JP2000512493A - ピラジンアミド―耐性ミコバクテリアの同定およびミコバクテリア感染の治療方法 - Google Patents

ピラジンアミド―耐性ミコバクテリアの同定およびミコバクテリア感染の治療方法

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Abstract

(57)【要約】 ピラジンアミド耐性ミコバクテリアの同定のための方法、プローブ、プライマーおよびキットを開示する。これらの方法を用いてエム・ボビスとエム・ツベルクローシスとを識別し、さらなるビラジンアミド耐性ミコバクテリアを同定することができる。哺乳動物に感染しているミコバクテリア中においてpncA遺伝子を発現させ、ついで、ピラジンアミドを用いて哺乳動物を治療することによりミコバクテリア感染を治療する方法も開示する。本発明は、ピラジンアミド耐性の分子的根拠がミコバクテリアのpncA遺伝子の変化であることを見いだしたことによる。かかる変化の検出はPZA耐性ミコバクテリアのインジケーターである。

Description

【発明の詳細な説明】 ピラジンアミド−耐性ミコバクテリアの同定およびミコバクテリア感染の治療方 法発明の分野 本発明は、エム・ボビス(M.bovis)を包含するピラジンアミド耐性ミコバク テリア(Mycobactera)の同定、およびピラジンアミド耐性ミコバクテリア感染 の治療のための方法および核酸に関する。発明の背景 ヒトおよび他の哺乳動物における結核は、エム・ツベルクローシス(M.tuberc ulosis)、エム・ボビス(M.bovis)、エム・アフリカヌム(M.africanum)、 およびエム・ミクロチ(M.microti)を包含するエム・ツベルクローシス・コン プレックス(M.tuberculosis complex)のメンバーにより引き起こされる。エ ム・ボビスおよびエム・ツベルクローシスは非常に近縁であり、99%以上の配 列同一性を有する。エム・ボビスはウシにおける結核の主な病原体であるが、ヒ トに伝染可能であり、それはヒトにおいて結核を引き起こす可能性がある。 結核を治療するための慣用的方法は、ピラジンアミド、イソニアジド(INH )、リファンピシン、ストレプトマイシン、およびエタンブトールのごとき薬剤 の投与を包含する。ピラジンアミド(PZA)は、他の抗結核剤による作用を受 けないある種の半休眠細菌を殺すので、特に有用である(McCune et al.,1956 ,J.Exp.Med.104:763-802;Heifets et al.,1992,Am.Rev.Respir.Dis.1 45:1223-1225)。よって、INHおよびリファンピシンにPZAを含ませること は、典型的な治療期間を12〜18カ月から6カ月に、かなり短縮し、当該3種 の薬剤は一緒になって標準的な化学療法の期間短縮の基礎となる(McCune et al .,J.Exp.Med.104,763-802(1956);Mitchison,D. S.,Tubercle 66,219-225(1985))。薬剤耐性ミコバクテリアは、結核の抑制に とりかなりの脅威である。実際、エム・ツベルクローシスの多剤耐性(MDR) 株は、HIV陽性およびHIV陰性個体においていくつかの致命的な発症を引き 起こしている(Centers for Disease Control,Florida and New York,1988-19 91,Mortal,Morbid,Weekly Rep.40,585-591(1991);Bloom,et al.,Science 257,1055-1064(1992))。エム・ボビス株は本来的にPZA耐性であり、エム ・ツベルクローシスのいくつかの株は獲得性のPZA耐性を有することが知られ ている。獲得性のPZA耐性株の例は、PZA−R(ATCC35828)およ び臨床単離体M36470、M3S169、F36946,およびVertulloを包 含する。PZAは通常に使用される抗結核剤であるので、PZA耐性株の存在は 結核感染の撲滅を困難なものにしている。よって、感染しているミコバクテリウ ム(Micobacterium)がエム・ボビスであるのかエム・ツベルクローシスのPZ A感受性変種であるのかを決定してPZAによる治療が可能かどうかを知ること が重要である。しかし、下記の研究以前には、ピラジンアミド(PZA)耐性の 分子的根拠は未知であった。エム・ボビスのごときPZA耐性ミコバクテリアを 同定するための伝統的方法は、典型的には、時間のかかる生化学的アッセイを包 含し、それは2〜8週間を要する。 発明の概要 本発明は、エム・ボビスのごときミコバクテリアにおけるPZA耐性に関する 分子的根拠の発見に基づく。PZA耐性は、本来的にPZA耐性のミコバクテリ アおよびミコバクテリアの獲得性PZA耐性株の両方のpncA遺伝子における 変化により付与される。PZA耐性ミコバクテリアの変化したpncA遺伝子は 機能的ピラジンアミダーゼポリペプチドをコードしない。 したがって、本発明は、pncA遺伝子における変化によりPZA耐性である ミコバクテリアの同定に有用な方法、プライマー、プローブ、およびキットを提 供する。PZA耐性を付与する変化したPZアーゼ(PZase)ポリペプチド および野生型エム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードする核 酸も本発明に包含される。PZA耐性を付与する、実質的に精製された野生型エ ム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドおよび実質的に精製された変化 したPZaseポリペプチド、ならびにかかるポリペプチドに特異的に結合する 抗体も、本発明に包含される。PZA耐性ミコバクテリアの同定は、結核患者の 治療を方向づけるために臨床的に有用である。さらに、PZA耐性細菌を同定す るための慣用的な生化学的方法は最初に誤った結果を生じる可能性がある。比較 的高い精度を有する分子的方法を提供することによって、本発明は、PZA耐性 細菌の迅速な検出、ならびに試験ミコバクテリアについての正確な同定を必要と する新たな抗結核剤(例えば、PZA誘導体)の設計促進を容易ならしめる。 エム・ボビスが変化したpncA遺伝子を本来的に有するという発見から、本 発明は、エム・ボビスとエム・ツベルクローシスとを識別するための方法、プラ イマー、プローブ、実質的に精製されたポリペプチド、および単離された抗体を 提供する。これらの方法、核酸、ポリペプチド、および抗体は、結核発病地域に おけるウシ結核のヒトへの蔓延を監視するための伝染病理学的な道具として特に 有用である。市販目的には、本発明プライマーおよびプローブをキット中にパッ ケージすることができる。 また本発明は、PZA耐性ミコバクテリアに感染した哺乳動物の治療方法も提 供する。該方法は、(i)機能的pncA遺伝子をミコバクテリア中に導入し、 ついで(ii)PZAを哺乳動物に投与し、そのことによりミコバクテリアを殺 すことを含む。 図面の簡単な説明 図1は、エム・ツベルクローシスの野生型pncA遺伝子のDNAおよびアミ ノ酸配列を挙げたものである。後で説明する変化したpncA遺伝子において変 化しているヌクレオチドを太字で示し、かつ下線を付してある。エム・ツベルク ローシスのpncA遺伝子の完全配列は、部分pncAを含有する500bpの PCR生成物の配列から設計されたプライマーを用いて、3.2kbのDNAフ ラグメント(Erdman株)から得たものである。 図2は、pncA遺伝子および特定のプライマーペアー(P1〜P8)により 増幅される該遺伝子の部分を図式的に示す。 図3AはpncAを含んでいる3.2kbのEcoRI−PstIフラグメン トの制限地図である。3.2kbフラグメントは、500bpのpncA含有P CR生成物をプローブとして用いて単離されたコスミドDNAに由来するもので あった。太い矢印はpncA遺伝子の転写方向を示す。制限エンドヌクレアーゼ 認識部位には略号を付した:EはEcoRI;KはKpnI;PはPstI;S はSmaI;XはXmnI。 図3Bは、エム・ツベルクローシスのPZaseをコードする遺伝子とイー・ コリ(E.coli)のニコチンアミダーゼをコードする遺伝子との間の限られた相 同性を示す一対のヌクレオチド配列である。 図4は、PCR−SSCPにより分析した場合、エム・ボビスに対応するDN Aの移動度がエム・ツベルクローシスに対応するDNAの移動度と異なることを 示す一対の写真である。エム・ボビス:レーン1〜5、8〜15、20〜23、 24〜31、36〜39、および42。エム・ツベルクローシス:レーン6〜7 、16〜19、32〜35、40〜41、および43〜45。 図5は、PCR−SSCPにより分析した場合、PZA耐性エム・ツベルクロ ーシスに対応するDNAの移動度が野生型(PZA感受性)エム・ツベルクロー シスに対応するDNAの移動度とは異なることを示す写真のセットである。レー ン1〜6において電気泳動されたDNAを増幅するために、プライマーP3(配 列番号:7)およびP4(配列番号:8)を用いた。レーン7〜9において電気 泳動されたDNAを増幅するために、プライマーP5(配列番号:9)およびP 6(配列番号:10)を用いた。プライマーP7(配列番号:11)およびP8 (配列番号:12)を用いて、レーン10〜14において電気泳動されたDNA を増幅した。PZA耐性エム・ツベルクローシス株から増幅されたDNAをレー ン1〜4、5、8、9、および12において電気泳動してある。対照として、野 生型(PZA感受性)エム・ツベルクローシス株から増幅されたDNAをレーン 5、7、10、11、13、および14において電気泳動してある。ミコ バクテリア株は:レーン1はエム・ボビス(ATCC 19210);レーン2 はBCG Tokyo(P.Converse,Johns Hopkins Universityにより提供された);レ ーン3〜6はブラジルのPZA耐性エム・ツベルクローシス臨床単離体(S.Mor ris;FDAにより提供された);レーン7はPZA感受性エム・ツベルクローシス 株12646;レーン8はタイプ株H37Rv(ATCC 35828)から誘 動されたPZA耐性エム・ツベルクローシス株;レーン9はBCG Tice(P.Conve rseにより提供された);レーン10、11、13、および14はPZA感受性 エム・ツベルクローシスErdman株(H37728、12646、およびM400 23);レーン12はPZA耐性エム・ツベルクローシス株M3169である。 発明の詳細な説明 エム・ボビスとエム・ツベルクローシスとの区別:1の態様において、本発明 は、試料中のエム・ツベルクローシスとエム・ボビスとの区別方法を提供する。 該方法は、試料のミコバクテリアにおける変化したpncA遺伝子を検出するこ とを含み、変化したpncA遺伝子によりコードされるPZaseポリペプチド のアミノ酸位置57において、ヒスチジン残基ではなくアスパラギン酸残基がコ ードされている。現在まで試験したエム・ボビスのすべの株はこの変化を有して いるが、この変化はエム・ツベルクローシスのいずれの株にも見いだされていな い。よって、この位置のアスパラギン酸残基はエム・ツベルクローシスではなく てエム・ボビスを示すものである。位置57のアスパラギン酸残基は、変化した pncA遺伝子のヌクレオチド169におけるCからGへの変化によりコードさ れうる。ヌクレオチド配列中の他の変化も、位置57のアスパラギン酸残基を生 じる可能性がある。例えば、遺伝コードの縮重のため、ヌクレオチド171にお けるCからUへの変化と一緒になったヌクレオチド169におけるCからGへの 変化はアミノ酸位置57のアスパラギン酸残基をコードするであろう。 本明細書の用語「変化した」は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列が、エム・ ツベルクローシスの野生型pncA遺伝子(またはその縮重変種)またはエム・ ツベルクローシスの野生型PZaseポリペプチドとは異なるpncA核酸(例 えば、遺伝子)またはPZaseポリペプチドをいう。よって、エム・ボビスの pncA遺伝子はたとえ本来的にPZA耐性を付与するものであっても、「変化 した」pncA遺伝子と見なせる。「野生型」エム・ツベルクローシスpncA 遺伝子および野生型PZaseポリペプチドを図1に挙げる(配列番号:1およ び配列番号:2)。pncA遺伝子の「縮重変種」の核酸配列は記載された野生 型pncA配列とは異なるが、それにもかかわらず、縮重変種は野生型PZas eポリペプチドをコードする。なぜなら、20種の天然アミノ酸の大部分はそれ ぞれ、1個またはそれ以上のコドンにより特定されるからである。よって、ヌク レオチド配列の「縮重変種」は当該ヌクレオチド配列と同じアミノ酸配列をコー ドするが、ヌクレオチド配列中の少なくとも1個のコドンが異なっているもので ある。なぜなら、2個または3個の異なるコドンは同じアミノ酸をコードしうる からである。ヌクレオチド配列によりコードされるpncAポリペプチドのアミ ノ酸配列が機能的に変化しないかぎり、すべての縮重ヌクレオチド配列が本発明 に包含される。さらに、本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列の生物学的活性 を有し、PZaseポリペプチドと免疫反応する抗体に対する少なくとも1つの エピトープを有するポリペプチドをコードする単離核酸を包含する。 エム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードする単離核酸は本 発明に包含され、本明細書記載のプライマーおよびプローブの製造に有用である 。本明細書の用語「単離」は、本来的に共存している他の核酸、蛋白、脂質、炭 水化物、または他の物質を実質的に含まないポリヌクレオチドまたはポリペプチ ドを包含する。エム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードして いる本発明単離核酸は、PZaseポリペプチドの「保存的変化」をコードして いる核酸を包含する。本明細書の用語「保存的変化」は、生物学的に類似の別の 残基によるアミノ酸残基の置換をいう。保存的変化の例は、イソロイシン、バリ ン、ロイシンまたはメチオニンのごとき1の疎水性残基の別の疎水性残基との置 換、あるいは1の極性残基の別の極性残基での置換、例えばアルギニンのリジン での置換、グルタミン酸のアスパラギン酸での置換、またはグルタミンのアスパ ラギ ンでの置換等を包含する。用語「保存的変化」は、未置換のもとのアミノ酸のか わりに置換アミノ酸を用いることも包含するが、置換ポリペプチドに対して生成 した抗体が未置換ポリペプチドとも免疫反応することが条件である。PZase ポリペプチドが全長のPZaseポリペプチドの生物学的活性(PZAからピラ ジン酸への変換のごとき(Konno et al.,Am.Rev.Respir.Dis.95,461-469( 1967)))を保持するかぎり、PZaseポリペプチドの部分またはフラグメン トをコードする単離核酸も本発明に包含される。かかる核酸は、天然、合成、お よび意図的に処理されたポリヌクレオチドを包含する。例えば、RNA転写のた めの別のプロモーターによってmRNA配列の一部が変化していてもよい。もう 1つの例としては、pncA核酸を部位特異的突然変異法に供してもよい。 pncAのアンチセンス配列も包含される。 点突然変異を検出するための当該分野で知られた種々の方法のいずれを用いて も、変化したエム・ボビスのpncA遺伝子を検出することができる。エム・ボ ビス配列における変化が同定され、理解されたので、分子生物学の当業者は、点 突然変異を検出するためのいずれの慣用的方法を用いても容易にエム・ボビスを 同定することができる。本明細書の用語「検出」は、試料中の特定の遺伝子また はポリペプチドのを検出するためのいずれの手段も包含する。例えば、ポリメラ ーゼ連鎖反応1本鎖コンホーメーション多型性(PCR−SSCP(Orita et a l.,1989,Genomics 5:874-879))、1本鎖コンホーメーション多型性(SSC P(Orita et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.86:2766-2770))、DNA 配列決定、DNAハイブリダイゼーション(例えば、サザンブロッテイング、ド ット/スロットブロッティング、コロニーハイブリダイゼーション)、変性グラ ジエントゲル電気泳動(Myers et al.,1985,Nature,313:495-498)、リガー ゼにより媒介される遺伝子検出(Landegren et al.,1988,Science 241:1077-1 080)、およびRNA/DNA2本鎖のRNase消化(Winter et al.,1985, Proc.Natl.Acad.Sci.82:7575-7579)のごとき方法(これらの方法に限らな い)により、変化したpncA遺伝子を検出することができる。 出願人は、エム・ボビスにおけるPZA耐性がpncA遺伝子および PZaseの変化により付与されることを示したので、イムノアッセイを用いて エム・ボビスとエム・ツベルクローシスとを識別できることが初めて認識される 。それゆえ、本発明は、エム・ボビスのPZaseポリペプチドに優先的に結合 する単離ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を包含する。「単離抗体」は 、それらが生成した動物(例えば、ウサギまたはマウス)から分離された抗体、 あるいはインビトロで製造された抗体である。適当なイムノアッセイは、ウェス タンブロット分析、スロットまたはドットブロットアッセイ、ELISA、免疫 沈降アッセイ等を包含する。 「抗体」は、抗原に結合しうる免疫グロブリン蛋白を意味する。用語「抗体」 は、目的エピトープまたは抗原に結合しうる抗体フラグメント(例えば、F(A b’)2、FAb’、FAb)を包含するものとする。用語「優先的に結合」は、 特異的抗原またはエピトープに対する抗体の高い要求性および/または結合親和 性を意味する。この表面抗原上のエピトープへの抗体の結合は、他の抗原または エピトープへの同じ抗体の結合よりも強力である。詳細には、エム・ボビスのP Zaseに優先的に結合する抗体は、エム・ツベルクローシスのPZaseに結 合するよりも強力にエム・ボビスのPZaseに結合する。さらに、抗原または エピトープに優先的に結合する抗体は、目的抗原が存在するのと同じ試料中に存 在しうる他の分子に結合するよりも強力に当該抗原またはエピトープに結合する 。目的ポリペプチドに優先的に結合する抗体は、弱いが検出可能なレベル(目的 抗原に対して示される結合の10%またはそれ以下)で他のポリペプチドに結合 できるかもしれない。例えば適当な対照を用いることにより、かかる弱い結合、 またはバックグラウンド結合は、目的ポリペプチドに対する特異的抗体結合から 容易に識別される。 実質的に純粋なエム・ボビスのPZaseポリペプチド、またはその保存的変 種も本発明に包含される。かかるポリペプチドを用いて、イムノアッセイにおい て有用な上記抗体を製造することができる。用語「実質的に純粋なポリペプチド 」は、PZaseが本来的に共存している蛋白および他の天然有機分子を実質的 に含まないPZase標品を意味する。典型的には、このことは、望ましい PZaseポリペプチドが標品の乾燥重量の少なくとも60%を占めることを意 味する。好ましくは、標品は少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも 90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%のPZaseポリペプチドを 含有する。例えば、天然源(例えば、エム・ボビス)から抽出することにより; PZaseポリペプチドをコードする組み換え核酸の発現により;あるいは化学 合成により、実質的に純粋なPZaseポリペプチドを得てもよい。適当な方法 、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、また はHPLCにより純度を測定し、そして/または得ることができる。 蛋白は、その本来的な状態において共存している汚染混入物質から分離された 場合、本来的に共存している成分を実質的に含まない。よって、化学合成された 、あるいは蛋白が本来的に生じる源とは異なる源から得られた蛋白は、その本来 的に共存している成分を実質的に含まない。したがって、実質的に純粋なPZa seは、例えば哺乳動物細胞系において、イー・コリまたは別の単細胞微生物に おいて、あるいは昆虫細胞においてインビトロで合成された組み換えPZase を包含する。 PCR−1本鎖コンホーメーション多型性(PCR−SSCP):pncA遺 伝子中の変化を検出するための好ましい方法は「PCR−SSCP」である。こ の方法において、遺伝子中の変化に近接したプライマーを用いてpncA遺伝子 の一部分をPCR増幅する。ついで、増幅されたDNAを、非変性条件下のゲル 電気泳動により分析する。ゲル中の野生型DNAの移動度に対する変化したDN Aの移動度の変化として、増幅されたDNA中の変化を検出することができる。 用語「増幅」は、例えばDNA合成による核酸の再生産を意味する。例えば、増 幅されたDNA分子は、特定DNA分子の全コピー数が増加するように再生産さ れたDNA分子である。典型的には、増幅は、核酸ポリメラーゼ(例えば、DN AポリメラーゼまたはTaqポリメラーゼ)をポリマー化されていないヌクレオ チド(例えば、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、および適当 なバッファー、ならびに増幅すべきDNAの1本鎖核酸鋳型とともにインキュベ ーションすることにより行われる。簡便のため、かかる増幅を、「ポリメラ ーゼ連鎖反応」(PCR)により行うことができ、PCRにおいて、耐熱性ポリ メラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)、複数の適当な核酸プライマーおよび ポリマー化していないヌクレオチドの存在下で核酸が合成される(Sambrookらの 上記文献参照)。典型的なPCR反応において、(1)DNAを加熱して2本鎖 DNA分子の鎖を分離し、1本鎖核酸鋳型を得て、(2)反応温度を低下させ、 核酸プライマーを1本鎖核酸鋳型にアニールさせ、(3)DNA合成を確実にし て、2本鎖分子が各オリジナル1本鎖鋳型から生じるようにし、ついで、工程( 1〜3)を多くの回数繰り返す(典型的には35サイクル)。変化したpncA 遺伝子が同定され、PZA耐性のインジケーターとして理解されたならば、分子 生物学の当業者は、容易にDNA増幅法を用い、過度の実験をすることなくpn cA遺伝子を増幅することができる。 典型的には、約200bpの長さの遺伝子部分(例えば、100〜500bp 、好ましくは150〜200bpの部分)を増幅できるようにPCR−SSCP 用プライマーを消化する。好ましくは、変化したヌクレオチドは増幅された配列 中のほぼ中央に存在する。増幅されるpncA遺伝子の正確な部分は、この方法 を成功させるには重要でない。ただし、増幅される部分が、PZA耐性を付与す るゲノム核酸中の変化を含むことが条件である(例えば、エム・ボビスの場合、 増幅される部分はPZaseポリペプチドのアミノ酸57のコーディング配列を 含むべきである)。エム・ボビスを同定するためのpncA遺伝子の適当な部分 を増幅するために使用できるプライマーのペアーの例は: である。 これらの配列に対して「実質的に相捕的な」配列は、同定すべきミコバクテリ ウムの核酸の適当な部分の増幅にも有用である。このことは、プライマーは、ポ リマー化を可能にする条件下でそれぞれの鎖にハイブリダイゼーションするに十 分相捕的でなくてはならないことを意味する。換言すれば、プライマーは、PZ A耐性を付与する変化を含むミコバクテリア核酸の部分に近接した5’およ び3’配列に対して十分な相補性を有すべきである。プライマーがハイブリダイ ゼーションするミコバクテリア配列は、5’および3’ポリヌクレオチド配列に 近接する「標的」と考えられる。なぜなら、ミコバクテリア配列は、増幅される 配列に近接しているからである。標的ポリヌクレオチドの「実質的配列」を有す るプライマーは標的ポリヌクレオチドとは配列が異なるが、プライマーのハイブ リダイゼーションを可能にする。 慣用的なPCR−SSCPプロトコール(Oritaらの上記文献参照)に従って 、変化したpncA遺伝子のPCR増幅を行うことができる。簡便のため、標識 ヌクレオチド(例えば、Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Pre ss,2nd Edition,(1988))を、PCRにより増幅されるDNA中に取り込むこ とができる。標識ヌクレオチドの取り込みは、増幅されたDNAをゲル中で直接 検出することを可能にし、ゲルから膜上へのDNAの移行の必要性をなくす。D NAが増幅されたならば、それを変性させる。典型的には、変性は、ホルムアミ ドの存在下(95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.05%ブロモフェノ ールブルー、および0.05%キシレンシアノール)においてDNAを80〜1 00℃に5〜10分間加熱することを伴う。ついで、加熱され、増幅されたDN Aを、DNAの再生を防止するために氷上で5〜10分インキュベーションする ことにより即座に冷却する。 PCR−SSCPにおいて、変性され、増幅されたDNAを、非変性条件下で ゲル電気泳動する。約200bpの増幅されたDNAフラグメントの場合、適当 なゲルの例は、20%ポリアクリルアミド/5%グリセロールゲル(16x20 cm)であり、4℃で前冷却し、0.5 X TBEバッファー中4℃で5Wの電 力で電気泳動する。ついで、慣用的方法(例えば、臭化エチジウム染色、DNA ハイブリダイゼーション、または標識DNAのゲル中検出)により、電気泳動さ れたDNAを検出することができる。典型的には、ゲルは、対照としてエム・ツ ベルクローシスおよび/またはエム・ボビスの既知ストックから増幅されたDN Aを含むであろう。この方法の詳細な実施例を後で示す。 本発明は、ミコバクテリアを含有する、あるいは含有すると考えられる種々の 試料中のエム・ボビスおよびエム・ツベルクローシス間の識別に適する。例えば 、ミコバクテリアは、哺乳動物(例えば、ヒトまたはウシ)の生物学的液体また は組織中に含まれている可能性がある。あるいは、ミコバクテリアのインビトロ 培養物(例えば、ミコバクテリアに感染した哺乳動物細胞の組織培養物)は試料 として役立つ可能性がある。PCRを用いて変化したpncA遺伝子の一部分を 増幅することができるので、理論的には試料はわずか1個のミコバクテリウムを 含むものであってもよい。所望ならば、哺乳動物から得られたミコバクテリアを 、変化したpncA遺伝子に関してミコバクテリアをアッセイする前に慣用的方 法に従ってインビトロ培養することができる。同様に、所望ならば、目的のミコ バクテリア試料からのpcnA遺伝子を、遺伝子における変化についてアッセイ する前に遺伝学的ベクター中にクローン化することもできる。さらに、エム・ボ ビスを同定するための慣用的方法を、エム・ボビスとエム・ツベルクローシスと を識別する本発明方法と組み合わせて用いることもできる。 エム・ボビスを同定するためのハイブリダイゼーション法の使用:エム・ボビ スとエム・ツベルクローシスとを識別するためのPCR−SSCPに対する別法 として、伝統的な核酸ハイブリダイゼーション法を用いてエム・ボビスを同定す ることができる。よって、核酸ハイブリダイゼーション法に使用する核酸プロー ブは本発明に包含される。かかる「プローブ」は、相捕的なヌクレオチド配列( すなわち、野生型または変化したpncA遺伝子の一部分とワトソン−クリック 塩基対を形成しうるヌクレオチド配列)を含む核酸分子(DNAまたはRNA) であり、該一部分はPZaseポリペプチドのアミノ酸位置57におけるアスパ ラギン酸残基をコードしているヌクレオチド配列を含む。上記プローブに対して 実質的に相捕的な核酸部分もまたプローブとして有用であり、よって、本発明に 包含される。好ましい具体例において、本発明は、ヌクレオチド169において CではなくGを含むエム・ボビスのpncA遺伝子の一部分に相捕的なプローブ を包含する。もう1つの好ましい具体例において、プローブは、ヌクレオチド1 69においでCを含むエム・ツベルクローシスのpncA遺伝子の一部分に相捕 的である。換言すれば、野生型または変化したpncA遺伝子のいずれ かに相捕的なプローブは有用であり、当業者は、いずれのタイプのプローブによ り得られる結果も理解するであろう。 典型的に厳密な(stringent)ハイブリダイゼーション条件下において、野生 型pncA遺伝子に相捕的なプローブはエム・ツベルクローシスのpncA遺伝 子にハイブリダイゼーションする(すなわち、ワトソン−クリック塩基対を形成 する)であろうが、エム・ボビスのpncA遺伝子にはハイブリダイゼーション しないであろう。よって、かかるプローブが試料中のDNAにハイブリダイゼー ションできないことは、試料がエム・ボビスを含むことを示す。逆に、エム・ボ ビスのpncA遺伝子における変化に対して相捕的な配列を含むプローブは、野 生型エム・ツベルクローシス遺伝子よりも変化したエム・ボビス遺伝子に優先的 にハイブリダイゼーションするであろう。当業者は、いかにしてかかるアッセイ のための適当な対照(例えば、既知ミコバクテリウム由来の核酸試料を包含し、 エム・ツベルクローシスおよびエム・ボビスに共通したpncA遺伝子の領域に ハイブリダイゼーションするプローブを包含する)を設計するのかを知っている であろう。典型的なブローブは、8ないし20個のリボヌクレオチドまたはデオ キシリボヌクレオチドの鎖からなり、8ないし20個のデオキシリボヌクレオチ ドの鎖であるpncA遺伝子の一部分に相捕的である。プローブ長に伴う変化の 位置は重要でない。所望ならば、プローブを検出可能なように標識することがで きる。当業者は、核酸プローブを修飾するための種々の方法を知っているであろ うし、確認することができる。 PZA耐性ミコバクテリアの同定:本発明は、一般的にPZA耐性ミコバクテ リアを同定する方法も提供する。上記のように、ミコバクテリアのPZA耐性株 は治療が困難で、結核を蔓延させる。PZA耐性についての分子的根拠が下記実 験により明かになったので、分子に基づくアッセイを用いてPZA耐性ミコバク テリアを同定することができる。本来的にPZA耐性であるミコバクテリア、な らびにPZA耐性を獲得したミコバクテリアが包含される。 理論的には、本発明のこの態様は、エム・ボビスとエム・ツベルクローシスと を識別するための上記方法のバリエーションである。PZA耐性株はpncA遺 伝子における変化のために機能的なPZaseポリペプチドをコードしていない ということを示した出願人によって、ミコバクテリアのPZA耐性株に関する科 学的根拠が初めて見いだされた。よって、エム・ボビスに関して上で述べたよう に、本発明のこの態様は、ミコバクテリウムにおける「変化した」pncA遺伝 子をPZA耐性のインジケーターとして検出することを含む。 後で実施例において詳細に説明するように、PZA耐性を付与するいくつかの pncA遺伝子の変化が今回同定された。これらの変化を表1にまとめる。 表1 PZA耐性エム・ツベルクローシスのpncA遺伝子における変異 aMcDermott and Tomsett,1954,Am.Rev.Tuberc.70:748-754の方法に準じて 決定。b MIC:最小抑制濃度。c MDR:INHおよびリファンピシリンに対する多剤耐性。d 本明細書におけるアミノ酸位置は全長の野生型エム・ツベルクローシスのPZ aseポリペプチドに関して番号付けされる。これらのアミノ酸の位置は変化し たPZaseにおいては異なるかもしれない。 PZA−RおよびVertulloの各株においては、ヌクレオチドの欠失により、当 該遺伝子に対してコードされるmRNAの翻訳読み枠において「−1フレームシ フト」が生じる。換言すれば、位置288における−1フレームシフトのため、 PZA−R株のpncA遺伝子は、残基54〜56においてプロリン−グリシン −アスパラギン酸ではなくプロリン−バリン−スレオニンをコードする(等)。 同様に、位置162における−1フレームシフトのため、Vertullo株のpncA 遺伝子は、残基96〜98においてリジン−グリシン−アラニンではなくリジン −システイン−ロイシンをコードする(等)。 PZA耐性ミコバクテリアのpncA遺伝子における変化が同定され、PZA 耐性の原因であることが示されたので、エム・ボビスを同定するための上記方法 と類似の方法を用いることにより、ミコバクテリアのPZA耐性株を容易に同定 することができる。さらに、過度の実験をすることなく、当業者は、pncA遺 伝子におけるこれまで未同定であった特別の変化を有する新たなPZA耐性株を 容易に同定することができる。例えば、あるミコバクテリウムはPZA耐性であ るが、本明細書記載のPZA遺伝子における特定の変異の1つを含まないとわか つた場合、かかるミコバクテリウムはそのPZA遺伝子における新たな変化を含 むとするのが合理的である。例えば、核酸を配列決定し、決定された配列を野生 型pncAヌクレオチド配列と比較することにより、この変化を容易かつ特異的 に同定することができる。 エム・ボビスを同定する場合には、PCR−SSCPはPZA耐性ミコバクテ リア同定のための好ましい方法である。なぜなら、この方法は迅速かつ再現性が あるからである。PCR−SSCPによるpncA遺伝子に置ける変化の検出に 特に有用な一連の重複プライマーは本発明に包含される。これらのプライマーは 、全pncA遺伝子の増幅を可能にする。よって、それらはpncA遺伝子中の いかなる変化の同定にも有用である。これらのプライマーは: これらに対して実質的に相捕的な配列を包含する。これらのプライマーとpnc A遺伝子との間の関係を図2において図式的に示す。それぞれのプライマーペア ーにより増幅されるpncA遺伝子の部分を示す。 pncA遺伝子における変化が同定され、ミコバクテリアにPZA耐性を付与 するものであると認識されたので、核酸ハイブリダイゼーション法を用いて PZA耐性ミコバクテリアを同定することもできる。したがって、本発明は、P ZA耐性ミコバクテリウムを同定するための核酸プローブ(DNAまたはRNA )を包含する。該プローブ(典型的には、8〜20ヌクレオチド)は、PZA耐 性ミコバクテリウムの変化したpncA遺伝子の一部分(典型的には、8〜20 ヌクレオチド)に対して相捕的な核酸を含に、当該一部分はPZA耐性を付与す るものである。(i)アミノ酸位置96における−1フレームシフトを生じる; (ii)アミノ酸位置126における−1フレームシフトを生じる;(iii) アミノ酸位置63におけるヒスチジン残基をコードする;(iv)アミノ酸位置 138におけるセリン残基をコードする;および(v)アミノ酸位置141にお けるプロリン残基をコードするpnaC遺伝子の一部分に対して相捕的な核酸プ ローブが包含される。特定の例は、(i)ヌクレオチド288の欠失;(ii) ヌクレオチド162の欠失;(iii)ヌクレオチド187におけるGからCへ の変化;(iv)ヌクレオチド412におけるTからAへの変化;および(v) ヌクレオチド422におけるAからCへの変化を含む変化したpncA遺伝子の 一部分に対して相捕的なプローブを包含する。これらのプローブは、ハイブリダ イゼーション法に使用される場合、変化したpncA遺伝子に優先的にハイブリ ダイゼーションするであろう。よって、これらのプローブを用い、厳密なハイブ リダイゼーション条件下でミコバクテリアの核酸(すなわち、DNAまたはRN A)にプローブをハイブリダイゼーションさせることにより、PZA感受性ミコ バクテリアとPZA耐性ミコバクテリアとを識別することができる。野生型pn cA配列に相捕的なプローブが、配列が変化した場合にPZA耐性を付与する配 列を含むように設訃されている場合には、それらを用いてPZA変異株を検出す ることもできる。 上記エム・ツベルクローシスのPZA−RおよびVertullo株のそれぞれにおけ る単一ヌクレオチドの欠失は、変化したpncA遺伝子によりコードされる変化 したPZaseポリペプチドの合成の間に−1フレームシフトを引き起こす。 PZA−R株のpncA遺伝子のヌクレオチド配列に基づけば、−1フレームシ フトは、全長の186アミノ酸ではなくて長さ126アミノ酸のPZaseポリ ペプチドを生じる。同様に、Vertulloの−1フレームシフトは末端切断された長 さ117アミノ酸のPZaseポリペプチドを生じる。また、ミコバクテリアの これらのPZA耐性株およびそれらの相同体は、末端切断されたPZaseポリ ペプチドでは失われでいる野生型のPZaseのカルボキシ末端部分に特異的に 結合する抗体、特にモノクローナル抗体を用いるイムノアッセイにおいても検出 されうる。よって、変化したPZaseポリペプチドが、ポリペプチドのアミノ 末端部分のエピトープに特異的に結合する抗体と結合するものであっても、変化 を有するPZA耐性ミコバクテリアの変化したPZaseポリペプチドはかかる 抗体に結合しない。 理論的には、イムノアッセイを容易に開発し、これを用いてミコバクテリアの PZA耐性株を同定することができる。なぜなら、単一アミノ酸の変化は、変化 したPZaseポリペプチドに特異的なエピトープを生じることもありうるから である。また、フレームシフトにより生じる末端切断された、あるいは延長され たPZaseポリペプチドは、野生型のエム・ツベルクローシスのPZaseポ リペプチドとは少なくとも部分的に有意に異なるアミノ酸配列を有する可能性が ある。そのような場合は、それぞれヌクレオチド162および288の欠失によ り生じる−1フレームシフトによる、エム・ツベルクローシスのVertulloおよび PZA−R株の場合である。よって、翻訳フレームシフトの結果変化したポリペ プチドの部分に優先的に結合する抗体を用いるイムノアッセイにおいて、これら のPZaseポリペプチドと野生型PZAとを識別することができる。 したがって、本発明は、PZA耐性ミコバクテリウムの同定のためのイムノア ッセイを行う際に有用な単離抗体を包含する。詳細には、本発明は、M3647 0、M3S169、F36946、VertulloおよびPZA−Rからなる群より選 択されるエム・ツベルクローシス株に対して相同的なエム・ツベルクローシス株 のPZaseポリペプチドのごとき、PZA耐性を付与する変化したPZase ポリペプチドに優先的に結合する単離ポリクローナルまたはモノクローナル抗体 を包含する。用語「相同的」は、列挙した株のPZaseポリペプチドと同一、 あるいはその保存的変種であるPZaseポリペプチドを有するミコ バクテリア株を包含する。かかる相同的なミコバクテリア株は、列挙した株とは 遺伝子座が異なる可能性がある。しかし、相同的な株は哺乳動物において呼吸器 の結核を引き起こす可能性があり、変化したpncA遺伝子によりPZA耐性と なっているものである。列挙した株、すなわち、M36470、M3S169、 F36946、VertulloおよびPZA−Rはそれら自体、用語「相同的」に包含 される。 また本発明は、PZA耐性を付与する実質的に純粋な変化したPZaseポリ ペプチド、またはその保存的変種を包含する。かかるポリペプチドの特別な例は 、エム・ツベルクローシスのM36470、M3S169、F36946、Vert ulloおよびPZA−R株ならびにそれらに対して相同的な株のPZaseポリペ プチドである。換言すれば、表1にまとめた変化を有するPZaseはすべてP ZA耐性を付与するものと考えられ、本発明に包含される。 もう1つの態様において、本発明は、PZA耐性ミコバクテリア(例えば、エ ム・ボビスまたはPZA耐性エム・ツベルクローシス)に感染した哺乳動物の治 療方法を提供する。よって、本発明のこの態様は結核の治療方法を提供する。該 方法は、機能的なPZaseポリペプチドをコードするpncA遺伝子を、哺乳 動物に感染しているPZA耐性ミコバクテリアの少なくとも一部(好ましくは少 なくとも10%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも 75%)の中に導入することを含む。PZaseポリペプチドは、それが全長の PZaseポリペプチドの生物学的活性、すなわち、PZAをピラジン酸に変換 する能力を保持している場合、「機能的」と考えられる。PZA耐性ミコバクテ リアにおけるpncA遺伝子の発現は、ミコバクテリアをPZA感受性にする。 ついで、哺乳動物に感染しているミコバクテリアの少なくとも一部を抑制しある いは殺す治療上有効量のPZAを哺乳動物に投与する。ミコバクテリアを「抑制 」する治療は、感染哺乳動物体内の細菌の成長または増殖を遅延または防止し、 そして/あるいは感染哺乳動物の細胞中へのミコバクテリア毒素の放出を減少ま たは防止する。一般的には、本明細書の用語「治療する」、「治療」等は、所望 の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。ミコバクテリア 感染または疾病(例えば、結核)またはその徴候もしくは症状を完全にまたは部 分的に防止することに関して予防的であってもよく、そして/あるいは感染もし くは疾病、および/または感染もしくは疾病によるとされる不利な効果を部分的 または完全に治癒することに関して治療的であってもよい。本明細書の用語「治 療」は、哺乳動物、特にヒトにおける感染もしくは疾病に対するすべての処置を 包含し、さらに: (a)疾病の素因を有していてもよいが、かつて疾病を有すると診断されたこ とのない対象における疾病の発生を防止すること; (b)感染または疾病を抑制すること、すなわち、その発生または進行を止め ること;あるいは (c)感染または疾病を緩和または改善すること、すなわち、感染または疾病 の逆行を引き起こすことを包含する。よって、本発明は、ミコバクテリア感染ま たは結核にかかっている患者を治療することに指向される。より詳細には、「治 療」は、ミコバクテリア感染または結核にかかっている患者に対する治療上検知 可能かつ有益な効果を提供することを意味する。 ミコバクテリウム中にpncA遺伝子を「導入」するとは、pncAc遺伝子 をミコバクテリウム中に挿入して、pncA遺伝子がミコバクテリウムの細胞機 構(例えば、ポリメラーゼおよびリボソーム)により利用可能となり発現される ようにすることを意味する。ミコバクテリオファージL5、L1またはD29の ごときミコバクテリオファージ(Hatfull and Jacobs,Mycobacterophages:Corn erstones of Mycobacterial Research.In Tuberclosis.(ed)B.R.Bloom,A SM Press,Washington,DC)中にpncA遺伝子を挿入するための標準的な組み 換えDNA技法により、pncA遺伝子をミコバクテリア中に導入することがで きる。ついで、治療上有効量のpncA遺伝子を感染哺乳動物に投与し、治療上 有効量のPZAを哺乳動物に投与する。用語「治療上有効」は、PZaseを生 成する十分なpncA遺伝子によりミコバクテリアをPZA感受性にすることを 意味する。生物1個体あたり1コピーのpncA遺伝子はその生物をPZA感受 性にするであろうと考えられる。種々の 手段を用いてPZAまたはpncA遺伝子を治療薬として哺乳動物に「投与」す ることができる。一般的には、医薬上許容される無毒の賦形剤または担体(例え ば、セイライン)と混合することにより、デリバリーすべき治療薬を医薬組成物 として処方することができる。本発明の実施に際して、治療薬を非経口投与用( 例えば、静脈注射用または動脈内注射用)に調製することができる。好ましくは 、医薬上許容される賦形剤中の液体またはエアロゾル処方(例えば、点鼻液また はスプレー)としで、pncA遺伝子を哺乳動物に鼻腔内または気管支内投与す る。好ましくは、PZAを経口投与、あるいは他の慣用的な方法により投与する 。治療すべき各哺乳動物(例えば、ヒトまたはウシ)について最適な治療規則を 決定するのであるが、典型的な規則は、pncA遺伝子を担持している106な いし108pfcのミコバクテリオファージを、3ないし12カ月(好ましくは 、6〜12カ月)にわたり、あるいはミコバクテリア感染または結核の徴候およ び症状が改善されるまで、1週間に1ないし7回投与することを包含する。典型 的には、最初の2カ月間はPZAを毎日投与する(所望ならばイソニアジドおよ びリファニシンとともに)が、別のPZA治療規則を用いることもできる(Mitc hison et al.,1985,Tubercle 66:219-225)。所望ならば、少なくとも1種の 他のミコバクテリア治療薬(例えば、イソニアジドおよび/またはリファンピシ リン)の投与のごとき慣用的方法とともにこの治療規則を用いることができる。 エム・ボビスとエム・ツベルクローシスとを識別するための、あるいはPZA 耐性ミコバクテリアを同定するためのキットは本発明に包含される。かかるキッ トは、上記プライマーおよびプローブのいくつかまたはすべてを入れた容器の入 ったパッケージである。また好ましくは、該キットは、野生型エム・ツベルクロ ーシスのpncA遺伝子および/または変化したpncA遺伝子(例えば、エム ・ボビスまたはVertulloのごとき獲得性のpZA耐性エム・ツベルクローシス株 由来のもの)の全体または一部分に対応する単離核酸を含有する。キットは、P ZA耐性ミコバクテリアの同定に有用な上記モノクローナルまたはポリクローナ ル抗体を含んでいでもよい。典型的には、キットに含まれる核酸、抗体、およ びポリペプチドは、キット中の容器上のラベルに表示された一定量として提供さ れる。さらに、典型的なキットは本発明方法の実施のための1セットの説明書を 含む。対照として有用な核酸、抗体、およびポリペプチドを本発明キットに含め ることもできる。 実施例の概要:以下にいくつかの実施例を記載する。これらの実施例は、(i )エム・ツベルクローシスのpncA遺伝子のクローニング、(ii)PZA耐 性を付与するpncA遺伝子における変化の同定、(iii)PZA耐性エム・ ツベルクローシスをPZA感受性にするためのpncA遺伝子の使用、(iv) エム・ボビスとエム・ツベルクローシスとを迅速に区別するためのPCR−SS CPの使用、および(v)PZA耐性エム・ツベルクローシス株を同定するため のPCR−SSCPの使用を説明する。さらに詳細に実施例を記載する前に、こ れらの実施例に使用した材料および方法を示す。 材料および方法 ミコバクテリア株およびDNA エム・ツベルクローシス、エム・ボビス、およびBCG株をADC(アルブミ ン−デキストロース−カタラーゼ)豊富化7H9液体培地中、37℃で2〜4週 間増殖させた。タイブ株H37Rvから誘動されたPZA耐性エム・ツベルクロ ーシス株(ATCC 35828)をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレク ション(American Type Culture Collection)から得た。PZA耐性臨床単離体 はL.Heifets(National Jewish Center for Immunology and Respiratory Dise ases,Denver,Colorado)、J.BelisleおよびP.Brennan(Colorado State Uni versity)から提供された。すでに記載(Zhang,et al.,Infect.Immun.60,2 160-2165(1992))されているようにして、エム・ツベルクローシス株および他の ミコバクテリア種からゲノムDNAを単離した。エム・ボビス株由来のゲノムD NAはV.P.Shankar(Texas A & M University Health Science Center)によ り提供された。 エム・ツベルクローシスのpncA遺伝子のクローニングおよび特徴づけ エム・ツベルクローシスのpncA遺伝子をクローン化するために、推定上の イー・コリ(E.coli)のニコチンアミダーゼのアミノ酸配列(Jerlsrtom,et a l.,Gene 78,37-46(1989))に基づいて縮重プライマーを設計した。プラスミド ベクター中にクローン化された場合、推定上のイー・コリのpncAは、サルモ ネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)のpncA変異株JF49中 にトランスフェクションされると実際に機能的なニコチンアミダーゼ活性を発現 する(Foster et al.,J.Bacteriol.,137,1165-1175(1979))。イー・コリの 酵素(Jerlstrom,et al.,Gene 78,37-46(1989))の9〜17アミノ酸残基V DLQNDFCA(配列番号:13)から順方向プライマーを設計し、168〜 179アミノ酸残基GYKVNVITDGC(配列番号:14)から逆方向プラ イマーを設計した。上記プライマーをPZA感受性エム・ツベルクローシス株由 来のゲノムDNA(鋳型とした)とともに用いてPCRを行った(Saiki,et al .,Science 239,487-491(1988))。500bpのPCR生成物を得て、配列分 析を行ったところ、それが上記イー・コリのニコチンアミダーゼ遺伝子に対して 相同性を有する部分読み枠を含むことが示された。 部分pncA遺伝子を含む32P−標識した500bpのPCR生成物をプロー ブとして用い、エム・ツベルクローシスErdman株(W.R.Jacobs,Albert Einst ein College of Medicine,New Yorkにより提供された)から構築された組み込 み型ミコバクテリアシャトルコスミドDNAライブラリーをスクリーニングする ことにより、完全エム・ツベルクローシスpncA遺伝子を含むコスミドクロー ンを単離した。コスミドDNAの制限地図を作成し、その後、500bpのPC R生成物をプローブとして用いてサザンブロット分析を行い、ついで、形質転換 を行ったところ、エム・ツベルクローシスpncA遺伝子は3.2kbのEco RI−PstIフラグメント上に局在化され、ついで、pUC19中にサブクロ ーンした。すでに記載(Sambrook,et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Pr ess,Cold Spring Harbor,New York,1989)されているようにして、標準的な 分子生物学的手法を行った。 500bpのpncA含有PCR生成物の配列由来のプライマーを用いて、完 全エム・ツベルクローシスpncA配列(エム・ツベルクローシスErdman株由来 )(受託番号申請中)を3.2kbのEcoRI−PstIフラグメントから決 定した。上記完全エム・ツベルクローシスpncA配列から設計したプライマー を用いて、エム・ボビス、BCGおよび他のエム・ツベルクローシス株由来のp ncA配列の決定を自動DNAシーケンサーにおけるPCR直接配列決定により 行った。エム・ツベルクローシスおよびイー・コリpncA配列間の配列相同性 の並置比較をFASTAアルゴリズムを用いて行った。 結核菌の形質転換 PZA耐性BCGおよびH37Rvの形質転換のためのpncAプラスミド構 築物を次のようにして作成した。記載(Sambrook,et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989)されたようにして 、機能的なエム・ツベルクローシスpncAを含む3.2kbのEcoRI−P stIフラグメントをヒグロマイシンミコバクテリアシャトルベクターp16R 1(Garbe,et al.,Microbiology 140,133-138(1994))中にクローン化した。 記載(Zhang,et al.,Mol.Microbiol.88,521-524(1993))されたようにして 、p16R1 3.2kb pncA構築物および機能的なエム・ツベルクローシ スpncA遺伝子を含有するコスミドDNAの両方を、ベクター対照とともに本 来的にPZA耐性のエム・ボビスBCGおよびPZA耐性エム・ツベルクローシ スH37Rv中にエレクトロポレーションにより形質転換した。 PZase酵素アッセイ Wayne(Wayne,Am.Rev.Respir.Dis.109,147-151(1974))の方法に準じて ピラジンアミダーゼ活性をアッセイした。簡単に説明すると、多量の細菌(数白 金耳分)を、試験管中の0.1mg/ml PZA含有Dubos寒天(Difco)表面 上に接種し、ついで、37℃で4時間インキュベーションした。2ミリリットル の1%硫酸アンモニウム第1鉄を添加し、試験管を4℃で1〜2時間インキュベ ーションした。陽性PZase活性が寒天表面の褐色バンドとして出現した。陽 性培養物(PZA感受性エム・ツベルクローシス株H37Rv)および陰性培養 物(BCG Pasteur)を対照としてインキュベーションした。 PZA感受性試験 組み換えミコバクテリア株のPZAに対する感受性を、他に記載(McDermott, et al.,Am.Rev.Tuberc.70,748-754(1954))されたようにして、酸性pH( 5.6)に調節した7H9液体培地中で試験した。簡単に説明すると、ミロバク テリアの2週間液体培養物(菌数約107 〜8個)を、エッペンドルフチューブ中 の50、100、200、500、1000μg/mlのPZAを含有する酸性 7H9液体培地(pH5.6)にて10-3および10-5個に希釈した。PZA感 受性を試験すべき各株は同じものを2つ用意した。ついで、エッペンドルフチュ ーブを37℃で2〜3週間インキュベーションし、増殖抑制の程度を評価した。 PZA感受性H37RaまたはH37Rv、およびPZA耐性BCGを感受性お よび耐性対照として用いた。 ミコバクテリアでのマクロファージ感染および細胞内ミコバクテリアのPZA 感受性のアッセイを、記載(Skinner,et al.,Antimicrob Agent Chemother,38 ,2557-2563(1994))されたようにして行った。簡単に説明すると、24ウェル 組織培養プレートにおいて5x105個のJ774ネズミマクロファージを2〜 5x106個の細菌に感染させた。マクロファージ感染に使用した各ミコバクテ リア株は同じものを3つ用意した。37℃で1〜2時間感染後、細胞外細菌をP BSで2回洗い去った。種々の濃度のPZAまたはストレプトマイシンを含有す る組織培養培地(RPMI1640)を感染マクロファージに添加し、プレート をCO2インキュベーター中37℃で1〜2週間インキュベーションした。顕微 鏡で細胞内細菌数を計数し、各細菌につき3つの同じウェルすべてに関してウェ ルあたり少なくども50個の感染マクロファージの平均値として表した。 実施例 エム・ツベルクローシスpncA遺伝子のクローニングおよび特徴づけ イー・コリのニコチンアミダーゼ遺伝子(pncA)(Jerlstrom,et al.,Ge ne 78,37-46(1989))から誘動されたアミノ酸配列に基づく縮重プライマー を用いるPCRにより、エム・ツベルクローシスpncA遺伝子をクローン化し た。エム・ツベルクローシスpncAは、最初はPZA感受性エム・ツベルクロ ーシス株由来の500bpのPCR生成物上にクローン化された。配列分析によ り、そのPCR生成物はイー・コリのニコチンアミダーゼ配列(Jer1strom,et al.,Gene 78,37-46(1989))に対して相同性を有する部分読み枠を含むことが 示された。完全エム・ツベルクローシスpncA遺伝子を得るために、500b pのpncA含有PCR生成物をプローブとして用いてエム・ツベルクローシス 組み込み型コスミドDNAライブラリーをスクリーニングした。pncAにハイ ブリダイゼーションするコスミドクローンを単離し、これを用いてBCG(エム ・ボビス由来の弱毒ワクチン株)を形質転換して推定上のエム・ツベルクローシ スpncA遺伝子の同一性を確認した。実際、推定上のエム・ツベルクローシス pncA遺伝子を含有するコスミドDNAはBCG(PZase欠損自然変異株 )にPZase活性を付与した。pncAコスミドDNAのエム・ボビスBCG ゲノム中への組み込みをサザン分析により確認した。コスミドDNAインサート 由来のDNA構築物を用いるBCG形質転換研究と組み合わせたコスミドDNA の制限マッピングによれば、機能的エム・ツベルクローシスpncA遺伝子は3 .2kbEcoRI−PstIフラグメント上に局在化されていた(図3A)。 PZase活性がpncA遺伝子によるものであり、3.2kbのEcoRI− PstIフラグメント上のpncA上流領域の他のDNAによるものでないこと を確認するために、pncA上流領域および部分pncA遺伝子を含む2.3k bのEcoRI−SmaI DNA構築物を用いてBCGを形質転換した。しか しながら、BDCG形質転換体においてPZase活性は検出できなかった。2 .3kbのEcoRI−SmaIフラグメントの配列分析によっては、データベ ース中の他の既知蛋白に対して相同性を有する有意な読み枠は示されなかった。 pna遺伝子の120bp上流の配列を伴ったpncA遺伝子のみを含む構築物 をPCRフラグメントとして用いるBCGの形質転換により、PZase活性の 機能的発現が得られ、実際にPZase活性はpncA遺伝子により付与される ことが示された。 配列分析により、エム・ツベルクローシスpncA遺伝子(558bp)は1 86個のアミノ酸の蛋白をコードしており(図1)、イー・コリのニコチンアミ ダーゼ(Jerlstrom,et al.,Gene 78,37-46(1989))に対して全体として35. 5%のアミノ酸同一性を有することをが明かとなった(図3B)。エム・ツベル クローシスのPZaseの推定分子量は約20キロダルトン(kD)であり、2 13個のアミノ酸からなり23kDのサイズであるイー・コリの相同体(Jerlst rom,et al.,Gene 78,37-46(1989))よりも小さい。 PZA耐性株のpncA遺伝子における変異の同定 3.2kbのEcoRI−PstI pncA含有DNAフラグメントをプロー ブとして用いて、8種のPZA耐性エム・ツベルクローシス株、3種のエム・ボ ビス株および3種のBCG亜系の群に対してサザンブロッティング分析を行った 。これらの株はpncA遺伝子の大きな欠失または制限フラグメント長多型性を 有していた。エム・ボビスはPZaseを欠く種である(Konno,et al.,Natur e,184,1743-1744(1959))(Konno,et al.,Am.Rev.Resipr.Dis.95,461-4 69(1967))が、それにもかかわらず、エム・ツベルクローシスと同じサイズのハ イブリダイゼーションフラグメントにより明かなように、pncA遺伝子を有し ていた。エム・ツベルクローシスpncAは、エム・スメグマチス(M.smegmati s)、エム・バッカエ(M.vaccae)およびエム・カンサシイ(M.kansasii)のご とき呼吸器結核を引き起こさないミコバクテリア種由来のゲノムDNAにはハイ ブリダイゼーションしなかった。 本来的にPZA耐性のエム・ボビスおよび獲得性のPZA耐性のエム・ツベル クローシス株の群由来のpncA遺伝子の配列を決定した。驚くべきことに、3 種のエム・ボビス株(Ravenelおよび2種の家畜単離体)および3種のBCG亜 系(Pasteur、Copenhagen、Glaxo)はすべて同一の単一点突然変異をpncA遺 伝子中に有しており、それはヌクレオチド位置169におけるCからGへの変化 であり、PZaseボリペプチド(図1)のアミノ酸位置57におけるヒスチジ ン(CAC)をアスパラギン酸(AC)に置換するものであった。pncA遺 伝子中の他の変異は見いだされなかったので、この特別な置換は、これらのエ ム・ボビスおよびBCG株におけるPZase欠損を引き起こすものであると結 論した。機能的なエム・ツベルクローシスpncA遺伝子を含む3.2kbのE coRI−PstI構築物で形質転換されたBCG株がPZase活性を回復し たという観察結果はこの結論と矛盾しない。 慣用的試験においてPZA耐性である8株の配列決定したエム・ツベルクロー シスのうち、5株はpncA遺伝子中に点突然変異を有していた(上表1参照) 。H37Rv、CSU20、およびCSU25株はpncA遺伝子中に変異を有 していなかった。H37Rvから誘動されたPZA耐性株PZA−R(ATCC 35828、PZase陰性)および1のMDR株「Vertullo」はそれぞれ、ヌ クレオチド位置288および162において単一ヌクレオチド「G」を失ってお り、PZase活性を有しない末端切断ポリペプチドを生じる未成熟ターミネー ションを導くものであった。他の3種のエム・ツベルクローシスPZA耐性臨床 単離体(MDR株)はpncA遺伝子中にミスセンス変異を含んでおり、それは 以下のアミノ酸位置における置換を引き起こしていた:Asp63(GAC)→ His(AC)、Cys138(TGT)→Ser(GT)、Gln141 (CAG)→Pro(CG)。これらのデータは、これらの置換がこれらのP ZA耐性株におけるPZA耐性および欠損したPZase酵素活性の原因である ことを示唆する。pncA遺伝子における変異を有していない3種の見かけ上P ZA耐性株(CSU20、CSU25、およびH7728)について、PZAの 最小抑制濃度(MIC)を再試験したところ、これら3種の株は「偽耐性」であ り、実際には、陽性のPZase活性を有していてPZAに対して感受性である ことが示された。 エム・ボビスとエム・ツベルクローシスとを区別するためのPCR−SSCP の使用 この実施例においで、下記のサイクリングパラメーターを用いてPCRを行っ た:95℃5分、ついで、(95℃1分、55℃1分、ついで72℃1分)を3 0サイクル。PCR反応系は、1 X PCRバッファー(GIBCO BRL)、100 μモルのdNPs、0.1μgのプライマー、ミコバクテリアのゲノム DNA0.1〜0.5μg(V.P.Shankar;Texas A & M University Health Scie nce Center)、および2.5ユニットのTa qDNAポリメラーゼ(GIBCO BRL )を含んでいた。エム・ボビスの検出に使用したプライマーは: であり、それぞれpncA遺伝子のヌクレオチド91〜110および270〜2 51に対応するものであった。一緒にして使用するする場合、これらのプライマ ーは180bpのフラグメントを増幅する。 ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて、増幅DNAにおける1本鎖コンホ ーメーション多型性を示した。PCR生成物(10μl、0.5〜1.0μgの DNAを含有)をホルムアミド中で5〜10分煮沸することにより変性させた。 煮沸したDNAを即座に氷上で5〜10分インキュベーションした。ついで、前 以て4℃に冷却された20%ポリアクリルアミド/5%グリセロールゲル(16 x20cm)により、変性したDNAを電気泳動した。一定電力5Wとし、4℃ で一晩、0.5X TBEバッファー中でゲルを電気泳動した。ついで、ゲルを臭 化エチジウム(0.5μg/ml)で染色し、SSCPバンドをUV光で可視化 した。図4に示すように、エム・ボビスに対応するDNAの移動度はエム・ツベ ルクローシスに対応するDNAの移動度とは異なる。よって、特徴的なエム・ボ ビスのpncA遺伝子における変化を検出することによって、PCR−SSCP によりエム・ボビス株をエム・ツベルクローシス株から迅速に区別することがで きる。 エム・ツベルクローシスのPZA耐性株を同定するためのPCR−SSCPの 使用 この実施例においで、プライマーおよびミコバクテリアDNAが異なること以 外は本質的に上記のごとくPCR−SSCPを行った。使用プライマーは: であった。これらのブライマーをペアーにして用いて(P3とP4、P5とP6 、P7とP8)、一緒になればほとんど全pncA遺伝子に対応するpncA遺 伝子の重複部分(〜200bp)を増幅した(図2)。pncA遺伝子中のどの 部分に変化が存在するのかを正確に知らなくても、pncAのいくつかの部分を 増幅するプライマーのセットを用いることにより、PCR−SSCPを用いてP ZA耐性ミコバクテリウムを同定することができる。 上記エム・ボビスの場合には、ポリアクリルアミド電気泳動を用いて、DNA が変性され、氷冷された後の増幅DNAにおける1本鎖コンホーメーション多型 性を示した。図5に示すように、PZA耐性エム・ツベルクローシスのDNAの 移動度は野生型(PZA感受性)エム・ツベルクローシスに対応するDNAの移 動度とは異なる。よって、PCR−SSCPによりエム・ツベルクローシスのP ZA耐性株を迅速に同定することができる。 機能的pncA遺伝子でのPZA耐性株の形質転換 以下に示すように、PZA耐性エム・ボビスまたはエム・ツベルクローシス中 への機能的pncA遺伝子の導入はミコバクテリウムをPZA感受性にする。こ の場合、エム・ボビスBCGおよびエム・ツベルクローシスPZA−R株の感受 性を試験した。エム・ボビスBCGは本来的にPZA耐性株であり、エム・ツベ ルクローシスPZA−R株はH37Rvから誘動された獲得性耐性株である。こ れら2種のPZA耐性株を、機能的pncA遺伝子を含む3.2kbのEcoR I−PstIプラスミド構築物で形質転換した。両株の場合、生じたpncA形 質転換体はPZase:酵素活性を発現し、インビトロで酸性pH(5.5)に おいてPZA感受性となった(MIC=5μgml-1)。対照的に、BCGおよ びPZA−Rベクター対照株はPZA耐性かつPZase陰性(MIC>100 0μg ml-1)のままであった。 pncA遺伝子を用いて細胞内のエム・ツベルクローシスをPZA感受性にす ることもできる。この場合、マクロファージ内にある組み換えエム・ボビスをP ZA感受性について試験した。実際、エム・ツベルクローシスのPZaseを発 現する組み換えBCGは、J774マクロファージ中でPZA感受性となった。 対照的に、対照BCGは種々の薬剤濃度においてPZA耐性のままであった(表 2)。高いPZA濃度(500μg ml-1)において、対照BCGもわずかに 抑制されたが、組み換えBCGほどではなかった。並行して行ったストレプトマ イシンを用いる対照実験において、組み換えBCGおよびベクター対照BCGは 両方とも、J774マクロファージ中でストレプトマイシンにより等しく抑制さ れ(表2)、組み換えBCGのPZA感受性は、エム・ツベルクローシスのpn cA遺伝子により付与されたPZase活性の発現によることが示された。 表2 J774マクロファージ中の組み換えBCGのPZA感受性 本発明を目下のところ好ましい具体例を参照して説明したが、本発明の精神を 逸脱することなく種々の修飾を行うことが可能であることが認識されるはずであ る。したがって、本発明は下記請求の範囲によってのみ限定される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/00 C12N 9/00 C12Q 1/68 C12Q 1/68 A G01N 33/53 G01N 33/53 D

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.試料中における変化したpncA遺伝子を検出することを含む、試料中の エム・ツベルクローシスとエム・ボビスとを区別する方法であって、変化したp ncA遺伝子は、変化したpncA遺伝子によりコードされるポリペプチドのア ミノ酸位置57におけるヒスチジン残基からアスパラギン酸残基への変化を含み 、変化したpncA遺伝子が、試料がエム・ボビスを含むことを示すものである 方法。 2.アミノ酸位置57におけるヒスチジンからアスパラギン酸への変化が、変 化したpncA遺伝子のヌクレオチド169におけるCからGへの変化により生 じるものである請求項1の方法。 3.検出が、 a)核酸の5’および3’ポリヌクレオチド配列に近接した標的にハイブリダ イゼーションするオリゴヌクレオチドプライマーを用いてミコバクテリアの核酸 の領域を増幅し(標的ポリヌクレオチド配列は実質的には下記のもの: それらに対して実質的に相捕的な配列 からなる群より選択される配列である); ついで、b)増幅された領域を検出する ことを含むものである請求項1の方法。 4.増幅がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるものである請求項3の方法 。 5.変化したpncA遺伝子がPCR−1本鎖コンホーメーション多型性(P CR−SSCP)により検出される請求項1の方法。 6.ミコバクテリウム中の変化したpncA遺伝子を検出することを含む、ピ ラジンアミド(PZA)耐性ミコバクテリウムの同定方法であって、変化したp ncA遺伝子がPZA耐性を付与するものである方法。 7.変化したpncA遺伝子が増幅される請求項6の方法。 8.変化したpncA遺伝子がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅さ れる請求項7の方法。 9.変化したpncA遺伝子がPCR−1本鎖コンホーメーション多型性(P CR−SSCP)により検出される請求項8の方法。 10.ミコバクテリウムがエム・ツベルクローシスである請求項6の方法。 11.エム・ツベルクローシスが、M36470、M3S169、F3694 6、Vertullo、およびPZA−Rからなる群より選択されるエム・ツベルクロー シス株に対して相同的である請求項10の方法。 12.変化したpncA遺伝予における変化が、エム・ツベルクローシスの野 生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置57におけるアスパラギン酸残基を コードするものである請求項10の方法。 13.変化が、野生型pncA遺伝子のヌクレオチド169におけるCからG への変化を含むものである請求項12の方法。 14.変化したpncA遺伝子における変化が、エム・ツベルクローシスの野 生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置96における−1フレームシフトで ある請求項10の方法。 15.変化が、エム・ツベルクローシスの野生型pncA遺伝子のヌクレオチ ド288の欠失を含むものである請求項14の方法。 16.変化したpncA遺伝子における変化が、エム・ツベルクローシスの野 生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置54における−1フレームシフトで ある請求項10の方法。 17.変化が、エム・ツベルクローシスの野生型pncA遺伝子のヌクレオチ ド162の欠失を含むものである請求項16の方法。 18.変化したpncA遺伝子における変化が、エム・ツベルクローシスの野 生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置63におけるヒスチジン残基をコー ドするものである請求項10の方法。 19.変化が、エム・ツベルクローシスの野生型pncA遺伝子のヌクレオチ ド187におけるGからCへの変化を含むものである請求項18の方法。 20.変化したpncA遺伝子における変化が、エム・ツベルクローシスの野 生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置138におけるセリン残基をコード するものである請求項10の方法。 21.変化が、エム・ツベルクローシスの野生型pncA遺伝子のヌクレオチ ド412におけるTからAへの変化を含むものである請求項20の方法。 22.変化したpncA遺伝子における変化が、エム・ツベルクローシスの野 生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置141におけるプロリン残基をコー ドするものである請求項10の方法。 23.変化が、エム・ツベルクローシスの野生型pncA遺伝子のヌクレオチ ド422におけるAからCへの変化を含むものである請求項22の方法。 24.エム・ツベルクローシスのピラジンアミダーゼ(PZase)ポリペプ チドをコードしている単離核酸。 25.図1の配列(配列番号:1)またはその縮重変種の配列を有し、図1の アミノ酸配列(配列番号:2)をコードする請求項24の核酸。 26.変化したエム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードし ている単離核酸。 27.変化したエム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードし ている単離核酸であって、野生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置96に おける−1フレームシフトをコードする単離核酸。 28.野生型pncA遺伝子のヌクレオチド288の欠失を含む請求項27の 核酸。 29.変化したエム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードし ている単離核酸であって、野生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置54に おける−1フレームシフトをコードする単離核酸。 30.野生型pncA遺伝子のヌクレオチド162の欠失を含む請求項29の 核酸。 31.変化したエム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードし ている単離核酸であって、野生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置63に おけるヒスチジン残基をコードする単離核酸。 32.野生型pncA遺伝子のヌクレオチド187におけるGからCへの変化 を含む請求項31の核酸。 33.変化したエム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードし ている単離核酸であって、野生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置138 におけるセリン残基をコードする単離核酸。 34.野生型pncA遺伝子のヌクレオチド412におけるTからAへの変化 を含む請求項33の核酸。 35.変化したエム・ツベルクローシスのPZaseポリペプチドをコードし ている単離核酸であって、野生型PZaseポリペプチドのアミノ酸位置141 におけるプロリン残基をコードする単離核酸。 36.野生型pncA遺伝子のヌクレオチド422におけるAからCへの変化 を含む請求項35の核酸。 37.PZA耐性ミコバクテリアに感染した哺乳動物の治療方法であって、 哺乳動物に感染しでいるPZA耐性ミコバクテリアの少なくとも一部の中に、 機能的PZaseをコードしている治療上有効量のpncA遺伝子を導入し;つ いで 治療上有効量のPZAを哺乳動物に投与し、そのことにより哺乳動物に感染し ているミコバクテリアの少なくとも一部を抑制する ことを含む方法。 38.ミコバクテリアがエム・ボビスである請求項37の方法。 39.ミコバクテリアがPZA耐性エム・ツベルクローシスである請求項37 の方法。 40.pncA遺伝子がエム・ツベルクローシスのpncA遺伝子である請求 項37の方法。 41.pncA遺伝子が図1(配列番号:1)の配列またはその縮重変種の配 列を有し、図1のアミノ酸配列(配列番号:2)をコードしているものである請 求項40の方法。 42.治療上有効量の少なくとも1種の他のミコバクテリア治療薬を哺乳動物 に投与することをさらに含む請求項37の方法。 43.他のミコバクテリア治療薬がイソニアジドおよびリファンピシリンから 選択されるものである請求項42の方法。 44.啼乳動物がヒトである請求項37の方法。 45.PZA耐性ミコバクテリウムの同定のための核酸プローブであって、P ZA耐性ミコバクテリウムの変化したpncA遺伝子の一部分に対して相捕的な 核酸を含み、該一部分がPZA耐性を付与するものである核酸プローブ。 46.プローブが8ないし20個のヌクレオチドからなるものである請求項4 5の核酸プローブ。 47.該一部分が8ないし20個のヌクレオチドからなるものである請求項4 5の核酸プローブ。 48.PZA耐性ミコバクテリアを同定するための単離オリゴヌクレオチドプ ライマーであって、 これらに対して実質的に相捕的な配列 からなる群より選択される配列を実質的に有する標的ポリヌクレオチド配列とハ イブリダイゼーションするプイライマー。 49.エム・ボビスの同定に有用なキットであって、エム・ボビスのpncA 遺伝子の変化した部分を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーを入れた 容器を含み、変化した部分が、pncA遺伝子のアミノ酸位置57においてアス パラギン酸残基を含むポリペプチドをコードしているものであるキット。 50.pncA遺伝子の変化した部分が、野生型pncA遺伝子のヌクレオチ ド169におけるCからGへの変化を含むものである請求項49のキット。 51.プライマーがpncA遺伝子の150〜200個のヌクレオチドの部分 を増幅するものである請求項49のキット。 52.PZA耐性ミコバクテリウムの同定に有用なキットであって、pncA 遺伝子の変化した部分を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーの入った 容器を含むキット。 53.PZA耐性ミコバクテリウムの同定に有用なキットであって、請求項4 5の核酸プローブを含むキット。 54.PZA耐性を付与する変化したPZaseポリペプチドに優先的に結合 する単離抗体。 55.エム・ボビスのPZaseポリペプチドに優先的に結合する請求項54 の抗体。 56.M36470、M3S169、F36946、Vertullo、および PZA−Rからなる群より選択されるエム・ツベルクローシス株に対して相同的 なエム・ツベルクローシス株のPZaseポリペプチドに優先的に結合する請求 項55の抗体。 57.PZA耐性を付与する実質的に純粋な変化したPZaseポリペプチド またはそのフラグメント、あるいはそれらの保存的変種。 58.エム・ボビスのPZaseポリペプチドである請求項57の変化したP Zaseポリペプチド。 59.M36470、M3S169、F36946、Vertullo、および PZA−Rからなる群より選択されるエム・ツベルクローシス株に対して相同的 な株のPZaseポリペプチドである請求項57の変化したPZaseポリペプ チド。
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