【発明の詳細な説明】
光イオンセンサーとしてのポリマー結合フルオロフォア
本発明は、官能化ローダミンおよびアクリジン、その製造法および、官能基を
経由して共有結合したこれらのローダミンまたはアクリジンを含むポリアクリレ
ート、ポリメタクリレートおよびポリウレタンに関する。本発明はまたa)ポリ
マー結合フルオロフォア、親油性塩の形のカウンターイオンおよびイオノフォア
を含む光センサー、b)例えば、金属カチオンおよびアンモニウムカチオンを含
む群から選択されたカチオン、または例えば、無機または有機酸のアニオンを含
む群から選択されたアニオンの、蛍光法によるイオンの光学測定法、およびまた
c)特に、水性溶液におけるアニオンまたはカチオンの測定のための光センサー
の使用にも関する。
近年、イオンの光学的測定はますます重要になっており、イオンの存在または
濃度が、例えば、適当な色素の吸光または発光の変化により測定されている。オ
プトロード(optrode)とも呼ばれるセンサーは、通常、透明担体物質および活性
層を有する。この活性層は、通常透明疎水性ポリマーおよび親油性可塑剤を含み
、十分なイオン分散および活性成分の溶解性を達成する。活性成分は、イオンの
隔離体として特異的イオノフォア、電気的中性を維持するためのカウンターイオ
ンおよび環境の化学的または物理的変化による測定可能な光シグナルを発生させ
るインディケーターである。
US−A−4645744は、インディケーターが、色の変化の形で光学的に
測定可能なシグナルをもたらす、イオノフォア/金属カチオン複合体と相互作用
する色素(p−ニトロフェノール)のような中性物質であるこのようなシステムを
記載する。相互作用は、例えば、電子状態の変化による色素からのプロトンの除
去をもたらすことができる。蛍光化合物(例えば、フルオレッセイン)がまた適当
であるとして引用され、その蛍光が電子状態の変化により変わり得、蛍光測定に
より光学的に測定できる。
Science,Biochemical and Environmental Fiber Sensors II,SPIE Vol.136
8,p.165-174(1990),H.He et al.は、プロトン担体(ナイルブルー)をインディ
ケーターとして使用するシステムを記載し、そのシステムにおいて、バリノマイ
シンをイオノフォアとして使用するカリウムの活性層への輸送は、プロトン担体
を解離させ、プロトンが水性層に拡散する。プロトン担体は、その色を青から赤
に代え、選択した波長によって、青の色素の蛍光の減少または赤の色素の蛍光の
増加を測定することが可能である。高い感度および選択性のために、蛍光を測定
することが好ましい。この方法の一つの実際的欠点は、用いる指標の蛍光の低い
量子産生に起因するシステムの低い感度である。
Anal.Chem.Vol.62,p.1528-1531および2054-2055,Y.Kawabataにおいて
、疎水性イオン交換体、即ち3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10−ドデシル−
アクリジニウムブロミドまたは3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10−ドデシル
−10−ヘキサデシル−アクリジニウムブロミドの使用を基本としたカリウムの
光学的測定のための膜システムを記載している。蛍光の変化は、アクリジニウム
塩が、カリウムイオンと共にイオン交換体を経由して、水性層の境界面に拡散す
ることによる、微少環境の極性の変化により達成される。
今日一般的に知られているシステムは、活性層高分子量疎水性ポリマー(典型
的に、PVC)を、可塑剤と共に含み、早い応答時間および十分な感度を確実と
する。これらの膜物質においては、可塑剤および他の低分子量成分、例えばイオ
ノフォアまたはフルオロフォアが時間の経過と共に洗い流されるため、長期安定
性および反復使用が非常に制約される。
文献の記載は、光センサーの長期間安定性問題を、高親油性の基を、用いる成
分に導入することにより解決しようと試みている。
厚膜の使用はまた光センサーの長期間安定性を延長するが、反応時間および感
度がまた、Th.Rosatzin in Anal.Chem.1992,64,2029-2035に記載のように
、その使用により、不利に影響をうける。
現在まで、ポリマー結合フルオロフォアの蛍光の変化の測定に基づいたイオン
の光測定のイオン交換機構に使用する無可塑剤ポリマーシステムは知られていな
い。
特異的官能化アクリジンおよびローダミン色素を製造し、それらをポリアクリ
レートまたはポリウレタンに結合することが可能であり、驚くべきことに、それ
れらがシステムに可塑剤を添加することなく、感度および反応時間に関する要求
を満たすことが判明した。システムは高い感度を有するが、短い反応時間である
。このポリマー結合アクリジンおよびローダミン色素は親油性、pH−感度およ
び強い塩基性フルオロフォアであり、低いガラス遷移温度Tgの中性無可塑剤ポ
リマー膜を、イオン交換機構によるイオンの測定のためのイオノフォアおよびカ
ウンターイオンと共に使用するのに非常に適する。その蛍光は、対応するイオン
濃度に強く対応する。フルオロフォアは、蛍光の収率の非常に高い量、高い塩基
性、プロトン化および脱プロトン化形の蛍光シグナルの大きい差異、高い親油性
特性、十分な光安定性および適当な吸収および発光波長により特徴付けられる。
蛍光測定を基本としたイオンの光学的測定のための高感度のシステムを製造する
ことが可能である。
膜のポリマーが限定された低ガラス遷移範囲を有する無可塑剤疎水性ポリマー
であり得、フルオロフォアの洗い出しを気遣う必要がないため、作業寿命および
頻度を実質的に増加することが可能である。これは、特に早い反応時間を有する
非常に薄い膜で、非常な利点である。
この一つの態様において、本発明は式I、IIaまたはIIb
〔式中、R1、R2、R5およびR6は、各々独立して水素、−SO2−(C1−C6)
アルキルフェニル、C1−C30アルキル、C1−C30アルキル-CO−または式−(
CnH2n−O−)m−R10の基;
R3は水素または−SO2−(C1−C6)アルキルフェニル;
R4およびR7はC1−C30アルキレンまたは式−(CnH2n−O−)m−R10の基、
Zは−OH、−SH、−NH2、−COOH、−NCO、−CO−NR8YR9Y
、−NH−CO−CH=CH2、−NH−CO−C(CH3)=CH2;
R8およびR9は互いに独立してC1−C30アルキレン;
R10は直接結合またはC1−C12アルキレン;
nは2から6の数およびmは1から10の数であるが、炭素原子の全数が、最大
で30である;
およびYは−OHまたは−SHである〕
の化合物に関する。
アルキル基は、直鎖または分枝鎖であり得、好ましくは1から24炭素原子を
含む。直鎖アルキル基が好ましい。アルキルの典型的例は、メチル、エチルおよ
びプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシ
ル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサ
デシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシ
ル、ドコシル、トリコシル、テトラコシルおよびトリコンチルの位置異性体であ
る。
−SO2-(C1−C6)アルキルフェニルが好ましいトルエンスルホニルである。
C2−C30アルキレンは、直鎖または分枝鎖であり得、好ましくは2から20
、特に好ましくは2から16の炭素原子を含む。直鎖アルキレンが好ましい。典
型的例は、メチレン、エチレンおよびプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキ
シレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシ
レン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプ
タデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘンエイコシレン
、ドコシレン、トリコシレン、テトラコシレンおよびトリコンチレンの位置異性
体
である。
式−(CnH2n−O−)m−R10の基において、nは好ましくは2から4、mは好
ましくは2から6およびR10は好ましくは直接結合またはC2−C4アルキレンで
ある。酸素原子により中断されているC2−C30アルキレン架橋基の説明的例は
、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドまたはイソ
ブチレンオキサイド由来のものである。
式Iの化合物のR1およびR2は、好ましくは各々独立して水素または直鎖C12
−C24アルキルであり、R1およびR2の炭素原子数は、互いに好ましくは10か
ら20である。
R4は好ましくは直鎖C2−C16アルキレンまたは式−(C2H4−O−)m−R10
の基(式中、R10およびmは上記の意味を有する)である。
式II、IIaまたはIIbの化合物のR5およびR6は、好ましくは互いに独立してC2
−C12アルキルである。R5およびR6は、好ましくは同一であり、直鎖C2−C6
アルキルである。
式IIaまたはIIbの化合物のR7は好ましくは直鎖C2−C16アルキレンである。
好ましい化合物は、官能基Zが−OH、−NH2、−CO−NR8YR9Yまた
は−NH−CO−CCH3=CH2であり、R8およびR9が各々独立してC2−C8
アルキレンである、式I、IIaまたはIIbの化合物である。Yは好ましくはOHで
ある。
式I、IIaおよびIIbの化合物は、好ましくは少なくとも8、特に好ましくは少
なくとも10のpKa値を有する。pKa値は、R1からR7の選択および組み合わ
せにより調節できる。
その他の態様において、本発明は
a)酸性条件下での式IcまたはIIc
の化合物のフタルイミド基の除去、および適当な場合
b)反応生産物の更なる塩化アクリル酸または塩化メタクリル酸との第2段階で
の反応または
c)適当な場合、式Icの遊離体の反応生産物におけるp−トルエンスルホニル
基の、酸性条件下での除去
を含む、式I、IIaまたはIIbの化合物の製造法に関する(式中、R1、R2、R4、
R5、R6およびR7は上記の意味を有する)。
保護基の除去法はそれ自体当分野で既知であり、式I、IIaおよびIIbの化合物
の製造と類似の方法を使用し得る。
式Icの化合物は、異なるアルキル化剤または、アルキル化剤または商品とし
て入手可能な3,6−ジアミノアクリジンのアシル化剤を使用した段階的アルキ
ル化により、それ自体既知の方法で製造し得る。適当なアルキル化剤は、例えば
、ジアルキルスルフェートまたはモノハロゲンアルカン、好ましくはクロロアル
カン、ブロモアルカンおよびヨードアルカンである。適当なアシル化剤は、例え
ば、カルボン酸無水物および好ましくはカルボン酸ハライド、典型的に塩化カル
ボン酸である。この反応は、不活性極性または非プロトン性溶媒、典型的にエー
テル、アルキル化酸アミドおよびラクタムまたはスルホンの存在下および増加し
た温度、例えば50から150℃で行うことができる。水素化ハライドスカベン
ジャー、典型的にアルカリ金属カーボネートまたは3級アミンおよび好ましくは
立体的に妨害された3級アミンを添加するのが便利である。式Iの化合物を製造
する一つ
の可能な方法において、出発化合物はp−トルエンスルホン酸クロライドと第1
段階で反応する3,6−ジアミノアクリジンである。精製反応生産物は、第1に
一つの窒素原子で、例えば化合物R2−Brと、および第2の窒素原子と、例え
ばBr−R4−フタルイミドと反応させる。更に、例えば、ヒドラジン水和物と
の反応により、式Iの化合物を得る。
式IIcの化合物は、典型的に、フタル酸無水物と3−モノアルキルアミノフェ
ノール2モル当量との反応により得られ得る。他の可能な製造法は、3−モノア
ルキルアミノフェノールと2−ヒドロキシ−4−ジアルキルアミノ−2'−カル
ボキシルベンゾフェノン1モル当量との反応を含む。これらの反応は、とりわけ
、US−A−4622400号に記載されている。この反応は、簡便には不活性
溶媒、典型的に炭化水素またはエーテル中で行う。濃縮剤、典型的にはルイス酸
、濃硫酸、過塩酸またはリン酸のモル当量が、有用には添加される。反応温度は
、典型的には50から250℃の範囲である。
式I、IIaおよびIIbの化合物は、慣用法で、沈殿、結晶化または抽出により単
離でき、必要な場合、再結晶またはクロマトグラフィー法により精製できる。こ
の化合物は結晶であり、例えば、赤色、赤茶色または赤紫色に染まっている。
p−トルエンスルホニル基は、J.Chem.Soc.Chem.Com.1973,664に記載の
ような既知の方法で除去できる。
式IIaまたはIIbの化合物の製造法は、典型的に4−(2’−カルボキシ)ベンゾ
イル−3−ヒドロキシ−N,N−ジエチルアラニンを最初に反応容器に入れ、3
−メトキシ−N−(3−アミノプロピル)アニリンと反応させるように行うことが
できる。得られる反応生産物は式IIaまたはIIbの化合物である。この化合物は、
更に、既知の方法で、典型的に、メタクリロイルクロライドと反応させ、また式
IIaまたはIIbの化合物を得る。
式I、IIaまたはIIbの化合物は、ポリウレタン、ポリウレアおよびポリウレ
アポリウレタンからなる群から選択されるポリマーの共有結合に非常に適してい
る。
式I、IIaまたはIIbの化合物は、またオレフィン様不飽和モノマー(この場合
、
Zが−NH−CO−CH=CH2または−NH−CO−C(CH3)=CH2である
)由来のコポリマーの製造にも非常に適している。オレフィン様不飽和モノマー
の説明的例のいくつかは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸
無水物、C1−C30アクリル酸エステルおよびC1−C30メタクリル酸エステル、
C1−C30アクリル酸アミドおよびC1−C30メタクリル酸アミドまたは、アクリ
ル酸アミドおよびメタクリル酸アミド、C1−C20カルボン酸のビニルエステル
、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、クロロブタジエン、スチレン、
α−メチルスチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデンおよびC1−
C30アルコールのビニルエーテルである。
本発明は、また無可塑剤であり、
A)少なくとも一つのジオールまたは少なくとも一つのジアミンまたは少なくと
も二つのこれらのモノマーの混合物、および少なくとも一つのジイソシアネート
、または
B)少なくとも一つのオレフィン様不飽和モノマー
のいずれかを含み、
コポリマーが式I、IIaまたはIIb
〔A)の場合、式中、Zは−OH、−SH)−NH2、−COOH、−NCOまた
はNR8YR9YおよびYは−OHまたは−SHおよび、B)の場合、Zは−NH
−CO−CH=CH2または−NH−CO−CCH3=CH2およびR1、R2、R3
、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は意味を有し、好ましくは上記の意味であ
る〕の少なくとも一つのコモノマーを更に含む、コポリマーにも関する。
コポリマーは好ましくは少なくとも一つのジオールまたは一つのジアミンおよ
び一つのジイソシアネートから形成される。
式I、IIaまたはIIbの化合物は、好ましくは、ポリマーの量を基本として、0
.01から10重量%、より好ましくは0.1から5重量%、最も好ましくは、0
.1から2重量%で含まれる。
コポリマーA)はポリウレタン、ポリウレアまたはポリウレアポリウレタンで
あり得る。
ポリマーA)は、好ましくはC3−C6アルカンジオール、ポリオキシアルキレ
ンジオールまたはヒドロキシ末端シロキサンおよび脂肪族、環状脂肪族、環状脂
肪族−脂肪族、芳香族−脂肪族または芳香族C2−C20ジイソシアネートのポリ
エーテルから成る。
好ましいジイソシアネートは、1,6−ビス[イソシアネート]ヘキサン、5−
イソシアネート−3−(イソシアネートメチル)−1,1,3−トリメチルシクロヘ
キサン、1,3−ビス[5−イソシアネート−1,3,3−トリメチルフェニル]−
2,4−ジオキソ−1,3−ジアゼチジン、3,6−ビス[9−イソシアネートノニ
ル]−4,5−ジ(1−ヘプテニル)シクロヘキセン、ビス[4−イソシアネートシ
クロヘキシル]メタン、トランス−1,4−ビス[イソシアネート]シクロヘキサン
、1,3−ビス[イソシアネートメチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−イソシアネ
ート−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[2−イソシアネート−エチル]
シクロヘキサン、1,3−ビス[イソシアネートメチル]シクロヘキサン、1,4−
ビス[1−イソシアネート−1−メチルエチル]ベンゼン、ビス[イソシアネート]
イソドデシルベンゼン、1,4−ビス[イソシアネート]ベンゼン、2,4−ビス[
イソシアネート]トルエン、2,6−ビス[イソシアネート]トルエン、2,4−/
2,
6−ビス[イソシアネート]トルエン、2−エチル−1,2,3−トリス[3−イソ
シアネート−4−メチルアニリノカルボニルオキシ]プロパン、N,N'−ビス[3
−イソシアネート−4−メチルフェニル]ウレア、1,4−ビス[3−イソシアネ
ート−4−メチルフェニル]−2,4−ジオキソ−1,3−ジアゼチジン、1,3,
5−トリス[3−イソシアネート−4−メチルフェニル]−2,4,6−トリオキソ
ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3−ビス[3−イソシアネート−4−
メチルフェニル]−2,4,5−トリオキソイミダゾリジン、ビス[2−イソシアネ
ートフェニル]メタン、(2−イソシアネートフェニル)−(4−イソシアネートフ
ェニル)メタン、ビス[4−イソシアネートフェニル]メタン、2,4−ビス[4−
イソシアネートベンジル]−1−イソシアネートベンゼン、[4−イソシアネート
−3−(4−イソシアネートベンジル)フェニル]−[2−イソシアネート−5−(
4−イソシアネートベンジル)フェニル]メタン、トリス[4−イソシアネートフ
ェニル]メタン、1,5−ビス[イソシアネート]ナフタレンまたは4,4'−ビス[
イソシアネート]−3,3'−ジメチルビフェニルからなる群から選択されるもの
である。
特に好ましいジイソシアネートは、1,6−ビス[イソシアネート]ヘキサン、
5−イソシアネート−3−(イソシアネートメチル)−1,1,3−トリメチルシク
ロヘキサン、2,4−ビス[イソシアネート]トルエン、2,6−ビス[イソシアネ
ート]トルエン、2,4−/2,6−ビス[イソシアネート]トルエン、ビス[4−イ
ソシアネートシクロヘキシル]メタンまたはビス[4−イソシアネートフェニル]
メタンからなる群から選択されるものである。
特に好ましいポリウレタンは
a)5−45重量%の芳香族、環状脂肪族または直鎖脂肪族ジイソシアネート、
b)0−20重量%の直鎖または分枝鎖C2−C12アルキレンジオール、
c)0−75重量%のポリテトラヒドロフラン、
d)0−10重量%のポリエチレングリコール、
e)0−75重量%のポリプロピレングリコール、
f)15−95重量%のヒドロキシ末端またはヒドロキシプロピル末端ポリジメ
チルシロキサン、
g)0.1−5重量%の式I、IIaまたはIIbのフルオロフォア
(ここで、パーセンテージはポリマーの量に基づいており、成分a)からg)の重
量部は合計で100となる)の反応により得られる。熱可塑性、無作為分割ポリ
ウレタンが得られる。
ヒドロキシ末端またはヒドロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンは、好
ましくは、900から4500ダルトンの分子量を有する。ポリテトラヒドロフ
ランは、好ましくは1000から4500ダルトンの分子量を有する。
ポリエチレングリコールは好ましくは600から2000ダルトンの分子量を
有し、ポリプロピレングリコールは、好ましくは1000から4000ダルトン
の分子量を有する。
ポリウレタンの製造は、それ自体既知の方法に従って行うことができる。式I
、IIaまたはIIbの化合物は、最初か、ポリウレタンの製造の反応混合物のいずれ
かに添加できる。しかしながら、式I、IIaまたはIIbの化合物を、最初に過剰
なジイソシアネートと反応させ、次いで、反応生産物をジオールまたはポリオー
ル成分と混合させることも可能である。他の可能性は、ジオールまたはポリオー
ル成分を、超化学量論的量のジイソシアネートでジオールまたはポリオール成分
を希釈し、続いて式Iの化合物を過剰なジイソシアネートと反応させることから
成る。
得られたポリマーは、本質的に末端結合フルオロフォアを有する。
好ましいコポリマーの他の群は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マ
レイン酸無水物、C1−C30アクリル酸エステルおよびC1−C30メタクリル酸エ
ステル、C1−C30アクリル酸アミドおよびC1−C30メタクリル酸アミドまたは
アクリル酸アミドおよびメタクリル酸アミド、C1−C20カルボン酸のビニルエ
ステル、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプロペン、スチレン、α−メチル
スチレンおよびC1−C30アルコールのビニルエーテル、および式I、IIaまたは
IIb
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は意味を有し、好
ましくは上記の意味であり、Zは−NH−CO−CH=CH2または−NH−C
O−C(CH3)=CH2である〕
の化合物である。
式I、IIaまたはIIbの化合物は、好ましくは、全ポリマーを基本にして、0.
01から10重量%、好ましくは0.1から5重量%、非常に特に好ましくは0.
1から2重量%の量で存在する。
本発明の他の好ましい態様において、コポリマーは
a)ポリマーを基本にして、10から90重量%、好ましくは20から80重量
%、および特に好ましくは30から70重量%の同一または異なった式III
の構造要素
b)ポリマーを基本にして、90から10重量%、好ましくは80から20重量
%および特に好ましくは70から30重量%の同一または異なった式IVの構造要素、および
c)0.1から5重量%の、少なくとも一つの、式Va、VbまたはVc
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は意味を有し、好
ましくは上記の意味を有する;
R10およびR11は、各々独立して、HまたはC1−C4アルキル、Xは−O−また
は−NR17−、R12はC1−C20アルキルおよびR17はHまたはC1−C20アルキ
ル;
R13およびR14は、各々独立して、H、F、ClまたはC1−C4アルキル、R15
およびR16は、各々独立して、H、F、Cl、C1−C4アルキル、−COOH、
−COO−C1−C5アルキル、−CONHC1−C5アルキルまたは−CON(R1 7
)C1−C5アルキル、またはR15はHおよびR16は−CN、フェニル、クロロフ
ェニル、C1−C12アルコキシまたはC2−C18アシルオキシである〕
の化合物の構成要素
を含む。
R10は、好ましくはHまたはメチルおよびR11は好ましくはHである。Xは好
ましくは−O−である。R12は好ましくはC1−C16アルキルである。R12の説
明的例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル
、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシルお
よびヘキサデシルである。
R13は、好ましくはHまたはメチル、R14は好ましくはH、およびR15は好ま
しくはHである。R16は好ましくは−CN、フェニル、−COO−C1−C4アル
キル、C1−C4アルコキシまたはC2−C6アシルオキシである。アシルオキシの
典型的例は、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ、ペンタ
ノイルオキシおよびヘキサノイルオキシである。
特に好ましいコポリマーは、ポリマーを形成するモノマーが、C1−C16アク
リル酸アルキルエステル、C1−C16メタクリル酸アルキルエステル、アクリル
アミド、メタクリルアミドおよび対応するN−置換誘導体またはアクリロニトリ
ルからなる群から選択されるものである。
これらのポリマーの製造は、既知の重合化法により行い得、式I、IIaまたはI
Ibの化合物は、例えば、最初または後の段階で添加できる。
製造法および添加の時間に依存して、得られるフルオロフォアは、ポリマー内
で本質的に末端かまたは無作為に分散している。
少量のアルキレントリオール、典型的に、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチ
ル)エタンを、ポリマーを基本にして0.1から5重量%で使用することも可能で
ある。これらの条件下で、検出可能な架橋はまだ行われず、得られるポリウレタ
ンは有機溶媒への溶解性を残す。
コポリマーがオレフィン様不飽和モノマーから形成される場合、ジオレフィン
様モノマーをまた架橋剤として少量添加し得る。
ポリマーは、好ましくは−150℃から50℃、特に好ましくは−125℃か
ら−40℃の範囲のガラス遷移温度を有する。
ポリマーの分子量は、好ましくは10000から250000ダルトン、より
好ましくは10000から10000ダルトンおよび最も好ましくは10000
から30000ダルトンである。
ポリマーの100Hzおよび室温での誘電率は、好ましくは2から25、特に
好ましくは5から15である。光透過性は、好ましくは400から1200nm、
特に好ましくは400から900nmの範囲である。
本発明はまた
(a)少なくとも一側を、本発明の無可塑剤ポリマーの透明層でコートされている
透明担体、
(b)親油性塩の形のカウンターイオン、および
(c)測定するイオンと複合体を形成するイオノフォア
から成る光センサーにも関する。
担体は、例えば、プラスチック材料、典型的にポリカーボネートまたはアクリ
ルガラス、鉱物物質またはガラスで形成され、例えば、板、シリンダー、管、リ
ボンまたはフィラメントの形であり得る。ガラスが好ましい。
担体の層の厚さは、例えば、0.01から10μm、好ましくは0.1から50
μm、より好ましくは0.1から30μmおよび特に好ましくは0.1から10μm
であり得る。
親油性アニオンを含む好ましい塩は、非置換または置換テトラフェニルホウ酸
のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩である。特に好ましいカチオンは、Li+
、Na+、K+、NH4 +および1から60炭素原子を含む1級、2級および3級
アミンのアンモニウムカチオンならびに4級アンモニウムカチオンである。
アンモニウムカチオンの説明的例は、メチルアンモニウム、エチルアンモニウ
ム、プロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オク
チルアンモニウム、デシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、テトラデシル
アンモニウム、ヘキサデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、ジメチ
ルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、ブチルメチル
アンモニウム、ジオクチルアンモニウム、ジドデシルアンモニウム、ドデシルメ
チルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプ
ロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリオクチルアンモニウム、ト
リドデシルアンモニウム、ドデシルジメチルアンモニウム、ジドデシルメチルア
ンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプ
ロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム
、テトラオクチルアンモニウム、テトラデシルアンモニウム、テトラドデシルア
ンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウ
ム、ジドデシルジメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム、テト
ラデシルトリメチルアンモニウムおよびオクタデシルトリメチルアンモニウムで
ある。4級アンモニウム塩、特に、4から48炭素原子を含むものが好ましい。
ホウ酸アニオンは、好ましくは、非置換テトラフェニルホウ酸または、フェニ
ル基を1個またはそれ以上のC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、ハロゲン
、典型的にF、Cl、Brまたはトリフルオロメチルで置換されているテトラフ
ェニルホウ酸である。
特に好ましくは、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラ(3,5−ビストリ
フルオロメチルフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラ(4−クロロフェニル)ホウ
酸カリウム、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルホウ酸およびテトラデシ
ルアンモニウム(4−クロロフェニル)ホウ酸である。親油性アニオンを含む塩は
、活性層に分散され、そこで複合体となる、測定するカチオンの陰性電荷交換と
し
て働く。親油性アニオンを含む塩は、酸性または塩基性基、典型的にポリスルホ
ン酸またはポリカルボン酸を含むポリマーの塩でもあり得る。
親油性アニオンを含む塩の量は、ポリマーの量を基本として、好ましくは0.
01から10重量%、特に好ましくは0.1から5重量%の量である。
イオノフォアは、開鎖または環状炭素原子に、数個のほとんど改変され、電子
に富むヘテロ原子、典型的にS、Nおよび好ましくはOを含み、測定するイオン
と選択的に結合体形成できる、有機、天然または合成化合物である。天然化合物
は、しばしば、カリウムカチオンと選択的に結合できるバリノマイシンのような
巨大環状化合物である。他の例は、ノナクチンである。イオノフォアの他の大き
いグループは、幾何学およびサイズに依存して、異なる金属カチオンと結合体形
成できる、巨大環状ポリエーテル(クラウンエーテル)から成る。記載すべき他の
イオノフォアの例は、コロンアンデン、クリプタンデンおよびカリキサレンであ
る。開鎖イオノフォアの典型的例は、ポダンデンである。このようなイオノフォ
アは、とりわけ、US−A−4645744に記載されている。
非イオン性イオノフォアは、好ましくは数個の酸素原子を含む開鎖炭素鎖を含
む。特に好ましくは、(R,R)−N,N'−ビス[11−エトキシカルボニルウンデ
シル]−N,N',4,5−テトラメチル−3,6−ジオキサオクタンジアミド、N,
N−ジシクロヘキシル−N',N'−ジオクタデシル−3−オキサペンタン−ジア
ミドまたはN,N,N',N'−テトラシクロヘキシル−3−オキサペンタンジアミ
ドである。
ポリマーは、イオノフォアを、好ましくはポリマーの量を基本として、0.0
1から10重量%、特に好ましくは0.1から5重量%含む。
光センサーは、好ましくは、バリノマイシンをカルシウムイオノフォアとして
含む。
このような膜の製造は、それ自体既知の方法で、典型的には組成物を有機溶媒
に溶解し、フィルムに鋳造し、その後溶媒を除去することにより行うことができ
る。一度溶媒を除去したら、フィルムを基盤から取り外し、自己支持膜を得る。
膜の更に可能な製造法は、コーティング法、典型的に紡糸法、噴霧法またはナ
イフ塗布法で既知である。紡糸コーティング法が好ましい。適当な溶媒は、エー
テル、エステル、酸アミドおよびケトンである。容易に揮発性の溶媒が特に適当
であり、好ましくはテトラヒドロフランである。
第1に組成物の溶解、その成形、および溶媒の除去を含むこれらの方法に加え
て、組成物が熱可塑性物質であるため、熱成形法がまた可能である。適当な熱成
形法は、熱可塑性法で既知のような、押出、射出成形、圧縮成形または吹込成形
法である。
膜は透明または僅かに不透明である。膜は好ましくは透明である。
本発明で使用するフルオロフォアは、既知の安価な光源、例えばハロゲンまた
はキセノンランプまたは光放出ダイオードの使用を可能にする、吸収および放出
波長の非常に適した範囲を有する。使用に適した検出器は、例えば光ダイオード
である。加えて、フルオロフォアは、高い吸光係数を有し、高い量収率を可能と
する。高い親油性特性、高い塩基性およびプロトン化および脱プロトン形の間の
大きい力学的変化は、蛍光の測定を基本としたイオンの光測定で起こる高い要求
に特に合致する。カチオンおよびアニオンが測定できる。
適当なカチオンは、例えば、元素の周期表の1から5の主グループ、ランタニ
ドおよびアクチニドの金属のカチオンである。金属の典型的例は、Li、Na、
K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Ga、In、TI、Sn
、Pb、Sb、Bi、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Sc、Y、Ti、
Zr、Hf、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Os、Rh、I
r、Pt、Pd、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Yb、Lu、Ac、Th、Pa、U、NP、Puである。好ま
しいカチオンは、アルカリ金属カチオンおよびアルカリ土類金属カチオン、特に
Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+およびSr2+およびより好ましくはK+、N
a+およびCa++である。適当なアンモニウムカチオンは、例えば、NH4+およ
びプロトン化1級、2級および3級アミンおよびまた4級アンモニウムである。
アミンは、1から40、好ましくは1から20およびより好ましくは1から12
炭素原子を含み得る。4級アンモニウムは、4から40、好ましくは4から20
およ
び、より好ましくは4から16炭素原子を含み得る。
測定するアニオンは、鉱物酸、酸素酸および無機錯体酸由来であり得る。説明
的例は、ハライドおよび擬似ハライド、F-、Cl-、Br-、I-、N3 -、CN-
、OCN-およびSCN-;無機酸素酸のアニオンNO2 -、NO3 -、CO3 2-、P
O4 3-、SO4 2-、ClO4 -、MnO4 -およびClO3 -;無機錯体酸Fe(CN)6 4 -
およびCo(CN)6 3-;カルボン酸、フェノールのアニオン、アデノシンリン酸
のようなヌクレオチドアニオンである。
光センサーは、水性環境中のイオン、特にカチオン、中でも金属カチオン、更
にカリウムカチオンの、好ましくは蛍光スペクトル法を使用した定量的測定に非
常に適してしる。測定は、複合形成反応体およびプロトン交換のpH−依存的平
衡がすぐに調節され、フルオロフォアが高蛍光量収率および感度により特徴付け
られるため、低濃度(例えば、μモル範囲からナノモル範囲)でさえ、高い正確さ
で短時間に行うことができる。分析は、体液(血液、尿、血清)、天然水または廃
水で直接行うことができるが、妨害の可能性のあるカチオンを特異的に捕捉する
か、先に除去するのがよい。新規組成物は、カリウムの場合、例えば、約0.5
から10mmolの範囲であり得る、水性媒体におけるカチオンの生理学的量の測定
に特に適している。
好ましい蛍光スペクトルに加えて、測定の他の光学法、また、典型的に表面プ
ラスモン(plasmon)共鳴スペクトル、吸収スペクトル、反射スペクトル、インタ
ーフェロンまたは表面促進ラマンまたは蛍光スペクトルをまた使用できる。
本発明はまた、本発明のセンサーを水性試験サンプルに接触させ、次いでポリ
マー層のフルオロフォアの蛍光の変化を測定することによる、水性試験サンプル
内のイオンの光測定の方法にも関する。
本発明の方法は、典型的に、担体を活性ポリマー層と共に光セル内に積み、活
性層を試験サンプルと接触させるように行うことができる。光セルは、活性層が
励起するために照射され、放射蛍光放出を分光蛍光測定器で測定できる窓を含む
。波長を、照射によって最大吸収が得られ、蛍光測定のために最大放射が得られ
るように調節する。強度を時間の関数として測定する。測定システムは、測定が
非
継続的または継続的に、例えば、測定溶液を測定セルを通してポンプ輸送するこ
とにより行うようにできる。カチオンの未知の濃度を測定するために、システム
を最初に、濃度を蛍光強度の関数として適用することにより、既知の濃度の試験
サンプルを使用してキャリブレーションすることができる。pH緩衝液は試験サ
ンプルに便宜的に添加する。なぜなら、フルオロフォアの吸収スペクトル、従っ
てまたフルオロフォアの蛍光強度のpH依存性のため、測定の感度が測定溶液の
pHに依存するためである。しかしながら、本発明の他の態様においては、この
pH依存性を測定し、計算に算入することができる。試験サンプルのpH範囲は
、例えば、4から8、好ましくは6.5から7.5であり得る。適当な緩衝液は、
典型的にはクエン酸緩衝液およびリン酸緩衝液である。更なる緩衝系は、US−
A−4645744に記載され、特にまた試験サンプルへの添加を避けるために
、直接活性層に取り入れられるような緩衝液である。
本発明はまたカチオンまたはアニオンの蛍光スペクトル分光分析のための光セ
ンサーの使用にも関する。
以下の実施例は本発明を説明する。A)中間体化合物の製造
下記構造式中のTsはトシル基を意味する。実施例A1:化合物101の製造 3,6−ジアミノアクリジン1.21gおよび1,8−ビスジメチルアミノナフ
タレン2.48gを1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン50mlに溶解し、次い
でトルエンスルホニルクロリド2.2gを添加する。この混合物を80℃で64
時間加熱する。次いで、混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで消費させる。有機相を
乾燥させ、蒸発濃縮する。生産物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
する。収率:17%赤色結晶。実施例A2:化合物102の製造 実施例A1の化合物101 3.0gを1−ブロモエイコサン5.2gおよび挽
いたKOH1.0gと共にDMF45mlに溶解し、40℃で7時間加熱する。反
応混合物を水500mlに注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相を分離し、乾燥さ
せ、蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付す。収率:52%
赤色樹脂。実施例A3:化合物103の製造 DMF30ml中の実施例A2の化合物102 2.4g、ω−N−ナフタルイ
ミドエチルトリエトキシエチルブロミド2.3gおよび炭酸カリウム1gを70
℃で20時間加熱する。次いで、更に各0.5モル当量のブロミドおよび塩基を
添加し、混合物を70℃で更に7時間加熱する。反応混合物を2N HCl 3
00mlに注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相を分離し、乾燥させ、蒸発濃縮し
て、次いでシリカゲルで精製する。収率:60%。MS(FAB):1102。実施例A4:化合物104の製造 硫酸(97%)60mlを容器に入れ、4−(2'−カルボキシ)−ベンゾイル−3
−ヒドロキシ−N,N−ジエチルアニリン9.4g(30mmol)を徐々に添加する。
次いで3−アミノフェノール3.6g(33mmol)を室温で添加し、混合物を22
時間室温で攪拌する。反応混合物を水275ml、30%NaOH 255mlおよ
びトルエン200mlの混合物に充填し、30分、70℃で攪拌する。60℃に冷
却後、有機相を分離し、乾燥させ、蒸発濃縮する。粗生産物をクロマトグラフィ
ーで精製する。m.p.:148−153℃。実施例A5:化合物105の製造 実施例A4の化合物104 500mgをピリジン20mlに溶解し、混合物を−
38℃に冷却する。この混合物に、次いで、p−トルエンスルホニルクロリド4
92mg(2モル当量)を添加し、溶液を1時間その温度で攪拌する。続いて、溶液
を1N HClに注ぎ、塩化メチレンで抽出する。有機相を乾燥させ、クロマト
グラフィーで精製する。収率:60%。m.p.:68−73℃。1H−NMR(DM
SO−d6):2.35ppm(トリルメチル基)。実施例A6:化合物106の製造 実施例A5の化合物105 1.5g、12−ブロモドデカン酸メチルエステ
ル1.63gおよびK2CO3 844mgをDMF25mlに溶解し、9時間65℃
で攪拌する。反応混合物を2N HClに注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相
を蒸発濃縮し、粗生産物を次いでシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。収
量:1.02g薄黄色油状物。1H−NMR(CDCl3):3.68ppm(メチルエス
テル)。実施例A7:化合物107の製造 実施例A5の化合物105 2.5gをDMF25mlに溶解し、次いで炭酸カ
リウム1.4gおよびN−(10−ブロモデシル)フタルイミド3.4gを添加する
。混合物を70℃で5時間加熱する。混合物を次いで1N HCl 300mlに
注ぎ、塩化メチレンで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発濃縮する。精製をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで行う。収量:2.15g(56%)黄色結晶。
MS(FD):825。実施例A8:化合物108の製造 実施例A7の化合物107を酢酸5部および硫酸2部(全量25ml)の混合物中
で18時間、室温で攪拌する。混合物を次いで水に注ぎ、塩化メチレンで抽出す
る。有機相を炭酸水素溶液で洗浄し、乾燥させ蒸発濃縮する。収量:1.61g
純粋生産物。B)官能化化合物の製造 実施例B1:化合物201の製造 実施例3の化合物103 3.7gを水素化ヒドラジン1mlと共に塩化メチレ
ン20mlおよびメタノール45ml中で21時間、室温で攪拌する。得られる残渣
を濾過により単離し、激しく洗浄し、合わせた濾液を蒸発濃縮する。残渣をシリ
カゲルクロマトグラフィーで精製する。収率:41%。MS(FAB):972。実施例B2:化合物202の製造 実施例B1の化合物201 1.2gを、炭酸カリウム190mgと共にテトラ
ヒドロフラン70mlに溶解し、混合物を0℃に冷却する。塩化メタクリル酸13
2mgをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、この溶液をゆっくり上記懸濁液に滴
下する。1時間、0℃の後、混合物を2N NaOH 300mlに注ぎ、酢酸エ
チルで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルで精製す
る。収率:82%黄色樹脂。実施例B3:化合物203の製造 実施例B2の化合物202 980mgを酢酸5部および硫酸2部(全25ml)の
混合物中で、18時間にわたり室温で攪拌する。混合物を次いで水に注ぎ、塩化
メチレンで抽出する。有機相を炭酸水素溶液で洗浄し、乾燥させ、蒸発濃縮する
。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。収量:520mgオレンジ色
結晶。MS(FD):732。1H−NMR(CDCl3):1.95(メタクリルメチ
ルプロトン);5.3および5.75ppm(オレフィンアクリルプロトン)。実施例B4:化合物204の製造 4−(2'−カルボキシ)ベンゾイル−3−ヒドロキシ−N,N−ジエチルアニリ
ン17.4g(55.5mmol)を、硫酸(95−97%)115mlに、徐々に、温度が
30℃を越えないように添加する。次いで、3−メトキシ−N−(3−アミノプ
ロピル)アニリンをゆっくり添加する。反応混合物を26時間、室温で攪拌し、
次いで、激しく攪拌しながら、トルエンおよび水性NaOHの混合物に添加する
。有機相を分離し、乾燥させ、蒸発濃縮する。水性相を更に塩化メチレンで抽出
し、有機相を分離し、乾燥させ、蒸発濃縮する。実施例B5:化合物205の製造 実施例B4の化合物204 500mgをテトラヒドロフラン40mlに溶解する
。赤色溶液を0℃に冷却後、K2CO3 187mgを添加し、次いでテトラヒドロ
フラン10ml中の塩化メタクリロイル117mgを滴下する。3時間後、混合物を
水に注ぎ、CH2Cl2で抽出する。分離有機相を乾燥させ、蒸発濃縮する。シリ
カゲルクロマトグラフィーでの精製により赤色結晶130mgを得る。MS(m/
z):511。1H−NMR(CDCl3):5.0および5.55ppm(オレフィンア
クリルプロトン)。実施例B6:化合物206の製造 実施例A6の化合物106 1gを酢酸5部および硫酸2部(全量25ml)中で
5時間、65℃で攪拌する。次いで、混合物を水に注ぎ、塩化メチレンで抽出す
る。有機相を乾燥させ、蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで
精製する。MS(m/z):584。実施例B7:化合物207の製造 一般に、Helv.Chim.Acta 1988,71,2087に記載の方法に従って、実施例B
6の化合物206を遊離カルボン酸官能基で活性化し、次いでジエタノールアミ
ンと72時間、室温で反応させる。収率:73%。MS(FD):671。実施例B8:化合物208の製造 実施例A8の化合物108 1.6gを48%HBr 35ml中で21時間に
わたり110℃まで加熱する。冷却後、反応混合物を2N NaOHに注ぎ、塩
化メチレンで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発濃縮させる。収量:粗生産物1
.
9g、これを直接次工程に使用する。実施例B9:化合物209の製造 実施例B8の化合物208の粗生産物1.9gを、テトラヒドロフラン50ml
に添加し、次いで炭酸カリウム490mを添加する。この混合物に、テトラヒド
ロフラン20mlに溶解した塩化メタクリロイル245mgをゆっくり滴下する。2
時間後、反応混合物を1N NaOH 400mlに注ぎ、塩化メチレンで抽出す
る。有機相を1N HClで洗浄し、乾燥させ、蒸発濃縮する。粗生産物をシリ
カゲルクロマトグラフィーで精製する。収率:40%。1H−NMR(DMSO−
d6):1.90ppm(メタクリルメチル)、5.35および5.68(オレフィン様ア
クリルプロトン)。C)ポリマー結合フルオロフォアの製造 実施例C1:
攪拌器を備えた三首フラスコ中、ポリテトラヒドロフラン(Mn=
2000g/mol)1g、ヒドロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Mn
2740g/mol)0.69g、ブタンジオール0.09gおよびジアザビシクロク
タン0.005mgを不活性ガス条件下(N2雰囲気下)、無水テトラヒドロフラン1
5mlに溶解する。反応を3時間、60℃でメチレンジフェニルジイソシアネート
0.40gと共に進行させる。第2の三首フラスコ中、また不活性条件下(N2雰
囲気下)、メチレンジフェニルジイソシアネート0.05gをテトラヒドロフラン
2.5mlに溶解し、テトラヒドロフラン5ml中の実施例B4の式204の蛍光色
素0.022gの溶液を次いで室温で滴下し、反応を1時間進行させる。得られ
るピンク色蛍光溶液を上記のポリマー溶液と合わせ、反応を更に3時間60℃で
進行させる。ポリマーをメタノール500mlに注ぐことにより沈殿させ、濾過に
より単離し、20℃の真空で乾燥させる。得られた生産物をもう一度テトラヒド
ロフラン20mlに溶解し、メタノール500mlで沈殿させて、ピンク色ポリマー
1.85g(理論値の81%)を得る。実施例C2:
攪拌器を備えた三首フラスコ中、ポリテトラヒドロフラン(Mn=2
000g/mol)1g、ブタンジオール0.10gおよびジアザビシクロクタン0.
005mgを不活性ガス条件下(N2雰囲気下)、無水テトラヒドロフラン15mlに
溶解する。反応を3時間、60℃でメチレンジフェニルジイソシアネート0.3
5gと共に進行させる。第2の三首フラスコ中、また不活性条件下(N2雰囲気下
)、メチレンジフェニルジイソシアネート0.05gをテトラヒドロフラン2.5m
lに溶解し、テトラヒドロフラン5ml中の実施例B4の式204の蛍光色素0.0
19gの溶液を次いで室温で滴下し、反応を1時間進行させる。得られるピンク
色蛍光溶液を上記のポリマー溶液と合わせ、反応を更に3時間60℃で進行させ
る。ポリマーをメタノール500mlに注ぐことにより沈殿させ、濾過により単離
し、20℃の真空で乾燥させる。得られた生産物をもう一度テトラヒドロフラン
20mlに溶解し、メタノール500mlで沈殿させて、ピンク色ポリマーを得る。実施例C3:
Thermedicsより供給されるTecoflex(登録商標)4.00gを、OH
末端基0.05mmol/gおよびジアザビシクロオクタン0.002gと共にテトラ
ヒドロフラン30mlおよびジメチルホルムアミド25mlの混合物に溶解し、次い
で、DMF5ml中のメチレンジフェニルジイソシアネート0.055gおよび実
施例B7の式207の化合物0.067gからなる溶液を添加する。混合物を1
6時間、60℃で反応させる。更なる処理を、一般的に実施例1および2の方法
に従い行う。収量は3.05g(理論値の74%)のピンク色ポリマーである。実施例C4:
真空および窒素に接続した3方向コックを備えたバイアル中、実施
例B9の化合物209 50mgをアクリロニトリル0.16g(2.9mmol)に溶解
する。この溶液に、2−エチルヘキシルアクリレート4.84g(26.3mmol)お
よびアゾイソブチロニトリル(AIBN)を添加する。バイアルを閉じ、雰囲気を
3回、窒素での凍結/融解サイクルにより交換する。バイアルを60℃の水浴に
2日間保つ。バイアルの粘着性成分を次いでトルエン50mlに50℃で溶解し、
ポリマーをメタノール1000mlで沈殿させる。薄赤色ポリマーを濾過し、乾燥
させ、再び溶解し、次いで再び同じ条件で沈殿させる。乾燥を24時間、高真空
下で行う。収量は1.9g(38%)であり、ガラス遷移温度は−58℃である。
25℃でのTHFの25%溶液中の固有粘性はηinh=2.81である。D)光センサーの使用実施例、製造および特徴付 実施例D1:
前処理ガラスを担体物質として使用する。円形ガラス皿(直径18m
m、厚さ0.17mm)を1時間、イソプロパノール中のジメチルドデシルクロロシ
ラン10容量%の溶液に浸す。ガラス皿を次いで連続して各200mlのイソプロ
パノール、エタノールおよびメタノールで洗浄し、1時間、110℃で乾燥させ
る。疎水性表面上の膜相への粘着が改善される。センサー膜は、実施例C1に記
載のポリマー40mg、バリノマイシン1.5mgおよびテトラキス3,5−ビス(ト
リフルオロメチルフェニル)ホウ酸カリウム1.2mgをテトラヒドロフラン1.2m
lに溶解して製造する。ガラス担体を紡糸コーティング装置(Optocoat OS35var,
Willer Company,CH-8484 Weisslingen)のチャンバーにマウントする。チャンバ
ーをテトラヒドロフラン10mlで濯ぎ、2分、800rpmで回転させる。続いて
、それぞれのコーティング溶液50μlをガラス担体にピペットで移し、更に1
0秒回転させる。膜コートガラス担体を取り出し、10分空気乾燥する。
コートガラス担体を、膜が測定溶液と接触している光セルにマウントする。光
セル中、膜は光学的に興奮しており、蛍光放射が測定できる。光セルを分光蛍光
測定器(Pekin-Elmer LS-50)に置く。吸収および放射波長をそれぞれ膜に使用し
たフルオロフォアの最大に調節する。膜を、定義された量のKClまたはCaC
l2の溶液と、溶液を1ml/分の速度でセルを通してポンプ輸送することにより
接触させ、蛍光強度の変化を測定する。無カリウムイオン緩衝液での濯ぎを各測
定の前および後で行い、蛍光強度を基底線を決定するために測定する。各カリウ
ム濃度でのフルオロフォアの蛍光強度(光ダイオードの電圧変化として測定)は下
記に示す。
カリウムイオン濃度(mmol) 蛍光強度(ボルト)
0 6.8
0.5 4.8
4.0 4.3
10.0 4.1実施例D2:
実施例D1の方法を繰り返し、センサー膜は実施例C2のポリマー
20mg、バリノマイシン1.5mgおよびテトラキス3,5−ビス(トリフルオロメ
チルフェニル)ホウ酸カリウム1.2mgから成る。以下の値が得られる:
カリウムイオン濃度(mmol) 蛍光強度(ボルト)
0 6.3
0.5 4.9
4.0 4.7
10.0 4.6実施例D3:
実施例D1の方法を繰り返し、センサー膜は実施例C2のポリマー
40mg、バリノマイシン3.0mgおよびテトラキス3,5−ビス(トリフルオロメ
チルフェニル)ホウ酸カリウム2.0mgから成る。以下の値が得られる:
カリウムイオン濃度(mmol) 蛍光強度(ボルト)
0 2.9
0.5 1.7
4.0 1.6
10.0 1.5実施例D2:
実施例D1の方法を繰り返し、センサー膜は実施例C4のポリマー
75mg、バリノマイシン1.5mgおよびテトラキス3,5−ビス(トリフルオロメ
チルフェニル)ホウ酸カリウム1.2mgから成る。以下の値が得られる:
カリウムイオン濃度(mmol) 蛍光強度(ボルト)
0 2.8
0.5 1.6
4.0 1.2
10.0 1.0
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C08G 18/38 C08G 18/38 Z
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AU,BA,BB,BG
,BR,CA,CN,CU,CZ,EE,GE,HU,
IL,IS,JP,KP,KR,LC,LK,LR,L
T,LV,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL
,RO,SG,SI,SK,TR,TT,UA,US,
UZ,VN
(72)発明者 ベッケルマン,ディルク
ドイツ連邦共和国デー−66123 ザールブ
リュッケン、ハイデンコプフエールデル67
番
(72)発明者 ベルガー,ヨーゼフ
スイス、ツェーハー−4057バーゼル、シュ
パーシュトラーセ40/18番
(72)発明者 バルドナー,アドリアン
スイス、ツェーハー−4123アルシュビル、
ホレーベーク39番
【要約の続き】
で30である;およびYは−OHまたは−SHである〕
の化合物に関する。この化合物は、無可塑剤イオンセン
サーのコポリマー膜の製造のためのコモノマーとして使
用される。