JP2000350596A - 分泌性アルカリフォスファターゼの選択的活性測定方法 - Google Patents
分泌性アルカリフォスファターゼの選択的活性測定方法Info
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Abstract
ォスファターゼ活性を選択的に阻害し、分泌性アルカリ
フォスファターゼ活性を正確に測定する方法を提供す
る。 【解決手段】分泌性アルカリフォスファターゼアイソザ
イムおよび細胞の混在するサンプル溶液を、グアニジン
塩を含有する溶液と混合することを特徴とする該細胞由
来の内在性アルカリフォスファターゼアイソザイムの活
性を選択的に抑制する方法。
Description
しばしば用いられる分泌性アルカリフォスファターゼ
(以下、SEAPとも示す)の活性測定方法に関する。
測定は、細胞膜を破砕、溶解する必要がなく、細胞周囲
の培養液から酵素活性測定試料をサンプリングできるた
め、簡便なレポーターアッセイ系としてしばしば用いら
れている。しかし、ほとんどの細胞がアルカリフォスフ
ァターゼのアイソザイムを産生しており、また培溶液に
含有する血清中にも高濃度のアルカリフォスファターゼ
が含有していることが知られているため、このレポータ
ーアッセイ系では、内在性アルカリフォスファターゼ活
性によるバックグランドを下げることが不可欠である。
て、転写制御配列の下流に検出可能なタンパク質(レポ
ーター)をコードする遺伝子を連結したベクターを酵母
や動植物細胞に導入し、転写制御因子の転写調節活性を
調べるレポーターアッセイ法が広く一般に用いられてい
る。レポーターアッセイ法にはその長所、短所にそれぞ
れ特徴を持つ数種類の方法が知られているが、試料調製
の簡便さを特徴とする方法としては、分泌性アルカリフ
ォスファターゼを用いたアッセイ方法がよく知られてい
る(Bergerら、Gene,66,1(1988);Alam
ら、AnalyticalBiochemistry,188,245(199
0))。これは、ヒト胎盤由来のアルカリフォスファタ
ーゼをコードする遺伝子を改変することにより分泌型に
した酵素をレポーターとして用いるため、細胞膜を破
砕、溶解する必要がなく、細胞周囲の培養液の一部を採
取するだけで試料調製ができるという点で優れている。
しかしながら、ほとんどの細胞がアルカリフォスファタ
ーゼのアイソザイムを産生しており、また動物細胞を用
いる場合では、培養液に牛や馬の血清を添加する方法が
一般的であるが、これらの血清中にも高濃度のアルカリ
フォスファターゼが含有していることが知られている。
このため、このレポーターアッセイ系では、内在性アル
カリフォスファターゼの活性を抑制し、分泌性のアルカ
リフォスファターゼの活性を選択的に検出することが必
要とされている。
血清型(肝臓、骨、腎臓由来型)のアイソザイムである
が、これらのアイソザイムの活性を抑制する最も一般的
な方法は、高温での加熱処理を行う方法である(Alam
ら、Analytical Biochemistry,188,245(19
90);Bryanら、Methods in Enzymology,216,3
62(1992))。内在性アルカリフォスファターゼ
の大部分を占める血清由来型アイソザイムでは同条件で
大部分が失活することが知られている。ヒト胎盤由来ア
ルカリフォスファターゼは他のアイソザイムに比較して
熱安定性が高く、65℃、5分程度の加熱処理では活性
の低下がほとんど見られない。このアイソザイムを基に
遺伝子改変により作られた分泌性アルカリフォスファタ
ーゼもほぼ同じ性質を有する。一方、この熱耐性の差を
利用して、分泌性アルカリフォスファターゼの活性を選
択的に検出することが可能である。
が通常であるため、内在性アルカリフォスファターゼ活
性を抑制するための高温処理を行うためには、活性測定
とは別に高温設定した装置を用意しなければならない。
のサンプル調製の簡便さから、機械化によるアッセイの
自動化が比較的容易であるとされているが、バックグラ
ウンドを下げるために高温処理操作を加えるには、高温
設定の可能な温度制御ユニットを搭載する必要があり、
装置のコストアップ等の問題が生ずる。
ターゼ活性の抑制法としては、阻害剤の添加による方法
が知られている。なかでも、L−フェニルアラニンやL
−ホモアルギニンを用いる方法が最も一般的である(Al
amら、Analytical Biochemistry,188,245(1
990))。しかし、これらの試薬の添加のみでは、内
在性アルカリフォスファターゼを完全に失活することは
難しく、高温処理との併用が一般的な方法である。ま
た、その他の阻害剤でも高温処理との併用するのが一般
的である。このように、高温処理を行うことなく内在性
アルカリフォスファターゼ活性のみを十分に抑制する方
法は報告されていないのが現状である。
での処理を必要とせず、内在性アルカリフォスファター
ゼ活性を選択的に阻害し、分泌性アルカリフォスファタ
ーゼ活性を正確に測定する方法を提供することにある。
に鑑み、鋭意検討を行った。すなわち、本発明者らは、
ヒト胎盤由来アルカリフォスファターゼ(あるいは分泌
性アルカリフォスファターゼ)と他のアイソザイムの間
には熱安定性の差があることに着目した。すなわち熱安
定性が高いということは、熱による変性作用に対する耐
性が高いのであろうと考えた。さらに熱変性に対する耐
性が高ければ、タンパク質変性剤による変性作用にも耐
性が高いのではないかと推測した。この仮説に基づい
て、本発明者らは、一般的にタンパク質変性剤と呼ばれ
る試薬を、分泌性アルカリフォスファターゼ及び他のア
イソザイムを含む溶液中にそれぞれ添加し、しばらく放
置した後のアルカリフォスファターゼ活性を、試薬添加
前の溶液中の活性と比較することにより、分泌性アルカ
リフォスファターゼ以外のアイソザイムの活性を選択的
に抑制する試薬の探索を行った結果、グアニジン塩を適
当な濃度で添加した際には、分泌性アルカリフォスファ
ターゼ以外のアイソザイムの活性を選択的に大きく抑制
することができることを見出し、本発明を完成させるに
至った。
ら成る。 (1)分泌性アルカリフォスファターゼアイソザイムお
よび細胞の混在するサンプル溶液を、グアニジン塩を含
有する溶液と混合することを特徴とする該細胞由来の内
在性アルカリフォスファターゼアイソザイムの活性を選
択的に抑制する方法。 (2)グアニジン塩を含有する溶液を混合した際のグア
ニジン塩の最終濃度が1.5〜2.5Mである(1)の
方法。 (3)グアニジン塩を含有する溶液との混合に続いて、
加熱処理を行う(1)または(2)の方法。 (4)30〜40℃の温度で加熱処理を行う(3)の方
法。 (5)(1)〜(4)のいずれかの方法を用いることに
より、分泌性のヒト胎盤由来のアルカリフォスファター
ゼを選択的に検出する方法。 (6)分泌性のヒト胎盤由来のアルカリフォスファター
ゼをレポーターアッセイにより検出する(5)の方法。 (7)(1)〜(4)のいずれかの方法を利用して、基
質および反応用緩衝液を含むことを特徴とする分泌性の
胎盤型アルカリフォスファターゼを選択的に検出するキ
ット。 (8)レポーターアッセイに用いる(7)のキット。
本発明の細胞由来の内在性アルカリフォスファターゼア
イソザイムの活性を選択的に抑制する方法は、分泌性ア
ルカリフォスファターゼアイソザイムおよび細胞の混在
するサンプル溶液を、グアニジン塩を含有する溶液と混
合することを特徴とする。該グアニジンとしては、グア
ニジン塩酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンチオシア
ン酸塩などが挙げられる。グアニジン塩を含有する溶液
を混合した際の該グアニジン塩の最終濃度は1.5〜
2.5Mが好ましい。
合に続いて、さらに加熱処理を行うのが、グアニジン塩
の蛋白質変性作用の促進の点から好ましい。該加熱処理
は、30〜40℃、特に37℃付近で行うことにより、
上記効果がさらに増大する。
ヒト胎盤由来のアルカリフォスファターゼを選択的に検
出するのに有用である。特に、レポーターアッセイによ
り検出する際に有用である。ここで、レポーターアッセ
イとは、遺伝子発現の制御配列の近傍に容易に検出し得
る蛋白質(レポーター)をコードする遺伝子を連結し、
該レポーターの発現強度から発現制御因子の活性を測定
する方法をいうものである。
泌性の胎盤型アルカリフォスファターゼを選択的に検出
するキットは、基質および反応用緩衝液を含むことを特
徴とする。
る。なお、実施例により、本発明が限定されるものでは
ない。
ゼ溶液の調製 LIPOFECTAMINE(東洋紡績製)1.5μlとpSEAP
2−ControlVector(CLONTECH製)0.2
5μgをOPTI−MEM I(GIBCO BRL製)250
μlに溶解し、室温で30分間静置した。この溶液を
7.5×104個のCHO−K1細胞上に重層し、37
℃のCO2インキュベーターで培養し、5時間後にこの
溶液を吸引除去した後、代わりに10%の牛胎児血清
(Fetal Bovine Serum;GIBCO BRL製)を含むα−ME
M(GIBCO BRL製)1mlを重層して、さらに43時間
CO2インキュベーター内で培養した。その後、この細
胞培溶液を4℃、15,000rpmで5分間遠心分離
し、その上清部分を分泌性アルカリフォスファターゼ溶
液とした。
カリフォスファターゼアイソザイムの選択的活性抑制 アルカリフォスファターゼを含有する種々の溶液各20
μlに4.5Mグアニジン塩酸塩溶液20μlを混合
し、37℃で30分間加熱処理を行った。その後、前記
処理を行った溶液と未処理の溶液のそれぞれに化学発光
試薬Lumi-Phos Plus(Lumigen製)160μlを混合し
て、ルミノメーターLuminoskan RS(Labsystems製)を
用いて5分ごとに5秒間の発光量を60分間にわたって
計測した。各溶液ごとのアルカリフォスファターゼ活性
は60分間の最大値を用いて比較を行なった。表1に活
性比較の結果を示す。また、以下に使用したアルカリフ
ォスファターゼを含有する種々の溶液の詳細を示す。
5units/mlになるように、100mMリン酸ナ
トリウム溶液(pH7.2)で溶解して調製した。
ては、実施例1と同様のものを用いた。
血清を含むα−MEM(GIBCO BRL製)1mlで48時
間、CO2インキュベーター内で培養した。その後、こ
の細胞培溶液を4℃、15,000rpm、5分間遠心
分離し、その上清部分をCHO−K1細胞培養液とし
た。培養に用いる牛胎児血清の種類による影響を検討す
るため、以下の3種を用いて比較検討した。結果を表1
に示す。培養に用いる血清の相違、すなわち蛋白質成分
が異なっても、本発明は汎用的に有用であることが示さ
れた。 Fetal Bovine Serum(GIBCO BRL製) New born Calf Serum(GIBCO BRL製) Calf Serum(GIBCO BRL製)
アルカリフォスファターゼ及び他のアイソザイムを含む
酵素溶液を、グアニジン塩の添加と37℃付近での加熱
処理することにより、内在性アルカリフォスファターゼ
活性によるバックグランドを効果的に低減し、分泌性ア
ルカリフォスファターゼの活性を選択的に測定すること
が可能である。これによって高温加熱処理が不要とな
り、専用の加温装置を用意する必要がない。37℃付近
での加熱処理は、活性測定を通常37℃で行うことか
ら、同一の加温装置を用いることが可能である。以上の
ことより、分泌性アルカリフォスファターゼを用いたレ
ポーターアッセイを、機械化による自動化することが従
来に比べて格段に容易になった。また本発明の原理を用
いたキットを開発することにより、分泌性アルカリフォ
スファターゼを用いたレポーターアッセイを従来よりも
簡便に行うことができるようになった。
Claims (8)
- 【請求項1】 分泌性アルカリフォスファターゼアイソ
ザイムおよび細胞の混在するサンプル溶液を、グアニジ
ン塩を含有する溶液と混合することを特徴とする該細胞
由来の内在性アルカリフォスファターゼアイソザイムの
活性を選択的に抑制する方法。 - 【請求項2】 グアニジン塩を含有する溶液を混合する
際のグアニジン塩の最終濃度が1.5〜2.5Mである
請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 グアニジン塩を含有する溶液との混合に
続いて、加熱処理を行う請求項1または2に記載の方
法。 - 【請求項4】 30〜40℃の温度で加熱処理を行う請
求項3記載の方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法を
用いることにより、分泌性のヒト胎盤由来のアルカリフ
ォスファターゼを選択的に検出する方法。 - 【請求項6】 分泌性のヒト胎盤由来のアルカリフォス
ファターゼをレポーターアッセイにより検出する請求項
5記載の方法。 - 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法を
利用して、基質および反応用緩衝液を含むことを特徴と
する分泌性の胎盤型アルカリフォスファターゼを選択的
に検出するキット。 - 【請求項8】 レポーターアッセイに用いる請求項7記
載のキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11165291A JP2000350596A (ja) | 1999-06-11 | 1999-06-11 | 分泌性アルカリフォスファターゼの選択的活性測定方法 |
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JP11165291A Withdrawn JP2000350596A (ja) | 1999-06-11 | 1999-06-11 | 分泌性アルカリフォスファターゼの選択的活性測定方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2000350596A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010524496A (ja) * | 2007-04-27 | 2010-07-22 | アーエム−ファルマ ベー.フェー. | 修飾ホスファターゼ |
US9926544B2 (en) | 2014-01-24 | 2018-03-27 | Am-Pharma B.V. | Chimeric alkaline phosphatase-like proteins |
US10570380B2 (en) | 2014-01-24 | 2020-02-25 | Am-Pharma B.V. | Downstream processing of an alkaline phosphatase |
-
1999
- 1999-06-11 JP JP11165291A patent/JP2000350596A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010524496A (ja) * | 2007-04-27 | 2010-07-22 | アーエム−ファルマ ベー.フェー. | 修飾ホスファターゼ |
US8557545B2 (en) | 2007-04-27 | 2013-10-15 | Am-Pharma B.V. | Modified phosphatases |
US9926544B2 (en) | 2014-01-24 | 2018-03-27 | Am-Pharma B.V. | Chimeric alkaline phosphatase-like proteins |
US10570380B2 (en) | 2014-01-24 | 2020-02-25 | Am-Pharma B.V. | Downstream processing of an alkaline phosphatase |
US10822597B2 (en) | 2014-01-24 | 2020-11-03 | Am-Pharma B.V. | Chimeric alkaline phosphatase-like proteins |
US11746340B2 (en) | 2014-01-24 | 2023-09-05 | Am-Pharma B.V. | Chimeric alkaline phosphatase-like proteins |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090312 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090430 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090604 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090826 |