層へのフッ素樹脂添加量は、
他のセルの同添加量に対し、0.8以下の比率に設定す
ることが好ましいと言える。
【0061】又、実施例e(比率0.04)においては、
添加したフッ素樹脂の絶対量が1重量部と少ないため
に、撥水性が過小となり、これによって触媒層に水が滞
留して、ガスの流れを阻害するため、反応性低下の抑制
効果が比較的小さなものとなった。従って、モジュール
端部のセルを構成する燃料極の触媒層へのフッ素樹脂添
加量は、絶対量として、2重量部以上が好ましいと言え
る。
【0062】本発明に係る固体高分子電解質型燃料電池
は、電池性能に対して加湿状態の影響が大きい固体高分
子電解質膜、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸
系、ポリスチレンジビニルベンゼスルホン酸系、フェノ
ールホルムアルデヒド系等の固体高分子電解質膜を用い
た燃料電池において特に効果的であり、またモジュール
の温度分布が大きくなりがちな内部加湿方式の燃料電池
において効果的である。
【0063】尚、上記実施例3においては、触媒層の撥
水性を制御するためにフッ素樹脂の添加量を調整してい
るが、これに限らず、触媒を担時している炭素粉末の性
質によって撥水性を制御する方法が採用可能である。こ
の場合、炭素粉末は、表面積、黒鉛化度など、その形状
や表面状態によっても撥水性が異なるので、モジュール
端部のセルとモジュール中央部のセルで、触媒層に用い
る炭素粉末にそれぞれ異なる性質のものを用いることに
より、撥水性に差を持たせてもよい。
【0064】又、上記実施例1〜3においては、フッ素
樹脂として、PTFEを用いているが、これに限らず、
テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重
合体(FEP)、テトラフルオロエチレンエチレン重合体
(ETFE)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等を用いて同様
に作製することも可能である。
【0065】又、撥水性を調整すべきモジュール端部の
単位セル(2a)は1つに限らず、モジュール端部近傍の
複数の単位セルについて撥水性を調整することも可能で
あって、セルの積層数やその他の条件に応じて、その数
を設定することが好ましい。この場合、例えば図9に示
す温度分布に応じて、複数の単位セルの撥水性に分布を
持たせることも可能である。
【0066】又、本発明は、冷却プレート等により冷却
水流路を形成して単位セルの冷却を行なう内部加湿方式
若しくは外部加湿方式の燃料電池に実施することも可能
であって、この場合、冷却プレート等の冷却水流路の入
口に最も近い単位セル(2a)の撥水性を他の単位セル
(2)よりも低く設定する。更に又、外部加湿方式の燃料
電池においては、冷却媒体として、水以外に、油、有機
系の液体等を用いることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体高分子電解質型燃料電池モジ
ュールを示す側面図である。
【図2】単位セルを分解した状態の正面図である。
【図3】セルユニット及び絶縁シートの分解斜視図であ
る。
【図4】導電性プレートの酸化剤極との対向面を表わす
斜視図である。
【図5】導電性プレートの燃料極との対向面を表わす斜
視図である。
【図6】導電性プレートの酸化剤極との対向面を表わす
正面図である。
【図7】導電性プレートの燃料極との対向面を表わす正
面図である。
【図8】集電プレートの正面図である。
【図9】燃料電池モジュールを構成する複数のセルの温
度分布を表わすグラフである。
【図10】実施例1及び比較例1におけるモジュール電
圧の経時低下を表わすグラフである。
【図11】実施例1、a〜d及び比較例1におけるモジ
ュール電圧の経時低下を表わすグラフである。
【図12】実施例e〜i及び比較例1におけるモジュー
ル電圧の経時低下を表わすグラフである。
【図13】従来の固体高分子電解質型燃料電池モジュー
ルの外観を示す斜視図である。
【図14】該固体高分子電解質型燃料電池モジュールを
構成する単位セルの要部を表わす断面図である。
【図15】該単位セルの分解斜視図である。
【図16】固体高分子電解質型燃料電池の発電原理を説
明する図である。
【符号の説明】
(1) 燃料電池モジュール (2) 単位セル (21) セルユニット (22) 固体高分子電解質膜 (23) 酸化剤極 (24) 燃料極 (25) 絶縁シート (3) 導電性プレート (34) 供給側貫通孔 (35) 排出側貫通孔 (63) 燃料ガス供給管 (64) 未反応ガス排出管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 泰夫 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5H018 AA06 AS02 EE18 HH05 5H026 AA06 CC03 CC08 EE19 HH05 5H027 AA06 CC06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の単位セル(2)を積層して一体の燃
    料電池モジュール(1)が構成され、各単位セル(2)は、
    燃料極(24)と酸化剤極(23)の間に固体高分子電解質膜(2
    2)を介在させて構成され、燃料極(24)には、燃料ガスを
    供給すると共に、酸化剤極(23)には酸化剤ガスを供給し
    て、各単位セル(2)が発生する電力を外部へ取り出すこ
    とが可能な固体高分子電解質型燃料電池において、燃料
    電池モジュール(1)の内部には、単位セル(2)を冷却す
    るための冷却媒体の流路が貫通して形成されており、該
    流路の入口に最も近い少なくとも1つの単位セル(2a)
    は、燃料極(24)の撥水性において他の単位セル(2)より
    も低く設定されていることを特徴とする固体高分子電解
    質型燃料電池。
  2. 【請求項2】 燃料極(24)には、固体高分子電解質膜(2
    2)と接触する領域に触媒層が形成されると共に、その反
    対側の領域にガス拡散層が形成され、前記少なくとも1
    つの単位セル(2a)は、燃料極(24)のガス拡散層の撥水
    性において他の単位セル(2)よりも低く設定されている
    請求項1に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記少なくとも1つの単位セル(2a)
    は、燃料極(24)のガス拡散層に対するフッ素樹脂の添加
    量において他の単位セル(2)よりも少なく形成されてい
    る請求項2に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも1つの単位セル(2a)を
    構成する燃料極(24)のガス拡散層に対するフッ素樹脂の
    添加量は、他の単位セル(2)の同添加量に対して、0.
    8以下の重量比率である請求項3に記載の固体高分子電
    解質型燃料電池。
  5. 【請求項5】 前記少なくとも1つの単位セル(2a)を
    構成する燃料極(24)のガス拡散層に対するフッ素樹脂の
    添加量は、5重量部以上である請求項3又は請求項4に
    記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  6. 【請求項6】 燃料極(24)には、固体高分子電解質膜(2
    2)と接触する領域に触媒層が形成されると共に、その反
    対側の領域にガス拡散層が形成され、前記少なくとも1
    つの単位セル(2a)は、燃料極(24)の触媒層の撥水性に
    おいて他の単位セル(2)よりも低く設定されている請求
    項1に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  7. 【請求項7】 前記少なくとも1つの単位セル(2a)
    は、燃料極(24)の触媒層に対するフッ素樹脂の添加量に
    おいて他の単位セル(2)よりも少なく形成されている請
    求項6に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  8. 【請求項8】 前記少なくとも1つの単位セル(2a)を
    構成する燃料極(24)の触媒層に対するフッ素樹脂の添加
    量は、他の単位セル(2)の同添加量に対して、0.8以
    下の重量比率である請求項7に記載の固体高分子電解質
    型燃料電池。
  9. 【請求項9】 前記少なくとも1つの単位セル(2a)を
    構成する燃料極(24)の触媒層に対するフッ素樹脂の添加
    量は、2重量部以上である請求項7又は請求項8に記載
    の固体高分子電解質型燃料電池。
JP18080599A 1999-06-25 1999-06-25 固体高分子電解質型燃料電池 Expired - Fee Related JP3416578B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18080599A JP3416578B2 (ja) 1999-06-25 1999-06-25 固体高分子電解質型燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18080599A JP3416578B2 (ja) 1999-06-25 1999-06-25 固体高分子電解質型燃料電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001015145A true JP2001015145A (ja) 2001-01-19
JP3416578B2 JP3416578B2 (ja) 2003-06-16

Family

ID=16089666

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18080599A Expired - Fee Related JP3416578B2 (ja) 1999-06-25 1999-06-25 固体高分子電解質型燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3416578B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001357869A (ja) * 2000-06-14 2001-12-26 Sanyo Electric Co Ltd 固体高分子型燃料電池スタック
JP2005142001A (ja) * 2003-11-06 2005-06-02 Toyota Motor Corp スタック構造を有する燃料電池
JP2007317674A (ja) * 2007-08-03 2007-12-06 Sony Corp 燃料電池及びこれを搭載した電子機器
US8101311B2 (en) 2002-12-12 2012-01-24 Sony Corporation Fuel cell and electronic apparatus with the same mounted thereon
CN103343358A (zh) * 2013-07-31 2013-10-09 周兆怡 一种用于氢氧发生器的电解极片
CN110265696A (zh) * 2018-03-12 2019-09-20 丰田自动车株式会社 燃料电池组

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58163173A (ja) * 1982-03-23 1983-09-27 Mitsubishi Electric Corp 燃料電池用電極
JPH05251086A (ja) * 1992-03-09 1993-09-28 Hitachi Ltd 燃料電池及びその応用装置
JPH08167424A (ja) * 1994-12-13 1996-06-25 Fuji Electric Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池
JPH09283153A (ja) * 1996-04-09 1997-10-31 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58163173A (ja) * 1982-03-23 1983-09-27 Mitsubishi Electric Corp 燃料電池用電極
JPH05251086A (ja) * 1992-03-09 1993-09-28 Hitachi Ltd 燃料電池及びその応用装置
JPH08167424A (ja) * 1994-12-13 1996-06-25 Fuji Electric Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池
JPH09283153A (ja) * 1996-04-09 1997-10-31 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001357869A (ja) * 2000-06-14 2001-12-26 Sanyo Electric Co Ltd 固体高分子型燃料電池スタック
US8101311B2 (en) 2002-12-12 2012-01-24 Sony Corporation Fuel cell and electronic apparatus with the same mounted thereon
JP2005142001A (ja) * 2003-11-06 2005-06-02 Toyota Motor Corp スタック構造を有する燃料電池
JP2007317674A (ja) * 2007-08-03 2007-12-06 Sony Corp 燃料電池及びこれを搭載した電子機器
CN103343358A (zh) * 2013-07-31 2013-10-09 周兆怡 一种用于氢氧发生器的电解极片
CN110265696A (zh) * 2018-03-12 2019-09-20 丰田自动车株式会社 燃料电池组
CN110265696B (zh) * 2018-03-12 2021-12-03 丰田自动车株式会社 燃料电池组

Also Published As

Publication number Publication date
JP3416578B2 (ja) 2003-06-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5922485A (en) Solid polymer electrolyte fuel cell
US6214486B1 (en) Fuel cell and method of controlling same
JP3111697B2 (ja) 固体高分子電解質型燃料電池
US5252410A (en) Lightweight fuel cell membrane electrode assembly with integral reactant flow passages
US6743541B2 (en) Monopolar cell pack of proton exchange membrane fuel cell and direct methanol fuel cell
JP3841347B2 (ja) 高分子電解質型燃料電池
US20020192530A1 (en) Fuel cell that can stably generate electricity with excellent characteristics
WO2001017047A9 (fr) Cellule electrochimique de type a electrolyte polymerique
JPH06338338A (ja) 燃料電池の高分子イオン交換膜の加湿方法
JP2001110432A (ja) 高分子電解質型燃料電池
KR20020062681A (ko) 고분자막 연료 전지를 위한 가습 장치
JP3448550B2 (ja) 固体高分子型燃料電池スタック
JP2001006708A (ja) 固体高分子型燃料電池
JPH05251097A (ja) 固体高分子電解質型燃料電池
JP3354550B2 (ja) 固体高分子型燃料電池および固体高分子型燃料電池スタック
JP2001325971A (ja) 固体高分子電解質型燃料電池
JP3738956B2 (ja) 燃料電池
JP3416578B2 (ja) 固体高分子電解質型燃料電池
JP2001236976A (ja) 燃料電池
JP2001135326A (ja) 固体高分子電解質型燃料電池および同スタック
JP3942578B2 (ja) 燃料電池
JP2003197203A (ja) 燃料電池
JP3500086B2 (ja) 燃料電池用セル及びこれを用いた燃料電池
JP2004247258A (ja) 燃料電池積層体、それに用いるセパレータおよび燃料電池システム
JPH0935737A (ja) 固体高分子電解質型燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
S201 Request for registration of exclusive licence

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R314201

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090404

Year of fee payment: 6

S201 Request for registration of exclusive licence

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R314201

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090404

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100404

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110404

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110404

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110404

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120404

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120404

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120404

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120404

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140404

Year of fee payment: 11

S211 Written request for registration of transfer of exclusive licence

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R314213

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R314531

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S211 Written request for registration of transfer of exclusive licence

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R314213

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R314531

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S211 Written request for registration of transfer of exclusive licence

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R314213

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees