JP2001001027A - 高温鋼板の下面冷却装置及びその冷却方法 - Google Patents

高温鋼板の下面冷却装置及びその冷却方法

Info

Publication number
JP2001001027A
JP2001001027A JP11175126A JP17512699A JP2001001027A JP 2001001027 A JP2001001027 A JP 2001001027A JP 11175126 A JP11175126 A JP 11175126A JP 17512699 A JP17512699 A JP 17512699A JP 2001001027 A JP2001001027 A JP 2001001027A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling
cooling water
conduit
steel plate
steel sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11175126A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3449295B2 (ja
Inventor
Satoshi Kamioka
悟史 上岡
Hiroshi Kibe
洋 木部
Teruo Fujibayashi
晃夫 藤林
Takashi Uchimura
孝 内村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP17512699A priority Critical patent/JP3449295B2/ja
Publication of JP2001001027A publication Critical patent/JP2001001027A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3449295B2 publication Critical patent/JP3449295B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
  • Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 導管付噴水冷却装置による高温鋼板の均一冷
却技術の開発。 【解決手段】 導管付噴水冷却装置において、冷却水噴
射用ノズル6の内径d≧2mm、鋼板幅方向の噴流冷却水の
衝突点の当該間隔lwと導管7の内径Dとの比を 2≦lw/D
≦8とする。更に、2≦D/d≦8且つ5≦L/D(L:導管の
長さ)とする。導管7の上方への向きを鋼鈑搬送ローラ
ーの方向に湾曲ないし傾斜させて冷却能分布の均一化を
図る。冷却水噴射用ノズル6に供給する冷却水4の圧力
分布を均一化させるためのヘッダー5を設ける。導管7
から噴出する冷却水の噴出高さHをH≦1000mmとなるよ
うに冷却水を調節する。更に、鋼板の上面に対する冷却
能と下面に対する冷却能とが等しくなるように冷却水噴
出条件を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高温鋼板の下面
冷却技術に関するもので、特に高温鋼板の均一冷却を可
能とする導管付噴水冷却装置の改良及びこれを用いた高
温鋼板の下面冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、熱間圧延された高温鋼板は、
仕上げ圧延機を出たところで冷却装置を通過することに
よって冷却される。熱延鋼板や厚鋼板などの冷却装置
は、上面と下面とに分かれた複数のバンクにより構成さ
れており、上面ではスリットラミナー又はスプレー、下
面ではジェットやスプレーなどによる冷却が行われてい
る。このとき、鋼板が水平状態にあるため、鋼板上面の
冷却水は鋼板表面をその端部へ移動する間にこれを冷却
し、次いで鋼板外へ落下する。これに対して、鋼板下面
の冷却水は鋼板を冷却した直後、重力により落下する。
従って、鋼板の上面と下面とを同じ水量で冷却した場
合、上面では滞留水の影響により、下面と比較して冷却
能が強くなる。その結果、冷却終了後の鋼板の上面と下
面とではその温度が一致しないため、鋼板に歪が発生す
る原因となる。このため、例えばスプレー冷却を鋼板の
上下面に対して行った場合、下面冷却水量を上面冷却水
量の2.0〜3.0倍程度にして上面と下面の冷却能の
バランスを図っている。このように、鋼板の上面と下面
とを同時に冷却する場合、上面水量と比較して下面水量
を多くしなければならないので莫大な冷却水量が必要と
なり、設備コストやランニングコストの増大を招く。
【0003】この問題点を解決する手段に関して、従来
から種々の研究開発がなされており、例えば特公昭63
−4604号公報には、次のような高温鋼板の下面冷却
装置が開示されている。この装置は、高温鋼板の下方に
水槽が設けられ、冷却水噴射用ノズルが、その上端部即
ち先端部が水槽内水面下に没する位置に、鉛直上向きに
設けられ、更にこの冷却水噴射用ノズルの周囲を取り囲
んで、このノズル断面積より大きい断面積の内径を有
し、下端部が水槽内水面下に、上端部が水槽内水面上に
露出する長さを有する導管が設けられた構造のものであ
る(以下、「先行技術1」という)。以後、上記冷却装
置による冷却を導管付噴水冷却と呼ぶ。
【0004】先行技術1の導管付噴水冷却によれば、ノ
ズルから噴射された水は、水槽内の水を同伴して水面上
に噴出するため、水槽の上方に噴出する同伴水の流量
は、ノズルから噴射した水の流量の数倍となる。また、
高温鋼板の下面に衝突した冷却水は、その大半が水槽内
に落下して再度使用される。従って、この方法によれ
ば、単なるスプレー水による冷却方法に比べて冷却能が
優れており、しかも冷却水の利用効率がよい。また、ノ
ズル断面積よりも大きい断面積の内径を有する導管から
冷却水が噴出するため、あたかも大径ノズルによって冷
却されている場合と同様の冷却効果が得られる。
【0005】図11に、上記導管付噴水冷却の原理を説
明する図を示す。図11は、鋼板搬送方向に平行な鋼板
及び冷却装置等の鉛直断面図であり、高温鋼板1の下方
のテーブルローラー2a、2bの中央に、冷却水8が収
容された水槽3が設置されている。冷却水噴射用ノズル
6は、水槽3の底部3a及びヘッダー5上部を貫通して
鉛直上向きに設置されている。冷却水噴射用ノズル6
は、その上端を水槽内液面レベル8aより所定距離だけ
下に位置させることにより、完全に水没している。導管
7は、冷却水噴射用ノズル6より大径で、その下端部が
水面下に位置し、上端部は満水状態となる水槽内液面レ
ベル8aより上部に位置するような長さを有しており、
冷却水噴射用ノズル6の上端から所定間隔を空けて上方
に固定されている。
【0006】上述した鋼板下面の冷却装置によって冷却
水噴射用ノズル6からヘッダー5の冷却水4を噴射させ
ると、噴射された冷却水は、水槽内冷却水8を同伴して
導管7の先端から水面上に噴出される。導管7から噴出
する同伴水の水量は、冷却水噴射用ノズル6から噴射さ
れる噴射水の水量の数倍となるので、大流量の冷却水で
冷却を行った場合とほぼ同等の冷却能を得ることができ
る。導管7から噴射された同伴水は、高温鋼板1の下面
に衝突した後、水槽3内に落下する。従って、水槽内液
面レベル8aは常に初期レベルに維持される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した鋼板の下面冷
却装置によって、実際に高温鋼板の冷却を行う場合に
は、鋼板は幅が広く長さが長いので、鋼板の幅方向と長
さ方向にそれぞれ複数の冷却水噴射用ノズルと導管との
セット(以下、ノズル・導管ユニットという)を設ける
必要がある。しかし、鋼板に向かって導管から噴射され
た冷却水の衝突間隔が広くなると、衝突点から離れた領
域では、冷却水が重力のために落下するので、鋼板が冷
却水により冷却されない領域が発生する場合がある。こ
のような状態で、高温鋼板を通過させて冷却を行なう
と、鋼板には温度むらの発生、冷却能の低下、材質上の
不均一、及び歪の発生によるプレス等矯正工程増大の問
題が発生する。逆に、衝突点間隔を狭くすれば上記のよ
うな問題はなくなるが、冷却水噴射ノズルの本数を増や
すことが必要となり、冷却水量の増加、排水系の増強工
事や大容量ポンプが必要となり、コスト高を招く。
【0008】また、適正な冷却水量を導管から噴射でき
ない場合、例えば、水槽内の冷却水量が少ない場合には
同伴水が導管先端から鋼板まで到達せず、適正な冷却が
行なわれない。一方、水量が多い場合で、図12に示す
ように、冷却装置の上方に高温鋼板が存在しない場合に
は、導管7の設置角度によっても差が生じるが、冷却水
噴射用ノズル6から噴射され水槽内冷却水8を同伴した
噴流水の内数%が、水槽3の外に飛散するので、水槽3内
の液面8aが次第に低くなる。その結果、冷却水の噴射を
開始してから、ある時間が経過すると、水槽3内の液面
は破線8bで示すよう、導管7の下端よりも低くなる。そ
の結果、水槽内冷却水を同伴せず、冷却水噴射用ノズル
6から冷却水4が直接噴射する「吹き上がり現象」と呼
ばれる状態になる。
【0009】このような、吹き上がり現象が一度発生す
ると、水槽3の上方に噴射する水量は、水槽内冷却水8
の同伴がなされていた場合と比較して少なくなり、あた
かも、円管ジェット冷却と同様の噴射状態となる。その
後、鋼板1が冷却装置に入ると、図11で示した状態に
なり、冷却水は鋼板1に衝突して水槽3内に戻るため、再
び水槽内冷却水8の同伴が生じ、通常の導管付噴水冷却
が行なわれるようになる。その結果、鋼板のTop端にお
いて冷却能の低下や温度むらが発生する。
【0010】また、冷却水噴射用ノズル6の内径、導管
7の内径、導管7の長さが最適でない場合、冷却水噴射
用ノズル6から噴射された冷却水は、水槽内冷却水8に
十分運動量を与えることができないため、水槽内冷却水
8を同伴することができず、前記と同様な理由で吹き上
がり現象が発生する。この場合は、水槽内の液面レベル
と関係なく吹き上がり現象が発生するため、導管付噴水
冷却の特徴である、水槽内の水を同伴することにより少
ない水量で高い冷却能を得るという利点を生かすことが
できない。
【0011】実際に導管付噴水冷却装置の設計を行なう
にあたって、このような問題点を考慮した上で、温度む
らが無く、均一な冷却を行なうための指針に関する提案
は従来なされていない。
【0012】本発明の目的は、高温鋼板の下面を前記導
管付噴水冷却によって、少ない水量でかつ均一な温度分
布で冷却することが可能となる高温鋼板の下面冷却装置
及び高温鋼板の冷却方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記観点
から試験研究を重ねて詳細に検討した結果、水平状態で
冷却ラインを搬送される高温鋼板の下面側の冷却装置と
して、導管付噴水冷却装置を用い、その装置諸元を適切
に設計し、また、そのような装置を用いて適切な冷却条
件を設定すれば、所期目標を達成することができること
が明らかとなった。
【0014】請求項1記載の高温鋼板の下面冷却装置は
次の特徴を有するものである。まず、導管付噴水冷却装
置は下記の構成を有する。即ち、水平な高温鋼板の下方
部に設けられた水槽と、その水槽に満たされた冷却用水
の水面下に没する位置にあって鉛直上向きに噴射口が向
けられた冷却水噴射用ノズルと、その冷却水噴射用ノズ
ルの外径よりも大きな内径を有し、下端が冷却水噴射用
ノズルの噴射口よりも高い位置に位置し、上端が上記冷
却用水の水面よりも高い位置に位置し、その下端及び上
端が共に開口しており、軸心が冷却水噴射用ノズルの軸
心と一致している導管と、冷却水噴射用ノズルに上記冷
却水を供給する冷却水供給機構とからなっている。上記
冷却装置において、冷却水噴射用ノズルと導管とでノズ
ル・導管ユニットが構成され、鋼板の幅方向に所定のピ
ッチで所定数のユニットが配設されている。鋼板の幅方
向に並んだユニット横列が、鋼板の長さ方向に所定のピ
ッチで所定数が配設されている。
【0015】このような導管付噴水冷却装置において、
冷却水噴射用ノズルの内径dがd≧2mmであって、導管か
ら噴出する冷却水の軸心の鋼板との衝突点の鋼板幅方向
の間隔lwと、導管の内径Dとの比lw/Dが 2≦lw/D≦8で
ある。
【0016】請求項2記載の高温鋼板の下面冷却装置
は、請求項1記載の発明において、更に、導管の内径D
と冷却水噴射用ズルの内径dとの比D/dが2≦D/d≦8を
満たし、且つ導管の長さLと導管の内径Dとの比L/Dが5
≦L/Dを満たすことが付加されていることに特徴を有す
るものである。
【0017】請求項3記載の高温鋼板の下面冷却装置
は、請求項1又は2記載の冷却装置において、更に、導
管の上方への向きが、高温鋼板を搬送するためのテーブ
ルローラーの方向に湾曲もしくは傾斜していることに特
徴を有するものである。
【0018】請求項4記載の高温鋼板の下面冷却装置
は、請求項1〜3記載の冷却装置のいずれかにおいて、
更に、水槽の下部に、冷却水噴射用ノズルに供給する冷
却水の圧力分布を均一化させるためのヘッダーが配設さ
れていることに特徴を有するものである。
【0019】請求項5記載の高温鋼板の下面冷却方法
は、請求項1〜4記載の冷却装置のいずれかを用いて鋼
板の下面を均一に冷却することに特徴を有するものであ
る。
【0020】請求項6記載の高温鋼板の下面冷却方法
は、請求項5記載の冷却方法のいずれかにおいて、導管
から噴出する冷却水の噴出高さHがH≦1000mmとなるよ
うに、冷却水噴射用ノズルに供給する冷却水の供給条件
を調節することに特徴を有するものである。
【0021】請求項7記載の高温鋼板の冷却方法は、請
求項6記載の冷却方法のいずれかに、更に、鋼板の上面
に対する冷却能と下面に対する冷却能とが等しくなるよ
うな冷却水噴出条件を付加することに特徴を有するもの
である。
【0022】
【発明の実施の形態】一般に、水冷では冷却の形態が3
つ存在する。図1は、冷却条件を一定にした場合の高温
鋼板の冷却過程における鋼板表面温度と熱流束との関係
を説明する図である。高温鋼板を冷却すると、まず鋼板
表面と冷却水との間に蒸気膜が存在する膜沸騰状態にな
る。これは鋼板の表面温度が非常に高いために、冷却水
は鋼板表面に到達する前に蒸発し、直接鋼板に接触する
ことの無い沸騰現象で、常に鋼板と冷却水との間には、
蒸気膜が存在しており、熱流束は小さく、冷却能が小さ
い。鋼板表面温度が下がってくるとやがて膜沸騰から遷
移沸騰へと移行する。この移行点の熱流束は一般的に極
小熱流束点と呼ばれる。遷移沸騰領域では鋼板表面を覆
っていた安定した蒸気膜はもはや安定に存在できなくな
り、局所的に蒸気膜が崩壊して、冷却水と鋼板表面が直
接接触を起こすようになる。その時、熱流束は急激に増
大し、沸騰状態は遷移沸騰へと移行する。さらに、鋼板
表面温度が低下すると今度は蒸気膜が存在しなくなり、
鋼板のほぼ全面が冷却水と接触し、局所的に蒸気泡が発
泡した状態、即ち核沸騰になる。この時、熱流束は極大
点に達した後に徐々に減少する。
【0023】沸騰現象には、以上説明した膜沸騰、遷移
沸騰及び核沸騰の3つの状態が存在するが、その伝熱特
性は温度の降下と共に熱流束が減少する膜沸騰及び核沸
騰と、温度の降下と共に熱流束が増大する遷移沸騰とに
分けられる。従来の方法で高温鋼板を冷却する場合、ど
んなに均一な冷却を行なおうとしても、圧延後の鋼板表
面温度や表面性状が均一でないため、冷却過程で局所的
な温度むらが発生する。これは前述の沸騰形態を用いて
次のように説明することができる。
【0024】即ち、高温鋼板を冷却していくと、膜沸
騰、遷移沸騰、次いで核沸騰を通過して低温に到達する
が、鋼板の表面温度が膜沸騰領域から遷移沸騰領域にな
ると同時に急激に熱流束が増大する。このため、鋼板の
初期温度分布や表面性状の違いにより、鋼板各部分で膜
沸騰から遷移沸騰へ移行するタイミングのずれが発生
し、そのためある瞬間で鋼板内では膜沸騰で冷却されて
いる部分と核沸騰で冷却されている部分とで大きな温度
差が生じる。これが、冷却後の鋼板に、温度むら、平坦
度不良、残留応力、あるいは材質むらを生じさせる原因
である。従って、鋼板冷却の初期段階で膜沸騰が発生し
ない冷却条件を実現することにより、均一な温度分布で
冷却することができ、歪のない鋼板を製造することがで
きることに着眼した。
【0025】以上の観点から、本発明者等は種々の冷却
方式を用いて詳細に検討を行なった結果、投入水量に対
して噴出水量を増大させることができる導管付噴水冷却
装置が最も有効であるとの結論に至った。この冷却装置
を最適化して高温鋼板の冷却に使用したところ、温度む
らのない鋼板を製造することができた。
【0026】次に、本発明の実施の形態を、図を参照し
ながら詳細に説明する。本発明の高温鋼板の下面冷却装
置の構造は、図11に示した導管付噴水冷却装置を改良
するものであり、前述した通りにその設計諸元を決めた
理由を説明する。図2(a)、(b)に、導管付噴水冷
却装置の各部位の定義及びその幾何学的な関係を示す。
【0027】ここで、 lW:鋼板幅方向に並んだ冷却水噴射用ノズル6の列(ノ
ズル横列という)中のノズル6のピッチ lL:鋼板長手方向に並んだ冷却水噴射用ノズル6の列
(ノズル縦列という)中のノズル6のピッチ 但し、ノズル6は、所謂千鳥状に配置されている。 d :冷却水噴射用ノズル6の内径 D:導管7の内径 L : 導管7の長さ H : 導管7から噴出する冷却水の噴出高さ H' :導管7の先端から鋼板までの高さ 次に、この発明の冷却装置の諸元及び冷却条件を上述し
た通り限定した理由を説明する。
【0028】(1)冷却水噴射用ノズルの内径d 冷却水噴射用ノズル6の内径dが小さいほど、噴射冷却水
の圧力損失が大きくなる。この圧力損失は、冷却水噴射
用ノズル6管内を流れるときの摩擦による圧力損失と、
冷却水が冷却水噴射用ノズル6に流入する時の圧力損失
とからなり、下記式(1)で表わすことができる。
【0029】
【数1】 (1) 但し、 ΔP :圧力損失ヘッド [m] λ :冷却水噴射用ノズル管内摩擦係数 =0.3146Re1/4 ここで、Reはレイノルズ数Re=Va d/ν ν : 動粘性係数 [m2/s] L0:冷却水噴射用ノズル6の長さ [m] Va:冷却水噴射用ノズル内流速 [m/s] g :重力加速度 [m2/s]
【0030】ξ:ヘッダー5から冷却水噴射用ノズル6
に流入するときの損失係数≒0.5 上記式(1)において、右辺第一項目は、冷却水がノズ
ル6管内を流れるときの摩擦損失であり、第二項目は、
冷却水がノズル6に流入するときの損失である。通常、
工業用に使用されているポンプの噴出圧力は6kg/cm2
度が最も多いため、式(1)により求まる圧力損失は6kg/c
m2以下にしなければ冷却水噴射用ノズル6から冷却水を
噴射させることができない。また、直接焼入れの熱処理
を目的として冷却を行なう場合は、鋼板の上面側で1000
l/min.m2以上の水量を噴射しなければ焼き入れに必要
な冷却速度を得ることができない。一方、鋼板を冷却す
る場合、上面側は鋼板上に冷却水が滞留するが、下面側
は重力の影響で冷却水は鋼板に衝突後落下する。従っ
て、下面側の冷却水量は上面側の冷却水量の2〜3倍程度
に増やさなければならない。即ち、下面側は2000〜3000
l/min. m2程度の水量が必要となる。
【0031】そこで、許容圧力損失として所定値を与え
た場合に噴射可能限界となる、ノズル内流速Va limitと
ノズル内径dとの関係、及びノズルからの噴射流量Qd l
imitとノズル内径dとを求める。式(1)においてVaを
Va limitとおいた式を変形して、式(2)が得られる。
【0032】
【数2】 (2)
【0033】これから、ノズル内径dとノズル1本当た
りからの噴射限界流量Qd limitとの関係を求めると、式
(3)になる。
【0034】
【数3】 (3) 但し、 Qd limit : 噴射限界流量 [m3/s] Va limit : 噴射限界流速 [m/s]
【0035】よって、単位面積当たりに投入する必要が
ある水量Q'と、導管内径Dとノズル内径dの比D/dとか
ら、鋼板下面単位面積当たりのノズル本数Nを、式
(4)により求めることができる。
【0036】
【数4】 (4) 但し、 Q' : 冷却に必要な単位面積当たりの水量 [m3/s] N : 単位面積当たりのノズル本数 [本/m2]
【0037】よって、式(2)〜(4)より、D/d=8、L/D=
5、圧力損失ΔP=6kg/cm2のとき、冷却に必要な単位面
積当たりの水量Q’が3000l/min.m2となるときに必要
な単位面積当たりのノズル本数とノズル内径dとの関係
を求めると、図3に示す通りである。これより、冷却水
噴射用ノズルの内径dが2mm以下になると急激に多くのノ
ズル本数を必要とすることがわかる。このことから、d
を2mm以下にするとノズル本数の増化のために建設コス
トが高くなる。また、一般的に使われている工業用水で
はスラッジ等を多く含むため、ノズルの詰まりが発生し
やすいので、内径2mm以上の冷却水噴射用ノズルが必要
となる。以上によりこの発明では、冷却水噴射用ノズル
6の内径dは、d≧2mmに限定した。
【0038】(2)鋼板幅方向のノズルピッチlwと導管
内径Dとの比lw/D 鋼板幅方向のノズルピッチlwと導管内径Dの関係は、最
も重要な因子である。導管から噴射された冷却水は、鋼
板に衝突した後、鋼板に平行に流れる。しかし、重力の
影響があるため、ある距離までは、鋼板と平行に流れる
ものの、その後落下してしまう。また、実際に高温鋼板
の下方から冷却水を噴射すると、重力の影響のみなら
ず、衝突点から鋼板に平行に流れていた水はある距離だ
け離れたところで、運動量が減衰するため膜沸騰が発生
してしまい、常温の鋼板に冷却水を衝突させた場合と比
較して、はるかに短い距離で落下が始まる。最適なノズ
ルピッチlwを調べるために、小型の導管付噴水冷却装置
を製作して、熱間実験を行なった。
【0039】実験は板厚30mm、板幅500mm、板長1000mm
の炭素鋼を加熱して、鋼板の下面側表面温度が800℃に
なった時点で霧吹きにより温度むらを10℃程度つけた状
態で、小型の導管付噴水冷却装置を用い、投入水量、即
ち冷却水噴射用ノズル出口水量Qdを、15〜35l/minの範
囲内で変化させて冷却を行った。ここで、導管内径D=27
mm、冷却水噴射用ノズル内径d=6mmとして、導管先端か
ら鋼板下面までの距離H’を140mmとし、15秒間冷却
した。冷却後の鋼板下面側の表面温度を走査型放射温度
計により測定し、その温度偏差を求めた。その結果を図
4に示す。
【0040】この実験により、鋼板下面側の表面温度偏
差が10℃以上に拡大しない条件にするためには、鋼板幅
方向のノズルピッチlwと導管内径Dとの比lw/Dを、2≦lw
/D≦8にしなければならないことが分かる。冷却初期の
段階で、膜沸騰が発生している場合には、先に述べた原
理より霧吹きでつけた初期温度むらが拡大していくが、
2≦lw/D≦8の条件下で適正な水量により冷却を行なえ
ば、温度むらが拡大せず、膜沸騰が完全にない状態で冷
却できることが実証できた。
【0041】(3)導管の内径Dと冷却水噴射用ノズル
の内径dとの比D/d 鋼板長手方向のノズルピッチl Lの大きさ如何は、鋼板
の通過冷却を行っている場合は、下面の冷却能と上面の
冷却能とが冷却バンク単位で釣合っているかぎり、鋼板
の温度むら発生原因とはならない。この場合、各冷却装
置の幾何学的寸法により、実験室的に鋼板の幅方向及び
長さ方向のノズル最適ピッチを求めることができる。但
し、鋼板幅方向のノズル配置は、鋼板の均一冷却をする
ためには、lw/Dの値が上記条件である2≦lw/D≦8を満た
し、一直線上に配置する必要がある。また、テーブルロ
ーラー上の鋼板の搬送を停止して行なう一斉冷却をした
場合は、均一冷却をするために、鋼板長手方向のノズル
ピッチl Lは、必ず鋼板幅方向のノズルピッチlwと一致
させる必要がある。
【0042】この導管付噴流では、投入水量、即ち冷却
水噴射用ノズル出口流量Qdと、水槽内の冷却水を同伴
して導管から噴出される導管出口流量QDとの間には、
次の関係がある。冷却水噴射用ノズル及び導管から噴出
される噴射水の運動量保存の法則より、
【0043】
【数5】 (5) が得られる。一方、冷却水量に関して、
【0044】
【数6】 (6)
【0045】
【数7】
【0046】(7) となる。但し、 Qd : 冷却水噴射用ノズル6から噴出する水量 QD : 導管7から噴出する水量 Vd : 冷却水噴射用ノズル6から噴射する冷却水の流速 VD : 導管7から噴射する冷却水の流速 π : 円周率(=3.14)
【0047】式(5)より、式(8)の関係が導かれ、
【0048】
【数8】 (8)
【0049】式(6)及び(7)より、式(9)が導かれる。
【0050】
【数9】 (9)
【0051】従って、式(8)及び(9)から下記式(10)の関
係が導かれる。
【0052】
【数10】 (10)
【0053】即ち、投入水量である冷却水噴射用ノズル
6から噴射される冷却水量Qdを基準として、導管7から
噴出する水量QDをより多くするためには、導管内径Dと
冷却水噴射用ノズル内径dの比D/dを大きく取ればよい。
ただし、D/d>8とすると、ノズルから噴射される冷却水
の運動量が水槽内の同伴流にうまく伝達されず、いわゆ
る吹き上がり現象が発生する傾向が生じる。吹き上がり
現象が発生すると、噴射される冷却水量QDは同伴水が
ある場合と比較して、数分の1の水量になり、さらに冷
却水噴射用ノズル内径dが導管内径Dの数分の1である
ため、鋼板幅方向のノズルピッチlwと導管内径Dの比率l
w/ Dが見かけ上大きくなり、図4で示したように、均一
に冷却することができない。また、D/dが2より小さい場
合は、同伴効果がほとんど無く、均一な温度分布で冷却
を行うためには、莫大な投入冷却水が必要となる。以上
により、この発明では、導管7の内径Dと冷却水噴射用ノ
ズル6の内径dとの比D/dを、2≦D/d≦8に限定するのが望
ましい。
【0054】(4)導管長さLと導管内径Dとの比L/D 導管長さLと導管内径Dとの関係は次の通り決めた。即
ち、冷却水噴射用ノズルから噴射された冷却水が導管を
通る際にその流れに発生した乱れを十分に減衰させて、
なおかつ冷却水噴射用ノズルから供給される冷却水の運
動量を水槽内の同伴流に十分伝えることにより吹き上が
り現象が発生しないように設定することが重要である。
そのための条件として、この発明では5≦L/Dに限定し
た。
【0055】(5)導管の湾曲ないし傾斜 次に、一般の鋼板製造ラインでは、通常、テーブルロー
ラーによって鋼板を搬送しているので、直管の導管を鉛
直上方に向けて用いると、テーブルローラー近傍におけ
る冷却が十分ではないので、上下面でその冷却能分布を
一致させることが難しい場合がある。この場合には、図
5に示すように、テーブルローラー2a、2b近傍の導
管10、10をテーブルローラー2a、2b側に湾曲さ
せることにより、鋼板とテーブルローラーの隙間に冷却
水を流し込むことによって上下面で冷却能分布を一致さ
せることが可能となる。この場合においても、均一な鋼
板冷却をするためには、鋼板幅方向のノズルピッチ(l
w)と導管内径(D)との比を本発明の要件を満たすよう
にすることが必要である。なお、図5に示した例では、
ノズル横列(鋼板幅方向に並んだノズル列)3列の内、
前列及び後列を湾曲させているが、鋼板上面の冷却の型
式によっては、前列又は後列の一方のみ、あるいは3列
全部を適宜、湾曲させても構わない。また、導管は湾曲
させる代わりに、適宜傾斜させても同等の効果を得るこ
とができる。
【0056】(6)冷却水噴射用ノズルのヘッダー また、各冷却水噴射用ノズルから噴射される水量のバラ
ツキを防止し、安定した噴水高さを得ることにより、一
層良好な鋼板冷却をすることができる。そのためには、
冷却水噴射用ノズルに供給される冷却水の水圧分布を均
一化させるために、冷却水噴射用ノズルの手前に、冷却
水を一旦溜めるためのヘッダー5を設けるのが効果的で
ある。図6は、水槽の下部に冷却水噴射用ノズルのヘッ
ダー5を設け、そのヘッダー5の構造を二重管とした場
合の鋼板下面冷却装置の鉛直断面図であり、(a)はそ
の冷却ライン横断面方向、(b)は縦断面方向である。
ヘッダー5は、鋼板幅方向に長い二重管構造となってお
り、内側に均圧管9がその中心軸をヘッダー5の軸心に一
致させて設置されている。また、均圧管9には、両側か
ら冷却水4が供給できる構造となっており((a)参
照)、供給された冷却水4は均圧管9の周面下部の穴より
ヘッダー5内周下部に噴出し、ヘッダー5内周上部に回
流する。冷却水噴射用ノズル6のヘッダー5に供給され
た冷却水は、上端部に設置されている冷却水噴射用ノズ
ル6から噴出する。
【0057】このような構造にすると、ヘッダー5内で
の冷却水の流れが複雑になり、ヘッダー5内の一部に偏
った流れとならないので、ヘッダー5の上端部5aでの水
圧分布は均一となり、冷却水噴射用ノズル6から噴射さ
れる冷却水は、鋼板長手方向及び幅方向に対して均一に
噴射することができる。この例ではヘッダー5を二重管
構造としたが単管であっても、冷却水噴射用ノズル6管
内流速が常に2m/s以下となるように設計すれば同等の効
果を期待できる。また、冷却水を上述したように均圧管
9の両側から供給するという2系統のみからに留めず、3
あるいは4系統からというように、より多数の系統から
供給すれば、一層水圧分布の均一化を図ることができ
る。
【0058】(7)導管から噴出される冷却水の噴出高
さH 導管7から噴出される冷却水の噴出高さHは、1000mm以上
とすると、下面冷却装置上に鋼板が無い場合に冷却装置
外に散逸しやすくなる。この結果、水槽内の液面高さが
導管の下端より低くなるため、吹き上がり現象が発生し
て、上記で述べた理由で冷却能が低くなる。また、この
場合は、吹き上がり現象が発生した後に、下面冷却装置
の上に高温鋼板が搬送されると、水槽内に冷却水が戻る
ため、同伴が始まり、適正な噴水状態となる。このた
め、鋼板のTop端のみが冷却不足となる。以上の理由の
ため、導管7から噴出される冷却水の噴水高さHは、1000
mm以下に限定した。但し、噴水高さHの下限値として
は、冷却水が鋼板下面に十分に到達する高さを必要と
し、導管付噴水冷却の常法における噴水高さと、導管上
端と鋼板下面間の距離との差を参考にして適宜決める。
【0059】(8)鋼板上下面の冷却能バランス 各冷却バンクにおいて、トータルの抜熱量が鋼板上面と
下面において一致していれば、冷却バンク出側において
鋼板上下面の温度は一致する。しかし、鋼板長手方向の
冷却能分布が大きく異なると、冷却の過程で鋼板の上下
面に大きな温度偏差が発生し、その結果歪が発生するこ
とが有る。例として上面と下面の長手方向の冷却能分布
が図7(a)、(b)のようになっている場合を考え
る。この時、ハッチングで表せる面積が冷却面の上面と
下面で一致している場合は、鋼板上下面において図8に
示すように、冷却過程で温度偏差が発生したのち、最終
的に同一の温度となる。
【0060】高温鋼板は、温度が低くなると収縮するの
で、冷却過程における鋼板上下面の温度偏差に対応して
応力が発生する。この時、上下面の温度差に起因した鋼
板の応力が弾性変形の範囲であれば、図9のCASE1のよ
うな変形の過程をたどり最終的な歪は、発生しない。し
かし、CASE2,3のように冷却の過程で塑性変形が発生す
ると、塑性応力が残留する為、冷却後の鋼板には歪が発
生する。そこで、極力長手方向における冷却面の上面と
下面において、冷却能分布を極力一致させて、冷却過程
における鋼板の上下面における温度偏差を減らし、弾性
変形の範囲で冷却することが好ましい。
【0061】以上よりわかるように、請求項1に係る発
明の装置は主として、高温鋼板の下面を均一に冷却する
ことができる装置に関するものであり、請求項2に係る
発明の装置は高温鋼板の下面の均一冷却に加えて更に、
下面ノズルからの冷却水吹き上がり現象を確実に防止し
得るものである。従って、請求項1の要件を完全に満た
していれば、請求項2に係る発明の要件を完全には満た
していなくても大きく外れていない限り、請求項1の冷
却装置を適宜用いて、鋼板表面の温度偏差、鋼板の歪
量、あるいは鋼板材質規格の各許容範囲に応じた、目的
とする鋼板冷却を行なうことができる。また、請求項3
に係る発明の装置で鋼板を冷却すれば、鋼板上下面の冷
却能分布を確実に等しくすることが可能となるので、一
層均一な温度分布で歪が少ない鋼板製造が可能な冷却が
可能となり、請求項4に係る発明の装置で鋼板を冷却す
れば、冷却水噴射用ノズルからの噴出冷却水量が一層安
定するので、冷却条件の変動が抑制され、より安定した
鋼板冷却が可能となる。
【0062】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に説明す
る。
【0063】図10に、この発明の高温鋼板の下面冷却
装置を用いて、圧延後の厚鋼板を冷却した場合のライン
方向の概略鉛直断面図を示す。幅5000mmの搬送機構を有
するラインにおいて、鋼板1を挟んでその上下で1対をな
すの拘束ロール11a,11bが900mmピッチで10組設けられ、
拘束ロール11a,11bの各組相互間が冷却バンクになって
いる。各冷却バンクの鋼板上面側にはスリットラミナー
ノズル12が設けられており、ここから冷却水を噴射させ
た。また、各冷却バンクの鋼板下面側には導管付噴水冷
却装置13が設置されている。
【0064】表1及び表2に、実施例及び比較例の下面
冷却装置である導管付噴水冷却装置13の各部寸法および
冷却水量等の試験条件を示す。なお、この導管付噴水冷
却装置13では、下側の拘束ロール11b近傍を冷却するこ
とができるように、ライン方向中央部の導管を除いた導
管を拘束ロール11bの方向に向けて湾曲させてある。ま
た、各ノズル横列内の板幅方向ノズルピッチ(lw)は等
しいが、前後の隣接するノズル横列同士間で、幅方向ノ
ズルピッチの1/2長さだけずらした所謂千鳥配置とし
た。冷却水噴射用ノズルのヘッダーは、図6に示した二
重構造とした。なお、鋼板の冷却ラインの入側と出側に
は、高温鋼板の下面側の温度プロフィールを計測するた
めの走査型放射温度計14a及び14bを設置した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】このような冷却装置に、温度800℃の板厚3
0mm、板幅3500mm、板長15000mmの厚鋼板を、表1及び表
2に示した条件で50mpmの速度で通過させつつ冷却し
た。表3に、冷却後の厚鋼板の平均温度、冷却速度、板
の長手及び幅方向の温度偏差、歪み発生状況、冷却水の
吹き上がり現象の有無、および厚鋼板冷却の総合的な評
価を示す。
【0068】
【表3】
【0069】実施例1では、請求項1の要件は満たして
いるものの、導管内径Dと冷却水噴射用ノズル内径dの比
D/dが8.4であり、請求項2のD/dの上限値8よりわずか
に大きい。そのため、冷却水噴射用ノズルから噴射され
た水は水槽内の冷却水を完全には同伴させることができ
なかったものの、噴出状況は比較的安定していた。その
ため、冷却水噴射から鋼板が冷却装置に搬送されるまで
の間に、吹き上がり現象の発生は無かった。冷却後の鋼
板温度は、TOP端がBOTTOM端と比較して25℃程度高かっ
たが、幅方向の温度むらおよび歪の発生は無かった。
【0070】また、冷却後の鋼板平均温度は530℃であ
り、冷却能としては問題はなかった。さらに、常温まで
放冷した後、鋼板の各位置で材質の測定を行ったとこ
ろ、各位置でバラツキがあったものの許容範囲内の強度
・硬度を得ることができた。
【0071】実施例2では、請求項1の要件は満たして
いるものの、導管長さLと導管内径Dの比L/Dが4.5であ
り、請求項2のL/Dの上限値5よりわずかに小さい。そ
のため、冷却水噴射用ノズルから噴射された水は水槽内
の冷却水を完全には同伴させることができなかったもの
の、噴出状況は比較的安定していた。そのため、冷却水
噴射から鋼板が冷却装置に搬送されるまでは吹き上がり
現象は発生しなかった。冷却後の鋼板温度は、TOP端がB
OTTOM端と比較して25℃程度高かったが、幅方向の温度
むらおよび歪の発生は無かった。また、冷却後の鋼板平
均温度は実施例1と同じく530℃であり、冷却能としては
問題はなかった。さらに、常温まで放冷した後、鋼板の
各位置で材質の測定を行ったところ、各位置でバラツキ
があったものの許容範囲内の強度・硬度を得ることがで
きた。
【0072】実施例3では、請求項1の要件は満たして
いるものの、導管から噴出される同伴水の噴出高さHが1
053mmであり、請求項6のHの上限値1000mmよりわ
ずかに高い。そのため、冷却水量が増大したが、噴出高
さが高いことによる噴流水の散逸は比較的少なかったた
め、冷却水噴射から鋼板が通過するまでの間は、吹き上
がり現象の発生はなかった。冷却後の鋼板温度は、鋼板
のTOP端がBOTTOM端と比較して25℃程度高かったが、幅
方向の温度むら及び歪の発生は無かった。また、冷却後
の鋼板平均温度は実施例1と同じく、530℃であり、冷
却能としての問題はなかった。さらに、常温まで放冷し
た後、鋼板の各位置で材質の測定を行ったところ、鋼板
のTOPとBOTTOMでバラツキがあったものの許容範囲内の
強度・硬度を得ることができた。
【0073】実施例4では、請求項2の要件を満足して
いる。その結果、長手方向及び幅方向共にほぼ均一に冷
却がなされており、吹き上がり現象、歪等の発生はなか
った。また、冷却後の鋼板平均温度は実施例1より10
℃低く520℃となった。さらに、常温まで放冷した後、
鋼板の各位置で材質の測定を行ったところ、どの位置で
もほぼ同等の強度・硬度を得ることができた。
【0074】実施例5では、請求項2の要件を満足して
いる。その結果、冷却後の鋼板は長手及び幅方向にほぼ
均一に冷却がなされており、吹き上がり現象、歪等の発
生はなかった。また、冷却後の鋼板平均温度は実施例1
より10℃低く520℃となった。さらに、常温まで放冷
した後、鋼板の各位置で材質の測定を行ったところ、ど
の位置でもほぼ同等の強度・硬度を得ることができた。
ただし、冷却水噴射用ノズル径が実施例1と比較して大
きくなっているため、冷却水量が実施例1より増えてい
る。このため、ノズル内径は10mm以下が望ましい。
【0075】比較例1では、冷却水噴射用ノズルの内径d
が1mmであり、請求項1のdの下限値2mmより小さ
い。そのため、下面冷却水を噴射して数秒後に下面ノズ
ルの詰まりが発生した。そのため、噴射圧力が実施例と
比較して、噴射圧力が2.5倍となりポンプにかかる負荷
が増大した。また、ノズルの詰まりの結果、それぞれの
ノズルで噴出高さがばらついており、幅・長手方向で最
大100℃の温度差が発生した。また、冷却後の鋼板平均
温度も実施例1と比較して60℃高く、冷却能が低くなっ
た。さらに、鋼板内で100℃の温度偏差がついたため、
鋼板に歪が発生し、プレス等の矯正工程が必要となっ
た。常温まで放冷した後、鋼板の各位置で材質の測定を
行ったところ、強度、硬さ等が鋼板の各位置で大きく異
なり、材質不良が発生した。
【0076】比較例2では、幅方向のノズルピッチlwと
導管内径Dの比lw/Dが11.5となっており、請求項1のlw/
Dの上限値8より大きい。幅方向のノズルピッチが広す
ぎるために、鋼板に衝突した冷却水が重力の影響で落下
してしまい、冷却がなされない領域が発生した。その結
果、平均的な下面側の冷却能が低下したため、冷却後の
平均鋼板温度は実施例1と比較して70℃高くなった。ま
た、下面側の冷却能が低いために、冷却中の鋼板の上下
面温度がアンバランスとなり歪が発生した。その結果、
プレス等の精整工程を必要とした。また、常温まで放冷
した後、鋼板の各位置で材質の測定を行ったところ、温
度不均一が発生したため、強度、硬さ等が鋼板の各位置
で大きく異なり、材質不良が発生した。
【0077】比較例3では、ノズル横列を長手方向に3
列と減らしたため、下面側の冷却能が低下して、冷却後
の平均鋼板温度は実施例1と比較して60℃高くなった。
また、鋼板長手方向の上下面で冷却能分布がアンバラン
スとなり、鋼板に歪が発生した。その結果、プレス等の
精整工程を必要とした。また、常温まで放冷した後、鋼
板の各位置で材質の測定を行ったところ、温度不均一が
発生したため、強度、硬さ等が鋼板の各位置で大きく異
なり、材質不良が発生した。
【0078】以上のことから、本実施例では、請求項
1を満たした場合は、長手方向の温度むらが多少発生す
るが、幅方向温度偏差、冷却能力不足、鋼板の歪、材質
不良等の問題は発生せず、均一冷却が達成された。更
に、請求項2を完全に満たした場合は、幅及び長手方向
の温度偏差、冷却能力不足、鋼板の歪、材質不良等の問
題は、全く発生しなかった。このことから実施例で操業
することにより鋼板の材質が安定したことにより歩留り
が高くなり、また、精整工程の省略が可能となったた
め、鋼板の製造コストが安くなった。
【0079】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
鋼板冷却時における鋼板下面側の温度分布を均一とする
ことが可能であり、鋼板の均一冷却が可能となった。そ
の結果、鋼板の材質が安定化し、また、鋼板歪みが減少
してプレス等による矯正工程が減少し、鋼板歩留が上昇
する。このような高温鋼板の下面冷却装置及びその冷却
方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたら
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温鋼板の冷却過程における鋼板表面温度と熱
流束との関係を説明する図である。
【図2】本発明における導管付噴水冷却装置の各部位の
定義及びその幾何学的な関係を説明する図である。
【図3】本発明の導管付噴水冷却装置を用い、所定の冷
却条件下において所定の冷却に必要な単位面積当たりの
ノズル本数とノズル内径との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の導管付噴水冷却装置を用いたときの、
鋼板幅方向ノズルピッチと導管内径との比と、冷却投入
水量と、鋼板に発生した温度偏差との関係を示した図で
ある。
【図5】本発明の導管付噴水冷却装置における湾曲導管
の例を示す図である。
【図6】本発明の導管付噴水冷却装置における均圧ヘッ
ダーの構造例を示す図である。
【図7】冷却バンク入側から出側に至る鋼鈑上下面の冷
却能分布の一例を示す模式図である。
【図8】図7の鋼鈑上下面冷却能分布の場合の上下面の
温度偏差の変化を説明する模式図である。
【図9】図8の鋼鈑上下面の温度偏差の変化があった場
合の歪み発生限界を説明する模式図である。
【図10】本発明の導管付噴水冷却装置による圧延後の
高温厚鋼板冷却工程のライン方向概略鉛直断面図であ
る。
【図11】導管付噴水冷却の原理を説明するライン方向
概略鉛直断面図である。
【図12】導管付噴水冷却装置における吹き上がり現象
を説明する図である。
【符号の説明】
1 高温鋼板 2a テーブルローラー 2b テーブルローラー 3 水槽 3a 水槽底部 3b 水槽壁面 4 冷却水噴射用ノズルへの冷却水 5 冷却水噴射用ノズルのヘッダー 5a ヘッダー上端部 6 冷却水噴射用ノズル 7 導管 8a 水槽内液面レベル 8b 吹き上がり現象が発生する液面レベル 9 均圧管 10 湾曲導管 11a 拘束ロール 11b 拘束ロール 12 上面スリットラミナーノズル 13 下面導管付噴水冷却装置 14a 冷却装置入側の下面放射温度計 14b 冷却装置出側の下面放射温度計 15 水槽内の冷却水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤林 晃夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 内村 孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平な高温鋼板の下方部に設けられた水
    槽と、当該水槽に満たされた冷却用水の水面下に没する
    位置にあって鉛直上向きに噴射口が向けられた冷却水噴
    射用ノズルと、当該冷却水噴射用ノズルの外径よりも大
    きな内径を有し、下端が当該冷却水噴射用ノズルの前記
    噴射口よりも高い位置に位置し、上端が前記冷却用水の
    水面よりも高い位置に位置し、当該下端及び上端が共に
    開口し、軸心が前記冷却水噴射用ノズルの軸心と一致し
    ている導管と、前記冷却水噴射用ノズルに当該冷却水を
    供給する冷却水供給機構とからなる高温鋼板の下面冷却
    装置において、 前記冷却水噴射用ノズルと前記導管とからなるノズル・
    導管ユニットは、前記鋼板の幅方向に所定のピッチで所
    定数が配設されてノズル・導管ユニット横列を構成し、
    当該ユニット横列は、前記鋼板の長さ方向に所定のピッ
    チで所定数が配設されており、そして、 前記冷却水噴射用ノズルの内径dは、d≧2mmを満たし、
    前記導管からの噴流冷却水の中心の前記鋼板との衝突点
    の当該鋼板幅方向の間隔lwと、前記導管の内径Dとの比l
    w/Dは 2≦lw/D≦8を満たしていることを特徴とする、
    高温鋼板の下面冷却装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の冷却装置において、更
    に、前記導管の内径Dと前記ノズルの内径dとの比D/dが
    2≦D/d≦8を満たし、且つ前記導管の長さLと当該導管
    の内径Dとの比L/Dが5≦L/Dを満たすことが付加されて
    いることを特徴とする、高温鋼板の下面冷却装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の冷却装置におい
    て、更に、前記導管の上方への向きが、前記高温鋼板を
    搬送するためのテーブルローラーの方向に湾曲もしくは
    傾斜していることを特徴とする、高温鋼板の下面冷却装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の冷却装置のいずれか
    において、更に、前記水槽の下部に、前記冷却水噴射用
    ノズルに供給する冷却水の圧力分布を均一化させるため
    のヘッダーが配設されていることを特徴とする、高温鋼
    板の下面冷却装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の冷却装置のいずれか
    を用いて前記鋼板の下面を均一に冷却することを特徴と
    する、高温鋼板の下面冷却方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の冷却方法のいずれかにお
    いて、前記導管から噴出する冷却水の噴出高さHがH≦
    1000mmとなるように、前記冷却水噴射用ノズルに供給す
    る冷却水の供給条件を調節することを特徴とする、高温
    鋼板の下面冷却方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の冷却方法のいずれかに、
    更に、前記鋼板の上面に対する冷却能と下面に対する冷
    却能とが等しくなるように冷却水噴出条件を調整するこ
    とを付加することを特徴とする、高温鋼板の冷却方法。
JP17512699A 1999-06-22 1999-06-22 高温鋼板の下面冷却装置及びその冷却方法 Expired - Fee Related JP3449295B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17512699A JP3449295B2 (ja) 1999-06-22 1999-06-22 高温鋼板の下面冷却装置及びその冷却方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17512699A JP3449295B2 (ja) 1999-06-22 1999-06-22 高温鋼板の下面冷却装置及びその冷却方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001001027A true JP2001001027A (ja) 2001-01-09
JP3449295B2 JP3449295B2 (ja) 2003-09-22

Family

ID=15990750

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17512699A Expired - Fee Related JP3449295B2 (ja) 1999-06-22 1999-06-22 高温鋼板の下面冷却装置及びその冷却方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3449295B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009202184A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Jfe Steel Corp 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置
KR101167621B1 (ko) * 2012-02-06 2012-07-23 한국기계연구원 후판 또는 강판용 다중 분사형 냉각 시스템
KR101190609B1 (ko) * 2012-02-06 2012-10-15 한국기계연구원 후판 또는 강판용 냉각 시스템
CN103316934A (zh) * 2013-06-24 2013-09-25 中冶赛迪工程技术股份有限公司 一种多阻尼的可分离腔体的上喷层流冷却装置
CN104174670A (zh) * 2014-09-12 2014-12-03 中冶赛迪工程技术股份有限公司 宽向可变流量的冷却集管
KR101481616B1 (ko) * 2013-08-08 2015-01-12 주식회사 포스코 압연소재 냉각장치
CN105170662A (zh) * 2015-07-20 2015-12-23 东北大学 多腔体流量可控喷淋集管
JP2016163898A (ja) * 2015-03-06 2016-09-08 株式会社神戸製鋼所 厚鋼板冷却方法及び厚鋼板冷却装置
EP3663417B1 (en) 2017-11-20 2022-01-05 Primetals Technologies Japan, Ltd. Cooling apparatus for metal strip and continuous heat treatment facility for metal strip

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101666814B1 (ko) * 2015-07-21 2016-10-17 주식회사 포스코 냉각수 제어 장치

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009202184A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Jfe Steel Corp 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置
KR101167621B1 (ko) * 2012-02-06 2012-07-23 한국기계연구원 후판 또는 강판용 다중 분사형 냉각 시스템
KR101190609B1 (ko) * 2012-02-06 2012-10-15 한국기계연구원 후판 또는 강판용 냉각 시스템
CN103316934A (zh) * 2013-06-24 2013-09-25 中冶赛迪工程技术股份有限公司 一种多阻尼的可分离腔体的上喷层流冷却装置
KR101481616B1 (ko) * 2013-08-08 2015-01-12 주식회사 포스코 압연소재 냉각장치
CN104174670A (zh) * 2014-09-12 2014-12-03 中冶赛迪工程技术股份有限公司 宽向可变流量的冷却集管
JP2016163898A (ja) * 2015-03-06 2016-09-08 株式会社神戸製鋼所 厚鋼板冷却方法及び厚鋼板冷却装置
CN105170662A (zh) * 2015-07-20 2015-12-23 东北大学 多腔体流量可控喷淋集管
EP3663417B1 (en) 2017-11-20 2022-01-05 Primetals Technologies Japan, Ltd. Cooling apparatus for metal strip and continuous heat treatment facility for metal strip

Also Published As

Publication number Publication date
JP3449295B2 (ja) 2003-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5573837B2 (ja) 熱延鋼板の冷却装置、冷却方法、製造装置、及び、製造方法
US8051695B2 (en) Method for cooling hot strip
KR20080034966A (ko) 강판의 열간압연 설비 및 열간압연 방법
JP4779749B2 (ja) 鋼板の冷却方法および冷却設備
JP2001001027A (ja) 高温鋼板の下面冷却装置及びその冷却方法
JP4876782B2 (ja) 鋼板の熱間圧延設備および熱間圧延方法
JP2002239623A (ja) 熱延鋼帯の冷却装置
EP3397781B1 (en) Process and device for cooling a metal substrate
JP5673530B2 (ja) 熱延鋼板の冷却装置、冷却方法、製造装置、及び、製造方法
JP6569843B1 (ja) 厚鋼板の冷却装置および冷却方法ならびに厚鋼板の製造設備および製造方法
JP5531852B2 (ja) 冷媒流量の決定方法
JPH11347629A (ja) 高温鋼板の矯正及び冷却装置並びにその矯正及び冷却方法
WO2014156086A1 (ja) 厚鋼板の製造設備および製造方法
TW201114513A (en) System for cooling steel sheet, manufacturing apparatus of hot-rolled steel sheet, and manufacturing method of steel sheet
JP5910597B2 (ja) 熱延鋼板の冷却装置
JP5663848B2 (ja) 熱延鋼板の冷却装置及びその動作制御方法
JP5613997B2 (ja) 熱延鋼板の冷却装置、熱延鋼板の製造装置及び製造方法
JP6264464B2 (ja) 厚鋼板の製造設備および製造方法
JP4876783B2 (ja) 鋼板の冷却設備および冷却方法
JP4518107B2 (ja) 熱延鋼帯の冷却装置および冷却方法
JP5387093B2 (ja) 熱鋼板の冷却設備
JP5515440B2 (ja) 厚鋼板の冷却設備およびその冷却方法
JP5228720B2 (ja) 厚鋼板の冷却設備
JP3370808B2 (ja) 熱間圧延材の冷却装置
JP4962349B2 (ja) 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080711

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090711

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100711

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100711

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130711

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees