JP2000343847A - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

平版印刷版用支持体

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JP2000343847A
JP2000343847A JP30124199A JP30124199A JP2000343847A JP 2000343847 A JP2000343847 A JP 2000343847A JP 30124199 A JP30124199 A JP 30124199A JP 30124199 A JP30124199 A JP 30124199A JP 2000343847 A JP2000343847 A JP 2000343847A
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JP30124199A
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Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Masaya Matsuki
昌也 松木
博和 ▲榊▼
Hirokazu Sakaki
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷条件の変動に依らず、非画像部に汚れが
発生しない印刷性能に優れた平版印刷版用支持体を提供
する。 【解決手段】 アルミニウムを主体とする板状体であっ
て、該板状体中に含まれる金属間化合物の内のAl6
eの割合が該金属間化合物全量の5%以下またはα−A
lFeSiの割合が該金属間化合物全量の10%以下で
あり、かつ、その表面にインクと塩素イオン濃度0.1
〜5%の湿し水を順次交互に複数回供給し、最後に該表
面に残った水分が乾いた時点で該表面に点状および円環
状の少なくともいずれかの状態で発生したインク付着部
分の密度がJIS H8502記載のレイティングナン
バー8〜10に相当する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】非画像部に汚れが発生しない
印刷性能に優れた平版印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、平版印刷版用支持体としては、A
l合金板の片面あるいは両面に、粗面化処理を施したも
のが用いられ、感光層を塗布して平版印刷版用原版が製
造される。印刷時の耐磨耗性を向上させるため、粗面化
後の表面には陽極酸化皮膜処理を施されることが多い。
また、製版時の真空密着時間を短くするために、感光層
の表面にマット層という微小な凹凸を設けられる事もあ
る。
【0003】平版印刷版用支持体は、画像露光、現像、
水洗などの製版処理を施して、印刷版とされる。画像露
光の方法には、画像を焼き付けたリスフィルムを密着さ
せて光を当てることで画像部と非画像部の違いをつける
方法や、レーザを用いる方法や画像を投影する方法で直
接画像部もしくは非画像部を書き込むことによって画像
部と非画像部の違いをつける方法が用いられる。
【0004】画像露光後の現像処理の際、未溶解の感光
層は、インク受容体として画像部を形成し、感光層が溶
解除去された部分は、その下のアルミニウム表面もしく
は陽極酸化皮膜表面が露出し、水受容体として非画像部
を形成する。現像後必要によっては親水化処理、ガム引
き、必要によってはバーニング処理等が行われることも
ある。
【0005】この平版印刷版は印刷機の円筒状の版胴に
取り付けられて、インキと湿し水を版胴に供給する事で
親油性の画像部にはインキが付着し、親水性の非画像部
には水が付着し、画像部のインキをブランケット胴に転
写した上で、ブランケット胴から紙に画像を印刷する。
しかし、時として非画像部に点状あるいは円環状にイン
キが付着し、結果的に紙面に点状あるいは円環状の汚れ
を発生させる不具合が起こる場合があった。これをイン
キ汚れと呼ぶ。この問題に対し、特開平7−19739
3号公報では陽極酸化皮膜の有孔率を限定する方法が提
案されている。また特許第2031725号にはアルミ
ニウム中の単体Si量を限定する方法が提案されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平7
−197393号公報に記載の技術や特許第20317
25号に記載の技術を用いても、非画像部の汚れの発生
程度は、印刷を行う時の条件変動の影響を非常に受けや
すいことがわかった。平版印刷版は現在、世界中で非常
に幅広く使用されており、印刷条件も様々である。つま
り、優れた平版印刷版とは、印刷条件の変動に依らず、
非画像部汚れが発生しない平版印刷版用支持体が望まれ
る。従って、本発明の目的は印刷条件の変動に依らず、
非画像部に汚れが発生しない印刷性能に優れた平版印刷
版用支持体を提供することにある。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、下記平版印刷版用支持体を用いることにより
上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明は、アルミニウムを主体とする
板状体であって、該板状体中に含まれる金属間化合物の
内のAl6Feの割合が該金属間化合物全量の5%以下
またはα−AlFeSiの割合が該金属間化合物全量の
10%以下であり、かつ、その表面にインクと塩素イオ
ン濃度0.1〜5%の湿し水を順次交互に複数回供給
し、最後に該表面に残った水分が乾いた時点で該表面に
点状および円環状の少なくともいずれかの状態で発生し
たインク付着部分の密度がJIS H8502記載のレ
イティングナンバー8〜10に相当する平版印刷版用支
持体である。
【0008】本発明の平版印刷版用支持体はアルミニウ
ムを主体とし、その中に含まれる金属間化合物の内のA
6Feの割合が該金属間化合物全量の5%以下である
ことまたはα−AlFeSiの割合が該金属間化合物全
量の10%以下であることにより、平版印刷版とした場
合、印刷条件の変動に影響される、非画像部に汚れが発
生しないものとなる。Al6Feやα−AlFeSiの
割合を金属間化合物全量の所定量以下にするとよい理由
については、未だ全てが明確になっているわけではない
が、本願発明者らの検討によれば、Al6Feやα−A
lFeSiの周辺は、陽極酸化被膜が不均一になりやす
く、そこがインク付着の起点になっているものと考えら
れる。
【0009】また、本発明の平版印刷版用支持体は、上
記の条件に加え、その表面にインクと塩素イオン濃度
0.1〜5%の湿し水を順次交互に複数回供給し、最後
に該表面に残った水分が乾いた時点での該表面に点状お
よび円環状の少なくともいずれかの状態で発生したイン
ク付着部分の密度がJIS H8502記載のレイティ
ングナンバー8〜10に相当する場合、上記の汚れ発生
は確実に解消される。
【0010】レイティングナンバー8〜10に相当する
平版印刷版用支持体を得るためには、例えば陽極酸化皮
膜層を5g/m2以上付与する方法や、金属間化合物の種
類や量を制御する方法が選択できる。但し、陽極酸化被
膜層を多く付与するためには、多くの電力を必要とする
ため、金属間化合物の種類や量を制御する方法の方が経
済的側面からもより望ましい。具体的には均熱温度を5
00℃以上とすることでAl3Feを多く発生させる方
法が用いられる。あるいは、Al中に含まれるSiとF
eの比Si/Feを大きくすることで、α−AlFeS
i等の3種類の元素からなる金属間化合物を多く発生さ
せる方法も選択できるが、本発明者らの更なる検討の結
果、Al、Fe、Siを含む金属間化合物については、
多すぎても非画像部汚れが悪化することを見出したの
で、特にα−AlFeSiの割合は限定しなければいけ
ない。
【0011】
【発明の実施の形態】平版印刷版に使用されるAl材料
としては、下記の材料が使用できる。平版印刷版用支持
体としては、一般に軽量で表面処理性、加工性、耐食性
に優れたアルミニウム板が使用されている。この目的に
供されるアルミニウム材質としては、JIS1050
材、JIS1100材、JIS1070材、Al−Mg
系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、
Al−Zr系合金、Al−Mg−Si系合金などが使用
される。
【0012】前述のような含有成分及び、合金成分割合
のアルミニウム合金溶湯を常法に従い清浄化処理を施
し、鋳造する。その後、必要に応じて、均熱化処理が行
われる。なお、本発明の平版印刷版用支持体の特徴であ
る、金属間化合物中のAl6Feまたはα−AlFeS
iの割合を該金属間化合物全量の所定量以下とするため
の一つの方法としては、均熱化処理が用いられる。均熱
化処理の条件としては、450〜620℃の範囲、好ま
しくは550〜620℃、更に好ましくは600℃前後
であり、1〜48時間、好ましくは5〜30時間であ
る。上記条件の範囲外では、均熱化処理の効果が不十分
となる。
【0013】この均熱化処理は、Al6Feおよびα−
AlFeSiをAl3Feとすることにより、前記金属
間化合物中のAl6Feおよびα−AlFeSi量を減
少させるものである。均熱化処理を用いない場合として
更に有効な方法は、Alに添加する微量元素の添加量制
御、即ち、FeとSiの比を制御することでα−AlF
eSiの生成を制御する方法が有効である。具体的には
FeとSiの比をFe/Si>3にすることでα−Al
FeSiの生成を制御できる。なお、本発明でいう金属
間化合物とは、金属からなる基質中に点在する、該基質
とは異なった性質のものであり、2種以上の金属元素か
ら形成される化合物であって、成分原子比は必ずしも化
学量論比にはならないことが知られている。
【0014】上記均熱化処理の後、次いで、熱間圧延、
冷間圧延を行って、アルミニウム圧延板とする。熱間圧
延の開始温度としては、350〜500℃の範囲とす
る。冷間圧延の前、または後、またはその途中において
中間焼鈍処理を施しても良い。この場合の中間焼鈍条件
は、バッチ式焼鈍炉を用いて280℃〜600℃で2〜
20時間、望ましくは、350〜500℃で2〜10時
間加熱する方法や、連続焼鈍炉を用いて400〜600
℃で360秒以下、望ましくは、450〜550℃で1
20秒以下の加熱処理が採用できる。連続焼鈍炉を使っ
て、10℃/秒以上の昇温速度で加熱すると、結晶組織
を細かくすることもできる。熱間圧延の途中で結晶組織
を細かくできる場合、中間焼鈍処理は省略してもよい。
鋳造方法として連続鋳造法を使う場合、均熱処理や熱間
圧延処理は省略することができる。
【0015】以上の工程によって、所定の厚さ0.1〜
0.5mmに仕上げられたAl板は平面性を改善するた
めに、ローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置に
よって、平面性を改善しても良い。平面性の改善は、板
をシート状にカットした後に行っても良いが、生産性を
向上させるためには、連続したコイルの状態で、平面性
改善を行うことが望ましい。また、板巾を所定の巾に加
工するため、スリッタラインを通すことが通常行われ
る。
【0016】上記方法で製造したAl板は表面に粗面化
処理等の表面処理を行い、感光層を塗布して平版印刷版
とすることができる。粗面化処理には、機械的粗面化、
化学的粗面化、電気化学的粗面化が単独又は組み合わせ
て行われる。また、表面のキズ付き難さを確保するため
の陽極酸化処理を行ったり、親水性を増すための処理を
行う場合がある。以下に表面処理と感光層塗布の実施態
様を説明する。
【0017】機械的な粗面化処理:アルミニウム板表面
を、平均表面粗さ0.35〜1.0μmとする目的で、
特開平6−135175、特公昭50−40047に記
載されている機械的な粗面化処理をおこなう。第1段目
の電解研磨処理の前に行うことが好ましい。毛径が0.
2〜0.9mmの回転するナイロンブラシロールと、ア
ルミニウム板表面に供給されるスラリー液で機械的に粗
面化処理することが有利である。もちろんスラリー液を
吹き付ける方式、ワイヤーブラシを用いた方式、凹凸を
付けた圧延ロールの表面形状をアルミニウム板に転写す
る方式などを用いても良い。研磨剤としては公知の物が
使用できるが、珪砂、石英、水酸化アルミニウムまたは
これらの混合物が好ましい。
【0018】酸性水溶液中での電解研磨処理、または、
酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処
理:これは上記機械的粗面化処理を行った場合、その後
に行われる処理であって、機械的な粗面化によって生成
した凹凸のエッジ部分を溶解し、滑らかなうねりを持つ
表面を得、汚れ性能がよい印刷版を得る目的でおこな
う。このときのアルミニウム板の溶解量は3〜20g/
2が好ましい。硝酸または塩酸を主体とする水溶液中
での、直流又は交流を用いた電気化学的な粗面化処理:
平均直径約0.5〜20μmのクレーターまたはハニカ
ム状のピットをアルミニウム表面に30〜100%の面
積率で生成する目的でおこなう。印刷版の非画像部の汚
れにくさ、耐刷力を向上する作用がある。
【0019】酸性水溶液中での電解研磨処理、または、
酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処
理:これは上記電気化学的粗面化処理を行った場合、そ
の後に行われる処理であって、電気化学的な粗面化で生
成した、水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分
の除去と、生成したピットのエッジ部分を滑らかにし、
印刷版としたときの汚れ性能を良化させる目的でおこな
う。アルミニウム板の溶解量は0.05〜5g/m2
解することが好ましく、0.1〜4g/m2溶解するこ
とがより好ましい。
【0020】陽極酸化処理:アルミニウム板の表面の耐
磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミ
ニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理
が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられ
る電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものなら
ば、いかなるものでも使用することができる。一般には
硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはそれらの混
合液が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種
類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用い
られる電解質によって変わるので一概に特定し得ない
が、一般的には電解質の濃度が1〜80wt%、液温は
5〜70℃、電流密度1〜60A/dm3、電圧1〜1
00V、電解時間10秒〜300秒の範囲にあれば適当
である。このようにして作った平版印刷版用支持体は通
常の方法で、感光層を設け、画像を焼き付け、現像、ガ
ム引きを行って印刷版とし、印刷機の版胴に取り付け、
印刷を行う。
【0021】本発明の平版印刷版用支持体では、その中
に含まれる金属間化合物の内のAl6 Feの割合が該金
属間化合物全量の5%以下とすること及びα−AlFe
Siの割合が該金属間化合物全量の10%以下とするこ
とにより、印刷した際のインク汚れが発生しない優れた
平版印刷版にすることができる。平版印刷版用支持体に
おける金属間化合物の特定方法としては、例えば特開平
4−165041第2図記載の方法で濾過した残査をX
線回折法で各金属間化合物固有のピークから、その存在
割合を算出する方法が使用できる。すなわち、Al合金
板を170〜180℃のフェノールで溶解し、冷却後フ
ェノールの固化防止にべンジルアルコールを添加し、更
に冷却した後、メンブランフィルターで濾過し、残査を
X線回折法で分析するのである。
【0022】また、本発明の平版印刷版用支持体は、上
記のごとく、金属間化合物中のAl 6Feとα−AlF
eSiの量が所定の量に抑えられたことに加え、つぎに
示す腐食促進テストとインクの付着テストを行った時の
インク付着部分の密度が所定の範囲になり、前記インク
汚れ発生がより確実に解消される。
【0023】(腐食促進テスト) インクの付着テスト:感光層を除去した平版印刷版を用
意する。塩素イオンを0.1〜5%含んだ水と、インク
を用意する。感光層を除去した平版印刷版は通常親水性
を示す。即ち水ははじかないが、インクははじき易い性
質を示す。まずローラ状の工具の表面にインクを薄く付
け、そのローラ状の工具を使って、感光層を除去した平
版印刷版に薄くインクを塗りつける。次に塩素イオンを
0.1〜5%含んだ水を表面に供給し、インクを付けた
ローラ状工具を加圧しながら表面を転がす。水を充分供
給することでインクは徐々に除去される。表面に残った
水分が乾いた後、再度ローラ状工具でインクを塗りつ
け、以下同様の操作を2回〜30回繰り返す。最後に表
面に残った水分が乾いたところで、点状又は微少な円環
状に残ったインクの密度をJISH8502に規定され
たレイティングナンバー図表と対比し、レイティングナ
ンバーを求める。塩素イオンの添加方法は所定のCl-
イオンが添加できれば特に限定されない。例えばKCl
溶液、NaCl溶液等を用いるのが容易な方法である。
【0024】また、もう一つの促進テストの方法とし
て、印刷機を利用する方法がある。即ち印刷機の湿し水
に塩素イオンを添加し、版にインクを供給し、その後湿
し水を供給し、インクが除去された後に乾燥させること
を繰り返す方法を用いても良い。上記の方法により、最
後に表面に残った水分が乾いた時点での該表面に点状お
よび円環状の少なくともいずれかの状態で発生したイン
ク付着部分の密度がJIS H8502記載のレイティ
ングナンバー8〜10に相当する場合、通常に印刷を行
った場合に発生するインキ汚れは確実に解消される。な
お、インク付着部分面積率とレイティングナンバーの関
係を示す表を下記に示し、レイティングナンバー標準図
表を図1〜6に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
〔実施例1、比較例1〜2〕
Si=0.17%、Fe=0.49%、Cu=0.07
%、Ti=0.01%、Mn=0.003%、Mn=
0.003%、Zn=0.005%、残りはAlと不可
避不純物からなる合金成分のAlを使用し、均熱条件を
変更して金属間化合物中のAl6Feの割合が変化する
よるようにして、引き続き、常法で熱間圧延、中間焼
鈍、冷間圧延を行って厚み0.24mmのAl板とし、
本発明の実施例と比較例を作成した。これらのサンプル
を常法で粗面化処理を行い、更に硫酸液中で直流電源を
用いて陽極酸化処理を行い、陽極酸化被膜を1g/m2
与して平版印刷版用支持体とし、更にポジ型感光層を塗
布して平版印刷版とした。なお、実施例1、比較例1、
比較例2のそれぞれの均熱条件は、550℃×10分
間、550℃×1時間、400℃×1時間である。
【0027】各サンプルに非画像部と画像部ができるよ
う、露光と現像を行った。非画像部と画像部の割合は
8:2とし、非画像部で発生するインク付着汚れについ
て評価することとした。次にこれらのサンプルを2%塩
素イオンを含む水とインクを用いて腐食促進テストを行
った。ローラ状工具は、直径40mmの物を使用した。
インク塗りつけ、水を使ってインクを除去、乾燥の手順
を10回行った後のインクの付着状態をJIS H85
02記載のレイティングナンバー図表(JISハンドブ
ック1998年版 日本規格協会発行より)と比較して
評価した。次に腐食促進テストに使用した平版印刷版と
同ロットの板を使い、同様の露光と現像を行い、実際の
中印刷機を使って1000枚印刷し、一旦放置し、再度
10000枚印刷したときの非画像部の汚れ発生有無を
調べた。印刷機は、ハマダ900CDXを使用した。各
サンプルを100版印刷し、非画像部の汚れが許容割れ
になる頻度を調べた。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】以上のように本発明の実施例1は非画像部
の汚れが発生しない優れた平版印刷版にすることができ
る。
【0030】〔実施例2〜3、比較例3〜5〕塩素イオ
ンを含む水とインクを用いて、先の実施例1と同様の方
法で腐食促進テスト(インク付着テスト)および印刷テ
ストを行った。結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】以上のように、本発明の実施例は、数多く
の印刷を行っても非画像部の汚れが殆ど発生しない優れ
た平版印刷版にすることができる。
【0033】〔実施例4〜5、比較例6〜7〕表4に示
す組成からなる合金成分のAlを使用し、DC鋳造法で
鋳塊を作り、500℃に加熱後、熱間圧延と冷間圧延で
厚み0.24mmのAl板を作成した。各Al板に含ま
れる金属間化合物をフェノール溶解とフィルター濾過す
る方法で取出し、X線回折法で金属間化合物種類の特定
を行い、更に、X線回折のピークカウント値からα−A
lFeSiが全金属間化合物に占める割合を求めた。
【0034】
【表4】
【0035】これらのサンプルにパミス液とブラシを使
った機械的粗面化、アルカリエッチング処理、デスマッ
ト処理、硝酸水溶液中での交流電解粗面化処理、アルカ
リエッチング処理、デスマット処理を行った後、陽極酸
化皮膜層を1g/m2付与して平版印刷版用支持体と
し、更にポジ型感光層を塗布して平版印刷版とした。各
サンプルに非画像部と画像部が出来るよう、常法で露光
と現像を行い、印刷機に取付け、Cl-イオン1%を添
加した湿し水を使って、インク供給、湿し水供給による
インク除去、乾燥をくりかえすことで腐食促進テストを
行なった。非画像部と画像部の割合は8:2とし、非画
像部で発生するインク付着汚れを評価した。
【0036】実施例1〜3と同様に、インク付着部分の
密度をレイティングナンバーで求めた。なお印刷機はハ
マダ900CDXを使用した。次に同様の方法で平版印
刷版とした各サンプルを、非画像部、画像部が出来るよ
う常法で露光と現像を行い、実施例1、比較例1〜2と
同じ方法であらためて印刷を行い、非画像部の汚れが許
容割れになる頻度を調べた。腐食促進テスト及び印刷テ
ストの結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】以上のように、本発明の実施例4、5は非
画像部の汚れが発生しない優れた平版印刷版にすること
ができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の平版印刷
版用支持体は、金属間化合物中のAl 6Fe及びα−A
lFeSiの量を所定の量に抑えることに加え、腐食促
進テストを行った時のインク付着部分の密度を所定の範
囲に調節することにより、多数枚の印刷において、印刷
条件の変動に依らず、非画像部に汚れが発生しない印刷
性能に優れた平版印刷版用支持体を得ることができ、極
めて実用的な平版印刷版用支持体を提供するという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】JIS H8502のレイティングナンバー
9.8および9.5の標準図表である。
【図2】JIS H8502のレイティングナンバー
9.8および9の標準図表である。
【図3】JIS H8502のレイティングナンバー8
および7の標準図表である。
【図4】JIS H8502のレイティングナンバー6
および5の標準図表である。
【図5】JIS H8502のレイティングナンバー4
および3の標準図表である。
【図6】JIS H8502のレイティングナンバー2
および1の標準図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲榊▼ 博和 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H114 AA04 AA14 AA22 AA23 BA01 DA04 DA73 EA04 FA16 GA03 GA05 GA09 GA34

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを主体とする板状体であっ
    て、該板状体中に含まれる金属間化合物の内のAl6
    eの割合が該金属間化合物全量の5%以下であり、か
    つ、その表面にインクと塩素イオン濃度0.1〜5%の
    湿し水を順次交互に複数回供給し、最後に該表面に残っ
    た水分が乾いた時点で該表面に点状および円環状の少な
    くともいずれかの状態で発生したインク付着部分の密度
    がJISH8502記載のレイティングナンバー8〜1
    0に相当する平版印刷版用支持体。
  2. 【請求項2】 アルミニウムを主体とする板状体であっ
    て、該板状体中に含まれる金属間化合物の内のα−Al
    FeSiの割合が該金属間化合物全量の10%以下であ
    り、かつ、その表面にインクと塩素イオン濃度0.1〜
    5%の湿し水を順次交互に複数回供給し、最後に該表面
    に残った水分が乾いた時点で該表面に点状および円環状
    の少なくともいずれかの状態で発生したインク付着部分
    の密度がJIS H8502記載のレイティングナンバ
    ー8〜10に相当する平版印刷版用支持体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009255434A (ja) * 2008-04-18 2009-11-05 Fujifilm Corp 平版印刷版用アルミニウム合金板、平版印刷版用支持体、平版印刷版用原版および平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法
EP2110261A3 (en) * 2008-04-18 2016-01-20 FUJIFILM Corporation Aluminum alloy plate for lithographic printing plate, ligthographic printing plate support, presensitized plate, method of manufacturing aluminum alloy plate for lithographic printing plate and method of manufacturing lithographic printing plate support

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