JP2000351397A - 揚力調整装置 - Google Patents

揚力調整装置

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JP2000351397A
JP2000351397A JP11164482A JP16448299A JP2000351397A JP 2000351397 A JP2000351397 A JP 2000351397A JP 11164482 A JP11164482 A JP 11164482A JP 16448299 A JP16448299 A JP 16448299A JP 2000351397 A JP2000351397 A JP 2000351397A
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flying
lift
fin
flying object
wedge body
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Akitaka Urano
明崇 浦野
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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  • Control Of Position, Course, Altitude, Or Attitude Of Moving Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 遷音速から極超音速で飛行する飛行体の揚力
を、飛行速度に応じて調整すること。 【解決手段】 飛行体1の揚力を調整するため該飛行体
1の下部に設けられる揚力調整装置であって、楔型の楔
体5の両側方に一対のフィン6を設けて構成されたウェ
ーブライダ2と、飛行体1の下面1aからのウェーブラ
イダ2の突出量を調整するための調整システム3とを備
える。そして、ウェーブライダ2の突出量を飛行体1の
飛行速度に応じて調整することにより、飛行体1の揚力
を調整する。この揚力調整装置によれば、飛行体1の各
飛行速度に応じてウェーブライダ2の突出量を調整する
ことができ、効果的に揚力を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、遷音速域から極
超音速域まで飛行する飛行体の揚力を、飛行速度に応じ
て調整するための揚力調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】航空機、戦闘機あるいは大気圏離脱用ジ
ェット機の如き有翼の飛行体は、その胴体や翼(以下、
必要に応じて機体と総称する)に働く気流の作用によっ
て揚力を得て飛行している。従って、揚力を増加させる
ことは飛行体の飛行効率を向上させることになり、ひい
ては搭載燃料の軽減や航続距離延長などの各種メリット
をもたらすことになる。このため、飛行体の揚力を向上
させることは、飛行体の主要な開発課題の一つとなって
いる。
【0003】ここで、飛行体に作用する空気力学的現象
は、飛行体の飛行速度の変化に伴って変化する。このた
め、同一の機体形状によって、全ての飛行速度領域にお
いて良好な空力特性を得ることは困難になる。このよう
な問題に対し、従来では、揚力調整装置により飛行速度
に応じて機体形状を変化させ、空力特性を改善して揚力
を向上させるようにしている。
【0004】特に飛行速度が遷音速に達すると、機体表
面に衝撃波が発生し、これらの衝撃波はマッハ数の変動
に伴って異なる位置および形状で発生することから、機
体上の揚力が大きく変動してしまう。従って、遷音速か
ら極超音速まで飛行することを目的とする飛行体におい
ては、この衝撃波の発生を考慮した揚力調整装置によっ
て、揚力を向上させる必要がある。
【0005】従来から上記のような揚力調整装置とし
て、ウェーブライダ(Waverider )が提案されている。
図9に、楔型のウェーブライダを備えた飛行体の全体斜
視図を示す。また、図10は、図9に示したウェーブラ
イダの縦断面図であって、(a)は側面方向からの断面
図、(b)は(a)のE−E矢視断面図を示す。
【0006】同図に示すように、ウェーブライダ32
は、飛行体31の胴体31bおよび各翼31cの下面3
1aに設けられ、楔体35と当該楔体35の両側方に設
けた一対のフィン36とを備えた構成となる。楔体35
は、楔型に形成されており、機体前方から後方に至るに
伴って徐々に肉厚となるように配置されている。前記各
フィン36は、側面三角形状の板状体として形成されて
おり、飛行体31の下面31aに対して直交するように
設けられている。
【0007】各フィン36の先端部は、楔体35の先端
部に対して前後上下に対応する位置に設けられている。
他方、その後端部は、楔体35の後端部よりも縦長に形
成されており、楔体35の後端部に対して、前後に対応
する位置で且つ下方に突出するように配置されている。
このように各フィン36の後端部が楔体35よりも縦長
に形成されていることから、各ウェーブライダ32に
は、楔体35と一対のフィン36とによって囲まれる空
間部37が形成される。
【0008】飛行体31が遷音速から極超音速の領域で
飛行した場合、図10に示すように、飛行体31の下方
に突出した楔体35によって斜め衝撃波SWが発生し、
この斜め衝撃波SWがフィン36の下面36aに付着す
る。このとき、斜め衝撃波SWの後方には、高圧気流層
が発生するが、この高圧気流層はウェーブライダ32に
て形成された空間部37に閉じ込められる。これによ
り、機体下方の圧力が機体上方の圧力に比べて高めら
れ、飛行体31の揚力が向上する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のウェーブライダの如き揚力調整装置では、設計時に
マッハ数が固定値に設定されており、このマッハ数に合
わせた形状にて揚力調整装置が固定的に形成されてい
た。このため、所定マッハ数以外の速度で飛行した場合
には、揚力調整装置の形状が衝撃波の方向性に適合しな
い等の理由により、揚力調整を適切に行うことができな
いという問題点があった。特に、離陸直後から遷音速に
至るまでの低速飛行を行う場合、有効な揚力調整を行う
ことができないにも関わらず揚力調整装置が飛行体の下
方に突出しているため、飛行抵抗や気流の乱れが生じ、
却って飛行の妨げになるおそれがあった。
【0010】この発明は、上記に鑑みてなされたもので
あって、遷音速から極超音速で飛行する飛行体の揚力
を、飛行速度に応じて調整できる揚力調整装置を提供す
ることを目的とする。また、低速飛行時に飛行の妨げに
ならないような揚力調整装置を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、この発明による揚力調整装置は、飛行体の揚力を
調整するため当該飛行体の下部に設けられる揚力調整装
置であって、楔体の両側方に一対のフィンを設けて構成
され、これら楔体と一対のフィンにて囲まれる空間部に
高圧気流層を閉じ込めることにより前記飛行体の揚力を
向上させるウェーブライダと、前記飛行体の下面からの
前記ウェーブライダの突出量を調整するための調整シス
テムと、を備え、ウェーブライダの突出量を飛行体の飛
行速度に応じて前記調整システムにて調整し、前記飛行
体の揚力を調整するものである。
【0012】この揚力調整装置によれば、飛行体の飛行
速度に応じてウェーブライダの突出量を調整することが
できるため、ウェーブライダを各飛行速度において揚力
向上に最適な状態で突出させることができる。従って、
従来のウェーブライダに比べ、極めて効果的に揚力を向
上させることができる。
【0013】また、前記調整システムは、飛行体が遷音
速以上の速度で飛行している場合において、フィンの下
面が飛行体の下面に対して形成する角度を、飛行体の下
方に形成される衝撃波の角度に一致させるよう、ウェー
ブライダを飛行体の下面から突出させるようにするのが
好ましい。この揚力調整装置によれば、フィンの下面に
衝撃波を最適な状態で付着させることができ、高圧気流
層をより確実に空間部に閉じ込めることができるので、
揚力を最も効率よく向上させることができる。
【0014】また、前記調整システムは、飛行体が遷音
速に満たない速度で飛行している場合において、ウェー
ブライダを飛行体の内部に収納するようにするのが好ま
しい。この揚力調整装置によれば、低速域においてはウ
ェーブライダが機体から突出しないため、ウェーブライ
ダによって飛行抵抗や気流の乱れを生じさせることがな
い。従って、低速域においても、飛行効率を不用意に低
下させることがない。
【0015】また、前記調整システムは、飛行体の飛行
速度を示す情報を入力される入力部と、飛行体の飛行速
度と、各飛行速度に適したウェーブライダの突出量と、
を相互に対応させて記憶する記憶部と、ウェーブライダ
を上下動させる調整機構と、調整機構を制御する制御部
とを備え、制御部は、入力部に入力された飛行速度に対
応する突出量を記憶部から所定タイミングにて呼び出
し、ウェーブライダの突出量が記憶部から呼び出した突
出量となるように、調整機構を制御するのが好ましい。
この揚力調整装置によれば、記憶部に予め記憶された突
出量にて調整を行うことができ、調整を行う毎に突出量
を演算する必要がないことから、一層迅速な調整を行う
ことができる。
【0016】また、楔体とフィンは互いに個別的に上下
動可能に形成され、調整システムは、楔体を飛行体に対
して上下動させる楔体用調整機構と、フィンを飛行体ま
たは楔体に対して上下動させるフィン用調整機構とを備
え、楔体用調整機構とフィン用調整機構とによって、楔
体の突出量とフィンの突出量とを互いに個別的に調整す
ることが好ましい。この揚力調整装置によれば、楔体と
フィンのそれぞれを揚力向上に最適な位置および角度に
て配置することができ、最適な揚力調整を行うことがで
きる。
【0017】また、楔体およびフィンの全体を、飛行体
の下面よりも下方の気流安定域に突出可能としてもい。
この揚力調整装置によれば、飛行体下面直近の気流の不
安定な位置でなく、当該下面から若干離れた気流の安定
している領域にウェーブライダを配置できる。このた
め、一層効率のよい揚力調整を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる揚力調整
装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、こ
の実施の形態によりこの発明が限定されるものではな
い。
【0019】(実施の形態1)図1は、この発明の実施
の形態1にかかる揚力調整装置を構成するウェーブライ
ダの突出位置における縦断面図であって、(a)は側面
方向からの断面図、(b)はA−A矢視断面図を示す。
図2は、図1に示したウェーブライダ収納位置における
縦断面図であって、(a)は側面方向からの断面図、
(b)はB−B矢視断面図を示す。また、図3は、図1
に示したウェーブライダを備えた飛行体全体の側面図、
図4は、揚力調整装置の電気的構成を示すブロック図、
図5および図6は、ウェーブライダの突出状態を説明す
るための概念図である。
【0020】図1〜図3に示すように、この揚力調整装
置は、概略的に、飛行体1の下部に設けられた複数のウ
ェーブライダ2と、飛行体1の下面1aからの各ウェー
ブライダ2の突出量を調整する調整システム3とを備え
て構成されている。そして、ウェーブライダ2は、この
調整システム3によって、図2に示すように飛行体1の
内部に完全に収納された位置(収納位置)から、図1に
示すように飛行体1の外部における最も下方に突出され
た位置(突出位置)に至る種々の位置にて突出される。
【0021】このウェーブライダ2は、図3に示すよう
に、飛行体1の胴体1bおよび各翼1cの下部にそれぞ
れ1つずつ設けられている。これら胴体1bおよび各翼
1cの下面1aのうちウェーブライダ2に対応する位置
には、図1および図2に示すように開口部4が形成され
ており、この開口部4を介してウェーブライダ2が上述
の収納位置から突出位置まで移動可能とされている。
【0022】このウェーブライダ2は従来のウェーブラ
イダと同様の位置に設置することができる。すなわちウ
ェーブライダ2は、この実施の形態1に示した位置に限
られず、ウェーブライダ2の後述する楔体5が衝撃波を
受け得る全ての揚力面に設けることができる。また、ウ
ェーブライダ2の設置数も本実施形態に示した数に限ら
れない。ただし、飛行体1の前後左右における揚力バラ
ンスを考慮した上で、飛行体1の揚力を最も向上させる
ことができる位置および数にて設置されることが好まし
い。
【0023】各ウェーブライダ2は、図1および図2に
示すように、楔体5と、該楔体5の両側方に設けた一対
のフィン6とを備えて構成されている。これら楔体5自
体およびフィン6自体は、従来と同様の基本構造にて構
成することができる。すなわち、楔体5は、飛行体1を
遷音速から極超音速にて飛行させた際に斜め衝撃波SW
を発生させるものであり、楔型に形成され、機体前方か
ら後方にかけて徐々に肉厚となるような方向で配置され
ている。また、各フィン6は、楔体5にて発生した斜め
衝撃波SWを付着させるものであり、側面三角形状の板
状体として形成され、飛行体1の下面1aに対し直交状
とされている。
【0024】そして、各フィン6は、その先端部を、楔
体5の先端部に対し前後上下に対応する位置に配置され
ている。また各フィン6は、その後端部を、楔体5の後
端部よりも縦長に形成されており、楔体5の後端部に対
し、前後に対応する位置で且つ下方に突出するように配
置されている。
【0025】このように、各フィン6は楔体5よりも縦
長に形成されていることから、各ウェーブライダ2に
は、楔体5と一対のフィン6とによって囲まれる空間部
7が形成されている。この空間部7は斜め衝撃波SWの
後方に発生した高圧気流層を閉じ込めるものである。な
お、これまで説明した楔体5およびフィン6の配置方
向、また、これらの相互の位置関係や機体との位置関係
は、少なくとも突出位置において成立すればよく、特に
収納位置においては空気力学的制約を受けないことか
ら、楔体5およびフィン6を任意の方向にて配置するこ
とができる。
【0026】このように構成されたウェーブライダ2の
楔体5とフィン6とは、互いに個別的に上下動可能に形
成されている。すなわち、これら楔体5とフィン6とは
相互に非固定状態とされている。また、これら楔体5お
よび各フィン6は、それぞれの先端部に設けたヒンジ8
を介して機体に取付けられている。そして、これら楔体
5および各フィン6は、ヒンジ8を中心として、上述の
収納位置から突出位置にかけて回動可能である。
【0027】一方、調整システム3は、図1および図2
および図4に示すように、楔体用調整機構10、フィン
用調整機構11、入力部12、記憶部13、および制御
部14を備えて構成されている。このうち楔体用調整機
構10は、楔体5を飛行体1に対して上下に回動させる
ことによって、飛行体1からの楔体5の突出量を調整す
ると共に、該楔体5の飛行体1の下面1aに対する角度
を調整する。また、フィン用調整機構11は、フィン6
を飛行体1に対して上下に回動させることによって、飛
行体1からのフィン6の突出量を調整すると共に、該フ
ィン6の飛行体1の下面1aに対する角度を調整する。
【0028】これら楔体用調整機構10とフィン用調整
機構11は、図1および図2に示すように、その一端に
設けられた固定ブラケット15を介して機体に固定され
ると共に、その他端に設けられたアクチュエータ16を
楔体5とフィン6にそれぞれ固定されている。そして、
アクチュエータ16を伸縮させることによって、楔体5
とフィン6をそれぞれ上下回動させる。このアクチュエ
ータ16の伸縮量は制御部14からの制御信号によって
制御される。ただし、楔体用調整機構10とフィン用調
整機構11は、楔体5とフィン6の突出量をそれぞれ調
整可能なものであればいかなる構造にて構成されてもよ
い。たとえば、ヒンジ8の回転軸をモータ等にて直接駆
動することにより、楔体5とフィン6を上下回動させて
もよい。
【0029】また、図4において入力部12は、飛行体
1の飛行速度を計測または伝達する機器、たとえば図示
しない速度計に接続されており、該機器から飛行体1の
飛行速度を示す情報を入力される。また、図4において
記憶部13は、飛行体1の飛行速度と、各飛行速度に適
したウェーブライダ2の突出量(具体的には、楔体5の
突出量およびフィン6の突出量)とを相互に関連付けて
記憶する。なお、記憶部13としては、不揮発的な記憶
を行う記憶媒体が好ましい。
【0030】ここで、各飛行速度に適したウェーブライ
ダ2の突出量は、つぎのように決定される。まず飛行速
度が遷音速以下の場合には斜め衝撃波SWが発生しない
ため、ウェーブライダ2の効果が得られない。従ってこ
の場合にはウェーブライダ2を突出させないものとし、
楔体5およびフィン6の突出量=0とする。
【0031】一方、飛行速度が遷音速に達した場合には
斜め衝撃波SWが発生するため、ウェーブライダ2の効
果を得ることができる。ここで、図5および図6に示す
ように、楔体5の下面5aが飛行体1の下面1aに対し
て形成する角度(以下、楔体頂角)=θ1、各フィン6
の下面6aが飛行体1の下面1aに対して形成する角度
(以下、フィン頂角)=θ2とする。また、各飛行速度
(マッハ数)=M、この時に発生する斜め衝撃波SWが
飛行体1の下面1aに対して形成する角度(以下、衝撃
波頂角)=βとする。
【0032】このとき、まず、揚力向上に最適な斜め衝
撃波SWを発生させることのできる楔体頂角θ1は、周
知の計算式にて算出することができる。また、衝撃波頂
角βは、飛行速度Mと楔体頂角θ1とより周知の計算式
にて算出することができる。ここで図6に示すように、
フィン頂角θ2が衝撃波頂角βに一致した時が、フィン
6の下面6aに斜め衝撃波SWが付着して揚力が最も向
上する。従って最適なフィン頂角θ2は、衝撃波頂角β
と等しくなるように決定される。
【0033】これら楔体5およびフィン6の突出量は、
飛行体1の機体形状等によって異なるため、これら機体
形状等を考慮して飛行体毎に個別に算出され、記憶部1
3にて記憶されることが好ましい。また、これら楔体5
およびフィン6の突出量は、該突出量を調整する毎に算
出してもよく、この場合には記憶部13を省略すること
ができる。ただし予め算出し、記憶部13に記憶させて
おくことで、調整時の演算を省き、一層迅速な調整を行
うことができる。なお、遷音速を超えた場合であって
も、極超音速に至るまではウェーブライダ2の効果が得
られにくい。従って、離陸後から極超音速に至るまでの
間においても、楔体5およびフィン6の突出量=0とし
てもよい。
【0034】また、図4において制御部14は、ウェー
ブライダ2の突出量の調整を制御する。具体的に制御部
14は、任意のタイミングにて(たとえば、入力部12
に入力された飛行速度が所定の変動範囲を超える毎、あ
るいは所定の一定間隔毎)、その時点における飛行速度
を入力部12から呼び出す。そして、この呼び出した飛
行速度に対応する楔体5およびフィン6の突出量を記憶
部13から呼び出す。そして実際の楔体5およびフィン
6の突出量が記憶部13から呼び出した突出量となるよ
うに、楔体用調整機構10およびフィン用調整機構11
に制御信号を出力する。
【0035】具体的には、飛行体1の離陸後から遷音速
に至る迄の間においては、楔体5およびフィン6の突出
量が0となるように楔体用調整機構10およびフィン用
調整機構11が制御される。すなわち、この間において
は、図2に示すように、楔体用調整機構10およびフィ
ン用調整機構11は上述の収納位置に位置し、飛行体1
の機体内に完全に収納されている。このように低速域に
おいてはウェーブライダ2を機体から突出させないこと
により、飛行抵抗や気流の乱れを生じさせることがない
ので、飛行効率を低下させることがない。
【0036】ここで、飛行体1の下面1aには、開口部
4を遮蔽するためのスライドドア17が設けられてお
り、低速域においてはスライドドア17によって開口部
4が遮蔽されている。従って、飛行抵抗の発生や気流の
乱れを一層効果的に防止することができ、また飛行体1
の内部の気密性を確保することができる。なおスライド
ドア17の開閉は制御部14によって、楔体用調整機構
10およびフィン用調整機構11の制御に連動させて行
うことができる。
【0037】一方、飛行速度が遷音速に達した場合に
は、記憶部13から呼び出された突出量(>0)だけ楔
体5およびフィン6が突出するように、楔体用調整機構
10およびフィン用調整機構11が制御される。従っ
て、従来のウェーブライダと同様の基本効果を得ること
ができる。すなわち、図6に示すように、楔体5によっ
て発生した斜め衝撃波SWがフィン6の下面6aに付着
し、高圧気流層がウェーブライダ2にて形成された空間
部7に閉じ込められ、飛行体1の揚力が増加する。特に
この実施の形態1によれば、楔体5の楔体頂角θ1およ
びフィン6のフィン頂角θ2は、各飛行速度において揚
力向上に最適な角度に調整される。従って、従来のウェ
ーブライダに比べ、極めて効果的に揚力向上を図ること
ができる。
【0038】実施の形態2.図7は、この発明の実施の
形態2にかかる揚力調整装置を構成するウェーブライダ
の突出位置における縦断面図であって、(a)は側面方
向からの断面図、(b)はC−C矢視断面図を示す。な
お、図7(b)においては、楔体の一部を破断面として
示す。また、図8は、図7に示したウェーブライダの収
納位置における縦断面図であって、(a)は側面方向か
らの断面図、(b)はD−D矢視断面図を示す。なお、
特に説明なき構成については上述の実施の形態1の構成
と同じであり、同一の構成要素を同一の符号にて示す。
【0039】この実施の形態2の揚力調整装置におい
て、楔体5およびフィン6は、飛行体1に対しては直接
固定されておらず、それぞれの先端部に設けたヒンジ9
を中心として相互に回動可能とされている。従って、図
8に示すように、楔体5およびフィン6の全体を、飛行
体1の下面1aに対して完全に下方に突出させることが
できる。
【0040】また、楔体用調整機構20は、伸縮あるい
は折り畳み式のステーとして構成されており、その上端
を図示しない周知の上下動機構に固定されると共に、そ
の下端を楔体5に固定され、この楔体5を上下に回動さ
せる。
【0041】また、フィン用調整機構21は、楔体5の
内部に収納されている。具体的には、図7(b)に示す
ように、楔体5の内部が中空状とされており、当該内部
にフィン用調整機構21が固定されている。従って、飛
行体1の内部の省スペース化を図ることができる。この
フィン用調整機構21は、フィン6の後端部近傍の位置
を上下動させることにより、フィン6を楔体5に対して
上下に回動させる。従って、この実施の形態2における
フィン6の制御は、楔体5に対する相対的な位置制御と
して行われる。
【0042】そして、飛行体1の離陸後から遷音速に至
る迄の間においては、図8に示すように、楔体用調整機
構20およびフィン用調整機構21は上述の収納位置に
位置し、飛行体1の機体内に完全に収納されている。こ
こで、フィン用調整機構21にてフィン6を楔体5に対
して上方に回動させることにより、図8に示すように、
フィン6の上面6bが楔体5の上面5bよりも上方に位
置するような状態とすることができる。この場合には、
楔体5およびフィン6を最も短いストロークにて飛行体
1の内部に収納することができる。
【0043】一方、飛行速度が遷音速に達した場合に
は、図7に示すように、楔体5およびフィン6を突出さ
せる。特に、この実施の形態2においては、楔体5およ
びフィン6全体を、飛行体1の下面1aに対して完全に
下方に突出するように配置することができる。このた
め、飛行体1の下面1aの直近における気流の不安定な
位置でなく、下面1aから若干離れた気流の安定してい
る位置に楔体5およびフィン6を配置することができ、
一層効率のよい揚力調整を行うことができる。
【0044】さて、これまで本発明の実施の形態1およ
び2について説明したが、この発明は、上記に示した実
施の形態に限定されず、その技術的思想の範囲内におい
て種々異なる形態にて実施されてよい。たとえば、低速
時に楔体およびフィンを飛行体の内部に収納するものと
したが、楔体またはフィンを常時突出させてもよく、あ
るいは楔体またはフィンの一部のみを飛行体の内部へ収
納してもよい。特にフィンは空気抵抗が小さく飛行の障
害となり難いので、常時突出させてもよい。あるいはフ
ィンを楔体の内部に収納してもよい。この場合には飛行
体の内部の省スペース化を図ることができる。
【0045】また、上記実施の形態においては楔体およ
びフィンの角度を調整可能としたが、いずれか一方の角
度を固定してもよい。特に楔体の角度調整によって得ら
れる揚力調整効果が低い場合には、楔体の角度を固定
し、フィンの角度のみを変えてよい。この場合には調整
機構の簡素化を図ることができる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の揚力調
整装置によれば、飛行体の飛行速度に応じてウェーブラ
イダの突出量を調整することができるため、従来のウェ
ーブライダに比べて、極めて効果的に揚力を向上させる
ことができる。また、低速飛行時に飛行の妨げにならな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる揚力調整装置
を構成するウェーブライダの突出位置を示す縦断面図で
ある。
【図2】図1に示したウェーブライダ収納位置を示す縦
断面図である。
【図3】図1に示したウェーブライダを備えた飛行体全
体を示す側面図である。
【図4】揚力調整装置の電気的構成を示すブロック図で
ある。
【図5】ウェーブライダの突出状態を説明するための概
念図である。
【図6】ウェーブライダの突出状態を説明するための概
念図である。
【図7】この発明の実施の形態2にかかる揚力調整装置
を構成するウェーブライダの突出位置を示す縦断面図で
ある。
【図8】図7に示したウェーブライダの収納位置を示す
縦断面図である。
【図9】楔型のウェーブライダを備えた飛行体の全体を
示す斜視図である。
【図10】図9に示したウェーブライダを示す縦断面図
である。
【符号の説明】
1、31 飛行体 2、32 ウェーブライダ 3 調整システム 4 開口部 5、35 楔体 6、36 フィン 7、37 空間部 8、9 ヒンジ 10、20 楔体用調整機構 11、21 フィン用調整機構 12 入力部 13 記憶部 14 制御部 15 固定ブラケット 16 アクチュエータ 17 スライドドア

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 飛行体の揚力を調整するため当該飛行体
    の下部に設けられる揚力調整装置であって、 楔体の両側方に一対のフィンを設けて構成され、これら
    楔体と一対のフィンにて囲まれる空間部に高圧気流層を
    閉じ込めることにより前記飛行体の揚力を向上させるウ
    ェーブライダと、 前記飛行体の下面からの前記ウェーブライダの突出量を
    調整するための調整システムと、 を備え、 ウェーブライダの突出量を飛行体の飛行速度に応じて前
    記調整システムにて調整し、前記飛行体の揚力を調整す
    ることを特徴とする揚力調整装置。
  2. 【請求項2】 さらに、前記調整システムは、前記飛行
    体が遷音速以上の速度で飛行している場合において、前
    記フィンの下面が前記飛行体の下面に対して形成する角
    度を、前記飛行体の下方に形成される衝撃波の角度に一
    致させるよう、前記ウェーブライダを前記飛行体の下面
    から突出させることを特徴とする請求項1に記載の揚力
    調整装置。
  3. 【請求項3】 さらに、前記調整システムは、前記飛行
    体が遷音速に満たない速度で飛行している場合におい
    て、前記ウェーブライダを前記飛行体の内部に収納する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の揚力調整装
    置。
  4. 【請求項4】 さらに、前記調整システムは、 前記飛行体の飛行速度を示す情報を入力される入力部
    と、 前記飛行体の飛行速度と、各飛行速度に適した前記ウェ
    ーブライダの突出量と、を相互に対応させて記憶する記
    憶部と、 前記ウェーブライダを上下動させる調整機構と、 前記調整機構を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、前記入力部に入力された飛行速度に対応
    する突出量を前記記憶部から所定タイミングにて呼び出
    し、前記ウェーブライダの突出量が前記記憶部から呼び
    出した突出量となるように、前記調整機構を制御するこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の揚
    力調整装置。
  5. 【請求項5】 さらに、前記楔体と前記フィンは、互い
    に個別的に上下動可能に形成され、 前記調整システムは、 前記楔体を、前記飛行体に対して上下動させる楔体用調
    整機構と、 前記フィンを、前記飛行体または前記楔体に対して上下
    動させるフィン用調整機構と、 を備え、 前記楔体用調整機構と前記フィン用調整機構とによっ
    て、前記楔体の突出量と前記フィンの突出量とを互いに
    個別的に調整することを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか一つ記載の揚力調整装置。
  6. 【請求項6】 さらに、前記楔体および前記フィンの全
    体を、前記飛行体の下面よりも下方の気流安定域に突出
    可能としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    つに記載の揚力調整装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6176765B1 (ja) * 2016-11-09 2017-08-09 一夫 有▲吉▼ ひれ付き省エネジェット機

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