JP2000339167A - ファジィ推論におけるメンバーシップ関数のチューニング方法 - Google Patents

ファジィ推論におけるメンバーシップ関数のチューニング方法

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JP2000339167A
JP2000339167A JP11152965A JP15296599A JP2000339167A JP 2000339167 A JP2000339167 A JP 2000339167A JP 11152965 A JP11152965 A JP 11152965A JP 15296599 A JP15296599 A JP 15296599A JP 2000339167 A JP2000339167 A JP 2000339167A
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Fujio Abe
富士夫 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】メンバーシップ関数のチューニングを自動化で
きるようにし、複雑なファジィ推論規則のチューニング
を可能にするチューニング法を得ること。 【解決手段】ファジィ推論に用いられるメンバーシップ
関数について、遺伝子表現して遺伝子アルゴリズムを適
用し、得られる子世代の遺伝子についてその遺伝子から
展開して得たメンバーシップ関数を用いてファジィ推論
を実施し、適合度を求める処理を所定の終了条件を満た
すまで繰り返し、得られた各遺伝子について最良の適合
度を持つ遺伝子に対応するメンバーシップ関数をチュー
ニング済みのメンバーシップ関数として得ることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファジィ制御シス
テムに用いるファジィ制御の推論規則とメンバーシップ
関数を自動作成するための技術であって、良好な推論規
則作成のデータを得ることができると共に、このデータ
を用いてファジィ制御の推論規則とメンバーシップ関数
を求めるファジィ制御の推論規則作成方法に適用して最
適なメンバーシップ関数用のチューニング方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】熟練オペレータによる制御と同様な自動
制御を実現するために、ファジィ制御の技術が出現して
久しく、今日においては種々の分野で実用化されてい
る。
【0003】ところで、ファジィ制御を実施するにあた
っては、ファジィ制御対象のシステムに適合したファジ
ィルールおよびメンバーシップ関数を決定する必要があ
る。
【0004】すなわち、ファジィ制御では熟練者の場
合、制御対象のシステムがどういう状態のときには、ど
こに注目し、何を目標に何をどのようにどの程度操作す
る、と云ったノウハウを収集して、このノウハウを“I
F〜THEN〜”形式でルール化すると共に、反映させ
る大きさを人間の言語的曖昧さを反映させる関数である
メンバーシップ関数として用意しておき、ある状況が生
じると、その状況下において、各ルールにおいての操作
内容を実施する度合いをメンバーシップ関数にしたがっ
て求め、確からしさを評価して、評価結果が最良の操作
を実施させる。
【0005】そのため、ファジィ制御対象のシステムに
適合したファジィルールおよびメンバーシップ関数をど
のようにするかが、ファジィ制御の性能を決定づける重
要な要素となる。
【0006】ファジィ制御のためのルールの作成、すな
わち、ファジィ推論規則作成、そして、その規則の反映
の度合いを決定するメンバーシップ関数を定めるにあた
り、その作成方法には、上述の如く、熟練者の経験を元
に作成する方法が最も一般的であるが、その他、測定収
集データを元に作成する方法もある。
【0007】すなわち、ファジィ論理は、人間の言語的
暖昧性を取扱う。従って、ファジィ論理を利用するファ
ジィ推論に使用するためのルール(ファジィ推論規則)
作成には、熟練者の知識を利用するのが一般的である。
【0008】しかし、熟練者のノウハウ利用が困難な場
合もある。その場合は、制御対象システムを稼動させて
得られる測定収集データを用い、制御規則作成に供する
可測定収集データを分類してグループ別け(クラスタリ
ング)し、変数のメンバーシップ関数、ファジィ推論規
則を作成することとなる(五百旗頭著、「任意のファジ
ィ評価関数によるファジィクラスタリング手法、一ファ
ジィルール、メンバーシップ関数の自動生成法」日本フ
ァジィ学会誌P333-343.1992,4参照)。
【0009】このように、ファジィ推論制御する場合、
ファジィ推論規則とメンバーシップ関数を用意する必要
があるが、用意したファジィ推論規則とメンバーシップ
関数の出来具合が、ファジィ制御性能に大きな影響を与
える。
【0010】すなわち、ファジィ推論規則とメンバーシ
ップ関数の出来具合がファジィ制御の性能の重要な鍵を
握ることになるわけであるが、このファジィ推論規則と
メンバーシップ関数の作成を人手に頼る場合、作成者の
経験度や技量による品質のバラツキが避けられず、ま
た、完成までに多大な時間を要することとなるから、コ
ストダウンおよび開発時間の短縮の観点からも、これら
の作成の自動化を図ることが望まれる。
【0011】ファジィ推論規則とメンバーシップ関数を
作成するに当たって、一般的には熟練者の知識を用いる
のが最も手っ取り早い方法である。しかし、熟練者の知
識を用いてのファジィ推論規則作成およびメンバーシッ
プ関数を作成するという方法は、ファジィ制御対象のシ
ステムについての操作熟練者がいることが前提であり、
その熟練者の知識を上手くファジィ推論規則およびメン
バーシップ関数に反映させることができれば、最良のフ
ァジィ制御が可能になる。しかし、熟練者の知識を用い
る場合には、必要な情報を収集する作業は人手に頼らざ
るを得ず、収集した情報をデータ化する作業なども人手
に頼ることとなるので、ファジィ推論規則の自動作成に
は不向きである。
【0012】一方、熟練者の知識が利用できない場合に
は、制御対象システムを様々な条件で実際に稼動させる
ことにより、得られる測定データを収集し、この収集し
たデータを使用して制御規則を作成し、また、収集した
データを使用してメンバーシップ関数を作成することと
なるが、この方法は、データ収集自体を自動化すること
ができるので、ファジィ推論規則およびメンバーシップ
関数の自動作成に向く。
【0013】この方法で重要なことは、収集データの質
と量である。
【0014】例えば、ファジィ制御の場合、制御結果が
良くないデータをいくら集めても、制御をよくする制御
規則は作れない。また、良いデータが集まったとして
も、データの数が少ないと、推論規則の数が制限され、
また、メンバーシップ関数もラフになるから、この場合
も満足な推論規則は作れない。すなわち、収集データ
は、広範囲でランダムな条件でのデータが多数あること
が望ましいわけである。
【0015】しかし、実験を行ってデータを収集する場
合でも、条件設定が困難で事実上、収集することができ
ないという領域のデータもあり、また、効率的なデータ
収集と云う要求もあるから、現実的には収集できるデー
タには自ずと制限が有る。
【0016】また、ファジィ制御の推論規則作成のため
に、収集データをクラスタ分析してグループに分け、目
的に合ったデータのグループを選択する必要があるが、
この時のグループ選択基準の設定が、自動化のネックに
なる。
【0017】従って、知的な制御が可能なシステムを得
るために必要なファジィ推論規則およびメンバーシップ
関数を自動的に作成するファジィ制御推論規則自動生成
システムを開発するにあたって、取得可能な限られた測
定収集データから、ファジィ制御規則作成用の質・量共
に良好なデータを自動作成可能であり、また、収集デー
タをクラスタ分析してグループに分け、目的に合ったデ
ータのグループを選択するといった必要を省くことがで
きるようにしたファジィ制御規則およびメンバーシップ
関数作成用データを自動作成可能にする方法の開発が嘱
望されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願発明者は
知的な制御が可能なシステムを得るために必要なファジ
ィ制御の推論規則やメンバーシップ関数の自動作成を可
能にするために必要な多様な条件下でのしかも、質が良
好な多数のデータを自動的に得ることができるようにす
る手法を提案し、また、メンバーシップ関数の自動決定
を可能にする手法を別途提案したが、しかし、ファジィ
制御の推論規則を生成することができても、生成段階で
はまだ未完成で最適に調整する必要があり、この調整も
自動化の途を拓かなければファジィ制御の推論規則生成
方法の完成とは云えない。
【0019】すなわち、ファジィ制御の推論規則生成が
可能になったとしても、ファジィ推論規則を任意の入力
に対して望ましいファジィ推論を出力するようにするに
は、メンバーシップ関数の調整、即ちチューニングが必
要である。ファジィ推論を機械の制御に使用するファジ
ィ制御では、対象機械の特性モデルを作成し、それにフ
ァジィ推論のプログラムを組み合わせてシミュレーショ
ン計算を行い、望ましい推論出力をするように、メンバ
ーシップ関数を人手で調整する。
【0020】望ましい入力と出力の組み合わせが既知の
場合には、ニューラルネットワークを使用して自動的に
チューニングを行うことも行われる。
【0021】しかし、シミュレーション計算をして、人
手でメンバーシップ関数をチューニングする方法は、非
効率的で時間が掛かり、単純なファジィ推論規則でない
と適用できない。ファジィ推論規則が大きく複雑な場合
は、どのメンバーシップ関数が推論出力に影響している
かが分からず、人手でのチューニングは不可能になる。
【0022】ニューラルネットワークを使用してメンバ
ーシップ関数を自動的にチューニングする方法は、ニュ
ーラルネットワークの構成(ニューロ数、ニューロ層数
の設定)をどのようにするのか、ニューラルネットワー
クが発散した場合への対処など、技術的な問題がある。
【0023】そこで、この発明の目的とするところは、
メンバーシップ関数のチューニングを自動化できる技術
を提供すると共に、複雑なファジィ推論規則のチューニ
ングを可能にして異常なファジィ推論をするメンバーシ
ップ関数を生成することのないようにした安定なチュー
ニング方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】ファジィ制御の推論に使
用するメンバーシップ関数のチューニングを自動化でき
るようにするために、本発明は次のようにする。すなわ
ち、 [1] 第1には、ファジィ推論に用いられるメンバー
シップ関数について、遺伝子表現して遺伝子アルゴリズ
ムを適用し、得られる子世代の遺伝子についてその遺伝
子から展開して得たメンバーシップ関数を用いてファジ
ィ推論を実施し、適合度を求める処理を所定の終了条件
を満たすまで繰り返し、得られた各遺伝子について最良
の適合度を持つ遺伝子に対応するメンバーシップ関数を
チューニング済みのメンバーシップ関数として得ること
を特徴とする。
【0025】この場合、ファジィ推論に用いられるメン
バーシップ関数を遺伝子表現することにより遺伝子アル
ゴリズムを適用した計算処理ができるので、ファジィ推
論規則に含まれているメンバーシップ関数について、遺
伝子表現して遺伝子アルゴリズム計算処理をし、得られ
る子世代の遺伝子についてはその遺伝子から展開して得
たメンバーシップ関数を用いてファジィ推論を実施し、
適合度を求める処理を行う。親個体の遺伝子を用いた新
世代の個体発生を、遺伝子の突然変異操作を交えつつ、
所定の終了条件を満たすまで繰り返すという遺伝子アル
ゴリズム計算処理を繰り返すことで得られた各遺伝子に
ついて、最良の適合度を持つ遺伝子を求め、この遺伝子
に対応するメンバーシップ関数をチューニング済みのメ
ンバーシップ関数として得ることで、メンバーシップ関
数のチューニングの自動化が可能になるチューニング法
が得られることになる。
【0026】[2] 第2には、ファジィ推論に用いら
れるメンバーシップ関数を、そのメンバーシップ関数の
特性を示す形状について、当該形状の代表点位置情報で
表現した形式にして遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体
を、遺伝子アルゴリズム計算条件で指定された個数発生
させ、各個体についてはその個体の持つ遺伝子の情報を
メンバーシップ関数に展開する処理をして得た(遺伝子
の情報からメンバーシップ関数に戻す処理をして得た)
当該メンバーシップ関数を適用してのファジィ推論を行
い、その推論結果から遺伝子の良好さを評価する適合度
を求める処理を全個体について実施し、適合度の良好な
遺伝子を持つ任意の2個体同士の遺伝子を指定確率で交
換(交叉)することにより、新たな遺伝子を作成すると共
に、当該新たな遺伝子に対し、突然変異を起こす操作を
実施することにより得られた遺伝子を持つ子個体を作成
して新世代とし、新世代の個体に対して前記適合度計算
を実施することにより適合度を求める処理を、予定の終
了条件を満たすまで(指定された世代数に達するか、ま
たは、最大の適合度値が指定された適合度値を超える
か、または他の終了条件が満たされるまで)行い、その
後、適合度最良の個体を選定してその個体の遺伝子を展
開することにより、得られるメンバーシップ関数をチュ
ーニング済みメンバーシップ関数として得ることを特徴
とする。
【0027】この場合、ファジィ推論に用いられるメン
バーシップ関数を、そのメンバーシップ関数の特性を示
す形状について、当該形状の代表点位置情報で表現した
形式にして遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体を、遺伝
子アルゴリズム計算条件で指定された個数発生させる。
そして、各個体についてはその個体の持つ遺伝子の情報
をメンバーシップ関数に展開する処理をして得た(遺伝
子の情報からメンバーシップ関数に戻す処理をして得
た)当該メンバーシップ関数を適用してのファジィ推論
を行い、その推論結果から遺伝子の良好さを評価する適
合度を求める処理を全個体について実施する。そして、
適合度の良好な遺伝子を持つ任意の2個体同士の遺伝子
を指定確率で交換(交叉)することにより、新たな遺伝子
を作成すると共に、当該新たな遺伝子に対し、突然変異
を起こす操作を実施することにより得られた遺伝子を持
つ子個体を作成して新世代とする。また、新世代の個体
に対して前記適合度計算を実施することにより適合度を
求める。このような処理を、予定の終了条件を満たすま
で(指定された世代数に達するか、または、最大の適合
度値が指定された適合度値を超えるか、または他の終了
条件が満たされるまで)行い、その後、適合度最良の個
体を選定してその個体の遺伝子を展開することにより、
得られるメンバーシップ関数をチューニング済みメンバ
ーシップ関数として得る。これによって、メンバーシッ
プ関数のチューニングの自動化が可能になるチューニン
グ法が得られることになる。
【0028】すなわち、メンバーシップ関数のチューニ
ングを自動化し、複雑なファジィ推論規則のチューニン
グを可能にすると共に、異常なファジィ推論をするメン
バーシップ関数を作らない、安定な自動的チューニング
法を提供できることになる。
【0029】[3] 第3には、ファジィ推論に用いら
れるメンバーシップ関数を、そのメンバーシップ関数の
関数形状を、当該形状の代表点位置情報で表現した形式
に作成して遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体を、遺伝
子アルゴリズム計算条件で指定された個数発生させ、各
個体についてはその個体の持つ遺伝子の情報をメンバー
シップ関数に展開する処理をして得た(遺伝子の情報か
らメンバーシップ関数に戻す処理をして得た)当該メン
バーシップ関数を適用してファジィ推論を行い、その推
論結果から遺伝子の良好さを評価する適合度を求める処
理を全個体について実施し、適合度の良好な遺伝子を持
つ個体が確率的に選択され易い方式(ルーレット方式)で
任意の2個体を選択し、これら両個体の遺伝子を指定確
率で交換(交叉)することにより、新たな異種遺伝子を作
成して当該遺伝子に対し、突然変異を起こす操作を実施
して得られた遺伝子を持つ子個体を作成して新世代と
し、新世代の個体に対して前記適合度計算を実施するこ
とにより適合度を求める処理を、指定された世代数に達
するか、または、最大の適合度値が指定された適合度値
を超えるか、または他の終了条件が満たされるまで行
い、その後、適合度最良の個体を選定してその個体の遺
伝子を展開することにより、得られるメンバーシップ関
数をチューニング済みメンバーシップ関数として得るこ
とを特徴とする。
【0030】この場合、ファジィ推論に用いられるメン
バーシップ関数を、そのメンバーシップ関数の関数形状
を、当該形状の代表点位置情報で表現した形式に作成し
て遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体を、遺伝子アルゴ
リズム計算条件で指定された個数発生させ、各個体につ
いてはその個体の持つ遺伝子の情報をメンバーシップ関
数に展開する処理をして得た(遺伝子の情報からメンバ
ーシップ関数に戻す処理をして得た)当該メンバーシッ
プ関数を適用してファジィ推論を行い、その推論結果か
ら遺伝子の良好さを評価する適合度を求める処理を全個
体について実施する。そして、適合度の良好な遺伝子を
持つ個体が確率的に選択され易い方式(ルーレット方式)
で任意の2個体を選択し、これら両個体の遺伝子を指定
確率で交換(交叉)することにより、新たな異種遺伝子を
作成して当該遺伝子に対し、突然変異を起こす操作を実
施して得られた遺伝子を持つ子個体を作成して新世代と
する。そして、新世代の個体に対して前記適合度計算を
実施することにより適合度を求める処理を施す。このよ
うな処理を指定された世代数に達するか、または、最大
の適合度値が指定された適合度値を超えるか、または他
の終了条件が満たされるまで行い、その後、適合度最良
の個体を選定する。そしてその選定した個体の遺伝子を
展開することにより、得られるメンバーシップ関数をチ
ューニング済みメンバーシップ関数として得る。これに
よって、メンバーシップ関数のチューニングの自動化が
可能になるチューニング法が得られることになる。
【0031】すなわち、メンバーシップ関数のチューニ
ングを自動化し、複雑なファジィ推論規則のチューニン
グを可能にすると共に、異常なファジィ推論をするメン
バーシップ関数を作らない、安定な自動的チューニング
法を提供できることになる。
【0032】[4] また、[1]〜[3]の項に示し
た方法を適用した場合に、チューニング済みメンバーシ
ップ関数について、同一のものが有るか否かをチェック
し、同一のものがある場合には、一つに統合して関連す
るルール(推論規則)も整理するように処理する。
【0033】ファジィ推論の推論規則は、入力(前件部
変数)と出力(後件部変数)の関係を変数の要素とその
要素の反映の度合いを示すメンバーシップ関数との組み
合わせで記述するが、チューニング済みメンバーシップ
関数に同一のものが有る場合には、一つに統合して関連
するルール(推論規則)も整理することから、メンバー
シップ関数の数を自動的に減らして、単純なファジィ推
論規則に修正することができるようになる。
【0034】すなわち、ファジィ推論精度の向上を図る
べく、メンバーシップ関数のチューニングをするに当た
り、当該チューニングを自動化することができるように
なり、しかも、複雑なファジィ推論規則のチューニング
を可能にすると共に、異常なファジィ推論をするメンバ
ーシップ関数を作らない、安定な自動的チューニング法
を提供でき、チューニング結果、類似のメンバーシップ
関数が出来た場合は、これを整理してまとめ、メンバー
シップ関数の数を自動的に減らして、単純なファジィ推
論規則に修正することができるようになる自動的チュー
ニング法を提供できる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施例について詳細を説明する。ここでは、まずはじ
めに推論規則とメンバーシップ関数を自動生成する手法
を説明し、次に、最終仕上げとしての微調整であるチュ
ーニングの具体例を説明する。
【0036】(推論規則とメンバーシップ関数の生成手
法)本発明の基本的原理は、実際の測定データを収集し
て対象機械の機械特性のモデルを例えば、ニューラルネ
ットワークで作成し、次に、この機械特性モデルに遺伝
的アルゴリズム(GA)を適用して最適な加工条件を求
め、その際、GA計算が十分収束しない(少ない世代数
の)個体データのうち、適合度(FIT)が良好なある
値以上のデータを解析データとして収集し、これを探索
条件を変えて収集することにより、十分な数の良質の解
析用のデータを得、これら解析用のデータをクラスタ分
析してグループ分けしてこれより、各グループにおける
変数毎のメンバーシップ関数と推論規則を生成する。グ
ループ分けは、クラスタ分析結果の距離値データを大小
2つに分け、それらの分散の和が最小になる距離(分割
距離)のものを纏めることで行う。メンバーシップ関数
の形状は、あるグループに含まれる1個の変数について
そのデータの平均と標準偏差Sを求め、−3S〜3Sの
区間を適宜に分割してヒストグラムを作成し、そのパタ
ーンから求める。また、このようにして求めたグループ
それぞれにおける各変数とそれら各変数毎のメンバーシ
ップ関数とを用いてそのグループの入力と出力の関係を
表現し、推論規則とする。
【0037】本発明では、ファジィ制御の対象システム
を稼動させて実ファジィ制御の対象システムを稼動させ
て実測データを集め、これを入力変数、出力(評価)変数
に分け、ファジィ制御の対象システムについて、その機
械的特性に基づく前記入力変数と出力変数との関係を示
す数学関係モデルを作成することにより、この数学関係
モデルを使用しての遺伝的アルゴリズムによる各種条件
下でのデータ生成可能な環境を得ている。
【0038】前記数学関係モデルを使用して遺伝的アル
ゴリズムによる最適条件探索を実施すると、収束するに
至るまでの間に、ファジィ制御対象システムを各種条件
下で稼動したと同様の各種データが出現する。これによ
って、ファジィ規則作成のデータ数をいくらでも収集す
ることが可能な環境が確保できるようになる。
【0039】従って、上記数学関係(機械特性)モデル
に、GA(遺伝的アルゴリズム)を適用して、最適条件探
索を行い、初期状態から十分収束するに至るまでのGA
計算の途中結果の個体データを出力させ、これらのう
ち、適合度が許容値以上の入力データを残すことで、適
切なデータ選択が可能になり、このような処理を、目的
とする規則条件数に達するまで、探索条件を変えて繰り
返すことで質および量とも十分なデータを収集できるよ
うにする。
【0040】そして、生成したこのようなデータ群につ
いて、ファジィ推論の前件部変数、後件部変数を設定し
てデータを整理し、規則作成する。(ファジィ制御で
は、ファジィ推論して求める変数(これを後件部変数と
云う)は機械の制御量、例えば、回転数、圧力などであ
り、それを求めるための入力変数(これを前件部変数と
云う)は、探索条件、加工精度、温度になる。) このように、本発明方法においては、少ない収集データ
を最大限に利用してファジィ制御規則作成に必要なデー
タ量を作成することを可能にする。
【0041】<具体的実施例>以下、本発明の実施例に
ついて、図面を参照して説明する。本発明は、ファジィ
制御対象のシステムから得た基礎データを、入力変数、
出力(評価)変数に分け、当該ファジィ制御の対象システ
ムについて、その機械的特性に基づく前記入力変数と出
力変数との関係を示す数学関係モデルを作成し、これに
条件を変えて遺伝的アルゴリズムを適用した最適条件探
索を行って、収束途中でのデータを取得していくことに
より、種々の条件下でのデータを収集し、これら収集デ
ータを用いてファジィ推論の規則生成や、メンバーシッ
プ関数生成をするようにする。
【0042】具体的に説明する。
【0043】本発明のデータ作成手順を図1および図2
にフローチャートで示す。
【0044】図1はファジィ制御の推論規則やメンバー
シップ関数の生成に必要な質の良いデータを十分な数だ
け収集する手法の手順を示すものであり、図2はそのよ
うにして収集されたデータを用いてファジィ制御の推論
規則やメンバーシップ関数の生成を行う手順を示したも
のである。具体的に説明する。はじめにデータ収集手順
を説明する。
【0045】ステップ[a]: まずはじめに、制御対
象のシステムを稼動させることにより得られる各種のデ
ータを基礎データとして収集する(図1のS1)。
【0046】基礎データは加工条件を変えて測定された
データで、その中には、回転数、圧力、温度などの加工
条件データと加工精度などの加工評価データが含まれ
る。加工条件は様々なものが欲しい訳であるが、一般的
には、設定できない条件や時間的制約、コストなどの関
係から、収集可能な条件と範囲は十分なものとはならな
い。
【0047】ステップ[b]: 次にステップ[a]で
得た基礎データを、入力変数、出力(評価)変数に分け、
ファジィ制御の対象システムについて、その機械的特性
に基づく前記入力変数と出力変数との関係を示す数学関
係モデルを作成する(図1のS2)。この数学関係モデ
ルは、ニューラルネットワークモデルとして作成する。
【0048】この数学関係モデル(ニューラルネットワ
ークモデル)を用い、後述するように遺伝的アルゴリズ
ムによる最適条件探索を行えば、様々な条件下でのデー
タをシミュレーション的に取得可能になり、ファジィ規
則作成のデータ数を増やすことが可能になる。
【0049】ここで、上述のニューラルネットワークモ
デルは、加工条件データを入力、加工評価データを出力
とする機械特性モデルで、測定データを教師データとし
て作成する。
【0050】ステップ[c]: 次にステップ[b]で
作成した上記数学関係(機械特性)モデルに、GA(遺伝
的アルゴリズム)を適用して、最適条件探索を行う。
【0051】すなわち、GAを使用して、最適な加工条
件を求めるわけである。GAでは、通常、数10個以上
の個体を使用して計算する。この個体は探索計算条件に
相当する。この個体の良否は適合度で評価される。従っ
て、GA計算が収束しないうちに、良好な適合度の個体
データを出力させて、データ収集する(図1のS4,S
5,S6)。つまり、GA計算において、最適条件探索
が十分に収束する前のGA計算の途中結果の個体データ
(すなわち、初期世代から計算収束前の世代である各途
中世代でのデータ)を得ることによって探索条件を変え
た多数のデータを取得することが可能になるので、探索
条件を変えて取得される多数のデータのうち、良好な適
合度の個体データを収集すれば、質が良好で探索条件の
異なる多数のデータ収集することができる。
【0052】得られる個体データのうち、良好な適合度
のものをデータ収集するためには、図1のS4で求めら
れた個体データを図1のS5においてその適合度(個体
データの適合度の値)をチェックしてそれが許容値以上
のものか否かを調べることで選別できる(図1のS
5)。その結果、適合していればファジィ推論用データ
(解析用のデータ)とし、適合していなければ廃棄する
(図1のS6)。
【0053】この処理(GA計算と適合度のチェックそ
して、良好なものを取り込むと云う処理)を、目的とす
る規則条件数に達するまで、探索条件を変えて繰り返す
(図1のステップS3)。
【0054】このようにして質の良好なデータ(解析用
のデータ)を、十分な数だけ収集できることになる。
【0055】ここで遺伝的アルゴリズムとは、生物の進
化あるいは遺伝のメカニズムに着想を得て提案された確
率的な近似探索の1手法であり、初期解候補群の生成
後、各解候補の適合度の評価、及び次期解候補群を生成
するための選択・交叉・突然変異等の操作によって新し
く解候補群を逐次的に生成/評価し、より適合度の高い
解候補を探索していくアルゴリズムである。
【0056】この遺伝的アルゴリズムに関しては例え
ば、「伊庭、“遺伝的アルゴリズムの基礎”、オーム
社、1994年」等に詳しい。
【0057】遺伝的アルゴリズムは、進化と遺伝のメカ
ニズムを取り入れて適合度の高い解候補群を逐次的に生
成し、評価してより適合度の高い解候補を探索していく
と云うアルゴリズムであるから、いろいろな状況を右往
左往しながらも、最終的には最良の解に辿り着ける可能
性が高い。
【0058】この特徴に着目して本発明では、制御対象
システムに関するいろいろな条件下でのデータをシミュ
レーションによって取得できるようにするべく、この手
法を用いるようにするものであって、そのために、この
遺伝的アルゴリズム計算における途中経過時点での解候
補データに着目し、これら途中経過時点での解候補デー
タとシミュレーションによるその時点での制御対象シス
テムのデータを解析用のデータとして収集対象とする。
【0059】すなわち、GA計算では、入力値の設定
(探索条件設定)は乱数で行う。そのため、色々な設定
条件でのデータが自動的に得られることとなる。その一
方で、GA計算が進行し、収束すると、一定のデータし
か得られなくなる。
【0060】そこで、GA計算を実施し、計算が収束す
る前の段階までの間で得られるデータを収集する。すな
わち、初期世代から計算が収束する前の段階の世代まで
の間で得られるデータを収集する。そして、収集データ
から本当に必要なデータをふるい分けるために、収集デ
ータのうち、適合度が許容値以上のデータだけを残すよ
うにする。すなわち、遺伝的アルゴリズム(GA)で
は、通常、数10個以上の個体を使用して計算する。こ
の個体は探索計算条件に相当する。この個体の良否は適
合度で評価される。従って、GA計算が収束しない段階
の各世代(途中世代)で得られる様々な探索条件での解
候補のデータのうち、良好な適合度のものを収集するこ
とにより、推論規則作成に有用な多様な条件下でのシス
テムの各種データを解析用のデータとして収集すること
ができる。
【0061】図3はGA計算の出力例である。FITは
適合度であり、INPUTは入力変数に相当するもので
あって、前件部変数に該当し、また、OUTPUTは出
力変数に相当するものであって、後件部変数に該当す
る。これらのうちから、適合度FITが所定値以上を示
すものを収集することになる。
【0062】ステップ[e]: 目的とする規則条件数
に達するまで、探索条件を変えながら、前記ステップ
[c]およびステップ[d]の処理を繰り返すことによ
り、種々の条件でのデータ(解析用のデータ)を取得し
た結果、解析用として収集したデータの総数がファジィ
制御規則作成に必要な数に達したならば、図2のS11
の処理に移り、ファジィ推論の前件部変数、後件部変数
を設定して前記取得収集データについてデータ整理す
る。そして、これをファジィ制御の推論規則作成に供す
るようにする。
【0063】ファジィ制御では、ファジィ推論して求め
る変数を「後件部変数」と云い、それを求めるための入
力変数を「前件部変数」と云うが、ファジィ推論して求
める変数であるこの後件部変数としては機械の制御量、
例えば、制御対象システムが工作機械であれば、その工
作機械の回転数、加工圧力などであり、それを求めるた
めの入力変数である前件部変数は、探索条件、加工精
度、温度等が該当する。
【0064】制御規則作成に供するためのデータ(解析
用のデータ)の収集の具体例について触れておく。
【0065】ここでは、準備段階としての機械特性モデ
ル作成、そしてGA(遺伝的アルゴリズム)計算そのも
のの詳細については省略している。
【0066】通常、GA(遺伝的アルゴリズム)におけ
る最適条件探索では、GA計算結果の最良の適合度のデ
ータのみを抽出して解候補とするが、本発明におけるフ
ァジィ推論制御規則作成用データの収集にあたっては、
GA計算結果として得られた解候補のうち、最良の適合
度を示す解候補のデータではなく、指定した適合度以上
の範囲の適合度を示す解候補のデータを全て対象とする
ようにする。
【0067】すなわち、GA計算では、探索条件の入力
値の設定は乱数で行うので、色々な条件の設定データが
自動的に得られる一方、GA計算が進行し、収束する
と、一定のデータしか得られなくなるので、収束する以
前の初期の段階から収束直前(若しくは収束時点)まで
の間の各途中段階のデータを使用する。
【0068】このようにして、GA計算と適合度のチェ
ックそして、良好なものを取り込むと云う処理を、目的
とする規則条件数に達するまで、探索条件を変えて繰り
返す(図1のステップS3)ことで、質の良好なデータ
(解析用のデータ)を、十分な数だけ収集できることに
なる。
【0069】ファジィ制御では、ファジィ推論して求め
る変数(後件部変数)は機械の制御量、例えば、回転
数、加工圧力などであり、それを求めるための入力変数
(前件部変数)は、探索条件、加工精度、温度になる。
【0070】この様に前件部変数、後件部変数をGAの
出力データを読み込んで収集し、解析用のデータとす
る。
【0071】ステップ[f]: 解析用のデータの収集
が終わると、次にこれらのうちから似たデータを集めて
グループに分ける。ファジィ制御の推論規則を作成する
には、解析用のデータのうち、似たデータを集めてグル
ープに分ける必要がある。そして、そのグループでのメ
ンバーシップ関数を変数毎に求めてそのメンバーシップ
関数および当該変数とを用い、そのグループ内での関係
を表現してファジィ制御の推論規則とする。
【0072】例えば、図4は、遺伝的アルゴリズム計算
により得られたデータ群のグループ分けの概念を説明す
るための図で、これらデータに含まれる変数の数分に相
当する多次元空間でのグループ分けを示す図であるが、
この図4で云うと、似たデータを集めてグループに分け
た結果として、“グループ1”、“グループ2”、“グ
ループ3”の3つのグループがあるとして、これらの1
つ1つのグループそれぞれに、そのグループでの変数お
よびその変数のメンバーシップ関数の対によるそのグル
ープ内での関係を表現することで、それぞれ適合する1
つのファジィ制御の推論規則を作成する。
【0073】具体的には、今、前件部変数をAi、そし
て、後件部変数をBjとし、グループ内で各変数がとる
メンバーシップ関数をMk とすると、推論規則は下式の
如きに表現できる。但し、i,j,k=1,2,3,4
… …である。
【0074】 IF(A1=M1)(A2=M2)… THEN(B1=M3)(B2=M4)… この推論規則は、「もし、各前件部変数が、メンバーシ
ップ関数M1 が適用される前件部変数A1 とメンバーシ
ップ関数M2 が適用される前件部変数A2 と…の集合体
としてのグループに該当するならば、選択する後件部変
数は、メンバーシップ関数M3 が適用される後件部変数
B1 とメンバーシップ関数M4 が適用される後件部変数
B2と… のグループに該当するものを選ぶ」という規
則を意味する。
【0075】上述したように、ファジィ制御規則を作成
するには、解析データの似たデータを集めてグループに
分ける必要がある。似たデータを集めてグループに分け
るのがクラスタ処理であるが、グループ分けする前に、
似たデータを見つける作業が必要である。これはクラス
タ分析と云い、次のような手法で実施できる。すなわ
ち、これはグループ分けしようとするデータXとデータ
Yがあったとして、これらデータ間の類似度を分析す
る。
【0076】そして、グループ分けはこのようなクラス
タ分析結果を用いて、類似度の近いもの同士を同一グル
ープに纏めると云った手法で行う。
【0077】データXとデータY間の類似度を求めるに
は、色々な表現法があるが、ユークリッド距離Lを利用
するのが手っ取り早い。ユークリッド距離Lは下式で求
めることができる。
【0078】L=(Σ(Xik−Yik)21/2 この処理がクラスタ分析である。これを各データについ
て計算し、距離Lが小さいデータを纏めることで、グル
ープ分けすることができる。ここで、データに対しての
クラスタ分析を実施すると、図5に示す如きの樹形図が
得られる。
【0079】クラスタ分析が終わったならば、次に上述
のデータのグループ分けをすることになる。これは上述
のように、距離Lが小さいデータを纏めるという処理で
あるが、具体的にはクラスタ分析結果をある距離Pで分
割することで実施できる。この分割距離Pは、距離Lの
数直線をP点で2分割し、この分割された数直線グルー
プの各分散σを計算し、当該2個の分散の和が最小にな
るPを求めて、同一グループとすることで得る。
【0080】この処理によって、クラスタ分析によるデ
ータの分割が自動化でき、データのグループ化が自動実
施できる仕組みが実現できる(図2のS11)。なお、
分割された数直線グループの各分散σは、次の式で求め
られる。
【0081】 そして、この分散を利用してメンバーシップ関数を求め
ることができる。具体的には、メンバーシップ関数は次
のようにして生成する。例えば、kなるグループ用のメ
ンバーシップ関数Mk を生成しようとする場合、次のよ
うにする。
【0082】まずはじめに、ある変数Xの当該グループ
k内のデータ平均値と標準偏差値、つまり、 標準偏差Sk(=(σk)1/2) を計算し、 の間を、すなわち、グループ内のデータ分布の範囲を、
適宜なバンド幅に分割し、データ{Xk }のヒストグラ
ム(そのバンドに入るデータの個数)を作成する。この
ようにして作成されたものが図6のヒストグラムであ
る。尚、図6では、標準偏差Sk のバンド幅で7分割し
ている。
【0083】次に、ヒストグラムの最大値を“1”にし
て、ヒストグラムの数値を修正する。すなわち、正規化
するわけである。正規化が済んだならば、次に各ヒスト
グラムの頂点を通る直線、または、最大値“1”を通
り、左右のヒストグラムの頂点を含む直線を求め、メン
バーシップ関数Mk の形状を求める。
【0084】これでkと云う特定のグループ用のメンバ
ーシップ関数Mk が生成されたことになる。
【0085】図7は、このようにして生成され、出力さ
れたファジィ推論規則例である。前件部変数部、後件部
変数部、メンバーシップ関数部、ファジィ推論部が示さ
れている。
【0086】前件部変数部と後件部変数部の構成は、
“変数番号”、“変数ラベル名”、“変数の変動範囲の
最小値”および“変数の変動範囲の最大値”である。ラ
ベル名と変数範囲は図3には記載していないが、GA
(遺伝的アルゴリズム)の出力データ、すなわち、ファ
ジィ推論規則作成の入力データに記載されている。
【0087】メンバーシップ関数部には、“メンバーシ
ップ関数の通し番号”、“折れ線メンバーシップ関数の
形状を表示する点の数”、“各点のX,Y座標”が示さ
れている。この規則作成ソフトでは、メンバーシップ関
数Mk の表示点数は図7に符号Aを付して示す一点鎖線
円で囲まれるグラフの如く、3点としてある。
【0088】推論規則は自動的に生成されるため、メン
バーシップ関数Mk と同様にルールのラベル名は未定
で、出力されない。ルール部は、前件部については“前
件部変数の番号”と“メンバーシップ関数の番号”の組
み合わせで示されている。後件部の構成も同様である。
メンバーシップ関数と同様に、ルールのラベル名は出力
されない。
【0089】図8は、上述の如き手法で自動生成するこ
とにより得られた図7に示す如きのファジィ推論規則を
用いてファジィ推論した場合の出力例である。“No.1”
の事例では、“前件部変数1”として値“110”、
“前件部変数2”として値“1434.08”、“前件
部変数3”として値“3.23”が与えられた時、“後
件部変数1”として値“263.9”、“後件部変数
2”として値“180.2”、“後件部変数3”として
値“45.2”なるファジィ推論結果が得られたことを
示しており、これは、本来の目標値が“310”,“2
00”,“0”であって、目標値に対する誤差は“−4
6.1”,“−19.8”,“+45.2”である。
【0090】また、“No.2”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“9172.26”、“前件部変数3”として値“1
7.59”が与えられた時、“後件部変数1”として値
“269.6”、“後件部変数2”として値“180.
0”、“後件部変数3”として値“54.6”なるファ
ジィ推論結果が得られたことを示しており、これは、本
来の目標値が“310”,“200”,“100”であ
って、目標値に対する誤差は“−40.4”,“−2
0.0”,“+45.4”である。
【0091】また、“No.3”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“3874.52”、“前件部変数3”として値“8.
55”が与えられた時、“後件部変数1”として値“2
51.2”、“後件部変数2”として値“175.
2”、“後件部変数3”として値“53.4”なるファ
ジィ推論結果が得られたことを示しており、これは、本
来の目標値が“310”,“200”,“45.7”で
あって、目標値に対する誤差は“−58.8”,“−2
4.8”,“+7.7”である。
【0092】最終仕上げとしての微調整(すなわち、チ
ューニング)を施す必要があるにせよ、少ない実測デー
タを元に、不足分を自動生成し、さらにそれから推論規
則とメンバーシップ関数を自動生成して得たものを使用
してファジィ制御を実施したものとは思えないほどの推
論精度が確保されていることがわかる。
【0093】ここまでは、知的な制御が可能なシステム
を得るために必要なファジィ制御の推論規則作成に用い
るデータを収集する方法として、ファジィ制御の対象と
するシステムにて得た限られた測定データから、ファジ
ィ制御規則作成用の質・量ともに良好なデータを作成す
ると共にこのデータを使用して推論規則とメンバーシッ
プ関数を自動生成することを可能にするため、データ収
集には制御対象システムの機械特性をモデル化した数学
関係モデルを用い、この数学関係モデルについて遺伝的
アルゴリズムによる最適条件探索を行い、十分に収束す
る前の個体データを出力させてこれらのうちの所定値以
上の適合度を有する個体データを収集することにより、
ファジィ制御の推論規則作成に必要な種々の条件下での
制御対象システムのデータを取得できるようにした技術
を具体的に呈示した。
【0094】すなわち、ファジィ制御の推論規則を自動
的に作成するには、まず幅広い条件のランダムな測定デ
ータを数多く集める必要がある。しかし、実際には、限
定された収集データで規則を作成せざるを得ない場合が
多い。
【0095】これを本発明では、少ない実測データを用
いて制御対象システムの機械特性をモデル化した数学関
係モデルを作成し、この数学関係モデルを用いて、遺伝
的アルゴリズムによる最適条件探索を行い、十分に収束
する前の個体データを出力させてこれらのうちの所定値
以上の適合度を有する個体データを収集することによ
り、ファジィ推論規則作成に必要な種々の条件下での制
御対象システムのデータ(解析用のデータ)を取得でき
るようにしている。
【0096】従って、当該方法を採用することで、少な
い収集データを最大限に活用してファジィ制御の推論規
則作成に必要な質の良い十分な量のデータを作成してフ
ァジィ制御の推論規則作成に供することができる。
【0097】また、ここでは、遺伝的アルゴリズム計算
を実施することによって取得収集したデータの総数がフ
ァジィ制御の推論規則作成に必要な数に達したならば、
似たデータを集めてグループに分け、メンバーシップ関
数についてはそのグループ化したデータを用いて、入力
変数である前件部変数及び推論して求める変数である後
件部変数の各変数別に当該グループk内のデータの平均
と標準偏差値を計算し、グループ内のデータ分布の範囲
を、適宜なバンド幅に分割してデータ分布のヒストグラ
ムを作成し、正規化してヒストグラムの分布形状を求め
ることにより、これをメンバーシップ関数として得、こ
れを用いてグループでの変数およびその変数のメンバー
シップ関数の対によるそのグループ内での関係を表現し
たファジィ制御の推論規則を作成する。
【0098】ファジィ制御では、ファジィ推論して求め
る変数を「後件部変数」と云い、それを求めるための入
力変数を「前件部変数」と云うが、ファジィ推論して求
める変数であるこの後件部変数としては機械の制御量な
どであり、それを求めるための入力変数が前件部変数で
ある。
【0099】ファジィ制御規則を作成するには、解析デ
ータの似たデータを集めてグループに分ける必要があ
る。似たデータを集めてグループに分けるのがクラスタ
処理であるが、グループ分けする前に、解析用のデータ
中の似たデータ同士を見つける作業が必要である。これ
はクラスタ分析と云い、グループ分けしようとするデー
タ間の類似度を分析してその分析結果から類似度の近い
もの同士を同一グループにすると云った手法でグループ
化を行う。
【0100】そして、メンバーシップ関数はグループ化
したデータを用いて次のようにして生成する。すなわ
ち、kなるグループ用のメンバーシップ関数Mk を生
成しようとする場合、まずはじめに、ある変数Xの当該
グループk内のデータの平均と標準偏差値を計算し、グ
ループ内のデータ分布の範囲を、適宜なバンド幅に分割
し、データ分布のヒストグラムを作成する。そして、次
に、ヒストグラムの最大値を“1”にして、ヒストグラ
ムの数値を修正する(すなわち、正規化する)。正規化
が済んだならば、次に各ヒストグラムの頂点を通る直
線、または、最大値“1”を通り、左右のヒストグラム
の頂点を含む直線を求め、メンバーシップ関数Mk の
形状を求める。そして、これを用いてグループでの変数
およびその変数のメンバーシップ関数の対によるそのグ
ループ内での関係を表現したファジィ制御の推論規則を
作成する。
【0101】このように処理する結果、データ収集から
ファジィ制御の推論規則を生成およびメンバーシップ関
数の生成に至るまでの生成処理を自動的に実施可能にな
る。
【0102】(得られたメンバーシップ関数のチューニ
ング)以上は、推論規則とメンバーシップ関数を自動生
成する手法を説明した。
【0103】次に、最終仕上げとしての微調整であるチ
ューニングの具体例を説明する。
【0104】本発明は、メンバーシップ関数のチューニ
ングを自動化し、複雑なファジィ推論規則のチューニン
グを可能にすると共に、異常なファジィ推論をするメン
バーシップ関数を作らない安定な自動的チューニング法
を提供できるようにすること目的としている。また、チ
ューニングの結果、類似のメンバーシップ関数が出来た
場合は、これを整理してまとめ、メンバーシップ関数の
数を自動的に減らして、単純なファジィ推論規則に修正
することができるようになる自動的チューニング法を提
供することを目的としている。
【0105】メンバーシップ関数の基本的形状には幾つ
かの種類があり、勿論、本発明は複雑な形状でも適用可
能であるが、処理を単純化するためにはメンバーシップ
関数の形状は一般的な三角形のものを対象とする方が良
い。本発明では、自動化を目標にしているので、メンバ
ーシップ関数としては、一般的な三角形の形状のメンバ
ーシップ関数を対象にして説明する。そして、このメン
バーシップ関数について遺伝的アルゴリズム(GA)を使
用してチューニングを行う。GAで用いる遺伝子には整
数変数を使用すると共に、三角形のメンバーシップ関数
の形状を表わす3個のパラメータを、ファジィ変数範囲
とメンバーシップ関数の許容幅の情報を使用して整数に
変換してなる遺伝子情報を、メンバーシップの数だけ持
つ遺伝子を形成する。遺伝子を変化させる世代交代は、
個体の遺伝子をメンバーシップ関数に展開したファジィ
推論規則と、望ましい入力と出力のデータ(チューニン
グ用データ)を使用して行う。最も適合度の良い遺伝子
からメンバーシップ関数を決定する。この時、遺伝子が
同じメンバーシップ関数は同一として一つに纏め、推論
規則も変更する。
【0106】以下、チューニングの詳細を説明する。 (チューニングの具体例)ファジィ制御では推論規則を
反映させる度合いを決定付けるものとしてメンバーシッ
プ関数があり、その出来ばえが制御結果に重大な影響を
及ぼす。従って、そのチューニング良否はファジィ制御
の性能を左右することになる重要な作業である。従っ
て、ここではメンバーシップ関数のチューニングの具体
例について説明する。
【0107】図9に、メンバーシップ関数チューニング
の実施手順をフローチャートで示す。本発明におけるチ
ューニングには遺伝子アルゴリズムを用いる。
【0108】メンバーシップ関数チューニングはまずは
じめに、入力データを与えることから始める。すなわ
ち、チューニング対象のファジィ推論規則、GA計算の
条件、ファジィ推論チューニング用データを入力データ
として読込ませる(図9のステップS21,S22,S
23)。GA計算の条件としては、遺伝子を持つ個体数
などを与える。
【0109】次に、メンバーシップの遺伝子上の位置や
遺伝子全体の整数配列などと云った遺伝子構成を決定し
(図9のステップS24)、これが済んだならば次に個
体発生する(図9のステップS25)。
【0110】すなわち、ここではファジィ推論規則のメ
ンバーシップ関数を表現する遺伝子(メンバーシップ関
数の関数形状を、当該形状の代表点位置情報で表現した
もの)を作成し、この遺伝子を持つ個体を、GA計算条
件で指定された個数(数十から数百個)発生させる。個体
としては、親個体と子個体を同数作成する。そして、親
個体の遺伝子を初期化する。
【0111】そして、各個体別に、その個体の持つ遺伝
子の情報をメンバーシップ関数に展開して得た(つま
り、遺伝子の情報から元のメンバーシップ関数に戻す処
理をすることにより得た)当該メンバーシップ関数を適
用してファジィ推論を行い、その推論結果から遺伝子の
良好さを評価する適合度を求める処理を全個体について
実施する。
【0112】このとき、適合度の良好な遺伝子を持つ親
個体が確率的に選択され易いような方式(ルーレット方
式)で任意の2個の親個体を選択する。次に、これら選
択された2個の親個体の遺伝子を指定確率で交換し(交
叉)、子個体2個を作成する。交叉が生じない場合は、
親個体を子個体にコピーする。
【0113】このようにして作成した子個体の遺伝子に
対し、指定確率で遺伝子の任意のビットを反転する突然
変異を起こす。この操作を発生した個体数分行い、得ら
れた子個体遺伝子を親個体にコピーして世代交代を行う
(図9のステップS26)。
【0114】このようにして世代交代された新しい親個
体に対して前述の適合度計算を実施する(図9のステッ
プS27)。
【0115】この時、計算した全世代で最大な適合度値
の個体情報を記録する(図9のステップS28)。
【0116】このような世代交代のGA計算を、指定さ
れた世代数に達するか、または、最大の適合度値が指定
された適合度値を超えるか、または他の終了条件が満た
されるまで行う(図9のステップS29,S26,S2
7,S28)。
【0117】GA計算が終了したならば、最大適合度の
個体情報を取り出し(図9のステップS30)、最大適
合度の遺伝子のメンバーシップ関数情報に同一のものが
有るか否かをチェックし、同一のものがある場合には、
一つに統合して関連するルール(推論規則)も整理する
(図9のステップS31,S32)。そして、ファジィ
推論ルールとして出力する(図9のステップS33)。
【0118】このようにして、ファジィ推論のメンバー
シップ関数のチューニングを行う。
【0119】<チューニング対象の三角形メンバーシッ
プ関数>図10は、本発明がチューニング対象としてい
る三角形メンバーシップ関数の例を示す図である。横軸
(X軸)が変数値、縦軸(Y軸)がグレード値である。
三角形メンバーシップ関数の形状は図のP1,P2,P
3の3点の座標で決定される。ここでは、頂角点のP2
のグレード値は“1”,P1とP3はグレード値“0”
の点とする。
【0120】従って、三角形メンバーシップ関数は、P
1,P2,P3のX座標値である3個の変数値X1,X
2,X3で表現できる。
【0121】なお、P1,P2,P3が変数変動範囲の
最小値Xmin と最大値Xmax 内で定義される場合、例え
ばP1点とP2点の中間に位置するP1′点位置のよう
な場合は、P1′の座標値から比例計算でP1のX座標
値X1を求める。また逆に、P1のX座標値X1から比
例計算でP1′の座標を求めることもできる。
【0122】ここで、メンバーシップ関数の特性として
は、頂角位置のX座標値X2がX1≦X2≦X3の範囲
である必要がある。そのため、遺伝子情報がこの関係を
満たすように、整数値α,βを用いて X1=X2−α、 X3=X2+β とする。つまり、頂角点のX座標値から左方向にαだけ
離れたX座標位置にX1があり、頂角点のX座標値から
右方向にβだけ離れたX座標位置にX2があると云う関
係が必ず成立する。
【0123】そのため、三角形メンバーシップ関数を表
わす遺伝子は頂角点の変数値X2とその相対差を示す数
値である整数値α,βとを用いて図11に示す如きに構
成する。また、頂角点の変数値X2は Xmix ≦X2≦Xmax とする。また、整数値αとβの最大値は、GA計算条件
で入力設定する。
【0124】遺伝子アルゴリズムにおける遺伝子は、遺
伝子アルゴリズムを実行するプログラム上では整数配列
または文字列で表現する。ここでは、整数配列の遺伝子
表現の場合について説明する。
【0125】<整数配列の遺伝子表現と個体>上述した
ように、本発明ではメンバーシップ関数は三角形の形状
に表現されたものを使用している。この三角形メンバー
シップ関数を表わす遺伝子は“X2”、“α”、“β”
の順に並べた整数配列で表現される。
【0126】すなわち、三角形メンバーシップ関数を遺
伝子アルゴリズムを使用してチューニングする場合、当
該三角形メンバーシップ関数を遺伝子表現する必要があ
る。メンバーシップ関数は三角形の形状で、X軸に位
置、Y軸にグレードがとられるが、頂角点のX座標位置
をX2、その他の2点がX2からの相対差で表すことが
でき、グレードは“1”から“0”の範囲であるので、
上記相対差を整数の変数αとβで表すとすれば、メンバ
ーシップ関数としての三角形の形状は“X2”、
“α”、“β”で表すことができる。そして、メンバー
シップ関数を遺伝子表現すると云うことは、メンバーシ
ップ関数としての三角形の形状を表現すると云うことで
あり、当該三角形状を示す遺伝子の表現を整数配列で行
う場合には、三角形の形状を示すための前記“X2”、
“α”、“β”を「“X2”、“α”、“β”」の順に
並べた表現が、グレード“1”をとる“X2”位置を中
心位置に、その左に“α”分、そして、右側に“β”分
の範囲がこの場合でのメンバーシップ関数を表す整数配
列表現の遺伝子と云うことになる。
【0127】つまり、“X2”、“α”、“β”の順に
これらを整数として並べた表現が、目的の形状の三角形
の頂点P1,P2,P3をX座標値X1(=X2−
α),X2,X3(=X2+β)で表した内容(情報)
を持つことになり、これが目的の形状の三角形を示す情
報を持つ遺伝子ということになる。
【0128】また、これらX2、α、βそれぞれの構成
ビット数、或いは対応の最大整数値を決めるが、これら
は分割数(メンバーシップ関数のX軸方向範囲をいくつ
に分割するかを示す数)などでGAの計算条件入力によ
り設定する。
【0129】分割数の代わりに刻み幅(メンバーシップ
関数のX軸方向範囲を分割する1分割当たりの幅)で設
定された場合、例えば刻み幅△Xが指定された場合、頂
角点を示す変数値X2を表現する最大の整数値Vxは Vx=int((Xmax −Xmix )/△X)+1 (但し、int は答えとして整数部のみをとることを表
す)となり、この整数を表現するビット数を求める。ま
た、このビット数で表現できる最大の整数値をVxと置
き直して、△Xを修正する。例えば、刻み幅△Xが
“1”でその時の表現可能最大整数値Vxが“100”
であった場合、“100”を表現するに必要なビット数
は7ビットであり、また、7ビットで表現可能な最大整
数Vx2は“127”である。
【0130】従って、△Xは △X=100/127=0.788 と修正する。なお、Xmin ,Xmax は、ファジィの推論
規則データから読取る。整数のVx2(頂角点P2のX
座標位置X2に対して定めた構成ビット数で表現可能な
最大整数)からは、下式で頂角点P2のX座標位置X2
を求めるようにする。すなわち、 X2=Vx2×△X+Xmin である。また、α、βについても、その最大値とその分
割数や刻み幅を使用して、同様に行う。
【0131】このようにして、X2、α、βを表現する
に必要なビット数を求め、メンバーシップ関数の個数分
の全ビット数を求める。そして、この求めた全ビット数
と整数表現のビット数とから整数配列個数を求める。遺
伝子を文字列で持つ場合は、同様に文字列の長さを求め
る。そして、各個体毎に配列宣言をして、個体を形成す
る。
【0132】尚、図12に示す如く、“個体”は“遺伝
子”と“適合度値”の組合わせの構成を持つものであ
る。
【0133】ここで適合度値は、遺伝子、すなわち、個
体の良否を判定する数値である。当該適合度値は、
“0”から“1”の間の数値であって、“1”に近いほ
ど良い遺伝子の評価になる。この適合度値の計算は、チ
ューニング対象データの前件部データをファジィ推論の
入力として与え、推論結果の出力値Yとチューニング対
象データの後件部変数の値Y0とから、適合度関数を使
用して求める。
【0134】<適合度関数>ここで、適合度関数は三角
形型と指数関数型とがあって、例えば、図13に示す如
きものである。但し、当該図13では、メンバーシップ
関数と同様の三角形型の適合度関数を示しており、Y
a,YbはGA計算条件で与える。
【0135】図14は指数関数を使用した適合度関数の
例である。この式中で推論結果の出力値Yは、 Y=YO−Y で与え、aの定数はGA計算条件で与える。後件部変数
の数をNpostとすると、1個のチューニングデータ当た
りNpost個の適合度値Fiが得られる。従って、チュー
ニングデータ1個分の適合度Fk を下式で求める。
【0136】 また、チューニン用データ数をNdataとして、全チュー
ニングデータに対する適合度Fitnessは、 として、このFitnessの値を個体の適合度とする。
【0137】なお、ルーレット方式による親個体の選択
法や世代交代については、遺伝的アルゴリズムにおける
一般的な技術であるから、ここでは深くは触れない。 <遺伝子の変形法>図15は交叉法による、そして、図
16は突然変異による遺伝子の変形法である。図15の
交叉法では二種の親遺伝子の中間をとって二種の子遺伝
子に変形しており、図16は親遺伝子について部分的に
ビット反転することによって突然変異を引き起こしてい
る様子を示している。この他に、遺伝子の順番を逆にす
る転位法による遺伝子の変形法がある。
【0138】<ファジィ制御推論規則の入力データ例>
図17はチューニングのために入力するチューニング対
象のファジィ推論規則のデータ例である。図1および図
2の処理を実施することにより自動生成したファジィ推
論規則のデータ(先の例では図7)をチューニング対象
とするならば、得られた図7のデータを入力することに
なる。但し、図7は説明のために、項目名などを付記し
たので、実際には図17に示す如き中味の部分を中心に
無用なものは省いたデータとして与えることになる。
【0139】これにより、前件部変数、後件部変数、メ
ンバーシップ関数、ファジィ推論ルールが示されたデー
タとして入力することができる。前件部変数、後件部変
数は、変数番号と変数名称、各変数範囲の最小値と最大
値が示されている。メンバーシップ関数には、メンバー
シップ番号と三角形メンバーシップ関数のP1、P2,
P3のXとYの座標データを示している。なお、このフ
ァジィ推論では、変数をその最小値と最大値を使用し
て、“0”〜“1”の数値に変数変換してファジィ推論
を行っている。従って、メンバーシップ関数のX座標の
値も“0”〜“1”の数値になっている。また、ファジ
ィ制御の推論ルール(推論規則)は、“if”から“t
hen”の間が前件部の条件、“then”以降が後件
部の条件を表わしている。この左の数値は変数番号、右
の数値はメンバーシップ関数の番号である。
【0140】<GA計算条件データ例>次に、GA計算
条件のデータ例を示す。GA計算条件データ例は図18
に示す如きであって、チューニング対象データのファイ
ル名指定、X2,α,βの分割数、α,βの最大値指
定、遺伝子の初期設定条件を指定している。この例での
ファジィ推論は、変数を内部の処理により“0”〜
“1”に変数変換しているので、ここでの指定はこの最
大値“1”を越えた設定をしている。
【0141】上記の遺伝子の初期設定条件は、読み込ん
だファジィ規則のメンバーシップ関数データを、30
[%]の個体に初期値としてコピーし、残りは乱数で初
期化することを意味している。その他、個体数、最大世
代数、交叉と突然変異の生起確率、適合度の許容値、適
合度関数の定数値、計算途中経過の出力問隔などを指定
している。
【0142】このGA計算では、適合度は図14に示し
た如きの関数型を使用している。なお、ここで指定した
定数値は適合度関数の1/aの数値である。
【0143】図19はチューニング用データの例であっ
て、ファジィ推論の前件部変数の数値と、それに対応す
る望ましい後件部変数の数値の組合わせの17データ分
を示している。
【0144】図20は本発明によるメンバーシップ関数
チューニング法でチューニングしたファジィ推論規則例
である。この例では、重複したメンバーシップ関数が無
いので、メンバーシップ関数の統合、ルールの変更は行
われていない。従って、図17のオリジナルのファジィ
推論規則とは、メンバーシップ関数のデータのみが変更
されているだけで、他は変わりない。
【0145】図21は、図1および図2の手法を実施し
て得たオリジナルのファジィ推論出力と、これを本発明
方法にてチューニングして得たチューニング済みファジ
ィ推論出力を比較した、表である。代表として3個のチ
ューニングデータを使用している。図からわかるよう
に、総じてチューニング後の推論精度がオリジナルのも
のより改善されていることがわかる。
【0146】すなわち、図1および図2で説明した如き
手法で自動生成することにより得られた図7に示す如き
のファジィ推論規則を用いてファジィ推論した場合に図
8に示した如きの出力例であったものが、本発明のチュ
ーングをメンバーシップ関数に対して施したことによ
り、図21に示す如く、チューニング前の“No.1”の事
例では、“前件部変数1”として値“110”、“前件
部変数2”として値“1434.08”、“前件部変数
3”として値“3.23”が与えられた時、“後件部変
数1”として値“263.9”、“後件部変数2”とし
て値“180.2”、“後件部変数3”として値“4
5.2”なるファジィ推論結果となっていたものがチュ
ーニング後では“後件部変数1”として値“225.
4”、“後件部変数2”として値“144.2”、“後
件部変数3”として値“27.2”なるファジィ推論結
果が得られたことを示している。
【0147】この場合には、本来の目標値が“31
0”,“200”,“0”であって、目標値に対する誤
差はチューニング前が“−46.1”,“−19.
8”,“+45.2”であったのが“−84.6”,
“−55.8”,“+27.2”となっている。
【0148】また、“No.2”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“9172.26”、“前件部変数3”として値“1
7.59”が与えられた時、チューニング前では“後件
部変数1”として値“269.6”、“後件部変数2”
として値“180.0”、“後件部変数3”として値
“54.6”なるファジィ推論結果となっていたものが
チューニング後では“後件部変数1”として値“30
8.5”、“後件部変数2”として値“198.9”、
“後件部変数3”として値“98.7”なるファジィ推
論結果が得られたことを示している。
【0149】この場合には、本来の目標値が“31
0”,“200”,“100”であって、目標値に対す
る誤差はチューニング前が“−40.4”,“−20.
0”,“+45.4”であったものが“−1.5”,
“−1.1”,“−1.3”となっている。
【0150】また、“No.3”の事例では、“前件部変数
1”として値“110”、“前件部変数2”として値
“3874.52”、“前件部変数3”として値“8.
55”が与えられた時、チューニング前では“後件部変
数1”として値“251.2”、“後件部変数2”とし
て値“175.2”、“後件部変数3”として値“5
3.4”なるファジィ推論結果となっていたものが、チ
ューニング後では“後件部変数1”として値“247.
3”、“後件部変数2”として値“176.9”、“後
件部変数3”として値“45.1”なるファジィ推論結
果が得られたことを示している。
【0151】この場合、本来の目標値が“310”,
“200”,“45.7”であって、目標値に対する誤
差はチューニング前が“−58.8”,“−24.
8”,“+7.7”であり、チューニング後が“−6
2.7”,“−23.1”,“−0.1”である。
【0152】最終仕上げとしての微調整(すなわち、チ
ューニング)をファジィ推論のメンバーシップ関数に対
して施した結果、総じてチューニング後の推論精度はオ
リジナルのもの(もとのもの)より改善されていること
がわかる。
【0153】本発明は知的な制御が可能なシステムを得
るために必要なファジィ制御の推論規則作成に用いるデ
ータを収集する方法として、ファジィ制御の対象とする
システムにて得た限られた測定データから、ファジィ制
御規則作成用の質・量ともに良好なデータを作成すると
共にこのデータを使用して推論規則とメンバーシップ関
数を自動生成することを可能にする方法を提供するもの
であって、データ収集には制御対象システムの機械特性
をモデル化した数学関係モデルを用い、この数学関係モ
デルについて遺伝的アルゴリズムによる最適条件探索を
行い、十分に収束する前の個体データを出力させてこれ
らのうちの所定値以上の適合度を有する個体データを収
集することにより、ファジィ制御の推論規則作成に必要
な種々の条件下での制御対象システムのデータを取得で
きるようにしている。
【0154】要するに、本実施例に示した発明は知的な
制御が可能なシステムを得るために必要なファジィ制御
の推論に用いるメンバーシップ関数の自動チューニング
の方法を提供するものであって、ファジィ推論に用いら
れるメンバーシップ関数について、遺伝子表現して遺伝
子アルゴリズムを適用し、得られる子世代の遺伝子につ
いてその遺伝子から展開して得たメンバーシップ関数を
用いてファジィ推論を実施し、適合度を求める処理を所
定の終了条件を満たすまで繰り返し、得られた各遺伝子
について最良の適合度を持つ遺伝子に対応するメンバー
シップ関数をチューニング済みのメンバーシップ関数と
して得るようにしたものである。すなわち、ファジィ推
論に用いられるメンバーシップ関数を遺伝子表現するこ
とにより遺伝子アルゴリズムを適用した計算処理ができ
るので、ファジィ推論規則に含まれているメンバーシッ
プ関数について、遺伝子表現して遺伝子アルゴリズム計
算処理をし、得られる子世代の遺伝子についてはその遺
伝子から展開して得たメンバーシップ関数を用いてファ
ジィ推論を実施し、適合度を求める処理を行う。親個体
の遺伝子を用いた新世代の個体発生を、遺伝子の突然変
異操作を交えつつ、所定の終了条件を満たすまで繰り返
すという遺伝子アルゴリズム計算処理を繰り返すことで
得られた各遺伝子について、最良の適合度を持つ遺伝子
を求め、この遺伝子に対応するメンバーシップ関数をチ
ューニング済みのメンバーシップ関数として得ること
で、メンバーシップ関数のチューニングの自動化が可能
になる手法が実現できるものである。
【0155】特に本発明は、ファジィ推論に用いられる
メンバーシップ関数を、そのメンバーシップ関数の関数
形状を、当該形状の代表点位置情報で表現した形式に作
成して遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体を、遺伝子ア
ルゴリズム計算条件で指定された個数発生させ、各個体
についてはその個体の持つ遺伝子の情報をメンバーシッ
プ関数に展開する処理をして得た(遺伝子の情報からメ
ンバーシップ関数に戻す処理をして得た)当該メンバー
シップ関数を適用してファジィ推論を行い、その推論結
果から遺伝子の良好さを評価する適合度を求める処理を
全個体について実施し、適合度の良好な遺伝子を持つ個
体が確率的に選択され易い方式(ルーレット方式)で任意
の2個体を選択し、これら両個体の遺伝子を指定確率で
交換(交叉)することにより、新たな異種遺伝子を作成し
て当該遺伝子に対し、突然変異を起こす操作を実施して
得られた遺伝子を持つ子個体を作成して新世代とし、新
世代の個体に対して前記適合度計算を実施することによ
り適合度を求める処理を、指定された世代数に達する
か、または、最大の適合度値が指定された適合度値を超
えるか、または他の終了条件が満たされるまで行い、そ
の後、適合度最良の個体を選定してその個体の遺伝子を
展開することにより、得られるメンバーシップ関数をチ
ューニング済みメンバーシップ関数として得るようにし
たものである。さらには、チューニング済みメンバーシ
ップ関数について、同一のものが有るか否かをチェック
し、同一のものがある場合には、一つに統合して関連す
るルール(推論規則)も整理するように処理するもので
ある。
【0156】このような本発明では、ファジィ推論に用
いられるメンバーシップ関数を、そのメンバーシップ関
数の関数形状を、当該形状の代表点位置情報で表現した
形式に作成して遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体を、
遺伝子アルゴリズム計算条件で指定された個数発生さ
せ、各個体についてはその個体の持つ遺伝子の情報をメ
ンバーシップ関数に展開する処理をして得た(遺伝子の
情報からメンバーシップ関数に戻す処理をして得た)当
該メンバーシップ関数を適用してファジィ推論を行い、
その推論結果から遺伝子の良好さを評価する適合度を求
める処理を全個体について実施する。そして、適合度の
良好な遺伝子を持つ個体が確率的に選択され易い方式
(ルーレット方式)で任意の2個体を選択し、これら両個
体の遺伝子を指定確率で交換(交叉)することにより、新
たな異種遺伝子を作成して当該遺伝子に対し、突然変異
を起こす操作を実施して得られた遺伝子を持つ子個体を
作成して新世代とする。そして、新世代の個体に対して
前記適合度計算を実施することにより適合度を求める処
理を施す。このような処理を指定された世代数に達する
か、または、最大の適合度値が指定された適合度値を超
えるか、または他の終了条件が満たされるまで行い、そ
の後、適合度最良の個体を選定する。そしてその選定し
た個体の遺伝子を展開することにより、得られるメンバ
ーシップ関数をチューニング済みメンバーシップ関数と
して得る。これによって、メンバーシップ関数のチュー
ニングの自動化が可能になるチューニング法が得られる
ことになる。
【0157】すなわち、メンバーシップ関数のチューニ
ングを自動化し、複雑なファジィ推論規則のチューニン
グを可能にすると共に、異常なファジィ推論をするメン
バーシップ関数を作らない、安定な自動的チューニング
法を提供できることになる。
【0158】また、本発明方法を適用した場合に、チュ
ーニング済みメンバーシップ関数について、同一のもの
が有るか否かをチェックし、同一のものがある場合に
は、一つに統合して関連するルール(推論規則)も整理
するように処理する。
【0159】ファジィ推論の推論規則は、入力(前件部
変数)と出力(後件部変数)の関係を変数の要素とその
要素の反映の度合いを示すメンバーシップ関数との組み
合わせで記述するが、チューニング済みメンバーシップ
関数に同一のものが有る場合には、一つに統合して関連
するルール(推論規則)も整理することから、メンバー
シップ関数の数を自動的に減らして、単純なファジィ推
論規則に修正することができるようになる。
【0160】従って、本発明によれば、メンバーシップ
関数のチューニングを自動化し、複雑なファジィ推論規
則のチューニングを可能にすると共に、異常なファジィ
推論をするメンバーシップ関数を作らない、安定な自動
的チューニング法を提供でき、チューニング結果、類似
のメンバーシップ関数が出来た場合は、これを整理して
まとめ、メンバーシップ関数の数を自動的に減らして、
単純なファジィ推論規則に修正することができる自動的
チューニング方法を提供できる。
【0161】尚、本発明は上述した実施例に限定するこ
となく、種々変形して実施可能である。また、実施例に
記載した手法は、コンピュータにより読み込ませて実行
させることのできるプログラムとして、磁気ディスク
(フロッピーディスク、ハードディスクなど)、光ディ
スク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなど
の記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0162】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、自動的にファジィ推論のメンバーシップ関数のチュ
ーニングを行うことができるので、チューニングの時間
が短縮され、しかも、メンバーシップ関数の数が多い、
大規模なファジィ推論規則のチューニングも可能である
など、チューニングにかかる労力と時間を節減できて、
しかも、良好な推論結果を導くことができるようになる
メンバーシップ関数が得られるようになる。
【0163】また、チューニングの結果、重複したメン
バーシップ関数は一つに統合されるので、ファジィ推論
ルールの単純化を図ることができるようになって、合理
的な推論規則の構築ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定データからファジィ制御の推論規則を作成
するために必要なデータを生成する本発明方法の処理手
順を示すフローチャート。
【図2】測定データからファジィ制御規則を作成する本
発明方法の処理手順を示すフローチャート。
【図3】遺伝的アルゴリズム計算により得られた出力デ
ータの例を示す図。
【図4】遺伝的アルゴリズム計算により得られたデータ
群のグループ分けの概念を説明するための図であって、
これらデータに含まれる変数の数分に相当する多次元空
間でのグループ分けを示す図。
【図5】クラスタ分析結果の樹形図と、グループ分割の
距離の自動決定法を説明する図。
【図6】本発明方法におけるメンバーシップ関数の決定
方法を説明するための図。
【図7】本発明方法により作成されたファジィ制御の推
論規則の例を示す図。
【図8】本発明方法により作成されたファジィ制御の推
論規則を用いて推論した結果の例を示す図。
【図9】本発明方法の処理手順を示すものであって、本
発明によるメンバーシップ関数チューニングの実施手順
を示すフローチャート。
【図10】本発明方法がチューニング対象としている三
角形メンバーシップ関数の構成図。
【図11】本発明方法で用いる三角形メンバーシップ関
数の遺伝子構成を説明するための図。
【図12】本発明方法で用いる個体の構成を説明するた
めの図であって、遺伝子と適合度からなる個体の構成
図。
【図13】本発明方法で用いる三角形適合度関数の説明
図。
【図14】指数関数の適合度関数の例。
【図15】交叉法の遺伝子変形法を説明するための図。
【図16】突然変異の遺伝子変形法を説明するための
図。
【図17】ファジィ推論規則例を説明するための図。
【図18】GA計算条件データ例を説明するための図。
【図19】チューニング用データ例を示す図。
【図20】チューニング結果のファジィ推論規則例を示
す図。
【図21】チューニング効果を比較したデータ例を示す
図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ファジィ推論に用いられるメンバーシップ
    関数について、遺伝子表現して遺伝子アルゴリズムを適
    用し、得られる子世代の遺伝子についてその遺伝子から
    展開して得たメンバーシップ関数を用いてファジィ推論
    を実施し、適合度を求める処理を所定の終了条件を満た
    すまで繰り返し、得られた各遺伝子について最良の適合
    度を持つ遺伝子に対応するメンバーシップ関数をチュー
    ニング済みのメンバーシップ関数として得ることを特徴
    とするファジィ推論におけるメンバーシップ関数のチュ
    ーニング方法。
  2. 【請求項2】ファジィ推論に用いられるメンバーシップ
    関数を、そのメンバーシップ関数の特性を示す形状につ
    いて、当該形状の代表点位置情報で表現した形式にして
    遺伝子とし、この遺伝子を持つ個体を、遺伝子アルゴリ
    ズム計算条件で指定された個数発生させ、各個体につい
    てはその個体の持つ遺伝子の情報をメンバーシップ関数
    に展開する処理をして得た当該メンバーシップ関数を適
    用してのファジィ推論を行い、その推論結果から遺伝子
    の良好さを評価する適合度を求める処理を全個体につい
    て実施し、適合度の良好な遺伝子を持つ任意の2個体同
    士の遺伝子を指定確率で交換(交叉)することにより、新
    たな遺伝子を作成すると共に、当該新たな遺伝子に対
    し、突然変異を起こす操作を実施することにより得られ
    た遺伝子を持つ子個体を作成して新世代とし、新世代の
    個体に対して前記適合度計算を実施することにより適合
    度を求める処理を、予定の終了条件を満たすまで行い、
    その後、適合度最良の個体を選定してその個体の遺伝子
    を展開することにより、得られるメンバーシップ関数を
    チューニング済みメンバーシップ関数として得ることを
    特徴とするファジィ推論におけるメンバーシップ関数の
    チューニング方法。
  3. 【請求項3】ファジィ推論に用いられるメンバーシップ
    関数を、そのメンバーシップ関数の関数形状を、当該形
    状の代表点位置情報で表現した形式に作成して遺伝子と
    し、この遺伝子を持つ個体を、遺伝子アルゴリズム計算
    条件で指定された個数発生させ、各個体についてはその
    個体の持つ遺伝子の情報をメンバーシップ関数に展開す
    る処理をして得た当該メンバーシップ関数を適用してフ
    ァジィ推論を行い、その推論結果から遺伝子の良好さを
    評価する適合度を求める処理を全個体について実施し、
    適合度の良好な遺伝子を持つ個体が確率的に選択され易
    い方式で任意の2個体を選択し、これら両個体の遺伝子
    を指定確率で交換(交叉)することにより、新たな異種遺
    伝子を作成して当該遺伝子に対し、突然変異を起こす操
    作を実施して得られた遺伝子を持つ子個体を作成して新
    世代とし、新世代の個体に対して前記適合度計算を実施
    することにより適合度を求める処理を、指定された世代
    数に達するか、または、最大の適合度値が指定された適
    合度値を超えるか、または他の終了条件が満たされるま
    で行い、その後、適合度最良の個体を選定してその個体
    の遺伝子を展開することにより、得られるメンバーシッ
    プ関数をチューニング済みメンバーシップ関数として得
    ることを特徴とするファジィ推論におけるメンバーシッ
    プ関数のチューニング方法。
  4. 【請求項4】メンバーシップ関数は、三角形の形状のメ
    ンバーシップ関数を対象とすることを特徴とする請求項
    1乃至3いずれか1項記載のファジィ推論におけるメン
    バーシップ関数のチューニング方法。
  5. 【請求項5】チューニング済みメンバーシップ関数に同
    一のものが有るか否かをチェックし、同一のものがある
    場合には、一つに統合して関連するルール(推論規則)
    も整理することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1
    項記載のファジィ推論におけるメンバーシップ関数のチ
    ューニング方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002329713A (ja) * 2001-02-07 2002-11-15 Eni Technologies Inc 半導体プラズマ処理を特徴付ける方法及び適応性プラズマ特徴付けシステム
JP2010515085A (ja) * 2006-12-27 2010-05-06 インテル・コーポレーション 音声セグメンテーションの方法および装置

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