JP2000348274A - センサ部材形成材、同センサ部材形成材から成るセンサ部材及び同センサ部材を用いた監視装置。 - Google Patents

センサ部材形成材、同センサ部材形成材から成るセンサ部材及び同センサ部材を用いた監視装置。

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JP2000348274A
JP2000348274A JP11153356A JP15335699A JP2000348274A JP 2000348274 A JP2000348274 A JP 2000348274A JP 11153356 A JP11153356 A JP 11153356A JP 15335699 A JP15335699 A JP 15335699A JP 2000348274 A JP2000348274 A JP 2000348274A
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Taku Kumagai
卓 熊谷
Hisatoshi Kondo
久壽 近藤
Junichi Saito
順一 斉藤
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Shinko Engineering Research Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 崖等の崩落や地滑り等が生じる対象物を監視
し、かつ崩落等の致命的な現象が生じる前にこれを検知
する手段を得ること。 【解決手段】 崖等の監視対象WTに対して孔を穿設
し、この孔内に固化材(セメント等)及び固化材と、花
崗岩砕石からなるセンサ素子2とからなる混練物を注入
し、かつ金属線等をアンテナ部材4として混練物内に配
設する。固化材3が固化すると全体はセンサ部材1とな
る。この状態で例えば崖を形成する地盤に変化が生じる
と、この変化によりセンサ部材1に力Pが加わり、セン
サ素子2にはこの力Pによる応力が蓄積する。応力の蓄
積が一定値以上になるとセンサ素子2にはピエゾ効果或
いはマイクロクラックによる電磁気的放射が起きる。こ
の放射をアンテナ部材4により受信し、地盤に変形が生
じていることを検知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地面や地殻或いは人
工の構造物等に力が加わった際に、この力による地面や
構造物の崩壊前に生じる応力の発生を検知するよう構成
したセンサ部材、同センサ部材を形成するためのセンサ
部材形成材、及びこれらセンサ部材を用いた監視装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】地震や火山噴火等の地殻内の破壊現象に
先立って、電磁放射現象が生じることが最近の研究によ
り判明してきた。しかしこのような電磁放射現象の発生
メカニズムは必ずしも明瞭ではないが、地殻破壊の前段
階では地殻に加わった力により地殻内に応力が蓄積さ
れ、この応力により地殻に微細な割れ目(マイクロクラ
ック)が生じることが電磁放射現象の主因であるとの考
えが幾つかの実験結果から実証されるに至っている。
【0003】即ち、地殻を構成する岩石は不均質であっ
て、一定の応力が蓄積されるとマイクロクラックが生
じ、マイクロクラックにより岩石、例えば石英の粒子の
圧電分極が消滅し、今まで分極によって束縛されていた
電荷が地中に開放されて電場が生じ、これにより電流が
流れかつ電磁放射現象が生じるものと考えられるに至っ
た。
【0004】このような観点から今まで幾つかの実験が
行われ、この実験結果から上記の仮説がほぼ正しいこと
が判ってきた。図10は試料に圧縮力を加え、当該試料
にマイクロクラックが生じる際に発する弾性波(アコー
スティックエミッション/以下「AE」とする)と、発
生する電流との関係を示している。試料は円筒形の大理
石であり、同図はこの試料に対して円筒形の軸心方向に
対して一軸で圧縮応力を印加した結果を示している。こ
の圧縮応力の印加により試料は破壊点強度の約20秒前
から電流が観測されるようになり、ピーク(約300n
A)に達した後、徐々に減少し、再び検出限界点以下と
なった。これに対して試料のマイクロクラックを示すA
Eの変化の挙動もこの電流の変化の挙動と対応してお
り、試料のマイクロクラックに起因して電流や電磁波が
発生することが判った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の実験結果からも
明らかなとおり、現在までに実施されている試験、研究
は地殻崩壊等の予知のため、自然に存在する対象そのも
のに対して計測手段を配置して、これら地殻等の自然物
の変化を言わば受動的に検知する方法や手段を構成する
ことを目的とし、然も現実にはその目的実現の端著につ
いたに過ぎない状況である。因みに地盤、地殻の組成は
地域、深さ等によっても千差万別であり、このような幅
広い性質を有する自然物を対象とするためには今後も膨
大なデータの蓄積を必要とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の試験、
実験の経過に着目して構成されたものである。即ち、発
明者等は電磁放射の試験において、試料が特定されれば
この試料に生じた応力の蓄積とマイクロクラックとの間
には再現性が生じることに着目し、この特定された試料
を対象物に配設すれば、この試料を介して対象物に加わ
る力による危険性の有無が判断可能であるとの考えに基
づいてなされたものである。なお、マイクロクラックに
至らな程度の応力によってピエゾ効果(圧電効果)によ
る電磁波の放射があり得るので、検出感度が良好であれ
ばピエゾ効果による電磁波も利用可能である。
【0007】上述のとおり本発明は、応力の蓄積によっ
て電磁的な放射を行う性質を有する物質をセンサとして
積極的に利用し、対象物に生じた応力により当該対象物
が破壊される前にこの応力の蓄積を検知するよう構成し
たものであって、固化材とこの電磁的な放射を行う物質
(センサ素子)とを有するセンサ部材形成材と、このセ
ンサ部材形成材により所望の形状に成形されたセンサ部
材と、これらセンサ部材形成材により構造物を形成し或
いはセンサ部材を対象に配置し、かつこれらから得られ
る電磁的な変化を検出することにより対象物の安全性等
を判断する監視装置とからなるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】センサ部材形成材は例えば固化材
としてのセメントと、電磁的な放射を行うセンサ素子と
して、天然素材の場合には例えば花崗岩砕石が用いられ
る。このセンサ部材形成材は、通常のコンクリートの場
合と同様、水を添加して混練し、この混練したものを対
象物に対して注入し、或いは対象物の表面に被覆する。
例えば対象物が崩落の危険性がある崖である場合、この
崖に対して何箇所か穿孔し、この孔に対して前記混練物
を注入する。この場合、孔内に導電性の高い金属線をア
ンテナ素材として配置して混練物を注入したり、或いは
この孔の近傍にアンテナ用の金属線を配置するようにし
てもよい。
【0009】流動状態のセンサ部材形成材を孔に注入
し、このセンサ部材形成材が固化したならば以後センサ
部材として作用することになる。即ち、崖或いは法面等
の斜面に何らかの力が加わると、この力はセンサ部材に
伝わってセンサ部材内に応力が蓄積され、この応力が限
界値を越えるとセンサ部材のセンサ素子にピエゾ効果に
よる電磁的な放射或いはピエゾ効果に加えて又はこれに
代わってマイクロクラックによる電磁的な放射が行われ
る。この放射はセンサ部材内に埋設され、或いはセンサ
部材に近接して配置された受信素材により受信され、受
信された電磁的放射は測定装置により分析判断される。
【0010】センサ素子におけるピエゾ効果を生じるよ
うな変動(以下「ピエゾ効果変動」とする)又はマイク
ロクラックは崖や法面等、センサ部材設置対象の崩落に
先立って生じるため、センサ素子からの電磁的放射を観
測することにより、対象物の崩落や崩壊前にその可能性
を検知することが可能となり、以後の適切な対応が可能
となる。
【0011】また、対象物に対して混練物たるセンサ部
材形成材を注入、塗布或いは散布する方法以外に、予め
センサ部材形成材により所望の形状のセンサ部材を構成
し、このセンサ部材を対象物に埋設或いは密着する構成
とすることもできる。
【0012】更に、対象物が崖や地盤等の自然物である
場合にはこの対象物に対してセンサ部材を配置する構成
となるが、対象物が人工の構造物である場合にはセンサ
部材をこの構造物に配置する構成の他、構造物自体をこ
のセンサ部材形成材で構成することも可能である。例え
ば、コンクリートで補強されているトンネル等の場合、
この補強部材としてセンサ部材形成材からなる材料をコ
ンクリートとして用いるか、或いは通常のコンクリート
層に密着或いは近接してセンサ部材形成材を固化させた
層を形成する。
【0013】また、トンネル等の施工時にアンテナとし
て機能するような導電体素材をこの補強部材のコンクリ
ート部分に埋設して、或いは近接配置して前記受信部材
を複数設けておく。若し万一トンネル等の一部に一定値
以上の応力が蓄積されたならば、この部分のコンクリー
トにおけるセンサ素子の電磁的放射を受信して応力発生
の部位を特定できる。以後この部分の補強を行う等の適
切な対応が可能となる。
【0014】センサ部材からの電磁的信号を受ける装置
は、この電磁的放射のあった部分を特定したり、或いは
各種のデータを画像表示したり、場合によっては警報を
発する等の作動をする。またセンサ素子からの電磁的放
射を受信する手段は、電磁波を受信するアンテナを用い
て構成したり、或いはセンサ素子から流れる電流を検知
する有線伝送部材を用いて構成される。
【0015】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参考に具体的に
説明する。図1及び図2は本発明にかかるセンサ部材の
構成例を示し、図3は図1に示すセンサ部材の内部構造
とその作動状態を示す。
【0016】最初に、主として図3を用いてセンサ部材
の内部構造を説明する。符号1は、例えば崖等の監視対
象WTに穿孔して孔6を形成し、その孔6内にセンサ部
材形成材を注入して固化することにより形成されたセン
サ部材である。センサ部材1はセンサ素子2と、このセ
ンサ素子2を含め全体を一体的に成形固化する固化材3
とから構成されている。また二点鎖線で示す符号4は導
電性および耐腐食性の高い金属線等から形成されている
アンテナ部材であり、このアンテナ部材4を埋設してい
る場合には外部に設置されているアンテナと併用して、
或いはこのアンテナ部材4を介して電磁波を受信するこ
ともできる。
【0017】上記センサ素子2は、自然素材であれば花
崗岩砕石が効果的である。但し、花崗岩は産地によりそ
の組成が微妙に異なるため、産地の異なる花崗岩につい
ては予め図9に示すようなマイクロクラックの試験を行
っておけば監視精度の信頼性がより高まることになる。
またこの花崗岩のような自然素材の他、チタン酸ジルコ
ン酸塩(PZT)のような人工的な圧電材料を用いても
よい。
【0018】また固化材3としてはポルトランドセメン
トの他、プラスチック等の使用も可能である。但し、穿
孔した孔6に注入してセンサ部材を形成する場合にはプ
ラスチックを予め溶融しておく必要があるため、ポルト
ランドセメントに比較して実用性は低いものとなる。プ
ラスチックはセンサ部材として予め特定の形状に成形固
化する場合に利用するのが適当である。
【0019】またアンテナ部材4を設置する場合には混
練された固化前のセンサ部材形成材を注入する際に孔6
内に配置し、センサ部材形成材が固化することによって
センサ部材1となった時にこのセンサ部材1内に配置さ
れるよう構成するか、或いはこのセンサ部材1に近接し
て埋設されるよう構成される。但しアンテナ部材4は本
発明に必須の要素ではない。なお、ポルトランドセメン
トに代表される固化材が硬化する過程で、当該固化材の
収縮、変形、圧力変動あるいは監視対象WTの安定まで
の圧縮変動等に伴うセンサ素子への加圧或いはセンサ素
子の変形によりセンサ素子が電磁波を発する可能性があ
るが、固化材の硬化時間はほぼ一定であるため、この時
間における電磁波の受信は崩壊予兆を示すものでないと
してソフト上処理する等の方法を実施することもでき
る。
【0020】以上の構成において、監視対象WTにおけ
る地滑り或いは岩石の亀裂等により生じた力Pがセンサ
部材1に加わるとセンサ素子2を含めたセンサ部材に応
力が発生しかつ蓄積され、この応力の蓄積が一定値以上
となるとセンサ素子2はピエゾ効果変動或いはマイクロ
クラックを生じる。この場合アンテナ部材4が設けられ
ているいるときはピエゾ効果変動又はマイクロクラック
により生じた電流或いは電磁波はアンテナ部材4により
検知され、例えば後述の監視装置に出力される。アンテ
ナ部材4がセンサ部材1内に配置されていれば電流や電
磁波の受信効率は極めて良好である。また監視対象WT
内にセンサ部材1が配設されていることにより、センサ
部材1には空気中に比較して多めの水分が含まれること
になるが、前記マイクロクラックの試験においても、こ
の水分の存在が電流や電磁波の減衰率を低下させ、その
分受信効率が高くなることが実際に検証されている。
【0021】次に、図1は予め所定の形状に成形されて
いるセンサ部材を示す。このセンサ部材1の組成は図3
に示すものと同様、センサ素子2と固化材3とから成っ
ている。図示の構成は円筒或いは断面が多角形の棒状に
形成された構成となっており、特にセンサ部材1の軸心
に対して直交する方向からの力に対して感応性の高いセ
ンサ部材として構成されている。但し、センサ部材の形
状はもとよりこの様な棒状の形状に限定するものではな
く、板状、筒状、塊状等任意の形状を選択できる。ま
た、センサ部材の一部を細く形成し、例えばヒョウタン
型に類似するような形状とすることによって、敢えてセ
ンサ部材の一部に応力が集中するような形状として、セ
ンサ部材の感度を高くするよう構成することも可能であ
る。また図3のようにセンサ部材内にアンテナ部材4を
予め埋設して形成することももとより可能である。
【0022】図2はセンサ部材の第2の実施例を示す。
この実施例ではセンサ素子は予め一体として形成されて
いる。例えばセンサ素子が花崗岩である場合、花崗岩を
棒状に切り出したものをセンサ素子(以下「一体型セン
サ素子」とする)5とする。監視対象WTに穿設した孔
6に対してこの一体型センサ素子5を配置し、この状態
で固化材3を注入することにより全体としてセンサ部材
1を孔6内に形成する。この構成においてアンテナ部材
4を配置するのであれば、アンテナ部材4は一体型セン
サ素子5の近傍に埋設する。
【0023】図1又は図3の如くセンサ素子2がセンサ
部材1内に多数分散配置された構造のセンサ部材の場合
には、センサ部材としての成形の自由度が極めて高い反
面、力Pの負荷状態の如何或いはセンサ部材1内のセン
サ素子2の量或いはその分散状態によっては、応力の蓄
積によるクラックがセンサ素子2と固化材3との境界面
に沿って先ず生じ、この応力の開放によってセンサ素子
2自体のマイクロクラックの発生が遅れる場合も想定さ
れる。これに対して図2の構成ではセンサ素子は一体型
センサ素子5として形成されるため、センサ部材1に負
荷された力は周囲の固化材3の層を介して一体型センサ
素子5に確実に伝わり、一体型センサ素子5内に応力と
して蓄積される。このため、図2の構成はセンサ素子の
形状の自由度は図1及び図3の構成と比較すると低い
が、センサ部材1としての感度は高く設定することが可
能となる。
【0024】図4及び図5は第3の実施例を示す。この
実施例は前記第2の実施例の一種の変形例であり、セン
サ部材のいろいろな方向から加わる力に対して高い感度
を有するよう構成されている。
【0025】先ずこのセンサ部材は複数の一体型センサ
素子が異なる方向に配置されることにより構成されてい
る。なお一体型センサ素子の構成材料は前記第2の実施
例のものと同じ材料であればよい。符号5Aは水平方向
に配置された一体型センサ素子であり、符号5Bはこの
一体型センサ素子5Aと直交するよう鉛直方向に配置さ
れた一体型センサ素子である。このように配置された一
体型センサ素子5A、5Bはセメント等の固化材3によ
り一体的に構成され、センサ部材1を構成している。な
お、図示の構成では一体型センサ素子5A、5Bは相互
に直交するように配置されているが、更に斜めに配置さ
れたものを追加するなど各一体型センサ素子の配置状態
は自由に設定可能である。また前記のセンサ部材4をこ
のセンサ部材に対して埋設配置することももとより可能
である。
【0026】上記のセンサ部材においては、各一体型セ
ンサ素子5A、5Bはそれぞれ細長い棒状に形成されて
いるため、その形状から、棒状体の軸心方向に加えられ
た力に対しては応力の蓄積が多くてもクラックは生じ難
いが、軸心に直交する方向からの力に対しては少ない応
力蓄積によってもピエゾ効果変動やマイクロクラックが
生じることになる。即ち、図5においてセンサ部材1に
対して力P1が加わった場合には、水平位置の一体型セ
ンサ素子5Aに先ずピエゾ効果変動やマイクロクラック
が生じ、反対に力P2が加わった場合には、鉛直位置の
一体型センサ素子5Bに先ずピエゾ効果変動やマイクロ
クラックが生じることになる。
【0027】何れのマイクロクラックにおいても、発生
する電磁的放射は埋設されたアンテナ部材或いは外部に
設置したアンテナ等の受信手段により受信されるため、
センサ部材1としてはいろいろな方向からの力に対して
高い感度を有するものとすることができる。なお、図示
の構成では一体型センサ素子5Aに対して一体型センサ
素子5Bが短く構成されているが、両者を同じ長さとし
たセンサ部材を構成することは当然のことながら何の問
題もなく可能である。
【0028】図6は図1及び図3に示すセンサ部材1を
監視対象WTである崖に設置し、崖の崩落等を監視する
監視装置の構成例を示す。監視対象WTである崖の斜面
の複数箇所に孔6が穿設され、この孔6内にはセンサ部
材形成材が注入され、センサ部材形成材の固化後はセン
サ部材1としてこの孔6内に位置することになる。図示
の構成ではアンテナ部材4が設けられており、このアン
テナ部材4は例えば図1及び図3に示すようにセンサ部
材形成材注入時にセンサ部材形成材内に配置される構成
とする。またセンサ部材が図2に示す一体型センサ素子
5を用いたものとである場合には一体型センサ素子5に
近接してアンテナ部材を配置するようにしてもよい。
【0029】次に、各センサ部材1のアンテナ部材4は
監視装置7に接続している。より具体的には、監視装置
7にはプリアンプ8a及びメインアンプ8bが設けら
れ、各アンテナ部材4はこれらのアンプを介して中央処
理部9に接続している。なお、中央処理部9は信号発生
位置の特定等、各種演算処理を行うよう構成されている
ため、各アンテナ部材からのアナログ信号はA/D変換
装置(図示せず)を介してデジタル信号として中央処理
部9に入力されるようになっている。符号10は監視装
置7に接続するCRT等の画像表示装置、11は同様に
監視装置7に接続する警報装置であって、警報音を発し
たり或いは赤色等特定の色彩の点滅により警報を発する
装置である。
【0030】上記の装置において、監視対象WTに配置
された複数のセンサ部材1のうち何れかのセンサ部材1
内で電流が流れ或いは電磁放射が検知されると、この電
磁的信号はアンテナ部材4により受信され、かつプリア
ンプ8a、メインアンプ8bで増幅された後中央処理部
9に出力される。中央処理部9は入力された信号によ
り、電磁的信号を受信したアンテナ部材4を特定し、予
め記憶している当該アンテナ部材4の位置情報に基づき
監視対象WTにおける危険箇所を特定し、画像表示装置
10により画像表示したり、或いは警報装置11により
警報を発したりする。
【0031】図7は監視装置の別の実施例を示す。なお
監視対象WTは図4に示す場合と同様に崖とする。この
実施例では崖の斜面部にセンサ部材形成材を塗布或いは
吹着付けることにより斜面部に密着しかつこの斜面部を
覆うようにしてセンサ部材1の層を形成する。即ち、こ
の構成のセンサ部材1は単に監視対象WTに対するセン
サとして機能するだけではなく、崖の崩落を防止する補
強材としての機能も有するものである。従って、センサ
部材1からなる層は、補強材としての機能を発揮する程
度の厚さを有するものとして予め構成される。
【0032】一方符号12はアンテナであり、この崖面
に近接して地面GLに立設された支柱12aにより支持
されている。このアンテナ12で受信された信号は出力
信号SGとして図4の監視装置7等の装置に出力され
る。また符号Eはアンテナ12のアンプ(図示せず)用
の電源である。なお、空中の電界強度を測定する場合等
は無指向性のアンテナが効果的であるが、本実施例の場
合には監視対象が特定の崖であるから、指向性を有する
アンテナを用い、アンテナをこの崖に指向して配置する
方が監視上効果的である。
【0033】この構成において、崖の斜面の変形等によ
りセンサ部材1の一部に発生した応力が限界値を越える
とセンサ部材1内のセンサ素子がピエゾ効果変動又はマ
イクロクラックを生じ、この結果生じる電磁的放射は電
磁波となって空気中にも伝播するので、この電磁波を前
記アンテナ12で受信して解析を行う。ここで、上記セ
ンサ素子から発する電磁波はいろいろな帯域のものが予
想されるが、発明者等の観測結果も含め通常のラジオ放
送波帯の周波数を受信することが観測上有望であるとわ
かってきた。
【0034】しかし、この周波数帯は前述のとおりラジ
オ放送の搬送波として利用されているのであるから、受
信したデータが通常の放送電波によるものか、センサ素
子から発せられた崩壊予兆の電磁波なのかを判断する必
要が生じる。この点において、本発明者等は放送電波の
存在する周波数帯においても放送電波信号をキャンセル
して、放送電波信号以外の電磁波ノイズのみを分離検出
する方法及び装置を提案している(特願平7−1992
62号)。従って放送電波の存在する周波数帯において
電磁波ノイズを検出する場合にはこの発明を利用するこ
とが望ましい。
【0035】また、外部設置型のアンテナを用いた上記
実施例では幅広い面積の監視が可能である反面、前記実
施例に比較して応力の蓄積している位置の特定は大まか
となる。従って、両者の特徴を生かすよう、穿孔型のセ
ンサ部材と、崖表面に層状に形成したセンサ部材の両方
を併用するよう構成してもよい。
【0036】図8は監視対象WTが崖であり、かつその
崖の構造が図7に示すものと相違する場合の例を示す。
図示の構成では崖は基本的に土壌であり、このため土壌
部Aの表面を覆うように補強用の石材を積み上げて補強
用石材層Bが形成され、さらに必要であればこの補強用
石材層Bの表面に固化層Cが形成される構造となってい
る。このような構造の場合、センサ部材形成材の利用方
法は次の方法及び、これらの方法の幾つかを組み合わせ
る方法等が実施可能である。 (1)土壌部Aにセンサ部材形成材を混入してこの土壌
部A内で固化する方法。 (2)センサ部材形成材により予め形成されたセンサ部
材を土壌部Aに挿入配置する方法。 (3)補強用石材層Bにセンサ素子(例えば花崗岩砕
石)を挿入する方法。 (4)補強用石材層Bにセンサ部材形成材を注入する方
法。 (5)補強用石材層Bにセンサ部材を挿入する方法。 (6)固化層Cをセンサ部材形成材で形成する方法。 (7)固化層Cにセンサ部材を挿入する方法。 (8)上記各方法を適宜組み合わせる方法。・・・等 なお図中符号符号1aは流動状態のセンサ部材形成材を
注入しかつ固化させることにより形成されたセンサ部
材、また符号1bは予め固化成形されたセンサ部材であ
って、監視対象WTである崖に対して挿入された状態を
示す。
【0037】上記の構成の崖では、土壌部A、補強用石
材層B、固化層Cは何れも強度および応力に対する挙動
が大きく異なり、各部において変動、崩壊の時期や状態
も異なる可能性が高いため、上記各方法を適宜組み合わ
せることも有効である。特にセンサ部材のうちの少なく
とも一部が各層間にまたがるように配置されることによ
り層間のずれがより検知し易くなり、従って崩壊の予兆
変化がより早期に検知可能となるものと思われる。
【0038】図9はセンサ部材の他の使用状態を示す実
施例である。この実施例においては、センサ部材1は人
工的な構造物そのもの或いは人工的構造物の構造材とし
ての機能を有している。図示の構成は地中に掘削形成し
たトンネルTLの補強壁面としてセンサ部材1が構成さ
れている。またのセンサ部材1の監視対象WTは掘削対
象の地盤である。掘削形成されたトンネルTLの内面に
は補強材としてセンサ部材1の層が形成される。補強部
材としての機能を果たすためには固化材はセメントと
し、かつセンサ素子は花崗岩砕石とし、かつこの花崗岩
砕石はコンクリートの骨材として機能するよう構成され
る。
【0039】このトンネルTLの補強材であるセンサ部
材1には、例えば図の如くトンネル断面の複数箇所(図
示の場合は3か所)にそれぞれアンテナ部材4がセンサ
部材1に近接配置され或いはセンサ部材1内に埋設さ
れ、かつこの断面に示されたアンテナ構成がトンネルT
Lの全長に渡って適当な間隔で配置されている。これら
アンテナ部材4は図6に示す構成の場合と同様プリアン
プ8a及びメインアンプ8bを介して監視装置7の中央
処理部9に接続している。
【0040】この構成において、トンネルTLが貫通し
ている部分の地盤の変形等によりトンネルの補強材であ
るセンサ部材1に応力が蓄積されると、この部分のセン
サ部材1内のセンサ素子から発する電磁的放射を当該部
分のアンテナ部材4が受信し、これを受けた監視装置は
受信したアンテナ部材4を特定することによりトンネル
壁面の応力集中箇所を検出し、画像表示装置10に画像
表示したり警報装置11により警報音を発する。これに
よりトンネルが危険な状態となる前に適切な処置を実施
することが可能となる。なお、トンネル補強材は通常の
コンクリート構造とし、このコンクリート構造に対して
センサ部材形成材から成るセンサ部材層を重畳的に形成
することも可能である。
【0041】以上各実施例において、センサ素子として
花崗岩等の天然物を例に説明したが、PZT等の人工物
を利用することも可能である。また、前記実施例では人
工の構造物としてトンネルを例に説明したが、ビルや橋
梁等の構造物の躯体自体をこのセンサ部材で形成した
り、センサ部材を混入させ、或いは成形されたセンサ部
材を挿入する等の方法により構造物の応力蓄積を監視す
る等の方法も採用可能である。
【0042】なお、上記実施例で示した監視装置により
崖或いはトンネル等の構造物等特定の対象物を個々に監
視する構成を示しているが、例えば複数の崖や地盤或い
はこれに加えて一つ又は複数のトンネルや橋梁の橋脚等
の構造物を、各監視装置を介して有線或いは無線により
監視本部おいて集中的且つ総合的に監視するよう構成す
ることももとより可能である。また、各監装置からのデ
ータの収集も、常時リアルタイムに監視本部で受信する
形式(リアルタイム型)、監視本部からの指令により各
監視装置が記録しおいたデータを当該監視本部に対して
出力する形式(定時チェック型)、或いは監視装置にお
けるデータ処理により、受信データが予め設定された閾
値を越えて危険と生じた場合に監視本部に対して警報信
号を発する形式(独立型)等各種構成が可能である。
【0043】
【発明の効果】以上各実施例により具体的に説明したよ
うに、本発明によれば監視をすべき対象にセンサ部材を
積極的に配置することが可能であり、場合によっては監
視対象物自体をセンサ部材とすることができるため、従
来は目視や経験に頼る以外に何らの手段も無く事実上監
視が不可能であった対象に対して、高い精度で監視が実
施でき、従って監視対象の崩落、崩壊等の致命的な破壊
が生じる前に適切な処置を実施することが可能となる。
【0044】また、固化前のセンサ部材形成材を特定の
空間部に注入したり、或いは散布、塗布する等の方法に
よりセンサ部材の形状及び配置の自由度は極めて高く、
従って極めて幅広い対象物を監視することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すセンサ部材の一部
を省略した縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示すセンサ部材の一部
を省略した縦断面図である。
【図3】図1に示すセンサ部材の作動状態を示すセンサ
部材の拡大断面部分図である。
【図4】本発明の第3の実施例を示すセンサ部材の斜視
図である。
【図5】図4のA−A線による断面図である。
【図6】センサ部材を用いた監視装置のブロック図であ
る。
【図7】センサ部材を用いた監視装置の別の構成を示す
図である。
【図8】図7と異なる構造の崖の断面部分図である。
【図9】トンネルの補強材としてセンサ部材を用いた状
態における監視装置のブロック図である。
【図10】花崗岩の試料に一軸方向から力を加えた際の
AEと電流との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 センサ部材 2 センサ素子 3 固化材 4 アンテナ部材 5,5A、5B 一体型センサ素子 7 監視装置 9 中央処理装置 10 画像表示装置 11 警報装置 12 アンテナ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固化材と、加わった力により電磁的な放
    射を行う性質を有するセンサ素子とから形成され、当該
    固化材が固化することにより監視対象物に固設されたセ
    ンサ部材として、或いは任意の形状の独立したセンサ部
    材として形成されるよう構成したことを特徴とするセン
    サ部材形成材。
  2. 【請求項2】 前記センサ素子は花崗岩等のピエゾ効果
    を有する天然素材であること特徴とする請求項1記載の
    センサ部材形成材。
  3. 【請求項3】 前記センサ素子はチタン酸ジルコン酸塩
    (PZT)等のピエゾ効果を有する人工素材であること
    を特徴とする請求項1記載のセンサ部材形成材。
  4. 【請求項4】 固化材と、加わった力により電磁的な放
    射を行う性質を有するセンサ素子とからなり、センサ素
    子は固化材により部材本体内に保持され、かつ全体は任
    意の形状に成形されていることを特徴とするセンサ部
    材。
  5. 【請求項5】 センサ素子は花崗岩等のピエゾ効果を有
    する天然素材の砕石であることを特徴とする請求項4記
    載のセンサ部材。
  6. 【請求項6】 センサ素子は棒状又は板状に形成された
    1以上の一体型センサ素子であることを特徴とする請求
    項4記載のセンサ部材。
  7. 【請求項7】 複数の一体型センサ素子が相互に異なる
    角度で配置されていることを特徴とする請求項6記載の
    センサ部材。
  8. 【請求項8】 部材本体内にアンテナ部材が配設されて
    いることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載の
    センサ部材。
  9. 【請求項9】 センサ部材は構造物の構造材或いは補強
    材として構成されていることを特徴とする請求項4乃至
    8の何れかに記載のセンサ部材。
  10. 【請求項10】 監視対象に配置されたセンサ部材のセ
    ンサ素子が発する電磁的放射の信号を入力する手段と、
    入力した信号を解析する手段と、解析した結果を表示す
    る手段とを有することを特徴とするセンサ部材を用いた
    監視装置。
JP11153356A 1999-06-01 1999-06-01 センサ部材形成材、同センサ部材形成材から成るセンサ部材及び同センサ部材を用いた監視装置。 Pending JP2000348274A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1492177A3 (en) * 2003-06-26 2006-02-15 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Positive electrode active material and use thereof

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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