JP2000347038A - 偏光回折素子 - Google Patents

偏光回折素子

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JP2000347038A
JP2000347038A JP11159854A JP15985499A JP2000347038A JP 2000347038 A JP2000347038 A JP 2000347038A JP 11159854 A JP11159854 A JP 11159854A JP 15985499 A JP15985499 A JP 15985499A JP 2000347038 A JP2000347038 A JP 2000347038A
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film
liquid crystal
cholesteric
layer
cholesteric liquid
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Ryo Nishimura
涼 西村
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Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折光自体が円偏光や直線偏光のような特定
の偏光を生じうる偏光回折素子を提供する。 【解決手段】 支持基板/接着剤層/コレステリック液
晶層/保護層から構成され、コレステリック液晶層がG
PC(ポリスチレン換算)で測定した重量平均分子量M
wが1000〜10万、分子量分布(Mw/Mn;Mn
は数平均分子量)が5以下、対数粘度が0.05〜2.
0(フェノール/テトラクロロエタン(重量比60/4
0)混合溶媒において濃度0.5g/dl(温度30
℃))、ガラス転移温度(Tg)が200℃以下、かつ
液晶相から等方相への転移温度(Ti)が40℃以上で
ある高分子液晶を必須成分とするフィルム材料からな
り、かつ少なくとも一部に回折能を示す領域を有したコ
レステリック液晶フィルムから少なくとも構成され、保
護層が紫外線吸収性および/またはハードコート性を有
する偏光回折素子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光性を有する回
折光を生じることができる新規コレステリック液晶フィ
ルムから構成された偏光回折素子に関する。
【0002】
【従来の技術】回折素子は、分光光学などの分野で光の
分光や光束の分割を行う目的で広く用いられている汎用
光学素子である。回折素子は、その形状からいくつかの
種類に分類され、光が透過する部分と透過しない部分を
周期的に配置した振幅型回折素子、透過性の高い材料に
周期的な溝を形成した位相型回折素子などに通常分類さ
れる。また、回折光の生じる方向に応じて透過型回折素
子、反射型回折素子と分類される場合もある。
【0003】上記の如き従来の回折素子では、自然光
(非偏光)を入射した際に得られる回折光は非偏光しか
得ることができない。分光光学などの分野で頻繁に用い
られるエリプソメーターのような偏光光学機器では、回
折光として非偏光しか得ることができないため、光源よ
り発した自然光を回折素子により分光し、さらにこれに
含まれる特定の偏光成分だけを利用するために、回折光
を偏光子を通して用いる方法が一般的に行われている。
この方法では、得られた回折光のうちの約50%以上が
偏光子に吸収されるために光量が半減するという問題が
あった。またそのために感度の高い検出器や光量の大き
な光源を用意する必要もあり、回折光自体が円偏光や直
線偏光のような特定の偏光となる回折素子の開発が求め
られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するものであり、液晶層構造を制御することで、コ
レステリック液晶層の一部の領域に回折能を付与するこ
とに成功した。さらに詳しくは、コレステリック液晶に
特有な選択反射特性および円偏光特性に併せて回折能と
いう新たな特性を付与したコレステリック液晶フィルム
を開発することにより本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、支持
基板/接着剤層/コレステリック液晶層/保護層から構
成され、コレステリック液晶層がGPC(ポリスチレン
換算)で測定した重量平均分子量Mwが1000〜10
万、分子量分布(Mw/Mn;Mnは数平均分子量)が
5以下、対数粘度が0.05〜2.0(フェノール/テ
トラクロロエタン(重量比60/40)混合溶媒におい
て濃度0.5g/dl(温度30℃))、ガラス転移温
度(Tg)が200℃以下、かつ液晶相から等方相への
転移温度(Ti)が40℃以上である高分子液晶を必須
成分とするフィルム材料からなり、かつ少なくとも一部
に回折能を示す領域を有したコレステリック液晶フィル
ムから少なくとも構成され、保護層が紫外線吸収性およ
び/またはハードコート性を有する偏光回折素子に関す
る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の光学積層体は、支持基板/接着剤層/コレ
ステリック液晶層/保護層から少なくとも構成されるも
のである。ここで支持基板/接着剤層/コレステリック
液晶層/保護層とは、支持基板、接着剤層、コレステリ
ック液晶層、保護層の順に積層された構成を意味する。
【0007】本発明の構成要素である支持基板とは、シ
ート状物、フィルム状物、板状物等の形状を有するもの
であれば特に限定されるものではなく、例えばポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケト
ン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォ
ン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポ
リビニルアルコール、ポリアセタール、ポリアリレー
ト、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂等のシート、フィルムあるいは基板、または
紙、合成紙等の紙類、金属箔、ガラス板等から適宜選択
して用いることができる。また支持基板としては、その
表面に凹凸が施されているものであってもよい。
【0008】本発明の構成要素である接着剤層として
は、特に限定されるものではなく、従来公知の様々な粘
・接着剤、ホットメルト型接着剤、熱、光または電子線
硬化型の反応性接着剤等を適宜用いることができる。中
でも光または電子線硬化型の反応性接着剤が好ましく用
いられる。
【0009】反応性接着剤としては、光または電子線重
合性を有するプレポリマーおよび/またはモノマーに必
要に応じて他の単官能、多官能性モノマー、各種ポリマ
ー、安定剤、光重合開始剤、増感剤等を配合したものを
用いることができる。
【0010】光または電子線重合性を有するプレポリマ
ーとしては、具体的にはポリエステルアクリレート、ポ
リエステルメタクリレート、ポリウレタンアクリレー
ト、ポリウレタンメタクリレート、エポキシアクリレー
ト、エポキシメタクリレート、ポリオールアクリレー
ト、ポリオールメタクリレート等を例示することができ
る。また光または電子線重合性を有するモノマーとして
は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、2官
能アクリレート、2官能メタクリレート、3官能以上の
多官能アクリレート、多官能メタクリレート等が例示で
きる。またこれらは市販品を用いることもでき、例えば
アロニックス(アクリル系特殊モノマー、オリゴマー;
東亞合成社製)、ライトエステル(共栄社化学社製)、
ビスコート(大阪有機化学工業社製)等を用いることが
できる。
【0011】また光重合開始剤としては、例えばベンゾ
フェノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、ベンゾイ
ン誘導体類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベン
ジル誘導体類、トリアジン誘導体類、アシルホスフィン
オキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【0012】本発明に用いることができる光または電子
線硬化型の反応性接着剤の粘度は、接着剤の加工温度等
により適宜選択するものであり一概にはいえないが、通
常25℃で10〜2000mPa・s、好ましくは50
〜1000mPa・s、さらに好ましくは100〜50
0mPa・sである。粘度が10mPa・sより低い場
合、所望の厚さが得られ難くくなる。また2000mP
a・sより高い場合には、作業性が低下する恐れがあり
望ましくない。粘度が上記範囲から外れている場合に
は、適宜、溶剤やモノマー割合を調整し所望の粘度にす
ることが好ましい。
【0013】また光硬化型の反応性接着剤を用いた場
合、その接着剤の硬化方法としては公知の硬化手段、例
えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハ
ライドランプ、キセノンランプ等を使用することができ
る。また露光量は、用いる反応性接着剤の種類により異
なるため一概にはいえないが、通常50〜2000mJ
/cm2、好ましくは100〜1000mJ/cm2であ
る。
【0014】また電子線硬化型の反応性接着剤を用いた
場合、その接着剤の硬化方法としては、電子線の透過力
や硬化力により適宜選定されるものであり一概にはいえ
ないが、通常、加速電圧が50〜1000kV、好まし
くは100〜500kVの条件で照射して硬化すること
ができる。
【0015】また本発明における接着剤層としてホット
メルト型接着剤を用いる場合、当該接着剤も特に制限は
ないが、ホットメルトの作業温度が80〜200℃、好
ましくは100〜160℃程度のものが作業性等の観点
から望ましく用いられる。具体的には、例えばエチレン
・酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポ
リウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ゴム
系、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹
脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系
樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂等を
ベース樹脂として製造されているものが挙げられる。
【0016】さらに本発明における接着剤層として粘着
剤を用いる場合も特に制限されるものではなく、例えば
ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテ
ル系粘着剤などを用いることができる。接着剤層の厚さ
は、用いられる用途やその作業性等により異なるため一
概にはいえないが、通常0.5〜50μm、好ましくは
1〜10μmである。
【0017】また接着剤層の形成方法としては、偏光回
折素子の製法等により異なるので一概には言えないが、
例えばロールコート法、ダイコート法、バーコート
法、、カーテンコート法、エクストルージョンコート
法、グラビアロールコート法、スプレーコート法、スピ
ンコート法等の公知の方法を用いて支持基板上等に形成
することができる。
【0018】次いで本発明の構成要素であるコレステリ
ック液晶層とは、GPC(ポリスチレン換算)で測定し
た重量平均分子量Mwが1000〜10万、分子量分布
(Mw/Mn;Mnは数平均分子量)が5以下、対数粘
度が0.05〜2.0(フェノール/テトラクロロエタ
ン(重量比60/40)混合溶媒において濃度0.5g
/dl(温度30℃))、ガラス転移温度(Tg)が2
00℃以下、かつ液晶相から等方相への転移温度(T
i)が40℃以上である高分子液晶を必須成分とするフ
ィルム材料からなり、かつフィルムの一部に回折能を示
す領域を有したコレステリック液晶フィルムから少なく
とも構成されるものである。ここで回折能を示す領域と
は、その領域を透過した光またはその領域で反射された
光が、幾何学的には影になる部分に回り込むような効果
を生じる領域を意味する。また回折能を有する領域の有
無は、例えばレーザー光等を前記領域に入射し、直線的
に透過または反射する光(0次光)以外に、ある角度を
もって出射する光(高次光)の有無により確認すること
ができる。また別法としては、原子間力顕微鏡や透過型
電子顕微鏡などで液晶層の表面形状や断面形状を観察す
ることにより前記領域が形成されているか否か確認する
ことができる。
【0019】回折能を示す領域は、フィルム表面および
/またはフィルム内部のいずれの領域であってもよく、
例えばフィルム表面の一部(フィルム表面領域)、フィ
ルム内部の一部(フィルム内部領域)に有するものでも
よい。また当該領域は、コレステリック液晶フィルムの
複数領域、例えばフィルム表裏面領域、複数のフィルム
内部領域にそれぞれに有するものであってもよい。また
回折能を示す領域は、例えばフィルム表面や内部に均一
な厚さを持った層状態として形成されていることは必ず
しも必要とせず、フィルム表面やフィルム内部の少なく
とも一部に前記領域が形成されていればよい。例えば回
折能を示す領域が、所望の図形、絵文字、数字等の型を
象るように有したものであってもよい。さらに回折能を
示す領域を複数有する場合、全ての前記領域が同じ回折
能を示す必要性はなく、それぞれの領域において異なっ
た回折能を示すものであってもよい。また回折能を示す
領域の配向状態は、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行
ではないコレステリック配向、好ましくは螺旋軸方位が
膜厚方向に一様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方
向に一様に等間隔ではないコレステリック配向を形成し
ていることが望ましい。またそれ以外の領域において
は、通常のコレステリック配向と同様の配向状態、すな
わち螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピ
ッチが膜厚方向に一様に等間隔な螺旋構造を形成してい
ることが望ましい。なお本発明で言うフィルム表面と
は、コレステリック液晶フィルム単体において外部に接
する部分を、またフィルム内部とは、外部に接する以外
の部分をそれぞれ意味する。
【0020】本発明においては、上記いずれのコレステ
リック液晶フィルムを用いることもできるが、フィルム
の製法や回折能の付与方法等の観点から、フィルム表面
領域の少なくとも一部、好ましくはフィルム表面領域の
全面に回折能を示す領域を有するコレステリック液晶フ
ィルムが好適に用いられる。また回折能を示す領域を一
方のフィルム表面領域に有する際、そのフィルムの表
裏、すなわち回折能を示す領域を有するフィルム面とそ
の面とは反対のフィルム面とは多少異なった光学効果、
呈色効果等を示すことから、用途や目的とする機能等に
応じてどちらのフィルム面を偏光回折素子を構成する保
護層側にするのか選択することができる。さらに回折能
を示す領域が層状態として形成されている場合、回折能
を示す層(領域)の厚みとしては、コレステリック液晶
フィルムの膜厚に対して通常50%以下、好ましくは3
0%以下、さらに好ましくは10%以下の厚みを有する
層状態で形成されていることが望ましい。回折能を示す
層(領域)の厚さが50%を超えると、コレステリック
液晶相に起因する選択反射特性、円偏光特性等の効果が
低下し、本発明の効果を得ることができない恐れがあ
る。
【0021】上記の如きコレステリック液晶フィルム
は、GPC(ポリスチレン換算)で測定した重量平均分
子量Mwが1000〜10万、分子量分布(Mw/M
n;Mnは数平均分子量)が5以下、対数粘度が0.0
5〜2.0(フェノール/テトラクロロエタン(重量比
60/40)混合溶媒において濃度0.5g/dl(温
度30℃))、ガラス転移温度(Tg)が200℃以
下、かつ液晶相から等方相への転移温度(Ti)が40
℃以上である高分子液晶を必須成分とするフィルム材料
からなるコレステリック配向フィルムに回折素子基板の
回折パターンを転写することにより形成することができ
る。ここで高分子液晶のGPC(ポリスチレン換算)で
測定した重量平均分子量(Mw)が、1000未満で
は、得られるコレステリック配向フィルムの機械的強度
が低く、各種後処理工程や実用性能面で望ましくない。
また後述において説明する回折パターンを転写する際
に、実用性に耐えうる程度の回折パターンを転写するこ
とができない恐れがある。また10万を越えると液晶の
流動性が悪化し配向性に悪影響を及ぼす恐れがあり、ま
た回折パターンを転写する際にフィルムに割れ、亀裂等
が入る恐れがある。また分子量分布が5を越えると、コ
レステリック配向フィルム作製時の溶融性、溶液への溶
解性が悪くなり、コレステリック相への均一配向も得ら
れ難く実用上問題となる恐れがある。また回折パターン
を転写する際にフィルムに割れ、亀裂等が入る恐れがあ
る。
【0022】また対数粘度が0.05未満ではコレステ
リック配向フィルムの機械的強度が低くなる恐れがあ
り、各種後工程や実用性能面で望ましくない。また回折
パターンを転写する際に、実用性に耐えうる程度の転写
ができない恐れがある。また2.0を越えると液晶の流
動性が悪化しコレステリック相への均一配向が得られ難
くなる恐れがあり、また回折パターンを転写する際にフ
ィルムに割れ、亀裂等が入る恐れがある。またガラス転
移温度(Tg)が、200℃より高い場合は液晶状態で
の流動性が悪く均一配向が得られ難くなる恐れがあり、
さらに必要により配向時に使用される配向支持基板の選
定が困難という問題も生じる可能性がある。さらに液晶
相から等方相への転移温度(Ti)が40℃より低い場
合は室温付近におけるコレステリック配向フィルムの配
向安定性が悪化する恐れ、また回折パターン転写後のコ
レステリック液晶フィルムにおいては転写した回折パタ
ーンが損なわれる恐れがある等、望ましくない。
【0023】本発明に用いられる高分子液晶は、上記各
諸物性を満足する高分子液晶であれば何ら限定されるも
のではなく、主鎖型、側鎖型高分子液晶等いずれでも使
用することができる。具体的にはポリエステル、ポリア
ミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなどの主
鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポリメ
タクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサンなどの
側鎖型液晶ポリマーなどが挙げられる。なかでもコレス
テリック配向を形成する上で配向性が良く、合成も比較
的容易である液晶性ポリエステルが望ましい。またポリ
マーの構成単位としては、例えば芳香族あるいは脂肪族
ジオール単位、芳香族あるいは脂肪族ジカルボン酸単
位、芳香族あるいは脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を
好適な例として挙げられる。
【0024】また得られるコレステリック液晶フィルム
の耐熱性等を向上させるために、フィルム材料中にコレ
ステリック相の発現を妨げない範囲において、例えばビ
スアジド化合物やグリシジルメタクリレート等の架橋剤
を添加することもでき、これら架橋剤を添加することに
よりコレステリック相を発現させた状態で架橋させるこ
ともできる。さらにフィルム材料中には、二色性色素、
染料、顔料等の各種添加剤を本発明の効果を損なわない
範囲において適宜添加することもできる。
【0025】本発明の構成要素であるコレステリック液
晶層を構成するコレステリック液晶フィルムは、上記の
如きフィルム材料を配向支持基板上に展開し、熱処理、
配向固定化してコレステリック配向フィルムを得た後、
回折素子基板の回折パターンを転写することにより得る
ことができる。
【0026】回折パターンを転写する前のコレステリッ
ク配向フィルムを得る際に用いられる配向支持基板とし
ては、例えばガラス基板またはプラスチックフィルム、
プラスチックシート等のプラスチック基板を例示するこ
とができる。ガラス基板としては例えばソーダガラス、
シリカコートソーダガラス、ホウケイ酸ガラス基板等を
用いることができる。またプラスチック基板としては、
例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポ
リエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
エーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテ
ルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン、
アモルファスポリオレフィン、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリアリ
レート、トリアセチルセルロース等のセルロース系プラ
スチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を用いる
ことができる。これらの配向支持基板に必要に応じて一
軸または二軸延伸操作を適宜加えることもできる。さら
に上記基板に、親水化処理や疎水化処理や易剥離性処理
などの表面処理を施すこともできる。また配向支持基板
としては1種単独、または2種以上の基板を積層したも
のを配向支持基板として用いることもできる。
【0027】また上記各配向支持基板上に配向膜を形成
したものも本発明では配向支持基板に包含するものであ
る。配向膜としては、ラビング処理したポリイミドフィ
ルムが好適に用いられるが、その他当該分野で公知の配
向膜も適宜使用することができる。またポリイミド等を
塗布することなく、直接ラビング処理によって配向能を
付与して得られるプラスチック基板等もコレステリック
配向フィルムを得る際の配向支持基板として使用するこ
とができる。なお配向処理の方法は特に制限されるもの
ではないが、液晶分子を配向処理界面と一様に平行に配
向させるものであればよい。
【0028】次いで配向支持基板上にフィルム材料を展
開する方法としては、溶融塗布、溶液塗布が挙げられる
が、プロセス上溶液塗布が望ましい。
【0029】溶液塗布は、フィルム材料を所定の割合で
溶媒に溶解し、所定濃度の溶液を調製する。溶媒として
は、用いるフィルム材料の種類により異なるが、通常ト
ルエン、キシレン、ブチルベンゼン、テトラヒドロナフ
タレン、デカヒドロナフタレン等の炭化水素系、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエー
テル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ
−ブチロラクトン等のエステル系、N−メチル−2−ピ
ロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等のアミド系、ジクロロメタン、四塩化炭素、テトラ
クロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素
系、ブチルアルコール、トリエチレングリコール、ジア
セトンアルコール、ヘキシレングリコール等のアルコー
ル系等を用いることができる。これらの溶媒は必要によ
り2種以上を適宜混合して使用することもできる。また
溶液の濃度は用いられる高分子液晶の分子量や溶解性、
さらに最終的に目的とするフィルムの膜厚等により異な
るため一概には言えないが、通常1〜60重量%、好ま
しくは3〜40重量%である。
【0030】また溶液中には、塗布を容易にするために
界面活性剤等を加えても良い。界面活性剤としては、例
えばイミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルア
ミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面
活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮
合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレー
ト、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレン
グリコール及びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン
類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸
塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物
等の陰イオン系界面活性剤、ラウリルアミドプロピルベ
タイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活
性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性
剤、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロ
アルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレン
オキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアン
モニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オ
リゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマ
ーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界
面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の添加量は、界
面活性剤の種類や溶剤、あるいは塗布する支持基板にも
よるが、通常、高分子液晶の重量に対する比率にして1
0ppm〜10%、好ましくは50ppm〜5%、さら
に好ましくは0.01%〜1%の範囲である。
【0031】上記の如くして調製したフィルム材料溶液
を配向支持基板上に塗布する。塗布方法としては、例え
ばロールコート法、ダイコート法、バーコート法、グラ
ビアロールコート法、スプレーコート法、ディップコー
ト法、スピンコート法等を採用することができる。
【0032】塗布後溶媒を乾燥により除去し、コレステ
リック液晶相を呈する所定温度、所定時間熱処理してコ
レステリック配向を完成させる。次いで液晶状態におい
て形成したコレステリック配向を、高分子液晶のガラス
転移点以下の温度に急冷することによってコレステリッ
ク配向が固定化されたコレステリック配向フィルムを得
ることができる。
【0033】コレステリック配向フィルムの厚さは、特
に制限されるものではないが、量産性、製造プロセスの
面から、通常0.3〜20μm、好ましくは0.5〜1
0μm、さらに好ましくは0.7〜3μmであることが
望ましい。またコレステリック配向の螺旋巻き数として
は、通常2巻き以上10巻き以下、好ましくは2巻き以
上6巻き以下であることが望ましい。螺旋巻き数が2巻
きより少ない場合、また10巻きより多い場合には、偏
光回折素子としての効果を発現できない恐れがある。
【0034】上記の如くして得られたコレステリック配
向フィルムに回折素子基板の回折パターン面を貼り合わ
せ、熱および/または圧力を加えることによって前記フ
ィルムに回折素子基板の回折パターンを転写することに
より、フィルムの一部に回折能を示す領域を有したコレ
ステリック液晶フィルムを得ることができる。
【0035】回折パターンの転写に用いられる回折素子
基板の材質としては、金属や樹脂のような材料であって
も良く、あるいはフィルム表面に回折機能を付与したも
の、あるいはフィルムに回折機能を有する薄膜を転写し
たもの等、およそ回折機能を有するものであれば如何な
る材質であっても良い。なかでも取り扱いの容易さや量
産性を考えた場合、回折機能を有するフィルムまたはフ
ィルム積層体がより望ましい。
【0036】またここでいう回折素子とは、平面型ホロ
グラムの原版等の回折光を生じる回折素子全てをその定
義として含む。またその種類については、表面形状に由
来する回折素子、いわゆる膜厚変調ホログラムのタイプ
であってもよいし、表面形状に因らない、または表面形
状を屈折率分布に変換した位相素子、いわゆる屈折率変
調ホログラムのタイプであっても良い。本発明において
は、回折素子の回折パターン情報をより容易に液晶に付
与することができる点から、膜厚変調ホログラムのタイ
プがより好適に用いられる。また屈折率変調のタイプで
あっても、表面形状に回折を生じる起伏を有したもので
あれば本発明に好適に用いることができる。
【0037】また回折パターンの転写方法としては、例
えば一般に用いられるヒートローラー、ラミネーター、
ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド等を用い、加
熱および/または加圧条件下にて行うことができる。該
条件は、用いられる高分子液晶の諸物性、回折素子基板
の種類等によって異なり一概には言えないが、通常、温
度30〜400℃、好ましくは40〜300℃の範囲、
圧力0.01〜100MPa、好ましくは0.05〜8
0MPaの範囲において用いられる液晶や基板等の種類
によって適宜選択される。
【0038】本発明の構成要素であるコレステリック液
晶層の構成は、通常、上記の方法によって得られたコレ
ステリック液晶フィルム1層からなる。また用途や要求
される光学特性等に応じてコレステリック液晶フィルム
を複数層積層してなる構成、またコレステリック液晶フ
ィルム1層または複数層と回折能を示す領域を有しない
コレステリック配向フィルム等を1層または複数層とを
積層した構成等であってもよい。さらにコレステリック
液晶フィルムおよび回折能を示す領域を有しないコレス
テリック配向フィルムをそれぞれ2層以上積層する場
合、コレステリック液晶フィルムとコレステリック配向
フィルムを交互に積層した構成とすることもできる。
【0039】コレステリック液晶層の厚さは、通常0.
3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、さらに好
ましくは0.7〜3μmである。この範囲を外れた場合
には本発明の効果を有効に発現できない恐れがある。な
お複数層のフィルムから構成される場合には、その全フ
ィルムの膜厚の合計が上記範囲に入ることが望ましい。
【0040】本発明の構成要素である保護層としては、
紫外線吸収性および/またはハードコート性を有するも
のであれば特に限定されるものではない。例えば紫外線
吸収剤およびハードコート剤を含有した保護層形成材料
をフィルム状物、シート状物、薄膜状物、板状物に形成
したものが挙げられる。また紫外線吸収剤を含有した保
護層形成材料からなる紫外線吸収性を有した保護層(以
下、紫外線吸収層)と、ハードコート剤を含有した保護
層形成材料からなるハードコート性を有した保護層(以
下、ハードコート層)との積層物を本発明でいう保護層
として用いることもできる。また一般に市販されている
紫外線カットフィルムとハードコートフィルムとの積層
物を保護層として用いることができる。また紫外線吸収
層に各種ハードコート剤を塗布して成膜した積層物も保
護層として用いることができる。ここで紫外線吸収層お
よびハードコート層は、それぞれ2層以上から形成され
てもよく、各層はそれぞれ接着剤層等を介して積層する
ことができる。
【0041】保護層形成材料としては、光透過性が高い
ものが望ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)、ポリスチレ
ン、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、
ポリスルフォン、セルロース系樹脂等に紫外線吸収剤お
よび/またはハードコート剤を添加したものを用いるこ
とができる。また保護層としては、熱、光または電子線
硬化型の反応性接着剤に紫外線吸収剤および/またはハ
ードコート剤を添加した接着剤組成物を用いることもで
き、その接着剤組成物の硬化物を保護層とすることもで
きる。
【0042】紫外線吸収剤としては、保護層形成材料に
相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、例
えばベンゾフェノン系化合物、サルシレート系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合
物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外線吸収
剤、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系紫
外線吸収剤を用いることができる。なかでも紫外線吸収
効率が高いベンゾフェノン系化合物が好適に用いられ
る。また紫外線吸収剤は、1種単独または複数種添加す
ることができる。保護層中の紫外線吸収剤の配合割合
は、使用する保護層形成材料により異なるが、通常0.
1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%であ
る。
【0043】ハードコート剤としては、保護層形成材料
に相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、
例えばオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂系のア
クリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート系、エポキ
シアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、熱硬
化型樹脂系のアクリル−シリコン系、またはセラミック
ス等の無機系化合物等を用いることができる。なかでも
成膜性等の観点からオルガノポリシロキサン系、光硬化
型樹脂系であるアクリルオリゴマー系のハードコート剤
が好適に用いられる。なおこれらのハードコート剤は、
無溶媒型、溶媒型のいずれであっても使用することがで
きる。
【0044】保護層形成材料には、紫外線吸収剤および
ハードコート剤の他に必要に応じてヒンダードアミンや
消光剤等の光安定剤、帯電防止剤、スベリ性改良剤、染
料、顔料、界面活性剤、微細なシリカやジルコニア等の
充填剤等の各種添加剤を配合することもできる。これら
各種添加剤の配合割合は、本発明の効果を損なわない範
囲であれば特に制限はないが、通常0.01〜10重量
%、好ましくは0.05〜5重量%である。
【0045】また保護層を構成する紫外線吸収層は、先
に説明した保護層形成材料に紫外線吸収剤、必要に応じ
て光安定剤等を適宜配合したものを用いて形成すること
ができる。さらに一般に市販されている紫外線カットフ
ィルム等を紫外線吸収層として本発明に用いることもで
きる。
【0046】また保護層を構成するハードコート層は、
先に説明した保護層形成材料にハードコート剤、場合に
より各種添加剤を配合したものを用いて形成することが
できる。またハードコート層としては、上記ハードコー
ト剤を透明な支持フィルム上に塗布して形成したもので
あってもよい。透明な支持フィルムとしては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイ
ド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロ
ース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等から形成されるフィルムを挙げることができ
る。
【0047】紫外線吸収層とハードコート層とは接着剤
等を介して積層し、本発明でいう保護層とすることがで
きる。接着剤としては、熱、光または電子線硬化型の反
応性接着剤等を用いることができる。また接着剤として
紫外線吸収剤を含有したものを用い、別に用意したハー
ドコート層をコレステリック液晶フィルムに積層するこ
とにより保護層を形成することもできる。また接着剤に
は必要に応じて染料、顔料、界面活性剤等を適宜添加し
てもよい。
【0048】さらにハードコート層としては、グラビア
インキ用ビヒクル樹脂等も好適に用いることができる。
グラビアインキ用ビヒクル樹脂としては、例えばニトロ
セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリウ
レタン、ポリエステル等が挙げられる。またグラビアイ
ンキ用ビヒクル樹脂中に接着性向上や皮膜強度向上の為
に、例えばエステルガム、ダンマルガム、マレイン酸樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キ
シレン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等のハードレジン
を配合してもよい。
【0049】またハードコート層の構成は、要求される
耐候性等に応じてハードコート層1層または複合層にす
ることができる。複合層としては、例えばオルガノポリ
シロキサンを含むハードコート層、光硬化型樹脂を含む
ハードコート層、熱硬化型樹脂を含むハードコート層、
無機化合物を含むハードコート層等、それぞれを組み合
わせて2層以上からなる複合層をハードコート層として
用いることもできる。
【0050】さらにハードコート性の度合い、すなわち
硬度としては偏光回折素子を構成する各構成要素の材質
により一概に決定できないが、JIS L 0849記
載の試験法に準じて評価を行った場合、変色の判定基準
として少なくとも3以上、好ましくは4以上であること
が望ましい。
【0051】コレステリック液晶フィルム面に形成され
る保護層、また保護層を構成する紫外線吸収層およびハ
ードコート層の成膜法は、通常ロールコート法、ディッ
ピング法、グラビアコート法、バーコード法、スピンコ
ート法、スプレーコート法、プリント法等の公知の方法
を採用することができる。これら方法によりコレステリ
ック液晶フィルム上、または支持フィルム上に成膜した
後、使用した保護層形成材料に応じた後処理を施すこと
により保護層を形成することができる。また紫外線吸収
層とハードコート層との複合層からなる保護層の形成方
法としては、例えば紫外線吸収層に直接ハードコート剤
を塗布形成する方法、接着剤等を介して積層する方法等
が挙げられる。
【0052】保護層の膜厚は、紫外線吸収性やハードコ
ート性のそれぞれが求められる性能に応じて異なるため
一概には言えないが、通常0.1〜100μm、好まし
くは1〜50μmである。また保護層が紫外線吸収層お
よびハードコート層との複合層から形成される場合も、
各層の全膜厚が上記範囲に入ることが望ましい。
【0053】本発明の偏光回折素子の製造方法として
は、(1)支持基板上に順次本発明の構成となるように
積層する、(2)表面にあらかじめ接着剤層を形成した
支持基板に、別途作製した残りの積層体を、加圧、加
熱、硬化等の手段を単独または組み合わせて貼合する、
(3)支持基板に、別途作製した残りの積層体を剥離性
基板上に用意しておき、支持基板側へ加圧、加熱、硬化
等の手段を単独または組み合わせて転写して剥離性基板
を取り除く、といった方法等が挙げられる。
【0054】より具体的な製法例としては、(1)配向
支持基板上に形成したコレステリック液晶フィルム層
を、表面にあらかじめ接着剤層を形成した支持基板また
はコレステリック液晶フィルムに接着剤層を形成して支
持基板に転写し、配向基板を剥離除去する。次いでコレ
ステリック液晶フィルム層に保護層を形成する方法、
(2)配向支持基板上に形成したコレステリック液晶フ
ィルムを配向支持基板とは異なる別の第2の基板上に紫
外線吸収剤またはハードコート剤を含有した接着剤層を
介して転写し、配向基板を剥離除去する。次いであらか
じめ接着剤層を形成した支持基板またはコレステリック
液晶フィルムに接着剤層を形成して、支持基板にコレス
テリック液晶フィルムを転写し、コレステリック液晶フ
ィルムから第2の基板のみ剥離除去する方法、(3)配
向支持基板上に形成したコレステリック液晶フィルムを
配向基板とは異なる第2の基板に接着剤層を介して転写
し、配向基板を剥離除去する。次いで第3の基板上に紫
外線吸収剤を含有した接着剤層を介してコレステリック
液晶フィルムを転写し、第2の基板を剥離除去する。次
いであらかじめ接着剤層が形成された支持基板にコレス
テリック液晶フィルムを転写し、第3の基板を剥離除去
する。第3の基板を剥離した紫外線吸収剤含有の接着剤
層表面にハードコート層を形成する方法、等が挙げられ
る。
【0055】ここで上記第2および第3の基板(以下、
再剥離性基板という。)とは、再剥離性を有し、自己支
持性を具備する基板であれば特に限定されず、該基板と
しては、通常剥離性を有するプラスチックフィルムが望
ましく用いられる。またここでいう再剥離性とは、接着
剤を介しコレステリック液晶フィルム層と再剥離性基板
を接着した状態において、接着剤と再剥離性基板との界
面で剥離できることを意味する。このような再剥離性基
板の材料としては、具体的にはポリエチレン、ポリプロ
ピレン、4−メチルペンテン−1樹脂等のオレフィン系
樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポ
リエーテルイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテル
ケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルス
ルフォン、ポリケトンサルファイド、ポリスルフォン、
ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェ
ニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタ
ール、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セル
ロース系プラスチック等が挙げられる。これら材料から
形成されるプラスチックフィルムはプラスチックフィル
ム自身を再剥離性基板として用いてもよいし、適度な再
剥離性を持たせるためにプラスチックフィルム表面に、
シリコーンやフッ素系樹脂をコートしたもの、有機薄膜
または無機薄膜を形成したもの、化学的処理を施したも
の、蒸着や表面研磨等の物理的処理を施したものも用い
ることができる。
【0056】またコレステリック液晶フィルムを再剥離
性基板に転写する際に用いられる接着剤としては、特に
限定されるものではないが、望ましくは上述にて説明し
た熱、光または電子線硬化型の反応性接着剤等を適宜用
いることができる。
【0057】さらに上記製法例における剥離除去方法と
しては、例えば配向基板や再剥離性基板のコーナー端部
に粘着テープを貼り付けて人為的に剥離する方法、ロー
ル等を用いて機械的に剥離する方法、構造材料全てに対
する貧溶媒に浸漬した後に機械的に剥離する方法、貧溶
媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板、再剥離
性基板とコレステリック液晶性フィルムとの熱膨張係数
の差を利用し、温度変化を与えて剥離する方法等を適宜
採用することができる。なお上記製造方法は、あくまで
も例示であり本発明の光学積層体はこれらに限定される
ものではない。
【0058】このようにして得られる本発明の偏光回折
素子は、回折光が円偏光性を有するという、従来の光学
部材には無い特異な効果を有する。この効果により、例
えばエリプソメーターのような偏光を必要とする分光光
学機器に用いることにより、光の利用効率を極めて高く
することが可能となる。従来の偏光を必要とする分光光
学機器では、光源より発した光を回折格子やプリズム等
の分光素子を用いて波長ごとに分光した後に偏光子を透
過させる、または偏光子を透過させた後に分光する必要
があり偏光子が必須であった。この偏光子は、入射した
光の約50%を吸収してしまい、また界面での反射が生
じるために光の利用効率が極めて悪いといった問題があ
ったが、本発明の偏光回折素子を用いることにより光の
利用効率を極めて高く、理論的には約100%利用する
ことが可能となる。また本発明の偏光回折素子は、通常
の偏光板を用いることによって容易に回折光の透過およ
び遮断をコントロールすることが可能である。通常、偏
光性を有していない回折光では、どのような偏光板と組
み合わせても完全に遮断することはできない。すなわち
本発明の偏光回折素子では、例えば右偏光性を有する回
折光は、左円偏光板を用いた時にのみ完全に遮断するこ
とができ、それ以外の偏光板を用いても完全な遮断を実
現することができないものである。このような効果を有
することから、例えば観察者が偏光板越しに回折像を観
察する環境において、偏光板の状態を変化させることに
よって、回折像を暗視野から突然浮かび上がらせたり、
また突然消失させたりすることが可能となる。
【0059】以上のように本発明の偏光回折素子は、新
たな回折機能素子として応用範囲は極めて広く、種々の
光学用素子や光エレクトロニクス素子、装飾用部材、偽
造防止用素子等として使用することができる。
【0060】具体的に光学用素子や光エレクトロニクス
素子としては、例えば支持基板として透明かつ等方なフ
ィルム、例えばフジタック(富士写真フィルム社製)、
コニカタック(コニカ社製)などのトリアセチルセルロ
ースフィルム、TPXフィルム(三井化学社製)、アー
トンフィルム(日本合成ゴム社製)、ゼオネックスフィ
ルム(日本ゼオン社製)、アクリプレンフィルム(三菱
レーヨン社製)等を用いて本発明の偏光回折素子を得る
ことによって様々な光学用途への展開を図ることが可能
である。例えば当該素子をTN(twisted ne
matic)−LCD(Liquid Crystal
Display)、STN(Super Twist
ed Nematic)−LCD、ECB(Elect
rically Controlled Birefr
ingence)−LCD、OMI(Optical
Mode Interference)−LCD、OC
B(Optically Compensated B
irefringence)−LCD、HAN(Hyb
rid Aligned Nematic)−LCD、
IPS(In Plane Switching)−L
CD等の液晶ディスプレーに備えることによって色補償
および/または視野角改良された各種LCDを得ること
ができる。また本発明の偏光回折素子を上記したように
分光された偏光を必要とする分光光学機器、回折現象に
より特定の波長を得る偏光光学素子、光学フィルター、
円偏光板、光拡散板等として用いることも可能であり、
さらに1/4波長板と組み合わせることによって直線偏
光板を得ることもできる等、光学用素子や光エレクトロ
ニクス素子として従来にない光学効果を発現しうる様々
な光学部材を提供することができる。
【0061】装飾用部材としては、回折能による虹色呈
色効果とコレステリック液晶による色鮮やかな呈色効果
等を併せ持った新たな意匠性フィルムをはじめ様々な意
匠性成形材料を得ることができる。また薄膜化できるこ
とから既存製品等に添付する、一体化する等の方法によ
って、他の類似製品との差別化にも大きく貢献すること
が期待できる。例えば、意匠性のある回折パターンを組
み込んだ本発明の偏光回折素子をガラス窓等に張り付け
ると、外部からはその視角によって前記回折パターンを
伴ったコレステリック液晶特有の選択反射が異なった色
に見え、ファッション性に優れたものとなる。また明る
い外部からは内部が見え難く、それにもかかわらず内部
からは外部の視認性がよい窓とすることができる。
【0062】偽造防止用素子としては、回折素子および
コレステリック液晶のそれぞれの偽造防止効果を併せ持
った新たな偽造防止フィルム、シール、ラベル等として
用いることができる。具体的には本発明の偏光回折素子
を構成する支持基板として、例えば自動車運転免許証、
身分証明証、パスポート、クレジットカード、プリペイ
ドカード、各種金券、ギフトカード、有価証券等のカー
ド基板、台紙等を用いることによって、本発明の偏光回
折素子をカード基板、台紙等と一体化するまたは一部に
設ける、具体的には貼り付ける、埋め込む、紙類に織り
込むことにより、偽造防止としての効果を発揮すること
ができる。また本発明の偏光回折素子は、回折能を示す
領域がコレステリック液晶層の一部に有すると共に保護
層で覆われており、またコレステリック液晶の波長選択
反射性、円偏光選択反射性、色の視角依存性、コレステ
リックカラーの美しい色を呈する効果を併せ持ったもの
である。したがって本発明の偏光回折素子を偽造防止用
素子として用いた場合には、該積層体の偽造は困難であ
り、より具体的には本発明の偏光回折素子を構成する回
折能を一部に有したコレステリック液晶層の偽造は極め
て困難であるといえる。また偽造防止効果とあわせて、
回折素子の虹色呈色効果、コレステリック液晶の色鮮や
かな呈色効果を有することから意匠性にも優れたもので
ある。これらのことから本発明の偏光回折素子は偽造防
止用素子として非常に有用である。
【0063】これらの用途はほんの一例であり、本発明
の偏光回折素子は、従来、回折素子単体、コレステリッ
ク液晶フィルム単体が使用されている各種用途や、新た
な光学的効果を発現することが可能であること等から前
記用途以外の様々な用途にも応用展開が可能である。
【0064】
【実施例】以下に実施例について述べるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。本発明で使用した各種
測定法を記す。
【0065】(GPC測定法)東ソー製GPC(CP8
000、CO8000、UV8000)に、TSKG3
000HXL、G2000HXL、G1000HXLの
構成のカラムを接続し、25℃℃でテトラヒドロフラン
(THF)溶媒、流量0.7ml/分で測定を行った。
同条件で標準ポリスチレンを用いて検量線を別途作成
し、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mw、数平均分
子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを求めた。 (ガラス転移温度(Tg)の測定)Du Pont製D
SC990にて測定した。 (液晶相から等方相への転移温度(Ti)の測定)ホッ
トステージを設置したオリンパス(株)製偏光顕微鏡B
X50にて測定を行った。
【0066】(実施例1)Mwが3000、Mw/Mn
2.0、対数粘度が0.124、Tgが80℃、Tiが
230℃の液晶性ポリエステル(R体光学活性化合物を
含有)をラビング処理したポリフェニレンスルフィドフ
ィルム上にスピンコート法で製膜した。次いで180℃
5分間熱処理したところ、金色の鏡面反射を呈するフィ
ルムが得られた。得られたフィルムを日本分光(株)製
紫外可視近赤外分光光度計V−570にて透過スペクト
ルを測定したところ,中心波長が約600nm、選択反
射波長帯域幅が約100nmの選択反射を示すコレステ
リック配向が固定化されたコレステリック配向フィルム
が得られていることが確認された。
【0067】次いでエドモンド・サイエンティフィック
・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/m
m)の回折面とコレステリック配向フィルムの液晶面が
向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネータ
ーDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロー
ル接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行った。室温ま
で冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。
【0068】回折格子フィルムが重ねられていたコレス
テリック配向フィルム面を観察したところ、回折パター
ンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反
射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り
除いた当該フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察およ
び液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コ
レステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に
平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間
隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形
成されていることが確認された。またそれ以外の領域に
おいては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ
螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック
配向が形成していることが確認された。またこの領域の
コレステリック配向の螺旋巻き数は4であった。また当
該フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長63
2.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜
の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を
確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体を
おき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察し
たところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで
観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し
左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したとこ
ろ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかっ
た。
【0069】以上の観察結果から、回折格子フィルムの
回折面をコレステリック配向フィルムに転写することに
より、回折能を示す領域を有するコレステリック液晶フ
ィルムをポリフェニレンスルフィドフィルム上に形成で
きたことが判明した。
【0070】この得られたコレステリック液晶フィルム
のコレステリック液晶面にバーコーターを使用して紫外
線吸収剤およびハードコート剤を配合した市販の光硬化
型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmと
なるように塗布した。次に塗布面にポリエチレンテレフ
タレートフィルムを卓上ラミネーターを用いて貼り合わ
せ、紫外線照射し、接着剤を硬化させた。接着剤を硬化
させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフ
ィドフィルムの端部を手で持ち、180°方向にポリフ
ェニレンスルフィドフィルムをポリフェニレンスルフィ
ドフィルムとコレステリック液晶層との界面で剥離させ
た。
【0071】次いでポリフェニレンスルフィドフィルム
を剥離したコレステリック液晶層に紫外線硬化型の接着
剤を介してトリアセチルセルロースフィルムを卓上ラミ
ネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤
を硬化させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルム
を紫外線吸収剤およびハードコート剤を配合した接着剤
層との界面で剥離し、保護層(接着剤層(紫外線吸収剤
およびハードコート剤含有))/コレステリック液晶フ
ィルム/接着剤層/トリアセチルセルロースフィルムか
らなる積層体を得た。
【0072】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有な選択反射とが明瞭
に認められた。また通常の室内照明下に得られた積層体
をおき、右円偏光板を介して観察したところ、虹色の反
射回折光が観察され、偏光板無しで観察した場合の明る
さとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板を介して
観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観
察されなかった。以上のことより、得られた積層体が偏
光回折素子としての機能を有することが判明した。
【0073】(実施例2)Mwが7000、Mw/Mn
2.0、対数粘度が0.144、Tgが85℃、Tiが
230℃の液晶性ポリエステル(R体光学活性化合物を
含有)をラビング処理したポリフェニレンスルフィド上
にスピンコート法で製膜した。次いで200℃5分間熱
処理したところ、金色の鏡面反射を呈するフィルムが得
られた。
【0074】同フィルムを日本分光(株)製紫外可視近
赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定し
たところ、中心波長が約600nm、選択反射波長帯域
幅が約100nmの選択反射を示すコレステリック配向
が固定化されたフィルムが形成されていることが確認さ
れた。
【0075】エドモンド・サイエンティフィック・ジャ
パン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の
回折面と前記で得られたコレステリック配向フィルムの
液晶面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラ
ミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MP
a、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行っ
た。室温まで冷却後、刻線式回折格子フィルムを取り除
いた。
【0076】回折格子フィルムが重ねられていたコレス
テリック配向フィルム面を観察したところ、回折パター
ンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反
射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り
除いた当該フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察およ
び液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コ
レステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に
平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間
隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形
成されていることが確認された。またそれ以外の領域に
おいては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ
螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック
配向が形成していることが確認された。また当該フィル
ム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8n
m)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角
にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認する
ために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右
円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したとこ
ろ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察し
た場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏
光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗
視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0077】以上の観察結果から、回折格子フィルムの
回折面をコレステリック配向フィルムに転写することに
より、回折能を示す領域を有するコレステリック液晶フ
ィルムをポリフェニレンスルフィドフィルム上に形成で
きたことが判明した。
【0078】この得られたコレステリック液晶フィルム
のコレステリック液晶面にバーコーターを使用して市販
の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ
5μmとなるように塗布した。次に塗布面にトリアセチ
ルセルロースフィルム(支持基板)を卓上ラミネーター
を用いて貼り合わせ、紫外線照射し、接着剤を硬化させ
た。接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリ
フェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、18
0°方向にポリフェニレンスルフィドフィルムをポリフ
ェニレンスルフィドフィルムとコレステリック液晶層と
の界面で剥離させた。
【0079】次いでポリフェニレンスルフィドフィルム
を除去したコレステリック液晶面にトリアゾール系紫外
線吸収剤SEESORB702(シプロ化成(株)製)
を5.0重量%添加した紫外線硬化型接着剤(東亞合成
(株)製アロニックスUV−3630(商品名)を同社
製M−111(商品名)で希釈し、粘度を250mPa
・sに調製したもの)をバーコーターで厚さ5μmとな
るように塗布し、紫外線を照射、硬化させ積層体を得
た。
【0080】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有な選択反射とが明瞭
に認められた。また通常の室内照明下に得られた積層体
をおき、右円偏光板を介して観察したところ、虹色の反
射回折光が観察され、偏光板無しで観察した場合の明る
さとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板を介して
観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観
察されなかった。以上のことより、得られた積層体が偏
光回折素子としての機能を有することが判明した。
【0081】(実施例3)Mwが7000、Mw/Mn
2.0、対数粘度が0.144、Tgが85℃、Tiが
230℃の液晶性ポリエステル(R体光学活性化合物を
含有)をラビング処理したポリフェニレンスルフィド上
にスピンコート法で製膜した。次いで200℃5分間熱
処理したところ、金色の鏡面反射を呈するフィルムが得
られた。
【0082】同フィルムを日本分光(株)製紫外可視近
赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定し
たところ,中心波長が約600nm、選択反射波長帯域
幅が約100nmの選択反射を示すコレステリック配向
が固定化されたフィルムが形成されていることが確認さ
れた。
【0083】エドモンド・サイエンティフィック・ジャ
パン社製刻線式回折素子フィルム(900本/mm)の
回折面と前記で得られたコレステリック配向フィルムの
液晶面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラ
ミネーターDX−350を用い、130℃、0.1MP
a、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行っ
た。室温まで冷却後、刻線式回折格子フィルムを取り除
いた。
【0084】回折格子フィルムが重ねられていたコレス
テリック配向フィルム面を観察したところ、回折パター
ンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反
射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り
除いた当該フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察およ
び液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コ
レステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に
平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間
隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形
成されていることが確認された。またそれ以外の領域に
おいては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ
螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック
配向が形成していることが確認された。また当該フィル
ム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8n
m)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角
にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認する
ために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右
円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したとこ
ろ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察し
た場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏
光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗
視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0085】以上の観察結果から、回折格子フィルムの
回折面をコレステリック配向フィルムに転写することに
より、回折能を示す領域を有するコレステリック液晶フ
ィルムをポリフェニレンスルフィドフィルム上に形成で
きたことが判明した。
【0086】この得られたコレステリック液晶フィルム
のコレステリック液晶面にバーコーターを使用して市販
の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ
5μmとなるように塗布した。次に塗布面にトリアセチ
ルセルロースフィルム(支持基板)を卓上ラミネーター
を用いて貼り合わせ、紫外線照射し、接着剤を硬化させ
た。接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリ
フェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、18
0°方向にポリフェニレンスルフィドフィルムをポリフ
ェニレンスルフィドフィルムとコレステリック液晶層と
の界面で剥離させた。
【0087】次いで、ポリフェニレンスルフィドフィル
ムを除去したコレステリック液晶面に紫外線吸収剤Cy
asorbUV−24(サイテック社製)を5.0重量
%添加した紫外線硬化型接着剤(東亞合成(株)製アロ
ニックスUVー3630(商品名)を同社製M−111
(商品名)で希釈し、粘度を250mPa・sに調製し
たもの)をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布
し、紫外線を照射、硬化させ積層体を得た。
【0088】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有な選択反射とが明瞭
に認められた。また通常の室内照明下に得られた積層体
をおき、右円偏光板を介して観察したところ、虹色の反
射回折光が観察され、偏光板無しで観察した場合の明る
さとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板を介して
観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観
察されなかった。以上のことより、得られた積層体が偏
光回折素子としての機能を有することが判明した。
【0089】(実施例4)Mwが20000、Mw/M
n2.2、対数粘度が0.344、Tgが102℃、T
iが250℃の液晶性ポリエステル(R体光学活性化合
物を含有)をラビング処理したポリフェニレンスルフィ
ド上にスピンコート法で製膜した。次いで220℃5分
間熱処理したところ、金色の鏡面反射を呈するフィルム
が得られた。
【0090】同フィルムを日本分光(株)製紫外可視近
赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定し
たところ,中心波長が約600nm、選択反射波長帯域
幅が約100nmの選択反射を示すコレステリック配向
が固定化されたフィルムが形成されていることが確認さ
れた。
【0091】エドモンド・サイエンティフィック・ジャ
パン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の
回折面と前記で得られたコレステリック配向フィルムの
液晶面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラ
ミネーターDX−350を用い、150℃、3MPa、
ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行った。室
温まで冷却後、刻線式回折格子フィルムを取り除いた。
【0092】回折格子フィルムが重ねられていたコレス
テリック配向フィルム面を観察したところ、回折パター
ンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反
射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り
除いた当該フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察およ
び液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コ
レステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に
平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間
隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形
成されていることが確認された。またそれ以外の領域に
おいては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ
螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック
配向が形成していることが確認された。この領域のコレ
ステリック配向の螺旋巻き数は6であった。また当該フ
ィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.
8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出
射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認
するために、通常の室内照明下に得られた積層体をお
き、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察した
ところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観
察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左
円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したとこ
ろ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかっ
た。
【0093】以上の観察結果から、回折格子フィルムの
回折面をコレステリック配向フィルムに転写することに
より、回折能を示す領域を有するコレステリック液晶フ
ィルムをポリフェニレンスルフィドフィルム上に形成で
きたことが判明した。
【0094】この得られたコレステリック液晶フィルム
のコレステリック液晶面にバーコーターを使用して紫外
線吸収剤およびハードコート剤を配合した市販の光硬化
型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmと
なるように塗布した。次に塗布面にポリエチレンテレフ
タレートフィルムを卓上ラミネーターを用いて貼り合わ
せ、紫外線照射し、接着剤を硬化させた。接着剤を硬化
させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフ
ィドフィルムの端部を手で持ち、180°方向にポリフ
ェニレンスルフィドフィルムをポリフェニレンスルフィ
ドフィルムとコレステリック液晶層との界面で剥離させ
た。
【0095】次いでポリフェニレンスルフィドフィルム
を剥離したコレステリック液晶層に紫外線硬化型の接着
剤を介してトリアセチルセルロースフィルムを卓上ラミ
ネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤
を硬化させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルム
を紫外線吸収剤およびハードコート剤を配合した接着剤
層との界面で剥離し、保護層(接着剤層(紫外線吸収剤
およびハードコート剤含有))/コレステリック液晶フ
ィルム/接着剤層/トリアセチルセルロースフィルムか
らなる積層体を得た。
【0096】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有な選択反射とが明瞭
に認められた。また通常の室内照明下に得られた積層体
をおき、右円偏光板を介して観察したところ、虹色の反
射回折光が観察され、偏光板無しで観察した場合の明る
さとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板を介して
観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観
察されなかった。以上のことより、得られた積層体が偏
光回折素子としての機能を有することが判明した。
【0097】(比較例1)Mwが950、Mw/Mn
2、対数粘度が0.06、Tgが60℃、Tiが220
℃の液晶性ポリエステル(R体光学活性化合物を含有)
をラビング処理したポリフェニレンスルフィド上にスピ
ンコート法で製膜した。次いで180℃5分間熱処理し
たところ、金色の鏡面反射を呈するフィルムが得られ
た。同フィルムを日本分光(株)製紫外可視近赤外分光
光度計V−570にて透過スペクトルを測定したとこ
ろ、中心波長が約600nm、選択反射波長帯域幅が約
100nmの選択反射を示すコレステリック配向が固定
化されたフィルムが形成されていることが確認された。
【0098】エドモンド・サイエンティフィック・ジャ
パン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の
回折面と上記で得られたコレステリック配向フィルムの
液晶面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラ
ミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MP
a、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行っ
た。次に室温まで冷却後、刻線式回折格子フィルムを取
り除いた。得られたフィルムは、フィルムの一部に割れ
が生じるとともに、コレステリック配向に乱れ配向ムラ
が発生していた。また回折パターンに起因する虹色も呈
していなかった。
【0099】(比較例2)Mw(重量平均分子量)が約
12万、Mw/Mnが4.0、対数粘度が2.0、Tg
が150℃、Tiが240℃の液晶性ポリエステル(R
体光学活性化合物を含有)をラビング処理したポリフェ
ニレンスルフィド上にスピンコート法で製膜し、220
℃20分間熱処理したところ、淡黄色系の弱い選択反射
を呈するフィルムが得られた。同フィルムを日本分光
(株)製紫外可視近赤外分光光度計V−570にて透過
スペクトルを測定したところ、中心波長が約550〜6
00nmで明確に特定できず、選択反射波長帯域がブロ
ードの弱い選択反射を示した。オリンパス(株)製顕微
鏡BX50で観察したところ、液晶層に多数の配向欠陥
が観察された。
【0100】次いでエドモンド・サイエンティフィック
・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/m
m)の回折面と上記で得られたフィルムの液晶面が向き
合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターD
X−350を用い、130℃、3MPa、ロール接触時
間0.5秒の条件で加熱加圧を行った。次に室温まで冷
却後、刻線式回折格子フィルムを取り除いた。回折格子
フィルムを取り除いた液晶面は、さらに多くの配向欠陥
が発生し、また回折パターンに起因する虹色も全く呈し
ていなかった。
【0101】(比較例3)Mwが95000、Mw/M
nが6.0、対数粘度が1.5、Tgが145℃、Ti
が240℃の液晶性ポリエステル(R体光学活性化合物
を含有)をラビング処理したポリフェニレンスルフィド
上にスピンコート法で製膜し、220℃20分間熱処理
したところ、淡黄色系の弱い選択反射を呈するフィルム
が得られた。同フィルムを日本分光(株)製紫外可視近
赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定し
たところ、中心波長が約550〜600nmで明確に特
定できず、選択反射波長帯域がブロードの弱い選択反射
を示した。オリンパス(株)製顕微鏡BX50で観察し
たところ、液晶層に多数の配向欠陥が観察された。
【0102】次いでエドモンド・サイエンティフィック
・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/m
m)の回折面と上記で得られたフィルムの液晶面が向き
合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターD
X−350を用い、130℃、3MPa、ロール接触時
間0.5秒の条件で加熱加圧を行った。次に室温まで冷
却後、刻線式回折格子フィルムを取り除いた。回折格子
フィルムを取り除いた液晶面は、さらに多くの配向欠陥
が発生し、また回折パターンに起因する虹色も全く呈し
ていなかった。
【0103】(比較例4)Mwが98000、Mw/M
nが3.0、対数粘度が1.8、Tgが205℃、Ti
が250℃の液晶性ポリエステル(R体光学活性化合物
を含有)をラビング処理したポリフェニレンスルフィド
上にスピンコート法で製膜し、230℃20分間熱処理
したところ、淡黄色系の弱い選択反射を呈するフィルム
が得られた。同フィルムを日本分光(株)製紫外可視近
赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定し
たところ、中心波長が約550〜600nmで明確に特
定できず、選択反射波長帯域がブロードの弱い選択反射
を示した。オリンパス(株)製顕微鏡BX50で観察し
たところ、液晶層に多数の配向欠陥が観察された。
【0104】次いでエドモンド・サイエンティフィック
・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/m
m)の回折面と上記で得られたフィルムの液晶面が向き
合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターD
X−350を用い、130℃、3MPa、ロール接触時
間0.5秒の条件で加熱加圧を行った。次に室温まで冷
却後、刻線式回折格子フィルムを取り除いた。回折格子
フィルムを取り除いた液晶面は、さらに多くの配向欠陥
が発生し、また回折パターンに起因する虹色も全く呈し
ていなかった。
【0105】(比較例5)Mw(重量平均分子量)が1
040、Mw/Mnが2.1、対数粘度が0.06、T
gが15℃、Tiが36℃の液晶性ポリエステル(R体
光学活性化合物を含有)をラビング処理したポリフェニ
レンスルフィド上にスピンコート法で製膜し、30℃5
分間熱処理したところ、金色の鏡面反射を呈するフィル
ムが得られた。同フィルムを日本分光(株)製紫外可視
近赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定
したところ、中心波長が約600nm、選択反射波長帯
域幅が約100nmの選択反射を示すコレステリック液
晶層が形成されていることが確認された。
【0106】エドモンド・サイエンティフィック・ジャ
パン社製刻線式回折素子フィルム(900本/mm)の
回折面と上記で得られたコレステリック配向フィルムの
液晶面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラ
ミネーターDX−350を用い、40℃、0.3MP
a、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行っ
た。次に室温まで冷却後、刻線式回折素子フィルムを取
り除いた。得られたフィルムは、コレステリック液晶相
の一部が等方相に転移するとともに、コレステリック配
向が乱れ、配向ムラが発生していた。また回折パターン
に起因する虹色も呈していなかった。
【0107】(比較例6)Mw(重量平均分子量)が1
030、Mw/Mnが2.2、対数粘度が0.046、
Tgが20℃、Tiが115℃の液晶性ポリエステル
(R体光学活性化合物を含有)をラビング処理したポリ
フェニレンスルフィド上にスピンコート法で製膜し、1
00℃5分間熱処理したところ、金色の鏡面反射を呈す
るフィルムが得られた。同フィルムを日本分光(株)製
紫外可視近赤外分光光度計V−570にて透過スペクト
ルを測定したところ、中心波長が約600nm、選択反
射波長帯域幅が約100nmの選択反射を示すコレステ
リック配向が固定化されたフィルムが形成されているこ
とが確認された。
【0108】エドモンド・サイエンティフィック・ジャ
パン社製刻線式回折素子フィルム(900本/mm)の
回折面と上記で得られたコレステリック配向フィルムの
液晶面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラ
ミネーターDX−350を用い、50℃、0.3MP
a、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行っ
た。次に室温まで冷却後、刻線式回折素子フィルムを取
り除いた。得られたフィルムは、フィルムの一部に割れ
が生じるとともに、コレステリック配向に乱れ配向ムラ
が発生していた。また回折パターンに起因する虹色も呈
していなかった。
【0109】(比較例7)Mwが98900、Mw/M
nが4.0、対数粘度が2.5、Tgが148℃、Ti
が250℃の液晶性ポリエステル(R体光学活性化合物
を含有)をラビング処理したポリフェニレンスルフィド
上にスピンコート法で製膜し、220℃20分間熱処理
したところ、淡黄色系の弱い選択反射を呈するフィルム
が得られた。同フィルムを日本分光(株)製紫外可視近
赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定し
たところ、中心波長が約550〜600nmで明確に特
定できず、選択反射波長帯域がブロードの弱い選択反射
を示した。オリンパス(株)製顕微鏡BX50で観察し
たところ、液晶層に多数の配向欠陥が観察され、均一な
コレステリック配向は得られていなかった。次いでエド
モンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回
折格子フィルム(900本/mm)の回折面と上記で得
られたフィルムの液晶面が向き合うように重ね、東京ラ
ミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、12
0℃、3MPa、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱
加圧を行った。次に室温まで冷却後、刻線式回折格子フ
ィルムを取り除いた。回折格子フィルムを取り除いた液
晶面は、さらに多くの配向欠陥が発生し、また回折パタ
ーンに起因する虹色も全く呈していなかった。
【0110】
【発明の効果】本発明の偏光回折素子は、回折光が円偏
光性を示すという特異な光学特性を有するものであり、
回折機能素子としてその応用範囲は極めて広く、例えば
光学用素子、光エレクトロニクス素子、装飾用材料、偽
造防止用素子等の光学部材として好適に用いることがで
きる。さらに本発明の偏光回折素子は、特定物性を有す
るフィルム材料から形成したコレステリック液晶フィル
ムを用いることから、機械的強度、環境信頼性等に優れ
たものである等、工業的価値が極めて高い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基板/接着剤層/コレステリック
    液晶層/保護層から構成され、コレステリック液晶層が
    GPC(ポリスチレン換算)で測定した重量平均分子量
    Mwが1000〜10万、分子量分布(Mw/Mn;M
    nは数平均分子量)が5以下、対数粘度が0.05〜
    2.0(フェノール/テトラクロロエタン(重量比60
    /40)混合溶媒において濃度0.5g/dl(温度3
    0℃))、ガラス転移温度(Tg)が200℃以下、か
    つ液晶相から等方相への転移温度(Ti)が40℃以上
    である高分子液晶を必須成分とするフィルム材料からな
    り、かつ少なくとも一部に回折能を示す領域を有したコ
    レステリック液晶フィルムから少なくとも構成され、保
    護層が紫外線吸収性および/またはハードコート性を有
    する偏光回折素子。
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