JP2000506130A - 抑制性のt細胞反応を誘導するためのdnaワクチン接種 - Google Patents

抑制性のt細胞反応を誘導するためのdnaワクチン接種

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Abstract

(57)【要約】 T細胞受容体の可変領域をコードするDNAをレシピエントに注入することによって、炎症誘発性T反応が特異的に防止される。ワクチン接種に対する反応として、可変領域を発現しているT細胞は、IL-4を含むTh2サイトカインを産生する。自己抗原を指向する炎症誘発性T細胞反応はDNAワクチン接種によって抑制されることが示された。さらに、抑制性ワクチン接種によって、ワクチン接種に用いた可変領域によって認識されない自己抗原のエピトープに対して反応するT細胞の炎症作用が軽減された。

Description

【発明の詳細な説明】 抑制性のT細胞反応を誘導するためのDNAワクチン接種 導入 免疫系の複雑性は、免疫系機能不全を理解する上での困難な障壁となっている 。近年、分子生物学の技法により、免疫の基礎をなす機序および構成要素に関す る洞察がもたらされた。免疫のストーリーの大部分は、リンパ球に関するストー リーである。リンパ球は、互い同士、抗原提示細胞、ならびに外来性の抗原およ び細胞と相互作用するための極めて複雑かつ巧妙なシステムを有している。 免疫応答の変調は、産生される特定の因子、および反応する細胞上に存在する 受容体によって異なる。応答をダウンレギュレートする経路は、活性化に必要な 経路と同じく重要である。T細胞の免疫寛容(T cell tolerance)は、特定の抗 原に対する免疫応答を防止するための1つのよく知られた機序である。抑制性サ イトカインの分泌などの他の機序も知られている。 多くの疾患および炎症性状態における共通の特徴は、炎症誘発性CD4-T細胞の 関与である。これらのT細胞は、炎症性のTh-1型サイトカインの放出の原因とな る。Th-1型としての特徴を持つサイトカインには、インターロイキン2(IL-2) 、γ-インターフェロン、TNFαおよびIL-12が含まれる。このような炎症誘発性 サイトカインは免疫応答を誘発させるように作用し、多くの場合には、それによ って自己組織の破壊が生じる。その他のサイトカインはT細胞反応の抑制に関連 している。これらはTh2型であり、IL-10、IL-4およびTGF-βが含まれる。Th1型 およびTh2型のT細胞は、免疫原に対して反応する際に同一の抗原受容体を用いて おり、前者では刺激性反応が生じ、後者では抑制性反応が生じるらしいことが明 らかになっている。 炎症性疾患に伴う多くの臨床症状は、特異的な抑制性反応を誘導することによ って軽減させることができる。これまではシクロスポリンAなどの免疫抑制剤が 治療に用いられている。しかし、これらには特異性がないことが重大な欠点であ る。T細胞の活性化を特異的に抑制する治療法には大きな医学的有用性があると 考えられる。関連文献 微生物および腫瘍に対するワクチン化を促進するためのDNAの注入は、パード ル(Pardoll)ら(1995)Immunity 3:165〜169;デービス(Davis)ら(1993)Hum .Mol.Genet. 2:1847〜1851;ウルマー(Ulmer)ら(1993)Science 259: 1745〜1749、およびタング(Tang)ら(1992)Nature 356:152〜154において考 察されている。癌、マイコプラズマ、TB、マラリアおよび多くのウイルス感染症 の動物モデルでは、遺伝的免疫化によって特異的な体液性免疫応答のみならず、 より広範な反応性を持つ細胞性免疫応答も誘導されることが示されている。例え ば、モル(Mor)ら(1995)J Immunol 155:2039〜46;スー(Xu)およびリュー (Liew)(1995)Immunology 84:173〜6、ならびにデービス(Davis)ら(1994 )Vaccine 12:1503〜9を参照されたい。 EAEでは、Th2型細胞が疾患の誘発を防止することが示されている。ワイナー( Weiner)ら(1994)Annu .Rev.Immunol. 12:809〜837。Th1細胞はマウスモデ ルで重症の関節炎を誘発することが示されている。ゲルマン(Germann)ら(199 5)P.N.A.S. 92:4823〜4827。センペ(Sempe)ら(1994)Diabetologia 37:337 〜343は、NOD雄マウスにおけるCD4+調節性T細胞に関する所見を提供している。N ODマウスにおける自己免疫性糖尿病の伝達がT細胞を介して抑制されることは、 ハッチング(Hutchings)およびクック(Cooke)J .Autoimmun. 3:175〜185に より示されている。 病原性TCR V遺伝子を標的とするモノクローナル抗体の投与、ならびに病原性T CR V領域の第2および第3の相補性決定領域から得られるペプチドによるワクチン 接種はEAEの治療に好結果をもたらすことが判明しており、アカ-オルベア(Acha -Orbea)ら(1988)Cell 54:263〜273;サカイ(Sakai)ら(1988)P.N.A.S. 8 5:8608〜8612;バンデンバーク(Vandenbark)ら(1989)Nature 341:541〜54 4、およびハウエル(Howell)ら(1989)Science 246:668〜670において示され ている。 MSに対する感受性は、ある種のMHCクラスII遺伝子と関連することが示されて いる。オクセンバーグ(Oksenberg)およびシュタインマン(Steimnan)(1990 )Current Opinion in Immunology 2:619〜621。細胞レベルでは、MS患者の脳 脊髄液(CSF)中のT細胞がオリゴクローン性を有することが記載されている。リ ー( Lee)ら、Ann.Neurol.29:33〜40(1991)。オクセンバーグ(Oksenberg)ら 、Nature 345:344〜346(1990)は、MS脳に由来する転写物からTCR Va配列を増 幅するためのPCRの使用について記述している。ブッヒャープェニッヒ(Wucherp fennig)ら、Science 248:1016〜1019(1990)およびオタ(Ota)ら、Nature 3 46:183(1990)は、ミエリン塩基性蛋白質を認識するヒトにおけるT細胞クロー ンの研究について報告している。 発明の概要 特異的で抑制性のT細胞反応を誘導するための方法を提供する。哺乳動物宿主 を、可溶性T細胞受容体可変領域抗原(Vvaccine)をコードするDNA発現ベクター を用いてワクチン接種する。ワクチン接種に対する反応として、可変領域(標的 とされる可変領域、「Vtarget」)を発現しているT細胞がIL-4を含むTh2サイト カインを産生する抑制性反応が惹起される。抑制性ワクチン接種により、T細胞 の炎症誘発性反応が、特異的で標的化された様式で防止または解消される。この 治療によって利益が得られる状態としては、自己免疫疾患、組織移植、および炎 症に関連した他の疾患が含まれる。 図面の簡単な説明 図1Aおよび1Bは、MBP Ac1-20ペプチド(図1A)または無傷MBP(図1B)による 能動免疫化を受けた後のマウスに対するDNAワクチン接種の効果を示すグラフで ある。各群の9-15 PL/Jマウスの肉趾(foot pad)にペプチドまたは蛋白質を皮 下注射した。マウスにはVb5.1、Vb8.2をコードするDNAまたはPBSのみを投与した 。示されているのは、各群の全マウスに関する平均疾患スコアである。 図2Aから2Dまでは、DNAワクチン接種によるサイトカイン産生の変化を示すグ ラフである。図2Aには、Vb5.1、Vb8.2をコードするDNAまたはPBSのみによる前投 与後にMBP Ac1-20による免疫化を行ったPL/Jマウスから採取した流入領域リン パ節細胞に関する増殖性応答が示されている。Vb5.1、Vb8.2をコードするDNAま たはPBSのみの前投与を受けたマウスから採取し、コンカナバリンA(10μg/ml )またはペプチドMBP Ac1-20によって活性化したLNCの上清を、γ-インターフェ ロン(図2B)、IL-2(図2C)およびIL-4(図2D)の有無に関して検討した。 図3Aおよび3Bは、T細胞系による疾患の誘導を示している。EAEの対照PL/Jマ ウ ス、またはVb8.2 DNA、8.2-LNによって保護されたマウスから単離したT細胞系の 細胞500万個/マウス1匹を雌PL/Jマウスに静脈内接種した。各群における全マ ウスの平均疾患スコアを±SDとともに示す。図3Bでは、vb8.2 DNAによって免疫 化されたマウスに由来するMBP Ac1-20を指向する500万個のTH2細胞はEAEを抑制 することができたが、MBP Ac1-20を含むCFAの投与を受けたマウスはEAEを発症し た。 図4は、抑制性ワクチン接種のための発現構築物を示している。 特定の態様の説明 本方法は、特異的な抑制性T細胞反応の誘導による、炎症の治療的処置および 研究のための手段を提供する。例えば筋肉または皮膚などの宿主組織中にDNA発 現カセットを注入する。ベクターは、関心対象の表現型と関連したT細胞抗原受 容体の可変領域の少なくとも一部をコードするDNA配列を含む(Vvaccine)。こ のワクチン接種に反応して、抑制性反応が惹起される。標的とされる天然型の可 変領域「Vtarget」を発現している内因性T細胞は、IL-4を含む抑制性Th2サイト カインを産生する。 抑制性ワクチン接種の用途は、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳脊髄炎、慢 性関節リウマチおよびインスリン依存性糖尿病などの、炎症誘発性T細胞の関与 を特徴とする自己免疫疾患の治療に見いだされる。治療される可能性のある他の 状態としては、移植片対宿主病、移植片拒絶反応、例えば生きた微生物の接種に 対する炎症性反応などの細菌およびウイルス感染によって生じる中枢神経系の炎 症、外傷に対する反応としての局所的炎症、ならびに望ましくない、例えば病原 性などのT細胞活性と関連したその他の状態が含まれる。特に例えばマウス、ウ サギなどの小型哺乳動物の動物モデルは、実験的研究のためには興味が持たれる 。 多くの疾患および炎症性状態における共通の特徴は、炎症誘発性CD4-T細胞の 関与である。これらのT細胞は、組織破壊部位で炎症性のTh-1型サイトカインが 放出される原因となる。このような炎症誘発性サイトカインは、免疫応答を誘発 するように作用し、多くの場合には、自己組織の破壊が生じる。抑制性ワクチン 接種は、特異的な可変領域を発現しているT細胞の特異的抑制を誘導すること、 および炎症部位で抑制性サイトカインを放出させ、それによってTh-1型サイトカ インの効果を相殺することという両方の目的に役立つ。ワクチン接種のための可 変領 域(1つまたは複数)は、これらの効果が最適化されるように選択される。 T細胞受容体可変領域の少なくとも一部を、通常はベクターの一部としてコー ドするDNA発現カセットを、ワクチンレシピエントの組織中に導入する。可変領 域遺伝子またはその一部(Vvaccine)は組織中で発現され、コードされたポリペ プチドが免疫原または抗原として作用する。CD80およびCD86などの共刺激性分子 を持たない「非専門的」細胞によるVvaccine配列の提示によって、抑制性T細胞 の反応が誘導されるという仮説を立てることができる。 Vvaccine配列は、例えばTCRb、TCRa、TCRgおよびTCRdなどの、T細胞抗原受容 体の可変領域の少なくとも一部をコードする。「可変領域」とは、生殖系列性ま たは再配列した形式の、V、Dおよび/またはJの任意の遺伝子セグメントを意味 する。特に興味が持たれるのは、TCRaおよびTCRb遺伝子座から得られるVセグメ ントである。T細胞抗原受容体可変領域の配列はこれまでに詳細に記載されてお り、当技術分野では周知である。これらの可変領域は、染色体Vセグメントが「D 」および/または「J」セグメントと連結し、それによって完全なaまたはb鎖の 発現が可能となるような、Tリンパ球の成熟期における遺伝的再配列を特徴とす る。abまたはgdヘテロ二量体とアクセサリー分子との複合体は、MHCクラスIまた はクラスII分子と結合した抗原ペプチドを認識する。 Vvaccine配列は、例えば霊長類、特にヒト、マウス、ラットおよびハムスター を含む囓歯類、ウサギ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどの、あらゆる哺乳類または 両生類の種に由来するものであってよい。特に興味が持たれるのは、ヒトおよび マウスのTCR Vセグメントである。一般に、Vvaccine配列は動物宿主と同じ種に 由来しており、好ましくは自家性(autologous)であると考えられる。例となる 配列は、[カバト(Kabat)ら、免疫学的に興味が持たれる蛋白質の配列(Sequen ces of Proteins of Immunological Interest) 、NIH Publication No.91-3242 、pp 1477〜1571]またはジェンバンク(Genbank)データベースのアクセス結果 に認められる。興味が持たれるVaファミリーの中には、ヒトVa8-10、Va12および Va16がある。興味が持たれるその他の領域にはVa1、Va5およびVa7が含まれる。 関心対象のVbファミリーには、ヒトVb5、Vb6、Vb7およびVb12、特にVb5.1および Vb5.2が含まれる。例となるv領域はマウスVb8.2およびVb17a配列であり、それら のヒトで の対応物はそれぞれVb12およびVb4サブファミリーである。特定の疾患との関係 でVvaccine配列を選択するための方法については提供されている。 本DNA発現カセットは、カバトら、前記によって定義された通り、TCR可変領域 をコードする配列の大部分または全部を含むと考えられる。コード配列は5'端ま たは3'端で切断されていてもよく、通常はVセグメント配列の少なくとも約75% 、より通常は少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%が存在すると考え られる。配列は、ワクチン接種時にVvaccine細胞による抑制性反応を誘導するの に十分であると考えられる。選択的には、Vvaccineは、T細胞受容体D、JまたはD JセグメントをコードするDNA配列を含み、そのDまたはJセグメントは3'端でV領 域配列と隣接すると考えられる。 ワクチンは1つのVvaccine配列またはその混合物として処方できる。単一の配 列が複数のエピトープに対する応答を抑制できることは示されているが、場合に よっては、それぞれが異なるエピトープまたはエピトープ-MHC結合物を認識する 複数のVvaccine配列を含めることが望ましいと考えられる。 Vvaccine配列は適切な発現カセット内に挿入される。この発現構築物は従来の 方法で調製される。このカセットは、ワクチン受容細胞におけるVvaccine配列の 発現のための適切な転写および翻訳の調節配列を有すると考えられる。カセット は一般に、適当な複製開始点と、レシピエントにそれを導入する前にベクターを 増殖、増幅および操作するために必要と考えられる選択可能なマーカーをコード する遺伝子とを含むベクターの一部である。適したベクターには、プラスミド、 YAC、BAC、バクテリオファージ、レトロウイルスなどが含まれる。発現ベクター はプラスミドであることが好都合であると考えられる。ワクチン接種の前に、当 技術分野で知られた切断、増幅などによってカセットをベクター配列から分離し てもよい。注入のためのDNAはスーパーコイル状でも直鎖状でもよいが、好まし くはスーパーコイル状である。カセットは長期間にわたって宿主細胞内に維持さ れてもよく、一過性であってもよいが、一般には一過性である。安定的な維持は 、例えばレトロウイルスベクター、EBVベクターなどの組み込みおよび/または 維持をもたらす配列を含めることによって達成される。 発現カセットは一般に、外因性転写開始領域、すなわち、天然の染色体におい てT細胞受容体と関連しているプロモーター以外のプロモーターを用いる。この プロモーターは宿主細胞内、特にカセットが標的とする宿主細胞内で機能を発揮 する。プロモーターは、インビトロでの組換え法によって導入してもよく、適当 な宿主細胞による配列の相同的組み込みの結果として導入されてもよい。プロモ ーターは、翻訳可能なmRNA転写物を産生するようなVvaccineのコード配列と機能 的に結合している。Vvaccine配列の挿入を容易にするためには、発現ベクターが プロモーター配列の近くに制限部位を有することが好都合である。 発現カセットは、構成性または誘導性であってもよい転写開始領域、Vvaccine 配列をコードする遺伝子、および転写終結領域を含んだ形で調製される。この発 現カセットは、さまざまなベクター内に導入することができる。関心対象のプロ モーターは誘導性でも構成性でもよいが、通常は構成性であり、ワクチンのレシ ピエント細胞において高レベルの転写をもたらすと考えられる。プロモーターは レシピエント側の細胞種においてのみ活性を有するものでも、多くの異なる細胞 種における広範な活性を有するものでもよい。β-アクチンプロモーター、SV40 初期プロモーターおよび後期プロモーター、免疫グロブリンプロモーター、ヒト サイトメガロウイルスプロモーター、レトロウイルスLTRなどを含む、哺乳動物 細胞に関する多くの強力なプロモーターが当技術分野では知られている。プロモ ーターはエンハンサーを伴っていても伴っていなくてもよく、そのエンハンサー は特定のプロモーターに本来伴うものでも、異なるプロモーターに伴うものでも よい。 終結領域はコード領域の3'側に提供され、この終結領域は可変領域ドメインに 本来伴うものでも、異なる供給源に由来するものでもよい。発現に有害な影響を 与えずに、広範な種類の終結領域を用いることができる。 さまざまな操作をインビトロで実施することもでき、例えば大腸菌などの適切 な宿主において実施することもできる。構築物が正しいことを確認するために、 各操作の後に、結果として得られた構築物をクローニングし、ベクターを単離し 、DNAのスクリーニングまたは配列決定を行ってもよい。配列を制限分析、配列 決定などによってスクリーニングすることもできる。 通常は20個以下、より通常では15個以下の少数のヌクレオチドを、Vvaccine配 列の末端に挿入することもできる。ヌクレオチドの欠失または挿入は通常、好都 合な制限部位、プロセッシングシグナルの付加、操作の簡便性、発現レベルの改 善などを提供するという構築上の必要性の結果であると考えられる。さらに、同 じような理由で1つまたは複数のアミノ酸を異なるアミノ酸と置換することを考 えてもよいが、通常は領域内で約5個を超えるアミノ酸の置換は行わない。 ワクチンは1つのVvaccine配列、または同じもしくは異なるベクター上にある その混合物として処方することができる。DNAベクターは、生理学的に許容され る緩衝液、一般には例えば規定塩類溶液、リン酸緩衝生理食塩水、水などの水性 溶液中に懸濁する。補助薬剤として、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧を変え るための塩類、または適切なpH値を確保するための緩衝液、および皮膚浸透増強 薬を用いることもできる。DNAは通常、少なくとも約1ng/mlであって約10mg/ml 以下、通常は約100μg〜1mg/mlの範囲の濃度で存在する。ワクチンは、2回また はそれ以上の用量に細分し、1回の用量を少なくとも約1μg、より通常には少な くとも約100μg、好ましくは少なくとも約1mgとして、約4日から1週間の間隔を 置いて投与してもよい。 DNAワクチンは、皮下、皮内、静脈内、経口、または髄液中への直接的な投与 により、筋肉または他の組織中に注入される。特に興味が持たれるのは、骨格筋 への注入である。筋肉内注射の一例は、ウルフ(Wolff)ら(1990)Science 247 :1465〜1468に見ることができる。ファース(Furth)ら(1992)Anal .Biochem 205:365〜368に記載されているように、筋肉内投与のために噴射式注射(jet injection)を用いてもよい。DNAを金微粒子上にコートし、粒子射入装置すなわ ち「遺伝子銃」によって皮下に送達してもよい。微粒子DNAによるワクチン接種 は文献に記載されている(例えば、Tangら(1992)Nature 356:152〜154を参照 されたい)。金微粒子射入物はワクチンカセットでコートされ、次に皮膚細胞内 に射出される。 DNAワクチン接種の効率は、デービス(Davis)ら(1993)FEBS Lett. 333:14 6〜150、および実施例において記載されているように、ワクチン接種の約1週間 前に組織へカルジオトキシンを注入しておくことによって改善することができる 。カルジオトキシンは筋肉の変性および再生を誘発する。筋肉には薬理学的に許 容 される賦形剤に溶解した約0.1〜10μMのカルジオトキシンを注入する。 治療対象となる状態によって、いかなるVvaccine配列(1つまたは複数)を選 択するかが決まる。炎症性疾患と関連した特異的なT細胞受容体可変領域を同定 することにより、このような可変領域(Vtarget)を有するT細胞の炎症誘発性反 応を抑制する治療法を採用することが可能となる。疾患に関連した可変領域は多 くの異なる方法によって同定される。自己免疫疾患の場合には、自己MHC分子に よって提示される自己抗原の結合物と特異的に反応するT細胞が同定されている 。 例えば、自己抗原、移植片組織適合性抗原、ウイルス抗原などの被験抗原と反 応するT細胞の可変領域の配置を同定するためにインビトロ試験を実施してもよ い。アッセイには抗原全体を用いてもよく、またはペプチドを選択および調製す るための当技術分野で知られた方法を用いることにより、主要抗原決定ペプチド (immunodominant peptide)を選択してもよい。反応させるT細胞は、ワクチン のレシピエントからみて自家性、同系性または同種異系性のいずれでもよい。反 応させるT細胞が選択され、例えば保存配列とハイブリダイズするプライマーを 用いるポリメラーゼ連鎖反応による増幅によって、発現されたT細胞受容体遺伝 子が同定される。反応させるT細胞受容体の可変領域を、続いて被験抗原に対す るインビボでのT細胞の反応性を抑制するためのワクチン接種に用いる。または 、炎症性病変の部位に認められるT細胞に関して、Vtargetのみを発現させるか、 またはJtargetと同時に発現させるかを決定することもできる。例えば、炎症部 位からT細胞を単離し、標準的な手順に従って全mRNAを調製する。RT-PCRまたは 当技術分野で知られた他の増幅法を用いて、発現された可変領域を増幅する。RT -PCRの場合には、発現される特定の可変領域を同定するようなプライマーを用い る。プライマーは、T細胞受容体サブユニットの保存領域にある既知の配列と一 致するように選択される。続いて、病変部に存在するT細胞によって発現される 特定のV領域およびJ領域と宿主MHC抗原型との関連を調べる。 このようなT細胞からゲノムDNAを単離し、可変領域の実質的に保存された領域 とハイブリダイズするプライマーを得ることにより、TCR遺伝子座での再配列の 有無を決定するために用いることもできる。クローニングにより、遺伝子座の配 列決定、および可変領域の実体の立証が可能となる。可変領域の発現と、問題と な る疾患の存在との間に100%の相関がみられることを通常は期待すべきではなく 、それが必ず達成される訳でもない。宿主T細胞の集団において疾患と関連した 可変領域の遺伝子座が発現されるのは、通常は疾患に関して陽性である宿主の少 なくとも60%、好ましくは70%である。同様に、疾患の徴候を呈しない宿主の約 50%未満、好ましくは約30%未満では、可変領域は認められない。 共有された可変領域を有するT細胞は、単一のVセグメントサブファミリー由来 の可変領域遺伝子を発現すると考えられる。V遺伝子の全長にわたるヌクレオチ ド配列の類似度が75%を超える遺伝子セグメントは、同じサブファミリーの一員 であるとみなされる(Crewら(1981)Cell 25:59〜66)。配列類似度はVエクソ ン自体に関して算出され、DおよびJセグメントならびにN付加部によってコード される配列は含まれない。 特定の疾患に応じて、T細胞の同定のためにはさまざまな組織を用いることが できる。多発性硬化症などの神経疾患の場合には、T細胞の供給源として脳内斑 (brain plaque)または脳脊髄液を用いることができる。同様に、重症筋無力症 では、筋肉、胸腺組織またはアセチルコリン受容体に反応性のあるT細胞を用い ることができる。慢性関節リウマチでは、滑膜を用いるとよい。 特定のクラスIIハプロタイプまたは分子表現型を同定することにより、続いて 、特定の疾患と関連した特定のVaおよびVb可変領域を同定することができる。疾 患と関連したT細胞受容体または可変領域がいったん同定されれば、続いて、予 防または治療のための抑制性ワクチン接種を用いることができる。 本治療法は、疾患の前駆症状期または前臨床期の間に投与することが望ましく 、場合によっては疾患の症候期(symptomatic stage)の間に投与する。炎症性 組織障害に伴う機能喪失を防ぐためには、早期治療が好ましい。前駆症状期また は前臨床期とは、例えばランゲルハンス島、滑膜組織、甲状腺などの疾患の部位 でT細胞の関与が起こってはいるが、顕性疾患を意味する臨床症状が生じるほど には機能喪失がまだ重症ではない段階以前にとどまっている時期と定義される。 T細胞の関与は、罹患部位でT細胞数の増加がみられること、自己抗原に特異的な T細胞が存在すること、罹患部位でパーフォリンおよびグランザイムが放出され ること、免疫抑制療法に対する反応性などが根拠になりうる。 変形性関節疾患は、例えば強直性脊椎炎および反応性関節炎、慢性関節リウマ チ、痛風、ならびに全身性エリテマトーデスなどの血清反応陰性脊椎関節症など と同じく、炎症性であると考えられる。変形性関節疾患には、関節の軟骨が侵食 され、最終的には骨表面が露出するという共通の特徴がある。軟骨の破壊は、ス トロメライシンおよびコラゲナーゼなどの酵素を介したプロテオグリカンの分解 に始まり、ついには圧縮応力に対する耐容能が失われる。それに続いて、CD44( Swissprot P22511)、ICAM-1(Swissprot P05362)ならびにフィブロネクチンお よびテネイシンなどの細胞外マトリックス蛋白質などの接着分子の発現に変化が 生じる。最終的には、線維性コラーゲンがメタロプロテアーゼによる攻撃を受け 、コラーゲン性の微小骨格が失われると、再生による修復が不可能になる。炎症 性関節炎の経過中には滑膜内部に有意な免疫活性がみられる。早期の治療が望ま しいが、後期の治療によっても有害徴候の少なくとも一部は緩和されうる。関節 炎の重篤度に関する臨床的指標には、疼痛、腫脹、疲労および朝のこわばり(mo rning stiffness)が含まれ、パンヌス(Pannus)基準によって定量的に観測す ることができる。動物モデルにおける疾患の進行は、罹患関節の炎症を計測する ことによって追跡することができる。炎症性関節炎に対する治療法として、本治 療と従来のNSAID投与とを併用してもよい。本治療は一般に、シクロスポリンA、 メトトレキセートなどの、この種の疾患に対する寛解導入薬(disease modifyin g drug)とは併用されない。 IFN-γの分泌能を有するミエリン-自己反応性T細胞の定量的増加はMSおよびEA Eの発症と関連しており、このことから、MS患者の末梢血中の自己免疫性誘導物 質(autoimmune inducer)/ヘルパーTリンパ球がMS患者における脱髄過程を開 始および/または調節することが示唆される。顕性疾患は、筋力低下、腹部反射 の消失、視覚障害および知覚異常を伴う。前駆症状期には、白血球の脳脊髄液へ の浸潤、炎症および脱髄がみられる。家族歴、およびHLAハプロタイプDRB1*1501 、DQA1*0102、DQB1*0602の存在は、本疾患に対する感受性が高いことを意味する 。疾患の進行を観測する上でマーカーとなりうるのは、脳脊髄液における抗体の 存在、脳波記録で視覚野および脳幹に認められる「誘発電位」、ならびにMRIま たはコンピュータ断層撮影法による脊髄障害の存在である。疾患が早期の時点で 治療を 行うことにより、神経機能のさらなる喪失を遅延化または停止させられると考え られる。 ヒトIDDMは、インスリン分泌性β細胞の破壊および顕性高血糖症に至る細胞性 自己免疫疾患である。Tリンパ球がランゲルハンス島に侵入し、インスリン産生 性のβ細胞を特異的に破壊する。β細胞の枯渇によって、血中のグルコース濃度 の調節が行えなくなる。顕性糖尿病は血中グルコース濃度が特定のレベル、通常 は約250mg/dlを超えた場合に起こる。ヒトでは糖尿病が発症する前に長い前駆 症状期が存在する。この期間に、膵臓β細胞の機能は徐々に失われていく。家族 歴および遺伝的解析によって感受性が高いと診断された個体における疾患の進行 を観測することができる。最も重大な遺伝的影響は主要組織適合性遺伝子座(ID DM1)の遺伝子に関して認められるが、インスリン遺伝子領域(IDDM2)を含む他 の遺伝子座にも本疾患との連鎖が認められることが示されている(Davisら、前 記およびKennedyら(1995)Nature Genetics 9:293〜298を参照されたい)。前 駆症状期における評価が可能と考えられるマーカーは、膵臓における膵島炎の有 無、島細胞抗体のレベルおよび頻度、島細胞表面抗体、膵臓β細胞上でのクラス II MHC分子の異所性発現、血中グルコース濃度、ならびにインスリンの血漿中濃 度である。膵臓内のTリンパ球数の増加、島細胞抗体おび血中グルコースは、イ ンスリン濃度の低下と同じく、該疾患を意昧するものである。顕性糖尿病の発症 後も、インスリンC-ペプチドが血漿中に存続することによって証明されるβ細胞 の機能が残存している患者は、本治療によって機能のさらなる喪失が防止される という利益を受けると考えられる。 移植片に対する宿主免疫系の反応または宿主に対する移植片の反応(GVHD)は 、本抑制性ワクチン接種による治療によって軽減される。移植片には、血液また は血液成分の輸血、骨、皮膚、骨髄などの移植片、および眼、膵臓、肝臓、腎臓 、心臓、脳、腸、肺などの組織の移植物などの細胞、組織および器官の移稙物が 含まれる。興味が持たれるのは、例えば骨髄、末梢血中の動態化された(mobili zed)造血幹細胞などの造血細胞の移植、腎臓の移植、および心臓の移植である 。本明細書で用いられる移植片のレシピエントとは、一般には同一種である他の 個体(ドナー)からの組織または細胞を移入される個体であって、特にドナーに お けるクラスI MHC抗原の1つまたは複数がレシピエントと比べて異なっているよう な個体である。しかし、場合によっては、例えばブタ、ヒヒなどの異種性の組織 、細胞または器官が含まれると考えられる。移植片のレシピエントおよびドナー は一般には哺乳動物であり、好ましくはヒトである。移植片対宿主病の治療の際 には、ドナーのT細胞を抑制するために、移植の前に移植片のドナーにワクチン 接種を行うことが望ましいと考えられる。 細菌およびウイルスの感染によって生じる炎症性疾患には、ウイルス性髄膜炎 および細菌性髄膜炎、ヘルペス脳炎およびウイルス性髄膜脳炎、例えばA型、B型 、C型、D型肝炎などのウイルス性肝炎が含まれる。また、関心対象の疾患には、 特に狂犬病ワクチン、水痘帯状疱疹ワクチン、麻疹ワクチンなどのワクチン接種 に対する炎症性反応も含まれる。 炎症性状態に対する感受性がある哺乳動物種には、イヌ科、ネコ科、ウマ、ウ シ、ヒツジなど、および霊長類、特にヒトが含まれる。特に例えばマウス、ウサ ギなどの小型哺乳動物の動物モデルは、実験的研究のために使用しうると考えら れる。関心対象の動物モデルには、例えば、IgE、IgG1およびIgG4などのIL-4産 生と関連したアイソタイプを有する抗体の産生に関与するものが含まれる。その 他の用途には、T細胞を介した炎症の非存在下における特定の効果を調べること が望ましい研究が含まれる。 以下の実施例は、本発明の作成および使用の仕方に関する完全な開示および説 明を当業者に対して行うことが目的であり、本発明者らが発明とみなしている内 容の範囲を制限するものではない。使用する数字(例えば、量、温度、濃度など )に関して正確であるように努力は払っているが、実験的誤差および偏差が含ま れている可能性は考慮する必要がある。別に特記しない限り、各部分は総重量に 占める部分であり、分子量は加重平均された分子量であり、温度は℃であり、圧 力は大気圧またはその近傍圧である。 実験 実施例1 DNAワクチン接種による自己免疫疾患からの防御 材料および方法 プラスミドの構築:サムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング(Molecu lar Cloning)(Cold Spring Harbor,New York,1989)に記載されている通り に、正常PL/Jマウスの脾細胞からRNAを単離し、ポリ(dT)(Boehringer Mannhei m,Mannheim,Germany)をプライマーとして用いる逆転写酵素のための鋳型とし て用いた。続いて、このcDNAを、Vb5.1に特異的なプライマー 5'-CCGGAATTCATGAATTCTGGGGTTGTCCAGTCTCCAAGA-3'[配列番号:1]および 5'-TGCTCTAGATTAGCTGGCACAGAAGTACACGGCAGA-3')[配列番号:2] またはVb8.2に特異的なプライマー(5'-CCGGAATTCATGGAGGCTGCAGTCACCCAAAG-3' )[配列番号:3]および 5'-TGCTCTAGATTAGCTGGCACAGAAGTACACTGATGT-3'[配列番号:4]とともにTaqポリ メラーゼ(Stratagene,La Jolla,CA)を用いるPCRのために用いた。これらの プライマーは完全なV領域(約310bp)をカバーし、クローニングに用いるための EcoRIおよびXbaI部位を含む。Vb5.1増幅産物の配列は配列番号:6に示されてお り、Vb8.2増幅産物は配列番号:7に示されている。続いて、PCR産物をpcDNA3プ ラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)中にクローニングし、次にミニ-プレッ プ(mini-prep)(Quiagen,Chatsworth,CA)のために用いた。正しい長さの挿 入物を有するクローンから得たDNAの増幅および配列決定を行い、適切なオープ ンリーディングフレームを持つ正しい遺伝子が挿入されたことを確認した。ベク ターのマップを図4に示す。 DNAの注入および調製:マキシ(Maxi)またはメガ(Mega)プレップ(prep) (Quiagen)を用いてDNAの大規模調製を行った。デービス(Davis)ら(1993)F EBS Ltt.333:146〜150に記載されている通りに、カルジオトキシン(Sigman, St.Louis,MO)を調製した。後者はDNAワクチン接種の効率を高めることが明ら かになった。50μlのカルジオトキシンを雌の6〜8週齢のPL/Jマウス(Jackson La boratory,Bar Harbor,MA)の前脛骨筋に注入した。注入から1週間後に、マ ウスに合計100μgのDNAを含むPBS(1mg/ml)を3回、それぞれの注入の間に6〜7 日の間隔をおいて注入した。発現の確認のために、注入されたマウスから筋肉を 摘出し、RNAを調製した。このRNAを、上記の通りに、PCRに用いるcDNAのための 鋳型として用いた。Vb5.1およびVb8.2のPCR産物は、適切な遺伝子を注入された マウスのみに認められた。 疾患の誘導:ラットミエリン塩基性蛋白質であるpAc1-20[配列番号:5](Ac -ASQKRPSQRHGSKYLATAST)またはgpMBP(サカイら、前記)と、最終濃度が抗原1m g/mlおよび細菌2mg/mlとなるように不活化結核菌(Mycobacterium tuberculos is)菌株H37 RA(Difco,Detroit,MI)を添加した不完全フロイントアジュバン ト(Difco)を、1:1の割合で混合した。ラットミエリン塩基性蛋白質をコード する完全なmRNA配列は、ジェンバンク(Genbank)寄託番号第M25889号にある。 続いて、この混合物を各々の肉趾(footpad)に50μlを投与して、処置されたPL /Jマウスに皮内免疫化を施した。その後、抗原接種日およびその48日後に、百 日咳菌(Bordetella pertussis)毒素(200ng、List Biological Laboratories ,Campbell,CA)を静脈内投与して免疫化を施した。EAEの養子移入は、動物1匹 当たり5×106個のT細胞系細胞を静脈内接種することによって行った。以下の臨 床的尺度に従い、疾患の臨床徴候の有無に関してすべての動物の経過を観察した :0、臨床的疾患なし;1、尾部の脱力;2、不全対麻痺;3、対麻痺;4、前肢の 脱力または麻痺を伴う対麻痺;5、瀕死または死亡。 FACS染色:細胞を、F23.2(抗Vb8.2)または対照としてKJ23(抗Vb17a)抗体 とともにインキュベートし(細胞5×105個/チューブ1本)、続いて、以前に記 載された通りに、FITC(Jackson ImmunoResearch Laboratories,West Grove,P E)を結合させたヤギ抗マウスによる処理を行った。細胞と、PEを結合させた抗C D4または抗CD8抗体(Pharmingen)との同時インキュベーションも行った。続い て、Vb5またはVb8.2 TCRを発現するCD3+、CD4+またはCD8+集団の有無に関して細 胞を分析した。ワクチンを接種したマウスの血清中のVb8.2 TCRに対する抗体も 上記のようにして分析した。さらに、FITCで標識した抗体(Pharmingen)を用い て、T細胞をCD3、CD4、CD8およびCD44表面マーカーの発現に関して分析した。 リンパ節細胞(LNC)の増殖:免疫化されたマウスのLNCおよび脾細胞(2×105 個/ウェル)を、さまざまな抗原の存在下で培養した。培養は、1%同系正常マ ウス血清を含む、富化(enriched)RPMTと呼ばれる2mMグルタミン、非必須アミ ノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプト マイシン、0.25μg/mlファンギゾン(fungizone)(Biolab,Jerusalem,Israe l)、5×10-5M β-メルカプトエタノール(Fluka AG,Buchs,Switzerland)お よび10m M HEPES緩衝液(Sigma)を添加したRPMI 1640培地200μlを入れた丸底96穴マイ クロタイタープレート(Nunc,Roskilde,Denmark)中で開始した。5日間のイン キュベーションの後、3H-チミジン(5Ci/mmolで0.5μCi、Nuclear research Ce nter,Negav,Israel)を添加した。16時間後に細胞を回収し、放射能を測定し た。 リンパ節細胞およびT細胞系からのサイトカイン:LNCまたは脾細胞(1×107個 )を、表記したペプチド10μgとともに1%同系血清を加えた富化RPMI中でインキ ュベートした。培地を24時間後に回収した。ファーミンゲン社(Pharmingen)( La Jolla,CA)から購入した複数の組の抗体を用い、製造者の指示に従って、IL -2およびγ-インターフェロンのレベルを測定した。IL-4、IL-10およびTNFαの レベルは、ジェンザイム社(Genzyme)(CaJnbridge,MA)から購入したキット を用いて測定した。 抗Ac1-20抗体:疾患がピークに達した時点でマウスの採血を行い、pAc1-20に 対する抗体を測定した。マキシソーブ(Maxisorb)マイクロタイタープレートを 50μl/ウェルまたは10μg/mlのAc1-20で90分間コートした。その後、プレート を洗い、10%FCSを含むPBSを用いて一晩ブロッキングを行った。その後、マウス の血清を90分間インキュベートした。、続いてプレートを洗い、アルカリホスフ ァターゼを結合させた(Fcフラグメントに特異的な)ヤギ抗マウスIgG1またはIg G2a(Southern Biotechnology Associates,Birmingham AL)とともに75分間イ ンキュベートした。洗浄した後、プレートを基質、ABTS(Kirkegaad and Perry Laboratories,Gaithersburg,MD)とともにインキュベートし、ELISAリーダー (reader)を用いて405mnの値を読みとった。 T細胞系:リンパ節細胞(LNC)(5〜10×106個/ml)を、1%同系血清および1 0μg/mlのペプチドAc1-20を加えた富化RPMI中で3日間インキュベートした。そ の後、細胞を洗い、休止培地(富化RPMI、10%FCS、およびConAで活性化された 脾細胞の10%上清)中に再懸濁して10日間おいた。続いて、細胞を同系被照射脾 細胞(106個/ml)および10μg/mlのペプチドAc1-20の存在下に3日間おいて活 性化し、洗浄した後に、休止培地中で3日間インキュベートした。その後、細胞 を分析に用いた。 T細胞系の増殖アッセイ:増殖アッセイは、LNCに関して上述した方法に若干の 変更を加えて実施した:T細胞系(TCL)(104個)を2×105個の被照射同系APCと ともに、富化RMPIおよび10%FCS、ならびにさまざまな濃度のペプチドを総容積2 50μlとなるように入れた丸底プレート(Corning,NY)中でインキュベートした 。24時間後に、各ウェルから100μlをサイトカイン分析のために採取した。残っ た細胞をさらに24時間インキュベートし、LNC増殖アッセイの場合と同じく、パ ルス刺激および回収を行った。 統計解析:増殖およびサイトカイン分泌アッセイに関する差の有意性はスチュ ーデントの(Student's)T検定を用いて検討した。疾患の重篤度には、マン-ホ イットニー(Mann-Whiteny)検定を用いた。GACSデータの解析にはカイ二乗(C2 )検定を用いた。値がp<0.05であれば有意とみなした。結果 T細胞受容体のVb8.2遺伝子を発現ベクター中にクローニングし、カルジオトキ シンの筋肉内注射を1回行って1週間後から、1週間の間隔をおいて3回、PL/J雌 マウスの前脛骨筋に注入した。対照PL/Jマウスにはカルジオトキシンによる免 疫化を1回施し、続いてTCRのVb5.1可変領域をコードするDNAによる免疫化を1週 間の間隔をおいて実施した。このTCR V領域は、H-2uマウスにおける病原性T細胞 クローン上には認められない。この免疫化手順の後、すべてのマウスに、ミエリ ン塩基性蛋白質のペプチドAc1-20またはモルモットMBPのいずれかを含む完全フ ロイントアジュバントによる免疫化を施した。Vb8.2 DNAによるワクチン接種を 受けたマウスは、Ac1-20ペプチドによって誘導される実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE)に対して抵抗性であったが、対照Vb5.1 DNAによるワクチン接種またはカ ルジオトキシンのみの投与を受けた群ではEAEが誘導された。pAc1-20による免疫 化の後に、Vb8.2 DNAによるワクチン接種を受けたマウスでは14匹のうちわずか1 匹が後肢に軽度の麻痺が生じたが、それぞれの対照群では11匹/15匹および10匹 /13匹のマウスが麻痺を生じるか死亡した(p<0.0001)。表1および図1Aにデー タを示す。*実験手順に記載した通り、疾患は第0日に誘導させた。 疾患は実験手順に記載した通りに観測した。各群における、EAEの臨床徴候を呈 したマウスおよびマウスの数を示す。 Vb8.2による免疫化を受けたマウスには血管周囲浸潤が存在していたが、投与 内容に関して盲検化された観察者による検討では、Vb5.1による免疫化を受けた マウスよりもその範囲はわずかであり、頻度も低かった。炎症性浸潤をスコア化 すると、Vb8.2を投与されたマウス(脳髄膜浸潤についてはスコア3.5±1.2、脳 実質浸潤についてはスコア4.4±2.0)と、Vb5.1を投与されたマウス(脳髄膜浸 潤についてはスコア28.2±4.0、脳実質浸潤についてはスコア13.5±3)との間に は有意差が認められた(髄膜浸潤の比較ではp<0.02、実質浸潤の比較ではp<0. 03)(組織浸潤は、脳実質および髄膜に関して別々に、1カフ当たりの細胞数に よって測定される浸潤サイズに基づく尺度でスコア化した)。 MBP Ac1-20は、PL/Jマウスのミエリン塩基性蛋白質分子における主要なエピ トープであるが、この分子の内部にはMBP p35-47を含む他の病原性エピトープが 存 在する。T細胞によるMBP p35-47の認識にはVb8.2遺伝子産物は用いられない。こ のため、ミエリン塩基性蛋白質の全体によってEAEを誘導させた場合に、Vb8.2 D NAによるDNAワクチン接種が防御的であるか否かを調べた。この場合には、MBP A c1-20が主要ではあるが、独占的な病原性エピトープではないと考えられ、MBPの 他の領域が発病に関与する可能性がある。PL/JマウスにVb8.2 DNAによるワクチ ン接種を行い、続いてミエリン塩基性蛋白質の全体を用いて疾患を誘導させた。 図1Bおよび表1に示されているように、Vb8.2 DNAによるワクチン接種を受けたPL /Jマウスは、モルモットMBPによる免疫化を受けた際にはEAEを発症したが、対 照DNAによるワクチン接種またはカルジオトキシンのみの投与を受けたマウスと 比べて、疾患が生じた頻度は低かった(p<0.04、第15日以降)。 Vb8.2 TCRを指向する抗体の抗体価に関してマウスを分析した。Vb8.2 DNAを含 むDNA構築物によるワクチン接種を受けたマウスは、T細胞上に発現されたVb8.2 に対する抗体を産生した。Vb8.2 DNAによるワクチン接種を受けたマウスの血清 では、MBP Ac1-20に対して反応性であるVb8.2+ T細胞系の細胞の76.9±12.1%が 染色されたが、対照マウスの血清で染色されたのは細胞の4.3±3%のみであり、 これは正常マウス血清によるバックグラウンド染色(3.8±2.7、p<0.01)と類 似した数字であった。このような抗Vb8.2抗体がVb8.2陽性T細胞を枯渇させるか 否かを検討するために、防御処理を受けたマウスおよび対照から採取したリンパ 節細胞(LNC)および脾細胞を、この細胞集団の存在に関して染色した。Vb8.2 D NAによるワクチン接種を受けたマウスにおけるVb8.2陽性T細胞のレベルは、対照 群と比べて同様であり、正常マウスとの比較でも同様であった。 次に、DNAワクチン接種によってVb8.2 T細胞の反応が変化し、そのために病原 性反応を展開しえなくなるか否かを調べた。免疫化ペプチドに対するVb8.2陽性T 細胞のアネルギーが防御の原因と考えられるか否かを検討するために、防御処理 を受けた動物および対照からリンパ節を採取した。PL/Jマウスから採取したリ ンパ節は、免疫化ペプチドに対して増殖の形で反応することができ、Vb5.1また はカルジオトキシンのみの注入のいずれかの処理を受けた対照マウスから採取し た細胞よりも刺激指数(stimulation index)が小さいことが明らかになった。 したがって、DNAワクチン接種はアネルギーを誘導しなかった。 Vb8.2 DNAによるワクチン接種を受けたマウスのLNCがMBP Ac1-20による活性化 の後に産生されるγ-インターフェロン(p<0.002)およびIL-2(p<0.0015)の レベルは、対照と比べてはるかに低いことが判明した(図2Aおよび2Bに示されて いる)。IL-2およびγ-インターフェロンは、Th1表現型を持つT細胞によって産 生されるサイトカインである。これに対して、Vb8.2 DNAによるワクチン接種を 受けたマウスから採取したLNCでは、図2Cに示されているように、MBP Ac1-20に よる刺激後に、Th2サイトカインであるIL-4の産生レベルが上昇した(p<0.04) 。これらのデータは、Vb8.2 TCRを発現しているT細胞によって認識される抗原に よる免疫化を受けたVb8.2ワクチン接種マウスにおける免疫応答の表現型が、Th1 からTh2へのサイトカイン変換を受けたことを示している。 IL-4は、IgG2aからIgG1アイソタイプへの抗体のクラス転換を誘導する。この 転換はインビボでTh1からTh2への変換が生じたことの証明となる。Vb8.2に対す るDNAワクチン接種の実施下および非実施下で、免疫化ペプチドMBP Ac1-20を指 向する抗体のアイソタイプを分析した。Vb8.2 DNAによるワクチン接種を受けた マウスでは、対照マウスと比べて、IgG1アイソタイプの抗Ac1-20抗体の産生レベ ルが高く、IgG2アイソタイプの産生レベルが低かった(p<0.01)。以上のデー タは、Vb8.2に対するDNAワクチン接種により、Vb8.2を有するT細胞によって主に 認識される抗原であるMBP Ac1-20に対するT細胞の反応においてサイトカイン変 換が生じるとの概念を裏づけるものである。EAEはTh1型疾患であることが知られ ているため、これがEAEの発症に対する防御の原因であると考えられる。さらに 、IL-4の注入によってマウスはEAEの発症から防御される。 防御機構におけるT細胞の役割を分析するために、Vb8.2ワクチン接種マウスお よび対照マウスから短期T細胞系を作製した。Vb8.2 DNAによるワクチン接種を受 けたマウスから得た2つの系(TCL 8.2-Spおよび8.2-LN)および対照から得た2つ の系(TCL PL-LNおよびPL-Sp)からなる、脾臓およびリンパ節に由来する4つのT 細胞系を、増殖およびサイトカイン反応に関して詳細に検討した。すべてのT細 胞系が85〜90% Vb8.2+、95% CD44+およびCD3+、CD4+、CD8-であった。すべて のT細胞系がペプチドAc1-20の存在下で増殖した(バックグラウンドとの比較で はp<0.003からp<0.0001)。PL-Sp系は、増殖反応が比較的軽度であったのに対 して、 ペプチドMBP Ac1-20による剌激後のγ-インターフェロンの産生レベルは高く、P L-LN系による産生レベルと同様であり、Vb8.2 DNAによるワクチン接種を受けた マウスから単離した2つの系による産生レベルよりも高かった(p<0.015)。Vb8 .2 DNAによるワクチン接種を受けたマウスから単離したT細胞はIL-4を産生した が、対照マウスから単離したTCLからのサイトカインの分泌は全く認められなか った。EAEの対照マウスから単離された2つのT細胞系は、防御処理を受けたマウ スから単離された系列と比べて有意に高いレベルのTNFαを産生した(p<0.02) 。後者は、脳炎誘発性T細胞系が高レベルのTNFαを産生するという所見と一致す る。これらの所見はすべて、TCR Vb8.2に対するDNAワクチン接種により、抗原MB P Ac1-20に反応するT細胞の表現型における変換が誘導されることを示す役割を 果たし、Th1からTh2への変換が起こったことが示された。 ワクチン接種を受けた動物から採取したMBP Ac1-20に対する反応性を持つT細 胞系が、EAEを誘導しうるか否かを調べるために、Vb8.2による免疫化を受けたマ ウスまたはVb5.1の投与を受けたマウスから得たHBP Ac1-20による免疫化を受け たマウスからTCLを作製した。500万個の細胞を静脈内注射し、疾患の臨床的経過 を観測した。Vb8.2による免疫化を受けたマウスから得たMBP Ac1-20に対して反 応性のT細胞系はEAEを誘導することができないが、対照マウスは古典的EAEを第1 2日から発症することが判明した。 さらに、Vb8.2 DNAによる免疫化を受けたマウス由来のMBP Ac1-20を指向するT h2 T細胞系が、EAEを抑制するか否かも調べた。500万個のTH2細胞を投与された マウスは、CFA中へのMBP Ac1-20投与による免疫化を同日に受けた後でもEAEを生 じなかったが、CFA中にMBP Ac1-20を投与されたマウスはグレード2のEAEを発症 したことが明らかになった。 本明細書に記載した結果から、病原性T細胞上に共通して認められるT細胞受容 体V遺伝子によるDNAワクチン接種により、自己免疫性疾患を予防しうることが示 された。主要抗原ペプチド(immunodominant peptide)を認識する可変領域によ るワクチン接種を行った場合には、完全蛋白質による疾患の誘導も軽減される。 DNAワクチン接種は、コグネイト抗原に対して産生される抗体アイソタイプにお ける変換を実現することにより、関連したV遺伝子セグメントを用いるT細胞によ る サイトカイン産生におけるTh1からTh2への変換を誘導する。これらのTh2サイト カインは炎症性サイトカインの効果を相殺する。 本明細書に記述したすべての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の刊行物 または特許出願が特別かつ個々に参照として組み込まれるように、参照として本 明細書に組み込まれる。 上記の本発明は、理解を明確にする目的で図面および実施例を用いてある程度 詳細に記載されているが、当業者には、本発明の開示に鑑みて、その精神または 添付の請求の範囲を逸脱することなく特定の変更および改変が可能であることは 容易に理解されると思われる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物宿主内で活性を有するプロモーターの調節的制御下にある炎症誘発 性のTh1型T細胞反応に関連したT細胞受容体の可変領域の少なくとも一部をコー ドする配列を含むDNA発現カセットを、該発現カセットが該宿主の細胞に組み込 まれて該配列が発現するような条件下で、哺乳動物宿主へ導入する段階を含む、 哺乳動物宿主におけるTh1型T細胞反応の有害効果を低減させるための方法であっ て、 天然型の該T細胞受容体可変領域を発現する該哺乳動物宿主内に存在するT細胞 がTh2型サイトカインを産生し、それによって該Th1型反応の有害効果が低減され る方法。 2.炎症誘発性のTh1型T細胞反応が自己免疫疾患と関連している、請求項1記載の 方法。 3.発現カセット中に存在するT細胞受容体可変領域が自己抗原を特異的に認識す るものである、請求項2記載の方法。 4.自己免疫疾患が脱髄疾患である、請求項3記載の方法。 5.自己抗原がミエリン塩基性蛋白質である、請求項4記載の方法。 6.哺乳動物宿主の筋組織中で活性を有するプロモーターの調節的制御下にある 炎症誘発性のTh1型T細胞反応と関連したT細胞受容体の可変領域の少なくとも一 部をコードする配列を含むDNA発現カセットを、該発現カセットが該宿主の筋細 胞に組み込まれて該配列が発現するような条件下で、哺乳動物宿主の筋組織へ導 入する段階を含む、哺乳動物宿主における自己免疫と関連したTh1型T細胞反応の 有害効果を低減させるための方法であって、 天然型の該T細胞受容体可変領域を発現する該哺乳動物宿主内に存在するT細胞 がTh2型サイトカインを産生し、それによって該Th1型反応の有害効果が低減され る方法。 7.導入段階の前に、筋組織へカルジオトキシンを注入する段階をさらに含む、 請求項6記載の方法。 8.プラスミドがDNA発現カセットを含む、請求項7記載の方法。 9.Th2型サイトカインがIL-4を含む、請求項6記載の方法。 10.哺乳動物宿主の筋組織中で活性を有するプロモーターの調節的制御下にある ミエリン塩基性蛋白質pAc1-20を認識するT細胞受容体の可変領域をコードする配 列を含むDNA発現カセットを、該発現カセットが該宿主の筋細胞に組み込まれて 該配列が発現するような条件下で、哺乳動物宿主の筋組織へ導入する段階を含む 、哺乳動物宿主における脱髄性自己免疫疾患の有害効果を低減させるための方法 であって、 天然型の該T細胞受容体可変領域を発現することを特徴とする、該哺乳動物宿 主の内因性T細胞がTh2型サイトカインを産生し、それによって該自己免疫疾患の 有害効果が低減される方法。
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