JP2000354500A - G蛋白質共役型受容体リガンドのスクリーニング法並びにg蛋白質共役型受容体のエクスプレッションクローニング法 - Google Patents

G蛋白質共役型受容体リガンドのスクリーニング法並びにg蛋白質共役型受容体のエクスプレッションクローニング法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、エフェクター系の促進あるいは抑
制に関係なく、G蛋白質共役型受容体のアンタゴニスト
あるいはアゴニスト作用阻害物質を簡便な操作で、しか
も高感度でスクリーニングすることを目的とする。 【解決手段】 外来性G蛋白質共役型受容体をコードす
る遺伝子及び細胞のG蛋白質を介する刺激により発現す
る遺伝子のプロモーターに発現可能に結合されたレポー
ター遺伝子を有するPC12h細胞に試験試料を作用さ
せ、試験試料非存在の場合のレポーター遺伝子産物発現
量と比較することを特徴とするG蛋白質共役型受容体リ
ガンドのスクリーニング法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(1)所望の物質
がG蛋白質共役型受容体のアゴニスト、アンタゴニスト
または該アゴニストのアゴニスト作用の阻害する物質で
あるか否かを決定する方法、(2)G蛋白質共役型受容
体のリガンドであるアゴニスト、アンタゴニスト及び/
または該アゴニストのアゴニスト作用を阻害する物質の
スクリーニングする方法、(3)該いずれかの方法に用
いられるPC12由来細胞、及び(4)ある物質と相互
作用する受容体(例えば、G蛋白質共役型受容体)をエ
クスプレッションクローニング法により同定する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】G蛋白質共役型受容体は、細胞膜上の受
容体であり、7ヶ所の細胞膜貫通部を有し、GTP(グ
アノシン5’−三リン酸)結合性の制御蛋白質(G蛋白
質)を介して、リガンドの情報をエフェクター系に伝え
る役割を担っている。G蛋白質は、α、β及びγの3つ
のサブユニットからなる3量体で、αサブユニットの種
類によってGs、Gi、Go及びGq等に大別され、各
々受容体特異性(共役するG蛋白質受容体)及びエフェ
クター系(酵素やイオンチャンネル)の種類が異なって
いる。
【0003】例えば、グルカゴン様ペプチド1受容体や
β2アドレナリン受容体はGsと共役してエフェクター
系であるアデニル酸シクラーゼ系を促進させ、サイクリ
ックAMP(cAMP)を増加さる。また、α2アドレ
ナリン受容体はGiと共役してアデニル酸シクラーゼ系
を抑制し、cAMPを減少させる。H1ヒスタミン受容
体はGqと共役してエフェクター系であるホスホリパー
ゼC系を促進して、ジアシルグリセロールとイノシトー
ル3リン酸を増加させ、細胞内Ca2+を増加させる。
エフェクター系の種類は、アデニル酸シクラーゼ系、ホ
スホリパーゼC系、及びcGMPホスホジエステラーゼ
系などが主要なものである。
【0004】G蛋白質は、αサブユニットにGDP(グ
アノシン5’−二リン酸)が結合し、βサブユニット及
びγサブユニットと会合している。α、β及びγが会合
した状態は不活性型で、受容体にリガンドが結合する
と、αに結合していたGDPがGTPに置換され、そし
てαサブユニットにGTPが結合したα-GTPと、β-γ
の結合体とに乖離する。α-GTP及びβ-γはエフェクタ
ー系に作用してシグナルを伝達する。この間にαサブユ
ニットの持つGTPase活性によってGTPが分解されGD
Pになると、α−GDPはエフェクター系を離れてβ及
びγと会合し、再び不活性型となる。この反応を繰り返
すことにより、情報の増幅、伝達が行なわれる。G蛋白
質共役型受容体の生体内分布は特定の器官に局在してい
るものが多いが、G蛋白質は生体内に広く分布してい
る。そして、前述したようにG蛋白質はG蛋白質共役型
受容体を通じて、主に一連の細胞内リン酸化反応の引き
金となって、遺伝子レベルでの転写調節から筋収縮まで
幅広く細胞及び臓器機能の制御を行なっている。
【0005】例えば、β1アドレナリン受容体は、心
臓、脂肪組織、大脳皮質などに局在し、Gsによってア
デニル酸シクラーゼ系が促進され、心拍増加、心収縮力
増加、脂肪分解といった効果をもたらす。このように、
G共役型受容体/G蛋白質によって制御される情報伝達
系は、生体の生理機能の制御に必須のメカニズムであ
り、換言すれば、該情報伝達系は種々の疾病の発症に広
く関与するものである。従って、ある疾患の発症に関与
するG蛋白質共役受容体が同定されれば、該受容体の生
理機能を調節する薬剤(アゴニスト、アンタゴニスト、
アゴニスト作用阻害物質など)を開発することにより、
該薬剤によりその疾患を治療することが可能となる。
【0006】一方、最近、多数の新規なG蛋白質共役型
受容体(オーファンG蛋白質共役型受容体)が単離され
てきている(例えば、特開平9−268号公報、特開平
9−51795号等。)。しかしながら、それらの中に
は該受容体と相互作用するリガンドが未知のもの、即ち
オーファンG蛋白質受容体のものがほとんどである。前
述したとおり、G蛋白質共役型受容体は生体の生理機能
の制御及び種々の疾患の発症に深く関与することから、
該受容体の生理機能を明らかにすることは、種々の疾患
の発症の原因を解明することにおいて極めて重要であ
る。G蛋白質共役型受容体の生理機能を明らかにするた
めに最も重要なことは、該受容体のリガンド、即ち、該
受容体のアゴニストを同定することであり、多くの科学
者が精力的に研究を行っている。
【0007】リガンドが同定されていないG蛋白質共役
型受容体(即ち、オーファンG蛋白質共役型受容体)の
リガンド(即ち、該受容体と相互作用する物質であるア
ゴニストやアンタゴニストなど)を同定するためには、
数万種以上の多数の候補物質を試験によりスクリーニン
グする必要があり、該スクリーニングを迅速を行うこと
が可能なアッセイ系が必要である。また、該アッセイ
は、被験物質と該受容体との相互作用の有無を、該受容
体が共役するG蛋白質を介して誘導される2次メッセン
ジャーの活性化若しくは抑制の増減を定量的に検出する
必要があることから、該メッセージの増減を高感度で検
出可能なアッセイ方法が必要である。
【0008】従来のアッセイ方法としては次のような方
法が知られている。即ち、目的のG蛋白質共役型受容体
を発現する細胞に試験試料(被験物質)あるいは既知ア
ゴニスト及び試験試料を作用させ、エフェクター系の作
用によって生ずるセカンドメッセンジャー、例えばGsあ
るいはGi共役型受容体の場合にはアデニル酸シクラーゼ
の活性変動に連携したcAMPの量、Gq共役型受容体の場合
にはホスホリパーゼCの活性変動に連携したイノシトー
ル3リン酸やCa2+濃度を測定する手法が汎用されてい
る。しかしながら、これらの測定方法は極めて煩雑な操
作を必要とし大量の被験物質を迅速に評価することは極
めて困難であった。また、これらの方法は、目的とする
受容体が共役するG蛋白質の種類によって、測定される
べきセカンドメッセンジャーを選択する必要がある。従
って、該受容体と共役するG蛋白質が不明の場合には、
Gs、Gi、及びGqの各々を介するメッセージを測定可能な
各々のアッセイ系で複数種類ののアッセイを行う必要が
あった。さらに、Giと共役する受容体については、該受
容体とGiとの共役により誘導される2次メッセージは、
アデニル酸シクラーゼの抑制によるcAMPの減少であるこ
とから、この減少を定量的に捕らえるためには、Gsを活
性化しcAMPを増加させる試薬(フォルスコリンなど)に
より予めcAMP量を増加させ、該cAMPの増加に対する被験
物質によるcAMP量減少量として評価する必要があり、極
めて煩雑な操作を必要とした。
【0009】最近になって、多数の被験物質を迅速に試
験するための方法として、レポーター遺伝子を用いたア
ッセイ系(レポータージーンアッセイ)が開発された
(国際特許出願公開WO92/02639号、及び特表平6-502527
など)。それらの中で優れた方法としては、CRE(cAMP
レスポンスエレメント)をプロモーターとして含むレポ
ーター遺伝子を細胞内に導入し、該細胞に被験物質を接
触させることにより変動するレポーター遺伝子産物の程
度を定量することによりGsやGi系のシグナル伝達の有無
として捕らえる方法や、SRE(シーラムレスポンスエレ
メント)をプロモーターとして含むレポーター遺伝子を
用いて前記と同様にGq系からのシグナル伝達の有無を検
出する方法がある。本方法により比較的大量のサンプル
を処理することは可能になったが、例えば従来のSREを
用いたGq系のシグナル伝達評価系では、被験物質を細胞
に接触させて誘導されるレポーター遺伝子産物の増加の
程度は、被験物質を接触させない場合もそれの約5〜10
倍程度であり、該被験物質が該受容体との相互作用する
と判定するにはあまりに低い程度である。
【0010】また、セカンドメッセンジャーの1つであ
る細胞内Ca2+濃度の増減を測定する方法に関しても、大
量の被験物質を短時間で測定できる方法が最近開発され
てきている。しかしながら、この方法も、被験物質によ
る刺激の前後で検出されるシグナルの比(S/N比)は約
5倍程度と低いものである。被験物質の受容体に対する
相互作用の有無を明確に決定でき、多数の被験物質を迅
速にスクリーニングすることが可能なアッセイ系をミニ
チュア化するためには、細胞当たりでより大きなシグナ
ルを誘導し、該シグナルの誘導を高いS/N比で得られる
アッセイ系を開発する必要がある。また、この細胞内Ca
2+の増減を指標としたアッセイ系では、Gqを介するシグ
ナル伝達の有無しか測定できないという問題を有したま
まである。また、同様に、上述したレポータージーンア
ッセイ系においても、目的とする受容体が共役するG蛋
白質の種類によってレポーターを選択する必要があると
いう問題点、ならびにGiと共役する受容体のリガンドの
探索においては、被験物質と該受容体との相互作用の有
無を、Gsを介するシグナル伝達により増加させたcAMPの
増加に対するcAMPの増加の抑制の程度を指標として評価
しなくてはいけない問題点は残されたままであった。
【0011】従って、所望のG蛋白質共役型受容体のリ
ガンド(該受容体と相互作用する物質)を同定するため
に、被験物質と該受容体の相互作用により伝達されるシ
グナルにより誘導される2次メッセージを大きな絶対値
として及び高い感度(高いS/N比)で検出でき、且つ多
数種類の被験物質を迅速にスクリーニングできるアッセ
イ方法の開発が熱望されている。さらにまた、1種類の
アッセイ系で、Gs、Gi、及びGqの任意を介するシグナル
伝達の有無を同時に捕えられるアッセイ系の樹立が求め
られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、G蛋白質共役型受容体に対してアゴニスト、アンタ
ゴニストあるいはアゴニスト作用阻害物質を作用させた
場合のシグナルの変化を、大きな絶対値として、また高
いS/N比で検出できるアッセイ系の樹立である。第2の
目的は、受容体に共役するG蛋白質の種類に関わらずG
s、Gi、Gqのいずれかを介するシグナル伝達の有無を1
種類の細胞で検出可能なアッセイ系の樹立である。第3
の目的は、GsまたはGqを介するエフェクター系に対して
促進的に働くシグナルはもちろんのこと、Giを介するエ
フェクター系に対して抑制的に働くシグナル(cAMP産生
を抑制させるシグナル)もシグナルの増強として検出で
きるアッセイ系の樹立である。第4の目的は、上記のア
ッセイ方法を用いて、(1)所望の物質がG蛋白質共役
型受容体のアゴニスト、アンタゴニストまたは該アゴニ
ストのアゴニスト作用の阻害する物質であるか否かの決
定、及び(2)G蛋白質共役型受容体のリガンドである
アゴニスト、アンタゴニスト及び/または該アゴニスト
のアゴニスト作用を阻害する物質のスクリーニング、を
迅速且つ簡便に実施することが可能な方法を提供するこ
とを目的とする。第5の目的は、上記のアッセイ方法を
用いて、ある物質と相互作用する受容体(例えば、G蛋
白質共役型受容体)を、エクスプレッションクローニン
グ法を用いて簡便に同定する方法を提供する。
【0013】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、レポーター遺伝子を用いるアッセイ
方法によりG蛋白質受容体のリガンドを同定する方法に
おいて用いる宿主細胞、プロモーター領域及びそれらの
組み合わせについて鋭意検討した結果、所望のG蛋白質
共役型受容体を発現する宿主細胞としてPC12h細胞を用
いた場合に、アゴニスト添加によりレポーター遺伝子産
物の発現が極めて顕著に見られることを発見した。ま
た、レポーター遺伝子を発現を制御するプロモーターと
してzif268プロモーター領域(以下、単にzif268という
こともある。)を用いることにより、Gs及びGqの両者の
シグナル伝達をレポーター遺伝子産物の発現増加として
最も感度よく検出できることを発見した。
【0014】さらに、宿主細胞としてPC12由来細胞(特
に、PC12h細胞)を、またレポーター遺伝子発現の制御
プロモーターとしてzif268プロモーター領域を用いた場
合に、Gs及びGqの両者のシグナル伝達を極めて高い感度
で検出できることを見出した。加えて、該宿主細胞に、
下記いずれかの遺伝子: (a)GαqのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
質Gαサブユニットをコードする遺伝子; (b)GαsのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
質Gαサブユニットをコードする遺伝子;または、 (c)受容体特異性を有さずに受容体と共役し、フォス
フォリパーゼCを活性化することによりシグナルを伝達
するG蛋白質をコードする遺伝子。を導入しておくこと
により、Giを介するシグナル伝達もレポーター遺伝子の
発現の増加を指標として極めて高い感度で検出可能であ
ることを見出した。上記新規知見に基づき、Gs、Gi及び
Gqの任意のG蛋白質を介するシグナル伝達を高感度で検
出でき、所望のG蛋白質共役型受容体と相互作用する物
質(アゴニスト)、該物質のアンタゴニスト、または該
アゴニストのアゴニスト作用を阻害する活性を有する物
質などを迅速且つ簡便に同定できるアッセイ方法を発明
するに到った。
【0015】本発明のアッセイ方法を用いれば、(1)
ある物質が所望のG蛋白質共役型受容体のアゴニストで
あるか否かの決定、(2)所望のG蛋白質共役型受容体
のアゴニスト、該受容体のアンタゴニスト及び/または
該アゴニストのアゴニスト作用を阻害する活性を有する
物質を同定するための多数の被験物質の迅速且つ簡便な
スクリーニング、(3)エクスプレッションクローニン
グ法を用いて、ある物質と相互作用する受容体(例え
ば、G蛋白質型受容体)を同定(クローニング)するた
めの多数の被験蛋白質(cDNAやcDNAライブラリー)の迅
速且つ簡便なスクリーニング、を達成することができ
る。
【0016】即ち、本発明は下記<1>乃至<22>に記載さ
れるとおりの方法または細胞である。 <1>ある物質が所望のG蛋白質共役型受容体のアゴニス
トであるか否かを決定する方法であって、下記(a)乃
至(c)の工程を含むことを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
からなる試料に該物質を接触させる工程; (b)該物質に接触させた該試料中の各細胞において発
現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナ
ル、及び該物質に接触させていない該試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
較する工程。 <2>所望のG蛋白質共役型受容体のアゴニストを同定す
るために物質をスクリーニングする方法であって、下記
(a)乃至(c)の工程を含むことを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
からなる試料の複数を準備し、該試料の各々に異なる物
質を接触させる工程; (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及びいずれの物
質にも接触させていない該試料の各細胞において発現し
た該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナルの各
々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
較する工程。 <3>ある物質が所望のG蛋白質共役型受容体のアンタゴ
ニストであるか否か、または該G蛋白質共役型受容体の
アゴニストのアゴニスト作用の阻害物質であるか否かを
決定する方法であって、下記(a)乃至(c)の工程を
含むことを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
からなる試料に該G蛋白質受容体のアゴニスト及び該物
質を接触させる工程; (b)該物質に接触させた該試料中の各細胞において発
現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナ
ル、及び該物質に接触させていない該試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
較する工程。 <4>所望のG蛋白質共役型受容体のアンタゴニストまた
は該G蛋白質共役型受容体のアゴニストのアゴニスト作
用の阻害物質を同定するために物質をスクリーニングす
る方法であって、下記(a)乃至(c)の工程を含むこ
とを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
される遺伝子のプロモーター慮域に発現可能に連結され
たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
からなる試料の複数を準備し、該試料の各々に該該G蛋
白質受容体のアゴニストと異なる物質を接触させる工
程; (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及びいずれの物
質にも接触させていない該試料の各細胞において発現し
た該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナルの各
々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
較する工程。 <5>該プロモーター領域が、zif268(EGR-1)プロモータ
ー領域、SREとCREとを含むプロモーター領域またはc-fo
sプロモーター領域のいずれかであることを特徴とする
前記<1>乃至前記<2>のいずれかに記載の方法。 <6>該プロモーター領域が、zif268(EGR-1)プロモータ
ー領域であることを特徴とする前記<1>乃至前記<4>のい
ずれかに記載の方法。 <7>該PC12由来細胞が、さらに下記(a)乃至
(c)のいずれかの外来性遺伝子を有するものであるこ
とを特徴とする前記<1>乃至前記<6>のいずれかに記載の
方法: (a)GαqのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
質Gαサブユニットをコードする遺伝子; (b)GαsのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
質Gαサブユニットをコードする遺伝子;または、 (c)受容体特異性を有さずに受容体と共役し、フォス
フォリパーゼCを活性化することによりシグナルを伝達
するG蛋白質をコードする遺伝子。 <8>前記(c)に記載のG蛋白質が、G16またはG15であ
ることを特徴とする前記<7>に記載の方法。 <9>少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝子を
有するPC12由来細胞: (1)所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
たレポーター遺伝子。 <10>該プロモーター領域が、zif268プロモーター領域、
SREとCREとを含むプロモーター領域またはc-fosプロモ
ーター領域のいずれかであることを特徴とする前記<9>
に記載の細胞。 <11>該プロモーター領域が、zif268プロモーター領域で
あることを特徴とする前記<9>に記載の細胞。 <12>該PC12由来細胞が、さらに下記(a)乃至
(c)のいずれかの外来性遺伝子を有するものであるこ
とを特徴とする前記<9>乃至前記<11>のいずれかに記載
の細胞: (a)GαqのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
質Gαサブユニットをコードする遺伝子; (b)GαsのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
質Gαサブユニットをコードする遺伝子;または、 (c)受容体特異性を有さずに受容体と共役し、フォス
フォリパーゼCを活性化することによりシグナルを伝達
するG蛋白質をコードする遺伝子。 <13>前記(c)に記載のG蛋白質が、G16またはG15であ
ることを特徴とする前記<12>に記載の細胞。 <14>ある物質と相互作用する受容体を同定する方法であ
って、下記(a)乃至(d)の工程を含むことを特徴と
する方法(ここで、該物質は該受容体に対してアゴニス
トとして作用する。): (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び
(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺
伝子のプロモーター領域に発現可能に連結されたレポー
ター遺伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の
複数を準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程
(ここで、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに
異なる前記(1)の遺伝子を有する。); (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程; (c)工程(b)で決定した該各々試料についてのシグ
ナルの量を互いに比較し、工程(a)で試験された該複
数の試料から1または複数の試料を選択する工程;及び (d)該選択された試料中の細胞が有する工程(a)の
(1)に記載の該蛋白質をコードする遺伝子を塩基配列
を決定する工程。 <15>ある物質と相互作用する受容体を同定する方法であ
って、下記(a)乃至(g)の工程を含むことを特徴と
する方法(ここで、該物質は該受容体に対してアゴニス
トとして作用する。): (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び
(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺
伝子のプロモーター領域に発現可能に連結されたレポー
ター遺伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の
複数を準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程
(ここで、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに
異なる前記(1)の遺伝子を有する。); (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程; (c)工程(b)で決定した該各々試料についてのシグ
ナルの量を互いに比較し、工程(a)で試験された該複
数の試料から1または複数の試料を選択する工程; (d)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)工程(c)で選択された該試料中の細胞が有する
外来性遺伝子であって、工程(a)の(1)に記載の該
蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び(2)
G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺伝子の
プロモーター領域に発現可能に連結されたレポーター遺
伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の複数を
準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程(ここ
で、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに異なる
前記(1)の遺伝子を有する。); (e)工程(d)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程; (f)工程(e)で決定した該各々試料についてのシグ
ナルの量を互いに比較し、工程(d)で試験された該複
数の試料から1または複数の試料を選択する工程;及び (g)該選択された試料中の細胞が有する工程(d)の
(1)に記載の該蛋白質をコードする遺伝子を塩基配列
を決定する工程。 <16>該方法が、所望に応じ前記工程(f)と工程(g)
の間に、前記工程(d)乃至(f)からなる同様の操作
の1乃至複数回を含むことを特徴とする前記<15>に記載
の方法。 <17>該プロモーター領域が、zif268(EGR-1)プロモー
ター領域、SREとCREとを含むプロモーター領域またはc-
fosプロモーター領域のいずれかであることを特徴とす
る前記<14>乃至前記<16>のいずれかに記載の方法。 <18>該プロモーター領域が、zif268プロモーター領域で
あることを特徴とする前記<14>乃至前記<16>のいずれか
に記載の方法。 <19>該PC12由来細胞が、さらに下記(a)乃至
(c)のいずれかの外来性遺伝子を有するものであるこ
とを特徴とする前記<14>乃至前記<18>のいずれかに記載
の方法: (a)GαqのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
質Gαサブユニットをコードする遺伝子; (b)GαsのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
質Gαサブユニットをコードする遺伝子;または、 (c)受容体特異性を有さずに受容体と共役し、フォス
フォリパーゼCを活性化することによりシグナルを伝達
するG蛋白質をコードする遺伝子。 <20>前記(c)に記載のG蛋白質が、G15またはG16であ
ることを特徴とする前記<19>に記載の方法。 <21>該蛋白質をコードする1または複数の遺伝子が、cD
NAまたはcDNAライブラリーであることを特徴とする前記
<14>乃至前記<20>のいずれかに記載の方法 <22>該受容体が、G蛋白質共役型受容体であることを特
徴とする前記<14>乃至前記<21>のいずれかに記載の方
法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明で用いる語句の意味
及び本発明の具体的態様を明らかにすることにより本発
明をさらに詳細に説明する。
【0018】1.「PC12由来細胞」 本発明における「PC12由来細胞」とは、ラット副腎
褐色細胞腫由来のPC12細胞株(ATCC CRL-1721; Proc. N
atl. Acad. Sci.USA., Vol.73, p.2424-2426,1976; Sci
ence, Vol.229, p.393-395, 1985; EMBO J., Vol.2, p.
643-648, 1983)または該PC12細胞株からからサブクロ
ーニングされた任意の細胞株を意味する。好ましくは、
該サブクローニングされた細胞であって、且つ下記の性
質を有するものである。即ち、該細胞に、(1)所望の
G蛋白質共役型受容体をコードする遺伝子、並びに
(2)後述する「G蛋白質を介する刺激により発現が誘
導される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結さ
れたレポーター遺伝子」を外来的に導入して得た組換え
細胞に、該G蛋白質共役型受容体のリガンドを接触させ
た場合に、発現が誘導される該レポーター遺伝子産物の
量が、宿主細胞として該PC12細胞株を用いて検出される
レポーターの量よりも高い値が得られる細胞である。該
サブクローニングされた細胞としては、例えば、PC12h
細胞株(Brain Research, Vol.222, p.225-233, 1981)
並びに該PC12h細胞株からサブクローニングされた種々
細胞を好ましい態様として例示することができる。
【0019】2.「G蛋白質共役型受容体」及び「G蛋
白質共役型受容体をコードする遺伝子」 本発明における「G蛋白質共役型受容体」は、細胞膜上
に存在する受容体であって、GTP(グアノシン5'−
三リン酸)結合性の制御蛋白質(G蛋白質)を介して、
該受容体と相互作用するリガンドの情報をエフェクター
系に伝える機能を有する蛋白質を意味する。これまでに
同定されているほとんどのG蛋白質共役型受容体は細胞
膜を7回貫通する構造を有している。本発明におけるG
蛋白質共役型受容体は、細胞が生来発現する内在性の受
容体、または所望のG蛋白質共役型受容体をコードする
遺伝子を該細胞に導入することにより該細胞に発現させ
た受容体のいずれかを意味する。
【0020】本発明における「G蛋白質共役型受容体」
には、既知の該受容体及び未だ同定されていない該受容
体のいずれもが包含される。既知のG蛋白質共役型受容
体の一例としては、既に構造及び機能が解明されている
受容体(例えば、α-アドレナリン受容体、β-アドレナ
リン受容体、ドパミン受容体、ムスカリン性アセチルコ
リン受容体、セロトニン受容体、ヒスタミン受容体、タ
キキニン受容体、グルタミン酸受容体、エンドセリン受
容体、血小板活性化因子(PAF)受容体、トロンビン
受容体、FSH受容体等)、及び構造は知られているが
そのリガンド及び/または生理機能が不明の受容体(例
えば、種々のオーファンG蛋白質共役型受容体)を挙げ
ることができる。
【0021】3.「G蛋白質共役型受容体リガンド」 本明細書中で用いる「G蛋白質共役型受容体リガンド」
とは、G蛋白質共役型受容体と相互作用する任意のアゴ
ニストまたは該受容体の任意のアンタゴニストを意味す
る。
【0022】4.「キメラG蛋白質Gαサブユニット」 本発明における「キメラG蛋白質Gαサブユニット」と
は、ある種のG蛋白質のαサブユニット(例えば、Gα
qあるいはGαs)の一部のアミノ酸配列を、異なる種
類のG蛋白質のαサブユニット(例えば、Gαi)の一
部のアミノ酸配列に置き換えた構造を有するG蛋白質α
サブユニットを意味する。本発明における「キメラG蛋
白質Gqi」とは、Gαq(Gq蛋白質のαサブユニッ
ト)のC末端アミノ酸配列の一部が、GαiのC末端ア
ミノ酸配列の一部に置換えられた構造を有するキメラG
蛋白質αサブユニットを意味する。また、「キメラG蛋
白質Gsi」とは、同様にGαs(Gs蛋白質のαサブ
ユニット)のC末端アミノ酸配列の一部が、GαiのC
末端アミノ酸配列と置換えられた構造を有するキメラG
蛋白質αサブユニットを意味する。
【0023】G蛋白質GαqのC末端のアミノ酸を対応
するG蛋白質Gαi2のC末端のアミノ酸に置換したα
q/αi2キメラG蛋白質は、Gi共役型受容体と共役
してGq情報伝達系を活性化すること、並びにαi2
ブユニットのC末端アミノ酸配列中の第3位のグリシン
が受容体特異性を変換することに寄与していると考えら
れることが知られている(Nature, Vol.363, p.274-27
6, 1993)。従って、置換されるべきGαqのC末端ア
ミノ酸配列の一部は、この3位のグリシンを含む範囲で
あることが特に望ましい。置換されるべきアミノ酸の数
としては、少なくと約3乃至約23個のアミノ酸、好まし
くは約3乃至約11個のアミノ酸、さらに好ましくは約4
乃至約9個のアミノ酸である。
【0024】Gαq及びGαiは各々一群のファミリー
を構成している。これらのファミリーは、その種類によ
って、組織分布が異なっている。例えば、Giファミリ
ーであるαi2及びαi3は広く組織に分布するが、αo
1及びαo2は各々主に脳及び神経組織に発現している。
一方、Gαqファミリーのαq、α11は広く分布する
が、α14は主に肺、腎臓、肝臓組織に発現している。上
述の「キメラG蛋白質Gαサブユニット」を構成するG
αq及びGαiとしては、各々のファミリーに属するい
ずれのGαq及びGαiを用いてもよく、受容体の発現
する組織に応じて選択することができる。好ましくは、
広く組織に分布するものである。本発明におけるキメラ
Gαq/Gαiサブユニットとしては、GαqとGαi2
とからなるキメラG蛋白質αサブユニットが好ましい。
【0025】上述したGαqと同様に、Gαsについて
も、置換されるべきC末端アミノ酸配列としては、少な
くと約3乃至約23個、好ましくは約3個乃至約11個、さ
らに好ましくは約4個乃至約9個のアミノ酸を対応する
G蛋白質GαiのC末端のアミノ酸配列に置換すればよ
い。なお、キメラG蛋白質Gαサブユニットの構成は上
記に限定されるものではない。
【0026】5.「受容体特異性を有さずに受容体と共
役し、フォスフォリパーゼCを活性化することによりシ
グナルを伝達するG蛋白質」 本発明における標記のG蛋白質は、任意のG蛋白質共役
型受容体と共役する能力を有し、該共役により受容体が
ら受けたシグナルを、Gqを介するシグナル伝達経路、
即ちフォスフォリパーゼCのの活性化という形でさらに
下流に伝達する能力を有するG蛋白質である。好ましい
態様としては、例えば、G15やG16(J. Biol. Che
m., Vol.270,p.16175-16180, 1995)を挙げることがで
きるが、この限りではない。
【0027】6.「G蛋白質を介した刺激により発現が
誘導される遺伝子のプロモーター領域」 本発明における標記プロモーター領域としては、最初期
遺伝子(immediate-early gene)のプロモーター領域が
挙げられる。本発明で用いられる最初期遺伝子のプロモ
ーターとしては、例えば、c-fosプロモーター領域やzif
268プロモーター領域(Proc. Natl. Acad. Sci. USA.,
Vol.86, p.377-381, 1989;「EGR-1」、「NGF1-A」、
「Krox24」、「Tis8」または「cef5」とも称される。)
が挙げられる。特に好ましい態様としては、zif268(EGR
-1)プロモーター領域が挙げられる。また、本発明で使
用されるプロモータとしてには、前記プロモーターの任
意の動物種の対応物も包含される。ここで「プロモータ
ー領域」とは、プロモーター活性を発現するために必須
な最小の塩基配列を含む任意の領域を意味しする。例え
ば、該遺伝子の転写部位に対して上流約500bp乃至約2k
bの領域の一部または全部を用いることが可能である。
さらに本発明における標記プロモーター領域としては、
ミニマルプロモーターの上流に転写因子結合配列である
SRE(serum response element)及び/またはCRE(cAMP
response element)を有するプロモーター領域が挙げ
られる。
【0028】7.「レポーター遺伝子」 本発明における「レポーター遺伝子」は、検出可能な蛍
光を発するレポーター蛋白質をコードする遺伝子を意味
する。具体的には、例えば、蛍若しくはウミシイタケな
どに由来するルシフェラーゼ、またはクラゲ由来のGF
P(Green Fluorescence Protein)などを挙げることが
できる。さらには、例えば、βガラクトシダーゼをコー
ドする遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランス
フェラーゼをコードする遺伝子、及びβラクタマーゼを
コードする遺伝子を挙げることができる。
【0029】8.「アゴニスト作用阻害物質」/「アゴ
ニストのアゴニスト作用を阻害する物質」 本発明における標記物質は、アゴニストに直接作用して
アゴニストの活性を阻害あるいは喪失させる物質を意味
し、例えばアゴニストに対する抗体等を意味する。
【0030】9.「レポータージーンアッセイ」 本発明で言う「レポータージェーンアッセイ(reporter
gene assay)」とは、下記のような方法を意味する。
本発明の一部である前記<9>乃至<13>に記載の細胞に、
被験物質を接触させ、該化合物の作用に依存して発現さ
れるレポーター蛋白質の量を、該蛋白質が発する蛍光の
量を測定することにより間接的に測定することにより、
該被験物質のG蛋白質共役型受容体との相互作用の有無
を分析する方法である(例えば、米国特許第5,436,128
号及び米国特許第5,401,629号を参照できる)。また、
該レポータージーンアッセイは、マニュアル作業でも可
能であるが、機械(ロボット)を用いて自動で行う所謂
ハイスループットスクリーニング(HighThroughput Scr
eening)(組織培養工学, Vol.23, No.13, p.521-524;
米国特許第5,670,113号)を用いることによりより迅
速、簡便に行うことができる。
【0031】10.「物質」 本発明の方法により同定またはスクリーニングされる
「物質」とは、自然界に存在する天然の物質(蛋白質、
抗体、ペプチド、天然化合物など)あるいは人工的に調
製される任意の物質を意味する。具体的には、例えば、
化学的に合成された任意の「化合物」を挙げることがで
きる。該化合物の種類及び分子量などについては特に限
定されないが、分子量について言えば、医薬品として用
いられる可能性のある化合物の分子量は、分子量約50乃
至約3000以下であり、さらに一般的には分子量約100乃
至約2000であり、さらに一般的には分子量約100乃至約1
000である。該物質が、蛋白質、抗体またはペプチドで
ある場合には、生体組織や細胞から単離されるもの、及
び遺伝子組換えや化学的合成により調製されるものも包
含する。さらにまた、それらの化学修飾体も包含する。
ペプチドとしては、例えば、約3乃至約500個のアミノ
酸、好ましくは約3乃至約300個のアミノ酸、さらに好
ましくは約3乃至約200個のアミノ酸からなるペプチド
を挙げることができる。
【0032】以下に本発明で用いられる各種実験ツール
の意味及び/またはその調製のための一般的な方法を例
示する。しかしながら、本発明で用いられる該ツール
は、下記に例示される方法で調製されるものに限定され
るものではないことは言うまでもない。 (1)各種遺伝子のクローニング及び単離 本発明で用いられる各種遺伝子(例えば、所望のG蛋白
質共役型受容体をコードする遺伝子、所望の蛋白質をコ
ードする遺伝子、レポーター遺伝子、プロモーター領域
など)は、いかなる方法で得られるものであってもよ
い。また、その取得においては、既知の塩基配列情報を
用いることもできるし、また全く新たにクローニングす
ることもできる。 例えばmRNAから調製される相
補DNA(cDNA)、ゲノムDNAから調製されるD
NA、化学合成によって得られるDNA、RNAまたは
DNAを鋳型としてPCR法で増幅させて得られるDN
A及びこれらの方法を適当に組み合わせて構築されるD
NAをも全て包含するものである。 本発明で用いら
れるある蛋白質をコードするDNAは、常法に従って該
蛋白質をコードするmRNAからcDNAをクローン化
する方法、ゲノムDNAを単離してスプライシング処理
する方法、化学合成する方法等により取得することがで
きる。
【0033】例えば、該蛋白質をコードするmRNAか
らcDNAをクローン化する方法としては、以下の方法
が例示される。まず、所望の蛋白質を発現・産生する前
述のような組織あるいは細胞から該蛋白質をコードする
mRNAを調製する。mRNAの調製は、例えばグアニ
ジンチオシアネート法(Chirgwinら、Biochemistry,Vo
l.18, p.5294, 1979)、熱フェノール法もしくはAGP
C法等の公知の方法を用いて調製した全RNAをオリゴ
(dT)セルロースやポリU−セファロース等によるア
フィニティクロマトグラフィーにかけることによって行
うことができる。
【0034】次いで得られたmRNAを鋳型として、例
えば逆転写酵素を用いる等の公知の方法、例えばオカヤ
マらの方法(Mol.Cell.Biol., Vol.2, p.161, 1982; Mo
l.Cell. Biol., Vol.3, p.280, 1983)やHoffmanらの方
法(Gene, Vol.25, p.263, 1983)等によりcDNA鎖
を合成し、cDNAの二本鎖cDNAへの変換を行う。
このcDNAをプラスミドベクター、ファージベクター
またはコスミドベクターに組み込み、大腸菌を形質転換
して、あるいはインビトロパッケージング後、大腸菌に
形質移入(トランスフェクト)することによりcDNA
ライブラリーを作製する。
【0035】ここで用いられるプラスミドベクターとし
ては、宿主内で複製保持されるものであれば特に制限さ
れず、また用いられるファージベクターとしても宿主内
で増殖できるものであれば良い。常法的に用いられるク
ローニング用ベクターとしてpUC19、λgt10、λgt11等
が例示される。ただし、後述の免疫学的スクリーニング
に供する場合は、宿主内で該蛋白質をコードする遺伝子
を発現させうるプロモーターを有したベクターであるこ
とが好ましい。
【0036】プラスミドにcDNAを組み込む方法とし
ては、例えばManiatisらの方法(Molecular Cloning, A
Laboratory Manual, second edition, Cold Spring Ha
rborLaboratory, p.1.53, 1989)に記載の方法などが挙
げられる。また、ファージベクターにcDNAを組み込
む方法としては、Hyunhらの方法(DNA Cloning, apract
ical approach, Vol.1, p.49, 1985)などが挙げられ
る。簡便には、市販のクローニングキット(例えば、宝
酒造製等)を用いることもできる。このようにして得ら
れる組換えプラスミドやファージベクターは、原核細胞
(例えば、E.coli: HB101, DH5αまたはMC1061/P3等)
等の適当な宿主に導入する。
【0037】プラスミドを宿主に導入する方法として
は、(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, seco
nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Vol.1.7
4, 1989)に記載の塩化カルシウム法または塩化カルシ
ウム/塩化ルビジウム法、リポフェクション法、エレク
トロポレーション法等が挙げられる。また、ファージベ
クターを宿主に導入する方法としてはファージDNAを
インビトロパッケージングした後、増殖させた宿主に導
入する方法等が例示される。インビトロパッケージング
は、市販のインビトロパッケージングキット(例えば、
ストラタジーン製、アマシャム製等)を用いることによ
って簡便に行うことができる。
【0038】一方、例えば、ある種の刺激(例えば、サ
イトカインなどによる刺激)に依存して発現が増強され
る蛋白質をコードする遺伝子(cDNA)を取得する場合に
は、該刺激を与えた細胞由来のmRNAを基に作製したcDNA
ライブラリー(tester cDNAlibrary)と未刺激の細胞由
来のmRNAを基に作製したcDNAライブラリー(drivercDNA
library)の2つのcDNAライブラリーを用い、例えば、
抑制PCR効果(Nucleic Acids Res., Vol.23, p.1087-10
88, 1995)を利用したサプレッションサブトラクトハイ
ブリダイゼーション法(supression subtract hybridiz
ation (SSH))(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.93,
p.6025-6030, 1996; Anal. Biochem., Vol.240, p.90-
97, 1996)により同定することができる。
【0039】サブトラクションクローニングに必要なcD
NAライブラリーの調製は、市販のキット、例えば、PCR-
Select Subtraction Kit(CLONTECH製、カタログ番号:
K1804-1)を用いることができる。実験操作は、該キッ
トに添付の実験操作手順書に従って行うことができる。
【0040】具体的実験操作の一例を以下に概略する。
適切な刺激物質で刺激した細胞、及び未刺激の細胞の各
々から、既報(Nucleic Acids Res., Vol.26, No.4, p.
911-918, 1998)と同様にしてpolyA+RNAをする。次い
で、各々のpolyA+RNA試料を基に逆転写酵素を用い常法
に従ってcDNAを調製する。刺激した細胞から調製したcD
NAをテスターcDNA(tester cDNA)として、また未刺激
の細胞由来のcDNAをドライバーcDNA(driver cDNA)と
して用いる。前記既報及び該市販のキットに添付の実験
操作マニュアルに従って、テスターcDNAにドライバーcD
NAを加えサブトラクションを行う。なお、サブトラクシ
ョンの効率は、テスターcDNAに、コントロールとして適
当な外来性DNAを少量加えることによりモニターする。
サブトラクションの後、該外来性DNAを濃縮する。サブ
トラクションされたcDNA(subtracted cDNA)を、常法
に従って適当なプラスミド発現ベクター中にクローニン
グしプラスミドライブラリーを作製する。
【0041】既報と同様にして、該ライブラリーの多数
のコロニーを、ディファレンシャルハイブリダイゼーシ
ョン法によりスクリーニングする(Nucleic Acids Re
s., Vol.26, No.4, p.911-918, 1998; 臨床免疫, Vol.2
9, No.Suppl.17, p.451-459, 1997)。ここで、ハイブ
リダイゼーションプローブとしては、前記テスターcDNA
及びドライバーcDNAの各々を放射性標識したものを用い
ることができる。なお、目的のDNAを含むクローンと前
記外来性DNAを含むクローンの区別は、レプリカントフ
ルターに該外来性DNAをハイブリダイズさせることによ
り行うことができる。放射性標識ドライバーcDNAプロー
ブよりも放射性標識テスターcDNAプローブに対してより
強いシグナルを発するクローンを同定し、目的のcDNAま
たはcDNA断片を得ることができる。
【0042】また、本発明における任意の蛋白質をコー
ドするcDNAの単離は、他の一般的なcDNAのスクリーニ
ング法を用いることによっても行うことができる。例え
ば、市販または既知のアミノ酸配列や塩基配列も基に独
自に単離した該蛋白質をコードするcDNA若しくはcDNA断
片、あるいは別個に化学合成した該蛋白質のアミノ酸配
列に対応するオリゴヌクレオチドを32Pでラベルしてプ
ローブとなし、公知のコロニーハイブリダイゼーション
法(Crunsteinら, Proc. Natl. Acid. Sci. USA, Vol.7
2, p.3961, 1975)またはプラークハイブリダイゼーシ
ョン法(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, se
cond edition , Cold SpringHarbor Laboratory, p.2.1
08, 1989)により、市販または所望に応じ独自に調製し
たcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより取
得することができる。さらに、該蛋白質をコードするcD
NA若しくはcDNA断片の塩基配列を基に一対のPCRプライ
マーを作製し、全長cDNAライブラリーを鋳型として該プ
ライマーを用いたPCRにより該蛋白質をコードするcDNA
を含むDNAを増幅する方法を挙げることができる。
【0043】cDNAを発現しうる発現ベクターを用いて作
製したcDNAライブラリーを用いる場合には、該蛋白質に
反応性を有する抗体を用いる抗原抗体反応を利用して、
目的のクローンを選択することもできる。大量にクロー
ンを処理する場合には、PCR法を利用したスクリーニン
グ法を用いることが好ましい。この様にして得られたD
NAの塩基配列はマキサム・ギルバート法(マキサム
(Maxamら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., Vol.74, p.
560, 1977)あるいはファージM13を用いたジデオキシヌ
クレオチド合成鎖停止の方法(Sangerら、Proc.Natl. A
cad. Sci. USA., Vol.74, p.5463-5467, 1977)によっ
て決定することができる。市販のDNAシークエンサーを
用いると簡便に塩基配列を決定することが可能である。
本発明における任意の蛋白質をコードする遺伝子
は、その全部または一部を上記のようにして得られるク
ローンから制限酵素等により切り出すことにより取得で
きる。
【0044】また、所望の蛋白質をコードする遺伝子
を、該蛋白質を発現する細胞に由来するゲノムDNAか
ら単離することによる調製方法としては、例えば以下の
方法が例示される。該細胞を好ましくはSDSまたはプ
ロテナーゼK等を用いて溶解し、フェノールによる抽出
を反復してDNAの脱蛋白質を行う。RNAを好ましく
はリボヌクレアーゼにより消化する。得られるDNAを
適当な制限酵素により部分消化し、得られるDNA断片
を適当なファージまたはコスミドで増幅しライブラリー
を作成する。そして目的の配列を有するクローンを、例
えば放射性標識されたDNAプローブを用いる方法等に
より検出し、該クローンから該蛋白質をコードする遺伝
子の全部または一部を制限酵素等により切り出し取得す
る。例えば、ヒト由来タンパクをコードするcDNAを
取得する場合には、さらにヒトゲノムDNA(染色体D
NA)が導入されたコスミドライスラリーを作製(「ラ
ボマニュアルヒトゲノムマッピング」、堀雅明及び中村
祐輔 編、丸善 出版)し、該コスミドライブラリーを
スクリーニングすることにより、該目的とする蛋白質の
コーディング領域のDNAを含む陽性クローンを得、該
陽性クローンから切り出したコーディングDNAをプロ
ーブとして用い、前述のcDNAライブラリーをスクリ
ーニングすることにより調製することもできる。
【0045】(2)発現ベクターの調製及び該ベクター
による細胞の形質転換 上述した任意の蛋白質をコードする遺伝子のクローニン
グにおいて用いられるベクター、及び/または該蛋白質
をコードする遺伝子を発現させるための発現ベクターと
しては、原核細胞及び/または真核細胞の各種の宿主内
で複製保持または自己増殖できるものであれば特に制限
されず、プラスミドベクター及びファージベクターが包
含される。但し、前述した本発明の<1>乃至<22>の実施
においては、該蛋白質をコードする遺伝子が、前記で定
義した「PC12由来細胞」中で発現可能なベクターに限ら
れる。
【0046】当該組換えベクターは、簡便には当業界に
おいて入手可能な組換え用ベクター(プラスミドDNA
及びバクテリアファージDNA)に該蛋白質コードする
DNAを常法により連結することによって調製すること
ができる。用いられる組換え用ベクターとして具体的に
は、大腸菌由来のプラスミドとして例えばpBR322、pBR3
25、pUC12、pUC13、pUC19など、酵母由来プラスミドと
して例えばpSH19、pSH15など、枯草菌由来プラスミドと
して例えばpUB110、pTP5、pC194 などが例示される。ま
た、ファージとしては、λファージなどのバクテリオフ
ァージが、さらにレトロウイルス、ワクシニヤウイル
ス、核多角体ウイルスなどの動物や昆虫のウイルス(pV
L1393、インビトロゲン製)が例示される。
【0047】該蛋白質をコードするDNAを前記で定義
した「PC12由来細胞」中で発現させる目的においては、
発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、該
細胞中で該遺伝子を発現する機能を有するものであれば
特に制限されないが、例えば、pMAL C2 、pEF-BOS(ヌ
クレイックアシッドリサーチ(Nucleic Acid Researc
h)、第18巻、第5322頁、1990年等)あるい
はpME18S(実験医学別冊「遺伝子工学ハンドブック」、
1992年等)等を挙げることができる。
【0048】宿主として動物細胞を用いる場合、発現ベ
クターは少なくともプロモーター、開始コドン、目的の
該蛋白質をコードするDNA、終止コドンを含んでいる
ことが好ましい。またシグナルペプチドをコードするD
NA、エンハンサー配列、該蛋白質をコードする遺伝子
の5’側及び3’側の非翻訳領域、スプライシング接合
部、ポリアデニレーション部位、選択マーカー領域また
は複製可能単位などを含んでいてもよい。また、目的に
応じて通常用いられる遺伝子増幅遺伝子(マーカー)を
含んでいてもよい。好適な開始コドンとしては、メチオ
ニンコドン(ATG)が例示される。終止コドンとして
は、常用の終止コドン(例えば、TAG、TGA、TAA)が例
示される。ターミネーター領域としては、通常用いられ
る天然または合成のターミネーターを用いることができ
る。
【0049】複製可能単位とは、宿主細胞中でその全D
NA配列を複製することができる能力をもつDNAを言
い、天然のプラスミド、人工的に修飾されたプラスミド
(天然のプラスミドから調製されたDNAフラグメン
ト)及び合成プラスミド等が含まれる。例えば、E. col
i ではプラスミドpBR322、もしくはその人工的修
飾物(pBR322を適当な制限酵素で処理して得られ
るDNAフラグメント)が、また哺乳動物細胞ではプラ
スミドpRSVneo ATCC 37198、プラスミドpSV2dhfrATCC 3
7145、プラスミドpdBPV-MMTneo ATCC 37224、プラスミ
ドpSV2neo ATCC 37149等があげられる。
【0050】エンハンサー配列、ポリアデニレーション
部位及びスプライシング接合部位については、当業者に
おいて通常使用されるものを用いることができる。選択
マーカーとしては、通常使用されるものを常法により用
いることができる。例えば、ネオマイシン、テトラサイ
クリン、アンピシリン、ハイグロマイシン、またはカナ
マイシン等の抗生物質耐性遺伝子等が例示される。
【0051】遺伝子増幅遺伝子としては、ジヒドロ葉酸
レダクターゼ(DHFR)遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝
子、ネオマイシン耐性遺伝子、グルタミン酸合成酵素遺
伝子、アデノシンデアミナーゼ遺伝子、オルニチンデカ
ルボキシラーゼ遺伝子、ヒグロマイシン−B−ホスホト
ランスフェラーゼ遺伝子、アスパルラートトランスカル
バミラーゼ遺伝子等を例示することができる。
【0052】本発明で用いられる発現ベクターは、少な
くとも、上述のプロモーター、開始コドン、所望の蛋白
質をコードするDNA、終止コドン及びターミネーター
領域を連続的かつ環状に適当な複製可能単位に連結する
ことによって調製することができる。またこの際、所望
により制限酵素での消化やT4 DNAリガーゼを用いるライ
ゲーション等の常法により適当なDNAフラグメント
(例えば、リンカー、他の制限酵素切断部位など)を用
いることができる。
【0053】本発明において調製される形質転換細胞
は、上述の発現ベクターを宿主細胞(即ち、前記で定義
した「PC12由来細胞」)に導入することにより調製する
ことができる。本発明において使用される細胞(野生型
細胞、株化細胞、非形質転換細胞、形質転換細胞を含
む)は、栄養培地で培養することによって生存、維持及
び/または増殖させることができる。栄養培地は、宿主
細胞(形質転換体)の生育に必要な炭素源、無機窒素源
もしくは有機窒素源を含でいることが好ましい。炭素源
としては、例えばグルコース、デキストラン、可溶性デ
ンプン、ショ糖などが、無機窒素源もしくは有機窒素源
としては、例えばアンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ
酸、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉
エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などが例示される。
また所望により他の栄養素(例えば、無機塩(例えば塩
化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシ
ウム)、ビタミン類、抗生物質(例えばテトラサイクリ
ン、ネオマイシン、アンピシリン、カナマイシン等)な
ど)を含んでいてもよい。培養は当業界において知られ
ている方法により行われる。培養条件、例えば温度、培
地のpH及び培養時間は適宜選択される。宿主が動物細
胞の場合には、培地として例えば約5〜20%の胎児牛血
清を含むMEM培地(Science, Vol.122, p.501, 1952)、
DMEM培地(Virology, Vol.8, p.396, 1959)、RPMI164
0培地(J. Am. Med. Assoc., Vol.199, p.519, 196
7)、199培地(proc. Soc. Exp. Biol. Med., Vol.73,
p.1, 1950)等を用いることができる。培地のpHは約6
〜8に設定することができ、培養は通常約30〜40℃でな
われ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。
【0054】(3)キメラ遺伝子の構築と発現ベクター
の構築 本発明で用いられるキメラG蛋白質αサブユニット、例
えば、GαiとGαqからなるGαqiをコードする遺伝子
あるいはGαiとGαsからなるGαsiをコードする遺伝
子は、Gαq及びGαsの各々をコードするmRNAの塩基配
列を鋳型として下記一対のプライマーを用いたPCRによ
り調製することができる。フォーワードプライマー:
Gq及びGsの各々のN末端アミノ酸配列をコードする塩基
配列に相補的な塩基配列を有するプライマー。リバース
プライマー: Gq及びGsの各々のC末端側のアミノ酸の
一部をコードする塩基配列に相補的な塩基配列の下流に
GiのC末端アミノ酸配列をコードする塩基配列に相補的
な塩基配列を有するプライマー。
【0055】(4)レポーター遺伝子発現ベクター 前記で定義した本発明で用いられる各種のレポーター遺
伝子は、上述したような既存の遺伝子クローニング法を
用いてクローニングすることもできるが、該遺伝子が挿
入された市販の発現ベクターを用いるのが簡便である。
【0056】(5)細胞の形質転換 本発明における宿主細胞(例えば、前記で定義した「PC
12由来細胞」)の種々遺伝子発現ベクターによる形質転
換は、上述した一般的な方法(例えばリポフェクション
法あるいはエレクトロポレーション法など)により行う
ことができる。本発明で使用される形質転換体には、一
過性形質転換体(transient transformant)あるいは安
定形質転換体(stable transformant)のいずれもが包
含される。安定形質転換体は、前述したとおり、宿主細
胞を種々のマーカー遺伝子(例えばネオマイシン耐性遺
伝子等の薬剤耐性遺伝子)で形質転換し、次いで、該細
胞を、該薬剤存在下で培養して該薬剤に耐性のクローン
を選択することにより取得できる。
【0057】(6)G蛋白質共役型受容体のアゴニスト
を同定する方法 本発明の1つである下記発明(前記<1>)の態様の一例
を挙げる。前記<1>の発明は即ち下記のとおりである。 「ある物質が所望のG蛋白質共役型受容体のアゴニスト
であるか否かを決定する方法であって、下記(a)乃至
(c)の工程を含むことを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び (2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺
伝子のプロモーター領域に発現可能に連結されたレポー
ター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数からなる
試料に該物質を接触させる工程; (b)該物質に接触させた該試料中の各細胞において発
現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナ
ル、及び該物質に接触させていない該試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
較する工程。」
【0058】本発明は例えば、下記のように実施するこ
とができる。 PC12由来細胞(例えば、PC12h細胞株)を下記(i)及び
(ii)または(i)乃至(iii)の遺伝子が宿主細胞内で発現可
能なように挿入された1または複数の発現ベクターで形
質転換し、該全ての遺伝子が導入された形質転換細胞
(好ましくは安定形形質転換細胞)を取得する。 i)ある所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝子
(好ましくはcDNA)。 ii)G蛋白質を介するシグナルにより発現が誘導される
遺伝子のプロモーター領域(好ましくは、zif268(EGR-
1)プロモーター領域、c-fosプロモーター領域、または
SRE及び/またはCREを含むプロモーター領域)に発現可
能に連結されたレポーター遺伝子(好ましくは、蛍若し
くはウミシイタケなどに由来するルシフェラーゼ、クラ
ゲ由来のGFP(Green Fluorescence Protein)、βー
ラクタマーゼをコードするcDNA)。 iii)GqのαサブユニットのC末端側のアミノ酸配列であ
って3位のグリシンを含む約3乃至約23個(好ましくは9
個)の連続するアミノ酸配列を、Giのαサブユニットの
C末端側の対応するアミノ酸配列で置換して得られるキ
メラG蛋白質αサブユニットをコードする遺伝子(好ま
しくは、cDNA)。
【0059】得られた該形質転換細胞の定数(例え
ば、1〜1×1010個、以下好ましい順に、1×101〜1×10
9個、1×102〜1×108個、1×103〜1×107個、1×104〜1
×107個、1×104〜1×106個、1×104〜5×105個)を所
望の細胞培養が可能な器具(例えば、シャーレ、多数の
ウェルを有するマイクロプレート、マイクロチューブな
ど)を用いて所望の試薬(例えば、血清、抗生物質な
ど)を含む所望の栄養培地(例えば、D-MEM培地など)
中で培養する。この定数の細胞からなる試料を、少なく
とも2セット以上準備する。 前記の試料の少なくとも1つに試験しようとする物質
(例えば、化合物)の所望の濃度(例えば、約1.0pM〜
約1.0M、以下好ましい順で、約10.0pM〜約100mM、約100
pM〜約10mM、約1.0nM〜約1.0mM、約10nM〜約500μM、約
100nM〜約500μM)を加え約37℃前後で所望の時間(例
えば、約1〜24時間)培養する。
【0060】前記で該物質の存在下で培養した細胞試
料に含まれる細胞を、所望の細胞溶解試薬で細胞溶解
し、該試料の細胞溶解液の一定量中に含まれるルシフェ
ラーゼの量を市販のルシフェラーゼ活性測定装置を用い
て定量的に決定し、測定値[A]を得る。また、該物質を
加えないで培養した前記の細胞試料中に含まれる細胞
についても、同様にして細胞溶解し、細胞溶解液の一定
量中に含まれるルシフェラーゼの量を市販のルシフェラ
ーゼ活性測定装置を用いて定量的に決定し、測定値[B]
を得る。 測定値[A]と測定値[B]を比較し、その差違の程度に基
づいて、該物質が該G蛋白質共役型受容体のアゴニスト
であるか否か(該受容体との相互作用の有無)を決定す
る。
【0061】(7)G蛋白質共役型受容体のアゴニスト
を同定するために物質をスクリーニングする方法 本発明の1つである下記発明(前記<2>)の態様の一例
を挙げる。前記<2>の発明は即ち下記のとおりである。 「所望のG蛋白質共役型受容体のアゴニストを同定する
ために物質をスクリーニングする方法であって、下記
(a)乃至(c)の工程を含むことを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
からなる試料の複数を準備し、該試料の各々に異なる物
質を接触させる工程; (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及びいずれの物
質にも接触させていない該試料の各細胞において発現し
た該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナルの各
々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
較する工程。」
【0062】本発明は例えば、下記のように実施するこ
とができる。 PC12由来細胞(例えば、PC12h細胞株)を下記(i)及び
(ii)または(i)乃至(iii)の遺伝子が宿主細胞内で発現可
能なように挿入された1または複数の発現ベクターで形
質転換し、該全ての遺伝子が導入された形質転換細胞
(好ましくは安定形形質転換細胞)を取得する。 i)ある所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝子
(好ましくはcDNA)。 ii)G蛋白質を介するシグナルにより発現が誘導される
遺伝子のプロモーター領域(好ましくは、zif268(EGR-
1)プロモーター領域、c-fosプロモーター領域、または
SRE及び/またはCREを含むプロモーター領域)に発現可
能に連結されたレポーター遺伝子(好ましくは、蛍若し
くはウミシイタケなどに由来するルシフェラーゼ、クラ
ゲ由来のGFP(Green Fluorescence Protein)、βー
ラクタマーゼをコードするcDNA)。 iii)GqのαサブユニットのC末端側のアミノ酸配列であ
って3位のグリシンを含む約3乃至約23個(好ましくは9
個)の連続するアミノ酸配列を、Giのαサブユニットの
C末端側の対応するアミノ酸配列で置換して得られるキ
メラG蛋白質αサブユニットをコードする遺伝子(好ま
しくは、cDNA)。
【0063】得られた該形質転換細胞の定数(例え
ば、1〜1×1010個、以下好ましい順に、1×101〜1×10
9個、1×102〜1×108個、1×103〜1×107個、1×104〜1
×107個、1×104〜1×106個、1×104〜5×105個)を、
多数のウェル(例えば、24穴、48穴、96穴、364穴な
ど)を有するマイクロプレートの各々のウェルに蒔き、
該細胞を所望の試薬(例えば、血清、抗生物質など)を
含む所望の栄養培地(例えば、D-MEM培地など)中で培
養する。(以下、各ウェルにセットされた定数の細胞群
を、試料と称する。) マイクロプレートの各ウェルにセットされた複数の試
料の各々に、各々異なる試験しようとする物質(例え
ば、化合物)の所望の濃度(例えば、約1.0pM〜約1.0
M、以下好ましい順で、約10.0pM〜約100mM、約100pM〜
約10mM、約1.0nM〜約1.0mM、約10nM〜約500μM、約100n
M〜約500μM)を加え、約37℃前後で所望の時間(例え
ば、約1〜24時間)培養する。
【0064】次いで、各々異なる試験物質の存在下で
培養した各試料に、所望の細胞溶解試薬を加えて細胞を
溶解し、該各々の試料の細胞溶解液の一定量中に含まれ
るルシフェラーゼの量を市販のルシフェラーゼ活性測定
装置を用いて定量的に決定し、各々の試料について複数
の測定値[A]、[B]、[C]、[D]、[E]・・・・[X]を得る。
また、該物質を加えないで培養した前記の細胞試料中
に含まれる細胞についても、同様にして細胞溶解し、細
胞溶解液の一定量中に含まれるルシフェラーゼの量を市
販のルシフェラーゼ活性測定装置を用いて定量的に決定
し、1または複数の測定値[Control]を得る。 複数の測定値[A] 、[B]、[C]、[D]、[E]・・・・[X]
の各々を、測定値[Control]と比較し、その差違の程度
に基づいて、該G蛋白質共役型受容体のアゴニストであ
る(該受容体と相互作用する)物質を選別、同定する。
【0065】(8)G蛋白質共役型受容体のアンタゴニ
ストまたはアゴニスト作用阻害物質を同定する方法 本発明の1つである下記発明(前記<3>)の態様の一例
を挙げる。前記<3>の発明は即ち下記のとおりである。 「ある物質が所望のG蛋白質共役型受容体のアンタゴニ
ストであるか否か、または該G蛋白質共役型受容体のア
ゴニストのアゴニスト作用の阻害物質であるか否かを決
定する方法であって、下記(a)乃至(c)の工程を含
むことを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
からなる試料に該G蛋白質受容体のアゴニスト及び該物
質を接触させる工程; (b)該物質に接触させた該試料中の各細胞において発
現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナ
ル、及び該物質に接触させていない該試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
較する工程。」
【0066】本発明は例えば、下記のように実施するこ
とができる。 PC12由来細胞(例えば、PC12h細胞株)を下記(i)及び
(ii)または(i)乃至(iii)の遺伝子が宿主細胞内で発現可
能なように挿入された1または複数の発現ベクターで形
質転換し、該全ての遺伝子が導入された形質転換細胞
(好ましくは安定形形質転換細胞)を取得する。 i)ある所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝子
(好ましくはcDNA)。 ii)G蛋白質を介するシグナルにより発現が誘導される
遺伝子のプロモーター領域(好ましくは、zif268(EGR-
1)プロモーター領域、c-fosプロモーター領域、または
SRE及び/またはCREを含むプロモーター領域)に発現可
能に連結されたレポーター遺伝子(好ましくは、蛍若し
くはウミシイタケなどに由来するルシフェラーゼ、クラ
ゲ由来のGFP(Green Fluorescence Protein)、βー
ラクタマーゼをコードするcDNA)。 iii)GqのαサブユニットのC末端側のアミノ酸配列であ
って3位のグリシンを含む約3乃至約23個(好ましくは9
個)の連続するアミノ酸配列を、Giのαサブユニットの
C末端側の対応するアミノ酸配列で置換して得られるキ
メラG蛋白質αサブユニットをコードする遺伝子(好ま
しくは、cDNA)。
【0067】得られた該形質転換細胞の定数(例え
ば、1〜1×1010個、以下好ましい順に、1×101〜1×10
9個、1×102〜1×108個、1×103〜1×107個、1×104〜1
×107個、1×104〜1×106個、1×104〜5×105個)を所
望の細胞培養が可能な器具(例えば、シャーレ、多数の
ウェルを有するマイクロプレート、マイクロチューブな
ど)を用いて所望の試薬(例えば、血清、抗生物質な
ど)を含む所望の栄養培地(例えば、D-MEM培地など)
中で培養する。この定数の細胞からなる試料を、少なく
とも2セット以上準備する。
【0068】前記の試料の少なくとも1つ下記(i)
及び(ii)を加え、約37℃前後で所望の時間(例えば、約
1〜24時間)培養する。 i)該G蛋白質共役型受容体の既知のアゴニストの所望の
濃度(例えば、約1.0pM〜約1.0M、以下好ましい順で、
約10.0pM〜約100mM、約100pM〜約10mM、約1.0nM〜約1.0
mM、約10nM〜約500μM、約100nM〜約500μM)。 ii)試験しようとする物質(例えば、化合物)の所望の
濃度(例えば、約1.0pM〜約1.0M、以下好ましい順で、
約10.0pM〜約100mM、約100pM〜約10mM、約1.0nM〜約1.0
mM、約10nM〜約500μM、約100nM〜約500μM)。
【0069】前記の試料の少なくとも1つ下記(i)
を加え、約37℃前後で所望の時間(例えば、約1〜24時
間)培養する。 i)該G蛋白質共役型受容体の既知のアゴニストの所望の
濃度(例えば、約1.0pM〜約1.0M、以下好ましい順で、
約10.0pM〜約100mM、約100pM〜約10mM、約1.0nM〜約1.0
mM、約10nM〜約500μM、約100nM〜約500μM)。 前記及びで培養した各々の試料に、所望の細胞溶
解試薬で細胞溶解し、該各々の試料の細胞溶解液の一定
量中に含まれるルシフェラーゼの量を市販のルシフェラ
ーゼ活性測定装置を用いて定量的に決定する。前記の
試料について測定値[A]を得、また前記の試料につい
て測定値[B]を得る。また、該アゴニスト及び該試験物
質のいずれをもを加えないで培養した前記の細胞試料
中に含まれる細胞についても、同様にして細胞溶解し、
細胞溶解液の一定量中に含まれるルシフェラーゼの量を
市販のルシフェラーゼ活性測定装置を用いて定量的に決
定し、測定値[C]を得る。 測定値[A]、[B]及び[C]を比較し、その差違の程度に
基づいて、該物質が該G蛋白質共役型受容体のアンタゴ
ニストであるか否か、または該物質が該アゴニストのア
ゴニスト作用を阻害する活性を有する物質であるか否か
を決定する。
【0070】(9)G蛋白質共役型受容体のアンタゴニ
ストまたはアゴニスト作用阻害物質を同定するために物
質をスクリーニングする方法 本発明の1つである下記発明(前記<4>)の態様の一例
を挙げる。前記<4>の発明は即ち下記のとおりである。 「所望のG蛋白質共役型受容体のアンタゴニストまたは
該G蛋白質共役型受容体のアゴニストのアゴニスト作用
の阻害物質を同定するために物質をスクリーニングする
方法であって、下記(a)乃至(c)の工程を含むこと
を特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
される遺伝子のプロモーター慮域に発現可能に連結され
たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
からなる試料の複数を準備し、該試料の各々に該該G蛋
白質受容体のアゴニストと異なる物質を接触させる工
程; (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及びいずれの物
質にも接触させていない該試料の各細胞において発現し
た該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナルの各
々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
較する工程。」
【0071】本発明は例えば、下記のように実施するこ
とができる。 PC12由来細胞(例えば、PC12h細胞株)を下記(i)及び
(ii)または(i)乃至(iii)の遺伝子が宿主細胞内で発現可
能なように挿入された1または複数の発現ベクターで形
質転換し、該全ての遺伝子が導入された形質転換細胞
(好ましくは安定形形質転換細胞)を取得する。 i)ある所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝子
(好ましくはcDNA)。 ii)G蛋白質を介するシグナルにより発現が誘導される
遺伝子のプロモーター領域(好ましくは、zif268(EGR-
1)プロモーター領域、c-fosプロモーター領域、または
SRE及び/またはCREを含むプロモーター領域)に発現可
能に連結されたレポーター遺伝子(好ましくは、蛍若し
くはウミシイタケなどに由来するルシフェラーゼ、クラ
ゲ由来のGFP(Green Fluorescence Protein)、βー
ラクタマーゼをコードするcDNA)。 iii)GqのαサブユニットのC末端側のアミノ酸配列であ
って3位のグリシンを含む約3乃至約23個(好ましくは9
個)の連続するアミノ酸配列を、Giのαサブユニットの
C末端側の対応するアミノ酸配列で置換して得られるキ
メラG蛋白質αサブユニットをコードする遺伝子(好ま
しくは、cDNA)。
【0072】得られた該形質転換細胞の定数(例え
ば、1〜1×1010個、以下好ましい順に、1×101〜1×10
9個、1×102〜1×108個、1×103〜1×107個、1×104〜1
×107個、1×104〜1×106個、1×104〜5×105個)を、
多数のウェル(例えば、24穴、48穴、96穴、364穴な
ど)を有する1または複数(好ましくは複数)のマイク
ロプレートの各々のウェルに蒔き、該細胞を所望の試薬
(例えば、血清、抗生物質など)を含む所望の栄養培地
(例えば、D-MEM培地など)中で培養する。(以下、各
ウェルにセットされた定数の細胞群を、試料と称す
る。) マイクロプレートの各ウェルにセットされた複数の試
料の一部または全部の各々に、下記(i)及び(ii)を加え
て、約37℃前後で所望の時間(例えば、約1〜24時間)
培養する。 i)該G蛋白質共役型受容体の既知のアゴニストの所望の
濃度(例えば、約1.0pM〜約1.0M、以下好ましい順で、
約10.0pM〜約100mM、約100pM〜約10mM、約1.0nM〜約1.0
mM、約10nM〜約500μM、約100nM〜約500μM)。 ii)各試料に対して各々異なる試験しようとする物質
(例えば、化合物)の所望の濃度(例えば、約1.0pM〜
約1.0M、以下好ましい順で、約10.0pM〜約100mM、約100
pM〜約10mM、約1.0nM〜約1.0mM、約10nM〜約500μM、約
100nM〜約500μM)。
【0073】前記の試験に用いたマイクロプレート
とは別の前記のマイクロプレートの各ウェルにセット
された各々の試料、または前記のマイクロプレートに
セットされた試料であって前記の試験に使用しなかっ
た残りのウェルにセットさいれた試料の各々前記にセッ
トされた複数の試料の各々に、下記(i)を加えて、約37
℃前後で所望の時間(例えば、約1〜24時間)培養す
る。 i)該G蛋白質共役型受容体の既知のアゴニストの所望の
濃度(例えば、約1.0pM〜約1.0M、以下好ましい順で、
約10.0pM〜約100mM、約100pM〜約10mM、約1.0nM〜約1.0
mM、約10nM〜約500μM、約100nM〜約500μM)。
【0074】前記及びで培養した各々の試料に、
所望の細胞溶解試薬で細胞溶解し、該各々の試料の細胞
溶解液の一定量中に含まれるルシフェラーゼの量を市販
のルシフェラーゼ活性測定装置を用いて定量的に決定す
る。前記の試料について測定値[A]、[B]、[C]、[D]、
[E]・・・・[X]を得、また前記の試料について測定値
[A']、[B']、[C']、[D']、[E']・・・・[X']を得る。ま
た、該アゴニスト及び該試験物質のいずれをもを加えな
いで培養した前記の細胞試料中に含まれる細胞につい
ても、同様にして細胞溶解し、細胞溶解液の一定量中に
含まれるルシフェラーゼの量を市販のルシフェラーゼ活
性測定装置を用いて定量的に決定し、1または複数の測
定値[Control]を得る。 複数の測定値[A] 、[B]、[C]、[D]、[E]・・・・[X]
の各々を、測定値[A']、[B']、[C']、[D']、[E']・・・
・[X']、及び測定値[Control]と比較し、その差違の程
度に基づいて、該G蛋白質共役型受容体のアンタゴニス
トである物質、または該アゴニストのアゴニスト作用を
阻害する活性を有する物質を選別、同定する。
【0075】(10)ある物質と相互作用する受容体(例
えば、G蛋白質共役型受容体)を同定する方法 本発明の1つである下記発明(前記<14>乃至<16>)の態
様の一例を挙げる。
【0076】前記<14>の発明は即ち下記のとおりであ
る。 「ある物質と相互作用する受容体を同定する方法であっ
て、下記(a)乃至(d)の工程を含むことを特徴とす
る方法(ここで、該物質は該受容体に対してアゴニスト
として作用する。): (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び
(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺
伝子のプロモーター領域に発現可能に連結されたレポー
ター遺伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の
複数を準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程
(ここで、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに
異なる前記(1)の遺伝子を有する。); (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程; (c)工程(b)で決定した該各々試料についてのシグ
ナルの量を互いに比較し、工程(a)で試験された該複
数の試料から1または複数の試料を選択する工程;及び (d)該選択された試料中の細胞が有する工程(a)の
(1)に記載の該蛋白質をコードする遺伝子を塩基配列
を決定する工程。」
【0077】前記<15>の発明は即ち下記のとおりであ
る。 「ある物質と相互作用する受容体を同定する方法であっ
て、下記(a)乃至(f)の工程を含むことを特徴とす
る方法(ここで、該物質は該受容体に対してアゴニスト
として作用する。): (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び
(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺
伝子のプロモーター領域に発現可能に連結されたレポー
ター遺伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の
複数を準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程
(ここで、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに
異なる前記(1)の遺伝子を有する。); (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程; (c)工程(b)で決定した該各々試料についてのシグ
ナルの量を互いに比較し、工程(a)で試験された該複
数の試料から1または複数の試料を選択する工程; (d)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
子: (1)工程(c)で選択された該試料中の細胞が有する
外来性遺伝子であって、工程(a)の(1)に記載の該
蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び(2)
G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺伝子の
プロモーター領域に発現可能に連結されたレポーター遺
伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の複数を
準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程(ここ
で、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに異なる
前記(1)の遺伝子を有する。); (e)工程(d)で該物質に接触させた各々の試料につ
いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
グナルの各々を定量的に決定する工程; (f)工程(e)で決定した該各々試料についてのシグ
ナルの量を互いに比較し、工程(d)で試験された該複
数の試料から1または複数の試料を選択する工程;及び (g)該選択された試料中の細胞が有する工程(d)の
(1)に記載の該蛋白質をコードする遺伝子を塩基配列
を決定する工程。」
【0078】前記<16>の発明は即ち下記のとおりであ
る。 「該方法が、所望に応じ前記工程(f)と工程(g)の
間に、前記工程(d)乃至(f)からなる同様の操作の
1乃至複数回を含むことを特徴とする前記<15>に記載の
方法。」
【0079】本発明は例えば、下記のように実施するこ
とができる。 PC12由来細胞(例えば、PC12h細胞株)を下記(i)及び
(ii)または(i)乃至(iii)の遺伝子が宿主細胞内で発現可
能なように挿入された1または複数の発現ベクターで形
質転換し、該全ての遺伝子が導入された形質転換細胞
(好ましくは安定形形質転換細胞)であって、該形質転
換細胞は、細胞毎に各々異なる下記(i)の遺伝子を有す
る複数種類の形質転換細胞を調製する。 i)任意の蛋白質をコードする1または複数の遺伝子(好
ましくはcDNA)。具体的には、例えば、ヒト由来の種々
の蛋白質の全長アミノ酸配列をコードする多種のcDNAか
らなるcDNAライブラリー中の1または複数種類からなる
cDNAまたはcDNA群。 ii)G蛋白質を介するシグナルにより発現が誘導される
遺伝子のプロモーター領域(好ましくは、zif268(EGR-
1)プロモーター領域、c-fosプロモーター領域、または
SRE及び/またはCREを含むプロモーター領域)に発現可
能に連結されたレポーター遺伝子(好ましくは、蛍若し
くはウミシイタケなどに由来するルシフェラーゼ、クラ
ゲ由来のGFP(Green Fluorescence Protein)、βー
ラクタマーゼをコードするcDNA)。 iii)GqのαサブユニットのC末端側のアミノ酸配列であ
って3位のグリシンを含む約3乃至約23個(好ましくは9
個)の連続するアミノ酸配列を、Giのαサブユニットの
C末端側の対応するアミノ酸配列で置換して得られるキ
メラG蛋白質αサブユニットをコードする遺伝子(好ま
しくは、cDNA)。
【0080】得られた複数種類の該形質転換細胞の各
々の定数(例えば、1〜1×1010個、以下好ましい順
に、1×101〜1×109個、1×102〜1×108個、1×103〜1
×107個、1×104〜1×107個、1×104〜1×106個、1×10
4〜5×105個)を、多数のウェル(例えば、24穴、48
穴、96穴、364穴など)を有するマイクロプレートの各
々のウェルに蒔き、該細胞を所望の試薬(例えば、血
清、抗生物質など)を含む所望の栄養培地(例えば、D-
MEM培地など)中で培養する。即ち、各ウェルには、各
々異なる前記(i)の遺伝子を有する細胞がセットされ
る。(以下、各ウェルにセットされた定数の細胞群を、
試料と称する。) マイクロプレートの各ウェルにセットされた複数の試
料の各々に、所望の試験しようとする物質(例えば、化
合物)の所望の濃度(例えば、約1.0pM〜約1.0M、以下
好ましい順で、約10.0pM〜約100mM、約100pM〜約10mM、
約1.0nM〜約1.0mM、約10nM〜約500μM、約100nM〜約500
μM)を加え、約37℃前後で所望の時間(例えば、約1
〜24時間)培養する。
【0081】次いで、該試験物質の存在下で培養した
各々の試料に、所望の細胞溶解試薬を加えて細胞を溶解
し、該各々の試料の細胞溶解液の一定量中に含まれるル
シフェラーゼの量を市販のルシフェラーゼ活性測定装置
を用いて定量的に決定し、各々の試料について複数の測
定値[A]、[B]、[C]、[D]、[E]・・・・[X]を得る。ま
た、所望に応じて、該物質を加えないで培養した前記
の各々の細胞試料中に含まれる細胞についても、同様に
して細胞溶解し、細胞溶解液の一定量中に含まれるルシ
フェラーゼの量を市販のルシフェラーゼ活性測定装置を
用いて定量的に決定し、1または複数の測定値[Contro
l]を得る。 複数の測定値[A] 、[B]、[C]、[D]、[E]・・・・[X]
の各々を互いに比較し、その差違の程度に基づいて、該
物質と相互作用すると認められる試料を選別、同定す
る。また、この選別、同定においては、所望に応じて、
該複数の測定値[A] 、[B]、[C]、[D]、[E]・・・・[X]
の各々を測定値[Control]と比較して得られる知見も参
考にすることができる。
【0082】前記で選別された試料が1乃至数種類
である場合には、各々の試料中について、該各々の試料
中に含まれる細胞中に導入されている前記の(i)の遺
伝子の塩基配列を決定し、該塩基配列に基づいて、該物
質と相互作用した該(i)の遺伝子を特定することができ
る。 前記で選別された試料が、多数の種類ある場合に
は、当該選別された各々の試料について、該試料中の細
胞に対して導入された前記の(i)の遺伝子の種類の情
報を基に、前記乃至と同様の操作を繰り返した後に
前記操作を行うことにより該物質と相互作用した該
(i)の遺伝子を特定することができる。即ち、例えば、
前記で下記10種類の試料が同定された場合を例に挙げ
ると下記のような操作を行うことができる。 (1)選別された試料1:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,B,C (2)選別された試料2:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,D,E (3)選別された試料3:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,F,G (4)選別された試料4:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,H,I (5)選別された試料5:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,J,K (6)選別された試料6:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,L,M (7)選別された試料7:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,N,O (8)選別された試料8:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,P,Q (9)選別された試料9:前記の(i)で細胞に導入された
遺伝子: 遺伝子A,R.S (10)選別された試料10:前記の(i)で細胞に導入され
た遺伝子: 遺伝子A,T,U
【0083】上記のような場合には、前記の(i)の遺
伝子を、遺伝子A, B, C, D, E, F, G, H, I, J, K, L,
M, N, O, P, Q, R, S, T,及びUに限定する。次いで、こ
れらの遺伝子から選ばれる1または複数を前記と同様
にしてPC12由来細胞に導入する。以下、前記乃至と
同様の操作を繰り返し行う。
【0084】以下、実施例を以って本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明が該実施例に記載される態様のみ
に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0085】
【実施例】実施例1 H1ヒスタミン受容体発現ベクターの構築 H1ヒスタミン受容体(pME-H1R)の発現ベクターを以
下のようにして構築した。なお、以下「受容体」をレセ
プターと称することもある。ウシ脳由来cDNA(Bovine Q
UICK-Clone cDNA; CLONTECH製)を鋳型としてプライマ
ーF3(5'-GCGAATTCCAATGACCTGTCCCAACTCC-3')及びプ
ライマーR3(5'-GCGCGGCCGCAGGCTTCCTCCTTCACTTCC-
3')を用いてPCRを行い、H1ヒスタミン受容体のコ
ーディング領域を含むDNA断片を増幅し、得られたD
NA断片を制限酵素EcoRI及びNotIにて消化した。発現
ベクターpME18S(Mol. Cell. Biol., Vol.8, p.466, 19
88)を制限酵素EcoRi及びNotIにて消化し、上記のDNA
断片をpME18Sにクローン化した。本実験及び以後の全て
の実験においてベクターへPCR断片をクローン化した
後シークエンスを確認した。
【0086】実施例2 グルカゴン様ペプチド受容体発現ベクターの構築 グルカゴン様ペプチド(GLP1)受容体(pEF-GLPR)発現
ベクターを以下のようにして構築した。ヒト膵臓由来cD
NA(Human Pancreas QUICK-Clone cDNA; CLONTECH製)
を鋳型として、プライマーF4(5'-GCGAATTCCCAGTCCTG
AACTCC-3')及びプライマーR4(5'-CGCTCGAGTCTCAGCT
GCAGGAGG-3')を用いてPCRを行い、増幅したDNA
断片を制限酵素EcoRI及びXhoIにて消化し、GLP1受容体
のコーディング領域を含むDNA断片を得た。得られた
DNA断片を、pCRII(TA Cloning Kit; Invitrogen
製)のEcoRI-XhoIサイトにクローン化(pIT101)した。
ついで、pIT101をSpeI及びXbaIで消化し(両制限酵素サ
イトはpCRII由来)、得られたDNA断片を、pEF-BOS
(特開平2-242687号)のXbaI-XbaIサイトにクローン化
した。
【0087】実施例3 アドレナリンα2A受容体発現ベクターの構築 アドレナリンα2A受容体(pME-α2AR)の発現ベクタ
ーを以下のように構築した。アドレナリンα2A受容体
遺伝子を、ATCC(American Type Culture Collection)
から入手し、以下の手順でそのコーディング領域をpME
18S発現ベクターに組み込んだ。すなわち、α2Aのコ
ーディング領域の上流(5')側を制限酵素PvuII及びSac
Iで消化し、このDNA断片をpBluescript IIのSmaI-Sa
cIサイトにクローン化した(pBlue-α2A5')。また、α
2Aのコーディング領域の下流(3')側を制限酵素AccI
で消化し、上記の上流側と一部オーバーラップするDN
A断片を得、これをpBluescript IIのAccIサイトにクロ
ーン化した(pBlue-α2A3')。ついで、pBlue-α2A5'を
制限酵素EcoRI(ベクター上の制限酵素サイト)及びFsp
I(α2Aコーディング上の制限酵素サイト)で消化
し、α2Aのコーディング領域の上流(5')側のDNA
断片を得た。一方、pBlue-α2A3'を制限酵素FspI(pBlu
e-α2A5'のα2Aコーディング上と同一位置の制限酵素
サイト)及びNotI(ベクター上の制限酵素サイト)で消
化し、α2Aのコーディング領域の下流(3')側のDN
A断片を得た。このようにして得られたα2Aのコーデ
ィング領域の上流及び下流のDNA断片をFspIサイトで
連結し、pMe18SのEcoRI-NotIサイトにクローン化した。
【0088】実施例4 zif268プロモーター−ルシフェラーゼレポータープラス
ミドの構築。zif268(EGR-1)プロモーター−ルシフェラ
ーゼレポータープラスミド(pGL2-zif、以下zif-ルシフ
ェラーゼと称することもある)を以下の手順により作成
した。ラットゲノミック DNAを鋳型として、プライ
マーF1(5'AGAGAGGGTACCAGCCTCAGCTCTACGCGCCT-3')
及びプライマーR1(5'-AGAGAGAAGCTTGAAGCTACTGAGGGC
ACACT-3')を用いてPCRを行い、zif268遺伝子のプロ
モーター領域[転写開始部位に対して-526〜+227(Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA., Vol.86, p.377-381, 198
9)]を増幅した。増幅されたDNA断片を制限酵素Sac
IIにて消化後平滑末端処理を行い、その後に、さらに制
限酵素KpnIにて消化し、-526〜+97の断片を得た。真核
細胞のプローモーター配列とエンハンサー配列を持たな
い発現ベクターpGL2-ベーシックベクター(PROMEGA社)
を制限酵素HindIIIで消化後平滑末端処理を行い、その
後に、制限酵素KpnIにて消化し、上記のzif268プロモー
ター断片(-526〜+97)をpGL2-ベーシックベクターのル
シフェラーゼ遺伝子の上流にクローン化した。
【0089】実施例5 c-fosプロモーター−ルシフェラーゼレポータープラス
ミドの構築 c-fosプロモーター−ルシフェラーゼレポータープラス
ミド(pGL2-fos、以下fosプロモーター−ルシフェラー
ゼレポーターと記載することもある)を以下のようにし
て構築した。ヒトゲノミックDNAを鋳型として、プラ
イマーF2(5'-TCTCTCGGTACCGCAGGAACAGTGCTAGTATT-
3')及びプライマーR2(5'-TCTCTCAGATCTTGAAGCAGAGC
TGGGTAGGA-3')を用いてPCRを行い、c-fos遺伝子の
プロモーター領域[転写開始部位に対して-733〜+98(E
ndocrinology, Vol.136, p.4505-4516, 1995); GenBa
nk Accession No.M16287)]を増幅した。増幅されたD
NA断片を制限酵素BglII及びKpnIにて消化した。発現
ベクターpGL2-ベーシックベクター(PROMEGA社)を制限
酵素BglII及びKpnIにて消化し、上記のDNA断片をpGL
2-ベーシックベクターにクローン化した。
【0090】実施例6 薬剤耐性ベクターの構築 以下の実施例において使用されるピューロマイシン耐性
ベクター(pCMV-Pur)は以下のようにして調製した。pP
URプラスミド(CLONTECH製)を制限酵素HindIII、XbaI
にて消化し、ピューロマイシン耐性構造遺伝子を含むD
NA断片を得た。このDNA断片を、発現ベクターpIRE
SIhyg(CLONTECH製)のHindIII-XbaIサイトにクローン
化した。
【0091】実施例7 Gq情報伝達系を活性化するリガンド/受容体によるレ
ポーター遺伝子の活性化(ヒスタミンによるH1ヒスタ
ミン受容体(H1R)を介したzif-ルシフェラーゼの活性
化)。Gq情報伝達系を活性化するヒスタミン/H1ヒ
スタミン受容体の、本発明アッセイ系におけるレポータ
ー遺伝子の活性化の例を以下に示す。PC12h細胞をコラ
ーゲンコート処理済み24穴プレート(IWAKI製)に1x1
05細胞/ウェルになるように播いた。培地にはD-MEM(10
% 馬血清, 5%牛胎児血清, ペニシリン50単位/ml,
ストレプトマイシン50μg/ml)を用いた。該細胞を37
℃で1日培養後に、製造業者の説明書に従いリポフェク
トアミン試薬(GIBCOBRL製)を用いて、受容体発現ベク
ター(pME-H1R; 200ng/ウェル)及びレポータープラス
ミド(pGL2-zif; 20ng/ウェル)で共形質転換(co-tran
sfection)した。約6時間後にトランスフェクション液
を捨て、低血清D-MEM培地(0.5%馬血清, 0.25%牛胎児
血清, ペニシリン50単位/ml, ストレプトマイシン50μ
g/ml)をウェル当たり1ml加えた。2日間37℃で培養後
に、ヒスタミンを最終濃度10nM〜1mMになる様に加え
た。6時間37℃で培養後に培地を捨て、細胞をリン酸緩
衝生理食塩溶液で2回洗浄後、細胞溶解バッファー(レ
ポーターリシスバッファー;PROMEGA製)をウェル当た
り100μl加え細胞を溶解させ、溶解液の一部(10μl)
をルシフェラーゼ活性測定に供した。ルシフェラーゼ活
性は、基質にルシフェラーゼアッセイシステム(PROMEG
A製)を用いて、測定器にLUMINOUS CT-9000D(DIA-IATR
ON製)を用いて行った。図1に示す様に、レポーター遺
伝子産物であるルシフェラーゼの活性はリガンドである
ヒスタミンの濃度に依存して増加し、例えばヒスタミン
0.1μMではヒスタミン非添加の32倍、100μMでは123倍
の増加が認められ、本アッセイ系が従来技術に比較して
はるかに高い応答性を示すことが示された。なお、PC12
h細胞を、該ヒスタミン受容体発現ベクターの代わり
に、pME18Sベクタープラスミドで形質転換した場合に
は、ヒスタミンによるレポーター遺伝子の活性化は見ら
れず、この反応が強制発現したH1受容体特異的である
ことも確認している。
【0092】実施例8 Gs情報伝達系を活性化するリガンド/受容体によるレ
ポーター遺伝子の活性化。Gs情報伝達系を活性化す
る、グルカゴン様ペプチド(GLP)/GLP1受容体の本発明
アッセイ系におけるレポーター遺伝子の活性化の例を以
下に示す。使用した受容体発現ベクター(pEF-GLPR)及
びリガンドが異なる以外、他の条件は実施例7と同様に
行った。GLP(7-37、WAKO製)刺激は1pM〜10nMで行っ
た。図2に示すように、GLP濃度依存的にルシフェラー
ゼ活性の増加が認められ、例えば、10pMで12倍、10nMで
50倍のルシフェラーゼ活性の増加が認められた。
【0093】実施例9 Gi情報伝達系を活性化するリガンド/受容体によるレ
ポーター遺伝子活性化の変化。アドレナリンα2A受容体
のリガンドの1つであるUK14304は、10nM程度でGi情報
伝達系を活性化することが知られている。また、Gs情
報伝達系のアデニレートシクラーゼの活性化剤であるフ
ォルスコリンによって活性化されたGs情報伝達系は、
10nM程度のUK14304で抑制されることが知られている。
この現象を本発明アッセイ系で評価した例を以下に示
す。薬剤の刺激条件、及び、受容体発現ベクターにアド
レナリンα2A受容体発現ベクター(pME-α2AR)を使用
した以外は実施例7と同じ条件で行った。薬剤刺激は、
フォルスコリン(RBI Research Biochemicals Internat
ional; 10μM)あるいは、フォルスコリン(10μM)とU
K14304(RBI Research Biochemicals International; 1
0nM)で10分間、37℃で行い、培地を低血清D-MEM培地
(0.5%馬血清, 0.25%牛胎児血清, ペニシリン50単位/
ml, ストレプトマイシン50μg/ml)に交換後さらに約6
時間、37℃培養し、ルシフェラーゼ活性を測定した。図
3に示すように、アデニレートシクラーゼ活性化剤であ
るフォルスコリン刺激によりルシフェラーゼ活性は約10
倍増加し、10nMのUK14304によるGsの阻害(Giの活性
化)はルシフェラーゼ活性の約40%の減少としてとらえ
られることが示された。
【0094】実施例10 GqiキメラG蛋白質発現ベクターの構築 GqiキメラG蛋白質発現ベクターpME-Gqiを以下のよう
にして構築した。G蛋白質Gqのαサブユニットのカル
ボキシ末端側9アミノ酸残基を、G蛋白質Giのαサブ
ユニットのカルボキシ末端側の9アミノ酸残基に置き換
えたキメラG蛋白質の発現ベクター)を以下のようにし
て調製した。マウスの脳より調製したRNAから、オリ
ゴdTプライマーを用いてcDNAを合成した。このcDNAを
鋳型としてプライマーF5(5'-GGACTAGTGAGGCACTTCGGA
AGAATGACTCTGGA-3')及びプライマーR5(5'-GGACTAGT
TAGAACAGACCGCAATCCTTCAGGTTATTCTGCAGG-3')を用いて
PCRを行い、増幅したDNA断片を制限酵素SpeIにて
消化した。なお、プライマーR5の一部の塩基配列(GA
ACAGACCGCAATCCTTCAGGTTATT)の相補鎖配列はGiのC末
端アミノ酸配列をコードし、他の一部の塩基配列(CTGC
AGG-3')の相補鎖配列はGqのアミノ酸配列をコードし
ている。発現ベクターpME18Sを制限酵素XhoIにて消化
し、セルフライゲーション反応により、XhoI断片(スタ
ッファー断片)を含まない発現ベクターを作製した。そ
の後、その発現ベクターを制限酵素SpeIにて消化後、上
記のPCRにて増幅したDNA断片をpME18SのSpeIサイ
トにクローン化した。
【0095】実施例11 受容体/レポーター/GqiキメラG蛋白質を組み合わせ
ることによるGs,Gq,Gi共役型受容体を介したレポ
ーター遺伝子の活性化。実施例7乃至実施例9に示した
ように、本アッセイ系ではGs及びGqの情報伝達をルシ
フェラーゼ活性の増加という形で感度よくとえれられ、
Giの情報伝達はフォスルコリン等を用いたGs情報伝達
系の活性化と組み合わせることで、ルシフェラーゼ活性
の抑制という形でとらえられる。一方、Gq蛋白質αサ
ブユニットのC末端側の4から9残基程度をGi蛋白質
のαサブユニットにおきかえたキメラG蛋白質(Gqi)
は、Gi共役型受容体に結合し、Gq情報伝達系を活性化
することがすでに報告されている(Nature, Vol.363,
p.274-276, 1993; Molecular Pharmacology, Vol.50,
p.923-930, 1996)。本発明アッセイ系において、細胞
中にさらにGq蛋白質αサブユニットのC末端側の9残
基をGi蛋白質のαサブユニットにおきかえたGqiのキ
メラG蛋白質を強制発現させることにより、Gs及びGq
のみならずGiの任意と共役する受容体を介した情報伝
達もルシフェラーゼ活性の増加の形でとらえられる例を
以下に示す。トランスフェクションには、ウェル当た
り、受容体発現ベクター(100ng)、レポータープラス
ミド(pGL2-zif; 20ng)、Gqi発現ベクター(pME-Gqi;
30mg)を用いた。なお、最終プラスミド量をウェルあ
たり200ngにそろえる目的で、pME18Sベクタープラスミ
ドを50ng加えた。他の条件は実施例7と同じとした。図
4に示すように、Gi情報伝達系を活性化する10nMのUK1
4304刺激によりルシフェラーゼ活性は18倍程度増強さ
れ、Gi情報伝達系をルシフェラーゼ活性の増加として
感度良くとらえられることが示された。また、H1受容
体発現ベクター(Gq情報伝達系)あるいはGLP受容体発
現ベクター(Gs情報伝達系)をGqi発現ベクター及び
レポータープラスミドで共形質転換した細胞を、ヒスタ
ミンあるいはGLPで刺激した場合も、それぞれの情報伝
達系活性化を、それぞれ約160倍及び9倍のルシフェラ
ーゼ活性の増加としてとらえられることが示された。す
なわち、PC12h細胞を、受容体発現ベクター、レポータ
ープラスミド、及びGqi発現ベクターで共形質転換(co
-transfection)することにより、Gq、Gs、及びGiの
任意を介する情報伝達系活性化の全てをルシフェラーゼ
活性の増加として感度良く検出できることが示された。
【0096】実施例12 受容体遺伝子/レポーター遺伝子安定形質転換体の作製
及び安定形質転換体のリガンドに対する応答性。PC12h
細胞をコラーゲンコート済みのシャーレ(内径10cm;IW
AKI製)に3x10 6個播き1日培養した後に、製造業者の
説明書に従いリポフェクトアミン試薬(GIBCO BRL製)
を用いて、レポータープラスミド(pGL2-zifあるいはpG
L2-fos;6μg)及び薬剤耐性プラスミド(pBK-CMV;ネ
オマイシン耐性遺伝子(STRATAGENE製)若しくはpCMV-p
ur;ピューロマイシン耐性遺伝子(0.6μg))で共形質
転換(co-transfection)した。約6時間後にトランス
フェクション液を捨て、D-MEM培地(10%馬血清, 5%
牛胎児血清, ペニシリン50単位/ml, ストレプトマイシ
ン50μg/ml)をシャーレ当たり10ml加えた。2日間37℃
で培養後に、細胞を1/3に希釈し、選択薬剤(G418;
GIBCO BRL製、あるいはピューロマイシン;SIGMA製)を
加えた。1〜2週間後に、シャーレ内に形成されたコロ
ニーをコラーゲンコート済み24穴プレート(IWAKI製)
にピックアップした。培養を続け各クローン(細胞)が
十分に増殖した時点で、各クローンのレポーター活性を
以下の方法で測定した。すなわち、PC12h細胞をNGF(Ne
rve Growth Factor)で刺激することにより、本発明ア
ッセイ系で使用しているレポーター遺伝子(pGL2-zifま
たはpGL2-fos)が活性化される性質を利用して、各クロ
ーンを実施例7と同様に24穴プレートに播き、トランス
フェクション操作は行わず、2日後にNGF刺激を行い、
6時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。そして、無
刺激でのルシフェラーゼ活性が低く、NGF刺激で高い応
答性を示すクローンを選択した。選択されたクローンに
ついて、限界希釈法により細胞のクローン化を再度行い
レポーター遺伝子安定形質転換体を樹立した。ついで、
ネオマイシン耐性遺伝子及びzif268レポーター遺伝子安
定形質転換体の1クローンであるz/n36-2を、H1ヒス
タミン受容体発現ベクター(pME-H1R;6μg)及び薬剤
耐性プラスミド(pBS-pur;ピューロマイシン耐性; 0.6
μg)で共形質転換した。上記と同様の方法でコロニー
をピックアップし、得られたH1ヒスタミン受容体/zi
f268-レポーター遺伝子安定形質転換体の各クローンに
ついて、ヒスタミンに対する応答性を測定し、高応答性
のクローンを選択した。同様の方法で、アドレナリンα
2A受容体/zif268-レポーター遺伝子、GLP1受容体/zif
268-レポーター遺伝子をそれぞれに発現する安定形質転
換体を樹立した。これらの安定形質転換体は表1に示す
ように、何れも受容体に対応したリガンドに対して高い
応答性を持つことが示された。
【0097】
【表1】
【0098】実施例13 宿主細胞とレポーター遺伝子発現調節プロモーターとの
各種組み合せでのレポーター遺伝子の応答性の比較 ヒスタミン/H1ヒスタミン受容体間の相互作用で誘導
されるシグナル伝達のレポータージーンアッセイによる
検出において、該レポーター遺伝子の該シグナルに対す
る応答性を、各種の宿主細胞(PC12h細胞、PC12細胞、C
HO細胞またはCOS細胞)と各種のプロモーター/レポー
ター遺伝子(zif-ルシフェラーゼレポーター遺伝子また
はfos-ルシフェラーゼレポーター遺伝子)を組み合せる
ことにより検証した。PC12h細胞、PC12細胞、CHO細胞、
COS細胞、それぞれに、レポータープラスミド(pGL2-zi
fあるいはpGL2-fos)、及び、受容体発現ベクター(pME
-H1R)をトランスフェクトし、ヒスタミン刺激に応答し
たルシフェラーゼ活性化を測定した。トランスフェクシ
ョンからルシフェラーゼ活性測定までの一連の操作及び
条件は、実施例7に準じた。表2に示すように、PC12h
細胞/zif-ルシフェラーゼの組み合わせが最も高いリガ
ンド応答性(130倍の活性化)を示した。一方、他の組
み合わせについても応答性は落ちるものの、何れの組み
合わせにおいてもリガンド(ヒスタミン)によるレポー
ター遺伝子の活性化が認められた。
【0099】
【表2】 すなわち、zif-ルシフェラーゼレポーターはPC12h細胞
で最も高い応答性を示すが、他の細胞においてもリガン
ド特異的応答性を示すこと、ならびにfos-ルシフェラー
ゼレポーターもPC12h細胞をはじめとする各種細胞にお
いてリガンド特異的に応答性を示し、これら複数の何れ
の組み合わせもリガンドアッセイに利用できることが示
された。
【0100】実施例14 MAPキナーゼの活性化を指標としたシグナル伝達の検出
とレポーター遺伝子の発現を指標としたシグナル伝達の
検出の比較 ヒスタミン/H1受容体間の相互作用により誘導される
シグナル伝達を、MAPキナーゼ(mitogen activated pro
tein kinase)の活性化を指標として解析した。該H1受
容体発現細胞の作製の宿主細胞として、PC12h細胞、CHO
細胞、CV1細胞、及びHEK293細胞を用い、各種細胞でのM
APキナーゼの活性化の程度を比較した。MAPキナーゼ活
性化測定にはPathDetect Elk1trans Reporting System
(pFR Lucプラスミド; レポータープラスミド;pFA2 Elk
1プラスミド;及びフュージョントランスアクティベー
タープラスミドを含む。STRATAGENE製)を用いた。PC12
h細胞、CHO細胞、CV1細胞、HEK293細胞(0.5〜2x105
細胞/ウェル)をコラーゲンコート済み24穴プレート
(IWAKI製)に撒き、それぞれの細胞に、pFR Luc(40〜
200ng/ウェル)、pFA2 Elk1(10〜300ng/ウェル)、及
び受容体発現ベクター(pME-H1R;200〜400ng/ウェル)
をトランスフェクトし、ヒスタミン刺激に応答したルシ
フェラーゼ活性化を測定した。トランスフェクションに
はSuperFectトランスフェクション試薬(1.5〜5μl/ウ
ェル;QUAGEN製、カタログ番号:#301307)を用いて、
製造業者の説明書に従いコトランスフェクトした。な
お、試験に用いた細胞数、各種プラスミド及びトランス
フェクション試薬の量は、事前に検討した各細胞に最適
な条件に設定した。ヒスタミン刺激からルシフェラーゼ
活性測定までの一連の操作は実施例7に準じた。表3に
示すように、リガンドと受容体の相互作用により誘導さ
れるシグナル伝達の有無をMAPキナーゼ活性化を指標と
して検出した場合には、検出の感度は、前記実施例で示
したzif-ルシフェラーゼをレポーターに用いた場合に比
べ極めて低いことが示された。しかしながら、MAPキナ
ーゼ活性化を指標としたシグナルの検出においても、該
受容体を発現させる宿主細胞については、前記実施例で
示したzif-ルシフェラーゼを用いるレポータージーンア
ッセイでのシグナル伝達と同様に、PC12h細胞を用いた
場合に最も感度良くシグナル伝達を捉えられることが示
された。
【0101】
【表3】
【0102】実施例15 SREをプロモーターに有するレポーター遺伝子とzif2
68-レポーター遺伝子の応答性の比較 zif268(EGR-1)プロモーターにはSRE(serum response el
ement)が4ヵ所含まれている。そこで、SREをプロモー
ターに有するレポーター遺伝子とzifレポーター遺伝子
の応答性を、ヒスタミン/H1ヒスタミン受容体発現細
胞及びGLP/GLP1受容体発現細胞の各々について比較検討
した例を以下に示す。PC12h細胞に、レポータープラス
ミド(pGL2-zifあるいはpSRE-Luc[SREをプロモーター
に有するルシフェラーゼレポータープラスミド;STRATA
GENE製、カタログ番号:#219080])、及び受容体発現
ベクター(pME-H1RあるいはpEF-GLPR)をトランスフェ
クトし、リガンド刺激に応答したルシフェラーゼ活性化
を測定した。トランスフェクションからルシフェラーゼ
活性測定までの一連の操作及び条件は、実施例7に準じ
た。表4に示すように、zif-ルシフェラーゼレポーター
遺伝子を用いた場合には、ヒスタミン/H1ヒスタミン
受容体発現細胞及びGLP/GLP1受容体発現細胞のいずれに
おけるシグナル伝達の検出においても高い応答性を示し
た。一方、SRE-ルシフェラーゼレポーター遺伝子を用い
た場合には、ヒスタミン/H1ヒスタミン受容体発現細
胞系でのシグナル伝達には応答するものの、その程度は
zif-ルシフェラーゼレポーター遺伝子を用いる場合に比
べると約1/2であり、またGLP/GLP1受容体発現細胞で
のシグナル伝達に対しての応答性は低いものであった。
【0103】
【表4】 以上のことから、zif268(EGR-1)プロモーターには、応
答性に関与するSRE以外の重要なエレメントが含まれ
ており、zif268をSReで代用することは出来ないことが
示された。しかしながら、この試験結果は、本発明で使
用されるプロモーターとしては、zif268(EGR-1)プロモ
ーターが好ましいことを単に示すだけのものであり、zi
f268以外のプロモーターであって、SRE及び/またはCRE
を含むプロモーターが本発明で使用できないことを意味
するものではない。SRE及び/またはCREを含むプロモー
ターも本発明の態様の一つであることは言うまでもな
い。
【0104】
【発明の効果】細胞を用いるレポータージーンアッセイ
(cell-based reporter gene assay)を用いて、G蛋白
質共役型受容体とリガンドの相互作用により誘導される
G蛋白質を介する情報伝達系の活性化の程度を解析する
方法において、該レポーター遺伝子の発現を制御するプ
ロモーターとしてG蛋白質を介するシグナルにより発現
が誘導される遺伝子のプロモーター領域(好ましくは、
zif268(EGR-1)プロモーター領域)を使用すること、ま
た宿主細胞としてPC12細胞またはそれからサブクローニ
ングされる細胞(例えば、PC12h細胞及び該PC12h細胞か
らサブクローニングされる細胞)を用いることにより、
該G蛋白質を介する情報伝達系の活性化(レポーター遺
伝子の発現の増大を指標に検出されるシグナル)の程度
を極めて高感度で検出することが可能となった。具体的
には、本発明のアッセイで用いられる上記のG蛋白質共
役型受容体発現PC12由来細胞)に該受容体に対するリガ
ンドを接触させることにより検出される該シグナルの値
の絶対値が極めて大きくなり、該リガンドと接触させな
い場合に検出される該シグナルとの比(即ち、S/N比)
は、少なくとも約20乃至30倍以上と高いものである。ま
た、上記レポータージーンアッセイに用いられる宿主細
胞中に、(1)GqまたはGsの各々のαサブユニットとGiの
αサブユニットとからなるキメラG蛋白質Gαサブユニ
ットをコードする遺伝子、または(2)G15やG16などのよ
うに受容体特異性を有さずに受容体と共役しフォスフォ
リパーゼCを活性化することによりシグナルを伝達する
G蛋白質をコードする遺伝子、のいずれかを導入するこ
とにより、Giを介するシグナル伝達もレポーター遺伝子
の発現の増加を指標として極めて高い感度で検出可能と
なった。即ち、この方法を用いることにより、共役する
G蛋白質に拘束されることなく、任意のG蛋白質(例え
ば、Gq、Gs及びGi)を介するシグナル伝達の有無を1種
類の細胞を用いる1つのアッセイ系で極めて高感度で検
出可能である。
【0105】従って、本発明のアッセイ方法及び該アッ
セイに用いられる上記のような特徴を有する細胞を用い
ることにより、下記(1)乃至(4)を極めて簡便且つ迅速に
実施することが可能となった。 (1)所望の物質がG蛋白質共役型受容体のアゴニスト
であるか否かの決定。 (2)所望の物質がG蛋白質共役型受容体のアンタゴニ
ストまたは該受容体のアゴニストのアゴニスト作用を阻
害する活性を有する物質であるか否かの決定。 (3)所望のG蛋白質共役型受容体のリガンド(例え
ば、アゴニスト)を同定するための多数の物質のスクリ
ーニング。 (4)所望のG蛋白質共役型受容体のアンタゴニストま
たは該受容体の既知アゴニストのアゴニスト作用を阻害
する物質を同定するための多数の物質のスクリーニン
グ。 例えば、ヒスタミン受容体、アドレナリン受容体、セロ
トニン受容体などのようにG蛋白質共役型受容体の多く
は種々の疾患と密接に関連しており、またそのようなG
蛋白質共役型受容体を医薬品のターゲットし該受容体の
機能を制御する薬剤が多く開発販売されている。従っ
て、上記(1)乃至(4)の実施は、即ち、任意のG蛋白質共
役型受容体をターゲットとする医薬品の同定及びスクリ
ーニング方法であり、医薬品開発において不可欠なステ
ップである。即ち、本発明の方法及び細胞は、医薬品開
発において必須且つ極めて有用な方法及び細胞である。
【0106】また、本発明のアッセイ方法及び該アッセ
イに用いられる上記のような特徴を有する細胞を用いる
ことにより、下記(5)を極めて簡便且つ迅速に実施する
ことが可能となった。 (5)ある物質と相互作用する受容体(例えば、G蛋白質
共役型受容体)の、エクスプレッションクローニング法
を用いた同定。前述したとおり、G蛋白質共役型受容体
は種々の疾患の発症と密接に関連していることから、上
記(5)が可能になることで、種々の疾患の治療のための
医薬品開発のターゲットとしての受容体を容易に同定す
ることが可能となる。
【0107】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Japan Tobacco, Inc. <120> Method for Screening Ligands of G-Protein Coupled Receptor and Expression Cloning Method for G-Protein Coupled Receptor <130> J00-0055 <140> <141> <150> JP11-105631 <151> 1999-04-13 <160> 10 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer F3 <400> 1 gcgaattcca atgacctgtc ccaactcc 28 <210> 2 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer R3 <400> 2 gcgcggccgc aggcttcctc cttcacttcc 30 <210> 3 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer F4 <400> 3 gcgaattccc agtcctgaac tcc 23 <210> 4 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer R4 <400> 4 cgctcgagtc tcagctgcag gagg 24 <210> 5 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer F1 <400> 5 agagagggta ccagcctcag ctctacgcgc ct 32 <210> 6 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer R1 <400> 6 agagagaagc ttgaagctac tgagggcaca ct 32 <210> 7 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer F2 <400> 7 tctctcggta ccgcaggaac agtgctagta tt 32 <210> 8 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer R2 <400> 8 tctctcagat cttgaagcag agctgggtag ga 32 <210> 9 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer F5 <400> 9 ggactagtga ggcacttcgg aagaatgact ctgga 35 <210> 10 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer R5 <400> 10 ggactagtta gaacagaccg caatccttca ggttattctg cagg 44
【0108】「配列表フリーテキスト」 配列番号:1 他の情報:人工配列についての記載:プライマーF3 配列番号:2 他の情報:人工配列についての記載:プライマーR3 配列番号:3 他の情報:人工配列についての記載:プライマーF4 配列番号:4 他の情報:人工配列についての記載:プライマーR4 配列番号:5 他の情報:人工配列についての記載:プライマーF1 配列番号:6 他の情報:人工配列についての記載:プライマーR1 配列番号:7 他の情報:人工配列についての記載:プライマーF2 配列番号:8 他の情報:人工配列についての記載:プライマーR2 配列番号:9 他の情報:人工配列についての記載:プライマーF5 配列番号:10 他の情報:人工配列についての記載:プライマーR5
【0109】
【図面の簡単な説明】
【図1】zif-ルシフェラーゼ遺伝子及びヒスタミンH1
受容体遺伝子を導入したPC12h細胞の各種濃度のヒスタ
ミンに対する応答性を示す図。
【図2】zif-ルシフェラーゼ遺伝子及びGLP1受容体遺伝
子を導入したPC12h細胞の各種濃度のGLPに対する応答性
を示す図。
【図3】zif-ルシフェラーゼ遺伝子及びアドレナリンα
A2受容体遺伝子を導入したPC12h細胞のフォルスコリン
及び/またはUK14304に対する応答性を示す図。
【図4】(1)zif-ルシフェラーゼ遺伝子、ヒスタミン
H1受容体遺伝子及びGqiキメラ分子をコードする遺伝
子を導入したPC12h細胞のヒスタミンに対する応答性、
(2)zif-ルシフェラーゼ遺伝子、GLP1受容体遺伝子及
びGqiキメラ分子をコードする遺伝子を導入したPC12h細
胞のGLPに対する応答性、並びに(3)zif-ルシフェラ
ーゼ遺伝子、アドレナリンαA2受容体遺伝子及びGqiキ
メラ分子をコードする遺伝子を導入したPC12h細胞のUK1
4304に対する応答性の各々を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/02 C12Q 1/66 C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/66 33/50 P G01N 33/15 Z 33/50 33/566 33/68 33/566 C12N 5/00 B 33/68 15/00 ZNAA //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91)

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ある物質が所望のG蛋白質共役型受容体
    のアゴニストであるか否かを決定する方法であって、下
    記(a)乃至(c)の工程を含むことを特徴とする方
    法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
    子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
    子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
    される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
    たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
    からなる試料に該物質を接触させる工程; (b)該物質に接触させた該試料中の各細胞において発
    現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナ
    ル、及び該物質に接触させていない該試料の各細胞にお
    いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
    グナルの各々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
    較する工程。
  2. 【請求項2】 所望のG蛋白質共役型受容体のアゴニス
    トを同定するために物質をスクリーニングする方法であ
    って、下記(a)乃至(c)の工程を含むことを特徴と
    する方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
    子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
    子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
    される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
    たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
    からなる試料の複数を準備し、該試料の各々に異なる物
    質を接触させる工程; (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
    いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
    遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及びいずれの物
    質にも接触させていない該試料の各細胞において発現し
    た該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナルの各
    々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
    較する工程。
  3. 【請求項3】 ある物質が所望のG蛋白質共役型受容体
    のアンタゴニストであるか否か、または該G蛋白質共役
    型受容体のアゴニストのアゴニスト作用の阻害物質であ
    るか否かを決定する方法であって、下記(a)乃至
    (c)の工程を含むことを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
    子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
    子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
    される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
    たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
    からなる試料に該G蛋白質受容体のアゴニスト及び該物
    質を接触させる工程; (b)該物質に接触させた該試料中の各細胞において発
    現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナ
    ル、及び該物質に接触させていない該試料の各細胞にお
    いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
    グナルの各々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
    較する工程。
  4. 【請求項4】 所望のG蛋白質共役型受容体のアンタゴ
    ニストまたは該G蛋白質共役型受容体のアゴニストのア
    ゴニスト作用の阻害物質を同定するために物質をスクリ
    ーニングする方法であって、下記(a)乃至(c)の工
    程を含むことを特徴とする方法: (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
    子: (1)該所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
    子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
    される遺伝子のプロモーター慮域に発現可能に連結され
    たレポーター遺伝子;を有するPC12由来細胞の定数
    からなる試料の複数を準備し、該試料の各々に該該G蛋
    白質受容体のアゴニストと異なる物質を接触させる工
    程; (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
    いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
    遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及びいずれの物
    質にも接触させていない該試料の各細胞において発現し
    た該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシグナルの各
    々を定量的に決定する工程;及び、 (c)工程(b)で決定した該各々のシグナルの量を比
    較する工程。
  5. 【請求項5】 該プロモーター領域が、zif268(EGR-
    1)プロモーター領域、SREとCREとを含むプロモーター
    領域またはc-fosプロモーター領域のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 該プロモーター領域が、zif268(EGR-
    1)プロモーター領域であることを特徴とする請求項1
    乃至請求項4のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 該PC12由来細胞が、さらに下記
    (a)乃至(c)のいずれかの外来性遺伝子を有するも
    のであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいず
    れかに記載の方法: (a)GαqのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
    末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
    質Gαサブユニットをコードする遺伝子; (b)GαsのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
    末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
    質Gαサブユニットをコードする遺伝子;または、 (c)受容体特異性を有さずに受容体と共役し、フォス
    フォリパーゼCを活性化することによりシグナルを伝達
    するG蛋白質をコードする遺伝子。
  8. 【請求項8】 前記(c)に記載のG蛋白質が、G16ま
    たはG15であることを特徴とする請求項7に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 少なくとも下記(1)及び(2)の外来
    性遺伝子を有するPC12由来細胞: (1)所望のG蛋白質共役型受容体をコードする遺伝
    子;及び(2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導
    される遺伝子のプロモーター領域に発現可能に連結され
    たレポーター遺伝子。
  10. 【請求項10】 該プロモーター領域が、zif268プロモ
    ーター領域、SREとCREとを含むプロモーター領域または
    c-fosプロモーター領域のいずれかであることを特徴と
    する請求項9に記載の細胞。
  11. 【請求項11】 該プロモーター領域が、zif268プロモ
    ーター領域であることを特徴とする請求項9に記載の細
    胞。
  12. 【請求項12】 該PC12由来細胞が、さらに下記
    (a)乃至(c)のいずれかの外来性遺伝子を有するも
    のであることを特徴とする請求項9乃至請求項11のい
    ずれかに記載の細胞: (a)GαqのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
    末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
    質Gαサブユニットをコードする遺伝子; (b)GαsのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
    末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
    質Gαサブユニットをコードする遺伝子;または、 (c)受容体特異性を有さずに受容体と共役し、フォス
    フォリパーゼCを活性化することによりシグナルを伝達
    するG蛋白質をコードする遺伝子。
  13. 【請求項13】 前記(c)に記載のG蛋白質が、G16
    またはG15であることを特徴とする請求項12に記載の
    細胞。
  14. 【請求項14】 ある物質と相互作用する受容体を同定
    する方法であって、下記(a)乃至(d)の工程を含む
    ことを特徴とする方法(ここで、該物質は該受容体に対
    してアゴニストとして作用する。): (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
    子: (1)蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び
    (2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺
    伝子のプロモーター領域に発現可能に連結されたレポー
    ター遺伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の
    複数を準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程
    (ここで、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに
    異なる前記(1)の遺伝子を有する。); (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
    いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
    遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
    て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
    いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
    グナルの各々を定量的に決定する工程; (c)工程(b)で決定した該各々試料についてのシグ
    ナルの量を互いに比較し、工程(a)で試験された該複
    数の試料から1または複数の試料を選択する工程;及び (d)該選択された試料中の細胞が有する工程(a)の
    (1)に記載の該蛋白質をコードする遺伝子を塩基配列
    を決定する工程。
  15. 【請求項15】 ある物質と相互作用する受容体を同定
    する方法であって、下記(a)乃至(g)の工程を含む
    ことを特徴とする方法(ここで、該物質は該受容体に対
    してアゴニストとして作用する。): (a)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
    子: (1)蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び
    (2)G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺
    伝子のプロモーター領域に発現可能に連結されたレポー
    ター遺伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の
    複数を準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程
    (ここで、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに
    異なる前記(1)の遺伝子を有する。); (b)工程(a)で該物質に接触させた各々の試料につ
    いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
    遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
    て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
    いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
    グナルの各々を定量的に決定する工程; (c)工程(b)で決定した該各々試料についてのシグ
    ナルの量を互いに比較し、工程(a)で試験された該複
    数の試料から1または複数の試料を選択する工程; (d)少なくとも下記(1)及び(2)の外来性遺伝
    子: (1)工程(c)で選択された該試料中の細胞が有する
    外来性遺伝子であって、工程(a)の(1)に記載の該
    蛋白質をコードする1または複数の遺伝子;及び(2)
    G蛋白質を介する刺激により発現が誘導される遺伝子の
    プロモーター領域に発現可能に連結されたレポーター遺
    伝子;を有するPC12由来細胞からなる試料の複数を
    準備し、該試料の各々に該物質を接触させる工程(ここ
    で、該各々の試料中の該細胞は、試料毎に互いに異なる
    前記(1)の遺伝子を有する。); (e)工程(d)で該物質に接触させた各々の試料につ
    いて、該試料中の各細胞において発現した該レポーター
    遺伝子が生ずる検出可能なシグナルを、及び所望に応じ
    て該物質に接触させていない該各々の試料の各細胞にお
    いて発現した該レポーター遺伝子が生ずる検出可能なシ
    グナルの各々を定量的に決定する工程; (f)工程(e)で決定した該各々試料についてのシグ
    ナルの量を互いに比較し、工程(d)で試験された該複
    数の試料から1または複数の試料を選択する工程;及び (g)該選択された試料中の細胞が有する工程(d)の
    (1)に記載の該蛋白質をコードする遺伝子を塩基配列
    を決定する工程。
  16. 【請求項16】 該方法が、所望に応じ前記工程(f)
    と工程(g)の間に、前記工程(d)乃至(f)からな
    る同様の操作の1乃至複数回を含むことを特徴とする請
    求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 該プロモーター領域が、zif268(EGR-
    1)プロモーター領域、SREとCREとを含むプロモーター
    領域またはc-fosプロモーター領域のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項14乃至請求項16のいずれかに
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 該プロモーター領域が、zif268プロモ
    ーター領域であることを特徴とする請求項14乃至請求
    項16のいずれかに記載の方法。
  19. 【請求項19】 該PC12由来細胞が、さらに下記
    (a)乃至(c)のいずれかの外来性遺伝子を有するも
    のであることを特徴とする請求項14乃至請求項18の
    いずれかに記載の方法: (a)GαqのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
    末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
    質Gαサブユニットをコードする遺伝子; (b)GαsのC末端アミノ酸配列の一部がGαiのC
    末端アミノ酸配列の一部に置換されてなるキメラG蛋白
    質Gαサブユニットをコードする遺伝子;または、 (c)受容体特異性を有さずに受容体と共役し、フォス
    フォリパーゼCを活性化することによりシグナルを伝達
    するG蛋白質をコードする遺伝子。
  20. 【請求項20】 前記(c)に記載のG蛋白質が、G15
    またはG16であることを特徴とする請求項19に記載の
    方法。
  21. 【請求項21】 該蛋白質をコードする1または複数の
    遺伝子が、cDNAまたはcDNAライブラリーであることを特
    徴とする請求項14乃至請求項20のいずれかに記載の
    方法。
  22. 【請求項22】 該受容体が、G蛋白質共役型受容体で
    あることを特徴とする請求項14乃至請求項22のいず
    れかに記載の方法。
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