【発明の詳細な説明】
硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォーム
本発明は、硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームおよびそれらの製
造方法に関する。
硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームは一般に、化学量論的過剰量
のポリイソシアナートとイソシアナート反応性化合物を発泡剤、界面活性剤およ
び触媒の存在下で反応させることにより製造される。そのようなフォームの使用
のひとつは、、たとえば建築物の断熱材としてである。
イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームは、イソシアヌラート基が存在す
るためポリウレタンフォームより良好な難燃性を示す。しかしこれらのフォーム
は著しく脆破性であり、このため表面硬化性および接着性など他の特性が劣化す
る傾向がある。良好な難燃性を得るためには、イソシアヌラート改質ポリウレタ
ンフォームを製造する際にイソシアナート反応性化合物としてポリエステルポリ
オールを用いるのが有利である。通常はこれらのポリエステルポリオールは芳香
族性のものであり、場合によりポリエーテルポリオールと併用される。
したがって本発明の目的は、適切な反応性プロフィルおよび脆破性低下を含め
た望ましい特性を兼ね備えた硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームを
提供することである。
本発明によれば、有機ポリイソシアナート組成物とイソシアナート反応性組成
物をイソシアナート指数180〜380%、好ましくは200〜270%、最も
好ましくは220〜250%で反応させることにより形成された硬質イソシアヌ
ラート改質ポリウレタンフォームが提供され、その際イソシアナート反応性組成
物は、脂肪族ポリエステルポリオールおよび芳香族ポリエステルポリオールを含
む。
本発明のイソシアヌラート改質ポリウレタンフォームは芳香族ポリエステルポ
リオールのみから製造した先行技術のものより脆破性が低く、表面硬化性および
接着性などの物理的特性が改善されている。それらは特に、フォームを1または
それ以上の不燃性スキンに適用する建築用パネルの製造に有用である。
米国特許第4302551号は、硬質ポリイソシアヌラートフォームの製造に際しポ
リマー分散液を使用すると記載している。これらのポリマー分散液は連続相と分
散相からなり、連続相としてポリエステルポリオールを使用できる。本発明はポ
リマー分散液を用いて実施するのではない。
米国特許第4859523号は、粘弾性樹脂(したがって硬質ポリイソシアヌラート
フォームではない)の製造に際し芳香族ポリエステルポリオールを脂肪族ポリエ
ステルポリオールと共に使用すると記載している。
フランス特許第4859523号は、熱可塑性ポリエステル−ウレタン(したがって
硬質ポリイソシアヌラートフォームではない)の製造に際し脂肪族ポリエステル
ポリオールと芳香族ポリエステルポリオールの混合物を使用すると記載している
。
本明細書中で用いるイソシアナート指数という用語は、フォーム配合物中に存
在する反応性水素原子(存在する水に由来するものを除く)に対するNCO基の
モル比を%として表示したものとする。
本発明に用いるためのポリエステルポリオールは、有利には約1.8〜8、好
ましくは約1.8〜5、最も好ましくは約2〜2.5の平均官能価をもつ。それ
らのヒドロキシル価は、一般に約15〜750、好ましくは約30〜550、よ
り好ましくは約200〜550mg KOH/gの範囲内にある。好ましくはポ
リエステルポリオールは酸価0.1〜20mg KOH/gであり、一般に酸価
は90mg KOH/gに及んでもよい。
本発明のポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸、または酸誘導体、たと
えばポリカルボン酸の無水物もしくはエステルと、POリオール成分から、既知
の方法で製造できる。ポリエステルポリオールを製造する際に、ポリ酸および/
またはポリオール成分を2種以上の化合物の混合物として使用できる。
ポリオールは脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であってよい。
低分子量脂肪族多価アルコール、たとえば炭素原子約20個以下の脂肪族二価ア
ルコールはきわめて満足できるものである。ポリオールは反応に対し不活性な置
換基、たとえば塩素および臭素置換基を所望により含むことができ、および/ま
たは不飽和であってもよい。適したアミノアルコール、たとえばモノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなども使用できる。好まし
いポリオール成分はグリコールである。グリコールは異種原子を含んでもよく(
たとえばチオジグリコール)、または炭素、水素および酸素のみからなっていて
もよい。それらは有利には一般式CnH2n(OH)2の単純グリコール、または一
般式CnH2nOx(OH)2で表されるように炭化水素鎖中に介在するエーテル結
合で区別されるポリグリコールである。適した多価アルコールの例には以下のも
のが含まれる:エチレングリコール、プロビレングリコール−(1,2)および
−(1,3)、ブチレングリコール−(1,4)および−(2,3)、ヘキサンジ
オール−(1,6)、オクタンジオール−(1,8)、ネオペンチルグリコール
、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパ
ンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール−(1,
2,6)、ブタントリオール−(1,2,4)、キノール、メチルグルコシド、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびより高級なパリエチ
レングリコール、ジプロピレングリコールおよびより高級なポリプロピレングリ
コール、ジエチレングリコール、グリセロール、ペンタエリトリトール、トリメ
チロールプロパン、ソルビトール、マンニトール、ジブチレングリコールおよび
より高級なポリブチレングリコール。特に適したポリオールは、アルキレングリ
コールおよびオキシアルキレングリコール、たとえばエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプ
ロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール
、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよび1,4−シクロヘ
キサンジメタノール(1,4−ビス−ヒドロキシメチルシクロヘキサン)である
。
ポリカルボン酸成分は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であ
ってよく、所望により、たとえばハロゲン原子で置換されていてもよく、および
/または不飽和であってもよい。ポリエステルポリオールの製造に用いるのに適
したカルボン酸およびその誘導体の例には、以下のものが含まれる:シュウ酸、
マロン酸、アジビン酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、フタル酸、無水フタル酸、無水テレフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、無水テトラヒドロフタル酸、ピロメリト酸
二無水物、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンド
メ
チレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸−ビスグリコールエステル、フタ
ル酸、所望により−塩基性脂肪酸(たとえばオレイン酸)と混合した二塩基性お
よび三塩基性不飽和脂肪酸。ポリエステルポリオールは実質的に純粋な反応体材
料から製造できるが、より複雑な成分、たとえばフタル酸、テレフタル酸、ジメ
チルテレフタル酸、ポリエチレンテレフタレートなどの製造からの副生流(side
-stream)、残留する廃棄物またはスクラップも使用できる。これらの組成物を
、慣用されるエステル交換法またはエステル化法でポリオールと反応させること
により、ポリエステルポリオールに変換できる。
ポリエステルポリオールの製造は、ポリカルボン酸または酸誘導体とポリオー
ル成分を既知の方法で、反応混合物のヒドロキシル価および酸価目的範囲内にな
るまで反応させるだけで達成される。エステル交換またはエステル化反応の後、
反応生成物を所望によりアルキレンオキシドと反応させることができる。
本明細書中で用いる“ポリエステルポリオール”という用語には、ポリエステ
ルポリオール製造後に残留する少量の未反応ポリオールおよび/または製造後に
添加した非エステル化ポリオール(たとえばグリコール)が含まれる。ポリエス
テルポリオールは有利には最高約40重量%の遊離グリコールを含有することが
できる。好ましくは遊離グリコール含量は全ポリエステルポリオール成分の2〜
30重量%、より好ましくは2〜15重量%である。
脂肪族ポリエステルポリオールの場合、ポリエステルポリオールの製造に用い
られるポリオールおよびポリカルボン酸の両方が脂肪族成分である。しかし若干
のポリオールまたはポリカルボン酸が芳香族性であってもよい。脂肪族ポリエス
テルポリオールの芳香族性は(1分子につき少なくとも1個の芳香環を含む基の
重量%として表示)50%未満である。
芳香族ポリエステルポリオールの場合、ポリオールまたはポリカルボン酸、好
ましくは酸のうち少なくとも1種は芳香族成分であり、芳香族性は少なくとも5
0%である。その酸成分が有利には少なくとも30重量%のフタル酸(またはそ
の異性体)残基を含むポリエステルポリオールが特に有用である。好ましくは、
芳香族ポリエステルポリオールの芳香族性は70〜90%である。好ましい芳香
族ポリエステルポリオールは、ポリエステル樹脂の粗製反応残留物またはスクラ
ップのエステル交換により得られる粗製ポリエステルポリオールである。
本発明によれば、1種またはそれ以上の異なる芳香族ポリエステルポリオール
および1種またはそれ以上の異なる脂肪族ポリエステルポリオールを使用できる
。本発明に用いる芳香族ポリエステルポリオールと脂肪族ポリエステルポリオー
ルの重量比は、好ましくは90:10〜20:80、より好ましくは80:20
〜30:70、最も好ましくは80:20〜40:60である。
本発明のイソシアヌラート改質ポリウレタンフォームを製造するためには、前
記ポリエステルポリオールがポリイソシアナートと反応する反応性混合物の全体
を構成することが好ましい。しかしこれらのポリオールを当技術分野で慣用され
る他のイソシアナート反応性化合物と混合して用いてもよいと解される。好まし
くは、イソシアナート反応性組成物は前記ポリエステルポリオールを少なくとも
90重量%含有する。
本発明のイソシアヌラート改質ポリウレタンフォームを製造する際にポリエス
テルポリオールと併用できるイソシアナート反応性化合物には、この目的に関し
て当技術分野で知られているものが、いずれも含まれる。硬質フォームの製造に
特に重要なものは、平均ヒドロキシル価300〜1000、殊に300〜700
mgKOH/g、ヒドロキシル官能価2〜8、殊に3〜8のポリオールおよびポ
リオール混合物である。適したポリオールは先行技術において十分に記載されて
おり、アルキレンオキシド(たとえばエチレンオキシドおよび/またはプロピレ
ンオキシド)と、1分子当たり2〜8個の活性水素原子を含む開始剤との反応生
成物が含まれる。適した開始剤にはポリオール、たとえばグリセロール、トリメ
チロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、ソルビトー
ルおよびスクロース;ポリアミン、たとえばエチレンジアミン、トリレンジアミ
ン、ジアミノジフェニルメタンおよびポリメチレンポリフェニレンポリアミン;
ならびにアミノアルコール、たとえばエタノールアミンおよびジエタノールアミ
ン;ならびにそれらの開始剤の混合物が含まれる。さらに適した高分子ポリオー
ルには、ヒドロキシル末端基付きポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステル
アミド、ポリカーポネート、ポリアセタール、ポリオレフィンおよびポリシロキ
サンが含まれる。
本発明方法に用いるのに適した有機ポリイソシアナートには、硬質イソシアヌ
ラート改質ポリウレタンフォームの製造技術分野で知られているいずれか、特に
たとえば以下の芳香族ボリイソシアナートが含まれる:2,4'−、2,2'−お
よび4,4'−異性体ならびにその混合物の形のジフェニルメタンジイソシアナ
ート、ジフェニルメタンジィソシアナート(MDI)およびそのオリゴマーの混
合物−−当技術分野で“粗製”またはポリマーMDI(ポリメチレンポリフェニ
レンポリイソシアナート)として知られ、イソシアナート官能価が2より大きい
もの−−、2,4−および2,6−異性体ならびにその混合物の形のトルエンジ
イソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、ならびに1,4−ジイ
ソシアナトベンゼン。挙げられる他の有機ポリイソシアナートには、脂肪族ジイ
ソシアナート、たとえばイソホロンジイソシアナート、1,6−ジイソシアナト
ヘキサンおよび4,4'−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンが含まれる。
本発明方法に用いるのに適した他のポリイソシアナートは、欧州特許出願公開第
A-0320134号に記載のものである。改質ポリイソシアナート、たとえばカルボジ
イミド改質またはウレトンイミン改質ポリイソシアナートも使用できる。さらに
他の有用な有機ポリイソシアナートは、過剰のポリイソシアナートと少量の活性
水素含有化合物を反応させることにより得られるイソシアナート末端基付きプレ
ポリマーである。本発明に用いるのに好ましいポリイソシアナートは、ポリマー
MDIである。
反応させるポリイソシアナートと多官能性イソシアナート反応性組成物の量は
、活性水素基(OH)(水を除く)に対するイソシアナート(NCO)基のモル
比が一般に180〜380%、好ましくは200〜270%、最も好ましくは2
20〜250%となるものである。
本発明方法は、硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームの製造技術分
野で知られているいずれかの発泡剤の存在下で実施される。そのような発泡剤に
は、水または他の二酸化炭素発生化合物、または大気圧で−70℃より高い沸点
をもつ不活性な低沸点化合物が含まれる。
水を発泡剤として用いる場合、その量は目的密度のフォームを得るための既知
の方法で選定でき、一般的な量は反応系全量に対し0.05〜5重量%である。
適した不活性発泡剤には、当技術分野で周知であり、記載されているもの、た
とえば炭化水素、ジアルキルエーテル、アルカン酸アルキル、脂肪族および脂環
式ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカ
ーボン、ヒドロクロロカーボンおよびフッ素含有エーテルが含まれる。
好ましい発泡剤の例には、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロ
ペンタンまたはその混合物、1,1−ジクロロ−2−フルオロエタン(HCFC
141b)、1,1,1−トリフルオロ−2−フルオロエタン(HFC 134a)
、クロロジフルオロメタン(HCFC 22)、1,1−ジフルオロ−3,3,3
−トリフルオロプロパン(HFC 245fa)およびそのブレンドが含まれる
。低密度の寸法安定性硬質フォームの製造に用いるには、国際特許出願公開第W0
96/12758号(本明細書に参考として含まれるものとする)に記載される発泡剤
混合物が特に挙げられる。これらの発泡剤混合物は一般に少なくとも3種、好ま
しくは少なくとも4種の成分を含み、そのうち少なくとも1種は(シクロ)アル
カン(好ましくは炭素原子5または6個のもの)および/またはアセトンである
。
発泡剤は、目的のかさ密度が一般に15〜70kg/m2、好ましくは20〜
50kg/m2、最も好ましくは25〜40kg/m2である生成フォームを得る
のに十分な量で用いられる。発泡剤の一般的な量は、反応系の全量に対し2〜2
5重量%である。
発泡剤が周囲温度またはそれより低い沸点をもつ場合、それを他の成分と混合
するまで加圧下に保持する。あるいはそれを他の成分と混合するまで周囲温度よ
り低く保持してもよい。
フォーム形成性反応混合物は、一般にポリイソシアナートおよび多官能性イソ
シアナート反応性組成物ならびに発泡剤のほか、硬質イソシアヌラート改質ポリ
ウレタンフォームの製造のための配合物に慣用される他の助剤または添加剤1種
またはそれ以上を含有するであろう。そのような任意添加剤には以下のものが含
まれる:架橋剤、たとえばトリエタノールアミンなどの低分子量ポリオール、加
工助剤、粘度低下剤、分散剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、充填剤(たとえば
カーボンブラック)、気孔サイズ調節剤、たとえば不溶性フッ素化合物(たとえ
ば米国特許第4981879号、米国特許第5034424号、米国特許第4972002号、欧州特
許第0508649号、欧州特許第0498628号、国際特許出願公開第WO 95/18176号に記
載)、触媒、界面活性剤、たとえばボポリジメチルシロキサン−ポリオキシアル
キレンブロックコポリマー、ならびに非反応性および反応性の難燃剤、たとえば
リン酸ハロゲン化アルキル、たとえばリン酸トリスクロロプロピル、リン酸トリ
エチル、ジエチルエチルホスホネートおよびジメチルメチルホスホネート。その
ような添加剤の使用は当業者に周知である。
本発明方法に用いられる触媒には、イソシアヌラート形成を促進するものが含
まれる。その例には、カルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含ま
れる。有機酸金属塩、好ましくはアルカリ金属塩のカチオンは、有利にはKまた
はNa、より好ましくはKである。特に好ましいものはC1〜C8カルボン酸塩で
あり、キ酸、酢酸、プロピオン酸および2−エチルヘキサン酸のナトリウム塩お
よびカリウム塩である。他の適した三量体化触媒には、トリアジン化合物、たと
えばポリキャット(Polycat)41(エア・プロダクツから入手できる)、および
カルボン酸第四級アンモニウム塩が含まれる。たとえば欧州特許第228230号およ
びドイツ特許第2288182号に記載される触媒の組合わせも使用できる。これには
イソシアナート基と活性水素含有基の反応を促進するウレタン触媒、たとえば第
三級アミンとの組合わせが含まれる。
本発明による硬質フォームの製造方法を実施する際には、既知のワンショット
、プレポリマーまたは半プレポリマー法を通常の混合法と共に採用でき、硬質フ
ォームはスラブ材、成形品、キャビティ充填材、吹付けフォーム、起泡フォーム
、または他の材料、たとえばハードボード、石膏ボード、プラスチック、紙もし
くは金属との積層品の形で製造できる。
硬質ポリウレタンフォームの製造に際しては、一般にA成分およびB成分と呼
ばれる2種類の予備配合組成物を用いるのが一般的である。一般にA成分はポリ
イソシアナート化合物を含有し、B成分はポリオールを発泡剤、触媒その他の助
剤と共に含有する。
本発明のフォームは、フォームの1面または両面に表シートを付与することに
よる積層品の製造に有利に用いられる。積層品は有利には連続法で、生産ライン
に沿って運ばれる表シート上にフォーム形成性混合物を堆積させ、好ましくはこ
の堆積した混合物に他の表シートを乗せることにより製造される。建築用パネル
の製造に従来用いられているいかなる表シートも使用でき、これらは硬質または
軟質のいずれであってもよい。
本発明の種々の態様を以下の実施例により説明するが、本発明はこれらにより
限定されない。実施例中では以下の成分を用いる:
ダルトラック(DALTOLAC)P710:脂肪族ポリエステルポリオール(芳香族性2
8%)、インペリアル・ケミカル・インダストリーズから入手
ステパンポール(STEPANPOL)PS2502A:芳香族ポリエステルポリオール(芳香
族性75%)、ステパンから入手
アイソエクスター(Isoexter)4537:脂肪族ポリエステルポリオール、COIM
から入手
ダルトラックR105:ポリコーテルポリオール、インペリアル・ケミカル・インダ
ストリーズから入手
アイソエクスター4565:脂肪族ポリエステルポリオール、COIM から入手
ダルトラックP744:脂肪族ポリエステルポリオール、インペリアル・ケミカル・
インダストリーズから入手
テラート(Terate)203:芳香族ポリエステルポリオール(芳香族性89%)、
ヘキスト・セラニーズから入手
テラート2541:芳香族ポリエステルポリオール(芳香族性78%)、ヘキスト・
セラニーズから入手
TCPP:リン酸トリスクロロプロピル、難燃剤、クールトールズ(Courtalds
)
から入手
ポリキャット43:触媒、エア・プロダクツから入手
L6900:シリコーン界面活性剤、OSIから入手
ニアックス(Niax)Al:触媒、OSIから入手
触媒LB:触媒、インペリアル・ケミカル・インダストリーズから入手
ポリキャット8:触媒、エア・プロダクツから入手
DMEA:触媒、インペリアル・ケミカル・インダストリーズから入手
スーブセラク(SUPRASEC)2085:ポリマーMDI、インペリアル・ケミカル・イ
ンダストリーズから入手
スーブプセラクおよびダルトラックはインペリアル・ケミカル・インダストリ
ーズの商標である。実施例1
下記の表1に挙げた成分から硬質フォームを製造した。クリーム時間、糸曳き
時間(string time)および不粘着時間(tack free time)につき、反応プロフ
ィルを追跡した。自由膨張密度(free rise density)を測定した(標準DIN5
3420による)。得られたフォームの表面脆破性を視覚検査した。表材料の接着性
を標準ASTMD162に従って測定した。紙の剥離接着性を100g/m2(紙)
で定性的に評価した;1は良好(紙が破断)を意味し、2は若干の強さを要する
中程度の剥離を意味し、3は不良(剥離がきわめて容易)を意味する。結果を下
記の表1に示す。
これらの結果は、芳香族ポリエステルポリオールのほかに脂肪族ポリエステル
ポリオールを用いると得られたフォームの脆破性が低下し、接着性が向上するこ
とを示す。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年4月30日(1998.4.30)
【補正内容】
明細書
硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォーム
本発明は、硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームおよびそれらの製
造方法に関する。
硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームは一般に、化学量論的過剰量
のポリイソシアナートとイソシアナート反応性化合物を発泡剤、界面活性剤およ
び触媒の存在下で反応させることにより製造される。そのようなフォームの使用
のひとつは、、たとえば建築物の断熱材としてである。
イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームは、イソシアヌラート基が存在す
るためポリウレタンフォームより良好な難燃性を示す。しかしこれらのフォーム
は著しく脆破性であり、このため表面硬化性および接着性など他の特性が劣化す
る傾向がある。良好な難燃性を得るためには、イソシアヌラート改質ポリウレタ
ンフォームを製造する際にイソシアナート反応性化合物としてポリエステルポリ
オールを用いるのが有利である。通常はこれらのポリエステルポリオールは芳香
族性のものであり、場合によりポリエーテルポリオールと併用される。
したがって本発明の目的は、適切な反応性プロフィルおよび脆破性低下を含め
た望ましい特性を兼ね備えた硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームを
提供することである。
本発明によれば、ポリマー分散液の不在下で有機ポリイソシアナート組成物と
イソシアナート反応性組成物をイソシアナート指数180〜380%、好ましく
は200〜270%、最も好ましくは220〜250%で反応させることにより
形成された硬質イソシアヌラート改質ポリウレタンフォームが提供され、その際
イソシアナート反応性組成物は、脂肪族ポリエステルポリオールおよび芳香族ポ
リエステルポリオールを含む。
本発明のイソシアヌラート改質ポリウレタンフォームは芳香族ポリエステルポ
リオールのみから製造した先行技術のものより脆破性が低く、表面硬化性および
接着性などの物理的特性が改善されている。それらは特に、フォームを1または
それ以上の不燃性スキンに適用する建築用パネルの製造に有用である。
米国特許第4302551号には、硬質ポリイソシアヌラートフォームの製造に際し
ポリマー分散液を使用することが記載されている。これらのポリマー分散液は連
続相と分散相からなり、連続相としてポリエステルポリオールを使用できる。本
発明はポリマー分散液を用いて実施するのではない。
米国特許第4859523号には、粘弾性樹脂(したがって硬質ポリイソシアヌラー
トフォームではない)の製造に際し芳香族ポリエステルポリオールを脂肪族ポリ
エステルポリオールと共に使用することが記載されている。
フランス特許第4859523号は、熱可塑性ポリエステル−ウレタン(したがって
硬質ポリイソシアヌラートフォームではない)の製造に際し脂肪族ポリエステル
ポリオールと芳香族ポリエステルポリオールの混合物を使用することが記載され
ている。
本明細書中で用いるイソシアナート指数という用語は、フォーム配合物中に存
在する反応性水素原子(存在する水に由来するものを除く)に対するNCO基の
モル比を%として表示したものとする。
本発明に用いるためのポリエステルポリオールは、有利には1.8〜8、好ま
しくは1.8〜5、最も好ましくは2〜2.5の平均官能価をもつ。それらのヒ
ドロキシル価は、一般に15〜750、好ましくは30〜550、より好ましく
は200〜550mg KOH/gの範囲内にある。好ましくはポリエステルポ
リオールは酸価0.1〜20mg KOH/gであり、一般に酸価は90mgK
OH/gに及んでもよい。
本発明のポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸、または酸誘導体、たと
えばポリカルボン酸の無水物もしくはエステルと、ポリオール成分から、既知の
方法で製造できる。ポリエステルポリオールを製造する際に、ポリ酸および/ま
たはポリオール成分を2種以上の化合物の混合物として使用できる。
ポリオールは脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であってよい。
低分子量脂肪族多価アルコール、たとえば炭素原子約20個以下の脂肪族二価ア
ルコールはきわめて満足できるものである。ポリオールは反応に対し不活性な置
換基、たとえば塩素および臭素置換基を所望により含むことができ、および/ま
たは不飽和であってもよい。適したアミノアルコール、たとえばモノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなども使用できる。好まし
いポリオール成分はグリコールである。グリコールは異種原子を含んでもよく(
たとえばチオジグリコール)、または炭素、水素および酸素のみからなっていて
もよい。それらは有利には一般式CnH2n(OH)2の単純グリコール、または一
般式CnH2nOx(OH)2で表されるように炭化水素鎖中に介在するエーテル結
合で区別されるポリグリコールである。適した多価アルコールの例には以下のも
のが含まれる:エチレングリコール、プロビレングリコール−(1,2)および
−(1,3)、ブチレングリコール−(1,4)および−(2,3)、ヘキサンジ
オール−(1,6)、オクタンジオール−(1,8)、ネオペンチルグリコール
、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパ
ンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール−(1,
2,6)、ブタントリオール−(1,2,4)、キノール、メチルグルコシド、
請求の範囲
1.有機ポリイソシアナート組成物とイソシアナート反応性組成物をイソシア
ナート指数180〜380%で発泡剤の存在下に反応させることを含む、硬質イ
ソシアヌラート改質ポリウルタンフォームの製造方法であって、イソシアナート
反応性組成物が50重量%未満の芳香族性を有する脂肪族ポリエステルポリオー
ルおよび少なくとも50重量%の芳香族性を有する芳香族ポリエステルポリオー
ルを含み、かつ該方法がポリマー分散液の不在下で実施されることを特徴とする
方法。
2.イソシアナート指数が200〜270%である、請求項1記載の方法。
3.イソシアナート指数が220〜250%である、請求項2記載の方法。
4.ポリエステルポリオールが約1.8〜8の平均官能価および約15〜75
0mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、請求項1〜3のいずれか1項記
載の方法。
5.ポリエステルポリオールがポリカルボン酸または酸誘導体およびポリオー
ルから製造される、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
6.ポリオールがグリコール、または炭化水素鎖中に介在するエーテル結合に
より区別されるポリグリコールである、請求項5記載の方法。
7.ポリカルボン酸または酸誘導体がアジピン酸、グルタル酸、コハク酸、フ
タル酸およびその誘導体(イソフタル酸およびテレフタル酸を含む)その他より
なる群から選択される、請求項5または6記載の方法。
8.芳香族ポリエステルポリオールの製造に用いられるポリカルボン酸が芳香
族性のものである、請求項5記載の方法。
9.芳香族ポリエステルポリオールと脂肪族ポリエステルポリオールの重量比
が80:20〜40:60である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
10.芳香族ポリエステルポリオールおよび脂肪族ポリエステルポリオールが
イソシアナート反応性化合物全体の少なくとも90重量%を構成する、請求項1
〜9のいずれか1項記載の方法。
11.有機ポリイソシアナートがポリマーMDIである、請求項1〜10のい
ずれか1項記載の方法。
12.発泡剤が炭化水素を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
13.発泡剤がn−ペンタン、イソブタン、イソペンタン、シクロペンタンま
たはそのいずれかの混合物である、請求項12記載の方法。
14.反応を三量体化触媒の存在下で実施する、請求項1〜13のいずれか1
項記載の方法。
15.請求項1〜14のいずれか1項記載の方法で得られる硬質イソシアヌラ
ート改質ポリウレタンフォーム。
16.積層品製造における請求項15記載のフォームの使用。
17.少なくとも50重量%の芳香族性を有する芳香族ポリエステルポリオー
ルおよび50重量%未満の芳香族性を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含
む、イソシアナート反応性組成物。
18.芳香族ポリエステルポリオールと脂肪族ポリエステルポリオールの重量
比が80:20〜40:60である、請求項17記載のイソシアナート反応性組
成物。
19.芳香族ポリエステルポリオールおよび脂肪族ポリエステルポリオールが
イソシアナート反応性化合物全体の少なくとも90重量%を構成する、請求項1
7または18記載のイソシアナート反応性組成物。
20.さらに発泡剤を含む、請求項17〜19のいずれか1項記載のイソシア
ナート反応性組成物。
21.さらに三量体化触媒を含む、請求項17〜20のいずれか1項記載のイ
ソシアナート反応性組成物。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
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,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
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Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI
,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,
VN
(72)発明者 マグナニ,フランコ
イタリア国イ―21100 ヴァレセ,ヴィ
ア・アグジャーリ 171