JP2000502249A - パスツレラ・ヘモリチカのトランスフェリン結合タンパク質およびそれを含有するワクチン - Google Patents

パスツレラ・ヘモリチカのトランスフェリン結合タンパク質およびそれを含有するワクチン

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Abstract

(57)【要約】 パスツレラ・ヘモリチカ由来のトランスフェリン結合性タンパクおよび該タンパクをコードする核酸分子が開示される。当該タンパクに対する抗体が開示される。本発明はまた、本発明のタンパクを含有するワクチンに関する。本発明はまた、トランスフェリンの当該タンパクへの結合に影響する物質を同定する方法、および当該タンパクとトランスフェリンとの結合の作用剤または拮抗剤をスクリーニングする方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 パスツレラ・ヘモリチカのトランスフェリン結合タンパク質 およびそれを含有するワクチン 〔発明の分野〕 本発明は、パスツレラ・ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)の新規トラ ンスフェリン結合タンパク質、そのトランケート化体、類似体、ホモログおよび イソ型;該タンパク質、そのトランケート化体、類似体およびホモログをコード する核酸分子;該タンパク質を含有するワクチン;該タンパク質に対する抗体; ならびに該タンパク質および核酸分子の用途に関する。 〔発明の背景〕 パスツレラ(Pasteurella)属のメンバーには、反芻動物の重要な病原体であ る一群の関連細菌種が含まれる。この一群には、パスツレラ・ヘモリチカ種が含 まれ、これは、糖の利用に基づき2個の生物型AおよびTに分類されており、そ の菌体抗原に基づいて認識される16個の血清型に分類されている(Bibersteln,E .L.ら,1960;Fraser ら,1982)。最近、トレハロースの利用により特徴づけられ るパスツレラ・ヘモリチカの T 型株が、新規種パスツレラ・トレハロシ(P.tr ehalosi)として再分類された(Sneath,P.H.A.ら,1990)。 パスツレラ・ヘモリチカが引き起こす肺パスツレラ症は、ウシ、ヒツジおよび ヤギの産業にとって世界的に大きな経済問題となっている。この疾患の変型の1 つである船積熱は、北米のウシの産業において大問題となっており、ほとんどの 場合、専らこの細菌種のA1型株が引き起こすものである(Babiuk,L.A.および S.D.Acres,1984)。血清型A2はヒツジにおいては最も優勢な発病型であるが、 他の血清型がヒツジおよびヤギにおいて重要な場合もある(Gilmour およびGilm our,1991)。関連種であるパスツレラ・トレハロシ(Pasteurella trehalosi)(以 前はT型パスツレラ・ヘモリチカとして公知であった)は、特に英国のヒツジ産 業を悩ます問題となっているラムにおける敗血症の原因微生物である。同様に、 関連種パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)の株は、特に 東南アジアにおいて深刻なウシおよびスイギュウの重篤な感染症である出血性敗 血症を引き起こす。 反芻動物におけるパスツレラ症を予防する望ましい方法は予防接種であるが、 すべての反芻動物に対して有効なワクチンを考慮する場合には特に、すべての発 病血清型に対する防御を誘導する免疫製剤がないため、成功は制限されている。 死菌全細胞ワクチンは、一貫性のない防御レベルおよび抗体応答を子牛において 惹起した(Wilkie,B.N.,1980)。サリチル酸ナトリウム抽出物(SSE)を含有する 同種ワクチンは、血清型Al、A6およびA9による疾患に対してヒツジを防御したが (Gilmour ら,1983)、より流行性の血清型A2に対しては防御しなかった(Fraser ら,1982)。反芻動物からの白血球および肺胞マクロファージに対して特に致死 的な、パスツレラ・ヘモリチカが産生する外毒素(Bensonら,1978)は、子牛およ びヒツジにおける防御実験においてワクチン候補として非常に有望であることが 示されているが(13,35)、異種血清型に対する防御が制限される(33)。鉄制限増 殖条件下で誘導されるタンパク質をラムのパスツレラ症に対するワクチンに含有 させることが、防御の増強に関与することが示唆されている(15)。 これまでの研究において、病原性細菌がインビボで鉄を獲得する能力が、病理 生物学において決定的に重要な因子であることが確認されている(7,11)。宿主 の鉄結合糖タンパク質トランスフェリンから鉄を回収する1つのメカニズムは、 細菌上の表面受容体によるトランスフェリンの直接的な結合、およびトランスフ ェリンからの鉄の取り出し、および細胞内への取込みを含む(21)。Schryvers(19 92)には、アフィニティークロマトグラフィーを用いて種々の細菌病原体からト ランスフェリン受容体タンパク質を単離することが記載されている。トランスフ ェリン受容体は、トランスフェリン結合タンパク質1またはA(Tbp1またはTbpA )およびトランスフェリン結合タンパク質2またはB(Tbp2またはTbpB)と称さ れる2個のタンパク質よりなることが示されている。受容体媒介型の鉄の取込み が、パスツレラ・ヘモリチカの血清型Aウシ株において生じることが示されてい る(26)。鉄制限条件下でインビトロで増殖するパスツレラ・ヘモリチカの細胞は 、パスツレラ症の動物の感染部位からインビボで回収された 細胞が産生するものと同一の多数の鉄抑制性外膜タンパク質(IROMP)を発現す る(9,10)。これらのタンパク質のうちで特に顕著なのは、分子サイズが100、77 、70および60Kdaのものである(9,10)。その100Kdaのタンパク質は、ウシ分離菌 における宿主特異的トランスフェリン受容体の1つとして同定されており(26)、 一方、残りのIROMPのいくつかは、鉄獲得受容体複合体中の100Kdaタンパク質と おそらく結合しているであろうと示唆されている(26)。ラムからのパスツレラ・ ヘモリチカにより発現されるIROMP(10)が鉄の獲得において果たす役割は依然 として不明であり、より小さいタンパク質がヤギ分離菌により発現されるか否か も知られていない。 パスツレラ・ヘモリチカは、受容体媒介型メカニズムによりウシ宿主トランス フェリンから鉄を獲得する。この型の鉄獲得メカニズムを有する細菌がインビボ での鉄の獲得に関して専ら表面受容体に依存しているという提案(29)は、該細 菌の表面受容体に認識されるトランスフェリンを有する宿主においてのみ、該細 菌が疾患を引き起こすことを示唆している。パスツレラ・ヘモリチカは、ウシ、 ヒツジおよびヤギにおいて疾患を引き起こすと報告されており、したがって、そ れらの表面受容体は、これらの宿主のトランスフェリンを認識すると予想される であろう。したがって、鉄の獲得に関与するトランスフェリン受容体をヒツジお よびヤギの分離菌も有するか否かを判定し、種々の反芻動物トランスフェリンに 対するそれらの特異性を評価し、ウシ、ヒツジおよびヤギに肺パスツレラ症を引 き起こす種々の株からの表面受容体の間に抗原関連性が存在するか否かを判定す ることが重要である。 〔発明の概要〕 ウシ、ヒツジおよびヤギからの種々の血清型および生物型(AおよびT)のパス ツレラ・ヘモリチカ(およびパスツレラ・トレハロシ)株のコレクションにおい て、トランスフェリン受容体を同定した。増殖研究、結合研究およびアフィニテ ィー単離実験から、これらの受容体が、ウシ、ヒツジおよびヤギからのトランス フェリンを認識する同一の特異性を有することが示された。このことは、細胞表 面上で接近可能な、リガンド結合に関与する受容体タンパク質上に、保存領域 があることを示している。 パスツレラ・ヘモリチカの血清型A1株からの個々の精製受容体タンパク質(Tb pAおよびTbpB)に対して調製した抗血清は、代表的な選択株からの受容体タンパ ク質に対してかなりの交差反応性を示した。また、この交差反応性は無傷細胞に 対しても認められ、このことは、宿主の免疫エフェクターメカニズムに対する標 的として機能しうる保存された免疫エピトープが細胞表面上にあることを示して いる。 本発明者らは、パスツレラ・ヘモリチカAlからのトランスフェリン受容体タン パク質TbpAおよびTbpB(本発明ではそれぞれTbp1およびTbp2とも称する)をコー ドするtbpAおよびtbpB遺伝子をクローニングし、配列決定し、発現させた。これ らの遺伝子は、tbpB−tbpAのオペロン配置で組織されていた。trpB遺伝子の前に は推定プロモーターおよび調節配列が位置し、trpB遺伝子の後には、プロモータ ー領域が全く存在しない 96 塩基対の遺伝子間配列が位置しており、このことは 、その2つの遺伝子が同調的に転写されることを示唆している。TbpAおよびTbpB タンパク質の推定アミノ酸配列は、対応するナイヤリア・メニンジティディス(N eisseria meningitidis)、ナイセリア・ゴノレエ(N.gonorrhoeae)、ヘモフィ ルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)およびアクチノバシラス・プ リウロニュウモニエ(Actinobacilluspleuropneumoniae)のLbpおよびTbpタンパ ク質と相同な領域を有していた。完全なtbpB遺伝子を T7 発現系で発現させたと ころ、得られた組換えTbpBタンパク質は機能的ウシトランスフェリン結合特性を 保有していた。組換えTbpBを入手することができたおかげで、本発明者らは、反 芻動物トランスフェリンに対するその特異性、ウシトランスフェリンのCおよび Nの両末端ローブに対するその結合能、およびこのタンパク質の鉄担持形態に対 するその優先性を示すことができた。 また、パスツレラ・ヘモリチカTbpAおよびTbpBを含有する製剤での予防接種が 実験的ウシ肺パスツレラ症に対して有意な防御を付与することを本発明者らが見 出したことは、意義深いことである。TbpBの2回量の免疫も防御を付与した。 大まかに言えば、本発明は、TbpAタンパク質をコードする配列を含んでなる精 製され単離された核酸分子、またはTbpBタンパク質をコードする配列を含んでな る精製され単離された核酸分子を提供する。TbpAおよびTbpBタンパク質は、反芻 動物トランスフェリンに結合し、その反芻動物宿主におけるパスツレラ・ヘモリ チカによる受容体媒介性の鉄の獲得において機能する。TbpAタンパク質は約l0Ok Daのサイズであり、TbpBは約60kDaのサイズである。 本発明の1つの実施態様においては、この精製され単離された核酸分子は、図 22 もしくは配列番号2に示すアミノ酸配列を有するTbpAタンパク質をコードす る配列、または図 24 もしくは配列番号4に示すアミノ酸配列を有するTbpBタン パク質をコードする配列を含む。本発明の好ましい実施態様においては、この精 製され単離された核酸分子は、図 21 もしくは配列番号1に示す核酸配列を有す る、TbpAタンパク質をコードする配列、または図 23 もしくは配列番号3に示す 核酸配列を有する、TbpBタンパク質をコードする配列を含む。 また、本発明は、(a)TbpAまたはTbpBに特有の該タンパク質のトランケート化 体、TbpAもしくはTbpBの類似体またはホモログまたはそれらのトランケート化体 (本発明ではそれぞれ「TbpA関連タンパク質」または「TbpB関連タンパク質」と 総称する)をコードする配列を含んでなる核酸分子;(b)図 22 および24に示す アミノ酸配列を有するそれぞれTbpAもしくはTbpB、またはTbpAもしくはTbpA関連 タンパク質をコードする完全長核酸と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダ イズする配列を含んでなる核酸分子;(c)図 21 もしくは配列番号1または図 23 もしくは配列番号3に示す配列を有するそれぞれtbpAまたはtbpB遺伝子の完全 長核酸配列と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする配列を含んでな る核酸分子を意図する。 本発明はさらに、相補的な核酸塩基配列と水素結合した本発明の核酸分子を含 有する精製され単離された二本鎖核酸分子を意図する。 本発明の核酸分子は、適当な発現ベクター、すなわち、挿入されたコード配列 の転写および翻訳に必要な要素を含有するベクター中に挿入することができる。 したがって、本発明の核酸分子ならびに該核酸分子に作動的に結合した1以上の 転写および翻訳要素を含む、宿主細胞の形質転換に適合した組換え発現ベクター を構築することができる。 該組換え発現ベクターを使用して、TbpAおよび/またはTbpB、あるいはTbpま たはTbpB関連タンパク質を発現する形質転換宿主細胞を生産することができる。 したがって、本発明はさらに、本発明の組換え分子を含有する宿主細胞を提供す る。 本発明はさらに、本発明の精製され単離された核酸分子を使用することによる 新規TbpAまたはTbpB、およびTbpAまたはTbpB関連タンパク質の製造法を提供する 。1つの実施態様においては、TbpAまたはTbpBの製造法であって、(a)本発明 の組換え発現ベクターを宿主細胞中に導入し、(b)未形質転換宿主細胞から形質 転換宿主細胞を選択し、(c)TbpAまたはTbpBの発現を許容する条件下で、選択さ れた形質転換宿主細胞を培養し、(d)該組換えTbpAまたはTbpBを単離することを 含んでなる製造法を提供する。 本発明は、大まかに言ってさらに、好ましくは本発明の組換え発現ベクターを 含有する宿主細胞を培養することにより得られた、反芻動物トランスフェリンに 結合する精製され単離されたTbpAまたはTbpBを意図する。本発明の1つの実施態 様においては、それぞれ図 22 または図 24 に示すアミノ酸配列を有する精製さ れたTbpAまたはTbpBを提供する。本発明はまた、該タンパク質のトランケート化 体、ならびに該タンパク質の類似体、ホモログおよびイソ型およびそれらのトラ ンケート化体(すなわち、「TbpAまたはTbpB関連タンパク質」)を含む。 本発明のTbpAおよびTbpB、またはTbpAおよびTbpB関連タンパク質を、タンパク 質などの他の分子と結合させて、融合タンパク質を製造することができる。これ は、例えば、N末端またはC末端融合タンパク質の合成により行なうことができ る。 本発明はさらに、本発明のTbpAもしくはTbpB、またはTbpAもしくはTbpB関連タ ンパク質のエピトープに対する特異性を有する抗体を意図する。検出可能な物質 で抗体を標識することができ、該抗体を使用して、サンプル中の本発明のTbpAも しくはTbpB、またはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質を検出することができる。 また、本発明の核酸分子に特有の、したがって本発明のTbpAもしくはTbpBまた はTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に特有のヌクレオチドプローブの構築が、本 発明により可能となる。したがって、本発明はまた、TbpAもしくはTbpBまたはTb pAもしくはTbpB関連タンパク質をコードする配列を含んでなるプローブに関する 。該プローブは、例えば、検出可能な物質で標識することができ、それを使用し て、TbpAまたはTbpBの特性の1以上を示すタンパク質をコードするヌクレオチド 配列をヌクレオチド配列混合物から選択することができる。 本発明はさらに、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質ま たはそれらの活性化型に対する結合能を有する物質を同定する方法であって、Tb pAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはそれらの活性化型 と、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはそれらの活 性化型に潜在的に結合しうる少なくとも1つの物質とを、該物質とTbpAもしくは TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはそれらの活性化型との複合体 の形成を許容する条件下で反応させ、複合体に関して、遊離物質に関して、非複 合化TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはそれらの活 性化型に関してアッセイすることを含んでなる方法を提供する。TbpAもしくはTb pBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に潜在的に結合しうる物質には、トラ ンスフェリン(特に反芻動物トランスフェリン)、トランスフェリンの類似体およ び誘導体、ならびにTbpAおよびTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に対 する抗体が含まれる。 さらに、本発明は、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質 と、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはそれらの活 性化型に結合する物質との相互作用のアゴニストまたはアンタゴニストの存在に 関して培地をアッセイする方法を提供する。1つの実施態様において、該方法は 、既知濃度のTbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に、TbpA もしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に対する結合能を有する物 質および推定アゴニストまたはアンタゴニスト物質を、該物質とTbpAもしくはTb pBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパ ク質との複合体の形成を許容する条件下で与え、複合体に関して、遊離物質に関 して、非複合化TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に関し てアッセイすることを含む。本発明の好ましい実施態様においては、該物質は、 反芻動物トランスフェリン、その類似体、誘導体または一部、またはTbpAもしく はTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に対する抗体である。 また、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質の発現に影響 を及ぼす物質を、該物質の存在下および不存在下で細胞中の本発明のTbpAもしく はTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質のパターンおよびレベルを比較す ることによる本発明の方法を用いて同定することができる。 本発明の方法を用いて同定した物質は、パスツレラ・ヘモリチカに感染した動 物(特に反芻動物)の治療で使用することができ、パスツレラ・ヘモリチカによ る感染症に罹患しているか、またはパスツレラ・ヘモリチカによる感染体にさら されたウシ、ヒツジ、ヤギなどの反芻動物に投与するための医薬組成物に該物質 を製剤化することができる。 本発明者らは、本発明のTbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパ ク質が免疫原性であることを示した。したがって、本発明はまた、本発明のTbpA もしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に対する抗体に関する。1 つの実施態様においては、該抗体は、パスツレラ・ヘモリチカの広範囲の血清型 からのTbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に対して交差反 応性である。該抗体は、パスツレラ・ヘモリチカ感染症の診断および治療に使用 することができ、例えば、パスツレラ・ヘモリチカが引き起こす反芻動物におけ る疾患を治療または予防するための受身免疫において使用することができる。 本発明はさらに、本発明のTbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タン パク質を単独でまたは組合せて含んでなるワクチン組成物を含む。本発明はさら に、そのようなワクチンの治療的に有効な量を投与することにより、パスツレラ ・へモリチカによる感染に対して宿主(好ましくは反芻動物宿主)を免疫する方 法を含む。本発明者らは、ある範囲の反芻動物からのパスツレラ・ヘモリチカの 種々の株が、ある範囲の反芻動物トランスフェリンに結合しそれを利用 する能力を有することを示した。したがって、本発明のワクチン組成物は、広範 囲のパスツレラ・ヘモリチカの生物型および血清型による感染に対してヒツジ、 ウシ、ヤギなどの或る範囲の反芻物を免疫するのに適した広域スペクトルのワク チンとして有用であると考えられる。 本発明はまた、パスツレラ・ヘモリチカに対する反芻動物の免疫応答を増強し たりパスツレラ・ヘモリチカ感染症を治療するための組換えウイルスベクターワ クチン中での、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質をコー ドする本発明の核酸分子の使用を意図する。組換えウイルスベクターは、当該技 術分野で公知の方法を用いて構築することができる。 本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかであろう 。しかしながら、本発明の精神および範囲内での種々の変更および修飾は、この 詳細な説明から当業者に明らかであるため、詳細な説明および具体的な実施例は 、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、単に例示として記載されている にすぎないと理解されるべきである。 〔図面の簡単な説明〕 以下、図面に関して本発明を説明する。 図1は、PCR 法(a)、ならびにTbp1プライマーおよび左側プライマーにより増 幅された0.8kbのPCR産物(b)の略図である。 図2は、tbpプラスミド9、10および 482 の制限エンドヌクレアーゼ地図であ る。 図3は、パスツレラ・ヘモリチカtbpAおよびtbpBの予備ヌクレオチド配列であ る。 図4は、パスツレラ・ヘモリチカtbpB(PHTBPB)のプロモーター領域である。 図5は、ClaIで消化しtbpA遺伝子でプローブしたパスツレラ・ヘモリチカケノ ムDNAのサザンハイブリダイゼーションのブロットである。 図6は、HindIIIおよびBamHIで消化しtpbA遺伝子でプローブしたパスツレラ・ ヘモリチカゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーションのブロットであ る。 図7は、種々の制限エンドヌクレアーゼで消化しパスツレラ・ヘモリチカtbpA 遺伝子でプローブしたエイ・スイス(A.suis)37114、エイ・プリゥロニュウモ ニエ(A.pleuropneumoniae) CM5およびショープ4074のゲノムDNAのサザンハ イブリダイゼーションのブロットである。 図8は、パスツレラ・ヘモリチカ(P.haemolyitca)A1、エイ・プリゥロニュ ウモニエ(A.pleuropneumoniae)CM5、ショープ(Shope)4074およびエイ・スイ ス(A.suls)37114におけるtbpA、tbpB領域の制限地図である。 図9は、パスツレラ・ヘモリチカ A1のTbp1 (PHTBP)およびエヌ・ゴノレエ (N.gonorrhoeae)およびエヌ・メニンジティディス(N.meningitidis)のTbp1 (それぞれNGTBP1およびNM1)のアミノ酸の整列を示す。 図 10 は、パスツレラ・ヘモリチカA1のTbp1 (PHTBP)およびエイ・プリゥロ ニュウモニエ(A.pleuropneumoniae)血清型1および7TfbAタンパク質(APL、A PL7)のアミノ酸の整列を示す。 図 11 は、パスツレラ・ヘモリチカA1のTbp1 (PHTBP)、およびエヌ・ゴノレエ (N.gonorrhoeae)およびエヌ・メニンジティディス(N.meningitidis)のTbp 1(それぞれNGTBP1およびNM1)、およびエイ・プリゥロニュウモニエ(A.pleurop neumoniae)血清型1および7TfbAタンパク質(APL、APL7)の間の遺伝的関連性 を示すデンドログラムである。 図 12 は、パスツレラ・ヘモリチカA1 Tbp1および大腸菌(E.coli)のTonB依 存性外膜受容体のペプチドの整列である。 図 13 は、パスツレラ・ヘモリチカTbp1タンパク質のT7分析を示すブロットで ある。 図 14 は、パスツレラ・ヘモリチカA1および大腸菌(E.coli)HB101からの内 膜および外膜のウエスタン免疫ブロットである。 せた血清を用いるパスツレラ・ヘモリチカA1および大腸菌(E.coli)HB101から の内膜および外膜のウエスタン免疫ブロットである。 図 16 は、鉄欠損細菌膜による標識トランスフェリンの結合を示すブロットで ある。 図 17 は、トランスフェリンアフィニティーカラムによる受容体タンパク質の 単離を示す免疫ブロットである。 図 18 は、ウシ、ヒツジおよびヤギからのパスツレラ・ヘモリチカの種々の血 清型からの受容体タンパク質の免疫学的分析を示す免疫ブロットである。パネル Aは抗TbpB血清によるものであり、パネルBは抗TbpA血清によるものである。 図 19 は、無傷細胞による標識トランスフェリンおよび抗受容体抗体の結合を 示すブロットである。 図 20 は、パスツレラ・ヘモリチカtbpオペロン(Top)およびパスツレラ・ヘモ リチカtbpオペロン(Top)の地図および調節配列(下部)である。tbpAおよびtb pBは、それぞれTbpAおよびTbpBをコードする遺伝子である。pは、tbpBに先行し 下部に−35 および−10 部位と表示されている推定プロモーター領域である。 図 21 および配列番号1は、パスツレラ・ヘモリチカ株h196からのtbpA遺伝子 のDNA配列を示す。 図 22 および配列番号2は、パスツレラ・ヘモリチカ株h196からのTbpAタンパ ク質の推定アミノ酸配列を示す。 図 23 および配列番号3は、パスツレラ・ヘモリチカ株h196からのtbpB遺伝子 のDNA配列を示す。 図 24 および配列番号4は、パスツレラ・ヘモリチカ株h196からのTbpBタンパ ク質の推定アミノ酸配列を示す。 図 25 は、固相HRP-Tf結合アッセイの結果を示すブロットである。 図 26 は、銀染色(パネルA)およびウエスタンブロット(パネルB)研究( パスツレラ・ヘモリチカ血清型A1からの抗TbpAおよび抗TbpB抗血清によるもの) を示すブロットである。 図 27 は、パスツレラ・ヘモリチカ血清型A1からの単一特異性抗TbpAおよび抗 TbpB抗血清を用いる無傷細胞に対する交差反応性研究の結果を示すブロットであ る。 図 28 は、パスツレラ・ヘモリチカおよびパスツレラ・トレハロシ株からのPC R増幅されたtbpA(パネルA)およびtbpB(パネルB)遺伝子の制限エンドヌク レアーゼ消化パターンを有するゲルを示す。 図 29 は、tbpA(パネルA)およびtbpB(パネルB)遺伝子の可変セグメント のPCR増幅を示すゲルである。 〔発明の詳細な説明〕 本明細書の全体にわたり、アミノ酸残基に関する以下の標準的な略語を使用す る:A、Ala−アラニン;C、Cys−システイン;D、Asp−アスパラギン酸;E 、Glu−グルタミン酸;F、Phe−フェニルアラニン;G、Gly-グリシン;H、Hi s−ヒスチジン;I、Ile−イソロイシン;K、Lys−リシン;L、Leu−ロイシン ;M、Met−メチオニン;N、Asn−アスパラギン;P、Pro−プロリン;Q、Gln −グルタミン;R、Arg−アルギニン;S、Ser−セリン;T、Thr−トレオニン ;V、Val−バリン;W、Trp−トリプトファン;Y、Tyr−チロシン;およびp. Y.、P.Tyr−ホスホチロシン。 I.本発明の核酸分子 本明細書中で既に説明したとおり、本発明は、TbpAタンパク質をコードする配 列を含んでなる精製され単離された核酸分子、またはTbpBタンパク質をコードす る配列を含んでなる精製され単離された核酸分子を提供する。「単離され精製さ れた」なる語は、細胞物質または培地(組換えDNA技術で製造する場合)また は化学前駆体もしくは他の化学物質(化学合成する場合)を実質的に含有しない 核酸を意味する。また、「単離され精製された」核酸は、該核酸が由来する核酸 に天然で隣接する配列(すなわち、該核酸の5'および3'末端に位置する配列) を含有しない。「核酸」なる語は、DNAおよびRNAを含む意であり、二本鎖 または一本鎖のいずれであってもよい。 本発明の1つの実施態様においては、図 22 または配列番号2に示すアミノ酸 配列を有するTbpAをコードする核酸分子を提供する。もう1つの実施態様におい ては、図 24 または配列番号4に示すアミノ酸配列を有するTbpBをコードする核 酸分子を提供する。本発明の好ましい実施態様においては、核酸分子は、図 21 または配列番号1に示すヌクレオチド配列、あるいは図 23 または配列番号 3に示すヌクレオチド配列を含んでなるDNAである。 本発明は、以下の核酸と相補的な核酸配列を含む:(a)図 22 または配列番号 2に示すアミノ酸配列を有するTbpAをコードする核酸、(b)図 24 または配列番 号4に示すアミノ酸配列を有するTbpBをコードする核酸、(c)図 21 もしくは配 列番号1または図 23 または配列番号3に示す配列を有する核酸。好ましくは、 該配列は、図 21 もしくは配列番号1または図 23 もしくは配列番号3に示す完 全長核酸配列と相補的である。 本発明はまた、図 21 もしくは配列番号1または図 23 もしくは配列番号3に 示す核酸配列と実質的な配列同一性または相同性を有する核酸分子、あるいはそ れぞれ図 22 もしくは配列番号2または図 24 もしくは配列番号4に示すアミノ 酸配列と実質的な相同性を有するTbpAまたはTbpBタンパク質をコードする核酸分 子を含む。相同性は、配列間の配列類似性を意味し、比較のために整列しうる各 配列中の位置を比較することにより決定することができる。比較する配列中の位 置が、同じヌクレオチド塩基またはアミノ酸で占められる場合には、該分子はマ ッチしているか、あるいは該配列により共有される同じ位置を有する。 実質的な相同性を有する核酸配列には、(a)図 21 または配列番号1に示す核 酸配列と少なくとも40〜60%、好ましくは60〜80%、最も好ましくは80〜90%の 同一性を有する核酸配列、および(b)図 23 または配列番号3に示す核酸配列 と少なくとも 40〜60%、好ましくは 60〜80%、最も好ましくは 80〜90%の同 一性を有する核酸配列が含まれる。 本発明のもう1つの態様は、ハイブリダイゼーション条件下、好ましくは厳密 なハイブリダイゼーション条件下で本発明の核酸分子とハイブリダイズする核酸 分子、および少なくとも15ヌクレオチド塩基を有するその断片を提供する。DN Aハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシー条件は、当業者 に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons, N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6に記載されている。例えば、約 45℃で 6.0×塩化ナ トリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、ついで 50℃で 2.0×SSC の洗浄を行なう ことができる。該ストリンジェンシーは、洗浄工程で用いる条件に基づき選択す る ことができる。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃で約 0.2×SSC の高ス トリンジェンシーから選択することができる。また、洗浄工程の温度は、約65℃ の高ストリンジェンシー条件であってもよい。 TbpAまたはTbpBの活性を有するタンパク質をコードするが、遺伝暗号の縮重の ためにそれぞれ図 21 もしくは配列番号1または図 23 もしくは配列番号3に示 す核酸配列と異なる配列を有する単離され精製された核酸分子も、本発明の範囲 内に含まれる。そのような核酸は、機能的に等価なTbpAまたはTbpBタンパク質を コードするはずであるが、遺伝暗号の縮重のため、それぞれ図21もしくは配列番 号1または図 23 もしくは配列番号3中の配列と異なる配列を有するはずである 。 DNAを含んでなる本発明の単離され精製された核酸分子は、図 21 もしくは 配列番号1または図 23 もしくは配列番号3に示す核酸配列の全部または一部に 基づく標識核酸プローブを調製し、該標識核酸プローブを使用して適当なDNA ライブラリー(例えば、cDNAまたはゲノムDNAライブラリー)をスクリー ニングすることにより単離することができる。cDNAまたはゲノムDNAライ ブラリーのスクリーニングにより単離した核酸は、標準的な方法により配列決定 することができる。 また、DNAである本発明の単離され精製された核酸分子は、ポリメラーゼ連 鎖反応(PCR)法およびcDNAまたはゲノムDNAを用いて、TbpAまたはTbpBを コードする核酸を選択的に増幅することにより単離することができる。図 21も しくは配列番号1または図 23 もしくは配列番号3に示す核酸配列から、PCRで 使用するための合成オリゴヌクレオチドプライマーを設計することが可能である 。これらのオリゴヌクレオチドプライマーおよび標準的なPCR増幅法を用いて、 cDNAまたはゲノムDNAから核酸を増幅することができる。このようにして 増幅した核酸を、適当なベクター中にクローニングし、DNA配列分析により特 徴づけることができる。cDNAは、種々の方法(例えば、chirgwin ら,Bioch emistry,18,5294-5299(1979)のグアニジニウム−チオシアナート抽出法)を用 いて全細胞mRNAを単離することによりmRNAから調製することができると 理解される。ついで、逆転写酵素(例えば、Gibco/BRL(Bethesda,MD) から入手可能なモロニーMLV逆転写酵素、またはSeikagaku America,Inc.(St.Pet ersburg,FL)から入手可能なAMV逆転写酵素)を用いてmRNAからcDNAを 合成する。 RNAである本発明の単離され精製された核酸分子は、TbpAまたはTbpBをコー ドするcDNAを、該cDNAの転写を許容する適当なベクター中にクローニン グして、それぞれTbpAまたはTbpB活性を示すタンパク質をコードするRNA分子 を産生させることにより単離することができる。 また、本発明の核酸分子は、標準的な方法を用いて化学合成することができる 。ポリデオキシヌクレオチドを化学合成する種々の方法が公知であり、例えば、 ペプチド合成と同様、商業的に入手可能なDNA合成装置で完全に自動化されて いる固相合成などが挙げられる(例えば、Itakura ら,米国特許第 4,598,049 号 ;Caruthers ら,米国特許第 4,458,066 号;およびItakura,米国特許第 4,401,7 96号および第 4,373,071 号を参照されたい)。 ある特定の核酸分子が、TbpAまたはTbpB活性を有するタンパク質をコードして いるか否かの判定は、標準的な方法により適当な宿主細胞中で該DNAを発現さ せ、その発現されたタンパク質が反芻動物トランスフェリンに結合する及び/又 は鉄の取込みを媒介する能力を試験することにより行なうことができる。そのよ うな活性を有するcDNAは、ジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーショ ンまたはマクサム・ギルバート化学配列決定法などの標準的な方法により配列決 定して、該核酸配列および該コード化タンパク質の推定アミノ酸配列を決定する ことができる。 tbpAまたはtbpBの調節要素は、通常の方法を用いて同定することができる。該 要素の機能は、これらの要素を使用して、該要素に作動的に結合したレポーター 遺伝子を発現させることにより確認することができる。これらの構築物は、標準 的な方法を用いて培養細胞中に導入することができる。 本発明の核酸分子の配列を、転写のためのその正常の提示に対して逆位とする ことにより、アンチセンス核酸分子を得ることができる。アンチセンス核酸分子 は、当該技術分野で公知の化学合成および酵素連結反応により構築することがで きる。 II.組換えTbpAおよびTbpB 本発明はまた、トランスフェリン結合活性を示すパスツレラ・ヘモリチカA1か らの精製され単離されたTbpAまたはTbpBタンパク質を意図する。本発明の1つの 実施態様においては、図 22 または配列番号2に示すアミノ酸配列を有する精製 されたTbpAタンパク質を提供する。本発明のもう1つの実施態様においては、図 24 または配列番号4に示すアミノ酸配列を有する精製されたTbpBタンパク質を 提供する。組換えTbpBは、天然の受容体複合体とは異なり、トランスフェリンの NローブおよびCローブ上の結合決定基を認識する。 本明細書中に記載のとおり、本発明のタンパク質は、完全長TbpAまたはTbpBア ミノ酸配列に加えて、TbpAまたはTbpBのトランケート化体、ならびにTbpAまたは TbpBの類似体およびホモログおよびそれらのトランケート化体を含む。トランケ ート化タンパク質は、少なくとも3アミノ酸残基を有するペプチドを含んでいて もよい。該トランケート化タンパク質は、アミノ基(−NH2)、疎水性基(例えば 、カルボベンゾキシル、ダンシルまたはT−ブチルオキシカルボニル)、アセチ ル基、9−フルオレニルメトキシ−カルボニル(PMOC)基、または巨大分子、例 えば脂質−脂肪酸結合体、ボリエチレングリコール、炭水化物など(これらに限 定されるものではない)をアミノ末端に有していてもよい。該トランケート化タ ンパク質は、カルボキシル基、アミノ基、T−ブチルオキシカルボニル基、また は巨大分子、例えば脂質−脂肪酸結合体、ポリエチレングリコール、炭水化物な ど(これらに限定されるものではない)をカルボキシ末端に有していてもよい。 本発明のタンパク質はまた、それぞれ図 22 もしくは配列番号2または図 24 もしくは配列番号4に示すTbpAまたはTbpBの類似体、および/または本明細書中 に記載するそれらのトランケート化体を含んでいてもよく、これらは、1以上の アミノ酸の置換、挿入および/または欠失を含有するTbpAまたはTbpB(図22 もし くは配列番号2または図 24 もしくは配列番号4)を含んでいてもよいが、これ らに限定されるものではない。アミノ酸の置換は、同類または非同類な性質のも のとなることが可能である。同類アミノ酸置換は、TbpAまたはTbpBアミノ酸配列 の1以上のアミノ酸を、類似した電荷、サイズおよび/または疎水性特 性のアミノ酸で置換することを含む。同類置換だけを行なうと、得られる類似体 は、TbpAまたはTbpBと機能的に等価となるはずである。非同類置換は、TbpAまた はTbpBアミノ酸配列の1以上のアミノ酸を、非類似の電荷、サイズおよび/また は疎水性特性を有する1以上のアミノ酸で置換することを含む。 TbpAまたはTbpB(図 22 もしくは配列番号2または図 24 もしくは配列番号4 )中には、1以上のアミノ酸の挿入を導入することができる。アミノ酸の挿入は 、単一のアミノ酸残基または2〜15 アミノ酸長の連続的なアミノ酸よりなるも のであってもよい。 欠失は、TbpAまたはTbpB(図 22 もしくは配列番号2または図 24 もしくは配 列番号4)の配列から1以上のアミノ酸または分離した部分を除去することより なるものであってもよい。欠失したアミノ酸は、連続的であっても非連続的であ ってもよい。欠失突然変異を有する得られる類似体の最低限の長さは、約 10ア ミノ酸、好ましくは100アミノ酸である。 本発明のタンパク質はまた、TbpAまたはTbpB(図 22 もしくは配列番号2また は図 24 もしくは配列番号4)のホモログ、および/または本明細書中に記載す るそのトランケート化体を含む。そのようなTbpAまたはTbpBホモログは、TbpAま たはTbpBを得るのに使用されるプローブと厳密なハイブリダイゼーション条件下 (本明細書中の厳密なハイブリダイゼーション条件の考察を参照されたい)でハ イブリダイズする他種からのTbpAまたはTbpB領域のアミノ酸配列を含むアミノ酸 配列を有するタンパク質である。 実質的な相同性を有するタンパク質配列には、図 22 (または配列番号2)また は図 24 (または配列番号4)に示すアミノ酸配列と少なくとも40〜60%、好まし くは60〜80%、最も好ましくは80〜90%の同一性を有するタンパク質配列が含ま れる。 本発明はまた、本発明のタンパク質のイソ型を意図する。イソ型は、本発明の タンパク質と同じ数および種類のアミノ酸を含有するが、イソ型は、異なる分子 構造を有する。本発明で意図するイソ型は、本明細書中に記載する本発明のタン パク質と同じ特性を有するものである。 本発明はまた、選択されたタンパク質または選択マーカータンパク質(以下を 参照されたい)と結合して融合タンパク質を形成しているTbpA、TbpBまたはTbpA もしくはTbpB関連タンパク質を含む。さらに、TbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTb pB関連タンパク質の免疫原性部分が本発明の範囲内に含まれる。 本発明のTbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質は、組換えDNA 法により製造する。したがって、本発明のTbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関 連タンパク質をコードする配列を有する本発明の核酸分子を、該タンパク質の優 れた発現を保証する適当な発現ベクター中に公知方法で導入することができる。 該発現ベクターが「宿主細胞の形質転換に適している」とは、該発現ベクターが 、本発明の核酸分子と、発現に使用する宿主細胞に基づき選択され該核酸分子に 作動的に結合した調節配列とを含有することを意味する。作動的に結合したとは 、該核酸が、該核酸の発現を許容する態様で調節配列に結合していることを意味 する。 したがって、本発明は、本発明の核酸分子またはその断片と、該挿入タンパク 質配列の転写および翻訳に必要な調節配列とを含有する本発明の組換え発現ベク ターを意図する。適当な調節配列は、細菌、真菌、ウイルス、哺乳動物または昆 虫の遺伝子を含む種々の起源に由来するものであってもよい。適当な調節配列の 選択は、以下に記載するとおりに選択する宿主細胞に左右され、そのような選択 は当業者であれば容易に行なうことができる。 本発明の組換え発現ベクターは、本発明の組換え分子で形質転換またはトラン スフェクトされた宿主細胞の選択を促進する選択マーカー遺伝子を含有していて もよい。選択マーカー遺伝子としては、例えば、ある薬物に対する耐性を付与す るタンパク質またはβ−ガラクトシダーゼをコードする遺伝子が挙げられる。 また、組換え発現ベクターは、組換えタンパク質の発現を増強したり、組換え タンパク質の溶解性を増強したり、標的組換えタンパク質の精製を援助したりす る(アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することによる)融合部分 をコードする遺伝子を含有していてもよい。 組換え発現ベクターを宿主細胞中に導入して、形質転換宿主細胞を得ることが できる。「形質転換宿主細胞」なる語は、本発明の組換え発現ベクターで形質転 換またはトランスフェクトされた原核および真核細胞を包含する意である。「形 質転換された」、「トランスフェクトされた」、「形質転換」および「トランス フェクション」なる語は、当該技術分野で公知の多数の可能な方法の1つにより 細胞中へ核酸(例えば、ベクター)を導入することを包含する意である。宿主細 胞を形質転換およびトランスフェクトする適当な方法は、Sambrook ら(Molecul arCloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory pres s(1989))および他の実験用教科書に記載されている。 また、本発明のタンパク質は、固相合成(Merrifield,1964,J.Am.Chem.Assoc. 85:2149-2154)、均一溶液中での合成(Houbenweyl,1987,Methods of OrganicChe mistry,E.Wansch編,Vol.IおよびII,Thieme,Stuttgart)などのタンパク質化学 でよく知られている方法を用いる化学合成により製造することができる。 タンパク質などの他の分子に結合した本発明のTbpA、TbpBまたはTbpAもしくは TbpB関連タンパク質を含むN末端またはC末端融合タンパク質は、組換え技術に より、TbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質のN末端またはC末端 と所望の生物機能を有する選択されたタンパク質または選択マーカータンパク質 の配列とを融合させることにより製造することができる。得られた融合タンパク 質は、選択されたタンパク質またはマーカータンパク質と融合したTbpA、TbpBま たはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質を含有する。 III.本発明の適用 本発明の核酸分子を使用すれば、サンプル中の核酸配列の検出で使用するため のヌクレオチドプローブを構築することが当業者において可能となる。適当なプ ローブには、それぞれ図 22 および配列番号2または図 24 および配列番号4に 示すTbpAまたはTbpBタンパク質の領域からの少なくとも6個の連続的なアミノ酸 をコードする核酸配列に基づく核酸分子が含まれる。例えば、適当なプローブは 、図 21 および配列番号1に示すTbpAの配列のヌクレオチド番号 1741〜2784 か ら選択されるTbpAの核酸分子を含んでいてもよい。ヌクレオチドプローブは、適 当なシグナルを与え十分な半減期を有する放射性標識(例えば、32P、3H、14 Cなど)などの検出可能な物質で標識することができる。使用することができる 他の検出可能な物質には、特異的な標識抗体により認識される抗原、蛍光化合物 、酵素、標識抗原に特異的な抗体、および発光化合物が含まれる。検出す ベきヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションの速度およびプローブの結合 およびハイブリダイゼーションに利用可能なヌクレオチドの量を考慮して、適当 な標識を選択することができる。標識されたプローブは、Sambrook ら,1989,Mo lecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)に一般的に記載されているニト ロセルロースフィルター、ナイロンメンブレンなどの固相支持体上で核酸とハイ ブリダイズさせることができる。核酸プローブを使用して、TbpA、TbpBまたはTb pAもしくはTbpB関連タンパク質をコードする遺伝子(好ましくはヒト細胞中のも の)を検出することができる。 本発明のTbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質を使用して、該タ ンパク質に特異的な抗体を製造することができる。該抗体の製造には、通常の方 法を使用することができる。ポリクローナル抗体を製造するためには、哺乳動物 (例えば、ウサギ、マウスまたはラット)を、TbpA、TbpB、それらのタンパク質 の断片またはそれらの両者の混合物で免疫することができる。該タンパク質の免 疫原性は、該タンパク質混合物にアジュバントを加えたり、あるいは該タンパク 質を免疫原性担体に結合させることにより増強することができる。担体には、例 えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(B SA)が含まれる。 モノクローナル抗体を製造するためには、動物(前記のとおり免疫したもの) から抗体産生細胞(リンパ球)を収穫し、標準的な体細胞融合法により骨髄腫細 胞と融合させ、それによりこれらの細胞を不死化し、ハイブリドーマ細胞を得る ことができる。そのような方法は当該技術分野でよく知られている[例えば、Ko hlerおよびMilsteinが最初に開発したハイブリドーマ法(Nature 256,495-497(19 75))、および他の方法、例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozborら,Immuno l.Today4,72(1983))、ヒトモノクローナル抗体を得るためのEBVハイブリドーマ 法(Coleら,Monoclonal Antibodies in Cancer Therapy(1985)Allen R.Bliss,I nc.,p.77-96)、組合せ抗体ライブラリーのスクリーニング(Huseら,Science246, 1275(1989))]。該ペプチドと特異的反応性の抗体を製造するために、ハイブリド ーマ細胞を免疫化学的にスクリーニングすることができ、該モノクローナル抗体 を単離することができる。したがって、本発明はまた、本明細 書中に記載するTbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に対する特異 性を有するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を意図する。 本発明で用いる「抗体」なる語は、TbpAまたはTbpBの活性を有するタンパク質 またはそのペプチドと特異的に反応する抗体断片も包含する意である。抗体は、 通常の方法を用いて断片化することができ、前記と同様にして有用性に関して該 断片をスクリーニングすることができる。例えば、ペプシンで抗体を処理するこ とにより、F(ab')2断片を得ることができる。得られたF(ab')2断片を処理してジ スルフィド架橋を還元し、Fab'断片を得ることができる。2以上のF(ab')2また はFab'断片を融合させることにより、多価抗体を製造することができる。例えば 、多価抗体は、TbpAに特異的な1個のF(ab')2断片と、TbpBに特異的な1個のF(a b')2断片とを含有していてもよい。 キメラ抗体誘導体、すなわち、非反芻動物の可変領域と反芻動物の定常領域と を併せ持つ抗体分子も、本発明の範囲内に含まれると意図される。キメラ抗体分 子には、例えば、ウシ定常領域を有する、マウス、ラットまたは他の種の抗体か らの抗原結合ドメインが含まれることが可能である。通常の方法を用いて、本発 明の新規Tbp遺伝子の遺伝子産物を認識する免疫グロブリン可変領域を含有する キメラ抗体を製造することができる(例えば、Morrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.U .S.A.81,6851(1985);Takedaら,Nature 314,452(1985);Cabillyら,米国特許第4,8 16,567号; Bossら,米国特許第4,816,397号;Tanaguchiら,欧州特許公開EP17149 6;欧州特許公開0173494を参照されたい)。 TbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質と特異的反応性の抗体また はその誘導体(例えば、酵素結合体または標識誘導体)をプローブとして使用し て、組織、細胞などのサンプル中のTbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タン パク質を検出することができる。例えば、TbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関 連タンパク質の抗原決定基と該抗体との結合相互作用に基づく公知の任意のイム ノアッセイにおいて、それらを使用することができる。そのようなアッセイとし ては、例えば、放射線免疫検定法、酵素免疫検定法(例えば、ELISA)、免疫蛍光 、免疫沈降、ラテックス凝集、赤血球凝集および組織 化学試験が挙げられる。したがって、該抗体を使用して、サンプル中のTbpA、Tb pBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質を検出し定量することができる。1つ の実施態様においては、該抗体は、パスツレラ・ヘモリチカの広範囲の血清型か らのTbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に対して交差反応性であ る。該抗体をプローブとして使用する場合には、通常、当該技術分野で公知の方 法により該抗体を標識する。 また、本発明の抗体は、パスツレラ・ヘモリチカ感染症の診断および治療に使 用することができる。1つの実施態様においては、パスツレラ・ヘモリチカが引 き起こす反芻動物における疾患を治療または予防するための受身免疫において、 該抗体を使用することができる。そのような場合には、抗体または多価抗体の混 合物を使用することができる。 本発明はさらに、TbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはそ の活性化型に対する結合能を有する物質を同定する方法であって、TbpA、TbpBま たはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはその活性化型と、TbpA、TbpBまたは TbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはその活性化型に潜在的に結合しうる少な くとも1つの物質とを、該物質とTbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパ ク質またはその活性化型との複合体の形成を許容する条件下で反応させ、複合体 に関して、遊離物質に関して、非複合化TbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連 タンパク質またはその活性型に関してアッセイすることを含んでなる方法を提供 する。TbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に潜在的に結合しうる 物質には、トランスフェリン(特に反芻動物トランスフエリン)、トランスフェリ ンの類似体および誘導体、ならびにTbpA、TbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タン パク質に対する抗体が含まれる。 さらに、本発明は、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質 と、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質またはそれらの活 性化型に結合する物質との相互作用のアゴニストまたはアンタゴニストの存在に 関して培地をアッセイする方法を提供する。1つの実施態様において、該方法は 、既知濃度のTbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に、TbpA もしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タン パク質に対する結合能を有する物質および推定アゴニストまたはアンタゴニスト 物質を、該物質とTbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質との 複合体の形成を許容する条件下で与え、複合体に関して、遊離物質に関して、非 複合化TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に関してアッセ イすることを含む。本発明の好ましい実施態様においては、該物質は、反芻動物 トランスフェリン、その類似体、誘導体または一部、またはTbpAもしくはTbpBま たはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質に対する抗体である。 また、TbpAもしくはTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質の発現に影響 を及ぼす物質を、該物質の存在下および不存在下で細胞中の本発明のTbpAもしく はTbpBまたはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質のパターンおよびレベルを比較す ることによる本発明の方法を用いて同定することができる。 本発明の方法を用いて同定した物質は、パスツレラ・ヘモリチカに感染した動 物(特に反芻動物)の治療で使用することができ、したがって、パスツレラ・ヘ モリチカによる感染症に罹患しているか、またはパスツレラ・ヘモリチカによる 感染体にさらされたウシ、ヒツジ、ヤギなどの反芻動物に投与するための医薬組 成物に該物質を製剤化することができる。 インビボでの投与に適した生物学的に適合した形態で対象に投与するための医 薬組成物に、該物質を製剤化することができる。「インビボでの投与に適した生 物学的に適合した形態」は、治療効果があらゆる毒性効果に勝っている、投与す べき物質の形態を意味する。該物質は、ヒト、動物などの生きた生物に投与する ことができる。本発明の医薬組成物の治療的に有効な量の投与は、所望の結果を 得るのに必要な用量および期間において有効な量と定義される。例えば、物質の 治療的に有効な量は、個体の病態、年齢、性別、体重、および該個体内で所望の 応答を惹起する抗体の能力などの因子によって異なることがある。最適な治療応 答が得られるように投与計画を調整することができる。 注射(皮下、静脈内など)、経口投与、吸入、経皮適用、直腸投与などの簡便 な方法で、該活性物質を投与することができる。投与経路に応じて、酵素、酸お よび該化合物を不活性化しうる他の天然条件の作用から該化合物を保護する物質 で該活性物質をコーティングすることができる。 本明細書中に記載する組成物は、対象に投与しうる医薬上許容される組成物の 製造のための自体公知の方法により製造することができ、該活性物質の有効量を 、医薬上許容される担体と一緒にして混合物とすることができる。適当な担体は 、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(Remington's Pharmaceutica lSciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,USA 1985)に記載されている 。これに基づけば、該組成物は、1以上の医薬上許容される担体または希釈剤と 一緒になった該物質の溶液であって、適当なpHおよび生理的流体と等しい浸透 圧を有する緩衝溶液中に該物質が含有されている溶液を含むが、これらに限定さ れるものではない。 TbpAもしくはTbpBおよび/またはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質を、動物に おける種々の感染症の予防および治療のためのワクチンとして使用することがで きる。本発明で意図する感染症としては、パスツレラ・ヘモリチカが引き起こす 感染症、例えば、ウシにおけるウシ肺炎ならびにヒツジにおける全身疾患および 肺炎などが挙げられる。さらに、本発明のワクチンを、他のパスツレラ種が引き 起こす感染症の予防または治療に使用することができる。一例として、ウシ、ブ タおよび家禽における、呼吸器および全身性感染症(例えば、出血性敗血症およ びウシ乳腺炎)を含むパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)の予 防および治療が挙げられる。該ワクチンを種々の動物、好ましくは反芻動物(例 えば、ウシ、ヒツジ、ヤギなど)へ投与することを意図することができる。 本発明者らは、ある範囲の反芻動物からのパスツレラ・ヘモリチカの種々の株 が、ある範囲の反芻動物トランスフェリンに結合しそれを利用する能力を有する ことを示した。したがって、本発明のワクチン組成物は、広範囲のパスツレラ・ ヘモリチカの生物型および血清型による感染に対してヒツジ、ウシ、ヤギなどの 或る範囲の反芻動物を免疫するのに適した広域スペクトルのワクチンとして有用 であると考えられる。 該ワクチン組成物は、TbpA、TbpBおよび/またはTbpAもしくはTbpB関連タンパ ク質を単独でまたは組合せて含む。該ワクチン組成物は、記載されているタンパ ク質またはその免疫原性断片の任意の組合せを含有していてもよい。さらに、該 組成物は、パスツレラ・ヘモリチカまたは他の微生物の1以上の生物型 または血清型からのTbpタンパク質を含有していてもよい。TbpA、TbpBおよび/ またはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質を含む組換えタンパク質を本発明のワク チン組成物中で使用するのが好ましい。好ましい実施態様においては、本発明の 組換えTbpA、TbpBおよび/またはTbpAもしくはTbpB関連タンパク質の1以上を該 ワクチン組成物中で使用する。本発明のもう1つの実施態様においては、該ワク チン組成物は、精製され単離されたTbpAおよびTbpB、好ましくは、組換えTbpAお よびTbpBよりなる。 本発明のワクチンは、1以上のTbpA、TbpB、TbpA関連タンパク質およびTbpB関 連タンパク質の免疫学的に有効な量を含有する。該タンパク質の最適量は、防御 が要求される感染の性質、防御すべき動物の特徴、および当業者に公知の他の因 子によって異なる。 該ワクチンは、TbpA、TbpB、TbpA関連タンパク質および/またはTbpB関連タン パク質に加えて、当該技術分野で公知の水性希釈剤、懸濁補助剤、緩衝液、賦形 剤、1以上のアジュバントなどの免疫学的に許容される担体を含んでいてもよい 。適当なアジュバントには、水酸化アルミニウム、フロイントアジュバント(完 全または不完全)、細菌、例えばボルデテラ・ペルツッシス(Bordetellapertus sis)または大腸菌(E.coli)または細菌由来物質、免疫刺激複合体(iscom)、油 、サプロニン、オリゴペプチド、乳化パラフィン−EmulsigenTM(MVP Labs,Ralst on,Nebraska)、AL(OH)3含有L80アジュバント(Reheis,New Jersey)、Quil A(Supe rphos)、または当業者に公知の他のアジュバントが含まれる。好ましくは、該ア ジュバントはAL(OH)3含有L80アジュバント(Reheis,NewJersey)およびQuil A (Superphos)である。該ワクチンは、レシピエントにおいてTbpAおよび/また はTbpBタンパク質の徐放を許容するリボソーム系中に導入することができる。ま た、該ワクチンは、アジ化ナトリウム、チメロサール、ゲンタマイシン、ネオマ イシン、ポリミキシンなどの保存剤を含有していてもよい。 該ワクチンは、多価ワクチンであってもよく、さらに、パスツレラ・ヘモリチ カのその他の免疫原、または他の疾患に関連した免疫原を予防的または治療的に 有効な態様で含有していてもよい。例えば、本発明のワクチン組成物は、パスツ レラ・ヘモリチカロイコトキシンおよびTbpBよりなるものであってもよい。 本発明のワクチンは、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、鼻腔内(intranatally) 、経口的などの簡便な方法で投与することができる。 用量は、感染の性質、所望の効果および選択した投与経路、および当業者に公 知の他の因子によって異なる。 本発明はまた、TbpA、TbpB、TbpA関連タンパク質および/またはTbpB関連タン パク質をコードする本発明の核酸分子を含有する組換えウイルスベクターワクチ ンおよび組換え細菌ベクターワクチンの、パスツレラ・ヘモリチカ感染症の治療 および/または予防のための使用を意図する。そのような系では、TbpAまたはTb pBタンパク質が、該ワクチン中の外因性核酸分子からレシピエント内でインビボ で合成される。該組換えウイルスまたは細菌ベクターは、当該技術分野で公知の 方法および本明細書中に記載の方法を用いて構築することができる。細菌系には 、例えば、大腸菌(E.coli)およびサルモネラ(Salmonella)種が含まれる。 以下の非制約的な実施例は、本発明を例示するものである。 実施例 実施例1 以下の材料および方法を、本実施例で説明されている実験で用いた。 <材料および方法>細菌株およびクローニングベクター P. haemolytica菌株は、グエルフ大学獣医微生物および免疫学 (VMI)学科(Department of Veterinary Mic robiology and Immunology (VMI), Univ ersity of Guelph)のP. Shewen博士より提供を受け たが、元来、カリフォルニア大学デイビス校(University of C alifornia, Davis)のE. Biberstein博士、アイ オワ州エイムズ(Ames, Iowa)の米国農務省(USDA)のG. F rank博士、および、英国エジンバラ、モアダム研究所(Moredum R esearch Institute, Edinburgh, U.K.)の W. Donachieから入手したものである。Actinobacillu s suis菌株3714、A. pleuropneumoniae菌株CM 5およびShope 4074は、VMIのS. Rosendal博士によっ て提供された。大腸菌株HB101およびTG−1は、グエルフ大学微生物学科 (Department of Microbiology, Univers ityof Guelph)のR. Loによって提供され、クローニング実験 のための受容菌株として用いられた。大腸菌株JM109 (DE3)は、グエ ルフ大学微生物学科(Department of Microbiology ,University of Guelph)のC. Whitfield博 士によって提供された。 Pasteurella菌株およびActinobacillus菌株は、羊 血寒天培地(sheep's blood agar)上で維持し、脳−心臓輸 液培地(brain heart infusion broth)(BHIB )(ミシガン州デトロイトのディフコ・ラブズ社(Difico Labs, Detroit, Michigan ))中で培養した。大腸菌株HB10 1は、組換えプラスミドを選択するために、100 mg/Lでアンピシリン( ミズーリ州セントルイスのシグマ化学社(Sigma Chemical Co. ,St. Louis, Missouri))を添加したルリア−ベルタイニ (Luria−Bertaini)・プラス・チミジン培地(LT)上で増殖さ せた。同様に、大腸菌TG−1およびJM109 (DE3)は、アンピシリン 入りデイビス(Davis)最小培地上で増殖させた。鉄キレート剤エチレンジ アミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢)酸(EDDA)(シグマ社(Sigm a))を最終濃度100μMになるように加えて、鉄分欠乏培地を調製した。鉄 分欠乏培地は、FeCl3を1 mM添加して調製した。 プラスミドpBR322、バクテリオファージベクターM13 /mp18お よびM13 /mp19は、以前に説明された通りに用いた(Lo and C ameron, 1986; Loら, 1987)。pブルースクリプトベク ターは、ストラタジーン社(Stratagene)(カリフォルニア州ラホヤ (La Jolla, California))から入手した。組換えクローン 482は、カルガリ大学微生物学科(Department of Micro biology, University of Calgary)のA. S chryvers博士から提供された。酵素、化学薬品、および坑血清 制限酵素およびDNA修飾酵素は、ベセスダ・リサーチ・ラボラトリーズ社( Bethesda Research Laboratories (BRL)) (オンタリオ州バーリントン(Burlington, Ontario))、また はファルマシア化学有限会社(Pharmacia Chemicals In corporated)(ケベック州ドーバル (Dorval, Quebe c))から購入し、製造業者の説明するところに従って使用した。放射性同位元 素は、アイ・シー・エヌ・バイオメディカル社(ICN Biomedical )(ケベック州ドーバル (Dorval, Quebec))またはアマーシャ ム社(Amersham)(オンタリオ州オークビル(Oakville, O ntario)から購入した。 ヤギの坑ウサギ免疫グロブリンG−アルカリホスファターゼ結合体と免疫検出 試薬は、バイオ−ラド・ラボラトリーズ社(Bio−Rad Laborato ries)(オンタリオ州ミシソーガ(Mississauga, Ontar io)から購入した。ヤギの坑ウシ免疫グロブリンG−アルカリホスファターゼ 結合体は、ジャクソン・イムノリサーチ社(Jackson Immunore search)(ペンシルバニア州ウエストグローブ(West Grove, PA))から購入した。ウサギ坑自己血清とウシ坑プレスポンス(Prespo nse)坑血清は、グエルフ大学獣医微生物および免疫学科(Departme nt of Veterinary Microbiology and Im munology, University of Guelph)のP. S hewen博士より入手した。ウサギの「坑自己」坑血清は、ウサギ自身の血清 を添加したRPMI1640中で培養したP. haemolytica A1 の可溶性抗原に対して作製されたものである。RPMI1640が鉄分窮乏培地 であることに留意することが重要である。DNA手法 a)染色体DNAの単離 Marmer(1961)の方法に従って、細菌細胞から染色体DNAを単離し た。細菌は、250 mlの適当な培地に植菌し、150 rpmで振とうしな がら、37℃で一晩培養した。翌日、ソーバル(Sorvall)RC5−B冷 却遠心分離機(デュポン・インスツルメンツ社(Dupont Instrum ents)、オンタリオ州ミシソーガ(Mississauga, Ontari o))のGSAローター中、4,000 x gで10分間遠心分離して、この 細胞を沈殿させた。この沈殿物を、0.6 Mソルビトール、0.05 mM トリス塩酸(pH 8.0)、0.05 M EDTA溶液、8 mlに懸濁した 。最終濃度が3 mg/mlになるようにリゾチーム(シグマ社(Sigma)) を加えてから、サンプルを30分間氷上に置いた。溶解用溶液(0.5% SD S、0.05 M EDTA、0.05 mM トリス塩酸(pH 8.0))2 mlと、3 mg/mlのプロテアーゼK(シグマ社(Sigma))溶液をサ ンプルに加えてから、37℃の温水中で、4時間インキュベートした後、56℃ でインキュベートした。 この懸濁液を、TE緩衝液(0.05 M トリス塩酸(pH 7.5)、0. 001 M EDTA)で飽和した等量のフェノール(ギブコ/ビー・アール・ エル社(Gibco/BRL))で抽出し、30〜50 rpmで45分間振とう した。SS34ローター中、5℃、12,000 x gで10分間遠心分離し てフェノール層と水層を分離した。先が広くなるように切ったパスツールピペッ トで上清を集め、2〜3倍量の氷冷95%エタノールでDNAを沈殿させた。D NA鎖をガラス棒に巻き取って、少量の0.1×SSC(1×SSCには、0. 15 M NaCl, 0.015 M クエン酸ナトリウムが含まれている) に溶解させた。 次に、RNaseの最終濃度が10μg/mlになるようにして、DNAを処 理し、37℃で30分間インキュベートした。DNAを、再び、2〜3倍量の氷 冷95%エタノールでDNAを沈殿させ、ガラス棒に巻き取って、少量の1×S SCに溶解させた。サンプルは、4℃で保存した。 b)制限酵素消化およびライゲーション プラスミドベクターおよびバクテリオファージベクターは、製造業者の指示に 従って、適当な制限酵素で消化した。ベクターと挿入DNAを混合して、最終容 量を5μlとし、0.5ユニットのT4 DNAリガーゼでライゲーションを行 なった。ライゲーション混合液は、大腸菌に形質転換する前に、室温で3〜4時 間インキュベートするか、14℃で一晩インキュベートした。 c)大腸菌コンピテント・セルの調製 形質転換を用いて、プラスミドDNAおよびバクテリオファージDNAを大腸 菌に導入した(Mandel and Higa, 1970; Lederb erg and Cohenら、1972)。形質転換させる大腸菌株は、LT 培地中、37℃、150 rpmで振とうしながら一晩増殖させた。翌日、同じ 培養液20 mlに1/40量の継代培養液を調製し、75 rpmで振とうさ せながら、さらに60分間、37℃で増殖させた。細胞を、SS34ローター中 、3,000 x gで遠心分離して集めて、10 mlの滅菌氷冷50 mM CaCl2に懸濁した。この懸濁液を氷上で30分間インキュベートしてから 、細胞を遠心分離して集め、2 mlの滅菌氷冷50 mM CaCl2に懸濁 した。このコンピテント・セルは、4℃で保存することができ、3日目まで使用 することができた。 形質転換には、0.2 mlのコンピテント・セルをDNAサンプルと混ぜて 、氷上で、30分間インキュベートした。この細胞を42℃で2分間ヒートショ ック処理した後、0.2mlのLT培地を加えた。この細胞を37℃で15分間 インキュベートしてから、適当な抗生物質を含むLT培地上に塗布し、37℃で 一晩培養した。 d)プラスミドの大量単離 Clewell and Helinski (1969)の処理手順を修正 した手順に従って、大量のプラスミド単離を行なった。プラスミドをもつ大腸菌 を、アンピシリンを含むLT培地、250ml中に植菌し、150 rpmで振 とうしながら、37℃で一晩増殖させた。翌日、クロラムフェニコール(シグマ 社(Sigma))を、最終濃度25 mg/lになるように加えて、培養菌を、 さらに4〜6時間増殖させた。GSAローター中、4,000 x gで10分 間遠心分離して集菌した。この細胞沈殿物を、25% スクロースと0.05 Mトリス塩酸(pH 8.)を含む氷冷溶液4 mlに再懸濁した後、直前に調 製したリゾチーム(シグマ社(Sigma))溶液1 mlを加えた。この混合液 を、37℃の温水中で、30分間インキュベートして、5分間氷上に置き、次に 、2 mlの0.25 M EDTA (pH 8.0)を加えた。さらに、氷 上で5分間インキュベートした後、5 mlの溶解用溶液(0.05 M トリ ス塩酸(pH 8.0)、0.0625 M EDTA、および2% トライトン (Triton) X−100)を加えた。この混合液を37℃の温水中に戻し て、細胞が完全に溶解するまで、5〜15分間置いた。そして、この混合液を2 7,000x gで30分間遠心分離して、清澄になった溶解液をきれいな試験 管に移し、この溶解液を固体CsCl(ベーリンガー・マンハイム社(Boeh ringer Mannheim)、ケベック州ラバル(Laval, Queb ec))が、全量4.5 mlで、1 g/mlになるよう混合した。次に、4 .5 mlのサンプルに、100 μlのエチジウム・ブロマイド(10 mg /ml)を加えた。遠心管を加熱密封して、ベックマン(Beckman)VT i65垂直ローター中15℃で、最低9時間、240,000 x gで、サン プルを遠心分離した。 遠心管の上部と下部に穴を開け、2本のバンドの下の方を集めて、プラスミド DNAを回収した。サンプルからエチジウム・ブロマイドを抽出するために、プ ラスミドDNA溶液を、等量のCs/Cl飽和n−ブタノールと混合した。2層 に分離するのを待ってから、n−ブタノールを含む上層と、エチジウム・ブロマ イドを除去した。この処理を3回繰り返した。エチジウム・ブロマイド抽出の後 、下側の水層を透析してCsClを除去した。カットオフ分子量10 kDaの 透析チューブ(フィッシャー社(Fisher))を、0.1 M炭酸水素ナトリ ウムの中で、15分間×2回煮沸し、0.25 M EDTA(pH 7.5) 中で15分間×1回煮沸して調製し、50%エタノールおよび1 mM EDT Aの中で4℃で保存した。透析の前に、チューブはdH2Oで濯いでから、プラ スミドDNA溶液を充填した。DNAを4×1 Lの透析緩衝液(0.01 M トリス塩酸(4℃でpH 7.5)、0.001 M EDTA)の中で、24 時間、4℃で透析した。このサンプルは、−20℃で保存した。 あるいは、少量のプラスミド調製のためには、ファルマシア社(Pharma cia)(ケベック州ケベック・シティー(Quebec City, Que bec)のフレキシ−プレップ(Flexi−prep)キットを用いた。この 方法には、RNase処理とイソプロパノール沈殿を含む、標準的なアルカリ細 胞溶解が含まれる(Birnboim and Doly, 1979; Is chHorwicz and Burke, 1981)。プラスミドDNAは 、塩酸グアニジン中で、珪酸基質(商標セファグラスFP (Shephagl as FPTM)を用いて精製濃縮した。 e)ランダムプライミングによる、DNAプローブの放射性標識 ギブコ/ビー・アール・エル社(Gibco/BRL)のランダムプライマー DNA標識システムを用いて、[α−32P]dATP (3,000 Ci/m mol, アイ・シー・エヌ社(ICN))で、DNA断片を標識した。この標識 システムは、FeinbergとVogelstein (1983)の方法に 基づき、修正したものである(FeinbergとVogelstein, 1 984)。このサンプル(10μlのH2O中25 ngの)DNA)は、5分間 煮沸して変性した後、直ちに氷上で冷却した。氷上で、次の試薬を加えた。dC TP、dGTP、およびdTTPを各2μl、ランダムプライマー緩衝液を15 μl、[α−32P]dATPを4μl、H2Oを加えて49μlにした。サンプ ルを手早く混合してから、クレノウ断片を3ユニット加えた。この反応混合液を 25℃で1時間インキュベートしてから、5μlの停止緩衝液を加えて反応を終 結させた。 ミニ・セファデックス(Sephadex)G−50カラムによるゲル濾過に よって、放射標識されたDNAを、取り込まれなかった放射性標識ヌクレオチド から分離した。カラムは、ガラスウールを詰めたパスツールピペットの中で調製 し、放射性標識したサンプルを加える前にTE緩衝液で平衡化した。カラムを通 過するDNAの動きは、ガイガーカウンター(ミニ・インスツルメンツ有限会社 (Mini−Instruments Ltd.)英国エセックス州(Esse x, England))を用いて測定した。放射活性の最初のピークは、標識 DNAに対応していたが、2番目のピークは取り込まれなかった放射性標識[32 P]dATPに対応していた。DNAプローブは、ハイブリダイゼーション用溶 液に入れる前に、5分間煮沸して変性させた。 f)アガロースゲル電気泳動とサザンハイブリダイゼーション アガロースゲルは、電気泳動用アガロース粉末(標準または低融点;(シグマ 社(Sigma)))にTAE緩衝液(40 mM トリス[pH 7.9]、1 m M EDTA)を加えて、最終濃度が0.7%から1%になるよう調製した。ア ガロースゲルは、水平平板ゲル装置(タイラー・リサーチ社(Tyler Re seach)、アルバータ州エドモントン(Edomonton, Albert a))で電気泳動した。 DNAサンプルを、1/2量のトラッキング・ダイ(50%グリセロール、0 .1%ラダー(ギブコ/ビー・アール・エル社(Gibco/BRL)))と混合す るか、HindIIIで制限酵素消化したラムダDNA(ファルマシア社(Ph armacia))を分子量マーカーとして用いた。1μg/mlのエチジウム ブロマイドを添加したTAE泳動用緩衝液を用いた。サンプルは、まず、100 Vで5分間電気泳動した後、一晩中電気泳動するために、電圧を10〜12 V に減らした。電気泳動後、サンプルを中度紫外線トランスイルミネーターで見て 、ポラロイド(Polaroid)57型白黒フィルムを用いて写真を撮った( Sharpら、1973; Hayward, 1972)。 サザンハイブリダイゼーションでは、アガロースゲルを0.25 M HCl に15分間浸けて、DNAを脱プリン化した。このゲルを、0.5 M NaO Hと1.5 M NaClからなるアルカリ溶液に15分間移し入れ、0.5 Mトリス−HCl (pH 7.5)、1.5 M NaCl溶液の中で30分間 中和させた。ヤミドライ式ブロッティング装置(タイラー・リサーチ社(Tyl er Reseach))において、150 mMの定常電流で30分間、2× SSPE緩衝液(3.6 M NaCl, 0.2 M Na2PO4 [pH 7.0], 0.02 M Na2EDTA,0O.16 M NaOH)の中で 、DNAを電気泳動によって移動させて、ニトロセルロース膜(スライヒャー・ ア ンド・シュエル社(Schleicher and Shuell)、オンタリ オ州ウイローデール(Willowdale, Ontario))に転移させた (Wahlら、1979; Southern, 1975)。 電気泳動で転移させた後、2×SSPE緩衝液でニトロセルロース膜を10分 間洗ってから、UVクロスリンカー(ストララジーン社(Stratagene) )によって、DNAをクロスリンクさせた。0.1%グリシン、5×BFP(1 00×BFPには、2%w/vウシ血清アルブミン、フィコール、およびポリビ ニルピロリジン−40が含まれている)、5×SSPE緩衝液、および、超音波 破砕し、煮沸したサケ精子キャリアーDNA、0.1 mg/mlの中に、25 %(低緊密)または50%(高緊密)ホルムアミド(ギブコ/ビー・アール・エ ル社(Gibco/BRL))を含む溶液が入った密封プラスチックバッグの中で 、この膜をプレ・ハイブリダイズさせた。この密封バッグを、42℃の振とう温 水槽の中に置いて、少なくとも1時間、膜をプレ・ハイブリダイズさせた。次に 、プレ・ハイブリダイズ用緩衝液を捨てて、煮沸した放射性標識DNAプローブ を含むハイブリダイズ用緩衝液(10%デキストラン硫酸、5×SSPE、5× BFP、0.1%SDS、0.1 mg/mlキャリアーDNA、および、25 %または50%ホルムアミド)に置換した。このバッグを、42℃の振とう温水 槽の中に置いて、膜を一晩ハイブリダイズさせた。 ハイブリダイゼーション後、プラスチックバッグからニトロセルロース膜を取 り出して、42℃の振とう温水槽の中で、高緊密洗浄用緩衝液(5×SSPE、 0.1%SDS)または低緊密洗浄用緩衝液(2×SSPE、0.1%SDS) のどちちらかで、4×10分間洗浄した。膜を風乾して、ワットマン(What man)濾紙の上に置き、プラスチックラップで覆ってから、−20℃で104 日間、望ましい露光が得られるまで、X線フィルム(クロネックス社(Cron ex)、デラウエア州ウィリングミントン(Willingminton, D elaware)に感光させた。露光時間は、放射活性シグナルの強度を、ガイ ガーカウンターを用いて測定して決定した。オートラジオグラフィーは、コダッ ク(Kodak)GBX高速現像液(イーストマンコダック社(Eastman K odak)、ニューヨーク州ロチェスター(Rochester, NewYo rk))の中で2分間現像した。フィルムを2.5%酢酸に1分間浸して、現像 反応を停止させ、コダック(Kodak)固定液(イーストマンコダック社(E astman Kodak))の中で2分間固定させた。 g)サザンコロニーブロット LT+アンピシリン培地で増殖させた細菌コロニーのマスター・テンプレート を、37℃で一晩培養した。マスター・プレート上のコロニーを、LT+アンピ シリン培地の上に載せ、37℃で2〜3時間増殖させて、ニトロセルロース膜上 にコピーした。次に、この膜を、0.5 M MaOH、1.5 M NaCl 溶液に浸したワットマン(Whatman)濾紙の上に置き、細胞を溶解させる ために、室温(RT)で5分間置いた。そして、ニトロセルロース膜を、0.5 Mトリス塩酸(pH 7.5)、1.5 M NaCl溶液に浸したワットマン (Whatman)濾紙の上に置き、室温(RT)に5分間置いて、膜を中和さ せた。この膜を、95%エタノールに浸したワットマン(Whatman)濾紙 の上に移し、DNAを沈殿させるために、95%エタノールを吹き掛けた。膜上 のDNAを、UVクロスリンカー(ストララジーン社(Stratagene)) でクロスリンクさせてから、上述したように、プレ・ハイブリダイズとハイブリ ダイズを行なった。 h)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) デオキシヌクレオチド三リン酸、MgCl2、反応用緩衝液、およびアンプリ ータック(Ampli−Taq)DNAポリメラーゼ(パーキン−エルマー・シ ータス(Perkin−Elmer Cetus))が入った、パーキン−エルマ ー・シータス(Perkin−Elmer Cetus )PCRコア試薬キッ トを用いて、パーキン−エルマー・シータス480 DNAサーマル・サイクラ ー(Perkin−Elmer Cetus 480 DNA Thermal Cycler)に入れた、500μlの遠心用薄壁チューブの中で、PCR反 応を行なった。Saikiら(1988)の方法をパーキン−エルマー・シータ ス(Perkin−Elmer Cetus )が修正した方法に従って、増幅 反応を行なった。1×反応緩衝液(0.5 M KCl, 0.1 Mトリス塩 酸[pH 9.0])、0.2 mMの各dNTP、0.4μMプライマー、 5μgの鋳型、15 mM MgCl2、および、2.5ユニットのアンプリ− タック(Ampli−Taq)酵素を含む100μlの混合液の中で、PCR反 応を行なった。この反応液を95℃で2分間加熱して、鋳型DNAを変性させた 。そして、変性、アニーリング、および伸長を30回繰り返した後、それぞれ、 95℃(1分間)、52℃(1分間)、および72℃(2分間)という温度と時 間で処理した。温度間の遷移は、使用可能なうちで最も速いもの(ランプ時間0 .01秒)を用いた。鋳型DNAを含まない陰性対照が、各PCR実験に含まれ ていた。 増幅させた後、PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって調べた。低融点 アガロースゲルを用いた電気泳動によって分離した後、望ましいDNA断片を切 り出すことによって、PCR産物を精製した。このDNA産物は、ガラスビーズ 基質精製キット(ジーンクリーン(GENECLEAN))を用いて、アガロース から精製した。 i)アガロースゲルからのDNA断片精製 DNA断片は、バイオ/カン・サイエンティフィック社(Bio/Can Sc ientific)(オンタリオ州ミシソーガ(Mississauga, O ntario)から入手したジーンクリーン・キット(GENECLEAN)を 用いて、アガロースから精製した。ジーンクリーン(GENECLEAN)によ る精製処理は、VolgelsteinとGillespie(1979)によ る処理手順に基づいている。断片を含むゲル切片を、剃刀の刃を用いてゲルから 切り出し、1.5 mlのエッペンドルフ(Eppendorf)遠心チューブ に入れた。等量のNal保存溶液を加えて、55℃の温水槽の中で5分間、アガ ロースが完全に融解するまでインキュベートした。 5μg以下のDNAに対して、容量5μlのガラスミルク(GLASSMIL K)(バイオ/カン・サイエンティフィック社(Bio/Can Scient ific))をサンプルに加え、混合液を氷上で5分間インキュベートした。そ して、16,000×gで10秒間遠心して、珪酸基質を集めて、600μlの ニュー(NEW)洗浄用緩衝液(バイオ/カン・サイエンティフィック社(Bi o/Can Scientific))に再懸濁した。沈殿物は、ニュー(NE W)洗浄用緩衝液で、全部で3回洗浄した。最後の洗浄の後、珪酸基質を10μ lのTE緩衝液に再懸濁して、55℃で5分間インキュベートした。そして、サ ンプルを遠心分離し、珪酸基質の沈殿を回避しながらTEを回収した。サンプル は、−20℃で保存した。 j)DNAのジデオキシ・シークエンシング 製造業者によって説明されたところに従って、ファルマシア(Pharmac ia)のT7−シークエンシング・キットを用いて、MP13mp18/mp1 9バクテリオファージベクター(一本鎖シークエンシング)にクローニングによ るか、または、組換えプラスミドから直接(二本鎖シークエンシング)DNA断 片を配列決定した。ファルマシア(Pharmacia)のT7−シークエンシ ング・キットの処理手順は、Sangerら(1977)によって概述された方 法に基づいている。 一本鎖シークエンシングでは、DNA断片を、MP13mp18/mp19バ クテリオファージベクターにクローニングして、コンピテント大腸菌TG−1セ ルの中に形質転換させた。組換えファージ「プラーク」で、β−ガラクトシダー ゼ産物ができないために白く見えるものを選抜した。デイビス(Davis)最 小培地で増殖させた大腸菌TG−1の一晩培養液を0.1 ml植菌し、75 rpmで振とうさせながら、37℃で4〜5時間インキュベートした10mlの LT培地に各プラークを接種した。大腸菌細胞を除去するために、サンプルを1 2,000×gで10分間遠心分離した。20%ポリエチレングリコール(8, 000 MW;シグマ社(Sigma))と2.5 M NaClの1/4量を加 えて、培養上清からファージを沈殿させて、30分間氷上でインキュベートした 。12,000×gで10分間遠心して、沈殿したファージを回収した。そして 、この沈殿物は、0.6 mlのファージ緩衝液(0.1 Mトリス塩酸[pH 8.0], 0.001 M EDTA, 0.3 M NaCl)に再懸濁し た。 TE緩衝液で飽和させたフェノール(ギブコ/ビー・アール・エル社(Gib co/BRL))0. 5 mlで、ファージDNAを抽出した。14,000× gで10分間遠心して、フェノール層と水層を分離させた。1:1フェノール: クロロフォルムと、最終的には、クロロフォルムで、水層を抽出した。次に、フ ァージDNAを1/10容量の3 M 酢酸ナトリウム(pH 7.0)と2倍 容量の氷冷95%エタノールで沈殿させ、−20℃で一晩インキュベートした。 14,000×gで10分間遠心して、沈殿したDNAを集めた。1:1フェノ ール:クロロフオルムと、最終的には、クロロフォルムで、水層を抽出した。次 に、ファージDNAを1/10容量の3M 酢酸ナトリウム(pH 7.0)と 2倍容量の氷冷95%エタノールで沈殿させ、−20℃で一晩インキュベートし た。4℃微量遠心機中、14,000×gで10分間遠心して、沈殿したDNA を集めた。沈殿物を風乾して、50μlのTE緩衝液に再懸濁して、シークエン シングに用いた。DNAは、アニーリング用緩衝液(ファルマシア(Pharm acia)のT7−シークエンシング・キット)の中で、ユニバーサルM13プ ライマー、または特異的プライマーのいずれかと、65℃で10分間アニールさ せてから、シークエンシング反応前10分間は室温に置いた。 二本鎖シークエンシングでは、ファルマシア(Pharmacia)のT7− シークエンシング・キットのプロトコールで略述されている手順を修正したもの を用いて、プラスミドの鋳型を調製した。プラスミドDNAを、1.5〜2.0 μg/32μlになるよう調整し、12μlの2 M NaOHを加えて1分間 変性した。11μlの3 M 酢酸ナトリウム(pH 5.0)を加えて変性を 終了させた。7μlのdH2Oと、120μlの氷冷無水エタノールでDNAを 沈殿させ、−20℃で一晩インキュベートした。 4℃微量遠心機中、14,000×gで10分間遠心して、沈殿したDNAを 集めた。沈殿を100μlの氷冷70%エタノールで洗浄し、遠心して、真空下 で乾燥させた。サンプルを5μlのdH2Oに再懸濁し、5μlのプライマーと 2μlのアニーリング緩衝液とを混合した。この混合液は、シークエンシングの 前に、65℃で5分問、37℃で10分間、さらに、RTで5分間インキュベー トした。 シークエンシング反応には、[32P]dATP、または[35S]dATP(特 異的活性は3000 Ci/mmol)のいずれかを用いた。短時間でオートラ ジオグラフィーを感光させるときには、[32P]dATPを用いた。解像度をよ くしたいときには、[35S]dATPを用いた。アプライド・バイオシステムズ ・ インターナショナル 391 PCR−メイト(Applied Biosys temsInternational 391 PCR-Mate) DNA合 成機でオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、製造業者の指示に従って精製し た。プライマーは、使用前に、260 nmの光学的濃度を測定して定量した。 [32P]dATPシークエンシングでは、シークエンシング・ゲルは、18 gの尿素(アイ・シー・エヌ社(ICN )ケベック州モントリオール (Mo ntreal, Quebec))、3.75 mlの10×TBE緩衝液(1 M トリス[pH 8.3] , 0.02 M EDTA, 0.865 Mホウ酸)、および7.5 mlの40%アクリルアミド(19:1の割合の アクリルアミド:ビスアクリルアミド、バイオ−ラド社(Bio−Rad))を dH20で38 mlまでにしたものからできていた。この溶液を、尿素が溶け るまで撹拌して溶解してから、重合させるために、0.23 mlの10%過硫 酸アンモニウム(シグマ社(Sigma))と10μlのTEMED(N, N , N'N'−テトラメチルエチレンジアミン;シグマ社(Sigma))(最終 濃度0.01%)を加えた。 [35S]dATPシークエンシングでは、シークエンシング・ゲルは、16. 8 gの尿素(アイ・シー・エヌ社(ICN))、4. 8 mlの10×TB E緩衝液、および4 mlの改変アクリルアミド溶液(「ロング・レンジャー」( Long Ranger)、J.T. Baker、ニュージャージー州フィリ ップスバーグ(Phillipsburg, New Jersey)からでき ていた。この溶液を、dH20で40 mlにし、200μlの過硫酸アンモニ ウム(シグマ社(Sigma))と20μlのTEMED(シグマ社(Sigm a))を加えて重合させた。 泳動用緩衝液は、1×TBEからなっていた。シークエンシング・ゲルは、4 0 W/ゲルの定常電圧で2〜6時間泳動した。[35S]dATPシークエンシ ング・ゲルを1枚のワットマン(Whatman)濾紙の上に移し、真空下、8 0℃で45分間乾燥させた。どちらのタイプのシークエンシング・ゲルも、−2 0℃で18〜48時間、クロネックス4X線フィルム(クロネックス社(Cro nex))に感光させた。IV. タンパク質の方法 a)内膜および外膜の単離 HancockとCarey (1979)の方法を修正した方法(Loら、 1991)によって、大腸菌およびP. haemolytica A1から、 内膜および外膜調製物を調製した。細菌は、250 mlの適当な培地の中で、 37℃で一晩培養した。細胞は、4,000 x gで遠心分離して、0.01 Mトリス塩酸(pH 6.8)で2回洗浄してから、20%スクロース、0. 01 Mトリス塩酸(pH 6.8)、リゾチーム(1 mg/ml)、DNase (50 μg/ml)、およびRNase(100 μg/ml)を含むスクロー ス−トリス氷冷溶液、7.5 mlに再懸濁させた。この細胞を、フレンチプレ スによって、4℃、16,000〜18,000 psiで3回破砕した。そし て、サンプルを1,085×gで5分間遠心して、破砕されなかった細胞を除去 した。 この上清を、14 mlの70%と52%のスクロースからできていて、5 mlのサンプル溶解液と、4〜5 mlの12%スクロースを重ねた、70:5 2%:サンプル:12%スクロース勾配の上に載せた。この勾配を、スゥイング バケット・ローターの中で、8,000×gで、16〜18時間、4℃で遠心分 離した。アスピレーションによって、内膜画分および外膜画分を集めた。内膜画 分は、12%スクロースと52%スクロース領域の間に位置し、黄色っぼい茶色 をしていた。外膜画分は、白かったが、70%スクロース領域近くに位置してい た。集められた画分は、遠心用チューブの中に入れて、dH2Oで上部まで満た し、角度を固定のTi80ローター中、225,000×gで、1時間、4℃で 遠心分離した。そして、沈殿物を風乾して、トリス塩酸(pH 6.8)、0.0 1 M ジチオスレイトール緩衝液に再懸濁した。サンプルは、−20℃で保存 した。 b)タンパク質濃度のブラッドフォード法による測定 内膜画分および外膜画分のタンパク質濃度を、ブラッドフォード法用いて測定 した(1976)。各膜画分の希釈液を調製し、最終サンプル容量が0.8 ml になるよう、dH2Oを加えた。そして、サンプルを、0.2 mlのブラッド フオード試薬(バイオラド社 (Biorad)、オンタリオ州ミシソーガ(M ississauga, Ontario))と混合し、室温で5分間インキュ ベートして発色させた。分光光度計における595 nmの波長のところでの、 各サンプルの光学濃度(OD)を測定した。ウシ血清アルブミン(BSA;シグ マ社(Sigma))を1〜25μgの範囲で用いて、標準曲線をプロットした 。各サンプルのタンパク質濃度は、BSAの標準曲線から推定した。 c)ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動 4%(W/V)スタッキングゲル、および7.5%(W/V)分離用ゲルとを 用いた、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS− PAGE)(Laemlli, 1970)を用いてタンパク質を分析した。ゲ ルは、0.1%過硫酸アンモニウム、およびTEMEDを0.01%加えて重合 させた。等量の2×サンプル緩衝液を加えて、100℃で5分間加熱して、サン プルを可溶化させた。高分子量標準液も煮沸してゲルに流した。不連続緩衝液シ ステム(0.192 Mグリシン、0.02 Mトリス塩酸[pH 8.4]、0 .1%SDS)を用いた。 ゲルは、サンプルが分離用ゲルに入るまで、100 Vで泳動し、その後、1 50 Vの上昇させた。染色液の先がゲルの下部を通り抜けるまで、サンプルを 泳動した。スタッキングケルを除き、分離用ゲルは、クーマシー・ブリリアント ・ブルーで染色するか、ウエスタンブロッティングのために、電気泳動によって ニトロセルロースに移し取った。ゲルは、クーマシー・ブリリアント・ブルーR 250(Coomassie Brilliant Blue R250)(4 0%メタノール、10%酢酸中0.05%)(イーストマン・コダック社(Ea stmanKodak))で一晩染色してから、メタノール:酢酸溶液で脱染し た。 d)ウエスタン免疫ブロッティング Bernette(1981)の方法にしたがって、アクリルアミドゲル上の タンパク質をニトロセルロース膜に移した。このゲルをブロッティング用緩衝液 (0.192 Mグリシン、0.025Mトリス塩酸[pH 8.4]、20% メタノール)に10分間浸漬して、SDSを除去した。ゲルの大きさに合わせて 切ったニトロセルロース膜(スライヒャー・アンド・シュエル社(Schlei cher and Shuell)、オンタリオ州ウイローデール(Willo wdale, Ontario))も1枚、ブロッティング用緩衝液に浸漬した 。バイオーラド・トランスブロット(Bio−Rad Tranblot)装置 の中で、450 mAで、3時間、タンパク質をニトロセルロース膜に移動させ た。過熱とブロッティング用緩衝液の分解を避けるため、水冷装置を用いた。 電気泳動による移動後、ニトロセルロース膜を3%ゼラチン入りのTTBS緩 衝液(0.02 Mトリス塩酸[pH7.5]、0.5 M NaCl、0.0 5%トゥイーン(Tween−20)) に30分間浸漬して、膜をブロックし た。このニトロセルロース膜を、1/500希釈の一次抗体入りの1%ゼラチン 液の中に移し、室温下、緩慢に振とうしながら、一晩インキュベートした。そし て、TTBS緩衝液で、この膜を2回洗浄(各洗浄15分)して、二次抗体溶液 (1/2000希釈)の中に1時間置いた。二次抗体は、ヤギの抗ウサギ、また はヤギの抗ウシIgG−アルカリホスファターゼ結合体(バイオーラド社(Bi o−Rad ) )を1%ゼラチンに入れたものである。この膜は、TTBS緩 衝液で2回洗浄(各洗浄15分)してから、NBT緩衝液(0.1 Mトリス塩 酸[pH9.5]、0.1 M NaCl、50 mM MgCl2)で2回洗浄 (各洗浄5分)した。次に、この膜を、試薬5−ブロモ−4−クロロ−3−イン ドリルホスファターゼ(BCIP、ジメチルホルムアミド中25 mg/ml、 シグマ社(Sigma))、およびニトロ−ブルー−テトラゾリウム(NBT、 70%ジメチルホルムアミド中、50 mg/ml;シグマ社(Sigma)) 、各100μlからなる発色用溶液の中に置いた。バンドが望ましい見え方をす るまで発色を進行させた。水の中で濯いで、発色反応を停止させた。膜は風乾さ せた。 e)T7タンパク質発現 TaborとRichardsonの方法(1985)を用いて、組換えプラス ミドにコードされているタンパク質を解析した。プラスミドベクターのピー・ブ ルースクリプト(pBluescript)の中に、tbpA遺伝子をクローニ ングした。T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を染色体の中に取り込んで、T7ポ リメラーゼ遺伝子をlacプロモーターの制御下に置いた大腸菌JM109の菌 株である(Yaninsch−Perronら、1985)、大腸菌JM109( DE3)の中に組換えプラスミドを形質転換した。 形質転換後、0.1%カザミノ酸、0.4%グルコース、および適当な抗生物 質を含むデイビスの最少培地中37℃で、細胞を一晩増殖させた。50分の1の 継代培養液を、20 mlの同じ培地に入れて調製し、さらに、3〜4時間、O D550=0.6になるまで、37℃でインキュベートした。14,000× g で5分間遠心分離して細胞を集め、0.4%グルコースを含む、デイビスの最少 培地に再懸濁した。このサンプルを、37℃で90分間インキュベートしてから 、100μlの5 mMイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IP TG)を加えた。37℃で20分間、細胞をインキュベートした後、リファンピ シン(最終濃度400μg/ml)を加えた。サンプルを37℃で30分間イン キュベートした後、5μCi[35S]−メチオニン(「トランスラベル(Tran sLabel)」、アイ・シー・エヌ・バイオメディカル社(CN Biomed ical)、ケベック州)で60分間標識した。この細胞を氷令したPBSで2 回洗浄してから、微量遠心機で14,000× gで5分間遠心分離して細胞を 集めた。沈殿物を、2×SDS−PAGEサンプル緩衝液で再懸濁した。 SDS−PAGEを用いてタンパク質を分離し、クーマシー・ブルーR250 でゲルを染色した。そして、このゲルを商標登録アンプリファイ(Amplif yTM)(アマーシャム社(Amersham)、オンタリオ州オークビル(Oa kville, Ontario))に30分間浸漬して、真空下で乾燥させた 。オートラジオグラフは、18〜48時間感光させた。 <結果>I.推定tbpA、tbpB遺伝子の予備クローニング tbpA遺伝子をクローニングするときの第一段階は、ポリメラーゼ連鎖反応 によりP.Haemolytica A1遺伝子ライブラリーをスクリーニング することであった。Tbp1タンパク質のN末端アミノ酸配列に対して特異的な オリゴプライマーが合成された。P.Haemolytica A1コドン表( Lo、1992年)は、プライマー配列を最適化するのに使用された。Tbp1 プライマーは、クローニングベクターpBR322の分岐配列に基づくプライマ ーと接合して使用された(表1)。0.8kbpのPCR産物が得られ(図1)、 そしてM13ベクターにクローン化され、そしてシーケンスにかけた。このPC R 産物の配列分析は、第一の20アミノ酸がTbp1のN末端アミノ酸シーケンシ ングによって得られる配列に一致することを示した。 表 1 PCRに用いたオリゴヌクレオチドプライマー その後、0.8kbPCR産物を放射性標識し、そしてサザン・ハイブリダイゼ ーションにより、P.Haemolytica A1遺伝子ライブラリーを含む 大腸菌クローンをスクリーニングする特異的プローブとして使用された。2つの 組換えクローン9および10は、tbpAプローブで強力にハイブリダイズされ た。各組換えクローンから得られるプラスミドDNAは、制限エンドヌクレアー ゼマッピングによって分析された(図2)。P.Haemolytica A1を 挿入すると、プラスミド9および10についてはそれぞれ、およそ8.7kbお よび2.3kbであると測定された。プラスミドの当初の配列分析は、両方のプ ラスミドから得られた挿入DNAが重なり領域を共有することを確認した。プラ スミド9は、全tbpA遺伝子を含有したが、tbpAの直接的上流にある領域 は、プラスミド10中の上流領域とは異なった。プラスミド9中の挿入DNAは 、ゲノムの分離領域から得られる2つのDNA断片から形成されることは可能で ある。プラスミド10中で、tbpAの直接的上流領域は、tbpB遺伝子に対 応する新たな開放読取り枠を含んだ。したがって、このプラスミドは、tbpA 遺伝子から直接的上流にtbpAの5’領域のみならず、tbpB遺伝子の一部 も包含した。 第三の組換えクローン、482は、全tbpB遺伝子を含んだ。このプラスミ ドは、プラスミド10と重なり領域を共有する(図2)。プラスミド482中の挿 入DNAは、Tbp2タンパク質のアミノ酸配列に特異的なプライマーを使用 して、P.Haemolytica A1ゲノムDNAから得られたPCR産物 である。その後、このPCR産物は、ベクターPCRIIにクローン化された。 3.0kbp tbpA遺伝子は、(BgIII部位から出発して)プラスミ ド9からシーケンシングされた。2.1kbpのtbpB遺伝子およびtbpA とtbpBの間の91bp配列が、プラスミド482および10からシーケンシ ングされた。II.配列分析 5.2kbpのDNAは、シーケンシングされ、そしてtbpのtbpB上流 に前後して配置された2つの開放読取り枠を含むことが示された(図3)。この遺 伝子機構は、その遺伝子がしばしばオペロンに配置する他の細菌中の他の鉄摂取 系と一致する(Payne、1988年)。演繹的に推定されたTbp1タンパク 質の配列解析によって、推定28アミノ酸リーダーペプチドが観察された。脂質 タンパク質についての推定切断配列が、演繹的に推定されたTbp2タンパク質 で観察された。tbpAおよびtbpBの近傍接近およびtbpA中のプロモー ター領域の不在は、その2つのタンパク質が共同して発現できることを示唆する 。tbpBのプロモーター領域中のFurコンセンサス配列は、それらのタンパ ク質がFur様手段で制限されうることを示唆する。P.Haemolytic a tbpB中のFurコンセンサス配列は、N.gonorrhoeaeおよ びエヌ.メニンジチジス(N.meningitidis)tbpBで見られる コンセンサス配列に類似する(図4)。Tbp1およびTbp2の等電点は、PC Gene(チャージプロ(Chargpro))によって、それぞれ9.16お よび9.71と計算され、それらは塩基性タンパク質になった。III.予測タンパク質トポロジー 配列分析プログラム・ジーンランナー(Gene Runner)(ハスティ ングズ・ソフトウエア(Hastings Software))が、P.Ha emolytica Tbp1およびTbp2タンパク質の物理的特性を分析し 、そして二次構造を予測するのに使用された。Tbp1およびTbp2のハイド ロプロパシープロットは、ケイト(Kyte)およびドーリトル(Doolit tle)の方法を用いて作製された(1982年)。Tbp1の第一の28アミノ 酸は、疎水性領域を形成し、それは全てシグナル配列の特徴を示す。そのタンパ ク質には、6つの他の疎水性領域があり、そしてそれはタンパク質の膜内外(膜 貫通)ドメインでありうる。そのタンパク質の疎水性領域は、細胞表面に、また は周縁質に露出しうる。N.gonorrhoeaeのハイドロプロパシープロ ットも作製された。N.gonorrhoeae Tbp1タンパク質は、P. Haemolytica Tbp1より疎水性が低いが、いくつかの疎水性領域 の位置は、類似であると思われる。例えば、両方のタンパク質は、200、40 0および780のアミノ酸残基の周りに疎水領域を有する。疎水領域での類似性 は、その2つのタンパク質がかなりの程度の相同性を共有し、類似の構造を有し うることを示唆する。 P.Haemolytica Tbp2のケイト−ドーリトル・プロットは、 タンパク質の中心でいくつかの大きな疎水性領域と、両端で2つの類似の親水性 領域を明らかにする。これは、2つのタンパク質が異なる構造を有しうることを 示唆するN.gonorrhoeaeのハイドロプロパシープロットより相当に 異なっている。 Tbp1およびTbp2の表面露出領域は、エミニの表面可能性方法(Emi ni surface probablility method)(Enin iら、1985年)を用いて測定された。グラフでのピークは、露出される可能 性が最大である領域に対応する。各タンパク質の表面露出領域は、リガンド結合 に関与し得、そして抗原性でありうる。P.Haemolytica Tbp1 のエミニのプロットは、そのタンパク質のアミノ酸330、410、460、5 60、610および820に近い親水性領域が細胞表面に露出していてもよいこ とを示唆する。N.gonorrhoeae Tbp1のエミニのプロットは、 P.Haemolytica Tbp1と2、3の共通露出領域を示した(33 0、580、810の領域で)。 P.Haemolytica Tbp2のエミニのプロットは、アミノ酸14 0、160および620の親水性領域が、露出される可能性が最も高いことを示 唆する。N.gonorrhoeae Tbp2のエミニのプロットは、160 、330の露出領域のみがP.Haemolytica Tbp2の表面領域に 類 似することを示す。 Tbp1およびTbp2の両方の二次構造は、チュー−ファスマン(Chou −Fasman)の方法(1978年)を用いて予測された。P.Haemol ytica Tbp1のチュー−ファスマン・プロットは、そのタンパク質が一 次のβシートおよびβ回転構造であることを予測する。N.gonorrhoe ae Tbp1のチュー−ファスマンのプロットは、類似の構造を予測する。こ れらの推定は、他の鉄が制御された外側の膜タンパク質のその他のトポロジー予 測と一致し、そのタンパク質も両親媒性βシートを包含する(Moeckら、1 994年)。βシートの位置が2つのTbp1ケイト−ドーリトルグラフの疎水 性ドメインの位置に対応することに注目するのも興味深い。 P.Haemolytica Tbp2のチュー−ファスマンのプロットは、 一次のβシートおよびβ回転を含むことも示す。βシートの予測パターンは、N .gonorrhoeae Tbp2と異なり、βシート領域も有する。これら の結果は、Tbp2タンパク質が異なる構造を示す証拠にも加える。IV.P.Haemolytica および関連種のtbpAの分配 サザン・ハイブリダイゼーション分析は、全ての16のセロタイプのP.Ha emolytica がTbp1タンパク質についての遺伝子を担持するかどう かを決定するために行われた。各セロタイプから得られた染色体DNAは、制限 エンドヌクレオチドで消化され、そしてP.Haemolytica A1から 得られるtypA遺伝子の5’末端でプローブされた。同様のハイブリダイゼー ション実験が、エイ.プレウロニューモニアエ(A.pleuroneumon iae)CM%およびショップ4074およびエイ.スイス(A.suis)3 714から得られる消化染色体DNAで行われた。 P.Haemolytica A1 tbpAプローブを用いた高緊縮サザン ・ハイブリダイゼーション(50%ホルムアミド)は、全16のセロタイプのP .HaemolytlcaにtbpA相同性配列の存在を示した(図5、6)。さ らに、AおよびTバイオタイプの間のプローブでハイブリダイズされた断片のサ イズで相当な差異がある。図5で、サザン・ハイブリダイゼーションで反応性結 合を与えなかったセロタイプ7のDNAの質に問題があったことに注目するの は重要である。このセロタイプの反応は、セロタイプ1のものと同一であるべき だった。同様の問題が図6に見られる。そこでは、セロタイプ12および16D NAは、適切に消化されていなかった。これらのセロタイプの反応は、セロタイ プ1のものと同一であるべきだった。 tbpAプローブを用いた低緊縮サザン・ハイブリダイゼーション(25%ホ ルムアミド)は、エイ.スイス3714、エイ.プレウロニューモニアエCM5 およびショップ4074ゲノムDNAがP.Haemolytica tbp Aプローブでハイブリダイズされたことを示した(図7)。エイ.プレウロニュー モニアエの2つの株は、共にセロタイプ1に属し、そして同じ形態でハイブリダ イズされた。P.Haemolytica A1、エイ.スイスおよびエイ.プ レウロニューモニアエのtbpA、tbpB領域の予備の制限地図は、図8に示 される。V.相同性研究 P.Haemolytica Tbp1の予測アミノ酸配列は、ナイゼリア・ エスピーピー.(Neisseria spp.)およびエイ.プレウロニュー モニアエのトランスフェリン結合タンパク質、並びに数種の大腸菌のTonB依 存性受容体タンパク質についての予測配列と比較した。全ての比較は、ヒギンス (Higgins)およびシャープ(Sharp)アルゴリズムによって行われ た(HigginsおよびSharp、1988年)。 P.Haemolytica Tbp1の予測アミノ酸配列は、N.gono rrhoeae およびエヌ.メニンジチヂス(N.meningitidis )Tbp1タンパク質の両方と高度の相同性を示すことが分かった(Corne lissenら、1992年;Legrainら、1993年)(図9)。同一の そして保存されたアミノ酸を含めた相同性は、41%であることが分かった。こ の結果は、P.Haemolyticaおよびナイゼリア・エスピーピー.Tb t1タンパク質が類似の構造を共有することを示唆したタンパク質相同性研究と 一致する。P.Haemolytica Tbp1およびエイ.プレウロニュー モニアエ・セロタイプ7およびセロタイプ1 TfbAタンパク質の間の相同性 比較(Gerlachら、1992年a;Gerlachら、1992年b)は 、 相同性がほんの低い程度(22%)であることを明らかにする(図10)。パステ ウレラ(Pasteurella)、ナイゼリアおよびアクチノバシルス(Act inobacillus)のトランスフェリン結合タンパク質の間の遺伝的関連 性の程度は、図11で系統樹の形態で示される。P.Haemolytica Tbp1は、アクチノバシルスのトランスフェリン結合タンパク質よりナイゼリ アTbp1により親密に関連することに注目することは興味深い。 P.Haemolytica Tbp1は、大腸菌TonB依存性外側膜受容 体との相同性の領域を位置決めもする(図12)。これらのタンパク質との相同性 は、P.Haemolytica Tbp1もTonB依存性受容体タンパク質 であることを意味する。第一の相同なドメインは、TonBボックスを含み、T onBおよび受容体タンパク質の間の直接的相互作用に関係していた(Bell ら、1990年)。顕著な他の相同性ドメインは、知られていないが、それらが TonB相互作用にも含まれることは可能である。VI.Tbp1のT7発現 T7発現は、tbpAによってコードされたタンパク質を発現するために行わ れた(図13)。鉄枯渇下でおよび鉄枯渇条件での大腸菌のマキシ(maxi)− 細胞分析によってtbpAを発現する試みは、成功しなかった(データは示さず) 。T7発現は、100kDaでいかなる反応性バンドをも生じなかった。30d Daの陽性対照がレーン1に示される。tbpAを担持するプラスミドおよびp Bluscriptベクターのみの間に差異はなかった(図13、レーン2およ び3)。VII.ウエスタンイムノブロット分析 鉄限定および鉄十分条件下で成長したP.Haemolytica A1およ び大腸菌HB101細胞から得られる内側および外側膜画分が調製され、そして ウエスタンイムノブロッティングで分析された。これらの実験の目的は、鉄制限 タンパク質が、P.Haemolytica の可溶性抗原に対して調製された 抗血清と抗原的に反応するかどうかを測定することであった。内側および外側膜 画分は、(血清タンパク質に抗体が混在するのを避けるために)ウサギ自身の血 清で補足されたRPMI1640中で培養されたP.Haemolytica A1の可溶性抗原に対して生じたウサギの「抗−オートローガス」抗血清でイム ノブロットされた。抗血清は、大腸菌抗原との反応性を最小限にするために大腸 菌HB101細胞に予め吸収される。トランスフェリン結合タンパク質に対応す る免疫反応性バンドは、鉄限定条件下で成育したP.Haemolytica A1細胞から得られた外側膜画分に観察されなかった(図14、レーン3)。 内側および外側膜画分も、第一抗体として登録商標プレスボンス(Presp 抗血清を、大腸菌免疫反応性の数を限定する大腸菌HB101細胞で予め吸収し た。71、77および100kDaのバンドが、鉄−限定条件下で成育したP. Haemolytica A1細胞の外側膜で観察された(図15、レーン3)。 これらのタンパク質バンドが、P.Haemolyticaのトランスフェリン 結合タンパク質の寸法に対応する。これらの抗原性バンドは、トランスフェリン タンパク質であれば、そしてこの結果は、これらのペプチドが抗原性であり、そ して家畜に免疫抗原性を示すことを示唆する。 <考察>I.予備配列分析 P.Haemolytica tbpAおよびtbpBの予備ヌクレオチド配 列が、図3に示される。P.Haemolytica tpbBのプロモーター 領域は図4に示される。 クローン化DNAの予備配列によって、2つのtbp遺伝子がtbpAの直接 的上流のtbpBで連結して発見された。この遺伝子体制は、遺伝子がオペロン 中に配列されるナイゼリア・エスピーピーのような他の細菌中の鉄摂取系と一致 する(Andersonら、1994年)。P.Haemolytica A1鉄 摂取に関係した遺伝子がオペロンでも配列されるようである。tbpA遺伝子は 、リボソーム結合配列のみを有する一方で、tbpB遺伝子は、リボソーム結合 部位に進行され、そしてそのプロモーター領域中のFurコンセンサス配列を有 する。 推定Furコンセンサス配列の存在は、その2つの遺伝子が鉄の濃度に対応し て制御でき、そしてFur相同性がP.Haemolytica A1に存在す ることを意味する。Fur相同性は、病原性ナイゼリア・エスピーピー.でクロ ーン化されシーケンシングされた(Berishら、1993年;Thomas およびSparling)1994年)。P.Haemolytica AlFu r類似体が存在する場合、ロイコトキシンのような他の抗原の抑制に関連しうる 。StrathdeeおよびLo(1989)は、鉄限定条件下では、産生され るロイコトキシンの量が減少することを報告した。これは、その細胞が鉄限定条 件下で育成される場合に毒素産生が増加するディプセリア(diptheria )毒性の状況(Boydら、1990年)と対峙する。Furが、P.Haem olyticaのロイコトキシン産生に陽性の抑制剤として作用することが可能 である。これは、鉄含有培地中で毒素産生が増加するというGentryら(1 986年)による初期の観察と一致する。エヌ.メニンジチジスも、エキソタン パク質のRTXファミリーに関連する鉄制限タンパク質を産生する(Thomp sonら、1993年)。 tbpA配列中の第一の28の予測アミノ酸は、推定のシグナル配列を形成す る。シグナル配列は、膜を越える転移の工程の間前駆体タンパク質を膜に挿入す るのに不可欠である。シグナル配列も、前駆体タンパク質をその成熟形態にたん ぱく質分解性切断するための認識部位として作用する(vor Heijne、 1983年;BensonおよびSilhavy、1983年)。シグナル配列 の存在は、Tbp1が細胞質膜に沿って存在するが、いかなる選別情報も含まな いことを確認する。Tbp1の予測アミノ酸配列は、タンパク質のカルボン酸末 端に、末端フェニルアラニン残渣を有する。フェニルアラニンは、膜内の疎水性 環境を分割するのを促進する疎水性の芳香族アミノ酸である。末端フェニルアラ ニン残渣の存在は、外側膜の局在化に重要であることが示され(Struveら 、1991年)、そしてP.Haemolytica Tbp1は、外側膜に存 在することを示唆する。 tbpBの配列分析は、脂質タンパク質のための推定の切断配列を明らかにし た。脂質タンパク質は、Leu−X−Y−Cys(ここで、XおよびYは、小さ な中性アミノ酸である。)の特徴的な切断配列を有する(Wu、1987年)。こ れは、Tbp2が処理され、そして脂肪は修飾されることを示唆する。Tbp2 が、外側膜局在化に関係する末端フェニルアラニン残渣を欠くことに注目するこ とは興味深い。類似のトランスフェリン結合脂質タンパク質は、エイチ.インフ ルエンザエ(H.influenzae)、N.gonorrhoeaeおよびエ ヌ.メニンジチジス(Legainら、1993年;Andersonら、19 94年)で見られた。グリフィズ(Griffiths)ら(1993年)は、 N.gonorrhoeaeおよびエヌ.メニンジチジスおよびエイチ.インフ ルエンザエb型のTbp2タンパク質中の共通抗原性ドメインを示した。 タンパク質の等電点(pI)は、そのペプチドが総電荷ゼロを示すpHとして 定義される。pI計算は、イオン化状態を干渉する立体構造がないことを呈する 。したがって、算定pI値は、およその値のみであり、実験の結果と異なる可能 性がある。P.Haemolytica Tbp1およびTbp2のpIは、そ れぞれ9.16および9.71と算定された。陽イオンのポリペプチドは、生体 内(in vivo)膜干渉作用を増大することが示唆された。Tbp1の塩基 的特性が、トランスフェリンタンパク質との干渉作用を増大することは可能であ る。ナイゼリアのTbp1(Cornelissenら、1992年)およびF bp(Berishら、1990年)タンパク質も塩基性タンパク質である。レ ジオネラ・ニューモフィリア(Legionella pneumophili a)で、塩基性表面タンパク質は、作用して、食胞融解小体の融合を阻害する( Cianociottoら、1989年)。II.予備予測タンパク質トポロジー Tbp1およびTbp2のハイドロプロパシープロットは、ケイトおよびドー リトルの方法を用いて行われた(1982年)。P.Haemolytica T bp1のハイドロプロパシープロットでは、第一のピークは、アミノ酸1から3 0までに存在する。これは、全てのシグナル配列に共通する疎水性核を表す(H ayashiおよびWu、1990年)。他の疎水性領域は、膜内外ドメインで あってよい。親水性ドメインは、細胞表面または周縁質に露出されるタンパク質 の領域であってよい。P.Haemolytica Tbp1タンパク質中の膜 内外領域の位置は、N.gonorrhoeae Tbp1で予測された多くの 膜内外領域に類似する。これは、Tbp1タンパク質が同様の構造を示しうるこ と、およびアミノ酸レベルで特定の程度の相同性を共有することを示唆する。P .Haemolytica Tbp2タンパク質は、タンパク質の中央に疎水性 リーダー配列並びに数種の大きな疎水性領域を所有し、そしてN.gonorr hoeae Tbp2について予測されるハイドロプロパシープロットと相当に 異なる。これは、両方のタンパク質が構造的に異なることを意味する。 Tbp1およびTbp2の表面露出領域は、エミニ表面可能性法を用いて予測 された。細胞表面に露出されるTbp1およびTbp2の領域は、リガンド相互 作用に関与でき、抗原性でありうる。 チュー−ファスマンの方法は、一般にタンパク質の二次構造を予測するのに使 用される。この方法は、α−ヘリックス、β−シートまたはβ−回転であるため の各アミノ酸が示す傾向に基づいている。チュー−ファスマンの方法は、P.H aemolytica Tbp1が多くのβ−シートおよびβ−回転を含むこと を予測する。これらのβ−シートは、外側膜を繰返し通過し、そして介在配列が 表面または周縁質露出ループを構築することは可能である。チュー−ファスマン の方法は、N.gonorrhoeae Tbp1もβ−シートを含むことも予 測する。この構造は、すでにFepAのような大腸菌の外側膜タンパク質につい て提案されてきた(Moeckら、1994年)。P.Haemolyticaお よびN.gonorrhoeae Tbp1タンパク質が、鉄を宿主トランスフ ェリン分子から除去する類似の機構を有していてもよいことを意味する共通構造 を共有する。P.Haemolytica Tbp2のチュー−ファスマンのプ ロツトも、N.gonorrhoeae Tbp2についての予測より相当に異 なる優先的β−シートおよびβ−回転構造を予測する。III.P.Haemolyticaおよびその関連種のtbpAの分配 tbpAプローブ用いた16のP.Haemolyticaセロタイプのゲノ ムDNAのサザン・ハイブリダイゼーションは、高度に相同な遺伝子がAバイオ タイプ内に存在することを示した。その結果は、遺伝子機構またはtbpA遺伝 子がTバイオタイプで相当に異なることも示唆する。これは、AおよびTバイオ タイプから得られる鉄制限タンパク質が抗原的に異なることを示すMurray ら(1992年)による観察を支持する。P.Haemolytica抗原決定 基についての先行研究は、シアログリコプロテアーゼ、セロタイプ特異的抗原、 3つの脂質タンパク質およびLPS生合成遺伝子は、Tバイオタイプ中の異なる 遺伝子機構を欠いているかまたは有していることを示した(Burrows、博 士論文、1993年)。AおよびTバイオタイプは、表現型および生化学的形質 を共有する(Holt、1977年)が、DNA:DNAハイブリダイゼーショ ンに基づいてほんのわずかに関連している(Binghamら、1990年)。S neathおよびStevens(1990年)は、バイオタイプTセロタイプ を種P.trehalosiとして再度命名することを提案した。 トランスフェリン結合タンパク質の遺伝子体制での多様性は、エイ.プレウロ ニューモニアエ(A.pleuropneumoniae)TfbA(Gonz alezら、1990年;Gerlachら、1992年b)およびエヌ.メニ ンジチジスTbp2(Legrainら、1993年;Rokbi、1993年 )で例示されてもきた。エイ.プレウロニューモニアエで、セロタイプ1および セロタイプ7 TfbAタンパク質は、アミノ酸レベルでほんの55%ホモロジ ーを共有する(Gerlachら、1992年b)。エヌ.メニンジチジスTbp 2タンパク質は、それらの分子量、配列類似性および抗原異種性に基づいて2つ の綱(クラス)に分けられる(Robkiら、1993年)。種の範囲内でのトラ ンスフェリン結合タンパク質での多様性は、様々なセロタイプの結合を容易にし て、異種株に対する宿主の免疫応答を避ける(Gerlachら、1992年b) 。 サザン・ハイブリダイゼーション実験では、エイ.プレウロニューモニアエ株 CM5およびショップ4074から得られる染色体DNAが、低緊縮条件下での みtbpAプローブとハイブリダイズすることが示された。これは、P.Hae molyticaおよびエイ.プレウロニューモニアエのトランスフェリン結合 タンパク質が程度の低いホモロジーのみを共有することを示唆する。この結果は 、P.Haemolytica Tbp1およびエイ.プレウロニューモニアエ TfbAタンパク質の両方から得られるアミノ酸配列における相同性の研究によ って確認された。 エイ.スイスのゲノムDNAも、tbpAプローブでハイブリダイズし、そし てそれは類似のトランスフェリン結合タンパク質を有しうることを示唆する。そ の結果も、エイ.スイス・トランスフェリン結合タンパク質が、エイ.プレウロ ニューモニアエTfbAよりもTbp1およびP.Haemolyticaによ り親密に関連しうることを示唆する。IV.相同性研究 全てのタンパク質配列は、HigginsおよびSharp(1988年)の 方法によって配列を比較するPCGene(クラスタル(Clustal))に よって配列された。この方法での第一段階は、全対の配列の類似性を計算するこ とである。その後、系統樹が、第一段階で生成された類似のマトリックスから作 製される。図11の系統樹は、パステウレラ(Pasteurella)、アクチ ノバシルス(Actinobacillus)およびナイゼリア・トランスフェ リン結合タンパク質のHigginsおよびSharp配列によって作製された 。 a)ナイゼリア・エスピーピー(Neisseria spp.) P.Haemolytica tbpAの予測アミノ酸配列は、N.gono rrhoeaeのtbpAの予測アミノ酸配列と相同性のある領域を有する。こ れは、トランスフェリン結合タンパク質が、構造的に類似で、タンパク質のトポ ロジー研究で行われる観察と一致することを示唆する。Ogunnariwoお よびSchryvers(1990年)は、P.Haemolytica A1 Tbp1が寸法および特性の点でN.gonorrhoeae Tbp1タンパ ク質に類似することを報告した。両方の種は、SDS−PAGE後にトランスフ ェリンを結合できない100kDaの受容体タンパク質を産生し、そしてそれは 、本来のタンパク質の立体配座が、トランスフェリン結合において重要であるこ とを示唆する。しかし、2つのタンパク質は、それらの結合特異性において異な つている。N.gonorrhoeae Tbp1は、ヒトのトランスフェリン のみを結合する一方で、P.Haemolytica A1 Tbp1は、ウシ のトランスフェリンのみを結合する。これは、2つのtbpA配列の間の差異が 鉄源の特異性をコードする領域でありうることを示唆する。 b)エイ.プレウロニューモニアエ P.Haemolytica A1 Tbp1の予測アミノ酸配列は、エイ. プレウロニューモニアエTfbAの配列との相同性の程度が低い。この結果は、 サザン・ハイブリダイゼーション実験によって確認され、それは、エイ.プレウ ロニューモニアエ株CM%およびショップ4074から得られた染色体DNAが 、低緊縮条件下でのみtbpAプローブとハイブリダイズすることを示した。こ のことは、両方の細菌がパステューレラセアエ(Pasteurellacea e)網に属し、そしてしたがって、類似のトランスフェリン結合タンパク質を有 することが予測されるので興味深い。先行の研究は、2つのタンパク質が、機能 的に類似であるが、構造的に異なっていることを示唆した。エイ.プレウロニュ ーモニアエ中のTfbAタンパク質は、脂質タンパク質であることが示された( Gonzalezら、1990年)が、一方100kDaのP.Haemoly tica A1 Tbp1はそうではない(OgunnariwoおよびSch ryvers(1990年))。エイ.プレウロニューモニアエは、鉄飽和およ び鉄枯渇トランスフェリンの間を区別することができる(Gerlachら、1 992年a)が、一方でエヌ.メニンジチジスは、できない(Tsaiら、19 88年)。エイ.プレウロニューモニアエTfbAは、N.gonorrhoe ae Tbp2と相同性を示すことに注目することは興味深く、それは、脂質タ ンパク質でもある。これは、TfbAタンパク質が、Tbp2と類似性であり、 そしてエイ.プレウロニューモニアエのTbp1はまだ同定されていないことを 示唆する。 c)TonB依存性受容体タンパク質 P.Haemolytica Tbp1配列は、大腸菌TonB依存性受容体 タンパク質の群に共通するアミノ酸も有する。この知見は、P.Haemoly tica A1がこのファミリーに属し、そしてTonBの相同性はパステウレ ラ種に存在することを示唆する。第一の相同なドメインあるいは「TonBボッ クス」は、受容体タンパク質およびTonBの間の直接的相互作用で関与してき た(Bellら、1990年、Brewerら、1990年)。他の相同な領域の 重大性は知られていないが、TonB相互作用について要求されうるか、または 外側膜の局在性に必要でありうる。多くの他のTonB依存性タンパク質のよう にP.Haemolytica Tbp1は、鉄を制御され、そして鉄利用に 関与している膜内外タンパク質である(MietznerおよびMorse、1 994年)。P.Haemolytica Tbp1は、大腸菌FepAについ て提案されてきたのと同じゲートで制御されたチャンネルとして機能することが 可能である(Rutzら、1992年)。N.gonorrhoeae(Corn elissenら、1992年)およびエイチ.インフルエンザエ(Jaros ikら、1994年)の両方から得られるTbp1も、TonB依存性受容体タ ンパク質のファミリーに属する。V. P.Haemolytica鉄摂取のために提案されたモデル ナイゼリア、パステウレラおよびヘモフィルス(Haemophilus)中 の多くの類似のタンパク質の存在は、共通の機構が鉄の取得に利用されうること を示唆する。鉄の取得の仮説的モデルが、P.Haemolytica A1に ついてのモデルとして使用されうるナイゼリア(Chenら、1993年)につ いて提案された。鉄の遮断は、Fur様制御系による鉄制御タンパク質の転写を 活性化する。宿主のトランスフェリンは、2つまたはそれ以上のタンパク質を包 含する特異的な鉄受容体複合体を介して細菌細胞の表面に結合する。鉄は、トラ ンスフェリンから除去され、そしてTonBによって提供されるエネルギーを有 する細菌の外側膜を越えて移送される。周縁質では、鉄は、それを細胞膜パーミ アーゼに移送する周縁質構成成分Fbpに一時的に複合化される。鉄は、周縁質 結合タンパク質移送系によって細胞膜を越えて移送される。細胞質では、鉄はF e2+に還元され、そして細胞によって同化される。 P.Haemolytica A1鉄摂取に特徴的でありうる1つの特徴は、 受容体複合体の一部を形成できる第三の鉄制御された外側膜タンパク質(71k Da)の存在である(OgunnariwoおよびSchryvers、199 0年)。さらに、P.Haemolyticaは、SDS−PAGEおよびエレ クトブロッティング後にトランスフェリンを結合する能力のある受容体タンパク 質を有しない一方で、N.gonorrhoeaeは有する(Schryver sおよびMorris、1990年)。これは、P.Haemolytica受 容体複合体の結合機構がN.gonorrhoeaeで受容体複合体よりわずか に異なりうることを示唆する。 N.gonorrhoeae Fbpに類似するタンパク質は、パステウレラ ・ファミリーに同定された。エイチ.インフルエンザエで、40kDa周縁質タ ンパク質が同定され、そしてそのN末端配列は、N.gonorrhoeae Fbpに81%相同であることが分かった(Harknessら、1992年)。 P.Haemolytica A3では、35kDa周縁質の鉄制御タンパク質 が記述されているが、機能は分かっていない(Lainsonら、1990年)。 さらに、37kDa鉄制御タンパク質は、P.Haemolytica A1か らアフィニティー手段によって単離された(OgunnariwoおよびSch ryvers、1990年)。寸法および所在の類似性に基づいて、これらのタ ンパク質の両方がN.gonorrhoeae Fbpに類似であることは可能 である。VI.T7タンパク質発現 大腸菌JM109(DE3)中のTbp1遺伝子産物のT7 RNAポリメラ ーゼ依存性産生は成功しなかった(図13)。1つの可能な説明は、tbpAの リボソーム結合部位が不十分であったことでありうる。遺伝子は、おそらく機能 的なリボソーム結合部位を担持するベクターにクローン化できた。すなわち、T bp1タンパク質は、不安定であり、そして正確に産生されるためにはその他の タンパク質または因子の存在を必要とする。ヘテロ二量体タンパク質の成分は、 単独に合成される場合に、しばしば不安定である。VII.ウエスタン免疫ブロッティング分析 ウエスタン免疫ブロッティングは、鉄の十分なまたは鉄限定の条件下で育成さ れたP.Haemolytica A1細胞から得られる内側および外側膜画分 で行われた(図14および15)。鉄限定条件は、培地中の鉄の利用を限定するの に使用される一般の合成鉄キレート剤である鉄キレート剤EDDAを加えること によって模擬実験された。EDDAは、鉄に対するその特異性、および細菌に対 する毒性の副作用を欠くことのためにこれらの研究に選択された(Neilan ds、1981年)。 溶解性抗原に対するウサギの抗血清で免疫染色されたP.Haemolyti ca A1膜画分は、鉄制御タンパク質と反応しなかった(図14)。おそらく (ウサギの過免疫に使用される)元のP.Haemolytica A1培養物 が鉄制限条件下で育成されなかったので、100kDaまたは77kDa鉄制御 タンパク質のいずれも、このイムノブロットでは観察されなかった。使用された 培地は、血清タンパク質の抗体の混入を避けるために7%血清を含有した。対照 的に、鉄制御タンパク質でありうるペプチドは、登録商標プレスポンス(Pre 640で後期対数期まで育成されたP.Haemolytica A1細胞から 製造される(ShewenおよびWilkie、1987年;Shewen、1 988年)。この培地の鉄濃度が低いことがトランスフェリン結合タンパク質の 産生を誘導することは可能である。その子ウシが、鼻咽頭内の共生生物であるP .Haemolyticaによって生成されたトランスフェリン結合タンパク質 に応答することも可能である。トランスフェリン結合タンパク質に対する抗体の 存在は、これらのタンパク質が免疫原性であることを示唆する。 実施例2 細菌株:この研究に使用される細菌株は、表2に例示される。P.Haemo lytica株h173、h174およびh176は、肺炎パスツレラ症に罹っ た反芻動物から野外で分離され、そしてフランス国リヨン(Lyon,Fran ce)、ロン・メリウズ(Rhone Merieuz)のFrank Mil ward博士、によって提供された。P.Haemolytica株h44−h 46は、アルバータ、エアードリエ(Airdrie、Alberta)、ベター リナリ・アンド・ラボラトリー(Veterinary Laboratory )のS.Lundberg博士から入手したウシ肺炎から得られたウシの臨床タ イプA1単離物である。h44は先に記載された(26)。P.Haemolyt ica株h93−h97は、サスカトーン(Saskatoon)、ベターリナリ ・アンド・インフェクショス・ディジーシズ・オーガニゼーション(Veter inary and Infectious Diseases Organi zation)(ブイアイディーオー、VIDO)のA.Potter 博士から得られたウシ肺炎から得られたウシの臨床タイプA1単離物である。株 h98−h107も、エイ.ポーター博士から得られたエイティーシーシー(A TCC)P.Haemolytica株(5)である。アクチノバシルス(Ac tinobacilllus)(ヘモフィルス(Haemophilus))・ エクリ(equuli)株h50は、アルバータ、エアードリエ(Airdri e、Alberta)、ベターリナリ・アンド・ラボラトリー(Veterina ry Laboratory)のJane Pritchard博士から入手し た。新種P.trehalosi(34)。 表 2 この研究に含まれる株のリスト 育成条件:全細菌株は、−70℃で、30%グリセロールで凍結保存された。凍 結保存物から得た分離物をチョコレート色寒天平板に線状接種し、そして5%C O2インキュベータ内で37℃でインキュベートした。鉄制限成長は、2μg/ mlチアミン モノホスフェートおよび3μg/mgニコチンアミド アデニン ジヌクレオチド(NAD)で補足され、鉄キレート剤エチレンジアミンジヒドロ キシフェニル酢酸(EDDHA、シグマ(Sigma))を最終濃度100μM で含有するブレインハート融合ブロス(BHLディフコ・ラボラトリーズ(Di fco Laboratories))またはオレイリー・ニーブン(O’Re illy Niven)ブロス(25)中で細菌を育成することによって達成さ れた。鉄源として様々なトランスフェリンを使用することについての成長試験が 、先に記載されたとおりに行われた(26)。 トランスフェリンおよび誘導体の製造:ウシのトランスフェリンは、シグマから 入手した。ウマ(馬)、ヒツジ(羊)およびヤギ(山羊)トランスフェリン(2) の製造、トランスフェリン30%または100%飽和に導く鉄、およびトランス フェリンに対する西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ(HRP)の抱合は、先に基本 的に記載されたとおりである。ウシ、ヒツジ、ヤギおよびウマトランスフェリン (HRP−dTf、HRP−oTf、HRP−cTfおよびHRP−eTf)の 抱合体の製造の際に、HRPおよびトランスフェリンの混合物を、化学的抱合の 後ゲル濾過にかけた。最大の活性を示す画分を貯め、塩析しそして適量を凍結し −70℃で保存した。固相結合アッセイ :固相結合アッセイは、先に記載された方法から基本的に誘導 された(32)。アリコート量の無傷の細胞懸濁液または粗総膜標品をニトロセル ロース/セルロース酢酸膜(HA紙、マサチューセッツ州ベッドフォード(Be dford、MA)のミリポア・コーポレーション(Millipore Co rporation))の上にスポットで加え、そして乾燥後、HA紙を5%脱 脂乳(保護溶液)を含有する緩衝液で保護した。トランスフェリン結合アッセイ に関して、その紙を450ng/mlのHRP抱合トランスフェリンを含有する 保護溶液にさらし、基本的に先に記載(32)したとおり、HRP基質混合液で 洗浄し、展開させた。無傷の細胞によって抗−受容体抗体の結合の評価として、 第一の結合溶液が1/1000希釈の抗−TbpAおよび抗−TbpB抗血清を 含有すること以外は同様の手段が利用され、そして洗浄後、膜を、1/3000 希釈のHRP抱合ヤギ抗ウサギ抗体標品を含有する第二の結合溶液にさらした。 トランスフェリン結合タンパク質(TbpAおよびTbpB)のアフィニティー単離 :ウシ、ヒツジ、ヤギおよびウマのトランスフェリンは、製造者の指示に従 って、3.5mg/mlの鉄飽和トランスフェリンを含有する溶液を用いて、個 別にCNBr活性化セファロース(Sepharose)4Bに結合させた。エ タノールアミンを添加することによって、活性化された基を保護した。10〜2 0カラム量の50mMトリスHCl、1M NaCl、6.0M塩酸グアニジン を含有するpH8.0緩衝液で洗浄することによって、非結合トランスフェリン を除去し、さらなる洗浄後、0.1Mクエン酸ナトリウム/0.1MNaHCO3 のpH8.6緩衝液を含有する5μg/mlのFeCl3を含有する溶液を用い て、結合トランスフェリンを鉄で再負荷した。 先に記載(32)されたとおりに作製されたP.Haemolyticaまた はエイ.エクリ(A.equuli)から得られた鉄不足の総ての膜(200m gタンパク質)を、1.0MのNaClを含有する50mMトリス(pH8.0 )中で2mg/mlに希釈した。EDTAおよびサルコシルを、それぞれ最終濃 度10mMおよび0.75%まで添加することによって、希釈された膜を可溶化 し、室温で、15−30分間、穏やかに振盪しながら混合液をインキュベートし た。溶液を10,000rpmで、10分間遠心分離して、不溶性破片を除去し た。可溶化膜を含有する上清を1.5×10cmトランスフェリンアフィニティ ーカラムにかけ、そしてその後、1.0MのNaCl、10mMのEDTA、0 .75%サルコシルを含有する50mMトリス(pH8.0)で激しく洗浄(少 なくとも10床量)して、非特異的に結合したタンパク質を除去した。低塩洗浄 条件を用いた実験で、洗浄緩衝液は、1MのNaClの代わりに100mMのN aClを含有した。いくつかの例では、0.2M塩酸グアニジンを含有する2− 3床量の洗浄緩衝液でのさらなる洗浄が、混入タンパク質を取除くのに必要であ った。 1.0MのNaCl、1mMのEDTA、0.01%サルコシルを含有させた 50mMトリス(pH8.0)中の2.0M塩酸グアニジン2−3床量をかける ことによって、トランスフェリン結合タンパク質(TbpAおよびTbpB)の 両者の共溶出達成した。50mMトリス(pH8.0)に対する迅速な塩析で溶 出液を収集した。より高濃度の塩酸グアニジンでさらに処理すると、通常は受容 体タンパク質の収量がさらによくはならない。TbpAおよびTbpBの個々の 単離は、それぞれ0.2、0.5、0.75、1.0.1.5、2.0および3 .0の塩酸グアニジンを含有する各緩衝液の2床量で連続溶出することによって 達成された。18時間かけて、3リットルの50mMトリス(pH8.0)を3 回交換して溶出物を塩析し、そして超濾過によって濃縮した。SDS−PAGE 分析後、0.5および0.75MグアニジンHCl溶出緩衝液から得られた画分 を、TbpBを製造するために集積し、そして1.5および2MグアニジンHC l溶出緩衝液から得られた画分を、TbpAを製造するために集積した。 分析的方法:タンパク質サンプルをSDS−PAGEによって分析し、先に記載 した(32)とおり銀染色を行った。ウエスタンブロット分析に関して、鉄欠乏 細胞から得られた約1−2.mの精製受容体タンパク質または40.mの外側膜 タンパク質を、10%ポリアクリルアミドゲルで分離した。一夜、15Vで、2 0nMトリス(pH7.5)、150mMグリシン、20%メタノールおよび0. 1%SDS中で、タンパク質を電気泳動的にニトロセルロース(マサチューセッ ツ州ベッドフォード(Bedford、MA)のミリポア・コーポレーション( Millipore Corporation))に移行させた。20mMトリ ス(pH7.5)中の0.5%脱脂乳、500mMのNaCl(TBS)で、3 0分間室温でろ紙を保護した。保護溶液中で1/300希釈の適切な抗体を、1 時間、室温で、そのろ紙にかけ、次にTBSで2回10分間洗浄した。1/30 0希釈の二次抗体(バイオラッド(BioRad)から入手したヤギの抗−ウサ ギIgGセイヨウサワビ・ペルオキシダーゼ抱合体)を1時間、室温で結合させ た。抱合体を3回、10分間のTBS中の洗浄で除去し、HRP−基質混合物を 用いて展開させた。受容体の特異性の比較: 先行の研究は、反稠動物の種々の病原性細菌種から得られるトランスフェリン 受容体によって種々の反稠動物トランスフェリン(すなわち、家畜(ウシ)、ヒツ ジおよびヤギ)に対する特異性に差異を示した(38)。これは、おそらくリガン ド結合に関与する受容体タンパク質の領域の差異に反映され、したがって、これ らの領域が、反芻動物の病原についての広範な特性を有するトランスフェリ ン受容体基剤のワクチンの基礎としての役割を果たすことができないことを示唆 する。しかし、種々のパステウレラ種のような関連の反芻動物病原の群が、交差 −保護的応答(cross−protective response)の世代 の基礎を提供できる共通のリガンド結合ドメインを有しうる可能性を排除するも のではない。したがって、代表的なパステウレラ単離体の集合から得られたトラ ンスフェリン受容体が、反芻動物の病原に対する同じ特異性を有するかどうかを 決定することは重要であった。 受容体特異性の予備分析として、成長のために鉄源として種々の反芻動物トラ ンスフェリンを利用するそれらの能力について、代表的単離物の集合を評価した (表2)。方法セクションで記述したサンプル平板アッセイを利用した。パステウ レラ・ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)および P.trehalosiの全ての代表的反芻動物の単離物の成長は、反芻動物( ウシ、ヤギおよびヒツジ)から得られたが、非反芻動物(ウマ)宿主から得られ たFe飽和トランスフェリンによって刺激された。ウマ・トランスフェリンによ るウマ病原体、アクチノバシルス・エクリ (株h50)の成長の刺激は、鉄源 としてウマのトランスフェリンを使用するP.Haemolytica株の無能 力は、生成での不足によるものではないことを示した。 表 3 異なったトランスフェリンでの増殖 受容体特異性のさらなる評価として、トランスフェリンの西洋ワサビ・ペルオ キシダーゼ(HRP)抱合体を利用する短結合アッセイによって無傷の細胞また は単離膜によってトランスフェリンの結合を評価した。抱合体は、ウシ、ヒツジ およびヤギのトランスフェリンから生成され、そしてその後、P.Haemol yticaおよびP.trehalosiの数種の代表的株の鉄欠乏細胞から単 離された全ての膜に対して結合する能力について試験した。結果は、全ての選択 株は、3つの反芻動物トランスフェリン(ウシ、ヤギおよびヒツジ)を結合する 能力はあるが、ウマのトランスフェリンを結合しないことを示し(図16)、これ は、成長の研究の結果と一致する(表3)。全ての3種の反芻動物トランスフェリ ンによって観察された結合が選択種での同じ受容体によることを確認するために 、未標識反芻動物トランスフェリンの活性がそれらの標識トランスフェリンの結 合を遮断する能力について試験される拮抗結合アッセイを行った。これらの実験 で、種々の反芻動物トランスフェリンによる相互阻害は、同等に有効であり、そ してそれらは類似のアフィニティーで同一の受容体に結合することが示された( データは示さず)。 成長および結合の研究の結果は、ウシ、ヒツジおよびヤギのトランスフェリン が、P.Haemolyticaでの鉄取得に関係した受容体構成成分と相互作 用する能力があることを示唆した。方法セクションに記載されるアフィニティー 手段は、ウシ、ヤギまたはヒツジのトランスフェリン−セファロース樹脂を使用 して反芻動物のトランスフェリンと相互作用するタンパク質を同定するのに使用 された。図17に示されるとおり、ウシ(レーンAおよびB)、ヒツジ(レーンC )またはヤギ(レーンD)トランスフェリンアフィニティーカラムを使用する場 合、およそ100,000分子量の優先的受容体タンパク質をウシ単離物(h4 4)、ヤギ単離物(h173)またはヒツジ単離物(h175)から得られた膜 製品で単離した。このタンパク質は、他の細菌病原で見られる同様のサイズの受 容体タンパク質に類似し(18、27,30、31)、それは、従来トランスフェ リン結合タンパク質1(Tbp1)と呼ばれてきた。代替名TbpAは、存在す る学名の慣習と一致していることが推奨された(12)。 およそ60,000分子量の第二のタンパク質は、ウシ単離物(h44)から 得た膜を用いて、反芻動物のトランスフェリンでアフィニティークロマトグラフ ィにより単離されたサンプルでも立証された(レーンB、CおよびD)。このタ ンパク質は、他の病原性細菌種(18、27、30、31)から単離される低分 子量受容体タンパク質であるトランスフェリン結合タンパク質2(Tpb2)と 比較できる。その理由として、上で言及されたとおり、代替名TbpBが推奨さ れてきた(21)。この分子量のタンパク質も、ヤギ(h173)およびヒツジ( h175)単離物で得られたほとんどのサンプルで予測可能であるが、この成分 の存在および収量は、単離の条件に敏感であった。これらの種で観察されるTb pA(Tbp1)に比較して特徴的に低収量のTbpB(Tbp2)は、細菌受 容体タンパク質の一般的な特性ではなく、そして関連の種から得られるTbpB の共通の特性に反響を及ぼしさえしうる。 ウマのトランスフェリン−セファロースがアフィニティー単離手段に使用され る場合、いずれのタンパク質も単離されず(レーンE)、それらの単離が特に反芻 動物のトランスフェリンの存在によることを示す。低緊縮洗浄条件が、アフィニ ティー単離手段の間に使用され、ウシ(h44)、ヤギ(h173)またはヒツジ (h175)が使用される場合、分子量およそ38,000および70,000 の追加のタンパク質は、アフィニティーカラムに保持された(レーンA)。分子 量およそ77,000の追加のタンパク質は、ウシ単離物から得られたサンプル で明らかでもあった。受容体タンパク質の免疫学的特性の比較 ウシ、ヤギおよびヒツジのトランスフェリンが同じ受容体に競合する観察は、 少なくとも受容体の結合ドメインに保存があることを示唆した。共通の免疫学的 エピトープの存在に関して類似性もあるかいなかを決定するために、他の単離物 から得られる受容体タンパク質との交差反応性を評価する1つの菌株から得られ る精製受容体タンパク質に対して、抗血清が生成された。TbpAおよびTbp Bのアフィニティー精製標品が、菌株h44から得られ(方法セクション参照) 、そしてウサギで単一特異的抗血清の発生のために使用した。その後、これらの 抗血清は、ウシ、ヒツジ、ヤギから得られた単離物を含めた異なるセロタイプの 代表的菌株から単離された受容体タンパク質に対して試験された。図18での結 果 は、パネルAが、代表的菌株からbTf−セファロースでアフィニティー単離し た全てから得た抗TbpB抗血清が分子量およそ60,000のタンパク質(T bpB)と強力に反応したことを示す。同様に、抗−TbpA血清は、全7つの 代表的菌株TbpAと交差反応した(図18、パネルB)。反芻動物単離物(表2 )のさらなるセロタイムについてのこの分析の拡張は、両方の受容体タンパク質 との考慮すべき交差活性を示し続けた(データは示さず)。これらのデータは、両 方の受容体タンパク質が、ウシ、ヒツジおよびヤギで肺炎パスツレラ症起こす種 々のセロタイプのP.Haemolyticaの間で保存されることを示唆する 。 図18に例示される免疫学的交差反応性が、様々の種から得られた受容体タン パク質中の保存エピトープがあること、これらのエピトープのいずれかが細菌表 面で露出されるかどうかを示すものがないことを示し、ここでそれらは、宿主の 免疫イフェクター機構についての効果的な標的として働くことができた。この問 題を解決するために、無傷の細胞によって抗受容体抗体の結合を評価するのに個 相結合アッセイが使用された。このアッセイは、ウシのタイプA1単離物の選択 が試験される場合に、鉄欠乏下であって、鉄十分な条件でない下で細胞の成長に よる強力な結合があることを示す(データは示さず)。様々のセロタイプのヒツジ 単離物の選択が試験される場合、反応性の変動程度があった(図19)。タイプA のP.Haemolytica株の他のセロタイプ(h98およびh105、図 19)は、抗−TbpAおよび抗−TbpBに対する考慮すべき反応性が示され た。対照的に、Tタイプ株(P.trehalosi、h99、h100および h106)が、抗−受容体抗血清の両方に対してわずかに非常に弱い反応性を示 した。しかし、標識化bTfによる弱い結合もあるという事実は、この実験に使 用された鉄欠乏成長条件下で受容体タンパク質を限定的に生成することを示す。 したがって、抗−受容体抗血清の反応性の欠如は、これらの種から得られた受容 体タンパク質中の表面露出の交差反応性エピトープの欠如に貢献できない。 実施例3 タイプA1株から得られるトランスフェリン受容体遺伝子のクローニング 以下の材料および方法が、実施例で記載された研究に使用された。 <材料および方法>細菌、プラスミド、ファージおよび培養条件 :P.Haemolyticaおよ び大腸菌株は、発明者の実験室集合体から得た。pBR322中のP.Haem olytica A1 DNAのプラスミドクローン・バンクは、記載されてい る(Loら、1985年)。P.Haemolytica A1 DNAを含有す る1つのクローン・バンクは、G.Weinstockから得た。P.Haem olytica A1株H196は、ザ・ベターリナリ・アンド・インフェクシ ョス・ディジーシズ・オーガニゼーション(the Veterinary a nd Infectious Diseases Organization) (ブイアイディーオー、VIDO、カナダ国サスカチワン、サスカトーン(Sa skatoon、Saskatchewan、Canada)から得た。全細菌 株は、30%グリセロール中、−70℃で凍結保存させた。凍結保存から得た単 離物を、チョコレート(P.Haemolytica )またはルリア−ベ タ ニ(Luria−Bertani)足す抗生物質(大腸菌)寒天平板に線状接種 し、そして5%CO2インキュベーター中で37℃でインキュベートした。 PCR増幅:PCRのプライマーをアプライド・バイオシステムズ・モデル(A pplied Biosystems Model)390E合成機で合成し、 製造者の指示に従って精製した。推奨されるとおり、PCR共試薬およびTaq DNAポリメラーゼを使用して、パーキン−エルマー・シータス(Perkin −Elmer Cetus)480サーマル・サイクラー(Thermal C ycler)内の薄い壁面の500ml試験管でPCRを行った。PCR条件は 、95℃で2分間、さらに続けて30サイクルの変性、アニーリングおよび拡張 をそれぞれ95℃(1分間)で、52℃(1分間)で、そして72℃(2分間) で行うことを包含する。テンプレートDNAを含有しない陰性対照が、各PCR 操作に含まれた。ゲノムのtbp領域のマッピング :P.Haemolytica A1から得ら れたゲノムDNAは、多くの制限酵素で消化され、アガロースゲル電気泳動によ って分離され、ニトロセルロース膜にブロットされ、そして記述されたとおりt bpAまたはtbpBの様々な領域に特異的なDNAプローブでハイブリダイズ した。制限マップは、組換えプラスミド並びにtbp遺伝子の正確な位置を確定 する配列領域から得られたものと比較された。トランスフェリンおよび誘導体の生成 :ウシのトランスフェリン(bTf)は、 シグマ社(Sigma)から得られた。どこか他に記載されている手段に従って 、アポ形態のbTfが生成された(MazurierおよびSpik、1980 年)。簡潔には、bTfは、0.1M 酢酸Na、0.1Mリン酸Naおよび2 5mMのEDTA中で0.5−1.0%の濃度に溶解し、そして濃氷酢酸を滴下 することによって(pH5.5)に調整した。その溶液を一夜4℃で平衡化し、 そして酢酸Na/リン酸Na低pH緩衝液で平衡化したアクリルアミドゲル・カ ラムを使用して鉄は除去された。50mMトリス−HCl(pH7.5)で平衡 化したアクリルアミドゲル・カラムを使用して低pH緩衝液を交換した。最終的 に、タンパク質をアミコン(Amicon)濾材を用いて濃縮した。bTfのN −およびC−末端誘導体を記載のとおり生成した(YuおよびSchryver s、1994年)。簡潔には、80mgのConA精製bTfを、40mlの0 .1Mトリス−HCl(pH8.2)、25mMのCaCl2中で、室温、20時 間2mgプロテイナーゼKで消化した。反応を中止するために、フッ化フェニル メチルスルホニル(PMSF)を0.1mg/mlまで添加した。5mlの濃厚 製品を、50mMトリス−HCl(pH8.0)で平衡化されたセファデックス (Sephadex)G−100カラムにかけ、N−片およびC−片画分を50 mM酢酸Na(pH6.9)、1mM CaCl2、1mM MgCl2、1mM MnCl2に対して塩析し、そして(bTfのグリコシル化C−片を結合するが 、N−片は結合しない)ConA−セファロース・カラムにかけた。直前に記載 された緩衝液で洗浄したカラムからの溶出物は、N−片含有画分として保持され た。C−片含有画分を、0.2Mメチル−a−D−マンノピラノシドを含有する 同様の緩衝液を使用して溶出させた。C−片およびN−片画分の両方を、50m Mトリス−HCl(pH8.0)に対して塩析させ、超濾過によって濃縮し、そ してアリコート量で70℃で凍結した。組換え受容体タンパク質の発現 :適切な組換えプラスミドを担持する大腸菌株( D H5αF/TbpBおよびDH5αFのためのpCRIIPHtbpB/Tbp AのためのpCRIIPHtbpA)を、0.2%マルトースおよび150mg /mlアンピシリンを含有する50ml LB−ブロス・スターター培養基を接 種するのに使用した。数時間、37℃で育成した後、培養基を、同じ培地1リッ トルを開始OD6000.05まで接種するのに使用した。いったんOD600が0. 4に達したら、グルコースを4mg/mlまで添加し、そしてOD600が0.7 −0.8に達するまで育成した。その時に、MgSO4を10mMまで、そして CE61ファージの1010pfu/ml懸濁液100mlを添加した。細胞培養 基をさらに2時間、37℃で、インキュベートし、その後遠心分離で回収した。 細胞ペレットを、アフィニティー、SDS−PAGE、およびウエスタン・イム ノブロット分析単離用の5mlの氷冷50mMトリス−HCl(pH8.0)、1 M NaClに再懸濁した。 トランスフェリン結合タンパク質のアフィニティー単離および分析的方法:製造 者の指示にしたがって、3.5mg/mlの鉄飽和bTfを含有する溶液を使用 して、ウシのトランスフェリンを、CNBr−活性化セファロース4B(ファル マシア(Pharmacia))と結合させた。活性化された基は、エタノール アミンを添加することによって保護した。10から20カラム量の50mMトリ ス−HCl、1M NaCl、6.0M塩酸グアニジンを含有するpH8.0緩 衝液で洗浄することによって、非結合トランスフェリンを除去した。さらに50 mMトリス−HCl(pH8.0)で洗浄した後、結合トランスフェリンに、0 .1Mクエン酸ナトリウム/0.1M NaHCO3(pH8.6)中に5mg /mlのFeCl3を含有する溶液を用いて鉄で再負荷した。再度50mMトリ ス−HCl(pH8.0)で洗浄した後、アフィニティー実験に使用される前に bTf−セファローズ樹脂を、50mMトリス−HCl(pH8.0)、1M N aClで予め平衡化し、50mMトリス−HCl(pH8.0)/1M NaC lに再懸濁させた組換えプラスミドを含有する大腸菌細胞を、20mM EDT A、2%サルコシル中に可溶化し、そして2時間、室温でインキュベートした。 混合液を8000rpm(4℃)で、15分間遠心し、そして可溶化受容体を含 有する上清を注意深く分留した。上清を50mMトリス−HCl(pH8.0)、 1M NaCl緩衝液で4回希釈し、そして同じ緩衝液で希釈した以下のトラン スフェリンの各々の過剰量(1mg/ml)と一緒に室温で、30分間予めイン キュベートした。鉄負荷bTf、山羊またはヤギのトランスフェリン(cTf)、 羊またはヒツジのトランスフェリン(oTf)、およびヒトのトランスフェリン( hTi);アポ−bTf;C−片bTf;およびN−片bTf。緩衝液のみを陽 性対照試験に加えた。予備インキュベーション後、上清を、予め50mMトリス −HCl(pH8.0)、1M NaClで平衡化したbTfセファロースカラム にかけ、そして室温で15分間インキュベートした。各カラムを、少なくとも1 2カラム量の50mMトリス−HCl(pH8.0)、1M NaCl、10mM EDTA、0.5%サルコシルで激しく洗浄し、さらに0.05%サルコシル のみを含有するものの10カラム量で洗浄して、非特異的に結合したタンパク質 を除去した。50mMトリス−HCl(pH8.0)、0.5M NaClで、最 終洗浄を行った。 非還元条件および非結合下で2×SDS−PAGEサンプル緩衝液の1床量を 加えることによって、組換えTbpBの溶出を達成した。樹脂を含む混合物を、 微量遠心機で、13,000×gで5分間、遠心した後、各溶出剤(上清)を回 収した。各上清(溶出剤)のアリコート量をさらに、SDS−PAGEにかけて 、イムノビロンPVDF(ミリポール)膜(一夜、15Vで、20mMトリス(p H7.5)、150mMグリシン、20%メタノールおよび0.1%SDSで)に エレクトロブロットした。50mMトリス−HCl(pH7.5)中の0.5% 脱脂乳、500mM NaCl(TBS)で、室温で30分間、膜を保護した。 保護溶液中の1/1000希釈の抗−TbpB血清を、1時間、37℃で、その 膜にかけ、さらにTBSで2回10分間洗浄を行った。1/3000希釈の二次 抗体(ヤギ抗−ウサギIgG−西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体)を1時間3 7℃で、結合させた。TBS中で3回、10分間洗浄によってこの抱合体を除去 し、そしてHRP−基質混合物(クロロ−ナルトール/H22)を用いて展開さ せた。N−末端アミノ酸配列分析 :アフィニティー精製され、そして順次溶出されたT bpAおよびTbpBのサンプルを、SDS−PAGEにかけ、簡潔にクーマシ ーブルー(Coomassie Blue)で染色されたPVDF(イムノビロ ン−P、ミリコアIPVH00010)膜にエレクトロブロットし、そして個々 のタンパク質バンドを含有するストライプを、N−末端アミノ酸配列分析用の膜 から切り取った。抗−TbpAおよび抗−TbpB単特異的ウサギ血清の製造 :塩析および濃縮後 アフィニティー手段での適切な画分から得られたP.Haemolytica株 H44から得られるおよそ500mgの精製TbpAおよびTbpBを、フロイ ント完全アジュバントと混合し、そして2匹の白色ニュージーランド・ウサギに それぞれ筋内注射した。2回、3週間のインターバルで同量の抗原とフロイント 不完全アジュバントでそのウサギに増強した。最終増強後2週間、血液を回収し 、ドット−ブロット装置でドットアッセイを用いて、期待される抗原に対する血 清力価を測定した。力価が不十分であれば、さらに増強し、力価が十分であれば 終了した。H44から得られるTbpAおよびTbpBに対する血清の特異性は 、二次抗体としてHRPに抱合されたヤギ抗−ウサギIgGを使用して、SDS −PAGEおよびウエスタン・イムノブロットによって試験した。期待どおり、 TbpAおよびTbpB抗血清の両方が、株196から得たTbpAおよびTb pBとそれぞれ交差反応した。ヌクレオチド配列分析 :tbp領域をシーケンシングする2つの別々の攻略法が 、採用された。1つのアプローチは、第一に組換えプラスミドからM13ベクタ ーに断片をサブクローニングすること、そしてその後ベクタープライマーを用い て、ジデオキシ鎖停止法により製造された実質的に単離された一本鎖DNAをシ ーケンシングすること含む。限られた数の場合に、クローン化挿入から生じる配 列に基づいて、オリゴヌクレオチドプライマーを合成し、クローン化挿入を完了 するために使用した。この分析で、ヌクレオチド配列は、許諾され、プステル( Pustell)プログラム(アイビーアイ(IBI))によって分析された。 代替アプローチは、第一に染色体DNAから得られるPCR増幅によって得ら れた成功したクローン化挿入の配列決定を含む。オリゴヌクレオチドプライマー は、進行中の配列分析に基づいて合成された。PCR増幅産物は、pCRIIク ローニングベクター(インビロゲン(Invirogen))にクローン化され た。合成オリゴヌクレオチド、蛍光色素標識ジデオキシヌクレオチドトリホスフ ェート・ターミネーター、およびTaqポリメラーゼでのサイクルシーケンシン グを用いたオリゴヌクレオチドプライマー指向性手段によって精製された組換え プラスミドを用いて、二本鎖DNAシーケンシングが行われた。配列反応産物を 、アプライド・バイオシステムズ(ABI)モデル373A自動蛍光シーケンサ ーで分析した。連続シーケンシング操作から得られた結果を比較し、そして複合 配列を、SeqEdプログラムを用いて、クロマトグラフィの比較によって決定 した。この配列を、Mac−DNASISプログラムを用い、一本鎖シーケンシ ングによって得られた配列に連続で比較した。さらに、3つの読取り枠全ての予 測タンパク質配列を、数種の異なる種から得られたTbpsの整列配列と比較し て、この配列を分析した。この分析によって同定された不確な任意の領域は、繰 返し配列分析を行った。 <結果> トランスフェリン受容体遺伝子をクローニングする。P.Haemolytic aのトランスフェリン受容体遺伝子のクローニングを増大するために、抗−受容 体血清およびN−末端アミノ酸配列を得た。P.Haemolyticaのセロ タイプのA1株(H44)から得られたアフィニティー精製受容体タンパク質、 TbpAおよびTbpBでウサギを免疫化することによって、モノ特異的抗血清 を得た。精製された天然H196TbpAのエレクトロブロットされた産物のア ミノ酸配列分析は、読取り可能な20のアミノ酸(図20の頂部)を回収する。 精製TbpBを用いた類似の分析は、全配列情報を提供するのに失敗し、このタ ンパク質のN−末端が保護されている可能性があることを示唆する。 P.Haemolyticaの所望のコドン使用表(tbpAプライマー02 3、表4)に基づいて、精製TbpBの8つのアミノ酸の配列がオリゴヌクレオ チドプライマーの設計に使用された。このプライマーは、P.Haemolyt icaのプラスミド・バンク(Loら、1985年)から得られるtbpA遺伝 子の一部のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅用の2つのベクタープライマー (RL2およびRL3、表4)のいずれかと組合せて使用された。ベクタープラ イマーRL2および023を用いて、800bpPCR産物を得て、そして予測 アミノ酸配列が、N−末端アミノ酸配列に一致し、他のTbpAタンパク質と相 同性を示す配列を含んでるので、配列分析によりその確実性を認証した。クロー ン化PCR産物を、エンドヌクレアーゼ消化H196P.Haemolytic a染色体DNAを限定するサザン分析のための、そしてプラスミドバンクのスク リーニングのためのハイブリダイゼーションプローブとして使用した。サザン分 析は、プラスミドバンクから得られたクローン化挿入物と比較するためのtbp 領域での染色体DNAの制限マップを提供した。 表 4 オリゴヌクレオチドプライマー 最初に、2つの強力なハイブリダイズコロニーは、大腸菌のクローンから同定 された。プラスミドp**(クローン9)は、下流領域に隣接したtbpA遺伝子 のほとんどを含むが、別の染色体遺伝子座(図20でfis)から得られるDN Aと融合された9kb挿入物を含有した。二次プラスミドp**(クローン10) は、第一にtbpA遺伝子の5末端周囲にある1.2kb挿入物のみを含んだ。 プラスミドpRYCL9中の人工的結合部は、髄膜炎菌性tbpB遺伝子のク ローン化を試みながら、同様の人工産物を暗示し、そして遭遇した確実な困難さ (23)は、P.Haemolytica tbpB領域をクローニングする重 要な代替攻略法を迅速する。1つの攻略法は、他の種tbpB遺伝子が、tbp A遺伝子の上流にある(19、20、23)ということと、期待されるTbpB の予測配列の、短い伸縮物のアミノ酸同定があるという観察に基づいていた。T bpBsのカルボキシル基末端の側の保存アミノ酸配列は、TbpA遺伝子の残 り、遺伝子間領域およびtbpB遺伝子の3’末端の一部を得るために変性オリ ゴヌクレオチドプライマー(プライマ−192、表4)を設計するのに使用した 。このプライマーは、H196染色体DNAから得られる700bp断片を増幅 するtbpA遺伝子の5末端から配列に基づいたプライマー(プライマー088 、表4)と組合せて使用した。この挿入物から得られる配列は、PCR増幅のた めの公知TbpBsのリーダーペプチド領域に存在する保存アミノ酸配列に基づ いた変性オリゴヌクレオチド(オリゴ190、表4)と組合せて使用されるtb pB遺伝子の3’末端の確実な配列(プライマー199、表4)に基づいたオリ ゴヌクレオチドプライマーの設計を可能にした。H196染色体DNAがテンプ レートとして使用される場合に結果として得られた2.4kbPCR産物は、t bpB遺伝子の確実な3’末端を含んだ。このPCR断片がpCRIIベクター にクローン化され、そしてT7プロモーターを利用する発現試験に使用される場 合、無傷組換えTbpBは、リボソーム結合部位およびtbpB遺伝子の開始が 挿入物の範囲内に含まれることを示しながら、生成される。 第二の攻略法は、PstI消化pBluscriptプラスミドがPstI消 化H196染色体DNAにライゲートされ、tbpB遺伝子の3’末端から得ら れるプライマー(オリゴ199、表4)およびそのベクターから得られるM13 逆向プライマーを利用するPCR反応用のテンプレートとして利用される定着し たPCRを利用する。得られた3.5kb産物を、全tbpB遺伝子および考慮 すべき量の隣接の上流領域(図20でORFおよびRNaseT)を含有するプ ラスミドを産生するPCRIIベクターにサブクローン化した。 さらに、発現ベクターにtbp遺伝子をサブクローン化することは、その遺伝 子の5および3末端に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCR増 幅および適切な制限部位の混在に関与した。tbpA遺伝子を増幅するための1 対のプライマー(プライマー349および256、表4)は、予測リボソーム結 合部位(rbs)のすぐ上流にBamHIおよびBgIII部位を導入すること に関与し、その結果外因性プロモーターの蓄えが元来のrbsの存在により発現 するに違いない。代替5プライマー(255、表4)は、開始コドンでのNde I部位の導入に関与し、その結果リボソーム結合部位を適切な位置に供給するp T7−7発現ベクターにクローンすることが可能であった。発現試験がtbpB 遺伝子の開始の定義的な同定を遂行するので、サブクローン化tbpB遺伝子は 、上流シーケンシングプライマー(プライマー352、表4)およびNcoI部 位に隣接した確実な3末端を含むプライマー(プライマー350、表4)による PCR増幅によって得られた。 トランスフェリン受容体遺伝子の特徴:図20に例示されるとおり、tbp遺 伝子は、tbpA遺伝子の上流側に位置するtbpB遺伝子を伴ったオペロン配 列にあるように思われる。配列比較分析では、tbpB遺伝子は、その配列が大 腸菌およびエイチ.インフルエンサエから得られるRNaseTに高度に一致す るタンパク質をコードする開放読取り枠(ORF)によって進行されることを示 した。このORFは、インフルエンサエおよびビブリオ・パラヘモリチカス(V ibrio parahaemolyticus)で同定された仮説的タンパク 質に考慮すべき同一性を示すタンパク質をコードする別のORFによって直に進 行された。tbpA遺伝子の下流は、その配列がエイチ.インフルエンザエおよ び大腸菌から得られるファクター−フォー−インバージョン(factor−f or−inversion)刺激(FISタンパク質−組換えエンハンサー)タ ンパク質に70%同一であるタンパク質をコードするORFである。これは、ト ランスフェリン受容体タンパク質遺伝子オペロンの境界を効果的に区別し、そし てこの鉄摂取経路に関連したすぐ隣接する遺伝子がないことを示す。 相同なRNaseTをコード化するORFの末端と、潜在的なリボソーム結合 部位を有するtbpB遺伝子の開始の間に420bp領域があり、プロモーター 部位および制御部位は全て最後の62塩基対内に存在する(図20)。残りの3 58bp介在領域は、おそらくRNaseT遺伝子の転写停止シグナルおよびt bpオペロンの制御に潜在的に関与した配列を含みうる。推定プロモーター領域 は、大腸菌s70−35および−10プロモーター領域の共通塩基のそれぞれ5 /6および6/6を含む。 先行の研究は、P.Haemolyticaトランスフェリン受容体タンパク 質の発現が、培地中で利用できる鉄のレベルによって制御されることを示した( 26)。tbpBプロモーターの−10部位をオーバーラップする推定Furボ ックスの同定は、鉄による制御がP.HaemolyticaでのFur相同体 の作用によって、転写のレベルにありうることを示唆する。推定Furボックス は、大腸菌Fur結合部位共通配列と同一な12/19塩基を有した(Litw inおよびCalderwood、1993年)。 tbpBおよびtbpA遺伝子の間に、tbpA遺伝子の上流に推定リボソー ム結合部位を含有するが、明らかなプロモーターはない96bp遺伝子間領域が ある。さらに、この領域に明らかな転写ターミネーターはない。tbpAの下流 で、遺伝子停止コドンおよびFIS相同体をコードする遺伝子の停止コドンは、 明らかな転写ターミネーターのない98bp領域である。 セロタイプA1のP.Haemolytica株H196から得られたtbp A遺伝子領域の配列分析は、予測分子量106,921Daを示すタンパク質を コードする2,790bpのORFを明らかにした(図22)。残基28での推 定シグナルペプチド切断部位が、成熟タンパク質の公知N末端アミノ酸配列との 比較によって確認された(図22の頂部)。TbpAの予測アミノ酸配列は、エ ヌ.メニンジチジス(23)、N.gonorrhoeae(8)、エイチ.イ ンフルエンザエ(20)およびアクチノバシルス・プレウロニウモニアエ(19 )から得たTbpAの配列と比較された。これらのタンパク質の間の同一のアミ ノ 酸(太宇下線の施されたアミノ酸、図22)の所在を、Tommassenによ って予測されたモデル(28)に基づいたこれらのアミノ酸セグメントの適切な トポロジーと比較した。ほとんどの同一アミノ酸は、短い膜内外βシートに対応 する領域に、または膜内外区分にすぐ隣接する内部および外部ループのセグメン トに密集していることは明らかである。P.Haemolytica TbpA に出た外部ループ4、6および7にシスチンの保存対、そしてループ10に特徴 的なシスチン対があることに注目することは興味深い。これらは、外部ループに 構造上の安定性を付与するジスルフィド架橋を示しているようである。 セロタイプA1のP.Haemolytica株H196から得られたtbp B遺伝子での配列の分析は、予測分子量63,419Daを示すタンパク質をコ ードする1,752bpのORFを明らかにした(図23)。TbpBのこの予 測タンパク質配列は、エヌ.メニンジチジス(23)、N.gonorrhoe ae(1)、エイチ.インフルエンザエ(20)およびアクチノバシルス・プレ ウロニウモニアエ(14)から得たTbpBの確立された配列と比較された。こ の予測アミノ酸配列は、18のアミノ酸リーダーペプチド、成熟タンパク質の予 測N末端アミノ酸としてシスチンを有するシグナルペプチダーゼII認識配列を 包含する。他の種(14、24)で脂質化されたと示されたN末端シスチンの存 在は、このタンパク質のN末端アミノ酸配列を得る能力がないことを説明でき、 そして外側膜にそのタンパク質を留める第一の手段としての役割を果たしうる。 最近、Gerlachら(36)によって同定されたエイ.プレウロニウモニア エTbpB(TbpA)の推定結合領域に配列された領域は、二重下線によつて 示した。 いくつかの短い収縮した同一のアミノ酸を含むアミノ酸配列の全長に見られる いくつかの相同性の領域があることは明らかである(図24)。より詳しい調査 により、そのタンパク質のN末端とC末端部分にある領域の間にいくらかの相同 性があることが明らかになり、トランスフェリンについて観察されたものと類似 のそのタンパク質に生じる二葉構造がありうることを示唆した。したがって、配 列YKGYW(aa185−189)およびYRGTW(aa449−453) ,FTADFANK(aa237−244)およびFDVDFVNK(aa48 0 −487)、GNRFSG(aa276−281)およびGNGFGG(aa5 13−518)、およびLEGGFFG(aa300−306)は、そのタンパ ク質のN末端およびC末端の等価な位置に連続した伸縮な相同性のアミノ酸を示 す。組換え受容体タンパク質の発現および分析 。無傷のtbpBおよびtbpA遺伝 子を、H196染色体DNAからPCR増幅し、そして組換えタンパク質を生成 するための発現ベクターにサブクローン化した。tbpB遺伝子の発現で開始の 試みのために、サブクローン化したtbpB遺伝子を、上流側プライマー(35 2、表4)およびNcoI部位にいって隣接された確実な3末端を含むプライマ ー(350、表4)でPCR増幅によって得た。PCR増幅断片が、pCRII ベクターにサブクローン化されると、全ての5つの得られたクローンは、同じ方 向性;T7プロモーターの下流側およびlacプロモーターの反対方向にある。 lacプロモーターは、多くのコピー数のベクターに固く制御されていないので 、この結果は、大腸菌での挿入物の発現が反対に選択できることを示唆する。い ったんこの領域の配列が利用可能になれば、プライマー352は、RNaseT のすぐ上流にあるように見えるようになり、そしてしたがって、この遺伝子また はtbpB遺伝子のいずれかの発現は、選択的圧力に対応し得た。T7プロモー ターからのTbpBの発現は、T7RNAポリメラーゼをコードするCE6λフ ァージに感染させることによって完了された。感染の2時間後、TbpBについ て予期する分子量を有するタンパク質が、明らかであり、このタンパク質は、エ レクトロブロティング後抗−TbpB抗血清と反応した。 TbpBタンパク質を発現する無傷の細胞を免疫化することによって、標識ウ シトランスフェリン(bTf)の予測可能な結合があり、そしてこのレベルの結 合は、先に細胞を超音波処理しても目立った増加をしなかった(データは示され ず)。これは、異種起源の大腸菌系で適切な加工として解釈でき、そして細胞表 面にTbpBを引き込むことができるが、外部タンパク質抗原の過発現により外 側膜の無欠性の中断は、同等にもっともらしい説明である。予備的結合の研究は 、機能のあるTbpBタンパク質は、産生されるものであることが示唆され、そ してさらなる分析は、そのタンパク質の機能的特性の評価を可能にし、そして天 然 の受容体複合体の特性を予め特徴づけるのに貢献することを確認するかもしれな いことを示していた。したがって、粗膜は、TbpBを発現する細胞から作製さ れ、その結合特性を評価するために設計されたアフィニティー単離試験に使用し た。これらの試験は、組換えTbpBが、固定化bTfによってアフィニティー 単離される能力があることを示し、そしてこの単離は、過剰のウシ、ヒツジまた はヤギTfによって阻害dされる可能性があり、これらの反芻動物Tfsの3つ つベクターTbp2に効果的に結合する能力を示した。ヒトのトランスフェリン ならびにアポ−bTfは、鉄負荷bTfを固定化することによって、組換えTb pBのアフィニティー単離を阻害しなかった。このアッセイは、bTfのN片お よびC片の両方が、固定化bTfに対する組換えTbpBの結合を有効に保護す ることも示した。 tbpA遺伝子を発現するために、予測リボソーム結合部位を維持する1セッ トのプライマー(オリゴ349および256、表4)を用いてPCR増幅を行っ た(図21)。PCR産物をpCRIIベクターにサブクローン化した後、(T 7RNAポリメラーゼをコードする)CE6ファージで感染させた後は、組換え TbpAは発現しなかった。クローンのうちの1つの配列分析は、リボソーム結 合部位を排除する数種の塩基対の削除を示した。255および256プライマー (表4参照)を用いたPCRから(最適に位置決めしたリボソーム結合部位を提 供する)pT7−7ベクターのNdeI部位へtbpA遺伝子をサブクローン化 する他の反復試験は、不成功であった。 <考察> パステウレラ・ヘモリチカ(26)内のトランスフェリン受容体の存在を示す 初期の研究では、単一受容体タンパク質(TbpA)のみが、他の種で2つの受 容体タンパク質(TbpAおよびTbpB)を回収したアフィニティー法によっ て単離された(32)。したがって、成長の間にウシのトランスフェリンから鉄 を利用する能力(26)および反芻動物トランスフェリンの特異的結合(39) は、この受容体タンパク質によっておおいに介在されると当初推定された。ウシ のトランスフェリンの反応領域がC片(41)にあることを示した続く研究では 、TbpAの収量は、TbpBのものよりはるかに上回っていたが、2つの受容 体 タンパク質(TbpAおよびTbpB)は、修飾アフィニティー法によって単離 された。したがって、観察された受容体の結合特性は、いずれの受容体によるも の、そして特にTbpBにはよらないものと結論的に考える可能性はなかった。 tbp遺伝子のクローニングおよび組換えTbpBの発現は、その結合特性を 特に評価することができた。これらの研究は、TbpBは、それが数種の反芻種 から得られたTfsを特異的に結合するとき、天然の受容体複合体(TbpAお よびTbpB)と同様の宿主特性を有することを示した。対照的に、天然の受容 体複合体とは違い、組換えTbpBは、bTfのN端ならびにC端で結合決定基 を認識することができ、それは先の研究(YuおよびSchryvers、19 94年)で、TbpAおよびTbpBの間の相互作用は、bTfのN端に結合も するTbpBの能力に干渉しうることを示唆した。 P.Haemolyticaから得られる固定化膜(TbpAおよびTbpB )を用いた拮抗的結合アッセイでは、モラクセラ・カタラリス(Moraxel la catarrhalis)(YuおよびSchryvers、1993年 )を除くほとんどの他の細菌種に見られてきたもの(Blantonら、199 0年;32;Tsaiら、1988年;32、37)と同様の鉄負荷またはアポ 形態のbTf(30)になんら明らかな優位性はなかった。本研究では、組換え TbpBは、鉄負荷形態のbTfに強力な優位性を明確に示した。このTbpB の優位性は、生体内での有効な鉄の摂取を増す上で機能的な関連性を示しうる。 実施例4 組換えTbp2および真正Tbp1のワクチン能 トランスフェリン−結合タンパク質Tbp1およびTbp2は次の様な理由か ら魅力的な対象である: a)トランスフェリンから鉄を得ることは細菌の生存に必須であるらしいため 、、これら抗原に対する抗体反応を防御の獲得を防御すべきである。 b)Tbp1とTbp2をコードする遺伝子は各種のP.haemolyti ca A1単離体で保存されていると思われる。 本研究は組換えTbp2と真正Tbp1単独および組み合わせた場合のワクチ ン能をP.haemolytica摂取実験モデルを用いて試験するものである 。 <方法> Tpb1とTpb2タンパク質はそれぞれP.hemolyticaと組換え 大腸菌外膜からここに記載の標準的方法によるアフィニティークロマトグラフイ ーを用いてアフィニティー精製した。ワクチンは妥当なミネラルオイルをベース としたアジュバント(VSA3)を用いて調製したが、各投与単位容積2ccあ たりの各抗原含有量は:Tpb2は45mg;Tbp1は、単独で使用する場合 には85mg、Tpb2と組み合わせた場合には100mgであった。更に、上 記抗原に替えて滅菌希釈液を含むプラセボのワクチンを調製した。試験は、5グ ループで行われ、接種10日前にTbp2で1回免疫した1グループとTbp2 ,Tbp1+Tbp2、プラセボもしくはTbp1で2回免疫を受けた各グルー プが含まれる。初回と2回目の免疫の間隔は3週間であり、ワクチン接種は全て サザンサスキャチェワン(Southern Saskatchewan)の農 場で行った。ワクチンは皮下に投与された。接種およそ10日前に動物をサスカ トーン(Saskatoon)に移しVIDO研究施設で飼われた。Tbp1投 与グループのみ6頭であり、他の全てのグループの動物数は10頭であった。こ のTbp1グループは初めには計画されておらず、Tbp1自体の防御能を調べ るために後で加えられた。また、Tbp2処方で免疫されたウシ1頭がワクチン 接種とは無関連の病気の徴候を示したため試験から除外した。ワクチングループ の比較を表5にまとめた。 表 5 ワクチン群の組成 ワクチン群 抗 原 免疫関作 動物数/群 1 Tbp2 1回 9 2 Tbp2 2回 10 3 Tbp1&Tbp2 2回 10 4 Placebo 2回 10 5 Tbp1 2回 6 まずウシにおよそ2.5×106PFU/mlを含むウシヘルペスウイルス− 1株108の懸濁液に暴露し呼吸経路を通じて接種し、その4日後におよそ5× 108CFU/mlを含むP.haemolyticaのエアゾールを用いて呼 吸経路を通じて接種した。獣医と動物保健技術者が毎日動物を調べ、次のデータ を記録した:体重、体温、鼻スコア、元気さ、力強さ、呼吸の具合と病気。これ ら判定項目の内体重と体温以外のものは0−4のスケールでスコア化した。 ワクチン投与に対する血清反応は酵素結合免疫吸着アッセー(ELISA)を 用いて測定した。血清サンプルは第一回と第二回目の免疫化とBHV−1に暴露 した日に採取した。力価はバックグランド値に2倍の標準偏差を加えた値に等し い最適密度が得られた希釈倍率の逆数で表した。Tbp1,Tbp2およびP. haemolyticaロイコトキシンに対する反応を測定した。後者の試験は 動物が当該生物に自然の状態で暴露しているかを調べる目的の診断試験の意味も ある。 <結果> a)ワクチン投与に対する反応:使用したいずれの処方のワクチンの投与につい ても副作用を示す例はなかった。ワクチン投与に対する血清学的反応はTbp1 、Tbp2およびP.haemolyticaロイコトキシンに対する血清抗体 レベルを測定するELISAを用いて測定した。後者の抗原は該細菌に対する自 然暴露によって力価が上昇した動物がいないことを確認するために実施した。各 抗原に対する力価は表6に示し、ロイコトキシンに対する力価は第一回のワクチ ン投与時(採血1)、第二回めのワクチン投与時(採血2)および暴露時(採血 3)いずれでも同等であった。3,000以下の力価を持つ動物は清浄であると 考えた。興味深いことに、Tpb1抗原に対して有意にセロコンバートとした動 物はなかった。別の生物より得たTbp1を利用している研究者の経験より、期 待力価は低くいことが想定されたが、抗体レベルに有意な増加が認められないこ とは想定外であった。Tpb2を投与されたグループは全てワクチン投与に対し て良く反応した、そしてTbp1+2を投与されたグループの力価はTbp2グ ループの力価のはおよそ1/2であるが、その差は有意ではない。 表 6 ワクチンに対する血清学的反応 第一回の免疫時(採血1)、第二回めの免疫時(採血2)およびウシヘルペス ウイルス−1による暴露時(採血3)に採取した血清サンプルを利用してロイコ トキシン、Tbp1とTbp2に対するELISA力価を決定した。力価は陰性 コントロールに2標準偏差値を加えた値に等しい希釈率の逆数で表した。 b)死亡率:実験疾患モデルの通常状態下での死亡率は60−70%と計算され ている。しかし、本試験での死亡率は上記通常死亡率に比べ高く、それはおそら く暴露後の期間中動物が極端に低い温度に曝されたことによるものと思われる。 低温通常は−40℃域にあり、全ての動物は試験中は野外で飼った。グループ別 の死亡率を表7に示し、有意な予防効果を示したグループはTbp1とTbp2 の両方を投与されたグループだけであった。Tbp2単独投与での死亡率は50 %であり、Tbp1投与では100%であったのに比べると有意である。Tbp 1だけで免疫したものには効果は認められなかった。 表 7 試験の間に観察された群の死亡率ワクチン群 死亡率(%) Tbp2(1dose) 78 Tbp2 50 Tbp1&2 10 プラセボ 90 Tbp1 100 c)病気の臨床徴候:グループ別の臨床結果を表8にまとめた。表8には、P. haemolytica感染前である4日目の結果も含め、試験全日の臨床結果 が含まれている。従って、ワクチンの防御能は4日目から10日目の結果だけに 基づき決めた。本試験期間中の死亡率が高かったことは、測定した全ての臨床パ ラメータで観察された差が統計的に有意でなくなるほど各グループのサイズを小 さくしてしまう効果があった。しかし、明らかにTpb1とTbp2の両方を投 与されたグループでは、第5日から7日にかけては殆どのカテゴリーのスコアー が低値であった。Tpb2で2回免疫化されたグループだけが生存例で病気の臨 床徴候に低下が見られたが、併用して免疫化したグループ程では無かつた。Tb p1がどれだけ予防に役立つかは、当該抗原に対していずれの抗体反応も見られ なかったことから現時点では不明である。 d)死亡後の結果:試験中死亡した動物全てについて死体解剖を行った。いずれ の死亡例でもP.haemolyticaが肺から培養され、観察された病理所 見はP.haemolyticaによる繊維素肺炎の病理所見に一致した。 <結果> P.haemolyticaTbp1とTbp2を含む処方による2種類のワ クチン投与が実験的ウシ肺炎感染を有意に予防した。Tbp1についてはいずれ の血清反応も求められなかったことから、この予防にどれだけ関与しているかは 明らかではない。本効果は細胞介在免疫反応によるものだろう。 Tpb2を2回投与し免疫化すると有る程度の予防効果が得られ、そしてこの 抗原量を増やしたり、あるいはアジュバントの種類を変えてワクチン処方を試す ことでこの効果をさらに強くすることができるだろう。Tbp2に対する免疫反 応が併用ワクチンに見られた予防効果の大部分であると考えられる。 Tpb2の1回投与あるいはTbp1の2回投与によるワクチン化については 、実験感染に対して何らの有益効果も認められなかった。 表 8 群毎の平均臨床スコア。動物に対して、第0日にBHV−1を抗原投与し、第4 日にP.ヘモリティカを抗原投与した。実施例5各種反芻動物血清型から得たトランスフェリン受容体の比較 ウシ、ヒツジ、およびヤギから単離された様々な血清型のPasteurel la hemolyticaとP.trehalosi株について、反芻動物ト ランスフェリンとの結合と成長へのトランスフェリン鉄の応用について分析した 。本試験の最終目標は、様々な宿主種のトランスフェリン受容体の主要型を決め 、様々な反芻動物トランスフェリンに対する特異性について検討し、ウシのシッ ピング熱やヒツジやヤギの肺炎や子羊の敗血症の原因である株の表面受容体に、 抗原性上の関連性があるのかを決めることである。 <材料>細菌株 .本試験に使用した細菌株を表9に示した。P.haemolytica の臨床型A1単離株(h93−h97)(9)およびウシ肺炎の代表的ATCC 株(h98−h107)はDr.Andrew Potter,VIDO、サス カトーン(Saskatoon)より提供された。肺炎パスツルラ菌感染症に感 染したヤギより野外単離されたP.trehalosi株h174はDr.Fr ank Wilward,ローヌメリュー社(Rhone Merieux)、 リオン(Lyon),フランスより提供された。ウシ肺炎より単離されたウシ臨 床型A1単離体であるP.haemolytica株h44は既に記載されてい る(26)。h196株はDr.Lo,Guelph大学、オンタリオ(Ont ario)、カナダ(Canada)より提供された。 表 9 バクテリアの株、血清型及び起源 増殖条件.全ての細菌は30%グリセロール中に−70℃で保存した。凍結保存 からの単離体をチョコレート寒天プレートに線状接種し、5%CO2インキュベ ーター内にて37℃でインキュベートした。細菌を脳心臓インフュージョンブロ ス内(BH1、Difco Laboratories)あるいは3.0g/m lのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を加え、さらに鉄キレー ト剤であるエチレンジアミンジヒドロオキシフェニル酢酸(EDDA,Sigm a)を最終濃度100M含むO’Reilly−Nivenブルスで増殖して鉄 制限培養した。各種トランスフェリンを用いた増殖実験を前記(26)に従い実 施した。トランスフェリンとその誘導体の調製 .ウシトランスフェリンはシグマ(Sig ma)社より得た。ヒツジ(ヒツジ)およびヤギ(ヤギ)トランスフェリンの調 製や30%もしくは100%飽和度の鉄を負荷したトランスフェリン(Herr ingtonら.1985)およびトランスフェリンの西洋ワサビパーオキシダ ーゼ(HRP)標識体(37)の調製法は前記に同じである。ウシ、ヒツジ、お よびヤギトランスフェリン標識体(HRP−bTf、HRP−oTfおよびHR P−gTf)の調製では、HRPとトランスフェリン混合液を化学標識してから ゲル濾過した。最大活性を示す分画を集め、透析してからその一部を凍結して− 70℃に保存した。トランスフェリン結合アッセー 。トランスフェリンの固相結合アッセーは前記( 32)と同じに実施した。膜もしくは濃縮溶出液をHA紙(ミリポール社(Mi llipore Corporation),マサチューセッツ州ベドフォード (Bedford、MA)上にスポットしてから0.5%スキムミルクでブロッ クした後、外紙を450ng/mlのHRP−標識化トランスフェリンを含むブ ッロキング液に曝した。洗浄してからHRP基質混合液で発色させるインキュベ ーションは前記(32)に本質的に同じである。トランスフェリン結合タンパク質のアフィニティー単離 .ウシ、ヒツジおよびヤ ギのトランスフェリンをそれぞれ、メーカー取扱説明書の支持に従い3.5mg /mlの鉄飽和トランスフェリンを含む液を用いてCNBr−活性化セファロー ス4Bに結合した。未結合のトランスフェリンをカラム容積の10から20倍量 の6.0Mグアニジン塩酸を含む50mM TrisHCl、1M NaCl、 pH8.0の緩衝液を用いて取り除き、さらに洗浄した後に結合トランスフェリ ンに5mg/mlFeCl3を含む0.1M クエン酸ナトリウム/0.1M NaHCO3、pH8.6の緩衝液を含む液を用いて鉄を再負荷した。 前記(32)に従い調製したP.aemolyticaあるいはP.treh alosiの鉄欠乏全体膜を1.0M NaClを含む50mM Tris p H8.0で2mg/mlの濃度に希釈した。希釈膜はEDTAとサルコシルをそ れぞれ最終濃度が10mMと0.75%になるように加え、さらにこの混合液を 室温で15−30分ゆっくりと振りながら反応させて溶解した。この液を10, 000rpmで10分間遠心単離して不溶性の分解物を取り除いた。溶解膜を含 む上清を1.5cm×10cmのトランスフェリン−アフィニティーカラムにか け、それから1.0M NaCl、10mM EDTA、0.75%サルコシル を含む50mM Tris pH8.0でよく洗浄して非特異に結合したタンパ ク質を除去した。塩濃度を下げた洗浄条件で行った実験の場合、1MのNaCl の代わりに洗浄緩衝液には100mMのNaClが含まれている。さらに汚染し ているタンパク質を除くために0.2Mのグアニジン塩酸を含むベッド容積の2 −3倍の洗浄緩衝液での洗浄が必要な場合もあった。 2種類のトランスフェリン結合タンパク質(TbpAとTbpB)は1.0M NaCl、1mM EDTA、0.01%サルコシルを含むベッド容積の2−3 倍量の2.0Mグアニジン塩酸の50mM Tris pH8.0溶液を利用す ることで一緒に溶出することができた。溶出液を集め、直ぐに50mM Tri spH8.0に対して透析した。上記以上の濃度のグアニジン塩酸処理を行つて も通常は受容体タンパク質の収量を上げることはなかった。0.2、0.5、0 .75、1.0、1.5、2.0および3.0グアニジン塩酸をそれぞれ含む、 2ベッド容積の各緩衝液を利用して段階的に溶出することで、TbpAとTbp Bをそれぞれた単離できた。この溶出液を3リットルの50mM Tris p H8.0に対し、18時間中に3回交換しながら透析し、限外濾過により濃縮し た。SDS−PAGE分析により、0.5と0.75Mグアニジン塩酸溶出緩衝 液の分画にはTbpBだけが含まれていることが判明し、従ってこれらをTbp B調製用として一つに集め、1.5Mと2Mのグアニジン塩酸溶出緩衝液分画を TpbA調製用として一つに集めた。抗TpbAおよび抗TpbB単独特異的ウサギ血清の調製 .上記に従い調製した P.haemolytica株h44より精製したTpbAあるいはTpbBお よそ500μgをフレンド完全アジュバントと混合してから2匹の雌の白色のニ ュージランドウサギに筋肉内投与した。ウサギを3週毎に2回当量の抗原をフレ ンドの完全アジュバントと一緒にして免疫し、最後の免疫から2週後に免疫血清 を採取した。TbpAおよびTbpBに対する血清の特異性はSDS−PAGE を行った後に受容体タンパク質とHRP標識したヤギ抗ウサギIgGを二次抗体 に用いたイムノブロッティングにより調べた。分析方法 .タンパク質サンプルは既に報告した(32)通りにSDS−PAGE 後銀染色して解析した。ウエスタンブロット解析を行うために、鉄制限細胞から 得たおよそ1−2μgの精製受容体タンパク質もしくは外膜タンパク質40μg を10%ポリアクリルアミドゲル上で単離した。タンパク質を電気泳動的に20 mM Tris、pH7.5、150mMグリシン、20%メタノールと0.1 %SDS中、15Vで一晩かけてニトロセルロース(ミリポール(Millip ore)、マサチューセッツ州ベドファード(Bedford、MA)に写し取 った。フィルターを、20mM Tris pH7.5、500mM NaCl の0.5%スキムミルク液(TBS)で室温で30分ブロックした。膜をブロッ キング液で1/1000に希釈した適当な抗体液に1時間室温で浸し、その後T BSで2回洗浄してから1/3000に希釈した二次抗体(BioRad社製西 洋ワサビパーオキシダーゼ標識したヤギ抗ウサギIgG)に曝した。標識抗体を 除いた後にTBSで3回洗浄してからHRP−基質混合液を用いて発色させた。 全細胞アッセーでは、鉄欠損もしくは鉄−添加(対照)細胞を直接HA紙上にス ポットした。HA紙を乾燥させた後、ブロッキング液で処理してからTBSで洗 浄し、それから前述の如くにして抗TbpAもしくはTbpB抗血清に対する反 応性を調べた。スポットされた細胞の対照セットをHRP−ウシトランスフェリ ンで1時間処理してからTBSで洗浄し、HRP−基質で発色させた。tbp遺伝子のPCR増幅と制限エンドヌクレアーゼ消化分析. P.haemo lyticaおよびP.trehalosi株より得たtbpAおyびtbpB の増幅はSarisらの方法(1990)により生細胞を用いて実施した。tb pAの増幅はオリゴヌクレオチドtpbA5’とtbpA3’(表2の#255 と#256)を用いて行った。オリゴヌクレオチド#401と#199(表10 )を用いてtbpBを増幅した。反応条件は94℃1分、45℃1分、74℃2 分を30回繰り返すものである。PCR産物は0.5XTBE緩衝液(45mM Tris−ホウ酸、1mMEDTA、pH8.3)による1%アガロースゲル電 気泳動で単離してから1mlあたり0.5mgのエチジウムブロマイドの入つた 上記緩衝液で染色した。Sau3A制限エンドヌクレアーゼ(Gibco BR L)消化するためにPCR産物をフェノールクロロフォルムに加えてからエタノ ールで沈殿させ、それからSau3Aで消化した。消化物は0.5×緩衝液中で 7.5%アクリルアミドゲルにかけてから上記アガロースゲル例で記載したのと 同一 方法により染色して分析した。 <結果>受容体結合の特異性 .これまでの研究で、病原性細菌から単離された代表単離体 のトランスフェリン受容体は様々な形でヤギ、ヒツジ、およびウシトランスフェ リンと相互作用することが示されている(YuとSchryvers 1996 )。従ってウシ、ヒツジ、およびヤギから単離したP.haemolytica とP.trehalosisの代表単離体(表9)について各種反芻動物トラン スフェリンとの相互作用について調べた。これらの株は全てウシ、ヤギ、あるい はヒツジトランスフェリンを成長の為の鉄源に利用している(データは示さず) 。固相結合アッセーでは(図25)、固定化した鉄欠乏細胞はこれら全てのトラ ンスフェリンと結合し、さらに入れ替え競合結合アッセーではこれら3種類のト ランスフェリンの細胞に対する結合阻止効率は等しかった(示されていない)。 さらにそれぞれ分子量が100Kdaと60KdaであるTbpAとTbpBは 、ウシ(図26、パネルA)、ヤギあるいはヒツジトランスフェリン(示されて いない)を含む固定化したアフィニティー樹脂を利用することで効率的に単離さ れた。これらの結果は、これらの関連した株のグループ内ではトランスフェリン −結合の特異性について差がないことを示している。トランスフェリン受容体タンパク質の免疫学的解析 .ウシ、ヤギ、およびヒツジ のトランスフェリンが同一受容体を巡って競合するという観察結果は、少なくと も受容体の結合ドメイン内に保存部分があることを示唆している。しかし、異な る血清型から得た個々の受容体タンパク質の間にどれだけ類似性があるのかにつ いては不明であった。この疑問に答えるために、TbpAとTbpBそれぞれに ついて、そしてその複合体に対する抗体を精製受容体タンパク質(ウシ株h44 から得たTbpAとTbpB)を用いてウサギで作成した。それからこれらの抗 血清を、ウシ、ヒツジそしてヤギから得た単離体を含む多様な血清型の代表株の 受容体タンパク質に対して試験した。 図26、パネルBの結果は、P.haemolytica血清型A1、株h4 4から得た精製したTbpAおよびTbpB受容体に対して作成した抗血清は同 様にして代表株から得た全ての精製受容体と強く反応することを示した。各種株 から得た受容体タンパク質の収率には幅があったことから(図26、パネルA) 、少数の株について見られた抗血清に対する若干の反応性の違いはこれが原因と 考えられた(図26。パネルB)。即ち、これらの結果より両型の受容体タンパ ク質は、ウシ、ヒツジ、およびヤギのパスツルラ菌感染症の原因であるP.ha emolyticaの各種血清型で保存されていることが示唆された。 この分析からトランスフェリン受容体タンパク質には交叉反応性エピトープが 存在することが示されたが、この交叉反応性エピトープが宿主免疫エフェクター 機構が到達可能な細胞表面にあるのか否かについては何らの情報を提供していな い。この疑問に答えるための第一段階として、様々な種から得た生きている鉄欠 乏細胞の単特異性抗受容体抗血清に対する反応性を調べた(図27)。これらの 実験はP.haemolyticaのA1型株から得たTbpAおよびTbpB に対して調製した単特異性抗血清はA1型株(h44とh196,図26、パネ ルB)や、その他のA血清型株(h98,h103,h105とh107)と反 応し、さらに幾つかのP.trehalosi株(h99,h100,h106 )にも弱く反応することを示している。h44株から得たTbpAとTbpBに 対して調製した単特異性抗血清は拡大したA1型株集団から得た鉄制限完全細胞 (データは示さず)と強く反応したが、その内の2株(h99とh196)につ いて図27に示した。その他のP.haemolyticaの血清型(h98, h103,h105,とh107)やP.trehalosi(h99,h10 0およびh106)との反応性には程度差があった。各種株において、標識した bTfで得られたシグナル(図27)抗−TbpAと抗−TbpB抗血清で得た シグナル(図27)との間に差が見られることは、生細胞で観察された活性は受 容体タンパク質に由来するものであることを示唆している。対照抗血清を用いた 時には活性が認められず(データは示さず)鉄欠損細胞では活性が低下している (図26、パネルC)こともこの結論を支持している。トランスフェリン受容体タンパク質遺伝子の遺伝子解析 .免疫学的研究を補う目 的で、P.haemolyticaとP.trehalosiの各種株のtbp 遺伝子について調べた。血清型A1株(28)のtbpA遺伝子について得られ た配列情報を用いて、特異プライマーを当該遺伝子の5と3末について調製した (プライマー#255と#256、表10)。これらのプライマーを用いること で試験した全ての株の遺伝子から完全なtbpA遺伝子が増幅できたが、h10 0株についてのみ常に収率が低かった。それから完全な遺伝子(h100株から のものを除く)をSau3A制限エンドヌクレアーゼで消化し、得られた断片を ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動により解析した。A1株(h44とh 196、図28、パネルA)に特有で、かつ調べた全てのA1型株で同一である パターンが観察された(データは示さず)。このパターンはその他のP.hae molyticaの血清型の多くにも(h105,h104,h98、図28) 存在していた。その他のA型株(h103とh107)やT株(h106とh9 9)で、一カ所の変化によると思われる1つ以上の断片が関係するパターンの変 化が観察された。 制限消化分析はA1単離体のtbpA遺伝子の違いを見つけることはできない 。従って、tbpA遺伝子間の変異を素早く、かつ簡便に調べるためには別の方 法を採用した。この方法は表面ループであると言われているTbpA(とLbo A)には、種間によるタンパク質のアミノ酸配列の違いを最も大きく反映してい る部分があることに基づいている(21とLegrainら.1996)。特に モノクローナル抗体との反応性より表面にあると考えられており(21)、2株 の髄膜炎菌と淋菌とH.influenzae株のTpbAを並べたときに最も 大きな違いが観察された(1:Loosemoreら.1996;Schryv ersとGonzalez1996)、大きなループであるとことが想定されて いる一つの領域がある。P.haemolyticaA1型の当該領域の既知ア ミノ酸配列(VEDTCPTLD)に基づきオリゴヌクレオチドプライマー(# 450,表10)を作成し、5特異的プライマー(#255,表10)と組み合 わせて様々な種類の株についてコロニーPCR増幅に用いた。図29のパネルA に記載の如く、このオリゴヌクレオチドペアーは、一緒に泳動されるバンドが殆 ど認められなかったh100株を除く全ての株で、強い緊縮条件下に800bp のPCR産物を増幅した。これらの結果は、P.haemolyticaとP. trehalosiの様々な血清型間ではTbpAの非保存的アミノ酸領域でも 有る程度の相同性があることを示している。 tpbB遺伝子の多様性を調べるために、まず遺伝子の5と3末端に特異的な プライマー(プライマー#401と#199,表10)を用いて様々な株から完 全な遺伝子を増幅してみた。これらのプライマーは調べた全ての株において完全 なtbpB遺伝子を容易に増幅した(表11)。制限酵素消化による分析からは 、調べた7種のA1株と(図28,パネルBのh44とh196参照)、その他 のグループに属する幾つかの株(h105,h104,h98)で同一の消化パ ターンが観察されることが示された。その他の株(h103,h107,h99 ,h106,図28,パネルB)では、そのパターンに極めて小さな違いだけが 観察された。この様なことから、変動領域に対するオリゴヌクレオヂドプライマ ーを用いたPCRに基づく方法を利用して、他の研究で発見されている変動領域 がP.haemolyticaでも多様性を示しているか調べるた。リバースオ リゴヌクレオチドプライマー(#397,表10)と5’プライマー(#401 ,表10)と組み合わせて、報告されているtbpB保存領域の外側を調べた( 26)。同様にしてその他の変動領域から得たフォワードプライマー(#400 )は3末端オリゴヌクレオチドプライマー(#199)と組み合わせて使用した 。T株の一つh99を除く全ての調べたA株およびT株について予想通りのtb pB部分産物が得られ(図29Bと表11)、当該遺伝子の5’と3’末端以外 だけでなく、その他の種において変動することが知られている多くの領域でも相 当の相同性があることが示された。 表10 オリゴヌクレオチドプライマー *関連遺伝子のコード鎖の向きに対する方向性 表 11 異なった血清型のパスツレラ・ヘモリティカ由来のtbpA およびtbpB遺伝子切片のPCR-増幅 キー: +=得られた対照(h196)に匹敵する、予想サイズの生成物 +/-=予想サイズだが、対照よりも著しく強度が弱い生成物 -=生成物は得られず <考察> 別の反芻動物より単離されたP.haemolyticaとP.trehal osiでもウシや、ヒツジや、ヤギのトランスフェリンから鉄を獲得できること が知られており(データは示さず)、これは反芻動物のトランスフェリンに特異 的に結合する表面受容体によって介在されると考えられている(Al−Sult anとAitken1984)。本研究で用いたP.haemolytica( 生物型A)とP.trehalosi(生物型T)株の集団には様々な血清型が 存在しており(表9)、このことは受容体介在の鉄獲得機構はこれらの種の中に 広く存在していることを示唆している。調べた株間にはトランスフェリン結合活 性の発現に関して幅があった。H.influenzae株でも、標識された宿 主トランスフェリンへ(HRP−hTf)の結合能力について同様の幅があるこ とが知られている(Robkiら、1993)。異なる株により成長特性が違う ことに、このことが部分的に関与しているだろう。しかし、結合アッセーが高い 感度と特異性を持つことから、調べた株の受容体活性の有無については明確に示 すことができた。 競合結合実験とアフィニティー単離実験からは、これら3種類の反芻動物トラ ンスフェリンとの相互作用が同じ受容体タンパク質を介して行われ、調べた株間 で相当の類似性があることが示された。この結論はTbpAとTbpBに対する 単特異的血清を利用した各種P.haemolytica株から得た受容体タン パク質に関する免疫学的解析によっても支持された(図26、パネルB)。この 血清学的解析では対象に生物型AとTに属する異なる血清型株が含まれていたこ とから、トランスフェリン受容体タンパク質が反芻動物のP.haemolyt icaの病原性単離体の間では確かに保存されていると考えられた。異なるP. haemolytica株の2種類の受容体タンパク質の間には明らかに免疫学 的交叉反応があるが、生体内ではこの交叉反応性には表面のエピトープが関与し ているだろう。全細胞/抗体分析を用いた予備的な結果からは(図27)この様 な表面エピトープの存在が示唆されている。いずれの株についても、全細胞/H RP−btfと全細胞/抗−Tpで、鉄欠損細胞では両反応とも反応性が大きく 低下するという共通の反応性パターン(図27)が観察されたことは、観察され た反応性は鉄で制御されたタンパク質に対するものであることを示唆している。 細菌種に対する効果的ワクチンを開発する上で、そのワクチンが感染細菌種の 多様な血清型/生物型に対してスペクトラムを持つということは重要なことであ る。N.meningitidisではTbpAタンパク質は比較的相同性が高 いが、この種に属する2つの科についてはその分子量と抗原特性からTbpBタ ンパク質に違いがあることが判明しており(18)、これら2つの科向けには異 なるTbpワクチンを処方しなければならない。 P.heamolytica、血清型A1ウシ株(26)の100Kdaのト ランスフェリン受容体タンパク質(TbpA)はSchryverとMorri s(32)のアフィニティー精製法を用いて同定した。方法の項に記載した如く 行った改良により当該方法によって、P.haemolyticaでは60Kd aのタンパク質が多の細菌種に於けるTpbB(32とRobkiら、1993 )に類似する第二のトランスフェリン結合タンパク質であることを示すことがで きた。アフィニティー精製法により、調べたP.haemokyticaとP. trehalosiの株すべてについて同様の分子量を持つTpbAとTpbB が単離された(図26、パネルA)。P.haemolyticaとP.tre halosiについて得た我々の結果は、血清型A1とh44株から得た2種類 の精製受容体タンパク質に対する抗血清がその他のA1株(h196,図26、 パネルB)や他のA血清型より得た受容体タンパク質を特異的に認識することを 示した。その中には鉄制御外膜タンパク質である35Ddaと70Kdaのタン パク質に対する回復期血清との反応性において他のA型とは異なっていることが 知られている(h107)血清型も含まれていた。T株とh99、およびh10 0から精製された受容体タンパク質の量(図26,パネルA)とその抗血清との 反応性(図26、パネルB)は、その他の多くのA株と比較した場合低いと思わ れた。このT株に対する抗体活性の低下は全細胞アッセ でも観察された(図2 7)。しかし、これら株の全細胞−抗体反応性が低下したことと、これらの株の HRP−bTfとの反応性が低下したことに一致性が見られた(図27)。この ことは、観察された抗−TbpAおよび抗−TbpB抗血清との反応性が低下し たことが、実験を行った時の標準増殖条件での受容体タンパク質の発現の差に拠 ることを示 唆している。 TbpAとTbpBタンパク質をコードする遺伝子、tbpAとtbpBは血 清型A1(ウシの肺炎性パスツルラ菌感染症の原因となる)では極めて保存性が 高く、さらに一般的にはこの高い保存性はA型(ヒツジやヤギに肺炎を起こす) までその範囲が拡がっている(図28)。制限酵素消化解析の範囲をP.tre halosi株まで広げたことによって、その違いが極めて小さいことを発見し た(図28)。特異的5’および3’オリゴヌクレオチドプライマーと超変異域 から得たプライマーを用いたPCR−増殖実験から(図29,表11)、tbp 遺伝子がP.haemolytica種とP.trehalosiでは比較的相 同であるとう結論が更に支持された。これらの結果はH.influenzae とN.meningitidisについて観察された違い(1およびKoose moreら)とは対照的であるが、さらに多数の血清型の代表株より遺伝子を単 離してその配列を解析してこれを確認する必要があるだろう。 tbp遺伝子に明確な遺伝的異質性が無いことと、様々なP.haemoly ticaとP.trehalosi株のTbpタンパク質に明確な免疫学的交叉 反応性があることは、反芻動物の感染防御の為の広域スペクトラムワクチンの可 能性があることを強調している。 本発明は好適な実施例と考えられる参考例にて記載されているが、もとより本 発明は開示した実施例に限定されるものではない。逆に本発明は添付した請求範 囲の精神と展望内にある様々な改良および等価の改変についても包含するもので ある。 本明細書中の刊行物、特許および特許出願の全ては、各刊行物、特許および特 許出願の夫々について、その全体が本願に組み込まれることが明示されている場 合と同様にして、その全体が本願明細書の一部として本願に組み込まれる。 〔明細書中で言及した参照文献の完全な引用〕 〔図面の詳細な説明〕 図 1: PCR分析の結果 a) PCR法の模式図。夫々の円は、組換え pBR322プラスミドおよび可能 なPCR反応を表している。Tbp1 プライマー、左側プライマーおよび右側プラ イマーは、夫々t、lおよびrの文字によって表されている。pBR322プラスミド 上のEcoRI部位は、文字Eで示されている。上方のプラスミドにおいて、Tbp1プラ イマーおよび左側プライマーは、太線に対応するPCR生成物を増幅するであろ う。同様に、下方のプラスミドでは、Tbp2 プライマーおよび右側プライマーに よって増幅されたPCR生成物が太線で表されている。 b) Tbp1 プライマーおよび左側プライマーにより増幅された 0.8kbのP CR生成物である。 図 2: tbpプラスミド9,10および482の制限エンドヌクレアーゼ地図。 白抜きのボックスは、リニアに示された pBR322。斜線を付したボックスは、リ ニアに示されたPCRII。TbpA およびtbpB の位置および向きは、矢印で示した 通りである。 図 3:P.ヘモリチカ tbpA および tbpB の予備的ヌクレオチド配列。推定 のシグナル配列開裂部位を矢印で示した。開始コドン(ATG)には下線を付し た。 図 4: P.ヘモリチカ tbpB(PHTBPB)のプロモータ領域。推定の Fur共 通配列は星印で示されている。N.ゴノロエア(N.gonorrhoeae)のtbpB(NGTB PB)およびN.メニンギチジス(N.meningitidis tbpN)の tbpB(NMTBPB)の F ur 共通配列も示されている。 図 5: P.ClaIで消化され且つ tbpA 遺伝子でプローブされた、ヘモリチ カゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション。レーン1〜16は、P.ヘモ リチカの血清型1〜16を表している。レーンMは、HindIIIで消化され且つ放 射能ラベルしたラムダDNAとハイブリダイズされた、分子量マーカーとしての ラムダDNAを表している。 図 6: P.HindIII および BamHI で消化され、且つ tbpA 遺伝子でプロ ーブされた、ヘモリチカゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション。レーン 1〜16は、P.ヘモリチカの血清型1〜16に対応する。分子サイズは左側に 示した通りである。 図 7: 種々の制限エンドヌクレアーゼで消化され、P.ヘモリチカ tbpA でプローブされた、A.スイス 3714、A.プリューロニューモニエ CM5 および ショープ4074のゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション。レーンMは、Hi n III で消化され、且つ別に放射能ラベルされたラムダDNAとハイブリダイズ された、分子サイズマーカーとしてのラムダDNAを表している。 図 8: A.プリューロニューモニエ CM5、ショープ4074およびA.スイス 3714における tbaA、tbpB 領域の制限地図。ライン1は、図15で用いたtbpA プローブを表している。ライン2は、図16および図17で用いた tbpAプロー ブを表している。 図 9: P.ヘモリチカ A1 のTbp1(PHTBP)、N.ゴノローエ(NGTBP1) およびN.メニンギチディス(NMI)の(Tbp1)のアミノ酸の整列。右側の数字 はアミノ酸の位置を示している。星印は、整列における完全な同一性を示し、ド ット印は同様のアミノ酸残基を示す。配列の整列を最大化するためにギャップが 導入されており、ダッシュ(−)で示されている。 図10: P.ヘモリチカ A1 の Tbp1(PHTBPI)とA.プリューロニューモ ニエ血清型1および7のTfb Aタンパク(APL,APL7)との間のアミノ酸の整列。 星印は、整列における完全な同一性を示し、ドット印は同様のアミノ酸残基を示 す。配列の整列を最大化するためにギャップが導入されており、ダッシュ(−) で示されている。 図11: P.ヘモリチカ Tbp1(PHTBP)、N.ゴノローエ Tbp1(NGTBPI) 、N.メニンギチディスの Tbp1(NMI)、並びにA.プリューロニューモニエ血 清型1および7のTfb Aタンパク(APL,APL7)の間の遺伝子的関連性を示す樹状 系統図。 図12: P.ヘモリチカ A1 の Tbp1(PHTBPI)と、大腸菌(E.coli)のTon B依存性外膜レセプターとの間のペプチド整列。星印は、整列における完全な同 一性を示し、ドット印は同様のアミノ酸残基を示す。配列の整列を最大化するた めにギャップが導入されており、ダッシュ(−)で示されている。 図13: P.ヘモリチカ Tbp1 タンパクの T7 分析。左側に示すように、分 子量は kDa でマークされている。レーン1は、組換えプラスミドの陽性対照。 レーン2は、tbpA を含有する組換えプラスミド。レーン3は、ベクタープラス ミドの pBluescript(SK)。 図14: P.ヘモリチカA1 および大腸菌 HB101 由来の内膜および外膜のウ エスタンイムノブロット。第一の抗体は、P.ヘモリチカ A1 の可溶性抗原に対 して生じたウサギ抗血清であり、第二の抗体はヤギ抗ウサギアルカリホスファタ ーゼ複合体である。レーンMは、kDa での分子量マーカーである。レーン1〜4 は外膜画分を表し、レーン5〜8は内膜画分を表す。6μgのタンパクを夫々の レーンに加えた。レーン1および5は、LT中で増殖した細胞由来の大腸菌タン パク。レーン2および6は、BHIB 中で増殖した細胞由来のタンパク。レーン3 および7は、BHIB+100μM EDTA 中で増殖した細胞由来のタンパク。レーン4お よび8は、1mM FeSO4を添加した BHIB+100μM EDTA 中で増殖した細胞由来のタ ンパク。 図15: 子ウシにプレスポンス(Presponse)Rをワクチン接種することにより 生成された可溶性抗原に対する血清を用いた、ヘモリチカ A1 および大腸菌HB10 1由来の内膜および該膜のウエスタンイムノブロット。第二の抗体は、ヤギ抗ウ シアルカリホスファターゼ複合体であった。レーンMは、kDa での分子量マーカ ーを表している。レーン1〜4は外膜画分であり、レーン5〜8は内膜画分であ る。6μgのタンパクを夫々のレーンに加えた。レーン1および5は、LT中で 増殖した細胞由来の大腸菌タンパク。レーン2および6は、BHIB 中で増殖した 細胞由来のタンパク。レーン3および7は、BHIB+l00μM EDTA 中で増殖した細 胞由来のタンパク。レーン4および8は、1mM FeSO4を添加したBHIB+100μM E DTA 中で増殖した細胞由来のタンパク。 図16: 鉄結合バクテリア膜による、ラベルされたトランスフェリンの結合 。示されたバクテリア株由来の鉄欠乏細胞から調製した全膜(4μgタンパク) のアリコートを、ニトロセルロース/酢酸セルロース上にスポットし、ブロッキ ングした後に、この紙を、示された 450 ng/mlのHRP-複合トランスフェリンを 含有する混合物に曝した。続いて、このフィルター洗浄し、方法の部に記載した HRP 基質混合物で現像した。H173、h174、h175、h176 および h44は、血清型お よび起源が表1に列記されている代表的なP.ヘモリチカ株、h50−A.エクリ( A.equuli)である。ウシ、ヒツジ、ヤギおよびウマのトランスフェリンのHRP-bTf 、-oTf、-cTfおよび-eTfH50-Hd)RP複合体。 図17: トランスフェリンのアフィニティーカラムを用いたレセプタータン パクの単離。アフィニティー単離実験は、P.ヘモリチカ株であるh44(上のパ ネル)、h173(中間のパネル)および h175(下のパネル)から調製した鉄欠乏全 膜を用いて行った。実験は、ウシ・トランスフェリン−セファロース(レーンA およびB)、ヒツジ・トランスフェリン−セファロース(レーンC)、ヤギ・ト ランスフェリン−セファロース(レーンD)またはウマ・トランスフェリン−セ ファロース(レーンE)を用い、方法の部で概説した標準の洗浄条件(レーンB 〜E)または低塩洗浄条件(レーンA)を用いて行った。2M グアニジン塩酸塩 を含有する緩衝液を用いてサンプルを溶出させ、濃縮し、方法の部で説明したよ うにしてSDS-PAGEおよび銀染色によりアリコートを分析した。 図18: ウシ、ヒツジおよびヤギに由来する異なった血清型のP.ヘモリチ カ由来のレセプタータンパクの免疫学的分析。代表的な血清型のP.ヘモリチカ 由来の精製されたレセプタータンパクのアリコートを SDS-PAGE にかけ、電気ブ ロットし、次いで、方法の部で説明したようにして特異的な抗 TbpB 血清(パネ ルA)または抗 TbpA 血清(パネルB)でプローブした。示された血清型をもっ た以下のP.ヘモリチカ株が分析に含められた。即ち、レーン1は株h44(A1);レ ーン2は株 h173(タイピング不能);レーン3は株 h175(A7)、レーン4は株 h176(A9);レーン5は株 h100(T4);レーン6は株 h106 (T10);レーン 7は株 h107(A11)である。左側の数字は、標準タンパクの分子量(×1000)を 表す。 図19: 完全な細胞による、ラベルされたトランスフェリンおよび抗レセプ ター抗体の結合。示されたバクテリア株を鉄制限条件下で増殖させ、遠心により 回収し、50 mM Tris HCl,150 mM NaCl,pH7.5緩衝液中における1-2のA600に再懸 濁させた。この懸濁液の A5μl のアリコートをHA膜に適用し、該膜を乾燥し 、ブロックし、次いでラベルされたトランスフェリン(HRP-BtF)また は抗レセプター抗体(抗 TbpA、抗 TbpB)を含有するブロック溶液に曝した。基 質を用いて現像する前に、後者の膜を洗浄し、続いてラベルされた抗体に曝した 。 図20: P.ヘモリチカの tbp オペロン(上)および調節配列(下)の地 図。TbpA および tbpBは、夫々 TbpA および TbpB をコードする遺伝子であり; pは tbpB に先行する推定プロモータ領域であり、下の-35部位および-10部位と して示した。推定の Fur ボックスは、下の配列に反対向きの二つの矢印で示さ れている;マスターTおよびfisは大腸菌およびH.インフルエンザRnaseトラン スフェラーゼおよび本発明因子のシミュレーションタンパクに対して夫々高度に 相同性であるタンパクをコードしているP.ヘモリチカ tbp オペロンに隣接し た、二つのORFsである。加えて、推定のリボゾーム結合部位またはシャイン -ダルガノ(SD)共通配列、転写開始コドン(Met)および停止コドン(SC)も太 字で示されている。 図21: P.ヘモリチカ株H196由来の tbpA 遺伝子のDNA配列。 図22: パスツレラ・ヘモリチカ株H196由来のTbpAの推定アミノ酸配列。 イタリックで記載したアミノ酸は、実験的に決定された成熟タンパクのN末端ア ミノ酸に対応する。中に引いた線で示される残基は、リーダーペプチド領域を構 成している。ナイセリア・メニンギチジス、N.ゴノローエ、H.インフルエン ザおよびアクチノバチルス・プリューロニューモニエ由来の TbpAs 中のものと 同一の残基は太字かつ下線で示されている。また、トマセン(Tommassen)(2 8)により提案されたトポロジーモデルに基づいて内部切片(暗い影)、膜間b 鎖(明るい影)または外部切片(影ナシ)として提案された領域が示されている 。 図23: P.ヘモリチカ株H196に由来する tbpB 遺伝子のDNA配列。 図24: P.ヘモリチカ株H196に由来する TbpB タンパクの予想アミノ酸配 列。イタリックで記載したアミノ酸は、成熟タンパクの推定N末端アミノ酸に対 応する。中に引いた線で示される残基は、リーダーペプチド領域を構成している 。相同性領域は影を付すことにより示されており、またナイセリア・メニンギチ ジス、N.ゴノロー一エ、H.インフルエンザおよびアクチノバチルス・プリュ ーロニューモニエ由来の TbpAs 中のものと同一の残基は太字かつ下線で示され ている。 図25: 固相 HRP-TF 結合試験。P.ヘモリチカおよびP.トレハローシの 同一の株から調製した全膜を酢酸ニトロセルローススポットし、HPR-bTf、-oTf 、または-gTf と共にインキュベートする前に、スキンミルクでブロックした。 方法の部で説明したようにして、クロロナフトール試薬を用いて結合を検出した 。左側の文字は株を示し、上の文宇は異なった HTP でラベルされた反芻動物ト ランスフェリンを示している。 図26: P.ヘモリチカ血清型 A1 に由来する抗 TbpA および抗 TbpB 抗血 清を用いたウエスタンブロット交差反応性の研究。示されたP.ヘモリチカおよ びP.トレハローシ由来のアフィニティー精製したレセプタータンパクを、SDS- PAGE および銀染色によって分離し(パネルA)、または方法の部で説明したよ うにしてウエスタンブロッティングにかけた(パネルB)。Tbpタンパクは、方 法の部で説明したようにして、抗 TbpB(1/1000)および抗 TbpA(1/1000)ウサ ギ抗血清の混合物と共にインキュベートすることにより同定された。左側の数字 は、キロダルトンでの標準タンパクの分子量(×1000)を表している。 図27: 完全な細胞に対するP.ヘモリチカ血清型 A1 由来の単一特異的抗 TbpA および抗 TbpB 抗血清を用いた交差反応性の研究。P.ヘモリチカおよび p.トレハローシの示された株由来の鉄制限された完全な細胞のアリコートを、 HAニトロセルロース紙にスポットし、ブロッキングした後に、この膜を HRPで ラベルされた bTf、抗 TbpA 抗血清または抗 TbpB 抗血清に曝した。続いて、方 法の部で説明したようにして、ラベルされた抗ウサギ抗体によって結合した抗体 を検出した。鉄が十分な細胞(h44-Fe+で示す)下で増殖させた完全なP.ヘモ リチカ株h44(A1GATA)細胞の標本を、膜にスポットして対照に用いた。 図28: P.ヘモリチカおよびp.トレハローシ株由来のPCR増幅された tbpA 遺伝子(パネルA)および TbpB 遺伝子(パネルB)の制限エンドヌクレ アーゼ消化パターン。示された株からコロニーPCRによって増幅された tbp遺 伝子を、Sau3A1制限エンドヌクレアーゼで消化した。この得られた消化物を、方 法の部で説明したようにして、7.5%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させ た。レーン上の文字は、PCRで用いた起源株テンプレートDNAを示してい るのに対して、左側の文字は、キロベースでの分子量標準を示している。ヒュー レット-パッカード社のスキャンジェット Iip で画像化を行った。図29Bにお いては、P.ヘモリチカ tbpB 遺伝子の非保存領域に由来するプライマー#397 および#400 を、それぞれ反対側のプライマー[#401(5')および#199(3')]と組 み合わせて用いた。 図29: tbpA および tbpB 遺伝子の可変切片のPCR増幅。TbaA 遺伝子に ついて、tbpA の超過編領域由来の推定アミノ酸配列から作成されたオリゴヌク レオチドプライマー#450 を5′特異的プライマー(#255)と組み合わせて使用 して、種々のP.ヘモリチカ株由来の遺伝子切片を増幅した。次いで、生成物を 1%アガロースゲル上で分析し、続いて臭化エチジウムで染色した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 1/21 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:01) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 ロウ、レジー・ワイ・シー カナダ国、エヌ1ジー・2エヌ3、オンタ リオ、ゲルフ、バーチ・ストリート 4 (72)発明者 シュリバース、アンソニー・バーナード カナダ国、ティー3エー・3ブイ8、アル バータ、カルガリー、エヌ・ダブリュ、エ ドフォース・ロード 39 (72)発明者 ポッター、アンドリュー・アラン カナダ国、エフ7エイチ・3エス5、サス カッチワン、サスカトゥーン、ダルハウジ ー・クレッセント 521

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.P.ヘモリチカのトランスフェリン結合性タンパクをコードする配列を含 む精製および単離された核酸分子 2.請求項1に記載の精製および単離された核酸分子であって、P.ヘモリチ カのTbpAをコードする配列を具備した核酸分子。 3.請求項2に記載の精製および単離された核酸分子であって、図22および 配列番号2に示したアミノ酸配列を有するタンパクをコードする核酸分子。 4.請求項2に記載の精製および単離された核酸分子であって、(a)図22 および配列番号1に示した核酸配列と、(b)核酸配列(a)に対して相補的な核 酸配列と、(c)(a)に対して少なくとも 80%相同性である核酸配列または(d )少なくとも15塩基であり且つ厳格なハイブリダイゼーション条件下で(a)また は(b)にハイブリダイズする、(a)または(b)のフラグメントとを含む配列を有す る核酸分子。 5.請求項1に記載の精製および単離された核酸分子であって、P.ヘモリチ カのTbpBをコードする核酸分子。 6.請求項5に記載の精製および単離された核酸分子であって、図24および 配列番号4に示したアミノ酸配列を有するタンパクをコードする核酸分子。 7.請求項5に記載の精製および単離された核酸分子であって、(a)図23 および配列番号3に示した核酸配列と、(b)核酸配列(a)に対して相補的な核 酸配列と、(c)(a)に対して少なくとも 80%相同性である核酸配列または(d )少なくとも15塩基であり且つ厳格なハイブリダイゼーション条件下で(a)また は(b)にハイブリダイズする、(a)または(b)のフラグメントとを含む配列を有す る核酸分子。 8.請求項2の精製および単離された核酸分子に、厳格なハイブリダイゼーシ ョン条件下でハイブリダイズする能力を特徴とする、天然に存在する核酸分子。 9.請求項5の精製および単離された核酸分子に、厳格なハイブリダイゼーシ ョン条件下でハイブリダイズする能力を特徴とする、天然に存在する核酸分子。 10.請求項2の核酸分子の少なくとも 15 の隣接した塩基を含むオリゴヌク レオチドであって、厳格なハイブリダイゼーション条件下で前記核酸分子にハイ ブリダイズする能力を特徴とするオリゴヌクレオチド。 11.請求項5の核酸分子の少なくとも 15 の隣接した塩基を含むオリゴヌク レオチドであって、厳格なハイブリダイゼーション条件下で前記核酸分子にハイ ブリダイズする能力を特徴とするオリゴヌクレオチド。 12.ホスト細胞の形質転換のために適用される組換え発現ベクターであって 、請求項2に記載の核酸分子と、該核酸分子に対して作動的に連結された1以上 の転写要素および翻訳要素とを含む組換え発現ベクター。 13.ホスト細胞の形質転換のために適用される組換え発現ベクターであって 、請求項5に記載の核酸分子と、該核酸分子に対して作動的に連結された1以上 の転写要素および翻訳要素とを含む組換え発現ベクター。 14.請求項12の組換え発現ベクターを含むホスト細胞。 15.請求項13の組換え発現ベクターを含むホスト細胞。 16.精製および単離されたTbpAタンパク。 17.請求項16に記載の精製および単離されたTbpAタンパクであって、図2 2および配列番号2に示したアミノ酸配列またはトランスフェリンに結合できる その断片を有するTbpAタンパク。 18.精製および単離されたTbpBタンパク。 19.請求項18に記載の精製および単離されたTbpBタンパクであって、図2 4および配列番号4に示したアミノ酸配列またはトランスフェリンに結合できる その断片を有するTbpBタンパク。 20.TbpAタンパクを調製する方法であって、(a)請求項12の組換え発現 ベクターをホスト細胞に導入することと;(b)非形質転換ホスト細胞から形質 転換ホスト細胞を選択することと;(c)形質転換ホスト細胞を、TbpAを発現さ せる条件下で培養することと;(d)組換えTbpAを単離することとを具備する方 法。 21.TbpBタンパクを調製する方法であって、(a)請求項13の組換え発現 ベクターをホスト細胞に導入することと;(b)非形質転換ホスト細胞から形質 転換ホスト細胞を選択することと;(c)形質転換ホスト細胞を、TbpBを発現さ せる条件下で培養することと;(d)組換えTbpBを単離することとを具備 する方法。 22.TbpAまたはTbpBのエピトープに対する特異性を有するポリクローナルま たはモノクローナル抗体。 23.パスツレラspp.によって生じる感染を予防および治療するためのワクチ ンであって、免疫学的に有効な量の、P.ヘモリチカのTbpAおよびTbpBの少なく とも一方と、薬学的に許容可能なキャリアとを含有するワクチン。 24.請求項23に記載のワクチンであって、前記感染はパスツレラ・ヘモリ チカによって生じるワクチン。 25.パスツレラspp.によって生じる感染を予防および治療するためのワクチ ンであって、免疫学的に有効な量の、P.ヘモリチカのTbpAおよびTbpBと、薬学 的に許容可能なキャリアとを含有するワクチン。 26.パスツレラspp.によって生じる感染を予防および治療するためのワクチ ンであって、免疫学的に有効な量の、P.ヘモリチカのTbpBと、薬学的に許容可 能なキャリアとを含有するワクチン。 27.請求項26に記載のワクチンであって、前記TbpBは図24および配列番 号4に示したアミノ酸配列を有するワクチン。 28.パスツレラspp.によって生じる感染を予防および治療するためのワクチ ンであって、免疫学的に有効な量の請求項12の組換え発現ベクターと、薬学的 に許容可能なキャリアとを含有するワクチン。 29.パスツレラspp.によって生じる感染を予防および治療するためのワクチ ンであって、免疫学的に有効な量の請求項13の組換え発現ベクターと、薬学的 に許容可能なキャリアとを含有するワクチン。
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