JP2000507801A - ホルモン応答性を調節するための新規製薬 - Google Patents

ホルモン応答性を調節するための新規製薬

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ホルモン応答性を変調するための、カルレチクリン(calreticulin)およびその模擬品のような単離精製されたタンパクに関するものである。これらのタンパクは遺伝子治療に、並びに癌、骨粗しょう症、および慢性的炎症を含む広範な病気を治療するための製薬を製造するのに有用である。上述のタンパクはアミノ酸シーケンスKXFFYR(ここでxはG、AまたはV)およびYはKまたはRのいずれかである)を含むか、あるいは結合している。このシーケンスは、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、レチン酸受容体、甲状腺ホルモン受容体およびビタミンD受容体を含む種々のホルモン受容体のDNA結合ドメインに存在し、そのDNA結合活性に臨界的に重要である。このシーケンスに結合するタンパクはホルモン受容体誘導遺伝子転写を阻害する。このシーケンスを含むタンパクはホルモン受容体誘導遺伝子転写を促進する。本発明はこれらのタンパクのための単離されたDNA分子、これらのタンパク類、合成ペプチド類およびそれらの模擬品を用いて病気を治療する方法、およびこれらのタンパク類、合成ペプチド類またはそれらの模擬品を含有するキットを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】 ホルモン応答性を調節するための新規製薬 発明の背景 本発明はホルモン応答性を変調するための、カルレチクリン(calreticulin) およびその模擬品のような単離精製されたタンパクに関するものである。これら のタンパクは遺伝子治療におよび癌、骨粗しょう症、および慢性的炎症を含む広 範な病気を治療するための製薬を製造するのに有用である。上述のタンパクはア ミノ酸シーケンスKXFFYR(ここでXはG、AまたはV、およびYはKまた はRのいずれかである)を含むか、あるいは結合している。このシーケンスは、 グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、アンドロゲン受容体 、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、レチン酸受容体、甲状腺ホルモ ン受容体およびビタミンD受容体を含む種々のホルモン受容体のDNA結合ドメ インに存在し、そのDNA結合活性に臨界的に重要である。このシーケンスに結 合するタンパクはホルモン受容体誘導遺伝子転写を阻害する。このシーケンスを 含むタンパクはホルモン受容体誘導遺伝子転写を促進する。本発明はこれらのタ ンパクのための単離されたDNA分子、これらのタンパク類、合成ペプチド類お よびそれらの模擬品を用いて病気を治療する方法、およびこれらのタンパク類、 合成ペプチド類またはそれらの模擬品を含有するキットを包含する。 ほ乳類の器官の生理はホルモン類によって調節されている。これらのホルモン 類にはステロイドホルモン類、甲状腺ホルモン類、ビタミン類の代謝生成物、例 えば全トランスレチン酸、9−シスレチン酸、ビタミンDおよびその代謝生成物 1,25−ジヒドロキシビタミンD3が含まれる。これらのホルモン類はタンパ クであり、遺伝子の表現を調節する細胞内受容体に結合する(O'Malley,1990)。 ホルモン類に応答する種々の受容体がある。骨芽細胞(osteoblast)および破骨 細胞はステロイドホルモン類、ビタミンDおよびレチン酸に応答する。ほ乳類の 上皮細胞および乳癌細胞はエストロゲン、プロゲステロン、レチン酸およびグル ココルチコイド類に応答する。リンパ細胞はグルココルチコイド類に応答する。 ホルモン類への受容体の応答は癌、骨粗しょう症および慢性炎症を含む多くの 病気の進行に特に重要である。例えば、ビタミンD受容体は骨粗しょう症の伸展 に密接に関係している(Morrison et al.,1994)。 ホルモン受容体ファミリーは核ホルモン受容体ファミリーと呼ばれ、リガンド が既知の受容体だけでなく、リガンドが未知の、多数の数を増しつつあるオーフ ァン(orphan)受容体からなる(O'Malley,1990)。 核ホルモン受容体類はいくつかのドメインに分けることができ、これらのドメ インにはホルモン(リガンド)結合ドメイン、DNA結合ドメインおよび転移活 性化(transactivation)ドメインがある(O'Malley,1990)。DNA結合ドメインは 2つの亜鉛フィンガーからなり、これらの受容体は、その表現を調節している遺 伝子のプロモータおよびエンハンサ領域に見出されるDNA応答エレメントに受容 体が結合するための責任を負っている。一旦ホルモンがその受容体に結合すると 、受容体はDNAに結合子、それにより遺伝子の転写を誘起する。 ホルモン受容体誘導遺伝子転写を変調するタンパク類はよくわかっていない。 そのようなタンパク類は細胞の核に存在し、ホルモンがその受容体に結合するの を阻害または促進する。特定の病気用に製薬および治療法をデザインするのを支 援するためには、特定の種の細胞内タンパク類の機能とそれらがホルモン応答性 を変調する際に果たす役割とを理解する必要がある。これらのタンパク類の単離 精製はそれらがホルモン受容体誘導遺伝子転写を阻害するのか促進するのかを評 価するのに役立つであろう。一旦そのようなタンパク類を単離すれば、そのよう なタンパク類の操作によりホルモン受容体誘導遺伝子転写をさらに阻害または促 進することができるであろう。そのようなタンパク類に結合する合成ペプチド類 を使用してホルモン受容体誘導遺伝子転写を促進することができるであろう。そ のようなペプチド類またはそれらの模擬品を含有する製薬を用いてホルモン受容 体誘導遺伝子転写を阻害することができるであろう。遺伝子治療を用いてホルモ ン受容体誘導遺伝子転写を阻害または促進することができるであろう。 ホルモン受容体類に保存されているアミノ酸シーケンスを同定して、特定のペ プチド類およびタンパク類を設計しホルモン応答性を調節するのに用いることが できるようにする必要がある。これにより、ほ乳類の細胞におけるホルモン受容 体誘導遺伝子転写を調節することにより、ほ乳類における種々の病気、障害およ び異常な身体状態を治療する方法が改善されるであろう。 ホルモン応答性の調節に使用できる一つのタンパクとしてカルレチクリンがあ る。カルレチクリンは最初骨格筋の筋小胞体の主要なCa2+貯蔵タンパクとして 同定された(Ostwald and MacLennan,1974)。その後の研究により、このタンパク は非筋肉組織の筋小胞体にも検出できることがわかった(Fliegel et al.,1989;O pas et al.,1991)。カルレチクリンは細胞の小胞体の常住タンパクであると考え られ、細胞ではカルレチクリンが高いカルシウム結合容量を持つことからカルシ ウム結合タンパクとして挙動していると考えられている(Michalak et al.,1992) 。カルレチクリンは多くの種々の機能を持つドメインを持ち、例えば高親和力・ 低容量−および低親和力・高容量−Ca2+結合サイト、C−末端KDEL小胞体保持 信号および核局在信号を有する(Michalak et al.,1992)。 カルレチクリンは細胞の核にも存在していると考えられており(Opas et al.,1 991)、意見の一致した、ヒストンタンパクのシーケンスに相同性が高い核局在シ ーケンス(Michalak.1992)を持つことが示されている。しかしながら、本発明前 には、カルレチクリンが核内に存在することは確認されておらず、核内における その機能も知られていなかった。 発明の概要 本発明はホルモン応答性を変調するのに有用な単離精製された生成物に関する 。 ある場合には、ホルモン応答性変調生成物はホルモン受容体誘導遺伝子転写を 阻害するカルレチクリンである。他の場合には、この生成物はカルレチクリンの 模擬品である。この生成物はアミノ酸シーケンスKXFFYR(ここで、XはG、Aま たはVであり、YはKまたはRである)に結合する。 他の場合には、このホルモン応答性変調生成物はカルレチクリンに対する抗体 またはカルレチクリンに結合する短いペプチドである。そのような抗体またはペ プチドは、カルレチクリン−ホルモン受容体相互作用を阻害することにより、ホ ルモン誘起遺伝子転写を促進することができる。上述のペプチドはKGFRR,KVFFK R,KAFFKR,KGFFKR,TGFFKR,KLGFFKR,KLDFFKR,KLGRFKR,KLGFFGR,KLGFFKGある いはこれらのペプチド類の修飾された誘導体よりなる群から選ばれたものであっ てもよい。 DNA応答エレメントへの受容体の結合のカルレチクリンによる阻害を選択的に 逆転する生成物は本発明の一部である。レチン酸のそのDNA応答エレメントへの 結合のカルレチクリン阻害を選択的に逆転するひとつの生成物はKLDFFKRである 。アンドロゲン受容体のそのDNA応答エレメントへの結合のカルレチクリンによ る阻害を選択的に逆転するもう一つの生成物はKLGFFGRおよびKLGFFKGよりなる群 から選ばれたものである。他のペプチド類は、当業者が他の受容体のDNA応答エ レメントへの結合のカルレチクリンによる阻害を選択的に逆転するように設計す ることができる。 本願に記載した本発明はホルモン応答性を変調するのに有用なアミノ酸シーケ ンスをコードする単離されたDNA分子を包含する。この単離DNA分子はカルレチク リンのアミノ酸シーケンスをコードしていてもよい。この単離DNA分子はそのア ミノ酸シーケンスをカルレチクリンの模擬品の一部分用に符号かしていてもよい 。第2のアミノ酸シーケンスKXFFYR(ここで、XはG,A)またはVおよびYは KまたはRである)に結合する第1のアミノ酸シーケンスをコードしていてもよ い。 本願に記載した本発明は細胞におけるホルモン受容体誘導遺伝子転写を調節す ることによりほ乳類における病気、障害および異常身体状態を治療する方法を包 含する。この方法はホルモン受容体誘導遺伝子転写に用いるタンパクの活性、量 または安定性を調節することを含む。タンパクはアミノ酸シーケンスKXFFYR(こ こで、XはG,A、またはVおよびYはKまたはRである)を含むかあるいはこ れに結合するものであってもよい。そのようなシーケンスに結合するタンパクの 一つとしては、カルレチクリンがある。ホルモン受容体はグルココルチコイド受 容体、ミネラルコルチコイド受容体、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容 体、エストロゲン受容体、レチン酸受容体、甲状腺ホルモン受容体、ビタミンD 受容体およびオーファン受容体よりなる群から選ばれたものであってもよい。 病気または障害は乳癌、前立腺癌、前骨髄球白血病、固形癌、慢性炎症例えば関 節炎、および骨粗しょう症であってもよい。 上述の病気を治療する方法はほ乳類に、タンパクまたは有機模擬品および担体 を含んでなる製薬を投与することを含んでいてもよい。上述の病気を治療する他 の方法はほ乳類に、タンパクの阻害剤と担体とを含んでなる製薬を投与すること を含んでいてもよい。適当な担体としては脂質小胞(lipid vesicle)であって もよい。あるいは、その代替法として、細胞内に存在するカルレチクリンの量を 減少したり除去したりすることを含んでいてもよく;あるいは細胞内に存在する カルレチクリンの安定を性を低下させてもよい。 本願に記載された本発明はホルモン応答性を変調するタンパクと担体とを含ん でなる製薬を含有するキットを包含する。このキットに含まれるタンパクはアミ ノ酸シーケンスKXFFYR(ここで、XはG,A、またはVおよびYはKまたはRで ある)に結合するものであってもよい。そのようなタンパクはカルレチクリンに 結合するものであってもよい。 定義 本願において、下記の用語は、文脈上他の読み方を必要としない限り、以下の 意味を有する。 「A」はアデニンを意味する。 「結合する」は与えられたイオン強度および温度条件下で、特定の生成物が基体 に結合することを意味する。 「EDTA」はエチレンジアミンテトラ酢酸を意味する。 「EGF」は表皮の成長因子を意味する。 「ELISA」は酵素結合免疫吸着アッセイを意味する。 「F」はフェニルアラニンを意味する。 「FGF」は線維芽細胞成長因子を意味する。 「G」はグリシンを意味する。 「HPLC」は高速液体クロマトグラフィを意味する。 「IGF」はインシュリン様成長因子を意味する。 「K」はリジンを意味する。 「KXFFYR」はアミノ酸シーケンスを意味し、XはG、AまたはVおよびYはKま たはRである。 「p60」は60kDaタンパク、カルレチクリンを意味する。 「PAGE」はポリアクリルアミド・ゲル電気泳動を意味する。 「ペプチド」はアミノ酸類、ペプチド類、ポリペプチド類およびタンパク類を含 む。 「R」はアルギニンを意味する。 「RXR」はレチノイドX受容体を意味する。 「T」はスレオニンを意味する。 「TGF-B」は形質転換成長因子−βを意味する。 「V」はバリンを意味する。 「VDR」はビタミンD受容体を意味する。 「VDRE」はビタミンD応答エレメントを意味する。 図面の説明 図1Aは、KLGFFKR-上のアフィニティクロマトグラフィによる核からのp60( カルレチクリン)の単離を示す。 図1Bは、カルレチクリンに対する抗体で染色したTE-85ヒト骨肉腫細胞核の 免疫蛍光共焦点像を示す。 図2Aは、精製されたp60(カルレチクリン)を組み換え受容体でプレインキ ュベートすると受容体とDNAとの間の複合体形成においてドース依存阻害が起き ることを示している。 図2Bは、組み換えカルレチクリンがアンドロゲン受容体の応答エレメントへ の結合を阻害することを示す。 図2Cはカルレチクリン含有プラスミドを共トランスフェクションするとアン ドロゲン受容体により誘導されるクロランフェニコール・アセチルトランスフェ ラーゼのドース依存阻害が起きることを示す。 図3Aは、p19EC細胞でカルレチクリンcDNAによりカルレチクリンの過表現が 、ニューロン分化クラスIIIβ−チュブリンの特異的初期マーカーの表現により 判断される、ニューロン分化を劇的に抑制したことを示す。 図3Bは、p19EC細胞でカルレチクリンcDNAによりカルレチクリンの過表現(o verexpression)が、ニューロン分化クラスIIIβ−チュブリン(tubulin)の特 異的初期マーカーの表現により判断される、ニューロン分化を劇的に抑制したこ とを示す。 図3Cは、種々のレベルのカルレチクリン表現によるp19EC細胞のニューロン 分化の変調を示す。(D)はカルレチクリンのレベルを増すとニューロン分化を 阻害することを示す。(E)はカルレチクリンのレベルを減らすとニューロン分 化が向上することを示す。 図4はカルレチクリンがVDRタンパクと相互作用してVDRホモダイマーとVDR-RX Rヘテロダイマーが特徴づけられたVDRE類に結合するのを阻害することを示す。 図4Aは、VDRとRXRb化がインビトロで翻訳され、精製されたカルレチクリン の存在下または不存在下でネズミのオステオポンチンに相当する標識されたオリ ゴヌクレオチドとインキュベートされたことを示す。 図4Bは、バキュロウィルス(vaculovirus)−表現されたVDRおよびRXRaがネ ズミのオステオカルシンVRREオリゴヌクレオチド・プローブでインキュベートさ れたことを示す。精製カルレチクリンの量を増して添加した。結合反応は7%未 変性ゲル上でのゲル・リターデーション・アッセイを用いて分析した。 図4Cは、免疫沈降反応のSDS−PAGE分析を示す。 図5は、MC3T3-E1破骨細胞分化の間のカルレチクリンの表現パターンおよび骨 髄細胞の表現形マーカーを示す。 図5Aは、エチジウムブロマイド染色したリボソームRNAがすべてのサンプル に対して等しい量であることを示す。 図5BはRNAがカルレチクリンの特異的プローブにハイブリッド化されたこと を示す。 図5Cは、オステオポンチンのプローブを用いた以外は図5Bと同様である。 図5Dは、オステオカルシンのプローブを用いた以外は図5Bと同様である。 図6は、親細胞、過表現クローンおよび対照クローンにおけるカルレチクリン タンパクの表現を示す。 図7は、カルレチクリン過表現が合流における骨髄細胞の形態に影響すること を示す。 図8は、カルレチクリン過表現がオステオカルシン表現のビタミンD誘導を促 進するが、ビタミンD刺激オステオポンチン表現に影響しないことを示す。 図9は、構成(constitutive)カルレチクリンの表現が鉱化(mineralization )を阻害することを示す。 図10は、カルレチクリン過表現が、細胞外マトリックスへのカルシウム導入 のビタミンD誘導促進を阻害することを示す。 好適な実施の形態の詳細な説明 ステロイドホルモン受容体ファミリーの211の既知のメンバーのDNA結合ドメイ ンに相同性の高いアミノ酸シーケンス、KXFFTYR(ここで、XはG,A、または VおよびYはKまたはRである)、が見出され(Fuller,1991)、このシーケンス 内のアミノ酸がそれらのDNA応答エレメント中のヌクレオチド類と直接接触して いるおりDNA結合に重要である(Luisi,1991)。 天然および組み換えカルレチクリンは受容体のDNAへの結合を阻害する。この ように、カルレチクリンおよびカルレチクリンを模倣する、あるいはカルレチク リンに結合するタンパクは遺伝子転写の核ホルモン受容体調節を変調する。例を 挙げると、RARのDNA結合ドメインのアミノ酸シーケンスは下記の通りである: XGF:インテグリンα−サブユニット中の カルレチクリン結合シーケンス カルレチクリンは核ホルモン受容体にアミノ酸シーケンスKXFFYRと相互作用す ることにより結合する。この相互作用の結果、核ホルモン受容体のDNA結合活性 は強く阻害されるが、遺伝子シーケンスKXFFYRを持つ可溶性の競合する合成ペプ チド類により逆転することも可能である。カルレチクリンによるDNA結合の阻害 はカルレチクリンの抗体または阻害剤によっても逆転させることができる。cDNa トランスフェクションによるカルレチクリンの一時的または安定的過表現も核ホ ルモン受容体誘導遺伝子転写作用を阻害する。さらに、アンチセンスカルレチク リンcDNAの安定なトランスフェクションによりカルレチクリンの表現が減少する と核ホルモン受容体の転写活性が増加するためホルモン類に対する細胞の感受性 が増加する。 このため、核ホルモン受容体のある割合がカルレチクリンによって構成的に(i nconstitutive manner)占められることが起こり得るため、カルレチクリンの 調節が低下すると占拠されていない受容体の数が有効に増加してこれらの受容体 の転写活性が増加することとなる。 本発明によれば、ホルモンの感受性は(i)カルレチクリンの細胞内濃度を増 加または減少することにより、または(ii)カルレチクリンの核ホルモン受容体 との相互作用を、ペプチド類、ペプチド模擬品およびカルレチクリンまたはKXFF YRシーケンスに対する抗体により阻害することにより、操作することができる。 カルレチクリンと相互作用する核ホルモン受容体には、アンドロゲン受容体、 レチン酸受容体(RARおよびRXR)、グルココルチコイド受容体、およびビタミン D受容体が含まれる。これらのすべての場合に、カルレチクリンは受容体のDNA への結合を阻害し、カルレチクリンの過表現は受容体媒介転写活性を阻害する。 レチン酸受容体系の場合、カルレチクリンの表現が減少すると、レチン酸による 分化に対する細胞の感受性が増加する。 以下の実施例において特記しない限り、セルラインはアメリカン・タイプ・カ ルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)−ATCCから得た 。化学薬品はシグマケミカルズ社(Sigma Chemicals)、ミズーリー州セントル イス市;ビオラッド社(BioRad)、カリフォルニア州リッチモンド市;および アマシャムコーポレーション社(Amersham Corp.)、オンタリオ州オウクビル市 から購入した。ラジオアイソトープ類はアマシャムコーポレーション社(Amersh am Corp.)、オンタリオ州オウクビル市から購入した。ペプチド類はHSC/ファ ルマシア・バイオテクノロジー・サービスおよびデパートメント・オブ・クリニ カル・バイオケミストリー、ユニバーシティ・オブ・トロント(HSC/Pharmacia Biotechnology Service and Department of Clinical Biochemistry,University of Toronto)により合成された。オリゴヌクレオチド類はユニバーシティ・オ ブ・トロント−カーボハイドレート・リサーチ・グループ(University of Toro nto-Carbohydrate Research Group)により合成された。使用した遠心機はベッ クマン社(Beckman)またはエッペンドルフ社(Eppendorf)から得た。 実施例1 カルレチクリンは細胞の核に存在する インテグリンのα−サブユニットのKXGFFYRシーケンスが保存されることを表 1に示す。 スイス・タンパクデータ・バンクのこのシーケンスモチーフが他のタンパクに 存在するか否かのコンピュータ調査により、相同性の高いシーケンスが核ホルモ ン受容体のすべてのメンバーのDNA結合ドメインに存在することがわかった(表 1)(Fuller,1991;Carson-Jurica,et al.,1990)。このモチーフ中のアミノ酸類 はそれらのDNA応答エレメントへの核ホルモン受容体の結合に必須であることが 実証されている(Luisi et al.,1991;Haird et al.,1990)ので、我々はKLGFFKR −セファロース・アフィニティクロマトグラフィマトリックス上でのアフィニテ ィクロマトグラフィにより単離された60kDaタンパク(Rojiani et al.,1991)が 核ホルモン受容体のDNA結合および転写を変調することができるか否かを決定し たいと考えた。 表I インテグリンα−サブユニット・原形質ドメイン中およびステロイドホルモン受 容体ファミリー中のアミノ酸シーケンスモチーフの保存 表Iにおいて、アステリスク*で示したシーケンスはRojiani et al.1991に記 載の通りに得られた。GR:グルココルチコイド受容体、MR:ミネラルコルチ コイド受容体、AR:アンドロゲン受容体、PR:プロゲステロン受容体、ER :エストロゲン受容体。 カルレチクリンはC−末端にKDELモチーフを含有しているため小胞体中に常住 していると考えられているが(McCauliffe et al.,1990;Fliegel et a.,1989;Mic halak et al.,1992)、核ターゲット信号をも有し(McCauliffe et al.,1990;Mich alak et a.,1992;Marziuff et al.,1985)、このタンパクは核にも存在する可能 性を提起している(Michalak et al,1992)。p60が核内に存在することが、ヒト骨 肉腫細胞(HOS)核抽出物をKLGFFKR-アフィニティ・カラム上でアフィニティク ロマトグラフィにかけることによって実証された(図1) 確立された方法によりHOS細胞から核を精製した(Luisi et al.,1991)。精製し た核を1%トリトンX-00、0.1%SDS、0.5%ソジウムデオキシコレートおよ び1mM PMSFを含有するPBS中で溶解するか、あるいはガラス製カバースリップ に適用しケミコン・インタナショナル社(Chemicon lnt.Inc.)、カリフォルニ ア州タメキュラ(Tamecula)市、から得た抗核モノクロナル抗体MAB1218で核抗 原を染色した。これらの核を間接免疫蛍光法により視覚化した。全細胞または核 抽出物をKLGFFKR-アフィニティ・マトリックス上でのアフィニティ・クロマトグ ラフィにかけ、p60を単離した(Rojiani et al.,1991)。 細胞抽出物を全細胞または精製された核から調製し、KLGFFKR-セファロース・ア フィニティ・マトリックスに適用した。結合タンパクをEDTAで溶出し、SDS-ポリ アクリルアミドゲル電気泳動により分析した(Rojiani et al.,1991)。分離され たタンパクは電気泳動によりニトロセルロース・フィルタに移し、抗カルレチク リン抗体でプローブした。図1において、レーン1は全細胞抽出物、レーン2は 全細胞抽出物を適用したアフィニティカラムからのEDTA溶出材料、レーン3は核 抽出物、レーン4は核抽出物を適用したアフィニティカラムからのEDTA溶出材料 である。矢印はp60の位置を示す。 HOS細胞または抗カルレチクリン抗体で精製した核の間接的免疫蛍光法でも、 核内カルレチクリン表現が実証された(図1B)。バイオラッドMRC500シス テムを用いて共焦点顕微鏡測定(confocal microscopy)により行った。(a) と(b)の細胞で非核小体の核内染色が起こり、(c)の細胞では核内染色は完 全に除外されていることに注意すること。これらのデータから示唆されるのは、 核のカルレチクリンの表現は調節されたプロセスであるということである。 これらの結果によりカルレチクリン関連p60タンパクが核に存在することが確 認された。 実施例2 KXFFYRシーケンスが核受容体ファミリーの既知メンバーのすべて に存在すること 表Iに示すように、シーケンスKXFFYRは核受容体ファミリーの既知のメンバー のすべてに存在する。これらの受容体のDNA結合ドメインにおけるこのシーケン スを含有する領域はDNAシーケンス認識において重要な役割を演じていることが 示された(Luisi et al.,1991)。従って、カルレチクリンは、この共通のシーケ ンスに結合することにより、受容体ファミリーのメンバーすべてのDNAへの結合 を変調している。例を挙げると、アンドロゲン受容体とそのDNA応答エレメント の相互作用がカルレチクリンにより阻害されること(実施例3および4参照)、 およびレチン酸受容体ヘテロダイマー複合体(RAR/RXR)とそのDNA応答エレメン トの相互作用がカルレチクリンによって阻害されること(実施例5参照)が実証 された。 実施例3 カルレチクリンの核ホルモン受容体のインビトロでの結合を変調する 能力 p60がKXFFYRシーケンスにより核ホルモン受容体のDNAへの結合を直接変調でき るか否かを決定するために、組み換え・アンドロゲン受容体のDNA結合ドメイン とそのホルモン応答エレメントの相互作用をゲル移動度シフトアッセイにより分 析した。 Rennie et al.,1993に記載されているように、組み換えネズミアンドロゲン受 容体のDNA結合ドメインを、pGEX-3Xベクターを用いたGST-融合タンパクとして調 製し、グルタチオン−アガロース・アフィニティクロマトグラフィにより 精製した。p60(カルレチクリン)をKLGFFKR−セファロース上でのアフィニティ クロマトグラフィにより精製し、ついでRojiani et al.,1991に詳細に記載され ているようにゲル電気泳動を行った。精製されたARおよびp60(カルレチクリン )は、SDS-PAGEおよびクマシーブルー(Coomassie Blue)染色により決定すると 、純度がそれぞれ90%および95%を超えていることがわかった。組み換えカ ルレチクリン(GST−融合タンパク)はBaksh and Michalak,1991により記載され ている通りに調製した。ゲルリターデーションアッセイをRennie et al.,1993に 記載されているとおりに行った。p60または組み替えカルレチクリンの受容体−D NA結合活性に対する効果を分析するために、ARをp60で4℃で30分間プレイン キュベートした。合成ペプチド、抗カルレチクリン抗体および非免疫IgGpの、p6 0によるAR-ARE結合の阻害に対する効果を分析するために、ペプチド、抗体また はIgGをp60で4℃にて30分間プレインキュベートした。ついで、アオンドロゲ ン受容体プレパレーションをこれらの混合物に添加し、4℃で30分間さらにイ ンキュベートした。アフィニティで精製した組み替えネズミアンドロゲン受容体 (AR)のDNA結合ドメインを指示された濃度の精製されたp60を添加しまたは添加 することなく4℃にて30分間プレインキュベートした。このプレインキュベー ションの後、反応混合物を32P−標識26塩基対ARE(Rennie et al.,1993)(アン ドロゲン応答エレメント)とインキュベートし、ゲルリターデーションアッセイ により分析した。使用したAREのシーケンスは: であった。 図2Aにおいて、下記のレーンは下記の結果を示す。レーン1:32P−標識ARE 自体;レーン2:ARによるAREのリターデーション;レーン3:0.11μgの 精製されたp60をARとプレインキュベートした場合のAR-ARE結合に対する効果; レーン4:KLGFFKR合成ペプチドの25倍モル過剰量をp60に添加した場合のAR-A REに対する効果;レーン3,5,7および9:p60の濃度を(0.11μgから 0.33μgへ)増加した場合のAR-ARE結合に対する効果;レーン4,6,8お よび10:AR-ARE結合のp60阻害のKLGFFKRペプチドによ る逆転;レーン11:AR-ARE結合のp60阻害に対する抗カルレチクリン抗体の添加 の効果;レーン12−15:抗カルレチクリン抗体の存在下のp60の増量。p60の 濃度を増すとAR-AREのp60阻害への抗体の効果を克服する。 図2Bにおいて、下記のレーンは下記の結果を示す。レーン1:32P標識ARE単 独;レーン2:グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)の存在下の、AREの ARによるリターデーション;レーン3:AR-ARE相互作用のGST-カルレチクリン (GST−カルレチクリン)による阻害;レーン4および5:この阻害のKLGFFKRペ プチドによる逆転;レーン6および7:AR-ARE相互作用に対するカルレチクリン の効果の逆転におけるスクランブルド・ペプチド(KLRFGFK)の不能;レーン8お よび9:KVFFKRペプチドもAR-ARE相互作用のカルレチクリンによる阻害を逆転す ることができる。使用したカルレチクリンの濃度は2μgであり、ペプチド類は 50倍モル過剰濃度で用いた。 図2に示すように、ラットprobasin遺伝子プロモータの-115〜-140位置にある32 P−標識26塩基対DNAアンドロゲン応答エレメントの移動(Rennie et al.,19 93)がアンドロゲン受容体DNA結合ドメインにより遅延された。これは受容体とDN Aとの間に複合体が形成されたことを示す(Rennie et al.,1993)。精製されたp60 (カルレチクリン)を組み替え受容体とプレインキュベートすると、この複合体 の形成のドース依存阻害が起きる(図2A、レーン3,5,7および9)。この阻 害のシーケンス特異性は、p60(カルレチクリン)による受容体DNA結合の阻害が 競合するKLGFFKRペプチド(図2A、レーン4,6,8および10)またはKVFFKR (図2B、レーン8および9)の添加により逆転されたのに対して、スクランブル ド・ペプチド(KLRFGFK)はずっと効果が低かった(図2B、レーン6および7)と いう発見により実証された。 カルレチクリンに対する抗体は、p60に交差反応するが、これもp60によるこの阻 害を逆転した(図2A、レーン11)ことは、p60の特異性を実証している。非免疫 IgGはp60による受容体-DNA相互作用の阻害に何ら効果がなかった(図2A、レーン 15)。さらに、KLGFFKRペプチド、抗カルレチクリン抗体、非免疫IgGのいずれ も其れ自体は受容体-DNA相互作用に何ら効果を持たない(データは示さない)。 p60はAP-1のDNAに対する結合に効果がなかったが、同 様のサイズの他のタンパク(例えばウシ血清アルブミン)も核受容体-DNA相互作 用に対して効果がなかった(データは示さない)。 組み換えカルレチクリン(Dr.Michalak,アルタ州エドモントン市(Edmonton,Alt a)から得た)(Baksh et al.,1991)も、GST-融合タンパクの形で、アンドロゲン− 受容体のその応答エレメントに対する結合を阻害し(図2B、レーン2)、この阻 害もKVFFKRペプチドにより逆転されたが(図2B、レーン2)、スクランブルド・ ペプチドKLRFGFKによっては阻害されなかった(図2B、レーン1)ことから、KLG FFKRアフィニティマトリックスおよびカルレチクリン上で精製されたp60は核ホ ルモン受容体に結合する点で機能的に類似していること、および合成ペプチドKV FFKRが、アンドロゲン受容体のKVFFKRシーケンスに対するカルレチクリンの結合 を競争的に阻害することができることが確認された。 実施例4 アンドロゲン受容体のインビボでの転写活性の阻害 カルレチクリンもアンドロゲン受容体の転写活性、全長カルレチクリンを含有 する表現ベクター(McCauliffe et al.,1990)、およびアンドロゲン受容体(Renni e et al.,1993)をインビボで阻害するかどうかを決定するために、cDNA類を、マ ウス乳房腫瘍ウィルス(MMTV)長期リピート(LTR)により駆動されるクロランフェ ニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)リポータープラスミドとともにベ ロ線維芽細胞(Vero fibroblast)に共トランスフェクションした。MMTV-LTRは アンドロゲン応答エレメントを含有している(Rennie et al.,1993)。 図2Cは、アンドロゲン誘導CAT活性のカルレチクリンによる阻害を示す。ベロ 線維芽細胞は燐酸カルシウム法(Flimus et al.,1992)を用いて、MMTV-CATリポー ターベクターおよび種々の量のカルレチクリン表現ベクターおよびpRCCMVベクタ ー単独(インビトロゲン)を共トランスフェクションされた。すべてのトランス フェクションにおいて、β-ガラクトシダーゼ表現ベクター10μgとアンドロ ゲン受容体表現ベクター(Seed et al.,I988)10μgを含んでいた。トランス フェクションされた細胞は培地単独または100nM R1881(合成アンドロゲン) の存在下で12時間インキュベートした。ついで、細胞を溶解し、CAT活性を測 定した(Seed et al.,1988)。細胞抽出物のアリコートをβ-ガラクト シダーゼ活性をアッセイした。この活性を用いてトランスフェクションの効率を 考慮に入れて核実験におけるCATレベルの測定を標準化した。CAT活性誘導は、R1 881処理細胞の標準化CAT活性と対応する未処理培養の間の比で定義された。ベロ 細胞はチャコール処理子牛血清10%を含有する最少必須培地中で育成する。 図2Cに示すように、カルレチクリン含有プラスミドを共トランスフェクション するとアンドロゲン受容体により誘導されるCAT活性のドース依存阻害が起きる 。さらに、35S−メチオニン/システインで標識されたアンドロゲン受容体をト ランスフェクションされたベロ細胞からカルレチクリンを免疫沈降すると110 kDaアンドロゲン受容体が共沈降するが、このことはカルレチクリンとアンドロ ゲン受容体との間の直接的相互作用があることを示している(S.Dedhar and C.Le ung-Hagesteijn,未刊行の考察)。 これらのデータから実証されるのは、カルレチクリンはインビトロでアンドロ ゲン受容体のDNA結合ドメインに結合し、そのアンドロゲン受容体エレメントと で相互作用するだけでなく、インビトロでアンドロゲン受容体の転写活性を阻害 することもできることである。他の59kDaタンパクがいくつかのステロイドホ ルモン受容体との複合体で見出されているけれども(Lebeau et al.,1992;Tai et al.,1992)、それらはカルレチクリンとは異なり、それらのいずれも受容体のそ れらのDNA応答エレメントへの結合に効果を持たない。 実施例5 カルレチクリンによるホルモン受容体誘導遺伝子転写の調節 カルレチクリンが核ホルモン受容体のDNA結合ドメインに結合することができ 、それらの転写活性を変調することができるという発見の生理学的意味を実証す るために、我々はレチン酸応答系、すなわちP19胎生期癌(embryonal carcinoma )細胞におけるレチン酸によるニューロン分化の誘導(McBurney et al.,1982)を 用いた。我々はカルレチクリンの表現が増加するとレチン酸誘導ニューロン分化 が抑制されるのに対して表現が減少するとカルレチクリン阻害が解除されてニュ ーロン分化が一層急速に起きるであろうと予測した。 全長1.9KbカルレチクリンcDNA(McCauliffe et al.,1990)はDr.R.D.Sonthei mer、テキサス州、から入手し、pRC/CMV(インビトロゲン社,カリフォ ルニア州サンジエゴ市)表現ベクターにセンスおよびアンチセンス方向にサブク ローンした。ついで、pRC/CMV、pRC/CMV-Cal.1(センス)またはpRC/CMV-Cal-2( アンチセンス)表現プラスミドをP19胎生期癌細胞に電気穿孔法(electroporatio n)によりトランスフェクションした。ついで、ネオマイシン耐性トランスフェク タント細胞を600μg/ml G418の存在下に育成することにより選択し、耐性細胞を 100μg/ml G-418に維持した。Cal-1およびCal-2トランスフェクタントを限界希 釈によりサブクローンし、これらのサブクラスをカルレチクリン表現について抗 カルレチクリン抗体を用いたウェスタンブロット分析によりスクリーニングした (Rojiani et al.,1991)。 レチン酸ニューロン分化を前述のように誘導し(McBurney at al.,1982;Dedha r et al..1991)、クラスIIIβ-チュブリン表現をクラスIIIβ-チュブリンモノク ロナル抗体(TuJ1)を用いたウェスタンブロット法により分析した。この抗体はDr .AFrankfurtarHr、米国バージニア州シャーロッツビル市、バージニア大学、か ら入手した。p19(Neo)、Cal-1およびCal-2細胞、におけるbRARE-ルシフェラー ゼ遷移トランスフェクションはTini et al.,1993に記載されている通りに行った 。ベクターbRARE(3)tk-LUCは、RAR-B遺伝子からRARE上流を定義する32塩基対 シーケンス(de The,et al.,1990;Sucov et al.,1990)の3コピーを最少チミジン キナーゼプロモータおよびホタルのルシフェラーゼ遺伝子に結合することにより 構築した。 カルレチクリンの表現レベルは、細胞溶解物のウェスタンブロット分析により 評価し(Rojiani et al.,1991)、ついで濃度測定走査(densitometric scannin g)を行った。ノーザンブロット分析のために、指示されたセルラインからの全 細胞RNA(15μg)を32P-標識CRABP(II)cDNA(Giguere et al.,1990)に65℃にてR apid Hybバッファ(Amersham Corp.)を用いてハイブリッド化した。このブロット を剥がしマウスのアクチンcDNAプローブで再プローブしてRNAの挿入量が等しい かチェックした。相対的mRNAレベルの値はMolecular Dynamic BPhosphorimager を使用した各レーンにおける信号の定量から得られる。CRABPII mRNAレベルは対 応するアクチンのmRNA信号から規格化された。 カルレチクリンの表現レベルはP19EC細胞内でpRC/CMV(インビトロゲン社、 カリフォルニア州サンジエゴ市)表現ベクターにセンスまたはアンチセンス方向 に挿入されたカルレチクリンcDNAでトランスフェクションすることにより変調し た。カルレチクリンを過表現するP19EC細胞サブクローン(Cal-1)、またはカルレ チクリン表現の低減したアンチせンストランスフェクタント(Cal-2)並びに対照 トランスフェクション細胞(Neo)を前述のようにレチン酸によるニューロン分化 に供した(McBurney et al.,1982:Dedhar et al.,1991)。次に、ニューロン特異 的クラスIIIβ−チュブリンの表現(Lee et al.,1990:Alexander et al.,1991)を 全トランスレチン酸(5 mM)添加48時間後(A)または72時間後(B)に 分析した。Cal-1(1A2および1D2)クローンはカルレチクリンcDNAをセンス方向に 含有するpRC/CMVでトランスフェクションした。Cal-2(1A4および1B4)クローンは カルレチクリンcDNAをアンチセンス方向に含有するpRC/CMVでトランスフェクシ ョンした。(C):カルレチクリン表現のレベルのレチン酸媒介ニューロン分化 への効果。 細胞を、上述のAおよびBに記載したように、抗クラスIIIβ−チュブリン抗 体(TuJi)で、ついでFITC共役第2抗体で染色した:P19(neo)EC細胞;Cおよび D:P19-P19-Cal-1EC細胞;EおよびF:P19-P19-Cal-2 EC細胞。A、Cおよび E;未処理細胞。B、DおよびF:5日間RA(0.5μM)処理細胞。細胞は油浸 Zeiss Axioscop顕微鏡を使用して視覚化し、Kodak T-Max 400フィルムで撮影し た。倍率は100Xであった。図3Aおよび8に示すように、P19EC細胞において カルレチクリンcDNAトランスフェクションによるカルレチクリンの過表現(Cal-1 )が、ニューロン分化の特異的初期マーカー、クラスIIIβ−チュブリンの表現に より判定される(Lee et al.,1990;Alexander et al.,1991)ように、実際にニュ ーロン分化を劇的に抑制した。これに対して、アンチセンスカルレチクリンcDNA トランスフェクションによりカルレチクリン表現が低下すると(Cal-2)、クラスI IIβ−チュブリンの表現が顕著に増加した。 図3Cはカルレチクリン過表現によるニューロン分化の阻害とカルレチクリン表 現の低減による分化の向上を明瞭に示している。 カルレチクリンレベルのレチン酸誘導ニューロン分化に対する効果は、カルレ チクリン表現レベルとRARE駆動ルシフェラーゼ遺伝子表現の間の逆の関係に より実証されるように(Dedhar et al.,1994)、レチン酸応答遺伝子の直接調節に より起きる。さらに、レチン酸応答遺伝子、CRABPII(Giguere et aL,1990)およ びRAR-B(de The,et al.,1990;Sucov et al.,1990)の表現の内生的(endogenous )調節がCal-1トランスフェクタントでは実質的に減少するが、カルレチクリン アンチセンスCal-2トランスフェクタントでは変化しないかわずかに増加する(De dhar et al.,1994)。総体的に、これらの結果から、カルレチクリンは、各ホル モン受容体のDNA結合ドメインに保存されたKXFFYRシーケンス(表1)に結合す ることによって、遺伝子表現および細胞表現型、例えば細胞分化を変調すること ができることが実証された。カルレチクリンは、同一のシーケンスモチーフを介 してインテグリン受容体のα−サブユニットの細胞内ドメインに結合することが 示されている、核と原形質の間を移動することにより、信号モディファイアとし ても挙動することができる(Rojiani et al.,1991)。 実施例6 KLGFFKRはインビボのレチン酸誘導遺伝子転写を変調する カルレチクリン結合KXGFFKRシーケンスに基づくペプチドがレチン酸誘導遺伝 子転写を生細胞内で変調するかどうかをテストするために、p19細胞をレチン酸 応答エレメントをルシフェラーゼ遺伝子に融合してなるリポーターベクターでト ランスフェクションした。これらの細胞は内生的レチン酸受容体RARとRXRを含有 するので、レチン酸で処理するとRARE駆動ルシフェラーゼ活性の誘導が起きた( 表II参照)。 細胞培養条件:60mmペトリ皿でドナー子牛血清7.5%、子牛胎児血清αME M(Gibco/BRL)中で育成したマウス胎生期癌(P19)細胞をペプチドKLGFFKRまたは KLRFGFKで3時間または一夜37℃、5%CO2で20時間処理した。若干の例外を 除いて、KLXFFKRがすべてのステロイド受容体の結合ドメイン内でペプチドシー ケンスに特異的である。KLRFGFKは上記シーケンスのスクランブルド・ペプチド である。引き続き、各プレートを無血清αMEMで4回洗って過剰のペプチドを除 去し、新鮮な血清を含有する培地を補充した。ついで、細胞を標準燐酸カルシウ ム沈殿法(Current Protocols in Molecular Biology9:1)によりpTKluc中で、6 0mmペトリ皿当たり1マイクログラムのbRARE、 1.5マイクログラムのPRSV bgal、3マイクログラムのpKS(担体)でトランス フェクションした。37℃、5%CO2で16時間インキュベートした後、各プレー トを無血清αMEMで2回洗い、107Mレチン酸(Sigma R2625)および800マイ クログラム/ml G418(Gibco 1181-031)補充血清含有培地を補充した。さらに 24時間インキュベートした後細胞をPBSで3回洗い、各60mmペトリ皿の細 胞を100マイクロリッターの1%トリトンX100、100mMKPO4pH 7.8、1mMDTTに溶解した。細胞溶解物を−70℃で貯蔵した。ルシフェラー ゼ/bgalアッセイに先立って、細胞デブリをエッペンドルフマイクロフュージ( 5415C)上に4℃にて全速力で20分間スピンアウトした。 ルシフェラーゼアッセイ:すべての試薬を室温に平衡化し、各サンプルを独立 にアッセイした。10マイクロリットルの細胞溶解物を50マイクロリットルの ルシフェラーゼ試薬(プロメガ社(Promega)E1483)とともにエッペンドルフ管 内でインキュベートした。30秒後サンプルをベックマンシンチレーションカウ ンタ(LS6000IC)で開放窓を用いて1分間計数した。0.001ナノグラム〜1 .0ナノグラムの範囲内の標準を用いてアッセイの直線性を達成した。 βガルアッセイ:アッセイはマイクロ滴定プレート(Linbro 76-232-05)内で行 った。細胞溶解物10マイクロリットルを88mM燐酸バッファ中bgal試薬90 マイクロリットル、11mM KCl、1mM MgCl2、55mM 2ME、4.4mMク ロロフェノールレッドβ−D−ガラクトピラノシド(BMC 884-308)と混合した。 インキュベーション時間は37℃で30分から2時間である。結果をELISAリー ダー(Dyunateck MRSOOD)で570nmにて読んだ。 これらの細胞を特異的KLGFFKRペプチドでプレインキュベートするとルシフェ ラーゼ活性がドースに依存して増強され、レチン酸受容体媒介遺伝子転写が刺激 されることを示している(表II)。対照のスクランブルド・ペプチドをプレイン キュベートしてもそのような効果がなかった。トランスフェクション効率を、β ガラクトシダーゼ遺伝子の共トランスフェクションし、次いでβガラクトシダー ゼ活性を上述のように測定することによってコントロールした。 同様に、カルレチクリン−アンドロゲン受容体相互作用を阻害したペプチドが 前立腺癌細胞の分化状態(LnCapセルライン)を変調した(表III)。使用した分 化マーカーはPSA(前立腺特異抗原)である。、ペプチドを単独でそれらの細胞 に添加すると、普通はアンドロゲンにより誘導されるPSAを誘導した。合成アン ドロゲン(R1881)と一緒に添加するとペプチドはPSA表現を高めた。この実験によ りペプチドをベースとする治療アプローチの実現が可能であることが示された。 これらの結果から」KXFFYRシーケンスをベースとするペプチド類を使用して、 カルレチクリンの生細胞内のホルモン受容体への結合に影響することにより、ホ ルモン応答性を変調することができることがわかる。このように、上述の実験で は、ペプチド類はレチン酸またはアンドロゲン受容体のKGFFRRシーケンスと結合 するカルレチクリンに対して効果的に競合することができる。これにより、カル レチクリン結合受容体が活性化され、転写活性が増加する。 表II 一夜インキュベーション 表III インビトロのLNCAP細胞によるPSA分泌に対するペプチド類の効果アンドロゲン応答LnCap細胞によるPSA分泌の変調 細胞を組織培養培地(TCM)単独、合成アンドロゲン含有TCM、R1881またはアン ドロゲン受容体由来ペプチドKVFFKR、R1881またはKVFFKR,あるいはその双方で処 理した。一夜インキュベートした後、PSAを条件培地でラジオイムノアッセイに より測定した。 実施例7 異なるホルモン受容体−カルレチクリン相互作用を破壊する異なった 特異性を持つペプチド類 そのようなペプチド類を同定するために、我々はゲル移動度シフトアッセイを 用いたが(実施例3)、この場合は既知濃度の精製された組み換えアンドロゲン 受容体、エストロゲン受容体レチン酸受容体(RAR/RXRおよびRXR/RXR) (Shago et al.,1994)およびビタミンD受容体(Xu et al.,1993)を既知濃度の組 み換えカルレチクリンか、あるいはKLGFFKRアフィニティカラム上でアフィニテ ィクロマトグラフィにより精製されたカルレチクリン(実施例3)と共に32P− 標識DNA応答エレメントおよび既知濃度の、KXFFYRシーケンスをベースとする合 成ペプチドの存在下にインキュベートした。線状ペプチドに加えて、若干のペプ チドはシステイン残基をいずれかの末端に添加することにより環化した。これら の実験の結果、異なるホルモン受容体とカルレチクリンの相互作用に対して拮抗 特異性が明確なペプチド類が同定された。 一つの受容体に対してだけでなく、もう一つの受容体にも特異的であるような ペプチド類を誘導するために、我々は表IVにリストした一連のペプチド類の合成 を行った。 これらほペプチド類をゲル移動度シフトアッセイ(実施例3に記載)で等濃度 の種々の受容体:レチン酸受容体(RAR/RXR)、ビタミンD受容体(VDR)、エストロ ゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)およびグルココルチコイド受容体(GR) ならびにそれらの個々のDNA応答エレメントをテストした。これらの実験により 、個別の受容体に対して使用するための特異的ペプチド類が同定された。 RAR/RXR,RXR/RXRまたはVDR/RXR受容体を用いた実験で、KLGFFKRペプチドはVDR /RXRヘテロダイマーに対してRAR/RXRヘテロダイマーと比べて10倍も効力が強 く、RXR/RXRヘテロダイマーに対してはRXR/RXR受容体に比べて4倍も効力が強 かった。 我々のデータにより、このシーケンス内の活性に重要なアミノ酸も同定された (表V)。表Vに示すように、特定のペプチド類はカルレチクリン−受容体相互 作用を受容体に特異的に阻害する選択性示した。この表はレチン酸受容体 (RXR/RXR)およびアンドロゲン受容体(AR)に関する。 表IV 提案ペプチド類 表V 個々のDNA応答エレメントに結合しているレチン酸受容体(RAR/RXR)及びアンドロ ゲン受容体(AR)のカルレチクリン阻害を逆転するペプチドの相対的能力 これらのデータは前述のゲル移動度シフトアッセイを用いて得られた(Nature 36 7:480-483,1994)。このデータはホスホルイメージャー(Phosphorimager)(モ レキュラーダイナミクス社(Molecular Dynamics))を用いて定量化した。 * これらのペプチド類の一つの受容体の他の受容体に対する有意の選択性あり このように、RXR/RXR系をゲル移動度シフトアッセイに用いて、2つのフェニ ルアラニン並びに末端アルギニンが必須であることが見出されたが、それはこれ らを置換するとペプチド活性が阻害されるからである(表V)。 これらのゲル移動度シフトアッセイにより同定されるペプチド類は下記の細胞 アッセイに使用されている。 レチン酸特異的ペプチド類:これらは実施例5に記載したP19レチン酸誘起ニ ューロン分化アッセイでテストした。ビタミンD受容体特異的ペプチド類:これ らは、ビタミンDで骨芽細胞に分化を誘起して石灰化(鉱化)された基質を形成 することができMC3T3-E1骨芽細胞性細胞でテストする。45Ca取り込みをモニタ ーすることによる鉱化する能力はをペプチド処理後に決定する。 エストロゲン受容体特異的ペプチド:これらはエストロゲン応答性乳癌ヤルラ インの増殖を変調する能力をテストする-ER陽性細胞細胞、例えばMCFお よびT47-Dを使用する。 アンドロゲン受容体特異的ペプチド類:これらはアンドロゲン応答性でありア ンドロゲン受容体を表現する前立腺癌LnCAP細胞でテストした。 実施例8 カルレチクリン表現の内因性レベルの調節 ネズミP19胎生期癌細胞においてカルレチクリンの過表現が全トランス−レチ ン酸の応答性を阻害するのに対してアンチセンスcDNAトランスフェクションによ りカルレチクリンを下方調節するとレチン酸応答が高まる(実施例5参照)。そ のようなカルレチクリン表現の変調の結果他のステロイドホルモン類へおよびビ タミン類への応答性が変化したのか否かを決定するために、PRC-CMVベースのカ ルレチクリンベクターCAL-1(センスcDNA)およびCAL-2(アンチセンスcDNAを用 いてマウス骨芽細胞性細胞(MC3T3E1)、ニワトリの破骨細胞前駆体、正常ラット 乳房上皮細胞(Darcy et al.,1991)および化学的に形質転換したラット乳腺癌細 胞(ATCC CRL1743)並びにエストロゲンおよびプロゲステロン応答性ヒト乳癌細胞 (MCF-7およびT47-D)をを安定的にトランスフェクションした。 これらの細胞タイプにおけるカルレチクリン表現レベルを最初にウェスタンブ ロット分析で行った。これらの安定な表現ベクターを用いるのに加えて、我々は 誘起可能なカルレチクリン表現センス−およびアンチセンス−c zDNA表現ベク ターを強力な金属誘起可能なプロモーターにより駆動することにより構築した(F ilmus et al.,1992)。誘起可能なベクターによりカルレチクリン表現を意のまま にオンまたはオフすることが可能になった。MC3T3細胞では、1,25−ジヒド ロキシビタミンD3は準合流状態のこれらの細胞に増殖効果を持つが、合流状態 で鉱化培地に添加すると、鉱化プロセスを高める。トランスフェクションされた 細胞はカルレチクリン表現のレベルを前述のウェスタンブロット分析により分析 し、mRNAレベルをノーザンブロットにより分析する。カルレチクリンの上方 または下方調節の効果を上述の1,25−ジヒドロキシビタミンD3への応答で 決定する。さらに、ビタミンD応答遺伝子、例えばc-fosおよびインテグリンb3 サブユニットの表現への効果(Xu et al.,1993)をノーザンブロットおよびウェス タンブロット分析により決定する。ついで、これらの細胞を、ルシフェラーゼ遺 伝子を駆動するビタミンD応答エレメント(VDRE)からなるリポーター構造でトラ ンスフェクションする。模擬トランスフェクション対カルレチクリンセンス−お よびアンチセンス−cDNAトランスフェクション細胞(安定および誘起可能)のル シフェラーゼ活性を前述のように決定する(実施例6参照)。 同様の実験を、成熟破骨細胞への分化がビタミンDに依存している、ニワトリ 破骨細胞前駆体で行った(Xu is et al.,1993)。 カルレチクリンレベルの変調が正常乳房上皮細胞の腺分化に対する影響を、分 化の細胞培養モデルを用いて検査した(Darcy,1991)。エストロゲンおよびプロゲ ステロンのようなステロイドホルモン類はこの分化のプロセスに重要な役割を果 たしているので、この系に対するカルレチクリンの効果を決定する。同様に、カ ルレチクリン表現の変調が、乳癌細胞のエストロゲン、タモキシフェン (Tamoxifen)、プロゲステロンおよびレチン酸に対する応答にどのような効果 を持つかを決定する。MCF-7のようなセルラインではエストロゲンは増殖を誘起 するのに対してT2MO:Rifenおよび全−トランスレチン酸は増殖を阻害するので(P ratt et aL,1993)、カルレチクリンレベルを変調すると一つの応答を好ましくは 他の応答よりも高める結果となる。カルレチクリンレベルの変調は乳癌のコント ロールにおいて治療上有意義である。 カルレチクリンレベルをcDNAトランスフェクションにより変えることに加えて、 カルレチクリン表現が成長因子、サイトカイニンまたはステロイドホルモンおよ びビタミン自体によって変調されるか否かを決定する。ヒトカルレチクリン遺伝 子のプロモータはすでにクローニングされ特徴を記述されているが (Michelak,1992)、その調節についてはなにも手がかりが与えられていない。さ らに、多くの化合物が転写後(post-transcription)の段階でカルレチクリンレ ベルを変調できるであろうということは考えられる。上述の細胞タイプの増殖と 分化に影響することが知られている因子(例えば、骨芽細胞についてIFG-1およ びビタミンD;破骨細胞についてIL-6;ほ乳類上皮細胞についてEGF,FGFおよびTG F-B)は最初に評価した。われわれがすでに決定したように、1,25−ビタミ ンD3がMC3T3細胞のカルレチクリンmRNAレベルを上方調節する。カル レチクリン表現の内因性調節についての知識により、核ホルモン受容体−カルレ チクリン相互作用をインビボで操作することが可能になる。 実施例9 骨芽細胞におけるカルレチクリンの構成的表現により鉱化が阻害さ れる ビタミンDの活性形態である1a,25−ジヒドロキシビタミンD3[1,2 5−(OH)23、カルシトリオールともいう]は骨細胞成長および機能の既知の モジュレータである(Narbaitz,1992で再検査)。ビタミンDは主に、特異的受 容体に結合した後の多面発現(pleiotropic)効果を発揮するが、この受容体自 体はステロイドホルモン受容体スパーファミリー(superfamily)の一員である( Fuller,1991)。リガンド−結合ビタミンD受容体(VDR)はビタミンD−応答エ レメント(VDRE)と名付けられたその同族の結合サイトと相互作用し、ターゲット 遺伝子の転写に影響する(Ozono et al.,1991総覧のために参照せよ)。骨芽細胞 性細胞では、ビタミンDはアルカリフォスファターゼの活性を促進し (Kurihara et al.,1986)、そしてタイプIコラーゲン(Kurihara et al.,1986)、 オステオカルシン(Yoon et al.,1988、Demay et al-.1989)およびオステオポン チン(Noda et al.,1990)の表現を促進する。機能性VDRF類はオステオカテイン (Kerner et al.,1989:Demay et21..1990)およびオステオポンチン(Noda et al., 1990)遺伝子のプロモータについて同定され特徴が記述されている。 我々は骨芽細胞性MC3T3-Elセルライン(Sudo et al-.1983)を用いて骨細胞のカ ルレチクリンの推定されている調節機能を調査した。精製されたカルレチクリン がVDRホモダイマーおよびVOR-RXRヘテロダイマーの前述のオステオポンチンおよ びオステオカルシンVDRE類への結合を阻害したことを報告する。VDRとカルレチ クリンとの間に直接的なタンパク/タンパク相互作用があることが実証された。 内因性カルレチクリン遺伝子の表現がMC3T3-Elの骨芽細胞性分化の間に下方調節 されていることが示された。MC3T3-El細胞をカルレチクリン表現ベクターでトラ ンスフェクションすることにより達成されたカルレチクリンの構成的表現により 、基礎的かつビタミンにより誘起されるオステオカルシン表現の促進を阻害した 。しかしながら、ビタミンDによるオステオポンチンの表現の促 進は影響されなかった。 鉱化もカルレチクリン表現クローンで阻害された。これは細胞外マトリックスへ のカルシウム取り込みの減少と鉱化小節(mineralization nodules)がまったく 存在しないことにより評価された。これらの結果は特異的核ホルモン受容体に媒 介された経路との相互作用により骨形成(osteogenesis)の調節にカルレチクリ ンが役割を持っていることを裏付けている。 材料と方法 ゲル・リターデーション・アッセイ VDRとRXPBcDNA類はDr.J-W.Pike(ライガンドファーマシューティカルズ社(Li gand Pharmaceuticals)、カリフォルニア州サンジエゴ市)およびDr.V.Gigu6re (マッギル大学(McGill University)、カナダ、ケベック州モントリオール市) から寄贈されたものであり、製造元(プロメガ社(Promega Corp.)、ウィスコ ンシン州マジソン市)の指示に従ってTNT結合したコムギ胚芽溶解物系を用いて インビトロで転写および翻訳した。バクロウィルス表現ベクターを用いて昆虫細 胞に表現した精製組み換えVDRおよびRXRA(MacDonald et al.,1991)はDr.M.Hauss fer(アリゾナ大学(University of Arizona)、アリゾナ州タスコン市(Tucson ))から提供された。ゲル・リターデーション・アッセイについては、TNT反応か ら5mlまたはバクロウィルス表現された受容体40ngを、精製カルレチクリン を添加しまたは添加せずにインキュベートしたが(Rojiani et al.,1991)、この とき、ゲル保持混合物中のプローブ4x103cpm[10mM Tris-HCI(pH7.3),5OmM NaCl.1mM D77,1mM EDTA,2mM MgCl2,0.2%ノニデット(Nonidet)P-40,1 2%グリセリン,1.3mg/ml BSA,10-7M1,25-(OH)2D3]を最終容積25ml添加した。 非特異的競合DNAは8μgのポリ(dl-dC)と0.2μgのサケ精子DNAまたは50 0ngの(dl-dC)からなり、それぞれインビトロ翻訳された受容体およびバクロウ ィルス表現された受容体用である。受容体タンパクおよびカルレチクリンタンパ クは氷上で30分プレインキュベートしてからプローブDNAを添加した。用いた プローブは合成オリゴヌクレオチドであり、ネズミオステオポンチン VDRE(Noda et al.,1990)またはネズミオステオカルシンVDRE(Noda et al.,I 990)に対応している。プローブはクレノー(Klenow)フィルインまたはカイネー シング(kinasing)により標識した(St-Amaud and Moir.1993)。室温20分イン キューベーとした後、結合プローブを1xTBE(89mMトリスボレート[pH8-3],2m M Na2EDTA)中の7%30:1アクリルアミド:ビスアクリルアミド非変性ゲル 上で遊離ヌクレオチドから分離した。1xTBEを再循環させつつ、サンプルを1 50Vで3時間泳動させた。ついで、ゲルを乾燥しアートラジオグラフを撮った 。 免疫沈降 VDRをインビトロ急速トランスレーションキットを用い、製造元(ストラタジー ン社(Stratagene Corp.)、カリフォルニア州ラホール市)の指示に従って35S −メチオニンで標識した。標識された受容体を精製カルレチクリン(Rojiani et a].,1991)のRIPバッファ(10mMトリス-HCI,pH8.0.150mM NaCl,1%トリ トンX-100,1%ソジウムデオキシコレート)溶液を添加しまたは添加せず氷上で 60分インキュベートしてから10〜30mlの抗カルレチクリン抗体(Lieu et a l.,1988)を添加した。VDRおよびカルレチクリンがKXFFKIRRモチーフにより相互 作用したことを確かめるために、追加の免疫沈降反応を行った。この反応液は1 00μgの合成ペプチドKLGFFKR(Dedhar et al,.1994)を含んでいた。免疫沈降 反応系を4日間4℃でインキュベートし、プロテインA−セファロース(ファル マシアカナダ社(Pharmacia Canada)、カナダ、ケベック州ベデュルフェ市(Bai e d'Urfe)を添加することにより抗原−抗体複合体を集めた。この免疫複合体をR IPAバッファで4回洗ってから7.5%ゲル上でSDS-PAGEによる分析をした。引 き続き、固定し、乾燥したゲルのオートラジヲグラフを撮った。 細胞および組織培養条件 MC3T3-El細胞を前述のように維持した(Candeliere et al.,1991)。培地に1 0%ウシ胎児血清、50μg/mlのアスコルビン酸、および5mMβ−グリセロ フォスフェート(Ecarot-Charrier et al.,1983)を補充することにより鉱化を促 進した。von Kossa法を用いて培地の鉱化小節を染色した(Mallory.1942)。 RNA抽出及び分析 鉱化用に補充された培地で細胞を14日間培養し、ついでエタノール中10-8M 1,25-(OH)2D3または小胞単独を用いて24時間処理した。全RNAはリチウムクロ ライド−尿素技法(Auffray and Rougeon(1980))により単離した。随所に記述さ れているようにノーザンブロットハイブリッド化を行った(St-Arnaud et al.,19 88)。用いたプローブはヒトカルレチクリンcDNAからの1.9kb SacIフラグメント( McCauliffe et al.,1992);ネズミソウテオカルシンcDNA470からのbpEcoR1-ない し-PStIフラグメント(Celeste et al.,1986);全長ネズミ・オステオポンチンcDN A(Smith and Denhardt.,1987);およびマウス・α−チュブリン用マウスMAT1.1プ ローブ(Lemishka et al.,1981)を含んでいた。 表現ベクターとトランスフェクション SV40プロモータ駆動pECE-Cal表現ベクターを、Cal-2(Dedhar et al.,1994 )からの1.9kbHindIII−カルレチクリンcDNAフラグメントをPECEベクター(Elli s et al.,1986)の対応するサイトにセンス方向にサブクローニングすることによ り構築した。20μgのpECE-Calを0.3μgのpGEM7(KJ1)R選定プラスミド(Ru dnicki et al.,1992)としっしょにMC3T3-El細胞に電気穿孔法(2x106細胞;300V;1 000mF;電極間隔0.2cm el)によりトランスフェクションした。対照クローンを確 立するために、MC3T3-El細胞を2μgの pGEM7(KJ1)R選定プラスミド単独でトランスフェクションした。電気穿孔法に続 いて、細胞を直径100mmのペトリ皿に置いた。選定は翌日1.2mg/mlG-418(Ca nadian Life Technologies,Burlington,ON)を培地に添加することによつて行っ た。3つの対照クローンと4つのpECE-Calトランスフェクションクローンを取り 出し、確立した。これらのクローンは、培地に200μg/mlのG-418を添加した以外 は親のMC3T3-El細胞と同様に維持した。トランスフェクションされたクローンの 組み換えカルレチクリンタンパクの表現は、前述したように(Dedhar et al.,199 4)、抗カルレチクリン抗体(Rokeach et al.,1991)で全細胞抽出物のウェスタン ブロット法により評価した。45 Ca蓄積の評価 マトリックス層における45Caの蓄積をMatsumoto et al.(1991)に記載されている とおりに測定した。細胞を14日間培養してから108M 1.25-(OH)2D3または担体 で2日間処理した。 結果 − VDRによるDNA結合のカルレチクリン阻害 我々はゲル・リターデーション・アッセイをインビトロ翻訳またはバクロウィ ルス表現されたVDRおよびRXRタンパクを用いてVDRホモダイマーおよびVDR/RXRヘ テロダイマーのDVRE類への結合に対する精製カルレチクリンの効果を決定した。 図4AはカルレチクリンがヘテロダイマーがネズミオステオポンチンVDRE(Noda et al.,1990)にドースに依存して結合するのを阻害した(レーン8〜11)ことを 示す。ネズミオステオカルシン遺伝子(Noda et al.,1990)のプロモータ領域から のVDREを用いて同様の結果が得られた(図4B、レーン3〜6)。各VDREにVDR が結合するのを阻害するのに要するカルレチクリンの量はそれほど違いがない。 カルレチクリンによる阻害はVDRホモダイマーでも観察され(図4A、レーン4〜 7)、カルレチクリンがVDRタンパクと相互作用できること、およびDNA結合の阻 害がカルレチクリンとRXRの相互作用によってのみ媒介されるのではないという ことを示している。プログラムされていないコムギ胚芽溶解物(図4A、レーン2 )または精製カルレチクリン単独(図4A、レーン3および図4B、レーン2)はVD REプローブに結合しなかった。 最近の結果は、受容体タンパクのDNA結合ドメイン内にある保存されたKXFFK/R Rアミノ酸モチーフを介して、カルレチクリンが直接核ホルモン受容体と相互作 用することを示唆している(Dedhar et al.,1994;Burns et al.,1994)。標識VDR 、精製カルレチクリンおよび抗カルレチクリン抗体での免疫沈降反応を用いたVD R−カルレチクリン相互作用を検討した。カルレチクリンに対する抗体はインビ トロ標識VDRを免疫沈降しなかった(図4C、レーン1)しかしながら、精製未標 識カルレチクリンを反応系に添加すると、標識VDRタンパクは抗カルレチクリン 抗体により共沈降した(図4C、レーン2)。この結果はVDRとカルレチクリンと の間の直接的相互作用があることを示している。この反応はVDRのKGFFRRモチー フを介して媒介された。というのは合成KLGFFKRペプチドをカルレチクリンと同 時に添加するとVDRとカルレチクリンの相互作用に対する競合が起き、共沈降し た標識受容体の量が実質的に減少したからである(図4C、レーン3)。 骨芽細胞分化中のカルレチクリン表現 MC3T3-Elは対数成長期に前骨芽細胞表現型を示す。合流に達すると、細胞はア ルカリフォスファターゼおよびタイプIコラーゲン(Sudo at al.,1983)のような 骨芽細胞表現型マーカーを表現し始める。長期間培養すると、後期骨芽細胞分化 マーカーを表現する細胞の多層化が起こり、インビトロで石灰化された骨組織( 鉱化小節)を形成する(Sudo et al.,1983)。このパターンは骨芽細胞分化シーケ ンスを概括している(Stein et al-,1990; 我々はRNAをMC3T3-Elの準合流、合流および鉱化培養から抽出し内因性カルレ チクリン遺伝子の表現を分析した。図5、パネルBは1.9kbカルレチクリンmR NAが初期および合流培養で検出できることを示す(それぞれレーン1および2) 鉱化培養ではカルレチクリン表現は検出できなかった(図5B、レーン3)図5Aは 全RNAの匹敵する量を各レーンに装荷したことを示す。内因性カルレチクリン遺 伝子のこの表現パターンが2つの独立の実験で観察された(データは示さない) 。 我々はまた、RNAブロットをプローブして骨芽細胞表現型マーカーを表現した 。図5Cはオステオポンチン遺伝子が培養の全ステージで表現されたことを示す。 このように、オステオポンチン表現は内因性カルレチクリン遺伝子を表現しある いは表現しなかった培養において検出できた(図5A、パネルBおよびCを比較せ よ)。これに対して、オステオカルシンmRNAは鉱化培養に検出されただけである (図5D)。従って、オステオカルシン遺伝子表現は培養された細胞で内因性カル レチクリン遺伝子表現が阻害されていることと一致する(図5Bおよび5D、レーン 3)。 組み換えカルレチクリンの表現 我々はpECE-Caベクター(SV-Cal 4,SV-Cal 5,SV-C21 6,およびSV-Cal 12クロー ン)で安定にトランスフェクションされた4つのクローンを単離した。選定ベク ター単独でトランスフェクションされた3つのクローンを対照とした。図6は親 のMC3T3-El細胞、対照クローンおよびトランスフェクションクローンのカルレチ クリンタンパクに対する相対的表現レベルを示す。カルレチクリン表現ベクター でトランスフェクションされた4つのクローンはすべてカルレチクリンタンパク 表現が高まった。カルレチクリン表現の増加は親のレベルの2〜5倍の間 を変動していると計算された。組み換えカルレチクリンタンパクは構成的であり 、トランスフェクションされたを長期培養しても維持された(データは示さない) 。親のMC3T3-El細胞とトランスフェクションされたクローンの双方とも、他の細 胞タイプで実証されているように(Dedhar,1994)、免疫細胞化学(図示しない)に よりカルレチクリンが核内および各周辺部に検出された;核のカルレチクリンの 相対存在量はカルレチクリン表現ベクターでトランスフェクションされたクロー ンでは増加する(データは示さない)。 高カルレチクリン表現は細胞の形態に影響を与える。この変化は合流期に達し た初期の培養でより明らかである。カルレチクリンを過表現しているクローンは 外観が紡錘型(spindle-shaped)であるが、親の細胞および対照クローンの形態 は立方骨状の骨芽細胞の形態である(図7)。個の形態変化は長期、多層培養を 行うと目立たなくなる(データは示さない)。 カルレチクリン過表現が選択的に遺伝し表現を阻害する 対照およびカルレチクリン表現クローンの長期(14日間)培養を1,25-(OH)2 D3で24時間処理し全RNAを抽出して、骨細胞におけるカルレチクリン過表現の ビタミンD促進遺伝子表現への影響を分析した。図8は構成的カルレチクリン表 現がビタミンDによるオステオカルシン表現の誘起を調べたすべてのクローンで 阻害することを示す。オステオカルシンmRNAの基礎レベルはカルレチクリン表現 クローンで劇的に下方調節された(図8)。これらの考察は親の細胞において観 察されたオステオカルシン遺伝子表現のパターンと一致するが、オステオカルシ ンmRNAは内因性カルレチクリンmRNAを表現したMC3 T3-El細胞の準合流、合流 培養には検出できなかった(図5)。同様に、準合流および合流培養MC3T3-Elの ビタミンD処理はオステオカルシン遺伝子表現を含まない(データは示さない) 。興味深いのは、オステオポンチン遺伝子の表現のビタミンD誘起促進がカルレ チクリンにより影響されなかったことである(図8)。 この結果は親細胞培養で得られたデータと一致しており、そこでは、オステオ ポンチン表現はMC3T3-El細胞の初期培養で検出され、内因性カルレチクリンmRNA の有意なレベルを表現した(図5)。従って、我々の考察により、カルレチクリ ン過表現は核ホルモン受容体による遺伝子表現の変調に特異的効果を持ち、 遺伝子表現一般を阻害するのではない。実際、α−チュブリンの表現は、各サン プルに当量のRNAを装荷するようモニターして分析したが、カルレチクリン過表 現により影響されなかった(図8)。 構成的カルレチクリン表現はMC3T3-El細胞の鉱化多層培養が培養14〜24日 でミネラルを堆積し骨組織を石灰化するのを阻害する(Sudo et al.,1983)。。こ の骨形成プロセスは鉱化小節を計数し、標識カルシウムが細胞外マトリックスに 取り込まれるのを測定することによって例証できる。マトリックスへのカルシウ ムの蓄積が1,25−(OH)23で培養を処理することによって促進されることが 示されている(Matsumoto et al..1991)。我々は両方のアッセイを用いて構成的 カルレチクリン表現の骨芽細胞性細胞の鉱化への影響を分析した。図9、パネル Aはvon Kassa法(Mallory,1942)を用いて鉱化小節を染色した対照クローンG7KJ 12の14日令培養を示す。3つの対照クローンはすべて長期培養すると同様の 結果を示し、MC3T3-Elの培養で観察された鉱化の代表的な結果であった(図示し ない)。図9Bはカルレチクリン過表現クローンで鉱化小節が全く存在しないこと を示す。典型的鉱化実験のデータを表VI5に示す。対照クローンの培養は53± 4個の小節を含み(平均±S.E.M.、n=4)、一方カルレチクリンを構成的に表 現するすべてのクローンからの培養は小節を含まなかった(4つのクローンのそ れぞれについて、0.6±0.3;平均±S.E.M.、n=2)。 表VI 対照およびカルレチクリントランスフェクションされたクローン長期培養におけ る鉱化小節の数 細胞は鉱化用に補充した培地で14日間成長し、ついでvon Kossa法を用いて染 色した。鉱化小節は手動で数えた。対照クローンG7KJ1-2を4倍の枚数のペトリ 皿で、カルレチクリントランスフェクションしたクローンは2倍の枚数のペトリ 皿で培養した。 45Caの細胞外マトリックスへの取り込みのビタミンD誘起促進もカルレチクリ ントランスフェクションしたクローンで阻害された。我々は以前報告された、MC 3T3-El細胞および3つの対照クローンすべての培養において、がビタミンDによ るマトリックスへのカルシウムの取り込み(Matsumoto et 21-,1991)2倍に促進 される(図10)ことを観察した。カルレチクリンの構成的表現が4つのクロー ンすべてにおいてビタミンDに応答してカルシウム取り込みを阻害した(図10 )。 ディスカッション 我々は骨芽細胞でカルレチクリンの構成的表現が鉱化の阻害を生じることを示 した。この阻害はたぶんカルレチクリンによる遺伝子表現の特異的媒介により媒 介されている、というのは、我々はカルレチクリンがビタミンD受容体と相互作 用してその同族の応答エレメントに結合するのをインビトロで阻害し、特定のビ タミンD媒介転写応答をインビボで選択的に阻害することを実証したからである 。我々の結果は骨芽細胞の分化と機能の調節におけるカルレチクリンの役割を裏 付けている。これは骨の代謝回転のインバランスを伴うどの病気についても有意 義である。従って、カルレチクリン、その模擬品または阻害剤は任意の骨障害を 治療するのに使用できるであろう。 例としては、骨粗しょう症、オステオペニア、くる病、骨軟化症、骨ジストロフ ィーよりなる群から選ばれた骨障害がある。骨格はヒドロキシアパタイト結晶の 形のカルシウムの体における主な存在場所である。鉱化、すなわち、ミネラルが 骨のコラーゲンマトリックスのふぃぶりつに沿って堆積すること、は骨芽細胞の 支配下にある(Termine,1993)。しかし、骨芽細胞の役割はカルシウム貯蔵コンパ ートメントとして作用することだけではない。というのは、骨格のカルシウム の一部は細胞外体液と自由に交換可能であり、カルシウムの主要な貯蔵プールと して働く(BroaduS,1993)。さらに、骨芽細胞の機能はカルシウムの大量の細胞内 貯蔵の利用可能性に依存しておらず、例えば、急速にカルシウム放出をして筋収 縮を開始する必要がある骨格筋管(skeletal myotubu)の機能と対照的である。従 って、骨芽細胞におけるカルレチクリンの役割はカルシウム貯蔵機能に限られな い可能性がある。 実際、我々はカルレチクリンが遺伝子表現と鉱化に影響することを示した。ミ ネラルの堆積の阻害は組み換えカルレチクリンタンパクによる細胞内のカルシウ ムの封鎖(sequesteration)によるだけでは説明することはできない。第一、ト ランスフェクションクローンで我々が達成した表現のレベルは不均衡に高くはな い。第二に、使用条件下で、細胞外体液をカルシウムと燐酸塩について上清を採 っている。方式カルシウムの細胞外マトリックスへの取り込みのビタミンDによ る促進を測定する実験(図10)では、カルレチクリン表現クローンが同様の基 線量の45Caのマトリックスへの取り込んだ(図示しない)。カルレチクリントラ ンスフェクションされたクローンをビタミンDで処理したときにカルシウム取り 込みの実際の阻害の原因となっているメカニズムは不明であり、ビタミンD処理 はMC3T3-E1細胞の内因性カルレチクリン遺伝子の表現には効果がない(J.P.and R .St-A 未公刊の考察)。 ビタミンDの他にも、核ホルモン受容体スーパーファミリーに結合する多数の ステロイドホルモン類またはモルホゲンが骨芽細胞の遺伝子表現を変調すること ができる。MC3T3-Elでは、グルココルチコイドがプロスタグランジンE2合成を阻 害し、βグリカンの表現を増加することが示された(Huqhes-Fulford et al.,199 2)。エストロゲン受容体は骨芽細胞で表現され(Eriksen et al.,1988)、17-bエ ストラジオールはインタロイキン−6プロモータの転写活性を下方鯛節し、グリ コプロテイン130、サイトカイニン受容体のサブユニットの表現を阻害する[M anolagas,S.C-1995.Bone.16(Suppl.1):91S.]。レチン酸はアルカリホスファタ ーゼの表現を促進し、前骨芽細胞性セルラインの分化を誘起する(Ng et al.,198 8;Heath et al.,1989)。 これらの受容体媒介応答はすべてカルレチクリンによる変調の推定的ターゲッ トとなっている。我々の結果は、カルレチクリンがビタミンD受容体によって媒 介される転写応答のすべてではなくともいくつかを阻害することを示しているが 、これはこれらの核ホルモン受容体依存経路のあるものが無傷(インタクト)の ままであり、他のものは影響されているということを示唆している。カルレチク リンを構成的に表現する骨細胞において、種々のステロイドの転写応答を調べる ことは興味深いであろう。 ビタミンDへの応答は組み換えカルレチクリンタンパクを表現するクローンでは 完全に取り消されなかった(図8)。これはVDRはトランスフェクションされた クローン内ではカルレチクリンに対して化学量論的に過剰量で存在し、それによ ってリガンド結合VDRの過剰量がカルレチクリンによる阻害を免れ、転写を活性 化することを示唆しているようである。実際、ビタミンD処理するとVDRmRNAと タンパクの表現が骨細胞内で誘起されることが示された(Mahonen et al.,1990) 。あるいは、カルレチクリントランスフェクションされたクローンで観察された 残存ビタミンDの応答は例証されたビタミンDの非ゲノム効果によることも考え られるであろう(Norman et al.,1992で再検査)、この非ゲノム効果は構成的カル レチクリン表現によって影響を受けないことがある。 我々の結果はカルレチクリンがVDRのオステオポンチンおよびオステオカルシ ンVDREの双方に結合するのを阻害ことを実証した(図7)。しかしながら、これ ら2つの遺伝子はカルレチクリン表現クローンがビタミンDによる作用を受ける と応答が異なる(図8)。2つのVDREのシーケンスの間には相違があり (Kerner et al.,1989:Demay et at-,1990;Rahman et al..1993)個の相違が各 応答エレメントへのVDRの結合に影響することが考えられる(Nishikawa et a].,1 993)にもかかわらず、我々はVDRの各VDREへの結合に対するカルレチクリンの 阻害になんら違いを検出できなかった。従って、応答エレメントの構造は転写の 変動について説明になっていないと考えられる。もっとありそうなのは、各遺伝 子の表現が2つの単一エレメントだけでなく、全プロモータ領域の構造により規 制されることである。親細胞で観察されたパターンはこの見解を裏付けている。 実際、オステオポンチンmRNAはカルレチクリンも表現するMC3T3-El細胞の初期培 養中に容易に検出される(図5)。逆に、オステオカルシン転写物は カルレチクリン表現が下方調節された長期培養で観察されるだけである(図5) 従って、カルレチクリン表現は定常状態および促進された破骨細胞表現の両方を 阻害するが、オステオポンチン遺伝子の転写には影響しないように見える。個の 点に関して、我々がカルレチクリン表現クローンで測定したこれら2つの骨芽細 胞表現型マーカーの表現のパターンは親のMC3T3-El細胞で観察されたパターンを きっちりと模倣している。 独立クローンで達成されたカルレチクリン過表現のレベルと基礎および促進さ れたオステオカルシン転写の阻害との間に相関関係はなかった。というのは、す べてのクローンが弱められたオステオカルシン応答を示したからである(図6及 び図8参照)。我々の結果はオステオカルシン応答に影響するのは、組み換えタ ンパクの表現の大きさ自体ではなく、カルレチクリン表現が構成的であること、 従ってトランスフェクションされたクローンの長期培養で下方調節されないこと 、であることを示唆している。再言すれば、この考察は我々が未トランスフェク ションMC3T3-El培養で例証したオステオカルシン遺伝子表現のパターンと対応し ている(図5)。 細胞外マトリックス成分へ付着すると骨細胞の遺伝子表現および分化が変調さ れる。例えば、MC3T3-El細胞をラミニン(laminin)と接触させると小管細胞の 分化プロセスが観察され(Vukicevic et al.,1990)、前骨芽細胞性細胞を種々の 細胞外マトリックス成分上に置くと遺伝子表現が影響される(Traianedes et al. ,1993)。骨芽細胞はマトリックスタンパクに対する細胞表面受容体のインテグリ ンファミリーの種々の形態を表現し(Hughes et al.,1993;Saito et al.,1994) 、サブユニット特異的っこうたいを用いたインテグリン機能の阻害は骨肉腫細胞 のサイトカイニン誘起骨芽細胞分化を妨げることが示された(Dedhar,1994)。 カルレチクリンはインテグリンサブユニットに結合し(Leun-Hagesteijn et al. ,1994)、最近の結果はこの相互作用により各ホルモン受容体依存遺伝子表現を 変調できることを示唆している(Dedhar et al.,1994)。考え合わせると、これ らの考察は、基底付着をインテグリン受容体を介して遺伝子表現の制御にリンク するカルレチクリン変調信号形質誘導経路の存在を裏付けている。我々の結果は さらに、骨芽細胞分化と機能の調節におけるこの経路に対する重要な役割を裏付 け ている。 実施例10 ペプチド類、ペプチド模擬品及び抗体類によるホルモン受容体−カ ルレチクリン相互作用の変調 われわれは、KXFFYRシーケンスをベースとする合成ペプチドがカルレチクリン −核ホルモン受容体相互作用の競争阻害剤として挙動することができることを示 した(実施例7)。これはゲル移動度シフトアッセイにより実証した。njrとカ ルレチクリンとでインキュベートすると、ペプチド類はカルレチクリンの受容体 −DNA結合をインビトロで阻害する能力を逆転することができる。スクランブル ド・ペプチドは完全に無効であるので、このアッセイはペプチドの特異性を区別 することができる。これらのデータは、カルレチクリンと核ホルモン受容体との 相互作用がそのようなペプチドで操作することができることを示唆している。 我々はゲル移動度シフトアッセイとアンドロゲン受容体並びにレチン酸受容体 (Shago et al.,1994)を用いてKXFFYRシーケンス内のどのアミノ酸がカルレチク リン−受容体相互作用に重要であるかを決定する。これはペプチドを単一アミノ 酸で置換して合成し、ついでそれらの活性のテストをゲル移動度シフトアッセイ で上述したように行った(実施例7参照)。これらの実験の結果により、カルレ チクリン−受容体相互作用に必要なこのシーケンスモチーフの重要なアミノ酸が 同定される。 核ホルモン受容体は2つのカテゴリーに再分割することができる、アンドロゲ ン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体およびエス テロゲン受容体を含むステロイド受容体類と、レチン酸受容体、甲状腺ホルモン 受容体、およびビタミンD受容体を含む甲状腺ホルモン受容体/レチン酸受容体 群がある。第1のカテゴリーと異なり、この第2のカテゴリーの受容体はそれら のDNA応答エレメントに、RXRとのへテロダイマーとして結合する。上述の実験は 、従って、これら2つのカテゴリー、すなわちアンドロゲン受容体とレチン酸受 容体(RARIRXR.RXR/RXR)のそれぞれからの受容体について決める。ついで後続の 実験をエストロゲン受容体およびビタミンD受容体のような他の受容体 で行った。 カルレチクリンのN−ドメイン(Michal2k et al,1992)はグルココルチコイド 受容体との相互作用に関与している。我々はGST−融合タンパクを全長ヒトカル レチクリン、Nドメイン、PドメインまたはC−ドメインのいずれかからなる大 腸菌で調製した。これらの組み換えタンパクのそれぞれを(実施例3の教示に従 って)ゲル移動度シフトアッセイで受容体−DNA相互作用を阻害する有効性につ いてテストした。使用した受容体はアンドロゲン受容体およびレチン酸受容体で ある。P19EC細胞またはVero細胞も一時的に、N、PまたはC−カルレチクリン ドメインを含有する表現ベクターでトランスフェクションし、それらのホルモン 誘起遺伝子表現に対する効果を上述のように決定した(実施例5) 我々は受容体と相互作用するカルレチクリンドメインを同定し、組み換えタン パクの(タンパク分解およびHPLC5によるペプチドの精製により生成した)タン パク溶解フラグメントを用いてさらに上述の相互作用を媒介するのに必要な最少 ペプチド(類)を決定する。もし十分に小さいペプチドが活性であることが見出 されれば、そのシーケンス内からの合成ペプチドを評価する。 実施例11 カルレチクリン核ホルモン受容体相互作用のペプチド拮抗剤類用の 運搬SyStGMSの調製および試験 カルレチクリン−受容体相互作用をインビトロで阻害することができるペプチ ドを同定した後、これらのペプチドの細胞上での効率を試験する。このために、 ペプチド類をカチオン性脂質小胞体(リポフェクチンのようなリポゾーム)に取 り込み、実施例10に記載した細胞タイプとともにインキュベートする。ペプチ ドの内化(internalization)を評価するために、若干のペプチドをフルオレセ インイソチオシアネート(FITC)と結合させる。リポゾームを細胞と種々の時間イ ンキュベートした後、細胞を免疫蛍光顕微鏡で検査して細胞内蓄積を評価する。 ペプチドの生物学的効果をターゲット細胞のホルモン感受性、ノーザンブロット およびウェスタンブロットによる第一次応答遺伝子の表現、および実施例6に記 載の種々の応答エレメントを含有するルシフェラーゼリポーター構造のホルモン 誘起表現を評価することにより決定する。ターゲット細胞およびホルモン応答パ ラ メータは実施例7に記載されている。 これらの実験は実施例7に定義されているペプチドが細胞レベルでホルモン受 容体カルレチクリン相互作用の拮抗において機能するかどうかを決定する。いっ たんペプチド運搬系を最適化し、予測可能な細胞応答を達成すれば、これらのペ プチド−リポゾームを、マウスの骨形成、ラット乳腺分化のような動物モデル系 でテストする。前者については、マウス頭蓋冠筋肉から誘導される第1次骨芽細 胞をレシピエントマウスの臀部筋肉に注射するとこれらの骨芽細胞は分化して鉱 化小節を形成する。ついで、ペプチド−リポゾームの局所または全身投与の効果 をこのモデルで評価した。同様に、正常ラット乳房上皮細胞を乳房脂肪パッド(D arcy,1991)に注入した後の正常な乳腺発達へのペプチドの効果を検定した。ペプ チドがこれらのプロセスに影響を与えるのに有効であることがわかれば、骨粗し ょう症の動物モデルに対する効果、およびヒト乳癌および前立腺癌のヌードマウ スにおける異種移植片成長と分化が決定される。 以下の実施例は癌、骨粗しょう症、および慢性炎症を含む特定の病気を、ホル モン応答性を変調するのに有用なタンパクと担体とを含んでなる製薬を用いて治 療する製薬の製造および用途に関する。 実施例 12 前立腺癌の治療法 前立腺癌はもっとも頻繁に診断される浸潤性癌であり、西側社会では男性の第 2位の死亡原因である(Boring.1993;Coffey,1993)。現在、前立腺癌患者は局所 的浸潤かまたは散在性病気と診断され、現在入手できる治療形態は延命できるが 、本質的には根本治癒でなく緩和的なものである(Scardino,1992.,Kozlowski,1 991;Santer,1992)。 主要な内分泌腺の切除を行うと患者の約70%において、最初の応答は病気の 進行であり、ほとんどの患者が3年以内に再発し、約20%だけが5年間生き延 びた(Kozlowski.1991)。最初のホルモン治療の失敗後のこの急速な前立腺癌の進 行はアンドロゲン独立腫瘍成長に帰因する。 あるアンドロゲン非感受性ラット並びにヒト前立腺癌セルラインでは、アンド ロゲン独立性はアンドロゲン受容体(AR)mRNAおよびタンパクのレベルの喪 失または低下と関連している(Quarmby,1990;Tilley,:20 1990)。しかしながら、 転移に由来するいくつかの前立腺腫瘍セルラインはAR表現とアンドロゲン感受性 を維持する(例えば、LnCAPセルライン)。同様に、AR表現はアンドロゲン独立 マウス乳癌では維持される(Dabre,1987)。 これらの観察から、AR表現の喪失以外のメカニズムがアンドロゲン独立状態へ の進行に関与していることが示唆される。一つの説明としては、腫瘍細胞の亜集 団内のAR遺伝子の突然変異の存在が考えられ、その突然変異の結果ステロイド類 による成長の調節異常が生じる。実際、AR遺伝子の突然変異が前立腺癌で検出さ れている。しかし、それらが腫瘍の進行にどのような意義を持つのかは未だ明ら かになっていない。もう一つの説明としては、AR活性およびAR遺贈遺伝子表現を 調節するコンポーネントの表現または機能が変更されている可能性が考えられる 。 前述の実施例に記載されているように、カルレチクリンは核ホルモン受容体に KXFFYRシーケンスで相互作用することにより結合することができる。この相互作 用の結果、核ホルモン受容体DNAの結合活性が強く阻害されるが、遺伝子シーケ ンスKXFFYRを持つ可溶性競合合成ペプチドにより逆転することができる。 前立腺アンドロゲン−依存および−独立前立腺癌細胞のカルレチクリンの表現 レベルはアンド路下受容体活性に有意の効果を持つ。さらに、前立腺癌細胞のカ ルレチクリンレベルの実験的操作の結果アンドロゲン受容体活性の変調が起きる 。 例えば、表VIIは、良性からSPH(良性前立腺増生)からPIN(前立腺上皮内新 生)から癌へ進行するにつれてカルレチクリンの表現が増加することを示す。こ れは前立腺癌の進行のマーカーとしてのカルレチクリンと本願に記載した治療の ターゲットとしてのカルレチクリンを結びつける重要な発見である。 さらに、アンドロゲン受容体のカルレチクリンとの相互作用を治療に利用して もよい。すなわち、カルレチクリンまたはカルレチクリン由来ペプチドおよびペ プチド模擬品を用いてアンドロゲン受容体依存前立腺癌細胞の成長を阻害するこ とができるであろう。そのような治療戦略は、再発する、アンドロゲン独立前立 腺癌であってARまたは突然変異AR類の表現を維持し、かつアンドロゲンが存 在しなくてもDNAと結合することができるものに有用である。 ヒト前立腺腫瘍セルラインPC-3,DU-145,LNCAP並びに浸潤性の高いPC-3細胞(IP C31-3)の変種からの核、原形質およびミクロソーム画分におけるカルレチクリン 表現(Dedhar.1994)は2種の異なる多角形抗カルレチクリン抗体を用いてウェス タンブロット分析により、前述のように決定する(Leung-Hagerteijn,1994)。前立腺生検からの平行パラフィン切片をヘモトシリン(Hematoscylin)とエオシ ン(Eosin)で染色するか、カルレチクリン−特異的アンチセンスDNAプローブで その場(in situ)ハイブリッド形成により染色した。カルレチクリンmRNA表現を 上非組織に限定されており、同じ切片内で良性領域からPINおよびCA領域へ劇的 に増加した。信号の程度は3人の病理学者により独立に評価した。ある切片は陰 性の対照としてセンスプローブでも染色した。 MRNAのレベルの表現を1.9kbカルレチクリンcDNAを用いて行う。これらの細 胞でのカルレチクリン表現はアンドロゲン、レチン酸、1,25−ジヒド ロキシビタミンD3、および表皮成長因子およびインシュリン様成長因子のよう な成長因子で処理した後に決定した(ARを表現するLNCAP細胞について、またはAR でトランスフェクションされたPC-3細胞については下記を参照)。 凍結したヒト前立腺癌の大きな(>125)組織縁部(bank)のサブセット(S unnybrook Health Science Centre)を新生アジュバント・アンドロゲン(neoadj uvant androgen)除去療法で措置してから切除した。各凍結ブロックを組織学的 に記述した。縁部はホルモン耐性前立腺癌標本も含んでいるので、アンドロゲン 耐性前立腺癌で死亡した患者で体温のある内に行った剖検(warm autopsy)から の新鮮な骨髄転移を発生する。これらの組織は上述の分析のために自由に入手で きる。これにより、未処理の、ホルモン処理およびホルモン耐性病気でのカルレ チクリン表現を決定することができる。凍結切片でのカルレチクリン表現はHsu et al.,1981のアビジン−ビオチン複合体法を用いて、並びにNaylor et al.,199 0に記載されているようにアンチセンスcDNAカルレチクリンプローブを用い、免 疫組織化学により決定する。これらの手順はDr.Malikの研究室で行った。そこで は日常的に行われている。これらの組織におけるアンドロゲン受容体の状態の同 時決定を連続切片で抗AR抗体(Tilley,1994)を用いて行う。 過表現、またはカルレチクリン表現の阻害は、センス(pRC-CMV-C211)またはア ンチセンス(pRC-CMVCal2)(Dedhar,1994)cDNA表現ベクターの、LnCAPまたはAR表 現PC-3細胞への安定なトランスフェクションにより行われる。AR表現PC-3細胞は Dr.Paul Rennie、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市、から得た。我々 は前にカルレチクリン表現ベクターのホルモン応答性の操作に有用であることを 説明した(実施例4)。これらの細胞はテトラサイクリンで誘起可能なカルレチ クリン表現ベクターでもトランスフェクションされる。この表現プラスミドpUHD 10-3-CALを構築し、カルレチクリンセンスまたはアンチセンスmDNA表現をテトラ サイクリン−オペレータを介して誘起する。カルレチクリン表現レベルをウェス タンブロット分析により上述のように決定する。トランスフェクションした細胞 のアンドロゲンへに対する応答性を、細胞の成長で決定した。細胞の成長は細胞 数の計数と3H−チミジンの取り込みによって決定した。カルレチクリン過表現 により細胞はアンドロゲンに非応答性となるが、 ECPI9細胞でのレチン酸応答性と同様に、カルレチクリン表現の阻害により細胞 がより感受性が高くなる(実施例5参照)。カルレチクリンの安定な過表現では 細胞内カルシウム濃度は変わらないので、ホルモン感受性で観察された効果はカ ルシウムレベルによるものではない。 カルレチクリントランスフェクションされた細胞を、親細胞または模擬トラン スフェクションされた細胞と、ヌードマウスに皮下接種または前立腺に正常位置 に接種した際に腫瘍を形成する能力について比較する。 カルレチクリンの、KXFFTYRと相互作用するドメインを小球状(globular)N −ドメインとして同定した。このドメインは推定的ATP結合サイトを含有するの で、組み換えカルレチクリンをこのドメイン内のセリン残基上にインビトロで燐 酸化することができる(Leung-Hagesteijn,1994)。我々は大腸菌に全長ヒトカル レチクリン、N-ドメイン、P-ドメインまたは酸性C-ドメインからなるGST-融合タ ンパクを調製した。これらの組み換えペプチドのそれぞれをゲル移動度シフトア ッセイでアンドロゲン受容体−DNA相互作用の阻害に有効であるかについてテス トする(実施例10)。これらのドメインをアンドロゲン媒介遺伝子表現の阻害 における有効性についてテストする。これは該ドメインをLnCAPまたはAR表現PC- 3細胞(前述)内で一時的に表現することによって行う。いったん、アンドロゲ ン受容体と相互作用するカルレチクリンドメイン(これは、前の研究に基づけば 、N.ドメインである可能性が高い、上述参照)を同定すれば、(種々のプロテア ーゼを用いて限定蛋白分解を行い、高速液体クロマトグラフィによりペプチド類 を精製することにより)これらのタンパクからタンパク分解フラグメントを誘導 し、これらをゲル移動度シフトアッセイに用いて、さらにアンドロゲン受容体と 相互作用するのに必要な最少ペプチドシーケンスを定義する。 十分に小さなペプチドが活性を持つことが見出されれば、そのシーケンス内か ら合成ペプチドをさらに評価する。 AR-DNA相互作用をインビトロで阻害する能力を持つペプチドを同定する。これ らのペプチドの細胞内の効率をテストするために、ペプチドをカチオン性脂質小 胞体(リポフェクチンのようなリポゾーム類)に導入し、呪術のセルタイプ(実 施例1参照)とともにインキュベートする。 これらの実験により、上に定義されたペプチドが細胞レベルでホルモン受容体 −DNA相互作用に拮抗するのに機能を発揮するか否かが決定される。いったんペ プチド運搬系を最適化し、予測可能な細胞の応答を達成すれば、これらのペプチ ド−リポゾームを上述の動物系でテストする。 これらのペプチドはアンドロゲン除去の現手順と組み合わせるとアンドロゲン 受容体媒介前立腺癌細胞の成長を阻害するのに有用である。この戦略はアンドロ ゲン感受性腫瘍の初期治療に有用であるだけでなく、アンドロゲンに独立して細 胞成長を誘起できる正常または変異したAR類を表現することができる、より進ん だアンドロゲン耐性腫瘍でも有用である。そのような腫瘍では、高レベルのカル レチクリン表現を維持し、あるいはカルレチクリンベースペプチド類(上述のよ うに誘導)、またはペプチド模擬品、を投与すると、前立腺癌細胞の成長と進行 の阻害に新しいモードの治療的関与を提供する。 実施例13 カルレチクリンはインビボの骨形成を変調する 本願の実施例はカルレチクリンが骨細胞において表現されること、および骨芽 細胞における構成的な、強制されたカルレチクリンの表現はステロイドホルモン 受容体依存の遺伝子表現を混乱させ、鉱化を阻害する(下記参照)。従って、カ ルレチクリン表現は骨形成中に厳密に調節され、骨細胞におけるカルレチクリン 表現または機能の同様は特異的な骨の病気の分子的病原学に関係している。 我々はインビボでの骨形成中のカルレチクリンの表現パターンを決定し;カル レチクリンおよびカルレチクリン変異体の構成的表現の、骨芽細胞による鉱化へ の効果を比較し;カルレチクリン結合モチーフに基づく合成ペプチドをステロイ ドホルモンに用いてカルレチクリン/受容体相互作用と骨芽細胞のステロイドに 対する応答を変調し;遺伝子導入マウスの骨芽細胞においてカルレチクリンを過 表現してカルレチクリンのインビボ骨形成での役割を研究し;そしてマウスのカ ルレチクリン遺伝子を、胎芽幹細胞内で相同組み換えすることにより、不活化す る。この研究は、骨芽細胞におけるカルレチクリンの表現と機能に新しい洞察を 与えることにより、正常および損傷された骨発達の理解を広げるものである。上 述の実験により、骨芽細胞の機能と骨形成を変調する新しい手段が示される。最 後に、上述の研究の結果は骨の構造と機能に影響する病気の動物モデルを提供す る。これにより、特定の骨の病気を治療するための新しい治療方法が得られる。 カルレチクリンの表現は、骨形成のインビトロモデルにおいて鉱化の開始時に 下方調節される。さらに、分化中の骨芽細胞におけるカルレチクリンの強制され た表現が培養の鉱化を阻害することが示された。カルレチクリンがインビボで骨 形成を調節することができるか否かを決定するために、遺伝子導入マウスで機能 増大(gain-of-function)戦略を採った。外因性カルレチクリンシーケンスを骨 芽細胞に表現された異種プロモータの支配下に置き、この「ミニ遺伝子」を受精 したマウス卵子に注入し遺伝子導入マウス系統を確立した。骨芽細胞の機能およ び骨形成をこれらの遺伝子導入動物で任意に一連の技法を用いて分析する。骨芽 細胞分化の開始から外因性カルレチクリンシーケンスを表現しその表現を、終わ りまで分化した骨芽細胞、骨細胞でさえ、維持する。 さらに、カルレチクリン導入遺伝子の表現が発生中の骨化の開始と同時に起きる 。コラーゲンタイプI[a2(I)](40)のα2鎖のプロモータ領域を用いて 外因性カルレチクリンの表現を駆動した。遺伝子導入マウスのlacZリポーター遺 伝子にリンクしたa2(I)プロモータフラグメント(転写開始サイトに関して− 2000〜+54)を用いて、D'Souza et al.は前骨芽細胞および分化した骨芽 細胞において骨化の膜内および軟骨内の両サイトで導入遺伝子の強い表現を観察 した。導入遺伝子の表現は早くも術後14日目に骨の鉱化しつつある軟骨性テン プレート中の、石灰化前の骨組織の小辣(spicule)に接する骨芽細胞に検出さ れた(D'Souza et al.)。プロモータは骨細胞内でリポーター遺伝子の表現を指示 することが示された。従って、このプロモータフラグメントの活性はカルレチク リン導入遺伝子に付与することを望む表現の時間的および空間的パターンの双方 に適合する;さらに、遺伝子導入動物の場合をテストした。a2(I)プロモータ は腱および皮膚における導入遺伝子の表現も駆動する;他の組織については無視 し得る活性しか報告されていない。 我々は−2300〜+54a2(I)プロモータフラグメントをDr.Benoit de C rombrugghe(M.D.Anderson Cancer Center,テキサス州ヒューストン市)から入手 した。2054HindIIIプロモータフラグメント(Schmidt et al.)をブラン トエンド処理し(blunt-ended)、ネズミカルレチクリン遺伝子の上流で、翻訳 サイトの開始点の上量の単一のHpaサイトにおいてサブクローニングした。好ま しい戦略はゲノムシーケンスの使用を含み、導入遺伝子の表現をより高くするこ とができるようにしているけれども、骨芽細胞(21)におけるカルレチクリン 表現の下方調節を制御するシーケンスはイントロンに含まれている。そのため、 カルレチクリンcDNAを用いて第2の遺伝子導入ベクターを構築する。内因性カル レチクリンタンパクに関連する導入遺伝子の同定を容易にするために、ヒトc-my c腫瘍タンパク(oncoprotein)からのエピトープ・タグをカルレチクリン導入遺 伝子の第1のエクソン内の単一のSfi I限定サイトにおけるフレームでクローニ ングする。ヒトc-mycシーケンスでエピトープ・タグ付けを用いると外因性遺伝 子構築物の表現のモニターがうまくゆく(Lin et al.)。このエピトープ・タグを 認識する特異的モノクロナル抗体は市販されている。遺伝子導入ベクターは線維 芽細胞で一時的トランスフェクションアッセイにより機能の表現をテストする。 遺伝子導入の元祖動物および子孫は、ヒトc-mycエピトープ・タグに対応する オリゴヌクレオチド・プローブを用いて尾のDNAのサザンブロット分析により同 定する。ついで、遺伝子導入動物の発生を骨形成および骨芽細胞の機能に特に強 調を置いて追跡する。導入遺伝子の表現は、最初に、mycタグ抗体での免疫組織 化学を用いて骨組織で実証する(Lin et al.)。次に、骨の構造を研究するが、最 初に全骨格のアルシャンブルーおよびアリザリンレッドで染色し、それから骨切 片の組織体型測定分析(histomorphometric analysis)を注意深く行う(Glorieu x et al.)。骨芽細胞の表現型マーカーの遺伝子導入骨における表現をノーザン ブロットアッセイおよびその場ハイブリッド形成により分析する。 ついで、遺伝子導入動物の頭蓋冠から骨芽細胞セルラインを確立する (Escarot-Charrier et al.;Sudo et al.)。クローン細胞集団が誘導されると、 遺伝子表現パターン、ホルモン応答、およびインビトロ鉱化能力について徹底的 に特性記述する。KXFFK/RRモチーフをベースとする合成ペプチドで処理してカル レチクリン導入遺伝子の機能をブロックし、細胞の分化と機能を変調する。これ らの研究により、インビボ骨形成の調節におけるカルレチクリンの役割が確認さ れる。遺伝子導入動物で達成された機能増大アプローチは機能喪失(loss-of- function)アプローチを用いた研究で補完する。 遺伝子ターゲッティング技術の出現は、遺伝子ノックアウトと呼ばれることが あるが、発生と分化の間の特定の遺伝子生成物の役割と機能について大いなる洞 察を可能にした。手短にいうと、この技術は多能(pluripotennt)胚由来幹(ES )細胞(Capecchi,M.R.)の使用を前提としている。不活化変異を、ターゲット遺 伝子のクローニングされたゲノムフラグメントで起こし、この変異遺伝子を、イ ンビトロ培養されたES細胞に導入する。トランスフェクションされた変異遺伝子 は頻繁にランダムにホスト細胞のゲノムに統合するけれども、変異遺伝子を相当 するターゲット染色体位置に導入した希な細胞を相同組み換えにより同定単離す る強力な選定スキームが設計されており(Mansour et al.;Capecchi,M.R.)、ター ゲット遺伝子の零対立遺伝子を創製している。ついで、これらの細胞を、移植前 のマウス胚の割腔(blastcoel)にミクロ注入し、胚盤胞(blastcyst)をフォスタ ーマザー(foster mother)の子宮内に再移植する。 コートカラーが異なるマウス系統をES細胞数とレシピエント胚盤胞を普通に選 定し、毛皮の色に基づいてキメラ動物が簡単に同定できるようにした。戻し交配 育種を行うとES細胞がキメラ動物の幼ライン(germ line)に寄与しているか否 かを決定することができる。ES細胞の幼ラインへの伝達を示す子孫をゲノタイプ 分析して遺伝子工学により引き起こされた変異を担持する動物を検出する。これ らの異型接合(ヘテロザイゴート)子孫を異種交配して所望の変異について同型 接合動物を得る。 ES細胞技術は現在我々の研究所で機能している。我々は成功裏に25−ヒドロ キシビタミンD24−ヒドロキシラーゼ(24−OHアーゼ)遺伝子(St.Arnaud et al.)をターゲットにした。ターゲットES細胞を外部の施設、MRC Centre of Excellence for Transgenesis、によりマウス胚盤胞内に注入した。 とういのは、提案されたカルレチクリン「ノックアウト」株を遺伝子工学処理す ることも計画しているからである。得られたキメラマウスの一匹が子孫にターゲ ット対立遺伝子を伝達した。遺伝子光学的に変異を起こした異型接合動物は正常 であり繁殖能力がある。ターゲット24-OHアーゼ変異について同型接合である動 物は期待されたメンデル頻度25%(36/154)で生まれるが、同型接合体 の 約2分の1は生後1週間以内に死亡した。同型接合表現型の浸透が不完全である ことはこれらの動物の混合された遺伝的バックグラウンド(129SvxC57 B16)によるかもしれないと考えており、現在、変異体を種内育種した12SSV バックグラウンドに戻し交配している。予備的データは、同型接合ミュータント にマイルドな高カルシウム症を示唆しており、組織学検査は正常な骨の構造を示 している。生き延びた同型接合動物は繁殖能力がある。 興味深いことに、予備的結果は、同型接合の雌から生まれた同型接合動物で骨の 発生が異常であることを示唆している。これらの分析はミネラルのホメオスタシ スと骨の発達における24,25(OH)2D3の生物学的役割に価値ある洞察をもたらす。 本願の文脈では、それらはマウスの「ノックアウト」株を遺伝子工学的に創り出 す我々の能力を例証するものである。 我々はすでにカルレチクリン遺伝子の一つの対立遺伝子をターゲットとしたES 細胞クローンを単離している。これらのクローンを膨張させ、ついで割腔期のC5 7BL/6胚に標準技術を用いて注入する。この最後の工程を前述のように、Montr eal General HospitalのMRC Centre of Excellence for Transgenesisによりコ ストベースで行った(St.Arnaud et al.)。キメラ動物をキメラ・コートカラー に基づいて同定する(黒のバックグラウンドにアグーチ(agouti)の斑点)。キ メラ雄をC57BL/6雌に交配し、幼ラインの伝達を得られたF1子孫にアグーチ・ コートカラーが存在するか否かで検定した。幼ラインの伝達を示す動物を、テイ ルDNAのサザンブロット分析によりゲノタイプ分析し、変異対立遺伝子について 異型接合体を其れ自体の間で交配して3つのあり得るゲノタイプをすべて生成す る(+/+、+/-および-/-)。ついで、+/-異型接合動物および-/-同型接合動物の 表現型を詳細に検討する。 カルレチクリンは種々の細胞タイプで多数の機能、すなわち、カルシウム結合 (Michalak et al.);インテグリン受容体との相互作用による細胞付着;および核 ホルモン受容体によるDNA結合の変調(Dedhar et al.;St.Arnaud et al.;Burns e t al.)を調節していることが示された。カルレチクリンのこれらの役割のあるも のはカルレチクリンとそのターゲットタンパクとの間の厳密な化学量論的関係に 依存しているかもしれない。一つのカルレチクリン対立遺伝子を不活化するとこ の化学量論的関係が遺伝子の用量効果により変化し、同型接合マウスの発生に影 響する。カルレチクリンはAR(Dedhar et al.)、GR(Bums et al.)、RAR(Dedhar e t al.)およびVIDR(St.Amaud et al.)の作用を変調することが示されているので 、我々はこれらのホルモンのターゲット組織:副腎腺、性腺、肺および骨のいく つかのものの形態と機能に集中する。さらに、インテグリン受容体による細胞付 着は異型接合動物では妥協されているので、それらの動物は効率の腫瘍形成を示 す。 -/-同型接合ミュータントを分析するために、F2同腹仔からの動物をゲノタイ プ分析して同型接合-/-表現型の伝達率を決定する。メンデル基体率25%より も有意に低い比は胚の致死的変異を示唆している。つぎに、我々は妊娠の種々の 段階における死亡胚の存在について妊娠している雌を分析して同型接合が変異し ていないことを確認する。次に、胚の死亡の原因を調査する。カルレチクリンの 多数の機能を考慮して、胚の死亡率は両方のカルレチクリン対立遺伝子のターゲ ットとなっている不活化の結果であることが考えられる。 しかしながら、生きたF2ミュータント同型接合体が回収されれば、それらの表 現型を徹底的に研究する。第一に、カルレチクリンmRNAおよびタンパクの表現を 、ノーザンおよびウェスタンブロットを用いて検査して遺伝子工学的に引き起こ した変異が真性の零対立遺伝子を創製していることを確認する。 -/-同型接合体の種々の表現型が仮定される:上述の変異は検出可能な効果を 持たないことが考えられる;これはカルレチクリンと他のカルシウム結合タンパ クの間の機能の重複があることを示唆している。カルレチクリンタンパクについ て説明された多重機能(Dedhar et al.)は、しかしながら、同型接合ミュータン トの表現型が存在しないことはありそうにないことを示唆している。 もっとも関心のある可能性としては、同型接合動物が検出可能な表現型を発生 することである:これは骨格の発達と関連しているか、あるいは関連していない であろう。後者の場合であれば、どの組織(類)が影響されているか、およびカ ルレチクリン機能が欠如しているとどのような効果があるかをその組織について 決定する。再び、ステロイドホルモンのターゲット組織、例えば副腎腺および性 腺、に特別注意する。 しかしながら、骨発生のインビトロモデルを用いて我々が得た結果は、骨の発 達はカルレチクリンミュータント1:5動物では損傷されていることを強く示唆 している。これは成長障害、奇形、骨組織および/または成長板軟骨の組織学的 異常により証明される。同型接合動物からの骨と成長板軟骨の形態をShared Bon e Morphologyの施設の資源を使用して分析する。次に、我々は、観察された表現 型をより詳細に特性記述するが、これは、骨芽細胞分化の既知のマーカー(アル カリホスファターゼ、オステオカルシン、オステオポンチン等)の表現をその場 ハイブリッド形成を用いて分析して、カルレチクリン機能が存在しないことがイ ンビボの骨芽細胞分化の間の遺伝子表現にどのように影響するかを決定すること により行う。最後に、我々は同型接合動物と、ヒトの骨および/または軟骨に影 響する病気とをリンクさせる。我々のミュータント株を骨格発達に影響する病気 の動物モデルとして使用し、これらの病理の改善された臨床的措置の基礎を提供 する。 我々が提供するカルレチクリンの機能増大(gain-of-function)および機能喪失 (loss-of-function)変異は骨芽細胞の機能および骨の形成に影響する。観察され た表現型はいくつかのヒトの骨の病理と匹敵する。次に、それらの病理からのサ ンプル組織でカルレチクリン表現を分析して代謝的骨の病気の分子的原因にさら なる洞察が得られるようにする。 我々は特に骨だけのカルレチクリンの機能を不活化してカルレチクリン不活化 の際の胚の致死の可能性を低減するようにする。これは条件的遺伝子ノックアウ トの新しい方法論で達成されるが、この方法論はサイト特異的Creレコンビナー ゼを遺伝子導入法において使用することに基づいている。これらの実験により、 骨の細胞に影響する病気に対する合理的かつ有効な治療法を考え出す上で非常に 貴重である骨の病気の動物モデルを提供することが可能になる。 実施例14 乳癌の治療法 ここで、エストロゲン用に選定したタンパク模擬品を使用した以外は前立腺癌 (実施例12)と同様の手順を用いる。トランスフェクションはLnCAPの代わり にMCF-7,T47-Dヒト乳癌セルラインに行った。患者の治療は、ペプチドまたはそ れらの模擬品、あるいはカルレチクリンまたはその模擬品を実施例11およ び12に記載したように脂質小胞体に運搬した。 実施例15 慢性炎症の治療法 関節炎のような慢性炎症の衰弱症候が不注意による免疫応答から生じる。ステ ロイド化合物は慢性炎症の治療にしばしば用いられる主要な免疫抑制剤である。 そのような治療に対する応答は、KXFFYRシーケンスをベースとするカルレチクリ ン−ホルモン受容体拮抗剤の共投与により劇的に増強することができる。そのよ うなペプチド、またはそれらの有機模擬品はカルレチクリンにより結合していて もよいこれらのjrを活性化することにより、ホルモン応答を劇的に向上する。 これにより、ステロイド化合物の使用濃度を低下することができ、副作用を低減 する。そのようなペプチドまたはそれらの有機模擬品の運搬態様は、実施例11 および12に記載したように脂質小胞体中に含有させて行う。 実施例16 骨粗しょう症の治療 骨粗しょう症は骨再吸収速度と骨形成速度のインバランスから生じる。詳しく は、月経閉止後の女性において、全身エストロゲンレベルが減少すると骨形成が 減少するが、破骨細胞に媒介される骨再吸収は持続する。骨芽細胞の機能および 骨形成を特異的に向上することができるエステロゲンアナローグを用いることに よるエストロゲン治療は鋭意研究中である。 カルレチクリンの表現が増加すると骨形成が阻害されるという発見が与えられる と、カルレチクリンの表現は骨粗しょう症患者で増加することがありそうである 。従って、カルレチクリン−エストロゲン受容体相互作用の拮抗剤に対する特異 的な、KXFFYRをベースとするペプチドまたは模擬品を共投与するとこの治療に大 いに有利であろう。そのようなペプチドまたは模擬品はそのような治療に用いる エストロゲンアナローグの効力を劇的に向上するであろう。 カルレチクリンの使用法の別のアプローチとしては破骨細胞分化の阻害がある 。破骨細胞前駆体からの成熟破骨細胞の分化はビタミンD3により向上する。従 って、ビタミンD受容体をカルレチクリンベースの模擬品により特異的に阻害す ると破骨細胞に媒介される骨の再吸収が抑制される。骨形成を増加し、骨再吸収 を 下方調節する組み合わせ治療は骨粗しょう症の有効な治療法であり得る。 ペプチドまたは模擬品は実施例11および12に記載された方法により再度運 搬される。 本発明を本発明者が発見しまたは提案する特定の実施の形態により本発明を実 施するための最良の形態をなすものとして説明した。当業者は、本願の開示内容 に鑑み、本発明の意図する範囲から逸脱することなく例示された上記特定の実施 の形態に種々の改変および変更をなすことができる。例えば、コドンの重複によ り、その下にあるDNAシーケンスをタンパクのシーケンスに影響することなく変 更することができる。さらに、生物学的機能均等の考察により、生物学的作用の 種類および量に影響することなくタンパクの構造に変更を加えることができる。 すべてのそのような改変は以下の従属請求項の範囲内のものであることが意図さ れている。 引用文献 下記の文献はここで用いられている方法論、技術および/または組成物を補充 し、説明し背景を提供しまたは教示する限りにおいて引用によりここに導入され るものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 19/08 A61P 35/00 35/00 C07K 14/47 C07K 14/47 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B Y,CA,CH,CN,DE,DK,EE,ES,FI ,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, TJ,TM,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 サン−アルノー,ルネ カナダ国 エイチ4エル 1アール9 ケ ベック セント ローレント,クレメント ストリート 1020 【要約の続き】 の模擬品を用いて病気を治療する方法、およびこれらの タンパク類、合成ペプチド類またはそれらの模擬品を含 有するキットを包含する。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ホルモン応答性を変調するのに使用する単離精製された生成物。 2.前記生成物はホルモン受容体誘導遺伝子転写を阻害する請求項1記載の生成 物。 3.前記生成物はホルモン受容体誘導遺伝子転写を促進する請求項1記載の生成 物。 4.前記生成物はアミノ酸シーケンスKXFFYR(ここで、XはG、AまたはVであ り、およびYはKまたはRである)に結合し、前記生成物はカルレチクリンおよ びカルレチクリンの模擬品よりなる群から選ばれる請求項2記載の生成物。 5.前記生成物はアミノ酸シーケンスKXFFYR(ここで、XはG、AまたはVであ り、およびYはKまたはRである)に結合し、前記生成物はカルレチクリンに結 合する合成ペプチドである請求項3記載の生成物。 6.カルレチクリンに結合子DNA応答エレメントに結合する受容体のカルレチク リン阻害を選択的に逆転する生成物。 7.合成ペプチドである請求項6記載の生成物。 8.前記受容体がレチン酸であり、前記生成物がKLDFFKRである請求項7記載の 生成物。 9.前記受容体がアンドロゲン受容体であり、前記生成物がKLGFFGRおよび KLGFFKGよりなる群から選ばれる請求項7記載の生成物。 10.ホルモン応答性を変調するのに有用なアミノ酸シーケンスをコードしてい る単離されたDNA分子。 11.前記分子が第2のアミノ酸シーケンスKXFFYR(ここで、XはG、Aまたは Vであり、およびYはKまたはRである)に結合する第1のアミノ酸シーケンス をコードし、前記第1のアミノ酸シーケンスはカルレチクリンまたはカルレチク リンの一部分の模擬品のためのものである請求項10記載の単離されたDNA分子 。 12.ホルモン受容体誘導遺伝子転写を細胞内で調節するほ乳類の病気を治療す る方法。 13.ホルモン受容体誘導遺伝子転写に用いるタンパクの活性、量または安定性 を調節することをさらに含む請求項12記載の方法。 14.前記ほ乳類にタンパクおよび担体を含んでなる製薬を投与することをさら に含む請求項12記載の方法。 15.前記タンパクはアミノ酸シーケンスKXFFYR(ここで、XはG、AまたはV であり、およびYはKまたはRである)に結合する請求項14記載の方法。 16.前記タンパクはカルレチクリンに結合する請求項14記載の方法。 17.前記タンパクはカルレチクリンおよびカルレチクリンの模擬品よりなる群 から選ばれ、前記担体は脂質小胞体である請求項14記載の方法。 18.前記病気は乳癌、前立腺癌、白血病、固形腫瘍、慢性炎症および関節炎よ りなる群から選ばれる請求項12記載の方法。 19.前記病気は骨障害である請求項12記載の方法。 20.前記病気は骨粗しょう症、大理石骨病(osteopetrosis)、オステオペニ ア、くる病、骨軟化症、および骨ジストロフィーよりなる群から選ばれる請求項 19記載の方法。 21.細胞内に存在するカルレチクリンの量を減少または除去することを含む請 求項12記載の方法。 22.細胞内に存在するカルレチクリンの安定性を低減することを含む請求項1 2記載の方法。 23.前記ホルモン受容体はグルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド 受容体、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、レ チン酸受容体、甲状腺ホルモン受容体、ビタミンD受容体およびオーファン受容 体よりなる請求項12記載の方法。 24.ホルモン応答性を変調するのに用いるタンパクを担体とともに含んでなる 製薬を含有するキット。 25.前記タンパクはアミノ酸シーケンスKXFFYR(ここで、XはG、AまたはV であり、およびYはKまたはRである)に結合し、前記タンパクはカルレチクリ ンまたはカルレチクリンの模擬品である請求項24記載のキット。 26.前記タンパクはカルレチクリンに結合する請求項24記載のキット。 27.前記担体は脂質小胞体である請求項24記載のキット。
JP8522508A 1995-01-24 1995-11-23 ホルモン応答性を調節するための新規製薬 Pending JP2000507801A (ja)

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