JP2000339168A - ファジィ推論規則のチューニング方法 - Google Patents

ファジィ推論規則のチューニング方法

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JP2000339168A
JP2000339168A JP11152966A JP15296699A JP2000339168A JP 2000339168 A JP2000339168 A JP 2000339168A JP 11152966 A JP11152966 A JP 11152966A JP 15296699 A JP15296699 A JP 15296699A JP 2000339168 A JP2000339168 A JP 2000339168A
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Fujio Abe
富士夫 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ファジィ推論規則のチューニングを自動化でき
るようにし、複雑なファジィ推論規則のチューニングを
可能にするチューニング法を得ること。 【解決手段】ファジィ制御の推論に用いるルールをファ
ジィ制御結果が適正なものとなるよう自動チューニング
する方法として、チューニング前のルールに対してそれ
を遺伝子表現し、遺伝子アルゴリズムを適用すると共
に、得られる子世代の遺伝子についてその遺伝子から展
開して得たルールを用いてファジィ推論を実施し、適合
度を求める処理を所定の終了条件を満たすまで繰り返
し、その間、適合度の改善を進展させるべく、エイリア
ン法とバースト法を適宜、適用し、得られた各遺伝子に
ついて最良の適合度を持つ遺伝子に対応するルールをチ
ューニング済みのルールとして得ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械の制御等に使
用されるファジィ制御における推論規則のチューニング
に関わるものであり、特にファジィ推論精度の向上を図
るために行うチューニング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熟練オペレータによる制御と同様な自動
制御を実現するために、ファジィ制御の技術が出現して
久しく、今日においては種々の分野で実用化されてい
る。
【0003】ところで、ファジィ制御を実施するにあた
っては、ファジィ制御対象のシステムに適合したファジ
ィルールおよびメンバーシップ関数を決定する必要があ
る。
【0004】すなわち、ファジィ制御では熟練者の場
合、制御対象のシステムがどういう状態のときには、ど
こに注目し、何を目標に何をどのようにどの程度操作す
る、と云ったノウハウを収集して、このノウハウを“I
F〜THEN〜”形式でルール化すると共に、反映させ
る大きさを人間の言語的曖昧さを反映させる関数である
メンバーシップ関数として用意しておき、ある状況が生
じると、その状況下において、各ルールにおいての操作
内容を実施する度合いをメンバーシップ関数にしたがっ
て求め、確からしさを評価して、評価結果が最良の操作
を実施させる。
【0005】そのため、ファジィ制御対象のシステムに
適合したファジィルールおよびメンバーシップ関数をど
のようにするかが、ファジィ制御の性能を決定づける重
要な要素となる。
【0006】ファジィ制御のためのルールの作成、すな
わち、ファジィ推論規則作成、そして、その規則の反映
の度合いを決定するメンバーシップ関数を定めるにあた
り、その作成方法には、上述の如く、熟練者の経験を元
に作成する方法が最も一般的であるが、その他、測定収
集データを元に作成する方法もある。
【0007】すなわち、ファジィ論理は、人間の言語的
暖昧性を取扱う。従って、ファジィ論理を利用するファ
ジィ推論に使用するためのルール(ファジィ推論規則)
作成には、熟練者の知識を利用するのが一般的である。
【0008】しかし、熟練者のノウハウ利用が困難な場
合もある。その場合は、制御対象システムを稼動させて
得られる測定収集データを用い、制御規則作成に供する
可測定収集データを分類してグループ別け(クラスタリ
ング)し、変数のメンバーシップ関数、ファジィ推論規
則を作成することとなる(五百旗頭著、「任意のファジ
ィ評価関数によるファジィクラスタリング手法、一ファ
ジィルール、メンバーシップ関数の自動生成法」日本フ
ァジィ学会誌P333-343.1992,4参照)。
【0009】このように、ファジィ推論制御する場合、
ファジィ推論規則とメンバーシップ関数を用意する必要
があるが、用意したファジィ推論規則とメンバーシップ
関数の出来具合が、ファジィ制御性能に大きな影響を与
える。
【0010】すなわち、ファジィ推論規則とメンバーシ
ップ関数の出来具合がファジィ制御の性能の重要な鍵を
握ることになるわけであるが、このファジィ推論規則と
メンバーシップ関数の作成を人手に頼る場合、作成者の
経験度や技量による品質のバラツキが避けられず、ま
た、完成までに多大な時間を要することとなるから、コ
ストダウンおよび開発時間の短縮の観点からも、これら
の作成の自動化を図ることが望まれる。
【0011】ファジィ推論規則とメンバーシップ関数を
作成するに当たって、一般的には熟練者の知識を用いる
のが最も手っ取り早い方法である。しかし、熟練者の知
識を用いてのファジィ推論規則作成およびメンバーシッ
プ関数を作成するという方法は、ファジィ制御対象のシ
ステムについての操作熟練者がいることが前提であり、
その熟練者の知識を上手くファジィ推論規則およびメン
バーシップ関数に反映させることができれば、最良のフ
ァジィ制御が可能になる。しかし、熟練者の知識を用い
る場合には、必要な情報を収集する作業は人手に頼らざ
るを得ず、収集した情報をデータ化する作業なども人手
に頼ることとなるので、ファジィ推論規則の自動作成に
は不向きである。
【0012】一方、熟練者の知識が利用できない場合に
は、制御対象システムを様々な条件で実際に稼動させる
ことにより、得られる測定データを収集し、この収集し
たデータを使用して制御規則を作成し、また、収集した
データを使用してメンバーシップ関数を作成することと
なるが、この方法は、データ収集自体を自動化すること
ができるので、ファジィ推論規則およびメンバーシップ
関数の自動作成に向く。
【0013】この方法で重要なことは、収集データの質
と量である。
【0014】例えば、ファジィ制御の場合、制御結果が
良くないデータをいくら集めても、制御をよくする制御
規則は作れない。また、良いデータが集まったとして
も、データの数が少ないと、推論規則のルール数が制限
され、また、メンバーシップ関数もラフになるから、こ
の場合も満足な推論規則は作れない。すなわち、収集デ
ータは、広範囲でランダムな条件でのデータが多数ある
ことが望ましいわけである。
【0015】しかし、実験を行ってデータを収集する場
合でも、条件設定が困難で事実上、収集することができ
ないという領域のデータもあり、また、効率的なデータ
収集と云う要求もあるから、現実的には収集できるデー
タには自ずと制限が有る。
【0016】また、ファジィ制御の推論規則作成のため
に、収集データをクラスタ分析してグループに分け、目
的に合ったデータのグループを選択する必要があるが、
この時のグループ選択基準の設定が、自動化のネックに
なる。
【0017】従って、知的な制御が可能なシステムを得
るために必要なファジィ推論規則およびメンバーシップ
関数を自動的に作成するファジィ制御推論規則自動生成
システムを開発するにあたって、取得可能な限られた測
定収集データから、ファジィ制御規則作成用の質・量共
に良好なデータを自動作成可能であり、また、収集デー
タをクラスタ分析してグループに分け、目的に合ったデ
ータのグループを選択するといった必要を省くことがで
きるようにしたファジィ制御規則およびメンバーシップ
関数作成用データを自動作成可能にする方法の開発が嘱
望されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願発明者は
知的な制御が可能なシステムを得るために必要なファジ
ィ制御の推論規則やメンバーシップ関数の自動作成を可
能にするために必要な多様な条件下でのしかも、質が良
好な多数のデータを自動的に得ることができるようにす
る手法を提案し、また、メンバーシップ関数の自動決定
を可能にする手法を別途提案したが、しかし、ファジィ
制御の推論規則を生成することができても、生成段階で
はまだ未完成で最適に調整する必要があり、この調整も
自動化の途を拓かなければファジィ制御の推論規則生成
方法の完成とは云えない。
【0019】すなわち、ファジィ制御の推論規則生成が
可能になったとしても、ファジィ推論規則を任意の入力
に対して望ましいファジィ推論を出力するようにするに
は、メンバーシップ関数の調整、即ちチューニングが必
要である。ファジィ推論を機械の制御に使用するファジ
ィ制御では、対象機械の特性モデルを作成し、それにフ
ァジィ推論のプログラムを組み合わせてシミュレーショ
ン計算を行い、望ましい推論出力をするように、メンバ
ーシップ関数を人手で調整する。
【0020】望ましい入力と出力の組み合わせが既知の
場合には、ニューラルネットワークを使用して自動的に
チューニングを行うことも行われる。
【0021】しかし、シミュレーション計算をして、人
手でメンバーシップ関数をチューニングする方法は、非
効率的で時間が掛かり、単純なファジィ推論規則でない
と適用できない。ファジィ推論規則が大きく複雑な場合
は、どのメンバーシップ関数が推論出力に影響している
かが分からず、人手でのチューニングは不可能になる。
【0022】ニューラルネットワークを使用してメンバ
ーシップ関数を自動的にチューニングする方法は、「ニ
ューラルネットワークの構成(ニューロ数、ニューロ層
数の設定)をどのようにするのか?」、「ニューラルネ
ットワークが発散した場合の対処をどうするか?」、な
どと云った技術的な問題がある。
【0023】そこで、この発明の目的とするところは、
推論規則を構成するルール及びメンバーシップ関数の自
動生成とそのチューニングの自動化ができる技術を提供
すると共に、複雑なファジィ推論規則のチューニングを
可能にして異常なファジィ推論をするルールおよびメン
バーシップ関数を生成することのないようにした安定な
推論規則チューニング方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のようにする。すなわち、 [1] 第1には、ファジィ制御の推論に用いるルール
をファジィ制御結果が適正なものとなるよう自動チュー
ニングする方法として、チューニング前のルールに対し
てそれを遺伝子表現し、遺伝子アルゴリズムを適用する
と共に、得られる子世代の遺伝子についてその遺伝子か
ら展開して得たルールを用いてファジィ推論を実施し、
適合度を求める処理を所定の終了条件を満たすまで繰り
返し、その間、適合度の改善を進展させるべく、エイリ
アン法とバースト法を適宜、適用し、得られた各遺伝子
について最良の適合度を持つ遺伝子に対応するルールを
チューニング済みのルールとして得るようにしたことを
特徴とする。
【0025】本発明によれば、ルールを遺伝子の情報に
変換し、このルールの遺伝子の情報を用いて遺伝子アル
ゴリズムの適用により、新世代の遺伝子を得ると共に、
その遺伝子についてその遺伝子から展開して得たルール
およびメンバーシップ関数を用いてファジィ推論を実施
し、適合度を求める処理を所定の終了条件を満たすまで
繰り返し、その間、適合度の改善を進展させるべく、エ
イリアン法とバースト法を適宜適用し、得られた各遺伝
子について最良の適合度を持つ遺伝子に対応するルール
をチューニング済みのルールとして得る。
【0026】ファジィ制御では個別のルールの出来は制
御精度に重大な影響を及ぼすので、如何にチューニング
するかは重要な課題であるが、従来は合理的な手法がな
く、人手に頼ることとなっていて、複雑なファジィ制御
の推論規則の場合、対応できなかった。しかし、本発明
方法によれば、コンピュータによるチューニング処理の
途を拓くことが可能になり、ファジィ制御における推論
規則のルールを、制御対象システムの特性に合う内容に
調整できるのでファジィ制御の精度向上を確保できるフ
ァジィ制御の推論規則チューニング方法を提供できるよ
うになる。
【0027】また、本発明では遺伝子アルゴリズムに、
エイリアン法とバースト法を適用するので、遺伝子の進
化が滞った場合においても、進化を促進させることがで
きるようになり、より有効な推論規則のチューニングを
実施可能になる。
【0028】[2] また、第2には、ファジィ制御の
推論に用いるルールとメンバーシップ関数をファジィ制
御結果が適正なものとなるよう自動チューニングする方
法として、チューニング前のルールとそのルールに適用
しているメンバーシップ関数に対してそれを遺伝子表現
し、これら遺伝子について遺伝子アルゴリズムを適用す
ると共に、得られる子世代の遺伝子についてその遺伝子
から展開して得たルールおよびメンバーシップ関数を用
いてファジィ推論を実施し、適合度を求める処理を所定
の終了条件を満たすまで繰り返し、その間、適合度の改
善を進展させるべく、エイリアン法とバースト法を適宜
適用し、得られた各遺伝子について最良の適合度を持つ
遺伝子に対応するルールをチューニング済みのルールと
して得るようにしたことを特徴とする。
【0029】本発明によれば、ルールを遺伝子の情報に
変換し、このルールの遺伝子の情報を用いて遺伝子アル
ゴリズムの適用により、新世代の遺伝子を得ると共に、
その遺伝子についてその遺伝子から展開して得たルール
およびメンバーシップ関数を用いてファジィ推論を実施
し、適合度を求める処理を所定の終了条件を満たすまで
繰り返し、その間、適合度の改善を進展させるべく、エ
イリアン法とバースト法を適宜適用し、得られた各遺伝
子について最良の適合度を持つ遺伝子に対応するルール
をチューニング済みのルールとして得るようにした。
【0030】ファジィ制御では個別のルールとメンバー
シップ関数の出来が制御精度に重大な影響を及ぼすの
で、如何にチューニングするかは重要な課題であるが、
従来は合理的な手法がなく、人手に頼ることとなってい
て、複雑なファジィ制御の推論規則の場合、対応できな
かった。しかし、本発明方法によれば、コンピュータに
よるチューニング処理の途を拓くことが可能になり、フ
ァジィ制御における推論規則のルールとメンバーシップ
関数を、制御対象システムの特性に合う内容に調整でき
るのでファジィ制御の精度向上を確保できるファジィ制
御の推論規則チューニング方法を提供できるようにな
る。
【0031】また、本発明では遺伝子アルゴリズムに、
エイリアン法とバースト法を適用するので、遺伝子の進
化が滞った場合においても、進化を促進させることがで
きるようになり、より有効な推論規則のチューニングを
実施可能になる。
【0032】[3] 第3には、[1]項または[2]
項の発明において、チューニング対象となるファジィ制
御の推論規則のルールは、ファジィ推論規則の仕様に外
れるものを削除することを特徴とする。このようにする
と、仕様にそぐわない無用なルールを除外でき、推論規
則のチューニングを効率よく実施可能になる。
【0033】[4] また、第4には、ファジィ制御対
象のシステムに用いるメンバーシップ関数および推論規
則の自動生成方法であって、データ収集には制御対象シ
ステムの機械特性をモデル化した数学関係モデルを用
い、この数学関係モデルについて遺伝的アルゴリズムに
よる最適条件探索を行い、十分に収束する前の固体デー
タを出力させてこれらのうちの所定値以上の適合度を有
する固体データを収集することにより、ファジィ制御の
推論規則作成に必要な多様な条件下での制御対象システ
ムのデータを取得し、この収集したデータの総数がファ
ジィ制御の推論規則作成に足りる数に達したならば、似
たデータを集めてグループに分け、メンバーシップ関数
についてはそのグループ化したデータを用いて、入力変
数である前件部変数及び推論して求める変数である後件
部変数の各変数別に当該グループk内のデータの平均と
標準偏差値を計算し、グループ内のデータ分布の範囲
を、適宜なバンド幅に分割してデータ分布のヒストグラ
ムを作成し、正規化してヒストグラムの分布形状を求め
ることにより、これをメンバーシップ関数として得、こ
れを用いてグループでの変数およびその変数のメンバー
シップ関数の対によるそのグループ内での関係を表現し
たファジィ制御の推論規則を作成し、得られた推論規則
を構成する個別のチューニング前のルールとそのルール
に適用しているメンバーシップ関数に対してそれを遺伝
子表現し、これら遺伝子について遺伝子アルゴリズムを
適用すると共に、得られる子世代の遺伝子についてその
遺伝子から展開して得たルールおよびメンバーシップ関
数を用いてファジィ推論を実施し、適合度を求める処理
を所定の終了条件を満たすまで繰り返し、その間、適合
度の改善を進展させるべく、エイリアン法とバースト法
を適宜適用し、得られた各遺伝子について最良の適合度
を持つ遺伝子に対応するルールをチューニング済みのル
ールとして得るようにしたことを特徴とする。
【0034】ファジィ制御の推論規則を自動的に作成す
るには、まず幅広い条件のランダムな測定データを数多
く集める必要がある。しかし、実際には、限定された収
集データで規則を作成せざるを得ない場合が多い。
【0035】これを本発明では、少ない実測データを用
いて制御対象システムの機械特性をモデル化した数学関
係モデルを作成し、この数学関係モデルを用いて、遺伝
的アルゴリズムによる最適条件探索を行い、十分に収束
する前の固体データを出力させてこれらのうちの所定値
以上の適合度(FIT)を有する固体データを収集する
ことにより、ファジィ推論規則作成に必要な種々の条件
下での制御対象システムのデータを取得できるようにし
ている。
【0036】従って、本発明方法においては、少ない収
集データを最大限に活用してファジィ制御の推論規則作
成に必要な質の良い十分な量のデータを作成してファジ
ィ制御の推論規則作成に供することができる。
【0037】また、それに加えて本発明では、この遺伝
的アルゴリズム計算を実施して取得収集したデータの総
数がファジィ制御の推論規則作成に必要な数に達したな
らば、似たデータを集めてグループに分け、メンバーシ
ップ関数についてはそのグループ化したデータを用い
て、入力変数である前件部変数及び推論して求める変数
である後件部変数の各変数別に当該グループk内のデー
タの平均と標準偏差値を計算し、グループ内のデータ分
布の範囲を、適宜なバンド幅に分割してデータ分布のヒ
ストグラムを作成し、正規化してヒストグラムの分布形
状を求めることにより、これをメンバーシップ関数とし
て得、これを用いてグループでの変数およびその変数の
メンバーシップ関数の対によるそのグループ内での関係
を表現したファジィ制御の推論規則を作成する。
【0038】ファジィ制御では、ファジィ推論して求め
る変数を「後件部変数」と云い、それを求めるための入
力変数を「前件部変数」と云うが、ファジィ推論して求
める変数であるこの後件部変数としては機械の制御量な
どであり、それを求めるための入力変数が前件部変数で
ある。
【0039】ファジィ制御規則を作成するには、解析デ
ータの似たデータを集めてグループに分ける必要があ
る。似たデータを集めてグループに分けるのがクラスタ
処理であるが、グループ分けする前に、似たデータを見
つける作業が必要である。これはクラスタ分析と云い、
グループ分けしようとするデータ間の類似度を分析して
その分析結果から類似度の近いもの同士を同一グループ
にすると云った手法でグループ化を行う。
【0040】そして、メンバーシップ関数はグループ化
したデータを用いて次のようにして生成する。すなわ
ち、kなるグループ用のメンバーシップ関数Mk を生成
しようとする場合、まずはじめに、ある変数Xの当該グ
ループk内のデータの平均と標準偏差値を計算し、グル
ープ内のデータ分布の範囲を、適宜なバンド幅に分割
し、データ分布のヒストグラムを作成する。そして、次
に、ヒストグラムの最大値を“1”にして、ヒストグラ
ムの数値を修正する(すなわち、正規化する)。正規化
が済んだならば、次に各ヒストグラムの頂点を通る直
線、または、最大値“1”を通り、左右のヒストグラム
の頂点を含む直線を求め、メンバーシップ関数Mk の形
状を求める。そして、これを用いてグループでの変数お
よびその変数のメンバーシップ関数の対によるそのグル
ープ内での関係を表現したファジィ制御の推論規則を作
成する。
【0041】このように処理する結果、データ収集から
ファジィ制御の推論規則生成およびメンバーシップ関数
の生成に至るまでの生成処理を自動的に実施可能にな
る。
【0042】故に本発明によれば、少ない実測の測定デ
ータから、ファジィ規則作成に十分な量と質のデータを
得ることができ、データ収集の手間がかからなくなる
他、データ収集からファジィ制御の推論規則作成や、メ
ンバーシップ作成までの処理が、計算機内で自動生成処
理可能になるので、新しい制御対象システムを開発する
場合や新しい加工条件に対してもファジィ制御の推論規
則の自動更新が行えるようになってファジィ制御の推論
規則作成の手間が不要になり、制御対象システムを開発
・改良するに当たり、その開発費や、開発時間、そし
て、人材の削減に貢献できるようになる。
【0043】ルールとメンバーシップ関数を含む推論規
則が生成されたならば、本発明ではさらにこれを自動チ
ューニングして、制御精度を向上させる。すなわち、生
成された推論規則の個別のルールを遺伝子の情報に変換
し、このルールの遺伝子の情報を用いて遺伝子アルゴリ
ズムの適用により、新世代の遺伝子を得ると共に、その
遺伝子についてその遺伝子から展開して得たルールおよ
びメンバーシップ関数を用いてファジィ推論を実施し、
適合度を求める処理を所定の終了条件を満たすまで繰り
返し、その間、適合度の改善を進展させるべく、エイリ
アン法とバースト法を適宜適用し、得られた各遺伝子に
ついて最良の適合度を持つ遺伝子に対応するルールをチ
ューニング済みのルールとして得る。
【0044】ファジィ制御では個別のルールとメンバー
シップ関数の出来が制御精度に重大な影響を及ぼすの
で、如何にチューニングするかは重要な課題であるが、
従来は合理的な手法がなく、人手に頼ることとなってい
て、複雑なファジィ制御の推論規則の場合、対応できな
かった。しかし、本発明方法によれば、コンピュータに
よるチューニング処理の途を拓くことが可能になり、フ
ァジィ制御における推論規則のルールとメンバーシップ
関数を、制御対象システムの特性に合う内容に調整でき
るのでファジィ制御の精度向上を確保できるファジィ制
御の推論規則チューニング方法を提供できるようにな
る。
【0045】また、本発明では遺伝子アルゴリズムに、
エイリアン法とバースト法を適用するので、遺伝子の進
化が滞った場合においても、進化を促進させることがで
きるようになり、より有効な推論規則のチューニングを
実施可能になる。
【0046】本発明によるファジィ推論規則のチューニ
ングにおいては、遺伝的アルゴリズム(GA)を使用す
る。遺伝子情報としてルールを表現するには、ルールを
構成する前件部変数、後件部変数及びメンバーシップ関
数を番号で表わし、この番号の組合わせで推論規則の遺
伝子を構成するようにする。ただし、遺伝子が表現する
各変数の番号は、各変数の番号の最大値より少なくとも
1大きい数が表現できるようにする。
【0047】遺伝子を進化させていき、最良の適合度の
遺伝子を見つけてそれを採用することでその遺伝子情報
から展開して得られるルールが最適にチューニングされ
たルールとなるが、その際に無用な遺伝子は処理対象か
ら外す。すなわち、適合度を調べるには推論規則の遺伝
子を規則に展開するがそのとき、遺伝子の数値が対応す
る変数番号に無い場合は、その遺伝子情報は無視する。
また、無視された遺伝子が、前件部変数または後件部変
数の全てに現れた場合、その遺伝子が表現する推論規則
は無視する。これによって、推論規則のルール数、前件
部条件、後件部条件の数の調整を行う。そして、遺伝子
アルゴリズムの計算の短縮を図る。
【0048】遺伝子アルゴリズム計算を実施することに
より遺伝子の世代交代を重ねても、適合度が改善され
ず、返って全個体の適合度の平均値が小さくなることが
ある。このような場合、乱数の初期値を変更してGAの
再計算を行うのが普通であるが、そのようにしたからと
いって、さらに良い適合度が得られるとは限らない。徒
労に終わる場合も多いのである。
【0049】そこで、今までの計算世代の情報を利用し
て、より良い適合度を得る方向に導くことが可能な方法
としてエイリアン法とバースト法を適用する。エイリア
ン法は、幾つかの親個体の適合度値は変えず、遺伝子の
みを乱数で初期化する方法であり、世代交代でこの個体
が選択されれば、収束しつつある個体の遺伝子とは違っ
た遺伝情報が組込まれ、適合度値を変化させることがで
きる。
【0050】GAが進展して全個体の遺伝子内容が収束
している場合は、エイリアンの影響は一瞬である。この
ようになった場合、GA計算中に適合度の良い順位順に
個体情報を重複が無いように指定個数記録し、この個体
情報と乱数で親個体情報を初期化する。これを何回か繰
返しながら適合度値を改良する。この方法をバースト法
と呼ぶ。
【0051】これらエイリアン法とバースト法を適用し
た結果、遺伝子の進化が滞った場合においても、進化を
促進させることができ、より有効な推論規則のチューニ
ングを実施可能になる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施例について詳細を説明する。ここでは、まずはじ
めに推論規則とメンバーシップ関数を自動生成する手法
を説明し、次に、最終仕上げとしての微調整であるチュ
ーニングの具体例を説明する。
【0053】「データ生成とファジィ推論規則および関
数の生成」 (推論規則とメンバーシップ関数の生成手法)本発明の
基本的原理は、実際の測定データを収集して対象機械の
機械特性のモデルを例えば、ニューラルネットワークで
作成し、次に、この機械特性モデルモデルに遺伝的アル
ゴリズム(GA)を適用して最適な加工条件を求め、そ
の際、GA計算が十分収束しない(少ない世代数の)個
体データのうち、適合度(FIT)が良好なある値以上
のデータを解析データとして収集し、これを探索条件を
変えて収集することにより、十分な数の良質の解析用の
データを得、これら解析用のデータをクラスタ分析して
グループ分けしてこれより、各グループにおける変数毎
のメンバーシップ関数と推論規則を生成する。グループ
分けは、クラスタ分析結果の距離値データを大小2つに
分け、それらの分散の和が最小になる距離(分割距離)
のものを纏めることで行う。
【0054】メンバーシップ関数の形状は、あるグルー
プに含まれる1個の変数についてそのデータの平均と標
準偏差Sを求め、“−3S〜3S”の区間を適宜に分割
してヒストグラムを作成し、そのパターンから求める。
また、このようにして求めたグループそれぞれにおける
各変数とそれら各変数毎のメンバーシップ関数とを用い
てそのグループの入力と出力の関係を表現し、推論規則
とする。
【0055】本発明では、ファジィ制御の対象システム
を稼動させて実ファジィ制御の対象システムを稼動させ
て実測データを集め、これを入力変数、出力(評価)変数
に分け、ファジィ制御の対象システムについて、その機
械的特性に基づく前記入力変数と出力変数との関係を示
す数学関係モデルを作成することにより、この数学関係
モデルを使用しての遺伝的アルゴリズムによる各種条件
下でのデータ生成可能な環境を得ている。
【0056】前記数学関係モデルを使用して遺伝的アル
ゴリズムによる最適条件探索を実施すると、収束するに
至るまでの間に、ファジィ制御対象システムを各種条件
下で稼動したと同様の各種データが出現する。これによ
って、ファジィ規則作成のデータ数をいくらでも収集す
ることが可能な環境が確保できるようになる。
【0057】従って、上記数学関係(機械特性)モデル
に、GA(遺伝的アルゴリズム)を適用して、最適条件探
索を行い、初期状態から十分収束するに至るまでのGA
計算の途中結果の個体データを出力させ、これらのう
ち、適合度が許容値以上の入力データを残すことで、適
切なデータ選択が可能になり、このような処理を、目的
とする規則条件数に達するまで、探索条件を変えて繰り
返すことで質および量とも十分なデータを収集できるよ
うにする。
【0058】そして、生成したこのようなデータ群につ
いて、ファジィ推論の前件部変数、後件部変数を設定し
てデータを整理し、規則作成する。(ファジィ制御で
は、ファジィ推論して求める変数(これを後件部変数と
云う)は機械の制御量、例えば、回転数、圧力などであ
り、それを求めるための入力変数(これを前件部変数と
云う)は、探索条件、加工精度、温度になる。) このように、本発明方法においては、少ない収集データ
を最大限に利用してファジィ制御規則作成に必要なデー
タ量を作成することを可能にする。
【0059】<具体的実施例>以下、本発明の実施例に
ついて、図面を参照して説明する。本発明は、ファジィ
制御対象のシステムから得た基礎データを、入力変数、
出力(評価)変数に分け、当該ファジィ制御の対象システ
ムについて、その機械的特性に基づく前記入力変数と出
力変数との関係を示す数学関係モデルを作成し、これに
条件を変えて遺伝的アルゴリズムを適用した最適条件探
索を行って、収束途中でのデータを取得していくことに
より、種々の条件下でのデータを収集し、これら収集デ
ータを用いてファジィ推論の規則を生成や、メンバーシ
ップ関数生成をするようにする。
【0060】具体的に説明する。
【0061】本発明のデータ作成手順を図1および図2
にフローチャートで示す。
【0062】図1はファジィ制御の推論規則やメンバー
シップ関数の生成に必要な質の良いデータを十分な数だ
け収集する手法の手順を示すものであり、図2はそのよ
うにして収集されたデータを用いてファジィ制御の推論
規則やメンバーシップ関数の生成を行う手順を示したも
のである。具体的に説明する。はじめにデータ収集手順
を説明する。
【0063】ステップ[a]: まずはじめに、制御対
象のシステムを稼動させることにより得られる各種のデ
ータを基礎データとして収集する(図1のS1)。
【0064】基礎データは加工条件を変えて測定された
データで、その中には、回転数、圧力、温度などの加工
条件データと加工精度などの加工評価データが含まれ
る。加工条件は様々なものが欲しい訳であるが、一般的
には、設定できない条件や時間的制約、コストなどの関
係から、収集可能な条件と範囲は十分なものとはならな
い。
【0065】ステップ[b]: 次にステップ[a]で
得た基礎データを、入力変数、出力(評価)変数に分け、
ファジィ制御の対象システムについて、その機械的特性
に基づく前記入力変数と出力変数との関係を示す数学関
係モデルを作成する(図1のS2)。この数学関係モデ
ルは、ニューラルネットワークモデルとして作成する。
【0066】この数学関係モデル(ニューラルネットワ
ークモデル)を用い、後述するように遺伝的アルゴリズ
ムによる最適条件探索を行えば、様々な条件下でのデー
タをシミュレーション的に取得可能になり、ファジィ規
則作成のデータ数を増やすことが可能になる。
【0067】ここで、上述のニューラルネットワークモ
デルは、加工条件データを入力、加工評価データを出力
とする機械特性モデルで、測定データを教師データとし
て作成する。
【0068】ステップ[c]: 次にステップ[b]で
作成した上記数学関係(機械特性)モデルに、GA(遺伝
的アルゴリズム)を適用して、最適条件探索を行う。
【0069】すなわち、GAを使用して、最適な加工条
件を求めるわけである。GAでは、通常、数10個以上
の個体を使用して計算する。この個体は探索計算条件に
相当する。この個体の良否は適合度で評価される。従っ
て、GA計算が収束しないうちに、良好な適合度の個体
データを出力させて、データ収集する(図1のS4,S
5,S6)。つまり、GA計算において、最適条件探索
が十分に収束する前のGA計算の途中結果の個体データ
(すなわち、初期世代から計算収束前の世代である各途
中世代でのデータ)を得ることによって探索条件を変え
た多数のデータ取得が可能になるので、探索条件を変え
て取得される多数のデータのうち、良好な適合度の個体
データを収集すれば、質が良好で探索条件の異なる多数
のデータ収集することができる。
【0070】得られる個体データのうち、良好な適合度
のものをデータ収集するためには、図1のS4で求めら
れた個体データを図1のS5においてその適合度(個体
データの適合度の値)をチェックしてそれが許容値以上
のものか否かを調べることで選別できる(図1のS
5)。その結果、適合していればファジィ推論用データ
(解析用のデータ)とし、適合していなければ廃棄する
(図1のS6)。
【0071】この処理(GA計算と適合度のチェックそ
して、良好なものを取り込むと云う処理)を、目的とす
る規則条件数に達するまで、探索条件を変えて繰り返す
(図1のステップS3)。
【0072】このようにして質の良好なデータ(解析用
のデータ)を、十分な数だけ収集できることになる。
【0073】ここで遺伝的アルゴリズムとは、生物の進
化あるいは遺伝のメカニズムに着想を得て提案された確
率的な近似探索の1手法であり、初期解候補群の生成
後、各解候補の適合度の評価、及び次期解候補群を生成
するための選択・交叉・突然変異等の操作によって新し
く解候補群を逐次的に生成/評価し、より適合度の高い
解候補を探索していくアルゴリズムである。
【0074】この遺伝的アルゴリズムに関しては例え
ば、「伊庭、“遺伝的アルゴリズムの基礎”、オーム
社、1994年」等に詳しい。
【0075】遺伝的アルゴリズムは、進化と遺伝のメカ
ニズムを取り入れて適合度の高い解候補群を逐次的に生
成し、評価してより適合度の高い解候補を探索していく
と云うアルゴリズムであるから、いろいろな状況を右往
左往しながらも、最終的には最良の解に辿り着ける可能
性が高い。
【0076】この特徴に着目して本発明では、制御対象
システムに関するいろいろな条件下でのデータをシミュ
レーションによって取得できるようにするべく、この手
法を用いるようにするものであって、そのために、この
遺伝的アルゴリズム計算における途中経過時点での解候
補データに着目し、これら途中経過時点での解候補デー
タとシミュレーションによるその時点での制御対象シス
テムのデータを解析用のデータとして収集対象とする。
【0077】すなわち、GA計算では、入力値の設定
(探索条件設定)は乱数で行う。そのため、色々な設定
条件でのデータが自動的に得られることとなる。その一
方で、GA計算が進行し、収束すると、一定のデータし
か得られなくなる。
【0078】そこで、GA計算を実施し、計算が収束す
る前の段階までの間で得られるデータを収集する。すな
わち、初期世代から計算が収束する前の段階の世代まで
の間で得られるデータを収集する。そして、収集データ
から本当に必要なデータをふるい分けるために、収集デ
ータのうち、適合度が許容値以上のデータだけを残すよ
うにする。すなわち、遺伝的アルゴリズム(GA)で
は、通常、数10個以上の個体を使用して計算する。こ
の個体は探索計算条件に相当する。この個体の良否は適
合度で評価される。従って、GA計算が収束しない段階
の各世代(途中世代)で得られる様々な探索条件での解
候補のデータのうち、良好な適合度のものを収集するこ
とにより、推論規則作成に有用な多様な条件下でのシス
テムの各種データを解析用のデータとして収集すること
ができる。
【0079】図3はGA計算の出力例である。FITは
適合度であり、INPUTは入力変数に相当するもので
あって、前件部変数に該当し、また、OUTPUTは出
力変数に相当するものであって、後件部変数に該当す
る。これらのうちから、適合度FITが所定値以上を示
すものを収集することになる。
【0080】ステップ[e]: 目的とする規則条件数
に達するまで、探索条件を変えながら、前記ステップ
[c]およびステップ[d]の処理を繰り返すことによ
り、種々の条件でのデータ(解析用のデータ)を取得し
た結果、解析用として収集したデータの総数がファジィ
制御規則作成に必要な数に達したならば、図2のS11
の処理に移り、ファジィ推論の前件部変数、後件部変数
を設定して前記取得収集データについてデータ整理す
る。そして、これをファジィ制御の推論規則作成に供す
るようにする。
【0081】ファジィ制御では、ファジィ推論して求め
る変数を「後件部変数」と云い、それを求めるための入
力変数を「前件部変数」と云うが、ファジィ推論して求
める変数であるこの後件部変数としては機械の制御量、
例えば、制御対象システムが加工機であれば、その加工
機の回転数、圧力などであり、それを求めるための入力
変数である前件部変数は、探索条件、加工精度、温度等
が該当する。
【0082】制御規則作成に供するためのデータ(解析
用のデータ)の収集の具体例について触れておく。
【0083】ここでは、準備段階としての機械特性モデ
ル作成、そしてGA(遺伝的アルゴリズム)計算そのも
のの詳細については省略している。
【0084】通常、GA(遺伝的アルゴリズム)におけ
る最適条件探索では、GA計算結果の最良の適合度のデ
ータのみを抽出して解候補とするが、本発明におけるフ
ァジィ推論制御規則作成用データの収集にあたっては、
GA計算結果として得られた解候補のうち、最良の適合
度を示す解候補のデータではなく、指定した適合度以上
の範囲の適合度を示す解候補のデータを全て対象とする
ようにする。
【0085】すなわち、GA計算では、探索条件の入力
値の設定は乱数で行うので、色々な条件の設定データが
自動的に得られる一方、GA計算が進行し、収束する
と、一定のデータしか得られなくなるので、収束する以
前の初期の段階から収束直前(若しくは収束時点)まで
の間の各途中段階のデータを使用する。
【0086】このようにして、GA計算と適合度のチェ
ックそして、良好なものを取り込むと云う処理を、目的
とする規則条件数に達するまで、探索条件を変えて繰り
返す(図1のステップS3)ことで、質の良好なデータ
(解析用のデータ)を、十分な数だけ収集できることに
なる。
【0087】ファジィ制御では、ファジィ推論して求め
る変数(後件部変数)は機械の制御量、例えば、回転
数、圧力などであり、それを求めるための入力変数(前
件部変数)は、探索条件、加工精度、温度になる。
【0088】このように前件部変数、後件部変数をGA
の出力データを読み込んで収集し、解析用のデータとす
る。
【0089】ステップ[f]: 解析用のデータの収集
が終わると、次にこれらのうちから似たデータを集めて
グループに分ける。ファジィ制御の推論規則を作成する
には、解析用のデータのうち、似たデータを集めてグル
ープに分ける必要がある。そして、そのグループでのメ
ンバーシップ関数を変数毎に求めてそのメンバーシップ
関数および当該変数とを用い、そのグループ内での関係
を表現してファジィ制御の推論規則とする。
【0090】例えば、図4は、遺伝的アルゴリズム計算
により得られたデータ群のグループ分けの概念を説明す
るための図で、これらデータに含まれる変数の数分に相
当する多次元空間でのグループ分けを示す図であるが、
この図4で云うと、似たデータを集めてグループに分け
た結果として、“グループ1”、“グループ2”、“グ
ループ3”の3つのグループがあるとして、これらの1
つ1つのグループそれぞれに、そのグループでの変数お
よびその変数のメンバーシップ関数の対によるそのグル
ープ内での関係を表現することで、それぞれ適合する1
つのファジィ制御の推論規則を作成する。
【0091】具体的には、今、前件部変数をAi、そし
て、後件部変数をBjとし、グループ内で各変数がとる
メンバーシップ関数をMk とすると、推論規則は下式の
如きに表現できる。但し、i,j,k=1,2,3,4
… …である。
【0092】 IF(A1=M1)(A2=M2)… THEN(B1=M3)(B2=M4)… この推論規則は、「もし、各前件部変数が、メンバーシ
ップ関数M1 が適用される前件部変数A1 とメンバーシ
ップ関数M2 が適用される前件部変数A2 と…の集合体
としてのグループに該当するならば、選択する後件部変
数は、メンバーシップ関数M3 が適用される後件部変数
B1 とメンバーシップ関数M4 が適用される後件部変数
B2と… のグループに該当するものを選ぶ」という規
則を意味する。
【0093】上述したように、ファジィ制御規則を作成
するには、解析データの似たデータを集めてグループに
分ける必要がある。似たデータを集めてグループに分け
るのがクラスタ処理であるが、グループ分けする前に、
似たデータを見つける作業が必要である。これはクラス
タ分析と云い、次のような手法で実施できる。すなわ
ち、これはグループ分けしようとするデータXとデータ
Yがあったとして、これらデータ間の類似度を分析す
る。
【0094】そして、グループ分けはこのようなクラス
タ分析結果を用いて、類似度の近いもの同士を同一グル
ープに纏めると云った手法で行う。
【0095】データXとデータY間の類似度を求めるに
は、色々な表現法があるが、ユークリッド距離Lを利用
するのが手っ取り早い。ユークリッド距離Lは下式で求
めることができる。
【0096】L=(Σ(Xik−Yik)21/2 この処理がクラスタ分析である。これを各データについ
て計算し、距離Lが小さいデータを纏めることで、グル
ープ分けすることができる。ここで、データに対しての
クラスタ分析を実施すると、図5に示す如きの樹形図が
得られる。
【0097】クラスタ分析が終わったならば、次に上述
のデータのグループ分けをすることになる。これは上述
のように、距離Lが小さいデータを纏めるという処理で
あるが、具体的にはクラスタ分析結果をある距離Pで分
割することで実施できる。この分割距離Pは、距離Lの
数直線をP点で2分割し、この分割された数直線グルー
プの各分散σを計算し、当該2個の分散の和が最小にな
るPを求めて、同一グループとすることで得る。
【0098】この処理によって、クラスタ分析によるデ
ータの分割が自動化でき、データのグループ化が自動実
施できる仕組みが実現できる(図2のS11)。なお、
分割された数直線グループの各分散σは、次の式で求め
られる。
【0099】 そして、この分散を利用してメンバーシップ関数を求め
ることができる。具体的には、メンバーシップ関数は次
のようにして生成する。例えば、kなるグループ用のメ
ンバーシップ関数Mk を生成しようとする場合、次のよ
うにする。
【0100】まずはじめに、ある変数Xの当該グループ
k内のデータ平均値と標準偏差値、つまり、 標準偏差Sk(=(σk)1/2) を計算し、 の間を、すなわち、グループ内のデータ分布の範囲を、
適宜なバンド幅に分割し、データ{Xk }のヒストグラ
ム(そのバンドに入るデータの個数)作成する。このよ
うにして作成されたものが図6のヒストグラムである。
尚、図6では、標準偏差Sk のバンド幅で7分割してい
る。
【0101】次に、ヒストグラムの最大値を“1”にし
て、ヒストグラムの数値を修正する。すなわち、正規化
するわけである。正規化が済んだならば、次に各ヒスト
グラムの頂点を通る直線、または、最大値“1”を通
り、左右のヒストグラムの頂点を含む直線を求め、メン
バーシップ関数Mk の形状を求める。
【0102】これでkと云う特定のグループ用のメンバ
ーシップ関数Mk が生成されたことになる。
【0103】図7は、このようにして生成され、出力さ
れたファジィ推論規則例である。前件部変数部、後件部
変数部、メンバーシップ関数部、ファジィ推論部が示さ
れている。
【0104】前件部変数部と後件部変数部の構成は、
“変数番号”、“変数ラベル名”、“変数の変動範囲の
最小値”および“変数の変動範囲の最大値”である。ラ
ベル名と変数範囲は図3には記載していないが、GA
(遺伝的アルゴリズム)の出力データ、すなわち、ファ
ジィ推論規則作成の入力データに記載されている。
【0105】メンバーシップ関数部には、“メンバーシ
ップ関数の通し番号”、“折れ線メンバーシップ関数の
形状を表示する点の数”、“各点のX,Y座標”が示さ
れている。この規則作成ソフトでは、メンバーシップ関
数Mk の表示点数は図7に符号Aを付して示す一点鎖線
円で囲まれるグラフの如く、3点としてある。
【0106】推論規則は自動的に生成されるため、メン
バーシップ関数Mk と同様にルールのラベル名は未定
で、出力されない。ルール部は、前件部については“前
件部変数の番号”と“メンバーシップ関数の番号”の組
み合わせで示されている。後件部の構成も同様である。
メンバーシップ関数と同様に、ルールのラベル名は出力
されない。
【0107】図8は、上述の如き手法で自動生成するこ
とにより得られた図7に示す如きのファジィ推論規則を
用いてファジィ推論した場合の出力例である。“No.1”
の事例では、“前件部変数1”として値“110”、
“前件部変数2”として値“1434.08”、“前件
部変数3”として値“3.23”が与えられた時、“後
件部変数1”として値“263”、“後件部変数2”と
して値“180.2”、“後件部変数3”として値“4
5.2”なるファジィ推論結果が得られたことを示して
おり、これは、本来の目標値が“310”,“20
0”,“0”であって、目標値に対する誤差は“−4
6.1”,“−19.8”,“+45.2”である。
【0108】また、“No.2”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“9172.26”、“前件部変数3”として値“1
7.59”が与えられた時、“後件部変数1”として値
“269.6”、“後件部変数2”として値“180.
0”、“後件部変数3”として値“54.6”なるファ
ジィ推論結果が得られたことを示しており、これは、本
来の目標値が“310”,“200”,“100”であ
って、目標値に対する誤差は“−40.4”,“−2
0.0”,“+45.4”である。
【0109】また、“No.3”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“3874.52”、“前件部変数3”として値“8.
55”が与えられた時、“後件部変数1”として値“2
51.2”、“後件部変数2”として値“175.
2”、“後件部変数3”として値“53.4”なるファ
ジィ推論結果が得られたことを示しており、これは、本
来の目標値が“310”,“200”,“45.7”で
あって、目標値に対する誤差は“−58.8”,“−2
4.8”,“+7.7”である。
【0110】最終仕上げとしての微調整(すなわち、チ
ューニング)を施す必要があるにせよ、少ない実測デー
タを元に、不足分を自動生成し、さらにそれから推論規
則とメンバーシップ関数を自動生成して得たものを使用
してファジィ制御を実施したものとは思えないほどの推
論精度が確保されていることがわかる。
【0111】ここまでは、知的な制御が可能なシステム
を得るために必要なファジィ制御の推論規則作成に用い
るデータを収集する方法として、ファジィ制御の対象と
するシステムにて得た限られた測定データから、ファジ
ィ制御規則作成用の質・量ともに良好なデータを作成す
ると共にこのデータを使用して推論規則とメンバーシッ
プ関数を自動生成することを可能にするため、データ収
集には制御対象システムの機械特性をモデル化した数学
関係モデルを用い、この数学関係モデルについて遺伝的
アルゴリズムによる最適条件探索を行い、十分に収束す
る前の個体データを出力させてこれらのうちの所定値以
上の適合度を有する個体データを収集することにより、
ファジィ制御の推論規則作成に必要な種々の条件下での
制御対象システムのデータを取得できるようにした技術
を具体的に呈示した。
【0112】すなわち、ファジィ制御の推論規則を自動
的に作成するには、まず幅広い条件のランダムな測定デ
ータを数多く集める必要がある。しかし、実際には、限
定された収集データで規則を作成せざるを得ない場合が
多い。
【0113】これを本発明では、少ない実測データを用
いて制御対象システムの機械特性をモデル化した数学関
係モデルを作成し、この数学関係モデルを用いて、遺伝
的アルゴリズムによる最適条件探索を行い、十分に収束
する前の個体データを出力させてこれらのうちの所定値
以上の適合度を有する個体データを収集することによ
り、ファジィ推論規則作成に必要な種々の条件下での制
御対象システムのデータ(解析用のデータ)を取得でき
るようにしている。
【0114】従って、当該方法を採用することで、少な
い収集データを最大限に活用してファジィ制御の推論規
則作成に必要な質の良い十分な量のデータを作成してフ
ァジィ制御の推論規則作成に供することができる。
【0115】また、ここでは、遺伝的アルゴリズム計算
を実施することによって取得収集したデータの総数がフ
ァジィ制御の推論規則作成に必要な数に達したならば、
似たデータを集めてグループに分け、メンバーシップ関
数についてはそのグループ化したデータを用いて、入力
変数である前件部変数及び推論して求める変数である後
件部変数の各変数別に当該グループk内のデータの平均
と標準偏差値を計算し、グループ内のデータ分布の範囲
を、適宜なバンド幅に分割してデータ分布のヒストグラ
ムを作成し、正規化してヒストグラムの分布形状を求め
ることにより、これをメンバーシップ関数として得、こ
れを用いてグループでの変数およびその変数のメンバー
シップ関数の対によるそのグループ内での関係を表現し
たファジィ制御の推論規則を作成する。
【0116】ファジィ制御では、ファジィ推論して求め
る変数を「後件部変数」と云い、それを求めるための入
力変数を「前件部変数」と云うが、ファジィ推論して求
める変数であるこの後件部変数としては機械の制御量な
どであり、それを求めるための入力変数が前件部変数で
ある。
【0117】ファジィ制御規則を作成するには、解析デ
ータの似たデータを集めてグループに分ける必要があ
る。似たデータを集めてグループに分けるのがクラスタ
処理であるが、グループ分けする前に、解析用のデータ
中の似たデータ同士を見つける作業が必要である。これ
はクラスタ分析と云い、グループ分けしようとするデー
タ間の類似度を分析してその分析結果から類似度の近い
もの同士を同一グループにすると云った手法でグループ
化を行う。
【0118】そして、メンバーシップ関数はグループ化
したデータを用いて次のようにして生成する。すなわ
ち、kなるグループ用のメンバーシップ関数Mk を生
成しようとする場合、まずはじめに、ある変数Xの当該
グループk内のデータの平均と標準偏差値を計算し、グ
ループ内のデータ分布の範囲を、適宜なバンド幅に分割
し、データ分布のヒストグラムを作成する。そして、次
に、ヒストグラムの最大値を“1”にして、ヒストグラ
ムの数値を修正する(すなわち、正規化する)。正規化
が済んだならば、次に各ヒストグラムの頂点を通る直
線、または、最大値“1”を通り、左右のヒストグラム
の頂点を含む直線を求め、メンバーシップ関数Mk の
形状を求める。そして、これを用いてグループでの変数
およびその変数のメンバーシップ関数の対によるそのグ
ループ内での関係を表現したファジィ制御の推論規則を
作成する。
【0119】このように処理する結果、データ収集から
ファジィ制御の推論規則生成およびメンバーシップ関数
の生成に至るまでの生成処理を自動的に実施可能にな
る。
【0120】「チューニング方法」 (得られたメンバーシップ関数のチューニング)以上
は、推論規則とメンバーシップ関数を自動生成する手法
を説明した。次に、最終仕上げとしての微調整であるチ
ューニングの具体例を説明する。
【0121】任意の入力に対して望ましいファジィ推論
結果を出力するようにするには、メンバーシップ関数ば
かりでなく、ファジィ推論規則の調整も必要である。す
なわち、ファジィ推論はファジィ推論規則とそれを反映
する度合いを示すメンバーシップ関数とを使用してどの
ような入力に対してどのような出力とするかを演算して
求めるものであるから、系に即した最適結果が得られる
ように、メンバーシップ関数と、ファジィ推論規則をチ
ューニングする必要がある。
【0122】ファジィ推論規則は、設計者の制御知識に
係わるので、一般には、メンバーシップ関数のチューニ
ングが行われる。
【0123】メンバーシップ関数のチューニングは、人
手による試行錯誤的手法と、上述した如きの手法による
自動処理が可能なチューニング法がある。
【0124】ここでは、メンバーシップ関数のチューニ
ングを自動化し、複雑なファジィ推論規則のチューニン
グを可能にすると共に、異常なファジィ推論をするメン
バーシップ関数を作らない安定な自動的チューニング法
を提供する技術を説明する。また、チューニングの結
果、類似のメンバーシップ関数が出来た場合は、これを
整理してまとめ、メンバーシップ関数の数を自動的に減
らして、単純なファジィ推論規則に修正することができ
る自動的チューニング法を説明する。
【0125】メンバーシップ関数の基本的形状には幾つ
かの種類があり、勿論、本発明は複雑な形状でも適用可
能であるが、処理を単純化するためにはメンバーシップ
関数の形状は一般的な三角形のものを対象とする方が良
い。本発明では、自動化を目標にしているので、メンバ
ーシップ関数としては、一般的な三角形の形状のメンバ
ーシップ関数を対象にして説明する。そして、このメン
バーシップ関数について遺伝的アルゴリズム(GA)を使
用してチューニングを行う。GAで用いる遺伝子には整
数変数を使用すると共に、三角形のメンバーシップ関数
の形状を表わす3個のパラメータを、ファジィ変数範囲
とメンバーシップ関数の許容幅の情報を使用して整数に
変換してなる遺伝子情報を、メンバーシップの数だけ持
つ遺伝子を形成する。遺伝子を変化させる世代交代は、
個体の遺伝子をメンバーシップ関数に展開したファジィ
推論規則と、望ましい入力と出力のデータ(チューニン
グ用データ)を使用して行う。最も適合度の良い遺伝子
からメンバーシップ関数を決定する。この時、遺伝子が
同じメンバーシップ関数は同一として一つに纏め、推論
規則も変更する。
【0126】以下、チューニングの詳細を説明する。 (チューニングの具体例)ファジィ制御では推論規則を
反映させる度合いを決定付けるものとしてメンバーシッ
プ関数があり、その出来ばえが制御結果に重大な影響を
及ぼす。従って、そのチューニング良否はファジィ制御
の性能を左右することになる重要な作業である。従っ
て、ここではメンバーシップ関数のチューニングの具体
例について説明する。
【0127】図9に、メンバーシップ関数チューニング
の実施手順をフローチャートで示す。本発明におけるチ
ューニングには遺伝子アルゴリズムを用いる。
【0128】メンバーシップ関数チューニングはまずは
じめに、入力データを与えることから始める。すなわ
ち、チューニング対象のファジィ推論規則、GA計算の
条件、ファジィ推論チューニング用データを入力データ
として読込ませる(図9のステップS21,S22,S
23)。GA計算の条件としては、遺伝子を持つ個体数
などを与える。
【0129】次に、メンバーシップの遺伝子上の位置や
遺伝子全体の整数配列などと云った遺伝子構成を決定し
(図9のステップS24)、これが済んだならば次に個
体発生する(図9のステップS25)。
【0130】すなわち、ここではファジィ推論規則のメ
ンバーシップ関数を表現する遺伝子(メンバーシップ関
数の関数形状を、当該形状の代表点位置情報で表現した
もの)を作成し、この遺伝子を持つ個体を、GA計算条
件で指定された個数(数十から数百個)発生させる。個体
としては、親個体と子個体を同数作成する。そして、親
個体の遺伝子を初期化する。
【0131】そして、各個体別に、その個体の持つ遺伝
子の情報をメンバーシップ関数に展開して得た(つま
り、遺伝子の情報から元のメンバーシップ関数に戻す処
理をすることにより得た)当該メンバーシップ関数を適
用してファジィ推論を行い、その推論結果から遺伝子の
良好さを評価する適合度を求める処理を全個体について
実施する。
【0132】このとき、適合度の良好な遺伝子を持つ親
個体が確率的に選択され易いような方式(ルーレット方
式)で任意の2個の親個体を選択する。次に、これら選
択された2個の親個体の遺伝子を指定確率で交換し(交
叉)、子個体2個を作成する。交叉が生じない場合は、
親個体を子個体にコピーする。
【0133】このようにして作成した子個体の遺伝子に
対し、指定確率で遺伝子の任意のビットを反転する突然
変異を起こす。この操作を発生した個体数分行い、得ら
れた子個体遺伝子を親個体にコピーして世代交代を行う
(図9のステップS26)。
【0134】このようにして世代交代された新しい親個
体に対して前述の適合度計算を実施する(図9のステッ
プS27)。
【0135】この時、計算した全世代で最大な適合度値
の個体情報を記録する(図9のステップS28)。
【0136】このような世代交代のGA計算を、指定さ
れた世代数に達するか、または、最大の適合度値が指定
された適合度値を超えるか、または他の終了条件が満た
されるまで行う(図9のステップS29,S26,S2
7,S28)。
【0137】GA計算が終了したならば、最大適合度の
個体情報を取り出し(図9のステップS30)、最大適
合度の遺伝子のメンバーシップ関数情報に同一のものが
有るか否かをチェックし、同一のものがある場合には、
一つに統合して関連するルール(推論規則)も整理する
(図9のステップS31,S32)。そして、ファジィ
推論ルールとして出力する(図9のステップS33)。
【0138】このようにして、ファジィ推論のメンバー
シップ関数のチューニングを行う。
【0139】<チューニング対象の三角形メンバーシッ
プ関数>図10は、本発明がチューニング対象としてい
る三角形メンバーシップ関数の例を示す図である。横軸
(X軸)が変数値、縦軸(Y軸)がグレード値である。
三角形メンバーシップ関数の形状は図のP1,P2,P
3の3点の座標で決定される。ここでは、頂角点のP2
のグレード値は“1”,P1とP3はグレード値“0”
の点とする。
【0140】従って、三角形メンバーシップ関数は、P
1,P2,P3のX座標値である3個の変数値X1,X
2,X3で表現できる。
【0141】なお、P1,P2,P3が変数変動範囲の
最小値Xmin と最大値Xmax 内で定義される場合、例え
ばP1点とP2点の中間に位置するP1′点位置のよう
な場合は、P1′の座標値から比例計算でP1のX座標
値X1を求める。また逆に、P1のX座標値X1から比
例計算でP1′の座標を求めることもできる。
【0142】ここで、メンバーシップ関数の特性として
は、頂角位置のX座標値X2がX1≦X2≦X3の範囲
である必要である。そのため、遺伝子情報がこの関係を
満たすように、整数値α,βを用いて X1=X2−α、 X3=X2+β とする。つまり、頂角点のX座標値から左方向にαだけ
離れたX座標位置にX1があり、頂角点のX座標値から
右方向にβだけ離れたX座標位置にX2があると云う関
係が必ず成立する。
【0143】そのため、三角形メンバーシップ関数を表
わす遺伝子は頂角点の変数値X2とその相対差を示す数
値である整数値α,βとを用いて図11に示す如きに構
成する。また、頂角点の変数値X2は Xmix ≦X2≦Xmax とする。また、整数値αとβの最大値は、GA計算条件
で入力設定する。
【0144】遺伝子アルゴリズムにおける遺伝子は、遺
伝子アルゴリズムを実行するプログラム上では整数配列
または文字列で表現する。ここでは、整数配列の遺伝子
表現の場合について説明する。
【0145】<整数配列の遺伝子表現と個体>上述した
ように、本発明ではメンバーシップ関数は三角形の形状
に表現されたものを使用している。この三角形メンバー
シップ関数を表わす遺伝子は“X2”、“α”、“β”
の順に並べた整数配列で表現される。
【0146】すなわち、三角形メンバーシップ関数を遺
伝子アルゴリズムを使用してチューニングする場合、当
該三角形メンバーシップ関数を遺伝子表現する必要があ
る。メンバーシップ関数は三角形の形状で、X軸に位
置、Y軸にグレードがとられるが、頂角点のX座標位置
をX2、その他の2点がX2からの相対差で表すことが
でき、グレードは“1”から“0”の範囲であるので、
上記相対差を整数の変数αとβで表すとすれば、メンバ
ーシップ関数としての三角形の形状は“X2”、
“α”、“β”で表すことができる。そして、メンバー
シップ関数を遺伝子表現すると云うことは、メンバーシ
ップ関数としての三角形の形状を表現すると云うことで
あり、当該三角形状を示す遺伝子の表現を整数配列で行
う場合には、三角形の形状を示すための前記“X2”、
“α”、“β”を「“X2”、“α”、“β”」の順に
並べた表現が、グレード“1”をとる“X2”位置を中
心位置に、その左に“α”分、そして、右側に“β”分
の範囲がこの場合でのメンバーシップ関数を表す整数配
列表現の遺伝子と云うことになる。
【0147】つまり、“X2”、“α”、“β”の順に
これらを整数として並べた表現が、目的の形状の三角形
の頂点P1,P2,P3をX座標値X1(=X2−
α),X2,X3(=X2+β)で表した内容(情報)
を持つことになり、これが目的の形状の三角形を示す情
報を持つ遺伝子ということになる。
【0148】また、これらX2、α、βそれぞれの構成
ビット数、或いは対応の最大整数値を決めるが、これら
は分割数(メンバーシップ関数のX軸方向範囲をいくつ
に分割するかを示す数)などでGAの計算条件入力によ
り設定する。
【0149】分割数の代わりに刻み幅(メンバーシップ
関数のX軸方向範囲を分割する1分割当たりの幅)で設
定された場合、例えば刻み幅△Xが指定された場合、頂
角点を示す変数値X2を表現する最大の整数値Vxは Vx=int((Xmax −Xmix )/△X)+1 (但し、int は答えとして整数部のみをとることを表
す)となり、この整数を表現するビット数を求める。ま
た、このビット数で表現できる最大の整数値をVxと置
き直して、△Xを修正する。例えば、刻み幅△Xが
“1”でその時の表現可能最大整数値Vxが“100”
であった場合、“100”を表現するに必要なビット数
は7ビットであり、また、7ビットで表現可能な最大整
数Vx2は“127”である。
【0150】従って、△Xは △X=100/127=0.788 と修正する。なお、Xmin ,Xmax は、ファジィの推論
規則データから読取る。整数のVx2(頂角点P2のX
座標位置X2に対して定めた構成ビット数で表現可能な
最大整数)からは、下式で頂角点P2のX座標位置X2
を求めるようにする。すなわち、 X2=Vx2×△X+Xmin である。また、α、βについても、その最大値とその分
割数や刻み幅を使用して、同様に行う。
【0151】このようにして、X2、α、βを表現する
に必要なビット数を求め、メンバーシップ関数の個数分
の全ビット数を求める。そして、この求めた全ビット数
と整数表現のビット数とから整数配列個数を求める。遺
伝子を文字列で持つ場合は、同様に文字列の長さを求め
る。そして、各個体毎に配列宣言をして、個体を形成す
る。
【0152】尚、図12に示す如く、“個体”は“遺伝
子”と“適合度値”の組合わせの構成を持つものであ
る。
【0153】ここで適合度値は、遺伝子、すなわち、個
体の良否を判定する数値である。当該適合度値は、
“0”から“1”の間の数値であって、“1”に近いほ
ど良い遺伝子の評価になる。この適合度値の計算は、チ
ューニング対象データの前件部データをファジィ推論の
入力として与え、推論結果の出力値Yとチューニング対
象データの後件部変数の値Y0とから、適合度関数を使
用して求める。
【0154】<適合度関数>ここで、適合度関数は三角
形型と指数関数型とがあって、例えば、図13に示す如
きものである。但し、当該図13では、メンバーシップ
関数と同様の三角形型の適合度関数を示しており、Y
a,YbはGA計算条件で与える。
【0155】図14は指数関数を使用した適合度関数の
例である。この式中で推論結果の出力値Yは、 Y=YO−Y で与え、aの定数はGA計算条件で与える。後件部変数
の数をNpostとすると、1個のチューニングデータ当た
りNpost個の適合度値Fiが得られる。従って、チュー
ニングデータ1個分の適合度Fk を下式で求める。
【0156】 また、チューニン用データ数をNdataとして、全チュー
ニングデータに対する適合度Fitnessは、 として、このFitnessの値を個体の適合度とする。
【0157】なお、ルーレット方式による親個体の選択
法や世代交代については、遺伝的アルゴリズムにおける
一般的な技術であるから、ここでは深くは触れない。 <遺伝子の変形法>図15は交叉法による、そして、図
16は突然変異による遺伝子の変形法である。図15の
交叉法では二種の親遺伝子の中間をとって二種の子遺伝
子に変形しており、図16は親遺伝子について部分的に
ビット反転することによって突然変異を引き起こしてい
る様子を示している。この他に、遺伝子の順番を逆にす
る転位法による遺伝子の変形法がある。
【0158】<ファジィ制御推論規則の入力データ例>
図17はチューニングのために入力するチューニング対
象のファジィ推論規則のデータ例である。図1および図
2の処理を実施することにより自動生成したファジィ推
論規則のデータ(先の例では図7)をチューニング対象
とするならば、得られた図7のデータを入力することに
なる。但し、図7は説明のために、項目名などを付記し
たので、実際には図17に示す如き中味の部分を中心に
無用なものは省いたデータとして与えることになる。
【0159】これにより、前件部変数、後件部変数、メ
ンバーシップ関数、ファジィ推論ルールが示されたデー
タとして入力することができる。前件部変数、後件部変
数は、変数番号と変数名称、各変数範囲の最小値と最大
値が示されている。メンバーシップ関数には、メンバー
シップ番号と三角形メンバーシップ関数のP1、P2,
P3のXとYの座標データを示している。なお、このフ
ァジィ推論では、変数をその最小値と最大値を使用し
て、“0”〜“1”の数値に変数変換してファジィ推論
を行っている。従って、メンバーシップ関数のX座標の
値も“0”〜“1”の数値になっている。また、ファジ
ィ制御の推論ルール(推論規則)は、“if”から“t
hen”の間が前件部の条件、“then”以降が後件
部の条件を表わしている。この左の数値は変数番号、右
の数値はメンバーシップ関数の番号である。
【0160】<GA計算条件データ例>次に、GA計算
条件のデータ例を示す。GA計算条件データ例は図18
に示す如きであって、チューニング対象データのファイ
ル名指定、X2,α,βの分割数、α,βの最大値指
定、遺伝子の初期設定条件を指定している。この例での
ファジィ推論は、変数を内部の処理により“0”〜
“1”に変数変換しているので、ここでの指定はこの最
大値“1”を越えた設定をしている。
【0161】上記の遺伝子の初期設定条件は、読み込ん
だファジィ規則のメンバーシップ関数データを、30
[%]の個体に初期値としてコピーし、残りは乱数で初
期化することを意味している。その他、個体数、最大世
代数、交叉と突然変異の生起確率、適合度の許容値、適
合度関数の定数値、計算途中経過の出力問隔などを指定
している。
【0162】このGA計算では、適合度は図14に示し
た如きの関数型を使用している。なお、ここで指定した
定数値は適合度関数の1/aの数値である。
【0163】図19はチューニング用データの例であっ
て、ファジィ推論の前件部変数の数値と、それに対応す
る望ましい後件部変数の数値の組合わせの17データ分
を示している。
【0164】図20は本発明によるメンバーシップ関数
チューニング法でチューニングしたファジィ推論規則例
である。この例では、重複したメンバーシップ関数が無
いので、メンバーシップ関数の統合、ルールの変更は行
われていない。従って、図17のオリジナルのファジィ
推論規則とは、メンバーシップ関数のデータのみが変更
されているだけで、他は変わりない。
【0165】図21は、図1および図2の手法を実施し
て得たオリジナルのファジィ推論出力と、これを本発明
方法にてチューニングして得たチューニング済みファジ
ィ推論出力を比較した、表である。代表として3個のチ
ューニングデータを使用している。図からわかるよう
に、総じてチューニング後の推論精度がオリジナルのも
のより改善されていることがわかる。
【0166】すなわち、図1および図2で説明した如き
手法で自動生成することにより得られた図7に示す如き
のファジィ推論規則を用いてファジィ推論した場合に図
8に示した如きの出力例であったものが、本発明のチュ
ーングをメンバーシップ関数に対して施したことによ
り、図21に示す如く、チューニング前の“No.1”の事
例では、“前件部変数1”として値“110”、“前件
部変数2”として値“1434.08”、“前件部変数
3”として値“3.23”が与えられた時、“後件部変
数1”として値“263”、“後件部変数2”として値
“180.2”、“後件部変数3”として値“45.
2”なるファジィ推論結果となっていたものがチューニ
ング後では“後件部変数1”として値“225.4”、
“後件部変数2”として値“144.2”、“後件部変
数3”として値“27.2”なるファジィ推論結果が得
られたことを示している。
【0167】この場合には、本来の目標値が“31
0”,“200”,“0”であって、目標値に対する誤
差はチューニング前が“−46.1”,“−19.
8”,“+45.2”であったのが“−84.6”,
“−55.8”,“+27.2”となっている。
【0168】また、“No.2”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“9172.26”、“前件部変数3”として値“1
7.59”が与えられた時、チューニング前では“後件
部変数1”として値“269.6”、“後件部変数2”
として値“180.0”、“後件部変数3”として値
“54.6”なるファジィ推論結果となっていたものが
チューニング後では“後件部変数1”として値“30
8.5”、“後件部変数2”として値“198.9”、
“後件部変数3”として値“98.7”なるファジィ推
論結果が得られたことを示している。
【0169】この場合には、本来の目標値が“31
0”,“200”,“100”であって、目標値に対す
る誤差はチューニング前が“−40.4”,“−20.
0”,“+45.4”であったものが“−1.5”,
“−1.1”,“−1.3”となっている。
【0170】また、“No.3”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“3874.52”、“前件部変数3”として値“8.
55”が与えられた時、チューニング前では“後件部変
数1”として値“251.2”、“後件部変数2”とし
て値“175.2”、“後件部変数3”として値“5
3.4”なるファジィ推論結果となっていたものが、チ
ューニング後では“後件部変数1”として値“247.
3”、“後件部変数2”として値“176.9”、“後
件部変数3”として値“45.1”なるファジィ推論結
果が得られたことを示している。
【0171】この場合、本来の目標値が“310”,
“200”,“45.7”であって、目標値に対する誤
差はチューニング前が“−58.8”,“−24.
8”,“+7.7”であり、チューニング後が“−6
2.7”,“−23.1”,“−0.1”である。
【0172】最終仕上げとしての微調整(すなわち、チ
ューニング)をファジィ推論のメンバーシップ関数に対
して施した結果、総じてチューニング後の推論精度はオ
リジナルのもの(もとのもの)より改善されていること
がわかる。
【0173】ここで説明した実施例は知的な制御が可能
なシステムを得るために必要なファジィ制御の推論に用
いるメンバーシップ関数の自動チューニングの方法を提
供するものであって、ファジィ推論に用いられるメンバ
ーシップ関数について、遺伝子表現して遺伝子アルゴリ
ズムを適用し、得られる子世代の遺伝子についてその遺
伝子から展開して得たメンバーシップ関数を用いてファ
ジィ推論を実施し、適合度を求める処理を所定の終了条
件を満たすまで繰り返し、得られた各遺伝子について最
良の適合度を持つ遺伝子に対応するメンバーシップ関数
をチューニング済みのメンバーシップ関数として得るよ
うにしたものである。すなわち、ファジィ推論に用いら
れるメンバーシップ関数を遺伝子表現することにより遺
伝子アルゴリズムを適用した計算処理ができるので、フ
ァジィ推論規則に含まれているメンバーシップ関数につ
いて、遺伝子表現して遺伝子アルゴリズム計算処理を
し、得られる子世代の遺伝子についてはその遺伝子から
展開して得たメンバーシップ関数を用いてファジィ推論
を実施し、適合度を求める処理を行う。親個体の遺伝子
を用いた新世代の個体発生を、遺伝子の突然変異操作を
交えつつ、所定の終了条件を満たすまで繰り返すという
遺伝子アルゴリズム計算処理を繰り返すことで得られた
各遺伝子について、最良の適合度を持つ遺伝子を求め、
この遺伝子に対応するメンバーシップ関数をチューニン
グ済みのメンバーシップ関数として得ることで、メンバ
ーシップ関数のチューニングの自動化が可能になる手法
が実現できるものである。
【0174】特に本実施例では、ファジィ推論に用いら
れるメンバーシップ関数を、そのメンバーシップ関数の
関数形状を、当該形状の代表点位置情報で表現した形式
に作成して遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体を、遺伝
子アルゴリズム計算条件で指定された個数発生させ、各
個体についてはその個体の持つ遺伝子の情報をメンバー
シップ関数に展開する処理をして得た(遺伝子の情報か
らメンバーシップ関数に戻す処理をして得た)当該メン
バーシップ関数を適用してファジィ推論を行い、その推
論結果から遺伝子の良好さを評価する適合度を求める処
理を全個体について実施し、適合度の良好な遺伝子を持
つ個体が確率的に選択され易い方式(ルーレット方式)で
任意の2個体を選択し、これら両個体の遺伝子を指定確
率で交換(交叉)することにより、新たな異種遺伝子を作
成して当該遺伝子に対し、突然変異を起こす操作を実施
して得られた遺伝子を持つ子個体を作成して新世代と
し、新世代の個体に対して前記適合度計算を実施するこ
とにより適合度を求める処理を、指定された世代数に達
するか、または、最大の適合度値が指定された適合度値
を超えるか、または他の終了条件が満たされるまで行
い、その後、適合度最良の個体を選定してその個体の遺
伝子を展開することにより、得られるメンバーシップ関
数をチューニング済みメンバーシップ関数として得るよ
うにしたものである。さらには、チューニング済みメン
バーシップ関数について、同一のものが有るか否かをチ
ェックし、同一のものがある場合には、一つに統合して
関連するルール(推論規則)も整理するように処理す
る。
【0175】このような本実施例では、ファジィ推論に
用いられるメンバーシップ関数を、そのメンバーシップ
関数の関数形状を、当該形状の代表点位置情報で表現し
た形式に作成して遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体
を、遺伝子アルゴリズム計算条件で指定された個数発生
させ、各個体についてはその個体の持つ遺伝子の情報を
メンバーシップ関数に展開する処理をして得た(遺伝子
の情報からメンバーシップ関数に戻す処理をして得た)
当該メンバーシップ関数を適用してファジィ推論を行
い、その推論結果から遺伝子の良好さを評価する適合度
を求める処理を全個体について実施する。そして、適合
度の良好な遺伝子を持つ個体が確率的に選択され易い方
式(ルーレット方式)で任意の2個体を選択し、これら両
個体の遺伝子を指定確率で交換(交叉)することにより、
新たな異種遺伝子を作成して当該遺伝子に対し、突然変
異を起こす操作を実施して得られた遺伝子を持つ子個体
を作成して新世代とする。そして、新世代の個体に対し
て前記適合度計算を実施することにより適合度を求める
処理を施す。このような処理を指定された世代数に達す
るか、または、最大の適合度値が指定された適合度値を
超えるか、または他の終了条件が満たされるまで行い、
その後、適合度最良の個体を選定する。そしてその選定
した個体の遺伝子を展開することにより、得られるメン
バーシップ関数をチューニング済みメンバーシップ関数
として得る。これによって、メンバーシップ関数のチュ
ーニングの自動化が可能になるチューニング法が得られ
ることになる。
【0176】すなわち、メンバーシップ関数のチューニ
ングを自動化し、複雑なファジィ推論規則のチューニン
グを可能にすると共に、異常なファジィ推論をするメン
バーシップ関数を作らない、安定な自動的チューニング
法を提供できることになる。
【0177】また、本発明方法を適用した場合に、チュ
ーニング済みメンバーシップ関数について、同一のもの
が有るか否かをチェックし、同一のものがある場合に
は、一つに統合して関連するルール(推論規則)も整理
するように処理する。
【0178】ファジィ推論の推論規則は、入力(前件部
変数)と出力(後件部変数)の関係を変数の要素とその
要素の反映の度合いを示すメンバーシップ関数との組み
合わせで記述するが、チューニング済みメンバーシップ
関数に同一のものが有る場合には、一つに統合して関連
するルール(推論規則)も整理することから、メンバー
シップ関数の数を自動的に減らして、単純なファジィ推
論規則に修正することができるようになる。
【0179】従って、本実施例によれば、メンバーシッ
プ関数のチューニングを自動化し、複雑なファジィ推論
規則のチューニングを可能にすると共に、異常なファジ
ィ推論をするメンバーシップ関数を作らない、安定な自
動的チューニング法を提供でき、チューニング結果、類
似のメンバーシップ関数が出来た場合は、これを整理し
てまとめ、メンバーシップ関数の数を自動的に減らし
て、単純なファジィ推論規則に修正することができる自
動的チューニング方法を提供できる。
【0180】ここで注意しておきたいことは、ファジィ
推論精度改善にあたって、ファジィ推論のメンバーシッ
プ関数だけのチューニングでは、その推論精度改善に限
度があると云う点である。
【0181】任意の入力に対して望ましいファジィ推論
結果を出力するようにするには、メンバーシップ関数ば
かりでなく、ファジィ推論規則の調整も必要である。す
なわち、ファジィ推論はファジィ推論規則とそれを反映
する度合いを示すメンバーシップ関数とを使用してどの
ような入力に対してどのような出力とするかを演算して
求めるものであるから、系に即した最適結果が得られる
ように、メンバーシップ関数と、ファジィ推論規則をチ
ューニングする必要がある。
【0182】ファジィ推論規則は、設計者の制御知識に
係わるので、一般には、メンバーシップ関数のチューニ
ングが行われる。
【0183】メンバーシップ関数のチューニングは、人
手による試行錯誤的手法と、上述した如きの手法による
自動処理が可能なチューニング法がある。しかし、メン
バーシップ関数のチューニングだけでは、ファジィ推論
精度に限界が有り、その場合には制御設計者が試行錯誤
的に制御規則を変更・調整、即ちチューニングを行うよ
うにしていた。これでは、多大な労力と時間を要し、ま
た、ファジィ制御の推論規則を自動生成するシステムを
構成する場合に、最期の一番重要な部分が自動化できな
いことになる。そこで、次にこの点を解消できるように
する自動化技術について触れておく。
【0184】(ファジィ推論規則の自動チューニング)
ファジィ推論のメンバーシップ関数だけのチューニング
では、ファジィ推論精度改善に限度がある。その場合、
ファジィ制御しようとする対象システム(制御対象とす
る機械)を熟知している設計者が推論の制御規則を修正
することになるが、推論の制御規則を修正するだけでは
済まず、これと同時にメンバーシップ関数も修正しなけ
ればならず、そのため、非常に手間を要する。
【0185】一方、ファジィ制御しようとする対象シス
テムの特性が複雑であって因果関係が把握されていない
ような場合、上述の実施例で説明した如き手法を用いて
ソフトウエアによる演算処理により自動的にファジィ制
御規則を作成すると開発時間、開発コストおよび開発要
員などの面で大幅に合理化できるメリットがある。
【0186】すなわち、ファジィ制御しようとする対象
システムを動作させて特性データを測定収集し、ソフト
ウエアによる演算処理によって自動的にファジィ制御規
則を作成するわけである。
【0187】しかし、このようにしてファジィ制御規則
を自動作成した場合、ファジィ制御しようとする対象シ
ステムの特性が複雑であると云う点から、どうしても推
論規則やメンバーシップ関数の数が多くなる。そして、
このことにも起因するが、推論規則とメンバーシップ関
数の意味の解釈が困難となり、マンパワーでの推論規則
とメンバーシップ関数のチューニングは、不可能となる
ことが多い。
【0188】従って、このような点に対処できるように
するために、ここではファジィ推論規則の自動チューニ
ング法を説明し、さらにファジィ推論規則とメンバーシ
ップ関数の両方を同時に自動チューニングする方法を説
明する。
【0189】これによって、ファジィ推論規則のチュー
ニング時間の短縮、ファジィ推論精度の向上、自動的に
作成されたファジィ推論規則のチューニングの容易化が
実現できる。
【0190】ここで説明するチューニング方法において
も、「メンバーシップ関数のチューニング」と同様に、
遺伝的アルゴリズム(GA)を使用する。GAは、個体
の適合度値を大きくする計算アルゴリズムである。しか
し、適合度の改善が進まない場合が多い。従って、チュ
ーニング時間の短縮とファジィ推論精度の向上のため
に、GA計算中に適合度の改善が進まない場合に対処で
きるようにするよう、本実施例では効率的に適合度を改
善する手法をも提案する。
【0191】<ファジィ推論規則のルールのチューニン
グ方法の概要>この実施例におけるファジィ推論規則の
チューニング方法は、「メンバーシップ関数のチューニ
ング方法」の場合と同様に、遺伝的アルゴリズム(G
A)を使用する。ファジィ推論の推論規則は、入力であ
る前件部変数と出力である後件部変数の関係を変数の要
素とその要素の反映の度合いを示すメンバーシップ関数
との組み合わせで個別のルールを記述する。従って、推
論規則の個別のルールの遺伝子は、前件部変数、後件部
変数及びメンバーシップ関数を番号で表わし、この番号
の組合わせで構成する。ただし、遺伝子が表現する各変
数の番号は、各変数の番号の最大値より少なくとも1大
きい数が表現できるようにする。
【0192】一方、推論規則の遺伝子を推論規則に展開
するとき、遺伝子の数値が対応する変数番号に無い場合
にはその遺伝子情報は無視する。また、無視された遺伝
子が、前件部変数または後件部変数の全てに現れた場
合、その遺伝子が表現する推論規則は無視する。
【0193】これによって、推論規則のルール数、前件
部条件、後件部条件の数の調整を行う。
【0194】1つのファジィ規則を表現する遺伝子の構
成は、前件部条件の表現部分からなる。この遺伝子の構
成を推論規則の個数分集めて、ファジィ推論規則を表わ
す個体の遺伝子になる。
【0195】ファジィ推論規則とメンバーシップ関数を
同時にチューニングする場合は、上記のファジィ推論規
則の遺伝子と上記の“「チューニング方法」”における
“(メンバーシップ関数のチューニング方法)”の項に
おいて説明した遺伝子を組合わせて、個体遺伝子を作成
する。
【0196】GA計算で世代交代を重ねても、適合度が
改善されず、返って全個体の適合度の平均値が小さくな
ることがあるが、このような場合、乱数の初期値を変更
してGAの再計算を行うのが普通であるが、それによ
り、さらに良い適合度が得られるとは限らない。
【0197】そこで、今までの計算世代の情報を利用し
て、より良い適合度を得る方法を提案する。
【0198】1つは幾つかの親個体の適合度値は変え
ず、遺伝子のみを乱数で初期化する方法であって、これ
をエイリアン法と呼ぶ。世代交代でこの個体が選択され
れば、収束しつつある個体の遺伝子とは違った遺伝情報
が組込まれ、適合度値が変化する。
【0199】GAが進展して全個体の遺伝子内容が収束
している場合は、エイリアンの影響は一瞬である。この
ようになった場合、GA計算中に適合度の良い順位順に
個体情報を重複が無いように指定個数記録し、この個体
情報と乱数で親個体情報を初期化する。これを何回か繰
返しながら適合度値を改良する。この方法をバースト法
と呼ぶ。
【0200】<ルールに対するチューニングの概要>図
22に、ルールに対するチューニングの実施手順の概要
を示す。
【0201】対象ファジィ推論規則、GA計算条件、フ
ァジィ推論チューニング用データを入力して計算する手
順は、遺伝子アルゴリズムを用いる前述の「メンバーシ
ップ関数のチューニング法」とほぼ同様である。但し、
ここでは、世代交代の手順にエイリアン法が更に含ま
れ、交叉法、突然変異と共にエイリアン法の三種で進化
を遂げることができるようにしてある。また、GA計算
中に親個体を初期化するバーストの処理を新提案手順と
して含めている。
【0202】図22に示すファジィ推論規則のチューニ
ングの実施手順を説明する。推論規則のチューニングは
まずはじめに、入力データを与えることから始める。す
なわち、チューニング対象のファジィ推論規則、GA計
算の条件、ファジィ推論チューニング用データを入力デ
ータとして読込ませる(図22のステップS41,S4
2,S43)。ファジィ推論規則データとしては前件部
変数としてその個数、変数範囲、後件部変数としてその
個数、変数範囲、メンバーシップ関数としてその個数と
形状、ファジィ推論規則としてその個数と内容等のデー
タである。また、GA計算の条件としては、ファジィ変
数範囲の分解数、個体数、最大計算世代数、適合度の許
容値、遺伝子交叉の発生率、遺伝子突然変異の発生率な
どである。
【0203】次に、ファジィ推論の規則の規則、メンバ
ーシップ関数の表現ビット数、遺伝子上の位置や遺伝子
全体の整数配列などと云った遺伝子構成を決定し(図2
2のステップS44)、これが済んだならば次に個体発
生する(図22のステップS45)。
【0204】すなわち、ここではファジィ推論規則の内
容を表現する遺伝子を作成し、この遺伝子を持つ個体
を、GA計算条件で指定された個数(数十から数百個)発
生させる。個体としては、親個体と子個体を同数作成す
る。そして、個体の配列を確保し、親個体の遺伝子を初
期化する。また、バーストの場合はバーストの個体記録
用配列を確保する。
【0205】そして、バースト発火オンであるか否かを
チェックし、バースト発火がオフならば世代交代をする
(図22のステップS46,S47)。また、バースト
発火がオンならば、初期化(親個体の指定割合をバース
ト個体記録データで置換し、他の個体の遺伝子を乱数で
設定する)し、ステップS49の処理に移る(図22の
ステップS48)。
【0206】ステップS47での世代交代処理は、一部
の親個体の遺伝子を乱数で置き換え(エイリアン)、親
個体から子個体を交叉法や突然変異などの手法にて作成
し、個々体遺伝子を親個体にコピーすると云ったことで
実施する。すなわち、一部の親個体に対してエイリアン
法を適用した後に、全部の親個体のうちから適合度の良
好な遺伝子を持つ親個体同士が確率的に選択され易いよ
うな方式(ルーレット方式)で任意の2個の親個体を選択
する。次に、これら選択された2個の親個体の遺伝子を
指定確率で交換し(交叉)、子個体2個を作成する。交叉
が生じない場合は、親個体を子個体にコピーする。
【0207】このようにして作成した子個体の遺伝子に
対し、指定確率で遺伝子の任意のビットを反転する突然
変異を起こす。この操作を発生した個体数分行い、得ら
れた子個体遺伝子を親個体にコピーして世代交代を行う
(図22のステップS47)。そして、ステップS49
の処理に移る。
【0208】ステップS49では、個体の適合度を計算
する。ここでは世代交代された新しい親個体に対して前
述の適合度計算を実施する。S46でバースト発火して
いると判断した場合については上述の世代交代の処理は
されていないが、一部の親個体がバースト初期化されて
いるので、このバースト初期化された新親個体を含む親
個体の集合について、それぞれの親個体の適合度を計算
することになる。すなわち、各個体別に、その個体の持
つ遺伝子の情報を展開して得た(つまり、遺伝子の情報
からこの情報の意味する推論規則に戻す処理をすること
により得た)ファジィ推論規則を用いてファジィ推論を
行い、その推論結果から遺伝子の良好さを評価する適合
度を求める処理を全個体について実施する。
【0209】この時、計算した全世代で最大な適合度値
の個体情報を記録する(図22のステップS50)。
【0210】このような新世代のGA計算を、指定され
た世代数に達するか、または、最大の適合度値が指定さ
れた適合度値を超えるか、または他の終了条件が満たさ
れるまで行う(図22のステップS51,S46,S4
7,S48,S49,S50)。
【0211】GA計算が終了したならば、最大適合度の
個体情報を取り出し(図22のステップS52)、最大
適合度の遺伝子のメンバーシップ関数情報に同一のもの
が有るか否かをチェックし、同一のものがある場合に
は、一つに統合して整理からルール(推論規則)この整
理済みのものをファジィ推論ルールとして出力する(図
22のステップS53,S54)。
【0212】このようにして、ファジィ推論規則のチュ
ーニングを行う。
【0213】もう少し詳しく説明する。
【0214】<推論規則チューニングの具体的内容>本
ファジィ推論規則チューニング処理においては、チュー
ニング対象のファジィ推論規則、GA計算条件、ファジ
ィ推論チューニング用データを入力して計算するが、そ
の手順は“「チューニング方法」”の項においてメンバ
ーシップ関数のチューニング方法に関しての説明におい
て説明した内容とほぼ同様である。ここでは世代交代の
手順のエイリアン、GA計算中に親個体を初期化するバ
ーストが新たに処理手順として含まれている。
【0215】ファジィ推論規則を遺伝子アルゴリズムを
用いてチューニングすると云っても、どのようにして遺
伝子表現し、どのようにGA計算すれば旨くシステムに
適合するように推論規則を調整できるようになるのか、
概念的、感覚的には分かり難いので、少し具体的に補足
しておく。
【0216】ファジィ推論の規則は、前件部条件と後件
部条件で構成されるが、これらの条件は図7,図17に
おける[rule]の部分に示されたファジィ制御規則
例のように、ファジィ変数とメンバーシップ関数の組合
わせで表わされている。通常、ファジィ変数もメンバー
シップ関数もラベル名で示されるが、本実施例では、フ
ァジィ推論規則が自動的に出力されるシステムを使用し
ているので、数値で識別している。つまり、図7,図1
7に示すように、前件部変数の識別番号(この例では前
件部変数のラベル名の前の位置に示されている“0”,
“1”,“2”)は推論規則の前件部変数のデータ項目
に示されている。そして、この例では、変数の表示番号
順になっている。後件部変数、メンバーシップ関数も同
様である。つまり、後件部変数の識別番号(この例では
後件部変数のラベル名の前の位置に示されている
“0”,“1”,“2”)は推論規則の後件部変数のデ
ータ項目に示されている。そして、この例では、変数の
表示番号順になっている。また、メンバーシップ関数は
通し番号を用いており、推論規則は 「if (前件部変数の識別番号=対応するメンバーシ
ップ関数の通し番号) (前件部変数の識別番号=対応
するメンバーシップ関数の通し番号)(前件部変数の識
別番号=対応するメンバーシップ関数の通し番号)…
then (後件部変数の識別番号=対応するメンバー
シップ関数の通し番号)(後件部変数の識別番号=対応
するメンバーシップ関数の通し番号)(後件部変数の識
別番号=対応するメンバーシップ関数の通し番号)…
」 のかたちで表現される。
【0217】従って、ファジィ変数とメンバーシップ関
数の組合わせを表わすための遺伝子は、図23のように
整数番号の組合わせとして表現する。
【0218】また、ファジィ変数、メンバーシップ関数
を表わす遺伝子情報は、図23に示す如く、変数番号と
メンバーシップ番号とにて表現するが、それらの変数,
関数の識別番号以外の番号も表現できるようにする。ま
た、これらの遺伝子情報の構成ビット数は、識別番号が
変数や関数の番号で、変数,関数の個数がNの場合、す
なわち、変数,関数の識別番号が“0”〜“N−1”の
場合、対応する遺伝子は“0”〜“N”以上の番号を表
現できるようなビット数構成とする。
【0219】前件部変数の識別番号を表わす遺伝子の構
成ビット数は、最低限、前件部変数の個数分を賄える容
量を確保する。図17のファジィ推論規則を例にとる
と、この場合は前件部変数の個数は3個であり、従っ
て、前件部変数の識別番号を表わす遺伝子は、“0”〜
“3”の数値を表現できる2ビット以上とする。
【0220】メンバーシップ関数の識別番号を表わす遺
伝子の構成ビット数は、最低限、メンバーシップ関数の
個数分を賄える容量を確保する。図17の例では、メン
バーシップ関数の個数は11個であるから、その遺伝子
は“0”〜“10”までの数値を表現するに必要な4ビ
ット以上とする。従って、変数とメンバーシップ関数の
図23での表現遺伝子は、6ビット以上の構成ビット数
になる。
【0221】一つの推論規則の前件部の遺伝子は、図2
3に示す如き構成の遺伝子を前件部変数の個数分用意さ
れた形態をとることになる。後件部の遺伝子も同様であ
って、一つの推論規則の後件部の遺伝子は、図23に示
す如き構成の遺伝子を後件部変数の個数分用意された形
態をとることになる。そして、ルール当たりの、すなわ
ち、一つあたりの推論規則は、前件部変数個数分の遺伝
子と後件部変数個数分の遺伝子とが連なった図24の如
き構成で表現される。
【0222】図17のファジィ推論規則では、前件部変
数が3個、後件部変数が3個で、変数・関数の表現遺伝
子は6ビット以上必要であるから、図24の推論規則1
個分の遺伝子の長さは、6×(3+3)=36ビット以
上になる。
【0223】図24の構成による1個の推論規則表示の
遺伝子構造の他の実施例を図25に示す。
【0224】図25(a)に示す推論規則表示の遺伝子
構造例は、変数表現部とメンバーシップ関数表現部を分
離した構造の例であり、図25(b)は、メンバーシッ
プ関数の表現部だけで構成した例である。
【0225】前件部変数または後件部変数の順番にメン
バーシップ関数を表現する遺伝子を割り当てて構成す
る。このような構成を採用すると、遺伝子を表現するに
必要なデータの長さが短くなり、また、推論規則への展
開が容易になるなどの利点がある。
【0226】ファジィ推論規則を表現するための遺伝子
は、図24または図25の1個の規則表現の遺伝子を、
推論規則の数だけ連ねた図26の如きの構成にする。
【0227】図17の推論規則リストでは、制御規則は
8個であり、図24または、図25a)の遺伝子は36
ビット以上になるので、全推論規則を表現する遺伝子の
長さは、 36×8=388ビット 以上になる。
【0228】メンバーシップ関数と推論規則を同時にチ
ューニングする遺伝子の構成は、図26の如きとなる
が、ここで、メンバーシップ関数の表現遺伝子は、既に
説明した「メンバーシップ関数のチューニング」での構
成と同じ構成である(図27参照)。
【0229】図27中のメンバーシップ関数の形状を表
現する変数“X2”,“α”,“β”の説明図が図28
である。すなわち、図28において、個体の構成はメン
バーシップ関数部とルール部(推論規則)を持つ遺伝子
と、適合度値とを持つ構造となっている。なお、図26
では、メンバーシップ関数表現遺伝子が推論規則表現遺
伝子の前にあるが、この順番は図とは逆であってもよ
い。また、どちらかの表現遺伝子を削除する、或いは無
効とすることによって、メンバーシップ関数または推論
規則のみのチューニングが可能である。
【0230】GA計算で使用する個体の構成は、図26
の遺伝子と、それを展開した推論規則にチューニング用
データを使用して遺伝子を評価した適合度値である。
【0231】<遺伝子情報に基づく推論規則復元>推論
規則の遺伝子は、推論規則を数値で表現している。その
ため、遺伝子情報から推論規則に展開(復元)する場
合、値の範囲の整合性は重要である。
【0232】すなわち、数値情報化されたかたちで遺伝
子が構成されているので、意味ある遺伝子情報の数値
は、対応する変数・関数の範囲になければならない。そ
のため、これらのいずれかでも範囲外の場合は、その変
数情報は無効とする必要がある。そのため、本発明にお
いては、展開処理に当たっては、整合性のない遺伝子情
報は無視することになる。
【0233】遺伝子は、対応する変数・関数の識別番号
の最大値を越えた数値を表現できるようになっている。
例えば、前件部変数の数が全部で3個であった場合、そ
のとり得る値は“0”,“1”,“2”であるから、仮
に図17の推論規則リストで、前件部変数の遺伝子情報
が“3”であった場合、この“3”なる遺伝子情報は無
視される。また、例ではメンバーシップ関数の数は全部
で11種であったから、とり得る値は“0”,“1”,
“2”,“3”,“4”,“5”,“6”,“7”,
“8”,“9”,“10”の計11である。従って、こ
の例では、仮にメンバーシップ関数の遺伝子情報値が
“11”であった場合も同様に無視される。このように
して整合性をチェックし、不適正な遺伝子情報は排除す
る。
【0234】しかし、不適正なものであるからといっ
て、それを全て排除の対象としてしまうと、チューニン
グ効率が低くなる。
【0235】そこで、これを改善する手法として次のよ
うにすると有効である。すなわち、数値情報化された遺
伝子の数値(整数)Vxを、対応する変数・関数の識別
番号(整数)Viに変換する。この場合、表現遺伝子ビ
ットの最大値(整数)をVm、変数・関数の設定最大番
号をNxとして、 Vi=int(double(Vx)/double(Vm)*double
(Nx)+0.5) とする。“Nx”は最大識別番号より大きく設定した遺
伝子の表現番号である。“int ”は整数変換、“doubl
e”は実数変換を示している。
【0236】この計算式により、例えば、図17の推論
規則リストで、メンバーシップ関数の個数が11個、遺
伝子の最大設定表現番号を“11”とし、4ビットの表
現遺伝子を使用して、その遺伝子の整数値が“11”で
あった場合を計算してみると、遺伝子の出力数値Viは
“9”となる。従って、識別番号は“9”であり、整合
性のあるデータになる。故に、このような処理を施すこ
とにより、無効遺伝子の発生を減少させ、チューニング
を効率的に行うことができる。
【0237】次に、1つの推論規則を表現する遺伝子
で、前件部変数部または後件部変数部で重複した変数番
号が生じた場合を考えてみる。この場合は、それらのう
ちの、1つの条件のみを有効とする。このような処理を
施すことにより、無効遺伝子の発生を減少させ、チュー
ニングを効率的に行うことができる。それ故、本チュー
ニングソフトでは、変数番号の重複チェックを行い、初
めに出現した番号の情報を有効にしている。なお、この
手順は図25(b)の構造を採用した遺伝子では、変数
番号の重複は無いので、関係ない。
【0238】次に、1つの推論規則を表現する遺伝子
で、前件部変数部または後件部変数部の情報が全て無効
になった場合を考えてみる。この場合、本チューニング
ソフトでは、この推論規則は無効とする。
【0239】図24の遺伝子で、前件部条件の全ての遺
伝子情報が変数番号またはメンバーシップ関数の何れか
が有効な変数範囲外で有効の場合、この遺伝子規則は、
無視する。
【0240】次に、推論規則を表す遺伝子情報(図2
6)で、全件部条件の有効な遺伝子情報、即ち、前件部
変数番号とメンバーシップ関数番号の組み合わせが、有
効な遺伝子について重複している場合を考えてみる。こ
の場合、一つの遺伝子情報のみを有効とすれば良い。本
チューニングソフトでは、前件部条件の重複チェックを
行って、重複があった場合、最初に現れた推論規則を有
効にしている。
【0241】これは、ファジィ推論では、前件部の条件
が推論入力となっていることから、後件部が異なるが、
前件部条件に重複があるという推論規則が存在する場
合、これは同じファジィ推論入力に対し、異なるファジ
ィ推論出力となる推論規則があると云うことを意味し、
これでは矛盾を生じるためであり、これを両方とも除外
してしまうという方法もあるものの、重複があった場
合、最初に現れた推論規則を有効にするという手法を採
用することで、無効遺伝子の発生を減少させ、チューニ
ングを効率的に行うことができるようにしている。
【0242】<遺伝子を進化させる手法>本発明方法で
は、推論規則のチューニングにおいて遺伝子アルゴリズ
ム(GA)を用いるが、自動処理が可能なように、メン
バーシップ関数のチューニング法で説明した手法と同様
に、GA計算に用いる個体の遺伝子は整数配列または文
字列を採用し、そして、個体発生法、適合度計算法、世
代交代法もメンバーシップ関数のチューニング法で説明
した手法と同様の手法を採用している。
【0243】ところで、遺伝子アルゴリズム計算におい
て、遺伝子を進化させるために、世代交代を進めて行く
が、この世代交代を交叉法だけで行うと、最後には全て
個体が同じ遺伝子になり、結局、遺伝子の進化はなくな
る。これを防ぐために、突然変異を起こさせるが、この
突然変異では遺伝子への変化が小さいため、適合度改善
への大きな効果はなくなる。
【0244】そのため、本発明ではファジィ推論規則の
チューニングにおけるGA計算においての世代交代をエ
イリアン法によって行い、それでも改善が進まないとき
はバースト法を適用するようにする。もちろん、この手
法はメンバーシップ関数のチューニングに適用しても良
い。
【0245】ここで、エイリアン法とバースト法を説明
しておく。
【0246】<エイリアン法>世代交代で行うエイリア
ン法について説明する。遺伝子アルゴリズム計算におい
て、遺伝子を進化させるために、世代交代を進めて行く
が、この世代交代を交叉法だけで行うと、最後には全て
個体が同じ遺伝子になり、結局、遺伝子の進化はなくな
る。これを防ぐために、突然変異を起こさせるが、この
突然変異では遺伝子への変化が小さいため、適合度改善
への大きな効果はなくなる。
【0247】そのため、本発明では世代交代をエイリア
ン法によって行うことにする。
【0248】図29を用いてエイリアン法を説明する。
このエイリアン法と云うのは、多数の親個体を集めた親
個体群に対して、世代交代時に予め親個体の幾つかにつ
いて、適合度は変えず、遺伝子情報部のみを乱数で置換
える方法である。
【0249】この乱数で置換えた遺伝子が、子遺伝子に
影響する確率は、その個体の適合度の大きさによる。実
際に、このエイリアン法を適用してみると、「突然変異
よりは、遺伝子変化に対する効果は大きい」と云う実施
結果が確認されている。
【0250】エイリアン法を適用するには、GA計算条
件にその旨を設定する。図31に示した入力GA計算条
件において、“[ailien]0.1,1,1.01,10”がエイリ
アン条件を示している。
【0251】3番目と4番目の数値である“1.0
1”、“10”がエイリアン発火条件であり、これは
「最近10世代の適合度の最大値の変化が小さくなった
ならば、エイリアンを発生させる。」と云う内容を意味
し、“0.11”は、「親個体の1[%]に対し、確率
0.1でエイリアンを生じさせる。」と云う内容を意味
する。
【0252】具体的には、図31の条件では、個体数が
“100”であるので、“0”〜“99”の番号を乱数
で発生させて、親個体を選び、“0”〜“1”の乱数を
発生させて、それが“0.1”以下の場合はエイリア
ン、“0.1”を越えた場合は何もしない処置をする。
これを1[%]の個体、すなわち、10回行う。
【0253】上記条件としての数値列を取り込み、この
数値に基づいてこのような処理を実施するプログラムを
用意して、エイリアン条件の記述があればこのプログラ
ムを実行させるようにすることで、エイリアン法を適用
できるようになる。
【0254】<バースト>次にバーストについて説明す
る。
【0255】状況によっては、エイリアン法を適用して
も、最大適合度の改善が進まなくなる事態もある。バー
ストはこの場合の対策として、効率的に最大適合度を改
善する方法である。図30に示すように、バーストが発
火するまで、計算世代を通して適合度値の良い個体を指
定個数分、適合度値の良い順にバース卜個体記録テーブ
ルに引き換えながら、重複無しで記録して置く。
【0256】バースト時点で、親個体の指定個数をバー
スト個体記録テーブルの遺伝子と置換え、他の親個体は
乱数で初期化する。
【0257】図31の入力計算条件の中の“[burst]
10 50 ”と“[initial] 30”がバースト指定条件であ
る。“10”は「バースト個体記録を10個行う」こと
を意味し、計算世代を通して1位から10位の適合度の
個体を記録する。“50”はバースト発火条件であっ
て、ここでは「各計算世代の最大適合度値が、計算世代
を通してのベスト適合度値の50[%]以下になったな
らば、バーストを行う」ことを意味している。これは、
予めチューニングをしていて、ベスト適合度値の遺伝子
情報を持っていることを前提にしている。
【0258】ベスト適合度の遺伝子で個体を初期化して
チューニングすると、当初は適合度の改善が見られる
が、その内に各世代の最大適合度値が低下してくる。こ
の時、バーストを行う。
【0259】“[initial] 30”は、個体の初期化条件
で、「個体総数の30[%]、すなわち、30個の個体
を既知の遺伝子で置換え、残りの個体は乱数で初期化す
る」ことを意味する。バーストの場合、ベスト適合度の
遺伝子を先ず個体1個(以上)にコピーし、次にルーレ
ット方式または乱数でバースト個体記録テーブルからコ
ピー遺伝子を選択し、個体遺伝子にコピーする。以上
が、バーストの説明である。
【0260】上述した如きの本発明によるファジィ推論
規則のチューニングを施した結果を検証してみる。
【0261】図32が、本発明によるファジィ推論規則
のチューニング後のファジィ推論規則である。この図3
2の内容と図17とを比較してみると、チューニング前
のオリジナルの図17におけるルール数及びメンバーシ
ップ関数の数は“7”と“10”であったが、チューニ
ング後のファジィ推論規則では、“5”と“5”であ
り、ルール数で“2”、メンバーシップ関数数で“5”
も減少している。特に、メンバーシップ関数は重複メン
バーシップ関数と、ルールで指定されていないメンバー
シップ関数が除去されていて完成度が高くなっているこ
とがわかる。
【0262】図33はルールとメンバーシップ関数をチ
ューニングした効果を示している。
【0263】この図33は、図1および図2の手法を実
施して得たオリジナルのファジィ推論出力と、これを本
発明方法にてチューニングして得たチューニング済みフ
ァジィ推論出力を比較した、表である。代表として3個
のチューニングデータを使用している。図からわかるよ
うに、総じてチューニング後の推論精度がオリジナルの
ものより改善されていることがわかる。
【0264】すなわち、図1および図2で説明した如き
手法で自動生成することにより得られた図7に示す如き
のファジィ推論規則を用いてファジィ推論した場合に図
8に示した如きの出力例であったものが、本発明のチュ
ーングをメンバーシップ関数に対して施したことによ
り、図33に示す如く、チューニング前の“No.1”の事
例では、“前件部変数1”として値“110”、“前件
部変数2”として値“1434.08”、“前件部変数
3”として値“3.23”が与えられた時、“後件部変
数1”として値“263.9”、“後件部変数2”とし
て値“180.2”、“後件部変数3”として値“4
5.2”なるファジィ推論結果となっていたものがメン
バーシップ関数のチューニング後では“後件部変数1”
として値“225.4”、“後件部変数2”として値
“144.2”、“後件部変数3”として値“27.
2”なるファジィ推論結果が得られたことを示してい
る。そして、更に、ルールとメンバーシップ関数のチュ
ーニング後では“後件部変数1”として値“310.
0”、“後件部変数2”として値“200.0”、“後
件部変数3”として値“11.5”なるファジィ推論結
果が得られたことを示している。
【0265】この場合には、本来の目標値が“31
0”,“200”,“0”であって、目標値に対する誤
差はチューニング前が“−46.1”,“−19.
8”,“+45.2”であったのがメンバーシップ関数
のチューニング後では“−46.1”,“−55.
8”,“+27.2”となっており、更に、ルールとメ
ンバーシップ関数のチューニング後では“0”,
“0”,“+11.5”となっている。
【0266】また、“No.2”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“9172.26”、“前件部変数3”として値“1
7.59”が与えられた時、チューニング前では“後件
部変数1”として値“269.6”、“後件部変数2”
として値“180.0”、“後件部変数3”として値
“54.6”なるファジィ推論結果となっていたものが
メンバーシップ関数のチューニング後では“後件部変数
1”として値“308.5”、“後件部変数2”として
値“198.9”、“後件部変数3”として値“98.
7”なるファジィ推論結果が得られたことを示してい
る。
【0267】そして、更に、ルールとメンバーシップ関
数のチューニング後では“後件部変数1”として値“3
10.0”、“後件部変数2”として値“200.
0”、“後件部変数3”として値“100.0”なるフ
ァジィ推論結果が得られたことを示している。
【0268】この場合には、本来の目標値が“31
0”,“200”,“100”であって、目標値に対す
る誤差はメンバーシップ関数のチューニング前が“−4
0.4”,“−20.0”,“+45.4”であったも
のがメンバーシップ関数のチューニング後については
“−1.5”,“−1.1”,“−1.3”となってお
り、更に、ルールとメンバーシップ関数のチューニング
後では“0”,“0”,“0”となっている。
【0269】また、“No.3”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“3874.52”、“前件部変数3”として値“8.
55”が与えられた時、チューニング前では“後件部変
数1”として値“251.2”、“後件部変数2”とし
て値“175.2”、“後件部変数3”として値“5
3.4”なるファジィ推論結果となっていたものが、メ
ンバーシップ関数のチューニング後では“後件部変数
1”として値“247.3”、“後件部変数2”として
値“176.9”、“後件部変数3”として値“45.
1”なるファジィ推論結果が得られたことを示してい
る。
【0270】そして、更に、ルールとメンバーシップ関
数のチューニング後では“後件部変数1”として値“3
10.0”、“後件部変数2”として値“200.
0”、“後件部変数3”として値“26.1”なるファ
ジィ推論結果が得られたことを示している。
【0271】この場合、本来の目標値が“310”,
“200”,“45.7”であって、目標値に対する誤
差はチューニング前が“−58.8”,“−24.
8”,“+7.7”であったものが、メンバーシップ関
数のチューニング後が“−62.7”,“−23.
1”,“−0.1”となっており、更に、ルールとメン
バーシップ関数のチューニング後では“0”,“0”,
“−19.6”となっている。
【0272】これらのことから最終仕上げとしての微調
整(すなわち、チューニング)をファジィ推論規則のル
ールおよびメンバーシップ関数に対して施した結果、総
じてチューニング後の推論精度は飛躍的に改善されてい
ることがわかる。
【0273】なお、このファジィ推論規則におけるルー
ルおよびメンバーシップ関数のチューニングで必要な情
報は、前件部変数の個数と変動範囲、後件部変数の個数
と変動範囲メンバーシップ関数の数およびルールの数で
ある。ファジィ推論規則中のメンバーシップ関数とルー
ルの内容は、遺伝子を乱数で初期化すれば不要である。
従って、前記情報とチューニング用データを入力するこ
とによって、ファジィ推論精度の良いメンバーシップ関
数と推論規則が生成できるようになる。
【0274】以上、この実施例は、ファジィ制御の推論
に用いるルールをファジィ制御結果が適正なものとなる
よう自動チューニングする方法として、チューニング前
のルールに対してそれを遺伝子表現し、遺伝子アルゴリ
ズムを適用すると共に、得られる子世代の遺伝子につい
てその遺伝子から展開して得たルールを用いてファジィ
推論を実施し、適合度を求める処理を所定の終了条件を
満たすまで繰り返し、その間、適合度の改善を進展させ
るべく、エイリアン法とバースト法を適宜、適用し、得
られた各遺伝子について最良の適合度を持つ遺伝子に対
応するルールをチューニング済みのルールとして得るよ
うにしたものである。
【0275】また、ファジィ制御の推論に用いるルール
とメンバーシップ関数をファジィ制御結果が適正なもの
となるよう自動チューニングする方法として、チューニ
ング前のルールとそのルールに適用しているメンバーシ
ップ関数に対してそれを遺伝子表現し、これら遺伝子に
ついて遺伝子アルゴリズムを適用すると共に、得られる
子世代の遺伝子についてその遺伝子から展開して得たル
ールおよびメンバーシップ関数を用いてファジィ推論を
実施し、適合度を求める処理を所定の終了条件を満たす
まで繰り返し、その間、適合度の改善を進展させるべ
く、エイリアン法とバースト法を適宜適用し、得られた
各遺伝子について最良の適合度を持つ遺伝子に対応する
ルールをチューニング済みのルールとして得るようにし
たものである。
【0276】本発明によれば、ルールを遺伝子の情報に
変換し、このルールの遺伝子の情報を用いて遺伝子アル
ゴリズムの適用により、新世代の遺伝子を得ると共に、
その遺伝子についてその遺伝子から展開して得たルール
およびメンバーシップ関数を用いてファジィ推論を実施
し、適合度を求める処理を所定の終了条件を満たすまで
繰り返し、その間、適合度の改善を進展させるべく、エ
イリアン法とバースト法を適宜適用し、得られた各遺伝
子について最良の適合度を持つ遺伝子に対応するルール
をチューニング済みのルールとして得るようにした。
【0277】ファジィ制御ではルールとメンバーシップ
関数の出来が制御精度に重大な影響を及ぼすので、如何
にチューニングするかは重要な課題であるが、従来は合
理的な手法がなく、人手に頼ることとなっていて、複雑
なファジィ制御の推論規則の場合、対応できなかった。
しかし、本発明方法によれば、コンピュータによるチュ
ーニング処理の途を拓くことが可能になり、ファジィ制
御における推論規則のルールとメンバーシップ関数を制
御対象システムの特性に合う内容に調整できるのでファ
ジィ制御の精度向上を確保できるファジィ制御の推論規
則チューニング方法を提供できるようになる。
【0278】また、本発明では遺伝子アルゴリズムに、
エイリアン法とバースト法を適用するので、遺伝子の進
化が滞った場合においても、進化を促進させることがで
きるようになり、より有効な推論規則のチューニングを
実施可能になる。
【0279】尚、本発明は上述した実施例に限定するこ
となく、種々変形して実施可能である。また、実施例に
記載した手法は、コンピュータにより読み込ませて実行
させることのできるプログラムとして、磁気ディスク
(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクな
ど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導
体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することもでき
る。
【0280】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、ファジィ推論規則の個別のルールとメンバーシップ
関数が同時に自動チューニングできるので、ファジィ推
論精度を大幅に改善でき、複雑な推論規則のものもチュ
ーニングできると共に、チューニング結果、整合性のな
いものは除去され、また、同一内容のものは統合される
ので、推論規則のルール数、メンバーシップ関数の数を
減少されることができてファジィ推論ルールの単純化が
図れ、異常なルールの生成も抑制できる。
【0281】また、オリジナルのファジィ推論規則の中
で、メンバーシップ関数とルールの項にダミーの個数を
設定することにより、推論精度の良いファジィ推論ルー
ルが自動生成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定データからファジィ制御の推論規則を作成
するために必要なデータを生成する本発明方法の処理手
順を示すフローチャート。
【図2】測定データからファジィ制御規則を作成する本
発明方法の処理手順を示すフローチャート。
【図3】遺伝的アルゴリズム計算により得られた出力デ
ータの例を示す図。
【図4】遺伝的アルゴリズム計算により得られたデータ
群のグループ分けの概念を説明するための図であって、
これらデータに含まれる変数の数分に相当する多次元空
間でのグループ分けを示す図。
【図5】クラスタ分析結果の樹形図と、グループ分割の
距離の自動決定法を説明する図。
【図6】本発明方法におけるメンバーシップ関数の決定
方法を説明するための図。
【図7】本発明方法により作成されたファジィ制御の推
論規則の例を示す図。
【図8】本発明方法により作成されたファジィ制御の推
論規則を用いて推論した結果の例を示す図。
【図9】本発明方法の処理手順を示すものであって、本
発明によるメンバーシップ関数チューニングの実施手順
を示すフローチャート。
【図10】本発明方法がチューニング対象としている三
角形メンバーシップ関数の構成図。
【図11】本発明方法で用いる三角形メンバーシップ関
数の遺伝子構成を説明するための図。
【図12】本発明方法で用いる個体の構成を説明するた
めの図であって、遺伝子と適合度からなる個体の構成
図。
【図13】本発明方法で用いる三角形適合度関数の説明
図。
【図14】指数関数の適合度関数の例。
【図15】交叉法の遺伝子変形法を説明するための図。
【図16】突然変異の遺伝子変形法を説明するための
図。
【図17】本発明を説明するための図であって、オリジ
ナルファジィ推論規則例を示す図。
【図18】GA計算条件データ例を説明するための図。
【図19】チューニング用データ例を示す図。
【図20】本発明を説明するための図であって、本発明
によるメンバーシップ関数チューニング結果のファジィ
推論規則例を示す図。
【図21】本発明を説明するための図であって、本発明
によるメンバーシップ関数チューニング効果を比較した
データ例を示す図。
【図22】本発明を説明するための図であって、本発明
によるファジィ推論規則のチューニング方法の実施手順
を示すフローチャート。
【図23】変数とメンバーシップ関数の遺伝子表現構造
例を示す図。
【図24】1つのファジィ推論規則部の遺伝子構造例を
示す図。
【図25】推論規則を表現する遺伝子構造の他の実施例
を示す図。
【図26】ルールとメンバーシップ関数を同時チューニ
ングする遺伝子構造。
【図27】三角形メンバーシップ関数を表わすの遺伝子
構成。
【図28】個体の構成例を示す図。
【図29】本発明で用いるエイリアン法を説明するため
の図であって、遺伝子を変化させるエイリアンの説明を
する図。
【図30】本発明を説明するための図であって、本発明
に適用するバーストによる個体初期化の説明図。
【図31】本発明を説明するための図であって、GA計
算条件設定内容例を示す図。
【図32】本発明を説明するための図であって、チュー
ニング結果のファジィ推論規則例を示す図。
【図33】本発明を説明するための図であって、本発明
によるファジィ制御推論規則チューニングの効果を比較
して説明する図。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ファジィ制御の推論に用いるルールをファ
    ジィ制御結果が適正なものとなるよう自動チューニング
    する方法として、 チューニング前のルールに対してそれを遺伝子表現し、
    遺伝子アルゴリズムを適用すると共に、得られる子世代
    の遺伝子についてその遺伝子から展開して得たルールを
    用いてファジィ推論を実施し、適合度を求める処理を所
    定の終了条件を満たすまで繰り返し、その間、適合度の
    改善を進展させるべく、エイリアン法とバースト法を適
    宜、適用し、得られた各遺伝子について最良の適合度を
    持つ遺伝子に対応するルールをチューニング済みのルー
    ルとして得るようにしたことを特徴とするファジィ推論
    規則のチューニング方法。
  2. 【請求項2】ファジィ制御の推論に用いるルールとメン
    バーシップ関数をファジィ制御結果が適正なものとなる
    よう自動チューニングする方法として、 チューニング前のルールとそのルールに適用しているメ
    ンバーシップ関数に対してそれを遺伝子表現し、これら
    遺伝子について遺伝子アルゴリズムを適用すると共に、
    得られる子世代の遺伝子についてその遺伝子から展開し
    て得たルールおよびメンバーシップ関数を用いてファジ
    ィ推論を実施し、適合度を求める処理を所定の終了条件
    を満たすまで繰り返し、その間、適合度の改善を進展さ
    せるべく、エイリアン法とバースト法を適宜適用し、得
    られた各遺伝子について最良の適合度を持つ遺伝子に対
    応するルールをチューニング済みのルールとして得るよ
    うにしたことを特徴とするファジィ推論規則のチューニ
    ング方法。
  3. 【請求項3】チューニング対象となるファジィ制御の推
    論規則のルールは、ファジィ推論規則の仕様に外れるも
    のを削除することを特徴とする請求項1または2いずれ
    か1項記載のファジィ推論規則のチューニング方法。
  4. 【請求項4】ファジィ制御対象のシステムに用いるメン
    バシップ関数および推論規則の自動生成方法であって、 データ収集には制御対象システムの機械特性をモデル化
    した数学関係モデルを用い、この数学関係モデルについ
    て遺伝的アルゴリズムによる最適条件探索を行い、十分
    に収束する前の固体データを出力させてこれらのうちの
    所定値以上の適合度を有する固体データを収集すること
    により、ファジィ制御の推論規則作成に必要な多様な条
    件下での制御対象システムのデータを取得し、この収集
    したデータの総数がファジィ制御の推論規則作成に足り
    る数に達したならば、似たデータを集めてグループに分
    け、メンバーシップ関数についてはそのグループ化した
    データを用いて、入力変数である前件部変数及び推論し
    て求める変数である後件部変数の各変数別に当該グルー
    プk内のデータの平均と標準偏差値を計算し、グループ
    内のデータ分布の範囲を、適宜なバンド幅に分割してデ
    ータ分布のヒストグラムを作成し、正規化してヒストグ
    ラムの分布形状を求めることにより、これをメンバーシ
    ップ関数として得、これを用いてグループでの変数およ
    びその変数のメンバーシップ関数の対によるそのグルー
    プ内での関係を表現したファジィ制御の推論規則を作成
    し、得られた推論規則を構成する個別のチューニング前
    のルールとそのルールに適用しているメンバーシップ関
    数に対してそれを遺伝子表現し、これら遺伝子について
    遺伝子アルゴリズムを適用すると共に、得られる子世代
    の遺伝子についてその遺伝子から展開して得たルールお
    よびメンバーシップ関数を用いてファジィ推論を実施
    し、適合度を求める処理を所定の終了条件を満たすまで
    繰り返し、その間、適合度の改善を進展させるべく、エ
    イリアン法とバースト法を適宜適用し、得られた各遺伝
    子について最良の適合度を持つ遺伝子に対応するルール
    をチューニング済みのルールとして得るようにしたこと
    を特徴とするファジィ推論規則のチューニング方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002329713A (ja) * 2001-02-07 2002-11-15 Eni Technologies Inc 半導体プラズマ処理を特徴付ける方法及び適応性プラズマ特徴付けシステム
JP2005128663A (ja) * 2003-10-22 2005-05-19 Hitachi Ltd プラントシステム,制御装置及び制御方法
JP2009157878A (ja) * 2007-12-28 2009-07-16 Hitachi Ltd ファジィ制御装置、プラントシステム、および、ファジィ制御方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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