JP2000515728A - 植物における制御された遺伝子発現 - Google Patents

植物における制御された遺伝子発現

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、転写アクチベーターキメラタンパク質システムまたはサプレッサーtRNAに基づくシステムの何れかを用いて、植物における遺伝子発現を制御することに関する。さらに、本発明は、トランスアクチベータータンパク質をコードするDNA分子またはLacリプレッサー応答配列と結合した標的遺伝子を含むDNA分子を有するトランスジェニック植物、Lacリプレッサー/トランスアクチベーター感受性プロモーター配列の制御下で標的遺伝子を有するトランスジェニック植物とLacリプレッサー/トランスアクチベータータンパク質をコードするトランスジェニック植物との交配、並びに標的遺伝子の発現のトランス活性化に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 植物における制御された遺伝子発現 本発明は、転写アクチベーターキメラタンパク質システムまたはサプレッサー tRNAに基づくシステムを用いて、植物の遺伝子発現を制御することに関する 。本発明のトランス活性化キメラタンパク質は種々の利点を提供し、例えば、ト ランスアクチベーター応答配列を含むように操作された遺伝子発現の活性化を特 異的に制御することにより、例外的に高レベルの遺伝子発現が達成される。特に 、本発明のトランスアクチベータータンパク質は、真核細胞において転写を直接 的または間接的に活性化するポリペプチドに機能的に連結された、原核生物のLa cリプレッサーのDNA結合領域を含む。さらに、当該トランス活性化システム は、第二の標的DNA分子において、所定の標的遺伝子内に一以上のトランスア クチベーター応答プロモーター配列を含有するDNA分子を含む。その代わりに 、トランス活性化による遺伝子発現の制御は、サブレッサーtRNA遺伝子およ び未熟(premature)ストップコドンを含む標的遺伝子を植物細胞において同時 に発現させることより達成することができる。さらに、本発明は、トランスアク チベータータンパク質をコードするDNA分子またはLacリプレッサー応答配列 と結合した標的遺伝子を含むDNA分子を有するトランスジェニック植物、Lac リプレッサー/トランスアクチベーター応答プロモーター配列の制御下にある標 的遺伝子を有するトランスジェニック植物と、Lacリプレッサー/トランスアク チベータータンパク質をコードするトランスジェニック植物との交配、並びに標 的遺伝子の発現のトランス活性化に関する。同様に、本発明は、サプレッサーt RNAをコードするDNA分子または未熟ストップコドン、好ましくはアンバー ストップコドンを含有する標的遺伝子を含むDNA分子を有するトランスジェニ ック植物、未熟ストップコドンを含有する標的遺伝子を有するトランスジェニッ ク植物と、対応するサプレッサーtRNAをコードするトランスジェニック植物 との交配、並びに標的遺伝子のトランス活性化に関する。 逆遺伝学の主要な目的の一つは、単離された遺伝子材料の生物体における生物 学的機能を研究し解明することである。また、植物の成長および機能の様々な局 面を制御する遺伝子を同定する技術が、今日植物科学の中心である。基礎的研究 も応用研究も、トランスジェニック植物において生物学的プロセスを操作するた め、特定の遺伝子を改変す ることにますます依存している。従って、アンチセンスRNA、ドミナントネガ ティブ突然変異体、異所性発現、および過剰発現技術により、広範な生化学的経 路を調査するための効果的なツールが提供された。しかし、これら分子遺伝学的 アプローチは、植物の成長および発達の基本的プロセスを制御する遺伝子に必ず しも容易に適用することができるわけではない。これは、主に、このような重要 な遺伝子を操作することが植物の成長および生存にとって不利益であるからであ り、このため解析および産業的応用にとって有用なトランスジェニック植物の生 殖および繁殖を妨害し得るからである。 植物遺伝子の場合、機能的研究は、レセプター植物におけるこれら遺伝子の導 入および発現によって実現される。導入された遺伝的材料は、レセプターゲノム に安定に取り込まれ、その過剰発現または異所性発現により改変(modification )を引き起こし得る。 このようなトランスジェニック植物における表現型特性および改変は、各々の遺 伝子およびその遺伝子産物の機能に関して重要な情報を提供してくれる。このよ うなトランスジェニック植物の解析に関して、野生型の植物と比較して観察され る表現型の異常を、導入された外来遺伝子材料の異所性発現まで明確に追跡でき ることは非常に望ましい。 安定なトランスジェニック植物の生産は、幾つかの種々の技術により行うこと ができる。原則として、外来DNAは植物細胞に導入され、植物ゲノムに組み込 まれ、最終的に単一の形質転換された植物細胞からインタクトで完全な植物体が 発生する。非常にしばしば、最後の工程は、形質転換材料として使用された全能 性を有する未分化な植物細胞から完全な植物体を再生することを含む。 トランスジェニック植物の解析および観察される表現型の解釈は、植物細胞の 形質転換およびそれ以降のトランスジェニック植物体の再生の全工程に亘って生 じる困難により劇的に妨げられ得ることが知られている。不運なことに、大変し ばしば、表現型の特徴を、導入された外来遺伝子の発現にのみ関係づけることは 不可能である。再生の間に現れる、ソマクローナル変異と呼ばれる遺伝的変異お よび後成的(epigenetic)変異は、導入された外来遺伝子の発現に、明確にでは ないが関連した異常な表現型につながり得る。例えば、外来DNAの植物ゲノム への取り込みは欠失という結果に至り、これ自体表現型の変異につながる。さら に、外来DNAの植物のゲノム領域への取り込みは、例えば導入されたDNA情 報と関係をもたない遺伝子をランダムにノックアウトしたり改変したりすること により、全く独立した変化を引き起こし得る。 タンパク質をコードする外来遺伝子の発現から別の困難が生じることがあるが 、これは、そのタンパク質自体−またはこれらタンパク質により触媒される反応 の産物−が、形質転換された植物細胞に対して特異的な影響を及ぼすからである 。従って、外来遺伝子の発現がトランスジェニック植物全体の再生および生産に 対して不利益でさらに有毒な効果を有する場合、標的遺伝子を全く発現しないか 、非常に低いレベルで発現する植物のみが再生の間に選択されると強く思われる 。その結果、得られた表現型は、標的遺伝子の機能の誤った解釈につながり得る 。大変しばしば、上記の理由のため、所望のレベルで外来遺伝子を発現している トランスジェニック植物をつくり出すことができず、このことが実験計画のささ いな間違いから生じるのか、または導入遺伝子の生物学的活性から起こるのか決 定することは難しい。 この問題の解決索の一つは、導入遺伝子の活性をある組織に限定するために「 組織特異的」プロモーターを使用することである。このアプローチは、多くのこ のようなプロモーターがトランスジェニック植物の再生過程の間は活性であり、 さらに多くの組織において低レベルで活性があるため、決して満足なものではな い。また、これは解析の範囲をわずかな細胞タイプに限定するので、必ずしも適 切な組織の研究が可能ではない。別の選択肢は、多くの細胞タイプにおいて比較 的高いレベルの発現を達成できる熱ショックプロモーターを利用することである 。これは、以降の解析を熱ストレスにさらした植物で行うという欠点、成長条件 を注意深く制御しなければならないという欠点、および熱によらない誘導を行っ た植物における遺伝子の発現について困難に遭遇するという欠点を有している。 これら制限を克服するため、化学的に誘導可能な遺伝子発現システムを開発する 幾つかの試みがなされた。これらの試みは、また、完全に満足するものではなか った。何故なら、これら試みが比較的有効でないためか、持続する遺伝子抑制に 依存しているためか、または植物に対して有毒であり得る濃度での化学物質の適 用に依存しているためである。充分研究されたシステムは、タバコについて開発 したテトラサイクリン誘導プロモーターシステムである(Gatzら(1991)Mol.Gen.G enet.227,229-237;Gatzら(1992)Plant J.2,397-404)。この場合、カリフラ ワーモザイクウイルス由来の改変された35S RNAプロモーターは、高レベルの 大腸菌(Escherichia coli)テトラサイクリン(Tet)-リプレッサーを発現して いる植物で抑制されているが、テトラサイクリンを0.1から1.0μg/mL で適用すると完全な活性が回復する。この ような化学的誘導システムは、タバコ細胞における遺伝子発現の有効な一時的な 制御を提供してくれるが、全植物の種々の組織における遺伝子の発現に関して、 このシステムの有効性および確実性は明確ではない。 従って、環境ストレスの外的介入または負荷を必要とせずに、植物における導 入遺伝子の発現を効果的かつ空間的に制御するためのシステムが必要とされてい る。 さらに、植物において定量的に制御された遺伝子発現を可能にするシステムで あって、このシステムの利用により特定の表現型と誘導された遺伝子の発現およ び発現レベルとの関係が明確に実証できるようなシステムが必要とされている。 その上、遺伝子構築およびトランスジェニック植物再生の工程は、時間を要し 且つ多大な労力を要するので、植物の各々において標的遺伝子が所望の種々の時 間的、空間的または生理学的条件の下で発現するような一連のトランスジェニッ ク植物を再生するための方法を簡略化する必要がある。 転写アクチベーターシステムに基づく真核細胞における遺伝子発現を制御する 他のアプローチが報告されている。 例えば、WO91/19784は、感染哺乳類細胞において機能する転写アク チベーターキメラタンパク質システムを開示している。このトランス活性化タン パク質は、DNA結合性タンパク質の機能的部位と、脊椎動物またはウイルスの 転写アクチベータータンパク質部位とを具備している。DNA結合性タンパク質 は、細菌のLacリプレッサーであり得、また使用する転写アクチベータータンパ ク質は、単純エルペスウイルスのVP16であり得る。記載されたシステムの使 用により遺伝子の発現を制御し、トランスアクチベーター機能のスイッチをオン またはオフにする能力は、トランスジェニック動物および哺乳類細胞系統につい て言及されているだけである。 同様に、EP 0455 424は、新規の哺乳類誘導的およびカスケード的遺 伝子発現システムの開発に関する。とりわけ、この発明は、lacI/lacOの制御 の下でHIV TATタンパク質およびHIV LTRプロモーターによる転写 制御の下でクローニングされた遺伝子を共に発現している、安定な哺乳類宿主細 胞系統の開発に関する。従って、この文書は、哺乳類細胞系統において発現を制 御するための誘導的遺伝子発現システムを記載している。 WO94/29442は、宿主細胞または動物において標的遺伝子の発現を条 件によ り不活性化したり変化させたりする調節システムに関する。テトラサイクリンで 制御可能なトランスアクチベーター(tTA)およびtTA-応答プロモーター に基づくこのシステムは、トランスジェニック動物における使用について説明が なされている。 植物において機能するトランス活性化システムについて、米国特許第5,36 2,864号は、植物の転写活性化因子、TAF−1の単離および特性を開示し ている。さらに、TAF−1を細胞培養システムまたはトランスジェニック植物 に導入して、TAF−1が結合することが公知であるシス作用性配列の−コピー または数コピーを含むプロモーター配列に融合した異種(heterologous)遺伝子 の発現を増大させたり、変化させたりすることが示唆されている。 特許出願WO95/20668は、改変された植物を生産するための方法を記 載しており、該方法は、第一系統も第二系統もその交配植物の特性を示さないが 、親植物の少なくとも片方がトランスジェニックであるような第一系統と第二系 統とを交配させて、ある表現型特性を備えた植物を作り出すことを含む。特に、 この方法は、雄性不稔の植物を作り出すため、および回復遺伝子の発現により雄 性不稔を復活させるために使用される。従って、この出願は、ハイブリッド種子 の生産に有効である植物生産方法を記載している。 同様に、特許出願EP 0 589 841は、雄性不稔の植物を作り出すた めの方法に関し、該方法は、トランスアクチベーターポリペプチドをコードする 配列に機能的に連結した葯-特異的プロモーター領域と、花粉形成を混乱させ得 るアンチセンスRNAまたはポリフェノールをコードする配列に機能的に連結し たトランスアクチベーターポリペプチドにより活性化され得る標的配列とに基づ くものである。この発明は、また、雄性不稔の植物およびハイブリッド種子を作 り出すための方法に関する。 欧州特許出願0 494 724号は、植物において発現を制御するためのプラ スミドを記載しており、該プラスミドは、異種産物および植物の時間的および位 置的に制御された発現を可能にするDNA配列を含む。原則として、この制御シ ステムは、各プロモーター領域内でそのオペレーター配列にテトラサイクリンを 介して結合したTetリプレッサータンパク質を不活性化することにより、標的 遺伝子の発現を誘導することに依る。 DNAに結合すると同時に転写を活性化する転写アクチベーターの能力は、こ のよう な転写因子の限定されたドメインに局在していることは公知である。転写アクチ ベーター因子は、独立して機能するモデュールから成ることが幾つかの実験によ り実証することができた(Ptashne(1988)Nature 355,683-689;Mitchell and Tijan(1989)Science 245,371-378)。 従って、ある因子の転写活性化を担当する部位を、別の因子のDNA結合部位 に結合させることが可能である。得られたハイブリッドタンパク質は、細胞内で 完全に活性である。このことは、酵母細胞で初めて明らかにすることができた( Ptashne and Gann(1990)Nature 346,329-331;Lewin(1990)Cell61,1161-1 164;Sahaら(1993)Nature 363,648-652)。その上、この観察は、ほ乳類にお いて検出された幾つかの転写因子について確認することができた(Guarante(19 88)Cell 52,303-305;Sadowskiら(1988)Nature 335,563-564)。 しかし、植物において機能的なDNA結合部位および植物において機能的な転 写活性化部位を含むキメラ転写アクチベーターを、植物において、導入遺伝子の 発現を制御するために利用することは新規である。 細菌、酵母またはほ乳類細胞における転写アクチベーターの発現により得られ た結果を、単純に植物システムに移すことができないことは注目するに値する。 例えば、種々の細胞タイプで異なる標的DNAのメチル化パターンにより、転写 アクチベーターの結合(従って遺伝子の活性化)が不可能になるか、少なくとも 非常に効率が悪くなる。 細菌において、リプレッサータンパク質は、非構成的遺伝子(例えば代謝経路 に関与する構造遺伝子)の発現を制御するオペレーター配列に可逆的に結合する ために使用される。特に、大腸菌(E.coli)のLacオペコンの制御は、最近数十 年にわたってさかんに研究された。LexおよびLacリプレッサーの両方がほ乳類細 胞において使用されている(Brownら(1987)Cell 49,603-612;Ho and Davids on(1987)Cell 48,555-566,Smithら(1988)EMBO J.7,3975-3982)。また 、Lacリプレッサーは、ほ乳類細胞において、TATAボックスの下流、ワクシ ニアウイルスプロモーターから下流、またはSV40プロモーターから下流にオ ペレーター配列を含む真核生物のウイルスプロモーターの発現を阻害できること がさらに示された(Brownら、同上;Ho and Davidson、同上)。 不運なことに、抑制は一般的に完全ではなく、また高レベルの誘導発現がこれ らのベクターを用いて植物で得ることができるかどうかは不明である。 Lacリプレッサーがほ乳類細胞において機能することが観察され、このことはl acIがほ乳類の染色体状態のDNAと相互作用できることを示しているが、植物 においてlacIのDNA結合ドメインを有益に利用することは新規であり、更に 、上記のことを考慮すれば予期しない結果である。 野生型のlacIとはDNA結合部位が異なる幾つかのlacI突然変異体が、野生 型のDNA標的であるE.coliに見られるLacオペレーターおよび特異的に改変さ れたLacオペレーター配列に対して、各々優れた結合能力を有することが原核細 胞において見出された。(Lehmingら(1987)The EMBO Journal 6,3145-3153) 。 特に、lacI突然変異体の利用、および野生型または改変されたオペレーター 配列への該lacI突然変異体の優れた結合能力を利用することは、植物における 導入遺伝子の活性化の観点からはこれまで議論されていなかった。 サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)におけるガラクト ースおよびメリビオース代謝経路の転写制御は、調節タンパク質GAL4により ポジティブに仲介されている。ガラクトースGAL4の存在は、ガラクトースレ ギュロン遺伝子の転写をそれぞれ促進する。GAL4による転写活性化は、遺伝 子発現のレベルを1,000倍増加させるという結果に至る(Johnston(1987)Micro biol.Rev.51,458-476)。誘導物質としてのガラクトースの非存在下では、負の 調節タンパク質GAL80は、酵母におけるGAL4の転写活性化能力を阻害す る。 GAL4は17塩基対から成る特異的な標的DNA配列に結合し、該DNA配 列は二回対称を示しガラクトース上流活性化配列と称される。 GAL4のその標的DNA配列への結合は、連結された遺伝子のRNAポリメ ラーゼII依存性転写を促進するためには不十分である。むしろ、このタンパク質 のDNA結合機能は、カルボキシル末端の転写活性化ドメインを、プロモーター および転写機構の付近に配置する目的を果たしている。転写活性化は、活性化領 域I(アミノ酸残基148-196)および活性化領域II(アミノ酸残基767-881)と称 される二つの主要活性化ドメインにより媒介されるが、このうち活性化領域IIが より能力が高い。(Ma and Ptashne(1987)Cell 48,847-853)。 天然のGAL4転写アクチベーターは、昆虫およびほ乳類細胞においてGAL 4結合部位に連結した遺伝子の転写を活性化することが実証された(Kakidani a nd Ptashne (1988)Cell 52,161-167;Websterら(1988)Cell 52,169-178)。しかし、 完全長のGAL4は、おそらくその非効率的な合成またば不安定性の結果、植物 のプロトプラストにおいて転写を刺激することができない(Maら(1988)Nature 334,631-633)。 別の非常に有効な転写アクチベーターは、単純ヘルペスウイルス(HSV)の ビリオンタンパク質16である(VP16;Sadowskiら、同上;Triezenbergら (1988)Genes&Dev.2,718-729)。これまで、VP16はほ乳類細胞における トランス活性化の観点からのみ記載されてきた(前述の先行技術、WO91/1 9784参照)。 最近、ショウジョウバエ(Drosophila)において、制御遺伝子に対してトラン スに配置された標的遺伝子の導入遺伝子発現が報告されている(Brand and Perr imon(1993)Development 118,401-415;Crleg and Akam(1993)Nature 362, 630-632)。しかし、これら何れの報告も、このようなシステムを植物に用いる ことの可能性を論じていない。 別のストラテジーにおいて、親の近交系では望ましくないような特性を発現す るF1ハイブリッドを、サプレッサーtRNAトランス活性化システムにより得 ることができる。 特定のメッセンジャーRNAの翻訳を可能し又は促進する翻訳因子の発現が、 微生物により頻繁に利用されている。例えば、サプレッサートランスファーRN A、即ちストップコドンを読むことができるtRNAの利用は、未熟終結コドン を含むmRNAの翻訳を可能にする。細菌で広く研究されたこの現象は、Eggert son and Soll(1988)Microbiol.Rev.52,354-374;Atkisnon and Martin(1994 )Nucleic Acid Research 22,1327-1334により概説されている。この考えは、ま た、幾つかの植物ウイルスにおいても充分に理解されている。例えば、タバコモ ザイクウイルスおよびタバコラットルウイルスは、植物細胞に存在する天然の弱 いサプレッサーtRNAを利用して、mRNAにおける漏出(leaky)ストップ コドンを解読している(Baierら(1984)EMBO J.3,351-356;Zerfass and Baier (1992)Plant J.2,583-588;Carneiroら(1993)Plant Mol.Biol.22,681-690,Ul masov and Folk(1995)Plant Cell 7,1723-1734)。 しかし、これまで生命工学的な適用が提案されてこなかった。従って、tRN Aは、翻訳におけるその中心的役割に起因して、生命工学の目的にとって有用で あることが本発明によって初めて説明される。 一般的に、多面的な影響、遺伝子抑制、サイレンシングもしくは細胞傷害性を 引き起こすことなく効率的かつ制御された方法で、遺伝子発現のスイッチを入れ たり切ったりできる必要性、または遺伝子発現のレベルを制御する必要性がある 。 しかし、これまでのところ、植物における遺伝子発現の制御に関して高度に効 率的なトランス−活性化システムは開発されていない。従って、新規のキメラ転 写アクチベーターおよび応答プロモーターに基づく優れた制御システムが必要と されている。その上、植物の生命工学的ツールの範囲を広げるため、当業者が形 質転換すべき植物、標的遺伝子、および/または所望の植物の育種に影響をもち 得る他の因子に応じて、最も有効なトランス活性化ストラテジーを選択すること ができるように、完全に新規なトランス活性化システムに対する必要性がある。 従って、本発明の目的の一つは、植物における標的遺伝子発現のトランス活性 化を確実にする転写アクチベータータンパク質を提供することである。 強いDNA結合能力並びに植物における強い活性化能力を備えたキメラ転写ア クチベーターは、植物において標的遺伝子の発現を調節するために有益なツール を提供する。その上、この転写アクチベーターキメラタンパク質は、そのDNA 標的に非常に特異的な方法で結合すべきであり、従って発現の活性化は、特異的 な転写アクチベーター応答配列を一つ以上含む標的遺伝子に限定されるべきであ る。 本発明の別の目的は、サプレッサーtRNA遺伝子および未熟ストップコドン を含む標的遺伝子に基づく新規な発現制御システムを提供することである。この ようなシステムは、形質転換する植物での取扱いが比較的簡単であるべきであり 、また、標的遺伝子のトランス活性化において高効率であるべき(即ち、発現の バックグランドはできるだけ低レベルであるべき)である。 転写アクチベーターシステムを用いれば、(i)トランスアクチベーター発現 のレベルを改変することにより、また(ii)標的遺伝子内でトランスアクチベー ター−応答配列の数を調節することにより、導入遺伝子の発現の量を操作するこ とも可能である。サプレッサーtRNAシステムについても同様であり、このシ ステムの使用によって、tRNA遺伝子の発現レベルおよび/または標的遺伝子 の発現レベルで標的遺伝子の発現を調節することができる。 本発明の別の目的は、一定の遺伝子、即ち、その遺伝子産物またはその遺伝子 産物に より触媒される反応から生じる化学的化合物が細胞傷害性であるか、または他の 有害なもしくは致命的な効果をもつような遺伝子の発現を可能にすることである 。さらに、本発明の目的は、その遺伝子産物が例えばポンプチャンネルもしくは 孔である遺伝子であり、例えば一以上の化学的化合物、要素またはイオンをある 場所から別の場所へ移動させた結果として、有益または有害であり得るような遺 伝子の発現を可能にすることである。 本発明の別の目的は、標的遺伝子とキメラ転写アクチベーターをコードする遺 伝的情報とを同じ植物細胞において共に発現したときにのみ、所望の表現型特性 を発現する植物を提供することである。しかし、所望の表現型特性の発現が、例 えば以降の植物世代において調節導入遺伝子と表現型導入遺伝子を分離すること により逆行することも、場合によっては望ましい。 本発明のさらなる目的は、未熟ストップコドンを含む標的遺伝子およびサプレ ッサーtRNA遺伝子が同じ植物細胞において共に発現したときにのみ、所望の 表現型特性を発現する植物を提供することである。さらに、ここで、表現型特性 が、例えば以降の植物世代において調節導入遺伝子と表現型導入遺伝子の分離に より逆行することも場合によっては望ましい。 さらなる目的は、安全策を取るべきとき、即ち、例えば表現型特性の環境への 解放を防止すべきときに使用され得る制御システムを提供することである。 本発明の別の目的は、例えばトランスジェニック分野の試験における大規模生 産において、標的遺伝子の産物を生産し単離することである。 本発明の別の目的は、従来のシス作用性システムで経験される共抑制(cosupp ression)の問題を防止することである。 これらの目的および他の目的は、添付の独立請求項で定義された主題により達 成される。好ましい態様は、従属請求項および以下での本発明の説明により特記 される。 本発明は、DNA結合性タンパク質の機能的部位および転写アクチベータータ ンパク質の機能的部位を含む、植物において活性なキメラ転写アクチベーターを 提供する。特に、本発明は、大腸菌(Escherichia coli)のlacIリプレッサー タンパク質の機能的部位を含むトランスアクチベーターキメラタンパク質を提供 する。 好ましい態様において、本発明のトランスアクチベーターキメラタンパク質は 、DN A結合部位として、少なくとも−アミノ酸の置換を有する突然変異体lacIタン パク質の部位を含んでいる。特に、E.coliのlacIタンパク質のDNA認識ヘリ ックスの位置1においてチロシン(アミノ酸17)からヒスチジンへ置換された lacIタンパク質突然変異体は、Hl−突然変異体と称される。以下でさらに説明 するように、H1−Lacリプレッザー突然変異体は、本発明の転写アクチベーター キメラタンパク質の特定の応答配列への優れた結合能力を提供してくれる。 本発明で使用される好ましいトランス活性化タンパク質は、サッカロミセス・ セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のGAL4である。 特に、本発明はE.coliのlacIリプレッサータンパク質における機能的部位お よびS.セレビシエ(S.Cerevisiae)の転写アクチベータータンパク質GAL4の 機能的部位を含むトランスアクチベーターキメラタンパク質を提供する。 本発明で使用される別の好ましい転写アクチベータータンパク質は、HSVの VP16である。 特に、本発明は、E.coli由来のlacIリプレッサータンパク質における機能的 部位および単純ヘルペスウイルスの転写アクチベータータンパク質VP16の機 能的部位を含むトランスアクチベーターキメラタンパク質を提供する。 さらに、本発明は、本発明の種々の転写アクチベーターキメラタンパク質をコ ードする組み換えDNA分子を提供する。 本発明は、その植物細胞において、Lacオペレーター配列と結合した標的遺伝 子が植物ゲノムに組み込まれているトランスジェニック植物を含む。 本発明の好ましい態様において、lacI、または特にDNA認識ヘリックスに 一以上のアミノ酸の置換を有するlacI突然変異体は、トランスアクチベーター キメラタンパク質の骨格として使用される細菌のDNA結合性タンパク質である 。また、トランスアクチベーター応答配列は、野生型のLacオペレーター配列で あるか、または野生型のLacオペレーター配列[AATTGTGAGCGGAT AACAATT]もしくは野生型Lacオペレーターのコンセンサス配列[AAT TGTGAGCSGCTCACAATT(SはGまたはCである。Lehming(199 0)“Regeln fur Protein DNA-Erkennung”、Dissertation、Universitat zu Ko ln参照)]と比べて、一以上の異なる塩基対を有するように、および/または少 なくとも−塩基対の欠失を有するように改変されたLacオ ペレーター配列である。 標的遺伝子内でトランスアクチベーター応答配列としてLacオペレーター配列 を利用することは、トランスアクチベータータンパク質が結合可能な標的配列を 植物に導入した配列にほとんど限定することになるため、特に好都合である。従 って、植物におけるトランス−制御システムに影響を及ぼすような、相同配列へ の望ましくない結合はないであろう。 本発明は、サプレッサーtRNA遺伝子または未熟ストップコドン、好ましく はアンバーストップコドンを含む標的遺伝子の何れかを含有する組み換えDNA 分子をさらに提供する。好ましい態様において、一つのDNA分子は、弱いプロ モーター(例えばノパリンシンターゼ(nos)プロモーターまたはアグロバクテ リウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来の1'/2'プロモー ター(それぞれDepickterら(1982)J.Mol.Appl.Genet.1,561-573、およびVelt enら(1984)EMBO J.12,2723-2730))の制御下に、改変されたtRNASerま たはtRNALeu遺伝子の何れかを含み、強力なアンバー抑制tRNAの発現は 許容するが、異所で発現したサプレッサーtRNAによる有毒効果または突然変 異効果は回避する。もう一つのDNA分子内に含有された標的遺伝子は、何れの 遺伝子であってもよい。好ましくは、該標的遺伝子は、未熟アンバーストップコ ドンを含み、対応するサプレッサーtRNAが同じ植物細胞において共に発現し ていなければ、タンパク質の翻訳が妨害され、非機能的なタンパク質の生産に至 る。サプレッサーtRNA遺伝子は、サプレッサーtRNAの毒性効果を回避す るために、かなり弱いプロモーターの制御下で発現しなければならないが、標的 遺伝子は、植物細胞において機能的な如何なるプロモーターの制御下でも発現す ることができる。好ましくは、未熟ストップコドンを有する標的遺伝子は、例え ばカリフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーターのような強力なプ ロモーターの下で発現する。この組み合わせは、このバイナリートランス活性化 システムにおけるtRNAサプレッサー成分または標的遺伝子成分の何れかを有 する両トランスジェニック植物の交配後に得られたハイブリッドF1植物におい て、標的遺伝子の非常に高い発現レベルの活性化を提供するだろう。さらに、本 発明は、これら導入遺伝子を含むトランスジェニック植物を提供する。 本発明の組み換え核酸分子をつかって形質転換され得る植物は、何れの植物で もあっ てもよい。所望の表現型特性に応じて、裸子植物、双子葉類または単子葉類であ り得る。 本発明は、本発明の植物体の生殖産物、例えば種子、果実、挿し木、塊茎、根 茎、およびプロトプラスト、植物細胞、カルスまたは根のような植物の一部をさ らに含む。 本発明は、標的遺伝子の発現を制御するための方法であって、本発明のトラン スアクチベーターキメラタンパク質を利用して、一以上のトランスアクチベータ ー応答配列を含む標的遺伝子の発現を特異的に制御することを具備した方法を提 供する。 本発明は、更に、標的遺伝子の発現を制御するための方法であって、本発明の サプレッサーtRNAを利用して、少なくとも一つの未熟ストップコドンを含む 標的遺伝子の発現レベルを特異的に制御することを具備した方法を提供する。 標的遺伝子または転写アクチベータータンパク質もしくはサプレッサーtRN Aを発現する遺伝子の何れかを含む各親植物の交配後に、F1ハイブリッド植物 において合体された導入遺伝子の調節特性および表現型特性は、各々、以降の世 代において別々に分離するので、本発明のトランス−制御システムは、それが所 望の表現型特性の発現を逆行させることが望ましいときにも有利に利用され得る 。 加えて、細菌およびほ乳類におけるlacIのオペレーター配列への結合は、ガ ラクトシドおよびガラクトシド類似体(例えばイソプロピル−β-D-チオガラク トシド(IPTG)、メチル-β-D-チオガラクトシド(MTG))の利用によ り軽減することができるので、所望ならば、このような化合物の植物体、植物細 胞またはプロトプラストへの適用は、lacIのその標的配列への結合を抑制して トランス活性化を抑制するために使用され得る。 さらに、本発明は、所望の表現型特性を備えた植物を生産する方法を含んでお り、この方法は、第一の植物をキメラlacI(もしくはlacI突然変異体)-GA L4-またはlacI(もしくはlacI突然変異体)-VP16-転写アクチベータータ ンパク質をコードする組み換え核酸分子で形質転換すること、第二の植物を標的 遺伝子並びに少なくとも一つのlacI(またはlacI突然変異体)-応答配列を含 む組み換え核酸分子で形質転換すること、第一の植物と第二の植物とを交配する こと、および同じ植物細胞において両方の導入遺伝子が共に発現しているときに トランス−活性化を達成させることを含んでいる。Lac−アクチベーター結合の 非存在下で標的植物細胞において不活性である何れの最小プロモーターまたは他 のプロモーターシステムも、トランス活性化により標的遺伝 子を発現させるために使用され得ることは自明である。 その上、本発明は、所望の表現型特性を備えた植物を生産する方法を含んでお り、この方法は、第一の植物をサプレッサーtRNAをコードする組み換え核酸 分子で形質転換すること、第二の植物を少なくとも一つの未熟ストップコドン、 好ましくはアンバーストップコドンを有する標的遺伝子を含む組み換え核酸分子 で形質転換すること、第一の植物と第二の植物とを交配すること、および同じ植 物細胞において両方の導入遺伝子が共に発現しているときにトランス−活性化を 達成させることを含んでいる。 当然、標的遺伝子のトランス活性化は、交配によるというよりむしろ、トラン スアクチベーターまたはサプレッサーtRNAをコードする核酸分子および標的 遺伝子をコードする核酸分子を同じ植物に直接導入することによっても達成され 得る。従って、幾つかの状況において、または幾つかの適用に対して、他の手段 (例えばウイルスベクターによる一連の形質転換または感染)により同じ細胞に 二つの構築物を導入することが好都合であり得る。同じ植物体または植物細胞内 に二つの独立した核酸分子が存在することは、異なる選択マーカー遺伝子を用い て、または分子生物学で使用される標準技術により容易にモニターすることがで きる。 さらに、本発明は、細胞傷害性産物を生産する植物を作り出すための方法を提 供する。 さらに、本発明は、特定の遺伝子産物を多量に生産する植物を作り出すために 使用され得る。 本発明は、安全策を取るべきときに有効な制御システムをさらに提供する。例 えば、表現型特性の環境への解放は、例えば導入遺伝子の一つが雄性不稔を担当 するとき劇的に低下させることができる(トランスジェニック花粉の放出がなく 、トランスジェニック種子を販売する種子会社の利益になり、共抑制の低下また は完全な回避である)。 しかし、一般的に如何なる特定の標的遺伝子も、本発明のアプローチにおいて 使用することができる。 本発明のトランスアクチベーターシステムは、所望の表現型を生じるために同 じ細胞で全て発現しなければならない幾つかの遺伝子、例えば生合成経路の幾つ かの酵素を発現させるために同じプロモーターを使用することが望ましいときに 有利に使用することができる。Lac−トランスアクチベーターシステムは、ほん の短い配列(lacオペレーター配列)をゲノムに繰り返し挿入することを含み、 共抑制の危険は低下する。 異なるプロモーター、即ち、Lacオペレーターの各側に、Lac−アクチベーター により同等に(co-ordinately)制御される二つの異なる最小プロモーターを使 用することが望ましい。これは、二つの標的遺伝子を同時に発現したいとき、ま たはある遺伝子が容易にモニターされ(例えばGUS遺伝子のようなレポーター 遺伝子)もう一つが標的遺伝子であるときに有効であり得る。 種々の異なるプロモーターからアクチベーターを発現する一連のトランスジェ ニック植物を作成することが、本発明のトランスアクチベーターシステムの使用 により可能である。従って、一連のアクチベーター植物を、lac応答配列の制御 下で標的遺伝子を含むトランスジェニック植物と単に交配させることにより、多 くの種々のパターンで標的遺伝子を発現することが可能となるはずである。この ことは、標的遺伝子が、各プロモーターの後ろに再度クローニングされ、各場合 において別々に植物が再度形質転換されるのではなく、たった一つの発現プラス ミドに挿入され、一度だけわずかな形質転換体を作成するために使用されなけれ ばならないことを意味している。このことは相当な時間、労働および金銭の節約 を表している。 一般的に、本発明のトランス活性化システムは、安定して受け継がれるという 利点、植物のライフサイクルの間安定しているという利点、非常に高い発現レベ ル(例えば、植物においてCaMV由来の強力なウイルス35S RNAプロモー ターの利用により得られた発現レベルと同じまたは同等の高い発現レベル)を提 供するという利点を示している。 本発明の新規植物を生産するために、幾つかの異なった方法を本発明に従って 適用することができる。一方では、植物または植物細胞を遺伝子工学で公知の一 般の形質転換方法により、新規DNA配列が植物ゲノムに組み込まれる程度、即 ち安定な形質転換がつくられる程度まで改変することができる。他方では、さら に一時的な遺伝子発現を研究し使用することができる。 本発明は、本発明の組み換え核酸分子、該核酸分子の植物細胞への導入および 該核酸分子の植物における発現に基づいて、これら新規植物を生産する方法を含 む。所望ならば、転写アクチベーターキメラタンパク質は、例えばこの導入遺伝 子を組織特異的プロモーター、誘導的プロモーター、または発生段階で制御され たプロモーター領域の制御下で発現させることにより、同様に制御することがで きる。本発明のトランスアクチベ ーターシステムの利用は、標的遺伝子を種々の異なった細胞タイプにおいて特異 的に発現させたいとき、特に時間節約的および労働節約的である。さらに、トラ ンスアクチベーター発現のレベルは、トランスアクチベーターコードDNA配列 に対して半接合体またはホモ接合体である植物で分析することができる。標的遺 伝子の発現レベルが標的遺伝子の半接合体状態またはホモ接合体状態に応じてそ れぞれ変化し得ることは自明でめる。一以上の新規核酸分子についてホモ接合体 であるトランスジェニック系統は、通常の技術、例えば以降の子孫の分離パター ンによって容易に同定することができる。さらに、別々の形質転換体の間で見ら れる発現の基本的変異(「位置効果」として公知)は、アクチベーターおよびレ ポーターT−DNAの両方に対するその効果によって、標的遺伝子の発現レベル を変えるために使用することもできる。 DNAを植物の宿主細胞に導入するために、幾つかの技術が利用でき、当業者 は容易に適切な形質転換方法を選択することができる。これらの技術は、形質転 換手段としてのアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefa ciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes) を用いたT−DNAによる植物細胞の形質転換、プロトプラストの融合、単離し たDNAのプロトプラストへの直接的遺伝子導入、DNAのマイクロインジェク ションまたは電気穿孔法、バイオリスティックな方法(biolistic method)を介 したDNAの導入および他の方法を含む。 DNAをマイクロインジェクションまたは電気穿孔法により導入するときは、 何れの形態のDNAも使用することができる。同じことが直接的遺伝子導入にも あてはまる。ここでは、単純なプラスミド、例えばpUC誘導体を使用すること ができる。しかし、植物全体を形質転換された植物細胞から再生したいなら、形 質転換された植物の選択を可能にするマーカー遺伝子が必要である。適切な選択 マーカーは、当業者に公知である。 使用される形質転換方法に応じて、別のDNA配列が必要とされ得る。例えば 、Ti-またはRi-プラスミドを使用すると、導入すべき遺伝子は、Ti-およびRi-プ ラスミドに含有されるT−DNAの少なくとも右端で結合しなければならない。 しばしば、導入すべき遺伝子は、フランキング領域としてT−DNAの右端およ び左端の両方で結合しなければならない。 アグロバクテリアを形質転換のために使用する場合、導入すべきDNAは、特 定のプラスミド、即ちインターメディアリィベクターまたはバイナリーベクター にクローニン グしなければならない。インターメディアリィベクターは、T−DNAの配列に 対して相同的な配列を含んでおり、この配列が、相同的組み換えによりアグロバ クテリアのTi-またはRi-プラスミドに組み込まれることを可能にする。さらに、 このプラスミドは、T−DNAの導入のために必要なvir-領域を運んでいる。イ ンターメディアリィベクターは、アグロバクテリアの中で複製することができな い。インターメディアリィベクターは、ヘルパープラスミド(接合)を介してア グロバクテリアに導入され得る。バイナリーベクターは、E.coliおよびアグロバ クテリアの両方で複製することができる。バイナリーベクターは、T−DNAの 左端および右端領域の間の枠内に挿入された選択マーカー遺伝子およびリンカー またはポリリンカーを含む。これらベクターは、アグロバクテリアに直接導入す ることができる(Holstersら(1978)、Molecular and General Genetics 163,181 -187)。アグロバクテリア宿主細胞は、植物細胞にT−DNAを導入するのに必 要なvir-領域を有するプラスミドを含むべきである。 形質転換されたアグロバクテリウムは、植物細胞の形質転換のために使用され る。植物細胞を形質転換するためのT−DNAの使用は、充分研究され、EP 120 515;Hoekema in:バイナリー植物ベクターシステム、Offsetdrokker i j Kanters B.V.,Alblasserdam(1985)Chapter V;Fraleyら(1993),Crit .Rev.Plant Sci.4,1-46およびAnら(1985)、EMBO J.4,277-287に充分に 記載されている。 植物細胞にDNAを導入するため、植物の外植体をアグロバクテリウム・ツメ ファシエンスまたはアグロバクテリウム・リゾジゲネスとともに効果的に培養す ることができる。その後、感染した植物材料(例えば葉もしくは葉切片、茎の部 分、根、プロトプラストまたは懸濁培養で培養した植物細胞)から、抗生物質ま たは殺生物剤を選択薬剤として含む適切な培地で、植物全体を再生することがで きる。植物体の再生は、公知の栄養培地を用いて普通の再生方法により行われる 。その後、得られた植物体は、標準の生化学的手法および遺伝子工学的手法を用 いて導入されたはずのDNAについて分析することができる。バイオリスティッ ク(Biolistic)形質転換法を、例えばWillmitzer(1993)Transgenic Plants、in :Biotechnology、A Multi-Volume Comprehensive Treatise(H.J.Rehm,G.Ree d,A.Puhler,P.Stadler,eds Vol.2,627-659,V.C.H.Weinheim−New York −Basel−Cambridgeに記載されたとおりに適用することができる。 Ti-プラスミド-ベクターシステムを用いたA.tumefaciensを介しての双子葉植 物の形 質転換は充分確立されているが、最近の研究は、単子葉植物もアグロバクテリウ ム由来のベクターにより形質転換することができることを示しているようである (Chanら(1993)、Plant Mol.Biol.22,491-506;Hieiら(1994)、Plant J.6 ,271-282;Dengら(1990)、Science in China 33,28-34;Wilminkら(1992) 、Plant Cell Reports 11,76-80;Mayら(1995)Bio/Technology 13,486-492;Co nner and Domiss(1992)Int.J.Plant Sci.153,550-555;Ritchieら(1993)Tran sgenic Res.2,252-265)。 単子葉類を形質転換するための別のシステムは、バイオリスティック(biolis tic)アプローチ(Wan and Lemaux(1994)、Plant Physiol.104,37-48;Vasi lら(1993)、Bio/Technology 11,1553-1558;Ritalaら(1994)、Plant Mol.Biol .24,317-325;Spencerら(1990)、Theor.Appl.Genet.79,625-631)、プロト プラストの形質転換、部分的に透過性を備えた細胞の電気穿孔法、DNAのガラ ス繊維による導入を用いた方法である。 裸子植物の形質転換のために使用することができる形質転換法は、例えば、Li uら(1993)Plant Mol.Biol.23,297-308;Primich and Minocha(1991)Plant Cell Reports 10,545-549;Morrisら(1989)Phys.Mol.Plant Pathol.34,45 1-462に記載されている。 導入されたDNAが植物ゲノムに一旦組み込まれると、それは安定なままであ り、さらに、元の形質転換された植物細胞の子孫に安定に受け継がれる。普通、 それは、殺生物剤または抗生物質、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、ハ イグロマイシン、メトトレキシート、グリフォゼート、ストレプトマイシン、ス ルフォニルウレア、ゲンタマイシン、フォスフィノトリシンなどに対して耐性を 付与する選択マーカーを含む。従って、個別に選択することができる選択マーカ ーは、導入DNAを欠いている細胞に対して、形質転換された細胞の選択を可能 にするはずである。 形質転換された細胞は、普通の方法で植物内で増殖する(例えばMcCormickら (1986)Plant Cell Reports 5,81-84)。得られた植物は普通の方法で栽培す ることができ、自家受粉により繁殖でき、または他の植物(野生型もしくはトラ ンスジェニック植物)と交配させることができる。レポーターまたはアクチベー ター(即ち、トランスアクチベーターまたはtRNAをコードする)構築物を含 むトランスジェニック植物を交配することができ、両親がヘテロ接合体であれば 、アクチベーターおよびレポーターT−D NAの両方を含む子孫を、各T−DNA上の異なる耐性マーカーの存在により同 定することができる。これら異なる耐性マーカーは、子孫により実証された何れ かの表現型を各T−DNAの存在または非存在と関連づけることを可能にする。 子孫植物の表現型を標的遺伝子の発現に結びつけるさらなる証拠は、アクチベー ター植物およびレポーター植物の各々と、標的遺伝子のプロモーターにおいてla cI応答配列を欠いているレポーター植物とを交配するか、または転写活性化ド メインを欠いている偽(mock)アクチベーターを発現している植物とを交配する ことにより得ることができる。 組み換え核酸分子、植物、並びに本発明の方法を記載している以下の図、表お よび例は説明の目的でのみ記載しており、本発明を限定するものと解釈すべきで ばない。 表1 アクチベーター構築物およびレポーター構築物で予め形質転換された植物のF1 タバコ芽生えにおけるGUS酵素活性(図6に対応する表)表2 種々のレポーター植物とアクチベーター植物との交配に由来する子孫のGUS酵 素活性の分析および分離パターン表2(続き)図および表の説明 図1は、LacI-Gal4の転写アクチベーター融合体を有するプラスミド構築物 pVKIVGal4を示す。原則として、LacI-Gal4の転写アクチベーターは 、細菌のLacI遺伝子のチロシン17→ヒスチジン17置換の突然変異体(lacIhis )および酵母のGAL4タンパク質の転写活性化ドメインのインフレーム融 合により得た。 LacIのDNA結合突然変異体(LacIhis)のコード配列は、Cologne大学の遺 伝学研究所から入手した。この突然変異体は、Lehmingら(1987)Embo J.6,31 45-3153に詳細に記載されている。我々は、pWB100シリーズ由来のベクター( pWB100HIS1)においてこのLacI突然変異体を得た。このプラスミドマッ プおよび一部の配列データはLehmingら、同上に記載されている。この半合成Lac Ihis遺伝子において、LacI翻訳開始コドンはATGに変換され、一つの例外を 除いて野生型のタンパク質配列を変化させることなく、他の制限部位の導入に加 えてNdeI部位に組み込まれた:一つの例外とは、LacIhis遺伝子が、オペレ ーター認識ヘリックスに位置するアミノ酸位置17でアミノ酸の置換を有してお り、ここでチロシンはヒスチジンに置換されている。さらにクローニングを容易 にするため、SpeI制限部位(残基329および330をコードする5’-ACTAGT -3’)をLacIhis遺伝子のC−末端に導入して、残基330をロイシンからセリン に変換する。このアミノ酸の変化は、タンパク質の所望の機能に影響を及ぼさず 、プラスミド構築の便宜のためだけに施した。 GAL4I+IIタンパク質の転写活性化ドメインII(残基768-881)のコード 配列は、Harvard大学、Cambridge、MassachusettsのDr.Jun Maから入手した。 GAL4タンパク質の転写活性化断片に関する研究は、Jun Ma and Mark Ptashn e、同上により提示され、ここでさらに種々のGAL4誘導体の構築が報告され た。GAL4の転写活性化ドメインIIのコード配列は、lacIhis遺伝子の唯一の 上記SpeI制限部位にインフレームで挿入され、例1記載の実験で使用される LacIhis-Gal4のインフレーム融合遺伝子が形成される。この融合遺伝子におい て、GAL4の転写活性化部位のコード配列、即ちアミノ酸768-881を含むほぼ ドメインIIを、LacIのコード領域のコドン329および330の位置に導入されたS peI部位でLacIコード領域に挿入した(上記参照)。融合遺伝子の構築は、 上記のような改変されたLacIhis遺伝子を有するpWB100由来のベクターで行 われた。植物においてLacIhis-Gal4融合遺伝子の発現を可能にするため、改 変されたlacI翻訳開始部位におけるNdeI制限部位およびlacI遺伝子のBglII部 位3’を用いて、LacIhis-Gal4融合遺伝子をNdeI-BqlII制限断片として単離 し(Lehmingら(1987)同上におけるpWB100参照)、植物の発現ベクターpK I102のAseIおよびBamHI制限部位に挿入した。 植物発現ベクターpKI102は我々が目前で作成し、カリフラワーモザイク ウイルスの35Sプロモーターとポリアデニル化シグナルとの間で発現するような コード領域の挿入のためのポリリンカーから成る植物の発現カセットを含んでい た。35Sプロモーターは、CaMV株Cabb B-Dの7016〜7434塩基 対から成り、35Sポリアデニル化シグナルは、CaMV株Cabb B-D(CM 1841;Gardnerら(1981)Nucl.Acids Res.9,2871-2888)の7436〜7 639塩基対に対応する。 しかし、原則として何れの植物発現ベクターも使用することができる。適切な 植物発現ベクター、例えばバイナリー植物形質転換ベクターは、文献にしばしば 記載される普通のツールであり、当業者に公知である。 LacIhis−Gal4融合体の発現および転写活性化能力をタパコのプロトプラス トで調べた。 構築物の機能を確認して、CaMV 35Sプロモーター、LacIhis−Gal4の融 合遺伝子およびポリアデニル化シグナルから成る発現カセットの全体をPstI断 片としてバイナリーベクターpVK18に挿入し、ベクター構築物pVKIGa l4を作成した。pVK18は、普通の植物形質転換ベクターに相当する。pV K18は、T−DNAのその右端で遺伝子を挿入するためのポリリンカーを有し ており、pMN016−VS由来であり、これはpMN001に基づき(Reiss ら(1994)Plant Phys.(Life Sci.Adv.)13,143-149)、これを二つの点で改変 した:(a)pMN016−VSは、プラスミドpDH51由来のCaMV 35S プロモーターを含む(Pietrzakら(1986)Nucl.Acids Res.14,5857-5869)、(b) pMN001のmini−RKレプリコンをpVS1由来のmini−pVSレプリコン により置き換える(Itohら(1984)Plasmid 11,206-220;Deblaereら(1987)M ethods in Enzymology 153,277-292)。pVK18は、pMN016−VSか らそのpBR322複製起点、ベーターラクタマーゼ遺伝子およびCaMV 35 S-NPTII−polyAカセットを取り除き、これらを複製起点、細菌のカナマ イシン耐性マーカーおよびプラスミドpK19のポリリンカーで置き換えること により構築され た(Pridmore(1987)Gene 56,309-312)。 pVKIGal4は、安定な形質転換体を作成ために使用される最終的な転写 活性化構築物であり、1996年7月29日に、受託番号DSM11108を付与され、Deu tsche Sammlungvon Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、Mascher oder Weg Ib、D-38124 Braunschweig、GermanyにおいてE.coli中で寄託されてい る。 原則として、何れもの植物形質転換ベクターを、LacIhis−Gal4融合遺伝子 で植物を形質転換するのに使用することができる。 図2は、LacI−Vp16融合遺伝子を有するプラスミド構築物を示している 。原則として、LacI−Gal4融合遺伝子に関する図1記載のクローニングストラ テジーに従った。Princeton University、New JerseyのA.J.Levineから、我々は 、これまでほ乳類細胞でしか試験されていないLacI−VP16融合構築物(p HCMVLAP348)を入手した。該構築物は記載されており、そのデータは Labowら(1990)Mol.Cell.Biol.10,3343-3356で提示されている。LacI−Vp1 6融合体のコード配列は、BglIIおよび一部SacIの処理によりpHCMVLAP 348から単離した。この融合遺伝子において、VP16の転写活性化部位のコ ード配列、即ちアミノ酸369−488を含むほぼカルボキシル末端酸性ドメインは、 LacIアミノ酸348のコドンあたりでLacIコード領域に挿入された(Labowら(19 90)同上)。単離されたLacI−Vp16断片は、植物の発現ベクターpKI1 02に、CaMV 35Sプロモーターの下流およびポリアデニル化シグナルの上 流で挿入された。pKI102は、自分で作成した植物の発現ベクターであるが (図1参照)、原則として、何れの植物発現ベクターも、植物の発現シグナルの 制御下でLacI−Vp16融合体のコード配列を提供するために使用することが できる。 安定に形質転換した植物を生産できるために、完全なCaMV 35S−LacI− Vp16ポリA発現カセットをpKI102誘導体からHindIII制限断片として 一部処理後に単離し、バイナリープラスミドpVK18のポリリンカーに挿入し 、プラスミドpVKIVp16を作成した。 図3は、植物の発現ベクターpX−910TAGのプラスミドマップを示して おり、これはlacオペレーター配列を上流に挿入したCaMV 35S最小プロモー ターの制御下でレポーター遺伝子GUS(E.coli由来のuidA遺伝子)を運んで いる。 植物細胞においてLacIhis−Gal4およびLacI−Vp16融合構築物の活性を モニタ ーするために、プラスミドpX−910TAGを以下の手法により構築した。p X−910TAGおよびpX−944TAG構築物(lacオペレーター配列にお いてのみpX−910TAGと異なるpX−944TAG)の不可欠な配列は、 GUS遺伝子の発現を制御するCaMV 35S最小プロモーター(転写の開始点 [+1]に対して−46〜+8)の上流に位置するLacオペレーター配列である 。キメラLacIhis−Gal4またはLacI−VP16転写アクチベーターの存在下に おいて、該アクチベーターはコグネイト(cognate)なオペレーター配列に結合 することができ、従って標的遺伝子、ここではGUSレポーター遺伝子の転写お よび発現を活性化し、容易にし、および/または促進する。T−DNAが強力な エンハンサー配列を含まないことは注目するに値し、最も近くのプロモーターは 2kb以上離れており、最小プロモーターが近傍プロモーター配列によりシスに 活性化される可能性は低い。同様に標的遺伝子は、最小プロモーターとT−DN Aの右端との間に位置し、最小プロモーターがその側面に位置する植物ゲノムD NAにおけるプロモーター配列によりシスに活性化される可能性を最小限にする 。pX−910TAGおよびpX−944TAGにおけるGUSレポーター遺伝 子の発現は、(例えば、Jeffersonら(1987)EMBO J.6,3901-3907およびJeffe rson(1987)Plant Mol.Biol.Rep.5,387-405に記載の方法に従って)GUS酵 素活性を測定することにより容易にモニターすることができる。転写アクチベー ターの非存在下において、バックグランド以上にGUS発現を検出することはあ り得ない。その結果、上記プロモーターの活性は、非常に特異的で厳密な遺伝子 発現の制御メカニズムであれば、機能的な転写アクチベータータンパク質の存在 に依存する。 二つのプラスミドpX−910TAGおよびpX−944TAGは、CaMV 35S最小プロモーターの上流に挿入されたオペレーター配列においてのみ異な る。Lacオペレーター配列は、Cologne大学の遺伝学研究所から入手し(プラスミ ドpWB910およびpWB944)、Lehmingら(1987)同上において、それ ぞれ名称310および344で公表されている。これら二つのオペレーター配列 は、野生型Lacリプレッサーおよび上記LacリプレッサーのHis1突然変異体が それぞれ310、並びに310および344オペレーター配列に堅く結合できる ことが細菌について見い出されたために選択された(Lehmingら(1987)同上;L ehmingら(1989)同上)。オペレーター配列は、XbaI断片としてプラスミド pWB910(310)およびpWB944(344) から単離され、pBluescriptベクターの唯一のXbaI部位にまず挿入された(S tratagene、La Jolla、CA、USA)。pBluescriptにクローニングした後、オペレ ーター配列310および344は、pBluescriptポリリンカーの側面に位置する 二つの平滑末端の制限部位:Ecl136IIおよびEcoRVを用いて、pBluescript誘導 体から再度単離された。制限分析により、310の二つのXbaIオペレーター 断片がXbaI制限のpBluescriptベクターに二回挿入されたことが見出された 。その結果、対応するEcl136II−EcoRV断片は、二つの310オペレーターを 含んでいた。オペレーター配列310または344の何れかを含むEcl136II−Ec oRV断片は、バイナリーベクタ−pVH−TAGに、CaMV 35S最小プロモ ーター−GUS−ポリアデニル化構築物の5’側で挿入された。平滑末端のEcl1 36II−EcoRV断片を、pVH−TAGの唯一のEcl136II部位に挿入し、(プラ スミドpWB910由来のオペレーター配列310を有する)プラスミドpX− 910TAGおよび(プラスミドpWB944由来のオペレーター配列344を 有する)pX−944TAGを作成した。pX−944TAGの場合、制限分析 から分かるように、対応するEcl136II−EcoRV断片の二回の挿入が起こった。 実際、両方のレポーター構築物、pX−910TAGおよびpX−944TAG は、二つのオペレーター配列(それぞれ311および344)を含んでいる。 上記のとおり、レポータープラスミドpX−910TAGおよびpX−944 TAGは、我々が目前で構築したバイナリーベクターpVH−TAGにオペレー ター配列310(プラスミドpWB910由来)または344(pWB944由 来)を挿入することにより入手された(図4も参照)。原則として、何れの植物 形質転換ベクターも使用することができる。ここで、pVH−TAGの重要な配 列は、CaMV 35S最小プロモーターの制御下でGUSコード配列を含むGU S発現カセットであり、オペレーター配列の挿入後、LacI由来の転写アクチベ ーターに依存した調節ユニットが得られるという事実である。pVH−TAG、 例えば図4で示されるプラスミドマップにおいて、GUS発現カセットは、ポリ アデニル化シグナルをGUSコード配列およびCaMV最小プロモーターから成 る。(E.col1のuidAコード配列を改変した)GUSレポーター遺伝子を、Ca MV 35Sポリアデニル化シグナルとともにプラスミドpRT103GUSから 単離した(Topferら(1988)Plant Cell Rep.7,225;Topferら(1993)Methods in Enzymology 217,66-78)。CaMV 35S最小プロモーターは、CaMV 35S RN Aプロモーターの最小TATA領域に相当し、転写開始点([+1];Odellら (1985)Nature 313,810-812;Benfey and Chua(1990)Science 250,959-966 参照)の回りの塩基対−46から+8を含んでいる。 Ecl136II(SacI)制限部位は、pVH−TAGにおいてGUS発現カセットの CaMV 35S最小TATA領域の上流に位置する。この唯一の制限部位は、上 記の方法でオペレーター配列を挿入するのに使用し、プラスミドpX−910T AGおよびpX−944TAGを作成した。 lacオペレーター配列は以下のとおりである:野生型lacオペレーター配列(E. coliにおけるオペレーター1):AATTGTGAGCGGATAACAATT ;lacオペレーターのコンセンサス配列:AATTGTGAGCSGCTCAC AATT(SはGまたはCである);910(理想的なlacオペレーター):A ATTGTGAGCGCTCACAATT;944:AATTGTTAGCGC TAACAATT(Lehming(1990)同上;Lehmingら(1987)(1989)同上)。 植物においてその酵素活性が容易に測定可能なために選択されたGUS遺伝子は 、このような転写アクチベーター依存の遺伝子発現の制御下にあることが望まれ るような何れの他のレポーター遺伝子または標的遺伝子でも、原則として置き換 えることができる。 プラスミドpX−910TAGは、1996年7月29日に、受託番号DSM11107 を付与され、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ)、Mascheroder Weg 1b、D-38124 Braunschweig、Germanyにおいて、E.c oli中で寄託されている。 図4は、バイナリー植物形質転換ベクターpVH−TAGのプラスミドマップ を示しており、上記で詳細に説明した(図3の説明)。 図5は、F1タバコ芽生えにおけるGUS酵素活性を示している。レポーター 構築物pX−910TAG(レポーター、16/56)およびLacI−GAL4結合部位 を欠くコントロール構築物pVH−TAG(コントコール、13/4)を含むタバコ 植物を雌株植物として使用した。これら植物は、アクチベーター構築物:系統47 /1-21(A)、10/1-2(B)および10/1-6(C)を含む植物からの花粉により受 粉した。各交配から、約50子孫の芽生え(4週齢)をX−Glucにより組織化学 的に染色した。アクチベーター植物とコントロール植物との交配による子孫にお いてGUS活性は検出されなかったが、アクチベ ーター植物とレポーター植物との交配による子孫はGUS活性を示した。各交配 において、子孫の集団の中でGUS発現を典型的に表す三個の芽生えを示した。 (D)レポーター構築物(レポーター、16/56)のみで形質転換した植物に由来 する芽生えにおいてGUS活性は検出されなかった。(E)陽性コントロール構 築物により形質転換された植物に由来するタバコ芽生えにおいてGUS活性の構 成的発現が検出された。この陽性コントロール35S/GUS構築物は、完全に活 性な35S RNAプロモーターの制御下でGUSコード領域を含み、35Sプロモ ーターの制御下でGUSレポーター遺伝子を有する何れもの植物形質転換ベクタ ーは、陽性コントロールプラスミドとして使用され得る。 図6において、種々のF1タバコ芽生えにおけるGUS酵素活性を定量的に比 較する。タバコ植物をアクチベーターおよびレポーター構築物により形質転換す ることに成功した。種子を収穫し、ハイグロマイシン(15mg/L)およびメ トトレキセート(0.2mg/L)を含むMS培地上で発芽させた。4週間後、 6個の芽生えのプールにおいてGUS活性を測定した。データは、4個の繰り返 しサンプルの平均値および標準偏差を示している。SR1タバコの野生型の芽生 えおよびレポーター構築物のみを含む芽生え16/12および16/56において、活性は 検出されなかった。 SR1、16/12および16/56(陰性コントロール)、16/12-G3、16/12-G22、16/ 56-G22、16/12-G24、16/12-G28、16/56-G13(二回形質転換体)、35S−GUS (上記の陽性コントロール)。図6で示された結果は、表1にも示す。 図7および図8は、バイナリー形質転換ベクターのプラスミドマップを略図で 示しており、これは、未熟ストップコドンを含む標的遺伝子(ここでは、例とし てGUS遺伝子)またはサプレッサーtRNAの何れかを含む植物間の交配によ る子孫において、サプレッサーtRNAによりGUSレポーター遺伝子の発現を 活性化するための植物の形質転換のために使用される。両方のベクターにおいて 、選択マーカーNPTIIは、構成的なCaMV 35Sプロモーターの制御下にあ る。RB、LBは、T−DNAの右端および左端である。これら、および全ての 他の配列は、文献に記載された標準のバイナリーベクターのことをいう。当然、 他の選択マーカー遺伝子を有するバイナリーベクターも、例えば同じ植物細胞に おいて二つの異なるDNA分子(即ち、サプレッサーtRNAをコードしている 構築物および標的遺伝子をコードしている構築物)の存在をモニタ ーすることを容易にするために使用することができる。 表1は、アクチベーターおよびレポーター構築物により予め形質転換された植 物のF1タバコ芽生えにおけるGUS酵素活性の蛍光分析の結果を示す。この結 果は表6に示すものに対応する。グルクロニダーゼ酵素活性は、Jeffersonら、 同上により記載されたとおりに定量的に測定した。GUS酵素活性は、nmol Mu (4−メチルウンベリフェロン)×mg-1タンパク質×分-1で表す。 表2は、種々のレポーター植物とアクチベーター植物との交配に由来する子孫 のGUS酵素活性の分析、並びに該芽生えの抗生物質耐性による芽生えの分離パ ターンを示している。レポーター構築物pX−910TAG(系統:16/12、16/ 51、16/56)もしくはpX−944TAG(系統:34/5)、またはコントロール 構築物pVH−TAG(lacオペレーター配列を欠いている系統13/4)を含むタ バコ植物を雌株植物として使用した。これらトランスジェニック植物は、選択マ ーカーとしてHYG耐性を含むレポーターまたはコントロール構築物の組み込み のため、ハイグロマイシン(HYG)耐性である。これら植物は、選択マーカー としてメトトレキセート(MTX)耐性を備えたアクチベーター構築物pVKI Gal4(系統47/1-21、10/1-2および10/1-6)を含む植物からの花粉により受 粉した。各交配から、所定の数の子孫の芽生え(ST)を、二つの抗生物質HY GおよびMTX(20μg/mL植物培地のハイグロマイシン(Calbiochem、Fra nkfurt、Germany)および0.2μg/mL植物培地のメトトレキセート(Sigma、Mu nich、Germany))を含むMS培地(Murashige and Skook(1973)Physiol.Plant 15 ,473-497)上で発芽させた。HYGおよびMTXの両方に耐性のあるトランスジ ェニック植物(SG)のパーセンテージ(R)を測定した。各交配から、約50 子孫の芽生え(4週齢)をX-Glucで組織化学的に染色した。(陰性レポーターコ ントロールプラスミドを有する)コントロール植物13/4と種々のアクチベーター 植物との交配から得られた芽生えは、GUS染色を示さなかった。GUS活性を 示す器官を表に記載し、16/56交配に関する外観は表5に示されている。 実験例 例1 トランスジェニック植物レポーター系統の構築 Nicotiana tabacumcv.PetitHavanna SR1 (Meligaら(1973)Nature New Bi ol.244,29-30)植物を、Horschら(1985)Science 277,1229-1231に記載され たリーフディスク技術を用いて、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agro bacterium tumefaciens)介在の形質転換により、上記レポータープラスミドを pX-910TAG(DSM11107)またはpX-944TAGで形質転換した。 タバコのリーフディスクに感染させて、植物のレポーターT-DNA形質転換を 容易にするため、アグロバクテリウム株、A.tumefaciens PGV3101 pMP90 (Koncz and Schell(1986)Mol.Gen.Genet.204,383-396)を使用した。幾つか のトランスジェニックカルスおよび最終的に植物系統を再生した:pX-910 TAGを用いた形質転換実験に由来する系統16/・・およびpX-944TAG を用いた形質転換実験に由来する系統34/・・。T-DNA上に位置するハイグ ロマイシン耐性の植物選択マーカーを利用して、トランスジェニック植物を選択 した(pX-910TAGおよびpVH-TAGのプラスミドマップ、図3および 4参照)。20μg/mL植物培地のハイグロマイシン(Calbiochem、Frankfurt 、Germany)を選択の間使用した。 Jeffersonら(1987)同上のプロトコールに従ってGUSアッセイを行ったと ころ、対応する転写アクチベーターが存在しないと思われるため、レポーター植 物においてGUS活性は検出できなかった。GUS活性の誘導をモニターするた め、幾つかの植物レポーター系統を選択し、アクチベーター構築物で再度形質転 換し、および/または幾つかの予め再生されたアクチベーター植物(以下の例に 記載)と交配させた。 例2 トランスジェニック植物アクチベーター系統の構築 Nicotiana tabacum cv.Petit Havanna SR1(Meligaら(1973)Nature New Biol.244,29-30)植物を、Horschら(1985)Science 277,1229-1231に記載さ れたリーフディスク技術を用いて、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Ag robacterium tumefaciens)介在の形質転換により、上記アクチベータープラス ミドをpVKIGal4(DSM11108)またはpVKIVp16で形質転換し た。タバコのリーフディスクに感染させて、植物のレポーターT-DNA形質転 換を容易にするため、アグロバクテリウム株、A.tumefaciens PGV3101 p MP90(Koncz and Schell(1986)Mol.Gen.Genet.204, 383-396)を使用した。幾つかのトランスジェニックカルスおよび最終的に植物 系統を再生した:pVKIGal4を用いた形質転換実験に由来する系統10/ ・・および系統47/・・、並びにpVKIVp16を用いた形質転換実験に由 来する他の系統(図の説明で記載せず)。T-DNA上に位置するメトトレキセ ート耐性(ジヒドロ葉酸レダクターゼ、DHFR)の植物選択マーカーを利用し て、トランスジェニック植物を選択した(pVKIGal4およびpVKIVp 16のプラスミドマップ、図1および2参照)。0.2μg/mL植物培地のメ トトレキセート(Sigma、Munich、Germany)を選択の間使用した。 トランスジェニックアクチベーター植物は、観察される異常もなく野生型の表 現型を示し、温室で栽培された。幾つかのアクチベーター植物をランダムに選択 し、レポーター系統と交配させた(例1参照)。 例3 トランスジェニックレポーター系統のアクチベーター構築物による再形質転換 プロセス(植物の栽培、交配、種子の収穫など)期間を短くし、本発明の転写 活性化システムの機能についてのデータを得るため、レポーター植物(例1参照 )を、Horschら(1985)Science 277,1229-1231に記載されたリーフディスク形 質転換技術を用いて、上記アクチベータープラスミド、pVKIGa14または pVKIVp16で形質転換した。トランスジェニックレポータータバコ系統の リーフディスクに感染させて、植物のアクチベーターT-DNA形質転換を容易 にするため、アグロバクテリウム株、A.tumefaciens PGV3101 pMP90(K oncz and Schell(1986)Mol.Gen.Genet.204,383-396)を使用した。幾つかの 二回トランスジェニックカルスおよび最終的に植物系統を再生した:このうち幾 つかが図6に記載されており、例えば16/12-G3および16/56-G22で ある。アクチベータープラスミドpVKIGal4およびpVKIVp16のT -DNA上に位置するメトトレキセート耐性の植物選択マーカーを利用して、再 度形質転換された植物を選択した。0.2μg/mL植物培地のメトトレキセー トを選択の間使用した。 X-Gluc染色および定量的GUSアッセイ、即ちβ-グルクロニダーゼ酵素活性 の組織化学的および蛍光比色による分析を、Jeffersonら(1987)EMBO J.6,39 01-3907 およびJeffersonら(1987)Plant Mol.Biol.Rep.5,387-405に記載されたとおり 行った。再度形質転換されたカルス、再生された第一の二回形質転換体および二 回形質転換体のF1世代を分析し、その結果の幾つかを図6および表1に示す。 GUS酵素活性をnmol Mu(4-メチルウンベリフェロン)×mg-1タンパク質× 分-1で表し;X-Gluc(5-ブロモ−4-クロロ-3-インドールイル-β-D-グルクロ ン酸)をSigma、Munich、Germanyから入手した。 二回トランスジェニック植物系統において、レポーター遺伝子GUSの発現が LacI由来の転写アクチベーターの存在下で効率よく転写活性化されることが見 出された(図6および表1参照)。驚くべきことに、GUS発現のレベルは非常 に強力な構成的プロモーターとして公知の35Sプロモーターの発現レベル(陽性 コントロール系統)と同じくらい高かった。トランスジェニックタバコ系統16 /56-G13において、検出されたGUS活性はコントロール系統よりさらに高 かった。 アクチベーターおよびレポータープラスミドがタバコプロトプラストにおいて 一過性発現している時に同様の結果が得られることは言及するに値する。従って 本発明の転写活性化システムは、植物細胞において一過性発現が望まれるときに 都合良く使用され得る。 例4 トランスジェニックレポーター系統とトランスジェニックアクチベーター系統と の交配 幾つかのアクチベーター植物(例2参照)を幾つかのレポーター系統(例1参 照)と交配させた。この交配の種子を20μg/mL植物培地のハイグロマイシ ン(Calbiochem、Frankfurt、Germany)および0.2μg/mL植物培地のメト トレキセート(Sigma、Munich、Germany)を含むMS培地(Murashige and Skoog(1 973)Physiol.Plant 15,473-497)上で発芽させて、レポーター構築物およびアク チベーター構築物の両方にトランスジェニックであるF1子孫を選択した。 Jeffersonら(1987)同上のプロトコールに従って行われた、ハイグロマイシ ンおよびメトトレキセート耐性のF1世代のX-Gluc染色および定量的GUSア ッセイにより、LacI由来の転写アクチベーターの存在下においてGUS活性が 誘導されることが実証された。その結果が図5および表2に示されている。Ca MVの35S-GUS構築 物(陽性コントロールの構築物)で形質転換された植物を、GUSアッセイのた めの陽性コントロールおよび誘導レベルの比較基準として使用した。 例5 植物におけるサプレッサーtRNAの転写活性化システム サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomy cescerevisae)からのtRNA遺 伝子(例えばtRNA Leu、tRNA Serなど)を使用した。サッカロミセス・ セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)のゲノムは完全に配列決定されており 、DNA配列は公共のデータベース(例えばNCBI)から入手できる。例えば 、前記tRNAの遺伝子の配列は、以下の受託番号で得ることができる:K01 869は酵母のtRNA-Leu-3遺伝子;X74268は酵母のtRNA-Ser遺 伝子;およびX06992は酵母のマイナーtRNA-Ser(AGY)遺伝子であ る。しかし、植物における発現に適した他の何れものtRNA遺伝子を、本発明 のこの転写活性化システムのために都合良く使用することができる。tRNA− アンバー遺伝子の単離およびクローニングは、Carneiroら(1993)Plant Mol.Bl ol.22,681-690にも記載されている。 各々のtRNA遺伝子を、アンバー、オーカーおよびオパールのストップコド ンを各々認識する3つのアンチコドン配列(CUA、UUAおよびUCA)の各 々をコードするように部位特異的に突然変異させた。この遺伝子を普通のpBlues criptベクター(Stratagene、La Jolla、CA、USA)にサブクローニングし た。公表された標準手法(例えばKunkelら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,488-492;Kunkelら(1985)Meth.Enzymol.154,367-382)を用いて、位 置指定突然変異誘発を行った。その遺伝子を植物形質転換ベクターpVK18に 導入した(プラスミド構築の上記の記載を参照)。このようにして得られたサプ レッサーtRNA遺伝子(例えば、アンバーtRNALeu遺伝子)が例えばnos- プロモーターの制御下にあるプラスミドは、図7に模式的に示されている。 例えばPouteauら(1991)により公表されたGUSレポーター遺伝子は、位置 指定突然変異誘発(Kunkelら、同上)を介して、Leuコドン(例えばアミノ酸3 2の位置)にストップコドンを導入することにより不活性化された(Carneiroら (1993)Plant Mol.Biol.22,681-690)。突然変異GUS遺伝子を、植物形質転 換ベクター(例えばp VK18)にかなり強力なプロモーター(例えば35S RNAプロモーター)の 制御下に導入した。 DNAクローニング、操作および分析は、全て標準手法(例えばSambrookら、 同上)に従って行った。当然、サプレッサーtRNAをコードする構築物および 少なくとも一つの未熟ストップコドン、好ましくはアンバーストップコドンを含 む標的遺伝子をコードする構築物により植物を形質転換するためには、何れもの 適切なバイナリーベクターを使用することができる。形質転換、選択および再生 方法の間の便宜のため、この構築物は異なる選択マーカーを含むべきである。 標的遺伝子を有するトランスジェニック植物(レポーター植物)およびサプレ ッサーtRNAを有する植物(アクチベーター植物)を、例3および4記載と同 じ方法で処理した。即ち、レポーター植物およびアクチベーター(サプレッサー tRNA)植物の交配に由来するF1世代をGUS酵素活性について分析した。 図5および図6、並びに表1および表2に示されるのと同様の結果が、構築物の 同時発現に基づいて得られた(が、GUS遺伝子の構築物のみを含む植物におい てGUS活性は検出されなかった)。 寄託された微生物への言及 (PCT第13規則の2) 国際様式 マックス−デルブリュック−ラボラトリウム イン デア マックス−プランク−ゲゼルシャフト カール−フォン−リンネ−ベーク 10 下記国際寄託当局により 50829 ケルン 規則7.1に従い交付された 原寄託についての受託証 1 規則6.4(d)が適用される場合、当該日付は国際寄託当局としての地位を取 得した日付である。 国際様式 マックス−デルブリュック−ラボラトリウム イン デア マックス−プランク−ゲセルシャフト カール−フォン−リンネ−ベーク 10 下記国際寄託当局により 50829 ケルン 規則10.2に従い交付された 生存に関する証明書 1 原寄託の日付、または再寄託もしくは移送が行われた場合は最近の当該日付( 再寄託の日付もしくは移送の日付)を示す。2 規則10.2(a)(ii)および(iii)が適用される場合、最近の生存試験をいう 。3 該当する箇所に×印を付す。4 当該情報を要請した場合および生存試験の結果が否定的であった場合に記載す る。 寄託された微生物への言及 (PCT第13規則の2) 国際様式 マックス−デルブリュック−ラボラトリウム イン デア マックス−プランク−ゲゼルシャフト カール−フォン−リンネ−ベーク 10 下記国際寄託当局により 50829 ケルン 規則7.1に従い交付された 原寄託についての受託証 1 規則6.4(d)が適用される場合、当該日付は国際寄託当局としての地位を取 得した日付である。 国際様式 マックス−デルブリュック−ラボラトリウム イン デア マックス−プランク−ゲゼルシャフト カール−フォン−リンネ−ベーク 10 下記国際寄託当局により 50829 ケルン 規則10.2に従い交付された 生存に関する証明書 1 原寄託の日付、または再寄託もしくは移送が行われた場合は最近の当該日付( 再寄託の日付もしくは移送の日付)を示す。2 規則10.2(a)(ii)および(iii)が適用される場合、最近の生存試験をいう 。3 該当する箇所に×印を付す。4 当該情報を要請した場合および生存試験の結果が否定的であった場合に記載す る。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年10月12日(1998.10.12) 【補正内容】 り不活性化したり変化させたりする調節システムに関する。テトラサイクリンで 制御可能なトランスアクチベーター(tTA)およびtTA-応答プロモーター に基づくこのシステムは、トランスジェニック動物における使用について説明が なされている。 米国特許第4,833,080号は、転写を活性化または抑制できる原核生物 のタンパク質またはペプチドにより、真核生物の遺伝子発現を制御することに関 し、例えばLexA/GAL4融合タンパク質により、酵母細胞においてレポー ター遺伝子の発現を刺激することを開示している。 植物において機能するトランス活性化システムについて、米国特許第5,36 2,864号は、植物の転写活性化因子、TAF−1の単離および特性を開示し ている。さらに、TAF−1を細胞培養システムまたはトランスジェニック植物 に導入して、TAF−1が結合することが公知であるシス作用性配列の一コピー または数コピーを含むプロモーター配列に融合した異種(heterologous)遺伝子 の発現を増大させたり、変化させたりすることが示唆されている。 さらに、EP-A1-0 693 554は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thal iana)由来の植物の転写アクチベーター(AFT1)、および別のタンパク質由 来のDNA結合領域(例えばGAL4またはLexA)と組み合わせたAFT1 の活性化領域を含むAFT1転写活性化キメラタンパク質に関する。 特許出願WO95/20668は、改変された植物を生産するための方法を記 載しており、該方法は、第一系統も第二系統もその交配植物の特性を示さないが 、親植物の少なくとも片方がトランスジェニックであるような第一系統と第二系 統とを交配させて、ある表現型特性を備えた植物を作り出すことを含む。特に、 この方法は、雄性不稔の植物を作り出すため、および回復遺伝子の発現により雄 性不稔を復活させるために使用される。従って、この出願は、ハイブリッド種子 の生産に有効である植物生産方法を記載している。 同様に、特許出願EP 0 589 841は、雄性不稔の植物を作り出すため の方法に関し、該方法は、トランスアクチベーターポリペプチドをコードする配 列に機能的に連結した葯-特異的プロモーター領域と、花粉形成を混乱させ得る アンチセンスRNAまたはポリフェノールをコードする配列に機能的に連結した トランスアクチベーターポ リペプチドにより活性化され得る標的配列とに基づくものである。この発明は、 また、雄性不稔の植物およびハイブリッド種子を作り出すための方法に関する。 欧州特許出願0 494 724号は、植物において発現を制御するためのプ ラスミドを記載しており、該プラスミドは、異種産物および植物の時間的および 位置的に制御された発現を可能にするDNA配列を含む。原則として、この制御 システムは、各プロモーター領域内でそのオペレーター配列にテトラサイクリン を介して結合したTetリプレッサータンパク質を不活性化することにより、標 的遺伝子の発現を誘導することに依る。 DNAに結合すると同時に転写を活性化する転写アクチベーターの能力は、こ のよう 請求の範囲 1.(i)DNA結合性タンパク質の機能的部位および(ii)転写アクチベーター タンパク質の機能的部位を含む、植物において活性なトランスアクチベーターキ メラタンパク質であって、前記DNA結合性タンパク質が、細菌のlacIタンパ ク質、好ましくは少なくとも一つのアミノ酸置換を有するlacIタンパク質の突 然変異体、より好ましくはlacIタンパク質のDNA認識ヘリックスが位置1に アミノ酸置換を有するlacIタンパク質の突然変異体、最も好ましくはDNA認 識ヘリックスの位置1で野生型のアミノ酸チロシン(17)がヒスチジンに変換され たlacIタンパク質の突然変異体であるトランスアクチベーターキメラタンパク 質。 2.前記転写アクチベーターが、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyce s cerevisiae)のGAL4または単純ヘルペスウイルス(HSV)のVP16で ある請求項1記載のトランスアクチベーターキメラタンパク質。 3.請求項2記載のトランスアクチベーターキメラタンパク質であって、前記 GAL4の一部であるアミノ酸768〜アミノ酸881を、lacIのアミノ酸330に対応 するコドンの周囲でlacIまたはlacI突然変異体のコード領域に挿入するか、ま たはVP16の一部であるアミノ酸369〜アミノ酸488を、lacIのアミノ酸348に 対応するコドンの周囲でlacIまたはlacI突然変異体のコード領域に挿入したト ランスアクチベーターキメラタンパク質。 4.プラスミドpVKIGal4(DSM 11108)によりコードされるトラン スアクチベーターキメラタンパク質。 5.請求項1ないし3のいずれか1項記載のトランスアクチベーターキメラタ ンパク質をコードする組み換え核酸分子。 6.プラスミドpVKIGal4(DSM 11108)。 7.プラスミドpX-910TAG(DSM 11107)。 8.植物において未熟ストップコドンを含む標的遺伝子の発現を提供するサプ レッサーtRNAをコードし、好ましくはサッカロミセス・セレビシエ由来のサ プレッサーtRNAをコードし、より好ましくはアンバーサプレッサーtRNA をコードする組み換え核酸分子。 9.請求項1ないし3のいずれか1項記載のトランスアクチベーターキメラタ ンパク 質をコードする導入遺伝子を含んだトランスジェニック植物。 10.請求項5ないし8のいずれか1項記載の組み換え核酸分子を含んだトラ ンスジェニック植物。 11.プラスミドpVKIGal4(DSM 11108)および/またはプラスミ ドpX-910TAG(DSM 11107)を含んだトランスジェニック植物。 12.プロトプラスト、植物細胞、カルス、種子、塊茎、挿し木などを含む請 求項9ないし11のいずれか1項記載の植物の一部および産物、並びに前記植物 の子孫。 13.トランスジェニック植物において標的遺伝子の発現を制御する方法であ って、植物において活性な請求項1ないし4のいずれか1項記載のトランスアク チベーターキメラタンパク質を利用して、少なくとも一つのトランスアクチベー ターキメラタンパク質応答配列を含む標的遺伝子の発現を特異的に制御すること を具備する方法。 14.植物細胞において標的遺伝子の発現を制御する方法であって、植物にお いて活性な請求項1ないし4のいずれか1項記載のトランスアクチベーターキメ ラタンパク質を利用して、少なくとも一つのトランスアクチベーターキメラタン パク質応答配列を含む標的遺伝子の発現を特異的に制御することを具備し、前記 トランスアクチベーターキメラタンパク質および標的遺伝子が一過性発現する方 法。 15.請求項13または14記載の方法であって、前記トランスアクチベータ ーキメラタンパク質応答配列が野生型のLacオペレーター配列AATTGTGA GCGGATAACAATT(lacオペレーター1)であるか、またはlacオペレ ーターのコンセンサス配列AATTGTGAGCSGCTCACAATT(Sは GまたはC)であり、好ましくは、前記トランスアクチベーターキメラタンパク 質応答配列が野生型Lacオペレーター配列またはlacオペレーターのコンセンサス 配列と一塩基対または複数の塩基対で異なっており、および/または前記トラン スアクチベーターキメラタンパク質応答配列が野生型のLacオペレーター配列ま たはlacオペレーターのコンセンサス配列と比較して一塩基対または複数の塩基 対を欠損しており、より好ましくは、前記トランスアクチベーターキメラタンパ ク質応答配列が理想化されたLacオペレーター配列AATTGTGAGCGCT CACAATTであるか、または配列AATTGTTAGCGCTAACAAT Tを有する改変されたLacオペレーターである方法。 16.請求項13または14記載の方法であって、プラスミドpX-910T AG(D SM 11107)およびプラスミドpVKIGal4(DSM 11108)を植物に導入 する方法。 17.トランスジェニック植物において標的遺伝子の発現を制御する方法であ って、植物において活性なサプレッサーtRNA、好ましくは酵母由来のサプレ ッサーtRNA、より好ましくはアンバーサプレッサーtRNAを利用して、少 なくとも一つの未熟ストップコドン、好ましくは未熟アンバーストップコドンを 含む標的遺伝子の発現を特異的に制御することを具備する方法。 18.植物細胞において標的遺伝子の発現を制御する方法であって、植物にお いて活性なサプレッサーtRNA、好ましくは酵母由来のサプレッサーtRNA 、より好ましくはアンバーサプレッサーtRNAを利用して、少なくとも一つの 未熟ストップコドン、好ましくば未熟アンバーストップコドンを含む標的遺伝子 の発現を特異的に制御することを具備し、サプレッサーtRNAおよび標的遺伝 子が一過性発現する方法。 19.所望の表現型特性を有する植物を生産する方法であって、 −請求項1ないし4のいずれか1項記載のトランスアクチベーターキメラタン パク質をコードする組み換え核酸分子により第一の植物を形質転換すること、 −少なくとも一つのlacI(もしくはlacI突然変異体)/GAL4-トランスア クチベーターまたはlacI(もしくはlacI突然変異体)/V16-応答配列を含む 標的遺伝子をコードする組み換え核酸分子により第二の植物を形質転換すること 、 −前記第一のトランスジェニック植物と前記第二のトランスジェニック植物と を交配すること、および −前記標的遺伝子の発現のトランス活性化を生じさせること を具備する方法。 20.一方の植物はプラスミドpX−910TAG(DSM 11107)により形 質転換され、他方の植物はpVKIGal4(DSM 11108)により形質転換さ れる請求項19記載の方法。 21.所望の表現型特性を有する植物を生産するための方法であって、 −サプレッサーtRNA、好ましくは酵母のサプレッサーtRNA、より好ま しくはアンバーサプレッサーtRNAをコードする組み換え核酸分子により第一 の植物を形質転換すること、 −未熟ストップコドン、好ましくは未熟アンバーストップコドンを運ぶ標的遺 伝子をコードする組み換え核酸分子により第二の植物を形質転換すること、 −前記第一のトランスジェニック植物と前記第二のトランスジェニック植物と を交配すること、および −前記標的遺伝子の発現のトランス活性化を生じさせること を具備する方法。 22.前記標的遺伝子の産物が、前記植物細胞にとって有害である請求項13 ないし21のいずれか1項記載の方法。 23.前記表現型特性が、前記植物細胞における細胞傷害性産物の生産である 請求項13ないし22のいずれか1項記載の方法。 24.前記表現型特性が細胞死である請求項13ないし23のいずれか1項記 載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 19/00 C07K 19/00 C12N 5/10 C12N 5/00 C (72)発明者 グロスコプフ―クロイラー、デボラ ドイツ連邦共和国、50859 ケルン、ブラ ウガッセ 13 (72)発明者 ムーア、イアン イギリス国、オーエックス4・3エヌエ ヌ、オクスフォード、コーンウォーリス・ ロード 61 (72)発明者 シェル、ヨーゼフ ドイツ連邦共和国、50829 ケルン、カー ル―ファウ―リンネ―ベーク 10

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(i)DNA結合性タンパク質の機能的部位および(ii)転写アクチベーター タンパク質の機能的部位を含む、植物において活性なトランスアクチベーターキ メラタンパク質。 2.請求項1記載のトランスアクチベーターキメラタンパク質であって、DN A結合性タンバク質が、細菌のlacIタンパク質、好ましくは少なくとも一つの アミノ酸置換を有するlacIタンパク質の突然変異体、より好ましくはlacIタン パク質のDNA認識ヘリックスが位置1にアミノ酸置換を有するlacIタンパク 質の突然変異体、最も好ましくはDNA認識ヘリックスの位置1で野生型のアミ ノ酸チロシン(17)がヒスチジンに変換されたlacIタンパク質の突然変異体であ るトランスアクチベーターキメラタンパク質。 3.転写アクチベーターが、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces ce revisiae)のGAL4または単純ヘルペスウイルス(HSV)のVP16である 請求項1または2記載のトランスアクチベーターキメラタンパク質。 4.請求項1記載のトランスアクチベーターキメラタンパク質であって、転写 アクチベーターが、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) のGAL4または単純ヘルペスウイルス(HSV)のVP16であり、かつDN A結合性タンパク質が、少なくとも一つのアミノ酸置換を有するlacIタンパク 質の突然変異体、好ましくはlacIタンパク質のDNA認識ヘリックスが位置1 にアミノ酸置換を有するlacIタンパク質の突然変異体、より好ましくはDNA 認識ヘリックスの位置1で野生型のアミノ酸チロシン(17)がヒスチジンに変換さ れたlacIタンパク質の突然変異体であるトランスアクチベーターキメラタンパ ク質。 5.請求項4記載のトランスアクチベーターキメラタンパク質であって、GA L4の一部であるアミノ酸768〜アミノ酸881を、lacIのアミノ酸330に対応する コドンの周囲でlacIまたはlacI突然変異体のコード領域に挿入するか、または VP16の一部であるアミノ酸369〜アミノ酸488を、lacIのアミノ酸348に対応 するコドンの周囲でlacIまたはlacI突然変異体のコード領域に挿入したトラン スアクチベーターキメラタンパク質。 6.プラスミドpVKIGal4(DSM 11108)によりコードされるトラン スアク チベーターキメラタンパク質。 7.請求項1ないし5のいずれか1項記載のトランスアクチベーターキメラタ ンパク質をコードする組み換え核酸分子。 8.プラスミドpVKIGal4(DSM 11108)。 9.プラスミドpX−910TAG(DSM 11107)。 10.植物において未熟ストップコドンを含む標的遺伝子の発現を提供するサ プレッサーtRNAをコードし、好ましくはサッカロミセス・セレビシエ由来の サプレッサーtRNAをコードし、より好ましくはアンバーサプレッサーtRN Aをコードする組み換え核酸分子。 11.請求項1ないし5のいずれか1項記載のトランスアクチベーターキメラ タンパク質をコードする導入遺伝子を含んだトランスジェニック植物。 12.請求項7ないし10のいずれか1項記載の組み換え核酸分子を含んだト ランスジェニック植物。 13.プラスミドpVKIGal4(DSM 11108)および/またはプラスミ ドpX-91OTAG(DSM 11107)を含んだトランスジェニック植物。 14.プロトブラスト、植物細胞、カルス、種子、塊茎、挿し木などを含む請 求項11ないし13のいずれか1項記載の植物の一部および産物、並びに前記植 物の子孫。 15.トランスジェニック植物において標的遺伝子の発現を制御する方法であ って、植物において活性な請求項1ないし6のいずれか1項記載のトランスアク チベーターキメラタンパク質を利用して、少なくとも一つのトランスアクチベー ターキメラタンパク質応答配列を含む標的遺伝子の発現を特異的に制御すること を具備する方法。 16.植物細胞において標的遺伝子の発現を制御する方法であって、植物にお いて活性な請求項1ないし6のいずれか1項記載のトランスアクチベーターキメ ラタンパク質を利用して、少なくとも一つのトランスアクチベーターキメラタン パク質応答配列を含む標的遺伝子の発現を特異的に制御することを具備し、トラ ンスアクチベーターキメラタンパク質および標的遺伝子が一過性発現する方法。 17.請求項15または16記載の方法であって、トランスアクチベーターキ メラタンパク質応答配列が野生型のLacオペレーター配列AATTGTGAGC GGATAACAATT(lacオペレーター1)であるか、またはlacオペレータ ーのコンセンサス配 列AATTGTGAGCSGCTCACAATT(SはGまたはC)であり、好 ましくはトランスアクチベーターキメラタンパク質応答配列が野生型Lacオペレ ーター配列またはlacオペレーターのコンセンサス配列と一塩基対または複数の 塩基対で異なっており、および/またはトランスアクチベーターキメラタンパク 質応答配列が野生型のLacオペレーター配列またはlacオペレーターのコンセンサ ス配列と比較して一塩基対または複数の塩基対を欠損しており、より好ましくは トランスアクチベーターキメラタンパク質応答配列が理想化されたLacオペレー ター配列AATTGTGAGCGCTCACAATTであるか、または配列AA TTGTTAGCGCTAACAATTを有する改変されたLacオペレーターで ある方法。 18.請求項15または16記載の方法であって、プラスミドpX−910T AG(DSM 11107)およびブラスミドpVKIGal4(DSM 11108)を植 物に導入する方法。 19.トランスジェニック植物において標的遺伝子の発現を制御する方法であ って、植物において活性なサプレッサーtRNA、好ましくは酵母由来のサプレ ッサーtRNA、より好ましくはアンバーサプレッサーtRNAを利用して、少 なくとも一つの未熟ストップコドン、好ましくは未熟アンバーストップコドンを 含む標的遺伝子の発現を特異的に制御することを具備する方法。 20.植物細胞において標的遺伝子の発現を制御する方法であって、植物にお いて活性なサプレッサーtRNA、好ましくは酵母由来のサプレッサーtRNA 、より好ましくはアンバーサプレッサーtRNAを利用して、少なくとも一つの 未熟ストップコドン、好ましくは未熟アンバーストップコドンを含む標的遺伝子 の発現を特異的に制御することを具備し、サプレッサーtRNAおよび標的遺伝 子が一過性発現する方法。 21.所望の表現型特性を有する植物を生産する方法であって、 −請求項1ないし6のいずれか1項記載のトランスアクチベーターキメラタン パク質をコードする組み換え核酸分子により第一の植物を形質転換すること、 −少なくとも一つのlacI(もしくはlacI突然変異体)/GAL4−トランス アクチベーターまたばlacI(もしくはlacI突然変異体)/V16-応答配列を 含む標的遺伝子をコードする組み換え核酸分子により第二の植物を形質転換する こと、 −前記第一のトランスジェニック植物と前記第二のトランスジェニック植物と を交配 すること、および −前記標的遺伝子の発現のトランス活性化を生じさせること を具備する方法。 22.一方の植物はプラスミドpX−910TAG(DSM 11107)により形 質転換され、他方の植物はpVKIGal4(DSM 11108)により形質転換さ れる請求項21記載の方法。 23.所望の表現型特性を有する植物を生産するための方法であって、 −サプレッサーtRNA、好ましくは酵母のサプレッサーtRNA、より好ま しくはアンバーサプレッサーtRNAをコードする組み換え核酸分子により第一 の植物を形質転換すること、 −未熟ストップコドン、好ましくは未熟アンバーストップコドンを有する標的 遺伝子をコードする組み換え核酸分子により第二の植物を形質転換すること、 −前記第一のトランスジェニック植物と前記第二のトランスジェニック植物と を交配すること、および −標的遺伝子の発現のトランス活性化を生じさせること を具備する方法。 24.前記標的遺伝子の産物が植物細胞にとって有害である請求項15ないし 23のいずれか1項記載の方法。 25.前記表現型特性が植物細胞における細胞傷害性産物の生産である請求項 15ないし24のいずれか1項記載の方法。 26.前記表現型特性が細胞死である請求項15ないし25のいずれか1項記 載の方法。
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