【発明の詳細な説明】
血液調節化合物
発明の分野
本発明は、血液調節(hemoregulatory)活性を有し、造血を刺激するのに用い
ることができ、かつウイルス性、真菌性および細菌性の感染症を治療するのに用
いることができる新規化合物に関する。
発明の背景
造血系は終生の細胞再生プロセスであり、それによって、所定の幹細胞集団は
、少なくとも9種の細胞系(赤血球、血小板、好酸球、好塩基球、好中球、単球
/マクロファージ、破骨細胞およびリンパ球)の成熟し、分化した血球のより大
きな集団(Dexter TM.Stem cells in normal growth and disease,Br Med J 1
987;195 1192-1194)を生じる(Metcalf D.The Molecular Control of Blood Ce
lls,1988; Harvard University Press,Cambridge,MA)。また、幹細胞は、細胞
毒性剤で処理した後の、または骨髄移植した後の骨髄の再生にも最終的に寄与し
ている。
大部分の標準的な抗-新生生物剤の主要な用量限定する毒性(dose-limiting t
oxicity)は骨髄抑制と関連し、それが重症かつ長期である場合には、生命を脅
かす感染性および出血性の合併症を生じ得る。骨髄抑制は予想でき、単一薬剤フ
ェーズI試験の細胞毒性化合物の50%を超える場合に用量限定であると報告され
ている(Merrouche Y,Catimel G,Clavel M.Haematopoietic growth factors a
nd chemoprotectants; should we move toward a two-step process for phase
Itrials in oncology? Ann Oncol 1993;4:471-474)。感染の危険性は、好中球減
少症の重症度および期間によって測定されるごとき骨髄抑制の程度と直接関連す
る
(Brody GP, Buckley M,Sathe YS,Freireich EJ.Quantitative relationship
between circulating leukocytes and infections with acute leukemia.Ann
In Med 1965;64:328-334)。造血の制御には、初期の多能性幹細胞および成熟し
た循環しているエフェクター細胞を包含する造血カスケードの様々な段階の間の
、種々のサイトカインおよび成長因子の相互作用が含まれる。これらの調節分子
には、宿主の防御において主要な役割を担う、重複的、相加的、および相乗的な
作用を有する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージ刺激因子
(GM-CSF)、マクロファージ-コロニー刺激因子(M-CSF)、および種々のインターロ
イキンが含まれる。作用機序的には、このことは、顆粒球およびマクロファージ
の産生を高めること、ならびにエフェクター細胞機能を活性化することによって
達成される(Moore MAS.Haematopoietic growth factor interactions: in vitr
o and in vivo preclinical evaluation.Cancer Surveys 1990; 9:7-80)。これ
らの共同作用化された活性は、細菌性、ウイルス性、および真菌性の感染症と闘
うために必要である最適の宿主の防御を支持する。
好中球減少症および骨髄毒性の重症度を予防または軽減する戦略には、造血成
長因子および/または他の造血サイトカインの使用が含まれる。かかる治療は、
抗新生生物剤である場合には治療効率を改善し得る細胞毒性剤の用量を増加させ
る可能性をそれが供し、かつその使用に関連して罹病率を低下し得るという点で
、慣例となってきている。(Steward WP.Granulocyte and granulocyte-macroph
age colony stimulating factors,Lancet 1993;342:153-157)。臨床的な研究に
より、G-、GM-、および/またはM-CSFが、細胞毒性のある化学療法を受けている
悪性腫瘍を患う患者、または骨髄移植後の感染の高い危険性にある患者の好中球
減少症の期間を減少し、骨髄の回復を促進し、かつ好中球減少症に関連した感染
および他の感染性の合併症を軽減し得ることが示された(Steward WP.Granulocy
te and granulocyte-macrophage colony stimulating factors,Lancet 1993;34
2:153-157およびMunn DH,Cheung NKV.Preclinical and clinical studies of
macrophage colony-stimulating factor.Semin Oncol 1992;19:395-407)。
本発明者らは、造血細胞に対して刺激効果を有し、ウイルス性、真菌性および
細菌性の疾病の治療および予防に有用なある種の新規化合物を今回見出した。発明の概要
本発明は、血液調節(hemoregulatory)活性を有し、造血を刺激するのに用い
ることができ、かつ細菌性、ウイルス性、および真菌性の疾病を予防および治療
し得る、式(I)として本明細書中にて後記に表す化合物を含む。
この化合物は、外科的に誘導された骨髄抑制、AIDS、ARDS、先天性脊髄形成異
常、ならびに骨髄および器官の移植のごとき種々の臨床的状態の結果起こる細胞
数減少を患った患者における白血球の回復において;白血球減少症を患う患者の
感染からの保護において;ひどい熱傷患者の治療において、およびいくつかの細
胞サイクル特異的な抗ウイルス剤で認められる骨髄抑制の回復において、および
骨髄移植を行った患者、特に移植片-対-宿主疾病を患った患者、における感染症
の治療において、結核症の治療において、およびヒトおよび動物の未知の起源に
よる熱病の治療において有用である。また、該化合物は、ウイルス性、真菌性、
および細菌性の疾病、特に、免疫抑制されたおよび"正常な"患者のカンジダ症、
ヘルペスおよび肝炎、の治療および予防にも有用である。
また、該化合物は、(出展明示して本明細書の一部とみなす)同時係属米国出願
番号07/779,465および米国特許第4,449,081号のモノマーと組合せて用いて、骨
髄細胞における高低の活性の交互のピークを供し、かくして造血の自然な日周期
のリズムを増加させることもできる。このようにして、細胞増殖抑制の治療は、
低骨髄活性の期間に施され得、かくして活性の続くピークによって再生が促進さ
れるであろう間、骨髄損傷の危険性を軽減する。また、本発明は、式(I)で示さ
れる化合物および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物でもある。
さらに本発明は、有効量の式(I)で示される化合物を、それを要する動物へ投
与することよりなる、ヒトを含む動物の造血系を促進する方法を構成する。
また本発明は、有効量の式(I)で示される化合物をそれを要する動物へ投与す
ることよりなる、ヒトを含む免疫抑制された、および正常な動物において、敗血
症を包含するウイルス性、真菌性、および細菌性の感染症を予防し、かつ治療す
る
方法を構成する。発明の詳細な記載
本発明の化合物は、構造式(I)[式中、A1およびA2は互いに独立してZ-(CH2)p-(NR11)q-であり、
ここにZは、環中に4個までのヘテロ原子N、O、Sを含み、そのうちの少なくとも
1個のヘテロ原子はNである4−10員の単環式-または二環式-複素環系であり
、該環は1または2個のC1-4アルキル、F、Cl、Br、I、C1-4アルコキシ、(CH2)m
R13、オキソ、オキシム、O-C1-4アルキルオキシム、ヒドロキシ、N(R12)2、アシ
ルアミノまたはアミノアシル基で置換されているか、または非置換であり、但し
、8、9、10員の単環式系は除外され;
R1、R2、R3、R4およびR11は、独立して水素、C1-4アルキルC(O)R13、C1-4アル
キルであるか、あるいはR1、R2、R3、R4およびR11は所望により1または2個のC1-4
アルキル、C1-4アルコキシ、F、Cl、I、Br、OH、またはN(R12)2で置換されて
いてもよいベンジルであり;
pは0から4の整数であり;
q、nおよびmは独立して0または1であり;
R5およびR6は、独立して水素、C1-4-アルキル、C1-4-アルキル-OH、C1-4-アル
キル-OCH3、C1-4-アルキルアリール-OH、C1-4アルキルアリール-OCH3、またはC1 -4
-アルキル-COOHであり;
Qは構造式(II)または(III):
(式中:
D1およびD2はC1-8-アルキルであり;
R7、R8、R9およびR10は、独立して水素またはC1-4-アルキルであり;
R12は、独立して水素、C1-C4-アルキルまたはベンジルであり;
R13は、独立して-OR12、-N(R12)2、または-SR12である)
に対応する]
によって表される化合物、またはその医薬上許容される塩に関する。
上記式(I)中のZは、所望により置換されていてもよい、ピロリル、イソピロリ
ル、ピラゾリル、イソイミダゾリル、トリアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾ
リル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジ
ニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、トリアジニル
、モルホリニル、インドリル、インドレニニル、イソベンザゾリル、ピリンジニ
ル、ヨーインダゾリル、インドキサジニル、ベンゾキサゾリル、キノリニル、イ
ソキノリニル、シノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、ピリドピリジニル
、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノキサリニル、イ
ンドリニル、ピロリドニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル
、ピペリジル、テトラゾリル、キナクリジニル、アゼイチジニル、またはプリニ
ルを示す。
Zに対して可能な置換基は、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル、C1-4-アルキル
-O-C1-4-アルキル、オキソ、オキシム、O-C1-4-アルキルオキシム、ヒドロキシ
、アミノ、N-C1-4-アルキルアミノ、N,N-ジ-C1-4-アルキルアミノ、CO、C1-4-ア
ルキル-COおよび(C1-4-アルキル)2-NC(O)-である。
R5およびR6は、水素、C1-4-アルキル、C1-4-アルキル-OH、C1-4-アルキル-OCH3
、
C1-4-アルキル-(フェニル-OH)、C1-4-アルキル-(フェニル-OCH3)、およびC1-4ア
ルキル-(フェニル-COOH)を示す。
好ましい化合物は、Zが所望により置換されていてもよいピリジニル、ピリミ
ジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリダジニル、キノリニル、テトラヒドロキノ
リニル、アゼチジニル、またはピロリジニルであるものである。
より好ましい化合物は、Zが所望により置換されていてもよい2-ピリジニル、2
-ピリミジニル、2-ピラジニル、2-ピロリドン-5-イル、2-ピリジル、3-ピリジル
、またはピロリジニルであるものである。
アルキル基は、直鎖であっても、または側鎖であってもよい。
本発明の化合物は、1または2以上の不斉炭素原子を含有していてもよく、ま
たラセミ体および光学活性形として存在していてもよい。全ての化合物およびジ
アステレオマーも本発明の範囲内にあることが意図されている。
特に好ましい化合物は:
ε,ε'-ビス(ピコリノイル-セリル)-[シクロ-(D-Lys-L-Lys)]、
ε,ε'-ビス(ピコリノイル-セリル)-[シクロ-(D-Lys-D-Lys)]、
ε,ε'-ビス(ピコリノイル-セリル)-[シクロ-(L-Lys-L-Lys)]、
ε,ε'-ビス(ピコリノイル)-[シクロ-(Lys-Lys)]、
δ,δ'-ビス(ピコリノイル)-[シクロ-(Orn-Orn)]、または
γ,γ'-ビス(ピコリノイル)-[シクロ-(Dab-Dab)]である。調製法
式(I)で示される化合物は以下のごとく調製し得る;
式(IV)および式(V):
で示される適当なジアミン[式(I)、(II)および(III)中の定義]を、下式(VI)(式
中、定義は式(I)に同じであり、PGは当該技術分野で知られている適当なアミ
ノ-保護基、例えば、t-ブチロキシカルボニル、ベンジロキシカルボニル、9-フ
ルオレニルメトキシカルボニル他、に対応し、アミノ酸側鎖R5およびR6がヒドロ
キシルまたはカルボキシル基を含む場合には、これらは、ヒドロキシルまたはカ
ルボキシル官能基を再生することなくアミノ保護基PGの選択的な除去が可能なよ
うに選択されるエーテルまたはエステルの形態で保護される)と反応させる。適
当な保護基の組合せは、PGがベンジロキシカルボニルに対応し、かつアミノ側鎖
ヒドロキシルまたはカルボキシルがt-ブチルエーテルまたはエステルの形態でブ
ロックされている場合であろう。
保護基PGを(例えば、PGがベンジルオキシカルボニルに対応する場合には水素
化分解により)除去した後に、得られたジアミンを下式(VII)で示される適当に
活性化したカルボン酸の2モル当量でさらにアシル化し、つづいて(存在する場
合には)R5およびR6中の半永久的なヒドロキシルまたはカルボキシル保護基を(
例えば、t-ブチルエーテル/エステルの場合にはトリフルオロ酢酸を用いた酸加
水分解によって)除去する。
式(I)中のnおよびmが0である場合には、式(IV)および(V)で示されるジアミン
と、式(VII)で示される適当に活性化したカルボン酸誘導体と直接反応させる。
後記の構造式(IV)で示されるジケトピペラジンジアミンは、下記の構造式
(VIII)[式中の定義は式(I)、(II)および(III)の定義に同じ]で示される対応する
ジペプチジル前駆体の環化によって調製し得る。加えて、構造式(VIII)中のPGは
、適当なアミノ-保護基を表す。(分子内エステルアミノリシスを介する環化は、酸-または塩基-触媒とすること
ができ、あるいは幾分かの不活性溶媒中の構造式(VIII)で示される化合物の溶液
を加熱することによって単純に誘導することができる。構造式(VIII)中のエステ
ル部Eは、例えば、メチル、エチル、ベンジル、N-ヒドロキシスクシンイミジル
他に対応し得る。保護基PGを除去した後に、構造式(IV)で示される化合物がかく
のごとく得られ、R7およびR8が水素である場合には、例えば、テトラフルオロホ
ウ酸トリアルキルオキソニウムの作用を介して、構造式(V)で示されるイミノエ
ーテル化合物に変換し得る。
ヒト、および他の動物の治療に式(I)で示される化合物、またはその医薬上許
容される塩を用いるためには、通常、医薬組成物としての製薬的な慣習に従って
通常処方化する。
本発明のなおさらなる特徴によって、医薬の担体または賦形剤と共に、有効成
分として本明細書中にて前記に定義した式(I)で示される1または2以上の化合
物、またはその生理学的に適合し得る塩を含む医薬組成物が提供される。本発明
による組成物は、経口、経鼻、非経口または直腸投与に適した形態で存在し得る
。
本明細書中にて用いる「医薬上」なる語には、本発明の獣医学な適用が含まれ
る。これらのペプチドは、経口投与用にカプセル化し、錠剤化し、またはエマル
ジョンもしくはシロップに調製し得る。医薬上許容される固体または液体の担体
を添加して、組成物を向上または安定性させ、あるいは組成物の調製を容易にす
ることができる。液体担体には、シロップ、落花生油、オリーブ油、グリセリン
、セーラインおよび水が包含される。固体担体には、デンプン、乳糖、硫酸カル
シウム二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク
、ペクチン、アラビアゴム、寒天、またはゼラチンが包含される。該担体には、
単独またはワックスと共に、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸
グリセリルのごとき徐放性物質も包含され得る。固体担体の量は変動するが、好
ましくは投薬単位あたり約20mgから1gの間であろう。該医薬調製物は硬質ゼラチ
ン用のミル、混合、および充填を包含する薬学の慣用技術に従って製造する。1
または数種の有効成分を含有するカプセルは、例えば、当該有効成分と、乳糖ま
たはソルビトールのごとき不活性担体とを混合し、該混合物をゼラチンカプセル
に充填することにより製造し得る。器官特異的な担体系を使用することもできる
。
別法として、本発明のペプチドまたはその誘導体の医薬組成物は、非経口投与
用の凍結乾燥粉末剤の溶液として処方化し得る。粉末剤は、使用に先立って適当
な希釈剤または他の医薬上許容される担体を添加することによって復元し得る。
該液体処方は、一般に、緩衝され、等張化された水溶液である。適当な希釈剤の
例は、通常の等張性の生理食塩水、標準的な5%デキストロース水溶液、または
酢酸ナトリウムまたはアンモニウム緩衝液である。かかる処方は非経口投与に特
に適しているが、経口投与にも使用し得、吸入剤用に計量した用量の吸収器また
はネブライザーに含ませ得る。ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセ
ルロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、マンニトール、塩化ナトリ
ウムまたはクエン酸ナトリウムのごとき賦形剤を添加することが望ましい。
直腸投与には、本発明のペプチドの微粉砕化した粉体を、カカオ脂、グリセリ
ン、ゼラチンまたはポリエチレングリコールのごとき賦形剤と組合せ、坐剤に成
形し得る。該微粉砕化した粉体は、油状調製物、ジェル、クリームまたはエマル
ジョンと調合し、緩衝化または非緩衝化し、経皮パッチを介して投与することも
できる。
点鼻スプレーは、水溶液と同様に処方化し、エアロゾル噴射剤によるか、また
は手動圧縮用の手段と共に提供されるかのいずれかでスプレー容器に充填し得る
。
本発明の化合物を含有する投薬単位は、好ましくは0.05-50mg、例えば、0.05-
5mgの式(I)で示される化合物またはその塩を含有する。
本発明のなおさらなる特徴によれば、本明細書中にて前記に定義したごとき医
薬組成物の有効量を対象に投与することを含んでなる骨髄造血の刺激方法が提供
される。
発明の化合物を本発明に従って投与した場合には、許容できない毒物学的効果
は予想されない。
式(I)で示される化合物の生物活性を以下の試験により立証する。間質細胞における造血相乗活性の誘導
間質細胞系C6.4由来のマウス骨髄を、10%FBSを含むRPMI1640中の12穴プレ
ートで生育させる。密集に達したら、該C6.4細胞を洗浄し、FBSを含まない新鮮
なRPMI1640に培地を交換する。マウスC6.4細胞の密集細胞層を化合物で処理する
。18時間後に無細胞の上清を採取する。この上清をセントリコン-30(Centricon-
30)分子ふるい膜で分画する。C6.4細胞造血相乗因子(HSF)活性をマウスCFU-C
アッセイで測定する。CFU-C アッセイ
骨髄細胞をC57B1/6メスマウスから得、10%FBS を含むRPHI1640中に懸濁する
。骨髄細胞(7.5E+4細胞/mL)を、CFUの最適に近いレベル+前記からの供試C6.4
細胞30K-E上清の希釈液と共に、標準的なマウス軟寒天CFU-Cアッセイで培養する
。>50細胞の細胞凝塊がコロニーとして計数される。計数した寒天コロニーの数
は、C6.4骨髄間質系上清内に存在するHSFの量に比例している。エフェクター細胞機能アッセイ
メスC57B1マウスに、供試化合物POを8日間毎日投与する。処理または非処理
マウスからの生体外で利用される残存腹膜滲出細胞(PEC)を、最終注射後2-4時
間以内に冷カルシウムおよびマグネシウムフリーであってヘパリンおよび抗生
物質を補充したDPBSを用いて採取する。粘着性のPEM集合は、37℃(5%CO2)にて
2時間、マイクロタイター皿内で標準化されたPEC懸濁液をインキュベートし、
ついで温緩衝液でウェルを洗浄して非粘着性の細胞を除去することによって調製
する。
フォルボールミリステートアセテート(PMA)(100-200nM)、または予めオプソニ
ン処理した(自系血清)生C.albicans(E:T=1:10)によるイン・ビトロ(in vitro
)刺激に応答したエフェクター細胞によって放出されたスーパーオキシドジスム
ターゼ(SOD)-阻害性のスーパーオキシドを、マイクロタイター・フェリシトクロ
ームc還元アッセイで定量する。このアッセイは、1%ゼラチン/HBSSおよび80μ
Mフェリシトクロームcの存在下、全量200μl/ウェルで行う。37℃(5%CO2)に
て1時間培養後に測定した吸光度(550mn)から、還元シトクロームcのnmol/ウェ
ルを算出する。還元SOD-阻害性シトクロームcの量は、SODを含有するウェル(20
0U/ウェル)の細胞含有物により測定する。スーパーオキシド放出のベースライ
ンは、刺激物質不存在下にて測定する。実験データは、対照群の%として表す。実施例 実施例1
:ε,ε'-ビス(ピコリノイル-セリル)-[シクロ-(D-Lys-L-Lys)]の
調製
a) Fmoc-D-Lys(Boc)-L-Lys(Z)-OMe
Fmoc-D-Lys(Boc)-OH(998mg、2.13mmol)およびNMM(0.23mL、2.13mmol)をTHF(25
mL)に溶解し、ついでその溶液を-15℃まで冷却した。ついで、BuiOCOCl(0.28mL
、2.13mmol)を添加した。5分後に、予め冷却しておいたTHF(25mL)中のH-L-
Lys(Z)-OMe.HCl(706mg、2.13mmol)およびNMM(0.23mL)を添加した。混合物全
体を撹拌し、ついで放置して室温とした。2時間後に、沈殿したNMM.HClを濾過
し、濾液を蒸発させた。その残渣をCH2Cl2(70mL)中に再溶解し、5%NaHCO3水
溶液および10%クエン酸水溶液で順次抽出し(各々2x25mL)、MgSO4で乾燥し、濾
過し、ついで蒸発乾固させた。標題化合物を白色粉体として得た(1.43g、90.1%
)。
TLC:RF=0.66(85:10:5 CHCl3/MeOH/AcOH)
FAB-MS:[M+H]+=745.6
[(M-Boc)+H]+=645.4;
C41H52N4O9として744.88を要する
b) シクロ-[D-Lys(Boc)-L-Lys(Z)]
Fmoc-D-Lys(Boc)-L-Lys(Z)-OMe(1.0g、1.34mmol)を50%Et2NH/CH2Cl2(50mL
)中に溶解し、ついでその混合物を2日間撹拌した。得られた懸濁液を蒸発させ
、PhMeで数回共沸させ、高真空下にて乾固させた。H-D-Lys(Boc)-L-Lys(Z)-OMe
の残渣(TLC:RF=0.16(85:10:5 CHCl3/MeOH/AcOH)をEtOAc(50mL)中に再懸濁
し、ついで18時間加熱還流した。その後に、ジケトピペラジンへの変換が、TLC(
RF=0.58のみ)で明らかなごとく完了した。その冷却溶液を蒸発乾固させた。その
残渣を10%クエン酸水溶液(50mL)でトリチュレートし、濾過し、ついでシンタ
ー上にてH2Oで洗浄した。乾燥した後に、粗生成物をEt2O中で粉砕し、濾過し、
ついで乾燥して、純粋な標題化合物を得た(406mg、61.7%)。
FAB-MS:[M+H]+=491.4
[(M-Boc)+H]+=391.3;
C25H38N4O6として490.60を要する
c) ε,ε'-ビス(ピコリノイル-セリル)-[シクロ-(D-Lys-L-Lys)]
シクロ-[D-Lys(Boc)-L-Lys(Z)](100mg、0.2mmol)を、氷浴で冷却しながら、CF3
COOH(20mL)中の1MのMe3SiBr、1MのPhSMe中に溶解した。その混合物を45分間、
冷却しながらN2下にて撹拌した。ついで、冷却浴を除去し、30分間撹拌を
続けた。H2O(0.3mL)を添加し、ついで混合物を蒸発させた。その残渣をEt2Oで
トリチュレートし、ついで沈殿した生成物を遠心分離により採取した。それをEt2
Oでさらに2回洗浄し、乾燥した。
得られたシクロ-[D-Lys-L-Lys]をDMF(25mL)中に懸濁し、DMF(5mL)中の予め
(5分間)活性化しておいたZ-Ser(But)-OH(153mg、0.4mmol)、PyBOP(208mg、0.4mm
ol)、HOBt(54mg、0.4mml)およびNMM(0.13mL、1.2mmol)の溶液に添加した。
その混合物を2時間撹拌した。得られた透明溶液を蒸発させ、ついで5%NaHCO3
水溶液で処理した。沈殿した油性物をCH2Cl2に抽出した。その抽出物を、10%ク
エン酸水溶液および2MのNaCl水溶液で順次洗浄した。その有機層をMgSO4上で乾
燥し、濾過し、ついで蒸発させた。中間体ε,ε'-ビス-[Z-Ser(But)]-[シクロ-
(D-Lys-L-Lys)]を無色油性物として得た。
TLC:RF=0.62(85:10:5 CHCl3/MeOH/AcOH)
これを次の反応工程に直接用いた。
ε,ε'-ビス-[Z-Ser(But)]-[シクロ-(D-Lys-L-Lys)]をMeOH(50mL)中に再
溶解し、10%Pd(C)触媒(50mg)で90分間水素化分解した。ついで、触媒を濾過
により除去し、その濾液を蒸発させた。油性残渣をDMFに再溶解し、予め(前記と
同様にPyBOP、HOBtおよびNMMを用いて;5分)活性化しておいたDMF(15mL)中のピ
コリン酸(49mg、0.4mmol)溶液に添加した。一晩反応させた後に、DMFを真空下
にて除去した。その残渣をクエン酸水溶液を用いた抽出を行わない以外は前記中
間体と同様にして、仕上げ処理した。中間体であるε,ε'-ビス-[ピコリニル-Se
r(But)]-[シクロ-(D-Lys-L-Lys)](無色の油性物、TLCRF=0.56)を2%CF3COOH水溶
液(25mL)に再溶解し、ついで、その溶液を90分間撹拌した。ついで、それを蒸
発させ、残渣をEt2Oで処理した。沈殿した物質を遠心分離により採取し、乾燥し
て、粗製標題化合物を得た(16mg、12.0%)。これを0.1%CF3COOH水溶液4mLに溶
解し、RP-HPLCカラム(ビダック(Vydac)218TP1022)上、9mL/分にて、60分間に
わたる0.1%CF3COOH水溶液中の20から40%までのMeCNのグラジエントを用いるク
ロマトグラフィーに付した。溶出液は230nmでモニターした;適当なピー
ク画分を採取し、プールし、凍結乾燥して、純粋な標題化合物を得た(3.0mg)。
分析値RP-HPLC:tR=15.7分、純度>98%(ビダック(Vydac)218TP54、1mL/分、2
0分間にわたる0.1%CF3COOH水溶液中の20から50%までのMeCNのグラジエント、
λ=215nm)。
FAB-MS:[M+H]+=641.3
[M+Na]+=663.2;
C30H40N8O8として640.69を要する
─────────────────────────────────────────────────────
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61K 38/00 A61K 37/02
(72)発明者 バトナガール,プラディップ・クマール
アメリカ合衆国19341ペンシルベニア州
エクストン、サウス・バルダーストン・ド
ライブ300番
(72)発明者 フィッシャー,ペーター・マルティン
ノールウェー、エン−0382オスロ、ヴェス
テルラスヴェイエン26アー番