JP2001010968A - 新規肝障害抑制剤 - Google Patents

新規肝障害抑制剤

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JP2001010968A JP11182145A JP18214599A JP2001010968A JP 2001010968 A JP2001010968 A JP 2001010968A JP 11182145 A JP11182145 A JP 11182145A JP 18214599 A JP18214599 A JP 18214599A JP 2001010968 A JP2001010968 A JP 2001010968A
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Kimio Sugiyama
公男 杉山
Hiroaki Ka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全な慢性肝障害抑制剤を提供することを
課題とする。 【解決手段】アキノワスレグサから水及び/または水溶
性の極性有機溶媒を用いて肝臓障害抑制剤の有効成分を
抽出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アキノワスレグサ
の抽出物を有効成分として含有する肝臓障害抑制剤に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】肝臓障害のうち急性肝障害についてはあ
る程度研究も進み種々の治療が行われているが、慢性肝
障害については原因等、不明な点が多く効果的な治療方
法は確立されていない。この慢性肝障害は免疫系を介す
る肝障害であると考えられている。
【0003】このような慢性肝障害に対しては漢方薬を
用いた治療が行われている。この漢方療法においては、
大柴胡湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂姜湯、四逆散
等が用いられている(「一般用漢方処方(漢方210処
方)」日本製薬団体連合会漢方専門委員会(197
5)、「漢方概論」藤平健、小倉重成著、創元社(19
79)」)。これらの漢方薬に含まれている生薬の有効
成分については不明な点が多いが、例えば三七人参につ
いては、その成分に肝保護作用が認められている(特願
平8−46154)。また、これらの生薬は、副作用が
少ないと言うメリットが知られている。
【0004】しかし、これらの生薬は、海外に原料を依
存するものが多いため入手が困難であり、且つ野生のも
のを採取するものもあり作用が一定ではない(「生薬学
第4版」北川勲ら著(廣川書店)pp384−387、
1992)、「漢方薬の評価と開発技術」東京生薬研究
会編((株)シーエムシー)pp353−354(19
83))という問題がある。すなわち、漢方薬は一般的
に高価であり、日常的な摂取が困難であるというデメリ
ットがある。
【0005】また、野菜を原料に、肝障害抑制作用を有
する有効成分の抽出も試みられている。野菜では、ニン
ニク(Kagawa, K. et al. Japan. J. Pharmacol.,Vol. 4
2, p.19-26(1986), Nakagawa, S. et al. Hiroshima J.
Med. Sci., Vol. 34, p.303-309(1985))、人参(Bishay
ee, A. et al. J. Ethnopharmacl., Vol.47, p.69-74(1
995)、オオヒジキ(САРТИКОВ, А.С.et al. Kh
im. Farm. Zh., Vol.24, p.38-40(1990))が急性肝障害
抑制効果を示す事が知られているが、慢性肝障害抑制効
果を示すものは知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安全かつ調
製が容易な慢性肝障害抑制剤を提供することを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】 .本発明者等
は、上記課題を解決するため精鋭探索したところ、アキ
ノワスレグサに優れた肝臓障害抑制作用があること見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
アキノワスレグサの抽出物を有効成分として含有する肝
臓障害抑制剤及びこの肝臓障害抑制剤を含有する医薬品
用および食品用組成物である。
【0008】また、本発明においてアキノワスレグサか
ら肝臓障害抑制作用を示す有効成分を抽出する溶媒とし
ては、水及び/または水溶性の極性有機溶媒を用いるの
が好ましい。また、本発明の有効成分は、アキノワスレ
グサから非水溶性の有機溶媒を用いて抽出されたものを
除いた後の残渣から水及び/または水溶性の極性有機溶
媒を用いて抽出するのが好ましい。
【0009】更に、水溶性の極性有機溶媒の中では、メ
タノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−
プロピルアルコール、n−ブチルアルコール,i−ブチ
ルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチル
アルコール、アセトンから選ばれる1種又は2種以上を
組み合わせて用いるのが好ましい。更に、本発明の有効
成分は、水及び/またはメタノール、エタノール、n−
プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、t−ブ
チルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を用いて
抽出されたものから、更にn−ブチルアルコール,i−
ブチルアルコール、sec−ブチルアルコールから選ば
れる1種又は2種以上を用いて抽出するのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 <1>本発明の肝臓障害抑制剤 (1)アキノワスレグサの抽出物 本発明の肝臓障害抑制剤は、アキノワスレグサの抽出物
を有効成分として含有する。本発明において用いるアキ
ノワスレグサはユリ科キスゲ属に属する植物である。本
発明ではアキノワスレグサの茎、葉、根等の植物組織の
いずれの部分を使用しても良いが、特に、本発明の肝臓
障害抑制作用を示す有効成分は茎、葉の部分に多く含ま
れているため、これらの組織を用いることが好ましい。
【0011】上記アキノワスレグサは肝臓障害抑制作用
を有する成分を含んでおり、粉砕した茎、葉の組織をそ
のまま用いることも可能であるが、抽出により前記有効
成分を含む抽出物を取り出して、本発明の肝臓障害抑制
剤の有効成分として用いることが好ましい。本発明にお
いて抽出物とは、このような粉砕物及び抽出物、又はこ
れらの濃縮物のいずれでもよく、またこれらの混合物で
もよい。
【0012】アキノワスレグサの抽出処理は、連続式、
バッチ式等の方法で、常法により冷浸または温浸にて任
意の時間行う。例えば、アキノワスレグサは乾燥粉末
を、細かく粉砕し、抽出溶媒に、室温で1〜48時間、
浸漬及び又は振とうして行う。その後、抽出液から抽出
残渣を除いて、減圧または限外濾過を行い抽出物を濃縮
する。さらに、必要に応じて溶媒を留去して乾固するか
または凍結乾燥する。
【0013】このような抽出に用いる溶媒としては、水
や各種の有機溶媒が挙げられるが、水もしくは水溶性の
極性有機溶媒またはこれらの混合物が好ましい。水溶性
の極性有機溶媒とは、水とある範囲以上で混ざる極性有
機溶媒、すなわち、20℃で水に対する溶解度が10重
量%以上である極性有機溶媒をいう。例えば、メタノー
ル、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール,i−ブチルアル
コール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコ
ール、アセトン等が好ましくは挙げられる。
【0014】上記のように、本発明の抽出物はアキノワ
スレグサから水もしくは水溶性の極性有機溶媒またはこ
れらの混合物により直接抽出することができるが、この
抽出操作の前に、非水溶性の有機溶媒により抽出される
不純物を取り除く処理を行うのが好ましい。非水溶性の
有機溶媒とは、水とほとんど混ざらない溶媒、すなわ
ち、20℃で水に対する溶解度が10重量%未満である
溶媒をいう。例えば、ベンゼン、ヘキサン、四塩化炭
素、クロロホルム、各種のエーテル、各種のエステル等
が挙げられる。非水溶性の有機溶媒であれば非極性の溶
媒、極性の溶媒のいずれでも用いることができる。これ
らの中では、ヘキサン等の非極性の有機溶媒と、酢酸エ
チル等の極性の有機溶媒の2種類以上の溶媒を用いて、
それぞれの溶媒に溶解する不純物を取り除く処理を行う
のが好ましい。
【0015】したがって、好ましい態様としては、アキ
ノワスレグサの乾燥粉末から非水溶性の有機溶媒により
抽出される不純物を取り除く処理をし、次に、水溶性の
極性有機溶媒を用いて本願発明の有効成分を抽出するの
が好ましい。
【0016】以下 本発明の有効成分の抽出例を以下に
例示するが、本発明はこの抽出例に限定されるものでは
ない。まず、アキノワスレグサを凍結乾燥し、この乾燥
粉末にヘキサン等の非水溶性の非極性有機溶媒を加え、
この溶媒に可溶性の成分を取り除く。この際に用いる非
水溶性の非極性有機溶媒としは、n−ヘキサン、シクロ
ヘキサン等が好ましくは例示できる。アキノワスレグサ
に加える溶媒の量は、乾燥粉末1g当たり、1〜200
mlであるのが好ましく、10〜50mlであるのが更
に好ましい。操作はアキノワスレグサにこの溶媒を加え
た後、スターラー等でよく攪拌し、非極性の有機溶媒に
可溶性の画分を抽出する。この操作は、通常2回〜5回
繰り返すのが好ましい。
【0017】次に、上記の操作で残渣として残った部分
に、酢酸エチル等の非水溶性の極性有機溶媒を加え、こ
の溶媒に可溶性の成分を取り除く。この際に用いる非水
溶性の極性有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル
等のエステル類が好ましくは例示できる。アキノワスレ
グサに加える溶媒の量は、乾燥粉末1g当たり、1〜2
00mlであるのが好ましく、10〜50mlであるの
が更に好ましい。操作はアキノワスレグサにこの溶媒を
加えた後、スターラー等でよく攪拌し、極性の有機溶媒
に可溶性の画分を抽出する。この操作は、通常2回〜5
回繰り返すのが好ましい。
【0018】次に、上記の操作で残渣として残った部分
に、アルコール等の水溶性の極性有機溶媒またはこれら
と水の混合物を加え、本発明の有効成分を抽出する。水
溶性の極性有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール,i−ブチルアルコール、s
ec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が例
示できる。これらの中では、メタノール、エタノール、
n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、t
−ブチルアルコールまたはこれらと水との混合物を用い
るのが好ましく、50〜90重量%のメタノールまたは
エタノール水溶液を用いるのが特に好ましい。アキノワ
スレグサに加える溶媒の量は、乾燥粉末1g当たり、1
〜200mlであるのが好ましく、10〜50mlであ
るのが更に好ましい。操作はアキノワスレグサにこの溶
媒を加えた後、スターラー等でよく攪拌し、極性の有機
溶媒に可溶性の画分を抽出する。この操作は、通常2回
〜5回繰り返すのが好ましい。
【0019】この抽出物は、肝臓障害抑制剤としてその
まま用いることができるが、以下の処理により水に溶解
する不純物を取り除く処理をするのが好ましい。この処
理に用いる溶媒としては、水とある範囲でしか混ざらな
い水溶性の極性溶媒、すなわち、n−ブチルアルコー
ル,i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール
またはこれらの混合物を用いるのが好ましい。抽出物に
加える溶媒の量は、乾燥粉末1g当たり、1〜100m
lであるのが好ましく、5〜20mlであるのが更に好
ましい。操作は抽出物にブチルアルコールを加えた後、
スターラー等でよく攪拌し、ブチルアルコールに可溶性
の画分を抽出する。この操作は、通常3回〜7回繰り返
すのが好ましい。
【0020】このようにして得られた抽出物は、肝臓障
害抑制剤としてそのまま用いることができるが、濃縮し
て、溶媒を蒸発させることにより固形物として用いるこ
とが好ましい。濃縮は、常圧または減圧条件下で、通常
に用いられる各種の濃縮方法を用いて行うことができ
る。
【0021】(2)肝臓障害抑制剤 本発明の肝臓障害抑制剤は、上記のアキノワスレグサの
抽出物を有効成分として含有するものである。また、こ
れらの抽出物は、そのまま製剤とすることもできるし、
また、各種基剤に配合して製剤としてもよい。配合量や
基剤に種類は特に限定されるものではなく、適宜設定す
ればよい。
【0022】<2>本発明の肝臓障害抑制抽出剤を含有
する組成物 本発明の組成物は、上記の肝臓障害抑制剤を、常法にし
たがって配合したものであり、例えば、食品、医薬品等
が例示できる。本発明の医薬品の剤型は、特に限定され
ないが、一般に製剤上許容される1または2種類以上の
担体、賦形剤、統合剤、防腐剤、安定剤、香味剤等と共
に混合して、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、水薬、ドリン
ク剤等の内服剤型とすることが好ましい。このような製
剤化は、通常、医薬の製造に用いられる方法にしたがっ
て製剤化することができる。上記医薬品の投与量として
は、疾患の種類、症状、患者の年齢、体重等に異なる
が、成人1日当たり、アキノワスレグサの抽出物とし
て、500mg〜5000mgを1回ないし数回に分け
て経口投与するのが好ましい。
【0023】食品に、上記の肝臓障害抑制剤を用いる場
合には、種々の食品に、食品として通常用いられている
任意成分とともに、食品原料に抽出物を所要量配合する
ことができる。この抽出物を配合する際に特に留意する
することはなく、通常の製造方法により加工製造するこ
とにより、健康食品、機能性食品を製造することができ
る。配合量は、食品の種類のより異なるが、食品の味を
損なわず、且つ十分な肝臓障害抑効果を得るためには、
食品全量に対して、0.1〜10重量%の割合で配合す
るのが好ましい。
【0024】
【実施例】以下実施例により、本発明を更に具体的に説
明する。
【0025】
【実施例1】<本発明の有効成分の抽出>アキノワスレ
グサの茎、葉の部分を凍結乾燥し、乾燥粉末100gを
得た。この乾燥粉末を、以下の図1に示す流れに従って
分画し、後の評価に使用した。
【0026】(a)ヘキサンによる不純物の除去 アキノワスレグサの茎の部分を凍結乾燥して得た乾燥粉
末100gに2Lのn−ヘキサンを加え十分に攪拌後、
残渣を取り除いた上清をヘキサン抽出液として得た。こ
の操作を更に2回繰り返し、計3回の操作により、60
00mlのヘキサン抽出液を得た。この抽出液をエバポ
レーターを用いて濃縮乾固させることにより、1.8g
の固形物がヘキサン画分から得られた。
【0027】(b)酢酸エチルによる不純物の除去 次に上記の操作(a)の残渣98.2gに酢酸エチル2
Lを加え十分に攪拌後渣を取り除いた上清を酢酸エチル
抽出液として得た。この操作を更に2回繰り返し、計3
回の操作により、6000mlの酢酸エチル抽出液を得
た。この抽出液をエバポレーターを用いて濃縮乾固させ
ることにより、1.8gの固形物が酢酸エチル画分から
得られた。
【0028】(c)70%エタノールによる抽出 次に上記の操作(b)の残渣96.4gに70%エタノ
ール2Lを加え十分に攪拌後、残渣を取り除いた上清を
70%エタノール抽出液として得た。この操作を更に3
回繰り返し、計4回の操作により、8000mlの70
%エタノール抽出液を得た。この抽出液をエバポレータ
ーを用いて濃縮乾固させることにより42.8gの固形
物が70%エタノール画分から得られた。また、操作
(c)により、53.6gのエタノール残渣が得られ
た。
【0029】(d)ブチルアルコール(ブタノール)に
よる抽出 次に上記の操作(c)による濃縮乾固物42.8gを5
00mlの蒸留水に溶解させた。そして、この溶液に5
00mlのn−ブタノールを加え十分に攪拌後、分液ロ
ートを用いた向流分配によりブタノール層を抽出した。
残った水層には、更に500mlのn−ブチルアルコー
ルを加え十分に攪拌後、n−ブチルアルコールによる抽
出を行った。この抽出を更に3回繰り返し、計5回の抽
出操作により、1500mlのブチルアルコール抽出液
を得た。このブチルアルコール抽出液をエバポレーター
を用いて濃縮乾固させることにより10.0gの固形物
がブチルアルコール画分から得られた。
【0030】また、操作(d)で水層部分の溶液を凍結
乾燥装置を用いて濃縮乾固させることにより32.8g
の固形物が水溶性画分から得られた。上記の操作による
分画により得られた各分画への分配率(重量%)を表1
に示す。ここで、分配率とは、各分画から得られた固形
物の重量を、分画開始前の重量(100g)で除した値
に100を乗じて%表示したものである。
【0031】
【表1】
【0032】
【実施例2】<肝臓障害抑制剤の評価>慢性肝炎に対す
る肝保護作用は、ラットを用いたD−ガラクトサミン誘
導性の肝障害モデルにより評価した。このD−ガラクト
サミン誘導体の肝障害は、免疫系を介しての肝障害作用
が示唆されるため、慢性肝炎のモデルとされており、臨
床試験での評価結果と相関性が高い。
【0033】評価には、5週齢の雄性ウィスター系ラッ
トを用いた。4〜5日間の予備飼育の後、試験飼料を1
0日間摂取させた。試験に用いた飼料の基本組成は以下
の表2の通りである。また、各分画からの抽出物の飼料
への添加は、表3の示した通りである。すなわち、飼料
1kg当たり、各添加物とコーンスターチの合計量を4
01gに維持しつつ、ヘキサン画分、酢酸エチル画分、
ブチルアルコール画分および水溶性画分においては、各
画分の抽出物をそれぞれ1.0g、1.1g、5.8g
及び19.2gの比率で添加物として配合して飼料を調
整した。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】上記の試験飼料を10日間摂取させた後
に、肝障害を誘発するD−ガラクトサミンを350mg
/kg腹膜内投与した。そして、その22時間後に被検
ラットを屠殺し、採血及び肝臓摘出を行った。偽薬投与
群には、同容量の生理食塩水を投与した。
【0037】この採血した血液を用いて、肝細胞の脱落
により血中濃度が上昇することが知られている酵素、す
なわち、ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
(GPT)活性と、AST:アスパラギン酸アミノトラ
ンスフェラーゼ(GOP)活性を市販の測定キット(和
光純薬)により測定した。そして、この酵素活性の増減
を肝障害の指標とした。また、摘出した肝臓の重量も測
定した。酵素活性の増減の結果を図2および3にそれぞ
れ示す。
【0038】図2および3に示したとおり、偽処理群
(D−ガラクトサミン非投与群)に比べて、対照群(D
−ガラクトサミン投与群)では顕著に、ALT活性とA
ST活性の両方が上昇しており、肝細胞の壊死がおきて
いることが示唆された。一方、アキノワスレグサの抽出
画分を添加した飼料で飼育した群の中では、ブチルアル
コール抽出画分を添加物として加えた群で、明かに肝障
害抑制作用が観察された。なお、分散分析の後、Dun
can法による検定を行ったところ、ブチルアルコール
抽出画分を添加物として加えた群は、他のすべてのD−
ガラクトサミン投与群に対して5%以下の危険率で統計
的に有意差があることを示した。なお、図2および3中
に示してあるアルファベット(a,b,c)は、共通す
るアルファベットを有しない群間で、危険率5%未満で
有意差があることを示す。
【0039】また、摘出された肝臓重量の測定結果を、
各群7匹のラットの平均値として、標準偏差とともに表
4に示す。表4に示すように、D−ガラクトサミン投与
群では、非投与群と比較してすべての群で肝臓重量の減
少が観察された。この減少はD−ガラクトサミン処理に
より肝臓の壊死が引き起こされたためであると示唆され
る。ブチルアルコール抽出画分を添加物として加えた群
では、肝臓重量の減少が他のD−ガラクトサミン投与群
に比べて少なく、このブチルアルコール抽出画分は肝臓
の壊死に対しても抑制作用を示した。
【0040】
【表4】
【0041】
【比較例1】<他の肝障害抑制作用を有する植物との比
較>これまでに四塩化炭素誘導性の肝障害に対して抑制
作用を有すると報告されているオカヒジキ、ニンジン、
ニンニクについて、アキノワスレグサとの比較試験を行
った。いずれの植物とも、可食部分の凍結乾燥粉末をサ
ンプルとした。慢性肝炎に対する肝保護作用は、ラット
を用いたD−ガラクトサミン誘導性の肝障害モデルによ
り評価した。試験に用いた飼料の基本組成は前出の表2
の通りである。また、各植物の乾燥粉末の飼料への添加
は、いずれも30g/kgとし、粉末とコーンスターチ
の含有量を401g(サンプル30g+コーンスターチ
371g)とした。結果を、各群7匹のラットの平均値
として、標準偏差とともに以下の表5に示す。
【0042】
【表5】
【0043】オカヒジキ、ニンジンを、アキノワスレグ
サと同量添加しても、有意な肝保護作用はみとめられな
かった。ニンニクを添加した群は、対照群と比較して、
有意にD−ガラクトサミン誘導性の肝障害を抑制した
が、アキノワスレグサを添加した群よりもその抑制の程
度は低かった。
【0044】
【発明の効果】本発明のアキノワスレグサの抽出物を有
効成分として含有する肝臓障害抑制剤は、優れた肝障害
抑制効果、特に慢性肝障害抑制効果を有する。また、本
発明の肝臓障害抑制剤は植物由来であるため安全であ
り、且つその抽出が容易であるため、処方が容易な、該
肝臓障害抑制剤を含む医薬用または食品用組成物を提供
することができる。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】 アキノワスレグサから肝臓障害抑制剤の有効
成分を抽出する一例を示す図である。
【図2】 薬物投与22時間後のALT(GPT)活性
値を示す図である。
【図3】 薬物投与22時間後のAST(GOT)活性
値を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 何 普明 静岡県静岡市大谷836静岡大学宿舎236号 Fターム(参考) 4C088 AB85 AC05 AC11 BA08 BA09 BA10 NA14 ZA75

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アキノワスレグサの抽出物を有効成分と
    して含有する肝臓障害抑制剤。
  2. 【請求項2】 前記抽出物が、水及び/または水溶性の
    極性有機溶媒を用いて抽出されたことを特徴とする請求
    項1に記載の肝臓障害抑制剤。
  3. 【請求項3】 前記抽出物が、アキノワスレグサから非
    水溶性の有機溶媒を用いて抽出されたものを除いた後の
    残渣から水及び/または水溶性の極性有機溶媒を用いて
    抽出されたことを特徴とする請求項1に記載の肝臓障害
    抑制剤。
  4. 【請求項4】 前記水溶性の極性有機溶媒が、メタノー
    ル、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピ
    ルアルコール、n−ブチルアルコール,i−ブチルアル
    コール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコ
    ール、アセトンから選ばれる1種又は2種以上であるこ
    とを特徴とする請求項2又は3に記載の肝臓障害抑制
    剤。
  5. 【請求項5】 前記非水溶性の有機溶媒がn−ヘキサ
    ン、酢酸エチルまたはこれらの混合物である請求項3又
    は4に記載の肝臓障害抑制剤。
  6. 【請求項6】 前記抽出物が、水及び/または水溶性の
    極性有機溶媒を用いて抽出されたものから、更にn−ブ
    チルアルコール,i−ブチルアルコール、sec−ブチ
    ルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を用いて抽
    出されたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に
    記載の肝臓障害抑制剤。
  7. 【請求項7】 前記抽出物が、アキノワスレグサから非
    水溶性の有機溶媒を用いて抽出されたものを除いた後の
    残渣から水及び/またはメタノール、エタノール、n−
    プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、t−ブ
    チルアルコールから選ばれる1種または2種以上を用い
    て抽出されたものから、更にn−ブチルアルコール,i
    −ブチルアルコール、sec−ブチルアルコールから選
    ばれる1種又は2種以上を用いて抽出されたことを特徴
    とする請求項1に記載の肝臓障害抑制剤。
  8. 【請求項8】 前記請求項1〜7の何れか1項に記載の
    抽出物を含有する医薬用または食品用組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009145363A1 (ja) 2008-05-30 2009-12-03 ソムノクエスト株式会社 ワスレグサ属植物の熱水抽出物を含む抗うつ様作用又は睡眠改善による疲労回復作用を有する組成物
JP2015189683A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 小林製薬株式会社 アキノワスレグサを含有する筋肉量増加剤及び筋萎縮改善剤

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JP2015189683A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 小林製薬株式会社 アキノワスレグサを含有する筋肉量増加剤及び筋萎縮改善剤

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