JP2000515155A - Gタンパク質共役受容体に対する2価アゴニスト - Google Patents

Gタンパク質共役受容体に対する2価アゴニスト

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Abstract

(57)【要約】 2つのアゴニストまたは2つのアンタゴニスト・リガンドドメインを含み、これらのリガンドドメイン間の距離が約40〜約250Åであり、かつこれら2つのリガンドドメインに共有結合で結合されているバックボーンをさらに含んでなる、1種以上のGタンパク質共役受容体に対して親和性を有する2価アゴニストが提供される。さらに、1つのアゴニストおよび1つのアンタゴニスト・リガンドドメインを含んでなる2価アゴニストも提供される。特定の態様において、2価アゴニストはペプチドダイマーであり、前記バックボーンが2つのスペーサー領域、2つのポリリシン領域および1つのジスルフィド結合領域を含み、その際、前記リガンドドメイン、スペーサー領域、ポリリシン領域およびジスルフィド結合領域が一緒に共有結合されている順序は、(リガンドドメイン)−(スペーサー領域)−(ポリリシン領域)−(ジスルフィド結合領域)−(ポリリシン領域)−(スペーサー領域)−(リガンドドメイン)の順である。このようなペプチドダイマーはそれらの対応モノマーの酸化的二量体化により製造される。

Description

【発明の詳細な説明】 Gタンパク質共役受容体に対する2価アゴニスト 1.発明の分野 本発明は、GPCRに対して親和性を有する2価アゴニスト、2価アゴニストとし て有用なペプチドダイマー、およびその製造方法および使用方法に関する。 2.発明の背景 Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、二次メッセンジャー応答を開始するため に細胞膜を通してシグナルを伝達しうる形質膜タンパク質である。この目的のた めに、GPCRは小さな生体アミンからペプチド、小さなタンパク質および大きな糖 タンパク質まで、種々のリガンドに結合する(C.D.Straderら,Annu.Rev.Bioc hem.63,101-132(1994))。GPCRは全て、形質膜を貫通すると考えられており、 親水性の細胞内および細胞外ループに結合した7個の疎水性ドメインを有してい る。GPCRサブファミリーの例として、ドーパミン、セロトニン、サブスタンスP 、ブラジキニン、アンジオテンシン、ソマトスタチンおよびルトロピンの受容体 を含むロドプシン/βアドレナリン(βAR)ファミリー;セクレチン、グルカ ゴン、グルカゴン様ペプチド1、ガストリックインヒビターペプチド、副甲状腺 ホルモン、セクレチン/バソインテスティナルペプチド、下垂体アデニル酸シク ラーゼ活性化ペプチド、カルシトニンおよび成長放出ホルモンの受容体を含むセ クレチン/バソインテスティナルペプチド(VIP)ファミリー;およびグルタミ ン酸の受容体を含む代謝型グルタミン酸(mGlu)ファミリーが挙げられる。今日 まで、Ca2+、嗅覚、プロスタグランジンおよびsweet−taste受容体を含む、250 種を越えるGPCRが同定されている(M.A.Cascieriら,JPM 33(4),179-185(1995) ;C.D.Straderら,FASEB J.9,745-754(1995))。 免疫グロブリンのような多価のリガンドは、その結合部位に対して親和性が顕 著に増大している。結合力のエントロピー効果に基づき、多価であることによっ て理論上見かけの結合親和性が数桁増加しうる(D.M.Crothersら,Immunochemis try 9,341-357(1972))。この親和性の増加は通常はより小さいものであるが、 多価の分子は臨床薬理学における強力な応用の可能性がある。例えば、特殊な細 胞のサブタイプに対し、あるいは血液−脳関門を通して、毒素、薬剤および、潜 在的にはプラスミドDNAをターゲッティングするために合成の2価リガンドを使 用することができる。 熱力学的には、細胞表面上の近接したエピトープに対する多価抗体の結合はキ レート効果に類似している(C.G.Spikeら,J.Amer.Che.Soc.75,2726-2729( 1953);D.Neriら,J.Mol.Biol.246,367-373(1995))。この効果はもともとキ レート環の安定性の増加を説明するために記載されたものであるが、酵素反応の 速度の加速において、またポリヌクレオチドの塩基対形成においても関係がある (M.I.Pageら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 68,1678-1683(1971);C.Delisiら ,Biopolymers 10,1809-1827(1971))。これらの反応に共通な性質は、初期反 応(例えば抗原に対する1本の抗体の「腕」の結合)の後、エントロピー損失が 減少するためにそれぞれの次の反応(例えば隣接するエピトープへの抗体の第二 の「腕」の結合)がより好ましくなることである。 隣接するエピトープに結合できる2価分子の特定の例としては、抗体フラグメ ント(Fab)または単鎖抗体(Fv)からなる小さな2価抗体が挙げられる(P.Pac kら,Biochemistry 31,1579-1584(1992);P.Holligerら,Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 90,6444-6448(1993);W.D.Mallenderら,J.Biol.Chem.269,199-206( 1994))。更に、2価の炭水化物および種々の合成ドラッグデリバリーシステム 等、他の多価の分子が隣接するエピトープに結合するように設計されている(R. T.Leeら,Biochemistry 23,4255-4261(1984);R.Duncanら,Clin.Pharmacokine t.27,290-306(1994))。 受容体−接着型モジュラータンパク質(RAMP)等の2価のペプチドは、細胞タ ーゲッティングへのもう一つのアプローチとして使用されてきた(M.Engelら,B iochemistry 30,3161-3169(1991);C.A.Slateら,Int.J.Peptide Protein Res .45,290-298(1995))。スペーサー領域で分離された2つのリガンド部位およ びダイマー化ドメインを有するこれらの大きな合成ペプチドは、2つの膜受容体 に同時に結合することを目的として設計された。そのもともとの設計では、ダイ マー化ドメインは二本鎖の並行したαヘリックスコイルドコイルからなり、リガ ンド領域は2つの同一のインテグリン受容体結合ペプチドから構成されていた。 しかしながら、2つのリガンドドメインが少なくとも50オングストローム離れ ているにもかかわらず、このダイマー構築物の親和性の増加が証明されず、こう したダイマーペプチドは2つの受容体に同時に結合できないことが示唆された。 これまでの研究から、2つのGPCR間の最小距離は40オングストローム(Å)で あることが示唆された(G.F.X.Schertlerら,Nature 362,770-772(1993))が、 一方免疫グロブリンの構造研究からは抗原結合部位間の距離は100−250Å であることが証明された(D.M.Crothersら,Immunochemistry 9,341-357(1972) )。 これまでの研究により、抗GnRH抗体と共にインキュベートして、架橋の長さ1 50Åのより大きなダイマーを形成した、短い架橋ゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH)ペプチドダイマーは、機能的黄体形成ホルモン(LH)放出アッセイにお いて、相当する短いダイマーと比較してアゴニスト活性が増加していることが示 された(P.M.Connら,Endocrinology 111,335-337(1982))。 更に、抗体と2つのGnRHアンタゴニストとの可逆的な会合の結果、アゴニスト 活性を有する会合が生じることが示された(P.M.Connら,Nature 296,653-654( 1982))。しかしながら、その場合、2つのGnRHアンタゴニストおよび抗体間に 共有結合もイオン結合も存在しないため、こうした可逆的な会合は容易に壊れ、 アゴニスト活性の停止につながる。 活性部とその受容体との相互接触を可能とする適当なスペーサー部を有し、ダ イマー形成を通して作用することが知られる単一の貫膜受容体に結合するいずれ の小分子のダイマーも、アゴニスト活性を有しうることが推測されている(B.Se ed,Chemistry&Biology 1(3),125-29(1994))。 当該分野においては、現在利用できるものよりも機能的活性またはin vivo効 力が増大した、容易に合成できるアゴニストに対する明らかな需要がある。 本出願明細書の第2節に記載する参考文献の引用または同定は、こうした引用 文献が本発明に対する先行技術として利用できるものであることを認めたものと 解釈してはならない。 3.発明の概要 本発明は、それぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容体に対するアゴニ ストであるリガンドドメインを含み、1種以上のGタンパク質共役受容体に対す る親和性を有する2価アゴニストであって、リガンドドメイン間の距離が約40 から約250Åの範囲にあり、該アゴニストが更に2つのリガンドドメインに共 有結合した分子バックボーンを有する2価アゴニストを提供する。 本発明は更に、それぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容体に対するア ンタゴニストであるリガンドドメインを含み、1種以上のGタンパク質共役受容 体に対する親和性を有する2価アゴニストであって、リガンドドメイン間の距離 が約40から約250Åの範囲にあり、該アゴニストが更に2つのリガンドドメ インに共有結合した分子バックボーンを有する2価アゴニストを提供する。 本発明は更に、第1のGタンパク質共役受容体に対するアゴニストである第1 のリガンドドメイン、および第2のGタンパク質共役受容体に対するアンタゴニ ストである第2のリガンドドメインを含み、1種以上のGタンパク質共役受容体 に対する親和性を有する2価アゴニストであって、リガンドドメイン間の距離が 約40から約250Åの範囲にあり、該アゴニストが更に第1および第2のリガ ンドドメインに共有結合した分子バックボーンを有する2価アゴニストを提供す る。 本発明は更に、ある量のモノマーをある量の酸化剤で処理する工程を含む、2 価アゴニストダイマーの合成方法であって、モノマーが分子バックボーンに共有 結合したリガンドドメインを有し、該リガンドドメインは (a)Gタンパク質共役受容体に対するアゴニストであり、そして (b)ペプチドを含み、 バックボーンは共有結合しているスペーサー領域、ポリリシン領域、およびスル フヒドリル基含有アミノ酸残基を有し;前記量の酸化剤はスルフヒドリル基を酸 化することができ、酸化されたスルフヒドリル基が別のモノマーの酸化されてい ないスルフヒドリル基と反応してジスルフィド結合を有するダイマーを形成する ことを特徴とする、2価アゴニストダイマーの合成方法を提供する。 本発明は更に、ある量のモノマーをある量の酸化剤で処理する工程を含む、2 価アゴニストダイマーの合成方法であって、モノマーが分子バックボーンに共有 結合したリガンドドメインを有し、該リガンドドメインは (a)Gタンパク質共役受容体に対するアンタゴニストであり、そして (b)ペプチドを含み、 バックボーンは共有結合しているスペーサー領域、ポリリシン領域、およびスル フヒドリル基含有アミノ酸残基を有し;前記量の酸化剤はスルフヒドリル基を酸 化することができ、酸化されたスルフヒドリル基が別のモノマーの酸化されてい ないスルフヒドリル基と反応してジスルフィド結合を有するダイマーを形成する ことを特徴とする、2価アゴニストダイマーの合成方法を提供する。 本発明は更にまた、細胞を2価アゴニストと接触させることを含む、細胞によ って発現された1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激する方法を 提供する。該アゴニストはそれぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容体に 対するアゴニストである2つのリガンドドメインを有し、更に該アゴニストは2 つのリガンドドメインに共有結合した分子バックボーンを有する。リガンドドメ イン間の距離は約40から約250Åの範囲にある。 本発明は更にまた、細胞を、それぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容 体に対するアンタゴニストである2つのリガンドドメインを有する2価アゴニス トと接触させることを含む、細胞によって発現された1種以上のGタンパク質共 役受容体をアゴニスト刺激する方法であって、リガンドドメイン間の距離が約4 0から約250Åの範囲にあり、該アゴニストが更に2つのリガンドドメインに 共有結合した分子バックボーンを有する、上記方法を提供する。。 本発明は更にまた、細胞を、第1のGタンパク質共役受容体に対するアゴニス トである第1のリガンドドメインおよび第2のGタンパク質共役受容体に対する アンタゴニストである第2のリガンドドメインを有する2価アゴニストと接触さ せることを含む、細胞によって発現された1種以上のGタンパク質共役受容体を アゴニスト刺激する方法であって、リガンドドメイン間の距離が約40から約2 50Åの範囲にあり、該アゴニストが更に第1および第2のリガンドドメインに 共有結合する分子バックボーンを有する、上記方法を提供する。 更にまた、本発明は、それぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容体に対 するアゴニストである2つのリガンドドメインを含み、1種以上のGタンパク質 共役受容体に対する親和性を有する2価アゴニスト、および製薬上許容しうる担 体を含有する、1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するための 組成物であって、リガンドドメイン間の距離が約40から約250Åの範囲にあ り、該アゴニストが更に2つのリガンドドメインに共有結合する分子バックボー ンを有し、該2価アゴニストの量が1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニ スト刺激するのに有効なものである、上記組成物を提供する。 更にまた、本発明は、それぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容体に対 するアンタゴニストである2つのリガンドドメインを含み、1種以上のGタンパ ク質共役受容体に対する親和性を有する2価アゴニスト、および製薬上許容しう る担体を含有する、1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するた めの組成物であって、リガンドドメイン間の距離が約40から約250Åの範囲 にあり、該アゴニストが更に2つのリガンドドメインに共有結合する分子バック ボーンを有し、該2価アゴニストの量が1種以上のGタンパク質共役受容体をア ゴニスト刺激するのに有効なものである、上記組成物を提供する。 更にまた、本発明は、第1のGタンパク質共役受容体に対するアゴニストであ る第1のリガンドドメイン、および第2のGタンパク質共役受容体に対するアン タゴニストである第2のリガンドドメインを含み、1種以上のGタンパク質共役 受容体に対する親和性を有する2価アゴニスト、および製薬上許容しうる担体を 含有する、1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するための組成 物であって、リガンドドメイン間の距離が約40から約250Åの範囲にあり、 該アゴニストが更に第1および第2のリガンドドメインに共有結合する分子バッ クボーンを有し、該2価アゴニストの量が1種以上のGタンパク質共役受容体を アゴニスト刺激するのに有効なものである、上記組成物を提供する。 3.1. 略語 本明細書において、以下の略語を使用する。 A アラニン βAla β−アラニン C システイン E グルタミン酸 F フェニルアラニン G グリシン H ヒスチジン K リシン L ロイシン M メチオニン N アスパラギン P プロリン Q グルタミン R アルギニン S セリン V バリン W トリプトファン Y チロシン ε-Ahx ε-アミノヘキサン酸 α-MSH α-メラノサイト刺激ホルモン α-MSH-ANT α-メラノサイト刺激ホルモン受容体 アンタゴニスト Boc t−ブチルオキシカルボニル DIEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン DMF N,N-ジメチルホルムアミド DMSO ジメチルスルホキシド EC50 アゴニスト応答の50%が達成される濃度 Fmoc 9-フルオレニルメトキシカルボニル GnRH ゴナドトロピン放出ホルモン GPCR Gタンパク質共役受容体 HBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3,- テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェ ート HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール HPLC 高速液体クロマトグラフィー IC50 アンタゴニスト応答の50%が達成される濃度 MBHA メチルベンズヒドリルアミン NMP N-メチルピロリジノン PBS リン酸緩衝液 PI ホスファチジルイノシトール Pmc 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル tBu tert-ブチル TFA トリフルオロ酢酸 Trt トリチル 上記のように定義したアミノ酸の略号の直前に表示「d」がある場合は、その アミノ酸が非天然のd-エナンチオマーであることが理解されよう。 本発明は、以下の図面、詳細な説明および実施例を参考とすることでより十分 に理解できるが、これらは本発明の非限定的な実施態様を例示したものである。 4.図面の説明 図1は、本発明のα−MSHペプチドダイマーのHPLCクロマトグラムであ る。保持時間(Rt)=39.0分。 図2は、本発明のα−MSHモノマーのHPLCクロマトグラムである。保持 時間(Rt)=44.0分。 図3は、α−MSHモノマーがメラノサイト色素の分散に及ぼす影響の経時変 化を示すグラフである。グラフ中のそれぞれの点は3回の実験サンプルの平均値 を示す。○=1nm;□=10nm;◇=25nm;△=50nm;●=100 nm;および■=500nm。 図4は、α−MSHモノマーおよびα−MSHダイマーがメラノサイト色素の 分散に及ぼす影響の用量依存性を示すグラフである。「薬剤」とは、α−MSH モノマーまたはα−MSHダイマーをさす。グラフ中のそれぞれの点は3回の実 験サンプルの平均値を示す。○=α−MSHダイマー;□=α−MSHモノマー 。 図5は、α−MSH−ANTモノマーおよびα−MSH−ANTダイマーがメ ラノサイト色素の分散に及ぼす影響の用量依存性を示すグラフである。「薬剤」 とは、α−MSH−ANTモノマーまたはα−MSH−ANTダイマーを意味す る。グラフ中のそれぞれの点は3回の実験サンプルの平均値を示す。○=α−M SH−ANTダイマー;□=α−MSH−ANTモノマー。 図6は、モノマーおよびダイマーのα−MSH−ANTがメラノサイト色素の 分散に及ぼす影響の用量依存性を示すグラフである。「薬剤」とは、α−MSH −ANTモノマーまたはα−MSH−ANTダイマーを意味する。グラフ中のそ れぞれの点は3回の実験サンプルの平均値を示す。○=α−MSH−ANTダイ マー;□=α−MSH−ANTモノマー。 図7は、モノマーおよびダイマーのボンベシンがメラノサイト色素の分散に及 ぼす影響の用量依存性を示すグラフである。「薬剤」とは、ボンベシンモノマー またはボンベシンダイマーを意味する。グラフ中のそれぞれの点は3回の実験サ ンプルの平均値を示す。○=ボンベシンダイマー;□=ボンベシンモノマー。 5.発明の詳細な説明 5.1 2価アゴニスト 本発明者らは、本発明の2価アゴニストが、2つのアゴニスト・リガンドドメ イン、2つのアンタゴニスト・リガンドドメイン、または1つのアゴニスト・リ ガンドドメインと1つのアンタゴニスト・リガンドドメインのいずれを有してい てもGPCRに対してアゴニスト活性を有することを見いだした。2価アゴニストが 単独で同一のまたは異なるGPCRに対するアゴニストである2つのリガンドドメイ ンを有する場合、驚くべきことに2価アゴニストのアゴニスト活性は2つの個々 のアゴニストリガンドよりも相乗的に高い。2価アゴニストが単独でアンタゴニ ストである2つのリガンドドメインを有する場合、驚くべきことに2価アゴニス トの活性は拮抗的というよりも刺激的である。2価アゴニストが1つのアゴニス ト・リガンドドメインおよび1つのアンタゴニスト・リガンドドメインを有する 場合、2価アゴニストの活性は刺激的である。本発明の2価アゴニストはこれま で報告されたアゴニストよりも十分低い量で効果的なアゴニストであると考えら れるため、本発明の2価アゴニストの使用によって、アゴニスト・リガンドドメ インの使用に伴う毒性の問題が回避される。 本発明は、GPCRに対する親和性を有する2価アゴニストを提供する。「2価」 とは、それぞれがGPCRに対する親和性を有する2つのリガンドドメインを有する アゴニストを意味する。GPCRは同じでも、また異なっていてもよい。リガンドド メインは本発明の2価アゴニストの(共有結合を介する)分子成分である。それ ぞれのリガンドドメインはGPCRに対する特異的な結合親和性を有する。本発明の 2価アゴニストのリガンドドメインが同じであっても、または異なっていても良 いことは理解されるべきである。好ましい態様において、リガンドドメインの1 つが親和性を有するGPCRの一つはMSH受容体である。もう一つの態様において 、2つのリガンドドメインが親和性を有するGPCRはいずれもMSH受容体である 。 リガンドドメインは2価アゴニストと目的の細胞型のGPCRとの結合を容易にす る。有用なリガンドドメインはタンパク質(ペプチドおよびポリペプチドを含む )またはその誘導体からなる群から独立して選択され、ホルモン、抗原、合成ま たは天然の薬物等;オピエート;ドーパミン;セロトニン;Ca2+;カテコール アミン;トロンビン;アセチルコリン;プロスタグランジン;香料等の小分子; フェロモン;アデノシン;スクロース、グルコース、ラクトースおよびガラクト ース等の単純な糖;GPCRを認識し、これに対する親和性を有する他の分子;およ びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 アゴニスト・リガンドドメインとして有用な特定の化合物として、アンギオテ ンシンII、ブラジキニン、N-ホルミル-Met-Leu-Phe(走化性ペプチド)、ダイノ ルフィンA断片1-13、(D-Ser2)-ロイシン エンケファリン-Thr、ボンベシン 、ヒト成長ホルモン放出因子、ヒトLH-RH、α−MSH、キネテンシン、ニューロテ ンシン、モルフィセプチン、(Thr4、Gly7)-オキシトシン、ソマトスタチン、 (Sar9、Met(O2)11)-サブスタンスP、および目的のGPCRに対する天然リガンド が挙げられるが、これらに限定されない。 アンタゴニスト・リガンドドメインとして有用な特定の化合物として、(Sar1 ,Ala8)-アンギオテンシンII、(D-Phe7)-ブラジキニン、N-t-Boc-Met-Leu-Ph e(走化性ペプチドアンタゴニスト)、N-カルボキシメチル-Phe-Leu、ロイペプ チン、N-アセチル-Pen-Arg-Gly-Asp-Cys、(D-Phe12,Leu14)-ボンベシン、(N -アセチル-Tyr1,D-Arg2)断片1-29アミド、(D-Phe2,D-Ala6)-LH-RH、(D-Tr p11)-ニューロテンシン、バソプレッシンおよび(D-Arg1,D-Trp7,9,Leu11)- サブスタンスPが挙げられるが、これらに限定されない。有用なα−MSHアンタ ゴニストとしては、D-Trp-Arg-Xaa-NH2(ここでXaaはLeu、Nle、Nva、Met、D-Nl e、Ile、 AbU、Val、 ArgまたはD-Argである);D-Trp-Xaa-Nle-NH2(ここでXaa はLys)D-Arg、Leu、Nle、Ala、MetまたはAbuである);およびXaa-Arg-Nle-NH2 (ここでXaaはD-Phe、D-Tyr、Ac-D-rp、TrpおよびD-Hisである)が挙げられる (J.M.Quillanら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,2894-2898(1995))。 アゴニストまたはアンタゴニスト・リガンドドメインとして有用な他の化合物 は当該分野で公知のものから選択され、例えばSigma Chemical Co.(St.Louis ,Missouri)から入手可能な「生化学的、有機化合物および診断試薬のシグマケ ミカル社カタログ」から選択することができる。先に特定したペプチドアゴニス トおよびアンタゴニスト、ならびにアゴニストまたはアンタゴニスト・リガンド ドメインとして有用な他の化合物は、例えばSigma Chemical Co.(St.Louis,M issouri)、およびPeninsula Laboratories(Belmont,California)から得ること ができる。あるいはまた、先に特定したペプチドアゴニストおよびアンタゴニス ト、ならびにアゴニストまたはアンタゴニスト・リガンドドメインとして有用な 他の化合物は、当該分野で良く知られている方法によって、合成でき、または天 然源あるいは組換え発現系から精製することができる。 本明細書中で使用する場合、「アゴニスト」とは、その分子に特異的な受容体 を活性化し、その受容体のシグナル伝達経路における適切な二次メッセンジャー 応答を引き出す分子のことである。かくして、アゴニストのその受容体への結合 は、受容体が介在する生化学的応答を引き出す。本明細書中で使用する場合、「 アンタゴニスト」とは、受容体に結合して、アゴニストが受容体を刺激すること を阻害する化合物を意味する。かくして、アンタゴニストのその受容体への結合 は、受容体が介在する生化学的応答を引き出さない。 GPCRの例としては、ドーパミン、セロトニン、サブスタンスP、ブラジキニン 、アンギオテンシン、ソマトスタチンおよびルトロピンに対する受容体を含むロ ドプシン/βアドレナリン受容体;セクレチン、グルカゴン、グルカゴン様ペプ チド1、ガストリックインヒビターペプチド、副甲状腺ホルモン、セクレチン/ バソアクティブ・インテスティナル・ペプチド、下垂体アデニル酸シクラーゼ活 性化ペプチド、カルシトニンおよび成長ホルモン放出ホルモンに対する受容体を 含むセクレチン/バソアクティブ・インテスティナル・ペプチド受容体;および グルタミン酸に対する受容体を含むMglu受容体が挙げられるが、これらに限定さ れるものではない。C.D.Straderら,Annu.Rev.Biochem.63,101-132(1994);M .A.Cascieriら,JPM33(4),179-185(1995);およびC.D.Straderら,FASEBJ.9,7 45-754(1995)を参照のこと。 2価アゴニストの2つのリガンドドメインは、共にアゴニストであっても、共 にアンタゴニストであっても、あるいは1つのアゴニストと1つのアンタゴニス トであってもよい。 既知のアゴニストおよびアンタゴニストの使用に加え、例えばGPCRを有し、特 定の生理学的応答を引き出すことが知られている細胞型と所望の化合物との接触 等の、当該分野で知られているいずれかの方法によって、GPCRに対するアゴニス トまたはアンタゴニストとして使用しうる可能性のある化合物に対して、その潜 在的なアゴニストまたはアンタゴニスト活性をスクリーニングすることができる 。ここで特定の生理学的応答が引き出された場合、その化合物はアゴニストであ る。一例として、同じGタンパク質共役受容体に対してアンタゴニスト活性を有 する化合物をアッセイするためには、目的の生理学的応答に対するアゴニストで あることが知られている化合物とアンタゴニスト活性を潜在的に有する化合物の 混合物を細胞型と接触させる。アンタゴニスト活性を潜在的に有する化合物の存 在下で、アゴニスト量を減らしても生理学的応答が正常に観察された場合には、 その化合物はその特定のGPCRに対するアゴニストである。 本発明の2価アゴニストは単一特異的であっても二重特異的であってもよい。 「単一特異的」とは、2つのリガンドドメイン、すなわち、2つのアゴニストリ ガンド、2つのアンタゴニストリガンド、あるいは1つのアゴニストと1つのア ンタゴニストリガンドが、GPCRの1つの型に対して選択的な結合親和性を有する ことを意味する。単一特異的な2価アゴニストにおいて、2つのリガンドドメイ ンは同一であることが好ましい。「二重特異的」(異種特異的)とは、2つのリ ガンドドメイン、すなわち、2つのアゴニストリガンド、2つのアンタゴニスト リガンド、あるいは1つのアゴニストと1つのアンタゴニストリガンドが、同一 ではなく、異なる型のGPCRに対して選択的であることを意味する。 上記のように、本発明は二重特異的な2価アゴニストを包含する。例えば、特 定の態様において、2価アゴニストの一方のリガンドドメインがα-MST-ANTを含 み、他方のリガンドドメインがボンベシンアンタゴニストを含む。本発明の2価 アゴニストに組み入れるために選択される特定のリガンドドメインに関わらず、 二重特異的なダイマーアンタゴニストは、一般に双方の型の受容体を発現してい る細胞においてのみ実質的なアゴニスト活性を有し、そしてこれらの標的細胞が 2価アゴニストに対して特異的にエンドサイトーシスを行うと考えられる。例え ば、一方のリガンドドメインとしてα-MST-ANTを含み、他方のドメインとしてボ ンベシンアンタゴニストを含む2価アゴニストは、双方の受容体を発現している 細胞によって最も効率的にエンドサイトーシスされ、この2つの異なる受容体の 一方のみを発現している細胞、またはいずれも発現していない細胞によるエンド サイトーシスはずっと少ない。一方、それ自体がアゴニストである2つのリガン ドドメインを有する二重特異的な2価アゴニストの場合には、2つの二重特異的 リガンドドメインの一方または双方に対して特異的なGPCRを有する細胞は、2価 アゴニストを飲み込むことができると考えられる。結合力の増大という利益と合 わせ、それ自体がアンタゴニストとして作用するリガンドドメインを有する二重 特異的なアゴニストは、標的細胞による取り込みが最高一桁増大する。 従って、アゴニストが第1のGPCRを認識する第1のアンタゴニスト・リガンド ドメイン、および第2の異なるGPCRを認識する第2の異なるアンタゴニスト・リ ガンドドメインを含む、本発明の二重特異的なアゴニストを使用して対象の細胞 をアゴニスト刺激する好ましい方法において、対象の細胞は第1または第2のGP CR、好ましくは第1および第2のGPCRの双方を発現する。二重特異的な2価アゴ ニストが2つのアゴニスト・リガンドドメインを含む場合、対象の細胞は好まし くは第1または第2のGPCR、より好ましくは第1および第2のGPCRの双方を発現 する。二重特異的な2価アゴニストが第1のGPCRを認識する1つのアゴニストお よび第2のGPCRを認識する1つのアンタゴニスト・リガンドドメインを有する場 合、対象の細胞は好ましくは少なくとも第1のGPCRを発現し、より好ましくは第 1および第2のGPCRの双方を発現する。2つのアゴニスト・リガンドドメインを 含む二重特異的な2価アゴニストを使用する特に好ましい態様において、2つの リガンドドメインは同じGPCRに結合し、細胞はそのGPCRを発現する。 このように、本発明は、第1および第2のGタンパク質共役受容体に対して共 にアゴニストであるか、または共にアンタゴニストである2つのリガンドドメイ ンを含む2価アゴニストと細胞を接触させることを含む、細胞が発現する1種以 上のGPCRをアゴニスト刺激する(適切な二次メッセンジャー応答を引き出すよう に活性化する)方法であって、リガンドドメイン間の距離が約40から約250 Åの範囲であり、アゴニストが更に2つのリガンドドメインに共有結合する分子 バックボーンを含んでなる、上記方法を提供する。 更に、本発明は、細胞を第1のGPCRに対するアゴニストである第1のリガンド ドメインおよび第2のGPCRに対するアンタゴニストである第2のリガンドドメイ ンを含む2価アゴニストと接触させることを含む、細胞が発現する1種以上のGP CRをアゴニスト刺激する方法であって、リガンドドメイン間の距離が約40から 約250Åの範囲であり、アゴニストが更に2つのリガンドドメインに共有結合 する分子バックボーンを含んでなる、上記方法を提供する。 細胞が発現する1種以上のGPCRをアゴニスト刺激する方法の種々の態様におい て、細胞は(それぞれ2つのリガンドドメインによって認識される)第1または 第2のGPCRのいずれかを発現していてもよく、また第1および第2のGPCRの双方 を発現していてもよい。更に、本発明の2価アゴニストのリガンドドメインによ って認識されるGPCRは同じであっても異なっていてもよい。特定の態様において 、第1または第2のGPCRのいずれかはMSH受容体である。好ましい態様において は、第1および第2のGPCRは共にMSH受容体である。 「接触させる」とは、2価アゴニストが細胞のGPCR分子と会合できるように2 価アゴニストを細胞に近接させることを意味する。このような接触は、ヒトまた は動物の患者に対し、GPCRを刺激することによる疾病または障害の治療または改 善のために、本発明の2価アゴニストを、好ましくは更に製薬上許容しうるビヒ クルまたは担体(第5.4節参照)を含有する組成物の形態で、経口的、または非 経口的に(筋肉内、皮下、および静脈内等)、ならびに当該分野で知られている 他の方法で投与することにより行われる。 接触はまた、例えば本発明の種々の2価アゴニストの潜在的な薬学的性質を決 定するアッセイの一部として、あるいはGPCRが介在する潜在的な生理学的応答を 決定または研究するために、in vitroで実施することもできる。 使用可能な細胞型は、本発明の2価アゴニストの一方、または好ましくは双方 のリガンドドメインが親和性を有する特定のGPCRを発現するいずれの細胞のクラ スのメンバーであってもよい。こうした細胞として、ヒト、哺乳類、マウス、イ ヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ等のいずれかの細胞または組織の型のものが含まれ るが、これらに限定されるものではない。 2価アゴニストのリガンドドメインは、これらリガンドドメインの双方が目的 の細胞型の2つのGPCRに結合できるように2価アゴニストを十分に柔軟性にし、 また水性系または生理的系に可溶にする分子バックボーンに共有結合する。「バ ックボーン」とは、2つのリガンドドメインを結合する手段として機能する生体 適合性のいずれの分子をも意味する。それぞれのリガンドドメインは分子バック ボーンに共有結合で、好ましくはバックボーンのアミノ基とリガンドドメインの カルボキシル基またはその同等物間のアミド結合もしくはペプチド結合、または その逆の結合を介して結合する。「柔軟性」の語は、バックボーンがその軸の回 りの自由回転を有する多くの炭素−炭素σ結合を有し、これに結合した2つのア ゴニストまたは2つのアンタゴニスト・リガンドドメインが約40から約250 Å、好ましくは約40から約150Åの範囲の距離で分離されていることを意味 する。 好適なバックボーンとしては、タンパク質;ポリヌクレオチド;単糖、オリゴ 糖、シクロデキストリンおよびデキストラン等の糖類;ポリエチレングリコール 、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水素、ポリアクリレ ートおよびアミノ−、ヒドロキシ−、チオ−またはカルボキシ−官能基を有する シリコーン等のポリマー;他の生体適合性物質の単位;およびこれらの組合せ等 の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。しかしながら、溶解性 および柔軟性の限界のために、バックボーンはポリグリシンまたはポリプロリン のみであるべきではない。更に、好ましい態様において、バックボーンは抗体で あってはならない。上記のこうしたバックボーン物質は広く市販のものが入手可 能であり、また当業者には公知の有機合成法を介して得ることができる。 本明細書中で記載するタンパク質、および本明細書中で使用するアミノ酸は「 天然」、すなわち天然に存在するアミノ酸だけでなく、「非古典的な」Dアミノ 酸(普通のアミノ酸のD異性体)、α−イソ酪酸、4−アミノ酪酸、ヒドロキシ プロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t− ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、 デザイナーアミノ酸(例えば、β−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、N α−メチルアミノ酸、およびアミノ酸類似体)を含むが、これらに限定されるも のではないことに留意すべきである。更に、アミノ酸として、Abu、2−アミノ 酪酸;γ−Abu、4−アミノ酪酸;ε−Ahx、6−アミノヘキサン酸;Aib、2− アミノイソ酪酸;β−Ala、3−アミノプロピオン酸;Orn、オルニチン;Hyp、t rans−ヒドロキシプロリン;Nle、ノルロイシン;Nva、ノルバリンを含むことが できる。 「これらの組合せ」の語は、バックボーンが上記の2以上のクラスの基を含み うること、例えば、サッカリドと炭化水素の基;ペプチド、炭化水素およびシリ コーンの基等を含むことができ、ならびに一つのクラスの2以上のメンバーを含 むこともできることを意味する。バックボーンに2以上のクラスの基が含まれる 場合、このようなバックボーンは異なる単位をそれらの官能基を介して連結する ことによって得ることが好ましい。例えば、サッカリドと、ポリエチレングリコ ール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、シリコーン、または セリンやチロシンを含むペプチド等の求核性の基を有する単位と、を含むバック ボーンの場合、ヒドロキシル基を有する基がサッカリドのグリコシド末端と安定 なグリコシド結合を形成しうる。こうした結合を形成する方法には標準的な有機 合成が関与し、当業者には周知である。 分子バックボーンには、場合によって薬剤、すなわち薬物、または合成の遺伝 子治療用ベクター等の他の化学種(species)とイオン結合または共有結合を形 成しうる求核性または求電子性の官能基が含まれていてもよい。これはこれらの 化学種がGタンパク質共役受容体を有する細胞によってエンドサイトーシスされ ることを可能にする手段を提供する。合成の遺伝子治療用ベクターとしては、好 ましくは特定の細胞型にベクターをターゲッティングする非ウイルス性のベクタ ーまたは他の発現構築物が挙げられる。好適な求核性の基の例としては、アミノ 基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基が挙げられる。好適な求電子性の基の例 としては、カルボキシル基およびその同等物、およびエポキシド基が挙げられる 。カルボキシル基の同等物であると考えられる基としては、エステル、酸ハロゲ ン化物、カルボキシレート等が含まれることが理解されよう。 他の化学種が分子バックボーンの官能基とイオン結合を形成する場合、安定な 塩複合体を形成するようにバックボーンにアミノ基が、他の化学種にカルボキシ ル基が含まれていてもよい。反対に、分子バックボーンにカルボキシル基が含ま れ、他の化学種にアミノ基が含まれていてもよい。 他の化学種が分子バックボーンの官能基と共有結合を形成する場合、他の化学 種のカルボキシル基またはその同等物とアミド、エステルまたはチオエステル結 合をそれぞれ形成することができるアミノ基、ヒドロキシル基またはスルフヒド リル基がバックボーンに含まれていてもよく、その逆であってもよい。同様に、 エポキシド機能化バックボーンは他の化学種の遊離のアミノ基、ヒドロキシル基 またはスルフヒドリルと安定な付加物を形成することができ、その逆も可能であ る。 例えば、薬物またはベクターがバックボーンに結合される実施態様において、 バックボーンのペンダント(pendant)アミノ基は、アミノ基と共有結合すなわ ちアミド結合を形成することができる求電子性の基、例えばカルボキシル基また はその同等物等を含みうる。もう一つの例において、ペンダントアミノ基に結合 すべき薬物またはベクターは、アミノ基とイオン結合すなわち塩を形成してアン モニウム基を形成することができるカルボン酸基を含んでいてもよい。バックボ ーンに荷電した官能基および荷電していない官能基の双方が含まれていてもよい ことは理解すべきであり、この場合荷電した官能基は他の物質とイオン的に結合 するために利用でき、一方荷電していない官能基は他の物質と共有結合するため に利用できる。 更に、バックボーンには、例えばアンモニウム基またはカルボキシレート基等 の荷電した官能基が含まれていてもよい。荷電した官能基は2価アゴニストに水 性系または生理的系に対する十分な溶解性を与え、他の化学種とのイオン結合の ための反応部位を与え、かつGPCRに対するこれらの結合力を増大させる。このよ うなアンモニウム基はバックボーンのアミノ基と、塩酸塩、酢酸塩、クエン酸塩 、リンゴ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩等を含むが、これらに限定されない酸との 反応を介して形成しうる。このようなカルボキシレート基は、バックボーンのカ ルボキシル基と、アルカリ金属炭酸塩または重炭酸塩等の塩基との反応を介して 形成しうる。2価アゴニストに最適な溶解性および結合能を付与するための特定 の酸およびその濃度の選択は当該分野における技術の範囲である。好ましくは、 荷電した官能基の総量は、2価アゴニストのGPCRに対する特異性を最大にするよ うに、しかし溶解性を顕著に減少しないように、あるいは荷電した官能基の潜在 的な担体機能、すなわちイオン結合または共有結合の形成をなくさないように、 最小のものとする。 リガンドドメインおよびバックボーンの双方がアミノ酸を含み、リガンドドメ インのアミノ酸とバックボーンのアミノ酸がリガンドドメインおよびバックボー ンをつなぐペプチド結合を形成する場合、こうしたペプチド結合は、リガンドド メインのN末端アミノ酸とバックボーンのC末端アミノ酸から形成されるもので あっても、その反対であってもよい。 リガンドドメインは、2価アゴニストのリガンドドメインが細胞の近接する2 つのGPCR分子に結合できるように、2つのリガンドドメイン間の距離が十分なも のであるようにバックボーン上に位置している。好ましくは、リガンドドメイン 間の距離は約40から約250Å、または約40から約150Å、または約40から約125Å 、より好ましくは約60から約120Å、そして最も好ましくは約80から約100Åの範 囲である。リガンドドメイン間の距離が約40から約250Åの範囲にある限りにお いてリガンドドメインはバックボーン上のどこにあってもよいが、それぞれのリ ガンドドメインが線上のバックボーンのそれぞれの末端に位置するのが好ましい 。 約40から約250Åの距離が近接する2つのGPCR分子を隔てる距離であることは 理解されるべきである。2価アゴニストのバックボーンが柔軟性であるため、2 価アゴニストはそのリガンドドメインが近接するGPCRに結合できるコンフォメー ションをとることができる。従って、2価アゴニスト・リガンドドメインのGPCR への完全で効果的な結合のためには、2つのリガンドドメインはその間の距離が 約40から約250Åとなりうるべきである。こうした距離は当該分野で公知の方法 によって測定し、あるいは理論的に予測できる。例えば、本発明の2価アゴニス トにおけるリガンドドメイン間の距離を測定するために、例えば分子の予測され るコンフォメーションに基づき、分子モデルを使用することができる。使用しう る分子モデルプログラムは当該分野で周知であり、入手可能である。更なる態様 において、リガンドドメイン間の距離は、2価アゴニスト、好ましくはアミノ基 を官能基として有する2価アゴニストを、例えば非結晶性物質を結晶性物質に変 換することが知られているハロゲン置換されたハロゲン化ベンゾイル等の反応性 物質と反応させることによって測定する。こうして得られる結晶性物質をX線回 折にかけ、そのリガンドドメイン間の距離を測定できる。 5.2 ペプチドダイマー 特定の1態様において、2価アゴニストはペプチドダイマーである。「ペプチ ドダイマー」とは本発明の2価アゴニストの2つのリガンドドメインおよび分子 バックボーンがそれぞれ1以上のペプチドを含むことを意味する。本発明のすべ ての2価アゴニストと同様に、ペプチドダイマーは2個の受容体分子に同時に結 合することができる。特定の理論に結びつくわけではないが、リガンドドメイン が同一のまたは別の受容体のいずれを認識するにしても、2個の受容体部位に同 時に結合する結果、アゴニストの活性が劇的に増大すると、発明者らは信じてい る。 本ペプチドダイマーは好ましくはバックボーンの末端にそれぞれ共有結合して いる2つのリガンドドメインを含む。このバックボーンは2個のスペーサー領域 、2個のポリリシン領域、および1個のジスルフィド結合領域を含む。ペプチド ダイマーは、リガンドドメイン、スペーサー領域、ポリリシン領域またはジスル フィド結合領域のそれぞれが同一ではないヘテロダイマーであっても、あるいは リガンドドメイン、スペーサー領域、ポリリシン領域およびジスルフィド結合領 域のそれぞれが同一であるホモダイマーであってもよい。 ペプチドダイマーのリガンドドメインはペプチドダイマーと所望の細胞型のGP CR間の結合を促進する。有用なリガンドドメインは2価アゴニストについて一般 的に上に記載したものである。好ましくは、ペプチドダイマーのリガンドドメイ ンはα-MSH,α-MSH-ANTまたはボンベシンを含む。 2価アゴニストについて上に記載したように、ペプチドダイマーはリガンドド メインが共有結合しているバックボーンを含む。好ましいペプチドダイマーの場 合、バックボーンはスペーサー領域2個、ポリリシン領域2個およびジスルフィ ド結合領域1個を含み、リガンドドメイン、スペーサー領域、ポリリシン領域お よびジスルフィド結合領域が次の順序で互いに共有結合している:(リガンドド メイン)−(スペーサー領域)−(ポリリシン領域)−(ジスルフィド結合領域 )−(ポリリシン 領域)−(スペーサー領域)−(リガンドドメイン)。 ペプチドダイマーのバックボーンのスペーサー領域によって、ペプチドダイマ ーが同時に2個の受容体部位に結合することが可能になる。これを達成するため 、スペーサー領域はスペーサー領域が2個の受容体に及ぶほど十分長くなければ ならないが、第2の受容体部位に結合することができるように十分柔軟性でなけ ればならない。言い換えると、好適なスペーサー領域は安定した長い二次構造配 置をとる一方、水系または生理系において柔軟性および十分な溶解性を維持して いるものである。こうしたスペーサー領域として、タンパク質、末端の1つがカ ルボキシル基で終結しているポリエチレン若しくはプロピレングリコール、各末 端が独立してスルフヒドリル、ヒドロキシル、アミノ若しくはカルボキシル基で 終結している炭化水素、およびこれらの組合せが含まれる。しかし、可溶性およ び柔軟性の制限があるため、スペーサー領域はポリグリシンまたはポリプロリン とすることはできない。好ましくは、スペーサー領域は、他の末端がカルボキシ ル基で終結している炭化水素のスルフヒドリル、ヒドロキシル、またはアミノ基 末端とそれぞれチオエステル、エステルまたはアミド結合を形成するアミノ酸ま たはジ、トリ若しくはテトラペプチドを含む。最も好ましくはスペーサー領域は GGG-εAhxである。こうしたスペーサー領域は市販品を入手するか、または通常 の有機合成技術にしたがって調製することができる。 必須ではないが、スペーサー領域は好ましくはリガンドドメインがバックボー ンのスペーサー領域を介してバックボーンに連結するように、リガンドドメイン にバックボーンを接続するバックボーンの部分である。好ましくはリガンドドメ インとスペーサー領域間の結合はペプチド結合である。 ペプチドダイマーのバックボーンのポリリシン領域は、ダイマーに水系または 生理系中での十分な溶解性を与え、他種物質とのイオン結合のための反応性部位 を与え、そしてGPCRとの結合力を強化するために、荷電させることができる。「 荷電」とは、1個のポリリシン領域の1個の リシン反復単位のペンダントアミノ基の少なくとも1個が陽性電荷を持って、こ の荷電アミノ基が酸塩の形態になることを意味する。このようなリシン反復単位 のアミノ基の酸塩として、限定するわけではないが、塩酸塩、酢酸塩、クエン酸 塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩などが含まれる。ポリリシン領域はペ プチドダイマーが水系または生理系中で十分な溶解性を維持するように、十分な 電荷を有するべきであると理解される。好ましい態様において、本発明の2価ア ゴニストのポリリシン領域のアミノ基の少なくとも1個が陽性荷電を有する。 ポリリシン領域は好ましくはスペーサー領域よりも長く(Å)、そして約5〜 約30リシン反復単位からなる。好ましくは、ポリリシン領域は長さが20反復単位 である。 ポリリシン領域はペンダントアミノ基、または荷電しているならばアンモニウ ム基を有し、他種物質とアミノ基の場合は共有結合、そしてアンモニウム基の場 合はイオン結合を形成することができるものである。こうした「他種物質」とし て、例えば医薬および遺伝子治療用合成ベクターが含まれる。 必須ではないが、以下に考察するように、ポリリシン領域は好ましくはスペー サー領域をジスルフィド結合領域に接続するバックボーンの部分である。ポリリ シン領域とジスルフィド結合領域間で形成される結合がペプチド結合であること が好ましい。 本ペプチドダイマーはジスルフィド結合領域を含む。ジスルフィド結合領域は スペーサードメインに結合していない2個のポリリシン領域の末端を連結するた めの好都合な手段を提供する。 ジスルフィド結合領域として、それぞれがジスルフィド結合を少なくとも1個 有している、ペプチドなどのタンパク質(ただし、このタンパク質はポリグリシ ン若しくはポリプロリンではない):末端の1個がカルボキシル基で終結してい るポリエチレン若しくはプロピレングリコール;各末端が独立してスルフヒドリ ル、ヒドロキシル、アミノ若しくはカルボキシル基で終結している炭化水素、お よびこれらの組合せが含ま れる。好ましくは、ジスルフィド領域はジスルフィド結合を含有するようにスル フヒドリル基を介して連結した2個のシステイン残基を含む。特定の1態様にお いて、ジスルフィド領域はスルフヒドリル基を介して連結し、N-またはC-末端の いずれかがβ−アラニンでふさがれている2個のシステイン残基である。 ジスルフィド結合領域のジスルフィド結合は好ましくは対応するモノマーのス ルフヒドリル基のMills Jr.ら、J.Am.Chem.Soc.62,1173(1940)の手法にしたがう 酸化によるか、またはそのスルフヒドリル保有部分のダイマー化のために有用な 当業者に知られた任意のその他の手法によって形成される。好ましくは、ジスル フィド結合はJ.P.Tamら、J.Am.Chem.Soc.113,6657-6662(1991)の手法にしたがっ た、DMSOを使用したモノマースルフヒドリル基の酸化によって形成される。最も 好ましくは、スルフヒドリル基はモノマーのポリリシン領域の一方の末端に共有 結合したシステイン残基のものである。この場合、システイン残基はスペーサー 領域に結合していないポリリシン領域のアミノ−またはカルボキシ−末端と共有 結合を形成する。 特定の1態様において、ペプチドダイマーはモノマーの固相合成の後、末端の システインスルフヒドリル基の酸化的ダイマー化によって調製される。 本発明の例示のペプチドダイマーは、以下の構造を有する: α-MSHダイマー α-MSH-ANTダイマー および ボンベシンダイマー 上記の例示のペプチドダイマーにおいて、α-MSHダイマーのリガンドドメイン は構造SYSMEHFRWGKPV-を有し、α-MSH-ANTダイマーのリガンドドメインは構造MP dFRdWFKPV-を有し、ボンベシンダイマーのリガンドドメインは構造MLHGVAWQNGLR QQ-を有している。α-MSH、α-MSH-ANTおよびボンベシンペプチドダイマーのス ペーサー領域はGGG-εAhxである。α-MSH、α-MSH-ANTおよびボンベシンペプチ ドダイマーのポリリシン領域は20リシン単位のポリペプチド(K(20))である。 α-MSHおよびα-MSH-ANTダイマーのジスルフィド結合領域はそのスルフヒドリル 基から形成されたジスルフィド結合を介して連結している2個のシステイン残基 であり、そのC-末端がβ−アラニンでふさがれて終結している。ボンベシンダイ マーのジスルフィド結合領域はそのスルフヒドリル基から形成されたジスルフィ ド結合を介して連結した2個のシステイン残基である。α-MSHおよびα-MSH-ANT ダイマーの終結末端はアミノ終結であり、ボンベシンダイマーの終結末端はカル ボキシ終結であることを指摘しておく。 本発明はホモダイマー、すなわちジスルフィド結合に対して対称形であるダイ マー、に限定するものではないにもかかわらず、ここに挙げた好ましいペプチド ダイマーがホモダイマーであることを指摘しておく。したがって、本発明はヘテ ロダイマーであるペプチドダイマーを包含する。こうしたヘテロダイマーは例え ば互いの間にジスルフィド結合を有する2個のシステイン部分から合成すること ができ、またJ.P.Tamら、J.Am.Chem.Soc.113,6657-6662(1991)の手法にしたがう DMSOを使用したシ ステインの酸化的ダイマー化によって合成することができる。この基質をT.W.Gr eene,「有機合成における保護基」(Protective Groups in Organic Synthesis ),John Wiley & Sons,New York(1981)に記載されているようなペプチドのため の普通の保護基で保護することができ、そして通常の固相合成法によって、ダイ マー化されたシステイン基質の一方の側と他方が異なるポリリシン領域、スペー サー領域およびリガンドドメインの合成に使用することができる。この手段によ って、ヘテロダイマーを容易に作成することができる。 5.3 ペプチドダイマーを合成するのに有用なモノマー 好ましいペプチドダイマーはモノマーの酸化的ダイマー化によって調製するの が好都合であり、そして好ましい。こうしたモノマーは分子のバックボーンに共 有結合したリガンドドメインを含み、そのリガンドドメインは(a)GPCRに対す るアゴニストであり、そして(b)ペプチドを含み、そのバックボーンはすべて ペプチドダイマーについて5.2節に記載したようなスペーサー領域、ポリリシン 領域、およびスルフヒドリル基領域を含む。好ましくは、スルフヒドリル基領域 はペプチド結合を介してポリリシン領域に連結されたアミノ酸システインである 。本明細書で使用する用語「モノマー」とは、それぞれGPCRに対するアゴニスト またはアンタゴニストであるリガンドドメインを有し、本発明のペプチドダイマ ーを製造するための中間体として有用であって、リガンドドメインおよびバック ボーンがペプチドを含んでいる、1価のアゴニストまたはアンタゴニストを称す るものと理解されたい。 モノマーは(リガンドドメイン)−(スペーサー領域)−(ポリリシン領域) −(スルフヒドリル基領域)の順に共有結合で配列するように、リガンドドメイ ン、スペーサー領域、ポリリシン領域および好ましくはシステインの部分として のスルフヒドリル基領域を任意の適当な順番で接続することによって合成される 。スルフヒドリル基領域がシステインの場合は、モノマーは(リガンドドメイン )−(スペーサー領域)−(ポリリシン領域)−(システイン)構造をとること になる。このよう に、好ましい態様においては、スルフヒドリル基領域はスルフヒドリル基を含有 するアミノ酸残基である。特定の1態様において、モノマーはタンパク質を含み 、通常の固相法を使用して合成される。モノマーを調製するために固相合成法を 使用する場合、モノマーをそのリガンドドメインがポリペプチドのアミノ末端に 位置するように調製するか、またはリガンドドメインがカルボキシル末端に位置 するように反対の方向に合成することができる。 酸化的ダイマー化を介してペプチドダイマーを産生させるため、好ましくはDM SOを使用して、モノマーを酸化する。この方式において、生成するペプチドダイ マーはリガンドドメイン、スペーサー領域およびポリリシン領域のそれぞれが同 一であるような、そのジスルフィド結合に対して対称形である。言い換えると、 生成するペプチドダイマーはホモダイマーである。 酸化的ダイマー化は酸化されたスルフヒドリル基がもう一方のモノマーの酸化 されていないスルフヒドリル基と反応してジスルフィド結合を有するペプチドダ イマーを形成するように、ある量のモノマーをスルフヒドリル基を酸化すること ができる量の酸化剤で処理することを含む。好ましい態様において、モノマーの 量は約2当量で酸化剤の量が約1当量である。 5.4 2価アゴニストを含む組成物およびこの組成物を使用する治療方法 本発明の2価アゴニストはその2価アゴニストについて特異的な近傍の受容体 を活性化することによって適切な二次メッセンジャー応答を誘発するのに有用で ある。言い換えると、2価アゴニストはこれに対応した近傍のGPCRに結合するこ とによって所望の生理的応答を開始させる。2価アゴニストが、それら自体が別 々のGPCRに対するアゴニストである2つのリガンドドメインを含む場合は、そう した生理的応答は2個のアゴニストの個別の場合の合計に比較して相乗効果とし て発生するものと確信する。2価アゴニストが、それ自体がアンタゴニストであ る2つの リガンドドメインを含む場合は、そのアンタゴニストリガンドドメインを別々に 投与した場合の様式でGPCRに拮抗作用をせずに、対応するGPCRをアゴニスト刺激 すると確信している。その外、2価アゴニストがアゴニストリガンドドメイン1 つおよびアンタゴニストリガンドドメイン1つを含む場合は、その2価アゴニス トはアゴニストとして挙動すると確信している。 例えば、患者または被験者の収縮期および/または拡張期血圧を臨床的に上昇 させる必要がある場合、実務医は2個のアンギオテンシン11リガンドドメイン を有する本発明の2価アゴニスト、それ自体はアンギオテンシンアンタゴニスト である、(Sar1,Ile8)-アンギオテンシンIIなどのリガンドドメインを2個有 する2価アゴニスト、あるいはまたアンギオテンシンIIリガンドドメイン1つお よび(Sar1,Ile8)-アンギオテンシンIIアンタゴニストリガンドドメインを有 する2価アゴニストを投与することができる。同様に、黄体形成ホルモン数値を 全身的に増大させる必要がある場合は、実務医は2個のLH-RHリガンドドメイン を有する本発明の2価アゴニスト、それ自体はLH-RHアンタゴニストである、(D -Phe2,D-Ala6)-LH-RHなどのリガンドドメインを2個有する2価アゴニスト、 あるいはまたLH-RHリガンドドメイン1つおよび(D-Phe2,D-Ala6)-LH-RHリガ ンドドメイン1つを有する2価アゴニストを投与することができる。別の例とし て、皮膚の日焼けを促進するために、ともにα-MSHアゴニストであるリガンドド メインを有する2価アゴニストを使用することができる。 このように、本発明は、本発明に係る2価アゴニストの有効量のヒトまたは動 物の患者または被験者への投与による治療方法を提供する。1態様において、2 価アゴニストは上の5.2節に記載したペプチドダイマーである。 本発明の2価アゴニストを投与するためには、各種の送達系が知られており、 そして使用することができる。例えば、水溶液、リポソーム中へのカプセル化、 微小粒子、マイクロカプセル、受容体が仲介するエン ドサイトーシスなどである(例えば、WuおよびWu,1987,J.Biol.Chem.262,4429-4 432を参照されたい)。投与の方法として、限定するわけではないが、皮膚への 直接の適用、皮内、筋肉内、静脈内、鼻腔内、硬膜外および口腔経路が含まれる 。本発明の2価アゴニストを例えば注入、ボーラス注射、上皮または皮膚粘膜( 口内粘膜、直胴および腸粘膜)塗布による吸収などの任意の好都合な経路で投与 することができる。 特定の1態様において、本発明に係る2価アゴニストを上記のいずれかの方法 によって、治療を必要とする部位に局所的に投与することが望ましいようである 。 本発明は医薬組成物をも提供する。1以上のGPCRをアゴニスト刺激するのに有 用なこれらの組成物は、治療上有効な量の本発明の2価アゴニストおよび製薬上 許容しうる担体または賦形剤を含む。これらの担体として限定するわけではない が、水、例えば生理食塩水、緩衝塩水などの塩溶液、デキストロース、グリセロ ール、エタノール、およびこれらの組合せが含まれる。こうした2価アゴニスト 製剤は投与方法に適合しなければならない。 所望ならば、組成物に少量の湿潤若しくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含ませる こともできる。組成物は液状溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセ ル、持続放出製剤、クリーム、ゲルまたは粉末でもよい。組成物をトリグリセリ ドなどの従来からのバインダーおよび担体で坐剤として製剤化してもよい。口内 製剤に医薬用等級のマンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネ シウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な 担体を含ませることができる。 特定の1態様において、組成物をヒトへの静脈内投与に適合する医薬組成物と して常用の手法にしたがって製剤化することができる。典型的には、静脈内投与 用の組成物は殺菌した等張水性緩衝液の溶液である。必要ならば、組成物に可溶 化剤および注射の部位の痛みを軽減するための局所麻酔剤を含ませることもよい 。一般的には、成分は、例えば活性 薬剤の量を指示したアンプルまたはサシエ(sachet)などの密閉容器中の乾燥凍結 乾燥粉末または非含水濃縮物として単位用量形態で別々に供給するかまたは一緒 に混合する。組成物が注入によって投与するものである場合は、殺菌した医薬用 等級の水または塩溶液を含有する注入ビンを使用して調剤することができる。組 成物を注射によって投与する場合は、投与の前に成分を混合することができるよ うに、注射用の殺菌水または塩溶液のアンプルを提供することができる。 上記5.1節に示したように、2価アゴニストのバックボーンにアミノおよび カルボキシル基を含む求核性または求電子性官能基を含ませることができる。し たがって、本発明の2価アゴニストを中性または塩形態で製剤化することができ る。製薬上許容しうる塩として、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸その他 から誘導されるような遊離のアミノ基と共に形成されるもの、およびナトリウム 、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄(III)、イソプロピルアミン 、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインその 他から誘導されるような遊離のカルボキシル基と共に形成されるものが含まれる 。 本発明の2価アゴニストの特定の疾患または美容上の症状の治療に有効な量は その疾忠または症状の性質に応じて決まり、これは標準的な臨床技術によって決 定することができる。その上、最適用量範囲を同定するのを助けるため、場合に よってはin vitroまたはin vivoアッセイを利用してもよい。製剤中に使用すべ き正確な用量は投与経路、および疾患または美容上の症状の重篤度または進行度 に応じて決まるものでもあり、実務医の診断および各患者の情況にしたがって決 定すべきものである。有効な用量は本明細書で提供するようなin vitroまたは動 物試験システムから誘導される用量−応答曲線から外挿することができる。 2価アゴニストの有効量は本発明に係る2価アゴニストの段階的用量を投与し 、所望の効果を観察することによって、容易に決定することができる。下記図3 〜7に提供するデータは有効量を決定する助けとなるであろう。 1態様において、例えば皮膚日焼け剤のための局所製剤中の例示のペプチドダ イマー、α-MSH-ANTについての有効濃度は1μM〜10mMの範囲、好ましくは100 μM〜5mM、そして最も好ましくは500μM〜2mMである。特定の1態様において 、局所製剤の有効濃度は約1mMである。 別の態様において、例えば皮膚の日焼けのための全身投与のために有効な2価 アゴニストの用量は1〜4000μmol/kg体重の範囲、好ましくは20〜200μmo l/kg体重、そして最も好ましくは30〜100μmol/kg体重である。別の態様に おいて、有効用量は30〜100μmol/kg体重の範囲である。 例示のα-MSH-ペプチドおよびボンベシンペプチドダイマーに関する有効な濃 度および用量は、例えば図3〜7を参照することによって容易に決定することが できる。 また別の態様において、本発明は本発明に係る2価アゴニストの有効量を含有 するキットを含む。この場合、キットは本発明に係る2価アゴニストを少なくと も1個含有する1以上の容器を含むことを意図する。例示のために単純化すると 、キットに、皮膚への適用、または皮内、筋肉内、静脈内、鼻腔内、硬膜外およ び経口投与による投与のために製剤化された2価アゴニスト1個または2価アゴ ニストの組合せを含有させる。キットには本発明に係る2価アゴニストの有効量 を含む、プレミックス形態の、または混合する準備ができた別々の成分として、 またはペプチド製剤若しくは医薬組成物に製剤化された、液状溶液、懸濁液、エ マルジョン、錠剤、ピル、カプセル、持続放出製剤、クリーム、ゲルまたは粉末 形態の2価アゴニストを含有させることができる。 以下の一連の実施例は例示のために提示するものであって、本発明の範囲を限 定するためではない。 6.実施例:Gタンパク質共役受容体を標的とする2価ペプチドリガンドの合 成および特性決定 結合力の効果を通じて、2価によってリガンドの結合部位に対する見かけの親 和性を増大させることができる。GPCRを有する特定の細胞サブ タイプに各種の薬剤を送達するのにペプチドダイマーなどの高親和性の2価アゴ ニストを使用することができる。これらのGPCRを標的とするために、一連のペプ チドダイマーを近傍の受容体部位に結合するように合成した。これらのペプチド ダイマーはリガンドドメイン、スペーサー領域、ポリリシン領域およびジスルフ ィド結合領域が(リガンドドメイン)−(スペーサー領域)−(ポリリシン領域 )−(ジスルフィド結合領域)−(ポリリシン領域)−(スペーサー領域)−( リガンドドメイン)の順序で互いに結合するように、リガンドドメイン2個、ス ペーサー領域2個、ポリリシン領域2個およびジスルフィド結合領域1個を含む 。 6.1 材料物質および方法 材料物質.Fmoc-Ala-OH,Fmoc-Arg(Pmc)-OH,Fmoc-Asn(Trt)-OH,Fmoc-Asp(O- tBu)-OH,Fmoc-Gln(Trt)-OH,Fmoc-Glu(O-tBu)-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-His(Trt )-OH,Fmoc-Ile-OH,Fmoc-Leu-OH,Fmoc-Lys(Boc)-OH,Fmoc-Met-OH,Fmoc-Phe- OH,Fmoc-Pro-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fmoc-Thr(tBu)-OH,Fmoc-Trp(Boc)-OH,F moc-Tyr(tBu)-OH,Fmoc-Val-OH,HBTU,HOBt,MBHA樹脂、およびRinkアミドMBHA 樹脂をCalbiochem-Nova Biochem,La Jolla,Californiaから購入した。ジクロロ メタン、DMF、DIEA、NMPおよびTFAをApplied Biosystems,Foster City,Californ iaから入手した。 エタノール、メタノール、ピリシン、シアン化カリウム、ニンヒドリンおよびフ ェノールをAldrich Chemical Co.,Milwaukee,Wisconsinから入手した。 ペプチド合成.ペチド合成、分析用HPLC、レーザー脱着質量分析およびアミノ 酸分析をW.M.Keck Foundation Resource Laboratory of YaleUniversityにおい て実施した。Fmoc保護基化学を使用してRainin Symphony Multiple Peptide Sy nthesizer上の固相によってペプチドを合成した。TFAによるRinkアミドMBHA樹脂 からの切断後、逆相HPLC(Vydec C18カラム)および質量分析によってペプチド を分析した。 実施例1 DMF中の0.45M HBTU/HOBt試薬.乾燥HBTU 25mmolを含有する125mLコハク色ビン 中に0.5M(DMF)HOBt 50mLを注入した。緩やかに撹拌してHBTUを溶解させた。HBTU およびHOBtの最終濃度は0.45Mであった。生成した溶液は室温で少なくとも6週 間安定だった。 実施例2 モノマーの合成.以下のようにして、すべてのFmoc-アミノ酸をMBHAリンカー に連結させた:誘導体化したアミノ酸1mmolをNMP 2.5mL中に溶解し、実施例1 の操作にしたがって得られたDMF中の0.45M HBTU/HOBt試薬2.0mLをこのアミノ酸 溶液に添加し、そして生成した溶液を10分間混合し、MBHA樹脂に移した。樹脂懸 濁液にDIEA 2.0mLを添加し、混合しながら室温で30分間インキュベートした。生 成したアミノ酸が連結した樹脂を濾過し、NMPで6回洗浄し、定量ニンヒドリン 試験のためにビーズ2mgを取り出した。20%ピペリシン/NMPでの5分間の処理 後、さらに15分間の処理によって、アミノ酸連結樹脂から脱保護した。生成した 脱保護されたアミノ酸連結樹脂を濾過し、NMPで6回洗浄し、そして所望のモノ マーのペプチド配列が得られるまで、上記のプロセスを連続的に反復するのに使 用した。 実施例3 MBHA樹脂からのモノマーの切断.所望のモノマーを合成した後、樹脂を気体の TFAに0,2,4,6および10時間暴露することによって、モノマーをMBHA樹脂から 切断した。切断をHPLC分析によって定量試験した。 実施例4 モノマーのペプチドダイマーへの酸化.実施例3の操作法に従ったMBHA樹脂か らのモノマーの切断後、生成したモノマーをJ.P.Tamら、J.Am.Chem.Soc.113,665 7-6662(1991)の操作法にしたがって酸化した。すなわち、生成したモノマーを25 %酢酸で抽出し、続いて5%酢酸で二次抽出した。まとめた酢酸洗浄液を希釈し て最終濃度を5%酢酸とし、(NH4)2CO3を使用して、生成したモノマー溶液を pH6に調整した。20容積%のDMSOを添加し、1〜4時間後、相似体ペプチドダイマ ーが得られた。HPLC.Superdex PeptideおよびSuperose 6サイズ排除カラムを使用するPharma cia SMARTシステム上でペプチドのHPLC精製を実施した。合成後、PBS中のSuperd ex Peptideカラム上で流速50uL/分でペプチドを精製し、すぐに酸化反応に使用 した。酸化後、PBS中のSuperose 6カラム上で流速50uL/分でモノマーおよびダ イマーを再精製した。ダイマーは好適な純度に到達するためには通常2回の連続 ゲル濾過ステップが必要であった。ペプチドをPBS中、-20℃で保存した。アミノ 酸分析によってペプチドの濃度を判定し、質量分析によって分子量を確認した。 酸化.Superdex Peptideカラムでペプチドを精製した後、20%ジメチルスルホ キシド(DMSO)を含有するPBS(pH=7.0)中でそれらを室温で4時間酸化した(J.P.T amら、J.Am.Chem.Soc.113,6657-6662(1991))。ダイマーペプチドの平均収率は 約20%であった。 カエルメラニン細胞アッセイ.M.Engelら、Biochemistry 30,3161-3169(1991) ;C.A.Slateら、Int.J.Peptide Protein Res.45,290-298(1995);およびC.Plank ら、J.Biol.Chem.269,12918-12924(1994)に記載されたように、Xenopus Laevis の黒色素胞を培養液中に維持した。エレクトロポレーションによって、黒色素胞 中でボンベシン受容体プラスミドDNA(pJG3.6BR)の一時的発現を達成させた(C .A.Slateら、Int.J.Peptide Protein Res.45,290-298(1995))。黒色素胞を96ウ エルの組織培養プレート(Falcon)上に撒き(15,000/ウェル)、マイクロタイ タープレートアッセイによって時間および用量−応答曲線を得た(R.Duncanら、 Clin.Pharmacokinet.27,290-306(1994);M.Engelら、Biochemistry 30,3161-316 9(1991);C.A.Slateら、Int.J.Peptide Protein Res.45,290-298(1995);C.Plan kら、J.Biol.Chem.269,12918-12924(1994);およびP.M.Connら、Endocrlnology 111,335-337(1982))。モノマーまたはダイマーの添加の前に、細胞を洗浄し、 その後1nMメラトニンを補充した0.7X L15培地とともに1時間インキュベートし た。この予備インキュベートの結果、細胞の色素が凝集して細胞の色が明るくな った。このマイクロタイターウェルにモノマーまたはダイマーを最終濃度の10倍 で 20μlアリコートを添加した。IC50曲線のために、培地に5nM α-MSHもまた補充 した。 340 ATTCマイクロタイタープレートリーダー(SLT Lab Instruments)を使用 して620nmでの光透過を測定した。メラトニンの添加後1時間目に透過の読取り を開始し(Ti)、同時にモノマーまたはダイマーを添加した。各種時間毎(5〜 60分)にその後の読取り(Tf)を実施した。データはy=1−(Tf/Ti)の非直 線回帰曲線に適合した。最終データを正規化し、最大色素分散率%(ymax)と して表現した。 この研究のため、カエル黒色素細胞中のGタンパク質共役受容体の迅速で機能 的なアッセイを使用した(C.K.Jayawickremeら、J.Biol.Chem.269,29846-29854( 1994);M.N.Potenzaら、Anal.Biochem.206,315-322(1992);G.F.Graminskiら、J .Biol.Chem.268,5957-5964(1993);S.Karneら、J.Biol.Chem.268,19126-19133(19 93);およびC.K.Jayawickremeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,1614-1618(1994) )。カエルのメラニン形成細胞中で、細胞内サイクリックAMP量の増加を仲介す るα-MSHなど、またはPI代謝を刺激するエンドセリン3(S.Karneら、J.Biol.Che m.268,19126-19133(1993))などのリガンドは色素の分散および細胞の暗色化の 原因となり、一方メラトニンなどのサイクリックAMP合成の阻害剤は色素の凝集 および細胞の明色化の原因となる。この研究においては、色素の分散に及ぼすモ ノマーまたはダイマーペプチドの影響が測定された。 α-MSHおよびα-MSH-ANTモノマーおよびダイマーが関与するアッセイのために 、野性型黒色素胞を使用した。ボンベシンモノマーおよびダイマーが関与するア ッセイのために、ボンベシン受容体をコードする領域を含有するプラスミドでト ランスフェクトした黒色素胞を使用した(G.F.Graminskiら、J.Biol.Chem.268,5 957-5964(1993):およびC.K.Jayawickremeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,161 4-1618(1994))。 他のリガンドについて同様の効果が観察されるかどうかを評価するため、ボン ベシン受容体をコードするプラスミドで野性型細胞をトランスフェクト(cDN A)した。ボンベシン受容体はPI加水分解に機能的に 連動し、トランスフェクト後は色素の分散を仲介することが証明されている(P. M.Connら、Nature 296,653-654(1982))。 6.2 α-MSH、α−MSH-ANTおよびボンベシンモノマーおよびダイマーの合 上記6.1節の操作法にしたがう固相ペプチド合成を使用して、α-MSH、α-M SH-ANTおよびボンベシンモノマーを合成した。下記に構造を示すα-MSHおよびα -MSH-ANTダイマーを、リガンド結合ドメインで構成されるN-末端領域に続いて3 つのグリシン残基およびアミノヘキサン酸スペーサーで構成される短い非荷電領 域;20リシン残基のより長い荷電スペーサー領域;およびシステイン残基;そし て最後にカルボキシル末端にβアラニン残基を有するモノマーから合成した。構 造を下記に示すボンベシンモノマーを、カルボキシル末端にリガンド結合ドメイ ンを有するように反対の方向に合成した。なぜならば、MSHモノマーとは異なっ て、ボンベシンの結合にとってカルボキシル末端が重要であるからである。固相 合成の後、DMSOを使用してα-MSH、α-MSH-ANTおよびボンベシンモノマーを酸化 して、対応するダイマーとした。 6.1節に記載したカエルメラニン形成細胞アッセイで使用したモノマーは、 そのアッセイで使用したモノマーがシステイン残基を欠如している点で、この実 施例においてペプチドダイマーの合成で使用するモノマーとは少し異なっている ことを指摘しておかなければならない。これは、システイン残基を含むモノマー は空気酸化を受けやすく、したがって、こうしたシステイン残基を有するモノマ ーで構成される純粋なペプチドダイマーに比較する基準値/対照データを得るた めには、特には有用ではないからである。以下に記載する研究で使用するモノマ ーは以下の構造を有する: SYSMEHFRWGKPV-GGG-εAhX-K(20)-βA1a α-MSHモノマー MPdFRdWFKPV-GGG-εAhX-K(20)-βAla α-MSH-ANTモノマー および K(20)-εAhX-GGG-QQRLGNQWAVGHLM ボンベシンモノマー HPLC精製後、システイン含有および非システイン含有の両ペプチドを20%DMSO での4時間の処理によって酸化した(J.P.Tamら、J.Am.Chem.Soc.113,6657-6662 (1991))。次にHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(Pharmacia Superose 6カラ ム)によってペプチドを再精製した(図1および2)。ダイマーは2回のゲル濾 過精製ステップを必要とした。およその保持時間(Rt)はダイマーおよびモノマ ーについてそれぞれ39.0および44.0分だった。質量分析によって分子量を確認し 、アミノ酸分析によって濃度を決定した(データは示していない)。 6.3 結果 野性型黒色素胞中で、モノマーおよびダイマーα-MSHペプチドは分散を時間お よび用量依存様式で刺激した(図3)。しかし、α-MSHダイマーは(t=30分に おいて)モノマーに比較しておよそ5倍低いEC50で分散を刺激した(図4)。計 算したEC50値はダイマーおよびモノマーについてそれぞれ72.5±5.0nMおよび372 ±18nMだった。このように、α-MSHモノマーからダイマーへの変換の結果、、ア ゴニスト活性が5倍増大した。 さらに、色素の分散に及ぼすモノマーおよびダイマーα-MSH-ANTの効果を試験 した。予想したように、α-MSH-ANTモノマーはα-MSH(5nM)が仲介する分散をI C50=120±6nMの用量依存様式で阻害した(図5)。しかし、α-MSH-ANTダイマ ーは低濃度ではα-MSHが仲介する分散を阻害 するように見えた(図5)が、高濃度ではα-MSH-ANTダイマーはむしろ分散を した(図6)。α-MSH-ANTモノマーでは有意な分散は観察されなかった。α-M SH-ANTダイマーについてのIC50(t=30分)はモノマーの場合(IC50=57±74nM )よりもおよそ2倍低かったが、この数値を正確に計算することはできなかった 。なぜならば、分散は100nMを超える濃度で発生したからである(図5)。α-MS H不在下(図6)では、ダイマーについて計算したEC50は138±4nMだった。しか し、およそ350nMを超える濃度では、ダイマーのアゴニズムは減少した。α-MSH- ANTモノマーは1μMより低い濃度では分散を刺激しなかった。1μMより高い 濃度では、両ペプチドが非特異的な色素の分散を少しではあるが有意な程度に刺 激した。このように、α-MSH-ANTモノマーのダイマーへの変換の結果、驚くべき かつ予期しなかったアゴニスト効果が得られた。 上に議論したようなα-MSHペプチドによって得られた結果と同様に、ボンベシ ンダイマーはボンベシンモノマーよりもおよそ5倍低いEC50で用量依存様式で色 素の分散を刺激した(図7)。EC50(t=30分)はダイマーについて23.4±5.6nM 、そしてモノマーについては110±9nMだった。α-MSH-ANTモノマーと同様に、ボ ンベシンペプチドは使用した濃度範囲内では野性型黒色素胞において分散を刺激 しなかった(データは示していない)。このように、ボンベシンモノマーのダイ マーへの変換の結果、アゴニスト活性がおよそ5倍増大した。 6.4 結論 上の結果は、α-MSHおよびボンベシン受容体を標的とするダイマーペプチドが 対応するモノマーよりもおよそ5倍高い親和性を有することを証明している。ダ イマーは能力があるリガンドの数を2倍含有しているので、結合活性効果は2倍 よりも少し多かったことになる。この効果はわずかであるが、これは完全に合成 されたアゴニストペプチドダイマーがGタンパク質が仲介するシグナル作用を強 化することができるという本発明者らの知見の最初の証明である。 GPCRへの2価結合の効果がなぜ比較的わずかであるかはいくつかの解 釈があると思われる。第1に、シグナル作用は部分的にGタンパク質複合体のα −効果によって調節されて、過剰のシグナル増幅を抑制しているようである。第 2に、次数が1桁またはそれ以上の親和性の増加を予言するモデルにとっては標 的の表面上の抗原または受容体のきわめて高い濃度が仮定される(D.M.Crothers ら、Immunochemistry 9,341-357(1972))。第3に、Gタンパク質共役受容体の 場合、受容体の局部的濃度が多価による親和性の増強における限定因子であるら しい。 ダイマーペプチドの増大した能力はGタンパク質によって増強されたシグナル 作用によるものである可能性もある。以前のGnRH受容体の研究において、受容体 タンパク質の微小凝集が二次メッセンジャー作用を促進するらしいことが仮定さ れた(P.M.Connら、Endocrinology 111,335-337(1982):P.M.Connら、Nature 296 ,653-654(1982))。さらに最近のGタンパク質共役受容体の分子学的研究では、 これらのタンパク質が相互作用し、アミノおよびカルボキシル末端ドメインの交 換が関与するダイマーを形成することが示唆された(R.Maggioら、Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA 90,3103-3107(1993))。これらのダイマーはモノマー受容体よりも 効率的にGタンパク質を活性化するのかも知れない。 上に記載した最も重要な結果はα-MSH-ANTダイマーがアゴニストとして作用し たことである。特定の理論になんら拘束されることなく、本発明者らは、2価ア ゴニストはリガンドの2個の「アーム」が近傍の受容体に結合したときの共同し た効果を仲介するものと仮定する。この筋書きにおいて、受容体の微小凝集また はダイマー化が発生し、これが二次メッセンジャー応答を刺激するのに十分であ り得る(P.M.Connら、Endocrinology 111,335-337(1982);P.M.Connら、Nature 296,653-654(1982))。 さらに、上の結果は例示の2価アゴニストのアゴニズムが高濃度で減少したこ とを示している。これは非常に高いリガンド濃度では受容体の濃度が律速になる らしいことを示唆している(G.Fuhら、Science 256,1677-1680(1992))。言い換 えると、リガンドのモノマー結合が受容体結 合部位を飽和して、受容体のダイマー化が阻害される。 このように、カエル黒色素細胞における機能アッセイを使用して、本発明者ら は、それ自身がアゴニストとして作用する2つのリガンドドメインを有する2価 アゴニストが対応するモノマー形態に比較してアゴニストとしての能力を増大さ せる結果になること、およびそれ自身がアンタゴニストとして作用する2つのリ ガンドドメインを有する2価アゴニストがアンタゴニスト活性からアゴニスト活 性に変化する結果になることを証明した。これらの知見は薬剤に特定の細胞型を 標的とさせるために強力であると思われる方法を提供する。 本発明は実施例で開示した特定の態様の範囲に限定されるべきものではなく、 これらの実施例は本発明の多数の様相の例示を意図するものであり、そして機能 的に等価などんな態様も本発明の範囲内である。実際、本明細書に示し、そして 記載したものの他に本発明の各種の改変が当業者には明らかになるであろうし、 それらは請求の範囲内に含まれることを意図している。 多数の参考文献を引用したが、それらの開示の全部が参照として本明細書中に 含まれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CN, CU,CZ,EE,GE,GH,HU,IL,IS,J P,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LT ,LV,MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ, PL,RO,RU,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UZ,VN,YU

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.1種以上のGタンパク質共役受容体に対して親和性を有する2価アゴニスト であって、前記アゴニストはそれぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容 体のアゴニストである2つのリガンドドメインを含み、これらのリガンドドメ イン間の距離は約40〜約250Åであり、前記アゴニストはこれら2つのリガン ドドメインに共有結合で結合されている分子バックボーンをさらに含むことを 特徴とする、上記2価アゴニスト。 2.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項1に記 載の2価アゴニスト。 3.それぞれのリガンドドメインが同じものである、請求項2に記載の2価アゴ ニスト。 4.第1のGタンパク質共役受容体が第2のGタンパク質共役受容体と異なるも のである、請求項1に記載の2価アゴニスト。 5.第1のGタンパク質共役受容体か第2のGタンパク質共役受容体のいずれか がMSH受容体である、請求項1に記載の2価アゴニスト。 6.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項1に記載の2価アゴニスト。 7.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立 に選択される、請求項1に記載の2価アゴニスト。 8.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボーンは 単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボーンは 抗体でもない、請求項1に記載の2価アゴニスト。 9.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 8に記載の2価アゴニスト。 10.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項9に記載の2価ア ゴニスト。 11.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項9に記載の2価アゴニスト。 12.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項8に記載の2価アゴニスト。 13.1種以上のGタンパク質共役受容体に対して親和性を有する2価アゴニスト であって、前記アゴニストはそれぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容 体のアンタゴニストである2つのリガンドドメインを含み、これらのリガンド ドメイン間の距離は約40〜約250Åであり、前記アゴニストはこれら2つのリ ガンドドメインに共有結合で結合されている分子バックボーンをさらに含むこ とを特徴とする、上記2価アゴニスト。 14.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項13に記 載の2価アゴニスト。 15.それぞれのリガンドドメインが同じものである、請求項14に記載の2価アゴ ニスト。 16.第1のGタンパク質共役受容体が第2のGタンパク質共役受容体と異なるも のである、請求項13に記載の2価アゴニスト。 17.第1のGタンパク質共役受容体か第2のGタンパク質共役受容体のいずれか がMSH受容体である、請求項13に記載の2価アゴニスト。 18.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項13に記載の2価アゴニスト。 19.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェ ロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立に 選択される、請求項13に記載の2価アゴニスト。 20.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボーンは 単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボーンは 抗体でもない、請求項13に記載の2価アゴニスト。 21.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 20に記載の2価アゴニスト。 22.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項21に記載の2価ア ゴニスト。 23.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項21に記載の2価アゴニスト。 24.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項20に記載の2価アゴニスト。 25.1種以上のGタンパク質共役受容体に対して親和性を有する2価アゴニスト であって、前記アゴニストは第1および第2のリガンドドメインを含み、第1 のリガンドドメインが第1のGタンパク質共役受容体のアゴニストであって、 第2のリガンドドメインが第2のGタンパク質共役受容体のアンタゴニストで あり、これらのリガンドドメイン間の距離は約40〜約250Åであり、前記アゴ ニストは第1および第2のリガンドドメインに共有結合で結合されている分子 バックボーンをさらに含むことを特徴とする、上記2価アゴニスト。 26.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項25に記 載の2価アゴニスト。 27.第1のGタンパク質共役受容体が第2のGタンパク質共役受容体と異なるも のである、請求項25に記載の2価アゴニスト。 28.第1のGタンパク質共役受容体か第2のGタンパク質共役受容体のいずれか がMSH受容体である、請求項25に記載の2価アゴニスト。 29.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項25に記載の2価アゴニスト。 30.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立 に選択される、請求項25に記載の2価アゴニスト。 31.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボーンは 単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボーンは 抗体でもない、請求項25に記載の2価アゴニスト。 32.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 31に記載の2価アゴニスト。 33.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項30に記載の2価ア ゴニスト。 34.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項30に記載の2価アゴニスト。 35.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項31に記載の2価アゴニスト。 36.2つの前記リガンドドメインおよび前記バックボーンがそれぞれ1以上のペ プチドを含み、前記バックボーンが2つのスペーサー領域、2つのポリリシン 領域および1つのジスルフィド結合領域を含み、前記リガンドドメイン、スペ ーサー領域、ポリリシン領域およびジスルフィド結合領域が(リガンドドメイ ン)−(スペーサー領域)−(ポリリシン領域)−(ジスルフィド結合領域) −(ポリリシン領域)−(スペーサー領域)−(リガンドドメイン)の順で一 緒に共有結合されている、請求項1に記載の2価アゴニスト。 37.前記スペーサー領域のそれぞれがタンパク質、一端にカルボキシル基を有す るポリエチレンもしくはポリプロピレングリコール、各端に独立してスルフヒ ドリル、ヒドロキシル、アミノまたはカルボキシル基を有する炭化水素、およ びこれらの組合せよりなる群から独立に選択される、請求項36に記載の2価ア ゴニスト。 38.それぞれのスペーサー領域がGGG-εAhxである、請求項37に記載の2価アゴ ニスト。 39.ポリリシン領域の少なくとも1個のアミノ基が正電荷を有する、請求項36に 記載の2価アゴニスト。 40.前記2価アゴニストが である、請求項36に記載の2価アゴニスト。 41.前記2価アゴニストが である、請求項36に記載の2価アゴニスト。 42.2つの前記リガンドドメインおよび前記バックボーンがそれぞれ1以上のペ プチドを含み、前記バックボーンが2つのスペーサー領域、2つのポリリシン 領域および1つのジスルフィド結合領域を含み、前記リガンドドメイン、スペ ーサー領域、ポリリシン領域およびジスルフィド結合領域が(リガンドドメイ ン)−(スペーサー領域)−(ポリリシン領域)−(ジスルフィド結合領域) −(ポリリシン領域)−(スペーサー領域)−(リガンドドメイン)の順で一 緒に共有結合されている、請求項13に記載の2価アゴニスト。 43.前記スペーサー領域のそれぞれがタンパク質、一端にカルボキシル基を有す るポリエチレンもしくはポリプロピレングリコール、各端に独立してスルフヒ ドリル、ヒドロキシル、アミノまたはカルボキシル基を有する炭化水素、およ びこれらの組合せよりなる群から独立に選択される、請求項42に記載の2価ア ゴニスト。 44.それぞれのスペーサー領域がGGG-εAhxである、請求項43に記載の2価アゴ ニスト。 45.ポリリシン領域の少なくとも1個のアミノ基が正電荷を有する、請求項42に 記載の2価アゴニスト。 46.前記2価アゴニストが である、請求項42に記載の2価アゴニスト。 47.ある量のモノマーをある量の酸化剤で処理する工程を含んでなる2価アゴニ ストダイマーの合成方法であって、前記モノマーが分子バックボーンに共有結 合されたリガンドドメインを含み、前記リガンドドメインは、(a) Gタンパク 質共役受容体のアゴニストであり、かつ(b) ペプチドを含み;前記バックボー ンは共有結合しているスペーサー領域、ポリリシン領域およびスルフヒドリル 基含有アミノ酸残基を含み;前記量の酸化剤がスルフヒドリル基を酸化するこ とができ、その結果、酸化されたスルフヒドリル基が別のモノマーの酸化され ていないスルフヒドリル基と反応してジスルフィド結合を有するダイマーを形 成する、ことを特徴とする上記方法。 48.酸化剤がジメチルスルホキシドである、請求項47に記載の方法。 49.ある量のモノマーをある量の酸化剤で処理する工程を含んでなる2価アゴニ ストダイマーの合成方法であって、前記モノマーが分子バックボーンに共有結 合されたリガンドドメインを含み、前記リガンドドメインは、(a) Gタンパク 質共役受容体のアンタゴニストであり、かつ(b) ペプチドを含み;前記バック ボーンは共有結合しているスペーサー領域、ポリリシン領域およびスルフヒド リル基含有アミノ酸残基を含み;前記量の酸化剤がスルフヒドリル基を酸化す ることができ、その結果、酸化されたスルフヒドリル基が別のモノマーの酸化 されていないスルフヒドリル基と反応してジスルフィド結合を有するダイマー を形成する、ことを特徴とする上記方法。 50.酸化剤がジメチルスルホキシドである、請求項49に記載の方法。 51.細胞を2価アゴニストと接触させることを含んでなる、細胞により発現され た1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激する方法であって、前 記アゴニストがそれぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容体のアゴニス トである2つのリガンドドメインを含み、これらのリガンドドメイン間の距離 は約40〜約250Åであり、前記アゴニストが2つのリガンドドメインに共有結 合で結合されている分子バックボーンをさらに含む、ことを特徴とする上記方 法。 52.前記細胞が第1または第2のGタンパク質共役受容体を発現する、請求項51 に記載の方法。 53.前記細胞が第1および第2のGタンパク質共役受容体を発現する、請求項51 に記載の方法。 54.第1および第2のGタンパク質共役受容体が異なるものである、請求項51に 記載の方法。 55.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項51に記 載の方法。 56.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項53に記 載の方法。 57.第1または第2のGタンパク質共役受容体がMSH受容体である、請求項51 に記載の方法。 58.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項51に記載の方法。 59.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェ ロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立に 選択される、請求項51に記載の方法。 60.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボーンは 単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボーンは 抗体でもない、請求項51に記載の方法。 61.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 60に記載の方法。 62.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項61に記載の方法。 63.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項61に記載の方法。 64.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項60に記載の方法。 65.細胞を2価アゴニストと接触させることを含んでなる、細胞により発現され た1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激する方法であって、前 記アゴニストがそれぞれ第1および第2のGタンパク質共役受容体のアンタゴ ニストである2つのリガンドドメインを含み、これらのリガンドドメイン間の 距離は約40〜約250Åであり、前記アゴニストが2つのリガンドドメインに共 有結合で結合されている分子バックボーンをさらに含む、ことを特徴とする上 記方法。 66.前記細胞が第1または第2のGタンパク質共役受容体を発現する、請求項 65に記載の方法。 67.前記細胞が第1および第2のGタンパク質共役受容体を発現する、請求項65 に記載の方法。 68.第1および第2のGタンパク質共役受容体が異なるものである、請求項65に 記載の方法。 69.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項65に記 載の方法。 70.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項67に記 載の方法。 71.第1または第2のGタンパク質共役受容体がMSH受容体である、請求項65 に記載の方法。 72.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項65に記載の方法。 73.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立 に選択される、請求項65に記載の方法。 74.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボーンは 単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボーンは 抗体でもない、請求項65に記載の方法。 75.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 74に記載の方法。 76.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項75に記載の方法。 77.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項75に記載の方法。 78.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項74に記載の方法。 79.細胞を2価アゴニストと接触させることを含んでなる、細胞により発現され た1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト剌激する方法であって、前 記アゴニストが第1および第2のリガンドドメインを含み、第1のリガンドド メインは第1のGタンパク質共役受容体のアゴニストであって、第2のリガン ドドメインは第2のGタンパク質共役受容体のアンタゴニストであり、これら のリガンドドメイン間の距離は約40〜約250Åであり、前記アゴニストが第1 および第2のリガンドドメインに共有結合で結合されている分子バックボーン をさらに含む、ことを特徴とする上記方法。 80.前記細胞が第1または第2のGタンパク質共役受容体を発現する、請求項79 に記載の方法。 81.前記細胞が第1および第2のGタンパク質共役受容体を発現する、請求項79 に記載の方法。 82.第1および第2のGタンパク質共役受容体が異なるものである、請求項79に 記載の方法。 83.第1または第2のGタンパク質共役受容体がMSH受容体である、請求項79 に記載の方法。 84.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項79に記載の方法。 85.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立 に選択される、請求項79に記載の方法。 86.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボーンは 単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボーンは 抗体でもない、請求項79に記載の方法。 87.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 86に記載の方法。 88.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項87に記載の方法。 89.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項87に記載の方法。 90.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項86に記載の方法。 91.1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するのに有効な量の請 求項1に記載の2価アゴニスト、および製薬上許容される担体を含んでなる、 1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するための組成物。 92.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項91に記 載の組成物。 93.それぞれのリガンドドメインが同じものである、請求項92に記載の組成物。 94.第1のGタンパク質共役受容体が第2のGタンパク質共役受容体と異なるも のである、請求項91に記載の組成物。 95.第1のGタンパク質共役受容体か第2のGタンパク質共役受容体のいずれか がMSH受容体である、請求項91に記載の組成物。 96.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項91に記載の組成物。 97.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立 に選択される、請求項91に記載の組成物。 98.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボー ンは単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボー ンは抗体でもない、請求項91に記載の組成物。 99.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 98に記載の組成物。 100.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項99に記載の組成物 。 101.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項99に記載の組成物。 102.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項98に記載の組成物。 103.前記2価アゴニストが である、請求項91に記載の組成物。 104.前記2価アゴニストが である、請求項91に記載の組成物。 105.1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するのに有効な量の請 求項13に記載の2価アゴニスト、および製薬上許容される担体を含んでなる、 1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するための組成物。 106.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項105に 記載の組成物。 107.それぞれのリガンドドメインが同じものである、請求項106に記載の組成物 。 108.第1のGタンパク質共役受容体が第2のGタンパク質共役受容体と異なるも のである、請求項105に記載の組成物。 109.第1のGタンパク質共役受容体か第2のGタンパク質共役受容体のいずれか がMSH受容体である、請求項105に記載の組成物。 110.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項105に記載の組成物。 111.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立 に選択される、請求項105に記載の組成物。 112.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボーンは 単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボーンは 抗体でもない、請求項105に記載の組成物。 113.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 112に記載の組成物。 114.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項113に記載の組成 物。 115.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項113に記載の組成物。 116.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項112に記載の組成物。 117.前記2価アゴニストが である、請求項105に記載の組成物。 118.1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するのに有効な量の請 求項25に記載の2価アゴニスト、および製薬上許容される担体を含んでなる、 1種以上のGタンパク質共役受容体をアゴニスト刺激するための組成物。 119.第1および第2のGタンパク質共役受容体が同じものである、請求項118に 記載の組成物。 120.第1のGタンパク質共役受容体か第2のGタンパク質共役受容体のいずれか がMSH受容体である、請求項118に記載の組成物。 121.第1および第2のGタンパク質共役受容体が両方ともMSH受容体である、 請求項118に記載の組成物。 122.リガンドドメインのそれぞれがホルモン、抗原、合成または天然の薬物、オ ピエート、ドーパミン、セロトニン、Ca2+、カテコールアミン、トロンビン 、アセチルコリン、プロスタグランジン、芳香物質である小さい有機分子、フ ェロモン、アデノシン、単純な糖、およびこれらの混合物よりなる群から独立 に選択される、請求項118に記載の組成物。 123.前記バックボーンがタンパク質、ポリヌクレオチド、サッカリド、ポリエチ レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、炭化水 素、ポリアクリレート、アミノ-、ヒドロキシ-、チオ-もしくはカルボキシ-官 能化シリコーン、またはこれらの組合せを含んでなるが、前記バックボーンは 単独でポリグリシンまたはポリプロリンではなく、さらに前記バックボーンは 抗体でもない、請求項118に記載の組成物。 124.前記バックボーンが1個以上の求核性または求電子性官能基を含む、請求項 123に記載の組成物。 125.前記求核性または求電子性官能基が1以上の薬剤または合成遺伝子治療用ベ クターとイオン結合または共有結合を形成している、請求項124に記載の組成 物。 126.前記求核性官能基がアミノ、ヒドロキシおよびスルフヒドリル基よりなる群 から選択され、前記求電子性官能基がカルボキシル基とそれらの同等物および エポキシド基よりなる群から選択される、請求項124に記載の組成物。 127.前記バックボーンがアンモニウムまたはカルボキシレート基をさらに含む、 請求項123に記載の組成物。
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