JP2000354498A - トランスグルタミナーゼ処理による穀粉原料からの糖類の製造方法 - Google Patents

トランスグルタミナーゼ処理による穀粉原料からの糖類の製造方法

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JP2000354498A JP11166181A JP16618199A JP2000354498A JP 2000354498 A JP2000354498 A JP 2000354498A JP 11166181 A JP11166181 A JP 11166181A JP 16618199 A JP16618199 A JP 16618199A JP 2000354498 A JP2000354498 A JP 2000354498A
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Eiji Nakazawa
英次 中沢
Katsuo Iiizumi
勝男 飯泉
Masuyoshi Sugano
益好 菅野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄等に使用する水の量が少なくて済み、
分離効率に優れ、各分離成分の総歩留まりの高い、小麦
粉等の穀粉原料に含まれる澱粉、糖類、及びグルテン等
の蛋白質を分離・製造する方法等を提供すること。 【解決手段】穀粉原料にトランスグルタミナーゼを作用
させた後、これに澱粉液化酵素及び澱粉糖化酵素を作用
させ、糖類を蛋白質から分離・回収することから成る、
穀粉原料からの糖類の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小麦粉等の穀粉原
料にトランスグルタミナーゼを作用させた後、そこに含
まれるグルテン等の蛋白質、澱粉、及び糖類等を製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、小麦粉等の穀粉原料に含まれ
る澱粉、糖類、及びグルテン等の蛋白質を分離する為に
様々な方法が用いられているが、その代表的な例とし
て、Martin法及びバッター法を挙げることが出来
る。これらの方法はいずれも、基本的に、1)小麦粉に
加水し混練する工程、2)得られた生地あるいはバッタ
ーを洗浄して、主に澱粉成分と蛋白質成分とを分離する
工程、及び3)分離された各成分の精製・乾燥工程、か
ら成るものである。混練工程は、生地を生成させる為
に、小麦粉等に対して50〜70%の水を添加した後に
ゆるやかに混練操作を行うものである。グルテン等の結
合を促進させ次工程での澱粉成分と蛋白質成分との洗浄
分離を良好にする為に、食塩やニガリを添加したり又は
pHを調整して、通常は最低でも1時間程度の「ねか
し」時間をとる。
【0003】一方、トランスグルタミナーゼは、ペプチ
ド鎖内のグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基のア
シル転移反応を触媒する酵素であり、このアシル受容体
として蛋白質中のリジン残基のε−アミノ基に作用する
と、蛋白質分子内及び分子間においてε−(γ−Glu)L
ys結合が形成される。食品分野において、このようなト
ランスグルタミナーゼの特性を利用して、これまでに様
々な試みがなされてきた。例えば、特開平7−2411
68号公報には、蛋白質を含む水溶液にトランスグルタ
ミナーゼを添加して豆腐等の蛋白ゲルを製造する方法が
開示されている。又、特開平7−285995号公報に
は、タンパク含有水溶液にトランスグルタミナーゼを作
用させて該タンパク成分を凝集させた後に、濾過・遠心
分離等で除去する方法が開示されている。ここで分離除
去の対象となるタンパク成分は、酵母エキス水溶液中の
酵母臭の原因物質、又は畜肉及び魚体等の動植物の処理
廃液中に含まれ環境汚染の原因となる物質であり、いず
れも品質改善又は廃水処理等の目的から、不要物質とし
て、最終製品又は処理系からは特異的に除去することが
望まれているものである。又、実施例に鑑みても、トラ
ンスグルタミナーゼによる作用の対象となるタンパク含
有水溶液に含まれるタンパクの固形分は高々2.5重量
%である。
【0004】更に、該酵素のかかる特性を利用して各種
食品原料又は食材の変成・改質等が行われ、蛋白質のゲ
ル形成能、粘性及び保水性等に優れた改質穀粉が得られ
ている。例えば、特開平10−155438号公報に
は、原料穀粒から穀粉を製造する際の、(1)調質工程
及び/又は(2)挽砕工程でトランスグルタミナーゼ処
理をして得られることを特徴とする改質穀粉が開示され
ている。この改質穀粉は小麦等の穀類から小麦粉等を製
造する製粉工程でトランスグルタミナーゼを使用して得
られることが特徴である。又、特開平10−56948
号公報には、小麦粉の酵素処理に関する従来方法の他
に、それらの改良方法として、小麦粉にトランスグルタ
ミナーゼ等の酵素溶液を噴霧して均一に混合し、酵素反
応させた後、加熱して酵素反応を停止させると共に小麦
粉を乾燥させ、次いで粉砕処理して、酵素処理小麦粉を
製造する方法が開示されている。更に、米国特許第5,
279,839号明細書にも、小麦粉等から成るドウの
耐伸長性を増強させる為に、トランスグルタミナーゼで
処理することが開示されている。しかしながら、これら
の従来技術はいずれも、小麦粉等の穀粉をトランスグル
タミナーゼ処理の対象としており、もっぱら、穀粉自体
の性質を改良し、延いては、それらを含む食材或いは、
それらから製造される各種穀粉加工食品の食感を改良す
ることを目的としたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さて、上で述べたよう
に、穀粉原料に含まれる各種成分を分離する為の従来方
法にあっては、混練工程で得られた生地を水で洗浄する
ことによって、澱粉、糖類、及びグルテン等の蛋白質を
分離している。この場合に、穀粉に対して50%以上も
の多量の水を加えて得られる生地は、主にグルテン等の
蛋白質の強い結着性によりドウ状態(ダマ状態)になっ
ている。従って、次の工程で各成分の分離を十分に行う
ためには、例えば、小麦粉を原料とするような場合で
は、2軸のスクリューコンベア構造を有する洗浄機等の
中を生地が徐々に移動する際に原料の5〜6倍もの大量
の水を使用して洗浄したり、又は、水を加えた後に振動
篩等を用いて澱粉とグルテン等の蛋白質を分離する工程
を複数段階にわたって設ける必要があった。いずれの場
合も、大量の水を消費するもので、例えば、澱粉1トン
を製造する為に、約30トンもの水が必要とされてい
る。ところが、この洗浄によって生じる水溶性成分を多
く含む水は、高負荷の産業廃水の主たる原因のひとつで
あった。従って、穀類原料に含まれる澱粉、糖類、及び
グルテン等の蛋白質を分離・製造する方法において、水
の使用量を減らすことにより操作・工程の効率化を図
り、各分離成分の総歩留まりを向上させると共に、処理
すべき産業廃水の量も減らすことが環境対策上の観点か
らも切望されている。本発明の目的は、従来技術におけ
るかかる問題点を解決し、洗浄等に使用する水の量が少
なくて済み、分離効率に優れ、各分離成分の総歩留まり
の高い、小麦粉等の穀類原料に含まれる澱粉、糖類、及
びグルテン等の蛋白質を分離・製造する方法等を提供す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は第一に、
穀粉原料にトランスグルタミナーゼを作用させた後、こ
れに澱粉液化酵素及び澱粉糖化酵素を作用させ、糖類を
蛋白質から分離・回収することから成る、穀粉原料から
の糖類の製造方法、に係わる。上記糖類の製造方法にお
いて、澱粉液化酵素を作用させた後に、得られたオリゴ
糖を含む液化液(スラリー状)を分離し、これに澱粉糖
化酵素を作用させて単糖を製造しても良いし、或いは、
澱粉糖化酵素を作用させた後に、得られた単糖を含む糖
化液を分離することも出来る。本発明方法のおける糖類
(オリゴ糖及び単糖)の蛋白質からの分離は当該技術分
野における通常の分離方法を用いて行うことができ、7
0℃〜100℃、好ましくは、85℃〜95℃で、pH
7以下、好ましくはpH6以下で実施することが望まし
い。
【0007】澱粉液化酵素及び/又は澱粉糖化酵素はト
ランスグルタミナーゼを添加する際に、穀粉原料に同時
に添加しておいても良いし、別途、後から添加すること
も出来る。例えば、穀紛原料にトランスグルタミナーゼ
と澱粉液化酵素を同時に噴霧し、加温して酵素反応させ
た後に、熱水を加えて澱粉液化酵素を作用させ澱粉液化
反応を行わせた後に、得られたオリゴ糖と蛋白質を分離
することも可能である。又、穀粉原料にトランスグルタ
ミナーゼを作用させ、顆粒状になった穀粉原料からまず
最初に澱粉を分離した後に、該澱粉に澱粉液化酵素及び
澱粉糖化酵素を作用させ、得られた糖類を回収すること
も可能である。
【0008】本発明は第二に、穀粉原料にトランスグル
タミナーゼを作用させた後、澱粉を分離・回収すること
から成る、穀粉原料からの澱粉の製造方法、に係わる。
本発明の第二の態様において分離される乳液状の澱粉
は、従来方法に準じて回収することが出来る。即ち、必
要に応じて、振動篩、高速遠心篩等を使用して赤粕や白
粕等の夾雑物を分離除去し、その後にノズル型遠心機等
を組み合わせて澱粉粒の水洗と濃縮を行う。更に比重差
を利用したデカンタにより分級し、脱水・乾燥して、最
終的に澱粉を分離・精製することもできる。本発明は第
三に、穀粉原料にトランスグルタミナーゼを作用させた
後、蛋白質を分離・回収することから成る、穀粉原料か
らの蛋白質の製造方法、に係わる。蛋白質は、既に記載
した本発明の第一及び第二の態様において、糖類及び澱
粉類が分離・回収されるときに、その残りの部分として
得られるものである。
【0009】理論的に何等拘束されるものではないが、
本発明によれば、トランスグルタミナーゼの作用によ
り、例えば、小麦粉に含まれるグルテン等の蛋白質粒子
間で、互いに近距離に位置するグルタミン残基のγ−カ
ルボキシアミド基とリジン残基のε−アミノ基との間で
ε−(γ−Glu)Lys結合が生じ、その結果、グルテン等
に特有の結着性が失われ、穀粉原料全体がバサバサした
顆粒状態になるものと考えられる。尚、その際に、穀粉
原料に含まれる澱粉等のその他の成分は、こうして生成
した顆粒内の空隙又は表面に付着した状態になっている
ものと思われる。こうして得られた全体として顆粒状の
穀粉は、従来のドウ状態の生地に見られた結着性を実質
的に失っており、澱粉又はその後の加水分解によって得
られるオリゴ糖及びグルコース等の単糖類と蛋白質との
分離性が極めて高くなる。
【0010】本発明方法において、このように顆粒状態
になった穀粉から澱粉又は糖類を分離・回収する工程自
体は、従来技術に準じて、例えば、こうして得られた顆
粒物を水洗することによって行うことが出来る。既に記
載したように、本発明方法におけるトランスグルタミナ
ーゼ処理により、グルテン等の蛋白質に特有の結着性が
失われ、穀粉原料全体がバサバサした顆粒状態になって
いるので、従来の方法と比べて、分離効率が非常に高い
ことが特徴である。例えば、顆粒物に適量の水を加え、
バイブレータ・小型振切機等を使用して処理するだけ
で、顆粒内の空隙又は表面に付着している澱粉又は糖類
が、容易に蛋白質と分離することが出来る。その際に、
得られた澱粉液、液化液又は糖化液への主に蛋白質に由
来する窒素成分の漏れ率が従来の方法と比べて低いこと
が特徴である。更に、残りの蛋白質を容易に回収するこ
とが出来る。そして、その為に使用する水の量は従来の
方法に比べて、極めて少ない量で済むのである。更に、
穀粉から澱粉又は糖類を分離・回収する際に、繊維質の
多い3等小麦粉、ふすま、及びおから等から成る繊維質
を適当量、処理液中に存在させることによって、分離効
率を一層向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で使用する穀粉原料は、小
麦、大麦、ライ麦、オート麦、とうもろこし、米、そ
ば、キビ、及び大豆などの豆類、サツマイモ等のイモ類
から、通常の製粉工程を経て製造されたものであり、そ
れらの品質、粒度、等級等は特に問わない。又、予め特
定組織が除去された穀類・豆類等から得られたものでも
かまわない。本発明の穀粉原料として、タビオカチップ
及びサツマイモのように繊維質が多く含まれているもの
を使用すると本発明の効果が特に顕著に得られる。従っ
て、繊維質含量の多い、例えば、繊維質が0.1重量%
以上含まれている穀粉原料が好ましい。尚、該穀粉原料
にその他の添加剤が含まれていても良い。但し、熱等に
よって含有する蛋白質が変成したもの(例えば、小麦粉
に含まれるグルテンの変性温度は約85℃である。)
は、トランスグルタミナーゼにより有効な酵素処理がさ
れないので、使用することは出来ない。穀粉原料のトラ
ンスグルタミナーゼを作用させる処理に際しては、該酵
素が働くことのできる環境としての自由水を提供し得る
最小限必要な量の水の存在下で、即ち、穀粉原料100
gに対して好ましくは20cc〜100cc、より好ま
しくは30cc〜50ccの水の存在下で酵素反応を行
うのが望ましい。このような場合には、トランスグルタ
ミナーゼ処理によって、同時に、穀粉原料がバサバサし
た顆粒状態になり、その後の操作が容易になる。より大
量の水の存在下で酵素反応を実施することも出来るが、
水分が多すぎる結果、穀類原料がドウ状態となる為、別
途、造粒工程を行うことによって顆粒状物を得る必要が
有る。生成する顆粒の大きさ(粒度)、粒度分布及び形
状等には特に制限はなく、水の量、造粒の程度等によっ
て異なり、その後の分離工程の条件等に応じて当業者が
適宜調節することができる。通常、かかる顆粒の粒度は
0.1ミリメートル〜3ミリメートルである。
【0012】トランスグルタミナーゼを作用させる際の
諸条件、例えば、使用するトランスグルタミナーゼの
量、酵素処理温度、及び酵素処理時間等は、穀粉原料、
トランスグルタミナーゼの至適温度(約50℃)、使用
する実際のトランスグルタミナーゼ製品の種類、及びそ
の他の製造工程条件等に応じて当業者が適宜選択するこ
とが出来る。通常、穀粉原料100g当たりトランスグ
ルタミナーゼを好ましくは1ユニット〜100ユニッ
ト、より好ましくは10ユニット〜50ユニット使用
し、好ましくはpH5〜pH8、より好ましくはpH
5.5〜pH6.5で、好ましくは20分間〜12時
間、より好ましくは30分間〜60分間、好ましくは2
0℃〜70℃、より好ましくは30℃〜60℃でトラン
スグルタミナーゼ処理を行う。尚、トランスグルタミナ
ーゼの活性単位である「ユニット」は、以下のように定
義される。即ち、ベンジルオキシカルビニル−L−グル
タミニルグリシンとヒドロキシアミンを基質として反応
を行い、生成したヒドロキシサム酸の鉄錯体(ハイドロ
キサメート)をトリクロロ酢酸の存在下で、pH6.
0,37℃の条件で形成させた後、525nmにおける
吸光度を測定する。この反応において、1分間に1μm
olのハイドロキサメートを生成させる酵素量を1ユニ
ット(U)と定義する。尚、測定法の詳細については、
特開昭64−27471号公報を参照されたい。
【0013】本発明で使用するトランスグルタミナーゼ
に特に制限はなく、当該技術分野で公知の任意のトラン
スグルタミナーゼを使用することが出来る。トランスグ
ルタミナーゼには、カルシウム依存性及び非依存性があ
る。前者の例として、微生物由来のトランスグルタミナ
ーゼ(特開昭64−27471号公報参照)を挙げるこ
とが出来る。後者の例としては、モルモット肝臓由来の
トランスグルタミナーゼ(特公平1−50382号公報
参照)、factor XIIIとも呼ばれる動物由来のトランス
グルタミナーゼ、魚由来のトランスグルタミナーゼ(例
えば、関信夫ら「日本水産学会誌」56巻125〜13
2頁(1990)及び「平成2年度日本水産学会春期大
会後援要旨集」219頁参照)を挙げることが出来る。
更に、遺伝子組換えにより製造されたトランスグルタミ
ナーゼ(例えば、特開平1−300889号公報及び特
開平5−199883号公報参照)を挙げることが出来
る。尚、例えば、「アクティバ」(商品名,味の素
(株))のように酵素製剤の形態で市販されているもの
は入手が容易であるので、これらを使用するのが好まし
い。
【0014】本発明で使用する澱粉液化酵素とは、α−
アミラーゼ(α−1,4-Glucan-4-Glucanohydrase)のこ
とであり、液化型アミラーゼ又は糊精化アミラーゼと呼
ばれ、糊化澱粉(アミロース及びアミロペクチン)やグ
リコーゲン等のα−1,4グルコシド結合を任意の位置
で加水分解する。分解生成物として可溶性デキストリ
ン、β−リミットデキストリン及びオリゴ糖と少量のマ
ルトース及びグルコースを生じると共に、溶液の粘度を
急激に低下させる。又、澱粉糖化酵素とは、エキソ−
1,4−α−グルコシダーゼ、即ち、グルコアミラーゼ
であり、澱粉やオリゴ糖のα−1,4結合に作用し、非還
元末端からグルコース単位に切断する。また、分岐点α
−1,6結合にも作用し、澱粉、デキストリンを殆ど完
全にグルコースに分解する。例えば、澱粉液化酵素とし
ては、クライスターゼF−5、クライスターゼT−5
(商標:大和化成社製の細菌澱粉液化酵素)、及びアミ
ラーゼAH「321」(商標:天野製薬社製の細菌澱粉
液化酵素)等を挙げることが出来る。一方、澱粉糖化酵
素としては、グルクザイムF−6、グルクザイムNL
4.2(商標:天野製薬社製の糸状菌澱粉糖化酵素)、
及びダイザイム(商標:大和化成社製の糸状菌澱粉糖化
酵素)等を挙げることが出来る。尚、澱粉液化酵素及び
/又は澱粉糖化酵素の活性単位である「ユニット」は、
澱粉液化酵素については1分間に澱粉のブルーバリュー
を1%低下させる酵素量、澱粉糖化酵素については1分
間に10mgのグルコースを生成させる酵素量として定義
する。
【0015】本発明で使用する澱粉液化酵素及び/又は
澱粉糖化酵素の夫々の添加量及びそれらの割合は、穀粉
原料、使用する実際の各酵素製品の種類、及びその他の
製造工程条件等に応じて当業者が適宜選択することが出
来るが、澱粉液化酵素の場合は穀粉原料100g当た
り、好ましくは500ユニット〜3,500ユニット、
より好ましくは700ユニット〜1,500ユニットで
あり、一方、澱粉糖化酵素の場合は穀粉原料100g当
たり、好ましくは100ユニット〜600ユニット、よ
り好ましくは250ユニット〜400ユニットである。
該酵素の処理pH、処理温度、及び処理時間等の反応条
件は、穀粉原料、該酵素の至適pH、至適温度、使用す
る実際の該酵素製品の種類、及びその他の製造工程条件
等に応じて当業者が適宜選択することが出来る。例え
ば、澱粉液化酵素による処理は、好ましくはpH4〜p
H8、より好ましくはpH5.5〜pH6.5で、好ま
しくは80℃〜100℃、より好ましくは90℃〜98
℃、好ましくは10分間〜60分間、より好ましくは2
0分間〜30分間行う。又、澱粉糖化酵素による処理
は、好ましくはpH3〜pH7、より好ましくはpH
4.0〜pH5.5で、好ましくは30℃〜80℃、よ
り好ましくは55℃〜65℃、好ましくは10時間〜5
0時間、より好ましくは20時間〜40時間行う。
【0016】本発明方法において、各酵素を穀粉原料に
作用させる手段・方法自体に特に制限はなく、本発明方
法における諸条件・目的等に応じて、当該技術分野で従
来公知の任意の方法で、又はそれに準じて行うことが出
来る。通常、トランスグルタミナーゼ、及び必要に応じ
てそれと澱粉液化酵素及び澱粉糖化酵素との混合物は、
酵素溶液の状態で添加するのが好ましい。こうすれば、
別途、系に水を加える必要がなくなる。その場合に、酵
素溶液中の酵素の濃度は、上で述べた、必要な水の存在
量及び酵素量を考慮して、適宜決めることが出来る。或
いは、特開平10−56948号公報に記載されている
ように、トランスグルタミナーゼ溶液を穀粉原料に噴霧
して均一に混合させることも出来る。尚、この場合に、
酵素反応させた後に、特に加熱・失活させて酵素反応を
停止させる必要はないが、トランスグルタミナーゼ処理
した穀粉原料を加熱・乾燥して、次の工程に備えること
もできる。
【0017】又、本発明の第一の態様において、顆粒状
になった蛋白質を分離・除去した後に、蛋白質を実質的
に含有しない澱粉に澱粉液化酵素及び澱粉糖化酵素を作
用させ、得られた糖類を回収するような場合には、当該
技術分野における従来の任意の方法によって行うことが
できる。例えば、澱粉を分離した後、これを従来方法に
準じて精製し、蒸発・濃縮コストと攪拌・輸送等の操作
とを考慮して30〜45%濃度の澱粉スラリーを調製
し、それに澱粉液化酵素及び/又は澱粉糖化酵素を作用
させることによって行うことができる。或いは、特公昭
59−38号公報に記載されているように、直接糖化方
法として、完全に分離・精製された澱粉を使用せずに、
粗澱粉粉末から粗澱粉スラリーを調製し、これに澱粉液
化酵素を加えて作用させつつ、該粗澱粉を添加して、実
質的に35%以上の澱粉を含む低粘度の粗澱粉スラリー
を調製した後に、常法通りに澱粉液化及び澱粉糖化を行
うことも出来る。このような場合には、本発明方法にお
いて分離された澱粉を更に精製する必要は特にない。上
記公報に記載の方法に準ずる場合には、実用的な糖化率
(例えば、95%以上)を得る為には、澱粉粉末の粒度
は100メッシュ以下であることが望ましいが、200
メッシュ以下にすると、澱粉スラリーの粘度が急激に上
昇してしまい澱粉スラリーの調製が物理的に困難となる
ので好ましくない。従って、例えば、100メッシュ程
度の大きさの澱粉粉末に水を加えて、30〜35g/d
lの澱粉スラリーを調製し、これに澱粉液化酵素を澱粉
1g当たり50〜100ユニット加えて、澱粉糊化温度
を超えない範囲で30〜90分間作用させる。20〜3
0分後には、該澱粉スラリーの粘度が400〜600c
pから100cp程度まで低下するので、これに更に、
澱粉粉末を連続的又は回分して添加する。この際に、粘
度が3000cp上昇するが、3000cp程度以上を
超えると攪拌が不可能となるので、その値を超えないよ
うに注意する必要がある。澱粉液化酵素による作用を続
けていると、該澱粉スラリーの粘度が500cp程度以
下に低下するので、その後、コンバーター塔方式等の通
常の方法で液化することができる。尚、ここでコンバー
ター塔方式とは、液化酵素を含む澱粉スラリーを細かい
ノズルから噴出すと同時にスチームで瞬間的に液化アミ
ラーゼの耐熱限界温度(85℃〜95℃)に加熱して液
化する方法である。
【0018】更に、既に記載したような本発明の第一の
態様において、トランスグルタミナーゼに加えて澱粉液
化酵素も同時に穀粉原料に添加した場合には、上記温度
範囲の熱水による逆洗を行って連続的に効率良く行うこ
とが出来る。こうして得られたオリゴ糖は周知の方法で
回収することが出来る。尚、得られたオリゴ糖液中に蛋
白質等の不純物が含まれているような場合には、更に、
スーパーデカンター又は遠心分離による振り切り、圧縮
濾過等によりこれらの不純物を分離除去することができ
る。
【0019】
【実施例】以下、実施例に従い、更に本発明を詳説す
る。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
なく、本発明の趣旨に基づき様々な変形が可能であり、
それらの変形も本発明の技術的範囲に属する。
【0020】実施例1 穀粉として小麦粉(黄亀澱粉:日清製粉社製)100g
(澱粉として60g)に水400mlを加え、カセイソ
ーダで混合液のpHをそれぞれの値に調整した。これに
トランスグルタミナーゼ(アクティバ:味の素社製)を
所定量加えて、50℃で30分間反応させた。次に、澱
粉液化酵素(クライスターゼT−5:大和化成社製)を
0.5ml(3,050ユニット)の量だけ添加し、pH
6.0にて、95℃で30分間の液化反応を行ない、小
型振切機(セントリフィーガルフィルター:三陽理化学
社製)を用いて得られたオリゴ糖を含む液化液を85℃
〜95℃で分離した。分離した液化液に澱粉糖化酵素
(グルクザイムNL4.2:天野製薬社製)を0.1ml
(420ユニット)の量だけ添加し、pH5.0にて6
0℃で40時間の糖化反応を行ない、グルコースを含む
糖化液を得た。この糖化液の組成(グルコース含有量、
乾物重量%(DM)、乾物総量中のグルコース重量%
(DE))、糖化液の回収率、液化液への窒素成分
(N)の漏れ率等について分析した。その結果を表1に
示す。
【0021】
【表1】
【0022】この結果、穀粉原料にトランスグルタミナ
ーゼを作用させることによって、液化液への窒素成分
(N)の漏れ率が低下しており、即ち、蛋白質との分離
効率が向上していることが分かる。更に、分離効率は、
pH6においてトランスグルタミナーゼを作用させた場
合に特に高いことが示された。
【0023】実施例2 各種穀粉100gに水400mlを加え、カセイソーダ
で混合液のpHを6.0に調整した。これにトランスグ
ルタミナーゼ(アクティバ:味の素社製)を0.1重量
%となるように(100ユニット)加えて、50℃で3
0分間反応させた。その後、実施例1と同様の条件下で
液化及び糖化反応を行い、グルコースを含む糖化液を得
た。この糖化液の組成(グルコース含有量、乾物重量%
(DM)、乾物総量中のグルコース重量%(DE))、
糖化液の回収率、液化液への窒素成分(N)の漏れ率等
について分析した。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2の結果から、いずれの穀粉原料に関し
ても、トランスグルタミナーゼを作用させることによっ
て、液化液への窒素成分(N)の漏れ率が低下してお
り、即ち、蛋白質との分離効率が向上していることが分
かる。特に、タビオカチップ及びサツマイモにおいて
は、その効果が顕著であった。これら穀類には、繊維質
が多く含まれていることが分かっており、本発明の穀粉
原料としては、繊維質含量の多い、例えば、0.1重量
%以上含まれているようなものが好ましいことが分かっ
た。
【0026】以上の表1及び表2に示した各種分析値
は、当業者には周知の以下の方法で求めた。乾物重量%(DM): サンプル1gを秤量後に濾紙にし
み込ませ、60℃、4時間真空乾燥させ、その重量を秤
量。乾物総量中のグルコース重量%(DE):澱粉からグル
コースへの分解率 グルコース量(g)/(100mlx比重xDM)。グルコース含有量(g/dl): グルコースオキシダーゼ法
により分析。糖化液の回収率: 分離回収した糖化液のグルコース量
(g)/(使用した澱粉の量(g)x 1.1)。澱粉含量: 穀粉原料2.5gを1.0NのHClで沸騰
水浴中で2時間処理し、澱粉をグルコースに分解した後
に、pH7.0に調整し、上記グルコースオキシダーゼ
法で測定(公知のAOAC法で分析)。 澱粉含量=(グルコース含量x162)/180液化液への窒素成分(N)の漏れ率(%): (液化液中の総窒素(T−N)量x100)/(穀粉原
料1g中のT−N量)。蛋白質測定: 住友化学社製のT−N/T−C分析計(N
C−800)にて試料中のT−Nを分析。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅野 益好 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味 の素株式会社川崎工場内 Fターム(参考) 4B064 AF02 AF04 AF12 CA21 CC03 CC06 CC07 CD19 CD22 DA10 4C090 AA03 AA04 BA13 BA51 BC10 CA04 CA32 CA42 CA43 4H045 AA20 BA10 CA31 CA32 EA01 FA70 GA05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穀粉原料にトランスグルタミナーゼを作
    用させた後、これに澱粉液化酵素及び澱粉糖化酵素を作
    用させ、糖類を蛋白質から分離・回収することから成
    る、穀粉原料からの糖類の製造方法。
  2. 【請求項2】 澱粉液化酵素を作用させた後に、得られ
    たオリゴ糖を含む液化液を分離し、これに澱粉糖化酵素
    を作用させる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 澱粉糖化酵素を作用させた後に、得られ
    た単糖を含む糖化液を分離する、請求項1に記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 穀粉原料に、トランスグルタミナーゼ及
    び澱粉液化酵素を同時に添加する、請求項1、2又は3
    に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 70℃〜100℃、pH7以下で、糖類
    を蛋白質から分離することを特徴とする、請求項1乃至
    請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 繊維質が0.1重量%以上含まれている
    穀粉原料を使用し、糖類がグルコースである、請求項1
    乃至請求項5のいずれか一項に記載の製造方法。
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