【発明の詳細な説明】
その回転軸寄りに係合パッドを有するヨーヨ
技術分野
本発明は、ユーザ操作型の玩具の分野におけるものである。より具体的には、
本発明は、従来技術に比して改良した方法にて機能するヨーヨ(yo−yo)の形態
をした装置である。これは、ヨーヨの回転軸寄りに特別設計の操作紐係合領域を
使用することで実現される。
この操作紐係合領域は、操作紐に面したヨーヨの側部材の各々の面に設けられ
た細長い溝及び/又は高摩擦係合パッドの列を利用する。これらの溝及び/又は
係合パッドは、操作紐とヨーヨの側部材との間の係合を容易にする機能を果たす
。
背景技術
殆どのヨーヨは、木製又は金属製の回転軸により互いに堅固に接続された2つ
のディスク形状の側部材の形態をしている。糸型式の操作紐の一端は、ヨーヨの
回転軸に固着されている。操作紐の第二の端部は、ユーザの1本の指の周りに配
置され、これにより、ヨーヨをユーザに対して固着する輪状部分有している。操
作紐を回転軸の周りに巻き、ヨーヨをユーザの手から解放させると、ヨーヨは、
操作紐が回転軸から巻き懈けるのに伴って高速回転し始める。操作紐が完全に巻
き懈けると、ヨーヨは、操作紐の端部にて「澄み(sleep)」、これにより、ヨ
ーヨは、操作紐を回転軸に巻き戻すことなく、回転を続行する。
ヨーヨが澄んだならば、回転するヨーヨについて行うことのできる多数のヨー
ヨのトリック(trick)がある。これらのトリックの幾つかにおいて、高速回転
するヨーヨは、操作紐の両端の中間にて操作紐の一部分に一時的に置かれる。殆
どのヨーヨのトリックの終了時に、ユーザは、自分の手をぐいっと引っ張っるか
又は何らかのその他の方法により操作紐を瞬間的に緩める。これにより、操作紐
は、回転軸に及び/又はヨーヨの側部材の少なくとも一方における、操作紐に面
した一方の面に係合させ/引っ掛ける。係合したならば、操作紐の端部分は、側
部材と共に動き、これにより、回転軸の周りに巻き付く。操作紐が回転軸に巻き
付くことにより、ヨーヨはユーザの手に戻る。
ユーザが周知のヨーヨのトリックの殆どを行うことを可能にする、ヨーヨの極
めて重要な性能特徴が3つある。即ち、ヨーヨは、長時間、澄んでいなければな
らないこと、ヨーヨは誤って操作紐に引っ掛かってはならないこと、ヨーヨは、
命令時に戻ることである。
ヨーヨが澄む時間に関して、ヨーヨを澄むようにする時間が長ければ長い程、
ユーザが任意の特定のヨーヨトリックを終了しなければならない時間はより長く
なる。ヨーヨの摩擦を最小にすることにより、ヨーヨの澄む時間を最大限にする
ことができることは周知のことである。
ヨーヨが操作紐に引っ掛からない機能に関して、引っ掛かりが生じたならば、
ヨーヨは、自動的に操作紐に巻き戻される。これが誤って生ずると、実施するト
リックがうまくいかないことがしばしばである。ヨーヨが誤って操作紐領域に引
っ掛かる傾向があるか否かに影響を与える2つの主要なファクタは、ヨーヨの糸
空隙(糸/操作紐が配置される、2つの側部材間の領域)の寸法、及び操作紐に
面した各側部材の面の形態である。ヨーヨを操作紐の中間部分に配置するトリッ
クを行う場合、糸空隙は、操作紐の恒久的に固着した部分の頂部にて又はより好
ましくは、その部分の側部にて操作紐の第二の部分を受け入れるのに十分幅が広
くなければならない。追加的な操作紐部分が空隙内にあるならば、両方の操作紐
部分が誤って側部材の一方に引っ掛からないようにするのに十分な隙間がなけれ
ばならない。しかしながら、糸空隙の幅が広すぎれば、その広い空隙のため、操
作紐が側部材の何れか一方に係合することができなくなるため、命令時にヨーヨ
を戻すユーザの能力が妨げられることになる。
ヨーヨが命令時に戻る能力に関して、ユーザがヨーヨを瞬間的に緩めたとき、
操作紐が僅かに動き、これにより、回転軸及び/又は側部材に係合するようなヨ
ーヨの構造及び設計でなければならない。一度び係合したならば、操作紐は回転
軸にきつく巻かれて、このため、ヨーヨを次回、ユーザの手から解放したとき、
操作紐が巻き懈けて、ヨーヨの回転速度が最大になるようにする必要がある。操
作紐がヨーヨの回転部分に係合或いは引っ掛かり易くすることは、ヨーヨの側部
材の各々の操作紐に面した面に特別な適応部分を使用することにより促進される
ことがしばしばである。
従来の技術において、上述したヨーヨの特徴の1つ以上を向上させる設計とし
た多数の発明が為されている。例えば、クー(Kuhn)及びその他の者(特許第5,
100,361号)及びアイザックサン(Isaacson)(特許第3,175,326号)の双方は、
低摩擦のヨーヨを教示している。このヨーヨにおいて、回転軸は、ボール軸受を
有しており、回転軸の内側部分がヨーヨの側部材と共に回転している間に、回転
軸の外側部分が静止したままであることを可能にする。操作紐の端部が回転軸の
外側部分に固着されているため、操作紐と回転軸との間の摩擦力は実質的に解消
される。また、この形態は、回転軸の高速回転する部分に接触する操作紐部分の
摩擦熱及び摩耗に起因する操作紐の急速な破断という、従来技術における問題を
も緩和する。しかしながら、操作紐は、ヨーヨをユーザに戻すべく側部材にしか
係合できないから、このことは、ユーザが命令時にヨーヨを戻すことをより難し
くする。
上述したクーの特許に教示されたヨーヨは、ユーザがヨーヨの糸空隙の幅を調
節することを可能にする構造体を含んでいる。しかしながら、クーのヨーヨにお
いて及び従来技術のその他の全てのヨーヨにおいて、操作紐が誤って引っ掛かる
可能性を少なくする幅の広い糸空隙と、ユーザがヨーヨを糸に巻き戻そうとする
とき、上記の係合の機会を増大させる狭い糸空隙との間にて妥協が図らなければ
ならない。その結果、クーのヨーヨの適正な調節状態を実現し且つ保つことは難
しい。何れの従来技術のヨーヨにおいても、この妥協は、ヨーヨの性能を制限す
ることになる。
ユーザが命令時にヨーヨを戻すことをより容易にするため、アマーラル(Amar
al)(特許第4,895,547号)及びその他の者は、操作紐に面した各側部材の面が
操作紐の方向に突出する複数の隆起リブを有するヨークを教示している。これら
のリブは、ヨーヨの中心軸線の周りに星の爆発パターンにて配列されている。ヨ
ーヨが操作紐の端部にて高速回転し、操作紐がユーザによって瞬間的に緩められ
ると、ヨーヨの回転軸付近の操作紐の部分は、1つ以上のリブに係合し、これに
より、操作紐を側部材と共に動かし、これにより操作紐を回転軸の周りに巻き付
ける。リブは、側部材から突き出るため、これらのリブは、糸空隙の側部を有効
に画成し、リブの形状に対応した糸空隙とすることを認識すべきである。その結
果、操作紐に面した不均一な面は、ユーザが操作紐を誤って上記リブに係合させ
ることなく、ヨーヨのトリックを実行することをより難しくする。更に、リブと
操作紐とが頻繁に擦り接触するため、操作紐の過早の破断が生じる可能性がある
。更に、従来技術のリブは、その関連した側部材の操作紐に面した略平面状の面
に比して傾斜していると教示されているため、リブにより回転軸からの距離に対
応して糸空隙の幅が変化する。これにより、操作紐の撚り程度が変化するに伴い
、ヨーヨの応答程度に差が生じる。これが生ずる理由は、操作紐の撚りは操作紐
の端部輪状部分(回転軸を恒久的に取り巻く操作紐部分)の開始点の位置に影響
するためである。この位置は、操作紐と側部材の一方又は他方との間の最初の係
合点であることがしばしばである。
チュー(Chua)は、英国特許第2132100号において、ヨーヨの戻りを促進する
別の構造体を教示している。操作紐に面したヨーヨの側部材の各々の面にゴムリ
ングを差し込む。このリングは、回転軸の周りを360°伸長し、操作紐がリング
の面に接触するとき、操作紐を引っ掛ける作用をする。
発明の開示
本発明は、従来技術の性能上の問題点を最小に又は解消する一方にて、ヨーヨ
の性能を向上させ得るように、糸空隙の領域内のヨーヨの構造体を改変した、改
良に係るヨーヨである。本発明の好適な実施の形態において、ヨーヨは、外側の
回転可能な円筒状部分を支持し得るようにボール軸受を内蔵する回転軸を有して
いる。操作紐に面した側部材の各々の面は、各側部材の回転軸線の周りに配置さ
れた、複数の溝及び/又は高摩擦係合パッドを使用することにより操作紐の制御
された係合を促進し得るようにしてある。操作紐と溝及び/又は係合パッドとが
係合すると、その後に、操作紐の接触部分が関連した側部材と共に動くように付
勢される。これにより、操作紐は回転軸の周りに巻かれ、ヨーヨは、ユーザの手
に戻る。
操作紐に面した、少なくとも1つのヨーヨの側部材の面は、隔たった複数の溝
、隔たった複数の係合パッド、又は溝と係合パッドとの組み合わせの何れかを特
徴としている。溝と係合パッドとの組み合わせが採用されるとき、溝の各々は、
一対の係合パッドの間に配置される。
溝を採用するとき、該溝の各々は、操作紐の直径の少なくとも1/2に等しい
幅を有している。該溝の各々の幅及び深さは、溝の長さに沿って相異できること
を認識すべきである。溝の各々の側端縁は、上記操作紐が溝の任意の1つに接触
するとき、操作紐に引っ掛かり易いように、比較的鋭角であることが好ましい。
好適な実施の形態において、これらの溝は、各側部材の回転軸線の周りにて10乃
至45°の間隔に配置されている。
係合パッドを採用するとき、これらのパッドは、互いに隔たった位置に配置し
且つ操作紐の直径に少なくとも等しい幅を有することが好ましい。好適な実施の
形態において、パッドは、関連した側部材の回転軸線の周りに星の爆発パターン
を形成する。これらのパッドは、関連した側部材の中心軸線の周りに10乃至120
°の角度の間隔に配置することができる。その係合機能を果たすため、パッドの
各々は、ゴムのような高摩擦材料で出来ている。好適な実施の形態において、デ
ュロメータ硬さ40のネオプレーンゴムが使用されている。パッドの各々の外面は
、操作紐に面した関連した側部材の面と略面一であることが好ましい。
好適な実施の形態において、1つの側部材と関連した全てのパッドは、該パッ
ドと同一の材料で出来たものとすることのできるキャリアリングに一端にて取り
付けられる。該キャリアリングは側部材の環状凹所内に配置されており、その外
面は、操作紐に面した関連した側部材の面と面一である。該パッド及びキャリア
リングは、パッド及び/又はキャリアリングの背面に設けられた接着剤を使用し
て側部材に固着することが好ましい。溝を一対の係合パッド間に配置するとき、
パッドの側部が溝の側部を形成する。本出願において、「溝」という語は広義の
語であり、キャビティ、通路又は凹所として定義され、別個の独立的な部材で形
成することができることを認識すべきである。
糸空隙内に突き出さない(すなわち、操作紐に面した側部材の面から操作紐に
向けて伸長しない)操作紐の係合面を採用することにより、本発明は、操作紐を
擦ることがしばしばであるリブを採用する従来技術のヨーヨにて経験される摩擦
力を除去する。その結果、ヨーヨの可能な高速回転時間及び操作紐の予想寿命の
双方が増す。ボール軸受を内蔵する回転軸と隔たる位置に設置した複数の溝及び
/又は係合パッドとを組み合わせる結果、摩擦力によって遅くなることが殆どな
く回転し、従って、相当な時間に亙って澄むことのできるヨーヨが得られる。
また、溝及び/又は係合パッドの形状及び突き出さない特徴は又操作紐が誤っ
て引っ掛かる機会を著しく少なくすることにつながる。ユーザが操作紐を瞬間的
に緩めたときにのみ、操作紐は一時的に膨張し且つ/又は側方に動いて、操作紐
が上記溝及び/又は係合パッドの少なくとも一方に係合する。
更に、突き出さない溝及び/又は係合パッドは、糸空隙の幅が均一であること
を許容する。その結果、操作紐は、通常、操作紐を緩めた状態に配置したときの
み係合手段(溝及び/又は係合パッド)に接触する。このことは、角度が付けら
れた短いリブを特徴とする従来技術のヨーヨと相違するものである。
また、溝及び/又は係合パッドを使用することは、回転軸、及び側部材の相対
的に垂直な面によって糸空隙領域を画成することをも可能にする。これらの面は
、略直角の遷移点にて交わるため、これらの面はユーザによるヨーヨの制御を可
能にする理想的な幾何学的形態を提供する。
長い溝及び/又は係合パッドは、操作紐と係合するための多数の伸長領域を提
供し、ヨーヨの回転軸から著しく隔たった位置においてさえ操作紐が係合するこ
とを可能にする。この長い係合領域は、係合を容易にすべくリブを採用する従来
技術のヨーヨでは実質的に不可能である。その理由は、操作紐がヨーヨの中心軸
線に対して完全に垂直でないとき、長いリブの長さは、操作紐が誤って引っ掛か
る機会を増す傾向があるからである。
図面の簡単な説明
図1は、本発明によるヨーヨの一部断面図とした立面図である。
図2は、図1に図示したヨーヨの分解立面図である。
図3は、図1の3−3で表示した面に沿った、図1に図示したヨーヨの断面図
である。
図4は、図1に図示した型式のヨーヨの操作紐に面した面の側部材の立面図で
ある。この図は、操作紐の係合領域の1つの代替的な形態を示す。
図5は、図1に図示した型式のヨーヨの操作紐に面した側部材の面の立面図で
ある。この図は、操作紐の係合領域の別の代替的な形態を示す。
図6は、係合パッド及びそのキャリア部材を除いた図5に図示した側部材の斜
視図である。
図7は、係合パッド及びそのキャリア部材の斜視図である。
図8は、図5の8−8で示した面に沿った、図5に図示した側部材の断面図で
ある。
図9は、図5の9−9で示した面に沿った、図5に図示した側部材の断面図で
ある。
図10は、図5に図示した側部材の斜視図である。
図11は、図1に図示した型式のヨーヨの側部材の別の代替的な実施の形態の
斜視図である。
発明の実施の形態
次に、幾つかの図面の全体を通じて同様の部品を同様の参照番号で表示する、
図面を詳細に参照すると、本発明によるヨーヨが参照番号1で示してある。
該ヨーヨ1は、回転軸組立体4を介して相互に接続された第一及び第二のディ
スク形状の側部材2を備えている。糸型式の操作紐6は、回転軸組立体の中央部
分10を取り巻く輪状部分8を有している。操作紐の末端部分(図示せず)は、
通常、ユーザの1本の指に固着される。
当該技術分野にて公知であるように、側部材2の各々は、環状のリム部分12
(図2参照)と、ハブ14と、該ハブの中心を含んで側部材を貫通して伸長する
貫通穴16とを備えている。また、該側部材は、取り外し可能なディスク形状の
キャップ18も特徴としている。側部材の重量の大部分はリム部分内に集中し、
これにより、ヨーヨに対し有利な釣合い及び高速回転の特徴を提供する。該側部
材は、木、プラスチック又は金属のような周知の任意の堅固又は略堅固な材料で
出来たものとすることができる。好適な実施の形態において、側部材の各々は、
堅固なプラスチック材料で出来ている。
図2には、図1に図示したヨーヨの分解図が示してある。この図において、回
転軸組立体4は、回転軸ピン20と、固着ナット22と、2つのスペーサ24と
、ボール軸受ユニット26とを備えることが分かる。該回転軸ピンは、六角頭ボ
ルトの形態をしており、頭部30は、右側側部材2のハブ14に形成された開放
端部の六角形の形状のキャビティ32内に回転不能に固着されている。また、左
側側部材2は、同一の開放端部のキャビティ32を備えており、六角形の形状の
固
着ナット22がこのキャビティ内にてきちっと且つ回転不能に受け入れられてい
る。該ナット22は、通常、ピンのねじ付き部分34に螺着可能に係合し、これ
により、2つの側部材2を共に固着する。ヨーヨを分解しようとする場合、ヨー
ヨの側部材2の一方を他方に対して回転させることによりナット22をピン20
からねじを緩めることができる。
図3にて理解し得るように、ボール軸受ユニット26は、従来型式の設計であ
り、基本的に、内側レース36と、外側レース40と、これらの内側及び外側レ
ースの間に配置された複数のボール軸受42と備えている。ころ軸受のような他
の型式の軸受又はその他の型式の回転可能なユニットを代替的に採用することが
できることを認識すべきである。該ユニット26は、分解不能な型式であること
が好ましい。該内側レースは、貫通穴44を有している。ヨーヨが組み立った状
態にあるとき、回転軸ピンがこの貫通穴44を貫通する。
スペーサ24の各々は、回転軸ピンも通る貫通穴46を有している。ボール軸
受組立体を固着するためには、スペーサ24の各々は、ボール軸受ユニットの貫
通穴44内に着脱可能に受け入れられた、縮小径の第一の端部分48を有してい
る。受け入れたならば、部分48の内端の肩部(図1参照)は、内側レース36
に当接し且つ接触するが、外側レース40には接触しない。スペーサの各々は、
側部材2の各々における相補的なキャビティ52内に緊密に且つ不動に受け入れ
られ得るようにした第二の端部分50を有している。
ヨーヨを組み立てたとき、各スペーサの部分50は、関連した側部材内に完全
に配置され且つ該側部材に接触する。これと同時に、外側レース40の側端縁も
側部材の相補的な凹所54内にも受け入れられる。該外側レースは、側部材の何
れにも接触せず、従って、上記の側部材と独立的に動き得ることを認識すべきで
ある。スペーサは、軸受組立体を図示するように腕木状に支え、外側レースが何
れかの側部材の上記面に接触せずに、操作紐に面した各側部材の面56の面に対
し垂直となるように、該外側レースを位置決めする。また、ボール軸受組立体の
内側レース36は、双方のスペーサに係合し、これにより、側部材に対して係止
され且つ該側部材と共に回転可能であることも認識すべきである。
図3には、回転軸組立体への操作紐の固着状態の詳細図、及び操作紐に面した
一方の側部材2の面56の図が示してある。操作紐に面した他方の側部材2の面
は、図示した面と同一であることを認識すべきである。
操作紐6を製造するためには、1本の長い糸を重ね合わせて、糸60、62の
2つの半体を共に撚る。その結果、操作紐は、糸の半体60、又は62の一方の
直径の実際上、2倍の直径Dを有する。操作紐をヨーヨに固着するため、糸の半
体60、62が共に接続する箇所である操作紐の端部の撚りを取り、これにより
、ボール軸受ユニットの外側レース40の周りに配置される輪状部分8を形成す
る。
ヨーヨが操作紐の端部にて澄み、ユーザが操作紐を一時的に緩めると、操作紐
は、最早、ヨーヨの操作紐の引張り力によって拘束されず、糸空隙の中心位置に
留まる。更に、操作紐の張力を少なくすると、張力を除去したとき、あらゆるロ
ープの直径が僅かに増すのと全く同一の方法にて操作紐の直径も僅かに増大する
。これらのファクタは、糸空隙(回転軸組立体寄りにて測定したとき、側部材2
の間の領域)内に配置された、操作紐に面した側部材2の一方又は双方の面56
に、操作紐の一部分が係合することを可能にする。操作紐が高速回転する側部材
と共に回転し始めるように係合程度を増すために、本発明の第一の実施の形態は
、操作紐が面56に接触すると直ちに、操作紐を引っ掛ける働きをする、半径方
向に方向決めした複数の細長い溝64を採用する。溝64を含む面56の領域は
、操作紐の係合領域とみなされる。
溝64の各々は、長手方向軸線を有している。この長手方向軸線は、関連した
操作紐に面した側部材の面56に対して平行で且つ回転軸ピン20の長手方向軸
線により画成されたヨーヨの中心軸線に対して垂直である。これらの溝は、涙滴
と同様の形状をしている(その他の細長の形状を採用することもできる)。その
溝の各々は、側部材の略平坦面56と交差する箇所で、鋭角な直角の端縁を形成
する2つの長辺66を特徴としている。溝の各々は、1/2D(操作紐の直径1
/2)に少なくとも等しい最大幅及び深さ寸法を有することが好ましい。これら
の幅及び深さ寸法は、ヨーヨの中心軸線から離れる距離に従って相違するように
することができる。
図3から理解されるように、操作紐を形成する2本の糸60、62は、参照番
号70で示した箇所にて互いに分離して、操作紐の輪状部分8を形成する。上述
したように、回転軸からストランドが合流する点迄の距離は、操作紐を撚る量に
よって変えることができる。箇所70は、操作紐の側部材との間の最初の接触点
を画成することがあるから、該箇所が回転軸組立体から近接して隔てられ又は遠
方に隔てられるときであっても、溝が箇所70に係合するような溝の長さでなけ
ればならない。
好適な実施の形態において、側部材2の各々は、約55.88mm(約2.2インチ)
の直径を有し、また、ボール軸受ユニット(これは、ヨーヨの回転軸手段と見な
すこともできる)は、約10.16mm(約0.4インチ)の外径を有し、糸空隙は、操
作紐の直径の約1.5乃至2.0倍であり、溝の各々は、約8.47mm(約1/3インチ
)の長さを有する。効果的であるためには、溝は、回転軸手段の直径の約1/2
の最小長さを有する必要がある。溝は、側部材の直径の約1/2の最大長さを有
するようにすることができる。側部材の直径対回転軸手段の直径との比が異なる
ヨーヨにおいて、溝は、上記操作紐の撚りの程度に関係なく、操作紐の点70と
接触することを可能にする最小長さを有する必要がある。
図示しない一つの代替的な実施の形態において、溝は、別個のディスク形状部
材に形成されている。上記部材は、関連した側部材の面であって、操作紐に面し
た面における相補的な凹所内に回転不能に固着されている。
図4には、側部材72の操作紐の係合領域の一つの代替的な実施の形態が示し
てある。側部材72は、操作紐の係合領域が相違する点を除いて側部材2と同一
である。この実施の形態において、半径方向を向いた大きい細長の溝74が複数
ある。溝の間の領域内にて、操作紐に面した側部材の面76は、半径方向を向い
た遥かに小さい溝80を複数有している。これらのより小さい溝を使用して操作
紐との係合領域を提供するか又は操作紐を緩んだ状態に配置したとき、操作紐を
より大きい溝内に案内し易くすることができる。
図5には、側部材82の別の実施の形態の立面図が示してある。側部材82の
斜視図が図10に示してある。側部材82は、操作紐の係合領域が相違する点を
除いて、側部材2と同一であり、このため、図1及び図2に示した側部材2の各
々に置換することができる。この実施の形態において、操作紐に面した面86に
は、半径方向を向いた細長い凹所/溝84が複数、存在している。溝84の長さ
及び方向は、第一の実施の形態の溝64と略同一である。図面にも示すように、
リング形状のキャリア部材88は、溝84を取り巻く。複数の係合パッド90は
、キャリア部材から内方に伸長し、溝84と交互に現れる関係に配置されている
。隣接するパッドの側部は、溝84の各々の側壁を形成する。
パッド90の各々は、略細長い台形の形状を有するものとして示してある。こ
れらのパッドは、側部材の取り巻く材料よりも大きい摩擦係数を有する材料で出
来たものであることが好ましい。好適な実施の形態において、該パッドは、ネオ
プレーンゴムのようなゴム材料で出来ている。該パッド90は、ゴム材料で出来
たものであることが好ましいが、これらのパッドは、大きい摩擦係数を有する外
面を特徴とするその他の材料で形成してもよい。かかる代替的な材料の一例は、
サンドペーパーである。
該パッド90は、関連した側部材の相補的な溝92内に受け入れられる。パッ
ドの各々の操作紐に面した面94は、操作紐に面した側部材の面86と面一であ
ることが好ましい。好適な実施の形態において、該パッド90は、ヨーヨの中心
軸線の周りで45°の角度で隔てられている。パッドは、ヨーヨの中心軸線の周り
で10乃至120°の角度で隔てられるようにしてもよい。パッドの各々の長さは、
回転軸組立体4の直径の1/2に等しく又はそれ以上であることが好ましく、ま
た、溝84の長さに等しいことも好ましい。
キャリア部材88は、複数のパッド90の挿入及び製造を容易にする働きをす
る。図面にて理解し得るように、パッド90の各々は、一端にてキャリア部材に
取り付けられる。該キャリア部材は、部材82の環状の凹所98内に受け入れら
れる。該凹所98は、パッド90及び溝84の外側にて、操作紐に面した面の領
域内に配置されることが好ましい。該キャリア部材は、選択随意的であり、パッ
ド90は、そのそれぞれの溝92内に個々に固着された別個の物としてもよいこ
とを認識すべきである。
好適な実施の形態において、キャリア部材88及びパッド90は、共に、パッ
ドユニット100を形成する。このパッドユニットは、図7に示してあり、また
、均一な厚さのゴム材料の単一の板材からダイカット法を使用して製造すること
ができる。このユニットは、製造したならば、単一の部片として部材82内に配
置
することができる。ユニット100を側部材82に固着するために、パッド及び
/又はキャリア部材の背面には、該ユニット100を部材82に恒久的に固着す
る働きをする接着剤材料102が被覆されている。この接着剤材料は、早期の製
造段階にて、ユニットの背面に施すことができ、また、除去可能な裏当てシート
(図示せず)で一時的に覆うことができる。
図6には、パッドユニット100を挿入する前の部材82の詳細な斜視図が示
してある。参照番号104で示した面は、溝84の底部となる。これらの溝92
は、パッドユニット100のパッド90を受け入れ得る設計とされている。キャ
リア部材88を受け入れるための環状凹所98も示してある。
図8及び図9には、側部材82の断面図が示してある。これらの図において、
操作紐に面したパッド部材90の各々の面86が操作紐に面した側部材の面86
と面一であることが分かる。また、溝84の底面104は、操作紐に面した部材
の面86の面の下方に配置されていることも分かる。好適な実施の形態において
、面104は、面86から約7.62mm(約0.030インチ)下方にある。
図11には、図1に示した型式のヨーヨに対する側部材の別の代替的な実施の
形態が斜視図で示してある。この実施の形態において、側部材106は、上述の
実施の形態にて説明したものと同一のパッドユニット100を特徴としている。
しかしながら、パッド90の各々の間に溝は存在していない。該パッド90は、
図6に示した溝92と同一である相補的な溝92内に配置されている。
パッド90の間に溝84を使用することは選択随意であるが、これらの溝は、
操作紐に面した側部材の面の面内に中断部分を提供する。形成される不均一な面
は、非層状の空気の境界層を形成し、この空気の境界層は、操作紐が側部材に向
けて動くのを容易にし且つ操作紐がゴムパッドに接触するのを容易にする。
本明細書にて教示されるように、半径方向を向いた操作紐の係合溝及び/又は
係合パッドを使用することは、その他の型式のヨーヨについて採用することがで
きる。例えば、これらの溝及び/又はパッドは、固定の回転軸(すなわち側部材
に固定されて、ボール軸受で支持された部分を含まない回転軸)を利用する、従
来のヨーヨにて操作紐の係合を容易にすることができる。
本明細書に開示した、本発明の好適な実施の形態は、本発明の新規な形態を十
分に理解し得るように記載したものである。本発明の好適な実施の形態を図示し
且つ説明したが、請求の範囲に記載した本発明の精神及び範囲から当然に逸脱せ
ずに当業者によって多数の変更例、改変例及び置換を為すことが可能である。
産業上の利用可能性
本発明は、引き戻し可能な玩具が望まれるあらゆる状況に適用することが可能
である。
【手続補正書】
【提出日】1998年12月24日(1998.12.24)
【補正内容】
1.本願請求の範囲の記載を次の通りに訂正します。
『 1.ヨーヨにおいて、
第一の側部材及び第二の側部材と、
該第一の側部材及び第二の側部材の間を伸びる回転軸手段と、
該回転軸手段に関連し、前記第一の側部材及び第二の側部材を共に固着するよ
うに機能する固着手段と、
前記前記回転軸手段の周りに巻き付くようにされた操作紐とを備え、
前記第一の側部材及び第二の側部材の各々が、前記回転軸手段に隣接する位置
に配置された前記操作紐の一部分の方を向く、操作紐に面した面を有し、
前記第一の側部材及び第二の側部材の少なくとも一方の前記面が、第一の材料
からなり、かつ該面にはめ込まれて関連した側部材の中心軸周りで隔たった関係
に配置された複数の係合パッドを特徴とし、
該係合パッドの各々が、前記第一の材料とは異なった材料からなり、かつ操作
紐と第一の側部材及び第二の側部材の少なくとも一方との間の係合を容易にする
機能を果たすようにした、ヨーヨ。
2.請求項1に記載のヨーヨにおいて、さらにそれぞれが隣接する前記係合パ
ッド間に配置された複数の凹所を備えたヨーヨ。
3.請求項2に記載のヨーヨにおいて、前記凹所が関連する側部材の中心軸周
りに星の爆発パターンにて配列される、ヨーヨ。
4.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記係合バッドが関連する前記側部材
の相補的な溝内に配置される、ヨーヨ。
5.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記第一の側部材及び第二の側部材の
双方が、複数の係合パッドを特徴とする、ヨーヨ。
6.請求項1に記載のヨーヨにおいて、複数の前記係合パッドが、細長い形状
を有し、かつ関連する側部材の中心軸から離れて半径方向に延びている、ヨーヨ
。
7.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記係合パッドの各々が、ゴム材料で
出来ている、ヨーヨ。
8.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記回転軸手段が、内側レースと、外
側レースと、該内側レースと外側レースとの間に配置された複数の軸受部材とを
有し、前記操作紐が前記外側レースを取り囲む輪状部分を含む、ヨーヨ。
9.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記関連する側部材の操作紐が面する
面にはめ込まれた複数の前記係合パッドが、該係合パッド付近の領域で前記面に
より形成される平面より突出していないことを特徴とする、ヨーヨ。
10.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記側部材の各々がプラスチック材料
で出来ている、ヨーヨ。
11.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記係合パッドが、前記関連する側部
材の中心軸周りで15°乃至120°の角度の間隔に隔てられている、ヨーヨ。
12.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記係合パッドの各々が、台形の形状
を有する、ヨーヨ。
13.請求項1に記載のヨーヨにおいて、前記側部材の一つと関連した係合パッ
ドの全てが同一のキャリア部材に取り付けられている、ヨーヨ。
14.請求項13に記載のヨーヨにおいて、キャリア部材がリング状の形状をし
ている、ヨーヨ。
15.請求項13に記載のヨーヨにおいて、前記係合パッドとキャリア部材とが
単一部材からなり、該係合パッドが該キャリア部材から、前記関連した一つの側
部材の中心軸に向けて伸びている、ヨーヨ。
16.ヨーヨにおいて、
第一の側部材及び第二の側部材と、
該第一の側部材と第二の側部材との間を伸びる回転軸手段と、
該回転軸手段に関連し、かつ該第一の側部材及び第二の側部材を共に固着
するように機能する固着手段と、
前記回転軸手段の周りに巻き付くようにされた操作紐とを備え、
前記第一の側部材及び第二の側部材の各々が、前記回転軸手段に隣接する
位置に配置された前記操作紐の一部分の方を向く、操作紐に面した面を有し、
前記第一の側部材及び第二の側部材の少なくとも一方の前記面が、複数の
係合パッドと、凹所とを特徴とし、
該複数の係合パッドは、関連する側部材の該操作紐に面する面内にはめ込
まれて、該面から外へ前記操作紐の方へ向かって突出せず、
前記係合パッドと凹所とが、関連した側部材の中心軸周りで交互の関係に
配置され、かつ操作紐と前記側部材の少なくとも一方との間の係合を促進する機
能を果たすようにした、ヨーヨ。
17.ヨーヨにおいて、
第一の側部材及び第二の側部材と、
該第一の側部材と第二の側部材との間を伸びる回転軸手段と、
該回転軸手段に関連し、かつ該第一の側部材及び第二の側部材を共に固着
するように機能する固着手段と、
前記回転軸手段の周りに巻き付くようにされた操作紐とを備え、
前記第一の側部材及び第二の側部材の各々が、前記回転軸手段に隣接する
位置に配置された前記操作紐の一部分の方を向く、操作紐に面した面を有し、
前記側部材の少なくとも一方の前記面は、前記回転軸手段に隣接した平坦
な領域を含み、
該平坦な領域は、前記関連する側部材の中心軸周りで隔たった関係に設け
られた複数の溝を特徴とし、
該溝が前記操作紐と前記側部材の少なくとも一方との間の係合を容易にす
る機能を果たすようにした、ヨーヨ。 』
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フロントページの続き
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(72)発明者 ヴァン・ダン・エルゼン,ハンス・ダブリ
ュー
アメリカ合衆国アリゾナ州85281,テンペ,
イースト・ヘイデン・レイン 1896,アパ
ートメント 205