JP2000503245A - 格納式注射針および注射器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 注射器２０と注射針とからなる装置であって、注射針が注射器の胴体内に格納する保持体３０に取り付けられている。注射針１２が取り付けられる保持体３０は、ばね６８によって、注射針の格納方向へと付勢されている。注射針の格納操作は、保持体３０の前端部を、注射器２０の内筒６０前端部に位置するコレット６６との係合から解除することで行う。コレット６６は、通常、保持体３０の前端部を保持するが、コレットが前方に押圧されて拡張すると、保持体３０の前端部との係合が外れるように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 格納式注射針および注射器 技術分野 本発明は、格納式注射針を含む医療用装置に関するものである。さらに詳述す ると、本発明は、使用済の注射針によってメディカルワーカーが誤って手等を刺 通することを防止するため、格納式注射針と、プランジャの押圧によってこの注 射針を注射器本体内に自動的に格納する機構を有する注射器とに関するものであ る。 背景技術 病気を伴う血液の搬送に際しての注射針による刺通がメディカルワーカーの健 康を損なう危険があることが認識されて以来、このような危険を回避するために 数多くの装置が提案されている。これらの装置は理論上製造が可能であるが、実 用性の観点から言えば、ほとんどの装置が大量生産または経済性に見合った生産 には適していない。これら先行技術の装置は、構成が複雑すぎるために成形の公 差が小さくなる等の問題点を含み、大量生産等の技術に適用することができない からである。 このような先行技術の問題点を解消する種々の装置が提案されている。例えば 、米国特許第５，３２４，２６５号においては、注射針をプランジャの中央部に 格納させるため、多数のシールとばねの作用を利用した装置が開示されている。 またこの装置は、特殊な注射針の組立体と注射器の外方部前方に設けられたプラ グ機構も含んでいる。 米国特許第５，３８５，５５１号には、プランジャ前端に設けた着脱自在のプ ラグからなる格納式注射針を含む注射器が開示されている。この装置においてプ ラグは、注射針に取り付けたばねによりプランジャ胴体内へと変位する。この装 置は、特殊な注射針の組立体を含む種々の副集成部品からなるものである。 米国特許第５，３８９，０７６号には、注射器と格納式の注射針組立体が開示 されている。この注射器においては、前方に設けたリングシールが注射針ホルダ の長さ方向に沿って変位することによって、係合が外れた注射針ホルダがプラン ジャ胴体内へと後方に変位する。この装置においても特殊な注射針組立体を用い ている。 米国特許第５，３９５，３３７号には、ばねの作用によりシール抵抗に抗して 注射針を プランジャ胴体内へと格納させる装置が開示されており、先述した米国特許第５ ，３２４，２６５号に開示されている装置と類似した構成が記載されている。こ の装置においても、多くの特殊な構成部材が必要とされる。 米国特許第５，４０７，４３１号には、カテーテル挿入用装置として針と注射 器型の装置が開示されている。この装置は、針ホルダの周囲にカラーが設けられ ており、プランジャ先端の前方への移動に伴い拡張するカラーによって、針の前 部に装填されたばねが針をプランジャ内に格納させる構成となっている。この装 置においても、多くの特殊な構成部材が必要とされる。 米国特許第５，４０７，４３６号に開示された格納式注射針と注射器は、プラ ンジャを前方に押圧することで注射針ホルダの係合が外れ、ばねの作用によって プランジャ中央に設けられたシールを破った注射針ホルダが注射器胴体内へと後 方に変位するものである。 上述した装置の他にも、手動によりプランジャ前端部で注射針を回収する注射 器と格納式注射針からなる装置が多数提案されている。このような装置では、注 射針の回収時に、プランジャを後退させて注射針を注射器胴体内へと引込む構成 となっている。しかしながら、このような二段ストローク式の注射器は、注射針 による負傷を防ぐための取扱いに際して両手を使う必要があり面倒であるとの理 由で普及するには至っていない。またプランジャを後退させるには、注射器の本 体外側を掴み、抵抗に抗して注射針を後退させるので、使用者が手を滑らせて注 射針を刺通する虞があった。国会で成立した連邦安全規則においては、注射針に よる負傷を防止するため、一般に注射器のこのような取り扱いを禁止している。 発明の要約 本発明は、片手による操作が可能で且つ一回のストロークで注射針を格納する ことができる注射器において構造を簡単にしたものを提供することを目的とする 。また、従来の装置に適用することが可能であるとともに、従来の注射器と注財 針の操作以外に特別な操作を必要としない装置を提供することも目的とする。 本発明の注射器は、前方に位置する伸縮自在のコレットと注射針格納体との係 合を解除するために、プランジャのストロークを延長させる必要がある。伸縮コ レットが拡張すると注射針との係合が外れ、ばねに付勢された注射針格納体が注 射器胴体内に変位することになる。 注射器が大型の場合、注射器の外部に従来の注射針をねじ係合させる。本発明 の注射器は、コレットと前方シール端部が一体に設けられた内筒を含むもので、 注射器の外筒内にコレットとばねを組み込んだ後、注射針保持体とばねを装填し 、さらにプランジャを挿入することで組み立てられる。従って、構成部材として は、２つのばね、３つのシール部材、４つのプラスチック成形部材を含むもので ある。注射針用のキャップ、注射器の包装等については、従来通りの既製品をそ のまま使用することができる。 本発明の注射器及び注射針においては、その構成部品を単純化し、取扱い方法 を容易にしたことにより、操作の簡易性、経済的な製造、大量生産への適用化等 の効果が得られる。また、このような実用性を備えた注射器と注射針により、少 なくとも注射針の刺通に起因する第三者への感染を大幅に減少させることができ る。 図面の簡単な説明 図１は、本発明による注射器を一部断面にて示す側面図。 図２は、本発明による注射器とねじが設けられた注射針とを一部断面にて示し た側面図であり、プランジャが前方位置に変位した状態を示したものである。 図３は、注射針を取り付けた注射器を一部断面にて示した側面図であり、注射 針が格納位置に変位した状態を示したものである。 図４は、本発明による注射器の分解図で、構成部品の組み立て手順を示したも のである。 図５は、組み立てられた注射器の前端部を示す拡大部分断面図。 図６は、本発明による注射針保持体の平面図。 図７は、図６に示す注射針保持体の断面図。 図８は、本発明に使用する伸縮自在のコレットの端部を示した図である。 図９は、図８に示すコレットのＡ−Ａ線に沿った断面図。 図１０は、注射針保持体に設けるシール部材の変形例を示したもので、Ｏリン グ式のシール部材に替えて固定シールを用いている。 発明の詳細な説明 添付の図面を参照して、以下に本発明を詳述する。図１乃至図５には、本発明 の注射器２０及び注射針１０が示されている。本発明においては、例えば注射器 が１０ｃｃ以上の大型のものであれば、ねじ取付手段を用いて注射針を着脱自在 とする。この注射針は、金属部分１２で形成される針管と、ねじ取付部１４を有 する針基とを含んでいる。このよう な注射針は、雄雌部材の係合機構を有する従来の注射器に適用することが可能で ある。また、家庭用等の小型の注射器であれば、注射針を注射器と一体のものと する。本発明の注射器２０は、中空の内筒６０と、これと協動する注射針保持体 ３０とを含み、使用後に注射針１０を内筒６０内に格納するものである。注射針 １０の格納操作は、注射器内の流体をすべて流出した後、注射針保持体３０がコ レット６６との係合から解除され、ばねの作用により内筒の胴体側への推進力を 受けるまで、プランジャ４０のストロークを継続することにより行う。 注射器２０は、外筒またはチューブ５０と内筒６０とから組立てられる。内筒 ６０の前端部６４には、さらに第１シール手段を形成するシール部材６２が取り 付けられ、外筒５０の内面に対して内筒６０のシールを施している。本実施例に おいては、シール部材６２をＯリングとして説明する。このようなシールを施す ことによって、注射器２０の後端から挿入されたプランジャ４０との間に流体封 入室部が形成され、この流体封入室部はプランジャの押圧により加圧されること になる。プランジャ４０は、円筒形の胴体と、先端に設けられた環状プランジャ 端部４４とを含み構成されるもので、その後端部には、使用者の親指と係合する 指押え４６が設けられている。 また内筒６０の先端部６４には、スロット６７を含むコレット６６が設けられ ている。コレット６６は漏斗形状の外形を呈しており、外筒５０の前端部に形成 された開口部より後退すると、コレットの収縮により保持力が発生する。コレッ ト６６は、第１ばね手段としての短ばね６８により保持位置または後退位置に付 勢される。従って、内筒６０は外筒５０に対して後方に付勢されることになる。 さらに本発明の注射器２０は、図６及び図７に詳細を示す注射針保持体３０を 含んでいる。注射針保持体３０は、内筒６０の後端から内筒６０の筒体内へと挿 入される。注射針保持体３０は、後端に端部キャップ３４を有する胴体部分３２ と、中間部から先端部へと延びる流体ポート３６とを含む。注射針保持体３０は 、プランジャ４０が流体封入室部を加圧する際に内筒６０の内部に形成された流 体ポート６５を通る流体を、その流体ポート３６を通して注射針１０へと移送す る。また注射針保持体３０には、第２及び第３シール手段を形成する２つのシー ル部材３３，３５により内筒６０の内面に対するシールが施されている。図１乃 至図７に示す第１実施例においては、シール部材３３，３５はＯリング式のシー ル部材である。このようなシールは、運動用シールと呼ばれるものである。図１ ０は、注射針保持体３０と内筒６０との間に設けるシールの他の実施例を示した もので、注射針保持体３０の外部環状縁部と内筒６０の内部環状縮径部との間に 環状の固定シールを施している。 次に、図８及び図９に基づいて、本発明のコレット６６の詳細を説明する。コ レット６６はスロット６７を含む漏斗形状のもので、外筒５０の前端部に設けら れた開口部を介して前後に進退させると、コレット６６が拡張または収縮する。 コレット６６が短ばね６８により外筒５０に対して後方に付勢されると、コレッ ト６６の前端部は収縮または縮径し、注射針保持体３０の外部を保持する。図６ 及び図７に示すように、注射針保持体３０の外部にトラップ縁部３１を形成する と、注射針保持体３０に対する保持作用を高めることができる。注射針保持体３ ０は、このトラップ縁部３１のすぐ後端でコレット６６に保持される。本実施例 においては、トラップ縁部３１を環状部材として説明したが、注射針保持体３０ を内筒６０の前端部に保持できるものであれば、トラップ縁部３１はどのような 形状のものでも良い。 本発明の注射器２０においては、第２ばね手段を形成する長ばね３８が注射針 保持体３０の端部キャップ３４と係合しており、注射針保持体３０を後方に付勢 している。従って、プランジャ４０の前端部４４により内筒６０の前端部６４を 押圧すると、コレット６６に保持された注射針保持体３０はコレット６６から解 放される。プランジャ４０の押圧により注射器内の流体が流出した状態では、プ ランジャ４０はストローク終了位置を過ぎて、プランジャ端部４４が内筒の前端 部６４を押圧している。これによりコレット６６も前方に押圧される。この状態 でさらにプランジャ４０を押圧すると、コレット６６が拡張し注射針保持体３０ との係合が解除され、注射針保持体３０は内筒６０の筒体内へと後方に変位する 。すると、図３に示すように、注射針１０は注射器２０内に格納され、注射器２ ０及び注射針１０は使用不能となる。 以下、図４を参照して、本発明の注射器の組立て手順を示す。始めに、プラン ジャ４０と前端部４４とを組立てる。注射針保持体３０に、長ばね３８及びシー ル部材３３，３５を取り付ける。前端部６４、シール部材６２及びコレット６６ を含む内筒６０を短ばね６８と共に外筒５０内に装填し、さらにシール部材等を 取り付けた注射針保持体３０を内筒６０内に挿入する。注射針保持体３０をコレ ット６６と係合するまで挿入し、最後に組立てたプランジャを挿入する。従って 、注射器は、４つのポリマープラスチック成形部材、 すなわちプランジャ、外筒、内筒及び注射針保持体と、３つのシール部材、そし て２つのばねを含み構成される。所望であれば、シール部材をポリマーで形成し 、内筒及び注射針保持体等と共に成形しても良い。本発明の注射器と注射針は、 構成部品の数が比較的少なく、組立てが簡単であるので、大量生産及び経済的な 生産が可能である。 本発明においては、発明を実施するための好適な実施例について詳述したが、 本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲に記載 した発明の範囲内において、様々に変形及び変更することが可能である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クーバーティエル，ダグラス アメリカ合衆国 フロリダ州 33326 フ ォート ローダーデール，195 レイクビ ュー ドライブ，アパートメント 203

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．前端部と後端部とを含み、前端部に開口部が形成された外筒と、 この外筒の後方から挿入される内筒であって、筒体と、この筒体の先端に設け られ前記外筒の開口部を介した進退により伸縮するコレットと、前記外筒の内面 との間に流体を封入する流体封入室部を形成するためのシールとを含む内筒と、 前記外筒と前記内筒との間に配設され、前記内筒を前記外筒に対して後方に付 勢する第１ばね手段と、 前記内筒の筒体に挿入され前記コレットと係合する注射針保持体であって、筒 体と、この筒体の内部に設けられ前記流体封入室部と連通する流体ポートとを含 む注射針保持体と、前記内筒と前記注射針保持体との間に配設され、前記注射針 保持を後方に付勢する第２ばね手段と、 前記流体封入室部内に挿入され、前記流体ポートを介して該室部内の流体を押 圧するとともに、前記外筒に対して前記内筒を前方に変位させることにより前記 コレットと前記注射針保持体との係合を解除し、前記注射針保持体を前記内筒の 後方へと変位させるプランジャと、からなる注射器。 ２．前記注射針保持体の先端に注射針を取り付けたことを特徴とする請求項１に 記載の注射器。 ３．前記注射針保持体の先端に前記注射針を取り付けるねじ取付手段を含むこと を特徴とする請求項２に記載の注射器。 ４．前記第１ばね手段がコイルばねからなることを特徴とする請求項１に記載の 注射器。 ５．前記第２ばね手段がコイルばねからなることを特徴とする請求項１に記載の 注射器。 ６．前記内筒に対して前記外筒をシールする第１シール手段を設けたことを特徴 とする請求項１に記載の注射器。 ７．前記第１シール手段がＯリング式のシール部材からなることを特徴とする請 求項６に記載の注射器。 ８．前記内筒に対して前記注射針保持体をシールする第２及び第３シール手段を 設けたことを特徴とする請求項１に記載の注射器。 ９．前記第２及び第３シール手段がＯリング式のシール部材からなることを特徴 とする請 求項８に記載の注射器。 １０．前記第２及び第３シール手段が環状の固定シール部材からなることを特徴 とする請求項８に記載の注射器。 １１．前記コレットが漏斗形状を呈し、内部に形成された長手通路を拡張または 収縮させるスロットを側部に設けたことを特徴とする請求項１に記載の注射器。