JP2000517299A - 癌細胞における2―メトキシエストラジオール誘導アポトーシス - Google Patents

癌細胞における2―メトキシエストラジオール誘導アポトーシス

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Abstract

(57)【要約】 本発明は癌を処置するための方法を詳述する。詳細には、それはメトキシエストラジオールでの処理後の癌細胞のアポトーシスの誘導に関する。2-メトキシエストラジオール(2-MeOE2)はサイクリン依存性キナーゼインヒビターp21WAF1/CIP1の蓄積に付随してヒト非小細胞肺癌細胞株における野生型p53レベルを増大させる。有意なアポトーシス細胞死が薬物処置後に生じた。従って、2-MeOE2はp53媒介性アポトーシスの誘導を促進する。

Description

【発明の詳細な説明】 癌細胞における2-メトキシエストラジオール誘導アポトーシス 発明の背景 1.発明の分野 本発明は、概して、癌治療の分野に関する。より詳細には、それは腫瘍細胞に おけるp53発現を刺激し、それによってプログラムされた細胞死を誘導するメト キシエストラジオールの使用に関する。 2.関連分野の説明 正常組織ホメオスタシスは、細胞増殖の速度と細胞死との間の複雑なバランス によって達成される。このバランスの破壊が、癌の発症における主な有害な事象 であると考えられている。アポトーシス(プログラムされた細胞死)の阻害は、 この破壊事象に結びつけられている。このような欠陥の効果は破局的であり、こ れは米国単独で1年当たり50万人を越える死亡の原因になる。 p53遺伝子は、腫瘍抑制遺伝子として十分に認識されている(Montenarh,1992 )。多くのヒト癌の発癌においてp53の変異を結びつけるかなりの証拠が現在存 在する。例えば、結腸、膠芽細胞腫、乳癌、骨肉腫、および肺腫瘍細胞について の増殖が野生型p53の発現によって抑制され得ることを実証する多くの報告が存 在する。 ウイルス送達法を使用する、広範な種々のp53変異細胞における野生型p53の導 入によって、野生型p53トランスジーンの発現および悪性表現型の抑制という結 果が得られてきた。これらの観察は、野生型p53の高レベルの発現は腫瘍形成性 悪性腫瘍(oncogenic malignancy)の処置についての望ましい治療単位であるこ とを実証する。 p53の半減期(15分〜20分の範囲)は極めて短いので、従来のトランスフェク ションストラテジーを使用して、外来性のp53の発現を増大させることは困難で あることが分かっている。これらの細胞の微小細胞環境では、野生型p53タンパ ク質の過剰発現は、達成された場合、迅速な分解によって相殺される。従って、 腫瘍増殖を低減させる方法として従来のウイルスベクターを使用する野生型p53 を含む癌細胞への野生型p53の送達は、よく見ても効率的ではない。有意な割合 の癌が野生型p53遺伝子を維持しているが、これらの遺伝子の発現を増大させる ことは、おそらく同じ限界に苦しむであろう。 従って、このような癌細胞におけるアポトーシスを媒介する、癌細胞における 野生型p53発現の持続的誘導または増大に対するアプローチについての明確な必 要性が存在する。 発明の要旨 本発明の目的は、標的細胞におけるp53のレベルを増大させるための方法を提 供することである。同様に、本発明の目的は、機能的なp53を発現する細胞にお けるアポトーシスを誘導するための方法を提供することである。本発明の目的は また、細胞においてp53のレベルを増大させる薬剤と併用してp53遺伝子の投与す る工程を包含する、癌の処置のための改善された方法を提供することである。 本発明に従って、機能的なp53を有する細胞を、この細胞のp53のレベルを増大 させるに十分な量の2-メトキシエストラジオールと接触させる工程を包含する、 機能的なp53を有する細胞におけるp53のレベルを増大させるための方法が提供さ れる。p53は、内在性タンパク質または外来性タンパク質であり得る。細胞は、 内皮細胞または腫瘍細胞(例えば、肺腫瘍細胞(例えば、非小細胞肺癌細胞)で あり得る。 本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかである 。しかし、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい実施態様を示 しているが、例示のみの目的で与えられることが理解されるべきである。なぜな らば、本発明の精神および範囲内の種々の変化および改変が、この詳細な説明か ら当業者に明らかであるからである。図面の簡単な説明 以下の図面は本明細書の一部を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに実 証するように含まれる。本発明は、本明細書中で示される具体的な実施態様の詳 細な説明と共にこれらの図面の1つ以上への参照によってより良好に理解され得 る。 図1A〜図1D.未処理コントロールまたは5mm 2-MeOE2(MET)もしくは5mm16-エピ エストリオール(MEC)処理のH358細胞株(図1A)細胞株、H322細胞株(図1B) 、A549細胞株(図1C)およびH460細胞株(図1D)において測定した細胞増殖。培 養物を種々の時点で回収し、そして細胞数をクリスタリルバイオレット染色後に 決定した。結果は3つの独立した研究を代表する;縦線、S.D. 図2A.48時間の16-エピストリオール(ME)処理または2-MeOE2(MET)処理後の 異なる細胞周期の段階における細胞の割合分布。H358細胞株(p53欠失)、H322 細胞株(p53変異)、およびH460細胞株(野生型p53)を処理し、そして材料およ び方法に記載される細胞周期分析に供し、そして未処理のそれぞれのコントロー ル細胞と比較した(C)。 図2B.48時間の16-エピストリオール(ME)処理または2-MeOE2(MET)処理後の 異なる細胞周期の段階における細胞の割合分布。アポトーシスを示す細胞の割合 を、UTP標識ビオチン続いてFITCでの染色後のFACScanによって測定した。C、コ ントロール未処理細胞株;ME、16-エピストリオールで処理した細胞;MET、2-Me OE2で処理した細胞。 図3.2-MeOE2およびAdp53での処理後のH460非小細胞肺癌腫瘍細胞増殖。培養 物を示された種々の時点で回収し、そして細胞数をクリスタリルバイオレット染 色後に数えた。結果は3つの独立した実験を代表する。白抜き四角、未処理細胞 (CON);黒塗り菱形、アデノウイルスdl312で形質導入した細胞(dl312);白 抜き円、Adp53で形質導入した細胞(V3);白抜き三角、2-MeOE2で処理した細胞 (MET);黒塗り四角、Adp53で処理し、そして2-MeOE2で処理した細胞(V3-MET );実験の詳細については実施例IおよびVを参照のこと。 図4.2-MeOE2およびAdp53での処理後のA549非小細胞肺癌腫瘍細胞増殖。培養 物を示された種々の時点で回収し、そして細胞数をクリスタリルバイオレット染 色後に数えた。結果は3つの独立した実験を代表する。白抜き四角、未処理細胞 (CON);黒塗り菱形、アデノウイルスdl312で形質導入した細胞(dl312);白 抜き円、Adp53で形質導入した細胞(V3):白抜き三角、2-MeOE2で処理した細胞 (MET);黒塗り四角、Adp53で形質導入し、そして2-MeOE2で処理した細胞(V3- MET);実験の詳細については実施例IおよびVを参照のこと。 図5.2-MeOE2およびAdp53での処理後のH1299非小細胞肺癌腫瘍細胞増殖。培 養物を示された種々の時点で回収し、そして細胞数をクリスタリルバイオレット 染色後に数えた。結果は3つの独立した実験を代表する。白抜き四角、未処理細 胞(CON);黒塗り菱形、アデノウイルスdl312で形質導入した細胞(dl312); 白抜き円、Adp53で形質導入した細胞(V3);白抜き三角、2-MeOE2で処理した細 胞(MET);黒塗り四角、Adp53で形質導入し、そして2-MeOE2で処理した細胞(V 3-MET);実験の詳細については実施例IおよびVを参照のこと。 図6.2-MeOE2およびAdp53での処理後のH322非小細胞肺癌腫瘍細胞増殖。培養 物を示された種々の時点で回収し、そして細胞数をクリスタリルバイオレット染 色後に数えた。結果は3つの独立した実験を代表する。白抜き四角、未処理細胞 (CON);黒塗り菱形、アデノウイルスdl312で形質導入した細胞(dl312);白 抜き円、Adp53で形質導入した細胞(V3);白抜き三角、2-MeOE2で処理した細胞 (MET);黒塗り四角、Adp53で形質導入し、そして2-MeOE2で処理した細胞(V3- MET);実験の詳細については実施例IおよびVを参照のこと。 図7.2-MeOE2での処理後のインビボでのH460非小細胞肺癌細胞増殖。マウス に腫瘍細胞を皮下注射し、次いで未処置であたったか、または2-MeOE2もしくは 16-エピストリオールのいずれかを経口的に与えられた。腫瘍サイズを35日間5 日ごとに測定した。白抜き四角、未処置マウス(CON);白抜き菱形、16-エピス トリオール(MEC);白抜き円、2-MeOE2(MET)。実験の詳細については実施例 IおよびVIを参照のこと。 図8.肺転移モデルにおけるインビボ腫瘍コロニー増殖に対する2-MeOE2の効 果。マウスにA549細胞を静脈内に接種し、次いで未処置(白抜き棒)であったか 、または16-エピストリオール(MEC)もしくは2-MeOE2(MET)のいずれかの経口 投与で毎日処理した。肺表面上への転移コロニーをIndiaインクでの染色後に数 え た。実験の詳細については実施例IおよびVIを参照のこと。 図9.肺転移モデルにおけるインビボ腫瘍コロニー増殖に対する2-MeOE2およ びAdp53の効果。マウスにA549細胞を静脈内に接種し、次いで未処置であったか 、Adp53単独の3用量(p53単独)で接種したか、2-MeOE2単独の経口投与での毎 日の処置(2ME単独)したか、または2-MeOE2およびAdbgalの組み合わせ(b-gal+ 2ME)もしくは2-MeOE2およびAdp53での組み合わせ(p53+2ME)で処置した。肺表 面上の転移コロニーをIndiaインクでの染色後数えた。実験の詳細については実 施例IおよびVIを参照のこと。 例示的な実施態様の説明 癌は、米国のみで年間50万人を越える死者の死因である。癌の原因は多因子で あるが、制御された細胞死における異常が、未制御の細胞増殖を生じ、したがっ て多くの癌に寄与していることが知られている。p53遺伝子は、肺瘍サプレッサ ー能力を有すると十分に認識され、そして野生型p53の変異が種々の癌に関連づ けられている。 遺伝子治療技術により、腫瘍細胞における野生型p53の発現を増強する多くの 試みがなされてきた。これらの試みは、潜在的には有益ではあるが、一般には、 p53が非常に短い寿命を有するという点で制限されてきた。本発明は、腫瘍細胞 におけるp53のレベルを増大させ、これによりアポトーシスの発現率の増大を可 能にする手段を提供する。野生型のまたは機能的なp53は、本発明の目的のため に、腫瘍抑制活性を有すると定義され、そして野生型のまたは機能的なp53遺伝 子は、これをコードするものである。本発明者らは、ステロイド2-メトキシエス トラジオールが、野生型p53の発現を増大させ得ることを見出した。この知見は 、多くの方法において使用され得る。第一に、正常p53を発現する癌は、本願明 細書に開示されるように、2-メトキシエストラジオールで処置され、これによっ てp53のレベルを増大させ、そしてアポトーシスを誘導する助けとなり得る。第 二に、本発明の組成物は、野生型p53が腫瘍細胞に導入される従来の遺伝子治療 を増強するために使用され得る。養生法に2-メトキシエストラジオールを加える ことは、p53のレベルを増大させ、細胞死を誘導または増強する。本発明が使用 さ れる第三の方法は、遺伝子治療が従来の化学療法と組み合わせて使用され、そし て2-メトキシエストラジオールが、野生型p53発現を増大させ、これによりプロ グラムされた細胞死を誘導するために使用される組合せ治療である。 A.メトキシエストラジオール 2-メトキシエストラジオール(2-MeOE2)は、肝臓において、エストラジオール のヒドロキシル化、続いて0-メチル化によって生成される、ヒト身体の天然代謝 副産物である。いくつかの初期データは、この化合物が、乳癌細胞株MCF-7に対 して細胞傷害性効果を有することを示した(Lotteringら、1992)。薬物作用の正 確な機構は十分には理解されていないが、研究により、この薬物が、培養中のチ ャイニーズハムスターV79細胞において、不均一な染色体分布、DNA合成阻害、お よび異常な中期を生じる紡錘体形成を妨げることが示された(Aizu-Yokotaら、19 95)。 MCF-7細胞株において、2-MeOE2は、チューブリンフィラメントのコルチシン結 合部位に結合し、反応条件に依存して、チューブリン多量体化の阻害または微小 管の安定性の改変のいずれかを生じることが示された(Cushmanら、1995)。2-メ トキシエストラジオールは、インビトロで、内皮細胞の移動および血管形成を阻 害する(Fotsisら、1994)。 興味あることに、この化合物は、正常細胞に対しては非毒性であるようである 。2-メトキシエストラジオールは、100μM濃度でさえ、正常ヒト皮膚線維芽細 胞に対して効果を有さないが、この化合物の50%最大阻害濃度(IC50)は、内皮細 胞について、0.15μMである(Fotsisら、1994)。以前の研究により、マウスにお ける2-メトキシエストラジオールの経口投与は、固体腫瘍における毛細血管形成 の強力な阻害および増殖の減少を生じることが示された。インビボ研究により、 2-MeOE2の抗腫瘍活性は、一般的な細胞傷害性と関連しないことが示された(Fots isら、1994)。 本明細書において、本発明者らは、2-MeOE2が、p21 WAFl/CIPlと関連する癌細 胞株において野生型p53のレベルを増大させることを示した。増殖阻害は特異的 であり、そしてp53誘導性アポトーシスを介する。肺癌細胞株の細胞周期に対す る2-MeOE2処置の効果もまた検査された。細胞周期は、G1、S、G2、およびMと 呼ばれる4つの期からなり、そして細胞が各期を通り抜けるに要する時間は、細 胞型により変化する。所定の細胞型については、各期を通って進む時間は、比較 的一定である。しかし、細胞周期の1つ以上の期の開始のタイミングは、栄養素 供給および薬物処理のような因子によって、影響され得る。2-MeOE2は、フロー サイトメトリー分析によって明らかにされるように、肺癌細胞株において、細胞 周期の4つの期のいずれの分布に対しても影響を有さないようである。2-MeOE2 は、p53ネガティブまたはp53変異細胞株に対して阻害効果をほとんど有さなかっ た。 B.本発明における使用のために野生型p53の発現を増大させる誘導体について のアッセイ 特定の実施態様において、本発明は、野生型p53の発現を増大させる化合物を 同定するための方法に関する。このスクリーニング技術は、癌細胞におけるp53 発現の増大を引き起こす任意の化合物の一般的な同定において有用であることを 示すことが意図される。 p53に対する同様な効果を有する有用な化合物は、2-MeOE2に限定されない。エ ストラジオールの天然の誘導体(エストラジオールの環構造中の位置での反応基 の置換を含むがこれに限定されない)は、p53の安定化に対して同様な効果を有し 得る。当業者による2-MeOE2の単純な化学修飾(アルキル、アルコキシ、アルケニ ル、またはそれらの誘導体、あるいは小さな核半径を有する他の基(周期表の最 初の3列を含む元素と定義される)の置換または付加を含むがこれらに限定され ない)は、p53発現に対して同様な効果を有し得る。これらの修飾は、5原子未満 の原子を含む、短い、分岐のない鎖の置換または付加を含む。 有用な化合物はまた、天然に存在する化合物のフラグメントまたは部分を含む か、あるいはそうでなければ不活性である公知化合物の活性な組合せとしてのみ 見出され得る。したがって、癌細胞におけるp53レベルを増大させる薬剤を同定 するためのスクリーニングアッセイにおいて、天然の供給源(例えば、動物、細 菌、真菌、植物供給源(葉および樹皮を含む)、および海洋サンプル)から単離さ れた化合物は、潜在的に有用な薬剤の存在について、候補としてアッセイされ得 ることが提案される。スクリーニングされるべき薬剤はまた、化学組成物または 人工化合物に由来し得るか、またはこれらから合成され得る。 これらの実施態様において、本発明は、細胞における野生型p53レベルを増大 させる候補物質の能力を決定する方法に関し、この方法は、一般的には、 (a)野生型p53を有する細胞を得る工程; (b)候補物質と癌細胞とを混合する工程;および (c)細胞の野生型p53の含有量を増大させる候補物質の能力を決定する工程 を包含する。 候補物質を、p53レベルを増大させ得ると同定するために、細胞のp53レベルを 測定または決定する。次いで、細胞に候補物質を加え、そして候補物質の存在下 でのp53含有量を決定する。非存在下で観察されるp53レベルに比して、p53レベ ルを増大させる候補物質は、ポジティブな活性を有する候補物質と定義される。 「有効量」は、コントロール(無処置)レベルと比較した場合、癌細胞における p53レベルを再現可能に増大させるに効果的な量と定義される。 例えば、ウエスタンブロット分析を使用して測定する場合、野生型p53発現の 有意な増大は、少なくとも約30%〜40%の野生型p53レベルの増大により、そし てより好ましくは、少なくとも約50%の増大により表される(より高い値が含ま れる)。細胞中のp53の含有量および発現を測定するアッセイは、当該分野におい て周知である。 あるいは、例えば、MTTアッセイに従って増殖をアッセイすることによって、 癌細胞の増殖阻害を測定することが、望ましくあり得る。増殖の有意な阻害は、 無処置コントロールと比較して、少なくとも約30%〜40%の減少により、そして より好ましくは、少なくとも約50%の減少により表される(より顕著な減少が含 まれる)。MTTアッセイにより測定されるような増殖アッセイは、当該分野におい て周知である。アッセイは、Mosmannら、1983;Rubinsteinら、1990(本明細書中 に参考として援用される)によって記載されたように行われ得る。したがって、 候補物質が、この型の研究において、癌細胞の増殖阻害を示す場合、この候補物 質は、本発明に従う使用に適切な化合物として定義される。 2-MeOE2アナログの定量的インビトロ試験は、本発明の要件ではない。なぜな ら、薬剤は、しばしば、公知の特性に基づいて、または効果的であることがすで に示された薬剤との構造的および/または機能的比較によって、選択されると一 般に考えられるからである。したがって、有効量は、しばしば、別の文脈におい て、動物への投与に関して安全であると提案される量である。当業者は、エスト ロゲンの一般的な使用についてのガイダンスのために、「Remington's Pharmaceu tical Sciences」第15版(本明細書中に参考として援用される)を参照する。 D.癌におけるp53およびp53変異 p53は、現在、肺瘍サプレッサー遺伝子と認識されている(Montenarh、1992)。 高レベルの変異体p53は、化学的発癌、紫外線照射、およびいくつかのウイルス( SV40を含む)により形質転換された多くの細胞に見出されてきた。p53遺伝子は、 広範囲のヒト腫瘍における変異性不活化の頻繁な標的であり、そして一般的なヒ ト癌において最も頻繁に変異される遺伝子であるとすでに報告されている(Merce r、1992)。p53遺伝子は、ヒトNSCLCの50%以上(Hollesteinら、1991)および他 の広いスペクトルの腫瘍において変異している。 p53遺伝子は、宿主タンパク質(例えば、ラージT抗原およびE1B)と複合体を 形成し得る393アミノ酸リンタンパク質をコードする。このタンパク質は、正常 組織および細胞に見出されるが、形質転換した細胞または腫瘍組織と比較すると 微少な濃度である。興味深いことに、野生型p53は、細胞の増殖および分裂の調 節において重要であるようである。野生型p53の過剰発現は、いくつかの場合に 、ヒト腫瘍細胞株において抗増殖性であることが示された。したがって、p53は 、細胞増殖のネガティブレギュレーターとして作用し得(Weinberg、1991)、そし て未制御の細胞増殖を直接抑制し得るか、またはこの増殖を抑制する遺伝子を間 接的に活性化し得る。したがって、野生型p53がないことまたは野生型p53の不活 化は、形質転換に寄与し得る。しかし、いくつかの研究により、変異体p53の存 在は、この遺伝子の形質転換する潜在能力の完全な発現に必要であり得ることが 示される。 野生型p53は、多くの細胞型における重要な増殖レギュレーターと認識される 。 ミスセンス変異はp53遺伝子に一般的であり、そして癌遺伝子の形質転換する能 力に必須である。点変異により引き起こされる単一遺伝子変化は、発癌性p53を 生じ得る。しかし、他の癌遺伝子とは異なり、p53の点変異は、少なくとも30個 の異なるコドンに起こり、しばしば、ホモ接合性に転化させることなく、細胞表 現型にシフトを生じる優性対立遺伝子を生じることが知られている。さらに、こ れら優性ネガティブ対立遺伝子の多くは、生物において寛容にされ、そして生殖 細胞系において伝えられるようである。種々の変異体対立遺伝子は、わずかに機 能不全から強力な浸透性の優性ネガティブ対立遺伝子までの範囲である(Weinber g、1991)。 Caseyらは、2つのヒト乳癌細胞株への野生型p53をコードするDNAのトランス フェクションが、このような細胞における増殖抑制制御を復活させることを報告 した(Caseyら、1991)。同様な効果はまた、ヒト肺癌細胞株への野生型p53のトラ ンスフェクションの際にも示され、変異体p53では示されなかった(Takahasiら、 1992)。p53は、変異遺伝子を超えて優性であるようであり、そして変異遺伝子を 有する細胞中にトランスフェクトされる場合、増殖に対して選択する。トランス フェクトされたp53の正常な発現は、内因性p53を有する細胞の増殖に影響しない 。したがって、このような構築物は、有害な効果を有することなく、正常細胞に よって取り込まれ得る。したがって、野生型p53でのp53関連癌の処置は、悪性細 胞の数または増殖率を減少させることが提案される。 E.2-メトキシエストラジオールを用いるp53陽性癌の処置 野生型p53を発現する腫瘍を提示する患者は、2-メトキシエストラジオールで 処置される。このような場合、腫瘍細胞のp53状態は、任意の従来の方法を用い て決定される。これらの例を以下に記載する。患者は、以前に化学療法、放射線 治療、または遺伝子治療を受けていても良いが、そうである必要はない。最適に は、患者は、適切な骨髄機能(>2,000/mm3の末梢絶対顆粒球値および100,000/m m3の血小板値として定義される)、適切な肝機能(≦1.5mg/dlのビリルビン)、 ならびに適切な腎機能(<1.5mg/dlのクレアチニン)を有する。 患者は、2-MeEO2またはその機能的アナログの薬学的に受容可能な形態で処置 される。この投与は、例えば腫瘍内注射、または実際には、日常的に使用され、 そして当業者に周知の適用の任意の他の方法(例えば、全身的静脈内注射)の形 態であり得る。注射されるべき病変の生検が行われ、そして組織が免疫組織化学 分析のための保存される。 2-MeOE2の用量は、代表的には、投与の直前に、薬学的に受容可能な形態に再 構築される。開始用量は、100mg/kg体重の2-MeOE2である。当然、これは、腫瘍 の大きさ、腫瘍が増殖する速度などに依存して変化し得る。投与は6週間行われ る。この時間の間に、腫瘍は、腫瘍の進行の非存在、応答、または毒性について モニターされ、そして用量がそれに応じて調整される。 1.細胞のp53の状態の決定 広範な種々の検出方法は、細胞のp53の状態を検出するために、本発明におい て使用され得る。p53タンパク質に対する多くの抗体が存在し、従って検出のた めの抗体を使用する任意のアッセイ(例えば、ELISA、ウエスタンブロッティング 、および他のイムノアッセイ技術など)がp53タンパク質を同定するために使用さ れ得る。あるいは、ヌクレオチドプローブを使用するアッセイは、インタクトな p53遺伝子の存在/非存在を同定するために使用され得る(例えば、サザンブロ ッティング、ノーザンブロッティング、またはPCR技術)。上記の技術のすべて は、当業者に周知であり、そして本発明において過度な実験なしに使用され得る 。 i.ELISA、イムノアッセイ、および免疫組織的アッセイ 本発明によって含まれるイムノアッセイは、米国特許第4,367,110号(ダブル モノクローナル抗体サンドウィッチアッセイ)および米国特許第4,452,901号( ウエスタンブロット)に記載のアッセイを含むが、これらに限定されない。他の アッセイは、標識したリガンドの免疫沈降、ならびに免疫細胞化学(インビトロ およびインビボの両方)を含む。 イムノアッセイは、その最も単純で直接的な意味で、結合アッセイである。特 定の好ましいイムノアッセイは、種々のタイプの酵素結合免疫吸着アッセイ(ELI SA)および当該分野において公知の放射免疫アッセイ(RIA)である。組織切片を用 いる免疫組織化学的検出はまた、特に有用である。 1つの例示的なELISAにおいて、抗p53特異的抗体は、タンパク質親和性を示す 選択された表面(例えば、ポリスチレンマイクロタイタープレート中のウェル) 上に固定化される。次いで、所望の抗原を含む試験組成物(例えば、臨床サンプ ル)が、ウェルに添加される。結合し、そして非特異的結合免疫複合体を除去す るために洗浄した後、結合した抗原は検出され得る。検出は、一般に所望の抗原 について特異的であり、検出可能な標識に結合される別の抗体の添加によって達 成される。このタイプのELISAは、単純な「サンドウィッチELISA」である。検出 はまた、所望の抗原について特異的な第2の抗体の添加後、第2の抗体について 結合親和性を有する第3の抗体の添加(第3の抗体は、検出可能な標識に結合さ れている)によっても達成され得る。 ELISA技術に関する変形は、当業者に公知である。1つのそのような変形にお いて、所望の抗原を含むサンプルは、ウェル表面上に固定化され、そして次いで 本発明の抗体と接触される。結合および適切な洗浄後、結合免疫複合体は、検出 される。第1の抗原特異的抗体が検出可能な標識に結合される場合、免疫複合体 は、直接的に検出され得る。再度、免疫複合体は、第1の抗原特異的抗体につい ての結合親和性を有する第2の抗体を使用して(第2の抗体は、検出可能な標識 に結合されている)検出され得る。 競合ELISAはまた、試験サンプルが、既知の量の標識した抗原または抗体と結 合することについて競合する場合、可能である。未知のサンプルにおける反応性 種の量は、コーティングしたウェルでのインキュベーション前またはその間、サ ンプルを既知の標識した種と混合することによって決定される。サンプルにおけ る反応性種の存在は、ウェルに結合するために利用可能な標識した種の量を減少 させるように作用し、従って最終的なシグナルを減少させる。 使用される形式とは関係なく、ELISAは、共通に特定の性質(例えば、コート すること、インキュベートすること、または結合すること、非特異的結合種を除 去するために洗浄すること、および結合した免疫複合体を検出すること)を有す る。これらは、以下のように記載される。 抗原または抗体はまた、固体支持体(例えば、プレート、ビーズ、ディップス ティック、メンブレン、またはカラムマトリックス)に結合され得、そして分析 されるサンプルを、固定化した抗原または抗体に適用され得る。プレートを抗原 または抗体のいずれかでコーティングする際に、一般にプレートのウェルを、抗 原または抗体の溶液で、一晩または特定の期間のいずれかでインキュベートする 。次いで、プレートのウェルは、不完全に吸着された物質を除去するために洗浄 される。次いで、ウェルの任意の残った利用可能な表面は、試験抗血清に関して 抗原性に中立である非特異的タンパク質で「コーティング」される。これらは、 ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、および粉ミルクの溶液を含む。コーティ ングする工程は、固定化する表面上の非特異的吸着部位のブロックを可能にし、 従って表面上への抗血清の非特異的結合によって引き起こされるバックグラウン ドを減少させる。 ELISAにおいて、直接的な手順ではなく、二次的または三次的検出手段を用い ることは、より慣習的である。従って、抗原または抗体のウェルへの結合、バッ クグラウンドを減少させるための非反応性材料でのコーティング、および非結合 材料を除去するための洗浄後、固定化する表面は、免疫複合体(抗原/抗体)形 成を可能にするに有効な条件下で、試験される臨床的または生物学的サンプルと 接触される。次いで、免疫複合体の検出は、標識した二次的結合リガンドもしく は抗体、または標識した三次的抗体もしくは第3の結合リガンドと結合した二次 的結合リガンドもしくは抗体を必要とする。 「免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするに有効な条件下」は、条件が、 好ましくは抗原および抗体を溶液(例えば、BSA、ウシγグロブリン(BGG)、およ びリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/Tween)で希釈することを含むことを意味する 。これらの添加された薬剤はまた、非特異的バックグラウンドの減少を補助する 傾向にある。 適切な条件はまた、インキュベーションが、有効な結合を可能にするに十分な 温度および期間であることを意味する。インキュベーション工程は、代表的には 約1〜2から4時間であり、温度は好ましくは、およそ25℃から27℃であり、ま たは約4℃で一晩などであり得る。 ELISAにおける全てのインキュベーション工程の後、非複合化物質を除去する ために、接触表面を洗浄する。洗浄は、しばしば、PBS/Tweenの溶液またはホウ 酸緩衝液での洗浄を含む。試験サンプルと元々結合した物質との間の特異的な免 疫複合体の形成、および続いての洗浄の後、極く微量の免疫複合体の出現でさえ も決定され得る。 検出手段を提供するために、第2または第3の抗体は、検出を可能にするため の結合標識を有する。好ましくは、これは、適切な色素生産性基質とのインキュ ベーションにより発色を生じる酵素である。従って、例えば、第1または第2の 免疫複合体は、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ 、またはハイドロゲンペルオキシダーゼに結合した抗体と、さらなる免疫複合体 形成の進展に有利な期間および条件、例えば、室温にて2時間のインキュベーシ ョン下で、PBS含有溶液(例えば、PBS-Tween)中で、接触およびインキュベート されることが所望される。 標識抗体とのインキュベーションの後、および非結合物質を除去するための洗 浄に続いて、標識の量は、例えば、酵素標識としてのペルオキシダーゼの場合、 色素生産性基質(例えば、尿素およびブロモクレゾール紫または2,2'-アジノ-ジ -(3-エチル-ベンズチアゾリン-6-スルホン酸[ABTS]およびH2O2)とのインキュ ベーションにより定量される。次いで、定量は、着色生成の程度を、例えば、可 視スペクトル分光光度計を用いて測定することにより達成される。 あるいは、標識は、化学発光標識であり得る。このような標識の使用は、米国 特許第5,310,687号、同第5,238,808号、および同第5,221,605号に記載されてい る。 細胞のp53の状態についてのアッセイは、インビトロおよびサイチュ分析につ いての方法は周知であり、そして組織、細胞、または細胞抽出物に対する抗原特 異的抗体の結合を評価することを含む。これらは、十分、当業者の理解の範囲内 にある従来技術である。例えば、p53に対する抗体は、免疫組織化学(IHC)による 研究のために調製された新鮮凍結およびホルマリン固定のパラフィン包埋組織ブ ロックの両方とともに用いられ得る。各組織ブロックは、50mgの残余「微粒子化 」腫瘍からなり得る。これらの微粒子標本から組織ブロックを調製する方法は、 例えば、乳癌における種々の予後因子の以前のIHC研究において首尾良く用いら れており、そして当業者に周知である(Abbondanzoら,1990;Allredら,1990;Br ownら,1990)。 手短に言えば、凍結切片は、50ngの凍結微粒子腫瘍を室温にて小さなプラスチ ックカプセル中のPBS中で再水和し;この微粒子を遠心分離してペレット化し; これらを粘性包埋媒体(OCT)中に再懸濁し;カプセルを反転し、そして遠心分 離により再度ペレット化し;−70℃のイソペンタン中で急速冷凍し;プラスチッ クカプセルを切断し、そして組織の凍結円柱を取り出し;組織円柱をクリオスタ ットミクロトームチャック上に固定し;そして平均約500個の著しくインタクト な腫瘍細胞を含む25〜50個の連続切片に切断することにより、調製され得る。 永久切片は、プラスチック微量遠心管中での50mgサンプルの再水和;ペレット 化;10%ホルマリン中に懸濁しての4時間の固定;洗浄/ペレット化;温2.5% 寒天中への再懸濁;ペレット化;氷水中での冷却による寒天の硬化;管からの組 織/寒天ブロックの取り出し;パラフィン中でのブロックの浸透および包埋;お よび50個の連続永久切片への切断を含む同様の方法により調製され得る。 ii.サザンブロッティング技術およびノーザンブロッティング技術 サザンブロッティングおよびノーザンブロッティングは、分子生物学において 通常使用される技術であり、そして十分、当業者の理解の範囲内にある。 サザンブロッティングのために、試験細胞からのDNAは、カチオン性キレータ ー(例えば、EDTA)の存在下での穏やかな細胞破壊により回収される。タンパク 質および他の細胞環境は、飽和フェノールまたはフェノール/クロロホルムとの 混合およびこの乳濁液の遠心分離により除去される。DNAは、上の水相にあり、 これはタンパク質除去され、そしてエタノールと混合される。この溶液は、DNA が沈澱するのを可能にし、次いでDNAは、遠心分離を用いて回収され得る。RNA抽 出の場合、RNase阻害剤(例えば、DEPC)が、RNA分解を防止するために必要とさ れる。 アガロースまたはポリアクリルアミドゲルにおける電気泳動は、DNA分子を分 離するための最も通常の方法である。サザンブロティングは、p53コードDNAの同 一性を確認する。これは、DNAを、インタクトなゲルからニトロセルロースペー パー上へと転写することにより達成される。次いで、ニトロセルロースペーパー は、例えば、野生型P53 DNAに相補的な配列を含む放射標識cDNAを有する緩衝液 中で洗浄される。プローブは、p53の少なくとも一部をコードするDNAに特異的に 結合し、そしてプローブされたニトロセルロースペーパーを写真用フィルムと接 触させることによるオートラジオグラフィーを用いて検出され得る。 p53コードmRNAは、ノーザンブロッティングとして公知のプロセスにより同様 の様式で検出され得る。緩衝液、ゲル調製、電気泳動条件などのより詳細な説明 について、当業者はSambrook,1989を参照する。 iii.ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) PCRは、現在の分析生物学における効果的な方法である。短いオリゴヌクレオ チド配列(通常は、15〜35bpの長さ)が、増幅されるべき配列のいずれかの側方 に隣接する領域に相同であるように設計される。プライマーは、緩衝液、酵素、 および遊離のヌクレオチドの存在下で原型のDNAに対して過剰に添加される。原 型のDNAは95℃で変性され、次いで40〜50℃まで冷却されてプライマーがアニー ルするのを可能にする。温度は、伸張期のポリメラーゼについて最適な温度に調 節される。このサイクルは、25〜40回繰り返される。 特に本発明は、細胞のp53状態を検出するためにPCRを使用する。p53遺伝子に おける変異は、点変異または僅かなヌクレオチドの変化の他の形態によって誘導 される一本鎖DNA分子中の構造的変化の電気泳動的な決定に基づく、Single Stra nd Conformation Polymorphism(SSCP)で最初に検出される。変異がp53遺伝子 中のどこに存在するかを同定するために、各エキソンは、特定のエキソンに特異 的なプライマーを使用してPCRによって別々に増幅される。増幅後、PCR産物は変 性され、そしてポリアクリルアミドゲル上で分離されて、遺伝子内の点変異また は他の小さなヌクレオチド変化によって生じた構造変化に起因する、移動度の変 化が検出される。変異は、DNAの物理的な構造の変化、および分子の電荷の変化 を生じる。従って、電気的変化が分子に適用された場合の電気泳動の間に、野生 型と比較して形状および電荷が僅かに異なるDNAは、異なる速度で移動し、従っ てゲル中の異なる部位を占める。 DNAフラグメントが変異を含むことの決定後、特異的なヌクレオチド電荷が、 増幅されたDNA産物のDNA配列決定によって検出される。直鎖状DNAの配列決定に よって、それらが完全な分子内で組み立てられる順序でその個々のヌクレオチド にDNA分子を分解する。配列決定ゲル上での電気泳動による個々のヌクレオチド の分離は、野生型と比較される個々のヌクレオチドの変化の検出を可能にし、そ して変異の同型接合型または異種接合型を決定するために使用される。これは、 配列決定ゲル中での単一のバンドまたは二重のバンドの出現によって容易に区別 される。 2.薬学的組成物および投与の経路 本発明の水溶性組成物は、野生型p53の発現を増大させる有効量の化合物(例 えば、2-MeOE2)を有する。このような組成物は一般に、薬学的に受容可能なキャ リアまたは水溶性の媒体中に溶解されるか、または分散される。 句「薬学的または薬理学的に受容可能」は、動物またはヒトに適切に投与され た場合に、有害なアレルギー性反応または他の不都合な反応を生じない分子物質 および組成物をいう。本明細書中で使用される「薬学的に受容可能なキャリア」 は、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌 剤、等張化剤、ならびに吸着遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質についての このような媒体および試薬の使用は、当業者に周知である。任意の従来の媒体ま たは試薬が有効成分と不適合である場合を除いて、治療用組成物中でのその使用 が意図される。他の抗癌剤のような補充有効成分もまた、組成物中に組み込まれ 得る。 静脈内注射または筋肉内注射のような非経口投与のために処方される化合物に 加えて、他の薬学的に受容可能な形態として、例えば、経口投与のための錠剤ま たは他の固形物、時間放出カプセル;およびクリーム、ローション、うがい薬、 吸入剤などを含む現在使用されている任意の他の形態が挙げられる。 本発明の活性な化合物はしばしば、非経口投与のために処方される。例えば、 静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路、またはさらに腹腔内経路を介する注射のた めに処方される。野生型p53のレベルを増大させる化合物(単数または複数)を 含む水溶性組成物の調製は、本発明の開示に照らして当業者の範囲内である。代 表的には、このような組成物は、注射可能な液体の溶液または懸濁物のいずれか として調製され得る;注射の前の液体の添加の際の溶液または懸濁物を調製する ための使用に適切な固体の形態もまた、調製され得る;そして調製物はまた乳化 され得る。 遊離の塩基または薬学的に受容可能な塩としての活性な化合物の溶液は、ヒド ロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水中で調製さ れ得る。分散物もまた、グリセロール、液体のポリエチレングリコール、および それらの混合物中で、ならびに油中で調製され得る。貯蔵および使用の通常の条 件下では、これらの調製物は微生物の増殖を妨げるために保存剤を含む。 注射可能な用途に適切な薬学的形態は、滅菌の水溶液または分散物;ゴマ油、 ピーナツ油、または水溶性のポリエチレングリコールを含む処方物;および注射 可能な溶液または懸濁物の即時調製のための滅菌の粉末を含む。全ての場合にお いて、形態は滅菌でなければならず、そして容易に注入可能である程度に流体で なければならない。これは製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、そ して細菌および真菌のような微生物の混入作用に対抗して貯蔵されなければなら ない。 活性な化合物は、天然の形態または塩の形態で組成物中に処方され得る。薬学 的に受容可能な塩は、酸添加塩(タンパク質の遊離のアミノ基で形成される)を 含み、これは、例えば、塩酸もしくはリン酸のような無機酸、または酢酸、シュ ウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸で形成される。遊離のカルボキシ ル基で形成された塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カ ルシウム、または水酸化第二鉄のような無機塩、およびイソプロピルアミン、ト リメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩に由来し得る。 キャリアはまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロー ル、プロピレングリコール、および液体のポリエチレングリコールなど)、その 適切な混合物、ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切 な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用によって、分散の 場合に必要とされる粒子の大きさの保持によって、および界面活性剤の使用によ って維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例え ば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど )によってもたらされる。多くの場合において、等張化剤(例えば、糖または塩 化ナトリウム)を含むことが好ましい。注射可能な組成物の延長された吸着は、 組成物中での遅延吸着剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチ ン)の使用によってもたらされ得る。 滅菌の注射可能な溶液は、先に列挙された種々の他の成分と適切な溶媒中で必 要とされる量で活性な化合物を取り込むことによって調製され、必要な場合は、 続いて濾過滅菌される。一般に、分散物は、種々の滅菌された有効成分を、塩基 性の分散媒体および先に列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌 のビヒクル中に取り込むことによって調製される。滅菌の注射可能な溶液の調製 のための滅菌の粉末の場合、好ましい調製方法は、有効成分およびその予め滅菌 濾過された溶液由来の任意のさらなる所望の成分を生じる、減圧乾燥技術および 凍結乾燥技術である。 特定の場合、本発明の治療用処方物がまた、局所投与に適切な形態(例えば、 クリームおよびローション)で調製され得る。これらの形態は、種々の肉腫のよ うな皮膚関連疾患を処置するために使用され得る。 処方の際に、溶液は、用量処方物と適合性の様式で、そして治療に有効な量で 投与される。処方物は、種々の用量形態(例えば、上記のような注射可能な溶液 の形態)で容易に投与され、なお薬物放出カプセルなどが使用可能である。 水溶液中での非経口投与のために、例えば、溶液は必要であれば適切に緩衝化 されるべきであり、そして液体の希釈剤は、十分な生理食塩水またはグルコース を用いて最初に等張化される。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下 、および直腸内投与に得に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌の水 溶性の媒体が、本開示に照らして当業者に公知である。例えば、1投与量は、1 mLの等張NaCl溶液中に溶解され得、そして1000mLの皮下注入溶液に添加されるか または注入の推奨される部位で注射されるかのいずれかである(例えば、「Remi ngton's Pharmaceutical Sciences」第15版、1035-1038および1570-1580頁を参 照 のこと)。投与量のいくつかのバリエーションは、処置される被検体の状態に依 存して必然的に生じる。投与を担う人物は、全ての症例について、個々の被検体 に適切な用量を決定する。 3.キット サンプル中の野生型p53を決定するため、または腫瘍細胞中で2-MeOE2を使用し て野生型p53のレベルを増大させるために必要とされる、全ての必須の物質およ び試薬が、キットの中に集められる。キットの成分が1つ以上の液体の溶液で提 供される場合、液体の溶液は好ましくは水溶液であり、滅菌の水溶液が特に好ま しい。 野生型p53の検出のために、キットは、プライマー、緩衝液、および適切な溶 媒のようなPCR分析のための物質を含み得る。あるいは、検出が免疫学的手段を 介する場合、キットは、p53に対する抗体、一次抗体に結合する二次抗体、標識 またはシグナルを生成する化合物(結合されているかまたは結合されていない) 、ならびにシグナルの生成および検出のための種々の試薬を含み得る。 インビボの使用のために、組成物は、単独またはp53をコードする発現ベクタ ーと組み合わせて提供される。これらは通常、別々の処方物であるが、単一の薬 学的に受容可能な組成物中に処方され得る。容器手段は、吸入、シリンジ、ピペ ット、眼滴、または他の同様の装置のようにそれ自体が投与に適合され得、それ から処方物が、肺のような体の領域に感染するように適用され得るか、動物に注 射され得るか、またはキットの他の成分に適用され得るかもしくはそれと混合さ れ得る。 これらのキットの組成物はまた、乾燥された形態または凍結乾燥された形態で 提供され得る。試薬または成分が乾燥形態として提供される場合、再構成は一般 に適切な溶媒の添加による。溶媒がまた別のキャリア手段中で提供され得ること が考えられる。本発明のキットはまた、野生型p53の発現を増大させる試薬およ び/または遺伝子治療剤の投与を規定するか、あるいはサンプル中のp53のレベ ルを決定するためのアッセイを説明する説明書を含み得る。 本発明のキットはまた、代表的には、例えば、その中に所望されるバイアルが 維持されている注射または吹き込み形成されたプラスチック容器のような市販の ための限られた拘束中でバイアルを含むための手段を含む。容器の数または型に 無関係に、本発明のキットはまた、動物の体内への最終的な複合組成物の注射/ 投与または配置を評価するための別の手段を含み得るか、またはそれでパッケー ジされ得る。このような手段は、吸入、シリンジ、ピペット、ピンセット、測定 用スプーン、眼滴、または任意のそのような医学用に改善された送達ビヒクルで あり得る。別の器具は、インビトロでの反応の読みとりまたはモニタリングを可 能にするデバイスを含む。 F.遺伝子治療と組み合わせて2-メトキシエストラジオールを使用する、変異し たp53発現を有する癌の処置 本発明の別の実施態様において、2-MeOE2が、変異したp53を発現する癌の処置 において従来の遺伝子治療と組み合わせて使用されることが考えられる。 野生型p53の変異したp53遺伝子を発現する腫瘍への送達が、p53変異の消失の 影響を克服し得ることが明らかである。本発明のこの実施態様において、2-メト キシエストラジオールは野生型p53とともに細胞に投与され、それによって外因 的に適用された野生型p53の発現を増大させる。2-MeOE2は、遺伝子治療と並行し て、遺伝子治療の前に、または遺伝子治療後に投与され得る。遺伝子治療および 治療用2-MeOE2の全ての成分は、上記のようなキットの形態でまとめられ得る。 遺伝子送達に利用されるエレメントは以下に記載される。 1.発現ベクター 本願を通して、用語「発現構築物」は、p53核酸の一部または全部が転写され 、続いてタンパク質に翻訳され得る、p53遺伝子産物をコードする核酸を含有す る遺伝子構築物の任意のタイプを含むことを意味する。 構築物がp53転写物の発現を行うために、p53ポリヌクレオチドをコードするポ リヌクレオチドは、プロモーターの転写制御下にある。「プロモーター」とは、 遺伝子の特異的転写を開始させるのに必要な、宿主細胞の合成機構により認識さ れるか、または合成機構に導入されるDNA配列を指す。語句「転写制御下」とは 、 プロモーターが、ポリヌクレオチドのRNAポリメラーゼ開始および発現を制御す るためにポリヌクレオチドに関して正確な位置にあることを意味する。 用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼ11の開始部位周辺にクラスター 形成される転写制御モジュールの一群を指すために、本明細書中で用いられる。 プロモーターがどのように編成されるかに関する考えの多くは、HSVチミジンキ ナーゼ(tk)およびSV40初期転写単位についての分析を含む、いくつかのウイル スプロモーターの分析に由来する。これらの研究(より最近の研究によって強化 された)は、プロモーターが、個別の機能モジュールで構成されることを示して おり、これら各々は、約7〜20bpのDNAからなり、そして、転写アクチベーター またはリプレッサータンパク質についての1つ以上の認識部位を含む。 各プロモーター中の少なくとも1つのモジュールは、RNA合成のために開始部 位を置くように機能する。これの最も良く知られた例はTATAボックスであるが、 いくつかのプロモーターでは、TATAボックスを欠失し、このようなプロモーター としては、哺乳動物ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝 子のプロモーターおよびSV40後期遺伝子のプロモーターが挙げられ、開始部位に ある別のエレメントそれ自身が開始の位置を確定することを助ける。 さらなるプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を調節する。代表的には 、これらは、開始部位の30〜110bp上流の領域に位置する。一方、多くのプロモ ーターは、近年、開始部位の下流にも機能的エレメントを含有することが示され ている。プロモーターエレメント間の間隔距離は頻繁には適応性であり、従って 、エレメントが互いに対して逆方向であるか、または位置が変わるとき、プロモ ーター機能は維持される。tkプロモーターでは、プロモーターエレメント間の間 隔距離は50bp離れた位置まで増大され得、この後活性が減少し始める。プロモー ターに依存して、個々のエレメントは、協同してまたは独立してのいずれかで転 写を活性化するように機能し得る。 p53ポリヌクレオチドの発現を制御するために用いられる特定のプロモーター は、標的化された細胞においてそのポリヌクレオチドを発現させ得る限り、決定 的でないと考えられる。従って、ヒト細胞が標的化される場合、ヒト細胞におい て発現され得るプロモーターに隣接してまたはその制御下にあるようにポリヌク レオチドコード領域を置くことが好ましい。一般的にいえば、このようなプロモ ーターは、ヒトまたはウイルスのいずれかのプロモーターを含む。 種々の実施態様において、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時型遺伝子プ ロモーター、SV40初期プロモーター、およびラウス肉腫ウイルス長末端反復は、 p53ポリヌクレオチドの高レベルの発現を得るために用いられ得る。ポリヌクレ オチドの発現を達成することが当該分野で周知である他のウイルスまたは哺乳動 物細胞または細菌ファージプロモーターの使用もまた、発現レベルが増殖阻害効 果を生じるのに充分であれば、意図される。 周知の特性を有するプロモーターを用いることにより、トランスフェクション 後のポリヌクレオチドの発現のレベルおよびパターンは、最適化され得る。例え ば、特定の細胞において活性なプロモーターの選択(例えば、チロシナーゼ(メ ラノーマ)、αフェトプロテインおよびアルブミン(肝腫瘍)、CC10(肺腫瘍) 、ならびに前立腺特異的抗原(前立腺腫瘍))は、p53ポリヌクレオチドの組織 特異的発現を可能にする。表1は、本発明の背景において、p53構築物の発現を 調節するために用いられ得るいくつかのエレメント/プロモーターを列挙する。 この列挙は、p53発現の促進に関与する全ての可能なエレメントを網羅すること を意図しているわけではなく、単にそれらの例示であることを意図している。 エンハンサーは、本来、同じDNA分子の離れた位置に位置したプロモーターか らの転写を増大する遺伝エレメントとして検出された。大きな距離を越えて作用 するこの能力は、原核生物転写調節の古典的な研究ではほどんど先例がなかった 。続く研究は、エンハンサー活性を有するDNAの領域がプロモーターとほぼ同様 に編成されることを示した。すなわち、それらは、多くの個々のエレメントで構 成され、その各々は1つ以上の転写タンパク質に結合する。 エンハンサーとプロモーターとの間の基本的な区別は、操作上のことである。 エンハンサー領域は、全体として、離れて転写を剌激し得なければならない;こ のことは、プロモーター領域またはその成分エレメントに当てはまる必要はない 。他方で、プロモーターは、特定の部位でかつ特定の方向にRNA合成の開始を指 示する1つ以上のエレメントを有しなければならない。一方、エンハンサーは、 これらの特異性を欠く。プロモーターおよびエンハンサーは、しばしば、重複お よ び連続しており、しばしば、非常に類似のモジュール編成を有しているようであ る。 さらに、任意のプロモーター/エンハンサー組み合わせ(Eukaryotic Promote r Data Base EPDC)もまた、p53構築物の発現を駆動するために用いられ得る。T 3、T7またはSP6細胞質発現系は、別の可能な実施態様である。真核生物細胞は、 適切なバクテリオファージポリメラーゼが送達複合体の一部またはさらなる遺伝 子発現ベクターのいずれかとして提供されれば、特定のバクテリオファージプロ モーターからの細胞質転写を支持し得る。 さらに、特定の生理的シグナルに応答して調節されるプロモーターの選択は、 p53構築物の誘導性発現を可能にする。例えば、ヒトPAI-1プロモーターの制御下 のポリヌクレオチドを用いると、発現は、腫瘍壊死因子によって誘導可能である 。表2は、いくつかのプロモーター/インデューサー組み合わせを説明する: 本発明の特定の実施態様では、細胞における発現ベクターの送達は、発現ベク ター中にマーカーを含むことにより、インビトロまたはインビボで同定され得る 。マーカーは、発現の容易な同定を可能にするトランスフェクト細胞に同定可能 な変化を生じる。通常、薬物選択マーカーを含むことは、形質転換体のクローニ ングおよび選択を助ける。あるいは、酵素(例えば、単純ヘルペスウイルスチミ ジンキナーゼ(tk)(真核生物)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフ ェラーゼ(CAT)(原核生物))が用いられ得る。免疫原マーカーもまた用いら れ 得る。用いられる選択マーカーは、p53をコードするポリヌクレオチドと共に発 現され得る限り、重要でないと考えられる。選択マーカーのさらなる例は、当業 者に周知である。 代表的には、転写物の適切なポリアデニル化を行うためにポリアデニル化シグ ナルを含む。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施の成功に重大でな いと考えられ、そして任意のこのような配列が用いられ得る。ターミネーターも また、発現構築物のエレメントとして意図される。これらのエレメントは、メッ セージレベルを増強し、この構築物から他の配列への読み通しを最小にするよう に働き得る。 本発明の好ましい実施態様では、発現構築物は、ウイルス構築物またはウイル スゲノム由来の操作された構築物を含む。特定のウイルスがレセプター媒介エン ドサイトーシスを媒介して細胞に侵入し、そしていくつかの場合では、宿主細胞 染色体に組み込む能力は、それらを哺乳動物細胞への遺伝子導入のための魅力の ある候補とする。しかし、裸のDNAの直接取り込み、およびDNA複合体のレセプタ ー媒介取り込み(以下で考察)を示したので、発現ベクターは、ウイルスである 必要はなく、代わりに、哺乳動物細胞におけるコード化遺伝子の発現を支持し得 る任意のプラスミド、コスミドまたはファージ構築物(例えば、pUCまたはBlues criptTMプラスミドシリーズ)であり得る。 i.レトロウイルス レトロウイルスは、感染細胞において逆転写のプロセス(Coffin、1990)によ りそれらのRNAを二本鎖DNAに変換する能力により特徴づけられた一本鎖RNAウイ ルスのグループである。次いで、得られたDNAは、プロウイルスとして細胞染色 体に安定に組み込み、ウイルスタンパク質の合成を指向する。組み込みは、レシ ピエント細胞におけるウイルス遺伝子配列およびその子孫の保持を生じる。レト ロウイルスゲノムは、3つの遺伝子(gag、polおよびenv;それぞれ、カプシド タンパク質、ポリメラーゼ酵素およびエンベロープ成分をコードする)を含む。 gag遺伝子から上流に見出された配列(Ψと呼ばれる)は、ビリオンへのゲノム のパッケージングのためのシグナルとして機能する。2つの長末端反復(LTR) 配列は、ウイルスゲノムの5'末端および3'末端に存在する。これらは、強いプロ モーターおよびエンハンサー配列を含み、そしてまた宿主細胞ゲノムにおける組 み込みに必要である(Coffin、1990)。 レトロウイルスベクターを構築するために、p53をコードする核酸を、特定の ウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入して、複製欠陥であるウイルスを 生成する。ビリオンを生成するために、gag、polおよびenv遺伝子を含むが、LTR およびΨ成分を含まないパッケージング細胞株を構築する(Mannら、1983)。レト ロウイルスLTRおよびΨ配列と共にヒトcDNAを含む組換えプラスミドをこの細胞 株に導入する場合(例えば、リン酸カルシウム沈降による)、Ψ配列は、組換え プラスミドのRNA転写物をウイルス粒子にパッケージングさせ得、これは次いで 、培養培地に分泌される(NicolasおよびRubenstein、1988;Temin.1986;Mann ら、1983)。次いで、組換えレトロウイルスを含有する培地を集め、必要に応じ て濃縮し、そして遺伝子導入のために用いた。レトロウイルスベクターは、広範 な細胞型に感染し得る。しかし、組み込みおよび安定な発現は、宿主細胞の分裂 を必要とする(Paskindら、1975)。 レトロウイルスベクターの特異的標的を可能にするように設計された新規なア プローチは、近年、ガラクトース残基のウイルスエンベロープへの化学的付加に よるレトロウイルスの化学的改変に基づいて開発された。この改変は、アシアロ 糖タンパク質レセプターによる肝細胞の特異的感染を可能にし得る。 組換えレトロウイルスの標的化に対する異なるアプローチが設計され、これは 、レトロウイルスエンベロープタンパク質に対するおよび特異的細胞レセプター に対するビオチン化抗体を用いた。抗体を、ストレプトアビジンを用いることに より、ビオチン成分を介して結合させた(Rouxら、1989)。主要組織適合性複合 体クラスIおよびII抗原に対する抗体を用いて、それらは、インビトロでエコト ロピックウイルスでそれらの表面抗原を穴を開ける種々のヒト細胞の感染を示し た(Rouxら、1989)。 ii.アデノウイルス ヒトアデノウイルスは、約36kbのゲノムサイズを有する二本鎖DNA腫瘍ウイル スである(Tooze、1981)。真核生物遺伝子発現のモデル系として、アデノウイ ルスは広く研究されており、充分に特徴づけられている。これは、それらを、遺 伝子導入系としてアデノウイルスの開発のために魅力のある系とする。この群の ウイルスは、増殖および操作が容易であり、そしてインビトロおよびインビボで 広い宿主範囲を示す。溶解感染細胞においては、アデノウイルスは、宿主タンパ ク質合成を遮断し、大量のウイルスタンパク質を合成する細胞機構を指示し、そ しておびただしい量のウイルスを生成し得る。 ゲノムのE1領域は、ウイルスゲノムの転写調節を担うタンパク質をコードする E1AおよびE1B、ならびに少数の細胞遺伝子を含む。E2発現(E2AおよびE2Bを含む )は、ウイルス複製機能(例えば、DNA結合タンパク質、DNAポリメラーゼ、およ び複製を開始させる末端タンパク質)の合成を可能にする。E3遺伝子産物は、細 胞傷害性T細胞および腫瘍壊死因子による細胞傷害を妨害し、ウイルス繁殖に重 要であるようである。E4タンパク質と関連した機能は、DNA複製、後期遺伝子発 現、および宿主細胞遮断を含む。後期遺伝子産物は、ビリオンカプシドタンパク 質のほとんどを含み、そしてこれらは、主要後期プロモーターからの1つの一次 転写物のプロセシングのほとんどが生じた後にのみ発現される。主要後期プロモ ーター(MLP)は、感染の後期に高効率を示す(Stratford-PerricaudetおよびPe rricaudet,1991)。 ウイルスゲノムの少量のみであっても、シスで必要であるようであるので、ア デノウイルス由来ベクターは、293細胞のような細胞株と連結して用いるとき、 大きなDNAフラグメントの置換について、優れた能力を供紹する。Ad5形質転換ヒ ト胎児腎臓細胞株(Graham、1977)は、必須ウイルスタンパク質をトランスで提 供するように開発された。従って、本発明者らは、アデノウイルスの特徴がそれ らをインビボでの癌細胞の標的化における使用のための良好な候補とすると結論 づけた。 外来タンパク質を細胞へ送達するためのアデノウイルス系の特別の利点は、以 下を含む:(i)ウイルスDNAの比較的大きな断片を外来DNAにより置換する能力 ;(ii)組換えアデノウイルスの構造的安定性;(iii)ヒトへのアデノウイル ス投与の安全性;および(iv)アデノウイルス感染の癌または悪性腫瘍との既 知の関連が何もないこと;(v)高力価の組換えウイルスを得る能力;および( vi)アデノウイルスの高い感染性。 レトロウイルスを上回るアデノウイルスベクターのさらなる利点は、より高レ ベルの遺伝子発現を含む。さらに、アデノウイルスの複製は、レトロウイルス配 列とは異なり、宿主遺伝子の複製とは独立している。E1領域中のアデノウイルス トランスホーム遺伝子は、容易に欠失され得、そしてなお効率的な発現ベクター を提供し得るので、アデノウイルスベクターに由来する腫瘍形成の危険性は無視 できると考えられている(GrunhausおよびHorwitz,1992)。 一般に、アデノウイルス遺伝子導入系は、そのゲノムの一部(例えば、E1)の 欠失により複製不能にされ、そしてなおその感染能力を保持する、組換えの、操 作されたアデノウイルスに基づいている。比較的大きな外来タンパク質をコード する配列は、さらなる欠失がアデノウイルスゲノムにおいてなされる場合に、発 現され得る。例えば、E1領域およびE3領域の両方が欠失したアデノウイルスは、 10Kbまでの外来DNAを有し得、そして293細胞において高力価に増殖され得る(st ratford-PerricaudetおよびPerricaudet,1991)。アデノウイルス感染後のトラ ンスジーンの驚異的に持続する発現もまた報告されている。 iii.発現構築物としての他のベクター 他のウイルスベクターが、本発明における発現構築物として用いられ得る。ワ クシニアウイルス(Ridgeway,1998;BaichwalおよびSugden,1986;Couparら、 1988)、アデノ随伴ウイルス(AAV)(Ridgeway,1998;BaichwalおよびSugden ,1986;HermonatおよびMuzycska,1984)、ならびにヘルペスウイルスのような ウイルス由来のベクターが、用いられ得る。これらのウイルスは、種々の哺乳動 物細胞のためのいくつかの魅力的な特徴を提供する(Friedmann,1989;Ridgewa y,1988;BaichwalおよびSugden,1986;Couparら、1988;Horwichら、1990)。 欠陥B型肝炎ウイルスの最近の認識を用いて、異なるウイルス配列の構造−機 能関係への新たな洞察が得られた。インビトロ研究は、そのゲノムの80%までの 欠失にかかわらず、ウイルスが、ヘルパー依存性パッケージングおよび逆転写の ための能力を保持し得ることを示した(Horwichら、1990)。このことは、ゲノ ムの大部分が、外来遺伝物質で置換され得ることを示唆した、向肝性および維持 (組み込み)は、肝臓指向性遺伝子導入のための特に魅力的な特性であった。Ch angらは、最近、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝 子を、アヒルB型肝炎ウイルスゲノム中に、ポリメラーゼ、表面、および前表面 (pre-surface)コード配列の代わりに導入した。これは、野生型ウイルスとと もにトリ肝癌細胞株中に同時トランスフェクトされた。高力価の組換えウイルス を含有する培養培地が、初代子アヒル肝細胞を感染させるために使用された。安 定なCAT遺伝子発現が、感染後少なくとも24日間検出された(Changら、1991)。 2.遺伝子送達のための代替法 p53構築物の発現をもたらすために、発現ベクターは、細胞中に送達されなけ ればならない。上記のように、送達のための好ましい機構はウイルス感染を介し 、ここで発現ベクターは感染性アデノウイルス粒子中に包膜される。 培養哺乳動物細胞中への発現ベクターの導入のためのいくつかの非ウイルス性 の方法もまた、本発明によって意図される。これらは、リン酸カルシウム沈澱( GrahamおよびVan Der Eb,1973;ChenおよびOkayama,1987;Rippeら、1990)、 DEAE-デキストラン(Gopal,1985)、エレクトロポレーション(Tur-Kaspaら、1 986;Potterら、1984)、直接的マイクロインジェクション(HarlandおよびWein traub,1985)、DNA負荷リポソーム(NicolauおよびSene,1982;Fraleyら、197 9)およびリポフェクトアミン-DNA複合体、細胞超音波処理(Fechheimerら、198 7)、高速マイクロプロジェクタイルを使用する遺伝子ボンバードメント(Yang ら、1990)、ポリカチオン(Boussifら、1995)およびレセプター媒介性トラン スフェクション(WuおよびWu,1987;WuおよびWu,1988)を含む。これらの技術 のいくつかは、インビボまたはエクスビボ用途のために首尾良く適合され得る。 本発明の1つの実施態様において、アデノウイルス発現ベクターは、単に、裸 の組換えベクターからなり得る。構築物の導入は、細胞膜を物理的または科学的 に透過性にする、任意の上記の方法により実施され得る。例えば、Dubenskyら( 1984)は、CaPO4沈澱の形態のポリオーマウイルスDNAを、成体および新生マウス の肝臓および脾臓中へ首尾良く注射し、活発なウイルス複製および急性感染を 実証した。BenvenistyおよびNeshif(1986)はまた、CaPO4沈澱プラスミドの直 接的腹腔内注射が、トランスフェクトされた遺伝子の発現をもたらしたことを実 証した。p53構築物をコードするDNAもまた、同様にインビボにおいて導入され得 ることが意図される。 細胞中への裸のDNA発現ベクターを導入するための本発明の別の実施態様は、 粒子ボンバードメントを含み得る。この方法は、DNAコートマイクロプロジェク タイルを高速に加速して、それらを細胞膜を貫通させ、そして細胞を死滅させる ことなくその中に入れる能力に依存する(Kleinら、1987)。小粒子を加速する ためのいくつかのデバイスが開発されている。1つのこのようなデバイスは、電 流(これは次いで原動力を提供する)を生成するために高電圧放電に依存する( Yangら、1990)。使用されるマイクロプロジェクタイルは、タングステンまたは 金ビーズのような生物学的に不活性な物質からなった。 ラットおよびマウスの肝臓、皮膚、および筋肉組織を含む選択された器官が、 インビボにおいてボンバードされた(Yangら、1990;Zeleninら、1991)。これ は、銃と標的器官との間のいかなる介在組織も除去するために、組織または細胞 の外科手術的露出を必要とし得る。p53構築物をコードするDNAは、この方法を介 して送達され得る。 本発明のさらなる実施態様において、発現ベクターは、リポソーム中に取り込 まれ得る。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒質によって特徴付 けられる小胞構造物である。多重膜リポソームは水性媒質によって分離される複 数の脂質層を有する。リポソームは、リン脂質が過剰の水溶液中に懸濁されると 、自発的に形成される。脂質成分は、閉鎖構造の形成前に自己再整列を経、そし て水および溶解された溶質を脂質二重層の間に取り込む(GhoshおよびBachhawat ,1991)。リポフェクトアミン-DNA複合体もまた意図される。 インビトロにおける外来DNAのリポソーム媒介性ポリヌクレオチド送達および 発現は非常に成功した。Wongら(1980)は、培養ニワトリ胚、HeLa、および肝癌 細胞における、外来DNAのリポソーム媒介性送達および発現の実施可能性を実証 した(1980)。Nicolauら(1987)は、静脈内注射後のラットにおける首尾良い リポソーム媒介性遺伝子導入を達成した。 本発明の特定の実施態様において、リポソームは、血球凝集ウイルス(HVJ) と複合体化され得る。これは、細胞膜との融合を促進し、そしてリポソーム被包 DNAの細胞侵入を促進するすることが示されている(Kanedaら、1989)。他の実 施態様において、リポソームは、核非ヒストン染色体タンパク質(HMG-1)と複 合体化され得るか、またはそれとともに用いられ得る(Katoら、1991)。なおさ らなる実施態様において、リポソームは、HJVおよびHMG-1の両方と複合体化され 得るか、またはそれとともに用いられ得る。そのような発現ベクターがインビト ロおよびインビボにおいてポリヌクレオチドの導入および発現において首尾良く 用いられたという点で、それらは本発明のために適用可能である。DNA構築物に おいてバクテリオファージプロモーターが用いられる場合、リポソーム内に適切 なバクテリオファージポリメラーゼを含めることもまた所望される。 細胞中に発現ベクターを導入するための別の機構は、レセプター媒介性送達で ある。このアプローチは、ほぼ全ての真核生物細胞におけるレセプター媒介性エ ンドサイトーシスによる高分子の選択的取り込みを利用する。種々のレセプター の細胞型特異的分布により、送達は高度に特異的であり得る(WuおよびWu,1993 )。レセプター媒介性遺伝子標的化ビヒクルは、一般に、以下の2つの成分から なる:細胞レセプター特異的リガンドおよびDNA結合剤。いくつかのリガンドが 、レセプター媒介性遺伝子導入のために使用されている。最も十分に特徴付けら れているリガンドは、アシアロオロソムコイド(ASOR)(WuおよびWu,1987)な らびにトランスフェリン(Wagnerら、1993)である。最近、合成ネオグリコプロ テイン(neoglycoprotein)(これは、ASORと同じレセプターを認識する)が、 遺伝子送達ビヒクルとして使用され(Ferkolら、1993;Peralesら、1994)、そ して上皮増殖因子(EGF)もまた、遺伝子を扁平上皮癌細胞へ送達するために使 用された(Myers,EPO 0273085)。 他の実施態様において、送達ビヒクルは、リガンドおよびリポソームを含み得 る。例えば、Nicolauら(1987)は、リポソーム中に組み込まれた、ガラクトー ス末端アシアロガングリオシドであるラクトシルセラミドを用い、そして肝細胞 によるインスリン遺伝子の取り込みの増加を観察した。従って、アデノウイルス 発現ベクターもまた、任意の多数のレセプター−リガンド系によって、リポソー ムをともなってか、またはともなわないで、肺細胞、上皮細胞、または腫瘍細胞 のような細胞型中に、特異的に送達され得ることは、実施可能である。例えば、 上皮増殖因子(EGF)は、EGFレセプターのアップレギュレーションを示す多数の 腫瘍細胞におけるp53構築物の媒介性送達のためのレセプターとして使用され得 る。ガラクトースは、肝臓細胞上のアシアログリコプロテインレセプターを標的 化するために使用され得る。また、CD5(CLL)、CD22(リンパ腫)、CD25(T細 胞白血病)、およびMAA(黒色腫)に対する抗体が、標的化部分として同様に使 用され得る。 特定の実施態様において、遺伝子導入は、エクスビボ条件下においてより容易 に実施され得る。エクスビボ遺伝子治療は、動物からの細胞の単離、インビトロ における細胞中へのポリヌクレオチドの送達、および次の動物中への改変された 細胞の返還をいう。これは、動物からの組織/器官の外科手術的取り出し、また は細胞および組織の初代培養を含み得る。Andersonら、米国特許第5,399,346号 (本明細書中にその全体が援用される)は、エクスビボ治療方法を開示する。エ クスビボ培養の間に、発現ベクターはp53構築物を発現し得る。最後に、細胞は 、下記の任意の手段によって、薬学的に受容可能な形態で、もとの動物に再導入 され得るか、または異なる動物中に投与され得る。 G.標準的化学療法および放射線療法との組み合わせ DNA損傷剤に対する腫瘍細胞の耐性は、臨床腫瘍学における主要な問題を示す 。現在の癌研究の1つの目標は、化学療法および放射線療法の効力を、それを遺 伝子治療と組み合わせることによって改善するための方法を見出すことである。 本発明に関して、2-MeOE2増強p53遺伝子治療が、化学療法的または放射線療法的 介入とともに同様に使用され得ることが意図される。 細胞(例えば、悪性細胞または転移細胞)を死滅させるために、本発明の方法 および組成物を使用して、「標的」細胞を、2-MeOE2およびp53タンパク質または 遺伝子と、そして必要に応じて、少なくとも1つの化学療法剤(例えば、DNA損 傷剤)とを接触させる。これらの組成物は、細胞を死滅させるか、または細胞の 増殖を阻害するために有効な組み合わせの量で提供される。このプロセスは、細 胞を、2-MeOE2およびp53タンパク質または遺伝子、ならびに化学療法用薬剤(単 数もしくは複数)または因子(単数もしくは複数)と、同時に接触させることを 含み得る。これは、細胞を、両方の薬剤を含む単一の組成物もしくは薬学的処方 物と接触させることにより、または、細胞を、同時に2つの異なる組成物もしく は処方物と接触させることによって達成され得、ここで1つの組成物は、2-MeOE2 およびp53タンパク質または遺伝子を含み、そして他方は化学療法剤を含む。 あるいは、2-MeOE2増強p53処置は、数分から数週間の範囲の間隔で、化学療法 剤処置に先行するか、または化学療法剤処置に続き得る。DNA損傷因子、ならび に2-MeOE2およびp53タンパク質または遺伝子が別々に細胞に適用される実施態様 において、一般に、有意な期間が各々の送達の時間の間に切れず、その結果、DN A損傷剤ならびに2-MeOE2およびp53タンパク質または遺伝子がなお有利に組み合 わせの効果を細胞に対して発揮し得ることを確実にする。そのような場合におい て、細胞を、両方の薬剤と、互いの約12〜24時間以内に、より好ましくは互いの 約6〜12時間以内に接触させることが意図されるが、約12時間のみの遅延時間が 最も好ましい。しかし、数日間(2、3、4、5、6、または7)から数週間( 1、2、3、4、5、6、7、または8)がそれぞれの投与の間に経過するいく つかの場合において、処置のための期間を有意に延長することが所望され得る。 また、2-MeOE2およびp53タンパク質もしくはp53遺伝子、または化学療法剤の いずれかの1つより多くの投与が望ましいとも考えられる。種々の組合せが用い られ得、ここで2−MeOE2およびp53タンパク質もしくはp53遺伝子は「A」であ り、そして化学療法剤は「B」である: A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A A/B/B/B B/A/B/B 用語「接触された」および「曝露された」は、細胞に対して適用されるとき、 本明細書中において、タンパク質(例えば、2-MeOE2およびp53)、ならびに化学 療法剤または化学療法因子が、標的細胞に送達されるか、または標的細胞と直接 並置して配置されるプロセスを記載するために使用される。細胞殺傷を達成する ために、両薬剤は、細胞を殺傷するのに有効な組み合わせ量で細胞に送達される 。 特に、本発明は、組合せ治療プロトコルの一部としてDNA損傷剤を用いる。DNA 損傷剤またはDNA損傷因子は、本明細書中では、細胞に適用された場合にDNA損傷 を誘導する任意の化学的化合物または処置方法として定義される。このような薬 剤および因子は、DNA損傷を誘導する放射線および電波(例えば、γ照射、X線 、UV照射、マイクロ波、電子放出など)を包含する。種々の化学的化合物(「化 学療法剤」とも記載される)は、DNA損傷を誘導するように機能する。それらの 全ては、本明細書中に開示された組み合わせ処置方法において有用であると意図 される。有用であると意図される化学療法剤は、例えば、アドリアマイシン、5- フルオロウラシル(5FU)、エトポシド(VP-16)、カンプトセシン、アクチノマ イシン-D、マイトマイシンC、シスプラチン(CDDP)、および過酸化水素さえも 含む。本発明はまた、放射線ベースまたは実際の化合物であるかに関わらず、1 つ以上のDNA損傷剤の組み合わせ使用を包含する。このような使用としては、例 えば、シスプラチンとのX線の使用またはエトポシドとのシスプラチンの使用が 挙げられる。特定の実施態様では、2-MeOE2およびp53タンパク質またはp53遺伝 子と組み合わせたシスプラチンの使用は、この化合物として特に好ましい。 細胞を2-MeOE2およびp53タンパク質またはp53遺伝子と接触させるために、細 胞内で増加したレベルの機能的p53タンパク質を生じる限り、任意の方法もまた 使用され得る。これは、細胞へのp53タンパク質の直接送達およびp53をコードす る遺伝子またはDNAセグメントの送達の両方を包含する。この遺伝子は、細胞内 でのp53の発現および産生を指向する。タンパク質送達はタンパク質分解および 低細胞取り込みのような不利益を受けるので、p53タンパク質を発現する組換え ベクターの使用が特定の利点を提供することが意図される。 本発明による癌の処置において、腫瘍細胞は、2-MeOE2およびp53タンパク質ま たはp53遺伝子に加えて化学療法剤と接触させられる。このことは、局在化され た腫瘍部位をDNA損傷性放射線(例えば、X線、UV光、γ線またはマイクロ波で さえ)で照射することによって達成され得る。あるいは、腫瘍細胞は、DNA損傷 化合物(例えば、アドリアマイシン、5-フルオロウラシル、エトポシド、カンプ トセシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、またはより好ましくはシス プラチン)を含む治療有効量の薬学的組成物を被験体に投与することにより、DN A損傷剤と接触させ得る。DNA損傷剤は、上記のように2-MeOE2およびp53タンパク 質またはp53遺伝子と組み合わせることによって、組合せ治療用組成物またはキ ットとして調製および使用され得る。 核酸(特に、DNA)を直接架橋する薬剤は、相乗的な抗新生物組合せに至るDNA 損傷をもたらすことが、本明細書中で考察され、そして示される。シスプラチン のような薬剤、および他のDNAアルキル化が使用され得る。シスプラチンは、合 計3コースで3週間毎に5日間、20mg/m2の臨床的適用において使用される有効 用量で、癌を処置するために広範に使用されてきた。シスプラチンは、経口的に 吸収されず、それゆえ静脈内、皮下、腫瘍内、または腹腔内注射を介して送達さ れなければならない。 DNAを損傷させる薬剤にはまた、DNA複製、有糸分裂、および染色体分離を妨害 する化合物が含まれる。このような化学療法化合物には、アドリアマイシン(ド キソルビシンとしても知られる)、エトポシド、ベラパミル、ポドフィロトキシ ンなどが含まれる。臨床的場面で新生物の処置のために広範に使用されるこれら の化合物は、アドリアマイシンについての21日間隔で25〜75mg/m2から、静脈内 でエトポシドについて35〜50mg/m2までの範囲の用量の静脈内へのボーラス注射 で、または静脈内用量の二倍で経口的に投与される。 核酸前駆体の合成および忠実度を破壊する薬剤、およびサブユニットはまた、 DNA損傷を引き起こす。それとして、多数の核酸前駆体が開発されている。十分 な試験を経ており、そして容易に入手可能な薬剤が特に有用である。それとして 、5-フルオロウラシル(5-FU)のような薬剤が、新生物組織によって好ましく使 用され、この薬剤を新生物細胞の標的化に特に有用にしている。5-FUは非常に毒 性ではあるが、一般に使用されている3〜15mg/kg/日の範囲の用量で、局所であ るが静脈内の投与を含む広範なキャリアにおいて適用可能である。 DNA損傷を引き起こし、そして広範に使用されている他の因子には、γ線、X 線として一般に知られているもの、および/または腫瘍細胞へのラジオアイソト ープの指向送達が含まれる。DNA損傷因子の他の形態はまた、マイクロ波およびU V照射のようなものが意図される。これらの全ての因子が、DNAの前駆体、DNAの 複製および修復、ならびに染色体のアセンブリおよび維持に対して広範な範囲の 損傷をもたらすことが最もありそうである。X線の用量範囲は、長期間(3〜4 週間)のための50〜200レントゲンの1日量から、2000〜6000レントゲンの単回 用量までの範囲である。ラジオアイソトープの用量範囲は広範に変化し、そして アイソトープの半減期、放射される照射の強度および型、ならびに新生物細胞に よる取り込みに依存する。 当業者は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第15版、第33章、特 に624〜652頁に指導される。投薬におけるいくらかの変更は、処置される被験体 の状態に依存して必ず生じる。投与の責任を担う者は、いかなる場合にも、個々 の被験体に適切な用量を決定する。さらに、ヒト投与のために、調製物は、FDA 局の生物学的基準によって要求される無菌、発熱性、一般的な安全性、および純 度の基準を満たすべきである。 本発明者らは、p53関連癌の患者における肺癌細胞への2-MeOE2およびp53タン パク質またはp53遺伝子の局所的送達が、臨床的疾患を妨げる治療的に有効なタ ンパク質を送達するために非常に効率的な方法であることを提唱する。同様に、 化学療法または放射線療法は、被験体の体内の特定の罹患領域に指向され得る。 あるいは、2-MeOE2およびp53タンパク質もしくはp53遺伝子、またはDNA損傷剤の 全身的送達は、例えば、広範な転移が生じている場合のような特定の状況下で適 切であり得る。 H.実施例 以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すために含まれる。以下の実 施例に開示される技術が、本発明の実施において良好に機能することが本発明者 らによって見出された技術を示し、従って、その実施の好ましい熊様を構成する と考えられ得ることは、当業者により理解されるべきである。しかし、当業者は 、 本開示を考慮して、開示される特定の実施態様において多くの変更がなされ得、 そしてなお同じかまたは類似の結果が、本発明の精神および範囲を逸脱すること なく得られることを理解するべきである。 実施例I 材料および方法 細胞株および組織培養物 非小細胞肺癌細胞株H1299(p53欠失)、H460(野生型p53)、H358(p53欠失) およびpH322(p53変異体)を、AdiGazdar博士およびJohn Minna博士から入手し た。A549(野生型p53)ヒト肺癌細胞株を、アメリカンタイプカルチャーコレク ション(Rockville,MD)から入手した。全ての細胞株を、5%熱不活化ウシ胎 児血清を補充したRPMI 1640培地で、かつ5%C02で維持しながら増殖させた。全 てのインビトロでの研究を、細胞が70%コンフルエントである場合に行なった。アデノウイルスベクター構築およびトランスフェクション: Ad5p53哺乳動物発現ベクターを、以前(Zhangら,1993)に報告された通りに 、本発明者らの研究室において構築した。手短に言えば、PCRで作製した野生型 ヒトp53cDNAを、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御下のpXCJ L.1シャトルベクター中にサブクローン化した。得られる構築物およびpJM17を 、293細胞中に同時トランスフェクトした。次いで、アデノウイルス組換え体を 単離し、ウェスタンブロット分析により試験し、そしてさらに精製した。最終的 に、アデノウイルス力価を決定した。MOIを、感染される細胞の総数に対する特 定の感染において使用したプラーク形成単位の総数の比として定義した。ウェスタンブロット分析 コントロール細胞および薬物処理細胞を、冷PBS中で洗浄し、Laemmliサンプル 緩衝液中で溶解し、そして以前(Mukhopadhyayら,1995)に記載された通りにウ ェスタンブロット分析に供した。ブロットを、Pab 1801抗p53モノクローナル抗 体(Oncogene Sciences,Uniondale,NY)でプローブした。ブロットを、抗WAF1 モノクローナル抗体(p21)でさらにプローブした。 ブロットを、0.1% Tween20を含有するTris緩衝化生理食塩水中で洗浄し、二 次抗体に結合した西洋ワサビペルオキシダーゼとともにインキュベートし、そし て特異的免疫複合体を、製造者の指示(Amersham,ArlingLon,IL)に従って増 感化学発光技術により検出した。等しいタンパク質ローディングを示すために、 ブロットを、抗アクチンモノクローナル抗体(Amersham)で再プローブした。RNA 単離およびノーザンブロット分析 総RNAを、サブコンフルエントな培養物から、グアニジウムチオシアネート方 法(ChomczynskyおよびSacchi,1987)を用いて単離した。20μgの総RNAを、1. 4%アガロース/MOPSホルムアルデヒドゲル中で電気泳動し、ナイロンメンブレ ンにトランスファーし、そして以前(MukhopadyayおよびRoth,1993)に記載さ れた通りに、放射標識したp53 cDNAプローブに対してハイブリダイズした。DNA 結合の分析 電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)を、H460細胞株から調製した核抽出物 を用いて行なった。核抽出物を、非処理コントロール細胞および2-MeOE2処理細 胞から調製した。細胞を、氷冷PBS中で洗浄し、そして0.5ml核収集緩衝液(10mM HEPES,pH7.9;10mM KCl;0.1mM ETA,1mMジチオトレイトール(DTT),0.1%N P-40;0.5mMフェニルメチル−スルホニルフルオリド;2mg/mlロイペプチン;2mg /mlアプロチニン;0.5mg/mlベンズアミジン)中に掻き落とした。氷上での30分間 のインキュベーションの後、溶解産物を、4℃にて1分間遠心分離した。核ペレ ットを、0.4M NaClを含有する核収集緩衝液中に再懸濁し、そして氷上で1時間 インキュベートした。核抽出物を、12,000rpmで、30分間、4℃にて微量遠心分 離し、そして上清を−70℃にて保存した。 電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)を行うために、10mgの核抽出物を、結 合緩衝液(25mM HEPES、pH7.9;0.5mM EDTA;0.5mM DTT; 1% NP-40;5%グリセ ロール;50mM NaCl)中の0.1mgのポリ(dl-dC)および1ngの32P末端標識p53コ ンセンサス結合オリゴヌクレオチドとともに、総反応容積20nlで、穏やかに 混合した。1μl(1mg)のp53モノクローナル抗体DO1(Santa Cruz Biotechno logy Inc.,Calif)を、結合後にDNAに添加し、そしてさらに15分間インキュベ ートしてスーパーシフトを示した。DNA-タンパク質複合体を、未変性4.5%ポリ アクリルアミドゲルにおいて分離した。増殖アッセイ 細胞増殖測定について、5×104細胞を6ウェルプレートの各ウェル中にプレ ートしたか、あるいは、薬剤処理またはアデノウイルス感染前24時間に、1×104 細胞を組織培養プレート上に播種した。細胞増殖を未処理のコントロール、2-M eOE2処理細胞、およびAdp53(1 MOI)および2-MeOE2の組合せで処理した細胞で測 定した。内部コントロールとして、細胞を空のアデノウイルスベクターdl312で 形質導入した。コントロールおよび処理細胞をトリプシン処理し、クリスタルバ イオレットで染色し、そして血球計測器で計数した。研究は、三連で実施した。フローサイトメトリー分析 コントロールおよび処理細胞をトリプシン処理により回収し、そしてPBS中で 洗浄し、そして70%エタノールで一晩固定した。翌日、細胞をPBS中で30分間再 水和し、遠心分離し、そしてPBS中に再懸濁した。DNA分析について、プロピジウ ムヨーダイド(Sigma)を50mg/mlで添加し、そして細胞をRNアーゼ15mg/ml存在 下で30分間37℃にてインキュベートした。フローサイトメトリー分析を蛍光活性 化細胞ソーター(Coulter Epics Elite)中で実施した。TdT 染色 末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介性のdUTPビオチンニック 末端標識(TUNEL)アッセイを以前に記載(Fujiwaraら、1994)の通りに実施し た。手短には、細胞を固定し、スライド上でサイトスピンした(cytospin)。細 胞をTdT緩衝液(30mM Tris Hcl,pH7.2;140mMカコジレート。1mM塩化コバルト) 中でインキュベートし、そしてビオチン化dUTP(Boehringer Mannheim,Indiana polis,IN)および100U/mlTdT酵素(Bethesta Research Laboratory)とと もに37℃で1時間インキュベートした。アビジン−ビオチン複合体をVectastain Elite Kit(Vector Laboratory,Burlingame,CA)を用いてジアミノベンジジ ン-H2O2法により検出した。 実施例II 癌細胞の増殖特徴における2-MeOE2の効果 本発明者らは、p53状態の異なる4つの異なるヒト肺癌細胞の増殖特徴におけ る2-MeOE2処理の効果を試験した:H358(p53欠失)、H322(p53変異)、H460(野生 型p53)、A549(野生型p53)。 細胞を、5μMの2-MeOE2または16-エピエストリオール(エストロゲンの別の 代謝物)で処理し、そして細胞の増殖を5日間モニターした(図1)。 2-MeOE2は、A549およびH460細胞(これらは、野生型53を含有する)に有意の 増殖阻害効果を有したが、変異p53 H322細胞株またはp53欠失H358細胞株には増 殖阻害効果は実質的になかった。 2-MeOE2処理後のp53タンパク質のウェスタンブロット分析は、この薬剤が、野 生型p53を有する細胞株と比較した場合、野生型p53レベルを転写後で増殖させる ように作用することを示した。野生型p53タンパク質レベルは、これらの肺癌細 胞株において2-MeOE2処理の48時間の間に6〜8倍増殖した。しカル、H322細胞 株または正常気管支上皮細胞中の変異p53タンパク質のレベルにおける増加はな かった。 野生型p53は、多数の標的遺伝子の活性化により多面的な効果を表す。WAF1は 、p53遺伝子の標的の一つであり、21kD分子量のp21WAF1/CIP1タンパク質であるG 1-S転移に必要であるサイクリン依存性キナーゼ2のインヒビターをコードする (El-Deiryら、1993)。2-MeOE2処理後のp53レベルの増加は、p21遺伝子の活性 化を生じた。ブロットをWAF1モノクローナル抗体で再プローブした場合、H460お よびA549細胞株が、p21タンパク質発現における3〜5倍の増加を示した。 実施例III 転写後機構により制御されるp53の2-MeOE2媒介性増加 用量応答研究は、これらの肺癌細胞株において、5μMの2-MeOE2処置がp53お よびp21を48時間後に最高レベルへと刺激することを示した。2-MeOE2が増加させ る野生型p53が主に、転写後の現象により制御されるかどうかを決定するために 、H460および2-MeOE2処理48時間後のH460からの総RNAをノーザンブロットにより 分析した。 ブロットを放射標識p53cDNAでプローブした。結果は、薬剤処理後のp53mRNAレ ベルに変化がなかったことを示した。これは、2-MeOE2が野生型RNAの発現に影響 せず、そしてp53タンパク質は、転写後修飾から生じたことを示す。 実施例IV 2-MeOE2 処理はp21WAF1/CIP1の発現の増加を生じる 2-MeOE2で48時間処理したH460細胞におけるp53の増加は、p53−DNA結合活性の 増加と相関していた。本発明者らは、コントロール、未処理、および2-MeOE2処 理H460細胞株から単離したp53タンパク質の標的DNAコンセンサス配列に結合する 能力についての能力を試験した。H460細胞を5μmの2-MeOE2で48時間処理し、 次いで総核抽出物を調製した。未処理コントロール細胞に比較して2-MeOE2で処 置した細胞の核抽出物中において、p53DNA結合活性において3倍の増加が実証さ れた。抗p53モノクローナル抗体を用いるスーパーシフト分析を行って、p53タン パク質がコンセンサスDNA結合エレメントに結合していることを検証した。これ らのデータは、2-MeOE2処理後の野生型p53タンパク質が機能的に活性であること を示す。p53発現の増加は、p21WAF21/CIP1の発現の増加と相関していた。 p21の誘導がp53媒介性G1休止を起こし、そしてアポトーシスを誘導すること が示されている。しかし、これらの肺癌細胞株において、野生型のp53およびp21 のタンパク質レベルの両方における増加が細胞周期に対する効果を有さなかった 。細胞周期分析は、これらの肺癌細胞株における2-MeOE2またはエピストリオー ルの処理後のG1休止の証拠を示さなかった(図2A)。細胞をP1で標識し、そし て細胞周期をFACScanにより分析した。アポトーシス細胞を表すピークは、2-MeO E2で処理したH460およびA549細胞株において現れた。細胞死における有意な増加 が、H460およびA549の細胞株の2-MeOE2処理の48時間後の増殖アッセイの間に観 察さ れた。しかし、クリスタルバイオレット染色後のH322細胞株またはH358細胞株に おいてはたった2個の死んだ細胞しか認められなかった。 細胞がアポトーシスに起因して染色されていることを検証するために、細胞の 浮游集団および付着集団の両方をプールし、そして70%メタノール中に固定し、 そしてUTP標識ビオチン、続いてアポトーシスと相関するDNA鎖切断の欠失につい てのFITC−アビジンで同時に染色した。結果は、2-MeOE2処理H460およびA549細 胞がアポトーシスを経験したことを示した。図2Bは、FACS分析後のアポトーシス 細胞の割合を比較する。A549細胞は、5μmの2-MeOE2処理の48時間後で約48% のアポトーシス細胞死を示したが、H322変異細胞株に対する効果は有さなかった 。細胞をまた、TUNELアッセイについてビオチン化UTPで染色して、DNA断片化を モニターした。H460細胞は、チャンバースライド内で増殖させ、そして薬剤で処 理し、そしてTdT染色を材料と方法に記載のように実施した。エピストリオール で処理した細胞またはコントロール偽処理細胞はほとんどDNA断片化を示さなか ったが、2-MeOE2処理細胞は、多くのアポトーシス体を提示した。従って、アポ トーシスは、これらの肺癌細胞に特異的であり、そして遺伝子傷害がすでに蓄積 している腫瘍細胞中の高レベルの野生型p53タンパク質の利用可能性に依存する ようである。なぜなら、正常気管支上皮は、2-MeOE2処理に応答して観察される 変化を示さなかったからである。 野生型p53タンパク質は、非常に動的であり、そして細胞の増殖状態に依存し て配座変換を行う(MilnerおよびWatson、1990)。野生型p53タンパク質の見か けの配座可撓性のため、薬理学的介入は、機能的活性状態におけるタンパク質を 安定化させ得る。以前に、Geldanamycinが選択的に変異p53の配座およびタンパ ク質の生化学的特性を変換し得ることが示されている(Blagosklonyら、1995) 。本発明者らの研究において、パルス追跡研究により、p53タンパク質の半減期 が2-MeOE2処理後に増加することが示された。従って、2-MeOE2により生じる翻訳 後修飾は、観察されるより高いp53タンパク質レベルを生じ得る。 これらの研究は、2-MeOE2が転写後の様式で野生型p53遺伝子のレベルを増加さ せ、そしてアポトーシスを経験するように細胞を誘導することを明らかに示す。 この化合物は、p53変異またはp53欠損の肺癌細胞株に対して実質的には効果を有 さなかった。従って、この化合物は、野生型p53タンパク質を発現する細胞にお いて腫瘍細胞の増殖の潜在的なインヒビターである。 実施例V Adp53 形質導入腫瘍細胞の2-MeOE2処理はアポトーシスを誘導する 野生型p53を欠失する癌細胞において、野生型遣伝子の導入および過剰発現は 、増殖停止およびアポトーシスを誘導する。内因性野生型p53を発現する癌細胞 は、細胞中の不充分なp53タンパク質蓄積のレベルに起因してアポトーシスを経 験しないかもしれない。2-メトキシエストラジオールは、ヒト腫瘍細胞中の内因 性野生型p53タンパク質の蓄積を転写後に安定化させ、そして促進するので、本 発明者らは、野生型p53(Adp53)を含む組換えアデノウイルスで形質導入された 腫瘍細胞に対する2-MeOE2処理の効果を研究した。 4つのヒト非小細胞肺癌(LSCLC)細胞株を本研究に使用した:H460(野生型p 53)、A549(野生型p53)、H1299(p53ヌル)、およびH322(p53変異体)。H460 細胞を用いた初期の用量−応答研究は、5mM 2-MeOE2が、p53タンパク質の蓄積を 安定化させそして生じさせ、その結果増殖停止およびアポトーシスが誘導される のに十分であることを示した。従って、この濃度を本研究において使用した。5m M 2-メトキシエストラジオール単独でのH460細胞(図3)またはA549細胞(図4 )の処理は、3〜4倍の野生型p53タンパク質レベル、および引き続く増殖停止 を誘導したが、内因性野生型p53を含む正常細胞の2-メトキシエストラジオール での処理は、影響されなかった。対照的に、H1299細胞(図5)またはH322細胞 (図6)の2-メトキシエストラジオール単独での処理は細胞増殖に対する効果を 有さなかった。アデノウイルス媒介性の野生型p53遺伝子の、1MOl(感染多重度 )という低用量での導入は、試験したどの細胞株に対しても効果を有さなかった 。しかし、2-メトキシエストラジオールをこれらの同じAdp53感染細胞に24時間 添加した場合、重篤な増殖停止が観察された(図3〜6)。H1299細胞のTUNEL染 色によるアポトーシス誘導の分析は、2-MeOE2が細胞内野生型p53タンパク質を安 定化し、その結果高レベルのタンパク質が蓄積し、増殖停止およびアポトーシス の誘導を生じることを示す多くのアポトーシス体を明らかにした。。従って、 使用した濃度での2-MeOE2またはAdp53単独でのいずれの細胞株の処理も、増殖停 止またはアポトーシスを誘導するのには十分でなかったが、薬剤のいっしょの投 与は十分であった。高用量を用いる場合、ウイルスベクターの能力が、ベクター に対する毒性および免疫学的反応を誘導するので、本明細書中に記載の戦略は、 少量のAdp53の非毒性薬剤(例えば、2-MeOE2)との組合せは、p53状態に関係な く、腫瘍細胞を殺傷するのに有利である。 トランスフェクトされたp53と2-MeOE2との間の相乗作用は、遺伝子治療を介し た癌を処置するための強力な可能性を提供する。2-MeOE2は、いくつかの独特な 特性を有するようである。第一に、これは、正常ヒト尿において存在するエスト ロゲンの無毒性代謝副産物である。第二に、これは、アポトーシスに関連する野 生型p53タンパク質の6〜8倍の蓄積を生じる。第三に、腫瘍細胞の好ましい感 受性についての分子的基礎は理解されていないが、2-MeOE2効果は、癌細胞対正 常気管支上皮細胞に特異的である(MukhopadhyayおよびRoth、1997;Seegersら 、1997)。2-MeOE2は単独で、内因性野生型p53を含む腫瘍細胞株においてp53を 誘導し得る。これは、ある程度の増殖阻害およびアポトーシスを生じる(Mukhop adhyayおよびRoth、1997)。 p53に関して、それは、細胞が種々の外部刺激に応答しで単純に増殖を停止す るか、またはさらに進行し、そして自殺をするかを決定することにおいて重要な 役割を果たす。p53遺伝子における変異は、しばしば、p53遺伝子を機能的に不活 化し、そして悪性進行に貢献する(VogelsteinおよびKinzler,1992)。野生型p 53タンパク質の蓄積は、細胞を2つの経路:細胞周期停止(Kuerbitzら、1992) またはプログラムされた細胞死(アポトーシス)(Shawら、1992;Ryanら、1993)の 内の1つに進入させ得る。野生型p53がアポトーシスを誘導する正確な機構は、 はっきりとは理解されていないが、いくつかの研究は、p53がアポトーシスの誘 導を転写的に活性化することを示唆しており(Yonish-Rouachら、1992)、一方 、他の研究は、そうでないことを示唆している(Wagnerら、1994)。 この知見から、これらの実施例は、ヒト遺伝子治療のユニークなストラテジー を記載する。このストラテジーは、野生型p53をコードするアデノウイルスベク ターと、それ自身では細胞に対して非毒性である血管形成薬剤とを組み合わせる 。 実際、2-MeOE2は、インビボでの腫瘍増殖に重要な腫瘍血管新生を減少すること (Fotsisら、1994)、および100mMの濃度でさえも正常なヒト皮膚線維芽細胞に 対して非細胞毒性であることが示されている(Fotsisら、1994)。従来の化学治 療薬剤とは異なり、それは、安全であり、そして薬物耐性の潜在的な問題を除去 する。2-MeOE2が野生型p53レベルを増大させ得る機構は不明であるが、2-MeOE2 は、細胞の型および細胞の状況に応じて細胞のプロセスに多面的な効果を有する ようである。2-MeOE2処理の後のp53タンパク質の誘導は、野生型p53を発現する 細胞におけるサイクリン依存性キナーゼインヒビターp21WAF1/CIP1タンパク質の 増大した発現と関連した(MukhopadhyayおよびRoth,1997)。同様の現象が、他 の細胞型において観察されている。例えば、本発明者らは、MCF-7細胞において アポトーシスと関連した高レベルのp53タンパク質誘導を見出した(データは示 さず)。初期の報告は、エストロゲン依存性MCF-7細胞株における2-MeOE2がチュ ーブリンの脱重合体化と関連したG2/M停止を引き起こしたことを示した(Tlshle rら、1995)。しかし、本発明者らは、本発明者らの肺癌細胞株の免疫蛍光研究 (データは示さず)またはA431細胞では、20mMの濃度でさえも、チューブリン構 造における2-MeOE2の効果を観察しなかった(Attallaら、1996)。2-MeOE2が、 カルモジュリン経路を阻害することによって白血病細胞株において有糸分裂の停 止を引き起こすこともまた示唆された(Attallaら、1996)。さらに、肺癌細胞 株が5mMの2-MeOE2で処理される場合、細胞周期の異なる相の腫瘍細胞の分布にお いて効果がない(MukhopadhyayおよびRoth、1997)。従って、これらのデータは 、p53および続くp53依存性プロセスを活性化するための分離した経路を介して2- MeOE2が作用することを示唆する。 1つの考えられる経路、p53タンパク質イソ型の変化したリン酸化は、2-MeOE2 処理後の全タンパク質の二次元ゲル電気泳動分析によって示唆された(Maxwell ら、1996)。手短には、p53のイソ型を産生する特異的リン酸化事象は、p53タン パク質レベルを安定化し、そしてアポトーシスにおいてその機能を調節し得る。 しかし、これは、増大した野生型p53の安定性が、p53に結合し、そしてそのコン フォメーションを調節して、より安定なタンパク質を生じ、従ってp53ターンオ ーバーに関与する経路を変化し得る、2-MeOE2誘導性の内因性エフェクター分子 に起因する可能性を除外しない。 p53ネガティブH1299細胞が、2-MeOE2で処理されるか、1MOIのAdp53に感染する 場合、細胞増殖にわずかにしか影響しないようである。しかし、Adp53-形質導入 細胞が2-MeOE2で処理される場合、導入遺伝子発現において数倍の増大が生じ、 迅速なアポトーシスがそれに続く。これは、野生型p53タンパク質の超誘導が、 高レベルのp21WAF1/CIPと関連したアポトーシスの誘導を担い得ることを示唆す る。2-MeOE2をともなうAdp53の高容量(50〜100 MOI)は、肺癌細胞を死滅させ ることにおいて極めて効果的である(約95〜100%)(データは示さず)が、非常に 低い容量のAdp53は、培養物およびインビボにおける癌細胞の増殖を制御するの に非常に適切であることが示された。従って、ウイルスの毒性は回避され得る。 さらに、予備的実験は、Adp53で皮下の腫瘍を感染させ、次いで経口で2-MeOE2を 与えることが、腫瘍増殖を非常に効果的に減少させることを示している(次の実 施例を参照のこと)。 実施例VI Adp53 形質導入腫瘍細胞のインビボ2-MeOE2処理は、腫瘍増殖を抑制する 以前の実施例に記載された実験は、Adp53および2-MeOE2での組み合わせ処理の 後に腫瘍細胞において細胞増殖を抑制することおよびアポトーシスを誘導するこ との有効性を示している。癌を処置するこのアプローチの潜在的な有効性をさら に規定するために、本発明者らはインビボ実験を行った。 最初のセットの実験において、インビボでの腫瘍細胞の増殖における2-MeOE2 の効果を測定した。無胸腺ヌードマウスにおいて、1×106H460細胞(野生型p53) を脇腹に皮下注射し、5日後、マウスを、20%ジメチルスルホキシド(DMSO)お よびオリーブオイル中に溶解させた、2-MeOE2、または16-エピストリオール(epi striol)(非機能的エストロゲンアナログ)の日周1ミリグラムの経口容量の療法 を開始させた。図7に示されるように、非処置コントロール細胞または16-エピ ストリアール(16-epistrial)処置細胞は、無制御に増殖し、そして腫瘍容積は迅 速に増大した。対照的に、2-MeOE,を与えたマウスにおいて、腫瘍増殖は、腫瘍 細胞注射の35日後でさえ劇的に阻害された。 次のセットの実験において、肺転移モデルを用いて、2-MeoE2の単独またはAdp 53と組み合わせた効果を試験した。最初の実験は、2-MeOE2単独の無胸腺ヌード マウスの肺において転移形成を抑制する能力を試験した。2×106のA549細胞(野 生型p53)をマウスの尾静脈に静脈内注射し、次いでこのマウスに5日目から21 日目まで1mg/マウス/日の2-MeOE2または16-エピストリオールのいずれかを経口 投与し、21日目にマウスを屠殺した。次いで、墨をマウスの気管に注射して、肺 表面の腫瘍コロニーを染色した。肺を回収し、そして腫瘍コロニーを計数した。 図8に見られるように、2-MeOE2または16-エピストリオールのいずれをも与えな かったマウスは、肺表面に存在する約800の腫瘍コロニーを有した。同様に、16- エピストリオールは、転移コロニー数を減少させることにおいて効果がなかった 。しかし、2-MeOE2でのマウスの処置は、コントロールマウスと比較してコロニ ーの数を有意に減少させた。 次のセットの実験において、組み合わせて使用した2-MeOE2およびAdp53の効果 をマウス転移モデルにおいて試験した。マウスに、0日目に2×106のA549細胞を 静脈内注射し、次いで5、7および9日目に、1.5×109粒子のAdp53を尾静脈に 静脈内注射した。5〜21日目(この時、動物を屠殺した)に、2-メトキシエスト ラジオールをオリーブオイルに溶解させた20%DMSOで1mg/マウス/日の濃度で経 口投与した。肺転移を、墨で染色することによって検出し、そして肺表面上の転 移コロニーの数を計数した。コントロールとして、A549腫瘍細胞のみを与えたマ ウスは、約500のコロニーを形成し、そして0パーセントの転移増殖の阻害を示 すと考えられた(図9)。Adp53または2-MeOE2処置単独を与えたマウスは、それ ぞれ、15.9%および42.3%のコロニー形成の阻害を示した。アデノウイルス感染 のネガティブコントロールとして2-MeOE2およびAdbgalを与えたマウスは、35.2 %のコロニー形成の阻害を示した。2-MeOE2およびAdp53の両方を与えたマウスは 、72.6%のコロニー形成の阻害を示した。結果は、95%の信頼区間に対して有意 であった。さらに、コロニーのサイズは、いずれかの薬剤単独で処置したマウス と比較して、Adp53および2-MeOE2の両方で処置したマウスでは小さかった。従っ て、インビボモデルでは、肺腫瘍確立は減少し、そして腫瘍のサイズはAdp53お よび2-MeOE2の組み合わせでの全身処置で減少した。それゆえ、Adp53、および それに続く2-MeOE2での組み合わせ処置は、将来の遺伝子治療において効果的な 代替物であることが証明され得る。 本明細書中に開示され、そして請求される組成物および/または方法の全てが 、本開示の範囲で過度の実験をともなうことなく作製され、そして実行され得る 。本発明の組成物および方法は、好ましい実施態様に関して記載されているが、 改変が、発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく、組成物および/また は方法ならびに本明細書中に記載される方法の工程または工程の順序において適 用され得ることが当業者に明らかである。より詳細には、同一または類似の結果 が達成されながら、化学的および生理学的の両方で関連する特定の薬剤が、本明 細書中に記載の薬剤の代わりに用いられ得ることが明らかである。当業者に明ら かである、全てのそのような類似の置換物および改変物が、付随される請求の範 囲によって規定される本発明の精神、範囲および概念内にあると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 C12N 15/00 A C12Q 1/68 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.患者内の癌を処置する方法であって、該方法は以下の工程: (a)該患者の腫瘍細胞に野生型p53遺伝子を導入する工程;および (b)該細胞中でアポトーシスを誘導するに十分な量の2-メトキシエストラジ オールで該腫瘍細胞に投与する工程、 を包含する、方法。 2.前記導入する工程が前記腫瘍細胞を前記野生型p53遺伝子を含むアデノウイ ルスと接触させる工程を包含する、請求項1に記載の方法。 3.前記アデノウイルスが複製欠陥である、請求項2に記載の方法。 4.前記アデノウイルスがE1領域の少なくとも1部を欠損する、請求項3に記載 の方法。 5.前記腫瘍細胞が肺腫瘍細胞である、請求項1に記載の方法。 6.前記肺腫瘍細胞が非小細胞肺癌細胞である、請求項5に記載の方法。 7.前記腫瘍細胞が乳癌細胞である、請求項1に記載の方法。 8.前記腫瘍細胞が肉腫細胞である、請求項1に記載の方法。 9.前記投与する工程が2-メトキシエストラジオールの静脈内投与を包含する、 請求項1に記載の方法。 10.前記投与する工程が2-メトキシエストラジオールの腫瘍内投与を包含する 、請求項1に記載の方法。 11.前記導入する工程が前記腫瘍細胞を前記野生型p53遺伝子を含むアデノ随 伴ウイルスと接触させる工程を包含する、請求項1に記載の方法。 12.前記導入する工程が前記腫瘍細胞を前記野生型p53遺伝子を含むヘルペス ウイルスと接触させる工程を包含する、請求項1に記載の方法。 13.前記腫瘍細胞が機能的なp53タンパク質を発現する、請求項1に記載の方 法。 14.前記腫瘍細胞が機能的なp53タンパク質を発現しない、請求項1に記載の 方法。 15.前記野生型p53遺伝子がCMV IEプロモーターの制御下にある、請求項2に 記載の方法。 16.前記導入する工程が前記腫瘍細胞を前記野生型p53遺伝子を含むレトロウ イルスと接触させる工程を包含する、請求項1に記載の方法。 17.前記導入する工程を少なくとも1回は繰り返す、請求項1に記載の方法。 18.前記投与する工程を少なくとも1回は繰り返す、請求項1に記載の方法。 19.前記導入する工程が前記腫瘍細胞を前記野生型p53遺伝子を含む非ウイル ス発現ベクターと接触させる工程を包含する、請求項1に記載の方法。 20.前記発現ベクターがリポソームに封入される、請求項21に記載の方法。 21.前記導入する工程の前に、前記腫瘍細胞のp53状態を決定する工程をさら に包含する、請求項1に記載の方法。 22.前記決定する工程がサザンブロッティングによる、請求項21に記載の方 法。 23.前記決定する工程がノーザンブロッティングによる、請求項21に記載の 方法。 24.前記決定する工程がPCRによる、請求項21に記載の方法。 25.前記決定する工程がELISAによる、請求項21に記載の方法。 26.前記決定する工程がウェスタンブロットによる、請求項21に記載の方法 。 27.前記決定する工程が免疫蛍光検定による、請求項21に記載の方法。 28.前記2-メトキシエストラジオールの用量が少なくとも約100mg/kgである、 請求項1に記載の方法。 29.前記治療養生法が約6週である、請求項1に記載の方法。
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