JP2000513927A - レチノイド代謝蛋白質 - Google Patents

レチノイド代謝蛋白質

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Abstract

(57)【要約】 ヒト、マウス、およびゼブラダニオにおいて認められるレチノイド代謝蛋白質のアミノ酸配列および対応する核酸配列を、その使用法と共に記述する。

Description

【発明の詳細な説明】 レチノイド代謝蛋白質 本出願は、1996年10月1日に提出された米国特許出願第08/724,466号および19 96年6月21日に提出された米国特許出願第08/667,546号からの優先権を主張する ものであり、その明細書は本明細書に参照として組み入れられる。 発明の背景 ビタミンA代謝により、レチノイン酸(RA)の活性型がいくつか生成されるが 、これらは、発生、再生の際の遺伝子発現の制御、および上皮組織[メイデン(M aden)、1992;シャンボン(Chambon)、1995;マンゲルスドルフ(Mangelsdorf )、1995;グダス(Gudas)、1994;ロタン(Lotan)、1995;モリス・ケイ(Mo rriss-Kay)、1996]の増殖および分化に関与し;多くの細胞タイプにおけるアポ トーシスまたはプログラムされた細胞死に関連し;ならびに抗癌および抗腫瘍特 性[ロタン(Lotan)、1996]を有する。 レチノール欠損症に関する初期の研究から、ビタミンA枯渇と、癌の高発生率 および化学発癌に対する易罹患性の増加との間に相関があることが示された[カ イチル(Chytil)、1984]。いくつかの動物モデルを用いて、皮膚、乳房上皮、 口腔、気管消化管(aerodigestive tract)、肝臓、膀胱、および前立腺を含む 様々な組織の発癌抑制におけるレチノイドの有効性が示されている[ムーン(Moo n)、1994]。これらの研究から、二次的な頭頸部腫瘍および肺の非小細胞癌再発 、ならびに基底細胞癌の予防と共に、紫外線角化症および口腔白板症を含む前悪 性段階の病変の治療にレチノイドが予防的に用いられるようになった[ホン(Hon g)、1994;リップマン(Lippman)、1995]。RAそのものは、前悪性段階の紫外 線角化症、ざ瘡、乾癬、および魚鱗癬のような皮膚疾患の治療と共に、特に急性 前骨髄性白血病(APL)、頭頸部腫瘍、および皮膚癌を含む癌の治療において、 治療的に有用であることがわかっている。抗腫瘍剤としてのRAの有効性は、少な くとも部分的に細胞分化および/または増殖阻害の誘導によるという証拠がある [ロタン(Lotan)、1996]。過去数年間の研究により、急性前骨髄性白血病(APL )患者が、全トランス型RAによる短期間の治療後に高い割合で完全寛解を得るこ とが示されている。残念なことに、この高い寛解率はほとんどの場合短期間であ る。再発後、 患者はRAによるさらなる治療に臨床的に耐性となる[ワレル(Warrell)、1994; ワレルら(Warrell)、1994;チョミエン(Chomienne)、1996;ムインジ(Muin di)、1992]。この耐性の本質は不明である。興味深いことに、RAに対して臨床 的耐性を示す患者から採取した白血病細胞は、インビトロで増殖させると、RAの 分化誘導作用に対して感受性であることが示された[ムインジ(Muindi)、1992 ;ムインジ(Muindi)、1994]。このことは、RAに対する耐性獲得の原因は薬物 動態メカニズムである可能性があることを示唆している。この可能性は、初回投 与後の患者では、再発後に治療した患者よりRAの最高血漿濃度がはるかに高いこ とを示す試験によって支持されている。RAの最高血漿濃度の減少は、尿中の4-オ キソ-レチノイン酸濃度の10倍増加を伴った。さらに、チトクロームP450機能の 広域スペクトル阻害剤であるケトコナゾールは、インビボでRAの薬物動態を制御 することが示された[ムインジ(Muindi)、1992;ムインジ(Muindi)、1994]。 したがって、RAが自身の代謝速度を増加させ、その結果RAの治療的有効量を維持 することができなくなった可能性がある。RAを治療的に投与すると、様々な望ま しからぬ副作用が起こり得るため、治療におけるRAの最小必要量を確立および維 持することが重要である。例えば、妊娠中のRA治療により、胎児に重度の催奇形 作用を生じることがあり得る。RA治療の副作用には、頭痛、悪心、ケライティス (Chelitis)、顔の皮膚炎、結膜炎および鼻粘膜の乾燥も含まれる。RAを継続的 に投与すると、トリグリセリド血清濃度が大きく上昇することがあり、肝腫、肝 硬変および門脈高血圧症を含む肝機能の重度異常を引き起こしうる。 また、RA代謝により、RA治療に対して特定の腫瘍が反応しないことの説明がつ く。例えば、最近の研究により、RA代謝を阻害してその結果RAの組織濃度を増加 させるチトクロームP450阻害剤が、前立腺癌の治療において有用な治療剤である 可能性があることが示された[ウーターズ(Wouters)、1992;デコスター(De C oster)、1996]。このように、RA代謝性チトクロームP450は多くの異なるタイプ の癌の治療に対する有用な標的となる可能性がある。 ビタミンA代謝の古典的な考え方は、最も活性の強い代謝物である全トランス 型RAが2つの酸化段階を経てレチノールからレチンアルデヒドおよびRAへの変換 に由来すること、およびRAは極性誘導体4-ヒドロキシRAおよび4-オキソRAへとさ ら に代謝されることを支持している[ブラナー(Blaner)、1994;ナポリ(Napoli )、1995;フォルメリ(Formelli)、1996;ナポリ(Napoli)、1996]。4-オキ ソおよび4-ヒドロキシ代謝物がRA異化経路の単なる中間物に過ぎないのか、また はそれらが全トランス型RAおよび9-シスRAの活性とは異なる特殊な活性を有する ことができるか否かはわかっていない。ピナッペルら[Pijnappel、1993]は、ア フリカツメガエルにおいて、4-オキソRAが初期胚における位置の特定化を効率よ く制御することができ、全トランス型RAより強力な、Hoxb-9およびHoxb-4遺伝子 発現の制御能を示すことを示した。4-オキソ-RAは、レチノイン酸受容体-β(RA R-β)に対して全トランス型RAと同等の親和性で結合する[ピナッペル(Pijnapp el)、1993]が、RAR-γには結合しない[レディ(Reddy)、1992]ことが判明し、 この代謝物が何らかの受容体選択性を示すことが示唆される。4-オキソ-RAはま た、細胞性レチノイン酸結合蛋白質(CRABP)に結合するが、親和性は全トラン ス型RAよりわずかに低い[フィオレラ(Fiorella)、1993]。タカツカら[Takatsu ka、1996]は、RAの増殖阻害作用がRA代謝活性と相関することを示したが、RA代 謝物の生成と増殖阻害との間に因果関係が認められるか否かは不明である。発生 中の胚にこれらの代謝物が非対称に分布することは、それらが組織特異的イソメ ラーゼによって選択的に分解または生成される可能性があることを示唆している [クリーク・クラフト(Creech Kraft)、1994]。これらの代謝物の正常なバラン スは、代謝前駆体であるレチノールおよびレチンアルデヒドの生成速度[レオ(L eo)、1989]および異化速度に左右される。現在のところ、この代謝スキーム、 特にRAの異化に関与する酵素についてはほとんどわかっていない。 RAの異化は、RAのβイオノン環のC4-またはC18-位のいずれかでのヒドロキシ ル化によって始まると考えられる[ナポリ(Napoli)、1996]。C4-ヒドロキシル 化段階は、ケトコナゾールおよびリアラゾールのような広域スペクトルP450阻害 剤の4-ヒドロキシル化阻害能力によって判断すると、チトクロームP450活性によ って媒介される[ウィリアム(William)、1987、バンオーウェ(Van Wauwe)、1 988;バンオーウェ(Van Wauwe)、1990、バンオーウェ(Van Wauwe)、1992、 ウーターズ(Wouters)、1992]。精巣、皮膚および肺を含む特定の組織ならびに NIH 3T3繊維芽細胞、HL-60骨髄単球性白血病細胞、F9およびP19マウス胎児性癌 細胞系な らびにMCF7のような多くの細胞系では、RA代謝は、RA前処置によって誘導するこ とができる[フロリク(Frolik)、1979、ロバーツ(Roberts)、1979aおよびb; デュエル(Duell)、1992;ウーターズ(Wouters)、1992]。F9細胞におけるRAR 遺伝子の標的破壊に関する研究により、RAR-αおよびRAR-γイソ型は、この代謝 増加の原因となる酵素の制御に重要な役割を果たす可能性があることが示唆され ている[ボイラン(Boylan)、1995]。 RAのグルクロン酸抱合は、RAの不活化における重要な代謝段階である[ブラナ ー(Blaner)、1994;フォルメリ(Formelli)、1996]。RAの消失には、4-オキ ソへの酸化が必要であり、その後抱合を受けて4-オキソ全トランス型RAグルクロ ニドを形成する可能性がある。これは、4-オキソRAグルクロニドが尿中に認めら れる唯一のレチノイド抱合物であることを示す、霊長類およびヒトの双方におけ る試験によって支持されている[ムインジ(Muindi)、1992;ムインジ(Muindi )、1994]。RA療法後、4-オキソRAが血清中に存在しない、またはほとんど検出 されないという事実は、酸化がこの過程における律速段階であることを示唆して いる。 最近、4-オキソレチノール(4-オキソ-ROL)がレチノールより強い生物活性を 有することが示された。4-オキソ-ROLは、F9およびP19マウス奇形癌細胞におい てRAによって誘導可能である[ブルンバーグら(Blumberg)、1995;アッカーら (Achkar)、1996]。 ゼブラダニオのひれは、初期脊椎発生に関与する多くの遺伝子制御経路を使用 するRA感受性プロセスを通じて再生されることが知られている[ホワイト(White )、1994;アキメンコ(Akimenko)、1995a&b]。 本発明者らの知る限り、肝臓外組織におけるRAの代謝に関係するチトクローム P450は、分子レベルでの特徴付けがまだなされていない。 発明の概要 本発明者らは、ヒトにおいてRA誘導可能なcDNAを含む、レチノイン酸誘導可能 なレチノイン酸代謝蛋白質をコードする遺伝子を初めて同定、クローニングおよ びシークエンシングする。この蛋白質は上皮において発現されることが判明した 。 cDNAはゼブラダニオから単離してシークエンシングした。このcDNAによってコ ードされる蛋白質を発現させると、この蛋白質はレチノイン酸のβ-イオノン環 の4位でレチノイン酸をヒドロキシル化する能力を有することが示された。この 蛋白質はレチノイン酸に暴露した上皮細胞において誘導可能であることが判明し た。 同様の機能を有する蛋白質をコードするヒトcDNAもまた単離してシークエンシ ングした。 cDNAはまた、マウスからも単離してシークエンシングした。 3つの種から得た配列間の相同性は、それらが蛋白質をコードする核酸であれ 、蛋白質のアミノ酸配列であれ、比較的高いことが判明し、3つの蛋白質は全て 、チトクロームP450として知られる蛋白質のグループの特徴であるヘム結合モチ ーフを含む。これらの新たに得られた蛋白質のアミノ酸配列と既知のチトクロー ムP450との全体的な相同性は30%未満である。この全体的な相同性が比較的低い にもかかわらず、特定のその他のP450のヘム結合領域において高度の相同性が認 められた。例えば、ゼブラダニオの新規蛋白質のそれぞれのヘム結合領域を規定 するアミノ酸約20個とCYP4503A12との相同性は約50%で、ゼブラダニオの新規蛋 白質とhCYTFAOHとの相同性は65%である。本発明の蛋白質のヘム結合領域と別の P450との相同性は、おそらく70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100 %となるであろう。 したがって、本発明の第一の局面は、レチノイドを酸化する能力を有し、配列 番号:2、配列番号:4、または配列番号:32と同定されたアミノ酸配列または その機能的に同等な相同体と比較して少なくとも約30%保存されているアミノ酸 配列を有する精製蛋白質である。配列番号:2と同定されたアミノ酸配列は、ゼ ブラダニオから得られた蛋白質で、本明細書において「zP450RAI」と呼ぶ。配列 番号:4とするヒト蛋白質のアミノ酸配列および蛋白質は、本明細書において「 hP450RAI」と称する。マウス蛋白質の配列は配列番号:32とし、この蛋白質を本 明細書においてmP450RAIと呼ぶ。 配列番号:2(ゼブラダニオ)、配列番号:4(ヒト)、もしくは配列番号: 32(マウス)とされたアミノ酸配列、またはその機能的に同等な相同体と比較し て少なくとも約35%保存されているそのような蛋白質もまた、本明細書に開示す る本発明の一部を成す。同様に、蛋白質の配列保存の程度は、配列番号:2、配 列番号:4、もしくは配列番号:32または機能的に同等なその相同体のいずれか の40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95% または当然のこととして100%となることが可能で、変異体は本来の蛋白質のレ チノイド酸化能が保持される限り、可能である。β-イオノン環の4位でレチノ イン酸をヒドロキシル化する能力を有するいかなるそのような蛋白質も本発明の 範囲内である。当然のこととして、開示の蛋白質が保存的に置換された変異体は 本発明の範囲内である。 本発明の蛋白質によって酸化されるレチノイドはレチノイン酸であってもレチ ノールであってもよく、蛋白質はレチノイドのβ-イオノン環の4位の炭素を酸 化する能力を有してもよい。特に全トランス型レチノイドは本発明の蛋白質によ る代謝を受けてもよい。 本明細書において、「保存された」という用語は、配列間の類似性を示す。2 つの配列間の保存の程度は、当技術分野に一般的に既知のように、比較できるよ う配列を最適に配置し、第一の配列における1つの位置を第二の配列における対 応する位置と比較することによって決定することができる。比較した位置に同じ ヌクレオチドまたはアミノ酸が存在する場合、場合によっては2つの配列はその 位置で保存される。2つの配列間の保存の程度はしばしば、本明細書のように、 2つの配列において比較した位置の総数に対する、適合する位置の数の比を示す 百分率として表記される。 「レチノイド」という一般的用語は、レチノイン酸、ビタミンA(レチノール )、ならびに多様なシステムにおける発生および分化に対して十分な作用を発揮 することができる一連の天然および合成誘導体を含む一群の化合物を意味する。 本開示の目的では、「レチノイド」はまた、例えば、計算機化学によって生成さ れうる同じ機能的特徴を有するその同等物も含むものとする。 もう一つの局面において、本発明は、本発明の蛋白質をコードする単離された 核酸分子である。 このように、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、もしくは配列番号:32 としたアミノ酸配列、またはその機能的に同等な相同体と比較して少なくとも約 30%保存されているアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする単離された核酸分 子、例えば、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で核酸分 子とハイブリダイズすることができる核酸鎖を含む。当然のこととして、核酸が コードする蛋白質の保存の程度はより高く、すなわち35%、40%、45%、50%、 55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上となることができ る。 特に、本発明はレチノイド環のβ-イオノン環の4位の炭素においてレチノイ ドを酸化する能力を有する蛋白質、より詳しく述べると全トランス型レチノイン 酸4-ヒドロキシラーゼ活性を有する蛋白質をコードする単離された核酸分子であ る。本発明の目的のため、「単離された」とは、組換えDNA技法によって産生し た場合にはその他の細胞材料もしくは培養培地、または化学合成によって産生し た場合には化学前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含まない核酸を指す 。 好ましい態様は下記により詳しく記述するが、本発明の好ましい蛋白質の細胞 発現は、特定のタイプの細胞に関して、細胞をレチノイド、特にレチノイン酸に 暴露することによって誘導することが可能である。本発明の蛋白質は、「レチノ イン酸誘導可能蛋白質」として記述される場合には、細胞のDNAによって通常コ ードされる蛋白質であり、細胞によるその発現がレチノイン酸に対する細胞の暴 露によって誘導することができる蛋白質である。たとえそのような蛋白質をコー ドするDNAを含んでいても、必ずしも全ての細胞がRAへの暴露時に蛋白質を発現 するために必要な全ての属性を有するわけではないことが理解されると思われる 。 蛋白質に関連したプロモーター活性を有するヌクレオチド配列もまた、本発明 者らによって単離および同定されている。プロモーター活性を有するヒトヌクレ オチド配列は、配列番号:33とする。プロモーター活性を有するマウスヌクレオ チド配列は、配列番号:34とする。プロモーター活性を有するゼブラダニオヌク レオチド配列は、配列番号:35とする。 実際、本発明はヒト(配列番号:36および37)およびマウス(配列番号:38) についてのゲノム配列を含む。 もう一つの局面において、本発明はこのように、全トランス型レチノイン酸4- ヒドロキシラーゼ活性を有するレチノイン酸誘導可能蛋白質をコードする異種DN Aを含有し発現する微生物細胞である。 本発明の核酸分子の配列は、ヒトゲノム、魚のゲノム、またはマウスゲノムの 一部に相当することができ、遺伝子コードの縮重のためにそれらと異なりうる。 より詳しく述べると、本発明の核酸分子は、配列番号:3(zP450RAI)、配列番 号:5(hP450RAI)、または配列番号:31(mP450RAI)とする配列を有するDNA 分子であることができ、または配列は遺伝子コードの縮重のためにこれらの配列 の1つから変化している配列となることができ、または高ストリンジェンシーも しくは低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でこれらの核酸分 子の少なくとも1つとハイブリダイズすることが可能な核酸鎖であることができ る。 「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、本明細書では当業 者に対してその一般的な意味である。核酸のハイブリダイゼーションを促進する 適当なストリンジェンシー条件、例えば約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸 ナトリウム(SSC)が当業者に既知である。以下の実施例は、「分子生物学の最 新のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、ジョン・ウィ リー&サンズ、ニューヨーク(1989)、6.3.1〜6.3.6.に認められる。第一の適 当なハイブリダイゼーション溶液50mlでは、ホルムアミド24ml、20×SSC 12ml、 2Mトリス塩酸pH7.6 0.5ml、100×デンハード液0.5ml、脱イオン水2.5ml、50% 硫酸デキストラン10ml、および10%SDS 0.5mlと混合する。第二の適当なハイブ リダイゼーション溶液は、1%結晶BSA(分画V)、1mM EDTA、0.5M Na2HPO4pH7 .2、7%SDSとなりうる。洗浄段階での塩濃度は50℃で約2×SSCという低ストリ ンジェンシーから50℃での約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでの中から選択 することができる。これらの洗浄液はいずれも0.1%SDSを含んでもよい。さらに 、洗浄段階の温度は室温、約22℃での低ストリンジェンシー条件から約65℃での 高ストリンジェンシー条件まで上昇させることができる。引用した参考文献はよ り詳細に記述しているが、適当な洗浄ストリンジェンシーは、プローブの相同性 および長さの程度に依存する。相同性が100%の場合、高温(65℃〜75℃)を用 いてもよい。相同性が低い場合は、より低い洗浄温度を用いなければならない。 しかし、プローブが非常に短い場合(<100bp)では、相同性が100%の場合でも 低い温度を用いなければならない。一般に、低温(37℃〜40℃)で洗浄を開始し 、バックグラウンドがオートラジオグラフィーにおける主要な要素とならないほ ど低くなるまで、3〜5℃の間隔で温度を上昇させる。 本発明のもう一つの局面は、本発明の蛋白質をコードする配列を有するDNAか ら転写された単離mRNAである。 もう一つの局面において、本発明は組換え型クローニングベクターにおいて機 能的に結合された上記ヌクレオチド配列による配列を有する単離DNAである。本 発明において、「機能的に結合された」という用語は、調節配列が問題の核酸の 発現を可能にするために十分量のエレメントを含むこと、および核酸が調節配列 に適切にリンクしていることの双方を意味する。例えば、本発明の核酸は適当な 方向にあり、開始コドンと相が一致している。このように、本発明はレチノイン 酸のβ-イオノン環の4位でレチノイン酸をヒドロキシル化する能力を有する蛋 白質を発現する、安定的にトランスフェクトされた細胞系を含む。本発明は、レ チノイン酸のβ-イオノン環の4位でレチノイン酸をヒドロキシル化する能力を 有する蛋白質をコードする核酸配列を有する組換えDNA分子で形質転換された細 胞培養物を含む。 本発明のもう一つの局面は、上記の本発明の蛋白質を産生するよう遺伝子操作 された宿主細胞、該蛋白質をコードする異種DNAをその中で発現するよう組み入 れられた細胞である。レチノイド、好ましくはレチノイン酸に細胞を暴露するこ とによって、蛋白質の産生が誘導可能となる細胞を選択してもよい。細胞は真核 生物であってもよい。 本発明はまた、本発明の上記蛋白質を製造する方法を含む。該方法には以下の 段階が含まれる: 蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA断片を調製する段階、 DNA断片を含み、複製を受けることが可能な組換えDNA分子を得るために発現ベ クターの中にDNA断片を組み入れる段階、 蛋白質を発現することができる形質転換体を作製するために該組換えDNA分子 で宿主細胞を形質転換する段階、 形質転換体を培養して蛋白質を産生させる段階、および 得られた培養混合物から蛋白質を回収する段階。 本発明は本発明の蛋白質に対する抗体を含む。ここで、「抗体」という用語は Fab断片を含むものであり、モノクローナル抗体であることができる。抗体は配 列番号:4とするアミノ酸配列、すなわちhP450RAIに対して特異的に作製するこ とができる。 本発明は、そのような代謝を必要とする生物または細胞におけるレチノイン酸 の代謝に用いられる精製蛋白質を含む。同様に、本発明は、上記のように本発明 の蛋白質を投与することを含む、レチノイン酸代謝を必要とする生物または細胞 においてレチノイン酸を代謝する方法を含む。 本発明は、配列番号:5とする配列の少なくとも一部と実質的に相補的である アンチセンスRNAまたはオリゴヌクレオチドの有効量を生物の細胞に導入するこ とを含む、レチノイン酸ヒドロキシル化の阻害を必要とする生物においてレチノ イン酸ヒドロキシル化を阻害する方法を含む。生物はヒトであることができ、お よび/または生物は、癌、紫外線角化症、口腔白板症、頭および/または頸部の 二次腫瘍、肺の非小細胞癌、基底細胞癌、急性前骨髄性白血病、皮膚癌、および 紫外線角化症、ざ瘡、乾癬および/または魚鱗癬に関連した前悪性疾患状態から なる群より選択される癌様疾患または疾患に対する治療が必要でありうる。その ような方法は、一組のウイルスベクター、マイクロインジェクション、電気穿孔 、共沈降、リポソーム、エアロゾル輸送および洗浄からなる群より選択される少 なくとも1つの輸送媒体または技法の使用を含むことができる。配列の部分は、 5塩基長、5〜50塩基長、5〜30塩基長、10〜20塩基長であってもよく、または 別の適当な長さを用いてもよい。生物はヒト患者であってもよく、方法は癌様疾 患に対する患者の治療を含むことができる。 本発明はまた、レチノイン酸ヒドロキシル化の阻害を必要とする生物において 、抗体、上記のような抗体の有効量を生物に投与することによってレチノイン酸 ヒドロキシル化を阻害する方法を含む。ヒトの治療に対して特に有用な抗体は、 配列番号:4のアミノ酸配列またはその一部を有する蛋白質に対する抗体である 。そのような抗体は、当業者に理解されるように、抗体を「ヒト化する」ことに よってヒトへの投与に適応されることが利点である[ホズミ(Hozumi)、1993]。 本発明は、レチノイドへの暴露に反応して内因性蛋白質を産生することができ る細胞を提供する段階、所望の蛋白質をコードするDNA配列を、内因性蛋白質を コードするDNA配列が通常存在する位置またはその付近で、細胞のDNAに組み入れ る段階、および所望の蛋白質の産生を誘導するようにレチノイドに細胞を暴露す る段階を含む、所望の蛋白質の製造法を含む。 もう一つの態様において、本発明は、レチノイド酸化能を有し、および配列番 号:2、または配列番号:32のアミノ酸配列に関して少なくとも約30%保存され ているアミノ酸配列を有する蛋白質の有無を調べるキット、とりわけ配列番号: 4のアミノ酸配列を有する蛋白質(またはそのペプチド断片)、すなわちヒト蛋 白質の有無を調べるキットである。キットには、蛋白質の既定量と抗体を共に結 合させると検出可能な反応を生じるリポーターシステムに結合した蛋白質に対す る抗体を含む。 もう一つの局面において、本発明は、本発明の蛋白質をコードする核酸、また は配列番号:3、配列番号:5、もしくは配列番号:31の配列を有する核酸、ま たは遺伝子コードの縮重のために配列から変化した核酸、またはストリンジェン トなハイブリダイゼーション条件下で少なくとも1つの該核酸とハイブリダイズ することが可能な核酸鎖の有無を調べるキットである。キットは、核酸または核 酸鎖の規定量と核酸分子を互いにハイブリダイズさせると検出可能な反応を生じ るリポーターシステムに該核酸分子が結合している、該核酸または核酸鎖の少な くとも一部とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能な1つ の核酸分子を含む。該分子は長さが5塩基以上;長さが5〜50塩基以上、長さが 5〜30または40塩基、または長さが10〜20塩基の間であることができる。当然の こととして、より適した塩基の長さが発見されうる。 本発明は、 (a)配列番号:33; (b)配列番号:34; (c)配列番号:35;および (d)(a)(b)または(c)の断片、 からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する単離されたDNA分子であっ て からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する単離されたDNA分子であっ て、プロモーター活性を有するDNA分子を含む。 より詳しい局面において、本発明は、xが5までの値である配列TGAACT(N)xTGA ACTを含む、記載の配列の1つのDNA分子を含む。この配列は、特にxが5である 場合、プロモーター活性を有することが確認されたヌクレオチド配列の3つ全て において保存されている。さらにより詳しく述べると、本発明は、配列TCTGASSA AGKTAACが配列TGAACT(N)xTGAACTより下流で起こるDNA分子を含む。さらにより詳 しく述べると、配列は、配列TGAACT(N)xTGAACTと配列TCTGASSAAGKTAACとの間に 配列AATTを含み、AATTは配列TGAACT(N)xTGAACTに隣接した下流に認められる。配 列TGAACT(N)xTGAACTと配列TCTGASSAAGKTAACとの間にはヌクレオチド6個まで存 在できることが認められている。配列TGAACT(N)xTGAACTの上流に配列CAATTAAAGA が存在することもできる。特定の局面において、プロモーター活性を有するヌク レオチド配列は、配列CAATTAAAGATGAACTTTGGGTGAACTAATTおよび配列TATAAを含む 。特に配列TATAAは配列TGAACT(N)xTGAACTの下流であり、より詳しく述べると配 列TATAAは配列TCTGASSAAGKTAACの下流で、それは配列TGAACT(N)xTGAACTから約55 ヌクレオチド下流まで広がることができる。 本発明は、プロモーター活性を有するそのようなDNA配列を有する組換えDNAを 含む。組換えDNAもまた、1つ以上の構造遺伝子を含むことができる。構造遺伝 子はチトクロームP450蛋白質をコードすることができる。本発明は、そのような 組換え型DNAを含む発現プラスミドおよび組換えDNAを含む単離細胞を含む。細胞 は通常真核細胞である。 本発明は、組換えDNAを含む本発明の細胞を培養する段階、および産生された 蛋白質を回収する段階を含む、組換え蛋白質の製造法を含む。蛋白質は、チトク ロームP450でありうるが、必ずしもそうである必要はない。蛋白質は融合蛋白質 でありうる。 本発明はさらに、精製した該蛋白質を該薬物に暴露することおよび活性に及ぼ すその効果を決定することを含む、レチノイン酸誘導可能蛋白質の活性に及ぼす それらの効果に関する薬物のスクリーニング法を含む。活性はレチノイン酸、特 に全トランス型レチノイン酸のヒドロキシル化であることができる。特に活性は ヒドロキシル化であることができる。 本発明は、本発明のP450RAI活性を有する蛋白質の活性に及ぼす効果について 薬物をスクリーニングする、特にレチノイン酸、特に全トランス型レチノイン酸 の酸化に対して薬物が有すると思われる効果を確認する方法を提供する。 さらにもう一つの局面において、本発明は、上記の組換えDNAを活性があると 考えられる薬物に暴露する段階、および遺伝子発現に及ぼすその効果を決定する 段階を含む、レチノイドによって誘導可能である遺伝子の発現に及ぼすそれらの 効果に関して薬物をスクリーニングする方法を含む。これは、該レチノイドの存 在下で組換えDNAを暴露する段階を含みうる。遺伝子はレチノイン酸を代謝しな いリポーター遺伝子でありうる。遺伝子の転写に及ぼす効果を確認する方法を含 みうる。 本発明は、レチノイドの代謝に及ぼす薬物の効果を明らかにするためにレチノ イドの存在下で薬物にシステムを暴露する段階を含む、該チトクロームP450に対 して本来のプロモーター活性を有するヌクレオチド配列の制御下であるように、 発現系に組み入れられる本発明のヌクレオチド配列によってコードされるチトク ロームP450によって、レチノイドの代謝に及ぼす効果に関して薬物をスクリーニ ングする方法を含む。 レチノイドはレチノイン酸であってもよく、全トランス型レチノイン酸であっ てもよい。 本発明は、該蛋白質の活性を調節する、好ましくは減少させる効果を有する、 または遺伝子発現を調節する、好ましくは減少させる作用を有する方法に従って 同定されたいかなる薬物も含む。 本発明は、本発明の方法によって同定された薬物の有効量を生物に投与するこ とを含む、そのような阻害を必要とする生物においてレチノイン酸の代謝を阻害 する方法を含む。 図面の簡単な説明 図1は、mRNAの示差表示を用いてレチノイド調節遺伝子を単離するために用い られた工程の略図である。工程の略図は、示差表示技法を用いてレチノイド調節 遺伝子の単離に関係している。段階6において単離されたクローニング産物を次 遺伝子の単離に関係している。段階6において単離されたクローニング産物を次 にシークエンシング、ノザンブロットまたはcDNAライブラリのスクリーニングに 用いることができる。P1、P2、およびP3はRA誘導mRNAからの断片に相当する。P4 は、ダウンレギュレートされたmRNAからのPCR産物を表す。 図2(a)は、レチノイン酸処置魚(レーン1および2)およびジメチルスル ホキシド(DMSO-)処置対照魚(レーン3および4)を用いて得られたPCR増幅mR NAの二連でのポリアクリルアミドゲルを示す。矢印はPCR増幅バンドがRA処置サ ンプル中には存在するが、対照には認められないことを示している。 図2(b)は、図2(a)のバンド(矢印)から単離した337塩基対のPCR増幅 産物のヌクレオチド配列(配列番号:1)を示す。矢印は、示差表示PCR増幅の ための上流および下流のプライミング部位がzP450RAIの3'-非翻訳部分に位置し たヌクレオチド配列を示している。 図2(c)は、cDNA(492アミノ酸オープンリーディングフレーム)に対応す るアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。四角で囲んだ残基はチトクロームP450 の特徴であるヘム結合モチーフを示す。 図2(d)は、スーパーファミリーにおいて認められる保存されたヘム結合モ チーフの領域におけるzP450RAIと他のいくつかのチトクロームP450(配列番号: 6、7、8、9、10)とのアミノ酸配列の比較を示す。ヘム結合に直接関与して いることが示されている[ゴトウ(Gotoh)、1989]図中で0と示されているシステ インは、高度に保存されたいくつかのアミノ酸によって取り囲まれている。 図3(a)は、zP450RAI cDNAプローブを用いて、レーン5にRA処置魚の再生 組織、およびレーン4に対照(DMSO処置魚)から得られたmRNAのノザンブロット 分析を示す。RNAラダー(レーン1)との比較により、主要なzP450RAI転写物が1 .4〜2.4kbの範囲であることが示されている。 図3(b)は、全量のインサイチューハイブリダイゼーションによって切断後 72時間での尾ひれ組織の再生におけるzP450RAI転写物の局在を示す。(i)zP450RA I転写物はDMSO処置再生体では検出不可能であることが判明した。最初の切断平 面を白い矢印の先で示す:m(軟間葉組織)およびr(骨様鰭条)は標識されてい る。(ii)RA処置魚から得られたサンプルでは、黒い矢印の先で示すzP450RAI転写 物 が、再生体の遠位先端にかけて伸長する1群の細胞に局在することが判明した。 zP450RAI発現が低レベルであることはまた、黒い矢印の先で示すように、単離し たひれの近位基底部での非再生組織においても明らかであった。切断平面は図3 (b)(i)のように白い矢印の先によって示す。(iii)平面を通じて得られ た組織学的切片を直線で示す。(iv)ハイブリダイゼーション後のRAで処置した ひれの組織学的切片を示す。zP450RAIの局所発現は、再生体の遠位先端に存在す る上皮細胞のサブセット(黒い矢印の先)において検出された。密な再生芽およ び創傷上皮を分離する基底膜は灰色の矢印の先で示す。 図4は、pSG5-zP450RAIトランスフェクトCOS-1細胞およびpSG5トランスフェク ト対照細胞の処置培地から得られた脂溶性抽出物の溶出プロフィールを示す。図 4(a)および4(b)は、575pM[11,12-3H]RAと共に4時間および24時間イン キュベートした細胞の画分数に対するcpmのプロットで、それぞれpSG5-zP450RAI COS-1細胞(−)および対照細胞(---)である。[11,12-3H]RAの水溶性総代謝 物への代謝(総cpmの%)は、β-シンチレーション計数を行った水溶性抽出物の 一部を用いて測定した。図4(a)および(b)の下の図を参照のこと。図4( c)および4(d)は、1μM RAと共にそれぞれ、4および24時間インキュベ ートした細胞の保持時間に対する吸光度のプロットである。zP450RAIトランスフ ェクト細胞において認められた最大値を黒色で示す。4〜6分のクロマトグラム の領域は拡大している(図4(c)および(d)の下の図を参照のこと)。zP45 0RAI cDNAでトランスフェクトした細胞では、4-オキソRAおよび4-ヒドロキシRA に相当するピークの生成が認められた。 図5は、配列番号:11とした配列を有するα-[32P]-dATP標識プローブで調べ たヒト細胞系について得られた結果を示す:HEK293;EL-E;HL-60;MCF10A;LC- T;SK-LC6;およびMCF7。(+)は、10-6M RAによる前処置を示し、(-)はRA前 処置を行っていないことを示す。ブロットはまた、ゲルにRNAを加えた対照とす るためにhGAPDHでも調べ、これを下段のパネルに示す。 図6は、図5と同様で、細胞系U937およびHepG2に関する結果である。 図7は、図5と同様で、NT2細胞系に関する結果である。 図8は、図5と同様で、正常なNB4細胞系(最初の2レーン)およびレチノイ ン 酸耐性NB4派生細胞系にそれぞれ由来する3種の細胞系に関する結果である。 図9は、ヒトP450RAIアミノ酸配列(中段;配列番号:4)およびゼブラダニ オcDNAアミノ酸配列(下段;配列番号:2)と共に配置したマウスcDNAアミノ酸 配列(上段、配列番号:32)を示す。 図10(a)は、pSG5-hP450RAIトランスフェクトCOS-1細胞およびpSG5cトラン スフェクト対照細胞の処置培地から得られた脂溶性抽出物の溶出プロフィールで ある。[11,12-3H]RAと共に24時間インキュベートしたpSG5-hP450RAI COS-1細胞 (---)および対照細胞(-)の細胞分画数に対するcpmのプロットを示す。図10 (b)は、水溶性総代謝物への「11,12-3H」RAの代謝を測定するために行ったβ- シンチレーション計数を行った水溶性抽出物のアリコートの測定値を示す。図10 (c)は、1μM RAと共に24時間インキュベートしたhP450RAIトランスフェクト 細胞(---)および対照細胞(−)の保持時間に対する吸光度のプロットを示す 。挿入した図は10分付近を明瞭に見えるよう拡大している。 図11(a)は、pSG5-hP450RAIトランスフェクトCOS-1細胞およびpSG5トランス フェクト対照細胞の4-オキソ-RA産生を示している。 図11(b)は、pSG5-hP450RAIトランスフェクトCOS-1細胞およびpSG5トランス フェクト対照細胞の4-ヒドロキシ-RA産生を示している。 図11(c)は、pSG5-hP450RAIトランスフェクトCOS-1細胞およびpSG5トランス フェクト対照細胞の水溶性代謝物の生成を示している。 図11(d)は、pSG5-hP450RAIトランスフェクトCOS-1細胞およびpSG5トランス フェクト対照細胞の未代謝RAを示している。 図12(a)は、RAに暴露したMCF 10A細胞および非暴露MCF 10A対照細胞の培地 から得られた脂溶性抽出物の溶出プロフィールを示している。[11,12-3H]RAと共 に24時間インキュベートしたRA-誘導MCF10A細胞(---)および対照(−)細胞の 細胞分画数に対するcpmのプロットを示す。 図12(b)は、RAに暴露したMCF7細胞および非暴露MCF7対照細胞の処置培地か ら得られた脂溶性抽出物の溶出プロフィールを示している。[11,12-3H]RAと共に 24時間インキュベートしたRA誘導MCF7細胞(---)および対照(−)細胞の分画 数に対するcpmのプロットを示す。 図12(c)は、β-シンチレーション計数を行った図12(a)および(b)に 記述した細胞系の水溶性抽出物のアリコートを用いて測定した水溶性総代謝物を 示している。左の2つの棒グラフはそれぞれ、非暴露MCF7細胞およびRAに暴露し たMCF7細胞のものである。第3および第4の棒グラフはそれぞれ、非暴露MCF 10 A細胞およびRAに暴露したMCF 10A細胞のものである。 図13(a)は、実施例7に記述のように、放射性標識RAと共に90分インキュベ ートした後のミクロソーム調製物から得た脂溶性抽出物の溶出プロフィールを示 す。Hela Pミクロソーム(■、▲)およびHela RAIミクロソーム(▼、◆)の分 画数に対するdpmのプロット。 図13(b)は、図13(a)の分画5〜15をより大きいスケールで示す。 図14(a)は、GST-hP450RAI融合蛋白質のSDS-PAGEを示す。レーン1は、誘導 を行わない場合の、融合蛋白質を含むプラスミドを発現する大腸菌の全細胞溶解 物を示す。レーン2は、0.1mM IPTGによる誘導後の融合蛋白質を含むプラスミド を発現する大腸菌の全細胞溶解物を示す。 図14(b)は、0.1mM IPTGによる誘導後の精製GST-hP450RAI融合蛋白質のSDS- PAGEを示し、右側の分子量マーカーは、融合蛋白質が分子量約75kDaを有するこ とを示している。 図15は、ヒト、マウス、およびゼブラダニオのP450RAIのプロモーター配列を 示す。四角で囲んだ領域は高度保存領域を示し、矢印は互いに離れたRAREのコン センサス配列を示す。 図16は、mP450RAIの推定プロモーターの一部をその中にクローニングしたルシ フェラーゼベクターを含む細胞において誘導された相対的なルシフェラーゼ活性 を示す。ルシフェラーゼ活性は、センスまたはアンチセンスプロモーター配列の いずれかを含む、またはプロモーター配列を含まないルシフェラーゼ骨格のリポ ーター遺伝子と共に、RXRαおよびRARγをコードするcDNAを含む発現ベクターの 3種類の濃度(100ng、500ng、および1μg)でトランスフェクトさせ、RAの存 在下および非存在下で増殖させた細胞の細胞抽出物上清において測定した。 図17は、4-ヒドロキシ-フェニルレチンアミド(4-HPR)によるMCF7細胞におけ るP450RAI mRNAの阻害を示す。細胞は、全トランス型レチノイン酸(atRA)およ び4-HPRの表示の濃度で12時間処置した。総RNAをTRIzolを用いて抽出し、その後 電気泳動を行った。ノザンブロットは記述のように実施した。ニトロセルロース は、放射性標識P450RAIで調べ、次にGAPDHで調べた。 図18は、全トランス型レチノイン酸の投与後のMCF7細胞におけるチトクローム P450RAIの経時的な発現を、ノザンブロット分析によって示す。 図19は、全トランス型レチノイン酸のみの投与後、および全トランス型レチノ イン酸とケトコナゾールの存在下でのMCF7細胞におけるチトクロームP450RAIの 経時的な発現を、ノザンブロット分析によって示す。 図20は、全トランス型レチノイン酸の投与後およびAm580投与後のMCF7細胞に おけるチトクロームP450RAIの経時的な発現を、ノザンブロツト分析によって示 す。 好ましい態様の説明 図1は、mRNAの示差表示を用いてレチノイン酸調節遺伝子の単離に用いた工程 を概略する。図1の段階6において単離されたクローニング産物をダニオ・レリ オ(Danio rerio)cDNAライブラリのシークエンシングおよびスクリーニングに 用いた。P1、P2、およびP3はRA誘導mRNAからの断片に相当する。P4は、ダウンレ ギュレートしたmRNAからのPCR産物である。遺伝子配列の決定に関して手本とし た方法の詳細は本明細書において後述する。 ダニオ・レリオ(Danio rerio)種 D.レリオ(D.rerio)は、14時間明期10時間暗期で40Lタンクに1タンク当た り25〜30匹の魚を28.5℃で維持した。水道水に20L当たり水質調整剤(セラ・ア クタン(Sera Aqutan))10ml、および250g/L水槽用塩類(ニュートラフィン(N utra Fin))10mlを加えて調整した。水は2〜3Lを毎日取り替えた。ひれの切 断は、調整水に0.2%エチル-m-アミノ安息香酸メタンスルホン酸(ICN)溶液を 加えて魚を麻酔した後に実施した。レチノイン酸処置は、切断後、全トランス型 RAを、最終濃度10-6Mとなるようにタンク内の水に直接加えることによって実施 した。対照魚およびRA処置魚は両者とも、実験中暗所で維持した。 mRNAの示差表示 示差mRNA表示は、本明細書に記述のように適切な改変を加えたが、本質的にリ アン&パルディ(Liang and Pardee、1992)が記述したように実施した。再生組 織は切断後3日目(RA処置後24時間)に回収し、液体窒素中で急速に凍結した。 ポリ(A)+RNAは、マイクロファスト・トラックキット(Micro Fast-Track kit) を用いて単離した。用いたそれぞれの特異的3'ポリ-Tプライマー(5'-T12VN-3' )に関して処置および非処置サンプル双方からの独立逆転写反応を二連で実施し た。シンボル「V」はAまたはCもしくはGを表し、TまたはUではない。3'ポリ-Tプ ライマーのいくつかの組み合わせを表1の最初の欄に示し、第二の欄に示した上 流のプライマーをPCR増幅に用いた。各反応について、0.1μgポリ(A)+RNAを、3 00Uスーパースクリプト逆転写酵素(ギブコ/BRL)、1×緩衝液、dGTP、dATP、d CTPおよびdTTPをそれぞれ20μM、10μMジチオスレイトール(DTT)および5'-T12 VN-3'プライマー5pmolを含む反応用量20μlにおいて逆転写した。反応液を 混合して35℃で60分インキュベートし、95℃で5分インキュベートした。PCR増 幅は、パーキン・エルマー・シータスPCR機において以下のように実施した:cDN A合成反応液1μl、5U Taq DNAポリメラーゼ(ギブコ/BRL)、1×PCR緩衝液 、dGTP、dATP、dCTPおよびdTTPをそれぞれ2μM、10μCiα-[35S]dATP(レジ ビュー、アマシャム社)、1.2mM MgCl2、0.5μM上流プライマーおよび対応する 0.5μM5'-T12VN-3'プライマー。PCR条件は以下の通りであった:94℃で5分を 1サイクル;94℃で30秒、42℃で1分、72℃で30秒を40サイクル;その後72℃で 5分間最終的な伸長を行った。PCR反応液4μlを6%非変性ポリアクリルアミ ドゲルに載せて60ワット、45℃で電気泳動を行った。ゲルを乾燥させ、室温でコ ダックXARフィルム上に12〜24時間露光した。 表1では、第一の欄の配列はそれぞれ、配列番号:12、13、14、15、16、17、 18、19、20、21、22および23とする。第二の欄の配列はそれぞれ、配列番号:24 、25、26、27および28とする。 ゲル精製および再増幅 再現可能な示差増幅(図2aを参照のこと)を示すバンドは、5'-TGCCAGTGGA-3 '-ポリ-T-プライマー、5'-TTT TTT TTT TTT AG-3'(それぞれ、配列番号:26お よび16)の上流-下流プライマーの組み合わせについて認められた。これらのバ ンドはX線フィルムを重ねることによってゲルから切除し、乾燥したゲルの対応 する小片およびフィルターを切除する。本明細書で記述した蛋白質の断片に相当 するPCR産物を図2(a)のバンドから単離した。サンプルをヌクレアーゼ・フリ ーの水100μlに加え、室温で10分インキュベートし、その後15分沸騰させた。 上清は12,000×gで15分遠心した後回収した。 PCR産物のクローニングを容易にするため、反応にいくつかの変更を加えた。E agl制限エンドヌクレアーゼ部位を含むプライマーを再増幅に用いた。示差表示 分析において得られた結果に基づき、上流の5'-TGCCAGTGGA-3'プライマーを5'-G TAGCGGCCGCTGCCAGTGGA-3'(配列番号:29)に変更し、下流のポリ-Tプライマー 、5'-TTT TTT TTT TTT AG-3'を5'-GTAGCGGCCGCT12-3'(配列番号:30)に変更し た。さらに、反応用量を40μlに増加して同位体を排除し、40サイクルに対して 20サイクルを実施した。PCR反応液5μlアリコートを採取して、産物を、1% アガロース ゲルにおける電気泳動し、続いてエチジウム・ブロマイド染色およびUV照射を行 うことにより可視化した。 PCR産物のクローニング 再増幅産物はフェノール/クロロホルム抽出によって精製し、その後エタノー ル沈殿を行った。得られたDNAペレットを滅菌水17μlに再懸濁し、10U Eagl( ニューイングランドバイオラブズ)および1×NEB3緩衝液を加えて37℃で1時 間消化させた。Eagl制限エンドヌクレアーゼは65℃で20分インキュベートするこ とによって熱不活化した。pBluescript SK+ベクターはEaglによる消化によって 調製し、仔ウシ腸アルカリフォスファターゼ(CAP、プロメガ社)を用いて脱リ ン酸化を行った。制限酵素消化物をジーンクリーンIIキット(バイオ101)を用 いて精製した後、1%アガロースゲルにおいて電気泳動を行った。ライゲーショ ンの総量10μlにおいて、消化したPCR産物2μl、消化したSK+1μg、1U T4 DNAリガーゼ(ギブコ/BRL)および1×緩衝液を16℃で一晩インキュベートした 。大腸菌株JM109をバイオラドジーンパルサーを用いてライゲーション産物1μ lで形質転換し、LB+アンピシリンプレートに播種し、37℃で一晩インキュベー トした。 コロニーの選択 個々のコロニーを新鮮なLBプレートに2個ずつ移し、37℃で一晩増殖させた。 コロニーをニトロセルロース膜に移し、1.5M NaCl、0.5M NaOHの溶液中で5分間 変性させ、1.5M NaCl、0.5Mトリス塩酸、pH8.0で5分中和し、2×SSCで5分の 洗浄を2回実施した。次に膜をUVクロスリンクさせた(ストラタリンカーUVクロ スリンカー、ストラタジーン社)。プレハイブリダイゼーションおよびハイブリ ダイゼーションは、クイックハイブ(ストラタジーン社)を用いて製造元の指示 に従って実施した。各コロニーは、ケル再増幅および精製段階の際に単離された 対応するPCR産物をプローブとして調べた。α-[32P]-dATP標識プローブは、プラ イムイットキットII(Prime-It KitII)(ストラタジーン社)を用いて作製した 。ハイブリダイゼーションの後、フィルターを室温で2×SSC、0.1%SDS溶液中 で20分間を2回洗浄し、-70℃で一晩コダックX-omatオートラジオグラフィーフ ィルムに露光した。2枚ずつのプレートから陽性コロニーを選択し、LB+アンピ シリン(100μg/ml)中で一晩増殖させ、キアプレップ・スピンプラスミドキッ ト(キ アゲン社)を用いてプラスミドDNAを単離した。 T7シークエンシングキットを用いてクローンをシークエンシングした(ファル マシア・バイオテック社)。ジーンワークス・ソフトウェアパッケージ(インテ リジェネティックス社)を用いて配列比較を行った。 D.レリオcDNAライブラリのスクリーニング ユニザップ(UniZAP II、ストラタジーン社)において構築したランダムにプ ライミングしたD.レリオの6〜18時間胚cDNAライブラリを作製した。4.5×105個 の独立したpfuを、プローブとしてmRNA示差表示によって単離した、ランダムに プライミングしたα-[32P]-dATP標識337bp PCR断片を用いてスクリーニングした 。フィルターを50%ホルムアミド、5×SSPE、1×デンハード溶液、0.2mg/ml変 性サケ精子DNAにおいて42℃で1〜4時間プレハイブリダイズした。ハイブリダ イゼーションは、プレハイブリダイゼーション溶液に変性プローブを加えること によって、42℃で実施した。フィルターは室温で2×SSC、0.05%SDS溶液中で20 分間の洗浄を2回行い、-70℃でコダックXARフィルムに一晩露光した。陽性プラ ークを500μl SM緩衝液に採取し、精製するまで再スクリーニングを繰り返した 。製造元(ストラタジーン社)の指示に従って、陽性プラークにインビボ切除プ ロトコルを行った。pBluescript含有コロニーをLB+アンピシリンプレート上に播 種し、37℃で一晩増殖させた。T7シークエンシングキット(ファルマシア社)を 用いて配列データを得て、ジーンワークスソフトウェアパッケージ(インテリジ ェネティックス社)を用いて分析した。 ホールマウントインサイチューハイブリダイゼーション RA-およびDMSO処置再生体を切断後72時間目(RA/DMSO添加後24時間)に単離し 、PBSで洗浄し、ホールマウント(whole mount)インサイチューハイブリダイゼ ーション用に調製した。インサイチューハイブリダイゼーションは、これまでに 記述されているように実施した[ホワイト(White)、1994]。 ノザンブロット分析 72時間魚の尾ひれを再生させた。48時間目に、DMSO溶媒に溶解した10-6M全ト ランス型RAまたはDMSO単独をタンクの水に直接加えた。mRNAは、製造元の指示に 従って、マイクロファスト・トラックmRNA単離キット(インビトロゲン社)を用 い て調製した。3.0〜5.0μgポリA+RNAを電気泳動し、ブロットし、これまでに記 述の方法を用いて調べ[ホワイト(White)、1994]、下記のように全長のzP450RA I cDNAを得た。エチジウムブロマイド染色を施したアガロースゲルにより、mRNA の等量をブロッティング実験に用いたことが示された。図3(a)のレーン2およ び3を参照のこと。 HPLC分析 575pM[11,12-3H]RA(図4(a)および4(b))、または1μM RA(図4(c)お よび4(d))と共に4時間(図4(a)および4(c))または24時間(図4(b)お よび4(d))インキュベートしたトランスフェクト細胞からの培地を、0.1%酢 酸で酸性にした。培地の全脂質抽出を用いて脂溶性代謝物を水溶性代謝物から分 離した[ブライ(Bligh)、1957]。[11,12-3H]RAの水溶性総代謝物への代謝は、 β-シンチレーション計数を行う水溶性抽出物のアリコートを用いて測定した( 図4(a)および4(b)の下の図を参照)。脂溶性抽出物を窒素流下で蒸発堅固し 、93.5/5/1/0.5ヘキサン/イソプロパノール/メタノール/酢酸(H/I/M/AA)に 再懸濁した。代謝物は、ゾルバックス-SIL(3μ、8×0.62cm)カラムを用いて 流速1ml/分で溶媒系93.5/5/1/0.5H/I/M/AAで溶出するHPLCによって分離した。 実施例1 新規チトクロームP450の特徴付け RAの存在下または非存在下において再生するひれ組織に存在する転写物は、リ アン&パルディ(Liang&Pardee)[Liang、1992]が開発した示差表示PCR技法を 用いて比較した(図2(a))。図2(a)の矢印で示す、発現がRAの存在に依存す る示差表示産物の1つを単離し、シークエンシングした。この配列を配列番号: 1とし、図2(b)にも示す。本明細書において「zP450RAI」と呼ぶcDNAに対応す るアミノ酸配列を図2(c)に示し、配列番号:2とする。BLAST調査分析により 、zP450RAIとチトクロームP450スーパーファミリーの多数のメンバーとの間に配 列相同性があることが明らかになった。zP450RAI cDNA推定アミノ酸配列とその 他のチトクロームP450のアミノ酸配列とを整列すると、zP450RAIがこれまでに定 義されたサブファミリーのメンバーとの全体的なアミノ酸同一性は30%未満であ ることが示された[ネルソン(Nelson)、1993]。zP450RAIは、蛋白質のC末端部 分に位置する ヘム結合ドメインを含む、チトクロームP450ファミリーメンバーに共通している 構造モチーフの多くを含んでいる。図2(d)を参照のこと。P450RAIファミリー は「CYP26」と呼ばれている。 実施例2 全トランス型RAによるzP450RAIの細胞特異的誘導 対照(ジメチルスルホキシド-処置)およびRA処置魚から単離した再生組織に おいて発現されたmRNAのノザンブロット分析は、全長のzP450RAI cDNAプローブ を用いて実施した。zP450RAI転写物は、対照魚からの再生組織では検出されなか ったが(図3(a)、レーン4)、RAに24時間暴露した魚から単離した組織では非 常に著明に存在した(図3(a)、レーン5)。 ホールマウントインサイチューハイブリダイゼーションを用いて、再生しつつ あるひれ組織におけるzP450RAI発現の細胞内位置を決定した。図3(b)は対照お よびRA処置魚からの再生ひれを示す。zP450RAI転写物は対照ひれ組織では検出さ れない(図3(b)(i))。RA処置魚からの組織の再生において、zP450RAI転写物 は、図3(b)(ii)の黒い矢印の先で示すように創傷上皮の遠位先端を超えて広が る上皮細胞の層に豊富に認められた。図3(b)(ii)の黒い矢印の先の線で示すよ うに、鰭条間組織にはいくらか低レベルの染色も認められら。図3(b)(iii)に 示す線に沿ってRAで処置したひれの組織学的切片を図3(b)(iv)に示す。切片は 、zP450RAIを発現する細胞が芽体間葉細胞の遠位先端で上皮層の深部に位置する ことを示している。このようにホールマウントインサイチューハイブリダイゼー ションにより、全組織におけるチトクロームP450RAI mRNAの位置に関して本発明 の核酸プローブの有用性が示される。 実施例3 zP450RAIトランスフェクト細胞による全トランス型RAの代謝 レチノイン酸をzP450RAIの基質として調べた。全長のゼブラダニオzP450RAI c DNAを真核発現ベクターpSG5にクローニングした[グリーン(Green)、1988]。CO S-1細胞をpSG5またはpSG5-zP450RAIのいずれかで一過性にトランスフェクトし、 [11,12-3H]全トランス型RAのピコモル濃度または非放射性全トランス型RAのマイ クロモル濃度のいずれかと共にインキュベートした。COS-1細胞は、アフリカミ ドリ ザルの腎「繊維芽細胞様」細胞株である。COS-1細胞にzP450RAIが発現されると 、脂溶性および水溶性代謝物の双方においてRAの速やかな変換を促進した。図4 (a)および4(b)を参照のこと。トランスフェクト細胞の総脂質抽出物の分画は まず、ゾルバックス-SILを用いた正常相のHPLCによって分離した。pSG5およびpS G5-zP450RAI-トランスフェクト細胞からの抽出物を比較すると、zP450RAIがRA代 謝を有意に増加させることが示された。zP450RAIトランスフェクト細胞を575pM[ 11,12-3H]全トランス型RAで4または24時間インキュベートするとRA代謝物の蓄 積が起こり、その一つは4-ヒドロキシ-RAおよび18-ヒドロキシ-RAの合成標準物 質と共にカラム上を移動し、もう一つのわずかに極性の低い代謝物は4-オキソ-R A標準物質と共に移動した(図4(a)および4(b))。その他のHPLCシステムを 用いたRA代謝物の再クロマトグラフィーにより、これらの2つの代謝物が4-ヒド ロキシ-RAおよび4-オキソ-RAであることが確認された(表2)。水溶性放射活性 はRA代謝物のグルクロニドまたはRAそのもののグルクロニドを表す可能性がある 。哺乳類細胞抽出物における4-および18-ヒドロキシ-RAの速やかなグルクロン酸 抱合は、他の研究者によって報告されている[ウーターズ(Wouters)、1992;タ カツカ(Takatsuka)、1996]。表2 RA代謝物のクロマトグラフィー特徴 代謝物 保持時間(分) Z-Sila Z-CNb Z-ODSc RA(標準物質) 2.57 4.47 19.92 4-オキソ-RA(標準物質) 4.79 11.33 11.73 4-ヒドロキシ-RA(標準物質) 5.17 9.65 12.6518- ヒドロキシ-RA(標準物質) 5.06 9.53 14.03 ピーク1(RA) 2.57 4.48 19.73 ピーク2(4-オキソ-RA) 4.87 11.38 11.57ピーク3(4-ヒドロキシ-RA) 5.16 9.68 12.68 a HPLC条件:93.5/5/1/0.5 H/I/M/A.A.(1ml/分)で溶出したゾルバックス-SIL カラムb HPLC条件:93.5/5/1/0.5 H/I/M/A.A.(1ml/分)で溶出したゾルバックス-CNカ ラ ムc HPLC条件:10mM酢酸アンモニウムを55.45〜5.95H2O/MeOH範囲で含む溶媒の20分 直線勾配(2ml/分)で溶出したゾルバックス-ODSカラム。 RAのより高濃度(1μM)を用いた場合にもzP450RAI依存型代謝に同様のパタ ーンが認められた。zP450RAIトランスフェクトCOS-1細胞を1μM RAと共に4ま たは24時間インキュベートすると、図4(c)および4(d)に示すように350nm HP LCトレースにおいて識別できない2本のほぼ重なり合うピークを生じたが、これ は対照pSG5-トランスフェクト細胞では本質的に検出不可能であった(図4(c) および4(d)の下の図を参照)。これらのピークはそれぞれ、4-オキソ-RAおよ び4-ヒドロキシ-RA標準物質と共に移動した。zP450RAIが生じたピークのダイオ ード配列分光光度分析検出により、2つの代謝物ピークのスペクトル特性がレチ ノイド標準物質と一致したことを示した[ヘキサン基剤の溶媒において:4-ヒド ロキシ-RA、λmax=350nm;4-オキソ-RA、λmax=355nm;メタノール基剤溶媒で は、4-ヒドロキシ-RA、λmax=340nm;4-オキソ-RA、λmax=360nm]。 このように、本発明は、CYP26と呼ばれるチトクロームP450のファミリーに属 するレチノイン酸代謝蛋白質を含み、RA処置に反応して誘導されるゼブラダニオ の尾ひれ創傷上皮における蛋白質の生成を含む。RA代謝活性はいくつかの種の上 皮組織においてすでに検出されており[フロリク(Frolik)、1979;ロバーツ(R oberts)、1979;ウーターズ(Wouters)、1992;デュエル(Duell)、1992]、 そのような活性に関与する実際の酵素はこれまでのところわかっていない。 zP450RAIはRA治療によってアップレギュレートされ、このアップレギュレーシ ョンは明らかに、再生しつつあるゼブラダニオ尾ひれの創傷上皮中の特定の細胞 において起こっている。 RARが選択的に除去されているF9細胞による実験により、RAR-αおよびRAR-γ がRA代謝の制御に何らかの役割を果たす可能性があることが示されていることは 、この酵素のインビボ生成の制御と関連する可能性がある。再生しつつある尾ひ れにRAR-αおよびRAR-γがいずれも発現されていることは、RAによるP450RAI発 現の制御にそれらが関与する可能性があるという示唆と一致する。 実施例4 ヒトP450RAIのクローニング ゼブラダニオP450RAI(zP450RAI)のDNAに対応するアミノ酸配列(配列番号: 2)を用いて、発現配列tag(EST)データベースを検索した。zP450RAIのC-末端 部分(配列番号:2のグルタミン酸292位〜フェニルアラニン410位まで)と高度 の相同性を有する市販のESTクローン(配列番号:11)を購入した(リサーチジ ェネティクス、ハンツビル、アラバマ州)。クローンはヒト幼児脳cDNAライブラ リ(ベントソアールス&M.ファティマボナルド(Bento Soares and M.Fatima B onaldo))に由来するとのことであるが、それ以外は公表されていないようであ る。購入したクローンをT7シークエンシングキット(ファルマシア)を用いてシ ークエンシングし、ジーンワークスソフトウェアパッケージ(インテリジェネテ ィクス)を用いて、配列データを作製した。 レチノイン酸で処置したNT2細胞系から作製したcDNAライブラリは市販されて おり(ストラタジーン社、カタログ番号939231)、この製品を以降の研究に用い た。cDNAライブラリは配列番号:11とする配列を有する核酸をプローブとして調 べた。陽性ハイブリダイズクローン11個を単離し、製造元の指示に従って精製し た。これらのクローンの配列データはT7シークエンシングキット(ファルマシア 社)を用いて作製し、ジーンワークスパッケージ(インテリジェネティクス社) を用いて分析した。ヒトDNA配列は配列番号:5とし、対応するポリペプチドを 配列番号:4とする。 実施例5 マウスP450RAIの単離 ブルンバーグら[Blumberg、1995;Achkarら、1996]が記述したように、4-ヒド ロキシラーゼ活性を有するF9およびP19マウス細胞系のいずれかにおいて、RAが 、hP450RAI cDNAプローブとクロスハイブリダイズするmRNA転写物を誘導するこ とができることは本発明者らによって発見されている(結果は示していない)。 ラムダUnizap XR(ストラタジーン社)におけるレチノイン酸処置P19奇形癌cD NAライブラリを、32P-標識全長ヒトP450RAIをプローブとして用いてスクリーニ ングした。ニトロセルロースフィルターを50%ホルムアミド、1×デンハード溶 液、5×SSPE、0.1%SDS、および100μg/ml熱処理サケ精子DNAを含む緩衝液中 で37℃ で一晩ハイブリダイズし、2×SSC、0.1%SDS中で室温で15分間2回洗浄し、そ の後37℃で20分洗浄した。ファージの延べ600,000個のプラーク形成単位から、 陽性単位72個を単離した。これらのうち、上記のように18個を精製し、1つはこ れまでに単離された全長のヒトクローンと相同で、長さが1.7kbの全長cDNAイン サートを有することが判明した。マウスDNA配列を配列番号:31とし、対応する ポリペプチドを配列番号:32とする。図9は、ヒト蛋白質のアミノ酸配列(配列 番号:4)およびゼブラダニオ蛋白質のアミノ酸配列(配列番号:2)と共にマ ウス蛋白質のアミノ酸配列(配列番号:32)の一部を整列する。 実施例6 一過性のトランスフェクション分析 COS-1細胞は、標準的なDEAEデキストラン法[サムブルック(Sambrook)、1989 ;マニアティス(Maniatis)、1982]に従って実施するトランスフェクションの 前に20時間サブカルチャーした。pSG5(対照)またはhP450RAI-pSG5(実験)の いずれかをプレート1枚あたり3μg加えて、細胞をpE-AR(アドレノドキシン 発現ベクター、1μg/P100プレート)およびpE-ADX(アドレノドキシンレダク ターゼ発現ベクター、1μg/P100プレート)にトランスフェクトさせた。[11,1 2-3H]全トランス型レチノイン酸(60,000cpm/プレート)をトランスフェクショ ンの24時間後に加えた。実施例3に記述のように分析を行い、得られた結果を図 10および11(a)〜11(d)に示す。図に示すように、COS-1細胞にhP450RAIが発現 されると、RAの4-ヒドロキシ-RAおよび4-オキソ-RAへの変換を促進した。対照細 胞での産生量と比較したトランスフェクト細胞での4-オキソ-RAおよび4-ヒドロ キシ-RAの総量をそれぞれ、図11(a)および(b)に示す。全体として、トランス フェクト細胞では水溶性代謝物の産生量がより多く(図11(c))、対照細胞では 未代謝RAの検出量がより多かった(図11(d))。 いくつかの細胞系:HEK293;EL-E;HL-60;MCF10A;LC-T;SK-LC6;MCF7;U93 7;HepG2;NT2におけるRAによるhP450RAIの誘導可能性を調べるために、[32P]-d ATP標識プローブとしてクローン配列(配列番号:11)を調製した(図5〜7参 照)。図からわかるように、多様な発現パターンが認められた。SK-LC6ヒト肺( 上皮)細胞系は、対応するmRNAを構成的に発現するように思われた。HEK293(ヒ ト 胎児腎)、LC-T(ヒト肺上皮)、HepG2(ヒト肝、形態は上皮)、NT2(多能性ヒ ト胎児癌)、およびU937(ヒト単球骨髄球)細胞系では、RAの添加に反応して明 らかにある程度の発現の増加が認められた。MCF7(ヒト乳癌(上皮)細胞系)で はRAへの暴露に大きく依存した。いくつかの細胞系:EL-E;HL-60およびMCF10A はRAの有無によらず発現を示さなかった。 [32P]-dATP標識プローブを用いて、ヒト急性前骨髄性白血病細胞系におけるhP 450RAI mRNA発現もまた調べた。実験は、ヒト急性前骨髄性白血病患者から単離 したNB4細胞系を用いて実施し、3つのレチノイン酸耐性細胞系は個別にNB4細胞 から誘導した。結果を図8に示す。図からわかるように、正常細胞は10-6M RAに よる処置後にhP450RAI mRNAを発現したが、そのような発現は、その他の細胞系 ではRAの非存在下および存在下のいずれの場合でも存在しないように思われた。 RAに暴露したMCF10AおよびMCF7細胞系の代謝物の分析を行ったところ、MCF10A 細胞はmRNAの発現を示さず、後者の細胞は、mRNAの発現がRAに対する暴露に大き く依存することを示した。図12(a)〜12(c)に結果を示す。図5に示す結果と一 致して、図12(a)に示す結果はRAに暴露したMCF10A細胞系と対照細胞系の脂溶性 活性プロフィールにほとんど差がなかったことを示している。図12(c)の最後の 2つの棒グラフは、誘導および対照MCF10A細胞のいずれの場合も総水溶性代謝物 の総量がほぼ同じであることを示した。図12(b)に示すように、RAに暴露したMC F7細胞系は、RAに暴露していない同じ細胞系より4-ヒドロキシ-RAおよび4-オキ ソ-RA濃度が有意に高い溶出プロフィールを示した。図12(c)は、RAに暴露したM CF7細胞系の水溶性代謝物の総量が、対照細胞の総量よりはるかに大きいことを 示している。この場合も、これらの結果はMCF7細胞系について図5に示すノザン ブロット分析で得られた結果と一致している。 実施例7 ヒトP450RAIを用いた安定な細胞系の作製:センス構築物を発現するHela細胞 Hela細胞の発現に関して、ヒトチトクロームP450RAI cDNA(配列番号:5)を 、エプスタイン・バーウイルス骨格ベクターpCEBV7[ウィルソン(Wilson)、199 5]の多クローニング部位のXhoI-NotI部位に挿入した。安定なトランスフェクシ ョンはリン酸カルシウム法[サムブルック(Sambrook)、1989]によって実施した 。 トランスフェクション日の前に、Hela細胞を100mmプレート当たり3.0×106個播 種した。プレートあたりDNA約12μgをトランスフェクトさせ、トランスフェク ションにはプレート3枚ずつを用いた。ヒグロマイシンBを用いた選別は、トラ ンスフェクションの3日後に開始し、プレート上に細胞増殖巣の発生が認められ るまで約3週間継続した。構築物の発現量が多い細胞を選別できるよう、ヒグロ マイシンB(100μg/ml)の濃度を選択した。選別の前に、ヒグロマイシンの50 μg/mlが4日間で細胞の50%を殺すのに十分であることを示す殺細胞曲線を決 定した。選択したHela細胞がセンス構築物を発現するか否かの確認は、ノザンブ ロット分析によって、全長のhP450RAI cDNAをプローブとして調べることによっ て行った(データは示していない)。 pCEBV7のみでトランスフェクトさせたHela細胞(Hela P)から、またはP450RA I(Hela RAI)を発現し、放射性標識RAに90分間暴露したHela細胞からミクロソ ームを調製した。結果を図13(a)および13(b)に示し、これにより、これらの細 胞から調製したミクロソームをRAと共にインキュベートすると、Hela RAIからの ミクロソームのみがレチノイン酸の4-ヒドロキシ-レチノイン酸または4-オキソ- レチノイン酸への何らかの変換を示したことがわかる。 実施例8 ヒトP450RAIを含む融合蛋白質の発現 hP450RAIのcDNAを、Sma1部位を用いてGST遺伝子融合ベクターであるpGEX3Xに 挿入した。構築物は、シグナル配列の特徴である疎水性領域をコードする、hP45 0RAI cDNAのN-末端部分の177bpの欠損体を生成した。大腸菌(JM109)細胞をベ クターおよび構築物の発現に用いた。正しい方向に構築物を発現する陽性コロニ ーをスクリーニングした後、ファルマシア社が提供したマニュアルに従って融合 蛋白質の発現を行った。 GST-hP450RAI融合蛋白質は、大腸菌(JM109)細胞の電気穿孔を通じて産生し 、その後遺伝子発現を誘導した。融合蛋白質の発現は、乳糖類似体であるイソプ ロピルベータ-チオガラクトシド(IPTG)によって誘導可能なtacプロモーターの 調節下で行う。 培養物はLB-アンピシリンブロス中で一晩増殖させた。翌日、一晩培養物の約 1 :100倍希釈物をLB-アンピシリンブロスを含む新鮮なチューブに移した。培養物 を3時間増殖させ、最終濃度0.1mMのIPTGでさらに2.5時間誘導した。誘導後、培 養を7,700×gで4℃で10分遠心し、細胞を沈降させた。ペレットを培養液50μl に対し氷冷1×PBS1mlの比で再懸濁した。ペレットを氷浴中で超音波発生装置 で30秒間隔で溶解させた。トライトンX-100を、溶解した細胞に最終濃度1%と なるように加え、混合物を4℃で30分間インキュベートして可溶化した。懸濁液 を12,000×gで4℃で10分遠心した。 融合蛋白質のGST部分のグルタチオンビーズへの結合を用いて、蛋白質を精製 した。1×PBSで平衡にした還元グルタチオンビーズの50%スラリーを上記の超 音波混合物100mlあたり2ml用いた。ビーズを加えた後、材料を室温で静かに攪 拌して、融合蛋白質をビーズに結合させた。懸濁液を500×gで5分遠心し、結合 した融合蛋白質を有するグルタチオンビーズを他の細胞成分と分離した。グルタ チオンビーズは氷冷PBSで3回洗浄し、非特異的結合材料を除去した。 還元グルタチオンを含む溶出緩衝液を用いて、融合蛋白質をグルタチオンビー ズから溶出させた。超音波懸濁液100mlあたりグルタチオン溶出緩衝液約1.0mlを 用いた。結合したグルタチオンビーズを室温で10分混合させ、融合蛋白質を溶出 させた。溶出したビーズの遠心分離は500×gで5分間実施した。溶出および遠心 は共に3回行った。図14(a)および(b)はGST-hP450RAI融合蛋白質のSDS-PAGEの 結果を示す。 関係蛋白質と共有結合したGST蛋白質に関して何らかの機能的検査を行うこと は一般に可能であるが、抗体を産生させるためには除去が好ましい。GST-hP450R AI融台蛋白質は、第Xa因子によって認識される部位を含む。溶出された融合蛋白 質を第Xa因子で処置すると、GST蛋白質およびhP450RAI蛋白質を共に生じる。ま たは、ビーズから溶出する前に融合蛋白質を開裂することが可能であるが、不適 切な開裂が多く起こる。融合蛋白質1mgあたり第Xa因子約10μgを用いる。材料 を静かに混合し、室温でおよそ2〜16時間インキュベートする。消化が完了した か否かは、様々な時点でのゲル電気泳動によってチェックする。関係蛋白質をGS T蛋白質から精製するために、開裂した融合蛋白質懸濁液とグルタチオンビーズ との結合を行い、その後遠心する。関係蛋白質は上清に残る。 GST融合蛋白質は免疫学的、または生化学的にアッセイすることができる。生 化学的アッセイでは、GST融合蛋白質をGST基質である1-クロロ-2,4-ジニトロベ ンゼン(CDNB)で処置すると、融合蛋白質の量が示される。GST蛋白質はCDNBの グルタチオンとの結合を触媒し、その結果340nmで強いモル吸光度を示すCDNBグ ルタチオン産物を生じる。免疫学的アッセイでは、融合蛋白質のウェスタンブロ ットは、抗ヤギIgGアルカリフォスファターゼ結合体のような二次抗体を用いて 容易に検出することができる抗GST抗体をプローブとして、および標準的な比色 反応によって調べることができる。 実施例9 ヒトP450RAIのマッピング hP450RAIの1.3kb cDNAは、P-1由来人工染色体(PAC)ライブラリを用いてマッ ピングした。cDNAおよびゲノムPACクローンのマッピングは、ヨウ化プロピジウ ムおよびDAPIで対染色した正常なヒトリンパ球染色体との蛍光インサイチューハ イブリダイゼーション[リヒター(Lichter)、1990]によって行った。ビオチン 結合プローブは、アビジン-フルオレセインイソチオシアネート(FITC)によっ て検出した。分裂中期標本の画像は、熱電気的冷却電荷カップリングカメラ(フ ォトメトリクス社、ツーソン、アリゾナ州)によってとらえた。DAPIバンドを有 する染色体[ヘン(Heng)、1993]およびFITC標的染色体の個々の画像を得た。ハ イブリダイゼーションシグナルを得て、画像分析ソフトウェアを用いて、偽青色 (DAPI)および黄色(FITC)[ボイル(Boyle)、1992]を融合させ、電子的に重 ねた。 陽性ハイブリダイゼーションシグナルは10q23-24に局在することが判明した。 バンドの割付は染色体分画の長さの測定およびDAPI対染色画像によって得られた バンドパターンの分析によって決定した。 実施例10 P450RAI転写の制御−P450RAIプロモーターのクローニング ゼブラダニオP450RAIプロモーターのクローニング。成魚ゼブラダニオゲノムラ イブラリ(1.0×106pfu)を、zP450RAIに対応する全長のcDNAでスクリーニング し、二次および三次スクリーニングによって陽性プラークを精製した。陽性プラ ークに対応するラムダDNAを調製し、これらのクローンからのインサートをNotI による 制限酵素消化によって切除し、プラスミドSK+(ストラタジーン社)にサブクロ ーニングした。SK+のポリリンカーからの酵素を用いて制限酵素消化することに よってゲノムクローンを分析し、その後zP450RAI cDNAのN-末端をコードするヌ クレオチド配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(5'-GTAGCACGGATGGTG -3')を用いてサザンブロッティングを行い、N-末端領域をコードするゲノムク ローンの断片を同定した。オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズする77 2塩基対のpst1断片を精製し、ベクターSK+にライゲーションしてカナダ、キング ストンにあるクイーンズ大学の蛋白質/DNA化学用中心設備(the Core Facility for Protein/DNA Chemistry)を用いてシークエンシングした。配列分析により 、このクローンが、推定開始メチオニンの後にコード配列129塩基対プラス651ヌ クレオチド上流(5')を含むことが確認された。この772塩基対の断片の中に、4 02塩基対HindIII断片が推定レチノイン酸反応エレメント(RARE)を含むことが 判明した。この断片を、一過性のトランスフェクション分析のために、pGL3Bル シフェラーゼベクター(プロメガ社)に正逆両方向にサブクローニングした。 ヒトP450RAIプロモーターのクローニング 全長のhP450RAI cDNAをプローブとし て用いてhP450RAI遺伝子を含むPAC(P1人工染色体)クローンを同定した。PACラ イブラリをスクリーニングするため、カナダ、オンタリオ州トロントにある小児 病院(Hospital for Sick Chiledren)のカナダゲノム分析およびテクノロジー プログラム(Canadian Genome Analysis and Technology Program)に、hP450RA IからのcDNAを送付した。5つのPACクローンをこのスクリーニングから得て、制 限酵素消化および全長のhP450RAI cDNAをプローブとして用いたサザンブロッテ ィングによって、それらがhP450RAI遺伝子を含むことを確認した。これらのクロ ーンの1つ、245C7はhP450RAIからのN-末端プローブとハイブリダイズすること が判明した。用いたプローブはhP450RAI cDNAから生じた約130bpのNotl断片であ った。クローン245C7の消化およびサザンブロッティングにより、Notl断片とハ イブリダイズする約3.5kbのBamHI断片が同定された。この断片をプラスミドSK+ にサブクローニングし、カナダ、キングストンにあるクイーンズ大学(Queen's University )の蛋白質/DNA化学用中心設備を用いて、配列データを得た。hP450 RAI cDNAについて得られた配列データの比較により、この3.5kbクローンが推定 開始メチオニ ンおよび約675bp上流(5')を含むことが確認された。 マウスP450RAIプロモーターのクローニング 長さが約17kbであるマウスP450RAI ゲノムDNAのクローンをSV129λDASHライブラリから単離し、SKにサブクローニン グした。このプラスミドから調製したDNAを様々な制限エンドヌクレアーゼによ って消化し、アガロースゲル上で電気泳動し、ニトロセルロース上にてサザンブ ロッティングを行った。得られたブロットをマウスP450RAI cDNAクローンのN-末 端領域からの32P-標識230塩基対プローブとハイブリダイズさせた。長さが約520 塩基対であるSacl断片はプローブと強くハイブリダイズすることが判明した。こ の断片をSaclで開裂したSKにサブクローニングした。配列分析により、DR5-型の RAREが近位プロモーターに存在することが明らかになった。このRAREには193塩 基対離れて2つのBssHII部位が隣接した。この193塩基対BssHII断片をpGL3BのMl ul部位にサブクローニングした。XhoIによる診断的制限酵素消化を行って、正逆 両方向にBssHII断片を有するクローンを単離した。193塩基対断片の中には、TAT AボックスがRAREの45塩基対下流に存在することが判明した。DR5 RAREの上流のD NA83塩基対もまた193塩基対BssHII断片に含まれる。 レチノイン酸受容体(RARs)およびレチノイド-x-受容体RXRsに結合するレチ ノイン酸反応エレメント(RAREs)の存在は知られている。このように、上記の 異なる種からのP450RAIの3つのプロモーターにRAREsが存在するか否かを調べ、 存在すれば、P450RAIの発現の制御が転写レベルで起こっていることを示す可能 性がある。RAREsはヘテロダイマーの形でRARsに結合し、典型的にコンセンサス モチーフ5'-(A/G)G(T/G)TCA-3'の直列反復を含む。反復配列は1、2、または5 ヌクレオチド離れていることが可能である。図15はゼブラダニオ、ヒトおよびマ ウスP450RAI遺伝子のプロモーター配列を示す。矢印で示すように、高度に保存 されたモチーフが存在し、これは5ヌクレオチド離れたモチーフAGTTCAの直列反 復を含む、DR5として知られるコンセンサスレチノイン酸反応エレメントに対応 する。P450RAIプロモーターにおけるこのモチーフはTGAACT(ACTTCAの相補鎖) を超えて広がっている。DR5のいずれの側にも広がる高度保存領域もまた存在し 、その全領域を四角で囲んだ。3つ全ての種におけるプロモーターのこの領域の 保存の程度から、この領域がRA反応の調節に重要であること、およびRAR/RXRsが 、その実体が現 在はわかっていないこの領域と結合するその他の要因と結合して、または競合し て作用していることが示唆される。保存領域の一部は、ホメオドメイン結合モチ ーフに非常に厳密に対応する配列5'-CAATTAAA-3'に対応し、このことはホメオボ ックス蛋白質がP450RAI発現の制御においてRAR/RXRsヘテロダイマーを促進する 、またはこれと競合する可能性があることを示唆している。 実施例11 マウスP450RAIプロモーターによるトランスフェクション mP450RAIの推定プロモーターの一部を含むゲノムDNAの195塩基対断片をルシフ ェラーゼベクター、pGL3B(プロメガ社)にクローニングした。プロモーター活 性の分析のために、HepG2細胞を、6穴培養皿において、実施例10に記述のよう に、リポフェクトAMINE試薬(ギブコ、BRL)5μlを用いてBssHI-pGL3Bセンス またはアンチセンス構築物2μgでトランスフェクトさせた。 第一日目、すなわちトランスフェクションの48時間前に、細胞を6穴プレート に最小基本培地(MEM)(ギブコ、BRL)+10%ウシ胎児血清(ギブコ、BRL)2.5 〜3mlと共に再び播種した。3日目に、細胞は概して約50%コンフルエントとな る(HepG2)。トランスフェクションを開始する前に、培地を新鮮な培地と交換 し、細胞を増殖させ、その間にDNA/リポフェクタミン混合物を調製した。48穴プ レートの個々のウェルにおいて、optiMEM(ギブコ、BRL)100μlに対して1〜 5μg DNAおよびoptiMEM 100μl中に対してリポフェクトAMINE試薬5μlを混 合し、リポフェクトAMINE/optiMEMにDNA/optiMEMを加えて静かに混合した。これ を室温で15分〜1時間静置した。各ウェルに、optiMEM 800μlを加えて最終容 量を1mlとした。細胞を1×PBSで2回洗浄し、optiMEMで1回洗浄した。DNA/リ ポフェクトAMINE/optiMEM混合物1mlを細胞に加えて、37℃で20時間インキュベ ートした。 プロモーター活性に及ぼすレチノイン酸の作用は、ゼブラダニオレチノイン酸 受容体ガンマ(RAR-γ)およびゼブラダニオレチノイドx受容体アルファ(RXR- α)をコードするcDNA配列を含む発現ベクターの量を変化させて(100ng〜1μ g)共トランスフェクトさせることによって分析した。DMSOでトランスフェクト させた1組の細胞と10-6M RAのDMSO溶液でトランスフェクトさせたもう1組の細 胞をインキュベートすることによって、対照pGL3Bベクターでトランスフェクト させた細 胞、センス構築物を有する細胞およびアンチセンス構築物を有する細胞間の比較 を行った。 第4日目に、培地を除去して、新鮮な培地(+10%FBS)と交換した。RAまたは 溶媒を必要に応じてウェルに加え、プレートを旋回させて静かに混合した。6穴 プレートには10-3M RAのDMSO溶液3μlを加えた。対照ウェルにはDMSO3μlを 加えた。プレートをホイルで覆って37℃で24時間インキュベートした。 第5日目に、培地を除去して1×PBSで2回洗浄することによって細胞を回収 した。次に、氷中で溶解緩衝液100μl(1%トライトンX-100、25mMグリシル グリシン、pH7.8、15mM MgSO4、4mM EGTA、1mM DTT(使用直前に加える))を 加え、細胞を培養皿の底から剥離させて、1.5ml微量遠心チューブに移し、12000 ×gで5分遠心し、上清を回収した。 ルシフェラーゼ活性をアッセイするために、溶解してペレットにした細胞から 得た上清20μlを新鮮なチューブに移した。ルシフェラーゼアッセイ緩衝液80μ lを加えて、ルミノメーターにて1ミリボルト単位での記録値を直ちに得た。ル シフェラーゼアッセイ緩衝液は20mMトリシン、1.07mM(MgCO3)4Mg(OH)2*5H2O、2. 67mM MgSO4、0.1mM EDTA、33.3mM DTT、0.27mMコエンザイムA、0.47mMルシフェ リン、0.53mM ATPであった。結果を図16に示し、これにより、センス構築物では 増強は大きいように思われるが、プロモーター配列の両方向について、RA、RXR αおよびRARγの存在下でルシフェラーゼ活性の増強が認められたことがわかる 。 実施例12 4-ヒドロキシフェニルレチンアミドによるP450RAI誘導の阻害 4-ヒドロキシフェニルレチンアミド(4-HPR)がNB4細胞によるRA-誘導RA異化 を阻害することが最近報告されている[タイミ(Taimi)、1997]。4-HPRは、RAの 異化を競合的に阻害するRA酸化に関与するチトクロームP450酵素を阻害する可能 性があることが示唆された。しかし、そのようないかなる酵素も同定されず、RA 異化の4-HPRによる阻害の本質を説明するいかなる証拠も提供されておらず、4-H PR代謝のいかなる証拠も認められなかった。 このように、P450RAIの誘導に及ぼす4-HPRの効果を明らかにする実験を実施し た。図17は、合成レチノイドである4-HPRの、RAによるP450RAI誘導の阻害能につ いて図示している。MCF7細胞は、10%ウシ胎児血清、インスリン(0.01mg/mL) 、NEN非必須アミノ酸(製造元−ギブコの指示通り)、ピルビン酸ナトリウム(5 00nM)、L-グルタミン(2mM)、ゲンタマイシン(10μg/ml)、ペニシリン( 5μg/mL)、ストレプトマイシン(5μg/mL)およびファンギゾン(200ng/mL )を加えた最小基本培地(MEM)(ギブコ、BRL)で培養して増殖させた。平行し て培養したMCF7細胞を、10μM 4HPR;1μM 4HPR;1μM RA;1μM RA+10 μM 4-HPR;または1μM RA+1μM 4-HPRで12時間処置した。12時間処置終 了後、TRIzol試薬を用いて細胞から総RNAを抽出した(製造元−ギブコの概要通 り)。総RNA調製物中のP450RAIメッセージは、ノザンブロットハイブリダイゼー ションによって分析した。ブロットの各レーンにRNAの同等量を加えたことの対 照とするために、GAPDH cDNAに対応するプローブを用いてブロットを再度調べた 。結果は、4-HPR処置のみがP450RAIメッセージを誘導しないことを示している。 予想されたように、MCF7細胞をRA処置すると、インキュベート12時間後にP450RA Iメッセージの顕著な誘導が起こる。しかし、10μM 4-HPRの存在下で細胞をRA により処置すると、P450RAI誘導の顕著な抑制が起こる。 実施例13 レチノイン酸の存在下でのP450RAI発現 図18は、MCF7乳房上皮腺癌細胞を1μM全トランス型レチノイン酸で処置後の チトクロームP450RAIの発現の時間経過を示す。このノザンブロット分析におい て、総RNAを表示の時点で抽出し、ニトロセルロースに移して、1%アガロース 、0.66Mホルムアルデヒドゲル中で電気泳動した。次に、mRNAを同等量加えてい ることの対照とするために、ニトロセルロースを放射性標識ヒトチトクロームP4 50RAI cDNAまたはGAPDH cDNAをプローブとして調べた。これにより、レチノイン 酸と共に3時間インキュベートした後ではMCF7細胞は高レベルのP450RAIメッセ ージを発現し、暴露の12時間後ではメッセージは急激に減少することが示されて おり、これは誘導されたP450RAI蛋白質の代謝活性が周囲の培地中の活性レチノ イン酸濃度を減少させていることを示している。このことから、MCF7細胞におけ るP450RAIの誘導が自己制御性ネガティブフィードバックループを形成すること が強く示唆される。 実施例14 レチノイン酸およびケトコナゾールの存在下でのP450RAI発現 図19は、広域スペクトルのチトクロームP450阻害剤であるケトコナゾールのP4 50RAI発現に及ぼす作用を調べることを除いては、図18に記述の結果と同様の、M CF7細胞におけるP450RAI mRNA発現の時間経過を示す。ケトコナゾールの非存在 下では、図19のレーン1〜5は、図18に示される時間経過と同様の時間経過を示 している。1μMケトコナゾール(初回処置後12時間毎に新鮮なものと取り替え る)に暴露した細胞では、チトクロームP450RAIメッセージが24および48時間で 高レベルで検出可能であることは、レチノイン酸の分解をチトクロームP450阻害 剤が阻害できること、およびケトコナゾールの非存在下でのP450RAIメッセージ の急激な減少に、P450RAI代謝が関与している可能性があることを示している。 実施例はP450RAI阻害剤の同定法を図示している。 実施例15 Am580の存在下でのP450RAI発現 図20は、レチノ安息香酸誘導体であるAm580と全トランス型レチノイン酸との 間で比較を行ったことを除いては、図18での記述と同様のMCF7細胞におけるP450 RAI mRNA発現の時間経過を示す。レチノイン酸は、図20、レーン1〜4にP450RA Iメッセージ誘導の典型的な時間経過を示す。Am580はレチノイン酸による処置後 に認められたレベルと同等のP450RAIメッセージを誘導する。特に、レチノイン 酸処置細胞では、P450RAIメッセージが24〜48時間の間に急激に減少するが、Am5 80処置細胞におけるP450RAIのレベルはこの時点では高いままである。このこと は、合成レチノイドであるAm580がこれらの細胞における代謝に弾力性を示すこ とを示し、治療的用途を目的としたそのような化合物同定の有用性を示している 。例えば、急性前骨髄性白血病において認められる、レチノイン酸代謝の増加に よるレチノイン酸処置に対する耐性[ワレル(Warrell)、1994]は、代謝抵抗性 レチノイドによる処置によって回避される可能性がある。P450RAI蛋白質は、こ れらのタイプの化合物のスクリーニングに有用な物質となる可能性がある。 実施例16 P450RAIに対するモノクローナル抗体 P450RAIに特異的なモノクローナル抗体(Mab's)は、例えば、RAを代謝する正 常および腫瘍組織の同定の際のP450RAI蛋白質レベルの測定のような診断目的に 、有用である。これらの抗体を産生するために、精製P450RAI蛋白質を調製する 。ヒトP450RAI蛋白質は、ベクターpGEX2(ファルマシア社)を用いてグルタチオ ン-S-トランスフェラーゼとの融合蛋白質として細菌細胞に産生される。これに より、GSHアフィニティクロマトグラフィーによる融合蛋白質の精製が可能とな る。もう一つのアプローチにおいて、P450RAIは細菌のマルトース結合ドメイン との融合蛋白質として発現される。このように融合蛋白質は、抽出物をアミロー ス樹脂カラムを通過させてマルトースとの融合蛋白質を溶出させることによって 細菌抽出物から回収する。この融合構築物に関しては、ニューイングランドバイ オラブスから販売されているベクターpMalC2を用いる。このベクターは過去に、 例えば、機能的試験および受容体特異的抗血清の産生の際に高収率で回収された 核受容体蛋白質を過剰発現するために用いられたことがある[オオノ(Ohno)、1 993]。第二の融合蛋白質の調製もまた、Mab'sの予備的スクリーニングにおいて 有用である。 P450RAI蛋白質を認識するモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマの作 製は以下のように実施する:BALB/cマウスに蛋白質/アジュバントを1ヶ月間隔 で3回腹腔内注射し、最後の注射は細胞融合の直前に尾静脈に行った。脾細胞を 回収して、標準的なプロトコル[ケネット(Kennett)、1979;ミルスキー(Mirs ki)、1989]に従ってポリエチレングリコール4000を用いて、NS-1骨髄腫細胞( アメリカンタイプカルチャーコレクション、ロックビル、メリーランド州)と融 合させた。細胞融合プロセスは下記により詳細に記述するように実施する。 融合細胞は、フィーダー層として腹腔滲出細胞および放射線照射したBALB/cマ ウスの脾細胞と共に96ウェルプレートに播種し、ヒポキサンチン、アミノプテリ ン、およびチミジン(HAT培地)による選別を行った。 ELISAアッセイを初回スクリーニング技法として用いる。精製P450RAI(融合蛋 白質から開裂)1〜10μgのPBS溶液を用いて個々のウェルをコーティングし、 ハイブリドーマ上清50〜100μl/ウェルをインキュベートする。ホースラディ ッシュ・ペルオキシダーゼ結合抗マウス抗体を比色アッセイに用いる。 二次スクリーニングとして、乳房上皮癌MCF-7細胞をP450RAI測定源として用い る。上記のように、無処置のMCF-7細胞はP450RAIメッセージの検出可能な発現を 示さず、また検出可能なRA代謝活性を示さないが、RA処置細胞では両者の急速か つ顕著な誘導が認められる。無処置MCF-7細胞はこのように、バックグラウンド の陰性対照としての役割を果たす。MCF-7細胞をアッセイの1日前に96ウェルに 分注する。細胞を固定してメタノールで透過性にする。ハイブリドーマ上清を加 えてフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗マウス抗体を用いて標準 的な蛍光顕微鏡を用いてスクリーニングする。 陽性ハイブリドーマを限界希釈によってクローニングし、凍結および抗体産生 用に大規模に増殖させる。様々な陽性ハイブリドーマを、異なる種からのP450RA I蛋白質との交叉反応性と共に、ウェスタンブロッティングおよび免疫組織化学 における有用性に関して選別する。 選別したMab'sは、培養細胞および組織におけるRA処置後のP450RAI蛋白質の発 現レベルのモニターに有用である。P450RAI蛋白質発現は、特定の腫瘍がRA処置 に反応するか否かを決定するための予後的指標となる可能性がある。ベースライ ンRA代謝にも被験者間で広い多様性があり、RA代謝が高速である被験者は、肺の 扁平上皮癌または大細胞癌の発生率が高いことを示唆する証拠がある[リガス(R igas)、1996]。有用な抗体の特徴付けを行った後、これらの抗体を用いて腫瘍 組織試料のP450RAI発現を調べる。 マウスハイブリドーマ作製のためのプロトコル 融合。フィーダー細胞(脾臓および腹腔滲出細胞)を播種する。融合の24〜48時 間前、マウス骨髄腫細胞から薬物(8-アザグアニン20μg/ml)を除去し、計数 して細胞が少なくとも50×106個存在することを確認する。PEG40002gをガラス チューブに入れて15分間オートクレーブし、使用するまで60℃に維持する、また は室温で保存して必要時に60℃の温浴中で再溶解させる。 BALB/cマウスを望ましいスケジュールで免役する。最後の注射は尾静脈に静脈 内注射する。免役した脾細胞の融合は、静脈内注射の3または4日後に行う。各 動物の脾臓を個別に採取する;望ましければ、眼、血清をELISA用に採取する。 テフロン乳棒を用いて単細胞懸濁液を調製し、結合組織をデカントする。懸濁 液を血清不含培地で1回洗浄する。各脾臓は約10×106個の細胞を含む。骨髄腫 細 胞を回収し、計数して血清不含培地で洗浄する。 次に細胞を融合する。水または血清不含培地(37℃)を加えた小さいビーカー を用意し、PEGを50〜60℃に溶解する。免役した脾細胞および骨髄腫細胞を50mlT Cチューブで混合(推奨混合比は1:1〜2:1)し、血清不含培地で細胞を1 回洗浄する。上清を注意深く捨てる。予め暖めた血清不含培地2.4mlを溶解したP EGに加えて直ちにピペッティングして混合し、温水を入れたビーカーで37℃に維 持する。PEGは薄いピンク色になるはずである。もし黄色になれば、別のアリコ ットを用いること。PEG0.5〜1.0mlを1分間かけて細胞ペレットに滴下してチュ ーブを静かに旋回させるか、または十分に混合できるよう静かに攪拌する。加え たピペットの先端を細胞のペレット上に直接載せる。チューブを37℃の温浴中で 3mlピペットの鋭利でない先端で90秒間静かに旋回させ、チューブを静かに旋回 させながら温血清不含培地10mlを6〜10分かけて徐々に加え、容量を20〜50mlと する。チューブを37℃で少なくとも20分維持して細胞融合を得て、次に細胞を血 清不含培地で2回洗浄する。細胞を遠心して、予め暖めた培地+10〜20%FBS 10 0mlに静かに再懸濁する。96ウェルプレートに100μl/ウェルを播種する。1つ の脾臓が100×106個の骨髄腫融合パートナーと融合すると仮定すると、プレート 約10枚が必要である。翌日に培地100μlを除去して2×HAT培地100μl100μl を加えた。1×HAT培地で1〜3週間培養した後、HT培地(すなわちHAT培地を1/ 2量除去し、等量のHT培地を加える)で培養する。 腹腔滲出液および脾臓フィーダー細胞の調製。屠殺したマウスに70%アルコール をスプレーし、皮膚に切れ目を入れて、腹膜を切断しないように注意して引き裂 く。腹膜を鉗子で持ち上げ、針を挿入する;血清不含培地5mlをゆっくり注射す る。腹部をマッサージして、液体を徐々に吸引し、滅菌チューブに採取して氷中 で維持する。容量を5mlにする。脾臓を採取し、血清不含培地を含む滅菌チュー ブに入れる。滅菌したテフロン乳棒で脾臓を丁寧に細切する。凝集物を沈降させ 、繊維芽細胞の増殖を最小限にとどめるために、結合組織が混入しないように細 胞をきれいなチューブにデカントする。試料を4500Rで放射線照射する。細胞を 血清不含培地で1回洗浄し、96ウェルプレートに加え[脾臓1個/プレート10枚 (約2〜5×105個/ウェル)および腹腔滲出細胞懸濁液(PECS)(<3×103個/ ウェ ル)を全量で100μl/ウェル]、使用する準備ができるまで37℃でインキュベー トする。それらは滅菌チューブに入れて4℃で一晩保存することができる。 考察 上記のように450RAI、mP450RAIおよびhP450RAI配列を比較することが可能であ る。zP450RAIのアミノ酸492個(配列番号:2)のうち、アミノ酸334個をhP450R AIのアミノ酸497個(配列番号:4)と整列することが可能である。図9を参照 のこと。これに基づくと、ヒトと魚の蛋白質の間には約68%の相同性が存在する 。2つのアミノ酸配列の相同性の程度は、N-末端領域よりC-末端領域に向かって わずかに大きい。また、保存配列メチオニン-リジン-アルギニン-グルタミン-リ ジン(zP450RAIのアミノ酸番号70〜74)をコードする核酸配列をプローブとして 用いて、他の種のcDNAライブラリから対応する蛋白質を得ることができるのよう に思われる。ヒトとマウスのP450RAI配列のアミノ酸同一性は93%以上である。 上記のように、本明細書に記述の細胞による蛋白質のRA誘導発現は、それが調 節するDNAのコード配列の上流に位置する調節配列を含む。天然に起こるように 、ゼブラダニオ、ヒト、マウスまたは他の生物の細胞であれ、蛋白質はP450RAI である。そのような細胞は、ルシフェラーゼをコードするDNAに関して上記に例 示するように、P450RAIをコードする遺伝子の領域に異なる蛋白質をコードするD NAを組み込むことによって修飾することができる。このように、本発明の局面は 、RAの存在に反応し、蛋白質コード配列に機能的にリンクし、従来の遺伝子操作 した蛋白質産生細胞に組み込まれた制御DNA配列である。望ましい蛋白質の産生 は、細胞をRAに暴露することによって誘導することができる。 細胞性RA誘導P450RAI産生を阻害するアンチセンス核酸またはオリゴヌクレオ チド(RNAまたは好ましくはDNA)を用いて、P450RAIによるRAの代謝を阻害する ことができる[モニア(Monia)、1996]。典型的に15〜20塩基の長さであるアン チセンスオリゴヌクレオチドは、結合したmRNAの蛋白質への翻訳を阻害すること ができる、関係蛋白質をコードするセンスmRNAまたはプレmRNA領域に結合する。 このように、hP450RAIをコードするcDNA配列を用いて、共に大きい部分に及ぶ一 連のオリゴヌクレオチド、または全cDNA配列すらデザインすることができる。こ れらのオリゴヌクレオチドは、蛋白質の発現に及ぼす最大の阻害効果を示すか否 かを調 べるために試験することができる[スチュワート(Stewart)、1996]。これは、 様々なオリゴヌクレオチドに細胞を暴露し、hP450RAI活性におけるその後の変化 を測定することによって、またはP450RAI合成の阻害に関してスクリーニングす るために抗体を用いることによって、行うことができる。最も適したmRNA標的部 位は、開始コドンと共に5'-および3'-非翻訳領域を含む。他の領域は多かれ少な かれ有効であることが判明するかもしれない。またはアンチセンス核酸またはオ リゴヌクレオチドは、P450RAI DNAコードまたは調節配列に結合してもよい。 核酸レベルでP450RAI遺伝子発現を阻害することによってRA代謝を減少させる よりむしろ、例えば、適した小分子またはモノクローナル抗体のような物質に結 合させることによってP450RAI蛋白質の活性を直接阻害してもよい。 このように、本発明はレチノイン酸誘導可能蛋白質の活性に及ぼすそれらの効 果に関して薬物をスクリーニングする方法を含む。方法は、蛋白質を可能性があ る阻害剤に暴露し、蛋白質活性に及ぼす効果を測定することを含む。測定された 活性は、レチノイド、特に全トランス型レチノイン酸のヒドロキシル化、または レチノイン酸、特に全トランス型レチノイン酸のそのβ-イオノン環の4位での ヒドロキシル化であってもよい。ヒトでの使用を目的とした薬物をスクリーニン グするためには、hP450RAI自身がそのような薬物の有効性の試験に特に有用であ る。可能性がある薬物はまた、阻害されないことが望ましい他のP450チトクロー ム活性の阻害に関して試験することもできる。このように、他のP450と比較して 選択的にhP450RAIを阻害する薬物を特定することができる。 可能性があるP450RAI蛋白質阻害剤をスクリーニングするもう一つの系は、そ の中にリポーター遺伝子(例えば、β-ガラクトシダーゼ、蛍のルシフェラーゼ 等)およびP450RAIのDNAを組み込み、その中で両遺伝子の発現が細胞をRAに暴露 することによって誘導可能である、安定的にトランスフェクトされた細胞系を含 む。リポーター遺伝子の発現は、発現系の誘導に関する測定値となり、したがっ て、存在するRA量の指標となる。細胞をRAに暴露するとRA代謝が起こり、時間と 共に、リポーター蛋白質によって示されるそのような代謝誘導の程度は減少する 。RAのP450RAI代謝を阻害する薬物の存在下で細胞をRAに暴露すると、RA代謝の 減少が起こるが、P450RAI代謝を阻害しない薬物の存在下で細胞をRAに暴露して も、RA代 謝は影響を受けない。このように、RAのみの存在下でのリポーター遺伝子の発現 と、RAおよび可能性がある阻害剤双方の存在下での発現とを比較すると、P450RA I蛋白質によるRAの代謝阻害における薬物の有効性に関する測定値が得られる。 P450RAI蛋白質の可能性がある阻害剤をスクリーニングするための1つの系は 、内因性P450RAI遺伝子が存在しない、もしくは機能的でない、または発現され ていない細胞系を含む。この細胞系において、RAに対する細胞系の暴露の結果、 発現されたP450RAI蛋白質によるRA代謝が起こり、リポーター遺伝子誘導の程度 が残存している活性RAに基づくように、チトクロームP450RAI発現ベクターおよ びRA誘導可能リポーター遺伝子を組み込む。P450RAIの阻害剤を加えると、RAの 代謝/分解速度が減少し、したがって、RA感受性リポーター遺伝子の活性化/誘 導が増加する。 マウス、ヒトおよびゼブラダニオP450RAIプロモーター領域の保存が高度であ ると仮定すると、RAは3種全てのプロモーターにおいて保存されているRAREを含 む転写メカニズムを通じて、P450RAI発現を制御する可能性が高い。これは、多 くの細胞系におけるP450RAIの急激なRA依存的発現を示す試験によって支持され る。P450RAIメッセージは強く誘導されるため、リポーター遺伝子はインビトロ と共にインビボにおけるRA活性の有用な指標となる可能性がある。このように、 リポーター遺伝子にリンクしたP450RAIプロモーターは、P450RAI誘導を遮断また は阻害する能力を有するレチノイドまたはその他の化合物をスクリーニングする ためのツールとなる。例えば、P450RAIリポーター遺伝子は、細胞を特定のレベ ルのレチノイドまたは他の薬物に暴露すると、濃度がリポーター遺伝子活性に反 映されるように、細胞系に安定または一過性的に導入することができる。そのよ うなトランスフェクションアッセイは、例えばペトコビッチら[Petkovich、1987 ;オオノ(Ohno)、1994]が記述したアッセイと同様の方法で実施することがで きる。 このように本発明は、P450RAI蛋白質によるRA異化の可能性のある阻害剤のス クリーニング系を提供する。この系は、細胞をRAに暴露することによってその中 での発現が誘導可能であるリポーター遺伝子、例えば、上記に例示のルシフェラ ーゼ遺伝子、のDNAが組み込まれたトランスフェクト細胞系を含む。この系では 、P450RAI遺伝子は排除され、すなわちリポーター遺伝子はP450RAI遺伝子の本来 のプ ロモーターの調節下にある。リポーター遺伝子の発現は発現系の誘導の測定値と なり、したがって細胞のRAに対する暴露に反応して産生されたmRNA量の指標とな る。発現系の誘導を阻害する薬物の存在下で細胞をRAに暴露すると、その薬物が RA異化の強力な阻害剤である、すなわちP450RAI遺伝子発現を阻害し、したがっ てRA代謝を阻害する物質の薬物としての有効性を測定できることが示される。 細胞性レチノイン酸結合蛋白質(CRABP)[アダムソン(Adamson)、1993]が、 本発明のP450RAI蛋白質に対するレチノイド基質の結合に関係する可能性がある 。CRABP、その誘導体、合成断片、または類似体の存在の効果はこのように、本 発明のスクリーニング法によって決定することができる;RA代謝の増強における そのような薬物の有効性もまた決定することができる。 本明細書に開示の蛋白質のレチノイド代謝活性に関与する構造を保持しながら 、多様なアミノ酸置換が可能であることは、それによって本発明が制限されるこ となく、当然理解されると思われる。保存的置換は、例えば、米国特許第5,264, 558号のような特許文献において記述されている。したがって、例えば、非極性 脂肪族中性アミノ酸であるグリシン、アラニン、プロリン、バリンおよびイソロ イシンにおける相互交換が可能であろうと予測される。同様に、極性脂肪族中性 アミノ酸であるセリン、トレオニン、メチオニン、アスパラギンおよびグルタミ ンにおける置換もおそらく可能であると考えられる。荷電塩基性アミノ酸である リジンおよびアルギニンにおける置換と共に、荷電酸性アミノ酸であるアスパラ ギン酸およびグルタミン酸における置換もまたおそらく可能である。フェニルア ラニン、ヒスチジン、トリプトファンおよびチロシンを含む芳香族アミノ酸にお ける置換もまた可能であると考えられる。これらの種の置換および互換は、当業 者には周知である。その他の置換も当然可能である。当然のこととして、変異蛋 白質と天然に生じる蛋白質との相同性、すなわち配列類似性の割合が高ければ、 代謝活性の保持は大きくなることも予想される。当然のこととして、本明細書に 記述のP450RAIの活性を有する蛋白質変異体が本発明の範囲内であると解釈され るように、そのような変異体をコードする核酸も本発明の範囲内であると解釈さ れる。 当技術分野で既知のように、蛋白質のキメラ型により、さらなる利点を得るこ とができる。したがって全蛋白質または蛋白質の一部をコードするDNA配列を、 例えば融合蛋白質を製造するために、大腸菌β-ガラクトシダーゼのC-末端部分 をコードする配列と結合させることができる。GST-CYPRAI融合蛋白質は、上記実 施例において記述されている。ヒト呼吸器系合胞体ウイルス糖蛋白質FおよびGの 発現系は、1994年2月22日に公表され、例示目的で本明細書に参照として組み入 れられる米国特許第5,288,630号に記述されている。 本発明の組換え発現ベクターは上記のようにプラスミドとなりうる。本発明の 組換え発現ベクターはさらに、ウイルス核酸の中に導入された核酸の発現を可能 にする、ウイルスまたはその一部であることができる。例えば、複製欠損レトロ ウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルスを用いることができる。 本発明は、アンチセンス方向に発現ベクターをクローニングした本発明のDNA 分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、該DNA分子は、DNA分子の 転写、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:31のヌクレオチド配列に対して アンチセンスであるRNA分子の転写によって発現が可能となるよう、調節配列に 機能的に結合されている。様々な細胞タイプにおいてアンチセンスRNA分子の持 続的な発現を指向する、アンチセンス核酸に機能的にリンクした調節配列、例え ばウイルスプロモーターおよび/もしくはエンハンサーを選択することができ、 またはアンチセンスRNAの組織または細胞タイプ特異的発現を指向するその他の 調節配列を選択することができる。 本発明の組換え発現ベクターを用いて、組換え発現ベクターを含む形質転換宿 主細胞を作製することができる。「形質転換宿主細胞」という用語は、本発明の 組換え発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた原核または真核細 胞を含むものである。「で形質転換された」、「でトランスフェクトされた」、 「形質転換」、および「トランスフェクション」という用語は、当技術分野で既 知の多くの可能性のある技法の1つによって、1つの細胞内に核酸(例えば、ベ クター)を導入することを含むものである。原核細胞は例えば、電気穿孔、また は塩化カルシウム媒介形質転換によって核酸で形質転換することができる。核酸 は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈降、DEAE-デキストラン-媒介ト ランスフェクション、リポフェクション、電気穿孔、または微量注射のような従 来の技法によって哺乳類細胞内に導入することができる。宿主細胞の形質転換お よびトランスフェクトに適した方法は既知である[サムブルック(Sambrook)、1 989]。 上記のような技法による本発明の組換え発現ベクターによって形質転換された 宿主細胞の数は、用いる組換え発現ベクターのタイプおよび用いる形質転換技法 のタイプに依存する。哺乳類細胞に導入されたプラスミドベクターは、宿主細胞 DNAに組み込まれる頻度が非常に低い。これらの組み込み体を確認するために、 選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)を含む遺伝子を一般的に 関係遺伝子と共に宿主細胞に導入する。好ましい選択マーカーとしては、G418お よびヒグロマイシンのような特定の薬物に対する耐性を付与するマーカーが含ま れる。選択マーカーは関係核酸とは異なるプラスミド上に導入することができる が、好ましくは同じプラスミド上に導入する。本発明の核酸を含む1つ以上の組 換え発現ベクターおよび選択マーカーに対する遺伝子で形質転換された宿主細胞 は、選択マーカーを用いて細胞を選別することによって確認することができる。 例えば、選択マーカーがネオマイシン耐性を付与する遺伝子(pRc/CMVのような )をコードするならば、形質転換細胞はG418で選択することができる。選択マー カー遺伝子が組み込まれた細胞は生存し、その他の細胞は死滅する。 本発明の特定の核酸は、「チトクロームP450RAIの生物活性を有する」蛋白質 をコードする。チトクロームP450RAIの生物活性は、レチノイド酸化能である。 そのような活性は上記のように試験することができる。 本発明はP450RAIの生物活性を有する精製蛋白質を提供する。「単離された」 および「精製された」という用語は、組換えDNA技法によって作製された場合に は、細胞材料もしくは培養培地を実質的に含まない蛋白質、または化学的に合成 された場合には化学的前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含まない蛋白 質を指す。特定の好ましい態様において、P450RAIの生物活性を有する蛋白質は 、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:32としたアミノ酸配列を含む 。または上記のように、配列番号:3、配列番号:5、もしくは配列番号:31と したヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる好ましい蛋白質は、本発 明に含まれる。さらに、上記のようにストリンジェントな条件下で、配列番号: 3、配 列番号:5、または配列番号:31としたヌクレオチド配列を含む核酸とハイブリ ダイズする核酸によってコードされるP450RAIの生物活性を有する蛋白質もまた 本発明に含まれる。本発明のP450RAIは当技術分野で既知の技法を用いて適した 宿主細胞での発現によって得ることができる。適した宿主細胞には原核もしくは 真核生物、または例えば、酵母、大腸菌、昆虫細胞およびCOS-1細胞のような細 胞系が含まれる。上記のように、本発明の組換え発現ベクターを用いて、蛋白質 を単離するために宿主細胞においてP450RAI活性を有する蛋白質を発現すること ができる。本発明は、蛋白質をコードする組換え核酸を宿主細胞に導入すること 、宿主細胞において蛋白質を発現させること、および蛋白質を単離して精製する ことを含む、本発明の精製蛋白質を調製する方法を提供する。好ましくは組換え 核酸は組換え発現ベクターである。蛋白質は、蛋白質を発現する宿主細胞から単 離して、硫酸アンモニウム沈殿、カラムクロマトグラフィー(例えば、イオン交 換、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィー等)、電気泳動および最終的に は結晶化を含む当技術分野で標準的な技法に従って精製することができる[全般 的に、「酵素の精製と関連技術(Enzyme Purification and Related Techniques )」、Methods in Enzymology、22、237〜577(1971)を参照のこと]。 または、蛋白質またはその一部は、固相合成[メリフィールド(Merrifield) 、1964]、または均一溶液中での合成[ホウベンシル(Houbenwcyl)、1987]のよ うな蛋白化学において周知の技法を用いて化学合成によって調製することができ る。 本発明の蛋白質またはその一部を用いて、蛋白質の特異的な抗体を調製するこ とができる。特定の蛋白質の非保存領域における明確なエピトープに結合する抗 体を調製することができる。蛋白質の非保存領域は、その他の蛋白質、例えば、 チトクロームP450ファミリーのその他のメンバーと実質的な配列相同性を示さな い領域である。従来の方法を用いて、抗体を作製することができる。例えば、P4 50RAI蛋白質のペプチドを用いて、標準的な方法によりポリクローナル抗血清ま たはモノクローナル抗体を作製することができる。実施例16に示すように、哺乳 類(例えば、マウス、ハムスター、またはウサギ)を、哺乳類において抗体反応 を誘導するペプチドの免疫原性型で免疫することができる。ペプチドに免疫原性 を付与する技法には、担体との結合または当技術分野で周知のその他の技法が含 ま れる。例えば、ペプチドはアジュバントの存在下で投与することができる。免疫 の進行度は、血漿または血清中の抗体価の検出によってモニターすることができ る。標準的なELISAまたはその他のイムノアッセイを用いて抗体のレベルを評価 することができる。免疫後、抗血清を用い、必要に応じてポリクローナル抗体を 血清から単離することができる。 モノクローナル抗体を作製するため、抗体産生細胞(リンパ球)を、免疫した 動物から回収して、標準的な体細胞融合法によって骨髄腫細胞と融合し、したが ってこれらの細胞を不死化して、ハイブリドーマ細胞を得ることができる。その ような技法は当技術分野で周知である。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法[ コズバー(Kozbor)、1983]、ヒトモノクローナル抗体を産生するEBV-ハイブリ ドーマ技法[コール(Cole)、1985]、および組み合わせ抗体ライブラリのスクリ ーニング[ヒューズ(Huse)、1989]のようなその他の技法、ならびにコーラー& ミルスタイン(Kohler and Milstein)が最初に開発したハイブリドーマ技法[Ko hler,1975]。ハイブリドーマ細胞は、ペプチドと特異的に反応する抗体の産生 に関して免疫化学的にスクリーニングすることができ、モノクローナル抗体を単 離す。 本明細書で用いられる抗体という用語は、P450RAIの生物活性を有する蛋白質 と特異的に反応するその断片、またはそのペプチド断片をも含むものである。従 来の技法を用いて抗体を断片にすることができ、抗体全体について上記と同じ方 法で断片の有用性に関してスクリーニングすることができる。例えば、F(ab')2 断片は、抗体のペプシン処理によって作製することができる。得られたF(ab')2 断片を処理してジスルフィド結合を還元すると、Fab'断片を作製することができ る。 ヒト定常領域とのキメラ抗体分子を作製することも当技術分野で既知である。 例えば、モリソンら、タケダら、キャビリーら、ボスら、タナグチら、テンら[M orrison、1985;Takeda、1985;Cabilly;Boss;Tanaguchi;Teng、1982]、欧州 特許第0173494号、英国特許第2177096B号、国際公開広報第92/06193号、および 欧州特許第0239400号を参照のこと。そのようなキメラ抗体は、対応する非キメ ラ抗体よりヒト被験者における免疫原性が低いであろうと予測される。 P450RAIの生物活性を有する蛋白質に対して反応する、特異的抗体、または抗 体 断片、またはそのペプチド断片を作製するもう一つの方法は、本発明の核酸分子 から産生したペプチドを用いて、細菌において発現させた免疫グロブリン遺伝子 またはその一部をコードする発現ライブラリをスクリーニングすることである。 例えば、完全なFab断片、VH領域、およびFV領域は、ファージ発現ライブラリを 用いて細菌で発現させることができる。例えば、ワードら、ヒューズら、および マッカファーティら[Ward、1989;Huse、1989;McCafferty、1990]を参照のこと 。そのようなライブラリの例えばP450RAIペプチドによるスクリーニングにより 、P450RAIと反応する免疫グロブリン断片を特定することができる。または、ゲ ンファーム社(Genpahrm)が開発したSCID-huマウスを用いて、抗体またはその 断片を作製することができる。 ポリクローナル、モノクローナル抗体またはキメラモノクローナル抗体を用い て、様々な生物材料において本発明の蛋白質、その一部、またはその密接に関連 するイソ型を検出することができる、例えば、それらはELISA、ラジオイムノア ッセイ、または組織化学試験において用いることができる。このように、特定の 細胞事象または病理状態におけるP450RAI蛋白質の役割を明らかにするために、 抗体を用いて、試料中の本発明のP450RAI蛋白質、その一部、または密接に関連 したイソ型を定量することができる。本明細書において先に記述した方法を用い て、P450RAIの非保存領域に対するポリクローナル、モノクローナル抗体、また はキメラモノクローナル抗体を作製することができ、他の蛋白質と特定のP450RA Iを区別するために用いることができる。 ポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、検出可能な物質またはリポータ ー系にカップリングすることができる。「カップリングされた」という用語は検 出可能な物質が抗体に物理的にリンクしていることを意味するために用いられる 。適した検出可能な物質には、様々な酵素、補綴物、蛍光材料、発光材料および 放射性材料が含まれる。適した酵素の例には、ホースラディッシュ・ペルオキシ ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、およびアセチルコ リンエステラーゼが含まれる;適した補綴物複合体の例には、ストレプトアビジ ン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれる;適した蛍光材料の例には、 ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ロー ダ ミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、およびフィ コエリスリンが含まれる;発光材料の例には、ルミノールが含まれ;および適し た放射性材料の例には125I、131I、35Sおよび3Hが含まれる。好ましい態様にお いて、リポーター系は存在する蛋白質(抗原)量の定量を可能にする。 そのような抗体にリンクしたリポーター系は、被験者の体液または組織試料に 欠損量または過剰量の蛋白質が含まれるか否かを決定する方法において用いるこ とができる。したがって所定のタイプの被験者に関してそのような蛋白質の正常 閾値濃度を設定すれば、試験キットを開発することができる。 本発明により、当業者は二重特異性抗体および4量体抗体複合体を調製するこ とができる。二重特異性抗体は、ハイブリッドハイブリドーマの形成によって調 製することができる[スターズ(Staerz)、1986 a&b]。 本発明はレチノイドに関連する3つのタイプの化合物を含む:P450RAIの酵素 活性を阻害し、それによってRAの代謝を阻害する化合物;P450RAI、例えば上記 に示すAm580による代謝を回避するレチノイド;および例えば上記の4-HPRのよう にP450RAI遺伝子発現の誘導を抑制する化合物。 本発明の組成物は、インビボでの薬物投与に適した生物学的適合型で被験者に 投与される。「インビボでの投与に適した生物学的適合型」という用語は、組成 物の治療効果が何らかの毒性効果を上回る、投与する組成物の型を意味する。「 被験者」という用語は、望ましい治療反応を誘導することができる生体、例えば 哺乳類を含むものである。被験者の例には、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット 、およびそのトランスジェニック種が含まれる。本発明の治療的組成物の治療的 活性量の投与は、望ましい結果を得るために必要な用量および期間での有効量と 定義される。例えば、P450RAI蛋白質によるRAの異化を阻害する化合物の治療的 活性量は、標的組織および輸送方法と共に、個人の疾患の状態、年齢、性別、お よび体重のような要因によって変化しうる。投与レジメは、最適な治療反応が得 られるよう調整できる。例えば、治療状況の緊急性によって示されるように、用 量をいくつかに分割して毎日投与してもよく、または用量を比例的に減少させて もよい。 本発明の化合物は、P450RAI酵素によるRAの代謝を阻害することが判明した化 合 物、および抗癌剤として有用な化合物、ならびにレチノイン酸が有用である皮膚 疾患の治療、軽減、または予防において有用な化合物のように、例えば局所的に 用いてもよい。この点において、上皮細胞における腫瘍の促進に対する予防、な らびに魚鱗癬、小胞状疾患、良性上皮疾患などの皮膚病、およびざ瘡、乾癬、湿 疹、アトピー性皮膚炎、非特異的皮膚炎等のような他の増殖性皮膚病皮膚疾患の 治療として、ヒトを含む動物において前悪性段階の上皮細胞病変に対する治療を 目的とする組成物にそれらを含めてもよい。 局所組成物は通常、液体、半固体、または固体の形状において薬学的に許容さ れる担体と共に処方される。薬学的に許容される担体は、毒性を示さず、一般に 不活性で、有効成分の機能性に有害な影響を及ぼさない材料である。そのような 材料は周知であり、薬学的製剤技術において時に希釈剤または溶媒(賦形剤)と 呼ばれる材料が含まれる。担体は本質的に有機であっても無機であってもよい。 薬学的に許容される担体の例は、水、ゼラチン、乳糖、デンプン、鉱物油、ココ アバター、デキストロース、蔗糖、ソルビトール、マンニトール、ゴム、アカシ ア、アルギン酸塩、セルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、モノラウ リル酸ポリオキシエチレンソルビタン、および他の一般的に用いられる薬学的担 体である。有効成分および担体に加えて、製剤は香料、着色剤、濃化剤またはゲ ル化剤、乳化剤、湿潤剤、緩衝液、安定化剤、および抗酸化剤のような保存剤を 含んでもよい。 特定の組成物は腸内に投与してもよい。経口投与に関しては、適した形状は例 えば、錠剤、丸剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、溶液、粉末および顆粒である。 抗腫瘍剤または抗腫瘍製剤の一部として、例えば本発明の化合物は、全トラン ス型レチノイン酸のように、様々な腫瘍の治療に用いられるレチノイドと同様の 方法で用いることができる。投与すべき用量は1回投与であれ、複数回投与また は毎日投与であれ、当然のこととして有効成分の異なる強度、選択した投与経路 、賦形剤の大きさ、腫瘍のタイプ、および患者の疾患の特性のために、用いる特 定の化合物によって変化する。投与量は、確定した範囲内に従属するわけではな いが、それは通常有効量、または望ましい薬理学的および生理学的効果を得るた めに、有効薬物の代謝的放出に基づいて投与剤形から生成された薬理学的に活性 な遊離型のモルベースでの等量であると考えられる。癌治療の当業者である腫瘍 学者は、過度の実験を行うことなく、本発明の化合物の有効な投与に関する適当 なプロトコルを確認することができると思われる。 P450RAI蛋白質の生物活性を有する蛋白質をコードする核酸を用いて、次に、 治療的に有用な試薬の開発およびスクリーニングにおいて有用となる、トランス ジェニック動物または「ノックアウト」動物のいずれかを作製することができる 。トランスジェニック動物(例えば、マウス)とは、動物または動物の祖先に、 出生前、例えば胚芽の段階で導入遺伝子を組み込んだ、導入遺伝子を含む細胞を 有する動物である。導入遺伝子はそこからトランスジェニック動物が発生する細 胞のゲノムに組み込まれるDNAである。1つの態様において、配列番号:5に示 すヌクレオチド配列、または適当な変異体もしくはサブ配列を含むヒトP450RAI cDNAを用いて、ヒトP450RAI蛋白質を発現する細胞を含むトランスジェニック動 物を作製することができる。トランスジェニック動物、特にマウスなどの動物を 作製する方法は、例えば、米国特許第4,736,866号および第4,870,009号に記述さ れている技術分野では常套手段となった。好ましい態様において、本発明の組換 え分子を含むプラスミドをマウス胚に微量注射する。特に、プラスミドは、単細 胞マウス受精卵の雄性前核に微量注射する;注入した卵を偽妊娠代理雌性マウス に注入する;および代理雌性マウスにおいて卵を満期まで発生させる[ホーガン (Hogan)、1986]。または、胎児幹細胞をP450RAI活性を有する蛋白質をコード する核酸を含む発現ベクターでトランスフェクトすることができ、核酸を含む細 胞を用いて適したレシピエントマウス系統からの胚との集合キメラを形成するこ とができる。次にキメラ胚を適当な系統の適した偽妊娠雌性マウスに植え込み、 胚を満期まで発生させる。その生殖細胞にトランスフェクトされたDNAを有する 子孫を用いて、均一にトランスジェニックマウスを飼育することができる。 典型的に、特定の細胞は、遺伝子をコードするP450RAIと機能的に結合した組 織特異的エンハンサーを用いることによって、P450RAI導入遺伝子取り込みの標 的となると考えられる。例えば、選択的に心筋細胞において機能的にリンクした 遺伝子の発現を指向するプロモーターおよび/またはエンハンサーを用いて、心 筋組織において選択的にP450RAI蛋白質を発現するトランスジェニック動物を作 製する ことができる。適したプロモーターおよびエンハンサーの例は、心ミオシンおよ び心アクチンの遺伝子発現を制御するものを含む。胚芽期に動物の生殖系に導入 されたP450RAI導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物を用いて、様 々な組織におけるP450RAI発現の増加の効果を調べることもできる。 トランスジェニックマウスにおける本発明の組換え型分子発現のパターンおよ び程度は、両遺伝子が同時に転写されて多シストロン性mRNAを形成するように組 換え分子とリポーター遺伝子とを融合させることによって促進される。リポータ ー遺伝子はサムブルックら[Sambrook、1989]が記述したように、従来の方法を用 いて組換え分子の中に導入することができる。本発明の蛋白質およびリポーター 蛋白質をコードする多シストロン性mRNAの両シストロンの効率的な発現は、ポリ オウイルスmRNAに存在する場合のように、既知の内部翻訳開始配列を含めること によって得ることができる。リポーター遺伝子は本発明の組換え分子の調節配列 の調節下にあるべきで、したがって、本発明の蛋白質をコードする遺伝子発現の パターンおよび程度は、リポーター遺伝子の表現型をアッセイすることによって 決定することができる。リポーター遺伝子は好ましくは、宿主細胞が示さない表 現型をコードしており、その表現型を定量的にアッセイすることができる。適し たリポーター遺伝子の例はlacZ(β-ガラクトシダーゼ)、neo(ネオマイシンホ スホトランスフェラーゼ)、CAT(クロラムフェニコール・アセチルトランスフ ェラーゼ)、dhfr(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)、aphlV(ヒグロマイシンホス ホトランスフェラーゼ)、lux(ルシフェラーゼ)、uidA(β-グルクロニダーゼ )を含む。好ましくは、リポーター遺伝子はβ-ガラクトシダーゼをコードするl acZである。β-ガラクトシダーゼは、β-ガラクトシダーゼによって開裂を受け て青色の産物を生じる乳糖類似体X-gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-b-D ガラクトピラノシド)を用いてアッセイすることができる[オールド(Old)]。 開示の好ましい態様において用いられる実験動物はマウスであるが、本発明は これに制限されるべきではない。例えば、ラット、ハムスター、ウサギおよびヒ ツジのようなその他の種を用いることが望ましいこともある。 本発明のトランスジェニック動物を用いて、RA代謝の分子的基礎を調べること ができる。本発明のトランスジェニック動物を用いて、物質がRA代謝を防止する 、遅らせる、または増強するか否かを試験することもできる。無処置対照トラン スジェニック動物と並行して、トランスジェニック動物を、その物質で処置する ことができる。 本発明のトランスジェニック動物からの細胞は、標準的な組織培養技法を用い て培養することができる。特に、本発明の組換え分子を有する細胞を培養して、 これを用いて物質がRA代謝を防止する、遅らせる、または増強するか否かを試験 することができる。 さらに、P450RAI活性を有する蛋白質をコードする遺伝子のヒト以外の相同体 を用いて、P450RAI遺伝子が欠損または変化している「ノックアウト」動物を構 築することができる。例えば、確立された技法を用いて、マウスゲノムP450RAI DNAの一部(例えば、エキソン)を欠失させるか、または組み込みのモニターに 用いることができる選択マーカーをコードする遺伝子のような、別の遺伝子と置 換することができる。次に、変化したP450RAI DNAを胎児幹細胞系にトランスフ ェクトすることができる。変化したP450RAI DNAは、特定の細胞において内因性P 450RAI遺伝子と相同的に組換えし、変化した遺伝子を含むクローンを選択するこ とができる。変化した遺伝子を含む細胞を、マウスのような動物の胚盤胞に注入 し、トランスジェニック動物に関して記述したように集合キメラを作製する。キ メラ胚を上記のように植え込む。変化した遺伝子の子孫動物の生殖系への伝達は 標準的な技法を用いて確認することができ、この動物を用いて、変化したP450RA I遺伝子を全ての細胞に有する動物を飼育することができる[レモイン(Lemoine )、1996]。したがって、機能的P450RAI蛋白質を発現できないノックアウト動物 を作製することができる。そのようなノックアウト動物は例えば、P450RAI蛋白 質の非存在下で薬物の有用性を調べるために用いることができる。 本発明のアンチセンス核酸およびオリゴヌクレオチドは、P450RAI活性を有す る蛋白質をコードする核酸(例えば、mRNA)の発現の阻害に有用である。P450RA I活性を有する蛋白質は細胞上で作用することができる薬物、例えばRA、の代謝 と関連しているため、そのような蛋白質の発現が減少すれば、そのような薬物に 対する細胞の感受性が増加することがありうる。アンチセンス核酸はP450RAI発 現を阻害するために薬物耐性培養細胞に導入することができる。オリゴヌクレオ チドの ような1つ以上のアンチセンス核酸は、典型的には例えば200μg/mlで培養培地 中の細胞に加えることができる。 したがって、本発明のアンチセンス核酸またはそのオリゴヌクレオチドは、被 験者におけるレチノイン酸またはその他のレチノイド耐性を修正または予防する 遺伝子療法において用いることができる。例えば、アンチセンス配列を用いて、 レチノイン酸またはその他のレチノイド耐性悪性細胞を、化学療法剤に対して感 受性にすることができる。アンチセンス核酸の被験者への投与は、アンチセンス 核酸が、アンチセンスRNAの持続的な産生を可能にする組換え発現ベクターに含 まれる場合には、より効果的となる可能性がある。アンチセンス核酸またはその オリゴヌクレオチドを含む組換え分子は、リポソーム、レトロウイルスベクター 、アデノウイルスベクター、およびDNAウイルスベクターのような輸送媒体を用 いて、インビボでの肺組織を含む組織に直接導入することができる。被験者中の 関係細胞を標的とすることができる輸送媒体を選択することができる(例えば、 レチノイド耐性腫瘍細胞)。アンチセンス核酸はまた、エクスビボでウイルスベ クターまたは微量注射および電気穿孔のような物理的技法、または共沈降および DNAのリポソームへの組み込みのような化学的方法を用いて、造血系の細胞のよ うに単離された細胞に導入することができ、そのような細胞はドナーに戻すこと ができる。組換え分子はエアロゾルの形または洗浄によって輸送することができ る。 したがって、本発明は、配列番号:2、配列番号:32、または特にヒト細胞の 場合には配列番号:4とする蛋白質をコードする核酸に対してアンチセンスであ る核酸を耐性細胞に導入することによって、耐性細胞のレチノイン酸または他の レチノイド耐性を阻害する方法を提供する。 本発明の核酸をさらに用いて、mRNAのようなP450RAI活性を有する蛋白質をコ ードする一本鎖核酸を開裂することができるリボザイムをデザインすることがで きる。本発明の核酸の配列に基づいてP450RAIコードmRNAの特異性を有するリボ ヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA(リボザイム)をデザインすることができる 。例えば、活性部位の塩基配列がP450RAIコードmRNAにおいて開裂を受ける塩基 配列と相補的であるテトラヒメナL-19IVS RNAの誘導体を構築することができる[ チェク(Chech)a&b]。または、本発明の核酸を用いて、RNA分子のプールから 特異的なリ ボヌクレアーゼ活性を有する触媒的RNAを選択することができる[バーテル(Bart el)、1993]。 本発明の単離された核酸およびアンチセンス核酸を用いて、すでに記述したよ うに組換え発現ベクターを構築することができる。これらの組換え発現ベクター は、すでに記述したように、組換え発現ベクターを含む形質転換宿主細胞の作製 、本発明の核酸によってコードされる蛋白質の発現、および本発明の蛋白質の単 離に有用である。本発明の単離された核酸およびアンチセンス核酸を用いて、す でに記述したトランスジェニックおよびノックアウト動物を構築することもでき る。 本発明の単離された蛋白質はすでに記述したようにP450RAI活性を有する蛋白 質に対して反応する抗体を作製するために有用である。または本発明の抗体は標 準的な免疫アフィニティ技法による本発明の蛋白質の単離に用いることができる 。さらに、二重特異性抗体を含む本発明の抗体は、診断目的に有用である。 配列番号:4に示すアミノ酸配列を含む蛋白質に結合する分子はまた、分子を 取り込んだ、蛋白質を発現する細胞を死滅させる方法において用いることができ る。好ましくは細胞は、腫瘍細胞である。そのような細胞の破壊は毒性または治 療活性を有する物質で分子を標識することによって得ることができる。本明細書 で用いられる「毒性または治療活性を有する物質」という用語は、細胞障害性細 胞のように、その作用により細胞を破壊することのできる細胞と共に、放射性同 位元素、毒素(例えば、ジフテリア毒素またはリシン)、または化学療法剤のよ うな、その作用により細胞を破壊できる分子を含むものである。P450RAIに結合 する分子は、毒性または治療活性を有する物質に直接カップリングすることがで き、または物質に間接的にリンクすることができる。1つの例において、細胞に よって取り込まれた分子の毒性はP450RAI活性によって活性化される。 本発明はまた、例えば、腫瘍細胞の試料と共にインキュベートするため、配列 番号:4に示すアミノ酸配列を含む蛋白質、非反応性蛋白質、もしくは非結合性 蛋白質に結合する分子を含む腫瘍細胞を同定するための診断キット;蛋白質に結 合した分子を検出するための手段;試料中の蛋白質量を測定する手段;および試 料中の蛋白質量を標準物質と比較するための手段を提供する。好ましくは分子は モノクローナル抗体である。本発明のいくつかの態様において、P450RAIに結合 する分子の検出可能性は該結合(例えば、蛍光スペクトルの変化、放射性同位元 素標識の消失)によって活性化される。診断キットはまた、キット使用のための 手引きマニュアルを含むことができる。 本発明はさらに、配列番号:3に示す配列またはそのオリゴヌクレオチド断片 と相補的なヌクレオチドプローブを含む腫瘍細胞を特定するための診断キット例 えば、腫瘍細胞の試料からのmRNAとのハイブリダイゼーションのための手段;標 準と共に、試料中のmRNAと結合したヌクレオチドプローブを検出する手段を提供 する。診断キットはまた、キット使用のための手引きマニュアルを含むことがで きる。 当業者は単なるルーチン実験を用いて、本明細書に記述の本発明の特殊な態様 の多くの同等物を確認することができるであろう。そのような同等物は以下の請 求の範囲に含まれると解釈される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年10月14日(1998.10.14) 【補正内容】 請求の範囲 1.配列番号:2、もしくは配列番号:4、または配列番号:32と同定されたア ミノ酸配列と比較して少なくとも約30%保存されているアミノ酸配列を有する、 レチノイドを酸化する精製蛋白質。 2.配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:32と同定されたアミノ酸配 列と比較して少なくとも約35%保存されている請求項1記載の蛋白質。 3.配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:32と同定されたアミノ酸配 列と比較して少なくとも約50%保存されている、請求項1記載の蛋白質。 4.請求項1記載の蛋白質の保存的置換変異体であり、配列番号:2、配列番号 :4、または配列番号:32と同定されたアミノ酸配列と比較して少なくとも約30 %保存されており、レチノイドを酸化する蛋白質。 5.レチノイドがレチノールおよび/またはレチノイン酸である、請求項1記載 の蛋白質。 6.レチノイドのβ-イオノン環の4位の炭素を酸化する、請求項1記載の蛋白 質。 7.レチノイドが全トランス型レチノイドである、請求項6記載の蛋白質。 8.レチノイン酸のβ-イオノン環の4位でレチノイン酸をヒドロキシル化する 能力を有し、配列番号:2、配列番号:4、または配列番号32と同定されたアミ ノ酸配列と比較して少なくとも約30%保存されているアミノ酸配列を有する精製 蛋白質。 9.レチノイドのβ-イオノン環の4位の炭素でレチノイドを酸化する精製蛋白 質。 10.レチノイドが全トランス型レチノイドである、請求項9記載の蛋白質。 11.レチノイドがレチノイン酸である、請求項10記載の蛋白質。 12.請求項1記載の蛋白質をコードする単離された核酸分子、またはその相補的 コード鎖が、配列番号:2、配列番号:4、もしくは配列番号:32と同定されたア ミノ酸配列と比較して少なくとも約30%保存されており、かつレチノイドを酸化 する蛋白質をコードする、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で 該核酸分子とハイブリダイズする核酸鎖。 13.請求項8記載の蛋白質をコードする単離された核酸分子。 14.配列番号:3、配列番号:5、もしくは配列番号:31と同定された配列を含む か、もしくは遺伝子コードの縮重により該配列とは異なる単離された核酸分子、 またはその相補的コード鎖が、配列番号:2、配列番号:4、もしくは配列番号:3 2と同定されたアミノ酸配列と比較して少なくとも約30%保存されており、かつ レチノイドを酸化する蛋白質をコードする、ストリンジェントなハイブリダイゼ ーション条件下で該核酸の少なくとも一つとハイブリダイズする核酸鎖。 15.核酸分子の配列がヒトゲノム、もしくは魚ゲノム、またはマウスゲノムの一 部に対応する、または遺伝子コードの縮重によりそれらと異なる、請求項14記載 の核酸分子。 16.請求項14記載の核酸分子に対応し、かつ配列番号:2、配列番号:4、もしく は配列番号:32と同定されたアミノ酸配列と比較して少なくとも約30%保存され ており、レチノイドを酸化する蛋白質をコードする配列を有するDNAから転写さ れた単離mRNA。 17.レチノイド誘導可能蛋白質をコードする異種DNAを含有し、かつ発現する微 生物細胞。 18.蛋白質がレチノイドを酸化する、請求項17記載の微生物細胞。 19.全トランス型レチノイン酸4-ヒドロキシラーゼ活性を有するレチノイド誘導 可能蛋白質をコードする異種DNAを含有し、かつ発現する微生物細胞。 20.レチノイドがレチノイン酸である、請求項17記載の細胞。 21.請求項12記載の核酸鎖を含む異種DNAを含有し、かつ発現する微生物細胞。 22.組換え型クローニングベクターにおいて請求項14記載の配列を有する単離さ れたDNA。 23.請求項1記載の蛋白質を発現する安定的にトランスフェクトされた細胞系。 24.請求項14記載の核酸配列を有する組換えDNA分子で形質転換された培養細胞 。 25.請求項1記載の蛋白質を産生するよう遺伝的に改変された宿主細胞であって 、該蛋白質をコードする異種DNAを発現するようその中に組み込まれた細胞。 26.細胞をレチノイン酸に暴露することによって蛋白質の産生が誘導可能である 、請求項25記載の細胞。 27.細胞が真核細胞である、請求項25記載の細胞。 28.下記の段階を含む、請求項1記載の蛋白質を製造する方法: 該蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA断片を調製する段階、 DNA断片を含み、かつ複製されうるような組換えDNA分子を得るために、発現ベ クターにDNA断片を組み込む段階、 該蛋白質を発現しうる形質転換体を製造するために、該組換えDNA分子で宿主 細胞を形質転換させる段階、 形質転換体を培養して該蛋白質を産生させる段階、および その結果得られた培養混合物から該蛋白質を回収する段階。 29.請求項1記載の蛋白質に対する抗体。 30.モノクローナル抗体である、請求項29記載の抗体。 31.配列番号:4と同定された配列に含まれる1つの配列を有する蛋白質に対す る抗体。 32.レチノイン酸の代謝を必要とする生物または細胞においてレチノイン酸を代 謝するために用いられる、請求項1記載の蛋白質。 33.請求項1記載の蛋白質を投与する段階を含む、レチノイン酸代謝を必要とす る生物または細胞においてレチノイン酸を代謝する方法。 34.長さが少なくとも5塩基である、配列番号:3、配列番号:5、または配列 番号:31と同定された配列の少なくとも一部と実質的に相補的なアンチセンス核 酸またはオリゴヌクレオチドの有効量を生物に投与する段階を含む、レチノイン 酸ヒドロキシル化の阻害を必要とする生物においてレチノイン酸ヒドロキシル化 を阻害する方法。 35.生物がヒトである、請求項34記載の方法。 36.生物を、癌、紫外線角化症、口腔白板症、頭部および/または頸部の二次腫 瘍、肺の非小細胞癌、基底細胞癌、急性前骨髄性白血病、皮膚癌、ならびに紫外 線角化症、ニキビ、乾癬、および/または魚鱗癬に関連した前悪性腫瘍からなる 群より選択される疾患に関して治療する、請求項34記載の方法。 37.疾患が急性前骨髄性白血病である、請求項36記載の方法。 38.レチノイドへの暴露に反応して内因性蛋白質を産生することができる細胞を 提供する段階; 内因性蛋白質をコードするDNA配列が通常存在する部位またはその近傍に所望の 蛋白質をコードするDNA配列を細胞のDNAに組み込む段階;および 所望の蛋白質の産生を誘導するために、レチノイドに細胞を暴露する段階を含む 、所望の蛋白質の製造法。 39.請求項1記載の蛋白質、または配列番号:4と同定されたアミノ酸配列を有 する蛋白質の有無を決定するキットであって、蛋白質の規定量と抗体とが結合す ると検出可能な反応を生じるようなリポーターシステムに結合した該蛋白質に対 する抗体を含む、キット。 40.請求項12記載の第一の核酸分子の有無を決定するキットであって、ストリン ジェントな条件下で第一の核酸分子の少なくとも一部とハイブリダイズする、長 さが少なくとも約5塩基である第二の核酸分子を含み、該第二の核酸分子が、規 定量の第一の分子と第二の分子とが共にハイブリダイズされると検出可能な反応 が生じるようなリポーターシステムに結合している、キット。 41.(a)配列番号:33; (b)配列番号:34; (c)配列番号:35;および (d)(a)、(b)、または(c)の断片、 からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する単離されたDNA分子であっ て、プロモーター活性を有するDNA分子。 42.xが5までの値である配列TGAACT(N)xTGAACTを含む、請求項41記載のDNA分子 。 43.xが5である請求項42記載のDNA分子。 44.配列TGAACT(N)xTGAACTの下流に配列TCTGASSAAGKTAACをさらに含む、請求項4 2記載のDNA分子。 45.配列TGAACT(N)xTGAACTと配列TCTGASSAAGKTAACとの間に配列AATTをさらに含 む、請求項44記載のDNA分子。 46.配列TGAACT(N)xTGAACTと配列TCTGASSAAGKTAACとの間に6個までのヌクレオ チ ドが存在する、請求項44記載のDNA分子。 47.配列TGAACT(N)xTGAACTの上流に配列CAATTAAAGAをさらに含む、請求項42記載 のDNA分子。 48.配列CAATTAAAGATGAACTTTGGGTGAACTAATTを含む、請求項41記載のDNA分子。 49.配列TATAAを含む、請求項41、42、43、44、45、46、47、または48記載のDNA 分子。 50.配列TGAACT(N)xTGAACTの下流に配列TATAAを含む、請求項42、43、または47 記載のDNA分子。 51.配列TCTGASSAAGKTAACの下流に配列TATAAを含む、請求項44または45記載のDN A分子。 52.配列TGAACT(N)xTGAACTの下流に、そこから最大で約55ヌクレオチドの間隔を あけて位置する配列TATAAを含む、請求項42記載のDNA分子。 53.請求項41記載の単離されたDNA分子を含む、組換えDNA。 54.1つ以上の構造遺伝子をさらに含む、請求項53記載の組換えDNA。 55.1つ以上の構造遺伝子がチトクロームP450蛋白質をコードする、請求項54記 載の組換えDNA。 56.請求項53記載の組換えDNAを含む発現プラスミド。 57.請求項54記載の組換えDNAを含む単離細胞。 58.細胞が真核細胞である、請求項57記載の単離細胞。 59.請求項57記載の細胞を培養し、産生された蛋白質を回収する段階を含む、蛋 白質の製造方法。 60.蛋白質がチトクロームP450を含む、請求項59記載の方法。 61.蛋白質が融合蛋白質を含む、請求項59記載の方法。 62.精製された蛋白質を薬物に暴露し、活性に及ぼすその作用を決定する段階を 含む、レチノイン酸誘導可能蛋白質の活性に及ぼすそれらの作用に関して薬物を スクリーニングする方法。 63.活性がレチノイン酸、特に全トランス型レチノイン酸のヒドロキシル化であ る、請求項62記載の方法。 64.精製した蛋白質を薬物に暴露し、その活性に及ぼす作用を決定する段階を含 む、請求項1記載の蛋白質の活性に及ぼすそれらの作用に関して薬物をスクリー ニングする方法。 65.レチノイン酸の酸化に対して薬物が有する作用を確認する段階を含む、請求 項64記載の方法。 66.レチノイドが全トランス型レチノイン酸である、請求項65記載の方法。 67.請求項54記載の組換えDNAを薬物に暴露し、遺伝子発現に及ぼす作用を決定 する段階を含む、レチノイドによって誘導可能である遺伝子の発現に及ぼすそれ らの作用に関して薬物をスクリーニングする方法。 68.レチノイドの存在下で組換えDNAを暴露する段階を含む、請求項67記載の方 法。 69.構造遺伝子がレチノイン酸を代謝しないリポーター遺伝子である、請求項67 記載の方法。 70.請求項53記載の組換えDNAを薬物に暴露する段階と、遺伝子発現に及ぼす作 用の決定に遺伝子の転写に及ぼす作用の確認が含まれる、遺伝子発現に及ぼす作 用を決定する段階とを含む、レチノイドによって誘導可能である遺伝子の発現に 及ぼすそれらの作用に関して薬物をスクリーニングする方法。 71.チトクロームP450の本来のプロモーター活性を有するヌクレオチド配列の調 節下となるように発現系に組み込まれた請求項12記載のヌクレオチド配列にコー ドされるチトクロームP450によるレチノイドの代謝に及ぼす作用について薬物を スクリーニングする方法であって、レチノイドの代謝に及ぼす薬物の作用を決定 するために、レチノイドの存在下で薬物に該システムを暴露する段階を含む、方 法。 72.レチノイドがレチノイン酸である、請求項71記載の方法。 73.レチノイン酸が全トランス型レチノイン酸である、請求項72記載の方法。 74.請求項62、63、64、65、または66記載の方法により蛋白質の活性を調節する 作用を有することが確認された薬物。 75.請求項67、68、69、70、71、または72記載の方法により遺伝子発現を調節す る作用を有することが確認された薬物。 76.請求項73記載の方法により遺伝子発現を調節する作用を有することが確認さ れた薬物。 77.請求項74記載の薬物の有効量を生物に投与する段階を含む、レチノイン酸代 謝の阻害を必要とする生物において該代謝を阻害する方法。 78.請求項75記載の薬物の有効量を生物に投与する段階を含む、レチノイン酸代 謝の阻害を必要とする生物において該代謝を阻害する方法。 79.請求項76記載の薬物の有効量を生物に投与する段階を含む、レチノイン酸代 謝の阻害を必要とする生物において該代謝を阻害する方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/00 635 A61K 31/00 635A 31/70 625 31/70 625 38/44 48/00 48/00 C07K 16/40 C07K 16/40 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 9/02 5/10 C12P 21/02 C 9/02 21/08 C12P 21/02 C12Q 1/68 A 21/08 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/574 A 33/50 33/577 B 33/574 C12N 5/00 A 33/577 A61K 37/50 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ジョンズ グレビルー カナダ国 オンタリオ州 キングストン インバーネス クレセント 66

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  1. 【特許請求の範囲】 1.レチノイドを酸化する能力を有し、配列番号:2、配列番号:4、もしくは 配列番号32:として同定されたアミノ酸配列、またはその機能的に同等な相同体 と比較して、少なくとも約30%保存されているアミノ酸配列を有する精製蛋白質 。 2.配列番号:2、配列番号:4、もしくは配列番号:32として同定されたアミ ノ酸配列、またはその機能的に同等な相同体と比較して、少なくとも約35%保存 されている、請求項1記載の蛋白質。 3.配列番号:2、配列番号:4、もしくは配列番号:32として同定されたアミ ノ酸配列、またはその機能的に同等な相同体と比較して、少なくとも約50%保存 されている、請求項1記載の蛋白質。 4.請求項1記載の蛋白質、またはその保存的置換された変異体。 5.レチノイドがレチノールおよび/またはレチノイン酸である、請求項1記載 の蛋白質。 6.レチノイドのβ-イオノン環の4位の炭素を酸化する能力を有する、請求項 1記載の蛋白質。 7.レチノイドが全トランス型レチノイドである、請求項6記載の蛋白質。 8.レチノイン酸のβ-イオノン環の4位でレチノイン酸をヒドロキシル化する 能力を有し、配列番号:2、配列番号:4、もしくは配列番:32として同定され たアミノ酸配列、またはその機能的に同等な相同体と比較して、少なくとも約30 %保存されているアミノ酸配列を有する精製蛋白質。 9.レチノイドのβ-イオノン環の4位の炭素においてレチノイドを酸化する能 力を有する精製蛋白質。 10.レチノイドが全トランス型レチノイドである、請求項9記載の蛋白質。 11.レチノイドがレチノイン酸である、請求項10記載の蛋白質。 12.請求項1記載の蛋白質またはその保存的置換された変異体。 13.請求項1記載の蛋白質をコードする単離された核酸分子、またはストリンジ ェントなハイブリダイゼーション条件下で該核酸分子とハイブリダイズすること が可能な核酸鎖。 14.請求項8記載の蛋白質をコードする単離された核酸分子。 15.配列番号:3、配列番号:5、もしくは配列番号:31として同定された配列 を有するDNA分子を含む、もしくは遺伝子コードの縮重により該配列と異なる単 離された核酸分子、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で 該核酸分子の少なくとも1つとハイブリダイズすることが可能な核酸鎖。 16.核酸分子の配列が、ヒトゲノム、魚ゲノム、もしくはマウスゲノムの一部に 対応する、または遺伝子コードの縮重によりそれとは異なる、請求項15記載の核 酸分子。 17.請求項15記載の核酸分子に対応する配列を有するDNAから転写された単離mRN A。 18.レチノイド誘導可能蛋白質をコードする異種DNAを含みかつ発現させる微生 物細胞。 19.蛋白質がレチノイドを酸化することができる、請求項18記載の微生物細胞。 20.全トランス型レチノイン酸4-ヒドロキシラーゼ活性を有するレチノイド誘導 可能蛋白質をコードする異種DNAを含みかつ発現させる微生物細胞。 21.レチノイドがレチノイン酸である、請求項18記載の細胞。 22.請求項13記載の核酸分子と相補的な異種DNAを含みかつ発現させる微生物細 胞。 23.組換え型クローニングベクターにおいて請求項15記載の配列を有する単離さ れたDNA。 24.請求項1記載の蛋白質を発現する安定的にトランスフェクトされた細胞系。 25.請求項15記載の核酸配列を有する組換えDNA分子で形質転換された細胞培養 物。 26.請求項1記載の蛋白質を産生するよう遺伝的に改変された宿主細胞であって 、該蛋白質をコードする異種DNAをその中で発現するよう組み込まれた細胞。 27.細胞をレチノイン酸に暴露することによって蛋白質の産生を誘導することが できる、請求項26記載の細胞。 28.真核細胞である、請求項26記載の細胞。 29.下記の段階を含む、請求項1記載の蛋白質を製造するための方法: 該蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA断片を調製する段階、 該DNA断片を含み、かつ複製されうる組換えDNA分子を得るために発現ベクター に該DNA断片を組み込む段階、 該蛋白質を発現させることのできる形質転換体を製造するために該組換えDNA 分子で宿主細胞を形質転換させる段階、 該蛋白質を製造するために該形質転換体を培養する段階、および その結果生じた培養混合物から該蛋白質を回収する段階。 30.請求項1記載の蛋白質に対する抗体。 31.モノクローナル抗体である、請求項30記載の抗体。 32.配列番号:4と同定された配列に含まれる1つの配列を有する蛋白質に対す る抗体。 33.レチノイン酸の代謝を必要とする生物または細胞において該代謝に用いられ る請求項1記載の蛋白質。 34.請求項1記載の蛋白質を投与することを含む、レチノイン酸代謝を必要とす る生物または細胞においてレチノイン酸を代謝させる方法。 35.配列番号:3、配列番号:5、または配列番号:31と同定された配列の少な くとも一部と実質的に相補的なアンチセンス核酸またはオリゴヌクレオチドの有 効量を生物に投与することを含む、レチノイン酸ヒドロキシル化の阻害を必要と する生物においてそれを阻害する方法。 36.その一部の長さが少なくとも5塩基である、請求項35記載の方法。 37.生物がヒトである、請求項35記載の方法。 38.生物を、癌、紫外線角化症、口腔白板症、頭部および/または頸部の二次腫 瘍、肺の非小細胞癌、基底細胞癌、急性前骨髄性白血病、皮膚癌、ならびに紫外 線角化症、ざ瘡、乾癬、および/または魚鱗癬に関連する前悪性腫瘍からなる群 より選択される疾患に関して治療する、請求項35記載の方法。 39.疾患が急性前骨髄性白血病である、請求項38記載の方法。 40.下記の段階を含む、所望の蛋白質を製造するための方法: レチノイドへの暴露に反応して内因性蛋白質を産生することのできる細胞を提 供する段階、 内因性蛋白質をコードするDNA配列が通常存在する部位またはその近傍に所望 の蛋白質をコードするDNA配列を細胞のDNAに組み込む段階、および 該所望の蛋白質の産生を誘導するため、レチノイドに該細胞を暴露する段階。 41.規定量の蛋白質と抗体とが結合すると、リポーターシステムが検出可能な反 応を生じる、リポーターシステムに結合した該蛋白質に対する抗体を含む、請求 項1記載の蛋白質、または配列番号:4と同定されるアミノ酸配列を有する蛋白 質の有無を判定するキット。 42.請求項13記載の第一の核酸分子の有無を判定するキットであって、規定量の 第一の分子と第二の分子とを共にハイブリダイズさせると検出可能な反応を生じ るリポーターシステムに第二の核酸分子が結合している、ストリンジェントな条 件下で第一の核酸分子の少なくとも一部とハイブリダイズすることができる第二 の核酸分子を含む、キット。 43.核酸分子の長さが少なくとも約5塩基である、請求項42記載のキット。 44.(a)配列番号:33; (b)配列番号:34; (c)配列番号:35;および (d) (a)、(b)、または(c)の断片 からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する単離されたDNA分子であっ て、プロモーター活性を有するDNA分子。 45.xが5までの値である配列TGAACT(N)xTGAACTを含む、請求項44記載のDNA分子 。 46.xが5である請求項45記載のDNA分子。 47.配列TGAACT(N)xTGAACTの下流に配列TCTGASSAAGKTAACをさらに含む、請求項4 5記載のDNA分子。 48.配列TGAACT(N)xTGAACTと配列TCTGASSAAGKTAACとの間に配列AATTをさらに含 む、請求項47記載のDNA分子。 49.配列TGAACT(N)xTGAACTと配列TCTGASSAAGKTAACとの間に6個までのヌクレオ チドが存在する、請求項48記載のDNA分子。 50.配列TGAACT(N)xTGAACTの上流に配列CAATTAAAGAをさらに含む、請求項45記載 の DNA分子。 51.配列CAATTAAAGATGAACTTTGGGTGAACTAATTを含む、請求項44記載のDNA分子。 52.配列TATAAを含む請求項44、45、46、47、48、49、50、または51記載のDNA分 子。 53.配列TGAACT(N)xTGAACTの下流に配列TATAAを含む、請求項45、46、または50 記載のDNA分子。 54.配列TCTGASSAAGKTAACの下流に配列TATAAを含む、請求項47または48記載のDN A分子。 55.配列TGAACT(N)xTGAACTの下流に、そこから最大で約55ヌクレオチドの間隔を あけて位置する配列TATAAを含む、請求項45記載のDNA分子。 56.請求項44記載の単離DNA分子を含む組換えDNA。 57.1つ以上の構造遺伝子をさらに含む、請求項51記載の組換えDNA。 58.1つ以上の構造遺伝子がチトクロームP450蛋白質をコードする、請求項56記 載の組換えDNA。 59.請求項56記載の組換えDNAを含む発現プラスミド。 60.請求項57記載の組換えDNAを含む単離された細胞。 61.真核細胞である、請求項56記載の単離された細胞。 62.請求項60記載の細胞を培養し、産生された蛋白質を回収する段階を含む、組 換え蛋白質を製造するための方法。 63.蛋白質がチトクロームP450を含む、請求項62記載の方法。 64.蛋白質が融合蛋白質を含む、請求項62記載の方法。 65.レチノイン酸誘導可能蛋白質の活性に及ぼす作用について薬物をスクリーニ ングする方法であって、該薬物に精製された該蛋白質を暴露し、該活性に及ぼす 作用を測定する段階を含む、方法。 66.活性が、レチノイン酸、特に全トランス型レチノイン酸のヒドロキシル化で ある、請求項65記載の方法。 67.請求項1記載の蛋白質の活性に及ぼす作用について薬物をスクリーニングす る方法であって、該薬物に精製された該蛋白質を暴露し、該活性に及ぼす作用を 測定する段階を含む、方法。 68.レチノイン酸の酸化に対する薬物の作用を確認する段階を含む、請求項67記 載の方法。 69.レチノイドが全トランス型レチノイン酸である、請求項68記載の方法。 70.レチノイドによって誘導可能である遺伝子の発現に及ぼす作用について薬物 をスクリーニングする方法であって、該薬物に請求項60記載の組換えDNAを暴露 し、遺伝子発現に及ぼす作用を測定する段階を含む、方法。 71.レチノイドの存在下で組換えDNAを暴露する段階を含む、請求項70記載の方 法。 72.構造遺伝子がレチノイン酸を代謝しないリポーター遺伝子である、請求項70 記載の方法。 73.遺伝子発現に及ぼす作用を測定する段階に、遺伝子の転写に及ぼす作用を確 認する段階が含まれる、請求項70記載の方法。 74.請求項1記載の、発現系に組み込まれるヌクレオチド配列によってコードさ れるチトクロームP450の本来のプロモーター活性を有するヌクレオチド配列の調 節下となるように、該チトクロームP450によるレチノイドの代謝に及ぼす作用に ついて薬物をスクリーニングする方法であって、レチノイドの代謝に及ぼす薬物 の作用を測定するためにレチノイドの存在下で薬物に該系を暴露する段階を含む 、方法。 75.レチノイドがレチノイン酸である、請求項74記載の方法。 76.レチノイン酸が全トランス型レチノイン酸である、請求項74または75記載の 方法。 77.請求項65、66、67、68または69記載の方法により、蛋白質の活性を調節する 作用を有すると同定された薬物。 78.請求項70、71、72、73、74または75記載の方法により、遺伝子発現を調節す る作用を有すると同定された薬物。 79.請求項76記載の方法により、遺伝子発現を調節する作用を有すると同定され た薬物。 80.請求項77記載の薬物の有効量を生物に投与する段階を含む、レチノイン酸代 謝の阻害を必要とする生物において該代謝を阻害する方法。 81.請求項78記載の薬物の有効量を生物に投与する段階を含む、レチノイン酸代 謝の阻害を必要とする生物において該代謝を阻害する方法。 82.請求項79記載の薬物の有効量を生物に投与する段階を含む、レチノイン酸代 謝の阻害を必要とする生物において該代謝を阻害する方法。
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