【発明の詳細な説明】
産業用途向け農業用タイヤ発明の属する技術分野
本発明は、産業型トラクタ等の車両用の農業用空気タイヤに関する。背景技術
産業用途向けの農業タイヤの設計は、R−4用途として分類される。全体的に
見てR−4用途は非常に苛酷で、傾斜の大きい路面(roading)で高荷重が関与
するのが普通である。タイヤを取り付ける車両には、大量の岩屑、硬く圧縮され
た士壌条件および高荷重の用途条件に曝されるのが普通である。
多くの場合、その車両には、バックホウバケットまたは前方スキッドローダー
が搭載されている。そのタイヤは、砂利や壊れたコンクリートの上や硬く圧縮さ
れた土の上を正常に通過しなければならない。作業現場が雨でぬかるんでいて、
湿潤土壌条件での良好な牽引が要求される場合もある。
そのようなタイヤは比咬的小さく、その公称リム径は28インチ(71cm)
以下であるのが普通である。そのタイヤには、タイヤの中心線に約1インチ(2
.54cm)のノンスキッド深さがあるのが一般的である。代表的なタイヤは1
9.5LR24タイヤであると考えられる。ラジアル構造で製造された場合、そ
のタイヤは、3〜4層の合成コードで補強されたカーカスを有する。そのコード
はナイロンまたはポリエステルである。カーカスにはさらに、高可撓ポリエステ
ル、ナイロンまたはアラミドの4個のベルトがある。従来、そのようなタイヤは
いずれもファブリック補強されていて、乗り心地やハンドル操作が良くなるよう
になっていた。
これまで、トレッド摩耗耐久性要件および乗り心地要件を維持しながら、これ
らタイヤの荒れたオフロードでの性能およびトラクタ性能を高める試みには、常
にトレードオフがあった。本特許明細書に開示の発明は、優れたオフロード牽引
力も達成しながら、快適な乗り心地と摩耗に要する時間の延長の両方を提供する
新規なトレッドに関するものである。発明の開示 発明の概要
本発明は、最大断面幅(W);回転軸;前記最大断面幅間を中心とし、前記軸
に対して垂直である赤道面(EP);ベルト補強構造26およびゴム被覆コード
で補強されたカーカス21を有するケーシング;カーカス21およびベルト26
の放射方向で外側に配置されたゴムトレッド32であって、前記赤道面の各側で
第1の半トレッドと第2の半トレッドに分割されており、一対の横縁部33Aお
よび33Bを有し、該横縁部間の距雛がトレッド幅を決定しているトレッド32
を有する、産業型トラクタ等の車両用の農業用空気タイヤ20に関するものであ
る。トレッド32は、内側トレッド34と、該内側トレッド34から放射方向で
突出した複数のトレッドラグ40および50を有する。
トレッド32複数の中央ラグ50と複数のショルダーラグ40を有する。複数
の中央ラグ50は円周方向の連続列60に配列されており、赤道面(EP)を横
切って延長している。各中央ラグ50は好ましくは、各円周方向に隣接する中央
ラグ50に対して、形状および向きが同様であるものとする。各中央ラグ50に
は、前方端51および後方端53がある。各中央ラグ50の前方端51は、同じ
中央ラグ50の後方端53に対して、赤道面の反対側に位置している。
複数のショルダーラグ40は、第1列と第2列に分かれている。一方の列44
,46は、各横縁部33A,33Bからタイヤ20の赤道面方向に延びている。
ショルダーラグ40は、軸方向で隣接する中央ラグ50の前方端51および後方
端53から軸方向に隔てられている軸方向で内側の端部41を有する。好ましく
は、各横縁部33A,33Bから延長するショルダーラグ40は同様の形状を有
し、ラグ全体の長さがトレッド幅の40%である。各ショルダーラグ40は、一
方の半トレッド32Aまたは32B内に配置されている。ショルダーラグ40と
中央ラグ50は、ラグ40,50の外側面58で軸方向に隔てられていることで
、ショルダーラグ40の第1列および第2列44,46の軸方向で内側の端部4
1が、軸方向で各列44,46内に配列され、中央ラグ50の前方端51および
後方端53がそれぞれ軸方向に配列されるようになっている。ショルダーラグ4
0の第1列44の軸方向内側端41に対して接している面P1は、中央ラグ50
の後方
端53に接している面CTから軸方向の距離d1だけ隔てられている。ショルダー
ラグ40の第2列46の軸方向に配列した内側端41に対して接している面P2
は、中央ラグの前方端に接している面CLから距離d2だけ隔てられている。距離
d1およびd2によって、トレッド外周周囲に、2本の円周方向に連続する直線溝
が形成されている。その好ましい実施態様では、距離d1とd2は等しく、トレッ
ド幅の約5%である。面CTおよびCLはそれぞれ、赤道面からトレッド幅の5%
以上の軸方向距離のところに位置している。好ましくは、面CTおよびCLは、1
0%より大きい距離だけ、赤道面から等距離に配置されている。
1実施態様では、第1列および第2列44,46のショルダーラグ40は反対
方向に向いており、反対側の列44,46のショルダーラグ40に対して同様の
傾斜を有する。その場合、タイヤトレッド32は前進方向および逆方向の両方に
等しい牽引力を有する無方向性トレッドである。
第2の実施態様では、第1列および第2列のショルダーラグは反対方向を向い
ており、反対側の列のショルダーラグに対して反対に傾斜している。その場合、
タイヤトレッドは方向けであり、タイヤが回転する際に前方端が最初に地面に接
触するようにタイヤを取り付けると、前進方向により大きい牽引能力を有する。
いずれの場合のタイヤも、それの用途向けに非常に開放型のトレッドパターンを
有し、タイヤを通常のように膨らませて、負荷をかける場合、トレッドは35%
未満、好ましくは約30%の正味面積/総面積比を有する。
これらのタイヤは代表的には、28インチ(71cm)以下の公称リム径を有
し、赤道面で内側トレッドからラグの放射方向で外側の面までの距離で測定され
るトレッドラグ高さは産業基準R−4ラグ高さである。
各ショルダーラグおよび中央ラグは、表面領域重心Mを有する。第1列ショル
ダーラグ、中央ラグおよび第2列ショルダーラグの重心Mは、実質的直線SL上
にある。SLは、軸面に対して35°〜45°の範囲で傾斜している。無方向性
タイヤでは、第1列および第2列のショルダーラグならびに中央ラグはそれぞれ
、各ラグの重心Mを通過するラグ中心線を有する。ラグ中心線は、線SLと実質
的に一致している。無方向姓タイヤでは、各ショルダーラグおよび中央ラグは、
重心Mを有し、第1または第2のショルダーラグおよび中央ラグの重心は実質的
直
線SL2にあり、SL2は軸面に対して35°〜45°の範囲で傾斜している。各シ
ョルダーラグおよび中央ラグは、各ラグの重心Mを通る中心線を有する。第1の
ショルダーラグと中央ラグのラグ中心線は、線L2と実質的に一致している。第
2列のラグのショルダーラグ中心線は、線SL2に対して、同様であるが反対方向
に傾斜している。定義
「アスペクト比」とは、それの断面幅に対する断面高さの比を意味する。
「軸方向」および「軸方向に」とは、タイヤの回転軸に平行な線または方向を
指す。
「ビード」または「ビード芯」とは環状引張部材を有してなるタイヤ部分を意
味し、放射方向で内側のビードは、プライコードによって覆われ、フリッパ、チ
ッパ、アペックスもしくはフィラ、トーガードおよびチェーファーなどの他の補
強要素を有してまたはそれらを持たずに成形されているリムにタイヤを保持する
のに関係する。トレッドゴムに包み込まれているトレッド下のビードは、他のコ
ード補強ファブリック要素を有していても有していなくても良い。
「ベルト構造」または「補強されたベルト」とは、波状または波状でない、トレ
ッドの下にあり、ビードに固定されてなく、タイヤの赤道面に関して左右両コー
ドが17°〜27°の角度で、平行コードの少なくとも2つの環状層またはプラ
イを意味する。
「バイアスプライタイヤ」とは、カーカスプライにおける補強コードが、タイ
ヤの赤道面に関して約25〜65°の角度にて、ビード間で斜めにタイヤを横切
って延び、プライコードが交互の層で反対の角度にて走っていることを意味して
いる。
「カーカス」とは、円筒形または環形状に継ぎ合わせるのに好適な長さにカッ
トしてあるかまたはすでに継ぎ合わせてあるタイヤプライ材料および他のタイヤ
部品の積層物を意味する。カーカスに別の部品を追加してから、加硫を行って、
成型タイヤを得ることもできる。
「円周方向」という用語は、軸方向に垂直な環状トレッド面の周囲に沿って伸
びる線または方向を意味する。
「設計リム」とは、所定の構造および幅を有するリムを意味する。本明細書に
関しては、設計リムおよび設計リム幅は、タイヤを製造する国で有効な産業基準
によって指定されているものとする。例えば米国では、設計基準はTire and Rim
Associationによって指定されているものである。欧州では、リムは、European
Tyre and Rim Technical Organization-Standards Manualで指定されているも
のであり、設計リムという用語は標準測定リムと同じ意味を有する。日本では、
基準組織はThe Japan Automobile Tire Manufacture's Associationである。
「設計リム幅」とは、各タイヤサイズに割り当てられた特定の市販リム幅であ
り、代表的には、その特定のタイヤの断面幅の75%〜90%である。
「赤道面(EP)」とは、タイヤの回転軸に対して垂直で、そのトレッドの中
心を通る面を意味する。
「踏跡」とは、速度ゼロで通常の負荷および圧力下において、タイヤが平坦面
と接触する区画または接触する面積を意味する。
「内側」とは、タイヤの内側部方向を意味し、「外側」はそれの外側方向を意
味する。
「横縁部」とは、赤道面に平行な面によって規定され、内側トレッド面の放射
方向高さで軸方向に最も外側の牽引ラグの外側端を横切る、トレッドの軸方向で
最も外側の縁部を意味する。
「前方」とは、タイヤが進行方向に回転している際に、トレッドの該当する一
連の部分に関して、最初に地面に接触する部分を指す。
「正味面積/総面積比」とは、硬い平坦面と接触する通常の負荷を受け、通常
通りに膨らませたタイヤのトレッドゴムの表面積を、タイヤの全円周で測定され
るグルーブなどの非接触部分を含むトレッドの総面積で割って得られる比を意味
する。
「通常膨張圧」とは、タイヤの使用条件について管轄の基準組熾が割り当てた
特定の設計膨張圧および負荷を意味する。
「通常負荷」とは、タイヤの使用条件について管轄の基準組織が割り当てた特
定の設計膨張圧および負荷を意味する。
「放射方向」および「放射方向に」という用語は、放射方向に関して、タイヤ
の回転軸に向かう方向あるいは該回転軸から離れる方向を意味する。
「ラジアルプライタイヤ」とは、ビード間に伸びるプライコードがタイヤの赤
道面に関してコード角度65°〜90°で設けられているベルトを施したまたは
円周方向に束縛されている空気タイヤを意味する。
「断面高さ(SH)」とは、公称リム直径からタイヤの赤道面でのタイヤの外
径までの放射方向距離を意味する。
「断面幅(SW)」とは、ラベル付け、装飾または保護用のバンドによる側壁
の上昇を除く、通常圧で24時間膨らませた際および膨らませた後で負荷のない
状態でのタイヤ側壁外面間の、タイヤ軸に平行な最大直線距離を意味する。
「設計負荷」とは、特定の膨張圧および作業条件でタイヤに割り当てられた基
本負荷または基準負荷であり、タイヤに適用できる他の負荷−圧力関係はその基
本または基準負荷に基づいたものである。
「後方」とは、タイヤが進行方向に回転している際に、トレッドの該当する一
連の部分に関して、最後に地面に接触する部分を指す。
「トレッド円弧幅(TAW)とは、中心が面(EP)上にある円弧であって、
タイヤが指定のリムに取り付けられ、所定の膨張圧まで膨張しているが、まだ負
荷を受けていない時に、タイヤのトレッド部分の横方向もしくは軸方向の幅にあ
る各種牽引要素(ラグ、ブロック、ボタン、リブなど)の放射方向最外面と実質
的に一致する円弧の幅を意味する。
「トレッドとは、軸方向、すなわちタイヤの回転軸に平行な面でのトレッド
面の円弧部分の長さを意味する。
「単位トレッド圧」とは、トレッド表面の単位面積が通常のように膨張し通常
の負荷を受けているタイヤの踏面にある場合に、その単位面積(平方センチメー
トルまたは平方インチ)当たりに加わる放射方向負荷を意味する。図面の簡単な説明
以下に図面について簡単に説明するが、それら図面において類似の部分は同様
の参照符号を用いている。
図1は本発明による第1の実施態様のタイヤの斜視図である。
図2は、図1のタイヤの平面図である。
図3は、図2から取ったタイヤのトレッドの一部の拡大断片図である。
図4は、図2の線4−4でのタイヤ断面図である。
図5は、本発明による第1の実施態様のタイヤの接触区画の一部の平面図であ
る。
図6は、本発明による第2の実施態様のタイヤの斜視図である。
図7は、図6のタイヤの平面図である。
図8は、図7から取ったタイヤのトレッドの一部の拡大断片図である。
図9は、本発明による第2の実施態様のタイヤの接触区画の一部の平面図であ
る。発明の詳細な説明
先ず図4について説明すると、参照符号20としてタイヤを断面図で示してあ
る。このタイヤには、タイヤの回転軸を中心として円周方向に延びる1以上のカ
ーカス層22を有するカーカス21がある。図示のように、このタイヤには好ま
しくは、合成ナイロンもしくはポリエステルのコードを有する3〜4個のコード
補強層がある。カーカス層は、実質的に非伸縮性の1対の環状ビード24周囲に
固定されている。ベルト補強部材26は、カーカス層から放射方向で外側に配置
された1以上のベルト層を有する。好ましくは4本のベルトを用いる。これらの
ベルトには交互にポリエステル、ナイロンまたはアラミドによるコード補強が施
してあり、それらのコードは超高抗張力単繊維スチールコード補強のものとする
ことができる。これらのベルト層は、タイヤ20の冠部領域を補強するものであ
る。円周方向に延長するトレッド32は、ベルト補強構造26の放射方向で外側
に位置している。
側壁部分33は、トレッドの各軸方向もしくは横方向トレッド縁部33A,3
3Bから、ビード24を有する環状ビード部分35まで放射方向で内側に延びて
いる。カーカス層22は好ましくは、放射方向に向いたコードを有する。層の数
は、タイヤの負荷耐用要件によって決まる。図4に示したようなこのタイヤカー
カスおよびベルト構造は、本発明の両方の実施態様で同様に使用可能である。図
1〜5には、本発明に従って製造される方向性トレッドを示してあり、図6〜9
には無方向性の形で製造されるトレッドパターンを示してある。
図1〜5について説明すると、本発明によるタイヤ20が図示してある。本発
明によるタイヤ20は、特有の方向性トレッド32を有する。このトレッド32
は、第1のトレッド縁部33Aおよび第2のトレッド縁部33Bを有する。トレ
ッド縁部33Aと33Bの間には、内側とレット34と、該内側トレッド34か
ら放射方向で外側に延びている複数の中央ラグ50が配置されている。図2に示
したように、各中央ラグ50は、放射方向で外側の面58、前方の第1縁部52
、後方の第2縁部54、ならびに第1および第2の縁部の間の中心線を有する。
各中央ラグ50は、前方端51から後方端53まで円周方向に延びている。
前方端51と後方端53の間の中心線63方向での平均距離が、中央ラグのラ
グ全長L1を決定する。長さL1は、トレッド幅の10%以上、好ましくは約30
%である。
中央ラグ50の第1縁部52および第2縁部54の間に実質的に垂直方向に延
びる距離がラグ幅(lw)を決定する。ラグにおける内側トレッド34とトレッ
ド縁部52,54の間に延びる放射方向距離が放射方向ラグ高さ(lh)を決定
する。タイヤ20の赤道面では、ラグ高さは好ましくは、産業用途に関するタイ
ヤ・リム産業(Tire & Rim Industry)基準によって指定されたR−4型ラグ高
さである。
中央ラグ50は、ラグ50の円周方向に繰り返す列60に配置されており、各
ラグ50は赤道面(EP)と交差するように延びている。円周方向で隣接する中
央ラグ50は同様の方向に向いている。各ラグ50は好ましくは、個々の半トレ
ッド32Aまたは32B内で同様に配置されている。図示のような前方端51は
、完全に半トレッド32A内にあるが、後方端53は完全に半トレッド32Bに
ある。これらの中央ラグ50は、ラグ50の前方端51および後方端53の両方
に広がったラグヘッド55を有する。ラグ50の幅は、ショルダーラグ49と比
較して広がっている。この拡大ラグ50は極めて耐久住が高く、優れた牽引力お
よび乗り心地性能を提供するものである。
乗り心地性能および牽引能力は、個々のトレッド縁部33Aもしくは33Bか
ら延長し、完全に一方の半トレッド32Aもしくは32B内にある複数のショル
ダーラグ40を用いることで、さらに高くなる。ショルダーラグ40は、中央ラ
グ50のラグ全長L1以上のラグ全長L1を有する。図示のように、ショルダーラ
グは約35%のラグ長さL1を有する。ショルダーラグは、第1列44および第
2列46という2つの列に分けられている。ショルダーラグ40の第1列44は
、円周方向で、円周方向に隣接する中央ラグ50の後方端53間に位置する軸方
向で内側の端部41を有する。ショルダーラグ40の第2列46はトレッド縁部
33Bから延長し、ショルダーラグの第1列の長さと実質的に等しい長さを有す
る。ショルダーラグ40の第2列46は、円周方向で、円周方向に隣接する中央
ラグ50の前方端51間に位置する軸方向で内側の端部41を有する。図5に示
したように、ショルダーラグ40の第1列44と第2列46はいずれも、好まし
くは複合的傾斜を有する。軸方向外側の傾斜αoの赤道面に対して約45°であ
る軸方向内側の傾斜αiは、赤道面に対して約60°である。図5にさらに示し
たように、中央ラグ50には中心部分があり、その部分には、縁部52,54間
にある前方端51および後方端53を通る中心線63がある。中心線63は、赤
道面に対して50°未満、好ましくは45°未満の角度θの方向に向いている。
図5に示したように、トレッドの正味面積/総面積比は35%未満である。ラ
グ間の空間は、大きい土砂排出溝36を形成している。これらの溝は、非常に開
放されたトレッドパターンを作っている。トレッドパターンの開放性によって、
トレッド32の自浄性がさらに高くなって、トレッドの泥土による詰まりが防止
される。
本明細書に開示の新規なトレッドパターンに関する特許請求の本発明の精神か
ら逸脱しない限りにおいて、ラグ40,50の全体的形状を変えることが可能で
あり、ラグの方向または外形を変更することが可能であることは明らかである。
図5についてさらに説明すると、ショルダーラグ40および中央ラグ50の第
1列44および第2列46は、ラグ40,50の外側面58で軸方向に隔てられ
ていることで、ショルダーラグ40の第1列44および第2列46の軸方向内側
端部41が、各列44,46内で軸方向に配列されるようになっている。中央ラ
グ50の前方端51および後方端53もそれぞれ軸方向に配列されている。面P1
はショルダーラグ40の第1列44の内側端41に接しており、中央ラグ50
の後方端53に対して接している面CTから軸方向距離d1だけ隔てられている。
面P2はショルダー列40の第2列46の軸方向内側端41に接しており、面CL
から距離d2だけ隔てられている。面CLは中央ラグ50の前方端51に接してい
る。距離d1とd2が、トレッド32の外周において、2つの円周方向に連続する
直線溝70を形成している。その農業用タイヤでは好ましくは、距離d1とd2は
等距離であり、面CTとCLはそれぞれ、図示のように、軸方向に赤道面(EP)
からトレッド幅の5%以上の距離の所に位置している。好ましくは面CTおよび
CLは、トレッド幅の10%以上の距離だけ、赤道面(EP)から等距離で離れ
ている。
図1〜5に示したタイヤ20は、ショルダーラグ40の第1列44および第2
列46を有する方向性トレッド32を有するものであり、それらの列は、反対側
の列のショルダーラグ40に対して、反対方向を向き、反対に傾斜している。
図6〜9について説明すると、第2の実施態様のタイヤ200のトレッド32
が示してあり、この場合のトレッドパターンは無方向性である。説明を簡単にす
るため、同じ参照符号を用いてあるが、唯一異なっている点はトレッド32にあ
る。すなわち、図6の斜視図および図7の平面図からわかる通り、タイヤ200
のトレッド32にはショルダーラグ40の第1列44があり、該列は反対側の列
46のショルダーラグ40に対して反対方向を向いているが、同様の傾斜を有し
ている。そして、ラグ40および50はトレッド32を横切って実質的に直線的
に延びている。第1および第2の実施態様の両方のタイヤ20,200において
は、タイヤに通常の負荷をかけ、通常の膨張を行った場合、トレッド32は35
%未満、好ましくは約30%の正味面積/総面積比を示す。いずれのタイヤ20
,200においても、公称リム径は28インチ(71cm)以下であり、赤道面
において内側トレッド34からラグ50の放射方向外側面58までで測定される
トレッドラグ高さ(lh)は産業基準R−4ラグ高さである。例えば、19.5
LR24タイヤにおいては、タイヤ20,200の中心線でのノンスキッド深さ
は、約1インチ(2.5cm)である。
図5および8に示したように、各タイヤ20,200には、中央区域重心Mを
有する各ショルダーラグ40および各中央ラグ50がある。図9の無方向性タイ
ヤ200では、第1列ショルダーラグ40、中央ラグ50および第2列ショルダ
ーラグ40の重心Mは実質的直線であるSL上にあり、SLは図6〜9に示したよ
うに軸面に対して35°〜45°の範囲で傾斜している。この図6〜9に図示し
たタイヤ200は、中央ラグ50に第1および第2列40,46のショルダーラ
グ40を有し、それらのラグはそれぞれ各ラグの重心を通るラグ中心線CLを有
する。ラグ中心線CLは線SLと実質的に一致している。
別形態として、図1〜5の農業用空気タイヤ20が、表面区滅重心を有する各
ショルダーラグ40および各中央ラグ50を有し、第1もしくは第2ショルダー
ラグ40および中央ラグ50の重心Mは実質的に直線のSL2にあり、SL2は軸面
に対して35°〜45°の範囲で傾斜している。図1〜5のこの農業用空気タイ
ヤ20は、各ショルダーラグおよび中央ラグを有し、各ラグは個々のラグの重心
Mを通るラグ中心線CLを有している。ショルダーラグ40の第1列44および
中央ラグ50の列60のラグ中心線CLは、直線SL2と実質的に一致し、第2列
46のショルダーラグ40中心線CLは直線SL2に対して同様であるが反対方向
に傾斜している。
図4について説明すると、タイヤの断面図からわかる通り、タイヤ20,20
0にはショルダーに一定のトレッド円弧があり、ノンスキッド深さは、タイヤ2
0,200の赤道面(EP)から測定したノンスキッド深さの約125%〜17
5%、好ましくは150%まで上昇している。
トレッド32の輪郭から、トレッドの中心が負荷耐容能力のほとんどを受け持
ち、ショルダー領域が設けられているのは、牽引力を高め、特にゆるい土壌また
はゆるい岩屑で牽引力を与える噛み込みもしくは掘り込み面をさらに提供するた
めであることが容易にわかる。トレッドラグ40,50を緩やかな角度で適切に
強化して、ラグの剛性をさらに高め、それの耐久力を向上させることが好ましい
と考えられる。
タイヤ20の方向性トレッドパターンの新規な特徴は第1の実施態様の図1〜
5にあり、第2の実施態様のタイヤ200の図6〜9の無方向性トレッドパター
ンにおける新規な特徴は、第1列44のラグ40と第2列46のラグ40が赤道
面で軸方向に重ならないという点である。それは、先行技術の産業用途向けR−
4タイヤに採用されている一般的な特徴である。第2に、中央ラグ50は、ショ
ルダーラグ40の第1列もしくは第2列44,46と重複も連結もしていない。
やはり、この特徴は、この種のタイヤで本発明以前には採用されていないと考え
られる。この特徴の利点は、トレッドパターンが比較的開放型であって、全体的
な乗り心地性能を犠牲にすることなく、タイヤの全体的牽引性能が高められると
いう点である。あらゆる面で、第1の実施態様のタイヤ20についての説明は、
第2の実施態様のタイヤ200にも当てはまるものである。ただし、唯一の違い
としては、タイヤ20とタイヤ200の第2列46のラグ40の方向である。他
のいずれの面についても、両タイヤとも同じである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年7月27日(1998.7.27)
【補正内容】
明細書
産業用途向け農業用タイヤ発明の属する技術分野
本発明は、産業型トラクタ等の車両用の農業用空気タイヤに関する。背景技術
産業用途向けの農業タイヤの設計は、R−4用途として分類される。全体的に
見てR−4用途は非常に苛酷で、傾斜の大きい路面(roading)で高荷重が関与
するのが普通である。タイヤを取り付ける車両には、大量の岩屑、硬く圧縮され
た土壌条件および高荷重の用途条件に曝されるのが普通である。
多くの場合、その車両には、バックホウバケットまたは前方スキッドローダー
が搭載されている。そのタイヤは、砂利や懐れたコンクリートの上や硬く圧縮さ
れた土の上を正常に通過しなければならない。作業現場が雨でぬかるんでいて、
湿潤土壌条件での良好な牽引が要求される場合もある。
そのようなタイヤは比較的小さく、その公称リム径は28インチ(71cm)
以下であるのが普通である。そのタイヤには、タイヤの中心線に約1インチ(2
.54cm)のノンスキッド深さがあるのが一般的である。代表的なタイヤは1
9.5LR24タイヤであると考えられる。ラジアル構造で製造された場合、そ
のタイヤは、3〜4層の合成コードで補強されたカーカスを有する。そのコード
はナイロンまたはポリエステルである。カーカスにはさらに、高可撓性ポリエス
テル、ナイロンまたはアラミドの4個のベルトがある。従来、そのようなタイヤ
はいずれもファブリック補強されていて、乗り心地やハンドル操作が良くなるよ
うにしていた。
最も関連のある先行技術は、日本の公開公報57167802号であり、その
発明のタイヤは、良好な路面と柔軟な路面の両方で良好に走るものである。それ
のトレッドパターンは、ほぼ同じ幅の3つの領域から成る。2つの側部領域では
、ラグがタイヤ円周上に交互に配置されて、矢印パターンを形成している。それ
ら
はタイヤ赤道面に対して鋭角である。中央領域では、タイヤ赤道面を横切るよう
に、独立の長いブロックがある。各ブロックは、側部領域の一方にある一方のラ
グの長手方向中心線から延びる直線上にある。隣接するブロック同士は互いに対
向し、ある一定の範囲で重なっているが、赤道面に沿った溝によって分離されて
いる。
別の先行技術文書(米国特許4659976号)には、軍用車用のタイヤが開示され
ており、そのタイヤは直線グルーブによって分離された牽引要素を有する。
さらに別の先行技術(ドイツ特許DE2751295A1号)には、トレッド
の中央から離れた長いラグ6を有する農業用タイヤが開示されており、少なくと
も1実施態様では、ラグ6同士は正方形ブロック9によって分離されている。
これまで、トレッド摩耗耐久性要件および乗り心地用件を維持しながら、これ
らタイヤの荒れたオフロードでの性能およびトラクタ性能を高める試みには、常
にトレードオフがあった。本特許明細書に開示の発明は、優れたオフロード牽引
力も達成しながら、快適な乗り心地と摩耗に要する時間の延長の両方を提供する
新規なトレッドに関するものである。発明の開示 発明の概要
本発明は、最大断面幅(W);回転軸;前記最大断面幅間を中心とし、前記軸
に対して垂直である赤道面(EP);ベルト補強構造26およびゴム被覆コード
で補強されたカーカス21を有するケーシング;カーカス21およびベルト26
の放射方向で外側に配置されたゴムトレッド32であって、前記赤道面の各側で
第1の半トレッドと第2の半トレッドに分割されており、一対の横縁部33Aお
よび33Bを有し、該横縁部間の距離がトレッド幅を決定しているトレッド32
を有する、産業型トラクタ等の車両用の農業用空気タイヤ20に関するものであ
る。トレッド32は、内側トレッド34と、該内側トレッド34から放射方向で
突出した複数のトレッドラグ40および50を有する。請求の範囲
1.最大断面幅(W);回転軸;前記最大断面幅間を中心とし、前記軸に対し
て垂直である赤道面(EP);ベルト補強構造(26)およびゴム被覆コードで
補強されたカーカス(21)を有するケーシング;カーカスの放射方向で外側に
配置されたゴムトレッド(32)であって、前記赤道面(EP)の各側で第1の
半トレッドと第2の半トレッドに分割されており、一対の横トレッド縁部(33
A,33B)を有し、該トレッド縁部の距離がトレッド幅を決定しており、内側
トレッド(34)と、該内側トレッド(34)から放射方向で突出した複数のト
レッドラグ(40,50)を有するトレッドを有する、産業型トラクタ等の車両
用の農業用空気タイヤ(20)であって、
前記トレッド(32)が
複数の中央ラグ(50)を有し;該ラグは円周方向の連続列(60)に配列さ
れ、赤道面(EP)を横切って延長しており;各中央ラグ(50)は、各円周方
向に隣接する中央ラグ(50)に対して、形状および向きが同様であり;各中央
ラグ(50)には、前方端(51)および後方端(53)があり;各中央ラグ(
50)の前方端(51)は、同じ中央ラグの後方端(53)に対して、赤道面(
EP)の反対側に位置しており;中央ラグ(50)はトレッド幅の10%以上の
全体長さを有しており;
複数のショルダーラグ(40)を有し;該ラグは、第1列と第2列(44,4
6)に分かれており;一方の列(44,46)は、各横トレッド縁部(33A,
33B)からタイヤ(20)の赤道面方向に延びており;ショルダーラグ(40
)は、軸方向で隣接する中央ラグ(50)の前方端(51)および後方端(53
)から軸方向に隔てられている軸方向で内側の端部(41)を有し;各横縁部か
ら延長するショルダーラグ(40)は同様の形状を有し、ラグ全体の長さがトレ
ッド幅の30%より大きく;各ショルダーラグ(40)は、一方の半トレッド内
に配置されている農業用空気タイヤにおいて、
トレッド(32)が、
ショルダーラグ(40)と中央ラグ(50)が、ラグ(40,50)の外側面
(58)で軸方向に隔てられていることで、ショルダーラグ(40)の第1列
および第2列(44,46)の軸方向で内側の端部(41)が、軸方向で各列内
に配列され、中央ラグ(50)の前方端(53)および後方端(53)がそれぞ
れ軸方向に配列されるようになっており;ショルダーラグ(40)の第1列(4
4)の軸方向内側端(41)に対して接している面P1が、中央ラグ(50)の
後方端(53)に接している面CTから軸方向の距離d1だけ隔てられており;シ
ョルダーラグ(40)の第2列(46)の軸方向に配列した内側端(41)に対
して接している面P2は、中央ラグ(50)の前方端(51)に接している面CL
から距離d2だけ隔てられており;距離d1およびd2はトレッド幅の5%以上で
あり、それらの距離によって、トレッド(32)外周周囲に、2本の円周方向に
連続する直線溝が形成されている
ことを特徴とする農業用空気タイヤ(20)。
2.中央ラグ(50)がトレッド幅の約30%のラグ長さを有する請求項1記
載の農業用空気タイヤ(20)。
3.距離d1とd2が等しい請求項2記載の農業用空気タイヤ(20)。
4.面CTおよびCLがそれぞれ、赤道面(EP)からトレッド幅の5%以上の
軸方向距離のところに位置している請求項2記載の農業用空気タイヤ(20)。
5.面CTおよびCLが、赤道面(EP)から等距離だけ離れている請求項2記
載の農業用空気タイヤ(20)。
6.第1列および第2列(44,46)のショルダーラグ(40)は反対方向
に向いており、反対側の列(44,46)のショルダーラグ(40)に対して同
様の傾斜を有する請求項1記載の農業用空気タイヤ(20)。
7.第1列および第2列のショルダーラグ(40)が反対方向を向いており、
反対側の列のショルダーラグに対して反対に傾斜している請求項1記載の農業用
空気タイヤ(20)。
8.前記タイヤを通常のように膨らませて、通常の負荷をかける場合、トレッ
ドが35%未満の正味面積/総面積比を有する請求項1記載の農業用空気タイヤ
(20)。
9.前記タイヤ(20)が、24インチ以下の公称リム径を有し、赤道面で内
側トレッド(34)からラグ(50)の放射方向で外側の面(58)までの距離
で測定されるトレッドラグ高さが産業基準R−4ラグ高さである請求項1記載の
農業用空気タイヤ(20)。
10.各ショルダーラグ(40)および中央ラグ(50)が、表面領域重心M
を有し;第1列ショルダーラグ、中央ラグおよび第2列ショルダーラグの重心M
が、実質的直線SL上にあり;SLが、軸面に対して35°〜45°の範囲で傾斜
している請求項6記載の農業用空気タイヤ(20)。
11.第1列および第2列(44,46)のショルダーラグ(40)ならびに
中央ラグ(50)がそれぞれ、各ラグの重心Mを通過するラグ中心線(CL)を
有し;該ラグ中心線(CL)が、線SLと実質的に一致している請求項10記載の
農業用空気タイヤ(20)。
12.各ショルダーラグ(40)および中央ラグ(50)が、重心Mを有し;
第1または第2のショルダーラグおよび中央ラグの重心が実質的直線SL2にあり
;SL2が軸面に対して35°〜45°の範囲で傾斜している請求項7記載の農業
用空気タイヤ(20)。
13.各ショルダーラグ(40)および中央ラグ(50)が、各ラグの重心M
を通るラグ中心線(CL)を有し;第1のショルダーラグ(40)と中央ラグ(
50)のラグ中心線が、線SL2と実質的に一致しており;第2列のラグのショル
ダーラグ(40)中心線が、線SL2に対して、同様であるが反対方向に傾斜して
いる請求項7記載の農業用空気タイヤ(20)。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK
,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,
MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R
U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR
,TT,UA,UG,US,UZ,VN
【要約の続き】
がトレッド幅の30%より大きい。ショルダーラグ(4
0)の軸方向で内側の端部(41)と中央ラグ(50)
の両端(51,53)の間の空間によって、トレッド
(32)内に2つの異なる円周方向に連続する溝(7
0)が形成されている。本発明は、方向性トレッド(3
2)を有するタイヤ(20)と無方向性トレッド(3
2)を有するタイヤ(200)とを提供するものであ
る。