JP2000356589A - ガス分析における共存ガスの影響除去方法 - Google Patents

ガス分析における共存ガスの影響除去方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 校正ガスとサンプルガスとにおけるベースガ
ス組成の差によるスパン感度の影響値を抑制し、共存ガ
スの影響を可及的になくするようにしたガス分析におけ
る共存ガスの影響除去方法を提供すること。 【解決手段】 ガス分析計1の校正時に、校正ガス中の
目的成分の濃度値とともに、ベース組成が実サンプルの
平均値とどれだけ違うかの情報をも入力することによ
り、ガス分析計に予め記憶させている影響値も勘案して
感度調整係数を決定するようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、赤外吸収法によ
るガス分析など各種のガス分析における共存ガスの影響
を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】NDIR法(非分散型
赤外線ガス分析法)やFTIR法(フーリエ変換赤外
法)などの赤外吸収法によってあるガス成分を測定する
際、吸収スペクトルが分離できている共存成分あるいは
赤外領域に吸収をもたない共存成分によってスパン感度
が影響されるてしまうことがある。これは、同一ガス成
分・同一ガス濃度であってもベースガス組成によりスペ
クトル強度に差が生ずることがあるにもかかわらず、従
来の赤外吸収法では成分同士の干渉は全てスペクトルの
重なりに起因することが前提になっていたためである。
実際に、自動車排ガスなどの分析において、COおよび
CO2 に対するH2 OやO2 の影響が問題になりやすい
ことが確認されている。
【0003】図3(A)は、種々の濃度のCO2 を測定
したときにおける共存するH2 Oの濃度とCO2 指示値
の誤差との関係を示すもので、この図からH2 O濃度が
高くなるにつれてCO2 指示値の誤差がプラス側に大き
く表れることがわかる。そして、同図(B)は、2台の
分析計を用いて種々の濃度のCO2 を測定したときにお
ける共存するO2 の濃度とCO2 指示値の誤差との関係
を示すもので、この図からO2 濃度が高くなるにつれて
CO2 指示値の誤差がマイナス側に大きく表れることが
わかる。
【0004】上記図3(A),(B)に示したような現
象が生ずる正確な機構は不明であるが、一つには、ガス
分子同士の相互作用によるクエンチング等が関係してい
る考えられる。図4は、クエンチングによる赤外吸収量
変化モデルを示すもので、このモデルは、ガス成分Xと
ベースガスの衝突確率および相互作用の大小によって、
赤外吸収量に変化が生ずることを示している。すなわ
ち、同図(A)は、ガス成分Xに対してベースガスAの
衝突確率および相互作用が共に小さい場合を示し、この
場合、ガス成分Xの基底状態・励起状態の平衡に影響を
余り与えないため、ベースガスAの存在はガス成分Xの
吸収量に殆ど影響しない。また、同図(B)は、ガス成
分Xに対してベースガスBの衝突確率および相互作用が
共に大きい場合を示し、この場合、ガス成分Xの平衡が
基底状態側にずれるため、新たな光吸収が起こりやすく
なる。つまり、ベースガスBの存在により、ガス成分X
の吸収強度が大きくなり、ベースガスが成分Aであった
場合よりも強い吸収を示す。
【0005】また、他の機構としては、他成分の共存に
よって吸収スペクトルの線幅が広がる「衝突広がり」と
いうメカニズムも考えられる。
【0006】この発明は、上述の事柄に留意してなされ
たもので、その目的は、校正ガスとサンプルガスとにお
けるベースガス組成の差によるスパン感度の影響値を抑
制し、共存ガスの影響を可及的になくするようにしたガ
ス分析における共存ガスの影響除去方法を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明のガス分析における共存ガスの影響除去方
法においては、ガス分析計の校正時に、校正ガス中の目
的成分の濃度値とともに、ベース組成が実サンプルの平
均値とどれだけ違うかの情報をも入力することにより、
ガス分析計に予め記憶させている影響値も勘案して感度
調整係数を決定するようにしている。
【0008】上記ガス分析における共存ガスの影響除去
方法によれば、ベースガスとして校正ガス中に含めるこ
とが難しい共存成分、例えば高濃度(室温飽和以上)の
2Oによるスパン影響を予め補正しておけるので、共
存成分の濃度が比較的小さい場合であればサンプル測定
時またはデータ処理時に特別の補正を行う必要がなく、
ソフトウェアが非常にシンプルになる。その上、校正ガ
スもN2 ベースなど安価なものが使用できる。さらに、
感度調整を校正時に併せて行うので、共存成分濃度の異
なる測定ラインを測定する場合であっても再校正を行う
だけでよい。また、共存成分濃度が変動するサンプルで
あっても平均的な状態に合わせることで誤差を最小に抑
えることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を、図面を
参照しながら説明する。まず、図1は、この発明のガス
分析における共存ガスの影響除去方法(以下、共存ガス
の影響除去方法という)が適用されるフーリエ変換赤外
分光光度計を用いたガス分析装置(以下、FTIRガス
分析装置という)の構成を概略的に示すもので、この図
において、1は分析部、2はこの分析部1の出力である
インターフェログラムを処理するデータ処理部である。
【0010】前記分析部1は、平行な赤外光を発するよ
うに構成された赤外光源3と、ビームスプリッタ4、固
定ミラー5、図外の駆動機構によって例えばX−Y方向
に平行移動する可動ミラー6からなる干渉機構7と、測
定試料や比較(参照)試料等を収容し、干渉機構7を介
して赤外光源3からの赤外光が照射されるセル8と、半
導体検出器9等から構成されている。
【0011】そして、前記データ処理部2は、例えばコ
ンピュータよりなり、インターフェログラムを加算平均
し、その加算平均出力を高速でフーリエ変換し、さら
に、このフーリエ変換出力に基づいて測定対象成分に関
するスペクトル演算を行うように構成されている。
【0012】上述のように構成されたFTIRガス分析
装置においては、次のようにして複数の成分を定量分析
することができる。すなわち、セル8に比較試料または
測定試料をそれぞれ収容して赤外光源3からの赤外光を
セル8に照射し、比較試料または測定試料のインターフ
ェログラムを測定する。これらのインターフェログラム
をデータ処理部2において、それぞれフーリエ変換して
パワースペクトルを得た後、比較試料のパワースペクト
ルに対する測定試料のパワースペクトルの比を求め、こ
れを吸光度スケールに変換することにより吸収スペクト
ルを得た後、この吸収スペクトル中の複数の波数ポイン
トにおける吸光度に基づいて測定試料中に含まれる複数
の成分を定量分析するのである。
【0013】以下、上記FTIRガス分析装置を用いて
COを測定したときのベースガス中のH2 の濃度の影響
について説明する。下記表1における欄は、FTIR
法におけるベースガス中のH2 濃度とCO指示(真値2
50ppm)の関係を示している。
【0014】
【表1】
【0015】この場合、上記欄に示すように、感度は
2 濃度0%を基準に校正しており、H2 共存による誤
差は最大6.1ppmである。ここで、H2 濃度0%時
の指示(250.0ppm)と、H2 濃度32%時の指
示(253.6ppm)との比率(250.0/25
3.6)は、0.9858であることから、この値を用
いてH2 濃度32%時の感度に校正しなおすと、前記表
1のに示すように、誤差の最大値は−3.6ppmに
まで抑制される。実際のH2 濃度が例えば16%〜48
%の範囲と見なせる場合であれば、誤差は−1.3pp
m〜+1.1ppmとなる(H2 濃度0%基準の校正で
は+2.2ppm〜+4.7ppmとなる)。これは、
真値(250ppm)の±0.5%の範囲内にあり、通
常の実用レベルといえる。
【0016】具体的に校正を行うには、下記表2および
図2に示すように、ベースガス中のH2 濃度Xと感度補
正係数Y(例えば、上記例における数値0.9858)
の数点のデータからその近似曲線(1〜4次式程度)Y
=f(X)を算出し、分析計の演算部に記憶させてお
く。
【0017】
【表2】
【0018】前記表2は、表1におけるにおいて、H
2 濃度0%におけるCO指示値と各H2 濃度におけるC
O指示値との比率を表しており、図2は、この表2をグ
ラフ化して示したもので、横軸はH2 濃度、縦軸はスパ
ンガス補正係数である。
【0019】例えば、校正ガスがCO250ppm(N
2 ベース)、サンプルガスの平均的なH2 濃度が48%
の場合、分析計内部で校正曲線を求める際のボンベ濃度
として、 250×f(48)=250×0.9815=245.4 が得られ、245.4ppmを使用するのである。
【0020】上述の実施の形態においては、FTIR法
における共存ガスの影響除去方法であったが、この発明
はこれに限られるものではなく、例えば一般的な赤外吸
収法によるNDIR法にも適用することができる。ま
た、化学発光法(CLD)のクエンチングなど、スパン
点のみに影響する干渉の補正にも適用することができ
る。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、この発明において
は、分析計の校正時に、校正ガス中の目的成分だけでな
くベース組成の情報も入力し、予め記憶している影響値
も勘案して感度調整係数を決定するようにしたので、実
際の測定時には特別の補正ルーチンを必要とすることが
なく、ベースガス組成の差によるスパン感度への影響を
抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法が適用される装置の一例を概略的
に示す図である。
【図2】この発明方法で用いる補正係数とH2 濃度との
関係の一例を示すグラフである。
【図3】(A)は種々の濃度のCO2 を測定したときに
おける共存するH2 Oの濃度とCO2 指示値の誤差との
関係を示す図、(B)は2台の分析計を用いて種々の濃
度のCO2 を測定したときにおける共存するO2 の濃度
とCO2 指示値の誤差との関係を示す図である。
【図4】クエンチングによる赤外吸収量変化モデルを示
す図である。
【符号の説明】
1…ガス分析計。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石原 正昭 京都府京都市南区吉祥院宮の東町2番地 株式会社堀場製作所内 Fターム(参考) 2G059 AA01 BB01 CC04 CC07 EE01 EE10 EE12 FF08 GG10 HH01 JJ13 JJ22 KK01 MM03 MM14 MM16 MM17

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス分析計の校正時に、校正ガス中の目
    的成分の濃度値とともに、ベース組成が実サンプルの平
    均値とどれだけ違うかの情報をも入力することにより、
    ガス分析計に予め記憶させている影響値も勘案して感度
    調整係数を決定するようにしたことを特徴とするガス分
    析における共存ガスの影響除去方法。
JP16801399A 1999-02-05 1999-06-15 ガス分析における共存ガスの影響除去方法及びガス分析装置 Expired - Lifetime JP4113302B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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