【発明の詳細な説明】
膜結合剤と可溶性ペプヂド性化合物の結合体
本発明は、ポリペプチド誘導体、治療におけるそれらの使用、それらの製造方
法およびその中間体に関する。
本質的に、すべてのタンパク質薬剤は、溶液として投与され、インビボで溶液
相にて機能する。しなしながら、生化学および薬理学において、多くのコントロ
ールおよびメディエータータンパク質は、細胞の原形質膜に結合するか、または
該膜中もしくは該膜上で機能する。これらの分子の1つのクラスの可溶性の、末
端切断されたものを除いては、治療剤として開発された膜結合タンパク質はない
。この状況には2つの主な理由がある。第一に、産生細胞の膜中に保持されるタ
ンパク質の過剰発現は、タンパク質に対する膜の低許容性により、およびしばし
ば、発現が本質的に効率的である場合に保持の毒性作用により、限定される。第
二に、膜からのこれらのタンパク質の抽出は、界面活性剤または有機溶媒を必要
とし、その結果タンパク質が不活性となり、薬剤使用に必要な高い純度を得るこ
とが困難となり、通常、静脈投与用に処方することが困難な生成物が得られる。
加えて、きわめて疎水性の膜固定エレメントの保持は、静脈投与された場合、タ
ンパク質を血液中で脂質結合タンパク質と強固に結合させ、その結果細胞膜への
接近を妨げる可能性がある。
膜結合タンパク質の可溶性の、末端切断されたものは、全長タンパク質に伴な
う製造の困難を克服する。しかしながら、かかる末端切断分子は、その特性が所
望の治療活性に有利であるかまたは必須であるかもしれない、全長タンパク質の
、膜結合能力および特異性を欠く。
タンパク質の膜との相互作用の主なクラスは、以下のようにまとめることがで
きる:
1. 複合体脂質のリン脂質ヘッド基または他の親水性領域との直接的で特異的
な相互作用、または、すでに膜中に挿入されているタンパク質との非直接的相互
作用。後者は、以下に示す内因性膜タンパク質のすべてのタイプを包含し、かか
る相互作用は、通常、細胞外ドメインまたは膜タンパク質の配列ループとによる
;
2. タンパク質の末端付近の単一疎水性膜貫通ヘリカルによる固定による。一
般にこれらの領域は、ヘリックスシリンダーの周囲全体の周りの疎水性面に位置
し、この構造の大量の水の親水性環境への移動は、エネルギー的に好ましくない
;
3. さらなる固定は、しばしば細胞の細胞質側、膜貫通ヘリックスに対してC
末端にて、カチオン性アミノ酸の短い配列によりしばしば提供される;
4. 通常、ヘリカルまたはヘリカル近位と予想される多重(通常、2〜12お
よび一般に4、7および10)膜貫通領域の使用による。一般にこれらの領域は
、全体に疎水性であるが、しばしばいくらか両親媒性性質−外側の疎水性面およ
び脂質二重膜中に位置するヘリックス束内で同定可能な内側のより親水性面を示
す;
5. 翻訳後に結合したホスファチジルイノシトール基(GPI−アンカー)に
よる。これらは、C−末端アミノ酸の特異的な伸長を認識して除去し、伸水性炭
水化物スペーサーを介してポリペプチドに結合する膜結合ジアシルグリセロール
単位を形成する、特異的生合成経路により生成される;
6. 関連する工程において、ミリストイル、パルミトイルまたはプレニルなど
の単一脂肪酸基が、翻訳後に、タンパク質内の1またはそれ以上の部位(通常、
N−またはC−末端にて)に結合する可能性がある。再度、アミノ酸(Rasタン
パク質内のC−末端CAAXボックスなど)が除去されてもよい。
人工膜は、細胞膜の基本的特性を模倣した脂質複合体、すなわち、水性内部お
よび細胞膜に似た表面化学を有する脂質小腔であると考えられる。典型的には、
人工膜は、リン脂質またはその模倣物を含み、単一レメラー(unilemellar)また
はバイレメラー(bilemellar)であってもよく、外側表面は、もっとも豊富なリン
脂質のコリン基と同様な荷電した基を含む。プロトタイプの人工膜は、リポソー
ムとして知られており、リポソーム中への治療的に有用な薬剤の組み込みを含め
、リポソームの構築のための技術は当該分野で周知である。リポソームは多数の
病態において評価されており、抗真菌剤アンホテリシンを含むリポソームは、市
販
されている。加えて、プロテオリポソームが記載されている。例えば、アンホテ
リシンBを封入する免疫リポソームの使用が、動物モデルにおける実験的真菌感
染の治療において有用であることが報告されている(例えば、Hospenthal,D.et
al(1989),J.Med.Microbiol.30.193-197;Dromer,F.et al(1990),Antimicrob.Age
nts Chemother.34,2055-2060)。
天然のまたは人工の膜の模倣物は、しばしば構造において関連しており、膜の
1つまたはそれ以上の特性を模倣する。1つのかかる例は、細胞表面の外側上に
見られるリン脂質両性イオン基を模倣するペンダント基を有する人工表面の供給
である。例えば、WO92/06719(Biocompatibles Limited)には、人工表
面、例えば、デバイス上に被覆され、使用において、タンパク質含有または生物
学的液体と接触し、改良された生物適合性および血液適合性を提供する天然およ
び合成のリン脂質が開示され、WO94/16749には、同様な方法で生物適
合性を改良するのに用いられるさらなる両性イオン基が開示される。
本発明は、可溶性ポリペプチドの可溶性誘導体であって、該誘導体は、ポリペ
プチドに共有的に結合した低い膜親和性を有する2またはそれ以上の異種性膜結
合エレメントを含み、該エレメントは、独立して、熱力学的付加物と共に、細胞
外流体に暴露される細胞または人工膜の成分と相互作用できる、誘導体を提供す
る。
「異種性」は、可溶性タンパク質が由来する、天然の全長タンパク質中に見ら
れないエレメントを意味する。
「可溶性ポリペプチド」は、天然の膜結合能力を欠く全長タンパク質の末端切
断誘導体、および/または水性媒体中にて>10μg/mlの可溶性レベルを有
するポリペプチドである。
「低い膜親和性を有する膜結合エレメント」は、エレメントが膜に対して弱い
親和性のみを有し、解離定数が0.1μMよりも大きく、好ましくは1μM〜1
mMであるものを意味する。好ましくは、エレメントは<5kDaの大きさを有
する。
誘導体は、誘導体が特異的膜に対する高い親和性(好ましくは、0.01〜1
0
nM解離定数)を有するのに十分な、膜成分に対して低い親和性を有するエレメ
ントを組み込むべきである。エレメントは、全体として特定の標的膜に対して高
い親和性を生じるが、単一エレメントが(低い親和性)リガンドとなるような他の
タンパク質に対するかかる高い親和性を欠くように、組み合わせる。
エレメントは、医薬処方媒体中にて有用な可溶性、好ましくは、>100μg
/mlを保持するように選択されるべきである。好ましくは少なくとも1つのエ
レメントは親水性である。
それゆえ、本発明は、細胞膜にて治療的タンパク質の局在化を促進し、それに
より、以下の治療的有利性を含む、有効な治療的有利性を有する、いくつかの生
物学的に重要な効果の1つまたはそれ以上を提供する:
有効性:タンパク質がレセプターであり、アゴニストまたはアンタゴニスト活
性がレセプターそれ自身として同じ表面上に局在する場合、効果的な濃度におけ
る増加が自由の拡散程度における減少により得られる。
薬物動態学および投薬頻度:誘導体タンパク質の長期生存細胞型または血清タ
ンパク質との相互作用は、タンパク質の血漿保持時間を長くし、細胞表面上の沈
着を介してデポット(depot)効果を産生することが期待される。
特異性:多くの臨床的に重要な病理学プロセスは、特異的細胞型および組織に
関連する(例えば、血管内皮細胞およびELAM−1に対するシアリルルイス抗
原を有する好中球のそれに対する新参者、以下参照)。それゆえ、修飾タンパク
質を、病理学関連膜マーカーを含む膜の領域に対して標的することは、標的タン
パク質の治療的割合を改良できる。
本発明の誘導体を人工膜またはその模倣物と結合して用い、治療利益を提供す
る部位への治療タンパク質の伝達を可能にできる。例えば、リポソームを本発明
の誘導体と接触させることにより形成されるリポソームと結合したポリペプチド
は、遊離のタンパク質よりもより安定である。リポソームは、例えば、抗炎症剤
または細胞毒製剤などの治療剤を組み込むことができる。本発明のポリペプチド
誘導体を用いて、治療剤を標的できる。ポリペプチドそれ自体が治療剤である場
合、治療剤を組み込んだリポソームを用いて、治療の効率または許容性をさらに
増強できる。
本発明の誘導体の細胞膜の模倣物への結合を用い、誘導体ではないタンパク質
の治療的に有用な濃度を達成することが困難な部位にて、治療タンパク質を濃縮
することができる。例えば、WO92/06719およびWO94/16749
において開示されるような、細胞表面の外側に見られるリン脂質両性イオン基の
模倣物で被覆された埋め込み医薬デバイスは、さらに、本発明の誘導体で処理で
きる。例えば、本発明にしたがって誘導された補体阻害剤を、埋め込みカテーテ
ルまたは臀部置換体または心臓弁の外側表面中に組み込み、これらの手術に伴な
う炎症の発生を最小限とすることができる。
ヒトタンパク質の可溶性誘導体であるポリペプチドと異種性アミノ酸配列のす
べての結合体は、特にアミノ酸配列がヒトタンパク質由来でない場合、潜在的な
免疫原性について評価する必要があることは明らかである。可能な限り公知のヒ
トタンパク質に近い配列を用いることにより、および、2次構造および抗原性索
引の算定により、問題を最小限とすることができる。
本発明にしたがって修飾できるタンパク質治療剤の例には、以下のものが包含
されるがこれに限定されるものではない:*補体調節タンパク質、例えば、CR1(CD35);DAF(CD55);MCP
(CD46);CD59;ファクターH;およびC4結合タンパク質;およびCR
1−CD59(S.G.El Feki and D.T.Fearon Molecular Immunology 33(suppl1
)p.57,1996)、MCP−DAF(P.J.Higgins et al,J.Immunology,158,28
72-2881,1997)などのハイブリッドまたはその変異体および可溶性CR1ポリペ
プチドフラグメント。
好ましくは、誘導体は、2ないし8個、より好ましくは2ないし4個の膜結合
エレメントを含む。
好ましくは、膜結合エレメントは:脂肪性アシル基などの脂肪酸誘導体;塩基
性アミノ酸配列;公知の完全な膜タンパク質のリガンド;膜タンパク質のエピト
ープに対して生成されるモノクローナル抗体の相補性決定領域由来の配列;ラン
ダムな化学またはペプチドライブラリーのスクリーニングにより同定された膜結
合配列から選択される。
膜結合エレメントの適当な組み合わせの選択は、標的細胞膜またはその成分の
性質により導かれる。
適当な脂肪酸誘導体には、膜への高親和性結合を可能とするのに不充分に大き
くまたは親水性であるミリストイル(12個のメチレン単位)が包含される。ミリ
ストイル化ペプチドを用いた研究(例えば、R.M.Peitzsch & S.McLaughlin,B
iochemistry,32,10436-10443,1993)は、これらがモデル脂質系で10-4Mの
効果的な解離定数を有し、12メチレン基の約10個が脂質二重膜に埋め込まれ
ていることを示している。それゆえ、約8ないし18個のメチレン単位、好まし
くは10ないし14個のメチレン単位を有する脂肪族アシル基は、適当な膜結合
エレメントである。適当な脂肪酸誘導体の他の例には、長鎖(8〜18、好まし
くは、10〜14メチレン)脂肪族アミンおよびチオール、ステロイドおよびフ
ァルネシル誘導体が包含される。
酸性リン脂質ヘッド基と相互作用し、膜結合を標的とするさらなるエネルギー
を提供するタンパク質配列中で塩基性アミノ酸のクラスターと組み合わせた場合
、膜結合が、脂肪性アシル基による限定(単一部位)修飾と関連して見られる。こ
の効果の組み合わせは、「ミリストイル−静電気的スイッチ(myristoyl-electro
static switch)」と称されている(S.McLaughlin and A.Aderem.TIBS,20,272-276
,1994;J.F.Hancock et al,Cell,63,133-139,1990)。それゆえ、適当な膜
結合エレメントのさらなる例は、RasおよびMARCK(ミリストイル化アラ
ニン−リッチC−キナーゼ基質、P.J.Blackshear,J.Bol.Chem.,268,1501-1504,1
993)などの、配列内のセリン残基の可逆的リン酸化およびネットの正の電荷の
付随する中和化を介して静電気的「スイッチ」を媒介するタンパク質内に見られ
るような、塩基性アミノ酸配列である。かかる配列には、限定するものではない
が、(Lys)n(ここでnは3〜10、好ましくは4〜7である)などのリジ
ンおよびアルギニンの連続的配列が包含される。
塩基性アミノ酸を含むアミノ酸配列の適当な例には:
i)DGPKKKKKKSPSKSSG
ii)GSSKSPSKKKKKKPGD
iii)SPSNETPKKKKKRFSFKKSG
iv)DGPKKKKKKSPSKSSK
v)SKDGKKKKKKSKTK
(左側にN−末端)
配列i)ないしv)は、静電気的スイッチ配列の例である。
公知の完全な膜タンパク質のリガンド由来のアミノ酸配列の例には、ヒト血小
板膜のαβインテグリンに対するリガンドであるGRGDSPなどのRGD−含
有ペプチドが包含される。他の例は、血小板中のGpIIb/IIIa膜タンパ
ク質に結合する、ヒトフィブリノゲンアルファ鎖由来のDGPSEILRGDF
SSである。
かかる配列のさらなる例には、レセプターなどの膜タンパク質と主要組織適合
遺伝子複合体間の相互作用に関与することが知られるものが包含される。かかる
膜タンパク質リガンドの例は、穏やかな親和性で主要組織適合遺伝子複合体クラ
ス1タンパク質(MHC−1)に結合することが示されている(L.Olsson et al
,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,9086-909,1994)、配列GNEQSFRV
DLRTLLRYAである。
かかる配列のよりさらなる例には、T細胞に特異的な膜挿入アドレスが使用さ
れる。かかる配列は、T細胞抗原レセプターの膜貫通ヘリックスとCD3と公知
の相互作用から由来する(Nature Medicine 3,84-88,1997)。例は:
SAAPSSGFRILLLKV
AAPSVIGFRILLLKVAG
などの配列GFRILLLKVを含むペプチドである。
完全な膜タンパク質に対するリガンドの一例は、完全な膜タンパク質ELAM
−1に対するリガンドとして同定されている炭水化物リガンド、シアリルルイス
(Sialyl Lewis)である(M.L.Phillips et al,Science,250,1130-1132,199
0 & G.Walz et al,Ibid,250,1132-1135,1990)。
膜タンパク質内のエピトープに対して生成されるモノクローナル抗体の相補性
決定領域由来の配列(例えば、J.W.Smith et al,J.Biol.Chem.270,30486-30490,1
995参照)もまた、適当な膜結合エレメントであり、配列は、ファージディスプレ
イフォーマット中で生成され、インビトロ(G.F.Smirh and J.K.Scott,Meth
ods in Enzymology,217H,228-257,1993)またはインビボ(R.Pasqualini & E
.Ruoslahti,Nature,380,364-366,1996)でバイオパンニング(biopanning)
操作により選択されるようなランダムな化学的ライブラリーからである。
所望により、膜からの条件付解離を、pH感受性(静電気的スイッチ)、金属イ
オン結合による調節(内因性Ca2+、Zn2+および膜結合エレメント中のイオン
結合部位の組み込みを用いる)およびプロテアーゼ開裂(例えば、プロウロキナ
ーゼを放出し活性化する、リジン−リッチ膜結合配列のプラスミノ溶解など)な
どの機構を用いて、本発明の誘導体中に組み込むことができる。
本発明の好ましい誘導体は以下の構造を有する:
[P]−{L−[W]}n−X
(式中:
Pは、可溶性ポリペプチドであり、
各Lは、独立して、可撓性連結基であり、
各Wは、独立して、ペプチド性膜結合エレメントであり、
nは、1またはそれ以上の整数であり、
Xは、いずれかのWに共有結合していてもよいペプチド性または非ペプチド性
膜結合基である。)
ペプチド性膜結合エレメントは、好ましくは8〜20個のアミノ酸長であり、
エレメントWは、好ましくは、可溶性ポリペプチドのNまたはC末端に連続して
位置する。アミノ酸配列は、互いにおよび可溶性ペプチドに、好ましくは4〜2
0個のアミノ酸の親水性および/または可撓性アミノ酸配列;線状親水性合成ポ
リマー;化学的架橋基から選択される連結基により結合する。
ペプチド結合は、化学的にまたは適当なコーディングDNA配列の発現により
生合成的に作成できる。非ペプチド結合は、翻訳後修飾により化学的にまたは酵
素的に作成できる。
本発明の誘導体のポリペプチド部分を、適当な宿主にて、1またはそれ以上の
ペプチド性膜結合エレメント、および、さらなる膜結合エレメントによる翻訳後
誘導を促進するための結合基を導入するためのシステインなどの所望の残基を足
した、目的の可溶性ポリペプチドをコードする修飾遺伝子の発現により調製でき
る。
さらなる態様において、それゆえ、本発明は、本発明の誘導体を製造する方法
であって、組換え宿主細胞において該誘導体のポリペプチド部分をコードするD
NAを発現させ、産物を回収し、その後、翻訳後的にポリペプチドを修飾し、化
学的に膜結合エレメントを導入することを含む方法を提供する。
特に、方法の組換えの態様には:
i)宿主中で、該ポリペプチド部分をコードするヌクレオチド配列を含むDNA
ポリマーを発現可能な、複製可能な発現ベクターの調製;
ii)該ベクターでの宿主細胞の形質転換;
iii)該形質転換宿主細胞の、該DNAポリマーが発現され、該ポリペプチドを
産性できる条件下での培養;
iv)該ポリペプチドの回収
の工程を含んでいてもよい。
ポリペプチド部分が新規である場合、該ポリペプチド部分をコードするヌクレ
オチド配列を含むDNAポリマー、ならびにポリペプチド部分それ自体およびそ
のS−誘導体もまた、本発明の一部を形成する。特に、本発明は、ペプチド結合
により1つのペプチド性膜結エレメントに結合する可溶性ペプチドを含み、およ
び/または、C−末端システインおよびポリペプチド部分をコードするDNAポ
リマーを包含する、本発明の誘導体のポリペプチド部分を提供する。
本発明の組換え法を、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A laboratory ma
nual 2nd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)およびDNA C
1oning vols I,II and III(D.M.Glover ed.,IRL Press Ltd)に記載されるよ
うな慣用の組換え技術により行ってもよい。
調製を、インビトロまたはインビボにて、適当に、化学的に、酵素的に、また
は2つの方法を組み合わせて、行うことができる。それゆえ、DNAポリマーを
、D.M.Roberts et al.,Biochemistry 1985,24,5090-5098に記載されるよう
な慣用の方法により、適当なDNAフラグメントの酵素的ライゲーションにより
調製できる。
DNAフラグメントを、適当な制限酵素で必要なヌクレオチドの配列を含むD
NAを消化することにより、化学的合成により、酵素的ポリマー化により、また
はこれらの方法の組み合わせにより、得ることができる。
制限酵素での消化を、適当な緩衝液中、20〜70℃の温度にて、一般に50
μlまたはそれ以下の容量中、0.1〜10μgのDNAで、行ってもよい。
DNAの酵素的ポリマー化を、インビトロで、DNAポリメラーゼI(クレノ
ーフラグメント)などのDNAポリメラーゼを用い、必要とされるように、ヌク
レオシド三リン酸、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを含む適当な
緩衝液中、10〜37℃の温度にて、一般に50μlまたはそれ以下の容積で、
行ってもよい。
DNAフラグメントの酵素的ライゲーションをT4DNAリガーゼなどのDN
Aリガーゼを用い、適当な緩衝液中、4℃〜37℃の範囲にて、一般に50μl
またはそれ以下の容積で、行ってもよい。
DNAポリマーまたはフラグメントの化学的合成を、慣用のリン酸トリエステ
ル、ホスファイトまたはホスホルアミド化学により、‘Chemical and Enzymatic
Synthesis of Gene Fragments-A Laboratory Manual’(ed.H.G.Gassen and
A,Lang),Verlag Chemie,Weinheim(1982)または他の科学的刊行物、例えば、M.
J.Gait.H.W.D.Matthes M.Singh,B.S.Sproat and R.C.Titmas,Nuclei
c Acids Research,1982,10,6243;B.S.Sproat and W.Bannwarth,Tetrahedron
Letters,1983,24,5771;M.D.Matteucci and M.H.Caruthers,Tetrahedro
n Letters,1980,21,719;M.D.Matteucci and M.H.Caruther,Journal of t
he American Chemical Society 1981,103,3185;S.P.Admas et al.,Journal o
f the American Chemical Society,1983,105,661;N.D.Sinha,J.Biernat
,J.McMannus and
H.Koester,Nucleic Acids Rearch,1984,12,4539;およびH.W.D.Matthes et
al.,EMBO Journal,1984,3,801などに記載されるような固相技術を用い、行
ってもよい。好ましくは、自動化DNA合成機(例えば、Applied Biosystems 38
1A Synthesiser)を用いる。
好ましくは、DNAポリマーをポリペプチドをコードするDNA配列を共に含
む2つまたはそれ以上のDNA分子をライゲートして調製する。
DNA分子を、必要なコーディング配列を有するベクターの適当な制限酵素に
よる消化により得ることができる。
DNA分子の正確な構造およびそれらを得る方法は、所望の生成物の構造によ
る。ポリペプチドをコードするDNA分子の構築の適当な手法の設計は、当業者
の慣用の方法である。
特に、特定の宿主細胞のコドン使用を考慮する。コドンを、Devereux et al.
,(1984)Nucl.AcidRes.,12,387に示される原則を用いて、イー.コリ(E.coli
)における高いレベルの発現に対し最適化できる。
組換え宿主細胞においてポリペプチドをコードするDNAポリマーの発現を、
宿主中にて、DNAポリマーを発現可能な、複製可能な発現ベクター手段により
、行ってもよい。新規な発現ベクターはまた、本発明の部分を形成する。
複製可能な発現ベクターを、本発明にしたがって、宿主細胞に適するベクター
を開裂して、完全なレプリコンを有する線状DNAフラグメントを得て、該線状
フラグメントを、該線状セグメントとともに、ポリペプチドをコードする一つま
たはそれ以上のDNA分子と、ライゲート条件下に組み合わせることにより、調
製してもよい。
線状セグメントおよび1以上のDNA分子とのライゲーションを、所望により
、同時にまたは連続的に行ってもよい。
それゆえ、所望により、DNAポリマーを事前に形成するかまたはベクターの
構築中に形成してもよい。ベクターの選択は、イー.コリなどの原核細胞、また
は、マウスC127、マウスミエローマ、チャイニーズハムスター卵巣、真菌、
例えば繊維状真菌、または単核「酵母」などの真核細胞、またはドロソフィアな
どの昆虫細胞であってもよい宿主細胞により部分的に決定される。宿主細胞は、
トランスジェニック動物中にあってもよい。適当なベクターには、プラスミド、
バクテリオファージ、コスミド、および例えばバキュロウイルスもしくはワクシ
ニア由来の組換えウイルスが包含される。
DNAポリマーをフラグメントを発現する安定に形質転換された哺乳動物細胞
系の単離用に設計されたベクター、例えば、マウスC127細胞におけるウシ乳
頭腫ウイルス、またはチャイニーズハムスター卵巣細胞における増幅ベクター中
に組み込むませてもよい(DNA Cloning Vol.IID.M.Glover ed.IRL Press 1985;Ka
ufman,R.J.et al.,Molecular and Cellular Biology,5,1750-1759,1985;
Pav1akis G.N.and Hamer,D.H.Proceedings of the National Academy of S
ciences(USA)80,397-401,1983; Goeddel,D.V.et al.,European Patent Ap
plication No.0093619,1983)。
復元可能な発現ベクターの調製を、例えばSambrook et al.(前掲)に記載され
る手法により、DNAの制限、ポリマー化およびライゲーション用の適当な酵素
で、慣用的に行ってもよい。ポリマー化およびライゲーションをDNAポリマー
の調製について上記したように行ってもよい。制限酵素での消化を、適当な緩衝
液中、20〜70℃の温度にて、一般に50μl位下の容量で、0.1〜10μ
gのDNAで行ってもよい。
組換え宿主細胞を、本発明にしたがって、形質転換条件下に、本発明の複製可
能な発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより調製する。適当な形質転
換条件は、慣用であり、例えば、Sambrook et al.(前掲)、または”DNA Clonin
g”Vo1.II.D.M.Glover ed.,IRL Press Ltd,1985に記載される。
形質転換条件の選択は宿主細胞により決定される。それゆえ、イー.コリなど
の細菌宿主を、CaCl2の溶液(Cohen et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.,1973
,69,2110)またはRbCl、MnCl2、酢酸カリウムおよびグリセロールの混
合物を含む溶液で、ついで、3−[N−モルホリノ]−プロパン硫酸、RbClお
よびグリセロールで処理するか、または、例えば、Bio-Rad Laboratories,Rich
mond,California,USA,manufacturers of and electroporatorに記載されるエ
レクト
ロポレーションにより処理してもよい。培養中の哺乳動物細胞を、細胞中にベク
ターDNAのカルシウム共沈により、またはカチオン性リポソームを用いること
により、形質転換させてもよい。
本発明はまた、本発明の複製可能な発現ベクターで形質転換した宿主細胞にも
わたる。
DNAポリマーの発現が可能な条件下での形質転換宿主細胞の培養を、例えば
、Sambrook et al.および”DNA Cloning”(前掲)に記載されるように慣用的に行
う。それゆえ、好ましくは、細胞に栄養分を供給し、45℃以下の温度にて培養
する。
タンパク質産物を、宿主細胞に応じて慣用の方法により回収する。それゆえ、
宿主細胞がイー.コリなどの細菌細胞であり、タンパク質が細胞内に発現される
場合、物理的、化学的または酵素的に細胞を溶解させ、タンパク質産物を得られ
る溶解物から単離してもよい。宿主細胞が哺乳動物細胞である場合、産物を通常
栄養培地から単離する。
宿主細胞がイー.コリなどの細菌細胞である場合、培養から得られる産物は最
適機能活性のために折りたたむことが必要であり得る。タンパク質が封入体とし
て発現されるとき、もっともこの可能性がある。重要であると考えられる単離お
よび折りたたみ方法の多数の態様がある。特に、混入タンパク質との凝集形成を
最小とし、ポリペプチドの間違った折りたたみを最小とするために、好ましくは
ポリペプチドを、折りたたみの前に部分的に精製する。それゆえ、特異的に封入
体を単離することにより混入しているイー.コリのタンパク質を除去し、続けて
折りたたみの前にさらに精製することは、方法の重要な態様である。
折りたたみ操作をポリペプチドの中間−折りたたみ状態の凝集を最小とするよ
うに行う。それゆえ、なかでも、塩型および濃度、温度、タンパク質濃度、レド
ックス緩衝液濃度および折りたたみ時間を注意深く考慮する必要がある。所定の
ポリペプチドについての正確な条件は、一般に予測不可能であり、実験により決
定しなければならない。
封入体からのタンパク質の折りたたみに利用可能な多数の方法があり、この分
野における当業者に知られている。一般に、該方法は、例えば、50mM 2−
メ
ルカプトエタノールで、8M尿素または6M塩酸グアニジンなどの高濃度の変性
剤の存在下で、封入体中のすべてのジスルフィド結合を壊すことを包含する。次
の工程では、これらの薬剤を除去し、タンパク質の折りたたみが起こるようにす
る。ジスルフィド架橋の形成は酸化環境を必要とし、これを、例えば空気により
、または適当なレドックスシステム、例えば還元および酸化グルタチオンの混合
物などの組み込みにより、提供してもよい。
好ましくは、封入体をメルカプトエタノールの存在下、8M尿素を用いて可溶
化し、冷緩衝液の添加により混入タンパク質をはじめに除去した後にタンパク質
を折りたたむ。適当な緩衝液は、I.Dodd et al.,'Perspectives in Protein E
ngineering and Complementary Technologies',Mayflower Publications,66-6
9,1995に記載されるような技術を用いて同定してもよい。本明細書に記載するS
CR構築物の多くに適した緩衝液は、1mM還元グルタチオンおよび0.5mM
酸化グルタチオンを含む20mMエタノールアミンである。折りたたみを、好ま
しくは、1〜5℃の範囲の温度にて、1〜5日間にわたって行う。
何らかの沈澱または凝集が観察される場合、例えば、遠心分離によりまたは硫
酸アンモニウムなどの沈澱剤での処理により、凝集タンパク質を除去できる。こ
れらの手法のいずれかを適用する場合、モノマーポリペプチドが主要な可溶産物
である。
細菌細胞がタンパク質を分泌する場合、折りたたみは通常必要でない。
本発明の誘導体のポリペプチド部分にC−末端システインを含有させ、翻訳後
修飾を容易にしてもよい。C−末端システインを含む可溶性ポリペプチドもまた
、本発明の一部を形成する。中程度の大きさ(〜70kDaまで)で<−8ジスル
フィド架橋を有するタンパク質には細菌系における発現が好ましい。遊離の末端
Cysが折りたたみまたは安定性の問題を引き起こす、より複雑なタンパク質に
は、哺乳細胞系(特にCHO)における安定な発現が必要であり得る。炭水化物
膜結合エレメントを翻訳後に導入する場合にも、このことが必要とされる。ポリ
ペプチド部分をコードする組換えバキュロウイルスで感染した昆虫細胞の使用も
また、より複雑なタンパク質の調製に有用な一般法であり、生合成的に特定の翻
訳後操
作(パルミトイル化など)を行うことが所望される場合、好ましい(例えば、M.J
.Page et al.,J.Biol.Chem.264,19147-19154,1989参照)。
C−末端でシステインで誘導されるタンパク質の取り扱いの好ましい方法は、
一般的に以下の方法にて記載されるようなメルカプトエタノールまたはグルタチ
オンで混合されるジスルフィド、または、2−ニトロ、5−カルボキシフェニル
チオ−誘導体のようなものである。
ペプチド膜結合エレメントを、Merrifield法などの標準的な固相合成を用いて
調製してもよく、この方法をペプチドのN−末端にてミリスチン酸またはパルミ
チン酸由来のN−アシル基などの必要とされる非ペプチド膜結合エレメントを組
み込むのに適用できる。加えて、続くタンパク質への結合のためにアミノ酸残基
を活性化することも、かかる膜結合エレメントの化学合成間に達成できる。かか
る活性化の例には、システインチオールでの混合2−ピリジルジスルフィドの形
成またはN−ハロアセチル基の組み込みが包含される。両方のこれらの基は、そ
れぞれジスルフィド相互交換およびアルキル化により、遊離のチオールと反応で
きる。所望により、ペプチドをC−末端アミドとしておよび/またはアセチルな
どの慣用のN−末端ブロック基で、調製できる。
本発明はまた:
・チオール基にて所望により活性化された末端システイン残基;
・ぺプチドのN−末端にまたはリジン残基のε−アミノ基に位置するN−ハロア
セチル基(ハロは、塩素、臭素またはヨウ素を意味する);
・N−末端ブロック基;および
・N−末端またはリジン残基のε−アミノ基の脂肪酸N−アシル基
から選択される1またはそれ以上の誘導体を含むペプチド性膜結合エレメントを
提供する。
これらの形成に適当な化学架橋基および試薬には、EP0109653、EP
0152736、EP0155388およびEP0284413(出典明示によ
り本明細書に含める)に記載されるものが包含される。架橋基は、一般に式:
−A−R−B− (I)
(式中、AおよびBはそれぞれ、同一でも異なっていてもよく、−CO−、−C
(=NH2 +)−、マレイミド、−S−または結合であり、
Rは、結合、あるいは、所望により親水性部分とともに、1またはそれ以上の
−(CH2)−またはメタ−、オルト−もしくはパラ−ジ置換フェニル単位(好
ましくはオルトまたはパラ)を含む連結基である)
で示される。
本発明の誘導体のポリペプチド部分およびペプチド性膜結合エレメントの両方
がC−末端システインを包含する場合、化学架橋基は、−S−S−の形態をとる
。架橋は、慣用のジスルフィド交換化学により、1つのポリペプチド上のチオー
ルを活性化し、活性化チオールを他のポリペプチド上の遊離のチオールと反応さ
せて、生成する。かかる活性化方法は、S−S架橋の開裂時に安定なチオレート
アニオンを形成するジスルフィドを使用し、チオールとさらに反応できる中間体
混合ジスルフィドを形成し、安定なジスルフィド架橋を得る、2,2’−ジチオ
ピリジンおよび5,5’−ジチオ(2−ニトロ安息香酸、DTNB)などの試薬
を包含する。
Rには、水と相互作用し架橋基の水可溶性を維持する基、および、−CO−N
H−、−CO−NMe−、−S−S−、−CH(OH)−、−SO2−、−CO2
−、−(CH2CH2−O)m-および−CH(COOH)−(ここで、mは2以上
の整数である)を含む適当な基、または、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリグリシン、ポリアラニンもしくはポリサルコシンなどの線
状親水性ポリマーが包含される。
Rの4他の例には、−(CH2)r−、−(CH2)p−S−S−(CH2)q−お
よび−(CH2)p−CH(OH)−CH(OH)−(CH2)q−(ここで、rは
少なくとも2、好ましくは少なくとも4の整数であり、pおよびqは独立して少
なくとも2の整数である)が包含される。
さらなる態様において、Rは、−U−V−W−を形成してもよく、ここで、U
は(CH2)CONH(CH2)n(ここで、nは3〜8の整数である)であり、
Vは、O、S、NRaまたはNRa−NRa(ここで、各Raは、HまたはC1-6ア
ルキル、NH−OもしくはO−NHである)であり、Wは2−または4−位にて
基Bにより置換されたベンジルである。好ましい具体例において、Rは、(CH2
)2CONH(CH2)nNH−(4−フェニル)(ここで、nは、3〜8の整数
である)である。式(I)の架橋基は、式(II):
X−R1−Y (II)
(ここで、R1は、結合または連結基であり、XおよびYは、表面アミノ酸、好
ましくは、リジンまたはシステイン基、N−末端アミノ基、触媒セリンヒドロキ
シルまたはタンパク質結合基と反応可能な官能基であり、X、R1およびYは、
必要な架橋基−A−R−B−を生成するように選択される。)
の連結基に由来させてもよい。
好ましい基は、XおよびYが異なり、ヘテロ二機能基として知られるものであ
る。基分子の各末端は、順番に、各ポリペプチドと反応し、別々の反応で結合す
る。式(II)のヘテロ二機能基の例には:
N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)ピロピオネート
スクシンイミジル 4−(N−マレイミド)カプロエート
3−(2−ピリジル)メチルプロピオンイミダート 塩酸
4’−アミジノフェニル 4−N−[2−N−(3−[2−ピリジルジチオ]
エチルカルボニル)アミノエチル]アミノベンゾエート 塩酸
が包含される。
他の適当な基は、EP0109653、EP0152736、EP01553
88およびEP0284413に開示され、特に、EP0155388における
式(II)およびEP0284413における式(III)のものである(出典明示に
より本明細書中に含める)。
各場合に、Yは、本来のチオールまたはタンパク質結合基として導入されたも
のであってもよい、ポリペプチド上のチオール基と反応可能である。
タンパク質結合基は、ポリペプチドまたはタンパク質を1またはそれ以上のア
ミノ酸側鎖に特異的な試薬で修飾することにより機能的に導かれ、他のポリペプ
チド上の開裂セクションと反応可能な基を含む。タンパク質結合基の一例は、チ
オール基である。開裂セクションの一例は、ジスルフィド結合である。別に、開
裂セクションは、α、βジヒドロキシ官能基を含む。
一例として、ポリペプチドを2−イミノチオラン、N−スクシンイミジル 3
−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(続けて還元)またはN−アセチルホ
モシステインチオラクトンと反応させることにより遊離のチオール官能基を導入
することで、タンパク質結合基をチオール反応性Y構造と結合できる。別法とし
て、タンパク質結合基は、6−マレイミドヘキシル基または2−ピリジル−ジチ
オ基などの、Xにて遊離のチオールと反応できるチオール反応性基を含むことが
できる。
Xがタンパク質のアミノ酸側鎖と直接反応可能な基である場合、好ましくはN
−スクシンイミジル基である。Xがタンパク質結合基と反応可能な基である場合
、好ましくは、ピリジルチオ基である。Xが触媒セリンヒドロキシル基と反応可
能な基である場合、好ましくは、EP0155388における式(II)およびE
P0284413における式(III)の化合物に含まれる種類の、エステルの反
応性を高める、1またはそれ以上の電子求引性基で所望により置換された4−ア
ミジノフェニルエステル基である。
上記の方法において、タンパク質連結基を導入するポリペプチドの修飾は、好
ましくは、水性緩衝媒体中、用いる試薬に応じて3.0および9.0の間のpH
にて行う。好ましい試薬、2−イミノチオランでは、好ましくはpHは6.5〜
8.5である。ポリペプチドの濃度は、好ましくは高く(>10mg/ml)お
よび修飾試薬を試薬の反応性に応じて、中程度(1.1〜5倍)モル過剰にて用
いる。温度および反応時間は、好ましくは、0〜40℃の範囲で、10分から7
日間である。ポリペプチドの修飾の程度を導入される結合基についてアッセイす
ることで調べてもよい。
かかるアッセイは、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)での滴定
などの標準的なタンパク質化学技術であり得る。好ましくは、タンパク質結合基
の0.5〜3.0モルが、ポリペプチド平均1モル当たりに導入される。修飾ポ
リペプチドを、透析、限外濾過、ゲル濾過および溶剤または塩析沈澱などの標準
的な技術により過剰の修飾剤から分離させてもよい。中間体物質を凍結溶液中ま
たは凍結乾燥して保存させてもい。
式(II)の連結基がアミジノフェニルエステル基Xを含む場合、好ましくは、
第一に該基を基Xを介してポリペプチド酵素と反応させ、好ましくは反応を欧州
公開特許出願第0009897中のブロック基の導入にっいて記載される条件下
に行う。高処理サイズ排除クロマトグラフィーまたはジアフィルレーション(dia
filuration)などの適当な技術により過剰の試薬を含まないようにし、ついで、
アシル化酵素を他のポリペプチドと、約1:1の比で、非−求核緩衝液中、pH
7.0〜8.0、0〜30℃にて、6時間まで反応させてもよい。しかしながら
、結合を10℃以下(好ましくは、0℃〜4℃)で行い、アシル化酵素の加水分
解を最小とすることが好ましい。
タンパク質結合基をこのように導入した場合、架橋基(I)は、連結基(II)
およびタンパク質結合基の反応から形成される。
連結するポリペプチドを、連結基またはタンパク質結合基を導入するための試
薬と別々に、典型的にはポリペプチドに過量の試薬を加え、通常、中性または穏
やかなアルカリ性緩衝液中、反応させ、反応後、ゲル濾過または透析により低分
子量物質を除去する。ポリペプチド連結反応は、好ましくは、中性緩衝液中等モ
ル比にて修飾ポリペプチドを混合することにより行う。他の反応条件、例えば、
時間および温度は、所望程度の連結が得られるように選択されなければならない
。チオール交換反応が含まれる場合、好ましくは反応を窒素雰囲気下に行わなけ
ればならない。好ましくは、連結をモニターできるようにUV−活性産物を製造
する(例えば、2−ピリジルジチオ誘導体からのピリジン 2−チオンの放出)。
連結反応後、ポリペプチド結合体を、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラィー
、アフィニティクロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグアフィーな
どの種々のクロマトグラフィー法により単離できる。これらの方法は、低圧力ま
たは高処理変形法であってもよい。
結合体を低圧力または高処理ゲル濾過、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳
動または等電点電気泳動を含む種々の技術により解析してもよい。
脂肪酸誘導体である膜結合エレメントを翻訳後的にペプチド性膜結合エレメン
トに、好ましくはポリペプチド鎖の末端にて、結合させる。好ましくは、本発明
の誘導体の組換えポリペプチド部分がペプチド性膜結合エレメントを含む場合、
これは、脂肪酸誘導体に結合するための独特のシステインを有する。組換えポリ
ペプチドがシステイン残基を有する場合、脂肪酸のチオール誘導体が精製の後期
段階(しかしながら最終段階である必要はない)で、好ましくは臨界ミセル濃度
以下の試薬濃度で、再生組換えタンパク質に加えられる。脂肪酸誘導体および組
換えペプチドの1つはチオール相互交換反応について上記したように活性化され
たチオール基を有する。脂肪酸誘導体は、好ましくは、N−(2−ミリストイル
)アミノエタンチオールまたはN−ミリストイルL−システインなどのアミノC2-6
アルカンチオール(所望によりC−置換される)のC10-20脂肪酸アシル誘導
体であり、本発明の一部を形成する。
親水性合成ポリマーの適当な例には、例えば固相合成法(アミノ基誘導化)ま
たはチオール相互交換化学によりポリペプチドに連結される400および500
0ダルトン間の分子量の、リエチレングリコール(PEG)、好ましくは、α,ω
−官能基化誘導体、より好ましくは、α−アミノ,ω−カルボキシPEGが包含
される。
アミノ酸配列または炭水化物のいずれかの、公知の内在性膜タンパク質のリガ
ンド由来の膜結合エレメントは、ペプチド配列のN−連結グリコシル化部位を標
的とした真核細胞のグリコシル化経路を用いて翻訳後修飾により生成されてもよ
い。
慣用の一般的な最終段階精製法は、疎水性静電気的スイッチ組み合わせが挿入
されている誘導されたおよび誘導されていないタンパク質を分離するための、C
2−C8媒体上、疎水性クロマトグラフィー(HIC)およびカチオン交換クロ
マトグラフィーである。
本発明の誘導体を、好ましくは医薬組成物として投与する。
したがって、本発明はまた、本発明の医薬組成物を医薬上許容される担体と組
み合わせて含む医薬組成物を提供する。
本発明の組成物を、経口、局所、非経口、舌下もしくは経皮または吸入などの
経路による投与用の常套方法にしたがって処方してもよい。組成物は、錠剤、カ
プセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、クリームまたは経口もしくは滅菌非経口溶液も
しくは懸濁剤などの液体調製物の形態、スプレー、エアロゾルもしくは吸入用の
他の慣用法の形態であってもよい。
本発明の局所処方は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、眼軟膏およ
び眼もしくは耳滴剤、含浸包帯およびエアロゾルとして存在してもよく、保存剤
、薬物浸透を助ける溶剤ならびに軟膏およびクリームにおいて皮膚軟化薬などの
適当な慣用の助剤を含んでいてもよい。
処方は、クリームまたは軟膏基剤およびローション用にエタノールまたはオレ
イルアルコールなどの適合可能な慣用の担体も含んでいてもよい。かかる担体は
、処方の約1%から約98%まで存在してもよい。より通常は、これらは処方の
約80%まで存在する。
経口投与用の錠剤およびカプセルは、単位投与調製物形態であってもよく、結
合剤、例えばシロップ、アラビアガム、ゼラチン、ソルビトール、トラガントガ
ムまたはポリビニルピロリドンなど;充填剤、例えば、ラクトース、糖、トウモ
ロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤滑沢剤
、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたは
シリカ;崩壊剤、例えば、ポテトデンプン;または許容可能な湿潤剤、例えばラ
ウリル硫酸ナトリウムなどの、慣用の賦形剤を含んでいてもよい。錠剤は、通常
の医薬手法で周知の方法にしたがって被覆されていてもよい。
座剤は、例えばココア油脂、または他のグリセリドなどの慣用の座剤基剤を含
む。
非経口投与用には、液体単位投与形態を化合物および滅菌ビヒクル、好ましい
場合水を用いて調製する。用いるビヒクルおよび濃度に応じて、化合物はビヒク
ル中に溶解される。溶液を調製する場合、化合物を注射用に水に溶解し、滅菌バ
イアルまたはアンプルに充填し、封印する前に濾過滅菌できる。
非経口投与処方は、ポリ乳酸共グリコール酸などの生分解性ポリマーのミクロ
スフェア内の封入などの遅延放出系を包含してもよい。
有利は、局所麻酔剤、保存剤および緩衝剤などの薬剤をビヒクル中に溶解でき
る。安定性を高めるため、組成物をバイアル中に充填後に凍結し、真空下に水を
除去できる。乾燥凍結乾燥粉末を、ついでバイアル中に封印し、注射用の水の付
随するバイアルを使用前に液体を復元するために供してもよい。有利には、界面
活性剤または湿潤剤を組成物中に包含させ、化合物の均一な分布を促進する。
適当には、本発明の組成物を、呼吸器管への投与用に、噴霧器用に嗅剤または
エアロゾルまたは溶液として、または吸入用にミクロファイン粉末として、単独
でまたはラクトースなどの不活性担体と組み合わせて、存在させてもよい。かか
る場合、適当には、活性化合物の粒子は50ミクロンより小さい直径、好ましく
は10ミクロンよりも小さい直径、例えば1〜50ミクロン、1〜10ミクロン
または1〜5ミクロンの範囲の直径を有する。適当な場合、少量の抗喘息および
気管支拡張薬、例えば、イソプレナリン、イソエタリン、サルブタモール、フェ
ニレフリンおよびエフェドリンなどの交換神経作用アミン;テオフィリンおよび
アミノフィリンなどのキサンチン誘導体ならびにプレドニゾロンなどのコルチコ
ステロイドならびにACTHなどの副腎刺激剤を包含させてもよい。
ミクロファイン粉末処方を、適当には計量器付エアロゾルまたは適当な呼吸活
性化装置により投与してもよい。
適当な計量器付エアロゾル処方は、慣用の推進剤、エタノールなどの共溶剤、
オレイルアルコールなどの界面活性剤、オレイルアルコールなどの滑沢剤、硫酸
カルシウムなどの乾燥剤、塩酸ナトリウムなどの密度修飾剤を含む。
噴霧器用に適当な溶液は、標準的な噴霧装置での使用のための、例えばpH4
〜7の間に所望により緩衝された、20mg/mlまでの化合物を含むが、より
一般には0.1〜10mg/ml含む等張滅菌溶液である。
投与される物質の量は、誘導体の効力、病気の性質により、治療を管理する医
師により決定される。しかしながら、一般的には、疾患または障害の処置用に効
果的なポリペプチドの量は、1日当たり0.01〜100mg/kgの容量範囲
、好ましくは、1日当たり0.1mg〜10mg/kgであり、5回まで投薬に
よ
るかまたは点滴により投与される。
許容されない毒物学的作用は、上記した投薬範囲内で本発明の化合物では何ら
示されない。
本発明はまた、医薬としての使用のための本発明の誘導体を提供する。
本発明はさらに、可溶性ペプチドによる治療に影響を受ける障害の治療方法で
あって、本発明の該可溶性ペプチドの可溶性誘導体を投与することを含む方法、
および、かかる障害の治療用の医薬の製造のための本発明の誘導体の使用を提供
する。
好ましい態様の1つにおいて、本発明は補体活性を含む障害ならびに種々の炎
症および免疫障害の治療における使用のための誘導体に関する。
この好ましい態様において、本発明により誘導される可溶性ポリペプチドは可
溶性CR1ポリペプチドフラグメントなどの可溶性補体阻害剤である。
正常血清において約10%のグロブリンを構成する、補体系は、免疫系の外来
抗原に対する応答において重要である多くの異なるタンパク質からなる。補体系
は、その1次成分が開裂される場合に活性化され、産物が単独でまたは他のタン
パク質と共にさらなる補体タンパク質を活性化し、蛋白質分解カスケードとなる
。補体系の活性化は、高い血管透過性、食細胞の走化性、炎症細胞の活性化、外
来粒子のオプソニン化、細胞の直接殺害および組織損傷を含め、種々の応答を導
く。補体系の活性化は抗原−抗体複合体により(古典的経路)、または、例えば病
原細菌の細胞壁に存在するリポポリサッカライドにより(別の経路)、誘発される
。
補体レセプタータイプ1(CR1)は、赤血球、単球/マクロファージ、顆粒
球、B細胞、いくつかのT細胞、脾臓小胞樹状突起および糸球有足突起の膜上に
存在することが示されている。CR1は、補体成分C3bおよびC4bに結合し
、C3b/C4bレセプターともまた呼ばれる。CR1の1つのアロタイプの構
造構成および1次配列は知られている(Klickstein et al.,1987,J.Exp.Med.165:
1095-1112,Klickstein et al.,1988,J.Exp.Med.168:1699-1717;Hourcade
et al.,1988,J.Exp.Med.168:1255-1270,WO89/09220,WO91/05047)。これ
は各々約60〜70個のアミノ酸を含む30個のショート・コンセンサス・リピ
ート(SCR)からなる。各SCRにおいて、平均65個のアミノ酸の約29個
が保存される。各SCRは、ジスルフィド結合における、第3および第1ならび
に第4および第2のハーフーシステインでのジスルフィド結合により、3次元ト
リプルループ構造を形成するものと推定されている。さらに、CR1は、それぞ
れ7個のSCRの4個のロング・ホモロガス・リピート(LHR)として整列す
る。リーダー配列に続き、CR1分子はN−末端LHR−A、次の二つの繰り返
し、LHR−BおよびLHR−C、および2つのさらなるSCRが続くほとんど
のC末端LHR−D、25残基の推定膜貫通領域および43残基の細胞質部から
なる。
本明細書において後に残基1として示す推定N−末端グルタミン残基を有する
成熟CR1分子に基づき、LHR−Aのはじめの4個のSCRドメインは、本明
細書において、それぞれ成熟CR1の残基2〜58、63〜120、125〜1
91および197〜252から構成されると明らかにされる。
CR1のいくつかの可溶性フラグメントが、組換えDNA法により、発現され
るDNAから膜貫通領域を除去することにより生成されている(WO89/09
220、WO91/05047)。可溶性CR1フラグメントは、機能的に活性
であり、C3bおよび/またはC4bに結合し、それらが含む領域に応じてファ
クタ−Iコファクター活性を示した。かかる構築物は、好中球酸化バースト、補
体媒介溶血、およびC3aおよびC5b産生などのインビトロ補体−関連機能を
阻害した。特定の可溶性構築物、sCR1/pBSCR1cもまた、反受身アル
ツス現象においてインビボ活性を示し(WO89/09220、WO91/05
047;Yeh et al.,1991,J.Immunol.146:250)、虚血後心筋炎症および壊死
を抑制し(WO89/09920、WO91/05047;Weisman et al.,Scie
nce,1990,249:146-1511;Dupe,R.et al.,Thrombosis & Haemostasis(1991)65
(6)695)、移植後の生存率を伸長した(Pruitt & Bol1inger,1991,J.Surg,R
es50:350:Pruitt et al,1991 Transplantation 52:868)。さらに、p−アニソ
イル化ヒトプラスミノーゲン−ストレプトキナーゼ−アクチベーター複合体(A
SPAC)とのsCR1/pBSCR1cの共形成により、sCR1単独と同様
に類
似の抗溶血活性が生じ、これは血栓溶解剤と補体阻害剤sCR1の組み合わせが
適していることを示唆した(WO91/05047)。
sCR1/pBSCR1cによりコードされる可溶性CR1ポリペプチドフラ
グメント、CR1の1〜1929残基は、本発明にしたがって誘導させてもよい
。
CR1の部分に対応する可溶性ポリペプチドは、抗溶血活性を含む機能的な補
体阻害活性を有することが知られている。WO94/00571には、順番に、
CR1の唯一の構造的および機能的に完全なSCRドメインとしてロング・ホモ
ロガス・リポートA(LHR−A)のSCR1、2、3および4から選択される
ショート・コンセンサセス・リピート(SCR)を含み、少なくともSCR3を
包含する、可溶性ポリペプチドが開示される。
好ましい態様において、ポリペプチドは、順番に、CR1の唯一の構造的およ
び機能的に完全なSCRドメインとして、LHR−AのSCR1、2、3および
4またはLHR−AのSCR1、2および3を含む。
−態様において、ポリペプチドは:
NH2-V1-SCR1-W1-SCR2-X1-SCR3-Y1-OH (A)
(式中、
SCR1は成熟CR1の残基2〜58を示し、
SCR2は成熟CR1の残基63〜120を示し、
SCR3は成熟CR1の残基125〜191を示し、
V1、W1、X1およびY1は結合、または、好ましくは1〜5残基の長さであり
、好ましくはCR1の天然のドメイン間配列由来のものである、アミノ酸の短い
連結配列を示す。)
で記号的に示されてもよい。
式(I)の好ましい具体例において、W1、X1およびY1は、それぞれ成熟C
R1の残基59〜62、121〜124および192〜196を示し、V1は所
望によりそのN−末端を介してメチオニンに連結する成熟CR1の残基1を示す
。
別の態様において、ポリペプチドは:
NH2-V2-SCR1-W2-SCR2-X2-SCR3-Y2-SCR4-Z2-OH(B)
(式中、
SCR1、SCR2、SCR3は前記の定義と同意義であり、
SCR4は成熟CR1の残基197〜252を示し、
V2、W2、X2、Y2およびZ2は結合、または、好ましくは1〜5残基の長さ
であり、好ましくはCR1の天然のドメイン間配列由来のものである、アミノ酸
の短い連結配列を示す。)
で記号的に示されてもよい。
式(II)の好ましい具体例において、W2、X2、Y2およびZ2は、それぞれ成
熟CR1の残基59〜62、121〜124、192〜196および残基253
を示し、V2は所望によりそのN−末端を介してメチオニンに連結する成熟CR
1の残基1を示す。
式(B)の一具体例において、アルギニン235はヒスチジンで置換される。
式(B)の好ましい具体例において、残基235はアルギニンである。
さらなる態様において、ポリペプチドは:
NH2-X3-SCR3-Y3-OH (C)
(式中、
SCR3は、前記の定義と同意義であり、
X3およびY3は結合、または、好ましくは1〜5残基の長さであり、好ましく
はCR1の天然のドメイン間配列由来のものである、アミノ酸の短い連結配列を
示す。)
で記号的に示されてもよい。
式(C)の好ましい具体例において、X3は所望によりそのN−末端にてメチ
オニンに連結する成熟CR1アミノ酸122〜124を示し、Y4は成熟CR1
のアミノ酸192〜196を示す。
さらに別の態様において、ポリペプチドは:
NH2-X4-SCR3-Y4-SCR4-Z4-OH (D)
(式中、
SCR3およびSCR4は、前記の定義と同意義であり、
X4、Y4およびZ4は結合、または、好ましくは1〜5残基の長さであり、好
ましくはCR1の天然のドメイン間配列由来のものである、アミノ酸の短い連結
配列を示す。)
で記号的に示されてもよい。
式(D)の好ましい具体例において、X4は所望によりそのN−末端にてメチ
オニンに連結する成熟CR1のアミノ酸122〜124を示し、Y4およびZ4は
それぞれ成熟CR1のアミノ酸192〜196および253を示す。
可溶性CR1ポリペプチドを、上記に概略を示した慣用の方法により本発明に
したがって誘導させる。好ましい具体例において、可溶性CR1ポリペプチドは
CR1の残基1〜196からなり、N−末端メチオニンを有し、誘導体はミリス
トイル基および
DGPKKKKKKSPSKSSGC
GSSKSPSKKKKKKPGDC
CDGPKKKKKKSPSKSSK
SKDGKKKKKKSKTKC
CSAAPSSGFRILLLKV
AAPSVIGFRILLLKVAGC
および
DGPSEILRGDFSSC
(左側にN−末端)
から選択される1またはそれ以上のポリペプチドを含む。
本発明の誘導体である、可溶性CR1ポリペプチドなどの可溶性補体阻害剤は
、限定するものではないが以下に列挙する、多くの補体媒介または補体関連疾患
および障害の治療において有用である。
補体が関与する疾患および障害
神経学的障害
多発性硬化症
発作
ギャン−バレー症候群
外傷性脳損傷
パーキンソン病
アレルギー性脳炎
アルツハイマー病
不適当なまたは望ましくない補体活性化の障害
血液透析合併症
過剰急性同種移植片拒絶反応
異種移植片拒絶反応
角膜移植片拒絶反応
IL−2治療中のインターロイキン−2誘発毒性
発作性夜行性ヘモグロビン尿症
炎症性障害
自己免疫疾患の炎症
クローン病
成人呼吸促迫症候群
火傷または凍傷を含む熱損傷
ブドウ膜炎
乾癬
喘息
急性膵炎
虚血後再灌流状態
心筋梗塞
バルーン血管形成
アテローム性硬化症(コレステロール−誘発)&再狭窄
高血圧
心肺バイパスまたは腎血液透析におけるボストーポンプ症候群
腎虚血
腸虚血
感染症疾患または敗血症
多重臓器不全
敗血症ショック
免疫複合疾患および自己免疫疾患
慢性関節リウマチ
全身性エリスマトーデス(SLE)
SLE腎炎
増殖性腎炎
糸球体腎炎
溶血性貧血
重症筋無力症
生殖性障害
抗体−または補体媒介不妊症
創傷治癒
本発明はまた、炎症または不適当な補体活性化に付随する疾患または障害を治
療するための医薬組成物であって、本発明の誘導体である、可溶性CR1ポリペ
プチドなどの可溶性補体阻害剤の治療的に有効量、および、医薬上許容される担
体または賦形剤を含む組成物に関する。
本発明はまた、炎症または不適当な補体活性化に付随する疾患または障害を治
療する方法であって、かかる治療を必要とする対象に、本発明の誘導体である、
可溶性CR1ポリペプチドなどの可溶性補体阻害剤の治療的に有効量を投与する
ことを含む方法を提供する。
上記の方法において、対象は好ましくはヒトである。
さらに、本発明の誘導体である、可溶性CR1ポリペプチドなどの可溶性補体
阻害剤の、炎症または不適当な補体活性化に付随する疾患または障害の治療のた
めの医薬の製造における使用を提供する。
補体活性化を阻害し、同時に、血栓溶解治療を提供するために、本発明はさら
に血栓溶解剤を治療的有効量含む医薬組成物を提供する。血栓溶解剤の有効量は
、0.01〜10mg/kgの範囲、好ましくは0.1〜5mg/kgの範囲の
用量である。好ましい血栓溶解剤には、限定するものではないが、ストレプトキ
ナーゼ、ヒト組織型プラスミノーゲンアクチベーターおよびウロキナーゼ分子お
よびそれらの誘導体、フラグメントまたは結合体が包含される。血栓溶解剤には
、他の薬剤と融合しまたは可逆的に連結して、例えば、プラスミンに連結したウ
ロキナーゼ(EP−A−0152736)、水可溶性ポリマーに連結したフィブリ
ン溶解酵素(EP−A−0183503)などのハイブリッド分子を形成できる
1またはそれ以上の鎖を含ませてもよい(EP−A−0297882およびEP
155387)。血栓溶解剤にはまた、プラスミノーゲンアクチベーターのムテ
インを含ませてもよい(EP−A−0207589)。好ましい具体例において、
血栓溶解剤には、米国特許第4285932号に記載されるような可逆的に遮断
されたインビトロフィブリン溶解酵素を含ませてもよい。最も好ましい酵素は、
米国特許第4808405に記載されるようなp−アニソイルプラスミノーゲン
−ストレプトキナーゼアクチベーター複合体、アニストレプターゼ(anistrepla
se)である(Monk et al.,1987,Drugs 34:25-49)。
本発明の個々のまたは組み合わせ治療組成物の投与経路には、例えば静脈注入
またはボーラス注入などの標準的な経路が包含される。活性な補体阻害剤および
血栓溶解剤を、ともにまたは連続して、いかなる順序で投与してもよい。
本発明はまた、ヒトまたはヒト以外の動物における、血栓症状態、特に急性心
筋梗塞を治療する療方法を提供する。この方法は、この治療を必要とするヒトま
たはヒト以外の動物に、本発明の誘導体である可溶性CR1ポリペプチドなどの
可溶性補体阻害剤の有効量、および、血栓溶解剤の有効量を投与することを含む
。
また、ヒトまたは動物における血栓症状態の治療のための医薬の製造における
、本発明の誘導体である可溶性CR1ポリペプチドなどの可溶性補体阻害剤およ
び血栓溶解剤の使用を提供する。かかる方法および使用は、WO91/0504
7に記載されるように行ってもよい。
本発明または、ヒトまたはヒト以外の動物における、成人呼吸促迫症候群(A
RDS)を治療する方法を提供する。この方法は、患者に、本発明の誘導体であ
る可溶性CR1ポリペプチドなどの可溶性補体阻害剤の有効量を投与することを
含む。
本発明はまた、本発明の誘導体である可溶性CR1ポリペプチドなどの可溶性
補体阻害剤の有効量を投与することによる、移植を受けたヒトまたはヒト以外の
動物における、過剰急性同種移植片または過剰急性異種移植片拒絶反応を遅延す
る方法を提供する。かかる投与は、患者にされてもよくまたは埋め込み前に移植
片に適用されることによってもよい。
本発明はさらに、本発明の誘導体である可溶性CR1ポリペプチドなどの可溶
性補体阻害剤の有効量を、局所または静脈内などの非経口経路により投与するこ
とによる、ヒトまたはヒト以外の動物における、損傷を治療する方法を提供する
。
他の好ましい態様において、可溶性ポリペプチドは、プロウロキナーゼ、スト
レプトキナーゼ、組織型プラスミノーゲンアクチベーターまたはレトプラーゼな
どの血栓溶解剤であり、本発明の誘導体は、急性心筋梗塞などの血栓症障害の治
療において有用である。それゆえ、本発明は血栓症障害を治療するための医薬組
成物であって、本発明の血栓溶解剤の誘導体の有効量、および、医薬上許容され
る担体または賦形剤を含む組成物を提供する。本発明はさらに、本発明の血栓溶
解剤の誘導体の有効量を投与することによる血栓症障害の治療方法、および、か
かる誘導体の血栓症障害の治療のための医薬の製造における使用を提供する。
以下の方法および実施例は、本発明を説明する。実施例で用いる一般法
(i)DNA切断
製造者の指示書に従って規定の緩衝液を用いて制限エンドヌクレアーゼによる
DNA切断を行った。緩衝液の条件が二つの酵素に適している場合、同時に二重
消化を行った。そうでなければ二重消化を連続的に行い、その場合低塩条件を要
する酵素を最初に消化物に加えた。一度消化が完了すると塩濃度を変化させ、次
の酵素を加えた。
(ii)DNAライゲーション
promegaから購入したT4 DNAリガーゼを用いて、Sambrookら[Molecular C
loning:A Laboratory Manual第2編(1989)、Cold Spring Harbour Laboratory P
ress]に記載されるようにライゲーションを実施した。
(iii)プラスミドの単離
Sambrookら[Molecular Cloning:A Laboratory Manual第2編(1989)、Cold Spri
ng Harbour Laboratory Press]に記載されるようにアルカリ性溶解法によるか、
または2種の市販のキット:Promega WizardTMPlus MiniprepsまたはQiagen Plas
mid Maxiキットの一つにより製造者の指示書に従ってプラスミド単離を行った。
(iv)DNAフラグメント単離
アガロースゲルからDNAフラグメントを切り取り、3種の市販のキット:Q
IAEXゲル抽出キットもしくはQiaquickゲル抽出キット(QIAGEN Inc.、USA)ま
たはGeneClean(Bio 101 Inc.、USA)の一つを用いて製造者の指示書に従ってD
NAを抽出した。
(v)DNAのイー・コリ(E.coli)への導入
Sambrookら(1989)に記載されるように塩化カルシウムを用いてコンピテント
化したイー・コリ(E.coli)BL21(DE3)[StudierおよびMoffat、J.Mol
.Biol.189:113(1986)]、イー・コリXLI−blue、BL21(DE3)pLys−S
またはBLR(DE3)pLys−Sにプラスミドを形質転換した。セルラインはSt
ratageneから凍結コンピテント培養物として購入した。イー・コリJM109は
Promegaから凍結コンピテント培養物として購入した。
(vi)DNAシークエンシング
VistraDNALabstation625でプラスミドDNAの配列決定を行った。
Amersham International's 「Thermo Sequenase蛍光染料−ターミネーター.サ
イクル・シークエンシング・キット」(RPN2435)を「FMP蛍光染料−タ
ーミネーター・沈殿キット」(RPN 2433)と組み合わせて用い、製造者の
指示書に従ってシークエンシングを行った。
前記の方法で得られた配列をPerkin Elmer ABIPrism377 DNAシーク
エンサーにより分析した。これは36cmx0.2mm・4%アクリルアミドゲルを
用いる電気泳動技術であり、チャージ結合装置カメラ(charge coupled device
camera)により製造者の指示書に従って蛍光標識したDNAフラグメントを検出
した。
(vii)オリゴヌクレオチドの製造
Cruachemよりオリゴヌクレオチドを購入した。
(viii)pBROC413
プラスミドpT7−7[Tabor,S.、Current Protocols in Molecular Biology
、F.A.Ausubel,Brent,R.E.Kingston,D.D.Moore,J.G.Seidman,J.A.Smith,および
K.Struhl,編、16.2.1-16.2.11頁(1990)、Greene Publishing and Wiley-Intersc
ience、New York]はpBR322のヌクレオチド2065−4362に対応する
DNAを含有し、pBR322の様に別のプラスミドCoIKの存在下接合性プ
ラスミドにより移動させることができる。CoIKによりコードされる運動性タ
ンパク質はpBR322のヌクレオチド2254のnic部位に作用し、この点か
ら運動が開始される。pT7−7をLspIおよびBglIIで消化し、張り出
した5’末端をDNAポリメラーゼIのクレノウ・フラグメントで平滑化した。
プラスミドDNAフラグメントをアガロースゲル電気泳動により精製し、平滑末
端を一緒にライゲートし、Bio-Rad Gene Pulserを用いるエレクトロポレーショ
ンにより製造者の指示する条件に従ってイー・コリDHlに形質転換した。得ら
れたプラスミドBROC413をプラスミドDNAの制限酵素分析により同定し
た。
pBROC413におけるf10プロモーターのすぐ上流のLspI部位から
pT7−7のヌクレオチド434のBglII部位までの欠失はpBR322の
ヌクレオチド2065−2297に対応するDNAを欠失する。従ってnic部位
および隣接する配列を欠失すると非運動性pBROC413になる。
(ix)ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS P
AGE)
Novexシステム(British Biotechnology)を用いて製造者の指示書に従ってS
DS PAGEを実施した。予め充填した4−20%アクリルアミドのゲルを用
いた。電気泳動するためにサンプルおよびタンパク質分子量標準(例えばLMW
キット、PharmaciaまたはNovex Mark12)を通常緩衝液(5容量/容量%2−
メルカプトエタノールを含むかまたは含まない)を含む1重量/容量%SDSで
希釈し、ゲルに適用するまで室温で約10から30分間放置した。
(x)タンパク質のジスルフィドの還元およびチオールの修飾
標題の目的を達成するために多くの方法が用いられる。ジスルフィドを選択的
に還元しなければならない理由は、チオールを多く含むタンパク質の単離および
精製中、とりわけ十分に変性したチオールを多く含むタンパク質のリフォールデ
ィング中に不適当なジスルフィドペアを生じ得るということである。加えて、た
とえ適切なジスルフィドペアを生じても、タンパク質中の遊離のシステインが例
えばグルタチオンで遮断され得る。これらの誘導体は一般に非常に安定である。
これらの反応性を高めるために、例えば続いて別の官能基に結合させるためにこ
れらを例えばジチオスレイトール(DTT)またはTris(2−カルボキシエチル)
ホスフィン・HCl(TCEP)で選択的に還元し、次いで要すればあまり安定
でない官能基で修飾する必要がある。後者の例としてはE11mants試薬(DTNB)
が挙げられ、これにより混合ジスルフィドが得られる。DTNBとの反応を省略
する場合、実験計画に注意を払い、遊離のチオールを含有するタンパク質の二量
体形成が最少化されていることを確認する必要がある。前記の「選択的な還元」
なる用語は、反応条件例えば希釈、温度、反応物の分子量比を注意深く調節して
タンパク質の天然構造中のジスルフィド架橋の還元を最少化することを意味する
。
全ての試薬は例えばSigmaまたはPierceから市販されている。
以下の一般的な実施例では、利用可能で、遊離のチオールを生じ、要すれば修
飾するのに有用な条件について説明する。最適なチオール還元および/または修
飾を達成するための具体的な条件は各タンパク質バッチに関して理想的な条件に
決定する。
TCEPは50mMHepes(pH約4.5)中20mM溶液として調製して、
−40℃で保存できる。DTTはリン酸ナトリウム中10mM、pH7.0に調
製して、−40℃で保存できる。前記の試薬は全て通常タンパク質濃度と等価か
または過剰のモル濃度であり、正確な理想的な濃度は実験的に決定する。反応の
時間および温度も同様に実験的に決定する。一般に時間は1から24時間の範囲
であり、温度は2から30℃の範囲である。過剰の試薬を例えばSephadexG25
またはSephadexG50を用いて緩衝液交換により除去するのが都合よい。適当な
緩衝液は0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.0であり、または溶液は未処理の
ままでもよい。
実施例 実施例1 N−(ミリストイル)2−アミノエタン・チオール(MAET)の製 造
塩化ミリストイル(1.0mmol)を氷冷した乾燥ピリジン(1.0ml)
に激しく攪拌しながら加え、次いで即座にN−ヒドロキシサクシンイミド(1.
5mmol)を加えた。混合物を4時間環境温度(〜23℃)で攪拌した。固体
の2−アミノエタンチオール遊離塩基(1.1mmol)を混合物に加え、環境
温度で6時間反応させて、次いで4℃で3日間反応させた。生成物を水(5ml
)と反応させ、環境温度で1時間攪拌し、濾過し、氷水で洗浄した。白色固体を
ジメチルスルフォキシドに溶解し、水で再沈殿させ、次いで酸化リン(V)で真
空乾燥した。最終的な収量は0.21g(〜70%)であった。Elman試薬を用
いたチオール滴定により生成物が〜45%の遊離のチオールを含有することが示
された。実施例2 ミリストイル/静電気的スイッチペプチド試薬1(MSWP−1)( 配列番号:27)の合成 ペプチド:
(配列番号:5)
をSheppardおよびAthertonが開発した[E.AthertonおよびR.C.Sheppard、Solid P
hase Synthesis、IRL Press、Oxford(1989)]一般的なFmoc/tBu法による固相
合成を用いて製造した。キーゼルグールを支持体とするポリジメチルアクリルア
ミド樹脂(Macrosorb100)を固体支持体として用いてエチレンジアミンで誘導し
た。
予めN,N'−ジイソプロピルカルボジイミド/N−ヒドロキシベンゾトリアゾ
ール(4倍過剰のモル濃度で)で活性化したN−α-Fmoc保護試薬を用いて、ブ
ロモフェノール・ブルーでモニター観察しながらカップリング反応を実施した。
DMF中20%ピペリジンを用いてFmoc切断を行った。最後の切断でC−末端ア
ミドを生じるように設計した修飾Rink連結試薬(p−[(R,S)−α−[1−(9H
−フルオレニル−9−イル−メトキシホルムアミド]2,4ジメトキシベンジル]
−フェノキシ酢酸)の結合等のカップリングおよび脱保護のサイクルを繰り返し
てペプチド鎖を集めるための反応を行った。個々のアミノ酸の側鎖の官能基を以
下のように保護した:
Ser(tButyl)、Lys(Boc)、Asp(O-tButyl)、Cys(Trityl)
ペプチド集合体をまだ樹脂に結合しているペプチドと比較した場合、同一の活
性化法により、ミリスチン酸の直接的なカップリングによりミリストイル基はN
末端グリシンのアミノ基に結合した。次いでこの修飾ペプチドを樹脂から切断し
、2.5%水および2.5%トリイソプロピルシランを含有するトリフルオロ酢
酸と反応させて側鎖保護基を同時に除去した。
粗製物を0.01M酢酸アンモニウム溶液中2,2’ジチオピリジンとpH8
−9で約2時間反応させ、次いで酢酸で酸性にし、分取高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)で勾配成分として0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)/水お
よび0.1%TFA/アセトニトリルを用いて精製した。凍結乾燥の後、ペプチ
ドは白色無定形粉末であり、ジメチルスルフォキシドに少なくとも10mg/m
lまで溶解した。高速原子衝撃質量分析法によりm/e2107.8、2129
.7および2145.8で主要なピークが得られ、これらはペプチドのモノプロ
トン化、モノナトリウム化およびモノカリウム化分子イオンに対応する。ペプチ
ドの2−チオピリジル含量を0.1Mホウ酸ナトリウム、pH8.0中約0.0
3mMから0.2mMまで溶解し、ジチオスレイトールを5mMまで添加し還元
して測定した。343nmにおける光学密度の変化を用いて8080cm-1M-1
のこの波長での消失係数を用いてピリジン2−チオンの放出量を算出した。これ
によりペプチド含量は乾燥重量の約60%であることが示された。実施例3 ミリストイル/静電気的スイッチペプチド試薬2(MSWP−2)( 配列番号:28)の合成 ペプチド:
(配列番号:18)を実施例2で記載した一般法および以下の変法を用いる固相合
成により製造した:
a. C末端リジンを4−メチルトリチル(MTT)基を用いるアルキル化によ
り保護した;その他の全てのリジンはt-Boc基によりN−ε保護した。
b.ジクロロメタン中1容量/容量%トリフルオロ酢酸を用いてMTTを除去し
、その他のリジンを脱保護する前に得られた独特の遊離アミノ基をミリスチン酸
で誘導した(実施例2に記載するとおり)。
ペプチド鎖の集合体の完成時にN末端を無水酢酸でアセチル化した。前記のよ
うに脱保護したペプチドを2,2'−ジチオピリジンと反応させて2−ピリジルジ
チオシスティン基を生成した。生成物を実施例2に記載するように精製した。高
速原子衝撃質量分析法により2221.3で分子イオンのピークが得られた(参
考:モノプロトン化したものの理論質量は2220.3)。
アミノ酸分析:
Asx Ser Gly Pro
理論値 1.0 4.0 1.0 2.0
実測値 0.97 3.53 1.15 1.88
(Asx=AsnまたはAsp)
アミノ酸分析により正味のペプチド含量が68.7重量%であることが示された
。実施例2の方法を用いると、2−ピリジルジスルフィド含量は約60重量%で
あった。実施例4 ミリストイル/静電気的スイッチペプチド試薬3(MSWP−3)( 配列番号:29)の合成 ペプチド:
(配列番号:19)を実施例2の一般的な固相合成プロトコルを用いて製造した。
ミリストイル化、C−末端アミド化およびCys残基の誘導を実施例2に記載する
ように実施した。精製した後、質量分析法により2040.5で主要なピークが
得られ、これはモノプロトン化形態に対応する(理論値:2039.5)。
アミノ酸分析
Asx Ser Gly Thr Lys
理論値 1 2 1 1 9
実測値 1.02 2.04 1.14 1.06 8.85
ペプチド含量は約56重量%であった。実施例5 Tセル標的ペプチド試薬1(TCTP−1)(配列番号:30)の合成 ペプチド:
(配列番号:20)を実施例2の一般的な固相法および実施例3に記載したN−
アセチル化を用いて製造した。Rink試薬の代わりにn−デシルアミンを用いてC
−末端を誘導した。精製したペプチドの質量分析法により1952.3で主要な
ピークが得られ、これはモノプロトン化分子イオンに対応する(理論値:195
1.1)。1843.3でもイオンが観察されたが、これは分光光度計中でのチ
オピリジル基の損失に相当すると考えられる。
アミノ酸分析
Ser Gly Arg Ala Pro Val Ile Phe Leu Lys
理論値 3 1 1 2 1 1 1 1 3 1
実測値 2.95 1.10 1.10 2.11 1.04 0.60 0.92 1.00 3.03 1.03
ペプチド含量は53重量%であった。実族例6 [SCR1−3]−Cys(配列番号:6)の発現および単離
(a) [SCR1−3]−CysをコードするプラスミドpDB1030の構築
CR1のLHR−AのSCR1−3をコードするプラスミドpDB1013−
5(特許出願WO94/00571)を制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよ
びHindIIIで消化し、Qiagen QiaexDNA抽出キットを用いて製造者の指
示書に従ってアガロースゲルから2.2キロベースのプラスミドのバンドを単離
した。これがフラグメント1である。pDB1013−5の別のバッチをBan
IおよびEcoRIで消化し、196塩基対のバンドを前記のアガロースから抽
出した。これがフラグメント2である。二つのオリゴヌクレオチド、配列番号:
1および配列番号:2をアニーリングしてDNAの最終濃度が100ピコモル/
μlになった。アニーリングしたオリゴにはBanI/EcoRIの張り出しが
あり、pDB1013−5の3’末端で配列が重複するが、加えて停止コドンの
直前でシステインをコードするコドンを含有する。これがフラグメント3である
。
フラグメント1、2および3をT4 DNAリガーゼを用いて1回の反応でラ
イゲートし、pDB1030を得た。ライゲートしたプラスミドをPromegaから
購入したコンピテントイー・コリJM109に形質転換した。得られたコロニー
を制限エンドヌクレアーゼ消化により分析し、DNAシークエンシングによりS
CR(1−3)(WO94/00571の配列番号:27)のコード化アミノ酸配
列が1個のC−末端タンパク質システイン残基により変化して配列番号:6が得
られることを確認した。
(b) pDB1030からの[SCR1−3]-Cysの発現
pDB1030を塩化カルシウムでコンピテント化したイー・コリBL21(
DE3)に形質転換し、得られたコロニーを単離してプラスミド含量を検査した
。イー・コリBL21(DE3)中でpDB1030からタンパク質を発現する
ために、1個のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含有するLBリン酸塩
培地(20g/l トリプトン、15g/l 酵母抽出物、0.8g/l NaC
l、0.2g/l Na2HPO4、0.1g/l KH2PO4)10mlに接種し
た。培養物を37℃、230r.p.m.で6時間成長させた後、これを用いて50μ
g/mlアンピシリンを含有する同一の培地100mlに接種した。同一条件下
で一晩成長させた。次いで各培養物25mlを3lエルレンマイヤーフラスコ中
50μg/mlアンピシリンを含有する同一の培地600mlに接種した。A60 0nm
でのODが0.8−1.0になるまで細胞を成長させた。IPTG(イソプ
ロピルB−Dガラクトピラノシド)を最終濃度が1mMになるまで加えて、細胞
をさらに3−4時間成長を続けさせた後、8000g/10分間遠心して収穫し
た。培養物21から得たペレットを−80℃で保存した。
(c) [SCR1−3]-Cysの単離、リフォールディング、精製および処方
記載する方法は本質的にDodd I.ら、Protein Expression and Purification 6
:727-736(1995)に詳述されるものである。
i) 可溶性封入体の単離
イー・コリBL21(DE3)(cPB1030)の凍結細胞ペレットを50
mMTris/50mM NaCl/1mM EDTA/0.1mM PMSF、pH
8.0に、培養物ペレット11あたり33mlの比率で再懸濁した。懸濁液を氷
で囲んだガラスビーカーに移し、通常3−6分間ソニケート(Heat systems−Ul
trasonicsW380;50x50%パルス、パルス時間=5秒)した。次いで粉
砕したペレットを凍結し、−80℃で保存した。約2週間後ソニケートしたもの
を溶融し、約8000gで20分間遠心した。ペレットを室温で20mM Tris
/8M 尿素/1mM EDTA/50mM メルカプトエタノール、pH8.5
(200ml)に激しく攪拌して再懸濁し、次いで室温で1時間、続いて4℃で
一晩放置した。
ii) SP−セファロースを用いる最初の精製
粘性の溶液に水で洗浄し減圧乾燥したSP−セファロースFF(含水重量約3
0g)を加えた。混合物を激しく攪拌し、室温で1−2時間静置した。上澄をデ
カンテートし、サンプリングし、捨てた。残ったスラリーを一様な懸濁液に再懸
濁し、ガラスジャケットに注ぎ、落ち着かせて充填されたベッドにした。カラム
を4℃で0.02M Tris/8M 尿素/0.05M 2−メルカプトエタノール
/0.001MEDTA、pH8.5で平衡にした。溶出液のA280が基底線で
安定すると、緩衝液をさらに1M NaClを含有する平衡用緩衝液に交換した
。1M NaCl含有緩衝液でA280の1本ピークを溶出した;容量は約50ml
であった。50mM ギ酸に緩衝液交換(SephadexG 25)したサンプルのモル
濃度消失係数25000cm-1を用いてA280の値より溶液のタンパク質濃度を推
定した。これにより生成物のタンパク質濃度は1.6mg/mlであることが示
された。溶液を−40℃で保存した。
iii) 折りたたみおよびさらなるブロセッシング
SP−セファロースで精製した生成物25mlを用時調製した冷0.02M
エタノールアミン/1mM EDTA780mlに絶えず攪拌しながら1分間以
上にわたって徐々に加え、1時間/4℃で静置した。還元グルタチオン(GSH
)を1mMまで加え、酸イヒグルタチオン(GSSG)を0.5mMまで加えた
。溶
液は透明で約2−3℃で3日間静置した。次いで溶液をYM10 メンブランを
用いて限外濾過し、最後まで保持した容量は約35mlであった;保持物質はわ
ずかに濁っており、半透明溶液の外観を呈した。これを4℃で12日間保存した
。次いでこれを30000gで15分間遠心し、上澄を室温で0.1M NaH2
PO4/1M(NH4)2SO4、pH7.0(緩衝液A)9容量と混合し、すぐに
3000rpmで15分間遠心した。上澄を約4mlまで限外濾過(YM10)
し、次いで0.1M リン酸ナトリウム、pH7.0(5.0ml)に緩衝液交
換した;A280分析によると、この溶液のタンパク質濃度は1.7mg/ml
であった。これをジチオ・ビス・ニトロ安息香酸(DTNB)(8倍過剰のモル
濃度)と室温で30分間反応させた。A412測定および消失係数13600(
遊離のチオニトロ安息香酸イオンに関して)に基づくと遊離のチオール含量は6
μMであり、これは生成物Aを得るための誘導の約10%に過ぎない。主要な生
成物は[SCR1−3]-Cysであると考えられ、ここで遊離のC末端チオールはリ
フォールディング工程でグルタチオンまたは2−メルカプトエタノールとの反応
により遮断されている。
(d) [SCR1−3]−Cysの単離、リフォールディング、精製および処方に
関する別法
この方法は、Doddら(前記で引用)に記載された方法により近いという以外は
前記の方法に類似している。注目すべきはリフォールディング後の限外濾過の保
持物質をすぐに硫酸アンモニウムと反応させ、次いで遠心およびButyl Toyopear
lクロマトグラフィーにより透明化したことである。約0.2から0.4M 硫酸
アンモニウムで溶出して得られたA280吸収フラクションをプールし、これを生成物B
と称する。十分に還元したSCR1−3/cysのわずか100mgで出
発して、生成物Bは17mg含有した。生成物は非還元SDS PAGEにより
主要な1種を含有し、推定純度がほぼ>90%であり、見かけの分子量は210
00であった。同様に製造した生成物での研究に基づき、これは親タンパク質の
S−グルタチオンおよび/またはS−メルカプトエタノール誘導された形態であ
ると考えられるが、類似の方法で製造したかまたはある期間保存した少なくとも
いく
つかのバッチは遊離のシステイン変種として存在するかもしれない。生成物はま
た見かけの分子量が約40000のポリペプチドをも含有した。この種に富むタ
ンパク質の類似のバッチでの研究に基づき、これは[SCRI−3]-Cysの2量体
であると同定された。実施例7 SCR1−3/スイッチ融合(配列番号:7)の発現および単離 (a) SCR1−3/スイッチをコード化するプラスミドpDB1031の構
築
pDB1013−5のフラグメント1およびフラグメント2は前記の実施例6
と同一である。Cruachemが製造した二つのオリゴヌクレオチド、配列番号:3お
よび配列番号:4をアニーリングしてDNAの最終濃度を100ピコモル/μl
にした。アニーリングしたオリゴにはBanI/EcoRIの張り出しがあり、
pDB1013−5の3’末端で配列を重複するが、加えて停止コドンの直前に
DGPKKKKKKSPSKSSGCをコードする17個のさらなるコドンを含
有する。これがフラグメント4である。
フラグメント1、2および4をT4DNAリガーゼを用いて1回の反応でライ
ゲートし、pDB1031を得た。ライゲートしたプラスミドをコンピテントイ
ー・コリJM109に形質転換した。得られたコロニーを制限エンドヌクレアー
ゼ消化により分析し、DNAシークエンシングによりSCR1−3(WO94/
00571の配列番号:27)のコード化アミノ酸配列がアミノ酸DGPKKK
KKKSPSKSSGCのC−末端付加により変化して配列番号:7が得られる
ことを確認した。
(b) pDB1031からのSCR1−3/スイッチの発現
pDB1031を塩化カルシウムでコンピテント化したイー・コリBL21(
DE3)に形質転換し、得られたコロニーを単離してプラスミド含量を検査した
。イー・コリBL21(DE3)中でpDB1031からタンパク質を発現する
た
めに、1個のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含有するLBリン酸塩培
地(20g/l トリプトン、15g/l酵母抽出物、0.8g/l NaCl、
0.2g/l Na2HPO4、0.1g/l KH2PO4)10mlに接種した。
培養物を37℃、230r.p.m.で6時間成長させた後、これを用いて50μg/
mlアンピシリンを含有する同一の培地100mlに接種した。同一条件下で一
晩成長させた。次いで各培養物25mlを31エルレンマイヤーフラスコ中50
μg/mlアンピシリンを含有する同一の培地600mlに接種した。A600n
mでのODが0.8−1.0になるまで細胞を成長させた。IPTG(イソプロ
ピルB−Dガラクトピラノシド)を最終濃度が1mMになるまで加えて、細胞を
さらに3−4時間成長を続けさせた後、8000g/10分遠心して収穫した。
細胞ペレットを−40℃で凍結した。
(c) SCR1−3/スイッチの単離、リフォールディング、精製および処方
記載する方法は本質的にDodd I.ら、Protein Expression and Purification 6:7
27-736(1995)に詳述されるものであり、いくつかの修飾を加えている。
i) 可溶性封入体の単離
イー・コリBL21(DE3)の凍結細胞ペレット(pDB1031)を溶融
し、50mM Tris/50mM NaCl/1mM EDTA/0.1mM PMS
F、pH8.0に、培養物ペレット11あたり33mlの比率で再懸濁した。懸
濁液を氷で囲んだガラスビーカーに移し、通常3−6分間ソニケート(Heat sys
tems-UltrasonicsW380;50x50%パルス、パルス時間=5秒)した。次
いで粉砕したペレットを凍結し、−80℃で保存した。約1日後ソニケートした
ものを溶融し、約8000gで20分間遠心した。ペレットを室温で20mM T
ris/8M尿素/1mM EDTA/50mM メルカプトエタノール、pH8.
5(240ml)に激しく攪拌して再懸濁し、次いで室温で1時間、続いて4℃
で5日間放置した。
ii) SP−セファロースを用いる予備的な精製
粘性の溶液に水で洗浄し減圧乾燥したSP−セファロースFF(含水重量約3
0g)を加えた。混合物を激しく攪拌し、室温で約2時間静置した。上澄をデカ
ンテートし、サンプリングし、捨てた。残ったスラリーを一様な懸濁液に再懸濁
し、ガラスジャケットに注ぎ、落ち着かせて充填されたベッドにした。カラムを
4℃で0.02M Tris/8M 尿素/0.05M 2−メルカプトエタノール/
0.001M EDTA、pH8.5で平衡にした。溶出液のA280が基底線で安
定すると、緩衝液をさらに1N NaClを含有する平衡用緩衝液に交換した。
1M NaCl含有緩衝液でA280の1本ピークを溶出した;容量は約50mlで
あった。50mM ギ酸に緩衝液交換(SephadexG25)したサンプルのモル濃
度消失係数25000cm-1を用いてA280の測定値より溶液のタンパク質濃度
を推定した。これにより生成物のタンパク質濃度は2.8mg/mlであること
が示された。SDSPAGE/染色での分析により約23000ダルトンで主要
なバンド(約80%)が示された。溶液を−40℃で保存した。
iii) 折りたたみおよびさらなるプロセッシング
SP−セファロースで精製した生成物14mlを用時調製した冷0.05MHe
pes/2M 塩化ナトリウム/1mM EDTA、pH8.0、430mlに絶え
ず攪拌しながら1分間以上にわたって徐々に加え、1時間/4℃で静置した。還
元グルタチオン(GSH)を1mMまで加え、酸化グルタチオン(GSSG)を
0.5mMまで加えた。溶液は透明で約2−3℃で3日間静置した。次いで溶液
をYM10 メンブランを用いて限外濾過し、最終的に保持した容量は約34m
lであった;保持物質はわずかに濁っていた。次いでこれを25000gで15
分間遠心し、上澄を0.1M リン酸ナトリウム、pH7.0(46ml)に緩
衝液交換した。このフラクションはA280の測定に基づくと2mgのタンパク
質を含有する。溶液を4℃で20分間DTNB(20mM;0.65ml)と混
合し、次いで限外濾過して2.4mlになった。この保持物質を0.1M リン
酸ナトリウム、pH7.0(3.0ml)に緩衝液交換し、−40℃で保存した
。限外濾過前の溶液に関する4l2nmにおける吸収の測定によりDTNBで2
5%誘導されたことが示唆された。
(d) SCRI−3/スイッチの単離、リフォールディング、精製および処方
に関する別法
この方法は、リフォールディング後の限外濾過工程がDoddら(前記で引用)に
記載される方法により近いという以外は前記の(c)に記載した方法に類似して
いる。注目すべきはリフォールディング後の限外濾過の保持物質をすぐに硫酸ア
ンモニウムと反応させ、次いで遠心およびButyl Sepharoseクロマトグラフィー
により透明化したことである。約0.2から0.4M 硫酸アンモニウムで溶出
して得られたA280吸収フラクションをプールし、最初の生成物と称する。本
質的に前記のとおりさらにTCEPと反応させ、続いてDTNBと反応させて最
終タンパク質濃度が10μMの最終生成物を生成した。最終生成物は非還元SD
SPAGEにより主要な1種を含有し、純度はほぼ>90%であり、見かけの分
子量は23000であり、タンバク質のモルあたり約2モルのTNBを含有する
。実施例8 [SCR1−3]Cys−S−S−[MSWP−1](配列番号:8)の製造 (a) 実施例6(c)の生成物A(1.5ml)を4℃で60分間ジチオスレ
イトール(水≠0.5Mを30μl、最終濃度10mM)と反応させ、遊離のペ
プチド配列番号:6を得た。黄色の溶液をSephadexG−25の小型カラム(PD
−10、Pharmacia)で0.05M HepesHCl緩衝液、pH7.5(3.0m
l)中に、4℃でゲル濾過した。わずかに濁った溶液をMSWP−1(実施例2
)の溶液(3.8mM ジチオピリジル当量、150μl)と混合して最終濃度
を0.18mMにした(〜8モル濃度当量)。混合物を氷上で2時間放置し、次
いで前記のとおりゲル濾過したが、2PD10カラムを用いた(1.6ml供し
、3.2ml溶出した)。最終溶出物は濁りがなく、0.4mlアリコートで−
70℃で凍結保存した。
(b) 実施倒6(d)で記載した[SCR1−3]-Cysタンパク質生成物B(1
.5ml:31μM タンパク質)をTCEP(20mM;0.007ml)と
混合
し、室温で23時間インキュベートし、遊離のタンパク質配列番号:6を得た。
MSWP−1(実施例2)(10mM;0.0093ml)を加え、溶液をさら
に4時間インキュベートした。最終溶液0.75mlを50mM ギ酸と緩衝液
交換し、アリコートを溶液で放置するかまたは凍結乾燥した。SDS PAGE
により生成物の純度は>80%であり、見かけの分子量は23000であり、元
の親物質の分子量21000からシフトしたことは明らかである。凍結乾燥物は
推定タンパク質濃度2mg/mlで50mM ギ酸に容易に溶解した。
(c) 実施例6(d)で記載した[SCR1−3]-Cysタンパク質生成物B(2
1.6ml;31μM タンパク質)をTCEP(20mM;0.1ml)と混
合し、室温で22時間インキュベートし、遊離のタンパク質配列番号:6を得た
。MSWP−1(0.1M リン酸ナトリウム中20mM、pH7.0;0.6
7ml)を加え、溶液をさらに4時間インキュベートした。SephadexG50(V
t 160ml)を用いて22ml全てを50mM ギ酸と緩衝液交換した。A
280の3個のピークを得た。最初のピークを容量56−106mlで溶出し、
SDS PAGE分析により標題化合物が得られた。フラクションをアリコート
に分け、アリコートを−40℃で保存するかまたは凍結乾燥した。凍結乾燥前の
溶液のアミノ酸分析によりタンパク質濃度が0.42mg/mlであることが示
された。A280(通過距離1cm)は0.44であった。C8逆相HPLCお
よびSDSPAGEにより共に純度が約80%であることが示された。後者の技
術により主要なバンドが見かけの分子量が23000であることが示され;元の
親物質の分子量21000からシフトしたことは明らかであり;還元時に230
00のバンドが分子量約21000および約5000の二つのバンドにシフトし
た。凍結乾燥物はタンパク質濃度6mg/mlで50mM ギ酸またはPBS「
A」(Dulbecco)に容易に溶解した。
(d) (c)から[SCR1−3]-Cys-S−S−[MSWP−1]を0.3ml
アリコートに分け、凍結乾燥した。個々のアリコートを50mM ギ酸(0.3
m1または0.039ml)に再度溶解した。実施例9 [MAET]にジスルフィド結合した[SCR1−3/スイッチ融合]( 配列番号:31)の製造 実施例7(d)のとおり製造したTNB−活性化SCR1−3/スイッチ(配
列番号:7)を用いて標題化合物を合成できる。TNB−活性化SCR1−3/
スイッチを通常DMSO中2.0mg/mlにした(約3mMの遊離チオールと
等価である)1モル濃度過剰のMAET(実施例1)と混合した。通常の反応条
件は室温で1−4時間かまたは4℃で一晩であり、用いるタンパク質濃度は1か
ら100μMである。遊離のTNBイオンの放出により引き起こされる黄色の発
色を検査して反応をモニター観察した。一度が反応が完了すると溶液は適当な緩
衝液、例えば0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.0に緩衝液交換し、−40℃
で必要なときまで保存した。実施例10 [MSWP−1]にジスルフィド結合した[SCRI−3/スイッチ 融合](配列番号:9)の製造 方法(a)
MSWP−1(実施例2,0.1M リン酸ナトリウム中10mM、pH7.
0)0.02mlをTCEP(50mMHepes中20mM)0.005mlと混
合し、室温で10分間放置した。得られた溶液は配列番号:5のミリストイル化
ペプチドを含有する溶液Aである。実施例7(c)に1記載する方法と類似の方
法で製造したTNB活性化SCR1−3/スイッチ(配列番号:7)(0:3m
l;0.1M リン酸ナトリウム中15μM、pH7.0)を溶液A0.005
6mlと混
合し、理論的にタンパク質より5倍過剰のモル濃度のMSWP−SHを得た。混
合物を室温で4時間、次いで4℃で18時間放置した。SDSPAGEで分析し
、次いでタンパク質染色すると見かけのMr23Kで1個の主要なバンドが認め
られ、これは標題タンパク質に相当する。
方法(b)
実施例7(d)に記載する方法と類似の方法で製造したTNB活性化SCR1
−3/スイッチ生成物(配列番号:7)(10μM;0.43ml)をTCEP
(5mM;0.0026ml)と混合し、室温で17時間インキュベートし遊離
の融合タンパク質、配列番号:7を生成した。MSWP−1(10mM;0.0
086ml)を加え、さらに4時間インキュベーションを続けた。小型粒子また
は結晶が溶液中に存在したが、それがなければ透明であった。粒子を含む溶液を
50mM ギ酸(1.0ml)に緩衝液交換し、アリコートに分け、凍結した。
非還元条件下でSDS PAGEによる分析を行い、多くのバンドが認められた
が、これらは目的の物質である見かけの分子量25000の物質を含んでいるこ
とを示している。実施例11 [CR1:1−1929]−Cys−S−S−[MSWP−1](配列番 号:10)の製造 ヒト補体レセプター1(CR1、CD35)は主要な天然型アロタイプの細胞
外SCRドメインの全てを含有する組み換え可溶性形態で産生される補体活性化
のレギュレーターとして知られている(Feraronら、WO89/09220、WO
91/05047)。この形態(sCR1)はチャイニーズハムスター卵巣(C
HO)細胞中に活性なタンパク質として発現された。Cys-1924のコドンのす
ぐ下流でDNA配列の変異誘発を行い新規のC−末端システイン残基を作った。
sCR1のcDNA配列の修飾末端の適当な例としては以下のようなものが挙
げられる:
修飾オリゴヌクレオチドを5914(ナンバリングはFearonら、1989、1991によ
る)の位置で独特のBalI制限エンドヌクレアーゼ部位にライゲートすること
により、CR1のコドンAsp-1930をシステインのコドンと置換する。
CHO細胞でこの修飾cDNAを発現し、標準的なクロマトグラフィー法によ
り生成物を単離することにより、実施例8(a)、(b)または(c)で用いる
ことができる修飾sCR1タンパク質を作り、MSWP−1(実施例2)に結合
させて標題化合物を得た。実施例12 [SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−2](配列番号:11 )の製造 実施例6(d)に記載した方法に類似の方法で製造した[SCR1−3]−Cys
タンパク質(配列番号:6)(46μMタンパク質;0.20ml)をTCEP
(5mM;0.0054ml)と混合し、室温で約20時間インキュベートした
。この溶液0.05mlを0.1Mエタノールアミン0.025mlおよびMS
WP−2(実施例3を参照のこと;DMSO中5mM)0.003mlと混合し
た;溶液を室温でさらに3時間インキュベートした。SDS PAGE分析によ
り生成物の主要なバンドが見かけの分子量23000であることが示され、元の
親物質の分子量21000からシフトしたことは明らかである。目的のタンパク
質の純度はSDS PAGEゲルから推定され、約80%である。実施例13 [SCR1−3]-Cys-S−S−[MSWP−3](配列番号:12) の製造 実施例6(d)に記載した方法に類似の方法で製造した[SCR1−3]−Cys
タンバク質(配列番号:6)(46μMタンパク質;0.10ml)をTCEP
(5mM;0.0037ml)と混合し、室温で約18時間インキュベートした
。0.5M エタノールアミン0.01mlを加えた。この溶液0.11mlの
うち0.03mlをMSWP−3(実施例4を参照のこと;0.1M リン酸ナ
トリウム中2mM、pH7.0)0.0032mlと混合した;溶液を室温でさ
らに3時間インキュベートした。SDS PAGE分析により生成物の主要なバ
ンドが見かけの分子量23000であることが示され、元の親物質の分子量21
000からシフトしたことは明らかである。目的のタンパク質の純度はSDS
PAGEゲルから推定され、約80%である。実施例14 [SCR1−3]−Cys−S−S−[TCPT−1](配列番号:13 )の製造 実施例6(d)に記載した方法に類似の方法で製造した[SCR1−3]−Cys
タンパク質(46μMタンパク質;0.08ml)をTCEP(5mM;0.0
029ml)と混合し、室温で約18時間インキュベートした。0.5M エタ
ノールアミン0.008mlを加えた。この溶液0.088mlのうち0.04
m
lをTCPT−1(実施例5を参照のこと;DMSO中2.9mM)0.002
9mlと混合した。凝集を最少にするために2時間以上にわたってTCPT−1
を6アリコートに加えた。溶液をさらに2時間室温でインキュベートした。混合
物の最終的な外観は一種のコロイド懸濁液であり、これを2000gで1分間遠
心して目的のタンパク質が沈殿物中で分かれているのが認められた。SDS P
AGE分析により生成物の主要バンドが見かけの分子量23000であることが
示され、元の親物質の分子量21000からシフトしたことは明らかである。目
的のタンパク質の純度はSDS PAGEゲルから推定され、約80%である。実施例15 ウサギ抗(ヒト赤血球膜)抗体−[MSWP−1]結合体(RAEM −MSWP−1)(配列番号:32)の製造 ウサギポリクローナル抗(ヒト赤血球膜)(RAEM)抗血清(Dako、Denmar
k、13mg/ml、0.25ml)を50mM リン酸ナトリウム0.1M 塩
化ナトリウムpH7.4(PBS)で1.0mlまで希釈しPBS(用時溶解)
中100mM 2−イミノチオラン30μlと25℃で30分間反応させた。示
したこれらの条件は免疫グロブリンG分子あたり平均2−3個の遊離のチオール
基を導入するためのものである[R.A.G.Smith & R.Cassels、Fibrinolysis 2:189
-195(1988)]。
SephadexG-25m(PD−10、Pharmacia、Stockholm、Sweden)の小型デ
ィスポーザブル・カラムで、ゲル透過クロマトグラフィーにより4℃で生成物を
精製した。生成物2.5ml(全量3.0ml、タンパク質濃度の理論値は〜6
.1μM)をMSWP−1(実施例2、ジメチルスルフォキシド中5mMの溶液
0.125ml、最終濃度〜240μM)と反応させ25℃で30分間インキュ
ベートした。生成物を前記のとおりPD10カラムでゲル濾過し、タンパク質中
〜5
μMの溶液3.0mlを得た。これを−70℃で保存した。実施例16 ストレプトキナーゼおよびMSWP−1の結合体(配列番号:21 )の製造 PD10カラムを用いてストレプトキナーゼ(SK)の保存溶液(Behringwerke
、Marburg、Germany、12.8mg/ml、271μM、2.5ml)を0.0
1重量/容量% Tween80を含有するPBS緩衝液(実施例15を参照のこと)
[PST緩衝液]3.2ml中にゲル濾過した。用時調製した2−イミノチオラン
(100mMを64μl)を加え、混合物を25℃で1時間インキュベートした
。生成物を2個のPD10カラムで、4℃で2x1.6mlのバッチで2x3.
0ml PST中にゲル濾過した。溶液を−75℃で1.5mlのアリコートで
保存した。
Elman試薬(0.1M トリエタノールアミンHClpH8.0の0.5ml
中0.1mM)で生成物を滴定し、これが約0.3mMの遊離のチオール基を含
有することが示された。これはSK分子あたり平均3−3.5個のチオール基に
対応する。チオール化SKの保存溶液(2x0.5ml)をMSWP−1(DM
SO中5mMの保存溶液32μl)で1個のアリコートを修飾することによりプ
ロセッシングし、25℃で1時間インキュベートし4℃で3.0ml PST中
にゲル濾過(PD10カラム)した。対照アリコートをMSWP−1に曝露せず
に平行してプロセッシングした。SKに関する280nmにおける消失係数0.
76(mg/ml)-1に基づくと、生成物は共に〜0.8mg/mlのタンパク
質を含有し、これを−75℃で保存した実施例17 MSWP−1のヒト組織型プラスミノーゲンアクチベーターの活性 中心への可逆的結合(配列番号:22) SmithおよびCassels[Fibrinolysis2:189-195(1988)]の方法でチオール反応
性アシル酵素4−N−[2−N−(3−[2−ピリジルジチオ]エチルカルボニル)
アミノエチル]アミノベンゾイル−[Ser-478]ヒト組織型プラスミノーゲンア
クチベーター[PDAEB−>tPA]を製造した。組織プラスミノーゲンアクチ
ベーター(Actilyse、Boehringer Ingelheim、Germany、約2mg)を実施例1
6のPST緩衝液(1.0ml)に溶解し、ジメチルスルフォキシド中塩酸4’
−アミノフェニル・4−N−[2−N−(3−[2−ピリジルジチオ]−エチルカ
ルボニル)アミノエチル]アミノベンゾエート[S.B.Kalindjian & R.A.G.Smith、B
iochem.J.248:409-413(1987)]20mM溶液25μlと反応させた。混合物を
25℃で1時間インキュベートし−80℃で凍結保存した。ジチオスレイトール
(水中0.5Mを5μl)を添加して0℃で30分間還元し、次いで実施例16
に記載するようにPST緩衝液(3.0ml)に緩衝液交換した。すぐに生成物
を保持用サンプル(0.6ml)および反応用サンプル(2.4ml)に分け、
これをMSWP−1(実施例2、ジメチルスルフォキシド中5mMの溶液を10
μl)と混合し、氷上90分間インキュベートした。前記のように生成物をPS
T3.2mlに緩衝液交換し、アリコートに分けて−196℃で保存した。実施例18 醗酵中の[SCR1−3]−Cys−(配列番号:6)の発現および精 製
(a) プラスミドpDB1030を宿すイー・コリの醗酵
最初にプラスミドpDB1030を宿すイー・コリの凍結保存物をアンピシリ
ンを100μg/mlで添加したLB寒天で平板培養して調製した。1mlアリ
コートを10%グリセロール/PBS低温保存液中に保存して、液体窒素下で貯
蔵した。1mlのバイアルを融解し、これを用いて500mlフラスコ中LBAm p100
1次播種用培地(Difco Bactotryptone、10gl-1;Difco 酵母抽出物、
5gl-1;塩化ナトリウム、5gl-1;滅菌前のpH7.4)100mlに接種
した。1次播種段階を37℃で3時間インキュベートし、次いでまた1%の接種
材料を用いて500mlフラスコあたりLBAmp100100mlに接種する2次播
種段階に移した。次いで前記のようにさらに4時間インキュベートし、1%の接
種材料を15lのBiolafitte醗酵器中LBAmp10010lの3次播種段階に移した
。4次播種用培地10lを接種前に12l℃で45分間インサイチュー滅菌した
。14.5時間インキュベートした後4次播種物を6%接種材料として最終段階
の醗酵器に移した。播種段階のインキュベーション条件は以下のとおりである:
空気流10l/分(1.0vvm)、温度37℃、4000rpmで振とう(1.
9m/秒)および加圧0.2バール。リン酸トリプトン培地Amp100(Difco Bact
otryptone、20g/l;Difco酵母抽出物、1.5g/l;塩化ナトリウム、8
g/l;オルトリン酸水素二ナトリウム、2g/l;オルトリン酸水素二カリウ
ム、1g/l;DowCorningl520消泡剤、0.1g/l;滅菌前のpH7.4
)300lを450lのBioengineerin醗酵器中121℃で30分間インサイチ
ュー滅菌した。4次播種段階からの接種材料20lを醗酵器に接種し、以下の条
件でィンキュベートした:空気流450l/分(1.5vvm)、温度37℃、2
30rpmで振とう(1.5m/秒)および加圧0.5バール。OD550nm3.
5を得た後、1mM IPTGを加えた。2時間インキュベーションを続けた後
収穫した。WestfaliaCSA19(2回放電(two discharges))による1次遠心
の後細胞スラリーを回収した。SorvallRC3B遠心で細胞をさらに4700r
pm(7000g)で30分間回転させた。全細胞収量(含水重量)は2.98
kgであり、これを約600gロットで−80℃で保存した。
(b)封入体の単離および[SCR1−3]-Cysの精製
細胞ペレット100g(含水重量)から封入体を単離し、本質的に実施例6に
記載のとおり可溶化した。再度可溶化した封入体からの目的のタンパク質の精製
もまた実施例6に記載の方法にいくらか修飾を加えた方法で行った。主要な修飾
は以下のとおりである:
1.S−Sepharoseの代わりにMacroprep HighS(Biorad)を用いた。ソニケ
ートした細胞ペレット100gにマトリックス200gを用いた。可溶化し部分
的に精製したフラクション・ボディー(fractiononbodies)中に純度約60%の
目的のタンパク質1.4gを生成した。
2.60mM冷エタノールアミン/1mMEDTA中十分に変性したタンパク
質(2mg/ml)を100倍希釈し、次いでグルタチオン酸化還元対を添加す
ることにより、部分的に精製したタンパク質のサンプル100mgをリフォール
ディングした。
上記の方法の生成物を実施例8に1記載する方法に類似の方法でMSWP−1
(実施例2)を用いて修飾できる。実施例19 [SCR1−3(delN195−K196)]TNANKSLSSI SCQT(配列番号:14)の発現および単離
(a) [SCR1−3(delN195−K196)]TNANKSLSSISC
QTをコード化するプラスミドpBCO4−29の構築
QuickChange位置指定変異誘発(Stratagene)により製造者のプロトコルに従
ってCRIのLHR−AのSCR1−3をコード化するプラスミドpDB101
3−5(特許出願WO94/00571)からプラスミドpBC04−29を構
築した。二つの相補的オリゴヌクレオチド(配列番号:15および配列番号:1
6)を用いてG186/P187およびC末端システインで新規制限部位(サイ
レント)を作った。結局反応によりN195の位置でフレームシフト変異を生じ
た。得られた配列ではC末端アミノ酸N195およびK196が14個のアミノ
酸ペプチドTNANKSLSSISCQTと置換された。幸運にもこの配列はC
末端近くで11個のアミノ酸のスペイサー配列が先行する内在性システインを含
有する。
(b)イー・コリにおける[SCR1−3(delN195−K196)]TNAN
KSLSSISCQTをコード化するプラスミドpBC04−29の発現
pBC04−29をコンピテント化したイー・コリBL21(DE3)pLys−
Sに形質転換し、得られたコロニーを単離してプラスミド含量を検査した。1個
のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含有するLB培地(10g/lバク
トトリプトン、5g/l 酵母抽出物、10g/l NaCl)10mlに接種し
た。培養物を37℃、230r.p.m.で6−18時間成長させた後、これを用いて
41のエルレンマイヤーフラスコ中50μg/mlアンピシリンを含有する同一
の培地1lに1:100希釈になるように接種した。A600nmでのODが0.
8−1.0になるまで細胞を成長させた。IPTG(イソプロピルB−Dガラク
トピラノシド)を最終濃度が1mMになるまで加えて、細胞をさらに3−4時間
または一晩成長を続けさせた後、8000g/10分遠心して収穫した。培養物
1lのペレットを−80℃で保存した。
(c) [SCR1−3(de1N195−K196)]TNANKSLSSISC
QTの単離および精製
この方法は本質的にDodd I.ら、Protein Expression and Purification6:727
-736(1995)に詳述されるものであり、次いで実施例18に記載のとおりいくつ
かの修飾を加えている。簡単には(b)の細胞培養物1lからの細胞ペレットを
緩衝液に再懸濁し、ソニケートし、遠心により封入体を単離した。封入体を十分
な還元用緩衝液100ml中再可溶化し、目的のタンパク質をMacroprep HighS
で精製した(含水重量30g)。カラムから1M NaCl含有緩衝液に溶出した
生成物(わずか1.5mg/mlで27ml)を冷60mMエタノールアミン/
1mM EDTA2.5l中に希釈し、1時間後にグルタチオン酸化還元対試薬
を添加してリフォールディングを行った。4℃で3日間の後YM10メンブラン
を用いて溶液を限外濾過し、保持物質を硫酸アンモニウムと反応させ、遠心し、
上澄をButyl Toyopearl650M(ベッド容量53ml)で精製した。A280
の1本のピークを硫酸アンモニウムグラジエントを減少させることにより溶出し
た。非還元条件下でSDS PAGEを行った後、タンパク質染色し、見かけの
分子量22000の主要なポリペプチドが示され、これが目的のタンパク質であ
ると考えられる。ボリペプチドを含有するものの一つは見かけの分子量が約40
000であり、これは隣接する[SCR1−3]-Cysのマーカーと比較して目的の
単量体の二量体であると同定された。生成物のタンパク質濃度は30μMで
あると推定された。実施例20 [SCR1−3(delN195−K196]TNANKSLSSIS C−(−S−S−[MSWP−1])QT(配列番号:17)の製造 実施例19に記載するように製造した[SCR1−3(delN195−K196
)]TNANKSLSSISCQT(約30μMタンパク質;0.1ml)をT
CEP(50mMHepes、pH4.5中5mM;0.0072ml)と混合し、
室温(22℃)で15時間インキュベートした。この溶液0.05mlを0.5
M エタノールアミン0.005mlおよび7mM MSWP−1、0.003m
l(実施例2を参照のこと)と混合した;溶液を室温でさらに4時間インキュベ
ートした。SDS PAGE分析により生成物の主要なバンドの見かけの分子量
が25000であることが示され、元の親物質の分子量23000からシフトし
たことは明らかである。実施例21 [SCR1−3]DGPSEILRGDFSSC(配列番号:23) の製造
(a) [SCR1−3]DGPSEILRGDFSSCをコード化するプラスミ
ドpBC04−31の構築
プラスミドpBC04−29(実施例19に記載)および合成オリゴヌクレオ
チド対(配列番号:25および配列番号:26)を用いてプラスミドpBC04
−31を構築した。pBC04−29を制限酵素HindIIIおよびApaIで消
化し、大きなフラグメント(2170塩基対)を単離した。二つのオリゴヌクレ
オチドを>90℃に加温し、徐々に室温にまで冷却することによりアニーリング
し、DNAフラグメントとライゲートした。ライゲートしたDNAをコンピテン
トイー・コリXLI−Blueに形質転換した。2733の位置で新規AvaI部位
の存在を探すことによりオリゴヌクレオチドが挿入されたプラスミドに関してコ
ロニーを分析した。AvaI pBC04−31で消化することにより2311
および495塩基対のフラグメントを生じた。陽性クローンからのDNAを用い
て発現株を形質転換した。挿入されたオリゴヌクレオチドはペプチド配列DGP
SEILRGDFSSCをSCR1−3のC末端に付加し、またpBC04−2
9に認められるフレームシフトのエラーをも修復した。
(b) [SCR1−3]DGPSEILRGDFSSCの発現、単離および精製
実施例6に概して記載した方法によりpBC04−31を用いて[SCR1−
3]DGPSEILRGDFSSCの発現、単離および精製を行った。実施例22 [SCR1−3]DGPSEILRGDFSSC−(−S−S−[MS WP−1])(配列番号:24)の製造 実施例21に記載した方法と類似の方法で製造した[SCR1−3]DGPSE
ILRGDFSSCタンパク質を実施例:8に1記載するようにMSWP−1と
反応させて標題化合物を得た。実施例23 [SCR1−3]AAPSVIGFRILLLKVAGC(配列番号 :33)の製造
(a) [SCR1−3]AAPSVIGFRILLLKVAGCをコード化する
pBC04−34の構築
プラスミドpBC04−29(実施例19に記載)および合成オリゴヌクレオ
チド対(配列番号:34および配列番号:35)を用いてプラスミドpBC04
−34を構築した。pBC04−29を制限酵素HindIIIおよびApaIで消
化し、大きなフラグメント(2170塩基対)を単離した。二つのオリゴヌクレ
オチドを>90℃に加温し、徐々に室温まで冷却することによりアニーリングし
、DNAフラグメントとライゲートした。ライゲートしたDNAをコンピテント
イー・コリXLI−Blueに形質転換した。Ndel/HindIIIフラグメン
トの大きさが59塩基対大きくなっているものを探すことによりオリゴヌクレオ
チドが挿入されたプラスミドに関してコロニーを分析した。2781の位置にD
deI部位が存在することによりシステインコドンが存在することを決定した。
pBC04−34をDdeIで消化することにより診断用のバンド481および
109塩基対を生じた。陽性クローンからのDNAを用いて発現株を形質転換し
た(次のセクションを参照のこと)。挿入されたオリゴヌクレオチドはペプチド
配列AAPSVIGFRILLLKVAGCをSCR1−3のC末端に付加し、
またpBC04−29に認められるフレームシフトのエラーをも修復した。
(b) [SCR1−3]APSVIGFRILLLKVAGCの発現、単離およ
び精製
実施例6に概して記載した方法によりpBC04−34を用いて[SCR1−
3]APSVIGFRILLLKVAGCの発現、単離および精製を行った。実施例24 [SCR1−3]AAPSVIGFRILLLKVAGC−(−S− S−[MSWP−1])(配列番号:36)の製造 実施例23に記載した方法と類似の方法で製造した[SCR1−3]AAPSV
IGFRILLLKVAGCタンパク質を実施例:8に記載するようにMSWP
−1と反応させた。
生物学的活性
(I)ヒツジ赤血球の古典的経路で媒介された溶血によって測定した抗−補体活
性
(i)補体阻害剤の機能的活性を、ウサギ抗体(Diamedix Corporation,Miami,
USA)で感作させたヒツジ赤血球の補体−媒介性溶解の阻害を測定することに
よって評価した。アッセイは、補体活性化の古典的経路に特異的であるように設
計される。0.1M Hepes/0.15M NaCl/0.1%ゼラチンpH
7.4中で1:500または1:400(アッセイ混合物中の最終濃度)に希釈
したヒト血清を補体源として用いた。Dacie & Lewis,1975に記載のようにボラ
ンティアのプールから血清を調製した。簡単に言うと、血液を37℃まで5分間
加温し、血餅を除去し、残りの血清は遠心分離によって不純物を除去した。血清
画分を少量のアリコートに分け、−196℃または−80℃で貯蔵した。アリコ
ートを必要に応じて解凍し、使用直前にHepes緩衝液中で希釈した。
感作されたヒツジ赤血球の補体−媒介性溶解の阻害を、v−底ミクロタイター
プレートフォーマットを用いる標準的な溶血アッセイを用いて、以下のように測
定した。
Hepes緩衝液中で希釈された一連の濃度範囲の阻害剤50μlを50μl
の希釈血清および100μlの感作されたヒツジ赤血球と混合し、次いで、37
℃で1時間インキュベートした。試料を周囲の温度で3分間1600rpmで回
転させた後、150μlの上清を平底ミクロタイタープレート上に移し、405
または410nmで吸光度を測定した。いかなる阻害剤も存在させずに血清を赤
血球とインキュベートすることによって、最大溶解度(Amax)を決定した。
いかなる血清または阻害剤も存在させずに赤血球をインキュベートすることによ
って、バックグラウンド溶解度(Ao)を決定した。IH50が溶解の50%阻
害に要する阻害剤濃度を示すように、阻害を全細胞溶解の画分として表した。
%阻害=1−[( A−Ao)/(Amax−Ao)]結果 ★ 2−メルカプトエタノール/グルタチオン誘導体として+
2つの溶液および実施例8d由来の元のプレー凍結乾燥溶液のアッセイ
同様のバッチに関して生じた他のIH50値は:
(1)15nM
(2)8nM、5nM、8nM、4nM
(3)0.3nM、0.2nM、0.07nM、0.06nM、0.2nM、0
.4nM、0.5nM、0.6nM
を包含する。
前記のデータは以下のことを示す:
1. 「ベース」タンパク質(WO94/00571のヒト補体レセプター1の
SCR1−3)および付加的C−末端システイン(SCR1−3/cys、実施
例6)または単一のカチオン性「スイッチ」配列(SCR1−3/スイッチ、実
施例7)のいずれかを有するその誘導体の補体阻害活性は類似する。
2. しかしながら、MSWPs−1、2または3(2つの膜結合エレメント(
静電気スイッチおよびミリストイル)の両エレメントを含有する)の付加による
SCR1−3/cysへの2つの膜結合エレメントの組み込み、またはMSWP
−1の付加によるSCR1−3/スイッチ構築物へ3つの膜結合エレメントの組
み込みにより、ベースまたは単一の膜結合エレメントタンパク質より有意に影響
力のある(−20−200x)産物を生じる。CD3−陽性細胞にみられる膜エ
レメントへの標的とされ、赤血球膜への標的とされないTCTP−1の使用は、
膜アドレスを有さないかまたは単一の膜アドレスを有するSCR1−3誘導体と
同様に有効な結合体を与える。したがって、赤血球膜事象(補体の膜攻撃複合体
による細胞溶解)に依存するアッセイにおける能力の増加は、2つの膜結合エレ
メントの組み合わせによる細胞溶解阻害剤タンパク質の膜標的の結果である。
(ii)古典的経路溶血アッセイにおける抗−補体活性のアッセイ:飼いならさ
れたブタ、モルモット、ラットおよびマーモセットの血清における活性
[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]の活性を、ブタ、モル
モット、ラットまたはマーモセットの血清を用いる古典的経路溶血アッセイにお
いて試験した。方法は、少しの修飾、例えば、使用する血清の濃度を少し変化さ
せることを用いて本質的に(I)に記載のとおりであった。本質的に実施例8c
に記載のように[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]を調製し
た。各血清に対するIH50値は:ブタ、0.2nM;モルモット、0.3nM
;ラット、0.4nM;マーモセット、0.2nMであった。これらの結果は、
[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]が様々な動物種の血清に
おいて古典的経路補体阻害を阻害できることを示す。
(II)モルモット赤血球の別の経路で媒介された溶血によって測定した抗−補
体活性
補体阻害剤の機能的活性をScesney,S.M.ら(1996)J.Immunol.26.172
9-1735によって記載されたように、モルモット赤血球の補体媒介溶解の阻害
を測定することによって評価した。アッセイは、補体活性化の別の経路に特異的
であるように設計される。Dacie & Lewis,1975に記載のようにボランティアの
プールから調製したヒト血清を補体源として用いた。簡単には、血液を37℃ま
で5分間加温し、血餅を除去し、残りの血清は遠心分離によって不純物を除去し
た。血清画分を少量のアリコートに分け、−196℃または−80℃で貯蔵した
。アリコートを必要に応じて解凍し、使用直前に0.1MHepes/0.15
M NaCl/0.1%ゼラチン/8mM EGTA/5mM MgCl2 pH7
.4(緩衝液A)中で希釈した。モルモット赤血球をEDTA−コートした試験
管中に収集したモルモットの全血液から、以下のように調製した。血液を160
0rpmで5分間回転させ、回転後の上清が無色になるまで赤血球ペレットを0
.1M Hepes/0.15M NaCl/0.1%ゼラチンpH7.4で3回
洗浄した。最終的に、赤血球を使用した血液の元の容量まで再懸濁し、+4℃で
貯蔵した。それらを2週間以内に使用した。
v−底ミクロタイタープレート中の緩衝液Aで希釈された一連の濃度範囲の阻
害剤50μlを、第1に、1:3に希釈した血100μl、および第2に、モル
モット赤血球(緩衝液Aで1:49に希釈した)50μlと混合し、37℃で1
時間インキュベートした。プレートを3分間1600rpmで回転させた後、1
50μlの各上清を平底ミクロタイタープレート上に移し、各試験溶液中の溶解
量を反映する405nmで吸光度を測定した。いかなる阻害剤も存在させずに血
清を赤血球とインキュベートすることによって、最大溶解度(Amax)を決定
した。いかなる血清または阻害剤も存在させずに赤血球をインキュベートするこ
とによって、バックグラウンド溶解度(Ao)を決定した。アッセイにおいて使
用した血清の最終希釈液は、405nmで吸収するが、その吸光度レベル(Am
axの約10%)は、全アッセイの結果に無視して良いほどの影響しか有さない
と考えられ、計算では無視した。IH50が溶解の50%阻害に要する阻害剤濃
度を示すように、阻害を全細胞溶解の画分として表した。
%阻害=1−[( A−Ao)/(Amax−Ao)]結果
実施例8(c)の記載と同様の方法で調製された[SCR1−3]−Cys−
S−S−[MSWP−1]の単一のバッチの2つのアリコート(1つは凍結乾燥
し、中性緩衝液中に再可溶化したもの、他方は凍結乾燥しないもの)を溶血アッ
セイで試験した。化合物に関するIH50値は:
[SCR1-3]-Cys-S-S-[MSWP-1](凍結乾燥しない) 310nM
[SCR1-3]-Cys-S-S-[MSWP-1](凍結乾燥する) 480nM
結果は、[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]が補体系の別
の経路に対して活性を示したこと、ならびにタンパク質の凍結乾燥および再可溶
化がタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼさなかった(実験的誤差の範囲内)
ことを示す。
(III)プラスミノーゲンアクチベーターアッセイ
(i)実施例16由来のSK−関連分子を、プラスミノーゲン活性化アッセイを
用いてアッセイした。精製したヒトLys77−プラスミノーゲン(25%v/v
グリセロールを含有するPST緩衝液[PSTG緩衝液]中1μM、0.5ml
)の溶液をチオール化(thiolated)SK(最終濃度0.1ないし1.07nM
)と共に25℃で1時間インキュベートした。該混合物のアリコート(10μl
)を1.0mMのプラスミン基質S−2251(H−D−Val−Leu−Ly
s−p-ニトロアニリド、KabiVitrum,ストックホルム、スウェーデン)と共に、
25℃にて0.1MトリエタノールアミンHCl pH8.0(0.5ml)中
でインキュベートした。405nmで連続的にp−ニトロアニリンの放出をモニ
ターした。これらの条件下、プラスミン活性の1基質単位(SU)を405nm
での光学濃度において0.001分あたりの増加を引き起こす酵素量として定義
する。これらの条件下、チオール化SK(1nM)は、ほとんど直線的に422
5SU/mlのプラスンミンを生じた。
SK−MSWP−1結合体をPSTG緩衝液中で1:100に希釈し、5−5
0μlアリコートをプラスミノーゲン活性化アッセイにおいて試験した。貯蔵調
製物は、およそ2.9μMの機能的SKを含有することがわかった。
(ii)実施例17のアシル−酵素調製物の潜在的活性をPST緩衝液中での2
0−50倍希釈および37℃で2時間のインキュベーションによって、次いで、
2mMS−2288(H−D−Ile−Pro−Arg−p-ニトロアニリド2
HCl)を用いて前記(i)に用いたのと同じ条件下でアッセイすることによっ
て測定した。これらの条件下、還元したPDAEB−>tPA調製物の潜在的活
性は2760SU/mlであり、MSWP−1/PDAEB−>tPA結合体で
は535SU/mlであった。
(IV)赤血球結合アッセイ
(i)修飾および非修飾ウサギ抗−(ヒト赤血球膜)抗体に関する赤血球凝集試
験
ヒトプールされた赤血球(Ortho A2,Raritan,New Jersey,3% v/v,50ul)を
ミクロタイタープレートウェルに加え、非修飾のウサギ抗−(ヒト赤血球膜)抗
体[RAEM]または実施例15由来のRAEM−MSWPI結合体のいずれか
を非希釈貯蔵RAEMに関して示した濃度で加えた。細胞を25℃にて〜100
rpmで40分間、激しく振盪した。5μlを各ウェルから採取し、光学顕微鏡
によってx20拡大で調べた。視覚的なスコアリングスケールを以下のように用
いた。
-凝集しない、細胞は相互に自由に移動している
+小さい凝集塊(<10細胞>)
++より大きい凝集塊(100プラス細胞)
+++非常に大きい可視凝集塊結果
対照(n=6) - RAEM−MSWP1 1/3900 +/-
RAEM1/1100 - RAEM−MSWP1 1/1000 +/-
RAEM1/600 -
RAEM1/350 +/- RAEM−MSWP1 1/357 +++
RAEM1/50 ++ RAEM−MSWP1 1/62 +++結論
膜−結合単位を含有するように修飾された抗体調製物は、膜表面における架橋
抗体のより高い有効濃度を可能にするMSWP1によって細胞膜に結合するので
、細胞の凝集の誘発においてより有効であった。
(ii)125−ヨード−[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1
]のヒト赤血球への結合
ヨードゲン法および試薬(Pierce and Warriner(UK)Ltd.)にしたがって、[
SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1](PBS中2mg/ml;
0.25ml)を9ナノモルのヨウ化カリウムの存在下で0.5mCiの125
−ヨード(Amersham)と混合した。標識化を室温で20分間行い、反応を0.1
mlの1Mヨウ化カリウムでクエンチし、溶液をPBS/0.1%アルブミンに
緩衝液交換した。健康なボランティアから採血したクエン酸塩加血液をヒト赤血
球源として用いた。血液(0.2ml)を10マイクロリットルの適当に希釈し
た125−ヨード−[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]と混
合し(最終濃度700μM)、37℃で30分間インキュベートした。次いで、
赤血球をPBS/遠心分離段階において3回繰り返して洗浄することによって単
離し、試料をWallac 1470 Wizardガンマカウンターでカウント
した。結果は以下のとおりであった。 cpm
第1回洗浄 3600000
第1回ペレット 140000
第2回洗浄 52000
第3回洗浄 6500
最終ペレット 26000
血液1mlあたり5X109赤血球および[SCR1−3]−Cys−S−S
−[MSWP−1]に関する比放射能2.7X107cpm/ナノモルを用いて
、[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]の約600分子が細胞
に
つき結合したことを算出した(「最終ペレット」の値)。
(iii)フルオレセイン標識−[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSW
P−1]のヒト赤血球への結合
[SCR1−3]−cys(実施例18に記載と同様な方法で調製した)(0
.1Mリン酸ナトリウム、約0.2M硫酸アンモニウムpH7.0中において4
5μM,1.0mg/ml)を4モル濃度過剰のTris(2−カルボキシエチ
ル)ホスフィン(TCEP;Pierce & Warriner(UK)Ltd.)の添加によって25
℃で18時間インキュベートすることにより部分的に還元した。溶液を50mM
Hepes pH7.0に緩衝液交換し;緩衝液交換後、タンパク質濃度は2
2μMであった。部分的に還元した[SCR1−3]−cysを4倍モル濃度過
剰の6−(フルオレセイン−5−カルボキサミド)ヘキサン酸,スクシンイミジ
ルエステル(Molecular Probes Inc.,USA)と共にインキュベートし、4℃で1
時間インキュベートした。過剰の蛍光標識をタンパク質溶液の50mM Hep
es pH7.0での緩衝液交換により除去した。MSWP−1(実施例2)を
加えることによってフルオレセイン−[SCR1−3]−Cys−S−S−[M
SWP−1]を合成して、5倍モル濃度過剰のフルオレセイン標識タンパク質を
得、25℃で4時間インキュベートした。溶液をPBSで緩衝液交換し、該溶液
を顕微鏡研究に用いた。
50mMギ酸中において10mg/mlの[SCR1−3]を1:10の割合
で50mM NaHCO3pH8.5と混合し;溶液のpHをNaOHでpH9.
5に調整した。フルオレセインをセライト−フルオレセインイソチオシアネート
(セライト:フルオレセイン;1:10、Sigma)から1:4(w/v)の割
合でDMSOによって抽出した。フルオレセイン−DMSO溶液をタンパク質溶
液に1:14の割合で加え、室温で1時間インキュベートした。過剰の標識を0
.01%Tween−80を含有するPBS中でのゲルろ過によって除去し、該
溶液を顕微鏡研究に用いた。
クエン酸塩加血液を健康なボランティアから採血し、赤血球を単離し、PBS
中で洗浄し、元の血液容量に対して250倍に希釈した。0.05mlの赤血球
を2μMフルオレセイン−[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1
]または2μMフルオレセイン−[SCR1−3]と共にインキュベートし、37
℃で30分間ィンキュベートした。8マイクロリットルの各インキュベーション
試料をスライド上に封入し、倒立共焦顕微鏡(Biorad)上で調べた。フルオレセ
イン−[SCR1−3]でインキュベートした細胞は、特異的な染色を示さなか
ったが、フルオレセイン−[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1
]でインキュベートした細胞の染色は細胞表面にわたり広汎に現れ、また、強く
染色された部分が細胞膜に見られた。標識は、細胞内に見られなかった。
(iv)MSWP−1/PDAEB−>tPAのヒト赤血球への結合
ヒトトリプシン処理およびグルタルアルデヒド処理した赤血球(4%懸濁液の
1.0ml)を低速遠心分離によってペレット化し、添加物を含有しないか、あ
るいは還元したPDEAB−>tPAまたは実施例17のMSWP−1/PDA
EB−>tPA結合体のいずれかの約270SUを含有する0.5ml PST
の全容量中に再懸濁した。混合物を23℃で5分間穏やかに回転させることによ
ってインキュベートし、次いで、細胞を遠心分離によってペレット化した後、1
.0ml PST緩衝液で2回洗浄した。最後に、細胞を0.5ml PST中
に懸濁し、37℃でインキュベートした。上清(100μl)の試料をペレット
化後に採取した。S−2288(前記のとおり)を用いるアッセイは、2時間後
、約7%の適用したt−PA活性がMSWP−1/PDAEB−>tPAに曝露
した細胞の上清に存在するが、還元したPDAEB−>tPAに曝露した細胞の
上清には〜2.8%のみが存在することを示した。t−PAアミド分解活性は、
対照において検出されなかった。
該実験は、t−PAの活性部位のMSWP−1への可逆的結合が、該酵素の赤
血球細胞へ結合する傾向を増加させることを示唆した。
(v)ヒト赤血球表面におけるSK−MSWP−1結合体の局在性
ヒト赤血球の安定化調製物(トリプシン処理した、グルタルアルデヒド処理し
たもの、Sigma,Giningham,UK,4%v/v,0.4ml)を遠心分離(〜20
00g/2分)によってペレット化し、0.1μMチオール化SKまたは実施例
16由来の0.1μM SK−MSWP−1のいずれかを含む0.4ml PS
T緩衝液中に再懸濁した。
懸濁液を37℃で30分間インキュベートし、次いで、遠心分離およびPST
緩衝液中での再懸濁の2サイクルによって洗浄した。最後に、それらを1μMプ
ラスミノーゲンを含有するPSTG緩衝液(0.4ml)中に再懸濁し、インキ
ュベートし、前記のようにプラスミンについてアッセイした。
対照チオール化−SKは522SU/mlの割合でプラスミンを生じたが、S
K−MSWP−1結合体は6184SU/mlを生成した。後者の活性は、およ
そ2100チオール化SK分子/細胞に相当した。
(vi)[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]のヒト赤血球膜
への結合
4X2.0mlのトリプシン処理した、グルタルアルデヒド処理したヒト赤血
球(Sigma,RO127)を約3000rpmで2分間遠心分離した。上清を捨て、細
胞をホスフエート/セーライン/Tween(0.01%)(PST)(試験管
あたり1ml)中に再懸濁し、実施例8の[SCR1−3]−Cys−S−S−[
MSWP−1]を最終濃度20μg/mlまで3本の試験管に加えた。次いで、
混合物を37℃で30分間インキュベートし、次いで、遠心分離およびPST中
での洗浄の繰り返しによって5回洗浄した。最後に、細胞を1ml PST中に
懸濁し、4℃に保持した。
これらの細胞の、ヒツジ赤血球の補体−媒介性溶解を阻害する能力を(I)に
前記した標準的な古典的経路補体阻害アッセイを用いて測定した。ヒト赤血球を
4つの異なる希釈度でアッセイに加えた後、ヒト血清、次いでヒツジ赤血球細胞
を加え、通常通り37℃でインキュベートした。%阻害データを以下に示す。
よって、最大希釈度の[SCR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]
処理した細胞に対するパーセンテージ阻害は、1/4希釈で処理しなかった細胞
より有意に大きい。したがって、[SCRI−3]−Cys−S−S−[MSW
P−1]処理した細胞は、たとえ、細胞を広範囲に洗浄していずれの非結合[S
CR1−3]−Cys−S−S−[MSWP−1]も除去したとしても、処理し
ない細胞よりも少なくとも600倍大きい補体阻害活性を含んだ。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07K 7/08 C07K 14/47
14/47 14/54
14/54 14/565
14/565 16/24
16/24 16/28
16/28 19/00
19/00 C12N 9/00
C12N 9/00 9/12
9/12 9/64 Z
9/64 C12P 21/02 C
C12P 21/02 G01N 33/53
G01N 33/53 A61K 37/02
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,
LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,
UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ドッド,イアン
イギリス、エスジー8・5エイチディ、ハ
ートフォードシャー、ロイストン、オーチ
ャード・ロード・ナンバー2番、ユニット
3
(72)発明者 モサコースカ,ダヌタ・エワ・イレーナ
イギリス、シーエム19・5エイダブリュ
ー、エセックス、ハーロウ、サード・アベ
ニュー、ニュー・フロンティアーズ・サイ
エンス・パーク・サウス、スミスクライ
ン・ビーチャム・ファーマシューティカル
ズ