JP2000509018A - 肥満タンパク質製剤 - Google Patents

肥満タンパク質製剤

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、肥満タンパクの凍結乾燥組成物を提供する。この組成物は著明な安定性および製造容易性を示し、そして重要なことに、それを必要とする患者の処置に有用な、安定な医薬製剤の製造に役立つ。したがって本発明はさらに、肥満ならびに糖尿病、心血管疾患および癌といった肥満に関連する疾病の処置のために係る製剤を使用する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 肥満タンパク質製剤 本発明は、肥満タンパクの凍結乾燥および可溶性製剤、ならびに係る製剤を使 用する方法を目的とするものである。より詳細には、本発明は、安定性を増大さ せた凍結乾燥および可溶性製剤に関するものである。本製剤は、それを必要とす る患者への治療的投与に対して安全且つ有効である。 肥満症、特に上体肥満は、米国および世界中に共通する極めて深刻な公衆衛生 上の問題である。最近の統計によれば、米国の人口の25%以上、そしてカナダ の人口の27%が太り過ぎである。クツマルスキー、Amer.J.of Clin.Nutr.55 巻495S−502S頁(1992);リーダー等、Can.Med.Ass.J.23巻226 −233頁(1992)。上体肥満はII型真性糖尿病に対して知られている最大危 険因子であり、心血管疾患および癌に対してもやはり大きな危険因子である。肥 満症の医療費に対する近年の見積額は全世界で150,000,000,000ドルである。ア メリカの社会にはびこり尚増加しつつある脂肪蓄積との戦いを公衆衛生局長が率 先して始めた程、この問題は深刻となってきている。 この肥満症が誘発する病気の多くは、血中脂質濃度異常、高血圧およびインス リン耐性との強い関連に帰することができる。数多くの研究が、食事療法および 運動による肥満の縮小はこれらの危険因子を劇的に縮小することを証明している 。都合の悪いことに、これらの処置は大抵成功せず、失敗率は95%に達する。 この失敗は、状況が、食欲増進、高カロリー食物への嗜好、少ない身体活動、お よび脂質生成代謝の冗進に寄与する遺伝的に受け継がれた因子と強く結びついて いるという事実のためであるかも知れない。この事は、このような遺伝的素因を 受け継いでいる人々は、その状況と戦おうとする彼等の努力にも拘わらず肥満に なる傾向があることを示している。故にこの脂肪蓄積という悪条件を是正し、遺 伝形質があっても医師が肥満症患者を首尾良く処置できるような薬理学的物質が 必要である。 ob/obマウスは、第六染色体の突然変異と連鎖した常染色体上の劣性素質を持 っていることが知られている、肥満および糖尿病のモデルである。近年、イイン グ・ザングおよび共同研究者は、この状況と連鎖した該マウスの遺伝子の位置ク ローニングを公表した。イイング・ザング等、Nature、372巻425−32頁 (1994)。この報告は、脂肪組織で発現されるマウスおよびヒトタンパクを開 示した。同様に、ムラカミ等、Biochem.and Biophys.Res.Comm.、209(3)巻 944−52頁(1995)は、ラットの肥満遺伝子のクローニングおよび発現 を報告している。ob遺伝子によりコードされているタンパクは、マウスの脂肪蓄 積を効果的に調節する能力を示した。ペリーマウンター等、Science、269巻 540−543頁(1995)。 天然の肥満タンパクは肥満症に関連する満足できる因子であると推察されるも のの、このタンパクを薬学的用途のために如何に製剤化するかについては殆ど知 られていない。肥満タンパクの医薬製剤は、適当な期間活性を維持しなければな らず、容易に製造可能でなければならず、且つ、それを必要とする患者に簡便に 投与されねばならない。本発明はこのような製剤を提供する。 本発明は、肥満タンパクの凍結乾燥組成物を提供する。この組成物は著しい安 定性と製造の容易性を示し、そして重要なことに、安定な医薬製剤の製造のため に役立つ。この製剤はそれを必要とする患者の処置に役立つ。本発明はさらに、 肥満タンパクの可溶性医薬製剤を提供する。 さらに本発明は、肥満症ならびに糖尿病、心血管疾患および癌のような肥満に 関連する疾病の処置のための係る製剤の使用方法を提供する。 本発明は、肥満タンパク、およびスクロース、トレハロースまたはそれらの混 合物より成る群から選ばれる糖を含む凍結乾燥組成物を提供する。 さらに本発明は、該凍結乾燥組成物および水を含む医薬製剤を提供する。 さらに本発明は、スクロース、トレハロース、またはそれらの混合物より成る 群から選ばれる糖、ならびに肥満タンパクを含む医薬製剤を提供する。 本発明のさらなる態様は、それを必要とする患者を処置するための本発明に係 る製剤の使用方法である。 さらに別の態様は、本発明に係る凍結乾燥組成物、およびその再構成のための 薬学上許容し得る希釈剤を入れた滅菌バイアルを含む、治療上有用なキットであ る。このキットはさらに、末端使用者が再構成された調製物を注射するのに適し た装置ならびに再構成のためのおよび所望により投与のための説明書を含んでい てもよい。 第1図は、特許請求された発明の調製物を示す。 本明細書に開示され特許請求されている本発明の目的のため、以下の用語およ び略語を下のように定義する: 塩基対(bp)とはDNAまたはRNAを意味する。略語A、C、GおよびTは、 それらがDNA分子中にある場合、それぞれ(デオキシ)アデニン、(デオキシ)シ チジン、(デオキシ)グアニン、および(デオキシ)チミンヌクレオチドの5'−一 燐酸型に相当する。略語U、C、GおよびTは、それらがRNA分子中にある場 合、それぞれウラシル、シチジン、グアニンおよびチミンヌクレオシドの5'− 一燐酸型に相当する。二本鎖DNAにおいては、塩基対とはAとTまたはCとG の組み合わせを指すかも知れない。DNA/RNAヘテロ二本鎖においては、塩 基対とはTとUまたはCとGの組み合わせを指すかも知れない。 肥満タンパクまたはObタンパクとは、転写およびイントロンの除去、タンパ クへの翻訳および分泌シグナルペプチドが除去された成熟タンパク(例えば成熟 タンパクのN末端バリン−プロリンからC末端システインまで)へのプロセシン グの後の、肥満遺伝子から産生されたタンパクを意味する。マウス肥満タンパク およびヒト肥満タンパクは、ザング等、Nature、372巻425−32頁(19 94)に公表されている。ラット肥満タンパクは、ムラカミ等、Biochem.and Bi ophys.Res.Comm.、209(3)巻944−52頁(1995)に公表されている 。豚および牛の肥満遺伝子およびタンパクはEPO743321に開示されてい る。種々の霊長類の肥満遺伝子およびタンパクが米国出願番号08/71048 3、EPO764722に開示されている。これらの全ては引用により本明細書 の一部とする。本発明の新規且つ基本的な性質に影響を及ぼさないような、天然 の変異体またはフラグメント中の1またはそれ以上のアミノ酸の除去ならびに1 位のバリンへの付加(例えばリーダー配列)を包含する任意のアミノ酸の付加は 、O bタンパクの定義に包含されることが理解される。リーダー配列は、該タンパク の産生または精製を助けるN末端の1またはそれ以上のアミノ酸である。好まし いリーダー配列はMet−R1[ここでR1はPro以外の任意のアミノ酸であ るかまたは存在しない]である。Obタンパクという語はさらに、Obタンパク の様々な類似体を包含し、それらの幾つかは増強された生物学的活性または安定 性を有する。Obタンパクの類似体は、1またはそれ以上のアミノ酸置換、好ま しくは5未満の、そして最も好ましくは3未満の置換を有する天然Obタンパク である。故にObタンパクは、バシンスキー等によりWO96/23515およ びWO96/23517に開示されたタンパクを包含し、これは引用により本明 細書の一部とする。より詳細には、Obタンパクは、式(I): [式中、 28位のXaaはGlnであるかまたは存在せず; 該タンパクは以下の置換: 4位のGlnがGluで置換され; 7位のGlnがGluで置換され; 22位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 27位のThrがAlaで置換され; 28位のXaaがGluで置換され; 34位のGlnがGluで置換され; 54位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Ala またはGlyで置換され; 56位のGlnがGluで置換され; 62位のGlnがGluで置換され: 63位のGlnがGluで置換され; 68位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Ala またはGlyで置換され; 72位のAsnがGln、GluまたはAspで置換され; 75位のGlnがGluで置換され; 77位のSerがAlaで置換され; 78位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 82位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 97位のHisがGln、Asn、Ala、Gly、SerまたはProで置 換され; 100位のTrpがAla、Glu、Asp、Asn、Met、Ile、Ph e、Tyr、Ser、Thr、Gly、Gln、ValまたはLeuで置換され ; 101位のAlaがSer、Asn、Gly、His、Pro、Thrまたは Valで置換され; 102位のSerがArgで置換され; 103位のGlyがAlaで置換され; 105位のGluがGlnで置換され; 106位のThrがLysまたはSerで置換され; 107位のLeuがProで置換され; 108位のAspがGluで置換され; 111位のGlyがAspで置換され; 118位のGlyがLeuで置換され; 130位のGlnがGluで置換され; 134位のGlnがGluで置換され; 136位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Al aまたはGlyで置換され; 138位のTrpがAla、Glu、Asp、Asn、Met、Ile、Ph e、Tyr、Ser、Thr、Gly、Gln、ValまたはLeuで置換され ;または、 139位のGlnがGluで置換されている; のうち少なくとも1個を有する] で示されるタンパクまたはその薬学上許容し得る塩を包含する。 プラスミド−−染色体外の自立的に複製する遺伝的要素。 リーディングフレーム−−翻訳が起こるヌクレオチド配列は、tRNA、リボ ゾームおよび付随因子という翻訳装置により、三つ組で読み取られ、各々の三つ 組は特定のアミノ酸に対応している。各三つ組は別個の且つ同じ長さのものであ るため、コード化配列は3の倍数でなければならない。塩基対の挿入または除去 (フレームシフト突然変異と呼称される)は、同じDNAセグメントによりコー ドされる2個の異なるタンパクを導くことになるかも知れない。これを防ぐこと を確実とするため、所望のポリペプチドに対応する三つ組コドンは、開始コドン から3の倍数で並べられなければならない。即ち、正しい「リーディングフレー ム」が維持されねばならない。キレート化ペプチドを含む融合タンパクを作り出 す場合、構造タンパクをコードしているDNA配列のリーディングフレームは、 このキレート化ペプチドをコードしているDNA配列において維持されねばなら ない。 組換えDNAクローニングベクター−−プラスミドおよびファージを包含する がこれらに限定されない任意の自立的に複製する物質であって、1またはそ れ以上のさらなるDNAセグメントが付加され得るまたは付加されているDNA 分子を含む。 組換えDNA発現ベクター−−プロモーターが組み込まれている任意の組換え DNAクローニングベクター。 レプリコン−−プラスミドまたはその他の、ベクターの自立複製を調節しそれ を可能にするDNA配列。 転写−−DNAのヌクレオチド配列に入っている情報が相補的RNA配列に移 される過程。 翻訳−−メッセンジャーRNAの遺伝情報を用いてボリペプチド鎖の合成を特 定し指令する過程。 ベクター−−細胞の形質転換のために遺伝子操作において用いられるレプリコ ンであって適当なタンパク分子に対応するポリヌクレオチド配列を持ち、それは 、適当な調節配列と合する時、形質転換されるべき宿主細胞に特定の性質を付与 する。プラスミド、ウイルス、およびバクテリオファージは、それら自身レプリ コンであることから、好適なベクターである。異なる供給源からのDNA分子を 制限酵素およびリガーゼを用いて切断および接続することにより、人工的なベク ターが組み立てられる。ベクターには、組換えDNAクローニングベクターおよ び組換えDNA発現ベクターが包含される。 処置する−−本明細書中では、疾病、状態、または障害と戦う目的のための患 者の管理および看護を描写し、症状もしくは合併症の発生を防止し、症状もしく は合併症を軽減し、またはその疾病、状態もしくは障害を取り除くために本発明 に係るタンパクを投与することを包含する。本明細書中使用される処置とは、美 容目的のための本タンパクの投与を包含する。美容目的とは、身体の外観を改善 するために哺乳動物の体重の調節を求めるものである。 等張性物質−−等張性物質とは、生理学的に寛容され、細胞膜を横切る正味の 水の流れを防ぐために製剤に適切な張性を与える物質を意味する。このような目 的のためには、グリセリンのような化合物が既知の濃度で一般に使用される。そ の他の使用され得る等張性物質は、塩類、例えばNaCl、デキストロースお よびラクトースを包含する。 生理学的に寛容され得る緩衝剤−−生理学的に寛容され得る緩衝剤は当分野で 知られている。生理学的に寛容され得る緩衝剤は、TRIS、酢酸ナトリウム、 燐酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アルギニンまたはグリシンを包含する。 緩衝剤の選択および濃度は当分野で知られている。 薬学上許容し得る保存剤−−複数回使用の非経口製剤は、商業的に存立し得る 製品であるために、保存剤の有効性のガイドラインに適合しなければならない。 非経口製剤中で許容され得るとして当分野で知られる薬学上許容し得る保存剤は 、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、クロロ ブタノール、p−クレゾール、硝酸フェニル水銀、チメロサールおよびそれらの 様々な混合物を包含する。その他の保存剤は、例えばK.-H.ワルハウザー、Devel op.Biol.Standard.、24巻、9−28頁(バーゼル、S.クレイガー、1974 )に見出すことができる。保存剤の有効性を達成するのに要する濃度は、使用さ れる保存剤および製剤の状態に依存する。 本明細書中使用されるヌクレオチドおよびアミノ酸の略語は、37C.F.R .§1.822(b)(2)(1993)に開示されるように米国特許商標庁により認められて いる。別途記載の無い限りアミノ酸はL立体配置である。 上記のように、本発明は、肥満タンパクおよびスクロース、トレハロース、ま たはそれらの混合物から選ばれる糖を含む凍結乾燥および可溶性医薬製剤を提供 するものである。 本発明に係る好ましいタンパクは、式I: [式中、 22位のAsnはGlnまたはAspで置換されており; 27位のThrはAlaで置換されており; 54位のMetはメチオニンスルホキシド、LeuまたはAlaで置換されて おり; 68位のMetはメチオニンスルホキシドまたはLeuで置換されており; 72位のAsnはGlnまたはAspで置換されており; 78位のAsnはGlnまたはAspで置換されており; 82位のAsnはGlnまたはAspで置換されており;または、 136位のMetはメチオニンスルホキシド、LeuまたはIleで置換され ている] で示されるタンパクである。 さらに別の好ましいタンパクは、式I: [式中、 22位のAsnはGlnまたはAspで置換されており; 27位のThrはAlaで置換されており; 54位のMetはLeuまたはAlaで置換されており; 68位のMetはLeuで置換されており; 72位のAsnはGlnまたはAspで置換されており; 78位のAsnはGlnまたはAspで置換されており; 82位のAsnはGlnまたはAspで置換されており;または、 136位のMetはLeuまたはIleで置換されている] で示されるタンパクである。 式Iのうち好ましいものは、所望によりリーダー配列を有するものおよび配列 番号2および配列番号3のものを包含する: 最も重要なこととして、本発明に係る他の好ましいタンパクは、配列番号1の タンパクのアミノ酸残基97〜111および/または138に対する特定の置換 である。したがって、好ましい態様は、 97位のHisがGln、Asn、Ala、Gly、SerまたはProで置 換され; 100位のTrpがAla、Glu、Asp、Asn、Met、Ile、Ph e、Tyr、Ser、Thr、Gly、Gln、ValまたはLeuで置換され ; 101位のAlaがSer、Asn、Gly、His、Pro、Thrまたは Valで置換され; 102位のSerがArgで置換され; 103位のGlyがAlaで置換され; 105位のGluがGlnで置換され; 106位のThrがLysまたはSerで置換され; 107位のLeuがProで置換され; 108位のAspがGluで置換され; 111位のGlyがAspで置換され; 138位のTrpがAla、Glu、Asp、Asn、Met、Ile、Ph e、Tyr、Ser、Thr、Gly、Gln、ValまたはLeuで置換され ている; より成る群から選ばれる少なくとも1個の置換を有する式Iのタンパクを含む化 合物またはその薬学上許容し得る塩である。 より好ましいタンパクは、100位のTrpがAla、Glu、Asp、As n、Met、Ile、Phe、Tyr、Ser、Thr、Gly、Glnまたは Leuで置換されているタンパクである。 本発明に係る、最も好ましいものは、96位のCysと146位のCysとの 間にジスルフィド結合を有するタンパクである。最も好ましいものの例は、配列 番号4−10で示されるものを包含する: またはその薬学上許容し得る塩。 またはその薬学上許容し得る塩。 またはその薬学上許容し得る塩。 またはその薬学上許容し得る塩。 またはその薬学上許容し得る塩。 またはその薬学上許容し得る塩。 またはその薬学上許容し得る塩。 本発明は、糖、特にスクロースおよび/またはトレハロースが肥満タンパクの 製剤中に存在するとその製剤の安定性が改善されるという観察に基づいている。 即ち、凍結乾燥製剤において、本明細書に記載される条件の下では高分子量タン パク(HMWP)の形成および該タンパクの二量体の形成が最小限となる。可溶 性製剤においては、凝集の度合いが有意に減少する。 安定性はその性格が化学的または物理的のいずれであっても良い。タンパク薬 剤の化学的安定性は、アミノ酸側鎖およびタンパクバックボーンが幾つかの分解 過程を受ける傾向の関数であって、その分解過程には、脱アミド化(例えばAs n、Gln)、高分子量ポリマー形成(例えばCys、N−末端アミノ基)、酸化( 例えばMet、Cys)、および一次配列のクリップ(例えばAsp−Pro)が 包含されるが、これらに限定される訳ではない。化学的分解の程度は、タンパク が暴露される状態および暴露の存続時間と直接関係する。化学的安定性は、タン パクの環境、例えば温度、湿度、およびpHの変化によって向上し得る。化学的 経時分解を制御する能力は、患者の摂取する医薬品の品質を改善し、より高い純 度および加工規模を可能にし、そしてその製品を使用する際の患者の順応性を高 くさせることによる競争上の有位性を提供する。 タンパク性医薬品の物理的安定性は、可溶性または懸濁性の製品に起こり得る ゲル化、凝集または沈澱化、および/またはフロキュレーションに関係している 。 物理的分解の程度は、そのタンパク/製品が暴露される状態およびその暴露の持 続時間の関数である。物理的安定性は、タンパクの環境、例えば温度、湿度、イ オン強度、およびpHの変化によって向上し得る。物理的分解を制御する能力は 、患者の摂取する医薬品の品質を改善し、より高い純度および加工規模を可能に し、そしてその製品を使用する際の患者の順応性を高くさせることによる競争上 の有位性を提供する。 驚くべき事に、肥満タンパクはスクロース、トレハロースまたはそれらの混合 物の存在下では際立って安定であるが、そのままでは、またはタンパク製剤にお ける既知の賦形剤であるマンニトールおよび/またはトゥイーンの存在下ではず っと安定性が低い。本明細書に記載される凍結乾燥製剤の安定性は第1表に示さ れる。本明細書に記載される可溶性製剤の安定性は第2表に示される。第2表に おいて、安定性は凝集タンパクの相対的不在によって評価される。凝集の度合い はその製剤の濁度を測定することにより推断される。製剤の濁度が高い程凝集の 程度が高い。濁度は一般に比濁分析によって決定され、比濁的濁度単位(NTU )で測定される。タンパクの可溶性もまた、分光光度分析、色素結合タンパク検 定、または動的光分散(DLS)を包含するその他の既知の方法によって可溶性 タンパクの濃度を測定することにより直接決定することができる。 本製剤の安定性を第1表に示す: 第1表:配列番号4のタンパクの、高分子量タンパク、二量体、および主ピー クの結果。各々の凍結乾燥製剤は、賦形剤6mg、タンパク1.5mg、および Na2HPO4およそ0.02gをpH7.8で含有していた。トゥイーンは0. 05%添加した。 (nd)は測定されなかったことを表す。 第1表のデータは、トレハロースおよび好ましくはスクロースの存在下での肥 満タンパクの著しい安定性を示している。 第2表:種々の温度における、配列番号4のタンパクを含む可溶性製剤の濁度 に及ぼすスクロースの効果。スクロースの他に、各製剤は、タンパク10mg/mL および5mMアルギニン緩衝剤(pH8.5)を含有していた。製剤の濁度は、ハ ッチ・ホルマジン濁度標準、4000NTU(ハッチ2461−11、または同 等)で検定したハッチ比濁計(モデル18900、または200を超える値に対 しては2100N)を用いる比濁分析により測定した。値は、試料の読みから希 釈剤ブランクの読みを差し引いた比濁的濁度単位(NTU)である。 特許請求される組成物は、常套的溶解、混合および凍結乾燥技術を用いて製造 される。一般に凍結乾燥組成物は、水、肥満タンパク、および、スクロース、ト レハロースまたはそれらの混合物より成る群から選ばれる糖を合し、得られた溶 液を凍結乾燥して、3%(重量)未満、好ましくは1%(重量)未満の水を含む 製品を得ることを含む工程によって製造される。例えば、水、糖、およびタンパ クを約7.0〜8.5のpH、好ましくはpH7.0〜7.8で合し、このタン パクおよび糖が溶液となるまで攪拌する。糖がトレハロースである場合、この製 剤は酸性条件、即ちpH4.0〜pH7.0の範囲で製造することができる。次 いでこの溶液を凍結乾燥して、特許請求されている凍結乾燥組成物を生成させる 。 特許請求される組成物中の肥満タンパク対糖の重量比は1:0.5〜1:20 、好ましくは1:1〜1:15、より好ましくは1:1〜1:10、そして最も 好ましくは1:1〜1:6である。好ましい態様において、タンパク−糖の溶液 は、例えば生理学上許容し得る緩衝剤を含有する。好ましい緩衝剤は燐酸緩衝剤 、最も好ましくは燐酸ナトリウムである。タンパク、緩衝剤、および糖を加える 順序は本発明にとって重要ではない。さらに、当業者は、凍結乾燥された溶液が 当組成物の安定性を損なわない量の他の成分を含有して良いことが理解できるで あろう。 得られた組成物は、投与に先立ち水で再構成される。好ましくは当組成物は、 水、薬学上許容し得る緩衝剤および等張化剤を含む希釈剤中で、約7.0〜8. 5のpH、好ましくはpH7.8で再構成される。この組成物は、個別的にまた は他の治療物質と組み合わせて調合および投与される。 本発明はさらに、凍結乾燥された組成物および水を含む医薬製剤をも包含する 。好ましい態様において本発明に係る医薬製剤は、さらに、薬学上許容し得る緩 衝 剤、等張化剤、および所望により薬学上許容し得る保存剤を含む。薬学上許容し 得る保存剤は、保存有効性を維持するに要する濃度である。保存有効性を維持す るに要する保存剤の相対量は、使用される保存剤に応じて異なる。一般に、必要 とされる量はK.-H.ワルハウザー、Develop.Biol.Standard.、24巻9−28頁 (バーゼル、S.クレーガー、1974)に見出すことができ、これは引用して本 明細書の一部とする。 一般に、等張化剤、好ましくはグリセリンを本製剤に添加する。等張化剤の濃 度は非経口製剤の分野で知られる範囲であり、好ましくは約16mg/mLのグリセ リンである。本製剤のpHはまた、生理学上寛容し得る緩衝剤を用いて緩衝化す ることができる。許容し得る生理学上寛容し得る緩衝剤は、TRIS、酢酸ナト リウム、燐酸ナトリウム、またはクエン酸ナトリウムを包含する。緩衝剤の選択 および濃度は当分野で既知であり、希釈剤中に存在させそして/または再構成前 の凍結乾燥固体中に存在させることができる。 その他の添加物、例えばトゥイーン20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン モノラウリン酸エステル)、トゥイーン40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン モノパルミチン酸エステル)、トゥイーン80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタ ンモノオレイン酸エステル)、プルロニックF68(ポリオキシエチレンポリオキ シプロピレンブロック共重合体)、BRIJ35(ポリオキシエチレン(23)ラウリ ルエーテル)、およびPEG(ポリエチレングリコール)のような薬学上許容し 得る賦形剤を、凝集を減らすために所望により本製剤に添加することができる。 再構成された時、本製剤は、好ましくは肥満タンパク約0.1〜10mg/mL; 約0.6〜60mg/mLの濃度のスクロース、トレハロースまたはそれらの混合物 ;そして好ましくは14mMの濃度の燐酸ナトリウムおよび16mg/mLの濃度のグ リセリンを含有する。最も好ましい製剤は、タンパク10mg/mL、スクロース6 0mg/mL、燐酸塩14mM、グリセリン16mg/mLである。本製剤の好ましいpHは pH7.0〜8.5、好ましくは7.8である。 本発明に係る製剤の製造を第1図でさらに説明する。 本発明に係る肥満タンパク調製物は、投与可能な製剤を作り出すためには末端 使用者がこの組成物を単に滅菌水中で再構成しさえすれば良いという意味で完全 なものである。この目的のために、そして本発明に別の態様に従うと、本発明に 係る凍結乾燥組成物を入れた滅菌バイアル、およびそれを再構成するための薬学 上許容し得る希釈剤を含む、治療上有用なキットが提供される。このキットはさ らに、末端使用者により再構成された調製物を注射するのに適した器具、ならび に再構成のためおよび所望により投与のための説明書を含んでいて良い。薬学上 許容し得る希釈剤は一般に当業者に知られている。好ましい希釈剤は、滅菌水、 等張化剤、生理学上寛容し得る緩衝剤、および所望により薬学上許容し得る保存 剤を含む。好適な注射器具は、皮下注射針、例えば25ゲージ針、および約0. 5〜5mL、または複数回投与用製剤が所望の場合にはより大容量の溶液を入れる ことのできる注射筒である。 使用の際、末端使用者は、希釈剤を注射器具の中に吸い上げ、この希釈剤を凍 結乾燥組成物の入ったバイアル中に移して混合と固体の再構成を行う。一般に、 目視により溶解するまで組成物を混合する。混合後、末端使用者は、医師が処方 した方法と量でこの製剤を注射する。 本化合物の非経口日用量は、体重1kg当たり約1ng〜約10mgの範囲であ るが、より低いまたは高い用量が投与されることもある。必要とされる用量は医 師により決定され、患者の状態の重篤度、ならびに患者の身長、体重、性別、年 齢、および病歴といった判断基準に依存するであろう。 本発明で使用されるタンパクは、古典的(溶液)方法、固相法、半合成法、お よびより最近の組換えDNA法を包含する、種々の認められているペプチド合成 技術のうち任意のものによって製造することができる。高収量を望むのであれば 組換え法が好ましい。タンパクの組換え産生の基本的工程は、 a)肥満タンパクをコードしている合成または半合成DNAを構築し(または 天然供給源から単離し)、 b)単独または融合タンパクとしてのいずれかで当該タンパクを発現させるの に適した方法でコード化配列を発現ベクター中に組み込み、 c)この発現ベクターを用いて適当な真核または原核宿主細胞を形質転換し、 そして、 d)組換えにより産生されたタンパクを回収および精製する、 事を包含する。そのインビトロまたはインビボの転写および翻訳が当該タンパク の産生をもたらすであろう合成遺伝子は、当分野で良く知られる技術によって構 築することができる。遺伝コードの天然の縮重のため、当業者は、所望タンパク をコードしている、かなりの大きさの、それでいて一定の数のDNA配列を構築 し得ることが理解できるであろう。本発明の好ましい実施において、合成は組換 えDNA技術によって達成する。 合成遺伝子の構築の方法論は当分野で良く知られている。例えば、ブラウン等 (1979)、Methods in Enzymology、アカデミック・プレス、N.Y.、68巻109 −151頁を参照されたい。特許請求されている合成タンパク遺伝子に対応する DNA配列は、アプライド・バイオシステムズ・モデル380Aまたは380B DNAシンセサイザー(アプライド・バイオシステムズ、Inc.、850リンカー ン・センター・ドライヴ、フォスター・シティー、CA94404より市販品が 入手可能)のような常套的DNA合成装置を用いて生成することができる。幾つ かの適用においては、例えばシグナルペプチドと構造タンパクとの間に、融合タ ンパク構築物からのシグナルペプチドの制御された切除を容易にする、都合の良 いプロテアーゼ感受性開裂部位が組み入れられるよう、肥満タンパクのコード化 配列を修飾することが望ましいかも知れない。 肥満タンパクをコードしている遺伝子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を 使用することにより作り出すこともできる。鋳型はcDNAライブラリー(クロ ンテクまたはストラタジーンより市販品が入手可能)、または所望の脂肪組織か ら分離したmRNAとすることができる。このような方法は、マニアティス等、 Molecular Cloning:A Laboratory Manual、コールド・スプリング・ハーバー・ プレス、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリン グ・ハーバー、ニューヨーク(1989)の文献中で良く知られている。 構築されたまたは分離されたDNA配列は、直接発現によるまたは融合タンパ クとしての肥満タンパクの発現に有用である。この配列が融合遺伝子中で使用さ れる場合、得られる生成物は酵素的または化学的開裂を必要とするであろう。ポ リペプチドを特異的部位で開裂する、またはペプチドをそのペプチド鎖のアミノ またはカルボキシ末端(例えばジアミノペプチダーゼ)から消化する様々なペプ チダーゼが知られている。さらに、特定の化学物質(例えば臭化シアン)はポリ ペプチド鎖を特定の部位で開裂するであろう。当業者は、アミノ酸配列(および もし組み換え手段が用いられるならば合成または半合成コード化配列)に部位特 異的内部開裂部位を組み込むために必要な修飾が理解できるであろう。米国特許 第5126249号;P.カーター、「タンパク精製:分子機作から大規模工程まで」 第13章、融合タンパクの部位特異的タンパク分解、アメリカン・ケミカル・So c.、ワシントンD.C.(1990)を参照されたい。 所望のコード化および調節配列を含む好適なベクターの構築は、標準的ライゲ ーション技術を使用する。単離されたプラスミドまたはDNAフラグメントを開 裂し、整え、そして必要なプラスミドを形成させるために望まれる形に再ライゲ ーションする。 所望タンパクの翻訳を遂行するため、作り上げられた合成DNA配列を、適当 な制限エンドヌクレアーゼを使用することにより、過剰の適当な組換えDNA発 現ベクターのいずれかの中に挿入する。合成コード化配列は、これらの発現およ び増幅および発現プラスミドからの単離ならびにこれらの中への組み込みを容易 にするため、制限エンドヌクレアーゼ開裂部位を転写物のいずれかの末端に有す るよう設計することができる。単離されたcDNAコード化配列は、当分野で知 られる技術により、この配列を所望のクローニングベクター中に組み込む事を促 進するための合成リンカーを使用して、容易に修飾することができる。使用され る特定のエンドヌクレアーゼは、使用すべき親の発現ベクターの制限エンドヌク レアーゼ開裂パターンによって指定されるであろう。制限部位は、コード化配列 を調節配列と適正に配向させて該タンパクの適切なフレーム内読み取りおよび発 現が達成されるように選択される。 一般に、宿主細胞と両立し得る種から誘導されるプロモーターと調節配列とを 含むプラスミドベクターが、これらの宿主と共に使用される。ベクターは通常、 複製起点、ならびに形質転換された細胞に表現型の選択を提供することのできる マーカー配列を持っている。例えば大腸菌は、典型的には、大腸菌種から誘導さ れるプラスミドpBR322を用いて形質転換される(ボリヴァー等、Gene、2 巻95頁(1977))。プラスミドpBR322はアンピシリンおよびテトラサ イクリン耐性のための遺伝子を持っており、したがって形質転換された細胞を同 定する容易な手段を提供する。pBR322プラスミド、またはその他の微生物 プラスミドはさらに、組換えDNA技術で一般的に使用されるプロモーターおよ びその他の調節エレメントを持っていなければならず、またはそれらを持つよう 修飾されねばならない。 所望のコード化配列は、プロモーターおよびリボゾーム結合部位から、転写さ れるべき適切な向きで発現ベクター中へ挿入されるが、この両者はタンパクが発 現されるべき宿主細胞において機能的であらねばならない。このような発現ベク ターの一例は、ベラガジェ等、米国特許第5304493号に記載のプラスミド であり、この教示は引用して本明細書の一部とする。米国特許第5304493 号に記載のA−C−Bプロインスリンをコードしている遺伝子は、制限酵素Nde IおよびBamH Iを用いてプラスミドpRB182から取り外すことができる。 単離されたこのDNA配列は、Nde I/BamH I制限フラグメントカセット上で プラスミドバックボーン中に挿入することができる。 一般に、本発明に有用なベクターを構築する際のDNA配列のクローニングの ためには原核生物を使用する。例えば、E.coli K12菌株294(ATCC No. 31446)が特に有用である。使用され得るその他の微生物菌株には、E.coli BおよびE.coli X1776(ATCC No.31537)が包含される。これら の例は限定的ではなく例示的なものである。 原核生物は発現にも使用される。上記の菌株ならびにE.coli W3110(原栄 養性、ATCC No.27325)、バチルス・サブティリスのようなバチルス属 、およびその他のサルモネラ・ティフィムリウムまたはセラティア・マルセスキ ャンスのような腸内細菌科、ならびに種々のシュードモナス種が使用され得る。 原核生物宿主との使用に好適なプロモーターは、β−ラクタマーゼ(ベクターp G X2907[ATCC39344]はレプリコンおよびβ−ラクタマーゼ遺伝子 を含む)およびラクトースプロモーター系(チャング等、Nature、275巻61 5頁(1978);およびゲッデル等、Nature、281巻544頁(1979))、ア ルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(ベクターp ATH1[ATCC37695]は、このtrpプロモーターの調節下にtrp E融合タンパクとしてオープンリーディングフレームの発現を促進するよう設計 される)ならびにtacプロモーター(プラスミドpDR540 ATCC−37 282から単離可能)のようなハイブリッドプロモーターが包含される。しかし 、そのヌクレオチド配列が一般に知られているその他の機能的細菌プロモーター もまた、当業者が、任意の必要な制限部位を供給するためのリンカーまたはアダ プターを使用して、タンパクをコードしているDNAにそれらをライゲーション することを可能にさせる。細菌系で使用するためのプロモーターはさらに、タン パクをコードしているDNAと機能的に連結したシャイン−ダルガルノ配列を含 むであろう。 このDNA分子はまた、真核生物発現系で組換え的に産生することもできる。 哺乳動物宿主細胞中での転写を調節する好ましいプロモーターは、様々な供給源 、例えばポリオーマ、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レト ロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはサイトメガロウイルスとい ったようなウイルスのゲノムから、またはヘテロローガスな哺乳動物プロモータ ー、例えばβ−アクチンプロモーターから取得することができる。SV40ウイ ルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点をも含むSV 40制限フラグメントとして都合良く得られる。フィアス等、Nature、273巻 113頁(1978)。SV40ゲノムの全体は、プラスミドpBRSV、ATC C45019から得ることができる。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモ ーターはプラスミドpCMBb(ATCC77177)から得ることができる。 無論、その宿主細胞または関連種由来のプロモーターもまた本発明において有用 である。 高等真核生物によるDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入す ることにより増強される。エンハンサーは、通常約10〜300bpの、DNA のシス作動性エレメントであって、プロモーターに作用してその転写を増強する 。エンハンサーは比較的に向きおよび位置に依存せず、転写ユニットの5'(L. ライミンズ等、PNAS、78巻993頁(1981))および3'(M.L.ラスキー等 、Mol.Cell Bio.、3巻1108頁(1983))に、イントロン内部に(J.L.バネ ルジ等、Cell、33巻729頁(1983))、そしてコード化配列自身の内部に (T.F.オズボーン等、Mol.Cell Bio.、4巻1293頁(1984))見出されて いる。現在多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子から知られている(グロビ ン、RSV、SV40、EMC、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテ インおよびインスリン)。しかしながら典型的には真核生物細胞ウイルスからの エンハンサーが使用されるであろう。例には、SV40後期エンハンサー、サイ トメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側にあるポリ オーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが包含される。 真核宿主細胞(酵母、菌類、昆虫、植物、動物、ヒトまたはその他の多細胞生 物由来の有核細胞)に使用される発現ベクターはまた、mRNA発現に影響を及 ぼし得る、転写の終止に必要な配列をも含むであろう。これらの領域は、mRN Aコード化タンパクの非翻訳部分中のポリアデニル化されたセグメントとして転 写される。3'非翻訳領域はさらに転写終止部位をも含む。 発現ベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含み得る。哺乳動物 細胞のための好適な選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR 、これはpJOD−10[ATCC68815]のBglII/HindIII制限フラグメ ントから誘導することができる)、チミジンキナーゼ(単純ヘルペスウイルスチ ミジンキナーゼはvP−5クローン[ATCC2028]のBamH Iフラグ メント上に含まれる)またはネオマイシン(G418)耐性遺伝子(pNN41 4酵母人工染色体ベクター[ATCC37682]から取得可能)である。この ような選択マーカーが哺乳動物宿主細胞中にうまく移されると、トランスフェク トされたその哺乳動物宿主細胞は選択圧の下に置かれた場合に生き残ることがで きる。選択処方には、広く使用される二つの明確なカテゴリーがある。第一のカ テゴリーは、細胞の代謝と、補足培地無しで生育する能力を欠く突然変異体セル ラインの 使用とに基づくものである。二つの例は、CHO DHFR ̄細胞(ATCC C RL−9096)およびマウスLTK ̄細胞(L−M(TK−)ATCC CC L−2.3)である。これらの細胞は、チミジンまたはヒポキサンチンといった 栄養素の添加無しで生育する能力を欠失する。これらの細胞は完全なヌクレオチ ド合成経路に必要な或る種の遺伝子を欠失するため、欠けているヌクレオチドを 補足培地に供給しないと生存することができない。培地を補足することに代わる 方法は、無傷のDHFRまたはTK遺伝子を各遺伝子を欠失する細胞中に導入し 、このようにしてそれらの成長に必要な条件を変えることである。DHFRまた はTK遺伝子で形質転換されなかった個々の細胞は、非補足培地で生存すること ができないであろう。 第二のカテゴリーは、任意の細胞型で用いられる選択スキームを指す優性選択 であり、突然変異体セルラインの使用を必要としない。これらのスキームは、典 型的には宿主細胞の成長を停止させる薬物を使用する。新規な遺伝子を有する細 胞は、薬物耐性を持つタンパクを発現し、選択に生き残るであろう。係る優性選 択の例は、薬物ネオマイシン(P.サザンおよびP.ベルグ、J.Molec.Appl.Genet.、 1巻327頁(1982))、ミコフェノール酸(R.C.ミュリガンおよびP.ベルグ、 Science、209巻1422頁(1980))、またはハイグロマイシン(B.ザグデ ン等、Mol Cell.Biol.、5巻410−413頁(1985))を使用する。上に挙 げた三つの例は、真核生物の調節下に、それぞれ適当な薬物G418もしくはネ オマイシン(ジェネティシン)、xgpt(ミコフェノール酸)またはハイグロマ イシンに対する耐性を運ぶ細菌遺伝子を使用する。 真核細胞の発現のために好ましいベクターはpRc/CMVである。pRc/ CMVは、インヴィトロゲン・コーポレーション、3985ソレント・ヴァレイ ・ブールヴァード、サンディエゴ、CA92121から市販品を入手できる。構 築されたプラスミド中の正しい配列を確認するため、ライゲーション混合物を用 いてE.coli K12菌株DH10B(ATCC31446)を形質転換し、成功 した形質転換体を適宜抗生物質耐性により選択する。この形質転換体由来のプラ スミドを調製し、メシング等、Nucleic Acids Res.、9巻309頁(1981) の 方法により制限および/または配列により分析する。 宿主細胞は本発明に係る発現ベクターを用いて形質転換し、そして、プロモー ターの誘導、形質転換体の選択または遺伝子の増幅に適するように修飾された常 套的栄養培地中で培養することができる。温度、pH等のような培養条件は、発 現用に選択された宿主細胞と共にかつて使用された条件であって、当業者には明 らかであろう。前記ベクターを用いて細胞を形質転換する技術は当分野で良く知 られており、マニアティス等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、コー ルド・スプリング・ハーバー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー・ラボ ラトリー、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)、または Current Protocols in Molecular Biology(1989)および増補といったよう な一般的参考文献に見出すことができる。 特許請求されたタンパクをコードしているベクターを高等真核生物中で発現さ せるために好適な好ましい宿主細胞は、SV40により形質転換されたアフリカ ミドリザル腎臓ラインセルライン(COS−7、ATCC CRL−1651); 形質転換されたヒト一次胚腎臓セルライン293(F.L.グラハム等、J.Gen.Virol .、36巻59−72頁(1977)、Virology、77巻319−329頁、Virol ogy、86巻10−21頁);新生児ハムスター腎細胞(BHK−21(C−13) 、ATCC CCL−10、Virology、16巻147頁(1962));チャイニー ズハムスター卵巣細胞CHO−DHFR ̄(ATCC CRL−9096)、マウ スセルトリ細胞(TM4、ATCC CRL−1715、Biol.Reprod.、23巻 243−250頁(1980));アフリカミドリザル腎細胞(VERO76、AT CC CRL−1587);ヒト類上皮子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL −2);イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL−34);バッファローラット肝 細胞(BRL 3A、ATCC CRL−1442);ヒト二倍体肺細胞(WI−3 8、ATCC CCL−75);ヒト肝細胞癌細胞(HepG2、ATCC HB− 8065);およびマウス乳癌細胞(MMT060562、ATCC CCL51 )を包含する。 原核生物に加えて、酵母のような単細胞真核生物の培養を使用することもでき る。サッカロミセス・セレヴィシアエ、またはパン酵母が最も普通に用いられる 真核微生物であるが、他の幾つかの菌株も広く利用可能である。サッカロミセス 中での発現のためには、例えばプラスミドYRp7(ATCC−40053、ス ティンチコウム等、Nature、282巻39頁(1979);キングズマン等、Gene 、7巻141頁(1979);チェンパー等、Gene、10巻157頁(1980)) が一般に使用される。このプラスミドは、トリプトファン中で生育する能力を欠 く酵母の突然変異菌株、例えばATCC No.44076またはPEP4−1 のための選択マーカーを提供するtrp遺伝子を既に含んでいる(ジョーンズ、G enetics、85巻12頁(1977))。 酵母宿主と共に使用するための好適なプロモーター配列は、3−ホスホグリセ ラートキナーゼ(プラスミドpAP12BD ATCC53231に見出され、 米国特許第4935350号(1990年6月19日)に記載されている)また はその他の解糖酵素、例えばエノラーゼ(プラスミドpAC1 ATCC3953 2に見出される)、グリセルアルデヒド−3−燐酸デヒドロゲナーゼ(プラスミド pHcGAPC1 ATCC57090、57091から誘導される)、チモモナ ス・モビリス(1991年3月19日発行の米国特許第5000000号)、ヘキ ソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコ ース−6−燐酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセラートムターゼ、ピルビン酸キ ナーゼ、トリオース燐酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、および グルコキナーゼのためのプロモーターを包含する。 生育条件により調節される転写というさらなる利点を有する誘導可能なプロモ ーターを含むその他の酵母プロモーターは、アルコールテヒドロゲナーゼ2、イ ソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチ オネイン(プラスミドベクターpCL28XhoLHBPV ATCC39475 上に含まれる。米国特許第4840896号。)、グリセルアルデヒド3−燐酸 デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用に関与する酵 素(プラスミドpRY121 ATCC37658上に見出されるGAL1)のた めのプロモーター領域である。酵母発現の際の使用のために好適なベクターおよ び プロモーターはさらに、R.ヒッツェマン等、欧州特許公開第73657A号に記 載されている。サッカロミセス・セレヴィシアエ由来のUAS Galのような 酵母エンハンサー(プラスミドYEpsec−−hI1β ATCC67024上 のCYC1プロモーターに関連して見出された)もまた酵母プロモーターと共に 有利に使用される。 製造例1 所望のタンパクをコードしているDNA配列を含むプラスミドをPmlIおよびB su36Iで消化する。これらの酵素の認識配列は、該タンパクのコード化領域内 のヌクレオチド275位および360位にそれぞれ存在する。クローニングベク ターはこれらの認識配列を含んでいない。その結果、PmlIおよびBsu36Iによ る制限酵素消化の後に、ベクターフラグメントに対応する一方と、タンパクコー ド化配列内部から遊離した〜85塩基対フラグメントに対応するもう一方という 2個のフラグメントのみが観察される。この配列は、91位と116位の間にア ミノ酸置換をコードしている本発明に係る任意のDNA配列によって置き換える ことができる。これらのDNA配列は、相補的塩基と、PmlIおよびBsu361で の消化により生成する末端と一致する末端とを有する2個のオリゴヌクレオチド として化学合成される。この化学合成されたオリゴヌクレオチドを当モル量(1 −10ピコモル/μL)で混合し、95度に加熱し、そして温度を徐々に20− 25度に下げることによりアニーリングさせる。アニーリングしたオリゴヌクレ オチドを標準的ライゲーション反応に使用する。ライゲーション生成物を形質転 換し、実施例1に記載のように分析する。その他の置換は適当な制限部位を用い て同様の方法で好ましく実施する。製造例2 Met Argリーダー配列を伴う配列番号4をコードしているDNA配列を 、製造例1に記載のプラスミドおよび方法を用いて取得した。このプラスミドを PmlIおよびBsu36Iで消化した。配列5'−配列番号12: にアニーリングした配列5''−配列番号11: の合成DNAフラグメントを、PmlIおよびBsu36I部位の間に挿入した。ライ ゲーション、形質転換およびプラスミド単離の後、この合成フラグメントの配列 をDNA配列分析により証明した。 上記のベクターにより細胞を形質転換する技術は当分野で良く知られており、 マニアティス等(1988)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、コール ド・スプリング・ハーバー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラ トリー、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、またはCurrent Protoc ols in Molecular Biology(1989)および増補といったような一般的参考文 献に見出すことができる。本明細書に例示されるような本発明の好ましい実施に おいて使用される大腸菌細胞の形質転換に含まれる技術は当分野で良く知られて いる。形質転換された大腸菌細胞を培養する正確な条件は、その大腸菌宿主セル ラインおよび使用される発現またはクローニングベクターの性質に依存する。例 えば、c1857熱誘導性λファージプロモーター−オペレーター領域のような 熱誘導性プロモーター−オペレーター領域を組み込んでいるベクターは、タンパ ク合成を誘導するために、培養条件において約30〜約40度の温度変化を必要 とする。 本発明の好ましい態様においては、宿主細胞としてE.coli K12 RV30 8細胞が使用されるが、他の多くのセルライン、例えばE.coli K12 L20 1、L687、L693、L507、L640、L641、L695、L814 (E.coli B)が利用可能である。次いで形質転換された宿主細胞を、発現プラ スミド上に存在する耐性遺伝子に対応する抗生物質の選択圧の下に、適当な培地 で培養する。次にこの培養を、使用した宿主セルラインに適する時間および温度 でインキュベートする。 高レベル細菌発現系で発現されるタンパクは、特徴として、顆粒または高レベ ルの過剰発現タンパクを含有するインクルージョンボディーに凝集する。クリュ ーガー等、Protein Folding、ギーラッシュおよびキング編、136−142頁( 1990)、米国科学出版の進歩のための協会、No.89−18S、ワシントンD. C.。所望のタンパク生成物のさらなる分離精製を達成するために、このようなタ ンパク凝集体は溶解されねばならない。同書。グアニジニウム−HClのような 強力な変性溶液および/または尿素のような弱い変性溶液を使用する様々な技術 を用いてこのタンパクを可溶化する。溶液中の変性剤を徐々に除去(しばしば透 析により)すると、変性されたタンパクが天然の立体配座をとるようにできる。 変性および折り畳みのための具体的な条件は、その特定のタンパク発現系および /または問題のタンパクによって決定される。 製造例3 Met Argリーダー配列を伴う配列番号4で示されるタンパクを大腸菌中 で発現し、顆粒を8M尿素および5mMシステイン中で分離した。このタンパクを 8M尿素中で陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製し、8M尿素(5mMシ ステインを含有)中への希釈およびPBSに対する完全透析によって折り畳んだ 。サイズ排除クロマトグラフィーによるこのタンパクの最終精製の後、タンパク をPBS中3〜3.5mg/mLに濃縮した。 製造例4 配列番号2で示されるタンパクをコードしているDNA配列を、化学合成され た一本鎖オリゴヌクレオチドから構築して二本鎖DNA配列を作成した。このD NA配列の構築に使用されたオリゴヌクレオチドは以下の通りである: オリゴヌクレオチド16−22を使用して、コード化配列内部のNdeI部位か ら220位のXbaI部位に至るおよそ220塩基対のセグメントを作成した。オ リゴヌクレオチド23−29を使用して、XbaI部位からBamH I部位に至るお よそ240塩基対のセグメントを作成した。 この220および240塩基対のフラグメントを構築するため、それぞれのオ リゴヌクレオチドを、通常約1−2ピコモル/mLの濃度で当モル量混合した。組 み立てに先立ち、当該セグメントの5''末端のオリゴヌクレオチドを除く全てを 、試薬の供給者により特記される条件を用いてT4DNAキナーゼを伴う標準キ ナーゼ緩衝液中で燐酸化した。混合物を95℃に加熱し、オリゴヌクレオチドの 適切なアニーリングを確実とするため、1−2時間かけて室温までゆっくりと冷 却させた。次にこのオリゴヌクレオチドを互いにライゲーションし、そしてクロ ーニングベクター中へはPUC19を使用するが、他のものはT4DNAリガー ゼを用いて操作できる。PUC19緩衝液および条件は、酵素の供給者により推 奨される緩衝液および条件とする。220塩基対フラグメント用のベクターはNd eIおよびXbaIで消化し、一方240塩基対フラグメント用のベクターは、使用 前にXbaIおよびBamH Iで消化した。このライゲーション混合物を使用してE.c oli DH10B細胞(ギブコ/BRLより市販品を入手可能)を形質転換し、形 質転換された細胞を、アンピシリン、X−galおよびIPTG100μg/mL を含有するトリプトン−酵母(TY)平板上で培養した。一夜生育させたコロニ ーをアンピシリン100μg/mLを伴う液体TY培地で生育させ、プラスミド単 離およびDNA配列分析に使用した。正しい配列のプラスミドを完全な遺伝子の 組み立てのために保存した。これは220塩基対および240塩基対フラグメン トのゲル精製、および、NdeIおよびBamH Iで線状化したPUC19中へのこ れら二つのフラグメントのライゲーションにより達成した。このライゲーション 混合物をE.coli DH10B細胞中に導入し、前記のごとく平板培養した。得ら れた形質転換体からプラスミドDNAを単離し、NdeIおよびBglIIで消化した。 大き なベクターフラグメントをゲル精製し、以下に示されるような6個の化学合成さ れたオリゴヌクレオチドから前記のごとく組み立てられたおよそ195塩基対の セグメントとライゲーションした。 このライゲーションを前記のごとく大腸菌細胞中に導入した。 得られた形質転換体由来のDNAを単離し、DNA配列分析によりその配列を 確認した。正しい配列のプラスミドをNdeIおよびBamH Iで消化し、およそ4 50塩基対の挿入物を発現ベクター中に再クローニングした。 該タンパクを大腸菌中で発現させ、単離し、そしてPBS中への希釈または8 M尿素中への希釈(共にシステイン5mMを含有させる)およびPBSに対する完 全透析により折り畳んだ。サイズ排除クロマトグラフィーによるタンパクの最終 精製の後、このタンパクをPBS中3〜3.5mg/mLに濃縮した。アミノ酸組成 を確認した。製造例5 MetArgリーダー配列を伴う配列番号4のタンパクを前記のごとく大腸菌 中で発現させ、単離し、折り畳んだ。MetArgリーダー配列を、タンパク1 mg当たり6〜10ミリ単位のdDAPの添加により開裂させた。この変換反応 は室温で2〜8時間進行させた。反応の進行を高速逆相クロマトグラフィーによ り監視した。NaOHでpHを8に調節することにより反応を停止させた。この デス(Met−Arg)タンパクをさらに、7〜8M尿素中での陽イオン交換ク ロマトグラフィーおよびPBS中でのサイズ排除クロマトグラフィーによって精 製した。サイズ排除クロマトグラフィーによるタンパクの最終精製の後、このタ ンパクをPBS中3〜3.5mg/mLに濃縮した。 好ましくは、このDNA配列は、米国特許第5126249号(引用して本明 細書の一部とする)に記載のようにMet−ArgまたはMet−Tyrをコー ドしているジペプチドリーダー配列と共に発現される。このアプローチは、タン パクの効果的な発現を容易にし、そしてカテプシンCまたはその他のジペプチジ ルペプチダーゼによる活性なタンパク型への迅速な変換を可能にする。タンパク の精製は当分野で知られる技術によるものであり、逆相クロマトグラフィー、ア フィニティークロマトグラフィーおよびサイズ排除を包含する。 以下の実施例は単に本発明の製剤の製造をさらに説明するために提供される。 本発明の範囲は以下の実施例で構成されるのみであると解してはならない。 実施例1 配列番号4で示されるタンパクのための凍結乾燥製剤は600mL調製物用のも のである。この製剤は、制御された室温、20〜25℃で製造された。20℃の 注射用水480gを1000mLビーカーに加えた。直径4.6cmのテフロンコー トされた3枚羽根プロペラを備えたライトニン混合器を用いてこの溶液を275 rpmで攪拌した。二塩基性燐酸ナトリウム七水和物0.165g、および低エン ドトキシンレベルの高純度スクロース27.02gをそれぞれ加え、およそ1 5分間溶解するまで攪拌した。pHを調べたところおよそ8.3であった。溶液 のpHを調べ、10%HClでpH7.8に調節した。滅菌水(注射用水)を加 え、溶液を610.8gとした。溶液を、5Lの加圧容器を用いて0.22μm ミリパック20フィルターで20psiにて無菌濾過した。この溶液のタンパク濃 度をUV分光分析により測定した。εmax=0.533AU・(mg/mL)-1・ cm-10充填容量をバイアル当たりタンパク16mgとなるよう調節した。この バイアルに凍結乾燥用の栓を施し、5℃の棚へと入れた。棚に入れた後、温度を −5℃に調節し、1時間保持した。棚温度を−45℃に調節し、熱電対の読みが 1時間の間−35℃またはそれ以下となるまで待つことにより、完全な凍結を達 成した。凍結乾燥は、棚温度−20℃および圧力85ミクロンで進行する。熱電 対が−22℃に達し4時間維持した時に一次乾燥が完成した。二次乾燥は、棚温 度を0℃に1時間設定し、次いで棚温度を+35℃に調節することにより開始さ せた。熱電対が30℃に達し4時間維持されるまで棚温度を35℃に保持した。 二次乾燥の後、部屋を窒素ガスで満たし、バイアルに栓を施し蓋をかぶせた。 実施例2 配列番号4で示されるタンパク(以後、タンパクNo:4)を含有する可溶性製 剤を作成するため、凍結乾燥した固体のバルク材料を、まず、緩衝剤、例えばア ルギニン(11mM)を含有する水にアルカリ性のpH条件で溶解した(保存液1) 。最大スペクトル吸収(279nmまたは280nm)におけるタンパクNo:4 の既知の吸光係数を使用し、最大スペクトル吸収(279nmまたは280nm )を測定し、そして希釈率を利用するUV/VIS分光光度分析によって、タン パクNo:4(22mg/mL)の濃度を確定した。この固体を水に溶解することにより 、スクロースおよび保存剤m−クレゾールを含有する保存溶液を調製した(それ ぞれ保存液2および3)。保存液1のアリコート(4.5mL)を10mLメスフラ スコに加えることにより、タンパクNo:4を10mg/mL含有する製剤を製造した。 保存液2のアリコート(1.0mL)、保存液3のアリコート(3.0mL)、および水 を順に加えた。充分な水を加えて最終容量を10mLに調節した。この溶液のpH を調べ、必要ならば、μL量の希HClまたは希NaOHでpH8.5(±0. 1)に調節した。最終的な溶液の状態は、10mg/mLのタンパクNo:4、0.3% m−クレゾール、および9または15%のスクロースでpH8.5(±0.1) であった。次いでこの溶液をバイアルに分注し、所望の温度で保存した。 本発明の原理、好ましい態様および操作方式を前記の明細書に記載してきた。し かしながら本明細書中で保護されることが意図される本発明は、開示された特定 の形に限定されるものと解してはならない。何故ならそれらは限定的ではなく説 明的であるとみなされるべきであるからである。当業者は、本発明の精神から逸 脱することなく変形および変化を施すことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 OA(BF,BJ,CF,CG, CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,T D,TG),AP(GH,KE,LS,MW,SD,SZ ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ,BA, BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU,CZ,E E,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,RO,RU,SD,SG,SI,SK,TJ,TM ,TR,TT,UA,UG,US,UZ,YU (72)発明者 ピカル,マイケル・ジェイ アメリカ合衆国06250コネチカット州 マ ンスフィールド・センター、カヤ・レイン 63番 (72)発明者 リネラ,ジョゼフ・ブイ・ジュニア アメリカ合衆国46112インディアナ州 ブ ラウンズバーグ、ローマー・ドライブ3640 番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.肥満タンパク、およびスクロース、トレハロース、またはそれらの混合物 より成る群から選ばれる糖を含む、凍結乾燥組成物。 2.該タンパクが配列番号2: で示されるタンパクであり、このタンパクが所望によりリーダー配列を有する、 請求項1に記載の組成物。 3.該タンパクが、式(I): [式中、 28位のXaaはGlnであるかまたは存在せず; 該タンパクは以下の置換: 4位のGlnがGluで置換され; 7位のGlnがGluで置換され; 22位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 27位のThrがAlaで置換され; 28位のXaaがG1uで置換され; 34位のGlnがGluで置換され; 54位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Ala またはGlyで置換され: 56位のGlnがGluで置換され; 62位のGlnがGluで置換され: 63位のGlnがGluで置換され; 68位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Ala またはGlyで置換され; 72位のAsnがGln、GluまたはAspで置換され; 75位のGlnがGluで置換され; 77位のSerがAlaで置換され; 78位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 82位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 97位のHisがGln、Asn、Ala、Gly、SerまたはProで置 換され; 100位のTrpがAla、Glu、Asp、Asn、Met、Ile、Ph e、Tyr、Ser、Thr、Gly、Gln、ValまたはLeuで置換され ; 101位のAlaがSer、Asn、Gly、His、Pro、Thrまたは Valで置換され; 102位のSerがArgで置換され; 103位のGlyがAlaで置換され; 105位のGluがGlnで置換され; 106位のThrがLysまたはSerで置換され; 107位のLeuがProで置換され; 108位のAspがGluで置換され; 111位のGlyがAspで置換され; 118位のGlyがLeuで置換され; 130位のGlnがGluで置換され; 134位のGlnがGluで置換され; 136位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Al aまたはGlyで置換され; 138位のTrpがAla、Glu、Asp、Asn、Met、Ile、Ph e、Tyr、Ser、Thr、Gly、Gln、ValまたはLeuで置換され ; または、 139位のGlnがGluで置換されている; のうち少なくとも1個を有する] で示されるタンパクまたはその薬学上許容し得る塩である、請求項1に記載の組 成物。 4.肥満タンパク、およびスクロース、トレハロース、またはそれらの混合物 より成る群から選ばれる糖を含む、医薬製剤。 5.該タンパクが配列番号2: で示されるタンパクであり、このタンパクが所望によりリーダー配列を有する、 請求項4に記載の製剤。 6.該タンパクが、式(I): [式中、 28位のXaaはGlnであるかまたは存在せず; 該タンパクは以下の置換: 4位のGlnがGluで置換され; 7位のGlnがGluで置換され; 22位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 27位のThrがAlaで置換され; 28位のXaaがGluで置換され; 34位のGlnがGluで置換され; 54位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Ala またはGlyで置換され; 56位のGlnがGluで置換され; 62位のGlnがGluで置換され: 63位のGlnがGluで置換され; 68位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Ala またはGlyで置換され; 72位のAsnがGln、GluまたはAspで置換され; 75位のGlnがGluで置換され; 77位のSerがAlaで置換され; 78位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 82位のAsnがGlnまたはAspで置換され; 97位のHisがGln、Asn、Ala、Gly、SerまたはProで置 換され; 100位のTrpがAla、Glu、Asp、Asn、Met、Ile、Ph e、Tyr、Ser、Thr、Gly、Gln、ValまたはLeuで置換され ; 101位のAlaがSer、Asn、Gly、His、Pro、Thrまたは Valで置換され; 102位のSerがArgで置換され; 103位のGlyがAlaで置換され; 105位のGluがGlnで置換され; 106位のThrがLysまたはSerで置換され; 107位のLeuがProで置換され; 108位のAspがGluで置換され; 111位のGlyがAspで置換され; 118位のGlyがLeuで置換され; 130位のGlnがGluで置換され; 134位のGlnがGluで置換され; 136位のMetがメチオニンスルホキシド、Leu、Ile、Val、Al aまたはGlyで置換され; 138位のTrpがAla、Glu、Asp、Asn、Met、Ile、Ph e、Tyr、Ser、Thr、Gly、Gln、ValまたはLeuで置換され ; または、 139位のGlnがGluで置換されている; のうち少なくとも1個を有する] で示されるタンパクまたはその薬学上許容し得る塩である、請求項4に記載の製 剤。 7.請求項1〜3のいずれかに記載の凍結乾燥組成物および水を含む医薬製剤 。 8.請求項1〜3のいずれかに記載の凍結乾燥組成物およびその再構成のため の薬学上許容し得る希釈剤を入れた滅菌バイアルを含む、治療上有用なキット。 9.注射のために好適な器具をさらに含む請求項7に記載のキット。 10.希釈剤が、滅菌水、生理学上寛容し得る緩衝剤、および所望により薬学 上許容し得る保存剤を含む、請求項8または9に記載のキット。 11.請求項4〜6のいずれかに記載の製剤をそれを必要とする患者に投与す ることを含む、肥満症の処置方法。 12.肥満症の処置に使用するための、請求項4〜6のいずれかに記載の製剤 。 13.水、肥満タンパク類似体、およびスクロース、トレハロース、またはそ れらの混合物より成る群から選ばれる糖を合し、得られた溶液を凍結乾燥するこ とを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物を製造する方法。 14.請求項12に記載の方法により製造される凍結乾燥組成物。
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